IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置 図1
  • 特許-ハイブリッド車両の制御装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/50 20160101AFI20241217BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20241217BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20241217BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20241217BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20241217BHJP
【FI】
B60W20/50
B60K6/48 ZHV
B60W10/08 900
B60L15/20 K
B60L50/16
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021130299
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023024171
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】園田 芳裕
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-103648(JP,A)
【文献】特開2013-180696(JP,A)
【文献】特開2007-246050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 15/20
B60L 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、前記内燃機関及び前記電動機の間の動力伝達を断接する係合装置と、前記内燃機関を始動するスタータモータと、を備えるハイブリッド車両において、予め定められた駆動力源切替マップから車両状態に基づいてBEV走行モード、エンジン走行モード、HEV走行モードのいずれかに切替えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記走行用駆動力源の起動要求を受けたか否かを判定する起動要求判定部と、
前記起動要求を受けた場合、前記電動機及び前記係合装置を用いて前記内燃機関を始動することができない所定の異常が前記起動要求よりも前に検知されていた場合には、前記車両状態に拘わらず、前記スタータモータを用いて前記内燃機関を始動することを決定する起動方式決定部と、
前記起動方式決定部により前記スタータモータを用いて前記内燃機関を始動することが決定されると、前記スタータモータを用いて前記内燃機関の始動を実行するハイブリッド制御部と、を含む
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、それら内燃機関及び電動機の間の動力伝達を断接する係合装置と、内燃機関を始動するスタータモータと、を備えるハイブリッド車両の、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、それら内燃機関及び電動機の間の動力伝達を断接する係合装置と、内燃機関を始動するスタータモータと、を備えるハイブリッド車両の、制御装置であって、電動機及び係合装置を用いて内燃機関をクランキングすることで内燃機関を始動させる方法が知られている。例えば、特許文献1に記載のものがそれである。特許文献1に記載の方法では、スタータモータを用いて内燃機関を始動することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-159680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のハイブリッド車両において、走行用駆動力源の起動要求を受けると、電動機のみから走行用駆動力が出力される走行モードで走行可能な状態とされる場合がある。その場合、電動機及び係合装置を用いて内燃機関を始動することができない所定の異常が発生していた場合、電動機のみから走行用駆動力が出力される走行モードでの走行中において電動機及び係合装置を用いて内燃機関を始動することができない。