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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び送風装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/22 20060101AFI20241217BHJP
   B41J 11/06 20060101ALI20241217BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65H5/22 A
B41J11/06
B41J2/17 103
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021107562
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005561
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】滝島 慶悟
(72)【発明者】
【氏名】藤井 優和
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151002(JP,A)
【文献】特開2017-140762(JP,A)
【文献】特開2011-037143(JP,A)
【文献】特開2011-183746(JP,A)
【文献】特開2016-055471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0375708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/22
B41J 11/06
B41J 2/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるメディアに液体を吐出可能な吐出部と、
前記メディアを支持可能な支持面を有する支持部と、
前記メディアの搬送方向において前記吐出部より上流の前記メディアに送風可能な送風部と、を備え、
前記送風部は、
前記支持面に向けて送風する第1ファンと、
前記搬送方向と交差する幅方向において前記第1ファンと並び、前記支持面に向けて送風する第2ファンと、
前記搬送方向と前記幅方向とに交差する高さ方向において前記支持面と対向する対向部材であって、前記高さ方向において前記第1ファンの一部及び前記第2ファンの一部と対向する前記対向部材と、
を備え、
前記対向部材は、前記高さ方向に開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記高さ方向から見て前記幅方向における前記第1ファンと前記第2ファンとの間に位置し、
前記搬送方向における第1位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第1間隔とし、前記第1位置より前記搬送方向の上流の第2位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第2間隔としたとき、
前記第2間隔は、前記第1間隔より大きい、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記幅方向において互いに向き合って前記開口部の少なくとも一部を構成する第1稜線部及び第2稜線部を有し、
前記第1稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第1ファンの送風範囲内に位置し、
前記第2稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第2ファンの送風範囲内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1稜線部及び前記第2稜線部のそれぞれは、前記第2間隔が前記第1間隔より大きくなるように、前記幅方向に対して傾斜される、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記対向部材は、前記第1ファン及び前記第2ファンのそれぞれに対して対向する対向面を有し、
前記対向面と交差する方向で且つ前記対向部材から前記第1ファン及び前記第2ファンに向かう方向を第1方向としたとき、
前記対向部材は、前記第1稜線部から前記第1方向に延びる第1延出部と、前記第2稜線部から前記第1方向に延びる第2延出部と、が設けられる、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記送風部は、前記第1ファン及び前記第2ファンの両方を保持する保持部を有し、
前記対向部材が外力に応じて前記支持面に対する位置を変更可能となるように、前記保持部と前記対向部材とを連結する連結部が設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
強磁性を有する材料で構成され且つ前記吐出部を支持するフレーム部材を有し、
前記送風部は、永久磁石を含む取付部を有し、且つ、前記永久磁石の磁力によって前記フレーム部材に対して着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記支持部は、回転可能な複数のローラーと、前記支持面を有し前記複数のローラーに掛け回された搬送ベルトと、を含み、
前記搬送方向において前記吐出部より上流には、前記支持面に前記メディアを押し付ける押付ローラーが設けられ、
前記押付ローラーは、前記搬送方向と、前記搬送方向とは反対の逆搬送方向とに往復移動が可能であり、
前記送風部は、前記搬送方向において前記押付ローラーより下流且つ前記吐出部より上流に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
メディアを支持可能な支持面を有する支持部と、
前記メディアに液体を吐出可能な吐出部より前記メディアの搬送方向において上流の前記メディアに送風可能な送風部と、を備え、
前記送風部は、
前記支持面に向けて送風する第1ファンと、
前記搬送方向と交差する幅方向において前記第1ファンと並び、前記支持面に向けて送風する第2ファンと、
前記搬送方向と前記幅方向とに交差する高さ方向において前記支持面と対向する対向部材であって、前記高さ方向において前記第1ファンの一部及び前記第2ファンの一部と対向する前記対向部材と、
を備え、
前記対向部材は、前記高さ方向に開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記高さ方向から見て前記幅方向における前記第1ファンと前記第2ファンとの間に位置し、
前記搬送方向における第1位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第1間隔とし、前記第1位置より前記搬送方向の上流の第2位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第2間隔としたとき、
前記第2間隔は、前記第1間隔より大きい、
ことを特徴とする送風装置。
【請求項9】
前記開口部は、前記幅方向において互いに向き合って前記開口部の少なくとも一部を構成する第1稜線部及び第2稜線部を有し、
前記第1稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第1ファンの送風範囲内に位置し、
前記第2稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第2ファンの送風範囲内に位置する、
ことを特徴とする請求項8に記載の送風装置。
【請求項10】
前記第1稜線部及び前記第2稜線部のそれぞれは、前記第2間隔が前記第1間隔より大きくなるように、前記幅方向に対して傾斜される、
