(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】給電制御装置及び給電制御方法
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H02H7/00 L
(21)【出願番号】P 2021093647
(22)【出願日】2021-06-03
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
(72)【発明者】
【氏名】榊原 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】伊奈 征哉
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-097022(JP,A)
【文献】特開2019-041508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷への給電を制御する給電制御装置であって、
前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、
前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、
処理を実行する処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、
前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、
前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示
し、
前記上流スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、
前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、
前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記下流スイッチの数は2であり、
2つの下流スイッチそれぞれは半導体スイッチであり、
前記2つの下流スイッチそれぞれの両端間に寄生ダイオードが接続されており、
一方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードは、他方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードに接続されている
給電制御装置。
【請求項2】
負荷への給電を制御する給電制御装置であって、
前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、
前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、
処理を実行する処理部と
を備え、
前記処理部は、
前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、
前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、
前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記上流スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、
前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、
前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示し、
前記下流スイッチの数は2であり、
2つの下流スイッチそれぞれは半導体スイッチであり、
前記2つの下流スイッチそれぞれの両端間に寄生ダイオードが接続されており、
一方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードは、他方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードに接続されている
給電制御装置。
【請求項3】
前記電流経路は、ヒューズから出力された電流の経路であり、
前記処理部には、前記ヒューズ及び上流スイッチ間の接続ノードから電力が供給され、
前記処理部は外部にデータを送信する送信処理を実行する
請求項1
又は請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチの下流側の一端の電圧値を取得し、
取得した電圧値が電圧閾値以上である場合、前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定する
請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項5】
複数の電流それぞれの電流経路に負荷が配置されており、
前記上流スイッチの数は2以上であり、
各電流経路にて、前記負荷の上流側に上流スイッチが配置されており、
前記複数の電流は共通の前記下流スイッチを介して流れ、
前記処理部は、
複数の上流スイッチそれぞれのオン又はオフへの切替えを指示し、
前記複数の上流スイッチ中の1つについてオフへの切替えを指示している状態で、オフへの切替えが指示されている上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、
オフへの切替えが指示されている上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合に、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給電制御装置。
【請求項6】
負荷への給電を制御する給電制御方法であって、
前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチ、及び、前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置されている下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示するステップと、
前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示するステップと
、
前記上流スイッチのオン又はオフへの切替えを指示するステップと、
前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行し、
前記下流スイッチの数は2であり、
2つの下流スイッチそれぞれは半導体スイッチであり、
前記2つの下流スイッチそれぞれの両端間に寄生ダイオードが接続されており、
一方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードは、他方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードに接続されている
給電制御方法。
【請求項7】
負荷への給電を制御する給電制御方法であって、
前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチ、及び、前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置されている下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示するステップと、
前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示するステップと、
前記上流スイッチのオン又はオフへの切替えを指示するステップと、
前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、
前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行し、
前記下流スイッチの数は2であり、
2つの下流スイッチそれぞれは半導体スイッチであり、
前記2つの下流スイッチそれぞれの両端間に寄生ダイオードが接続されており、
一方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードは、他方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードに接続されている
給電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給電制御装置及び給電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直流電源から負荷への給電を制御する車両用の給電制御装置が開示されている。直流電源から負荷に流れる電流の電流経路にスイッチが配置されている。制御装置は、スイッチのオン又はオフへの切替えを指示することによって、負荷への給電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、制御装置がスイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、スイッチを介して電流が流れる短絡故障が発生した場合、直流電源は負荷に電力を供給し続ける。この場合、直流電源の電力が無駄に消費される可能性がある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる給電制御装置及び給電制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る給電制御装置は、負荷への給電を制御する給電制御装置であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示する。
【0007】
本開示の一態様に係る給電制御方法は、負荷への給電を制御する給電制御方法であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチ、及び、前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置されている下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示するステップと、前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行する。
【0008】
なお、本開示を、このような特徴的な処理部を備える給電制御装置として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする給電制御方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、本開示を、給電制御装置の一部又は全部を実現する半導体集積回路として実現したり、給電制御装置を含む給電制御システムとして実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、短絡故障が発生した場合に負荷への給電を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図3】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