そのため、電動機に電力を供給するバッテリに実際に蓄電されている充電量分しか走行できないため、走行可能距離が著しく低下してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電動機及び係合装置を用いて内燃機関を始動することができない所定の異常が発生していた場合、走行可能距離が低下することを抑制できるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)走行用駆動力源である内燃機関及び電動機と、前記内燃機関及び前記電動機の間の動力伝達を断接する係合装置と、前記内燃機関を始動するスタータモータと、を備えるハイブリッド車両において、予め定められた駆動力源切替マップから車両状態に基づいてBEV走行モード、エンジン走行モード、HEV走行モードのいずれかに切替えるハイブリッド車両の制御装置であって、(b)前記走行用駆動力源の起動要求を受けたか否かを判定する起動要求判定部と、(c)前記起動要求を受けた場合、前記電動機及び前記係合装置を用いて前記内燃機関を始動することができない所定の異常が前記起動要求よりも前に検知されていた場合には、前記車両状態に拘わらず、前記スタータモータを用いて前記内燃機関を始動することを決定する起動方式決定部と、(d)前記起動方式決定部により前記スタータモータを用いて前記内燃機関を始動することが決定されると、前記スタータモータを用いて前記内燃機関の始動を実行するハイブリッド制御部と、を含むことにある。
【発明の効果】
【0007】
第1発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、起動方式決定部により、前記走行用駆動力源の起動要求を受けた場合、前記電動機及び前記係合装置を用いて前記内燃機関を始動することができない所定の異常が前記起動要求よりも前に検知されていた場合には、前記車両状態に拘わらず、前記スタータモータを用いて前記内燃機関始動することが決定されると、ハイブリッド制御部により、スタータモータを用いて前記内燃機関の始動が実行される。このように、電動機及び係合装置を用いて内燃機関を始動することができない所定の異常が起動要求よりも前に検知されていた場合には、スタータモータを用いて内燃機関が始動される。始動された内燃機関から出力される走行用駆動力によりハイブリッド車両が走行させられることにより、走行可能距離が電動機に電力を供給するバッテリに実際に蓄電されている充電量分に制限されないため、走行可能距離が低下することが抑制される。
【0008】
第2発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、第1発明において、(a)前記所定の異常が検知された場合には、前記所定の異常が検知されたことが記憶され、(b)前記起動要求を受けた場合において前記所定の異常が検知されたことが記憶されていると、前記スタータモータを用いて前記内燃機関が始動される。例えば、走行用駆動力源の起動要求を受けて実行される起動に要する時間に比較して、所定の異常の検知に要する時間が長い場合がある。そのような場合であっても所定の異常が検知されたことが予め記憶されているため、所定の異常が検知されたことが予め記憶されていない場合に比較して、走行用駆動力源の起動要求を受けた場合にスタータモータを用いて内燃機関の始動制御を速やかに実行することができる。これにより、ドライバビリティの低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る電子制御装置を備えるハイブリッド車両の概略構成図であるとともに、ハイブリッド車両における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
図2図1に示す電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例
【0011】
図1は、本発明の実施例に係る電子制御装置100を備えるハイブリッド車両10(以下、単に「車両10」と記す。)の概略構成図であるとともに、車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。
【0012】
車両10は、走行用駆動力源PGであるエンジン12及び電動機MGと、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに設けられた動力伝達装置16と、を備える。車両10は、ハイブリッド車両である。また、車両10は、インバータ52、油圧制御回路54、電動オイルポンプであるEOP56、メインバッテリ60、システムメインリレー62、補機バッテリ66、DC/DCコンバータ68、スタータモータ70、及び電子制御装置100を備える。
【0013】
エンジン12は、周知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置100によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTe[Nm]が制御される。なお、本明細書では、特に区別しない場合には、トルク、駆動力、動力、及び力(パワー)は同義である。エンジン12は、本発明における「内燃機関」に相当する。
【0014】
動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内において、エンジン12側から順に、エンジン連結軸20、クラッチK0、電動機連結軸22、トルクコンバータ24、自動変速機28の入力回転部材であるAT入力軸26、自動変速機28等を備える。動力伝達装置16は、自動変速機28の出力回転部材であるAT出力軸30に連結されたディファレンシャルギヤ32、ディファレンシャルギヤ32に連結された一対のドライブシャフト34等を備える。
