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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H03H9/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021091596
(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公開番号】P2022184006
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 悟
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-097055(JP,A)
【文献】特開2015-156583(JP,A)
【文献】特開2010-251943(JP,A)
【文献】特開2012-186706(JP,A)
【文献】特開2019-121854(JP,A)
【文献】特開2013-012977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00-9/135
H03H 9/15- 9/62
H03H 9/66
H03H 9/70
H03H 9/74
H03H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、
前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆う第1封止部材と、
前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆う第2封止部材と、が設けられ、
前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、かつ前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されることによって、略直方体のパッケージが構成されるとともに前記第1励振電極と前記第2励振電極とを含む前記圧電振動板の振動部が気密封止された内部空間が設けられた圧電振動デバイスにおいて、
当該圧電振動デバイスの前記パッケージ側面に形成された側面配線を経由して、前記第1封止部材の前記内部空間に面していない側の主面に形成された上面端子と、前記第2封止部材の前記内部空間に面していない側の主面に形成された外部電極端子とが電気的に接続され、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、および前記第2封止部材と前記圧電振動板との間には、前記側面配線に接続される積層間配線が設けられ、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、および前記第2封止部材と前記圧電振動板との間には、前記圧電振動板の振動部を気密封止する環状の封止部が設けられ、
前記積層間配線は、前記封止部の周囲に当該封止部とは所定の間隔を隔てて設けられ、
前記封止部の平面視で前記積層間配線に沿った部分には、前記積層間配線に沿っていない部分よりも幅が狭い幅狭部が設けられ、
平面視で、前記幅狭部は、前記上面端子の一部分および前記外部電極端子の一部分の少なくとも1つと重畳していることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイスにおいて、
平面視で、前記幅狭部が、前記上面端子の一部分および前記外部電極端子の一部分の少なくとも1つと重畳する部分の前記封止部の外周縁に沿った方向の長さは、前記幅狭部の前記封止部の外周縁に沿った方向の長さの50%以上であることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
平面視で、前記幅狭部は、その全領域において、前記上面端子の一部分および前記外部電極端子の一部分の少なくとも一方と重畳していることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記封止部は、前記パッケージの外周縁に沿って設けられ、かつ長辺部分および短辺部分を有し、前記幅狭部は、前記封止部の前記長辺部分に設けられていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記第1封止部材と前記圧電振動板とがAu-Au接合によって接合され、前記第2封止部材と前記圧電振動板とがAu-Au接合によって接合され、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止部の厚みが、1μm以下であり、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間のギャップが、1μm以下であって、
前記第2封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止部の厚みが、1μm以下であり、前記第2封止部材と前記圧電振動板との間のギャップが、1μm以下であることを特徴とする圧電振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子等の圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の動作周波数の高周波化や、パッケージの小型化(特に低背化)が進んでいる。そのため、高周波化やパッケージの小型化にともなって、圧電振動デバイス(例えば水晶振動子、水晶発振器等)も高周波化やパッケージの小型化への対応が求められている。
【0003】
この種の圧電振動デバイスでは、その筐体が略直方体のパッケージで構成されている。このパッケージは、例えばガラスや水晶からなる第1封止部材および第2封止部材と、例えば水晶からなり両主面に励振電極が形成された圧電振動板とから構成され、第1封止部材と第2封止部材とが圧電振動板を介して積層して接合される。そして、パッケージの内部(内部空間)に配された圧電振動板の振動部(励振電極)が気密封止されている(例えば、特許文献1)。以下、このような圧電振動デバイスの積層形態をサンドイッチ構造という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-252051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような圧電振動デバイスでは、第1封止部材と圧電振動板との間、および第2封止部材と圧電振動板との間に、圧電振動板の振動部を気密封止する環状の封止部がそれぞれ形成され、例えばパッケージを加圧拡散接合することによって、気密封止される。しかし、パッケージの小型化に伴って封止部の形成領域が徐々に狭くなってきており、このような狭い領域で封止部を形成すると、封止部による振動部の気密封止が不十分となる可能性がある。例えば引き回し配線等の配線パターンが、封止部の周囲に並列に配置される構成の場合、そのような問題が特に懸念される。
【0006】
本発明は上述したような実情を考慮してなされたもので、環状の封止部による振動部の気密封止を十分に行うことが可能な圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆う第1封止部材と、前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆う第2封止部材と、が設けられ、前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、かつ前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されることによって、略直方体のパッケージが構成されるとともに前記第1励振電極と前記第2励振電極とを含む前記圧電振動板の振動部が気密封止された内部空間が設けられた圧電振動デバイスにおいて、当該圧電振動デバイスの前記パッケージ側面に形成された側面配線を経由して、前記第1封止部材の前記内部空間に面していない側の主面に形成された上面端子と、前記第2封止部材の前記内部空間に面していない側の主面に形成された外部電極端子とが電気的に接続され、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、および前記第2封止部材と前記圧電振動板との間には、前記側面配線に接続される積層間配線が設けられ、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、および前記第2封止部材と前記圧電振動板との間には、前記圧電振動板の振動部を気密封止する環状の封止部が設けられ、前記積層間配線は、前記封止部の周囲に当該封止部とは所定の間隔を隔てて設けられ、前記封止部の平面視で前記積層間配線に沿った部分には、前記積層間配線に沿っていない部分よりも幅が狭い幅狭部が設けられ、平面視で、前記幅狭部は、前記上面端子の一部分および前記外部電極端子の一部分の少なくとも1つと重畳していることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、幅狭部が、平面視で、上面端子の一部分および外部電極端子の一部分の少なくとも1つと重畳しているので、加圧拡散接合などによって圧電振動デバイスのパッケージを製造する際、平面視で重畳する部分において、幅狭部へ圧力を十分に伝えることができ、封止部の幅狭部をできる限り均一に加圧することができ、環状の封止部による振動部の気密封止を十分に行うことができる。
