(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】射出成形品及びセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
B29C 45/38 20060101AFI20241217BHJP
B29C 45/46 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B29C45/38 A
B29C45/46
(21)【出願番号】P 2021120655
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕信
(72)【発明者】
【氏名】金 京佑
(72)【発明者】
【氏名】小林 利成
(72)【発明者】
【氏名】清水 盛行
(72)【発明者】
【氏名】寺坂 元寿
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-159085(JP,A)
【文献】国際公開第2019/116680(WO,A1)
【文献】特開平06-134828(JP,A)
【文献】特開平06-182798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/38
B29C 45/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、
2つの半円板状部が長方形板状部分を介して連なった板形状又は長円な板形状をなしており、前記板形状をなす部分に前記第1孔、前記第2孔が形成されており、
前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、
前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、
前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部が、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部より肉厚であり、
前記連結部にウエルドが形成されている、射出成形品。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成形品であって、
前記連結部は、前記第1孔の中心軸方向に沿って見て、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを直線及び外側に凸の線の少なくとも一方で繋ぐ境界によって規定される形状を有する、射出成形品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の射出成形品であって、
ゲート跡が、前記連結部に形成されている、射出成形品。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の射出成形品であって、
第1ゲート跡と第2ゲート跡とが、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部のうち前記連結部とは反対側の部分に形成されている、射出成形品。
【請求項5】
第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、
2つの半円板状部が長方形板状部分を介して連なった板形状又は長円な板形状をなしており、前記板形状をなす部分にその厚み方向に貫通する前記第1孔、前記第2孔が形成されており、
前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、
前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、
前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部が、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部より肉厚であり、
前記連結部にゲート跡が形成されている、射出成形品。
【請求項6】
第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、
2つの半円板状部が長方形板状部分を介して連なった板形状又は長円な板形状をなしており、前記板形状をなす部分に前記第1孔、前記第2孔が形成されており、
前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、
前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、
前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、
を備え、
前記連結部が、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部より肉厚であり、
第1ゲート跡と第2ゲート跡とが、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部のうち前記連結部とは反対側の部分に形成されている、射出成形品。
【請求項7】
センサと、
前記センサを保持するセンサホルダと、
前記センサホルダの少なくとも一部が前記第1孔内に配置されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の射出成形品と、
前記センサから前記ホルダ内を通って外部に引出された電線と、