ことを特徴とする請求項9に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の記録装置は、被記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、被記録媒体の第1面と接触可能に設けられ第1面に送り力を付与する駆動ローラーと、駆動ローラーと対向する位置に設けられ被記録媒体の第2面に送風可能なファンと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-137164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような構成において、ファンから送り出された後で任意の面との衝突によって複数の方向に拡散された気流の一部が、液体を吐出する吐出ヘッドに向けて流れた場合、吐出された液体に気流が作用することで、液体の飛行状態が変わる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る液体吐出装置は、搬送されるメディアに液体を吐出可能な吐出部と、前記メディアを支持可能な支持面を有する支持部と、前記メディアの搬送方向において前記吐出部より上流の前記メディアに送風可能な送風部と、を備え、前記送風部は、前記支持面に向けて送風する第1ファンと、前記搬送方向と交差する幅方向において前記第1ファンと並び、前記支持面に向けて送風する第2ファンと、前記搬送方向と前記幅方向とに交差する高さ方向において前記支持面と対向する対向部材であって、前記高さ方向において前記第1ファンの一部及び前記第2ファンの一部と対向する前記対向部材と、を備え、前記対向部材は、前記高さ方向に開口する開口部を有し、前記開口部は、前記高さ方向から見て前記幅方向における前記第1ファンと前記第2ファンとの間に位置し、前記搬送方向における第1位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第1間隔とし、前記第1位置より前記搬送方向の上流の第2位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第2間隔としたとき、前記第2間隔は、前記第1間隔より大きいことを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明に係る送風装置は、メディアを支持可能な支持面を有する支持部と、前記メディアに液体を吐出可能な吐出部より前記メディアの搬送方向において上流の前記メディアに送風可能な送風部と、を備え、前記送風部は、前記支持面に向けて送風する第1ファンと、前記搬送方向と交差する幅方向において前記第1ファンと並び、前記支持面に向けて送風する第2ファンと、前記搬送方向と前記幅方向とに交差する高さ方向において前記支持面と対向する対向部材であって、前記高さ方向において前記第1ファンの一部及び前記第2ファンの一部と対向する前記対向部材と、を備え、前記対向部材は、前記高さ方向に開口する開口部を有し、前記開口部は、前記高さ方向から見て前記幅方向における前記第1ファンと前記第2ファンとの間に位置し、前記搬送方向における第1位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第1間隔とし、前記第1位置より前記搬送方向の上流の第2位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第2間隔としたとき、前記第2間隔は、前記第1間隔より大きいことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンターの全体構成を示す図。
図2】実施形態に係る送風ユニットを示す斜視図。
図3】実施形態に係る送風ユニットの単位ユニットを示す平面図。
図4】実施形態に係る送風ユニットの一部の斜視図。
図5】実施形態に係る送風ユニットの第1風向部材の斜視図。
図6】実施形態に係るプリンターの送風ユニット及び送風ユニットの周辺部を示す側面図。
図7】実施形態に係る送風ユニットにおいて生じた気流を示す斜視図。
図8】実施形態に係る送風ユニットにおいて生じた気流を示す平面図。
図9】実施形態に係る送風ユニットの第1ファン及び第1風向部材の周辺部において生じる気流を示す概略図。
図10】実施形態に係る送風ユニットの開口部の周辺部において生じる気流を示す概略図。
図11】本実施形態に係る送風ユニットを間隔d3Aの配置状態で使用した場合において気流の状態をシミュレーションした結果を示す概略図。
図12】本実施形態に係る送風ユニットを間隔d3Bの配置状態で使用した場合において気流の状態をシミュレーションした結果を示す概略図。
図13】本実施形態に係るプリンターにおいて搬送中のメディアを支持面に押し付けると共に送風を行う状態を示す概略図。
図14】比較例に係る送風ユニットを間隔DAの配置状態で使用した場合において気流の状態をシミュレーションした結果を示す概略図。
図15】比較例に係る送風ユニットを間隔DBの配置状態で使用した場合において気流の状態をシミュレーションした結果を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る液体吐出装置は、搬送されるメディアに液体を吐出可能な吐出部と、前記メディアを支持可能な支持面を有する支持部と、前記メディアの搬送方向において前記吐出部より上流の前記メディアに送風可能な送風部と、を備え、前記送風部は、前記支持面に向けて送風する第1ファンと、前記搬送方向と交差する幅方向において前記第1ファンと並び、前記支持面に向けて送風する第2ファンと、前記搬送方向と前記幅方向とに交差する高さ方向において前記支持面と対向する対向部材であって、前記高さ方向において前記第1ファンの一部及び前記第2ファンの一部と対向する前記対向部材と、を備え、前記対向部材は、前記高さ方向に開口する開口部を有し、前記開口部は、前記高さ方向から見て前記幅方向における前記第1ファンと前記第2ファンとの間に位置し、前記搬送方向における第1位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第1間隔とし、前記第1位置より前記搬送方向の上流の第2位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第2間隔としたとき、前記第2間隔は、前記第1間隔より大きいことを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記高さ方向において前記第1ファン及び前記第2ファンと前記対向部材とが対向しない部分では、前記第1ファン及び前記第2ファンから送り出された気流がそのまま前記メディアに到達する。これにより、前記メディアに付着した埃などの異物を気流によって除去することができる。
前記メディア又は前記支持面に衝突した気流は、衝突位置から前記メディア又は前記支持面に沿って放射状に広がる。このため、前記メディア又は前記支持面に衝突した気流の一部は、前記吐出部に向けて流れる場合がある。
ここで、前記高さ方向から見て、前記対向部材の前記開口部の形状が、前記搬送方向の上流が下流より前記幅方向に開いた形状となっているので、前記開口部の縁を通って前記メディア又は前記支持面へ向かう気流の一部は、前記搬送方向と交差する方向の成分を有するようになる。
さらに、前記開口部の前記搬送方向の下流では、前記開口部の前記搬送方向の上流に比べて前記幅方向に狭くなることで、気流の一部が互いに衝突され易くなる。
これらの作用により、前記開口部の縁を通って前記メディア又は前記支持面へ向かう気流をエアーカーテンとして機能させることが可能となるので、前記メディア又は前記支持面への衝突後に前記吐出部に向かう気流を効果的に低減できる。
そして、前記吐出部に向かう気流が低減されることで、前記吐出部から前記メディアへ吐出される前記液体の飛行状態の変化を抑制できる。
【0010】
第2の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様において、前記開口部は、前記幅方向において互いに向き合って前記開口部の少なくとも一部を構成する第1稜線部及び第2稜線部を有し、前記第1稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第1ファンの送風範囲内に位置し、前記第2稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第2ファンの送風範囲内に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記第1稜線部及び前記第2稜線部が、前記搬送方向における前記第1ファンの送風範囲内及び前記第2ファンの送風範囲内に無い構成に比べて、前記第1ファン及び前記第2ファンからそれぞれ前記幅方向に向かう気流の一部を、エアーカーテンとして効率的に利用できる。
【0011】
第3の態様に係る液体吐出装置は、第2の態様において、前記第1稜線部及び前記第2稜線部のそれぞれは、前記第2間隔が前記第1間隔より大きくなるように、前記幅方向に対して傾斜されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1稜線部及び前記第2稜線部のそれぞれが、前記第2間隔が前記第1間隔より大きくなるように、前記幅方向に対して傾斜されることで、前記開口部の前記幅方向の大きさを前記搬送方向の上流から下流に向けて連続的に小さくすることができる。
【0012】