【
図4】書き込み処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】送信処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】下流スイッチ制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】給電制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】ECUの効果を説明するためのタイミングチャートである。
【
図9】実施形態2におけるECUの要部構成を示すブロック図である。
【
図10】実施形態3におけるECUの要部構成を示すブロック図である。
【
図11】実施形態4における電源システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図12】ECUの要部構成を示すブロック図である。
【
図13】マイコンの要部構成を示すブロック図である。
【
図14】実施形態5におけるECUの要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る給電制御装置は、負荷への給電を制御する給電制御装置であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチと、前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置される下流スイッチと、処理を実行する処理部とを備え、前記処理部は、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示する。
【0013】
(2)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記電流経路は、ヒューズから出力された電流の経路であり、前記処理部には、前記ヒューズ及び上流スイッチ間の接続ノードから電力が供給され、前記処理部は外部にデータを送信する送信処理を実行する。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチのオン又はオフへの切替えを指示し、前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示する。
【0015】
(4)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記処理部は、前記上流スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記上流スイッチの下流側の一端の電圧値を取得し、取得した電圧値が電圧閾値以上である場合、前記上流スイッチを介して電流が流れていると判定する。
【0016】
(5)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記下流スイッチの数は2であり、2つの下流スイッチそれぞれは半導体スイッチであり、前記2つの下流スイッチそれぞれの両端間に寄生ダイオードが接続されており、一方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードは、他方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードに接続されている。
【0017】
(6)本開示の一態様に係る給電制御装置では、前記下流スイッチの数は2であり、2つの下流スイッチそれぞれは半導体スイッチであり、前記2つの下流スイッチそれぞれの両端間に寄生ダイオードが接続されており、一方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードは、他方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードに接続されている。
【0018】
(7)本開示の一態様に係る給電制御装置では、複数の電流それぞれの電流経路に負荷が配置されており、前記上流スイッチの数は2以上であり、各電流経路にて、前記負荷の上流側に上流スイッチが配置されており、前記複数の電流は共通の前記下流スイッチを介して流れ、前記処理部は、複数の上流スイッチそれぞれのオン又はオフへの切替えを指示し、前記複数の上流スイッチ中の1つについてオフへの切替えを指示している状態で、オフへの切替えが指示されている上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定し、オフへの切替えが指示されている上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合に、前記下流スイッチのオフへの切替えを指示する。
【0019】
(8)本開示の一態様に係る給電制御方法は、負荷への給電を制御する給電制御方法であって、前記負荷を介して流れる電流の電流経路にて前記負荷の上流側に配置される上流スイッチ、及び、前記電流経路にて前記負荷の下流側に配置されている下流スイッチに含まれる第1スイッチのオン又はオフへの切替えを指示するステップと、前記第1スイッチのオフへの切替えを指示している状態で前記第1スイッチを介して電流が流れているか否かを判定するステップと、前記第1スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、前記上流スイッチ及び下流スイッチに含まれる第2スイッチのオフへの切替えを指示するステップとをコンピュータが実行する。
【0020】
上記の態様に係る給電制御装置及び給電制御方法にあっては、第1スイッチの短絡故障が発生した場合、第2スイッチのオフへの切替えを指示する。これにより、第2スイッチがオフに切替わるので、負荷への給電は停止する。第1スイッチの短絡故障は、第1スイッチのオフへの切替えを指示しているにも関わらず、第1スイッチを介して電流が流れる現象である。
【0021】
上記の態様に係る給電制御装置にあっては、第1スイッチの短絡故障が発生した場合、第2スイッチがオフに切替わる。第2スイッチがオフに切替わった後、ヒューズを介して流れる電流は、処理部に電力を供給するための電流であり、ヒューズを介して流れる電流の電流値は小さい。結果、ヒューズが溶断される可能性は低い。ヒューズが溶断されない限り、電力は処理部に供給され続ける。従って、第1スイッチの短絡故障が発生した場合であっても、処理部は外部にデータを送信する処理を継続して実行することができる。
【0022】
上記の態様に係る給電制御装置にあっては、第1スイッチ及び第2スイッチそれぞれは、上流スイッチ及び下流スイッチである。
【0023】
上記の態様に係る給電制御装置にあっては、電流は、例えば、直流電源の正極から上流スイッチ、負荷、下流スイッチの順に流れ、直流電源の負極に戻る。下流スイッチがオンである状態で上流スイッチがオフである場合、上流スイッチの下流側の一端の電圧値は、実質的にゼロVである。下流スイッチがオンである状態で上流スイッチの短絡故障が発生している場合、下流スイッチの一端の電圧値は比較的に高い。処理部は、下流スイッチがオンである状態で、上流スイッチの下流側の一端の電圧値が電圧閾値以上である場合、上流スイッチの短絡故障の発生を検知する。
【0024】
上記の態様に係る給電制御装置にあっては、一方の下流スイッチの寄生ダイオードのアノードが他方の下流スイッチのアノードに接続されている。従って、2つの下流スイッチを含む直列回路の下流側の一端に直流電源の正極が誤って接続された場合であっても、2つの下流スイッチがオフである限り、2つの下流スイッチの寄生ダイオードを介して電流が流れることはない。
【0025】
上記の態様に係る給電制御装置にあっては、一方の下流スイッチの寄生ダイオードのカソードが他方の下流スイッチのカソードに接続されている。従って、2つの下流スイッチを含む直列回路の下流側の一端に直流電源の正極が誤って接続された場合であっても、2つの下流スイッチがオフである限り、下流スイッチの寄生ダイオードを介して電流が流れることはない。
【0026】
上記の態様に係る給電制御装置にあっては、共通の下流スイッチをオフに切替えることによって、複数の負荷への給電を停止することができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(実施形態1)
<電源システムの構成>
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は車両Cに搭載されている。電源システム1は、直流電源10、ヒューズ11、ECU12、センサ13及び負荷E1を備える。直流電源10は例えばバッテリである。ヒューズ11は、チップヒューズ、ブレードヒューズ、温度ヒューズ又はヒュージブルリンク等のメカニカルヒューズである。ECUはElectronic Control Unitの略語である。
【0029】
直流電源10の負極は接地されている。接地は、例えば、車両Cのボディへの接続によって実現される。直流電源10の正極はヒューズ11の一端に接続されている。ヒューズ11の他端はECU12に接続されている。ECU12は接地されている。ECU12は、更に、負荷E1の両端に接続されている。ECU12は、更に、センサ13に接続されている。ECU12は、更に、通信線Lcに接続されている。通信線Lcは、更に、車両Cに搭載されている図示しない一又は複数の通信機器に接続されている。
【0030】
電流は、直流電源10の正極から、ヒューズ11及びECU12の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。直流電源10はECU12に電力を供給する。ECU12は、直流電源10から供給された電力を用いて種々の動作を行う。ECU12は、負荷E1への給電を制御する。ECU12は給電制御装置として機能する。負荷E1に電力が供給されている場合、電流は、直流電源10の正極からヒューズ11、ECU12、負荷E1及びECU12の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。
【0031】
負荷E1は電気機器である。負荷E1に電力が供給されている場合、負荷E1は作動する。負荷E1への給電が停止した場合、負荷E1は動作を停止する。
【0032】
センサ13は、車両Cに関する車両値を検出する。第1例として、車両値は、車両Cの速度若しくは加速度、又は、車両C周辺の輝度等である。第2例として、車両値は、車両Cに関する状態を示す値である。車両Cに関する状態は、例えば、車両Cの乗員によって操作される操作スイッチの状態である。センサ13は、検出した車両値を示すセンサデータをECU12に繰り返し出力する。なお、センサ13は、車両値を検出する代わりに画像を撮影してもよい。この場合、センサデータは、撮影された画像の画像データである。
【0033】
ECU12は、通信線Lcを介して一又は複数の通信機器から通信データを受信する。ECU12は、例えば、受信した通信データ又はセンサ13から入力されたセンサデータに基づいて、負荷E1に電力を供給するか否かを判定する。ECU12は、例えば、受信した通信データ又はセンサ13から入力されたセンサデータに基づいて、負荷E1への給電を停止するか否かを判定する。