【0015】
エンジン連結軸20は、エンジン12とクラッチK0とを連結する部材であって、例えばクランク軸である。エンジン連結軸20には、フライホイール12aが相対回転不能に取り付けられている。
【0016】
電動機MGは、例えば電気エネルギーから機械的な動力を発生させる電動機としての機能(電動機機能)及び機械的な動力から電気エネルギーを発生させる発電機としての機能(発電機機能)を備えた所謂モータジェネレータである。なお、電動機MGは、本発明における「電動機」に相当する。
【0017】
エンジン12に連結されたエンジン連結軸20と、電動機MGのロータに連結された電動機連結軸22と、の間にはクラッチK0が設けられている。クラッチK0は、エンジン12と電動機連結軸22との間での動力伝達を断接可能な係合装置であり、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置である。クラッチK0が係合状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。クラッチK0が解放状態にされると、クラッチK0は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を切断する。クラッチK0が半係合状態すなわちスリップ係合状態にされると、クラッチK0は、スリップ係合状態に基づいた伝達トルク容量(クラッチK0の係合力)に応じてエンジン12と電動機MGとの間の動力伝達を可能とする。なお、クラッチK0は、本発明における「係合装置」に相当する。
【0018】
電動機MGは、メインバッテリ60に蓄えられた電力により回転駆動され、ハイブリッド車両10の走行用駆動力を出力する。また、電動機MGは、エンジン12からクラッチK0を介して入力される走行用駆動力により発電したり、駆動輪14側から入力される被駆動力を回生により電力に変換して発電したりする。それら発電された電力は、インバータ52及びシステムメインリレー62を介してメインバッテリ60に充電される。
【0019】
インバータ52は、電動機MGとメインバッテリ60との間に設けられ、電子制御装置100によって制御されることにより直流を交流に変換したり交流を直流に変換したりする電源回路である。例えば、インバータ52は、メインバッテリ60から供給される直流を交流に変換して電動機MGに出力して駆動したり、電動機MGで発電された交流を直流に変換してメインバッテリ60に出力したりする。
【0020】
スタータモータ70は、エンジン12を始動するモータであって、例えばフライホイール12aの外周部に刻まれたリングギヤと噛み合ってエンジン12をクランキング可能な周知のモータである。
【0021】
メインバッテリ60は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電可能な二次電池である。メインバッテリ60は、主に電動機MGを駆動するための電力を供給したり、回生により電動機MGで発電された電力を充電したりするのに用いられる第1バッテリである。補機バッテリ66は、例えば鉛蓄電池やリチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池である。補機バッテリ66は、主に補機(スタータモータ70やエンジン制御装置50など)へ電力を供給するために用いられる第2バッテリである。用途の相違から、メインバッテリ60は、補機バッテリ66に比較してバッテリ電圧Vbatが高くされている。例えば、補機バッテリ66が12[V]であるのに対して、メインバッテリ60はそれよりも高電圧である。
【0022】
メインバッテリ60は、システムメインリレー62を介してインバータ52に接続されている。システムメインリレー62は、電子制御装置100によって開状態(切断状態)と閉状態(接続状態)とが切り替えられる、例えばメカニカルリレーである。システムメインリレー62が閉状態とされると、メインバッテリ60とインバータ52との間で電力の授受が可能とされる。システムメインリレー62が開状態とされると、メインバッテリ60とインバータ52との間での電力の授受が不能とされる。
【0023】
DC/DCコンバータ68は、インバータ52及びシステムメインリレー62の間を接続する電力線64と補機バッテリ66との間に設けられ、直流を昇圧したり降圧したりする電源回路である。例えば、DC/DCコンバータ68は、メインバッテリ60から電力線64に供給されている電圧を降圧してメインバッテリ60よりも低電圧の直流を補機バッテリ66に充電したり、補機バッテリ66から供給されている直流を昇圧して補機バッテリ66よりも高電圧の直流を電力線64に出力したりする。
【0024】