第4の態様に係る液体吐出装置は、第2の態様又は第3の態様において、前記対向部材は、前記第1ファン及び前記第2ファンのそれぞれに対して対向する対向面を有し、前記対向面と交差する方向で且つ前記対向部材から前記第1ファン及び前記第2ファンに向かう方向を第1方向としたとき、前記対向部材は、前記第1稜線部から前記第1方向に延びる第1延出部と、前記第2稜線部から前記第1方向に延びる第2延出部と、が設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記対向面に沿う気流の一部は、前記第1延出部又は前記第2延出部に衝突することで前記高さ方向の上側へ向かう。そして、上側へ向かった気流は、前記第1延出部又は前記第2延出部を越えると共に、前記高さ方向の下側へ向かう。このように、前記第1延出部又は前記第2延出部に衝突されることで、前記気流の方向の成分が前記高さ方向の下側へ向かう成分に揃うので、前記高さ方向における前記対向部材と前記メディアとの距離が変更されることがあっても、前記メディアに向かう気流の方向の成分を揃えることができる。そして、前記メディアに向かう気流の方向の成分が揃うことで、前記吐出部から前記メディアへ吐出される前記液体の飛行状態の変化を抑制できる。
【0013】
第5の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか一つにおいて、前記送風部は、前記第1ファン及び前記第2ファンの両方を保持する保持部を有し、前記対向部材が外力に応じて前記支持面に対する位置を変更可能となるように、前記保持部と前記対向部材とを連結する連結部が設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記連結部は、前記対向部材が外力に応じて前記支持面に対する位置を変更可能となるように、前記保持部と前記対向部材とを連結する。ここで、前記支持部への前記メディアのセット作業において、前記メディアなどが前記対向部材と接触した場合、前記対向部材は、作用する外力に応じて前記支持面に対する位置を変える。これにより、前記対向部材の少なくとも一部を前記支持面から退避させることが可能となり、即ち、前記対向部材と前記支持面との間隔を広げられるので、前記支持部への前記メディアのセット作業の作業性を高めることができる。
【0014】
第6の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、強磁性を有する材料で構成され且つ前記吐出部を支持するフレーム部材を有し、前記送風部は、永久磁石を含む取付部を有し、且つ、前記永久磁石の磁力によって前記フレーム部材に対して着脱可能であることを特徴とする。
本態様によれば、前記取付部に対して前記永久磁石の磁力より大きい外力が作用されることで、前記送風部が前記フレーム部材から取り外される。また、前記永久磁石の磁力によって、前記フレーム部材に前記送風部を取り付けられる。このように、簡易な構成で前記送風部を取り付けることができる。
【0015】
第7の態様に係る液体吐出装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか一つにおいて、前記支持部は、回転可能な複数のローラーと、前記支持面を有し前記複数のローラーに掛け回された搬送ベルトと、を含み、前記搬送方向において前記吐出部より上流には、前記支持面に前記メディアを押し付ける押付ローラーが設けられ、前記押付ローラーは、前記搬送方向と、前記搬送方向とは反対の逆搬送方向とに往復移動が可能であり、前記送風部は、前記搬送方向において前記押付ローラーより下流且つ前記吐出部より上流に設けられることを特徴とする。
前記メディアの表面に塵埃などの異物が付着している場合、往復移動する前記押付ローラーを通過した後の前記メディアにおいて、当該異物が当該表面から分離し易くなることが判明した。
ここで、本態様によれば、異物が表面から分離しやすい状態の前記メディアに対して、前記送風部によって送風が行われるので、より異物の除去能力を高めることができる。
【0016】
第8の態様に係る送風装置は、メディアを支持可能な支持面を有する支持部と、前記メディアに液体を吐出可能な吐出部より前記メディアの搬送方向において上流の前記メディアに送風可能な送風部と、を備え、前記送風部は、前記支持面に向けて送風する第1ファンと、前記搬送方向と交差する幅方向において前記第1ファンと並び、前記支持面に向けて送風する第2ファンと、前記搬送方向と前記幅方向とに交差する高さ方向において前記支持面と対向する対向部材であって、前記高さ方向において前記第1ファンの一部及び前記第2ファンの一部と対向する前記対向部材と、を備え、前記対向部材は、前記高さ方向に開口する開口部を有し、前記開口部は、前記高さ方向から見て前記幅方向における前記第1ファンと前記第2ファンとの間に位置し、前記搬送方向における第1位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第1間隔とし、前記第1位置より前記搬送方向の上流の第2位置において、前記幅方向の前記開口部の間隔を第2間隔としたとき、前記第2間隔は、前記第1間隔より大きいことを特徴とする。
本態様によれば、前記高さ方向において前記第1ファン及び前記第2ファンと前記対向部材とが対向しない部分では、前記第1ファン及び前記第2ファンから送り出された気流がそのまま前記メディアに到達する。これにより、前記メディアに付着した埃などの異物を気流によって除去することができる。
前記メディア又は前記支持面に衝突した気流は、衝突位置から前記メディア又は前記支持面に沿って放射状に広がる。このため、前記メディア又は前記支持面に衝突した気流の一部は、前記吐出部に向けて流れる場合がある。
ここで、前記高さ方向から見て、前記対向部材の前記開口部の形状が、前記搬送方向の上流が下流より前記幅方向に開いた形状となっているので、前記開口部の縁を通って前記メディア又は前記支持面へ向かう気流の一部は、前記搬送方向と交差する方向の成分を有するようになる。
さらに、前記開口部の前記搬送方向の下流では、前記開口部の前記搬送方向の上流に比べて前記幅方向に狭くなることで、気流の一部が互いに衝突され易くなる。
これらの作用により、前記開口部の縁を通って前記メディア又は前記支持面へ向かう気流をエアーカーテンとして機能させることが可能となるので、前記メディア又は前記支持面への衝突後に前記吐出部に向かう気流を効果的に低減できる。
【0017】
第9の態様に係る送風装置は、第8の態様において、前記開口部は、前記幅方向において互いに向き合って前記開口部の少なくとも一部を構成する第1稜線部及び第2稜線部を有し、前記第1稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第1ファンの送風範囲内に位置し、前記第2稜線部は、前記高さ方向から見て前記搬送方向における前記第2ファンの送風範囲内に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記第1稜線部及び前記第2稜線部が、前記搬送方向における前記第1ファンの送風範囲内及び前記第2ファンの送風範囲内に無い構成に比べて、前記第1ファン及び前記第2ファンからそれぞれ前記幅方向に向かう気流の一部を、エアーカーテンとして効率的に利用できる。
【0018】
第10の態様に係る送風装置は、第9の態様において、前記第1稜線部及び前記第2稜線部のそれぞれは、前記第2間隔が前記第1間隔より大きくなるように、前記幅方向に対して傾斜されることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1稜線部及び前記第2稜線部のそれぞれが、前記第2間隔が前記第1間隔より大きくなるように、前記幅方向に対して傾斜されることで、前記開口部の前記幅方向の大きさを前記搬送方向の上流から下流に向けて連続的に小さくすることができる。
【0019】
以下、実施形態として、液体吐出装置の一例であるプリンター10を具体的に説明する。
図1には、設置場所の一例である床部2に設置されたプリンター10の全体構成が示される。プリンター10は、メディアMに記録を行う。メディアMの例として、布帛や用紙がある。本実施形態では、メディアMの一例として、布帛を用いている。なお、各図において示されるX-Y-Z座標系は、直交座標系である。
床部2には、不図示の排気装置が設置される。排気装置は、後述する排気ダクト54に接続されており、吸気を行う。
【0020】
X方向は、プリンター10の装置奥行方向の一例である。X方向を示す矢印の基端側を-X方向、X方向を示す矢印の先端側を+X方向とする。また、X方向は、幅方向の一例である。
Y方向は、プリンター10の装置幅方向の一例である。Y方向を示す矢印の先端側を+Y方向、Y方向を示す矢印の基端側を-Y方向とする。また、+Y方向は、メディアMの搬送方向の一例である。
Z方向は、プリンター10の高さ方向の一例であり、X方向及びY方向の両方と直交する方向である。Z方向を示す矢印の先端側を+Z方向、Z方向を示す矢印の基端側を-Z方向とする。以後の説明では、+Z方向を上方、-Z方向を下方と称する場合がある。
【0021】
