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特許7605049提示制御装置、提示制御プログラム、自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラム
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  • 特許-提示制御装置、提示制御プログラム、自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】提示制御装置、提示制御プログラム、自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/04 20060101AFI20241217BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241217BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20241217BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W50/14
B60W60/00
G08G1/16 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021110362
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007242
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】小島 一輝
【審査官】齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119262(JP,A)
【文献】国際公開第2016/152874(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/111924(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 60/00
B60W 50/14
B60W 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、
前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、
前記走行制御把握部は、前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、
前記報知制御部は、前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に、車線変更によって移動する移動先レーンでの前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記制御期間のうちに前記移行可能報知を行う提示制御装置。
【請求項2】
前記報知制御部は、前記運転支援制御による車線変更の終了後、前記運転支援制御から前記自律走行制御に移行可能な状態が継続した場合、前記制御期間の終了後にも前記移行可能報知を行う請求項1に記載の提示制御装置。
【請求項3】
前記制御期間のうちに行われる前記移行可能報知である第1移行可能報知の様態は、前記制御期間の終了後に行われる前記移行可能報知である第2移行可能報知の様態と異なっている請求項に記載の提示制御装置。
【請求項4】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、
前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、
前記走行制御把握部は、前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、
前記報知制御部は、
前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記制御期間のうちに前記移行可能報知を行い、
前記運転支援制御による車線変更の終了後、前記運転支援制御から前記自律走行制御に移行可能な状態が継続した場合、前記制御期間の終了後にも前記移行可能報知を行い、
前記制御期間のうちに行われる前記移行可能報知である第1移行可能報知の様態は、前記制御期間の終了後に行われる前記移行可能報知である第2移行可能報知の様態と異なっている提示制御装置。
【請求項5】
前記報知制御部は、前記制御期間中又は前記運転支援制御による車線変更の終了後、前記運転支援制御から前記自律走行制御へと移行される場合、前記自律走行制御が開始されることを示す移行開始報知を行う請求項1~4のいずれか一項に記載の提示制御装置。
【請求項6】
前記ドライバによる周辺監視の状態を把握するドライバ状態把握部(86)、をさらに備え、
前記報知制御部は、前記制御期間にて前記ドライバが車線変更に伴う周辺監視を行っている場合、前記移行可能報知の実施を保留する請求項1~のいずれか一項に記載の提示制御装置。
【請求項7】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、
前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S102)、
前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に、車線変更によって移動する移動先レーンでの前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を前記制御期間のうちに行う(S105)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラム。
【請求項8】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、
前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S102)、
前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を前記制御期間のうちに行(S105)、
前記運転支援制御による車線変更の終了後、前記運転支援制御から前記自律走行制御に移行可能な状態が継続した場合、前記制御期間の終了後にも前記移行可能報知を行う(S109)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させ
前記制御期間のうちに行われる前記移行可能報知である第1移行可能報知の様態は、前記制御期間の終了後に行われる前記移行可能報知である第2移行可能報知の様態と異なっている提示制御プログラム。
【請求項9】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、
前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、
前記走行制御把握部は、前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、
前記報知制御部は、前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記制御期間における前記移行可能報知の実施を保留し、前記制御期間の終了後に前記移行可能報知を行う提示制御装置。
【請求項10】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S201)、
前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S202)、
前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知の実施を前記制御期間において保留し、前記制御期間の終了後に前記移行可能報知を行う(S207)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラム。
【請求項11】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、
前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、
前記走行制御把握部は、前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、
前記報知制御部は、前記移行可能報知を行った後、前記自律走行制御への移行前に前記運転支援制御による車線変更が開始される場合、車線変更の終了後も前記自律走行制御に移行可能であることを条件に、前記移行可能報知を車線変更の終了後に再び行う、提示制御装置。
【請求項12】
前記走行制御把握部は、前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間において、車線変更の終了後も前記自律走行制御に移行可能であるか否かを把握し、
前記報知制御部は、車線変更の終了後も前記自律走行制御に移行可能であることが前記制御期間において把握された場合、前記制御期間のうちに前記移行可能報知を行う請求項11に記載の提示制御装置。
【請求項13】
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、
前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行い(S121)、
前記移行可能報知を行った後、前記自律走行制御への移行前に前記運転支援制御による車線変更が開始されるか否かをさらに把握し(S122)、
前記自律走行制御への移行前に前記運転支援制御による車線変更が開始される場合、車線変更の終了後も前記自律走行制御に移行可能であることを条件に、前記移行可能報知を車線変更の終了後に再び行う(S109)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラム。