【0009】
上記構成において、平面視で、前記幅狭部が、前記上面端子の一部分および前記外部電極端子の一部分の少なくとも1つと重畳する部分の前記封止部の外周縁に沿った方向の長さは、前記幅狭部の前記封止部の外周縁に沿った方向の長さの50%以上であることが好ましい。この構成によれば、平面視で重畳する部分をできる限り大きく確保することにより、封止部の幅狭部をできる限り均一に加圧することができ、環状の封止部による振動部の気密封止を十分に行うことができる。
【0010】
上記構成において、平面視で、前記幅狭部は、その全領域において、前記上面端子の一部分および前記外部電極端子の一部分の少なくとも一方と重畳していることが好ましい。この構成によれば、封止部の幅狭部へ圧力を十分に伝えることができ、幅狭部の加圧されない領域をできる限り少なくすることができる。これにより、幅狭部をできる限り均一に加圧することができ、環状の封止部による振動部の気密封止を十分に行うことができる。
【0011】
上記構成において、前記封止部は、前記パッケージの外周縁に沿って設けられ、かつ長辺部分および短辺部分を有し、前記幅狭部は、前記封止部の前記長辺部分に設けられていることが好ましい。この構成によれば、幅狭部を封止部の長辺部分に設けた場合であっても、平面視で重畳する部分において、幅狭部へ圧力を確実に伝えることができる。これにより、幅狭部をできる限り均一に加圧することができ、環状の封止部による振動部の気密封止を十分に行うことができる。
【0012】
上記構成において、前記第1封止部材と前記圧電振動板とがAu-Au接合によって接合され、前記第2封止部材と前記圧電振動板とがAu-Au接合によって接合され、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止部の厚みが、1μm以下であり、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間のギャップが、1μm以下であって、前記第2封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止部の厚みが、1μm以下であり、前記第2封止部材と前記圧電振動板との間のギャップが、1μm以下であることが好ましい。この構成によれば、圧電振動デバイスの低背化に容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧電振動デバイスによれば、幅狭部が、平面視で、上面端子の一部分および外部電極端子の一部分の少なくとも1つと重畳しているので、加圧拡散接合などによって圧電振動デバイスのパッケージを製造する際、封止部の幅狭部をできる限り均一に加圧することができ、環状の封止部による振動部の気密封止を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態にかかる水晶振動子の各構成を模式的に示した概略構成図である。
図2図2は、水晶振動子の第1封止部材の第1主面側の概略平面図である。
図3図3は、水晶振動子の第1封止部材の第2主面側の概略平面図である。
図4図4は、水晶振動子の水晶振動板の第1主面側の概略平面図である。
図5図5は、水晶振動子の水晶振動板の第2主面側の概略平面図である。
図6図6は、水晶振動子の第2封止部材の第1主面側の概略平面図である。
図7図7は、水晶振動子の第2封止部材の第2主面側の概略平面図である。
図8図8は、水晶振動子の-X方向側の概略側面図である。
図9図9は、水晶振動子の+X方向側の概略側面図である。
図10図10は、第1封止部材と水晶振動板との間のシールパスの幅狭部と、第1、第2端子、金属膜との平面視での位置関係を示す図である。
図11図11は、第1封止部材と水晶振動板との間のシールパスの幅狭部と、外部電極端子との平面視での位置関係を示す図である。
図12図12は、第2封止部材と水晶振動板との間のシールパスの幅狭部と、第1、第2端子、金属膜との平面視での位置関係を示す図である。
図13図13は、第2封止部材と水晶振動板との間のシールパスの幅狭部と、外部電極端子との平面視での位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明を適用する圧電振動デバイスが水晶振動子である場合について説明する。
【0016】
まず、本実施形態にかかる水晶振動子100の基本的な構造を説明する。水晶振動子100は、図1に示すように、水晶振動板(圧電振動板)10、第1封止部材20、および第2封止部材30を備えて構成されている。この水晶振動子100では、水晶振動板10と第1封止部材20とが接合され、水晶振動板10と第2封止部材30とが接合されることによって、略直方体のサンドイッチ構造のパッケージが構成される。すなわち、水晶振動子100においては、水晶振動板10の両主面のそれぞれに第1封止部材20および第2封止部材30が接合されることでパッケージの内部空間(キャビティ)が形成され、この内部空間に振動部11(図4図5参照)が気密封止される。
【0017】
本実施形態にかかる水晶振動子100は、例えば、0.8×0.6mmや、1.0×0.0mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージでは、キャスタレーションを形成せずに、後述する側面配線等を用いて電極の導通を図っている。また、水晶振動子100は、外部に設けられる外部回路基板(図示省略)に半田を介して電気的に接続されるようになっている。
【0018】
次に、上記した水晶振動子100における水晶振動板10、第1封止部材20および第2封止部材30の各部材について、図1図7を用いて説明する。なお、ここでは、接合されていないそれぞれ単体として構成されている各部材について説明を行う。図2図7は、水晶振動板10、第1封止部材20および第2封止部材30のそれぞれの一構成例を示しているに過ぎず、これらは本発明を限定するものではない。
【0019】
水晶振動板10は、図4図5に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(第1主面101,第2主面102)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施形態では、水晶振動板10として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図4図5に示す水晶振動板10では、水晶振動板10の両主面101,102が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板10の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板10の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、および光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸およびZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸およびZ軸からそれぞれ概ね35°15′傾いた(この切断角度はATカット水晶振動板の周波数温度特性を調整する範囲で多少変更してもよい)軸に一致する。Y´軸方向およびZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
【0020】