【0034】
ECU12は、センサ13から入力されたセンサデータを、通信線Lcを介して通信機器に送信する。通信機器は、ECU12から受信したセンサデータに基づいて種々の動作を行う。
【0035】
ヒューズ11を介して電流が流れた場合、ヒューズ11は発熱する。ヒューズ11の発熱量は、ヒューズ11を介して流れる電流の電流値が大きい程、大きい。ヒューズ11に関して、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量よりも大きい場合、ヒューズ11の温度は上昇する。発熱量及び放熱量の差が大きい程、ヒューズ11の温度の上昇速度は速い。ヒューズ11に関して、単位時間当たりの発熱量が単位時間当たりの放熱量よりも小さい場合、ヒューズ11の温度は低下する。発熱量及び放熱量の差が大きい程、ヒューズ11の温度の低下速度は速い。ヒューズ11の温度が一定の温度閾値以上の温度に上昇した場合、ヒューズ11は溶断される。
【0036】
電流値が大きい電流がヒューズ11を介して流れた場合、ヒューズ11が溶断される。これにより、直流電源10から過電流が流れることが防止される。
【0037】
<ECU12の構成>
図2はECU12の要部構成を示すブロック図である。ECU12は、レギュレータ20、マイコン21、上流スイッチF1、下流スイッチGa、駆動回路K1及び電圧検出回路M1を有する。マイコンはマイクロコンピュータの略語である。上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれは、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。従って、上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれは半導体スイッチである。
【0038】
上流スイッチF1のドレイン及びソース間には寄生ダイオードH1が接続されている。寄生ダイオードH1のカソード及びアノードそれぞれは、上流スイッチF1のドレイン及びソースに接続されている。下流スイッチGaのドレイン及びソース間にも寄生ダイオードJaが接続されている。寄生ダイオードJaのカソード及びアノードそれぞれは、下流スイッチGaのドレイン及びソースに接続されている。
【0039】
ヒューズ11の下流側の一端は、上流スイッチF1のドレインに接続されている。上流スイッチF1のソースは、負荷E1の上流側の一端に接続されている。負荷E1の下流側の一端は、下流スイッチGaのドレインに接続されている。下流スイッチGaのソースは接地されている。
【0040】
ヒューズ11及び上流スイッチF1間の接続ノードは、更に、レギュレータ20に接続されている。レギュレータ20は、更に、マイコン21に接続されている。上流スイッチF1のゲートは、駆動回路K1に接続されている。駆動回路K1は更にマイコン21に接続されている。上流スイッチF1のソースは、更に、電圧検出回路M1に接続されている。電圧検出回路M1は、更にマイコン21に接続されている。下流スイッチGaのゲートはマイコン21に接続されている。マイコン21は接地されている。マイコン21は、更に、センサ13及び通信線Lcに接続されている。
【0041】
上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が高い程、ドレイン及びソース間の抵抗値は小さい。上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が一定電圧値以上である場合、状態はオンである。状態がオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このため、ドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。
【0042】
上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が一定電圧値未満である場合、状態はオフである。状態がオフである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このため、ドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0043】
上流スイッチF1及び下流スイッチGaがオンである場合、電流は直流電源10の正極からヒューズ11、上流スイッチF1、負荷E1及び下流スイッチGaの順に流れる。このとき、負荷E1に電力が供給される。上流スイッチF1及び下流スイッチGa中の少なくとも一方がオフである場合、負荷E1を介して電流が流れることはない。
【0044】
以上のように、ヒューズ11から出力された電流は、上流スイッチF1、負荷E1及び下流スイッチGaの順に流れる。従って、上流スイッチF1、負荷E1及び下流スイッチGaを介して流れる電流の電流経路は、ヒューズ11から出力された電流の経路である。電流経路において、上流スイッチF1は負荷E1の上流側に配置されている。電流経路において、下流スイッチGaは負荷E1の下流側に配置されている。
【0045】
ヒューズ11及び上流スイッチF1のドレイン間の接続ノードの電圧をノード電圧と記載する。ノード電圧の基準電位は接地電位である。レギュレータ20は、ノード電圧を一定の目標電圧に降圧する。目標電圧の基準電位は接地電位である。レギュレータ20は、降圧によって生成された目標電圧をマイコン21に印加する。これにより、電流は、直流電源10の正極からヒューズ11、レギュレータ20及びマイコン21の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。直流電源10は、ヒューズ11及びレギュレータ20を介してマイコン21に電力を供給する。マイコン21は、直流電源10から供給された電力を用いて種々の動作を行う。
【0046】
マイコン21は、駆動回路K1にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン21が出力するハイレベル電圧及びローレベル電圧の基準電位は接地電位である。マイコン21は、駆動回路K1に出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。駆動回路K1は、マイコン21から入力されている電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、上流スイッチF1のゲートの電圧値を上昇させる。以下では、ゲートの電圧値をゲート電圧値と記載する。ゲート電圧値の基準電位は接地電位である。
【0047】
駆動回路K1が上流スイッチF1のゲート電圧値を上昇させた場合、上流スイッチF1において、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値以上の電圧値に上昇する。これにより、上流スイッチF1はオンに切替わる。
【0048】
駆動回路K1は、マイコン21から入力されている電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、上流スイッチF1のゲート電圧値を低下させる。この場合、上流スイッチF1において、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値未満の電圧値に低下する。これにより、上流スイッチF1はオフに切替わる。以上のように、駆動回路K1は、上流スイッチF1のゲートの電圧値を調整することによって上流スイッチF1をオン又はオフに切替える。
【0049】
電圧検出回路M1は、上流スイッチF1のソースの電圧値を検出する。以下では、ソースの電圧値をソース電圧値と記載する。ソース電圧値の基準電位は接地電位である。電圧検出回路M1は、検出したソース電圧値を示すアナログの電圧値情報をマイコン21に出力する。電圧値情報は、例えば、上流スイッチF1のソースの電圧を分圧することによって得られる電圧値である。
【0050】
マイコン21は、下流スイッチGaのゲートにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン21が下流スイッチGaのゲートにハイレベル電圧を出力している場合、下流スイッチGaにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値以上である。結果、下流スイッチGaはオンである。マイコン21が下流スイッチGaのゲートにローレベル電圧を出力している場合、下流スイッチGaにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧は一定電圧値未満である。結果、下流スイッチGaはオフである。
【0051】
以上のように、マイコン21は、下流スイッチGaのゲートに出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替えることによって、下流スイッチGaをオン又はオフに切替える。下流スイッチGaをオン又はオフに切替えるための回路は不要である。
【0052】
マイコン21は、通信線Lcを介して通信データを受信する。センサ13はセンサデータをマイコン21に出力する。マイコン21は、例えば、車両Cのイグニッションスイッチがオンに切替わった場合、下流スイッチGaをオンに切替える。マイコン21は、例えば、受信した通信データ、又は、センサ13から入力されたセンサデータに基づいて、負荷E1に電力を供給するか否かを判定する。マイコン21は、負荷E1に電力を供給すると判定した場合、下流スイッチGaをオンに維持している状態で、駆動回路K1に出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路K1は上流スイッチF1をオンに切替える。結果、負荷E1に電力が供給される。
【0053】
マイコン21は、例えば、受信した通信データ、又は、センサ13から入力されたセンサデータに基づいて、負荷E1への給電を停止するか否かを判定する。マイコン21は、負荷E1への給電を停止すると判定した場合、下流スイッチGaをオンに維持している状態で、駆動回路K1に出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路K1は上流スイッチF1をオフに切替える。結果、負荷E1への給電が停止する。マイコン21は、例えば、車両Cのイグニッションスイッチがオフに切替わった場合、下流スイッチGaをオフに切替える。
【0054】
マイコン21は、電圧検出回路M1から入力された電圧値情報、即ち、電圧検出回路M1が検出した上流スイッチF1のソース電圧値に基づいて、上流スイッチF1の短絡故障が発生したか否かを判定する。上流スイッチF1の短絡故障は、上流スイッチF1のオフへの切替えが指示されているにも関わらず、上流スイッチF1のドレイン及びソースを介して電流が流れる現象である。マイコン21は、上流スイッチF1の短絡故障が発生していると判定した場合、下流スイッチGaをオフに切替える。
【0055】
<マイコン21の構成>
