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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20241217BHJP
   F21S 41/365 20180101ALI20241217BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20241217BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20241217BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20241217BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20241217BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241217BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/365
F21S41/143
F21S41/148
F21S41/663
F21W102:155
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021108538
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006119
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 洋弥
(72)【発明者】
【氏名】大橋 悠二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英治
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003888(WO,A1)
【文献】特開2007-109493(JP,A)
【文献】特開2017-103189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21W 102/155
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影レンズと、ロービーム光源モジュールと、ハイビーム光源モジュールと、を備えている車両用灯具において、
前記投影レンズは、焦点の位置がそれぞれの領域で異なる複数のレンズエリアに分けられ、前記複数のレンズエリアのうち一つのレンズエリアがロー焦点を持つローレンズエリアとされ、
前記ロービーム光源モジュールは、ロービーム光源とリフレクタを有し、前記ロービーム光源からの出射光を反射する前記リフレクタからの反射光が、前記ローレンズエリアの裏面へ入射し、エリア表面からロービーム配光を出射する設定とされ、
前記ハイビーム光源モジュールは、ハイビーム光源を有し、前記ハイビーム光源からの出射光が、前記投影レンズのレンズ裏面へ直接入射し、複数のエリア表面からエリア毎のハイビーム配光を出射する設定とされ
前記投影レンズは、前記ハイビーム光源からの出射光を直接入射する複数のハイレンズエリアとして、少なくとも上側から第1レンズエリアと第2レンズエリアと第3レンズエリアとに分けられ、
前記投影レンズのうち前記第2レンズエリアが、前記リフレクタからの反射光を入射する前記ローレンズエリアとされ、
前記第3レンズエリアのさらに下側の領域、又は、前記第3レンズエリアを上下二つに分けたときの下側の領域が、ハイビーム配光パターンの上方配光を形成する第4レンズエリアとされ
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用灯具において、
前記ハイビーム光源は、前記投影レンズのレンズ裏面に対向する発光面が、前記ロー焦点よりも後側下方位置であって、前記投影レンズのレンズ光軸中心線上の位置に配置される
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された車両用灯具において、
前記ハイビーム光源モジュールは、前記ハイビーム光源の前側上方位置に配置され、前記ハイビーム光源からの出射光を前記ローレンズエリアに向けて反射する反射面を有する反射部材を備える
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両用灯具において、
前記ロービーム光源モジュールに有するリフレクタとして、第1リフレクタと第2リフレクタを備え、
前記ハイビーム光源は、前記投影レンズと対向配置であって、レンズ対向面を有する基板に設けられ、
前記ロービーム光源は、前記ハイビーム光源の下方位置であって、前記レンズ対向面と同一平面上に設けられ、
前記第1リフレクタと前記第2リフレクタは、前記ハイビーム光源から前記投影レンズのレンズ裏面へ直接向かう出射光を遮らない位置に配置される
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された車両用灯具において、
前記ロービーム光源モジュールに有するリフレクタとして、第3リフレクタを備え、