トルクコンバータ24は、周知のトルクコンバータである。トルクコンバータ24は、電動機連結軸22に連結されたポンプ翼車と、AT入力軸26に連結されたタービン翼車と、ポンプ翼車とタービン翼車とを直結するロックアップクラッチ40と、を備える。トルクコンバータ24は、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)から出力された走行用駆動力を流体を介して電動機連結軸22からAT入力軸26へ伝達できる流体式伝動装置である。車両10は、機械式のオイルポンプであるMOP42を備える。MOP42は、ポンプ翼車に連結されており、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて動力伝達装置16で用いられる作動油OILを吐出する。
【0025】
EOP56は、走行用駆動力源PGであるエンジン12や電動機MGの回転とは独立して、EOP駆動用モータ58の回転により駆動可能な周知のオイルポンプである。EOP駆動用モータ58は、周知の電動機であり、電子制御装置100によって不図示のインバータが制御されることにより、EOP駆動用モータ58の回転速度が制御される。EOP56は、EOP駆動用モータ58により回転駆動させられて動力伝達装置16で用いられる作動油OILを吐出する。
【0026】
自動変速機28は、走行用駆動力源PG(エンジン12、電動機MG)からAT入力軸26に入力された走行用駆動力を変速してAT出力軸30に出力する周知の自動変速機であり、例えば遊星歯車式や常時噛合型平行軸式の有段変速機、或いは、ベルト式やパワーローラー式の無段変速機などである。自動変速機28は、電子制御装置100により制御される油圧制御回路54によって、異なる変速比γatのうちから所望の変速比γatが形成されるように制御される。本実施例では、自動変速機28は、複数組の遊星歯車装置と、複数の変速用係合装置CBと、を備える、公知の遊星歯車式の自動変速機である。変速用係合装置CBは、各々、油圧制御回路54から変速用係合装置CBの断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される油圧が調圧されることにより、完全係合状態、半係合状態、及び解放状態などの断接状態が切り替えられる。自動変速機28は、変速用係合装置CBのうちのいずれかの係合装置の係合によって、変速比(ギヤ比ともいう)γat(=AT入力回転速度Ni[rpm]/AT出力回転速度No[rpm])が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちのいずれかのギヤ段が形成される。
【0027】
ディファレンシャルギヤ32は、自動変速機28のAT出力軸30から伝達された走行用駆動力を受けて、一対のドライブシャフト34に対し適宜回転速度差を許容しつつ相互に等しい駆動トルクを伝達する、周知のディファレンシャルギヤである。
【0028】
油圧制御回路54は、MOP42やEOP56から吐出された作動油OILの油圧を元圧として、ケース18内の各部に必要な作動油OILを供給する。例えば、油圧制御回路54は、クラッチK0の断接制御用の油圧、自動変速機28の変速制御用の油圧、トルクコンバータ24のロックアップクラッチ40の断接制御用の油圧をそれぞれ生成し、ケース18内の各油圧アクチュエータに供給する。
【0029】
動力伝達装置16において、エンジン12から出力される走行用駆動力は、クラッチK0が係合された場合には、エンジン連結軸20から、クラッチK0、電動機連結軸22、トルクコンバータ24、自動変速機28、ディファレンシャルギヤ32、及びドライブシャフト34等を順次介して駆動輪14へ伝達される。電動機MGから出力される走行用駆動力は、クラッチK0の断接状態にかかわらず、電動機連結軸22から、トルクコンバータ24、自動変速機28、ディファレンシャルギヤ32、及びドライブシャフト34等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
【0030】
車両電源スイッチ94は、例えば運転席の近傍に配設され、車両10の電源供給状態を切り替えるために操作される自動復帰式の押ボタンスイッチである。
【0031】
例えば、不図示のブレーキペダルの踏込操作を伴う車両電源スイッチ94の押圧操作によって、車両走行を可能とする起動状態に車両10の電源供給状態が切り替えられる。車両電源スイッチ94が起動状態に切り替えられると、パワースイッチ信号SWonが出力され且つ電動機MG又はエンジン12が走行用駆動力を出力可能な状態とされる、すなわちパワースイッチ信号SWonがオン状態とされ且つ走行可能な状態とされる。本実施例における走行用駆動力源PGの起動要求とは、起動状態とする車両電源スイッチ94の押圧操作である。起動要求は、車両10の状態を走行可能な状態とする要求である。
【0032】
例えば、不図示のブレーキペダルの踏込操作を伴なわない車両電源スイッチ94の押圧操作によって、車両走行を可能とするための電源オン状態(IG-ON状態)と、車両走行に係わる電源をオフとし且つ車両走行に関わらない電源をオンとして車両10の一部の機能、例えば不図示のオーディオ装置、カーナビゲーション装置等を稼働可能とするための電源一部オン状態(ACC-ON状態、IG-OFF状態)と、いずれの電源もオフ状態とする車両電源オフ状態(ALL-OFF状態)と、に車両10の電源供給状態が順次切り替えられる。車両10の停止時に、車両電源オフ状態とする車両電源スイッチ94の押圧操作が行われることにより、走行用駆動力源PGが停止されるすなわち走行可能な状態ではなくなる。