を備えるセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形部品及びセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、長手方向の一方側には板厚方向に貫通した孔部である挿通孔部が形成され、長手方向の他方側には板厚方向に貫通した孔部である貫通孔部が形成された固定部材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出成形品には、金型内における溶融樹脂の合流によってウエルドが形成されることがある。ウエルドの影響を少なくして射出成形品をより頑丈にすることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、ウエルドの影響を少なくして射出成形品をより頑丈にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の射出成形品は、第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、を備え、前記連結部にウエルドが形成されている、射出成形品である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ウエルドの影響を少なくして射出成形品をより頑丈にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係るセンサモジュールを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の射出成形品は、次の通りである。
【0011】
(1)第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、を備え、前記連結部にウエルドが形成されている、射出成形品である。
【0012】
この射出成形品によると、連結部が形成された部分は、第1部分環状部及び第2部分環状部よりも肉厚である。この連結部にウエルドが形成されているため、ウエルドの影響を少なくして、射出成形品をより頑丈にすることができる。
【0013】
(2)(1)の射出成形品であって、前記連結部は、前記第1孔の中心軸方向に沿って見て、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを直線及び外側に凸の線の少なくとも一方で繋ぐ境界によって規定される形状を有する。このように肉厚に形成された連結部にウエルドが形成されることで、ウエルドの影響を少なくして、射出成形品をより頑丈にすることができる。
【0014】
(3)(1)又は(2)の射出成形品であって、ゲート跡が、前記連結部に形成されていてもよい。ゲートから連結部に溶融樹脂が流し込まれると、溶融樹脂は、連結部を通った後、第1孔の周りと第2孔の周りを流れて連結部に戻って合流することが考えられる。これにより、ウエルドを連結部に形成し易い。
【0015】
(4)(1)又は(2)の射出成形品であって、第1ゲート跡と第2ゲート跡とが、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部のうち前記連結部とは反対側の部分に形成されていてもよい。この場合、両端のゲートから溶融樹脂が流し込まれると、第1孔の周りを通った溶融樹脂と、第2孔の周りを通った溶融樹脂とが、連結部で合流することが考えられる。これにより、ウエルドを連結部に形成し易い。
【0016】
本開示の射出成形品は、次の通りであってもよい。
【0017】
(5)第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、を備え、前記連結部にゲート跡が形成されている、射出成形品である。
【0018】
この場合、ゲートから連結部に溶融樹脂が流し込まれると、溶融樹脂は、連結部を通った後、第1孔の周りと第2孔の周りを流れて連結部に戻って合流することが考えられる。これにより、ウエルドを連結部に形成し易い。連結部が形成された部分は、第1部分環状部及び第2部分環状部よりも肉厚である。この連結部にウエルドが形成されているため、ウエルドの影響を少なくして、射出成形品をより頑丈にすることができる。
【0019】
本開示の射出成形品は、次の通りであってもよい。
【0020】
(6)第1孔と第2孔とを有する射出成形品であって、前記第1孔の周りのうち前記第2孔とは反対側を囲む第1部分環状部と、前記第2孔の周りのうち前記第1孔とは反対側を囲む第2部分環状部と、前記第1孔の周りのうち前記第1部分環状部の残りの部分を囲むと共に、前記第2孔の周りのうち前記第2部分環状部の残りの部分を囲み、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部とを連結する連結部と、を備え、第1ゲート跡と第2ゲート跡とが、前記第1部分環状部と前記第2部分環状部のうち前記連結部とは反対側の部分に形成されている、射出成形品である。
【0021】
この場合、両端のゲートから溶融樹脂が流し込まれると、第1孔の周りを通った溶融樹脂と、第2孔の周りを通った溶融樹脂とが、連結部で合流することが考えられる。これにより、ウエルドを連結部に形成し易い。連結部が形成された部分は、第1部分環状部及び第2部分環状部よりも肉厚である。この連結部にウエルドが形成されているため、ウエルドの影響を少なくして、射出成形品をより頑丈にすることができる。
【0022】
本開示のセンサモジュール20は、次の通りである。
【0023】
(7)センサと、前記センサを保持するセンサホルダと、前記センサホルダの少なくとも一部が前記第1孔内に配置されている(1)から(6)のいずれか1つの射出成形品と、前記センサから前記ホルダ内を通って外部に引出された電線と、を備えるセンサモジュールである。
【0024】
このセンサモジュールによると、射出成形品の第1孔を利用して射出成形品をセンサホルダに保持でき、第2孔を利用して射出成形品を固定対象箇所にねじ止等することができる。このように、センサを保持する射出成形品を、頑丈にすることができる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の射出成形品及びセンサモジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
[実施形態]
以下、実施形態に係る射出成形品及びセンサモジュールについて説明する。
図1は射出成形品30を含むセンサモジュール20を示す概略斜視図である。
【0027】