前記ハイビーム光源は、レンズ対向面とレンズ光軸面を有する基板のうち前記レンズ対向面に設けられ、
前記ロービーム光源は、前記ハイビーム光源より後方位置であって、前記基板のうち前記レンズ光軸面に設けられ、
前記第3リフレクタは、前記ロービーム光源の発光面に対向する位置であって、前記ハイビーム光源から前記投影レンズのレンズ裏面へ直接向かう出射光を遮らない位置に配置される
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、良好な配光パターンを得る車両用灯具としては、第1の反射部と第2の反射部とを備えたものが知られている。第1の反射部は、カットオフラインを形成する第1の段差面と、第2の段差面と、傾斜面とを含み、且つ、第1の段差面の前端よりも第2の段差面の前端が前方に突出した段差部を有している。第2の反射部は、第1の段差面よりも第2の段差面が前方に突出した上端の段差部の下方において、当該段差部を含まない連続した面を有している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-96484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用灯具は、ロービーム光源とハイビーム光源と投影レンズとを備える。そして、ロービーム光源からの光の一部を反射してカットオフラインを作る反射部材に着目し、ロービーム配光パターンのカットオフラインと一部重なるハイビーム配光パターンを形成する。しかし、二つの光源(ロービーム光源、ハイビーム光源)やシェードに組立誤差等があると、ロービーム配光パターンのカットオフラインと重ならないハイビーム配光パターンが形成されることがある。カットオフラインとハイビーム配光パターンとが重ならないと、ロービーム配光パターンの上端のカットオフラインと、ハイビーム配光パターンの下端との間に暗部(照度が周囲よりも低い領域)が発生し、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上記課題に着目してなされたもので、二つの光源に共用の投影レンズを備える灯具において、ロービーム配光とハイビーム配光との間の暗部発生が抑制された走行配光パターンを形成する車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の車両用灯具は、投影レンズと、ロービーム光源モジュールと、ハイビーム光源モジュールと、を備えている。投影レンズは、焦点の位置がそれぞれの領域で異なる複数のレンズエリアに分けられ、複数のレンズエリアのうち一つのレンズエリアがロー焦点を持つローレンズエリアとされる。ロービーム光源モジュールは、ロービーム光源とリフレクタを有し、ロービーム光源からの出射光を反射するリフレクタからの反射光が、ローレンズエリアの裏面へ入射し、エリア表面からロービーム配光を出射する設定とされる。ハイビーム光源モジュールは、ハイビーム光源を有し、ハイビーム光源からの出射光が、投影レンズのレンズ裏面へ直接入射し、複数のエリア表面からエリア毎のハイビーム配光を出射する設定とされる。投影レンズは、ハイビーム光源からの出射光を直接入射する複数のハイレンズエリアとして、少なくとも上側から第1レンズエリアと第2レンズエリアと第3レンズエリアとに分けられる。投影レンズのうち第2レンズエリアが、リフレクタからの反射光を入射するローレンズエリアとされる。第3レンズエリアのさらに下側の領域、又は、第3レンズエリアを上下二つに分けたときの下側の領域が、ハイビーム配光パターンの上方配光を形成する第4レンズエリアとされる。
【発明の効果】
【0007】
よって、二つの光源に共用の投影レンズを備える灯具において、ロービーム配光とハイビーム配光との間の暗部発生が抑制された走行配光パターンを形成する車両用灯具を提供することができる。そして、ハイビーム配光パターンとロービーム配光パターンのカットオフラインとの良好な繋がりを容易に確保することができるとともに、カットオフラインの近傍の分光を抑えることができる。さらに、レンズ全体により上方配光を含むハイビーム配光パターンを形成する場合に比べ、投影レンズの近傍でライトコーン(光円錐)が拡大するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の前照灯ユニットの全体構成を示す斜視図である。
図2】実施例1の前照灯ユニットの投影レンズ、ロービーム光源モジュール、ハイビーム光源モジュールの構成を示す縦断面図である。
図3】実施例1の前照灯ユニットにおいてロービーム配光パターンを形成するロービーム光源からの光路とハイビーム配光パターンを形成するハイビーム光源からの光路を示す配光作用説明図である。
図4】実施例1の前照灯ユニットにおいて第1レンズエリア、第2レンズエリア、第3レンズエリア、第4レンズエリアそれぞれのレンズ表面からの出射光によるエリア毎の配光の一例を示す配光作用説明図である。
図5】実施例2の前照灯ユニットの投影レンズ、ロービーム光源モジュール、ハイビーム光源モジュールの構成を示す縦断面図である。