【請求項14】
自動運転機能による自車両(Am)の走行を可能にする自動運転制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能か否かを判定する移行判定部(77)と、
前記運転支援制御による車線変更の実行状態を把握する支援制御把握部(76)と、を備え、
前記移行判定部は、前記運転支援制御による車線変更が実行される制御期間にて車線変更の開始前に走行する自車レーン及び車線変更にて移動する移動先レーンの両方を判定対象として前記運転支援制御から前記自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態から、前記移動先レーンを判定対象として前記自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態へと遷移させる自動運転制御装置。
【請求項15】
自動運転機能による自車両(Am)の走行を可能にする自動運転制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御での車線変更の実行状態を把握し(S11)、
前記運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能か否かを判定し(S14)、
前記運転支援制御による車線変更が実行される制御期間にて、車線変更の開始前に走行する自車レーン及び車線変更にて移動する移動先レーンの両方を判定対象として前記運転支援制御から前記自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態から、前記移動先レーンを判定対象として前記自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態へと遷移させる(S16,S17)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、自動運転機能に関連する情報提示の技術、及び自動運転機能による走行を可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバに指示に基づき、自車両の自動運転を開始する自動運転装置が開示されている。この自動運転装置は、自車両が走行する道路に複数の車線が存在する場合、自車走行車線から別の車線へと自車両を車線変更させる制御を実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-162132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ドライバに周辺監視義務のある自動運転だけでなく、ドライバに周辺監視義務のない自動運転を可能にする技術が実現されつつある。こうした周辺監視義務のない自動運転が可能な構成では、特許文献1に開示のような周辺監視義務のある状態下での車線変更の制御期間と、周辺監視義務のある状態から周辺監視義務のない状態へと移行可能になるタイミングとが重なるシーンの発生が想定され得る。このようなシーンにて、周辺監視義務のない状態への移行に関連した情報提示や車両制御が適切に実施されない場合、自動運転の利便性を損なってしまう虞があった。
【0005】
本開示は、周辺監視義務のない自動運転の利便性を確保可能な提示制御装置、提示制御プログラム、自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、走行制御把握部は、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、報知制御部は、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に、車線変更によって移動する移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能となった場合、制御期間のうちに移行可能報知を行う提示制御装置とされる。
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、走行制御把握部は、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、報知制御部は、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に自律走行制御への移行が可能となった場合、制御期間のうちに移行可能報知を行い、運転支援制御による車線変更の終了後、運転支援制御から自律走行制御に移行可能な状態が継続した場合、制御期間の終了後にも移行可能報知を行い、制御期間のうちに行われる移行可能報知である第1移行可能報知の様態は、制御期間の終了後に行われる移行可能報知である第2移行可能報知の様態と異なっている提示制御装置される。
【0007】
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S102)、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に、車線変更によって移動する移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能となった場合、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を制御期間のうちに行う(S105)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラムとされる。
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S102)、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に自律走行制御への移行が可能となった場合、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を制御期間のうちに行い(S105)、運転支援制御による車線変更の終了後、運転支援制御から自律走行制御に移行可能な状態が継続した場合、制御期間の終了後にも移行可能報知を行う(S109)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させ、制御期間のうちに行われる移行可能報知である第1移行可能報知の様態は、制御期間の終了後に行われる移行可能報知である第2移行可能報知の様態と異なっている提示制御プログラムされる。
【0008】
これらの態様では、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に、周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能となった場合、移行可能報知によって自律走行制御への移行が可能となったことが、車線変更の制御期間のうちに提示される。その結果、自律走行制御に移行可能になったことを認識する時間が確保され易くなるため、ドライバは、周辺監視義務のない自動運転の使用を円滑に開始し得る。したがって、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0009】
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、走行制御把握部は、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、報知制御部は、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に自律走行制御への移行が可能となった場合、制御期間における移行可能報知の実施を保留し、制御期間の終了後に移行可能報知を行う提示制御装置とされる。
【0010】
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S201)、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S202)、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に自律走行制御への移行が可能となった場合、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知の実施を制御期間において保留し、制御期間の終了後に移行可能報知を行う(S207)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラムとされる。
【0011】
これらの態様では、運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に、周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能となった場合、移行可能報知の実施は、車線変更の制御期間において保留される。故に、実施中の車両制御とは異なった内容を示す情報提示が抑制されるため、ドライバを混乱させてしまう事態は回避され得る。そして、制御期間の終了後に行われる移行可能報知により、ドライバは、自律走行制御に移行可能になったことを認識し、周辺監視義務のない自動運転の使用を円滑に開始し得る。こうした一連の情報提示によれば、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0012】
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、走行制御把握部は、ドライバに周辺監視義務のある状態で自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、報知制御部は、移行可能報知を行った後、自律走行制御への移行前に運転支援制御による車線変更が開始される場合、車線変更の終了後も自律走行制御に移行可能であることを条件に、移行可能報知を車線変更の終了後に再び行う、提示制御装置とされる。