水晶振動板10の両主面101,102には、一対の励振電極(第1励振電極111,第2励振電極112)が形成されている。水晶振動板10は、略矩形に形成された振動部11と、この振動部11の外周を取り囲む外枠部12と、振動部11と外枠部12とを連結することで振動部11を保持する保持部13とを有している。すなわち、水晶振動板10は、振動部11、外枠部12および保持部13が一体的に設けられた構成となっている。保持部13は、振動部11の+X方向かつ-Z´方向に位置する1つの角部のみから、-Z´方向に向けて外枠部12まで延びている(突出している)。そして、振動部11と外枠部12との間には、水晶振動板10を切り抜いて形成された切り抜き部10aが設けられている。本実施形態では、水晶振動板10には、振動部11と外枠部12とを連結する保持部13が1つのみ設けられており、切り抜き部10aが振動部11の外周囲を囲うように連続して形成されている。
【0021】
第1励振電極111は振動部11の第1主面101側に設けられ、第2励振電極112は振動部11の第2主面102側に設けられている。第1励振電極111,第2励振電極112には、これらの励振電極をパッケージの底面に形成される外部電極端子に接続するための引出配線(第1引出配線113,第2引出配線114)が接続されている。第1引出配線113は、第1励振電極111から引き出され、保持部13を経由して、外枠部12に形成された接続用接合パターン14に繋がっている。第2引出配線114は、第2励振電極112から引き出され、保持部13を経由して、外枠部12に形成された接続用接合パターン15に繋がっている。
【0022】
水晶振動板10の両主面(第1主面101,第2主面102)には、水晶振動板10を第1封止部材20および第2封止部材30に接合するための振動板側封止部がそれぞれ設けられている。第1主面101の振動板側封止部としては振動板側第1接合パターン121が形成されており、第2主面102の振動板側封止部としては振動板側第2接合パターン122が形成されている。振動板側第1接合パターン121および振動板側第2接合パターン122は、外枠部12に設けられており、平面視で環状に形成されている。振動板側第1接合パターン121の外周縁は、水晶振動板10(外枠部12)の第1主面101の外周縁に近接して設けられている。振動板側第2接合パターン122の外周縁は、水晶振動板10(外枠部12)の第2主面102の外周縁に近接して設けられている。
【0023】
水晶振動板10の第1主面101には、振動板側第1接合パターン121の外周側に、積層間配線用接合パターン181,182が形成されている。積層間配線用接合パターン181,182は、振動板側第1接合パターン121に接続されておらず、振動板側第1接合パターン121とは所定の間隔を隔てて設けられている。積層間配線用接合パターン181,182は、水晶振動板10の長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。積層間配線用接合パターン181は、水晶振動板10の第1主面101の-X方向側かつ+Z´方向側の部分に設けられており、後述する第1側面配線171に接続されている。積層間配線用接合パターン182は、水晶振動板10の第1主面101の+X方向側かつ-Z´方向側の部分に設けられており、後述する第2側面配線172に接続されている。
【0024】
本実施形態では、振動板側第1接合パターン121の平面視で積層間配線用接合パターン181,182に沿った部分(対向する部分)には、積層間配線用接合パターン181,182に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部121a,121bが設けられている。幅狭部121a,121bは、振動板側第1接合パターン121の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該振動板側第1接合パターン121を凹ませた凹部に、積層間配線用接合パターン181,182が配置されている。
【0025】
また、水晶振動板10の第2主面102には、振動板側第2接合パターン122の外周側に、積層間配線用接合パターン183,184が形成されている。積層間配線用接合パターン183,184は、振動板側第2接合パターン122に接続されておらず、振動板側第2接合パターン122とは所定の間隔を隔てて設けられている。積層間配線用接合パターン183,184は、水晶振動板10の長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。積層間配線用接合パターン183は、水晶振動板10の第2主面102の-X方向側かつ+Z´方向側の部分に設けられており、後述する第1側面配線171に接続されている。積層間配線用接合パターン184は、水晶振動板10の第2主面102の+X方向側かつ-Z´方向側の部分に設けられており、後述する第2側面配線172に接続されている。
【0026】
本実施形態では、振動板側第2接合パターン122の平面視で積層間配線用接合パターン183,184に沿った部分(対向する部分)には、積層間配線用接合パターン183,184に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部122a,122bが設けられている。幅狭部122a,122bは、振動板側第2接合パターン122の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該振動板側第2接合パターン122を凹ませた凹部に、積層間配線用接合パターン183,184が配置されている。
【0027】
水晶振動板10には、図4図5に示すように、第1主面101と第2主面102との間を貫通する1つのスルーホールが形成されている。具体的には、第1スルーホール162は、外枠部12であって、振動板側第1接合パターン121および振動板側第2接合パターン122の内周側に設けられている。また、第1スルーホール162は、振動部11のZ´軸方向の一方側(図4図5では、-Z´方向側)に設けられている。第1スルーホール162の周囲には、第1主面101側では接続用接合パターン124が、第2主面102側では接続用接合パターン15が形成されている。
【0028】
第1スルーホール162には、第1主面101と第2主面102とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、第1スルーホール162の内壁面に沿って形成されている。また、第1スルーホール162の中央部分は、第1主面101と第2主面102との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。なお、第1主面101および第2主面102の電極間の導通を、スルーホールの貫通電極以外の手段(例えば外枠部12の内壁面等に形成された配線)によって行ってもよい。
【0029】
水晶振動板10の側面には、図4図5に示すように、2つの側面配線が形成されている。具体的には、水晶振動板10の-X方向側の側面103に、第1側面配線171が形成されている。水晶振動板10の+X方向側の側面104に、第2側面配線172が形成されている。
【0030】
第1側面配線171は、水晶振動板10の-X方向側の側面103の+Z´方向側の部分に形成されている。第1側面配線171は、水晶振動板10の第1主面101に設けられた積層間配線用接合パターン181に接続されている。第1側面配線171は、水晶振動板10の第2主面202に設けられた積層間配線用接合パターン183に接続されている。
【0031】
第2側面配線172は、水晶振動板10の+X方向側の側面104の-Z´方向側の部分に形成されている。第2側面配線172は、水晶振動板10の第1主面101に設けられた積層間配線用接合パターン182に接続されている。第2側面配線172は、水晶振動板10の第2主面202に設けられた積層間配線用接合パターン184に接続されている。
【0032】
また、水晶振動板10の外枠部12の内壁面には、図4図5に示すように、2つの内部配線が形成されている。具体的には、水晶振動板10の外枠部12の-X方向側の内壁面105に、第1内部配線173が形成されている。水晶振動板10の外枠部12の+X方向側の内壁面106に、第2内部配線174が形成されている。
【0033】
第1内部配線173は、外枠部12の-X方向側の内壁面105の中央部に所定の幅で設けられている。第1内部配線173は、水晶振動板10の第1主面101に設けられた振動板側第1接合パターン121に接続されている。第1内部配線173は、水晶振動板10の第2主面102に設けられた振動板側第2接合パターン122に接続されている。
【0034】
第2内部配線174は、外枠部12の+X方向側の内壁面106の中央部に所定の幅で設けられている。第2内部配線174は、水晶振動板10の第1主面101に設けられた振動板側第1接合パターン121に接続されている。第2内部配線174は、水晶振動板10の第2主面102に設けられた振動板側第2接合パターン122に接続されている。第1内部配線173および第2内部配線174は、振動部11を挟んで互いに対向するように配置されている。