図6】実施例2の前照灯ユニットにおいてロービーム配光パターンを形成するロービーム光源からの光路とハイビーム配光パターンを形成するハイビーム光源からの光路を示す配光作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示による車両用灯具を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1では、車両前部の左右両側に配置され、一つの投影レンズと、ロービーム光源モジュールと、ハイビーム光源モジュールと、を備えている前照灯ユニット(車両用灯具の一例)に適用した例に基づいて説明する。以下の説明では、前照灯ユニットにおいて、車両の前方直進時における進行方向であって光を投影する方向を光軸方向(図面ではZ)とし、車両に搭載された状態で上下をあらわす方向を上下方向(図面ではY)とし、光軸方向及び上下方向に直交する方向を幅方向(図面ではX)とする。
【0011】
まず、図1及び図2を参照し、前照灯ユニット1の構成を説明する。
【0012】
前照灯ユニット1は、図1に示すように、投影レンズ2と、基板3と、第1ホルダ4と、第2ホルダ5と、ヒートシンク部材6と、ファン7と、を備えている。
【0013】
投影レンズ2は、第1ホルダ4及び第2ホルダ5を介して基板3又はヒートシンク部材6に取り付けられている。第1ホルダ4は、投影レンズ2の外周を位置決め保持し、レンズ保持状態で第2ホルダ5に固定される。第2ホルダ5は、基板3又はヒートシンク部材6に固定される。
【0014】
基板3は、投影レンズ2の後方に配置され、投影レンズ2と対向する表面位置に後述するロービーム光源80とハイビーム光源90が設けられる。基板3の裏面位置にヒートシンク部材6が固定される。ヒートシンク部材6は、放熱フィン6aを有する。
【0015】
ファン7は、ヒートシンク部材6の背面位置に配置され、ヒートシンク部材6による放熱を促す。なお、前照灯ユニット1の前側には、図示していない電源コネクタが接続され、車載電源とロービーム光源80及びハイビーム光源90との電気的接続を可能にする。例えば、走行配光パターン(=ハイビーム配光パターン+ロービーム配光パターン)が手動又は自動により選択される走行中、ロービーム光源80及びハイビーム光源90を同時に点灯する点灯電流を供給する。また、走行配光パターンでの走行中にすれ違い配光パターン(=ロービーム配光パターン)が手動又は自動により選択されたとき、ハイビーム光源90への点灯電流を遮断(消灯)し、ロービーム光源80に対してのみ点灯電流を供給する。
【0016】
前照灯ユニット1は、図2に示すように、投影レンズ2と、ロービーム光源モジュール8と、ハイビーム光源モジュール9と、を備えて構成されている。
【0017】
投影レンズ2は、ロービーム光源80及びハイビーム光源90という二つの光源に共用される一つの光学レンズである。投影レンズ2は、レンズ表面2aから入射する平行光が集光する焦点の位置がそれぞれの領域で異なる複数のレンズエリア21,22,23,24に分けられる。投影レンズ2は、透明なアクリル樹脂等により形成される。そして、投影レンズ2の各レンズエリア21,22,23,24は、表面と裏面の曲率を連続的に変化させることで、レンズ表面2aとレンズ裏面2bの形状に段差が無く、滑らかに繋がっている曲面形状とされている。
【0018】
投影レンズ2は、ハイビーム光源90からの出射光を直接入射する複数のハイレンズエリアとして、上側から下側に向かって第1レンズエリア21と、第2レンズエリア22と、第3レンズエリア23と、第4レンズエリア24との4領域に分けられている。そして、第1レンズエリア21と第2レンズエリア22とを分ける位置を第1エリア境界20aとしている。第2レンズエリア22と第3レンズエリア23とを分ける位置を第2エリア境界20bとしている。第3レンズエリア23と第4レンズエリア24とを分ける位置を第3エリア境界20cとしている。
【0019】
ここで、実施例1では、投影レンズ2として、単一の光学レンズを4つのレンズエリアに分けた一体型レンズにより構成する例を示した。しかし、投影レンズとしては、レンズエリアに対応する複数のレンズ部品を接合させて投影レンズとする組み合わせレンズにより構成しても良い。又、一体型レンズとした場合、レンズ表面を滑らかな面とし、レンズ裏面をレンズエリア毎の段差面を有する構成にしても良い。さらに、投影レンズのレンズ表面に、ロービーム光源とハイビーム光源からの光線を左右に拡散させる縦縞状のプリズムを形成するようにしても良い。
【0020】
第1レンズエリア21は、ハイビーム光源90からの出射光をエリア裏面から直接入射する。そして、第1レンズエリア21のエリア表面から外部へ出射する光線によってハイビーム配光パターンHPの中央配光HP1を形成する(図4の第1配光を参照)。ここで、第1レンズエリア21の焦点位置は、中央配光HP1がロービーム配光パターンLPの上端のカットオフラインCLと重なり合う形状になるように設計されている。
【0021】
第2レンズエリア22は、第1レンズエリア21と第3レンズエリア23とに挟まれていて、レンズ表面2aから入射する平行光が集光するロー焦点F2を持つローレンズエリアとされる。ここで、第2レンズエリア22のロー焦点F2の位置は、カットオフラインCLを有するロービーム配光パターンLPが、ハイビーム配光パターンHPと一部重なる適正な位置に形成されるように設計されている。なお、第2レンズエリア22は、投影レンズ2のレンズ光軸中心線CAが通る位置に配置されている。