【0013】
また開示された一つの態様は、自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行い(S121)、移行可能報知を行った後、自律走行制御への移行前に運転支援制御による車線変更が開始されるか否かをさらに把握し(S122)、自律走行制御への移行前に運転支援制御による車線変更が開始される場合、車線変更の終了後も自律走行制御に移行可能であることを条件に、移行可能報知を車線変更の終了後に再び行う(S109)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラムとされる。
【0014】
これらの態様では、移行可能報知の実施後、自律走行制御への移行前に、運転支援制御による車線変更が開始される場合、車線変更の終了後も自律走行制御に移行可能であることを条件に、車線変更の終了後に移行可能報知が再び行われる。故に、自車両の走行するレーンが変更となっても、自律走行制御に移行可能な状態が継続しているか否かが、ドライバに分かり易く提示される。その結果、車線変更を行った場合でも、周辺監視義務のない自動運転の使用が円滑に開始され得る。したがって、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0015】
また開示された一つの態様は、自動運転機能による自車両(Am)の走行を可能にする自動運転制御装置であって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能か否かを判定する移行判定部(77)と、運転支援制御による車線変更の実行状態を把握する支援制御把握部(76)と、を備え、移行判定部は、運転支援制御による車線変更が実行される制御期間にて車線変更の開始前に走行する自車レーン及び車線変更にて移動する移動先レーンの両方を判定対象として運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態から、移動先レーンを判定対象として自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態へと遷移させる自動運転制御装置とされる。
【0016】
また開示された一つの態様は、自動運転機能による自車両(Am)の走行を可能にする自動運転制御プログラムであって、自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御での車線変更の実行状態を把握し(S11)、運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能か否かを判定し(S14)、運転支援制御による車線変更が実行される制御期間にて、車線変更の開始前に走行する自車レーン及び車線変更にて移動する移動先レーンの両方を判定対象として運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態から、移動先レーンを判定対象として自律走行制御への移行が可能か否かの判定を行う状態へと遷移させる(S16,S17)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0017】
これらの態様では、周辺監視義務のある運転支援制御から周辺監視義務のない自律走行制御への移行の可否判定が、運転支援制御によって車線変更が実行される期間も継続される。故に、車線変更の制御期間であっても、自律走行制御への移行が可能と判定され得るため、周辺監視義務のない状態への移行が早期に実施可能になる。その結果、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0018】
尚、上記及び特許請求の範囲における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の第一実施形態によるHCUを含む車載ネットワークの全体像を示す図である。
図2】自動運転ECUの詳細を示すブロック図である。
図3】HCUの詳細を示すブロック図である。
図4】LCAによる車線変更の実施中に周辺監視義務のない自動運転が可能になるシーンでの一連の情報提示を示すタイムチャートである。
図5】周辺監視義務のない自動運転が可能になった後にLCAによる車線変更を実施するシーンでの一連の情報提示を示すタイムチャートである。
図6】メータディスプレイ等に表示されるレベル3可能報知の一例を示す図である。
図7】判定対象切替処理の詳細を示すフローチャートである。
図8】レベル3移行案内処理の詳細を図9と共に示すフローチャートである。
図9】レベル3移行案内処理の詳細を図8と共に示すフローチャートである。
図10】第二実施形態によるレベル3移行案内処理の詳細を図9と共に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0021】
(第一実施形態)
図1図3に示す本開示の第一実施形態によるHCU(Human Machine Interface Control Unit)は、車両(以下、自車両Am)において用いられるインターフェース制御装置である。HCU100は、自車両AmのHMI(Human Machine Interface)システム10を、複数の入出力デバイス等と共に構成している。HMIシステム10は、自車両Amのドライバ等の乗員による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0022】
HCU100は、自車両Amに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に通信可能に接続されている。HCU100は、車載ネットワーク1に設けられた複数のノードのうちの一つである。車載ネットワーク1の通信バス99には、ドライバモニタ29、周辺監視センサ30、ロケータ35、走行制御ECU(Electronic Control Unit)40、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等が接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。これら装置及び各ECU等のうちの特定ノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バス99を介すことなく通信可能であってもよい。
【0023】
ドライバモニタ29は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。ドライバモニタ29は、運転席のヘッドレスト部分に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部の上面又はインスツルメントパネルの上面等に設置されている。ドライバモニタ29は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、ドライバのアイポイントの位置及び視線方向等の情報を撮像画像から抽出する。ドライバモニタ29は、制御ユニットによって抽出されたドライバの状態を示す情報を、ドライバステータス情報としてHCU100及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0024】
周辺監視センサ30は、自車両Amの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30には、例えばカメラユニット31、ミリ波レーダ32、ライダ33及びソナー34のうちの1つ又は複数が含まれている。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から移動物体及び静止物体を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車周囲の物体の検出情報を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0025】
ロケータ35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサ等を含む構成である。ロケータ35は、3次元地図データ及び2次元地図データを格納した地図データベース36をさらに有している。ロケータ35は、現在位置周辺の地図データを地図データベース36から読み出し、自車両Amの位置情報及び方角情報と共に、ロケータ情報として運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0026】
走行制御ECU40は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU40は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU及び操舵制御ECUの機能を少なくとも有している。走行制御ECU40は、ドライバの運転操作に基づく操作指令、運転支援ECU50aの制御指令及び自動運転ECU50bの制御指令のいずれか一つに基づき、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御及び操舵角制御を継続的に実施する。
【0027】
運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、自車両Amの自動運転システム50を構成している。自動運転システム50の搭載により、自車両Amは、自動運転機能を備えた自動運転車両となり、自動運転機能によって走行可能となる。
【0028】