センサモジュール20は、センサ22と、センサホルダ24と、電線26と、射出成形品30とを備える。センサ22は、電線26の端部に接続されている。センサホルダ24は、センサ22と電線26の端部とを覆っている。射出成形品30の一端部がセンサホルダ24に取付けられ、射出成形品30の他端部がセンサホルダ24の外側に突出している。センサ22を保持したセンサホルダ24が射出成形品30を介して固定対象箇所に固定される。これにより、センサ22が固定対象箇所近くにおいて、所定の位置及び所定の姿勢で保持される。射出成形品30は、センサ22及びセンサホルダ24を支持するブラケットである。
【0028】
より具体的には、センサ22は、磁気、光、温度等の物理量或いはそれらの変化量を検出する素子である。電線26は、センサ22に接続されている。電線26は、はんだ付、圧着等によって、センサ22の端子に接続されている。電線26は、シースによって覆われていてもよいし、シースによって覆われていなくてもおい。
【0029】
センサホルダ24は、センサ22と電線26の端部とを覆っている。センサホルダ24は、長尺形状、例えば、円柱状に形成されている。センサホルダ24の一端部内にセンサ22が配置されている。電線26は、センサホルダ24内におけるセンサ22からセンサホルダ24内を通りセンサホルダ24の他端面から外部に引出される。センサホルダ24は、例えば、センサ22及び電線26をインサート部分として、金型成形された樹脂部品である。センサホルダ24は、複数の部品の複合体であってもよい。例えば、センサホルダ24は、センサ22及び電線26を保持する内側樹脂ホルダと、当該内部樹脂ホルダを覆う外側樹脂部品との複合体であってもよい。
【0030】
射出成形品30は、第1孔31h1と第2孔31h2とを有する射出成形品である。センサホルダ24の少なくとも一部、ここでは、センサホルダ24の長手方向中間部が第1孔31h1内に配置されることによって、射出成形品30がセンサホルダ24に取付けられている。この状態で、射出成形品30のうち第2孔31h2が形成された部分は、センサホルダ24から外方に突出している。そして、第2孔31h2を利用して、射出成形品30が固定対象箇所にねじ止等される。
【0031】
上記射出成形品30は、センサ22及び電線26を覆うセンサホルダ24をインサート部分として、金型内で射出成形することによって形成される。よって、第1孔31h1は、センサホルダ24によって形成される孔である。第2孔31h2は、金型の型面によって形成されてもいし、金型内に配置される他の部品によって形成されてもよい。本実施形態では、第2孔31h2が形成される部分に、金属環状部品40が配置されている。金属環状部品40は、金属ブッシュと呼ばれる部品であってもよい。当該金属環状部品40の外周面が第2孔31h2を形成している。
【0032】
本センサモジュール20は、例えば、車両における車輪の回転速度を検出するセンサとして用いられる。より具体的には、センサモジュール20は、ABS(アンチロックブレーキシステム)用のセンサとして用いられてもよい。
【0033】
図2は射出成形品30を示す平面図である。
図1及び
図2に示すように、射出成形品30は、2つの半円板状部が長方形板状部分を介して連なった形状をなしている。射出成形品30は、長円板形状をなしていてもよい。射出成形品30は、第1孔31h1と第2孔31h2とを有する。第1孔31h1は射出成形品30の長手方向一端部寄りに形成され、第2孔31h2は射出成形品30の長手方向他端部寄りに形成される。第1孔31h1及び第2孔31h2は、射出成形品30の厚み方向に貫通している。第1孔31h1の中心軸と第2孔31h2の中心軸は、互いに平行である。第1孔31h1と第2孔31h2とは円である必要は無く、長孔、多角形孔形状であってもよい。
【0034】
射出成形品30は、第1孔31h1の周りのうち第2孔31h2とは反対側の部分を囲む第1部分環状部32を含む。第1部分環状部32は、第1孔31h1を囲む部分のうち射出成形品30の長手方向一端部側の半環状部分である。
【0035】
射出成形品30は、第2孔31h2の周りのうち第1孔31h1とは反対側の部分を囲む第2部分環状部34を含む。第2部分環状部34は、第2孔31h2を囲む部分のうち射出成形品30の長手方向他端部側の半環状部分である。
【0036】
射出成形品30は、第1部分環状部32と第2部分環状部34とを連結する連結部36を含む。連結部36は、第1孔31h1の周りのうち上記第1部分環状部32によって囲まれる部分の残り部分を囲むと共に、第2孔31h2のうち上記第2部分環状部34によって囲まれる部分の残り部分を囲む。つまり、連結部36は、第1孔31h1の周りのうち第2孔31h2側の部分を囲むと共に、第2孔31h2の周りのうち第1孔31h1側の部分を囲む。連結部36は、第1孔31h1及び第2孔31h2を円環部分が囲むとした想定した場合の隙間を埋めるように形成されている。より具体的には、第1孔31h1又は第2孔31h2の軸方向に沿って見て、連結部36は、第1部分環状部32と第2部分環状部34とを直線及び外側に凸の線(外側に凸となる角を描く線であってもよいし、外側に凸となる曲線を描く線であってもよい)の少なくとも一方で繋ぐ境界36Lによって規定される形状を有する。例えば、連結部36の両外側境界36Lは、第1部分環状部32のうち最も幅広となる部分と、第2部分環状部34のうち最も幅広となる部分とを、直線又は外側に凸となる線又はそれらの組合せの境界Lによって繋いでいる。第1孔31h1と第2孔31h2との並び方向に対して直交する幅方向において、連結部36の幅は、第1部分環状部32の最大幅及び第2部分環状部34の最大幅のうち小さい方と同じか大きい。
【0037】
上記連結部36にウエルド38が形成されている。ウエルドは、射出成形品30を金型によって射出成形する際に、溶融樹脂が金型内で合流した痕跡として形成される部分である。金型内を流れる溶融樹脂の先端部は冷却固化が進むため、金型内における溶融樹脂の合流部は、冷却固化が進んだ溶融樹脂の合流部として筋状に変色した箇所として観察されることが考えられる。
【0038】