【0022】
第2レンズエリア22は、ロービーム光源80からの出射光を第1リフレクタ81と第2リフレクタ82により反射し、第2リフレクタ82からの反射光をエリア裏面から入射する。このとき、第1リフレクタ81からの反射光が、第2リフレクタ82の反射面82aの形状設定によってカットオフラインCLを形成する。そして、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によってカットオフラインCLを有するロービーム配光パターンLPを形成する(図4の第2配光を参照)。
【0023】
第2レンズエリア22は、ハイビーム光源90からの出射光をエリア裏面から直接入射する。そして、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によってハイビーム配光パターンHPの水平線Hに接する上部配光HP2を形成する(図4の第2配光を参照)。
【0024】
第2レンズエリア22は、ハイビーム光源90からの光の一部が反射部材91の反射面91aにより反射すると、その反射光がエリア裏面から入射する。そして、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によってロービーム配光パターンLPのカットオフラインCLに接するハイビーム配光パターンHPの付加配光HP2’を形成する(図4の第2’配光を参照)。
【0025】
第3レンズエリア23は、ハイビーム光源90から出射された光をエリア裏面から直接入射する。そして、第3レンズエリア23のエリア表面から外部へ出射する光線によってハイビーム配光パターンHPの中央配光HP3を形成する(図4の第3配光を参照)。ここで、第3レンズエリア23の焦点位置は、中央配光HP3がロービーム配光パターンLPの上端のカットオフラインCLと重なり合う形状になるように設計されている。
【0026】
第4レンズエリア24は、ハイビーム光源90から出射された光をエリア裏面から直接入射する。そして、第4レンズエリア24のエリア表面から外部へ出射する光線によってハイビーム配光パターンHPの上方配光HP4を形成する(図4の第4配光を参照)。ここで、第4レンズエリア24は特定の焦点を持たず、上方配光HP4の形状が、他のレンズエリア21,22,23の組み合わせによるハイビーム配光パターンHPの形状を上方側に拡大させるように設計されている。
【0027】
ロービーム光源モジュール8は、投影レンズ2の第2レンズエリア22を用いてカットオフラインCLを有するロービーム配光パターンLPを形成する光源側モジュールである。ロービーム光源モジュール8は、ロービーム光源80と、第1リフレクタ81(リフレクタ)と、第2リフレクタ82(リフレクタ)と、を有している。
【0028】
ロービーム光源80は、投影レンズ2と対向配置であって、レンズ対向面3aを有する基板3に設けられる。ここで、「対向配置」とは、投影レンズ2のレンズ光軸に直交し、かつ、レンズ裏面2bに対向する面をロービーム光源80の発光面80aとする配置をいう。つまり、ロービーム光源80は、ハイビーム光源90の下方位置であって、ハイビーム光源90が設けられるレンズ対向面3aと同一平面上に設けられる。ロービーム光源80としては、例えば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、すなわち、半導体型光源(実施例ではLED)が用いられる。ロービーム光源80は、基板3のレンズ対向面3aに1個もしくは複数個設けられた発光チップと、発光チップを封止する封止樹脂部材と、を有して構成されている。ロービーム光源80の発光面80aは、投影レンズ2に向かう光軸方向Zの面設定とされている。なお、「LED」は、「Light Emitting Diode」の略称であり、「EL」は、「Electro Luminescence」の略称である。
【0029】
第1リフレクタ81及び第2リフレクタ82は、光不透過性のリフレクタ部材であり、例えば、アルミ蒸着もしくは銀塗装等が施された反射面81a,82aを有する樹脂部材から構成されている。なお、反射面81a,82aの形状は、入射光に対する反射光の目標光路に基づいて設計された曲面形状であり、例えば、回転楕円面、又は、楕円を基調とした自由曲面(NURBS曲面)等とされている。
【0030】
第1リフレクタ81は、光軸方向Zにおいてロービーム光源80の直前位置であって、ハイビーム光源90から投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接向かう出射光を遮らない位置に配置されている。第1リフレクタ81は、ロービーム光源80からの光を反射させ、反射光を第2リフレクタ82の反射面82aに向かって入射させる。
【0031】
第2リフレクタ82は、光軸方向Zにおいてハイビーム光源90の斜め上方位置であって、ハイビーム光源90から投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接向かう出射光を遮らない位置に配置されている。第2リフレクタ82は、第1リフレクタ81からの反射光をさらに反射させ、投影レンズ2の第2レンズエリア22に入射させる。
【0032】