運転支援ECU50aは、自動運転システム50において、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を実現させる。運転支援ECU50aは、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2程度の高度運転支援又は部分的な自動運転を可能にする。運転支援ECU50aによって実施される自動運転は、ドライバの目視による自車周辺の監視が必要な周辺監視義務のある自動運転となる。
【0029】
自動運転ECU50bは、ドライバの運転操作を代行可能であり、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、システムが制御主体となるレベル3以上の自律走行を実施可能である。自動運転ECU50bによって実施される自動運転は、自車周囲の監視が不要となる、即ち、周辺監視義務のないアイズオフの自動運転となる。
【0030】
以上の自動運転システム50では、運転支援ECU50aによる周辺監視義務のある運転支援制御と、自動運転ECU50bによる周辺監視義務のない自律走行制御とを少なくとも含む複数のうちで、自動運転機能の走行制御状態が切り替えられる。以下の説明では、運転支援ECU50aによるレベル2以下の自動運転制御を「運転支援制御」と記載し、自動運転ECU50bによるレベル3以上の自動運転制御を「自律走行制御」と記載する。自律走行制御によって自車両Amが走行する自動運転期間では、予め規定された運転以外の特定の行為(以下、セカンドタスク)がドライバに許可され得る。セカンドタスクは、自動運転ECU50b及びHCU100が連携して行う運転操作の実施要求、即ち、運転交代の要請が発生するまで、ドライバに法規的に許可される。例えば、動画コンテンツ等のエンターテイメント系のコンテンツの視聴、スマートフォン等のデバイス操作及び食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0031】
運転支援ECU50aは、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。運転支援ECU50aは、処理部でのプログラムの実行により、ACC(Adaptive Cruise Control)、LTC(Lane Trace Control)及びLCA(Lane Change Assist)等の運転支援機能を実現する。運転支援ECU50aは、ACC及びLTCの各機能の連携により、自車両Amを走行中の自車レーンに沿って走行させる運転支援制御を実施する。加えて運転支援ECU50aは、LCAの機能により、自車両Amを走行中の自車レーンから、自車レーンに隣接する他のレーン(以下、移動先レーン)に車線変更させる。
【0032】
詳記すると、運転支援ECU50aは、LCAの実行を指示するドライバ操作(以下、LCA起動操作)に基づき、自車レーンから、車線変更での移動先となる隣接レーンへ向かう予定走行ラインを、地図データ等を参照しつつ生成する。一例として、LTCが起動した状態で方向指示スイッチを所定時間(例えば1~3秒程度)半押し状態とするドライバ操作が、LCA起動操作とされる。運転支援ECU50aは、LTCによる車線内走行の運転制御を一時的に中断させ、車線変更のための予定走行ラインに従った操舵角制御を走行制御ECU40と連携して行い、自車レーンから隣接レーンへの車線変更を実行する。運転支援ECU50aは、車線変更が完了すると、LTCによる車線内走行を再開させる。
【0033】
運転支援ECU50aは、運転支援制御の状態を示す制御ステータス情報を、自動運転ECU50bに提供する。制御ステータス情報には、LCAの動作状態が、起動開始状態、待機状態及び実行状態のいずれであるかを示す情報が少なくとも含まれている。起動開始状態は、LCA起動操作を受け付けた直後の状態である。起動開始状態では、検出情報に基づき、車線変更での移動先となる隣接レーンに、他車両が存在するか否かの確認が実施される。周辺チェックが完了するとLCAの動作状態は、待機状態及び実行状態のいずれかに設定される。自車両Amの車線変更を妨げる他車両が存在している場合、LCAは、待機状態となる。一方で、自車両Amの車線変更を妨げる他車両が存在しない場合、LCAは、車線変更を開始する実行状態となる。
【0034】
自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aよりも高い演算能力を備えており、ACC、LTC及びLCAに相当する走行制御を少なくとも実施できる。自動運転ECU50bは、処理部51、RAM52、記憶部53、入出力インターフェース54及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部51は、RAM52へのアクセスにより、本開示の自動運転制御方法を実現するための種々の処理を実行する。記憶部53には、処理部51によって実行される種々のプログラム(自動運転制御プログラム等)が格納されている。処理部51によるプログラムの実行により、自動運転ECU50bには、自動運転機能を実現するための複数の機能部として、情報連携部61、環境認識部62、行動判断部63及び制御実行部64等が構築される(図2参照)。
【0035】
情報連携部61は、HCU100の情報連携部82への情報提供と、情報連携部82からの情報取得とを実施する。これら情報連携部61,82の連携により、自動運転ECU50b及びHCU100は、それぞれが取得した情報を共有する。情報連携部61は、自動運転機能の動作状態を示す制御ステータス情報を生成し、生成した制御ステータス情報を情報連携部82に提供する。加えて情報連携部61は、情報連携部82へ向けた報知の実施要求の出力により、自動運転機能の動作状態に同期したHCU100による報知を可能にする。一方、情報連携部61は、操作情報及びドライバ推定情報等を情報連携部82から取得する。情報連携部61は、操作情報に基づき、HMIシステム10等へ入力されるドライバ操作を把握する。加えて情報連携部61は、ドライバ推定情報に基づき、ドライバの運転状態等を把握する。
【0036】
環境認識部62は、ロケータ35より取得するロケータ情報と、周辺監視センサ30より取得する検出情報とを組み合わせ、自車両Amの走行環境を認識する。具体的に、環境認識部62は、自車両Amが走行する道路に関する情報と、自車周囲の動的な物標(他車両等)の相対位置及び相対速度等を把握する。加えて環境認識部62は、自車両Amの状態を示す車両情報を通信バス99から取得する。一例として、環境認識部62は、自車両Amの現在の走行速度を示す車速情報を取得する。
【0037】
環境認識部62は、自車周囲の他車両の情報と車速情報等とを組み合わせて、自車両Amの周囲の渋滞を把握する。環境認識部62は、現在の自車両Amの走行速度が渋滞速度(例えば、30km/h程度)以下であり、かつ、自車レーンを走行する前方車両及び後方車両が共に存在する場合、自車周囲が渋滞状態にあると判定する。
【0038】
環境認識部62は、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路が予め設定された自動運転可能エリア(以下、ADエリア)であるか否かを判別する。ADエリアは、自動運転機能を用いた走行が許可されるエリアである。高速道路又は自動車専用道路等がADエリアとなる。一方、ADエリアに含まれない道路を、環境認識部62は、自動運転機能を用いた走行が許可されない手動運転エリア(以下、MDエリア)と判別する。MDエリアでは、レベル2以上の自動運転(運転支援制御)の実施が禁止される。尚、手動運転は、レベル0の自動運転に相当する。
【0039】
行動判断部63は、運転支援ECU50a及びHCU100と連携し、自動運転システム50及びドライバ間での運転交代を制御する。行動判断部63は、自動運転システム50に運転操作の制御権がある場合、環境認識部62による走行環境の認識結果に基づき、自車両Amを走行させる予定走行ラインを生成し、生成した予定走行ラインを制御実行部64に出力する。行動判断部63は、自動運転機能の動作状態を制御するためのサブ機能部として、支援制御把握部76及び制御切替部77を有する。
【0040】
支援制御把握部76は、運転支援ECU50aから制御ステータス情報を取得する。支援制御把握部76は、取得した制御ステータス情報に基づき、LCAの動作状態、言い替えれば、運転支援制御による車線変更の実行状態を把握する。
【0041】
制御切替部77は、運転支援ECU50aと連携し、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御の開始及び終了を制御する。加えて制御切替部77は、運転支援ECU50aと連携し、ドライバによる周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバによる周辺監視義務のない自律走行制御とを切り替える。詳記すると、制御切替部77には、自律走行制御への移行を許可するための移行条件(以下、レベル3開始条件)が、複数設定されている。レベル3開始条件は、自車両Amのドライバに関する要件と、自車両Amの走行状態に関する要件と、自車周囲の走行環境に関する要件等とを含んでいる。例えば、ADエリアを走行していること、自車周囲の渋滞が把握されたこと等が、レベル3開始条件として設定されている。制御切替部77は、複数のレベル3開始条件の一部又は全てが成立したか否かに基づき、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、周辺監視義務のない自律走行制御への移行の可否を判定する。
【0042】
制御実行部64は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、走行制御ECU40との連携により、行動判断部63にて生成された予定走行ラインに従って、自車両Amの加減速制御及び操舵制御等を実行する。具体的に、制御実行部64は、予定走行ラインに基づく制御指令を生成し、生成した制御指令を走行制御ECU40へ向けて逐次出力する。