図3はマイコン21の要部構成を示すブロック図である。マイコン21は、通信部30、入力部31、記憶部32、制御部33、第1出力部T1、第2出力部U及びA/D変換部X1を有する。これらは内部バス34に接続されている。第1出力部T1は、更に、駆動回路K1に接続されている。A/D変換部X1は、更に、電圧検出回路M1に接続されている。第2出力部Uは、更に、下流スイッチGaのゲートに接続されている。通信部30は、更に、通信線Lcに接続されている。入力部31は、更に、センサ13に接続されている。
【0056】
前述したように、直流電源10は、ヒューズ11及びレギュレータ20を介してマイコン21に電力を供給する。マイコン21に電力が供給された場合、通信部30、入力部31、記憶部32、制御部33、第1出力部T1及び第2出力部Uに電力が供給される。従って、A/D変換部X1、通信部30、入力部31、記憶部32、制御部33、第1出力部T1、第2出力部U及びA/D変換部X1には、ヒューズ11及び上流スイッチF1間の接続ノードから電力が供給される。
【0057】
第1出力部T1は駆動回路K1にハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン21が駆動回路K1に出力している電圧は、第1出力部T1が駆動回路K1に出力している電圧である。制御部33は、第1出力部T1に上流スイッチF1のオン又はオフへの切替えを指示する。制御部33が第1出力部T1に上流スイッチF1のオンへの切替えを指示した場合、第1出力部T1は、駆動回路K1に出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。制御部33が第1出力部T1に上流スイッチF1のオフへの切替えを指示した場合、第1出力部T1は、駆動回路K1に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。
【0058】
電圧検出回路M1はA/D変換部X1にアナログの電圧値情報を出力する。A/D変換部X1は、電圧検出回路M1から入力されたアナログの電圧値情報をデジタルの電圧値情報に変換する。制御部33は、A/D変換部X1が変換したデジタルの電圧値情報を取得する。前述したように、電圧値情報は、上流スイッチF1のソース電圧値を示す。電圧値情報の取得は、上流スイッチF1のソース電圧値の取得に相当する。
【0059】
第2出力部Uは下流スイッチGaのゲートにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン21が下流スイッチGaのゲートに出力している電圧は、第2出力部Uが下流スイッチGaのゲートに出力している電圧である。制御部33は、第2出力部Uに下流スイッチGaのオン又はオフへの切替えを指示する。
【0060】
制御部33が第2出力部Uに下流スイッチGaのオンへの切替えを指示した場合、第2出力部Uは、下流スイッチGaのゲートに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。これにより、下流スイッチGaはオンに切替わる。制御部33が第2出力部Uに下流スイッチGaのオフへの切替えを指示した場合、第2出力部Uは、下流スイッチGaのゲートに出力している電圧をローレベル電圧に切替える。これにより、下流スイッチGaはオフに切替わる。
【0061】
通信部30は、通信線Lcを介して通信機器が送信した通信データを受信する。通信部30は、制御部33の指示に従って、センサデータを通信機器に送信する。センサ13は、センサデータを入力部31に出力する。
【0062】
記憶部32は、例えば揮発性メモリ及び不揮発性メモリによって構成される。記憶部32には、コンピュータプログラムPが記憶されている。制御部33は、処理を実行する処理素子を有する。制御部33は処理部として機能する。処理素子は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、コンピュータである。制御部33の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、書き込み処理、送信処理、下流スイッチ制御処理及び給電制御処理等を並行して実行する。
【0063】
書き込み処理は、通信データ及びセンサデータを記憶部32に書き込む処理である。送信処理は通信データを通信機器に送信する処理である。下流スイッチ制御処理は、下流スイッチGaをオン又はオフに切替える処理である。給電制御処理は、負荷E1の給電を制御する処理である。
【0064】
なお、コンピュータプログラムPは、コンピュータプログラムPを読み取り可能に記憶した非一時的な記憶媒体Aを用いて、マイコン21に提供されてもよい。記憶媒体Aは、例えば可搬型メモリである。記憶媒体Aが可搬型メモリである場合、制御部33の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記憶媒体AからコンピュータプログラムPを読み取ってもよい。読み取ったコンピュータプログラムPは記憶部32に書き込まれる。更に、コンピュータプログラムPは、マイコン21の図示しない通信部が外部装置と通信することによって、マイコン21に提供されてもよい。この場合、制御部33の処理素子は、通信部を通じてコンピュータプログラムPを取得する。取得したコンピュータプログラムPは記憶部32に書き込まれる。
【0065】
制御部33が有する処理素子の数は2以上であってもよい。この場合、制御部33が有する複数の処理素子は協同して書き込み処理、送信処理、下流スイッチ制御処理及び給電制御処理等を実行してもよい。
【0066】
<書き込み処理>
図4は書き込み処理の手順を示すフローチャートである。書き込み処理では、制御部33は、まず、通信部30が、通信線Lcを介して通信データを受信したか否かを判定する(ステップS1)。制御部33は、通信部30が通信データを受信していないと判定した場合(S1:NO)、センサデータがセンサ13から入力部31に入力されたか否かを判定する(ステップS2)。制御部33は、センサデータが入力部31に入力されていないと判定した場合(S2:NO)、ステップS1を再び実行する。制御部33は、通信部30が通信データを受信するか、又は、センサデータが入力部31に入力されるまで待機する。
【0067】
制御部33は、通信部30が通信データを受信したと判定した場合(S1:YES)、通信部30が受信した通信データを記憶部32に書き込む(ステップS3)。制御部33は、センサデータが入力部31に入力されたと判定した場合(S2:YES)、入力部31に入力されたセンサデータを記憶部32に書き込む(ステップS4)。制御部33は、ステップS3,S4の一方を実行した後、書き込み処理を終了する。制御部33は、書き込み処理を終了した後、再び書き込み処理を実行する。
【0068】
<送信処理>
図5は送信処理の手順を示すフローチャートである。送信処理では、制御部33は、センサ13からセンサデータが入力部31に入力されたか否かを判定する(ステップS11)。制御部33は、センサデータが入力部31に入力されていないと判定した場合(S11:NO)、ステップS11を再び実行する。制御部33は、センサデータが入力部31に入力されるまで待機する。
【0069】
制御部33は、センサデータが入力部31に入力されたと判定した場合(S11:YES)、通信部30に指示して、センサデータを、通信線Lcを介して通信機器に送信させる(ステップS12)。制御部33は、ステップS12を実行した後、送信処理を終了する。制御部33は、送信処理を終了した後、送信処理を再び実行する。送信処理は、負荷E1の給電の制御に関係していない。従って、送信処理は、負荷E1の給電の制御に関する処理とは異なる処理である。
【0070】
<下流スイッチ制御処理>
図6は下流スイッチ制御処理の手順を示すフローチャートである。下流スイッチ制御処理では、制御部33は、下流スイッチGaをオンに切替えるか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21では、制御部33は、例えば、図示しない入力部に、車両Cのイグニッションスイッチがオンに切替わったことを示すIGオン情報が入力された場合、下流スイッチGaをオンに切替えると判定する。制御部33は、IGオン情報が入力されていない場合、下流スイッチGaをオンに切替えないと判定する。
【0071】
制御部33は、下流スイッチGaをオンに切替えないと判定した場合(S21:NO)、下流スイッチGaをオフに切替えるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22では、例えば、図示しない入力部に、車両Cのイグニッションスイッチがオフに切替わったことを示すIGオフ情報が入力された場合、下流スイッチGaをオフに切替えると判定する。制御部33は、IGオフ情報が入力されていない場合、下流スイッチGaをオフに切替えないと判定する。制御部33は、下流スイッチGaをオフに切替えないと判定した場合(S22:NO)、ステップS21を再び実行する。制御部33は、下流スイッチGaをオン又はオフに切替えるタイミングが到来するまで待機する。
【0072】
制御部33は、下流スイッチGaをオンに切替えると判定した場合(S21:YES)、第2出力部Uに下流スイッチGaのオンへの切替えを指示する(ステップS23)。これにより、第2出力部Uは、下流スイッチGaのゲートに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。結果、下流スイッチGaはオンに切替わる。
【0073】
制御部33は、下流スイッチGaをオフに切替えると判定した場合(S22:YES)、第2出力部Uに下流スイッチGaのオフへの切替えを指示する(ステップS24)。これにより、第2出力部Uは、下流スイッチGaのゲートに出力している電圧をローレベル電圧に切替える。結果、下流スイッチGaはオフに切替わる。制御部33は、ステップS23,S24の一方を実行した後、下流スイッチ制御処理を終了する。制御部33は、下流スイッチ制御処理を終了した後、再び下流スイッチ制御処理を実行する。
【0074】
<給電制御処理>
図7は給電制御処理の手順を示すフローチャートである。制御部33は、下流スイッチGaがオンである場合に給電制御処理を実行する。給電制御処理では、制御部33は、まず、例えば、記憶部32に記憶されている最新の通信データ又は最新のセンサデータに基づいて、負荷E1に電力を供給するか否かを判定する(ステップS31)。制御部33は、負荷E1に電力を供給しないと判定した場合(S31:NO)、ステップS31を再び実行する。制御部33は負荷E1に電力を供給するタイミングが到来するまで待機する。
【0075】
制御部33は、負荷E1に電力を供給すると判定した場合(S31:YES)、第1出力部T1に、上流スイッチF1のオンへの切替えを指示する(ステップS32)。これにより、第1出力部T1は、駆動回路K1に出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。駆動回路K1は上流スイッチF1をオンに切替える。上流スイッチF1は第1スイッチとして機能する。
【0076】
制御部33は、ステップS32を実行した後、例えば、記憶部32に記憶されている最新の通信データ又は最新のセンサデータに基づいて、負荷E1への給電を停止するか否かを判定する(ステップS33)。制御部33は、負荷E1への給電を停止しないと判定した場合(S33:NO)、ステップS33を再び実行する。制御部33は負荷E1への給電を停止するタイミングが到来するまで待機する。