第2リフレクタ82の反射面82aには、反射面下端部のロー焦点F2の付近に、ロービーム配光パターンLPのカットオフラインCLを形成するカットオフライン反射形状部84が設けられる。なお、カットオフラインCLは、図4に示すように、下水平カットオフラインCL1と、斜めカットオフラインCL2と、上水平カットオフラインCL3とを有する。
【0033】
ハイビーム光源モジュール9は、投影レンズ2におけるエリア毎の配光を組み合わせによってハイビーム配光パターンHPを形成する光源側モジュールである。ハイビーム光源モジュール9は、ハイビーム光源90と、反射部材91と、を有している。
【0034】
ハイビーム光源90は、投影レンズ2と対向配置であって、レンズ対向面3aを有する基板3に設けられる。ここで、「対向配置」とは、投影レンズ2のレンズ光軸に直交し、かつ、レンズ裏面2bに対向する面をハイビーム光源90の発光面90aとする配置をいう。つまり、ハイビーム光源90は、ロービーム光源80の上方位置であって、ロービーム光源80が設けられるレンズ対向面3aと同一平面上に設けられる。ハイビーム光源90としては、ロービーム光源80と同様に、半導体型光源(この実施例ではLED)が用いられる。ハイビーム光源90は、基板3のレンズ対向面3aに車幅方向に並べて複数個設けられた発光チップと、発光チップを封止する封止樹脂部材と、を有して構成されている。ここで、ハイビーム光源90の車幅方向に並べて複数個設けられた発光チップは、個別に点灯と消灯を制御できるようにしても良い。
【0035】
ハイビーム光源90の発光面90aは、投影レンズ2に向かう光軸方向Zの面設定とされている。発光面90aは、ロー焦点F2よりも後側下方位置であって、投影レンズ2のレンズ光軸中心線CA上の位置に配置されている。
【0036】
反射部材91は、ロー焦点F2の位置とハイビーム光源90のレンズ側上部位置を繋ぐ部分に配置される。
【0037】
反射部材91の反射面91aは、ハイビーム光源90の前側上方位置であって、ロー焦点F2の付近に配置される。反射面91aは、ハイビーム光源90から出射される光の一部を、投影レンズ2のローレンズエリアである第2レンズエリア22に向けて反射する。反射部材91は、例えば、アルミ蒸着もしくは銀塗装等が施された反射面91aを有する樹脂部材から構成されている。
【0038】
次に、図3および図4を参照し、実施例1における前照灯ユニット1での配光パターン形成作用を説明する。なお、図4のエリア毎の配光図において、Vは中心点Oを通る上下方向垂直線を示し、Hは中心点Oを通る車幅方向水平線を示す。
【0039】
ロービーム光源80を点灯すると、ロービーム光源80からの出射光は、図3の破線によって示す光路OP21,OP22,OP23を描く。即ち、ロービーム光源80からの出射光は、第1リフレクタ81にて反射し、その反射光が第2リフレクタ82にて反射する。そして、第2リフレクタ82からの反射光が、光路OP21,OP22,OP23になって第2レンズエリア22のエリア裏面から入射する。このとき、第2リフレクタ82からの反射光は、カットオフライン反射形状部84を有する第2リフレクタ82の反射面82aの形状に対応する反射光形状になる。
【0040】
よって、ロービーム光源80を点灯すると、図4の第2配光に示すように、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によってカットオフラインCLを有するロービーム配光パターンLPが形成される。
【0041】
ハイビーム光源90を点灯すると、ハイビーム光源90からの出射光は、図3の実線によって示す光路OP1,OP2,OP3,OP4と、図3の1点鎖線によって示す光路OP2’を描く。即ち、ハイビーム光源90からの出射光は、投影レンズ2の各レンズエリア21,22,23,24のエリア裏面に対し、それぞれ光路OP1,OP2,OP3,OP4により直接入射される。
【0042】
ハイビーム光源90から出射された光が光路OP1を介して第1レンズエリア21のエリア裏面へ直接入射されると、第1レンズエリア21のエリア表面から外部へ出射する光線によって第1レンズエリア21による中央配光HP1が形成される。中央配光HP1の形状は、図4の第1配光に示すように、中心位置が中心点Oにほぼ一致する配光になる。
【0043】
ハイビーム光源90から出射された光が光路OP2を介して第2レンズエリア22のエリア裏面へ直接入射されると、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によって第2レンズエリア22による上部配光HP2が形成される。上部配光HP2の形状は、図4の第2配光に示すように、中心位置が中心点Oより上部の位置であって、上部配光HP2の下辺が水平線Hに接する配光になる。
【0044】
ハイビーム光源90から出射された光が光路OP3を介して第3レンズエリア23のエリア裏面へ直接入射されると、第3レンズエリア23のエリア表面から外部へ出射する光線によって第3レンズエリア23による中央配光HP3が形成される。中央配光HP3の形状は、図4の第3配光に示すように、中心位置が中心点Oにほぼ一致する配光になる。なお、図4の第1配光と第3配光においては、中央配光HP1と中央配光HP3をほぼ同じ位置で同じ形状としている。しかし、中央配光HP1,HP3は、上下方向垂直線Vの方向に一方の位置、又は、両方の位置を少しずらしても良いし、一方の形状、又は、両方の形状を少し変更し、ハイビーム配光パターンHPの照度分布を適切に調整しても良い。なお、中央配光HP1,HP3の少しのずらし量や少しの形状変更は、ハイビーム配光パターンHPの照度分布を適切に調整することに基づいて決められる量や形状変更とする。