【0035】
第1封止部材20は、図2図3に示すように、1枚のATカット水晶板から形成された直方体の基板であり、この第1封止部材20の第2主面202(水晶振動板10に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。なお、第1封止部材20は振動部を有するものではないが、水晶振動板10と同様にATカット水晶板を用いることで、水晶振動板10と第1封止部材20の熱膨張率を同じにすることができ、水晶振動子100における熱変形を抑制することができる。また、第1封止部材20におけるX軸、Y軸およびZ´軸の向きも水晶振動板10と同じとされている。
【0036】
第1封止部材20の第1主面201(水晶振動板10に面しない外方の主面)には、図2に示すように、パッケージの上面に形成される上面端子としての配線用の第1、第2端子22,23およびシールド用(アース接続用)の金属膜28が形成されている。配線用の第1、第2端子22,23は、水晶振動板10の第1、第2励振電極111,112と、第2封止部材30の外部電極端子32とを電気的に接続するための配線として設けられている。第1、第2端子22,23は、Z´軸方向の両端部に設けられており、第1端子22が、+Z´方向側に設けられ、第2端子23が、-Z´方向側に設けられている。第1、第2端子22,23は、X軸方向に延びるように形成されている。第1端子22および第2端子23は、略矩形状に形成されている。第1端子22は、第1主面201の-X方向側の端部まで延びており、後述する第3側面配線271に接続されている。第2端子23は、第1主面201の+X方向側の端部まで延びており、後述する第4側面配線272に接続されている。
【0037】
金属膜28は、第1、第2端子22,23の間に設けられており、第1、第2端子22,23とは所定の間隔を隔てて配置されている。金属膜28は、第1封止部材20の第1主面201の第1、第2端子22,23が形成されていない領域のうち、ほとんど全ての領域に設けられている。金属膜28は、第1封止部材20の第1主面201の+X方向の端部から-X方向の端部にわたって設けられている。金属膜28は、第1主面201の-X方向の端部まで延びており、後述する第5側面配線273に接続されている。また、金属膜28は、第1主面201の+X方向の端部まで延びており、後述する第6側面配線274に接続されている。
【0038】
第1封止部材20には、図2図3に示すように、第1主面201と第2主面202との間を貫通する2つのスルーホールが形成されている。具体的には、第2,第3スルーホール212,213が、図2図3の+Z´方向および-Z´方向にそれぞれ設けられている。
【0039】
第2,第3スルーホール212,213には、第1主面201と第2主面202とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が、第2,第3スルーホール212,213それぞれの内壁面に沿って形成されている。また、第2,第3スルーホール212,213それぞれの中央部分は、第1主面201と第2主面202との間を貫通した中空状態の貫通部分となる。そして、第2スルーホール212の貫通電極が、第1端子22に電気的に接続されている。第3スルーホール213の貫通電極が、第2端子23に電気的に接続されている。
【0040】
第1封止部材20の第2主面202には、水晶振動板10に接合するための封止部材側第1封止部としての封止部材側第1接合パターン24が形成されている。封止部材側第1接合パターン24は、平面視で環状に形成されている。封止部材側第1接合パターン24の外周縁は、第1封止部材20の第2主面202の外周縁に近接して設けられている。また、第1封止部材20の第2主面202では、第2スルーホール212の周囲には接続用接合パターン261が形成されており、第3スルーホール213の周囲には接続用接合パターン262が形成されている。さらに、接続用接合パターン261に対して第1封止部材20の長軸方向の反対側(-Z´方向側)には接続用接合パターン263が形成されており、接続用接合パターン261と接続用接合パターン263とは配線パターン27によって接続されている。
【0041】
また、第1封止部材20の第2主面202には、封止部材側第1接合パターン24の外周側に、積層間配線用接合パターン281,282が形成されている。積層間配線用接合パターン281,282は、封止部材側第1接合パターン24に接続されておらず、封止部材側第1接合パターン24とは所定の間隔を隔てて設けられている。積層間配線用接合パターン281,282は、第1封止部材20の長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。積層間配線用接合パターン281は、第1封止部材20の第2主面202の-X方向側かつ+Z´方向側の部分に設けられており、後述する第3側面配線271に接続されている。積層間配線用接合パターン282は、第1封止部材20の第2主面202の+X方向側かつ-Z´方向側の部分に設けられており、後述する第4側面配線272に接続されている。
【0042】
本実施形態では、封止部材側第1接合パターン24の平面視で積層間配線用接合パターン281,282に沿った部分(対向する部分)には、積層間配線用接合パターン281,282に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部24a,24bが設けられている。幅狭部24a,24bは、封止部材側第1接合パターン24の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該封止部材側第1接合パターン24を凹ませた凹部に、積層間配線用接合パターン281,282が配置されている。
【0043】
第1封止部材20の側面には、図2図3に示すように、4つの側面配線が形成されている。具体的には、第1封止部材20の-X方向側の側面203に、第3側面配線271および第5側面配線273が形成されている。第1封止部材20の+X方向側の側面204に、第4側面配線272および第6側面配線274が形成されている。
【0044】
第3側面配線271は、第1封止部材20の-X方向側の側面203の+Z´方向側の部分に形成されている。第3側面配線271は、第1封止部材20の第1主面201に設けられた第1端子22に接続されている。第3側面配線271は、第1封止部材20の第2主面202に設けられた積層間配線用接合パターン281に接続されている。
【0045】
第4側面配線272は、第1封止部材20の+X方向側の側面204の-Z´方向側の部分に形成されている。第4側面配線272は、第1封止部材20の第1主面201に設けられた第2端子23に接続されている。第4側面配線272は、第1封止部材20の第2主面202に設けられた積層間配線用接合パターン282に接続されている。
【0046】
第5側面配線273は、第1封止部材20の-X方向側の側面203の-Z´方向側の部分に形成されている。第5側面配線273は、第1封止部材20の第1主面201に設けられた金属膜28に接続されている。第5側面配線273は、第1封止部材20の第2主面202に設けられた封止部材側第1接合パターン24に接続されている。
【0047】
第6側面配線274は、第1封止部材20の+X方向側の側面204の+Z´方向側の部分に形成されている。第6側面配線274は、第1封止部材20の第1主面201に設けられた金属膜28に接続されている。第6側面配線274は、第1封止部材20の第2主面202に設けられた封止部材側第1接合パターン24に接続されている。
【0048】
第2封止部材30は、図6図7に示すように、1枚のATカット水晶板から形成された直方体の基板であり、この第2封止部材30の第1主面301(水晶振動板10に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。なお、第2封止部材30においても、水晶振動板10と同様にATカット水晶板を用い、X軸、Y軸およびZ´軸の向きも水晶振動板10と同じとすることが望ましい。
【0049】
この第2封止部材30の第1主面301には、水晶振動板10に接合するための封止部材側第2封止部としての封止部材側第2接合パターン31が形成されている。封止部材側第2接合パターン31は、平面視で環状に形成されている。封止部材側第2接合パターン31の外周縁は、第2封止部材30の第1主面301の外周縁に近接して設けられている。
【0050】