【0043】
次に、HMIシステム10に含まれる複数の表示デバイス、オーディオ装置24、アンビエントライト25、操作デバイス26及びHCU100の各詳細を順に説明する。
【0044】
表示デバイスは、画像表示等により、ドライバの視覚を通じて情報を提示する。表示デバイスには、メータディスプレイ21、センターインフォメーションディスプレイ(以下、CID)22及びヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)23等が含まれている。CID22は、タッチパネルの機能を有しており、ドライバ等による表示画面へのタッチ操作を検出する。
【0045】
オーディオ装置24は、運転席を囲む配置にて車室内に設置された複数のスピーカを有しており、報知音又は音声メッセージ等をスピーカによって車室内に再生させる。アンビエントライト25は、インスツルメントパネル及びステアリングホイール等に設けられている。アンビエントライト25は、発光色を変化させるアンビエント表示により、ドライバの周辺視野を利用した情報提示を行う。
【0046】
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば自動運転機能の作動及び停止に関連するユーザ操作等が入力される。一例として、運転支援制御の開始を指示するドライバ操作(以下、レベル2移行操作)、運転支援制御から自律走行制御への移行を指示するドライバ操作(以下、レベル3移行操作)等が操作デバイス26には入力される。ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、及びドライバの発話内容を認識する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
【0047】
HCU100は、複数の表示デバイス、オーディオ装置24及びアンビエントライト25を用いた情報提示を統合的に制御する情報提示装置である。HCU100は、自動運転システム50との連携により、自動運転に関連する情報の提示を制御する。HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、提示制御処理のための種々の処理を実行する。RAM12は、映像データ生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(提示制御プログラム等)が格納されている。HCU100は、記憶部13に記憶されたプログラムを処理部11によって実行することにより、複数の機能部を構築する。HCU100には、情報取得部81、情報連携部82、ドライバ状態把握部86及び提示制御部88等の機能部が構築される(図3参照)。
【0048】
情報取得部81は、自車両Amの状態を示す車両情報(例えば、車速情報等)を通信バス99から取得する。加えて情報取得部81は、ユーザ操作の内容を示す操作情報をCID22及び操作デバイス26等から取得する。
【0049】
情報連携部82は、自動運転ECU50bと連携し、自動運転システム50及びHCU100間での情報の共有を可能にする。情報連携部82は、情報取得部81にて把握される操作情報、及びドライバ状態把握部86にて推定されるドライバ推定情報等を、自動運転ECU50bに提供する。加えて、情報連携部82は、自動運転機能に関連する情報提示の実施要求と、自動運転機能の状態を示す制御ステータス情報とを、自動運転ECU50bから取得する。
【0050】
情報連携部82は、制御ステータス情報に基づき、自動運転システム50による自動運転の動作状態を把握する。具体的に、情報連携部82は、実施中の走行制御が運転支援制御及び自律走行制御のいずれであるか否か、即ち、ドライバによる周辺監視義務の有無を把握する。情報連携部82は、ドライバに周辺監視義務のある状態で自車両Amが走行している場合、LCAの機能による車線変更が実施されているか否かを把握する。加えて情報連携部82は、自ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する。情報連携部82は、LCAの機能による車線変更が実施される制御期間(以下、LC制御期間)においても、自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し続ける。
【0051】
ドライバ状態把握部86は、ドライバステータス情報をドライバモニタ29から取得する。ドライバ状態把握部86は、ドライバステータス情報に基づき、ドライバによるステアリングの把持の状態、ドライバによる周囲監視の実施の状態、及びドライバによって実施されるセカンドタスクの内容等を把握する。ドライバ状態把握部86にて把握されたドライバ状態の推定結果は、ドライバ推定情報として、提示制御部88及び自動運転ECU50b等に提供される。
【0052】
提示制御部88は、各表示デバイス、オーディオ装置24及びアンビエントライト25(以下、情報提示デバイス)を用いたドライバへの情報の提供を統合的に実施する。提示制御部88は、情報連携部82にて取得される制御ステータス情報及び実施要求と、ドライバ状態把握部86にて把握されるドライバ推定情報等とに基づき、自動運転の動作状態に合わせたコンテンツ提供及び情報提示を実施する。
【0053】
具体的に、提示制御部88は、運転支援制御の開始を示すレベル2開始報知、LCA起動操作が受け付けられたことを示すLCA受付通知、及びLCAの動作状態を示すLCAコンテンツ等を、各表示デバイスに表示させる(図4及び図5参照)。さらに、提示制御部88は、自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知(以下、レベル3可能報知)と、自律走行制御が開始されることを示す移行開始報知(以下、レベル3開始報知)とを実施する。
【0054】
ここまで説明した自動運転システム50において、自律走行制御での車線変更、及びLCAによる車線変更中の自律走行制御への移行は、車両が使用される国及び地域等の法規に基づき、許可される場合と禁止される場合とが想定される。本開示の自動運転システム50では、自律走行制御による車線変更、及びLCAによる車線変更中の自律走行制御への移行は、共に許可されているものとする。こうした自動運転システム50を搭載する自車両Amでは、LCAの機能によって車線変更が実施されるLC制御期間と、自律走行制御に移行可能となるタイミングとが重なり得る。以下、こうしたシーンにおいて実施される車両制御及び情報提示の詳細を、図4及び図5に基づき、図1図3を参照しつつ説明する。
【0055】
図4に示すシーンでは、運転支援制御によって自車両Amが走行しており、ドライバによるLCA起動操作に基づき、LCAの機能による車線変更が実行される。自動運転ECU50bでは、制御切替部77が、LCA機能による車線変更が実行されるLC制御期間(図4 ドット範囲参照)も、運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定を継続している。故に、LC制御期間においてレベル3開始条件が成立し得る。例えば、LCAによる車線変更の実行中にADエリアに進入した場合、移動先レーン(追越レーン又は合流レーン等)に渋滞が発生していた場合、LCAが待機状態のままADエリアに進入した場合等に、LC制御期間中に自律走行制御への移行が可能になる。
【0056】
提示制御部88は、LC制御期間中に自律走行制御への移行が可能となった場合、LC制御期間のうちにレベル3可能報知を行う。即ち、周辺監視義務のない自動運転に移行可能となったことが、LC制御期間中にドライバに報知される。但し、LC制御期間にてドライバが車線変更に伴う周辺監視を行っている場合、提示制御部88は、レベル3可能報知の実施を保留することができる。
【0057】
提示制御部88は、LC制御期間中のレベル3可能報知として、例えば「2ndタスクが利用可能になりました」等のメッセージを、メータディスプレイ21及びCID22等に表示させる。提示制御部88は、レベル3可能報知にHUD23を使用しない。加えて提示制御部88は、LC制御期間中のレベル3可能報知として、メータディスプレイ21等に表示される制御ステータスSTm(図6参照)の様態を変化させてもよい。
【0058】
制御ステータスSTmは、自動運転機能の動作状態を提示する画像コンテンツである。制御ステータスSTmは、レーン背景Pln、自車アイコンICv、予定走行軌跡Ppr及びLCアイコンICm等によって構成されている。レーン背景Plnは、自車両Amが走行中の道路に存在しているレーンを示している。自車アイコンICvは、レーン背景Plnに描画された各レーンに対する自車両Amの相対位置を示している。予定走行軌跡Pprは、自動運転システム50にて生成された自車両Amの予定走行ラインを示している。LCアイコンICmは、LCAによる車線変更での自車両Amの移動方向を示している。
【0059】
提示制御部88は、LC制御期間中のレベル3可能報知として、制御ステータスSTmに表示させる予定走行軌跡Pprの様態を変更する。一例として、運転支援制御及び自律走行制御にそれぞれ緑色及び青色の表示色が予め関連付けられている場合、提示制御部88は、レベル3可能報知として、予定走行軌跡Pprの表示色を緑色から青色に変化させる。こうしたレベル3可能報知は、レーン背景Plnに描画される区画線又はレーン部分の表示色の変化によって実施されてもよい。さらに、アンビエントライト25の発光色の変更によってレベル3可能報知が実施されてもよい。
【0060】
制御切替部77は、レベル3開始条件の成立後、自律走行制御への移行を実行するトリガ(以下、レベル3移行トリガ)の有無を判断する。レベル3移行トリガは、ドライバによるレベル3移行操作の入力であってもよく、行動判断部63による開始判断であってもよい。LC制御期間の終了前にレベル3移行トリガがあった場合、制御切替部77は、LC制御期間中に、運転支援制御から自律走行制御への移行を実施する。