【0077】
制御部33は、負荷E1への給電を停止すると判定した場合(S33:YES)、第1出力部T1に、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示する(ステップS34)。これにより、第1出力部T1は、駆動回路K1に出力している電圧をローレベル電圧に切替える。駆動回路K1は上流スイッチF1をオフに切替える。第1出力部T1、駆動回路K1及び上流スイッチF1中の1つが正常に動作しなかった場合、上流スイッチF1はオフに切替わらない。
【0078】
制御部33は、ステップS34を実行した後、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示している状態でA/D変換部X1から電圧値情報を取得する(ステップS35)。制御部33が取得した電圧値情報が示す上流スイッチF1のソース電圧値は、取得時点における上流スイッチF1のソース電圧値と実質的に一致する。前述したように、電圧値情報の取得は上流スイッチF1のソース電圧値の取得に相当する。
【0079】
次に、制御部33は、ステップS35で取得した電圧値情報が示す上流スイッチF1のソース電圧値に基づいて、上流スイッチF1を介して電流が流れているか否かを判定する(ステップS36)。制御部33は、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示している状態でステップS36を実行する。前述したとおり、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示しているにも関わらず、上流スイッチF1を介して電流が流れる現象は短絡故障である。ステップS36では、制御部33は短絡故障が発生しているか否かを判定する。
【0080】
ゼロV近傍の一定の正値を電圧閾値と記載する。上流スイッチF1を介して電流が流れていない場合、負荷E1を介して電流が流れない。このため、上流スイッチF1のソース電圧値は、実質的にゼロVであり、電圧閾値未満である。上流スイッチF1を介して電流が流れている場合、負荷E1を介して電流が流れる。このため、上流スイッチF1のソース電圧値は、比較的に高く、電圧閾値以上である。上流スイッチF1及び下流スイッチGaがオンである場合、上流スイッチF1のソース電圧値は直流電源10の両端間の電圧値に実質的に一致する。
【0081】
ステップS36では、制御部33は、ステップS35で取得した電圧値情報が示す上流スイッチF1のソース電圧値が電圧閾値未満である場合、上流スイッチF1を介して電流は流れていないと判定する。ステップS36では、制御部33は、ステップS35で取得した電圧値情報が示す上流スイッチF1のソース電圧値が電圧閾値以上である場合、上流スイッチF1を介して電流が流れていると判定する。以上のように、制御部33は、下流スイッチGaがオンであり、かつ、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示している状態で上流スイッチF1のソース電圧値が電圧閾値以上である場合、上流スイッチF1の短絡故障の発生を検知する。
【0082】
制御部33は、上流スイッチF1を介して電流が流れていないと判定した場合(S36:NO)、給電制御処理を終了する。制御部33は、給電制御処理を終了した時点において、下流スイッチGaがオンである場合、給電制御処理を再び実行する。
【0083】
制御部33は、上流スイッチF1を介して電流が流れていると判定した場合(S36:YES)、短絡故障が発生しているとして、第2出力部Uに下流スイッチGaのオフへの切替えを指示する(ステップS37)。これにより、第2出力部Uは、下流スイッチGaのゲートに出力している電圧をローレベル電圧に切替える。下流スイッチGaはオフに切替わる。結果、負荷E1への給電が停止する。制御部33は、ステップS37を実行した後、給電制御処理を終了する。この場合おいては、下流スイッチGaがオフである状態で給電制御処理が終了するので、制御部33は給電制御処理を再び実行することはない。下流スイッチGaは第2スイッチとして機能する。
【0084】
<ECU12の効果>
図8は、ECU12の効果を説明するためのタイミングチャートである。
図8では、制御部33が行う指示、上流スイッチF1の状態及び下流スイッチGaの状態の推移が示されている。これらの推移では、横軸に時間が示されている。オン指示は、上流スイッチF1のオンへの切替え指示である。オフ指示は、上流スイッチF1のオフへの切替え指示である。
図8においては、オフ指示からオン指示への切替えは、オン指示の実行を意味する。オン指示からオフ指示への切替えはオフ指示の実行を意味する。
【0085】
制御部33は、例えば、車両Cのイグニッションスイッチがオンに切替わった場合、第2出力部Uに下流スイッチGaのオンへの切替えを指示する。これにより、
図8に示すように、下流スイッチGaはオンに切替わる。制御部33は、下流スイッチGaがオンである状態で、給電制御処理を実行する。第1出力部T1、駆動回路K1及び上流スイッチF1が正常に動作している場合においては、制御部33がオン指示を行ったとき、上流スイッチF1はオンに切替わる。同様の場合において、制御部33がオフ指示を行ったとき、上流スイッチF1はオフに切替わる。
【0086】
上流スイッチF1がオンに切替わった場合、負荷E1に電力が供給される。負荷E1は作動する。上流スイッチF1がオフに切替わった場合、負荷E1への給電が停止する。負荷E1は動作を停止する。
【0087】
制御部33がオフ指示を行ったにも関わらず、上流スイッチF1がオンを維持した場合、上流スイッチF1のソース電圧値は、直流電源10の両端間の電圧値と実質的に一致する。このため、上流スイッチF1のソース電圧値は電圧閾値以上である。制御部33は、上流スイッチF1の短絡故障の発生を検知する。制御部33は、上流スイッチF1の短絡故障の発生を検知した場合、第2出力部Uに下流スイッチGaのオフへの切替えを指示する。これにより、下流スイッチGaはオフに切替わる。結果、負荷E1への給電が停止する。
【0088】
従って、上流スイッチF1の短絡故障が発生した場合、負荷E1への給電は停止する。上流スイッチF1の短絡故障が発生した場合、下流スイッチGaがオフに切替わる。下流スイッチGaにオフに切替わった後、ヒューズ11を介して流れる電流は、マイコン21に電力を供給するための電流であり、ヒューズ11を介して流れる電流の電流値は小さい。結果、ヒューズ11が溶断される可能性は低い。ヒューズ11が溶断されない限り、直流電源10は、マイコン21に電力を供給し続ける。従って、上流スイッチF1の短絡故障が発生した場合であっても、制御部33は、書き込み処理及び送信処理等を継続して実行することができる。
【0089】
下流スイッチGaが設けられていない構成で上流スイッチF1の短絡故障が発生した場合、直流電源10は負荷E1に電力を供給し続ける。直流電源10を充電する図示しない発電機が停止している状態で直流電源10が負荷E1に電力を供給し続けた場合、直流電源10に蓄えられている電力が低下する。負荷E1に供給する電力が大きい場合、所謂バッテリ上がりが発生する可能性が高い。しかしながら、ECU12では、上流スイッチF1の短絡故障が発生した場合、下流スイッチGaがオフに切替わる。このため、上流スイッチF1の短絡故障が発生した後、直流電源10が負荷E1に電力を供給し続けることはない。
【0090】
(実施形態2)
実施形態1では、ECU12が有する下流スイッチの数は1である。しかしながら、ECU12が有する下流スイッチの数は2であってもよい。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0091】
<ECU12の構成>
図9は実施形態2におけるECU12の要部構成を示すブロック図である。実施形態2におけるECU12は、実施形態1におけるECU12が有する構成部を同様に有する。実施形態2におけるECU12は、更に、下流スイッチGbを有する。下流スイッチGbは、下流スイッチGaと同様に、Nチャネル型のMOSFETである。従って、下流スイッチGa,Gbそれぞれは半導体スイッチである。
【0092】
下流スイッチGbのドレイン及びソース間には寄生ダイオードJbが接続されている。寄生ダイオードJbのカソード及びアノードそれぞれは、下流スイッチGbのドレイン及びアノードに接続されている。
【0093】
実施形態2では、下流スイッチGaのソースは接地されていない。下流スイッチGaのソースは下流スイッチGbのソースに接続されている。下流スイッチGbのドレインは接地されている。従って、下流スイッチGaの寄生ダイオードJaのアノードは、下流スイッチGbの寄生ダイオードJbのアノードに接続されている。
【0094】
実施形態1の説明で述べたように、マイコン21は第2出力部Uを有する(
図3参照)。第2出力部Uについて、ハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力する出力端は、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートに接続されている。
【0095】
下流スイッチGbについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が高い程、ドレイン及びソース間の抵抗値は小さい。下流スイッチGbについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が一定電圧値以上である場合、下流スイッチGbはオンである。下流スイッチGbがオンである場合、ドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このため、下流スイッチGbのドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。
【0096】
下流スイッチGbについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が一定電圧値未満である場合、下流スイッチGbはオフである。下流スイッチGbがオフである場合、下流スイッチGbのドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このため、下流スイッチGbのドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0097】
以下では、直流電源10の正極がヒューズ11の一端に接続され、かつ、直流電源10の負極が接地されている場合における直流電源10の接続を正常接続と記載する。直流電源10の正極が接地され、かつ、直流電源10の負極がヒューズ11の一端に接続されている場合における直流電源10の接続を逆接続と記載する。
【0098】
直流電源10の接続が正常接続である場合、マイコン21の第2出力部Uは、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。2つの下流スイッチGa,Gbのゲートに出力される電圧は同じである。第2出力部Uが下流スイッチGa,Gbのゲートにハイレベル電圧を出力している場合、下流スイッチGa,Gbそれぞれにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値以上である。結果、2つの下流スイッチGa,Gbはオンである。