プリンター10は、一例として、本体ユニット12と、搬送ユニット20と、記録ユニット30と、不図示のクリーニングユニットと、制御ユニット38と、押付ユニット40と、フレーム部材46と、吸気ユニット50と、送風ユニット60とを含んで構成される。また、プリンター10は、一例として、インクジェット方式の記録を行う。
【0022】
本体ユニット12は、プリンター10の各部が設けられる基部として構成される。本体ユニット12は、本体ユニット12の骨格の一部を成す本体フレーム13と、本体フレーム13に取り付けられた側板14と、本体フレーム13に対して-Y方向に位置する第1支持フレーム16と、本体フレーム13に対して+Y方向に位置する第2支持フレーム18とを含んで構成される。
第1支持フレーム16は、後述するグルーベルト26の内周面27に接触する。第1支持フレーム16は、後述する押付ローラー42から作用する荷重を受けることで、グルーベルト26及びメディアMを支持する。
第2支持フレーム18は、内周面27に接触する。第2支持フレーム18は、後述する吐出ヘッド32に対する下方に位置し、グルーベルト26及びメディアMを支持する。
【0023】
搬送ユニット20は、駆動ローラー21と、従動ローラー22と、グルーベルト26とを含む。グルーベルト26は、メディアMを支持する支持部の一例である。
+Y方向において、駆動ローラー21は従動ローラー22に対する下流に配置される。また、駆動ローラー21及び従動ローラー22は、いずれもX方向に沿った回転軸を有する。駆動ローラー21の回転は、後述する制御ユニット38によって制御される。駆動ローラー21及び従動ローラー22は、回転可能な複数のローラーの一例である。
【0024】
グルーベルト26は、後述する支持面28Aを有し駆動ローラー21及び従動ローラー22に掛け回された搬送ベルトの一例である。グルーベルト26は、弾性を有する平板の両端を接合した無端ベルトとして構成される。グルーベルト26は、周回移動されることで、メディアMを+Y方向に搬送可能である。このように、搬送ユニット20は、駆動ローラー21の回転によるグルーベルト26の周回移動に伴って、メディアMを+Y方向に搬送可能である。
【0025】
グルーベルト26の外周面28は、一例として、粘着性を有しており、メディアMを支持可能で且つ吸着可能である。粘着性とは、他の部材と一時的に接着可能であり且つ接着状態からの剥離が可能となる特性を意味する。
外周面28のうち、駆動ローラー21と従動ローラー22との間で且つ+Z方向に位置する平坦な部分が、支持面28Aである。換言すると、グルーベルト26は、メディアMを支持可能な支持面28Aを有する。支持面28Aの一部は、後述する記録ユニット30とZ方向に対向する。
不図示のクリーニングユニットは、グルーベルト26が周回移動する方向において駆動ローラー21よりも下流に位置し、外周面28を清掃する。
【0026】
記録ユニット30は、+Y方向に搬送されるメディアMに記録可能に構成される。具体的には、記録ユニット30は、吐出部の一例としての吐出ヘッド32と、吐出ヘッド32をX方向に沿って往復移動が可能に支持するキャリッジ34とを含む。また、記録ユニット30は、グルーベルト26よりも上方に配置される。
吐出ヘッド32は、不図示の複数のノズルを有し、支持面28Aに対する上方に位置する。吐出ヘッド32は、当該複数のノズルからメディアMの被記録面に液体の一例としてのインクQを吐出可能に構成されており、メディアMへの記録が可能である。吐出ヘッド32と、支持面28A又はメディアMとの間の空間部33は、空気が流通可能である。
【0027】
制御ユニット38は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成されており、プリンター10の各部の動作を制御する。
【0028】
押付ユニット40は、一例として、押付ローラー42と、ローラー支持部44とを有する。
押付ローラー42は、一例として、軸部を構成する芯金の外周面にシリコンゴムを含む弾性部が形成されたローラーである。押付ローラー42の不図示の軸部は、X方向に延びる。押付ローラー42は、メディアMの搬送方向である+Y方向において吐出ヘッド32より上流に設けられ、支持面28Aに対して+Z方向の位置から-Z方向の位置に向けてメディアMを押し付ける押付部材の一例である。
【0029】
ローラー支持部44は、不図示の軸受部を含んで構成されており、押付ローラー42を回転可能に支持する。また、ローラー支持部44は、リニアスライダーとしての機能も有しており、押付ローラー42がメディアMとの接触状態を維持したまま、押付ローラー42の軸部を+Y方向及び-Y方向に往復移動させる。換言すると、押付ローラー42は、搬送方向の一例としての+Y方向と、+Y方向とは反対の逆搬送方向の一例としての-Y方向とに往復移動可能である。
さらに、ローラー支持部44は、不図示のカムが動作されることで、押付ローラー42を支持面28A及びメディアMに対して離れる方向に移動させる。
【0030】
フレーム部材46は、+Y方向において吐出ヘッド32より上流且つ押付ローラー42より下流に設けられる。フレーム部材46は、強磁性を有する材料の一例である鉄を含む金属で構成される。本実施形態において、強磁性を有する材料は、比透磁率が10以上の材料を意味する。
フレーム部材46は、X方向に延びる四角筒状の部材として構成される。フレーム部材46は、後述するスライド部48が設けられる。フレーム部材46は、スライド部48を介してキャリッジ34及び吐出ヘッド32を支持する。
フレーム部材46の内側には、後述する排気ダクト54が設けられる。
【0031】
フレーム部材46の下方の下面47は、X-Y面に沿った平面である。下面47は、支持面28A又はメディアMとZ方向に対向するフレーム面の一例である。下面47と支持面28AとのZ方向の間隔を間隔d1〔mm〕(図6)とする。
スライド部48は、一例として、フレーム部材46に取り付けられX方向に往復移動が可能な可動部48Aと、可動部48Aの+Y方向の端部に取り付けられ且つ記録ユニット30を支持するアーム部48Bと、可動部48Aの-Y方向の端部に取り付けられ不図示の配線及びチューブを保護する保護部48Cとを有する。
【0032】
吸気ユニット50は、一例として、下部ダクト52と、排気ダクト54と、不図示の吸気ファンとを含んで構成される。吸気ユニット50は、下面47と支持面28Aとの間に設けられる。吸気ユニット50は、下面47と支持面28AとのZ方向の間隔を狭める間隔変更部の一例である。吸気ユニット50と支持面28Aとの間には、空間部55が形成される。
【0033】
図6に示されるように、下部ダクト52は、一例として、X方向においてグルーベルト26の長さとほぼ等しい長さを有する。下部ダクト52の+Y方向の端部は、吐出ヘッド32(図1)に向けて開口される。下部ダクト52の下方の下面53は、X-Y面に沿った平面である。下面53は、支持面28A又はメディアMとZ方向に対向する。下面53と支持面28AとのZ方向の間隔を間隔d2〔mm〕とする。間隔d2の大きさは、間隔d1の大きさより小さい。
排気ダクト54は、フレーム部材46を介して下部ダクト52と接続される。排気ダクト54の一端部には、不図示の吸気ファンが取り付けられる。
【0034】
図1に示されるように、吸気ユニット50は、不図示の吸気ファンが回転されることで、下部ダクト52において吸気を行う。吐出ヘッド32とメディアM又は支持面28Aとの間に滞留するミストや埃などは、吸気ユニット50によって吸気される。吸気ユニット50における吸気方向は、矢印N(図13)で示される。
【0035】
送風ユニット60は、+Y方向において吐出ヘッド32より上流のメディアMに送風可能な送風部の一例である。送風ユニット60は、+Y方向において押付ローラー42より下流、且つ、+Y方向において吐出ヘッド32より上流に設けられる。さらに、送風ユニット60は、+Y方向においてフレーム部材46より上流に設けられる。
なお、本実施形態では、一例として、グルーベルト26と送風ユニット60とで、送風装置25が構成される。また、グルーベルト26と、押付ローラー42と、フレーム部材46と、送風ユニット60とにより、搬送装置24が構成される。
【0036】
図2に示されるように、送風ユニット60は、一例として、保持フレーム62と、取付フレーム67と、ブラケット68と、マグネット69と、X方向に並ぶ5組の単位ユニット70とを有する。
【0037】
保持フレーム62は、後述する第1ファン72及び第2ファン76(図3)の両方を保持する保持部の一例である。保持フレーム62は、X方向に長尺の部材である。保持フレーム62のX方向の長さは、グルーベルト26(図1)のX方向の長さより長い。保持フレーム62のX方向の中央を通りY方向に延びる仮想線を中心線C1とする。
送風ユニット60の各部は、一例として、X方向において、中心線C1に対してほぼ線対称に構成される。
【0038】
図6に示されるように、保持フレーム62は、X方向から見て、上壁63と、前壁64と、後壁65とを有し、-Y方向且つ-Z方向の位置に向けて開口されたU字形の断面形状を有する。