また、第2封止部材30の第1主面301には、封止部材側第2接合パターン31の外周側に、積層間配線用接合パターン381,382が形成されている。積層間配線用接合パターン381,382は、封止部材側第2接合パターン31に接続されておらず、封止部材側第2接合パターン31とは所定の間隔を隔てて設けられている。積層間配線用接合パターン381,382は、第2封止部材30の長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。積層間配線用接合パターン381は、第2封止部材30の第1主面301の-X方向側かつ+Z´方向側の部分に設けられており、後述する第7側面配線371に接続されている。積層間配線用接合パターン382は、第2封止部材30の第1主面301の+X方向側かつ-Z´方向側の部分に設けられており、後述する第8側面配線372に接続されている。
【0051】
本実施形態では、封止部材側第2接合パターン31の平面視で積層間配線用接合パターン381,382に沿った部分(対向する部分)には、積層間配線用接合パターン381,382に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部31a,31bが設けられている。幅狭部31a,31bは、封止部材側第2接合パターン31の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該封止部材側第2接合パターン31を凹ませた凹部に、積層間配線用接合パターン381,382が配置されている。
【0052】
第2封止部材30の第2主面302(水晶振動板10に面しない外方の主面)には、水晶振動子100の外部に設けられる外部回路基板に電気的に接続する4つの外部電極端子32が設けられている。外部電極端子32は、第2封止部材30の第2主面302の4隅(隅部)にそれぞれ位置する。外部電極端子32は、平面視で、水晶振動子100のパッケージの内部空間に沿ってそれぞれ設けられており、略L字状に形成されている。外部電極端子32は、平面視で、上述した水晶振動板10の外枠部12と重複する位置に設けられている。
【0053】
第2封止部材30の側面には、図6図7に示すように、4つの側面配線が形成されている。具体的には、第2封止部材30の-X方向側の側面303に、第7側面配線371および第9側面配線373が形成されている。第2封止部材30の+X方向側の側面304に、第8側面配線372および第10側面配線374が形成されている。
【0054】
第7側面配線371は、第2封止部材30の-X方向側の側面303の+Z´方向側の部分に形成されている。第7側面配線371は、第2封止部材30の第1主面301に設けられた積層間配線用接合パターン381に接続されている。第7側面配線371は、第2封止部材30の第2主面302に設けられた外部電極端子32に接続されている。
【0055】
第8側面配線372は、第2封止部材30の+X方向側の側面304の-Z´方向側の部分に形成されている。第8側面配線372は、第2封止部材30の第1主面301に設けられた積層間配線用接合パターン382に接続されている。第8側面配線372は、第2封止部材30の第2主面302に設けられた外部電極端子32に接続されている。
【0056】
第9側面配線373は、第2封止部材30の-X方向側の側面303の-Z´方向側の部分に形成されている。第9側面配線373は、第2封止部材30の第1主面301に設けられた封止部材側第2接合パターン31に接続されている。第9側面配線373は、第2封止部材30の第2主面302に設けられた外部電極端子32に接続されている。
【0057】
第10側面配線374は、第2封止部材30の+X方向側の側面304の+Z´方向側の部分に形成されている。第10側面配線374は、第2封止部材30の第1主面301に設けられた封止部材側第2接合パターン31に接続されている。第10側面配線374は、第2封止部材30の第2主面302に設けられた外部電極端子32に接続されている。
【0058】
上記構成の水晶振動板10、第1封止部材20、および第2封止部材30を含む水晶振動子100では、水晶振動板10と第1封止部材20とが振動板側第1接合パターン121および封止部材側第1接合パターン24を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板10と第2封止部材30とが振動板側第2接合パターン122および封止部材側第2接合パターン31を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図1図8図9に示すサンドイッチ構造のパッケージが製造される。この際、パッケージを加圧することによって拡散接合が行われる(加圧拡散接合)。これにより、パッケージの内部空間、つまり、振動部11の収容空間が気密封止される。
【0059】
水晶振動子100において、水晶振動板10の振動部11を気密封止する封止部(シールパス)115,116は、平面視で、環状に形成されている。シールパス115は、上述した振動板側第1接合パターン121および封止部材側第1接合パターン24の拡散接合(Au-Au接合)によって形成され、シールパス115の内縁形状が略八角形に形成されている。シールパス115の外縁形状は略矩形に形成され、シールパス115の外周縁がパッケージの外周縁に近接して配置される。この際、振動板側第1接合パターン121の幅狭部121a,122bおよび封止部材側第1接合パターン24の幅狭部24a,24bの拡散接合(Au-Au接合)によって、シールパス115の幅狭部115a,115bが形成される。
【0060】
同様に、シールパス116は、上述した振動板側第2接合パターン122および封止部材側第2接合パターン31の拡散接合(Au-Au接合)によって形成され、シールパス116の内縁形状が略八角形に形成されている。シールパス116の外縁形状は略矩形に形成され、シールパス116の外周縁がパッケージの外周縁に近接して配置される。この際、振動板側第2接合パターン122の幅狭部122a,122bおよび封止部材側第2接合パターン31の幅狭部31a,31bの拡散接合(Au-Au接合)によって、シールパス116の幅狭部116a,116bが形成される。
【0061】
このように拡散接合によってシールパス115,116が形成された水晶振動子100において、第1封止部材20と水晶振動板10とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材30と水晶振動板10とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材20と水晶振動板10との間のシールパス115の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材30と水晶振動板10との間のシールパス116の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施形態のAu-Au接合では0.15μm~1.00μm)である。なお、比較例として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm~20μmとなる。
【0062】
また、上述した接続用接合パターン同士、および積層間配線用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。そして、接続用接合パターン同士、および積層間配線用接合パターン同士の接合により、水晶振動子100では、第1励振電極111、第2励振電極112と、外部電極端子32との間の電気的導通が得られるようになっている。具体的には、第1励振電極111は、第1引出配線113、配線パターン27、第2スルーホール212、第1端子22、第3側面配線271、第1積層間配線117、第1側面配線171、第2積層間配線118、および第7側面配線371を順に経由して、外部電極端子32に接続される。第1積層間配線117は、第1封止部材20と水晶振動板10との積層間に配置される配線である。この第1積層間配線117は、第1封止部材20の第2主面202に形成された積層間配線用接合パターン281と、水晶振動板10の第1主面101に形成された積層間配線用接合パターン181との拡散接合によって形成される。図8に示すように、第1積層間配線117の+Z´方向側の端部に、第3側面配線271が接続され、第1積層間配線117の-Z´方向側の端部に、第1側面配線171が接続されている。第2積層間配線118は、水晶振動板10と第2封止部材30との積層間に配置される配線である。この第2積層間配線118は、水晶振動板10の第2主面102に形成された積層間配線用接合パターン183と、第2封止部材30の第1主面301に形成された積層間配線用接合パターン381との拡散接合によって形成される。図8に示すように、第2積層間配線118の-Z´方向側の端部に、第1側面配線171が接続され、第2積層間配線118の+Z´方向側の端部に、第7側面配線371が接続されている。