【0099】
第2出力部Uが2つの下流スイッチGa,Gbのゲートにローレベル電圧を出力している場合、下流スイッチGa,Gbそれぞれにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧は一定電圧値未満である。結果、2つの下流スイッチGa,Gbはオフである。下流スイッチGa,Gbをオン又はオフに切替えるための回路は不要である。
【0100】
実施形態1の説明で述べたように、マイコン21は、通信部30、入力部31、記憶部32、制御部33、第1出力部T1、第2出力部U及びA/D変換部X1を有する(
図3参照)。直流電源10の接続が正常接続である場合、マイコン21に電力が供給され、通信部30、入力部31、記憶部32、制御部33、第1出力部T1、第2出力部U及びA/D変換部X1は作動する。
【0101】
直流電源10の接続が正常接続である場合、制御部33は、第2出力部Uに、2つの下流スイッチGa,Gbのオン又はオフへの切替えを指示する。制御部33が第2出力部Uに2つの下流スイッチGa,Gbのオンへの切替えを指示した場合、第2出力部Uは、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。これにより、2つの下流スイッチGa,Gbはオンに切替わる。制御部33が第2出力部Uに2つの下流スイッチGa,Gbのオフへの切替えを指示した場合、第2出力部Uは、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートに出力している電圧をローレベル電圧に切替える。これにより、2つの下流スイッチGa,Gbはオフに切替わる。
【0102】
直流電源10の接続が正常接続である場合において、上流スイッチF1及び2つの下流スイッチGa,Gbがオンであるとき、電流が直流電源10の正極からヒューズ11、上流スイッチF1、負荷E1及び下流スイッチGa,Gbの順に流れる。従って、ヒューズ11から出力された電流の電流経路において、負荷E1の下流側に2つの下流スイッチGa,Gbが配置されている。
【0103】
直流電源10の接続が正常接続である場合において、上流スイッチF1がオフであるとき、2つの下流スイッチGa,Gbの状態に無関係に負荷E1を介して電流が流れることはない。直流電源10の接続が正常接続である場合において、2つの下流スイッチGa,Gbがオフであるとき、上流スイッチF1の状態に無関係に負荷E1を介して電流が流れることはない。
【0104】
<マイコン21の構成>
直流電源10の接続が正常接続である場合において、マイコン21の制御部33は、実施形態1と同様に、書き込み処理、送信処理、下流スイッチ制御処理及び給電制御処理等を実行する。
【0105】
<下流スイッチ制御処理>
実施形態2における下流スイッチ制御処理のステップS21では、制御部33は、2つの下流スイッチGa,Gbをオンに切替えるか否かを判定する。制御部33は、実施形態1と同様に、例えば、図示しない入力部にIGオン情報が入力されたか否かに基づいて、2つの下流スイッチGa,Gbをオンに切替えるか否かを判定する。
【0106】
実施形態2における下流スイッチ制御処理のステップS22では、制御部33は、2つの下流スイッチGa,Gbをオフに切替えるか否かを判定する。制御部33は、実施形態1と同様に、例えば、図示しない入力部にIGオフ情報が入力されたか否かに基づいて、2つの下流スイッチGa,Gbをオフに切替えるか否かを判定する。
【0107】
制御部33が2つの下流スイッチGa,Gbをオンに切替えると判定した場合(S21:YES)、ステップS23では、制御部33は、第2出力部Uに2つの下流スイッチGa,Gbのオンへの切替えを指示する。これにより、2つの下流スイッチGa,Gbはオンに切替わる。制御部33が2つの下流スイッチGa,Gbをオフに切替えると判定した場合(S22:YES)、ステップS24では、制御部33は、第2出力部Uに2つの下流スイッチGa,Gbのオフへの切替えを指示する。これにより、2つの下流スイッチGa,Gbはオフに切替わる。
【0108】
<給電制御処理>
実施形態2では、制御部33は、2つの下流スイッチGa,Gbがオンである場合に給電制御処理を実行する。ステップS36に関して、上流スイッチF1及び2つの下流スイッチGa,Gbがオンである場合、上流スイッチF1のソース電圧値は直流電源10の両端間の電圧値に実質的に一致する。制御部33は、2つの下流スイッチGa,Gbがオンであり、かつ、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示している状態で上流スイッチF1のソース電圧値が電圧閾値以上である場合、上流スイッチF1の短絡故障の発生を検知する。
【0109】
<直流電源10の接続が逆接続である場合のECU12の動作>
直流電源10の接続が逆接続である場合、レギュレータ20は、作動せず、動作を停止している。このため、マイコン21に電力が供給されることはなく、マイコン21は動作を停止する。マイコン21が動作を停止している場合、駆動回路K1は、上流スイッチF1のゲート電圧値をゼロVに維持する。実施形態1の説明で述べたように、ゲート電圧値の基準電位は接地電位である。
【0110】
直流電源10の接続が逆接続である場合において、上流スイッチF1のゲート電圧値がゼロVであるとき、上流スイッチF1について、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値未満である。従って、上流スイッチF1はオフである。
【0111】
マイコン21が動作を停止している場合、マイコン21は、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートの電圧値をゼロVに維持する。直流電源10の接続が逆接続である場合において、2つの下流スイッチGa,Gbのゲート電圧値がゼロVであるとき、下流スイッチGa,Gbそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値未満である。従って、2つの下流スイッチGa,Gbはオフである。
【0112】
前述したように、下流スイッチGaの寄生ダイオードJaのアノードは、下流スイッチGbの寄生ダイオードJbのアノードに接続されている。従って、直流電源10の接続が逆接続である場合であっても、2つの下流スイッチGa,Gbがオフである限り、寄生ダイオードJa,Jbを介して電流が流れることはない。
実施形態2におけるECU12は実施形態1におけるECU12が奏する効果を同様に奏する。
【0113】
(実施形態3)
実施形態2において、下流スイッチGaの寄生ダイオードJaのアノードが下流スイッチGbの寄生ダイオードJbのアノードに接続されている。これにより、寄生ダイオードJa,Jbを介した電流の通流を防止している。しかしながら、寄生ダイオードJa,Jbを介した電流の通流を防止する構成は、寄生ダイオードJaのアノードを寄生ダイオードJbのアノードに接続する構成に限定されない。
以下では、実施形態3について、実施形態2と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態2と共通しているため、実施形態2と共通する構成部には実施形態2と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0114】
<ECU12の構成>
図10は実施形態3におけるECU12の要部構成を示すブロック図である。実施形態3では、負荷E1の下流側の一端は、下流スイッチGbのソースに接続されている。下流スイッチGbのドレインは下流スイッチGaのドレインに接続されている。従って、下流スイッチGaのカソードは下流スイッチGbのカソードに接続されている。下流スイッチGaのソースは接地されている。
【0115】
マイコン21が有する第2出力部Uについて、ハイレベル電圧及びローレベル電圧を出力する出力端は、実施形態2と同様に2つの下流スイッチGa,Gbのゲートに接続されている。
【0116】
直流電源10の接続が正常接続である場合、第2出力部Uは、実施形態2と同様に、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。2つの下流スイッチGa,Gbのゲートに出力される電圧は同じである。第2出力部Uが下流スイッチGa,Gbのゲートにハイレベル電圧を出力している場合、下流スイッチGa,Gbそれぞれにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値以上である。結果、2つの下流スイッチGa,Gbはオンである。
【0117】
第2出力部Uが2つの下流スイッチGa,Gbのゲートにローレベル電圧を出力している場合、下流スイッチGa,Gbそれぞれにおいて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧は一定電圧値未満である。結果、2つの下流スイッチGa,Gbはオフである。
【0118】
直流電源10の接続が正常接続である場合において、上流スイッチF1及び2つの下流スイッチGa,Gbがオンであるとき、電流が直流電源10の正極からヒューズ11、上流スイッチF1、負荷E1及び下流スイッチGb,Gaの順に流れる。従って、ヒューズ11から出力された電流の電流経路において、負荷E1の下流側に2つの下流スイッチGa,Gbが配置されている。
【0119】
直流電源10の接続が正常接続である場合において、上流スイッチF1がオフであるとき、2つの下流スイッチGa,Gbの状態に無関係に負荷E1を介して電流が流れることはない。直流電源10の接続が正常接続である場合において、2つの下流スイッチGa,Gbがオフであるとき、上流スイッチF1の状態に無関係に負荷E1を介して電流が流れることはない。
【0120】
<直流電源10の接続が逆接続である場合のECU12の動作>
マイコン21が動作を停止している場合、マイコン21は、2つの下流スイッチGa,Gbのゲートの電圧値をゼロVに維持する。直流電源10の接続が逆接続である場合において、2つの下流スイッチGa,Gbのゲート電圧値がゼロVであるとき、下流スイッチGa,Gbそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値は一定電圧値未満である。従って、2つの下流スイッチGa,Gbはオフである。
【0121】
前述したように、下流スイッチGaの寄生ダイオードJaのカソードは、下流スイッチGbの寄生ダイオードJbのカソードに接続されている。従って、直流電源10の接続が逆接続である場合であっても、2つの下流スイッチGa,Gbがオフである限り、寄生ダイオードJa,Jbを介して電流が流れることはない。
実施形態3におけるECU12は実施形態2におけるECU12が奏する効果を同様に奏する。
【0122】
(実施形態4)
実施形態1では、ECU12は、1つの負荷E1への給電を制御する。しかしながら、ECU12は、複数の負荷への給電を制御してもよい。
以下では、実施形態4について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0123】