以後の説明では、後述する第1ファン72及び第2ファン76(図3)のそれぞれの回転中心軸が延びる方向をA方向とする。A方向を示す矢印の基端側を-A方向、A方向を示す矢印の先端側を+A方向とする。
また、X方向から見て、A方向と直交する方向をB方向とする。B方向を示す矢印の基端側を-B方向、B方向を示す矢印の先端側を+B方向とする。
【0039】
上壁63は、+Y方向における上流端が下流端より+Z方向に位置するように、+Y方向と交差する方向に延びる。上壁63には、X方向に間隔をあけて複数のスリット63A(図2)が設けられる。上壁63において、後述する第1ファン72及び第2ファン76(図3)は、不図示のネジを用いて上壁63に取り付けられることで、上壁63に保持される。
前壁64は、上壁63の+Y方向の上流端からA方向に延びる。
後壁65は、上壁63の+Y方向の下流端からA方向に延びる。後壁65のA方向の長さは、一例として、前壁64のA方向の長さより長い。後壁65には、A方向に開口する切欠部66が設けられる。
切欠部66は、後述する第1風向部材84、第2風向部材104(図3)の位置に合わせて設けられる。
【0040】
図2に示されるように、取付フレーム67は、保持フレーム62のX方向の両端部から+Y方向に延びる。取付フレーム67は、X-Y面に沿った上面67Aを有する。
ブラケット68は、保持フレーム62のX方向の中央に設けられる。ブラケット68は、X-Y面に沿った上面68Aを有する。
【0041】
マグネット69は、永久磁石を含む取付部の一例であり、取付フレーム67に5つ設けられる。マグネット69は、一例として、Z方向に所定の厚さを有し且つ円板形状の外形を有する。マグネット69は、一例として、それぞれの上面67Aに2つ、上面68Aに1つ設けられる。マグネット69のZ方向の下面は、取付フレーム67に固定される。
マグネット69のZ方向の上面は、フレーム部材46の下面47(図6)の一部に磁力によって取り付けられる。マグネット69は、磁力より大きい外力が作用した場合、フレーム部材46から取り外される。このように、送風ユニット60は、永久磁石の磁力によってフレーム部材46に対して着脱可能である。
【0042】
図3に示されるように、単位ユニット70は、一例として、第1ファン72と、第2ファン76と、対向部82と、2つのヒンジ部126(図4)とを備える。
第1ファン72は、不図示の電源から電力を供給されることで回転する。第1ファン72の回転の制御は、制御ユニット38(図1)により行われる。第1ファン72は、支持面28A(図1)に向けて送風する。
具体的には、第1ファン72は、本体部73と、不図示の翼部とを含んで構成される。本体部73には、翼部の回転方向に8等分された円環状の孔部から成り、且つ本体部73をA方向に貫通する流出口74が形成される。流出口74の外周の円弧を繋ぐことで得られる円形の領域を、仮想の送風領域S1とする。送風領域S1の内側では、第1ファン72が動作した場合、気流K1(図7)が生じる。
【0043】
第2ファン76は、不図示の電源から電力を供給されることで回転する。第2ファン76の回転の制御は、制御ユニット38(図1)により行われる。第2ファン76は、+Y方向と交差するX方向において第1ファン72と並び、支持面28Aに向けて送風する。
具体的には、第2ファン76は、本体部77と、不図示の翼部とを含んで構成される。本体部77には、翼部の回転方向に8等分された円環状の孔部から成り、且つ本体部77をA方向に貫通する流出口78が形成される。流出口78の外周の円弧を繋ぐことで得られる円形の領域を、仮想の送風領域S2とする。送風領域S2の内側では、第2ファン76が動作した場合、気流K8(図7)が生じる。
【0044】
本実施形態では、一例として、第1ファン72と第2ファン76が同様の部材により構成される。つまり、第1ファン72と第2ファン76は、同じ材料から成り、同程度の大きさ及び質量を有し、同程度の送風能力を有する。
また、第1ファン72と第2ファン76は、X方向に平行移動させた場合に互いの全体が重なる位置関係にある。第1ファン72の回転中心CAと、第2ファン76の回転中心CBとのX方向の間隔に相当する長さを、長さL1とする。
【0045】
対向部82は、+Y方向とX方向とに交差するZ方向において支持面28A(図1)と対向する。対向部82は、Z方向において第1ファン72の一部及び第2ファン76の一部と対向する対向部材の一例である。第1ファン72の一部は、一例として、第1ファン72の回転中心CAより+Y方向の部位である。第2ファン76の一部は、一例として、第2ファン76の回転中心CBより+Y方向の部位である。
【0046】
対向部82は、一例として、第1風向部材84と、第2風向部材104と、開口部132とを有する。また、対向部82は、第1ファン72及び第2ファン76のそれぞれに対して対向する、後述する対向面87、107を有する。
対向面87、107と交差する方向で且つ対向部82から第1ファン72及び第2ファン76に向かう方向を、第1方向の一例であるD方向(図5)とする。D方向を示す矢印の基端側を-D方向、D方向を示す矢印の先端側を+D方向とする。
また、D方向から見て、X方向及びD方向の両方と直交する方向をC方向(図5)とする。C方向は、+Y方向且つ+Z方向の位置に向けて延びる方向である。C方向を示す矢印の基端側を-C方向、C方向を示す矢印の先端側を+C方向とする。
対向部82のうち最も下方に位置する部位となる対向部82の-C方向の端部と、支持面28AとのZ方向の間隔を間隔d3〔mm〕(図6)とする。
【0047】
図5に示されるように、第1風向部材84は、一例として、底板部86と、側板部88と、折返部92とを有する。また、第1風向部材84は、第1延出部96と第2延出部94とが設けられる。さらに、第1風向部材84は、第1稜線部102及び第2稜線部98を有する。なお、本実施形態では、一例として、第1風向部材84と第2風向部材104(図3)が同様の構成を有する。
【0048】
底板部86は、D方向に所定の厚さを有する板状に形成され、X方向に延びる。底板部86は、対向面87を有する。対向面87は、底板部86の+D方向の端面であり、第1ファン72(図3)と対向する。底板部86には、後述するヒンジ部126(図4)を締結するための締結孔89が設けられる。
側板部88は、底板部86の+C方向の端部から+D方向に直立する。
折返部92は、底板部86の-C方向の端部におけるX方向の中央部に形成される。折返部92は、締結孔89に向けて折り返されることで、底板部86のD方向の厚さより厚い部位である。折返部92における-C方向の端には、X方向に沿った端面93が位置する。
【0049】
第2稜線部98は、底板部86の-C方向の端部において、折返部92に対する-X方向に位置する。第2稜線部98は、折返部92と隣り合う。第2稜線部98は、+X方向の端が-X方向の端に対して-C方向に位置するように、X方向と交差する斜め方向に延びる。第2稜線部98の+X方向の端部は、折返部92より-C方向に位置する。
底板部86における-C方向の端部において、第2稜線部98に対する-X方向には、窪み部99が形成される。窪み部99は、第2稜線部98に対して+C方向に窪んだ部位である。
【0050】
第2延出部94は、第2稜線部98から+D方向に延びる板状部である。第2延出部94の+D方向の高さは、対向面87に沿って-C方向に向かう気流が、第2延出部94を越えて-C方向に流れることが可能となるように設定される。
【0051】
第1稜線部102は、底板部86の-C方向の端部において、折返部92に対する+X方向に位置する。第1稜線部102は、折返部92と隣り合う。第1稜線部102は、+X方向の端が-X方向の端に対して+C方向に位置するように、X方向と交差する斜め方向に延びる。第1稜線部102の-X方向の端部は、折返部92より-C方向に位置する。
底板部86における-C方向の端部において、第1稜線部102に対する+X方向には、窪み部103が形成される。窪み部103は、第1稜線部102に対して+C方向に窪んだ部位である。
【0052】
第1延出部96は、第1稜線部102から+D方向に延びる板状部である。第1延出部96の+D方向の高さは、対向面87に沿って-C方向に向かう気流が、第1延出部96を越えて-C方向に流れることが可能となるように設定される。また、第1延出部96の+D方向の高さは、一例として、第2延出部94の+D方向の高さと同程度である。
【0053】
図3に示されるように、第2風向部材104は、一例として、底板部106と、側板部108と、折返部112とを有する。また、第2風向部材104は、第2延出部114と、第1延出部116とが設けられる。さらに、第2風向部材104は、第2稜線部118及び第1稜線部122を有する。なお、図3では、C方向の矢印及びD方向の矢印を省略する。
【0054】