【0061】
提示制御部88は、LC制御期間中の制御移行に合わせて、レベル3開始報知を実施する。提示制御部88は、レベル3開始報知として、例えば「車両からの情報にご注意ください 周辺の道路状況により自動運転が解除されます」等のメッセージを各表示デバイスに表示させる。加えて提示制御部88は、レベル3開始報知の実施に合わせて、CID22による動画コンテンツ等の再生を可能にする。
【0062】
ここで、制御切替部77は、LC制御期間の終了前にレベル3移行トリガがあった場合でも、自律走行制御への移行を、LCAの機能による車線変更の終了後まで保留してもよい。この場合、提示制御部88は、車線変更終了後の制御移行に合わせて、レベル3開始報知を実施する。
【0063】
一方、LC制御期間中にレベル3移行トリガがなかった場合、提示制御部88は、運転支援制御から自律走行制御に移行可能な状態が継続していることを条件に、LC制御期間の終了後にもレベル3可能報知を行う。LC制御期間の終了後に行われるレベル3可能報知(以下、第2移行可能報知)の様態は、LC制御期間のうちに行われるレベル3可能報知(以下、第1移行可能報知)の様態と、異なっている。
【0064】
具体的に、第2移行可能報知は、第1移行可能報知よりも誘目性の高い(目立つ)様態とされる。一例として、提示制御部88は、第2移行可能報知にはHUD23を使用し、第1移行可能報知にはHUD23を使用しない。また別の一例として、提示制御部88は、第2移行可能報知にて表示されるメッセージ画像のサイズを、第1移行可能報知にて表示されるメッセージ画像のサイズよりも大きくする。提示制御部88は、表示色、表示サイズ、表示輝度、並びにアニメーション及び点滅の有無等に違いを持たせることにより、第2移行可能報知を第1移行可能報知よりもドライバに知覚され易く提示する。さらに、第2移行可能報知では、第1移行可能報知では実施されない音声メッセージの再生が実施される。
【0065】
提示制御部88は、第2移行可能報知の開始後、制御切替部77にてレベル3移行トリガが把握されると、自律走行制御への制御移行に合わせて、レベル3開始報知を実施する。この場合も、提示制御部88は、自律走行制御が開始されることを示すメッセージを、各表示デバイスに表示させる。
【0066】
図5に示すシーンでは、レベル3開始条件の成立に基づき、自律走行制御への移行が可能となった後、自律走行制御への移行が実施される前に、ドライバがLCA起動操作を入力している。LCA起動操作の入力があった場合、制御切替部77は、移動先レーンの走行環境の認識が十分でない可能性があるため、周辺監視義務のない自律走行制御への移行を保留し、周辺監視義務のあるLCAの機能による車線変更の実施を選択する。
【0067】
制御切替部77は、LCAの機能による車線変更が実行されるLC制御期間(図5 ドット範囲参照)も、運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定を継続している。故に、LC制御期間においてレベル3開始条件が成立し得る。この場合、制御切替部77は、LC制御期間中又はLC制御期間の終了後に、レベル3移行トリガに基づき、自律走行制御への移行を実施する。
【0068】
提示制御部88は、自車レーンでの最初のレベル3開始条件の成立に基づき、レベル3可能報知(以下、通常移行可能報知)を実施する。さらに、提示制御部88は、レベル3開始条件の成立が継続しているとLC制御期間中に把握した場合、レベル3可能報知(以下、第3移行可能報知)を、LCA制御期間のうちに実施する。そして、LCA制御期間中にレベル3移行トリガがあった場合、提示制御部88は、LCA制御期間中又はLCA制御期間の終了後に、レベル3開始報知を実施する。
【0069】
一方、LCA制御期間中にレベル3移行トリガがなかった場合、提示制御部88は、レベル3可能報知(以下、第4移行可能報知)を、LC制御期間の終了後に実施する。第4移行可能報知の開始後、制御切替部77にてレベル3移行トリガが把握されると、提示制御部88は、自律走行制御への制御移行に合わせて、レベル3開始報知を実施する。
【0070】
第4移行可能報知は、第3移行可能報知よりも誘目性の高い様態とされてよい。一例として、第4移行可能報知では、上記の第2移行可能報知及び最初に実施される通常移行可能報知と実質的に同じコンテンツが表示される。さらに、第4移行可能報知では、通常移行可能報知では実施されない音声メッセージの再生による情報提示が実施される。一方、第3移行可能報知では、上記の第1移行可能報知と実質的に同じように、誘目性を抑えたコンテンツが表示される。第3移行可能報知では、音声メッセージの再生は、実施されない。第3移行可能報知は、上記の第1移行可能報知と同様に、ドライバが車線変更に伴う周辺監視を行っている場合、実施を保留されてもよい。
【0071】
次に、ここまで説明した自動運転制御及び情報提示制御を実現するための各処理の詳細を、図7図9に基づき、図1図6を参照しつつ、以下説明する。
【0072】
図7に示す判定対象切替処理は、運転支援制御の開始に基づき、自動運転ECU50bの行動判断部63を主体に開始される。判定対象切替処理は、運転支援制御の終了まで繰り返し実施される。自動運転ECU50bは、判定対象切替処理に基づき、LC制御期間において、自律走行制御に移行可能であるか否かを判定する対象のレーンを、車線変更での移動前の自車レーンから、車線変更によって移動する移動先レーンに遷移させる。
【0073】
判定対象切替処理のS11では、運転支援ECU50aから取得する制御ステータス情報に基づき、周辺監視義務のある運転支援制御での車線変更の実行状態、即ち、LCAの動作状態を把握し、S12に進む。S12では、LCAが起動中か否かを判定する。S12にて、LCAが起動していないと判定した場合、S14に進む。一方、S12にて、LCAが起動していると判定した場合、S13に進む。
【0074】
S13では、LCAによる車線変更が実行中か否かを判定する。S13にて、LCAが起動開始状態又は待機状態であり、実行状態でないと判定した場合、S14に進む。S14では、走行中の自車レーンを判定対象に設定する。そして、運転支援制御から自律走行制御への移行が自車レーンにて可能か否かの判定を開始し、今回の判定対象切替処理を終了する。
【0075】
一方、S13にて、LCAが実行状態にあると判定した場合、S15に進む。S15では、自車両Amの現在位置に基づき、自車両Amが移動先レーンに進入したか否かを判定する。一例として、自車両Amの一部又は重心がレーン間の区画線を跨いだ場合、自車両Amが移動先レーンに進入したと判定する。S15にて、自車両Amが移動先レーンに進入していないと判定した場合、S16に進む。S16では、自車レーン及び移動先レーンの両方を判定対象に設定する。そして、自車レーン及び移動先レーンのそれぞれについて、運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定を開始し、今回の判定対象切替処理を終了する。
【0076】
対して、S15にて、自車両Amが移動先レーンに進入していると判定した場合、S17に進む。S17では、移動先レーンを判定対象に設定する。そして、移動先レーンにて運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定を開始し、今回の判定対象切替処理を終了する。以上のS16及びS17によれば、LCAによる車線変更が実行されるLC制御期間も、運転支援制御から自律走行制御への移行が可能か否かの判定が継続される。
【0077】
図8及び図9に示すレベル3移行案内処理は、運転支援制御の開始に基づき、HCU100によって開始される。HCU100は、レベル3移行案内処理に基づき、一回又は複数回のレベル3可能報知と、レベル3開始報知とを順次実施する。
【0078】
レベル3移行案内処理のS101では、情報連携部82が、運転支援制御から自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する。S101にて、レベル3開始条件の成立に基づき、自律走行制御への移行が可能になったと判定した場合、S102に進む。S102では、情報連携部82が、LCAの動作状態、具体的には、LCAの機能による車線変更が実施されているか否かを把握する。S102にて、LCAが起動しており、車線変更が実施されていると判定した場合、S103に進む(図4参照)。
【0079】
S103では、情報連携部82が、主として車線変更での移動先レーンを判定対象として、レベル3開始条件が成立しているか否かを把握する。S103にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能になっていないと判定した場合、S107に進む。一方、S103にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能になっていると判定した場合、S104に進む。
【0080】
S104では、ドライバ状態把握部86が、ドライバによる周辺監視の状態を把握する。S104にて、ドライバの視線が移動先レーンに向けられており、ドライバが車線変更に伴う周辺監視を行っていると判定した場合、S107に進む。一方、ドライバの視線が移動先レーンとは異なる位置(例えば表示デバイス等)に向けられており、車線変更に伴う周辺監視を行っていないと判定した場合、S105に進む。S105では、提示制御部88が、誘目性を抑えた様態で、自律走行制御への移行が可能となったことを示すレベル3可能報知(第1移行可能報知)を行い、S106に進む。
【0081】
S106では、情報連携部82が、レベル3移行トリガの把握の有無を判定する。S106にて、レベル3移行トリガが把握されたと判定した場合、S111に進む。一方、S106にて、レベル3移行トリガが把握されていないと判定した場合、S107に進む。