【0033】
車両10においては、BEV走行モード、エンジン走行モード、及びHEV走行モードのいずれかの走行モードが選択可能である。BEV走行モードは、エンジン12を運転停止させた状態で電動機MGを力行制御することにより走行用駆動力源PGのうち電動機MGのみを駆動力源とするBEV(Battery Electric Vehicle)走行を行う走行モードである。エンジン走行モードは、クラッチK0を係合状態にして走行用駆動力源PGのうちエンジン12のみを駆動力源とする走行モードである。HEV走行モードは、クラッチK0を係合状態にして走行用駆動力源PGのうちエンジン12及び電動機MGの両方を駆動力源とするHEV(Hybrid Electric Vehicle)走行を行う走行モードである。
【0034】
車両10の走行をBEV走行モード、エンジン走行モード、及びHEV走行モードのいずれとするかは、例えば駆動力源切替マップにより切り替えられる。駆動力源切替マップは、例えば車速V[km/h]及び要求駆動トルクTrdem[Nm]を変数とする二次元座標で走行モードが予め定められた関係である。一般的にエンジン効率が低下する、車速Vが比較的低い低車速領域且つ要求駆動トルクTrdemが比較的低い領域(=アクセル開度θaccが比較的低い領域)において、BEV走行モードが選択される領域とされる。一方、車速Vが比較的高い高車速領域、或いは、要求駆動トルクTrdemが比較的高い領域(=アクセル開度θaccが比較的高い領域)において、エンジン走行モード又はHEV走行モードが選択される領域とされる。また、BEV走行モードは、メインバッテリ60の充電状態値(予め定められた満充電容量に対する実際に蓄電されている充電量の比)SOC[%]が所定のエンジン始動閾値以上の場合に適用される。言い換えると、メインバッテリ60の充電状態値SOCがエンジン始動閾値未満の場合には、駆動力源切替マップにおいて、BEV走行モードが選択される領域が無くなり、全てエンジン走行モード又はHEV走行モードが選択される領域とされることと同じである。エンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してメインバッテリ60を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判定するための予め定められた閾値である。
【0035】
電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置100は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。なお、電子制御装置100は、本発明における「制御装置」に相当する。
【0036】
電子制御装置100には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ80、タービン回転速度センサ82、出力回転速度センサ84、電動機回転速度センサ86、アクセル開度センサ88、スロットル弁開度センサ90、バッテリセンサ92、車両電源スイッチ94など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne[rpm]、AT入力回転速度Ni[rpm]と同値であるタービン回転速度Nt[rpm]、車速Vに対応するAT出力回転速度No[rpm]、電動機MGの回転速度である電動機回転速度Nmg[rpm]、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセル操作量であるアクセル開度θacc[%]、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth[%]、メインバッテリ60のバッテリ温度THbat[℃]やバッテリ充放電電流Ibat[A]やバッテリ電圧Vbat[V]、運転者により車両電源スイッチ94が起動状態に切り替えられたことに伴って出力されるパワースイッチ信号SWonなど)が、それぞれ入力される。
【0037】
電子制御装置100からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路54、EOP駆動用モータ58、システムメインリレー62、DC/DCコンバータ68など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御信号Se、電動機MGを制御するための電動機制御信号Smg、変速用係合装置CBを制御するための変速制御信号SatやクラッチK0を制御するためのK0制御信号Sk0やロックアップクラッチ40を制御するためのLU制御信号Slu、EOP56を制御するためのEOP制御信号Seop、システムメインリレー62の開閉を制御するためのリレー制御信号Ssmr、DC/DCコンバータ68の電圧変換を制御するためのコンバータ制御信号Sconなど)が、それぞれ出力される。