底板部106は、D方向に所定の厚さを有する板状に形成され、X方向に延びる。底板部106は、対向面107を有する。対向面107は、底板部106の+D方向の端面であり、第2ファン76と対向する。底板部106には、後述するヒンジ部126(図4)を締結するための不図示の締結孔が設けられる。
側板部108は、底板部106の+C方向の端部から+D方向に直立する。
折返部112は、底板部106の-C方向の端部におけるX方向の中央部に形成される。折返部112は、締結孔に向けて折り返されることで、底板部106よりD方向に厚い部位である。
【0055】
第2稜線部118は、底板部106の-C方向の端部において、折返部112に対する-X方向に位置する。第2稜線部118は、折返部112と隣り合う。第2稜線部118は、+X方向の端が-X方向の端に対して-C方向に位置するように、X方向と交差する斜め方向に延びる。第2稜線部118の+X方向の端部は、折返部112より-C方向に位置する。
底板部106における-C方向の端部において、第2稜線部118に対する-X方向には、窪み部119が形成される。窪み部119は、第2稜線部118に対して+C方向に窪んだ部位である。
【0056】
第2延出部114は、第2稜線部118から+D方向に延びる板状部である。第2延出部114の+D方向の高さは、対向面107に沿って-C方向に向かう気流が、第2延出部114を越えて-C方向に流れることが可能となるように設定される。
【0057】
第1稜線部122は、底板部106の-C方向の端部において、折返部112に対する+X方向に位置する。第1稜線部122は、折返部112と隣り合う。第1稜線部122は、+X方向の端が-X方向の端に対して+C方向に位置するように、X方向と交差する斜め方向に延びる。第1稜線部122の-X方向の端部は、折返部112より-C方向に位置する。
底板部106における-C方向の端部において、第1稜線部122に対する+X方向には、窪み部123が形成される。窪み部123は、第1稜線部122に対して+C方向に窪んだ部位である。
【0058】
第1延出部116は、第1稜線部122から+D方向に延びる板状部である。第1延出部116の+D方向の高さは、対向面107に沿って-C方向に向かう気流が、第1延出部116を越えて-C方向に流れることが可能となるように設定される。また、第1延出部116の+D方向の高さは、一例として、第2延出部114の+D方向の高さと同程度である。
【0059】
底板部86と底板部106は、X方向に間隔をあけて位置する。つまり、第1風向部材84と第2風向部材104との間には、隙間部125が形成されている。隙間部125は、Y方向に延びる空間部であり、気体の一例である空気の流通が可能となっている。
第1風向部材84と第2風向部材104は、Y方向の位置が揃えられている。
【0060】
開口部132は、第1風向部材84と第2風向部材104とで形成される空間部であり、且つZ方向に開口する部位である。開口部132は、Z方向から見てX方向における第1ファン72と第2ファン76との間に位置し、且つ+Y方向の上流に位置する部分が下流に位置する部分よりX方向に開いた形状を有する。つまり、開口部132は、一例として、Z方向から見て、+Y方向に上底が位置し-Y方向に下底が位置する台形状に構成される。そして、上底に相当する部位及び下底に相当する部位は、Y方向に開放される。
【0061】
具体的には、開口部132は、X方向において互いに向き合う第1稜線部102及び第2稜線部118を有する。第1風向部材84の第1稜線部102、及び第2風向部材104の第2稜線部118は、既述の台形の斜辺部を構成する。換言すると、第1稜線部102及び第2稜線部118は、開口部132の少なくとも一部を構成する。
第1稜線部102は、Z方向から見て+Y方向における第1ファン72の送風範囲E1内に位置する。送風範囲E1は、Y方向において、送風領域S1の-Y方向の端から+Y方向の端までの位置を含む範囲である。送風範囲E1内に位置するとは、X方向から見て、送風範囲E1と第1稜線部102が重なることを意味する。
第2稜線部118は、Z方向から見て+Y方向における第2ファン76の送風範囲E2内に位置する。送風範囲E2は、Y方向において、送風領域S2の-Y方向の端から+Y方向の端までの位置を含む範囲である。送風範囲E2内に位置するとは、X方向から見て、送風範囲E2と第2稜線部118が重なることを意味する。
【0062】
Y方向の位置のうち、第2稜線部118の+Y方向の端の位置及び第1稜線部102の+Y方向の端の位置を、第1位置P1とする。+Y方向における第1位置P1において、第2稜線部118と第1稜線部102とのX方向の間隔を第1間隔W1〔mm〕とする。
Y方向の位置のうち、第2稜線部118の-Y方向の端の位置及び第1稜線部102の-Y方向の端の位置を、第2位置P2とする。つまり、第2位置P2は、第1位置P1より+Y方向における上流に位置する。第2位置P2において、第2稜線部118と第1稜線部102とのX方向の間隔を第2間隔W2〔mm〕とする。
第2稜線部118及び第1稜線部102のそれぞれは、第2間隔W2が第1間隔W1より大きくなるように、X方向に対して傾斜される。
【0063】
換言すると、+Y方向における第1位置P1において、X方向の開口部132の間隔を第1間隔W1とし、第1位置P1より+Y方向の上流の第2位置P2において、X方向の開口部132の間隔を第2間隔W2としたとき、第2間隔W2は、第1間隔W1より大きい。
【0064】
図4に示されるように、ヒンジ部126は、送風ユニット60に設けられる。ヒンジ部126は、対向部82が外力に応じて支持面28A(図1)に対する位置を変更可能となるように、保持フレーム62と対向部82とを連結する連結部の一例である。
【0065】
図9に示されるように、ヒンジ部126は、X方向から見て、X方向に沿った中心軸を有する軸部129と、軸部129から対向面87に沿って延びる板部127と、軸部129から後壁65に沿って延びる板部128とを有する。板部127は、第1風向部材84に締結される。板部128は後壁65に締結される。
ヒンジ部126は、軸部129を中心として板部127及び板部128が相対的に回転されることで、後壁65に対して第1風向部材84が成す角度を調整可能とする。
本実施形態では、一例として、側板部88が、切欠部66を通って後壁65に対する+Y方向に位置し且つ後壁65と接触することで、第1風向部材84のY方向に対する傾きが決められている。
なお、第2風向部材104(図4)のヒンジ部126については、同様の構成であるため、説明を省略する。
【0066】
<比較例>
次に、本実施形態の送風ユニット60に対する比較例の送風ユニット200について説明する。
図14には、比較例の送風ユニット200において送風が行われた場合のシミュレーションの結果である、気流Kの向きが矢印で示される。なお、それぞれの矢印は大まかにまとめられたものであり、矢印の長さは気流Kの速度や圧力を表すものではない。
比較例の送風ユニット200は、保持フレーム62と、第1ファン72と、対向板204とを有する。
【0067】
対向板204は、X方向から見て、第1風向部材84(図3)と同様の角度で傾斜しており、第1ファン72の一部とZ方向に対向する。対向板204の-Y方向の端部205は、屈曲されていない。なお、図14において、端部205と支持面28AとのZ方向の間隔は、間隔DA〔mm〕である。
比較例の送風ユニット200において間隔DAの場合、端部205に対する-Y方向の位置では、気流Kがほぼ-Y方向に向かっている。
一方、端部205に対する+Y方向の位置で且つ対向板204に対する下方の位置では、気流Kの一部に方向の乱れが見られる。
【0068】
図15には、比較例の送風ユニット200において、送風ユニット200が+Z方向に移動され、端部205と支持面28AとのZ方向の間隔DB〔mm〕が、間隔DA(図14)より大きい場合の気流Kの向きが矢印で示される。
間隔DBの場合、端部205の周辺部での気流Kの向きが、間隔DAの場合と異なる。そして、対向板204より下方において+Y方向に流れる気流Kの状態が、間隔DAの場合と異なる。
このように、比較例の送風ユニット200を用いた場合、対向板204と支持面28Aとの間隔が、間隔DAから間隔DBに変わることで、吐出ヘッド32(図1)に向かう気流Kの向きや流量が変動する可能性が高くなることが分かる。
【0069】
<本実施形態の作用>
次に、本実施形態のプリンター10、搬送ユニット20及び送風ユニット60作用について説明する。プリンター10の各構成については、図1から図6までを参照して、個別の図番の記載を省略する場合がある。
なお、既述の通り、第1ファン72から第1風向部材84へ向けて生じる気流を気流K1とし、第2ファン76から第2風向部材104へ向けて生じる気流を気流K8とする。
【0070】