【0082】
S107では、情報連携部82が、LCAによる車線変更が終了したか否かを判定する。S107にて、車線変更が終了していないと判定した場合、S103~S106の処理を繰り返す。一方、S107にて、LCAによる車線変更が終了したと判定した場合、S108に進む。
【0083】
S108では、S103と同様に、情報連携部82が、移動先レーンを判定対象として、レベル3開始条件が成立しているか否かを把握する。S108にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能でないと判定した場合、レベル3移行案内処理は終了される。一方、S108にて、移動先レーンでも自律走行制御への移行が可能であると判定した場合、S109に進む。
【0084】
S109では、提示制御部88が、自律走行制御への移行が可能となったことを示すレベル3可能報知(第2移行可能報知)を行い、S110に進む。S109にて実施される第2移行可能報知は、S105にて実施される第1移行可能報知よりも、ドライバを誘目可能な様態とされる。
【0085】
S110では、S106と同様に、情報連携部82が、レベル3移行トリガの把握の有無を判定する。S110にて、レベル3移行トリガが把握されていないと判定した場合、S109に戻り、レベル3可能報知を継続させる。一方、S110にて、レベル3移行トリガが把握されたと判定した場合、S111に進む。S111では、提示制御部88が、自律走行制御の開始を示すレベル3開始報知を行い、レベル3移行案内処理を終了させる。
【0086】
さらに、上記のS102にて、LCAが起動していないと判定した場合、S121に進む(図5参照)。S121では、S105及びS109と同様に、提示制御部88が、レベル3可能報知を行い、S122に進む。レベル3可能報知を開始した後のS122では、情報取得部81が、ドライバによるLCA起動操作の入力の有無を把握する。S122では、自律走行制御への移行前に、LCAの機能による車線変更が開始されるか否かを判定する。
【0087】
S122にて、LCA起動操作が把握されないと判定した場合、S123に進む。S123では、S106等と同様に、情報連携部82が、レベル3移行トリガの把握の有無を判定する。S123にて、レベル3移行トリガが把握されていないと判定した場合、S122に戻る。一方、S123にて、レベル3移行トリガが把握されたと判定した場合、S111にて、レベル3開始報知を行い、レベル3移行案内処理を終了させる。
【0088】
対して、S122にて、LCA起動操作が把握されたと判定した場合、S124に進む。S124では、提示制御部88が、LCA受付通知を実施し、S125に進む。S125では、S103等と同様に、情報連携部82が、移動先レーンを判定対象として、レベル3開始条件が成立しているか否かを把握する。S124にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能になっていないと判定した場合、S127に進む。一方、S124にて、移動先レーンでも自律走行制御への移行が可能であると判定した場合、S126に進む。
【0089】
S126では、S105と同様に、提示制御部88が、誘目性の低い様態で、レベル3可能報知(第3移行可能報知)を行い、S127に進む。S127では、S107と同様に、情報連携部82が、LCAによる車線変更が終了したか否かを判定する。S127にて、車線変更が終了していないと判定した場合、S125及びS126の処理を繰り返す。一方、S127にて、LCAによる車線変更が終了したと判定した場合、S108に進む。
【0090】
S125~S127を実施した後のS108及びS109でも、自律走行制御に移行可能な状態が継続している場合には、レベル3可能報知(第4移行可能報知)が行われる。そして、S110及びS111にて、レベル3移行トリガの把握に基づき、レベル3開始報知が実施され、レベル3移行案内処理が終了される。
【0091】
ここまで説明した第一実施形態では、運転支援制御(LCA)による車線変更が実施されるLC制御期間に、自律走行制御への移行が可能となった場合、レベル3可能報知により自律走行制御への移行が可能となったことが、LC制御期間のうちに提示される。その結果、自律走行制御に移行可能になったことを認識する時間が確保され易くなるため、ドライバは、周辺監視義務のない自動運転の使用を円滑に開始し得る。したがって、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0092】
加えて第一実施形態では、LC制御期間中又はLC制御期間の終了後、運転支援制御から自律走行制御へと移行される場合に、自律走行制御の開始を示すレベル3開始報知が行われる。以上のように、レベル3可能報知及びレベル3開始知が順に実施されれば、自動運転システム50による周辺監視義務のない自動運転への移行プロセスが、ドライバに分かり易く伝わり得る。
【0093】
また第一実施形態では、LCAよる車線変更の終了後、運転支援制御から自律走行制御に移行可能な状態が継続している場合、LC制御期間の終了後にも、レベル3可能報知(第2移行可能報知)が行われる。故に、ドライバは、車線変更中に提示されたレベル3可能報知(第1移行可能報知)を見逃した場合でも、車線変更の完了後に自律走行制御への移行が可能になったことを把握し得る。その結果、ドライバは、自律走行制御の使用を適切に開始できる。したがって、自動運転の利便性がいっそう確保され得る。
【0094】
さらに第一実施形態では、LC制御期間のうちに行われる第1移行可能報知の様態が、LC制御期間の終了後に行われる第2移行可能報知の様態と異なっている。故に、各提示タイミングに合わせて報知の誘目性が調整され得る。その結果、報知の煩わしさを抑制しつつ、自律走行制御の使用が可能になったことを、ドライバに分かり易く通知することができる。
【0095】
加えて第一実施形態では、LC制御期間にてドライバが車線変更に伴う周辺監視を行っている場合、レベル3可能報知の実施が保留される。故に、レベル3可能報知がドライバの周辺監視を阻害し、ドライバに煩わしさを感じさせてしまう事態は、回避され得る。さらに、保留されたレベル3可能報知が適宜再開されれば、自律走行制御に移行可能になったことをドライバに適切に認識させることが可能になる。
【0096】
また第一実施形態では、レベル3可能報知の実施後、自律走行制御への移行前に、LCAによる車線変更が開始される場合、車線変更の終了後も自律走行制御に移行可能であることを条件に、車線変更の終了後にレベル3可能報知が再び行われる。こうしたレベル3可能報知(第4移行可能報知)の実施によれば、自車両Amの走行するレーンが変更となっても、自律走行制御に移行可能な状態が継続しているか否かが、ドライバに分かり易く提示される。その結果、車線変更を行った場合でも、周辺監視義務のない自動運転の使用が円滑に開始され得る。したがって、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0097】
さらに第一実施形態では、車線変更の終了後も自律走行制御に移行可能であることがLC制御期間のうちに把握された場合、LC制御期間のうちにレベル3可能報知(第3移行可能報知)が行われる。故に、ドライバは、周辺監視義務のない自動運転の使用を早期に開始し得る。その結果、周辺監視義務のない自動運転の利便性が向上可能となる。
【0098】
加えて第一実施形態では、周辺監視義務のある運転支援制御から周辺監視義務のない自律走行制御への移行の可否判定が、運転支援制御によって車線変更が実行されるLC制御期間も継続される。故に、LC制御期間であっても、自律走行制御への移行が可能と判定され得るため、周辺監視義務のない状態への移行が早期に実施可能になる。その結果、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0099】
尚、上記実施形態では、制御切替部77が「移行判定部」に相当し、情報連携部82が「走行制御把握部」に相当し、提示制御部88が「報知制御部」に相当する。また、自動運転ECU50bが「自動運転制御装置」に相当し、HCU100が「提示制御装置」に相当する。
【0100】
(第二実施形態)
本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態の提示制御部88(図3参照)は、LCAの機能によって車線変更が行われるLC制御期間に自律走行制御への移行が可能となった場合、LC制御期間におけるレベル3可能報知の実施を保留する。提示制御部88は、LC制御期間の終了後に、レベル3可能報知を行う。以下、第二実施形態のレベル3移行案内処理の詳細を、図10に基づき説明する。尚、第二実施形態でも、自律走行制御へ移行可能となった直後にLCA機能が起動されるシーン(図5参照)にて実施されるS121~S127(図9参照)の各処理は、第一実施形態と実質的に同一である。
【0101】
S201及びS202では、第一実施形態(図8参照)と同様に、自律走行制御への移行が可能になったか否か、及びLCA機能が起動しているか否かを順に判定する。S202にて、LCAが起動していないと判定した場合、S121(図9参照)に進む。
【0102】
S203では、移動先レーンを判定対象として、レベル3開始条件が成立しているか否かを把握する。S203にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能になっていないと判定した場合、S205に進む。一方、S203にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能になっていると判定した場合、S204に進む。
【0103】