<電源システム1の構成>
図11は、実施形態4における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。実施形態4における電源システム1は、実施形態1における電源システム1が備える構成部を同様に備える。実施形態4における電源システム1は、更に、(n-1)個の負荷E2,E3,・・・,Enを備える。ここで、nは2以上の整数である。従って、実施形態4における電源システム1はn個の負荷E1,E2,・・・,Enを備える。以下では、2以上であり、かつ、n以下である任意の整数をiで表す。整数iは、2,3,・・・,nのいずれであってもよい。
【0124】
負荷E1,E2,・・・,Enの一端は、ECU12に各別に接続されている。負荷E1,E2,・・・,Enの他端はECU12の共通の一端に接続されている。ECU12は、負荷E1への給電だけではなく、負荷Eiへの給電も制御する。ECU12は、n個の負荷E1,E2,・・・,Enへの給電を各別に制御する。負荷Eiに電力が供給されている場合、電流は、直流電源10の正極からヒューズ11、ECU12、負荷Ei及びECU12の順に流れ、直流電源10の負極に戻る。
【0125】
負荷Eiは、負荷E1と同様に電気機器である。負荷Eiに電力が供給されている場合、負荷Eiは作動する。負荷Eiへの給電が停止した場合、負荷Eiは動作を停止する。ECU12は、負荷E1だけではなく、負荷Eiに電力を供給するか否かを判定する。
【0126】
<ECU12の構成>
図12はECU12の要部構成を示すブロック図である。実施形態4におけるECU12は、実施形態1におけるECU12が有する構成部を同様に有する。実施形態4におけるECU12は、更に、(n-1)個の上流スイッチF2,F3,・・・,Fn、(n-1)個の駆動回路K2,K3,・・・,Kn及び(n-1)個の電圧検出回路M2,M3,・・・,Mnを有する。従って、実施形態4におけるECU12は、n個の上流スイッチF1,F2,・・・,Fn、n個の駆動回路K1,K2,・・・,Kn及びn個の電圧検出回路M1,M2,・・・,Mnを有する。上流スイッチFiは、上流スイッチF1と同様に、Nチャネル型のMOSFETである。従って、上流スイッチFiは半導体スイッチである。
【0127】
上流スイッチFiのドレイン及びソース間には寄生ダイオードHiが接続されている。寄生ダイオードHiのカソード及びアノードそれぞれは、上流スイッチFiのドレイン及びソースに接続されている。
【0128】
上流スイッチFiのドレインは、ヒューズ11の下流側の一端に接続されている。上流スイッチFiのソースは、負荷Eiの上流側の一端に接続されている。負荷Eiの下流側の一端は、下流スイッチGaのドレインに接続されている。下流スイッチGaのソースは接地されている。上流スイッチFiのゲートは駆動回路Kiに接続されている。駆動回路Kiは更にマイコン21に接続されている。上流スイッチFiのソースは、更に、電圧検出回路Miに接続されている。電圧検出回路Miは、更に、マイコン21に接続されている。
【0129】
上流スイッチFiについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が高い程、ドレイン及びソース間の抵抗値は小さい。上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が一定電圧値以上である場合、上流スイッチFiはオンである。上流スイッチFiがオンである場合、上流スイッチFiのドレイン及びソース間の抵抗値は十分に小さい。このため、上流スイッチFiのドレイン及びソースを介して電流が流れることが可能である。
【0130】
上流スイッチFiそれぞれについて、基準電位がソースの電位であるゲートの電圧値が一定電圧値未満である場合、上流スイッチFiはオフである。上流スイッチFiがオフである場合、上流スイッチFiのドレイン及びソース間の抵抗値は十分に大きい。このため、上流スイッチFiのドレイン及びソースを介して電流が流れることはない。
【0131】
上流スイッチFi及び下流スイッチGaがオンである場合、電流は直流電源10の正極からヒューズ11、上流スイッチFi、負荷E1及び下流スイッチGaの順に流れる。負荷Eiに電力が供給される。上流スイッチFi及び下流スイッチGa中の少なくとも一方がオフである場合、負荷Eiを介して電流が流れることはない。従って、下流スイッチGaがオフである場合、n個の負荷E1,E2,・・・,Enに電力が供給されることはない。
【0132】
上流スイッチF1,F2,・・・,Fn及び下流スイッチGaがオンである場合、ヒューズ11から出力された電流はn個の電流に分けられる。1個の電流は、実施形態1と同様に、上流スイッチF1、負荷E1及び下流スイッチGaの順に流れる。残りの(n-1)個の電流それぞれは、上流スイッチFi、負荷Ei及び下流スイッチGaの順に流れる。従って、ヒューズ11から出力されたn個の電流それぞれの電流経路に、n個の負荷E1,E2,・・・,En中の1つが配置されている。各電流経路に配置されている負荷は、他の電流経路に配置されている負荷とは異なる。
【0133】
負荷E1を介して流れる電流の電流経路において、上流スイッチF1は負荷E1の上流側に配置されている。この電流経路において、下流スイッチGaは負荷E1の下流側に配置されている。同様に、負荷Eiを介して流れる電流の電流経路において、上流スイッチFiは負荷Eiの上流側に配置されている。この電流経路において、下流スイッチGaは負荷Eiの下流側に配置されている。従って、n個の電流は共通の下流スイッチGaを介して流れる。
【0134】
マイコン21は、駆動回路Kiにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン21は、駆動回路Kiに出力している電圧をハイレベル電圧又はローレベル電圧に切替える。駆動回路Kiは、駆動回路K1と同様に、マイコン21から入力されている電圧に応じて、上流スイッチFiのゲート電圧値を調整する。ゲート電圧値の基準電位は接地電位である。駆動回路Kiは、駆動回路K1と同様に、マイコン21から入力されている電圧に応じて上流スイッチFiをオン又はオフに切替える。
【0135】
電圧検出回路Miは、電圧検出回路M1と同様に、上流スイッチFiのソース電圧値を検出する。ソース電圧値の基準電位は接地電位である。電圧検出回路Miは、検出したソース電圧値を示すアナログの電圧値情報をマイコン21に出力する。
【0136】
マイコン21は、例えば、受信した通信データ、又は、センサ13から入力されたセンサデータに基づいて、負荷Eiに電力を供給するか否かを判定する。マイコン21は、負荷Eiに電力を供給すると判定した場合、下流スイッチGaをオンに維持している状態で、駆動回路Kiに出力している電圧をローレベル電圧からハイレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路Kiは上流スイッチFiをオンに切替える。結果、負荷Eiに電力が供給される。
【0137】
マイコン21は、例えば、受信した通信データ、又は、センサ13から入力されたセンサデータに基づいて、負荷Eiへの給電を停止するか否かを判定する。マイコン21は、負荷Eiへの給電を停止すると判定した場合、下流スイッチGaをオンに維持している状態で、駆動回路Kiに出力している電圧をハイレベル電圧からローレベル電圧に切替える。これにより、駆動回路Kiは上流スイッチF1をオフに切替える。結果、負荷Eiへの給電が停止する。マイコン21は、例えば、車両Cのイグニッションスイッチがオフに切替わった場合、下流スイッチGaをオフに切替える。
【0138】
マイコン21は、電圧検出回路Miから入力された電圧値情報、即ち、電圧検出回路Miが検出した上流スイッチFiのソース電圧値に基づいて、上流スイッチFiの短絡故障が発生したか否かを判定する。上流スイッチFiの短絡故障は、上流スイッチFiのオフへの切替えが指示されているにも関わらず、上流スイッチFiのドレイン及びソースを介して電流が流れる現象である。マイコン21は、上流スイッチFiの短絡故障が発生していると判定した場合、下流スイッチGaをオフに切替える。
【0139】
<マイコン21の構成>
図13はマイコン21の要部構成を示すブロック図である。実施形態4におけるマイコン21は、実施形態1におけるECU12が有する構成部を同様に有する。実施形態4におけるECU12は、更に、(n-1)個の第1出力部T1,T2,・・・,Tn及び(n-1)個のA/D変換部X2,X3,・・・,Xnを有する。第1出力部Tiは、更に、駆動回路Kiに接続されている。A/D変換部Xiは、更に、電圧検出回路Miに接続されている。
【0140】
マイコン21に電力が供給された場合、第1出力部Ti及びA/D変換部Xiに電力が供給される。第1出力部Ti及びA/D変換部Xiには、ヒューズ11及び上流スイッチFi間の接続ノードから電力が供給される。
【0141】
第1出力部Tiは駆動回路Kiにハイレベル電圧又はローレベル電圧を出力している。マイコン21が駆動回路Kiに出力している電圧は、第1出力部Tiが駆動回路Kiに出力している電圧である。制御部33は、第1出力部Tiに上流スイッチFiのオン又はオフへの切替えを指示する。制御部33が第1出力部Tiに上流スイッチFiのオンへの切替えを指示した場合、第1出力部Tiは、駆動回路Kiに出力している電圧をハイレベル電圧に切替える。制御部33が第1出力部Tiに上流スイッチFiのオフへの切替えを指示した場合、第1出力部Tiは、駆動回路Kiに出力している電圧をローレベル電圧に切替える。
【0142】
電圧検出回路MiはA/D変換部Xiにアナログの電圧値情報を出力する。A/D変換部Xiは、電圧検出回路Miから入力されたアナログの電圧値情報をデジタルの電圧値情報に変換する。制御部33は、A/D変換部Xiが変換したデジタルの電圧値情報を取得する。前述したように、電圧値情報は、上流スイッチFiのソース電圧値を示す。A/D変換部Xiが変換した電圧値情報の取得は、上流スイッチFiのソース電圧値の取得に相当する。
【0143】
制御部33の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、実施形態1と同様に、書き込み処理、送信処理、下流スイッチ制御処理及び負荷E1の給電制御処理等を実行する。制御部33の処理素子は、コンピュータプログラムPを実行することによって、負荷Eiの給電制御処理を更に実行する。負荷Eiの給電制御処理は、負荷Eiの給電を制御する処理である。制御部33は、n個の負荷E1,E2,・・・,Enそれぞれの給電制御処理を実行する。送信処理は、負荷E1,E2,・・・,Enの給電の制御に関する処理とは異なる。
【0144】
制御部33が有する処理素子の数が2以上である場合、制御部33が有する複数の処理素子は、協同して書き込み処理、送信処理、下流スイッチ制御処理及び負荷E1,E2,・・・,Enの給電制御処理等を実行してもよい。
【0145】
<負荷Eiの給電制御処理>