【0045】
ハイビーム光源90から出射された光が光路OP4を介して第4レンズエリア24のエリア裏面へ直接入射されると、第4レンズエリア24のエリア表面から外部へ出射する光線によって第4レンズエリア24による上方配光HP4が形成される。上方配光HP4の形状は、図4の第4配光に示すように、中心位置が中心点Oより上部の位置であって、下辺が水平線Hから離れた扁平楕円形状によるエリア配光になる。ここで、上方配光HP4は、下辺が上部配光HP2に接する位置のエリア配光としても良い。又、上方配光HP4は、下辺が上部配光HP2と少し重なり合う位置のエリア配光としても良い。
【0046】
ハイビーム光源90から出射された光の一部が反射部材91の反射面91aに入射して反射すると、ロー焦点F2付近からの反射光が、光路OP2’を介して第2レンズエリア22のエリア裏面へ入射される。このとき、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によって第2レンズエリア22による付加配光HP2’が形成される。付加配光HP2’の形状は、図4の第2’配光に示すように、ロービーム配光パターンLPのカットオフラインCLに接する配光になる。
【0047】
このため、ハイビーム光源90の点灯によるハイビーム配光パターンHPは、エリア毎の配光である中央配光HP1と、上部配光HP2と、中央配光HP3と、上方配光HP4と、付加配光HP2’とを組み合わせて合算した配光パターンになる。
【0048】
次に、実施例1における前照灯ユニット1の特徴構成による作用効果を説明する。
【0049】
実施例1の前照灯ユニット1においては、投影レンズ2と、ロービーム光源モジュール8と、ハイビーム光源モジュール9と、を備えている。投影レンズ2は、レンズ表面2aから入射する平行光が集光する焦点の位置がそれぞれの領域で異なる複数のレンズエリア21,22,23,24に分けられる。複数のレンズエリア21,22,23,24のうち一つの第2レンズエリア22がロー焦点F2を持つローレンズエリアとされる。ロービーム光源モジュール8は、ロービーム光源80と第1リフレクタ81と第2リフレクタ82を有する。ロービーム光源モジュール8は、ロービーム光源80からの出射光を反射する第1リフレクタ81と第2リフレクタ82からの反射光が、第2レンズエリア22の裏面へ入射し、エリア表面からロービーム配光を出射する設定とされる。ハイビーム光源モジュール9は、ハイビーム光源90を有する。ハイビーム光源モジュール9は、ハイビーム光源90からの出射光が、投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接入射し、複数のエリア表面からエリア毎のハイビーム配光を出射する設定とされる。
【0050】
即ち、ロービーム配光パターンLPは、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ向かって出射するロービーム配光により形成される。一方、ハイビーム配光パターンHPは、投影レンズ2の複数のレンズエリア21,22,23,24のそれぞれのエリア表面から外部へ出射するエリア毎のハイビーム配光を重ねる組み合わせによって形成される。このように、投影レンズ2の複数のレンズエリア21,22,23,24からのエリア毎のハイビーム配光に、投影レンズ2の第2レンズエリア22からのロービーム配光が重ね合わせて組み込まれることになる。このため、ハイビーム配光とロービーム配光との繋がりが良くなり、ハイビーム配光パターンHPとロービーム配光パターンLPとの間に暗部が発生するのが抑えられる。よって、二つの光源に共用の投影レンズ2を備える灯具において、ロービーム配光とハイビーム配光との間の暗部発生が抑制された走行配光パターンを形成する前照灯ユニット1を提供することができる。
【0051】
実施例1において、投影レンズ2は、ハイビーム光源90からの出射光を直接入射する複数のハイレンズエリアとして、少なくとも上側から第1レンズエリア21と第2レンズエリア22と第3レンズエリア23とに分けられる。投影レンズ2のうち第2レンズエリア22が、第1リフレクタ81と第2リフレクタ82からの反射光を入射するローレンズエリアとされる。
【0052】
即ち、第1レンズエリア21による中央配光HP1と、第2レンズエリア22による上部配光HP2と、第3レンズエリア23による中央配光HP3と、を組み合わせてハイビーム配光パターンHPが形成される。一方、第1レンズエリア21と第3レンズエリア23とに挟まれた第2レンズエリア22によりカットオフラインCLを有するロービーム配光パターンLPが形成される。このため、第1レンズエリア21による中央配光HP1と第3レンズエリア23による中央配光HP3とは、ロービーム配光パターンLPを上下から挟む位置関係により形成されることになる。したがって、ロービーム配光パターンLPのカットオフラインCLの近傍領域の照度を、第1レンズエリア21による中央配光HP1と第3レンズエリア23による中央配光HP3により高くすることができる。よって、ハイビーム配光パターンHPとロービーム配光パターンLPのカットオフラインCLとの良好な繋がりを容易に確保することができるとともに、カットオフラインCLの近傍の分光を抑えることができる。