S204では、レベル3移行トリガの把握の有無を判定する。S204にて、レベル3移行トリガが把握されたと判定した場合、S209及びS210にて、レベル3可能報知及びレベル3開始報知が順に実施され、今回のレベル3移行案内処理が終了される。一方、S204にて、レベル3移行トリガが把握されていないと判定した場合、S205に進む。
【0104】
S205では、LCAによる車線変更が終了したか否かを判定する。S205にて、車線変更が終了していないと判定した場合、S203及びS204の処理を繰り返す。以上のように、LC制御期間に自律走行制御への移行が可能となった場合でも、LC期間中はレベル3可能報知が実施されない。一方、S205にて、LCAによる車線変更が終了したと判定した場合、S206に進む。
【0105】
S206では、S203と同様に、移動先レーンを判定対象として、レベル3開始条件が成立しているか否かを把握する。S206にて、移動先レーンでの自律走行制御への移行が可能でないと判定した場合、レベル3移行案内処理は終了される。一方、S206にて、移動先レーンでも自律走行制御への移行が可能であると判定した場合、S207に進む。S207では、レベル3可能報知を行い、S208に進む。
【0106】
S208では、S204と同様に、レベル3移行トリガの把握の有無を判定する。S208にて、レベル3移行トリガが把握されていないと判定した場合、S207に戻り、レベル3可能報知を継続させる。一方、S208にて、レベル3移行トリガが把握されたと判定した場合、S210に進み、レベル3開始報知を行い、レベル3移行案内処理を終了させる。
【0107】
ここまで説明した第二実施形態では、LCAの機能による車線変更が実施されるLC制御期間に、周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能となった場合、レベル3可能報知の実施は、LC制御期間において保留される。故に、実施中の車両制御とは異なった内容を示す情報提示が抑制されるため、ドライバを混乱させてしまう事態は回避され得る。そして、LC制御期間の終了後に行われるレベル3可能報知により、ドライバは、自律走行制御に移行可能になったことを認識し、周辺監視義務のない自動運転の使用を円滑に開始し得る。こうした一連の情報提示によれば、周辺監視義務のない自動運転の利便性が確保可能となる。
【0108】
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0109】
上記実施形態における通常移行可能報知及び第1~第4の移行可能報知の各様態は、適宜変更可能である。例えば上記実施形態の変形例1では、第1移行可能報知及び第2移行可能報知は、連続的に表示される。言い替えれば、LC制御期間中に開始された第1移行可能報知の表示がLC制御期間の終了後も継続され、第2移行可能報知とされる。また、第1移行可能報知及び第2移行可能報知が連続的に表示されてもよい。この場合、LC制御期間中に開始された第3移行可能報知の表示がLC制御期間の終了後も継続され、第4移行可能報知とされる。
【0110】
上記実施形態の変形例2では、LC期間中にレベル3への移行が可能になるシーンでの第2移行可能報知が省略される。また、上記実施形態の変形例3では、レベル3への移行が可能となった直後にLCAが起動されるシーンでの第3移行可能報知が省略される。さらに、上記実施形態の変形例4では、ドライバの周辺監視の状態に基づき、LC制御期間中の移行可能報知を保留する処理が省略される。
【0111】
上記実施形態の自動運転システム50では、自律走行制御による車線変更、及びLCAによる車線変更中の自律走行制御への移行は、共に許可されていた。一方で、上記実施形態の変形例5では、自律走行制御による車線変更、及びLCAによる車線変更中の自律走行制御への移行が共に禁止されている。また、上記実施形態の変形例6では、自律走行制御による車線変更が許可される一方で、LCAによる車線変更中の自律走行制御への移行は、禁止されている。これら変形例5,6においても、LC制御期間中及びLC制御期間後におけるレベル3可能報知は、自動運転の利便性確保に有効となる。但し、上記の変形例5,6では、LC制御期間中にレベル3移行トリガがあった場合(図4の分岐参照)でも、自律走行制御への制御移行及びレベル3可能報知(第2移行可能報知)は、LC制御期間の終了後に実施される。
【0112】
上記実施形態の変形例7では、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各機能は、一つの自動運転ECUによって提供されている。即ち、変形例7の自動運転ECU50bには、運転支援ECU50aの機能が実装されている。こうした変形例7では、統合された自動運転ECUが「自動運転制御装置」に相当する。さらに、統合された自動運転ECUに、HCU100の機能がさらに実装されていてもよい。こうした変形例では、自動運転ECUが「提示制御装置」に相当する。
【0113】
上記実施形態にて、自動運転ECU及びHCUによって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
【0114】
上記実施形態の各処理部は、RAMと結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。こうした処理部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA等に実装された構成であってもよい。また、各種プログラム等を記憶する記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)の形態も、適宜変更されてよい。さらに、記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、自動運転ECU又はHCU等の制御回路に電気的に接続される構成であってよい。また、記憶媒体は、自動運転ECU又はHCUへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
【0115】
上記の自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。また、自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による自動運転制御及び情報提示制御は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
【0116】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
ここまで説明した実施形態及び変形例から把握される技術的思想を、付記として以下に記載する。
(付記1-1)
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握する走行制御把握部(82)と、
前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を行う報知制御部(88)と、を備え、
前記走行制御把握部は、前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否か、をさらに把握し、
前記報知制御部は、前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記制御期間のうちに前記移行可能報知を行う提示制御装置。
(付記1-6)
自動運転機能によって走行可能な自車両(Am)において用いられ、前記自動運転機能に関連する情報の提示を制御する提示制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能になったか否かを把握し(S101)、
前記ドライバに周辺監視義務のある状態で前記自動運転機能による車線変更が実施されているか否かを把握し(S102)、
前記運転支援制御による車線変更が実施される制御期間に前記自律走行制御への移行が可能となった場合、前記自律走行制御への移行が可能となったことを示す移行可能報知を前記制御期間のうちに行う(S105)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(11)に実行させる提示制御プログラム。
(付記1-12)
自動運転機能による自車両(Am)の走行を可能にする自動運転制御装置であって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能か否かを判定する移行判定部(77)と、
前記運転支援制御による車線変更の実行状態を把握する支援制御把握部(76)と、を備え、
前記移行判定部は、前記運転支援制御による車線変更が実行される制御期間も、前記運転支援制御から前記自律走行制御への移行が可能か否かの判定を継続する自動運転制御装置。
(付記1-13)
自動運転機能による自車両(Am)の走行を可能にする自動運転制御プログラムであって、
前記自車両のドライバに周辺監視義務のある運転支援制御での車線変更の実行状態を把握し(S11)、
前記運転支援制御から、前記ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御への移行が可能か否かを判定し(S14)、
前記運転支援制御による車線変更が実行される制御期間も前記運転支援制御から前記自律走行制御への移行が可能か否かの判定を継続する(S16,S17)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【符号の説明】
【0117】
Am 自車両、11,51 処理部、50b 自動運転ECU(自動運転制御装置)、76 支援制御把握部、77 制御切替部(移行判定部)、82 情報連携部(走行制御把握部)、86 ドライバ状態把握部、88 提示制御部(報知制御部)、100 HCU(提示制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10