図7に示されるように、気流K1が生じることにより、第1風向部材84から-Y方向に向かう成分を有する気流K2と、+X方向の成分を有する気流K3とが生じる。気流K1と気流K2とが合流する空間部では、-Y方向の成分を有しつつ拡散される気流K4と、+X方向の成分を有する気流K5とが生じる。
一方、気流K8が生じることにより、第2風向部材104から-Y方向に向かう成分を有する気流K9と、-X方向の成分を有する気流K10とが生じる。気流K8と気流K9とが合流する空間部では、-Y方向の成分を有しつつ拡散される気流K11と、-X方向の成分を有する気流K12とが生じる。
なお、気流K1に対して-X方向に位置する気流、及び気流K8に対して+X方向に位置する気流については、図示及び説明を省略する。
【0071】
図8において、9―9線と、10-10線とで示されたX方向の位置は、気流Kが吐出ヘッド32(図1)に向けて流れ易いことが想定される位置である。
10-10線で示された位置において、気流K3と気流K10とが衝突することで、-Y方向の成分を有する気流KAが生じる。また、気流K5と気流K12とが衝突することで、+Y方向の成分を有する気流KEと、-Y方向の成分を有する気流KDとが生じる。さらに、気流K3の一部は、第1延出部96を越えて開口部132に向かう気流KBとなる。気流K10の一部は、第2延出部114を越えて開口部132に向かう気流KCとなる。
ここで、気流KA、気流KB及び気流KCと、気流KDとの合成によって、気流KFが生じる。
一方、気流KA、気流KB及び気流KCのそれぞれの一部のうち、少なくとも1つと気流KEとが衝突することで、気流KEが低減される。
【0072】
図8の9-9線及び図9に示されるように、X方向において第1ファン72が位置する部分では、支持面28Aに向かう気流K4が主成分となる。このため、-Y方向の成分を有する気流K6の大きさが、+Y方向の成分を有する気流K7の大きさより大きくなる。換言すると、吐出ヘッド32(図1)に向かう気流K7を低減できる。
【0073】
図8の10―10線及び図10に示されるように、開口部132が位置する部分では、+Y方向の成分を有する気流KEが流れようとするが、この気流KEに向けて気流KAの一部が流れ込む。換言すると、気流KEがエアーカーテンとして機能する。そして、気流KEと気流KAとが衝突することで、気流KEが低減される。
なお、図示は省略するが、本実施形態に対する比較例として、第2延出部114及び第1延出部96がそれぞれX方向に沿って延びる直線状の壁部であった場合、気流KAの合流地点が図10で示される点Gの地点より-Y方向にずれることになるため、気流KEが低減されにくい。
【0074】
図11には、送風ユニット60において間隔d3(図6)が間隔d3A〔mm〕に設定され、且つ送風が行われた場合のシミュレーションの結果である、気流Kの向きが矢印で示される。
図12には、送風ユニット60において間隔d3が間隔d3B〔mm〕に設定され、且つ送風が行われた場合のシミュレーションの結果である、気流Kの向きが矢印で示される。間隔d3B>間隔d3Aである。なお、それぞれの矢印は大まかにまとめられたものであり、矢印の長さは気流Kの速度や圧力を表すものではない。
【0075】
図11及び図12に示されるように、第1風向部材84における第2延出部94が設けられた部位では、気流Kが第2延出部94に沿って+Z方向に上昇する。そして、上昇した気流Kは、第2延出部94を越えた後、-Z方向に下降する。このように、第2延出部94が設けられていることで、第2延出部94の周辺部では、気流Kが上昇後に下降する状態となる。このため、第1風向部材84に第2延出部94が設けられていない構成に比べて、第2延出部94の周辺部における気流Kの流れの状態が安定する。これにより、第1風向部材84と支持面28A又はメディアMとの距離が変更されても、吐出ヘッド32(図1)に向かう気流Kの向きや流量が変動する可能性を低くすることができる。
なお、第2風向部材104についても、同様の気流Kの状態が得られるため、図示及び説明を省略する。
【0076】
図13に示されるように、メディアMが、支持面28Aに載置され且つ搬送中の場合について説明する。メディアMは、押付ローラー42が回転されながら往復移動されるとき、押付ローラー42から押付力を受けると共に押付ローラー42の外周面との間で生じる摩擦力を受けることで、構成部分の一部である細片MAが剥離され易くなる。
細片MAは、異物の一例である。本実施形態では、メディアMが布帛であるため、細片MAは毛羽を意味する。特に、押付ローラー42が押し付けられる前にメディアMに付着していた細片MAは、押付ローラー42が押し付けられることでメディアMから剥離された後、静電気力などの作用によりメディアMに載った状態で搬送される。
ここで、送風ユニット60において、メディアMに向けて送風が行われた場合、メディアMの細片MAは、風圧を受けることでメディアMから離脱される。つまり、細片MAが除去される。
【0077】
送風ユニット60による送風によって、細片MAが除去されているとき、気流Kの一部は、+Y方向の下流に向かう可能性がある。ここで、吸気ユニット50が設けられていることで、吸気ユニット50が設けられていない構成に比べて、支持面28A上の気流Kが進む空間部が狭められており、気流Kに対して作用する流路抵抗が大きくなっているので、吐出ヘッド32と支持面28Aとの間に流れる気流Kを低減できる。これにより、吐出ヘッド32からメディアMへ吐出されるインクQの飛行状態の変化を抑制できる。
【0078】
以上、説明した通り、プリンター10によれば、Z方向において第1ファン72及び第2ファン76と対向部82とが対向しない部分では、第1ファン72及び第2ファン76から送り出された気流KがそのままメディアMに到達する。これにより、メディアMに付着した埃などの異物を気流によって除去することができる。
メディアM又は支持面28Aに衝突した気流Kは、衝突位置からメディアM又は支持面28Aに沿って放射状に広がる。このため、メディアM又は支持面28Aに衝突した気流Kの一部は、吐出ヘッド32に向けて流れる場合がある。
ここで、Z方向から見て、対向部82の開口部132の形状が、+Y方向の上流が下流よりX方向に開いた形状となっているので、開口部132の縁を通ってメディアM又は支持面28Aへ向かう気流Kの一部は、+Y方向と交差する方向の成分を有するようになる。
さらに、開口部132の+Y方向の下流では、開口部132の+Y方向の上流に比べてX方向に狭くなることで、気流Kの一部が互いに衝突され易くなる。
これらの作用により、開口部132の縁を通ってメディアM又は支持面28Aへ向かう気流Kをエアーカーテンとして機能させることが可能となるので、メディアM又は支持面28Aへの衝突後に吐出ヘッド32に向かう気流Kを効果的に低減できる。
そして、吐出ヘッド32に向かう気流Kが低減されることで、吐出ヘッド32からメディアMへ吐出されるインクQの飛行状態の変化を抑制できる。
【0079】
プリンター10によれば、第2稜線部118及び第1稜線部102が、+Y方向における第1ファン72の送風範囲E1内及び第2ファン76の送風範囲E2内に無い構成に比べて、第1ファン72及び第2ファン76からそれぞれX方向に向かう気流Kの一部を、エアーカーテンとして効率的に利用できる。
【0080】
プリンター10によれば、第2稜線部118及び第1稜線部102のそれぞれが、第2間隔W2が第1間隔W1より大きくなるように、X方向に対して傾斜されることで、開口部132のX方向の大きさを+Y方向の上流から下流に向けて連続的に小さくすることができる。
【0081】
プリンター10によれば、対向面87、107に沿う気流Kの一部は、第2延出部94、114又は第1延出部96、116に衝突することでZ方向の上側へ向かう。そして、上側へ向かった気流Kは、第2延出部94、114又は第1延出部96、116を越えると共に、Z方向の下側へ向かう。このように、第2延出部94、114又は第1延出部96、116に衝突されることで、気流Kの方向の成分がZ方向の下側へ向かう成分に揃うので、Z方向における対向部82とメディアMとの距離が変更されることがあっても、メディアMに向かう気流Kの方向の成分を揃えることができる。そして、メディアMに向かう気流Kの方向の成分が揃うことで、吐出ヘッド32からメディアMへ吐出されるインクQの飛行状態の変化を抑制できる。
【0082】
プリンター10によれば、ヒンジ部126は、対向部82が外力に応じて支持面28Aに対する位置を変更可能となるように、保持フレーム62と対向部82とを連結する。ここで、搬送ユニット20へのメディアMのセット作業において、メディアMなどが対向部82と接触した場合、対向部82は、作用する外力に応じて支持面28Aに対する位置を変える。これにより、対向部82の少なくとも一部を支持面28Aから退避させることが可能となり、即ち、対向部82と支持面28Aとの間隔を広げられるので、搬送ユニット20へのメディアMのセット作業の作業性を高めることができる。
【0083】