制御部33は、下流スイッチGaがオンである場合に、負荷Eiの給電制御処理を、負荷E1の給電制御処理と同様に実行する。負荷E1の給電制御処理の説明において、負荷E1、上流スイッチF1、駆動回路K1、第1出力部T1及びA/D変換部X1それぞれを、負荷Ei、上流スイッチFi、駆動回路Ki、第1出力部Ti及びA/D変換部Xiに置き換える。これにより、負荷Eiの給電制御処理を説明することができる。制御部33は、下流スイッチGaがオンであり、かつ、上流スイッチFiのオフへの切替えを指示している状態で上流スイッチFiのソース電圧値が電圧閾値以上である場合、上流スイッチFiの短絡故障の発生を検知する。
【0146】
制御部33は、負荷E1,E2,・・・,Enの給電制御処理中の1つでステップS37を実行した場合、残りの給電制御処理を終了する。ステップS37では、制御部33は第2出力部Uに下流スイッチGaのオフへの切替えを指示する。制御部33は、負荷E1,E2,・・・,Enのの給電制御処理を再び実行することはない。
【0147】
以上のように、制御部33は負荷E1,E2,・・・,Enの給電制御処理を実行する。従って、制御部33は、n個の上流スイッチF1,F2,・・・,Fnそれぞれのオン又はオフへの切替えを指示する。制御部33は、n個の上流スイッチF1,F2,・・・,Fnの1つについてオフへの切替えを指示している状態で、オフへの切替えが指示されている上流スイッチを介して電流が流れているか否かを判定する。制御部33は、オフへの切替えが指示されている上流スイッチを介して電流が流れていると判定した場合、下流スイッチGaのオフへの切替えを第2出力部Uに指示する。
【0148】
<ECU12の効果>
実施形態4におけるECU12では、マイコン21の第2出力部Uが下流スイッチGaをオフに切替えることによって、n個の負荷E1,E2,・・・,Enへの給電を停止することができる。実施形態4におけるECU12は、実施形態1におけるECU12が奏する効果を同様に奏する。
【0149】
<実施形態4の変形例>
実施形態4におけるECU12では、実施形態2又は実施形態3と同様に、下流スイッチGbが下流スイッチGaの上流側又は下流側に設けられてもよい。この場合、直流電源10の接続が逆接続である場合であっても、2つの下流スイッチGa,Gbがオフである限り、寄生ダイオードJa,Jbを介して電流が流れることはない。
【0150】
(実施形態5)
実施形態1では、マイコン21の制御部33は、上流スイッチF1を介して電流が流れているか否かの判定に上流スイッチF1のソース電圧値を用いている。しかしながら、上流スイッチF1を介して電流が流れているか否かの判定に用いる値は、上流スイッチF1のソース電圧値に限定されない。
以下では、実施形態5について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0151】
<ECU12の構成>
図14は実施形態5におけるECU12の要部構成を示すブロック図である。実施形態5におけるECU12は、実施形態1におけるECU12が有する構成部の中で、電圧検出回路M1を除く他の構成部を同様に有する。実施形態5におけるECU12は、更に、電流出力回路Q1及び抵抗R1を有する。電流出力回路Q1は、上流スイッチF1のドレインと、抵抗R1の一端とに接続されている。抵抗R1の他端は接地されている。電流出力回路Q1及び抵抗R1間の接続ノードは、マイコン21が有するA/D変換部X1に接続されている。
【0152】
電流出力回路Q1は、上流スイッチF1のドレインから電流を引き込み、引き込んだ電流を抵抗R1に出力する。上流スイッチF1を介して流れる電流の電流値をスイッチ電流値と記載する。電流出力回路Q1が抵抗R1に出力する電流の電流値を抵抗電流値と記載する。電流出力回路Q1は、抵抗電流値を(スイッチ電流値)/(所定数)に調整する。所定数は例えば1000である。
【0153】
抵抗R1の両端電圧値は、(スイッチ電流値)・(抵抗R1の抵抗値)/(所定数)で表される。「・」は積を表す。抵抗R1の抵抗値及び所定数は一定値である。従って、抵抗R1の両端電圧値は、スイッチ電流値を示すアナログの電流値情報である。電流値情報は、マイコン21のA/D変換部X1に出力される。
【0154】
<マイコン21の構成>
マイコン21のA/D変換部X1は、電流出力回路Q1及び抵抗R1間の接続ノードから入力されたアナログの電流値情報をデジタルの電流値情報に変換する。制御部33は、A/D変換部X1が変換したデジタルの電流値情報を取得する。電流値情報の取得はスイッチ電流値の取得に相当する。
【0155】
<給電制御処理>
給電制御処理のステップS35では、マイコン21の制御部33は、A/D変換部X1から電流値情報を取得する。制御部33が取得した電流値情報が示すスイッチ電流値は、取得時点におけるスイッチ電流値に実質的に一致する。給電制御処理のステップS36では、制御部33は、ステップS35で取得した電流値情報が示すスイッチ電流値がゼロAである場合、上流スイッチF1を介して電流が流れていないと判定する。制御部33は、ステップS35で取得した電流値情報が示すスイッチ電流値がゼロAを超えている場合、上流スイッチF1を介して電流が流れていると判定する。
【0156】
<ECU12の効果>
実施形態5におけるECU12は、実施形態1におけるECU12が奏する効果を同様に奏する。
【0157】
<実施形態5の変形例>
上流スイッチF1を介して流れる電流の電流値を検出する構成は、電流出力回路Q1を用いた構成に限定されず、例えばシャント抵抗を用いた構成であってもよい。この場合、上流スイッチF1のソース及び負荷E1の上流側の一端間にシャント抵抗を配置する。シャント抵抗の抵抗値は一定値である。このため、シャント抵抗の両端間の電圧値は、スイッチ電流値を示すアナログの電流値情報である。電流値情報はA/D変換部X1に入力される。実施形態5におけるECU12では、実施形態2又は実施形態3と同様に、下流スイッチGbが下流スイッチGaの上流側又は下流側に設けられてもよい。
【0158】
<実施形態1~5の変形例>
実施形態2,3において、実施形態5と同様に、電圧値情報ではなく、電流値情報が、上流スイッチF1を介して電流が流れているか否かの判定に用いられてもよい。実施形態4において、n個の上流スイッチF1,F2,・・・,Fn中の少なくとも1つについて、電圧値情報ではなく、電流値情報が、電流が流れているか否かの判定に用いられてもよい。
【0159】
実施形態1~3,5において、負荷E1の上流側に2つの上流スイッチが配置されてもよい。この場合、2つの上流スイッチは、実施形態2又は実施形態3における2つの下流スイッチGa,Gbと同様に接続される。2つの上流スイッチが用いられている場合、下流スイッチGbは設けられていなくてもよい。同様に、実施形態4において、各負荷の上流側に2つの上流スイッチが配置されてもよい。この場合も、2つの上流スイッチは、実施形態2又は実施形態3における2つの下流スイッチGa,Gbと同様に接続される。各負荷の上流側に2つの上流スイッチが設けられている場合、下流スイッチGbは設けられていなくてもよい。負荷の上流側に2つの上流スイッチが設けられている場合、2つの上流スイッチのゲートは共通の駆動回路に接続されている。駆動回路は両方の上流スイッチをオン又はオフに切替える。
【0160】
実施形態1では、マイコン21の制御部33は、下流スイッチGaをオンに維持した状態で上流スイッチF1のオン又はオフへの切替えを指示する。これにより、負荷E1への給電が制御される。しかしながら、制御部33は、上流スイッチF1をオンに維持した状態で下流スイッチGaのオン又はオフへの切替えを指示してもよい。この構成では、制御部33は、下流スイッチGaのオフへの切替えを指示した場合、下流スイッチGaを介して電流が流れているか否かを判定する。制御部33は、下流スイッチGaを介して電流が流れていると判定した場合、上流スイッチF1のオフへの切替えを指示する。この場合、上流スイッチF1及び下流スイッチGaそれぞれは、第2スイッチ及び第1スイッチとして機能する。
【0161】
この構成では、ECU12では下流スイッチGaを介して流れる電流の電流値が検出される。制御部33は、下流スイッチGaを介して流れる電流の電流値に基づいて、下流スイッチGaを介して電流が流れているか否かを判定する。実施形態2,3,5でも、制御部33は、上流スイッチF1をオンに維持した状態で下流スイッチGaのオン又はオフへの切替えを指示してもよい。制御部33は下流スイッチGaの短絡故障を検知する。
【0162】
下流スイッチGaの短絡故障の発生を検知する構成で負荷の数を1からnに増やす場合、共通の上流スイッチ及びn個の下流スイッチが用いられる。各負荷の下流側に1つの下流スイッチが配置される。この場合、n個の下流スイッチは、実施形態4におけるn個の上流スイッチF1,F2,・・・,Fnと同様に制御される。共通の上流スイッチは、実施形態4における共通の下流スイッチGaと同様に制御される。
【0163】
下流スイッチGaの短絡故障を検知する構成でも、負荷の下流側に2つの下流スイッチが配置されもよい。更に、負荷の上流側に2つの上流スイッチを配置してもよい。
【0164】
実施形態1~5において、上流スイッチは、Nチャネル型のMOSFETに限定されず、他のスイッチであってもよい。他のスイッチの例として、Pチャネル型のMOSFET、MOSFETとは異なるFET、バイポーラトランジスタ及びリレー接点が挙げられる。寄生ダイオードが形成されないスイッチが用いられる場合においては、2つの上流スイッチを直列に接続する必要はない。
【0165】
同様に、実施形態1~5において、下流スイッチは、Nチャネル型のMOSFETに限定されず、他のスイッチであってもよい。他のスイッチの例として、Pチャネル型のMOSFET、MOSFETとは異なるFET、バイポーラトランジスタ及びリレー接点が挙げられる。寄生ダイオードが形成されないスイッチが用いられる場合においては、2つの下流スイッチを直列に接続する必要はない。
【0166】
実施形態1~5において、ECU12のマイコン21に接続されるセンサ13の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。この場合、給電制御処理のステップS31,S33それぞれでは、マイコン21の制御部33は、通信部30が受信した通信データ及び複数のセンサ13から入力された複数のセンサデータ中の少なくとも1つを用いてもよい。給電の制御に無関係な処理は、送信処理に限定されず、送信処理とは異なる処理であってもよい。
【0167】
実施形態1~5で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
開示された実施形態1~5はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0168】
1 電源システム
10 直流電源
11 ヒューズ
12 ECU(給電制御装置)
13 センサ
20 レギュレータ
21 マイコン
30 通信部
31 入力部
32 記憶部
33 制御部(処理部)
34 内部バス
A 記憶媒体
C 車両
E1,E2,・・・,En 負荷
F1,F2,・・・,Fn 上流スイッチ(第1スイッチ、第2スイッチ)
Ga,Gb 下流スイッチ(第1スイッチ、第2スイッチ)
H1,H2,・・・,Hn,Ja,Jb 寄生ダイオード
K1,K2,・・・,Kn 駆動回路
Lc 通信線
M1,M2,・・・,Mn 電圧検出回路
P コンピュータプログラム
Q1 電流出力回路
R1 抵抗
T1,T2,・・・,Tn 第1出力部
U 第2出力部
X1,X2,・・・,Xn A/D変換部