【0063】
また、第2励振電極112は、第2引出配線114、第1スルーホール162、第3スルーホール213、第2端子23、第4側面配線272、第3積層間配線119、第2側面配線172、第4積層間配線120、および第8側面配線372を順に経由して、外部電極端子32に接続される。第3積層間配線119は、第1封止部材20と水晶振動板10との積層間に配置される配線である。この第3積層間配線119は、第1封止部材20の第2主面202に形成された積層間配線用接合パターン282と、水晶振動板10の第1主面101に形成された積層間配線用接合パターン182との拡散接合によって形成される。図9に示すように、第3積層間配線119の-Z´方向側の端部に、第4側面配線272が接続され、第3積層間配線119の+Z´方向側の端部に、第2側面配線172が接続されている。第4積層間配線120は、水晶振動板10と第2封止部材30との積層間に配置される配線である。この第4積層間配線120は、水晶振動板10の第2主面102に形成された積層間配線用接合パターン184と、第2封止部材30の第1主面301に形成された積層間配線用接合パターン382との拡散接合によって形成される。図9に示すように、第4積層間配線120の+Z´方向側の端部に、第2側面配線172が接続され、第4積層間配線120の-Z´方向側の端部に、第8側面配線372が接続されている。
【0064】
さらに、金属膜28は、第5側面配線273、シールパス115、第1内部配線173、シールパス116、第9側面配線373を順に経由して、アース接続(グランド接続、外部電極端子32の一部を利用)されている。同様に、金属膜28は、第6側面配線274、シールパス115、第2内部配線174、シールパス116、第10側面配線374を順に経由して、アース接続(グランド接続、外部電極端子32の一部を利用)されている。
【0065】
本実施形態では、第1、第2励振電極111,112と、外部電極端子32,32との間の電気的な導通経路は、環状のシールパス115,116には電気的に接続されないようになっている。
【0066】
具体的には、平面視で、環状のシールパス115,116の内方において、第1励振電極111が、第2スルーホール212の貫通電極を介して、第1封止部材20の第1主面201の第1端子22に電気的に接続されている。第1端子22は、平面視で、環状のシールパス115,116の内方と外方に跨って配置されている。そして、平面視で、環状のシールパス115,116の外方において、第1端子22が、水晶振動子100のパッケージ側面に形成された側面配線271,171,371を経由して、第2封止部材30の第2主面302の外部電極端子32に電気的に接続されている。このような第1励振電極111と、外部電極端子32との間の電気的な導通経路は、環状のシールパス115,116には電気的に接続されていない。
【0067】
同様に、平面視で、環状のシールパス115,116の内方において、第2励振電極112が、第1スルーホール162の貫通電極および第3スルーホール213の貫通電極を介して、第1封止部材20の第1主面201の第2端子23に電気的に接続されている。第2端子23は、平面視で、環状のシールパス115,116の内方と外方に跨って配置されている。そして、平面視で、環状のシールパス115,116の外方において、第2端子23が、水晶振動子100のパッケージ側面に形成された側面配線272,172,372を経由して、第2封止部材30の第2主面302の外部電極端子32に電気的に接続されている。このような第2励振電極112と、外部電極端子32との間の電気的な導通経路は、環状のシールパス115,116には電気的に接続されていない。
【0068】
水晶振動子100において、上述した各種接合パターンは、複数の層が水晶板上に積層されてなり、その最下層側からTi(チタン)層とAu(金)層とが蒸着またはスパッタリングにより形成されているものとすることが好ましい。また、水晶振動子100に形成される他の配線や電極も、接合パターンと同一の構成とすれば、接合パターンや配線および電極を同時にパターニングでき、好ましい。
【0069】
本実施形態では、図10図11に示すように、第1積層間配線117は、シールパス115の外周側に形成されている。第1積層間配線117は、シールパス115に接続されておらず、シールパス115とは所定の間隔を隔てて設けられている。第1積層間配線117は、パッケージの長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。第1積層間配線117は、平面視でパッケージの-X方向側かつ+Z´方向側の部分に設けられている。シールパス115の平面視で第1積層間配線117に沿った部分(対向する部分)には、第1積層間配線117に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部115aが設けられている。幅狭部115aは、シールパス115の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該シールパス115を凹ませた凹部に、第1積層間配線117が配置されている。
【0070】
また、図10図11に示すように、第3積層間配線119は、シールパス115の外周側に形成されている。第3積層間配線119は、シールパス115に接続されておらず、シールパス115とは所定の間隔を隔てて設けられている。第3積層間配線119は、パッケージの長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。第3積層間配線119は、平面視でパッケージの+X方向側かつ-Z´方向側の部分に設けられている。シールパス115の平面視で第3積層間配線119に沿った部分(対向する部分)には、第3積層間配線119に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部115bが設けられている。幅狭部115bは、シールパス115の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該シールパス115を凹ませた凹部に、第3積層間配線119が配置されている。
【0071】
同様に、図12図13に示すように、第2積層間配線118は、シールパス116の外周側に形成されている。第2積層間配線118は、シールパス116に接続されておらず、シールパス116とは所定の間隔を隔てて設けられている。第2積層間配線118は、パッケージの長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。第2積層間配線118は、平面視でパッケージの-X方向側かつ+Z´方向側の部分に設けられている。シールパス116の平面視で第2積層間配線118に沿った部分(対向する部分)には、第2積層間配線118に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部116aが設けられている。幅狭部116aは、シールパス116の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該シールパス116を凹ませた凹部に、第2積層間配線118が配置されている。
【0072】
また、図12図13に示すように、第4積層間配線120は、シールパス116の外周側に形成されている。第4積層間配線120は、シールパス116に接続されておらず、シールパス116とは所定の間隔を隔てて設けられている。第4積層間配線120は、パッケージの長辺部分(ここではZ´軸方向に沿った部分)に設けられている。第4積層間配線120は、平面視でパッケージの+X方向側かつ-Z´方向側の部分に設けられている。シールパス116の平面視で第4積層間配線120に沿った部分(対向する部分)には、第4積層間配線120に沿っていない部分よりも幅(ここではX軸方向の幅)が狭い幅狭部116bが設けられている。幅狭部116bは、シールパス116の外周縁を内方へ凹ませることによって形成され、当該シールパス116を凹ませた凹部に、第4積層間配線120が配置されている。
【0073】