【0053】
実施例1において、投影レンズ2は、第3レンズエリア23のさらに下側の領域が、ハイビーム配光パターンHPの上方配光HP4を形成する第4レンズエリア24に分けられる。
【0054】
即ち、投影レンズ2のレンズ下部に、ハイビーム配光パターンHPの上方配光HP4を形成する第4レンズエリア24を配置される。よって、レンズ全体により上方配光を含むハイビーム配光パターンを形成する場合に比べ、投影レンズ2の近傍でライトコーン(光円錐)が拡大するのを防止することができる。
【0055】
実施例1において、ハイビーム光源90は、投影レンズ2のレンズ裏面2bに対向する発光面90aが、ロー焦点F2よりも後側下方位置であって、投影レンズ2のレンズ光軸中心線CA上の位置に配置される。
【0056】
即ち、ハイビーム光源90からの出射光は、投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接入射される。このため、投影レンズ2の複数のレンズエリア21,22,23,24のそれぞれにハイビーム光源90からの光が入射するとき、レンズ面に対する入射角を直角前後の角度範囲の角度に収めることができる。よって、投影レンズ2の複数のエリア表面から出射されるエリア毎のハイビーム配光の組み合わせにより安定したハイビーム配光パターンHPを形成することができる。特に、ハイビーム光源90からの光が投影レンズ2の第1レンズエリア21および第2レンズエリア22に対して直接入射して通過すると、両レンズエリア21,22付近の光度が上がり、遠方の看板や歩行者等の認識性を向上させることができる。
【0057】
実施例1において、ハイビーム光源モジュール9は、ハイビーム光源90の前側上方位置に配置され、ハイビーム光源90から出射される光を第2レンズエリア22に向けて反射する反射面91aを有する反射部材91を備える。
【0058】
即ち、ハイビーム光源90から出射される光のうち、投影レンズ2のレンズ裏面2bへの入射光から除かれる光の一部を反射部材91の反射面91aで受ける。そして、反射面91aからの反射光によって、ハイビーム配光パターンHPの付加配光HP2’が形成される。このため、付加配光HP2’は、ロービーム配光パターンLPのカットオフラインCLに接する配光になる。よって、ハイビーム光源90からの出射光を有効に利用してハイビーム配光パターンHPの付加配光HP2’を形成することにより、走行配光パターンにおいて暗部になる部分の照度を上げることができる。
【0059】
実施例1において、ロービーム光源モジュール8に有するリフレクタとして、第1リフレクタ81と第2リフレクタ82を備える。ハイビーム光源90は、投影レンズ2と対向配置であって、レンズ対向面3aを有する基板3に設けられる。ロービーム光源80は、ハイビーム光源90の下方位置であって、レンズ対向面3aと同一平面上に設けられる。第1リフレクタ81と第2リフレクタ82は、ハイビーム光源90から投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接向かう出射光を遮らない位置に配置される。
【0060】
即ち、ロービーム光源モジュール8に有するロービーム光源80と第1リフレクタ81と第2リフレクタ82とを配置するとき、ロービーム光源80がハイビーム光源90と同一平面位置に配置される。そして、第1リフレクタ81と第2リフレクタ82が、ハイビーム光源90からの出射光を遮らず、ハイビーム光源90より投影レンズ2側の位置に配置される。このため、ロービーム光源80と第1リフレクタ81と第2リフレクタ82を有するロービーム光源モジュール8を、投影レンズ2のレンズ裏面2bと基板3のレンズ対向面3aの間に配置することができる。よって、前照灯ユニット1の光軸方向Zの寸法が短く抑えられ、前照灯ユニット1のコンパクト化を図ることができる。
【実施例2】
【0061】
実施例2は、ロービーム光源モジュール8’を、実施例1のロービーム光源モジュール8とは異なる位置に配置した前照灯ユニット10の例である。
【0062】
まず、図5を参照し、実施例2における前照灯ユニット10の構成を説明する。
【0063】
前照灯ユニット10は、図5に示すように、投影レンズ2と、ロービーム光源モジュール8’と、ハイビーム光源モジュール9と、を備えている。
【0064】
ロービーム光源モジュール8’は、ロービーム光源80と、第3リフレクタ83と、を有している。
【0065】
ロービーム光源80は、ハイビーム光源90より後方位置であって、レンズ対向面3aとレンズ光軸面3bを有する基板3’のうちレンズ光軸面3bに設けられる。第3リフレクタ83は、実施例1の第2リフレクタ82と同様な構成であり、反射面83aを有する。第3リフレクタ83は、ロービーム光源80の発光面80aに対向する位置であって、ハイビーム光源90から投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接向かう出射光を遮らない位置に配置されている。