プリンター10によれば、マグネット69に対して永久磁石の磁力より大きい外力が作用されることで、送風ユニット60がフレーム部材46から取り外される。また、永久磁石の磁力によって、フレーム部材46に送風ユニット60を取り付けられる。このように、簡易な構成で送風ユニット60を取り付けることができる。
【0084】
メディアMの表面に塵埃などの異物が付着している場合、往復移動する押付ローラー42を通過した後のメディアMにおいて、当該異物が当該表面から分離し易くなることが判明した。
ここで、プリンター10によれば、異物が表面から分離しやすい状態のメディアMに対して、送風ユニット60によって送風が行われるので、より異物の除去能力を高めることができる。
【0085】
送風ユニット60によれば、プリンター10の既述の作用と同様の作用により、開口部132の縁を通ってメディアM又は支持面28Aへ向かう気流Kをエアーカーテンとして機能させることが可能となるので、メディアM又は支持面28Aへの衝突後に吐出ヘッド32に向かう気流Kを効果的に低減できる。
【0086】
送風ユニット60によれば、第2稜線部118及び第1稜線部102が、+Y方向における第1ファン72の送風範囲E1内及び第2ファン76の送風範囲E2内に無い構成に比べて、第1ファン72及び第2ファン76からそれぞれX方向に向かう気流Kの一部を、エアーカーテンとして効率的に利用できる。
【0087】
送風ユニット60によれば、第2稜線部118及び第1稜線部102のそれぞれが、第2間隔W2が第1間隔W1より大きくなるように、X方向に対して傾斜されることで、開口部132のX方向の大きさを+Y方向の上流から下流に向けて連続的に小さくすることができる。
【0088】
メディアMの表面に塵埃などの異物が付着している場合、+Y方向と-Y方向とに往復移動する押付ローラー42を通過した後のメディアMにおいて、当該異物がメディアMの表面から分離し易くなることが判明した。
ここで、プリンター10によれば、細片MAが表面から分離しやすい状態のメディアMに対して、送風ユニット60によって送風が行われるので、より細片MAの除去能力を高めることができる。
さらに、+Y方向において送風ユニット60と吐出ヘッド32との間にフレーム部材46が設けられていることで、送風ユニット60と吐出ヘッド32との間において、気体の一例としての空気が流通可能な空間部の大きさが、フレーム部材46が無い構成の空間部の大きさに比べて小さくなる。換言すると、支持面28Aと下面47とで形成される空間部における流路抵抗の大きさは、フレーム部材46が無い構成の流路抵抗の大きさに比べて大きくなる。これにより、送風ユニット60から支持面28Aに送られた気流Kのうち+Y方向の下流に向かう成分が小さくなり、即ち、吐出ヘッド32に向かう気流Kが低減されることで、吐出ヘッド32からメディアMへ吐出されるインクQの飛行状態の変化を抑制できる。
【0089】
プリンター10によれば、吸気ユニット50が設けられることで、下面47と支持面28Aとの間隔が狭まる。これにより、支持面28A上を+Y方向の下流に向けて流れる気流Kに対して流路抵抗がさらに増加するので、吐出ヘッド32へ向かう気流Kをさらに低減できる。
【0090】
メディアMの表面に塵埃などの異物が付着している場合、+Y方向と-Y方向とに往復移動する押付ローラー42を通過した後のメディアMにおいて、当該異物が当該表面から分離し易くなることが判明した。
ここで、搬送ユニット20によれば、細片MAが表面から分離しやすい状態のメディアMに対して、送風ユニット60によって送風が行われるので、より細片MAの除去能力を高めることができる。
さらに、+Y方向において送風ユニット60と吐出ヘッド32との間にフレーム部材46が設けられていることで、送風ユニット60と吐出ヘッド32との間において、気体の一例としての空気が流通可能な空間部の大きさが、フレーム部材46が無い構成の空間部の大きさに比べて小さくなる。換言すると、支持面28Aと下面47とで形成される空間部における流路抵抗の大きさは、フレーム部材46が無い構成の流路抵抗の大きさに比べて大きくなる。これにより、送風ユニット60から支持面28Aに送られた気流Kのうち+Y方向の下流に向かう成分が小さくなり、即ち、吐出ヘッド32に向かう気流Kが低減されることで、吐出ヘッド32からメディアMへ吐出されるインクQの飛行状態の変化を抑制できる。
【0091】
本発明の実施形態に係るプリンター10、送風装置25及び搬送装置24は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更、省略、組合せなどを行うことも勿論可能である。
【0092】
プリンター10、送風装置25及び搬送装置24において、X方向に隣り合う単位ユニット70の間に開口部132が設けられてもよい。つまり、第1稜線部122と第2稜線部98との間の空間部を開口部132とみなしてよい。
単位ユニット70の数は、5つに限らず、1つ又は5つを除く複数あってもよい。
第1風向部材84と第2風向部材104との間に隙間部125が形成されていなくてもよい。第1風向部材84及び第2風向部材104は、窪み部99、103、119、123が形成されていなくてもよい。また、第1風向部材84及び第2風向部材104は、折返部92、112が形成されていなくてもよい。
【0093】
第1稜線部102及び第2稜線部118は、傾斜される直線状の部位に限らず、曲線部を有する部位であってもよい。開口部132は、第1延出部96及び第2延出部114を有さなくてもよい。
ヒンジ部126に換えてラッチ機構を設けて、対向部82の支持面28Aに対する位置を変更可能としてもよい。
【0094】
フレーム部材46は、強磁性を有する材料で構成されなくてもよい。この構成の場合、取付部としてマグネット69を用いずに、ボルト及びナットなどを用いてフレーム部材46に送風ユニット60を取り付けてもよい。マグネット69は、5つ以外の数で設けられてもよい。
押付ローラー42に換えて、押付パッドを用いてもよい。メディアMは、用紙であってもよい。
細片MAの除去においては、静電気力を用いて細片MAを回収する回収部を設けることで行ってもよい。
下面47と支持面28Aとの間には、吸気ユニット50が設けられていなくてもよい。また、吸気ユニット50に換えて、他のユニット又は他の部材が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0095】
2…床部、10…プリンター、12…本体ユニット、13…本体フレーム、
14…側板、16…第1支持フレーム、18…第2支持フレーム、20…搬送ユニット、
21…駆動ローラー、22…従動ローラー、24…搬送装置、25…送風装置、
26…グルーベルト、27…内周面、28…外周面、28A…支持面、
30…記録ユニット、32…吐出ヘッド、33…空間部、34…キャリッジ、
38…制御ユニット、40…押付ユニット、42…押付ローラー、44…ローラー支持部、
46…フレーム部材、47…下面、48…スライド部、48A…可動部、
48B…アーム部、48C…保護部、50…吸気ユニット、52…下部ダクト、
53…下面、54…排気ダクト、55…空間部、60…送風ユニット、
62…保持フレーム、63…上壁、63A…スリット、64…前壁、65…後壁、
66…切欠部、67…取付フレーム、67A…上面、68…ブラケット、68A…上面、
69…マグネット、70…単位ユニット、72…第1ファン、73…本体部、
74…流出口、76…第2ファン、77…本体部、78…流出口、82…対向部、
84…第1風向部材、86…底板部、87…対向面、88…側板部、89…締結孔、
92…折返部、93…端面、94…第2延出部、96…第1延出部、98…第2稜線部、
99…窪み部、102…第1稜線部、103…窪み部、104…第2風向部材、
106…底板部、107…対向面、108…側板部、112…折返部、
114…第2延出部、116…第1延出部、118…第2稜線部、119…窪み部、
122…第1稜線部、123…窪み部、125…隙間部、126…ヒンジ部、
127…板部、128…板部、129…軸部、132…開口部、200…送風ユニット、
204…対向板、205…端部、C1…中心線、CA…回転中心、CB…回転中心、
d1…間隔、d2…間隔、d3…間隔、d3A…間隔、d3B…間隔、DA…間隔、
DB…間隔、E1…送風範囲、E2…送風範囲、G…点、K1…気流、K2…気流、
K3…気流、K4…気流、K5…気流、K6…気流、K7…気流、K8…気流、
K9…気流、K10…気流、K11…気流、K12…気流、KA…気流、KB…気流、
KC…気流、KD…気流、KE…気流、KF…気流、L1…長さ、M…メディア、
P1…第1位置、P2…第2位置、Q…インク、S1…送風領域、S2…送風領域、
W1…第1間隔、W2…第2間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15