本実施形態では、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bが、平面視で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分の少なくとも1つと重畳している。平面視で重畳する部分のシールパス115,116の外周縁に沿った方向(ここではZ´軸方向)の長さが、幅狭部115a,115b,116a,116bのシールパス115,116の外周縁に沿った方向の長さの50%以上になっている。この場合、平面視で、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bが、その全領域において、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分のいずれかと重畳している。これらの点について、図10図13を用いて説明する。
【0074】
図10は、シールパス115の幅狭部115a,115b(実線で示す)と、第1、第2端子22,23(1点鎖線で示す)との平面視での位置関係を示す。図11は、シールパス115の幅狭部115a,115b(実線で示す)と、外部電極端子32,32(2点鎖線で示す)との平面視での位置関係を示す。図12は、シールパス116の幅狭部116a,116b(実線で示す)と、第1、第2端子22,23(1点鎖線で示す)との平面視での位置関係を示す。図13は、シールパス116の幅狭部116a,116b(実線で示す)と、外部電極端子32,32(2点鎖線で示す)との平面視での位置関係を示す。
【0075】
具体的には、図10に示すように、第1封止部材20と水晶振動板10との間のシールパス115の幅狭部115aが、平面視で、第1端子22の一部分と重畳している。図11に示すように、幅狭部115aが、平面視で、外部電極端子32の一部分と重畳している。平面視で重畳する部分のシールパス115の外周縁に沿った方向(ここではZ´軸方向)の長さが、幅狭部115aのシールパス115の外周縁に沿った方向の長さの50%以上になっている。この場合、平面視で、シールパス115の幅狭部115aが、その全領域において、第1端子22の一部分、および外部電極端子32の一部分のいずれかと重畳している。つまり、平面視で、幅狭部115aが第1端子22の一部分と重畳していない部分では、幅狭部115aが外部電極端子32の一部分と重畳しており、また、平面視で、幅狭部115aが外部電極端子32の一部分と重畳していない部分では、幅狭部115aが第1端子22の一部分と重畳している。また、平面視で、幅狭部115aが、第1端子22の一部分、および外部電極端子32の一部分の両方と重畳する部分もある。なお、幅狭部115aは、平面視で、金属膜28の一部分とも重畳している。
【0076】
また、図10に示すように、第1封止部材20と水晶振動板10との間のシールパス115の幅狭部115bが、平面視で、第2端子23の一部分と重畳している。図11に示すように、幅狭部115bが、平面視で、外部電極端子32の一部分と重畳している。平面視で重畳する部分のシールパス115の外周縁に沿った方向(ここではZ´軸方向)の長さが、幅狭部115bのシールパス115の外周縁に沿った方向の長さの50%以上になっている。この場合、平面視で、シールパス115の幅狭部115bが、その全領域において、第2端子23の一部分、および外部電極端子32の一部分のいずれかと重畳している。つまり、平面視で、幅狭部115bが第2端子23の一部分と重畳していない部分では、幅狭部115bが外部電極端子32の一部分と重畳しており、また、平面視で、幅狭部115bが外部電極端子32の一部分と重畳していない部分では、幅狭部115bが第2端子23の一部分と重畳している。また、平面視で、幅狭部115bが、第2端子23の一部分、および外部電極端子32の一部分の両方と重畳する部分もある。なお、幅狭部115bは、平面視で、金属膜28の一部分とも重畳している。
【0077】
図12に示すように、第2封止部材30と水晶振動板10との間のシールパス116の幅狭部116aが、平面視で、第1端子22の一部分と重畳している。図13に示すように、幅狭部116aが、平面視で、外部電極端子32の一部分と重畳している。平面視で重畳する部分のシールパス116の外周縁に沿った方向(ここではZ´軸方向)の長さが、幅狭部116aのシールパス116の外周縁に沿った方向の長さの50%以上になっている。この場合、平面視で、シールパス116の幅狭部116aが、その全領域において、第1端子22の一部分、および外部電極端子32の一部分のいずれかと重畳している。つまり、平面視で、幅狭部116aが第1端子22の一部分と重畳していない部分では、幅狭部116aが外部電極端子32の一部分と重畳しており、また、平面視で、幅狭部116aが外部電極端子32の一部分と重畳していない部分では、幅狭部116aが第1端子22の一部分と重畳している。また、平面視で、幅狭部116aが、第1端子22の一部分、および外部電極端子32の一部分の両方と重畳する部分もある。なお、幅狭部116aは、平面視で、金属膜28の一部分とも重畳している。
【0078】
また、図12に示すように、第2封止部材30と水晶振動板10との間のシールパス116の幅狭部116bが、平面視で、第2端子23の一部分と重畳している。図13に示すように、幅狭部116bが、平面視で、外部電極端子32の一部分と重畳している。平面視で重畳する部分のシールパス116の外周縁に沿った方向(ここではZ´軸方向)の長さが、幅狭部116bのシールパス116の外周縁に沿った方向の長さの50%以上になっている。この場合、平面視で、シールパス116の幅狭部116bが、その全領域において、第2端子23の一部分、および外部電極端子32の一部分のいずれかと重畳している。つまり、平面視で、幅狭部116bが第2端子23の一部分と重畳していない部分では、幅狭部116bが外部電極端子32の一部分と重畳しており、また、平面視で、幅狭部116bが外部電極端子32の一部分と重畳していない部分では、幅狭部116bが第2端子23の一部分と重畳している。また、平面視で、幅狭部116bが、第2端子23の一部分、および外部電極端子32の一部分の両方と重畳する部分もある。なお、幅狭部116bは、平面視で、金属膜28の一部分とも重畳している。
【0079】
本実施形態によれば、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bが、平面視で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分と重畳するので、加圧拡散接合によって水晶振動子100のパッケージを製造する際、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bをできる限り均一に加圧することができ、環状のシールパス115,116による振動部11の気密封止を十分に行うことができる。
【0080】
ここで、従来では、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bは、それ以外の部分に比べてシールパス115,116の幅が狭くなっているため、パッケージを上下方向の一方側から加圧した場合、幅狭部115a,115b,116a,116bへ圧力が伝わりにくかったり、幅狭部115a,115b,116a,116bの加圧が不均一になるという問題があり、振動部11の気密不良が懸念されていた。特に、シールパス115,116の外周側に、上述した第1~第4積層間配線117~120のような引き回し配線が配置される構成の場合、そのような問題が顕著であった。
【0081】
しかし、本実施形態では、上述したように、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bが、平面視で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分と重畳するので、平面視で重畳する部分において、幅狭部115a,115b,116a,116bへ圧力を十分に伝えることができ、幅狭部115a,115b,116a,116bをできる限り均一に加圧することができる。これにより、幅狭部115a,115b,116a,116bにおける拡散接合(Au-Au接合)を確実に行うことができ、環状のシールパス115,116による振動部11の気密封止を十分に行うことができる。また、幅狭部115a,115b,116a,116bへ上下方向の両側から効果的に圧力を伝えることができ、幅狭部115a,115b,116a,116bの加圧を効果的に行うことができる。
【0082】
この場合、平面視で重畳する部分のシールパス115,116の外周縁に沿った方向(ここではZ´軸方向)の長さが、幅狭部115a,115b,116a,116bのシールパス115,116の外周縁に沿った方向の長さの50%以上であるので、平面視で重畳する部分をできる限り大きく確保することによって、幅狭部115a,115b,116a,116bをできる限り均一に加圧することができ、環状のシールパス115,116による振動部11の気密封止を十分に行うことができる。