【0066】
ハイビーム光源モジュール9は、ハイビーム光源90と、反射部材91と、を有している。
【0067】
ハイビーム光源90は、レンズ対向面3aとレンズ光軸面3bを有する基板3’のうちレンズ対向面3aに設けられる。反射部材91は、実施例1と同様に反射面91aを有する。なお、投影レンズ2については、実施例1と同様の構成であるために説明を省略する。また、ロービーム光源モジュール8’とハイビーム光源モジュール9の構成のうち、上記説明以外の構成については実施例1と同様の構成であるために説明を省略する。
【0068】
次に、図6を参照し、実施例2における前照灯ユニット10でロービーム配光パターンLPの形成作用を説明する。
【0069】
ロービーム光源80を点灯すると、ロービーム光源80からの出射光は、図6の破線によって示す光路OP24,OP25,OP26を描く。即ち、ロービーム光源80からの出射光は、第3リフレクタ83の反射面83aにて反射する。そして、第3リフレクタ83からの反射光が、光路OP24,OP25,OP26になって第2レンズエリア22のエリア裏面から入射する。このとき、第3リフレクタ83の反射面83aの形状設定などによってカットオフラインが形成される。
【0070】
よって、ロービーム光源80を点灯すると、図4の第2配光に示すように、第2レンズエリア22のエリア表面から外部へ出射する光線によってカットオフラインCLを有するロービーム配光パターンLPが形成される。なお、ハイビーム配光パターンHPの形成作用については、実施例1と同様の作用を示すために説明を省略する。
【0071】
次に、実施例2における前照灯ユニット10の特徴構成による作用効果を説明する。
【0072】
実施例2において、ロービーム光源モジュール8’に有するリフレクタとして、第3リフレクタ83を備える。ハイビーム光源90は、レンズ対向面3aとレンズ光軸面3bを有する基板3’のうちレンズ対向面3aに設けられる。ロービーム光源80は、ハイビーム光源90より後方位置であって、基板3’のうちレンズ光軸面3bに設けられる。第3リフレクタ83は、ロービーム光源80の発光面80aに対向する位置であって、ハイビーム光源90から投影レンズ2のレンズ裏面2bへ直接向かう出射光を遮らない位置に配置される。
【0073】
即ち、ロービーム光源モジュール8’に有するロービーム光源80と第3リフレクタ83とを配置するとき、ロービーム光源80が、ハイビーム光源90の後方であって発光面80aを上方に向けて配置される。そして、第3リフレクタ83が、ハイビーム光源90からの出射光を遮らないロービーム光源80の上部位置に配置される。このため、ロービーム光源モジュール8’とハイビーム光源モジュール9を、投影レンズ2の後方側において上下方向の狭い空間領域に配置することができる。よって、前照灯ユニット1の上下方向Yの寸法が短く抑えられ、前照灯ユニット1のコンパクト化を図ることができる。
【0074】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0075】
実施例1,2では、投影レンズ2として、第1レンズエリア21、第2レンズエリア22、第3レンズエリア23、第4レンズエリア24の4つのエリアに分ける例を示した。しかし、投影レンズとしては、2以上の複数のレンズエリアに分ける例であれば、4つのエリア分けに限定されることはない。なお、ローレンズエリアの上下をハイレンズエリアで挟み込むことができる3以上のレンズエリアに分ける例が好ましい。
【0076】
実施例1,2では、ハイビーム光源90の発光面90aを、投影レンズ2のレンズ光軸中心線CA上の位置に配置する例を示した。しかし、ハイビーム光源の発光面を、投影レンズのレンズ光軸中心線から上下方向にずらした位置等に配置する例としても良い。
【0077】
実施例1,2では、投影レンズ2として、第3レンズエリア23のさらに下側の領域を、ハイビーム配光パターンHPの上方配光HP4を形成する第4レンズエリア24として分ける例を示した。しかし、投影レンズとしては、第3レンズエリアを上下二つに分けたときの下側の領域を、ハイビーム配光パターンの上方配光を形成する第4レンズエリアとする例としても良い。
【符号の説明】
【0078】
1 前照灯ユニット(車両用灯具)
2 投影レンズ
2a レンズ表面
2b レンズ裏面
21 第1レンズエリア
22 第2レンズエリア(ローレンズエリア)
23 第3レンズエリア
24 第4レンズエリア
3,3’ 基板
3a レンズ対向面
3b レンズ光軸面
8 ロービーム光源モジュール
80 ロービーム光源
80a 発光面
81 第1リフレクタ(リフレクタ)
82 第2リフレクタ(リフレクタ)
83 第3リフレクタ(リフレクタ)
84 カットオフライン反射形状部
9 ハイビーム光源モジュール
90 ハイビーム光源
90a 発光面
91 反射部材
91a 反射面
F2 ロー焦点
LP ロービーム配光パターン
CL カットオフライン
HP ハイビーム配光パターン
HP1 中央配光
HP2 上部配光
HP3 中央配光
HP4 上方配光
HP2’ 付加配光
CA レンズ光軸中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6