連結部36にウエルド38を形成するためには、射出成形品30を成形するための金型50において、ゲート52が連結部36に溶融樹脂を流し込む位置に形成されることが考えられる(
図2参照)。より具体的には、ゲート52が、連結部36を形成する金型空間に対して、第1孔31h1及び第2孔31h2が並ぶ方向と第1孔31h1又は第2孔31h2の中心軸方向との両方に対して直交する方向において一側に開口しており、ゲート52から溶融樹脂を第1孔31h1と第2孔31h2との間に流し込むことが考えられる。この場合、溶融樹脂は、流れF1に示すように、連結部36から第1孔31h1及び第2孔31h2の周りを通って連結部36のうちゲート52近くの部分に流れ込むと考えられる。このため、ウエルド38は、連結部36のうちゲート52に近い部分に形成されると考えられる。
【0039】
なお、射出成形後において、ウエルド38は必ずしもはっきり表れず、観察困難となる場合がある。また、ゲート52の痕跡であるゲート跡39は、表面が部分的に突出する部分として連結部36の側面に形成され得る。もっとも、ゲート跡39は、その後の切削、研磨等の加工によって観察困難となる場合もある。
【0040】
図1及び
図2に示すゲート52の位置とは異なり、
図3に示す射出成形品130のように、ゲート152が、第1部分環状部32を形成する金型空間のうち連結部36とは反対側の部分と、第2部分環状部34を形成する金型空間のうち連結部36とは反対側の部分に開口するように形成される場合も考えられる。換言すると、2つのゲート152が、射出成形品30を形成する金型空間において、当該射出成形品30の長手方向両端に形成されている場合である。
【0041】
この場合、2つのゲート52から溶融樹脂を流し込むと、溶融樹脂は、流れF2に示すように、射出成形品30の幅方向において2つに分れて第1孔31h1及び第2孔31h2のそれぞれの周りを流れ、連結部36で合流すると考えられる。このため、ウエルド38は、連結部36に形成されると考えられる。
【0042】
なお、本例においても、射出成形後において、ウエルド38は必ずしもはっきり表れず、観察困難となる場合がある。また、2つのゲート152の痕跡である第1ゲート跡139及び第2ゲート跡139は、表面が部分的に突出する部分として第1部分環状部32と第2部分環状部34とのうち連結部36とは反対側の部分表面に形成され得る。もっとも、上記したように、ゲート跡139は、その後の切削、研磨等の加工によって観察困難となる場合もある。
【0043】
このように構成された射出成形品30及びセンサモジュール20によると、連結部36にウエルド38が形成されている。射出成形品30のうち連結部36が形成された部分は、第1部分環状部32及び第2部分環状部34よりも肉厚である。このため、射出成形品30のうちウエルド38が形成された部分が他の部分よりも弱いとしても、第1孔31h1を囲む部分又は第2孔31h2を囲む部分を周方向に分断するような割れが生じ難い。このため、ウエルド38の影響を少なくして、射出成形品30をより頑丈にすることができる。これにより、射出成形品30の金型成形時の不良品発生を抑制することができる。
【0044】
連結部36が、第1孔31h1の中心軸方向に沿って見て、第1部分環状部32と第2部分環状部34とを直線及び外側に凸の線の少なくとも一方で繋ぐ境界Lによって規定される形状を有していてもよい。そのような連結部36は、第1孔31h1又は第2孔31h2の径方向に沿って、第1部分環状部32と第2部分環状部34とより肉厚である。この連結部36にウエルド38がされているため、ウエルド38の影響を少なくして、射出成形品30をより頑丈にすることができる。
【0045】
また、ゲート跡39が連結部36に形成されていれば、ゲート52から連結部36に流し込まれた樹脂が、連結部36を通った後、第1孔31h1の周りと第2孔31h2の周りを流れて連結部36に戻って合流することを狙った射出成形品30であると考えられる。この場合、射出成形品30においてウエルド38が観察されるとしても観察困難であるとしても、射出成形品30を頑丈にすることができる。
【0046】
また、第1ゲート跡139及び第2ゲート跡139が第1部分環状部32と第2部分環状部34とのうち連結部36とは反対側の部分に形成されていれば、一方のゲート152から流し込まれた溶融樹脂が、第1孔31h1の周りを2つに分れて流れると共に、他方のゲート152から流し込まれた溶融樹脂が第2孔31h2の周りを2つに分れて流れ、これらの2つの流れの溶融樹脂が連結部36で合流することを狙った射出成形品30であると考えられる。この場合、射出成形品30にウエルド38が観察されるとしても観察困難であるとしても、射出成形品30を頑丈にすることができる。
【0047】
また、上記射出成形品30を含むセンサモジュール20によると、センサホルダ24の少なくとも一部が第1孔31h1内に配置されて、射出成形品30がセンサホルダ24に取付けられる。第1孔31h1はセンサホルダ24を保持する役割を果し、第2孔31h2はセンサホルダ24を固定対象箇所にねじ止等するための孔としての役割を果すことができる。上記したように、連結部36にウエルド38が形成されているため、第1孔31h1又は第2孔31h2の周りの部分を分断するような割れが生じ難い。これにより、固定用部品として頑丈な射出成形品30を有するセンサモジュール20を製造することができる。
【0048】
[変形例]
実施形態では、射出成形品30がセンサモジュール20の一部として用いられる場合が説明された。射出成形品30は、当該センサモジュール20の部品に限られず、第1孔及び第2孔を有する各種部品に適用され得る。
【0049】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0050】
20 センサモジュール
22 センサ
24 センサホルダ
26 電線
30、130 射出成形品
31h1 第1孔
31h2 第2孔
32 第1部分環状部
34 第2部分環状部
36 連結部
36L 境界
38 ウエルド
39、139 ゲート跡
40 金属環状部品
50 金型
52、152 ゲート