【0083】
さらに、平面視で、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bが、その全領域において、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分のいずれかと重畳しているので、幅狭部115a,115b,116a,116bへ圧力を十分に伝えることができ、幅狭部115a,115b,116a,116bの加圧されない領域をできる限り少なくすることができる。これにより、幅狭部115a,115b,116a,116bをできる限り均一に加圧することができ、環状のシールパス115,116による振動部11の気密封止を十分に行うことができる。
【0084】
本実施形態では、シールパス115,116は、水晶振動子100のパッケージの外周縁に沿って設けられ、幅狭部115a,115b,116a,116bは、シールパス115,116の長辺部分に設けられている。ここで、パッケージを上下方向の一方側から加圧した場合、各部材が長辺方向に撓み、反りが発生しやすくなっている。この反りの影響によって、各部材の長辺方向の両端部では、シールパス115,116の加圧が不十分になる可能性がある。
【0085】
しかし、本実施形態では、上述したように、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bが、平面視で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分と重畳するので、幅狭部115a,115b,116a,116bを、シールパス115,116の長辺部分に設けた場合であっても、平面視で重畳する部分において、幅狭部115a,115b,116a,116bへ圧力を確実に伝えることができる。これにより、幅狭部115a,115b,116a,116bをできる限り均一に加圧することができ、環状のシールパス115,116による振動部11の気密封止を十分に行うことができる。
【0086】
また、第1封止部材20と水晶振動板10とがAu-Au接合によって接合され、第2封止部材30と水晶振動板10とがAu-Au接合によって接合され、第1封止部材20と水晶振動板10との間のギャップ、および第2封止部材30と水晶振動板10との間のギャップが、1μm以下になっているので、水晶振動子100の低背化に容易に対応することができる。
【0087】
本実施形態では、第1励振電極111が、第1封止部材20に設けられた第2スルーホール212の貫通電極を介して、第1封止部材20の内部空間に面していない側の第1主面201に形成された第1端子22に電気的に接続されている。第2励振電極112が、水晶振動板10に設けられた第1スルーホール162の貫通電極、および第1封止部材20に設けられた第3スルーホール213の貫通電極を介して、第1封止部材20の形成された第2端子23に電気的に接続されている。第1端子22は、水晶振動子100のパッケージ側面に形成された側面配線271,171,371を経由して、第2封止部材30の内部空間に面していない側の第2主面302に形成された外部電極端子(第1外部電極端子)32に電気的に接続されている。第2端子23は、水晶振動子100のパッケージ側面に形成された側面配線272,172,372を経由して、第2封止部材30の第2主面302に形成された外部電極端子(第2外部電極端子)32に電気的に接続されている。
【0088】
本実施形態によれば、第1封止部材20の内部空間に面していない側の第1主面201に形成された第1、第2端子22,23を経由して、第1、第2励振電極111,112と、外部電極端子32,32とが電気的に接続されるので、第1、第2励振電極111,112から外部電極端子32,32までの電気的な導通経路を長くすることができ、第1、第2励振電極111,112の半田による浸食を抑制することができる。また、側面配線271,171,371および側面配線272,172,372の半田浸食による導通抵抗の増加や、断線等の発生を抑制することできる。さらに、第1、第2端子22,23と、外部電極端子32,32とが、スルーホールを用いずに電気的に接続されるため、水晶振動板10、第1、第2封止部材20,30それぞれの外周縁部にスルーホールを形成する必要がなくなり、水晶振動子100の小型化に容易に対応できる。
【0089】
この場合、側面配線271,171,371および側面配線272,172,372は、パッケージ側面に凹部(キャスタレーション)を形成することなく形成されている。これにより、水晶振動板10、第1、第2封止部材20,30それぞれの側面に凹部を形成する必要がなくなり、水晶振動子100の小型化に容易に対応できる。
【0090】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0091】
上述した幅狭部115a,115b,116a,116bの形状や位置は一例であって、例えばシールパス115,116の短辺部分に幅狭部を設けてもよい。
【0092】
上記実施形態では、幅狭部115a,116aが、平面視で、第1端子22および金属膜28に重畳したが、第1端子22および金属膜28の一方のみに幅狭部115a,116aが重畳していてもよい。また、幅狭部115b,116bが、平面視で、第2端子23および金属膜28に重畳したが、第2端子23および金属膜28の一方のみに幅狭部115b,116bが重畳していてもよい。
【0093】
上記実施形態では、幅狭部115a,115b,116a,116bの内端部側から外端部側にわたって、平面視で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分と重畳したが、幅狭部115a,115b,116a,116bは、内端部側の部分および外端部側の部分の少なくとも一方で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分と重畳していればよい。この場合、幅狭部115a,115b,116a,116bの内端部側の部分は、圧力が伝わりにくいため、安定した気密封止を確保する上では、幅狭部115a,115b,116a,116bの少なくとも内端部側の部分が、平面視で、第1、第2端子22,23の一部分、および外部電極端子32,32の一部分と重畳することが好ましい。
【0094】
上記実施形態では、シールパス115,116の外周側に、第1~第4積層間配線117~120が配置されたが、積層間配線はシールパス115,116の周囲に当該シールパス115,116とは所定の間隔を隔てて設けられていればよく、例えば、シールパス115,116の内周側に積層間配線を配置してもよい。なお、パッケージの中央に近いほどたわみの影響を受けにくく、拡散接合が安定しやすいため、上記実施形態のように、シールパス115,116の外周側に、第1~第4積層間配線117~120を配置することにより、シールパス115,116の幅狭部115a,115b,116a,116bをより内周側に配置することが好ましい。
【0095】
上記実施形態では、水晶振動板10に、振動部11と外枠部12とを連結する保持部(連結部)13が1つのみ設けられたが、保持部13が2つ以上設けられていてもよい。
【0096】
上記実施形態では、第2封止部材30の第2主面302の外部電極端子32の数を4つとしたが、これに限定されるものではなく、外部電極端子32の数を、例えば、2つ、6つ、あるいは8つ等としてもよい。また、本発明を水晶振動子100に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば水晶発振器等にも本発明を適用してもよい。
【0097】
上記実施形態では、第1封止部材20および第2封止部材30を水晶板によって形成したが、これに限定されるものではなく、第1封止部材20および第2封止部材30を、例えば、ガラスによって形成してもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 水晶振動板(圧電振動板)
11 振動部
20 第1封止部材
22 第1端子(上面端子)
23 第2端子(上面端子)
30 第2封止部材
32 外部電極端子
100 水晶振動子(圧電振動デバイス)
111 第1励振電極
112 第2励振電極
115,116 シールパス(封止部)
115a,115b,116a,116b 幅狭部
117 第1積層間配線
118 第2積層間配線
119 第3積層間配線
120 第4積層間配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13