【0038】
電子制御装置100は、ハイブリッド制御部102、起動制御部104、クラッチ制御部106、変速制御部108、及び異常検知部110を機能的に備える。
【0039】
ハイブリッド制御部102は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御部102aと、インバータ52を介して電動機MGの作動を制御する電動機制御部102bと、を機能的に備え、それらの制御機能によりエンジン12及び電動機MGによるハイブリッド駆動制御等を実行する。
【0040】
ハイブリッド制御部102は、例えば駆動要求量マップに実際のアクセル開度θacc及び車速Vを適用することで、運転者による車両10に対する駆動要求量を算出する。駆動要求量マップは、アクセル開度θacc及び車速Vと駆動要求量との間の関係が実験的に或いは設計的に予め定められて記憶されたマップである。駆動要求量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdemは、見方を換えればそのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。駆動要求量としては、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、AT出力軸30における要求出力トルク等を用いることもできる。駆動要求量の算出では、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良い。
【0041】
ハイブリッド制御部102は、伝達損失、補機負荷、自動変速機28の変速比γat、メインバッテリ60の充電可能電力Win[W]や放電可能電力Wout[W]等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12を制御するエンジン制御信号Seと、電動機MGを制御する電動機制御信号Smgと、を出力する。エンジン制御信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度NeにおけるエンジントルクTeを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPe[W]の指令値である。電動機制御信号Smgは、例えばそのときの電動機回転速度Nmgにおける電動機トルクTmg[Nm]を出力する電動機MGの消費電力Wm[W]の指令値である。
【0042】
メインバッテリ60の充電可能電力Winは、メインバッテリ60の入力電力の制限を規定する入力可能な最大電力であり、メインバッテリ60の入力制限を示している。メインバッテリ60の放電可能電力Woutは、メインバッテリ60の出力電力の制限を規定する出力可能な最大電力であり、メインバッテリ60の出力制限を示している。メインバッテリ60の充電可能電力Winや放電可能電力Woutは、例えばバッテリ温度THbat及びメインバッテリ60の充電状態値SOCに基づいて電子制御装置100により算出される。
【0043】
ハイブリッド制御部102は、車両10の状態に応じた走行モード(BEV走行モード、エンジン走行モード、HEV走行モード)で車両10を制御する。例えば、車両10の状態に応じた走行モードは、前述した駆動力源切替マップにより選択される。
【0044】
エンジン制御部102aは、車両10に対する駆動要求量を実現するようにエンジントルクTeを制御する。電動機制御部102bは、車両10に対する駆動要求量を実現するように電動機トルクTmgを制御する。具体的には、BEV走行モードにおいては、電動機制御部102bは、要求駆動トルクTrdemを実現するように電動機トルクTmgを制御する。エンジン走行モードにおいては、エンジン制御部102aは、要求駆動トルクTrdemの全部を実現するようにエンジントルクTeを制御し、電動機制御部102bは、要求駆動トルクTrdemに対してエンジントルクTeの余剰分がある場合にはその余剰分で発電するように電動機トルクTmgを制御する。HEV走行モードにおいては、エンジン制御部102aは、要求駆動トルクTrdemの一部を実現するようにエンジントルクTeを制御し、電動機制御部102bは、要求駆動トルクTrdemに対してエンジントルクTeでは不足するトルク分を補うように電動機トルクTmgを制御する。
【0045】
変速制御部108は、例えば変速マップを用いて自動変速機28の変速判断を行い、必要に応じて変速制御を実行するための変速制御信号Satを油圧制御回路54へ出力する。変速マップは、例えば車速V及び要求駆動トルクTrdemを変数とする二次元座標上に、自動変速機28の変速が判断されるための変速線を有する予め定められた所定の関係である。変速マップでは、車速Vに替えてAT出力回転速度Noなどを用いても良いし、又、要求駆動トルクTrdemに替えて要求駆動力Frdemやアクセル開度θaccやスロットル弁開度θthなどを用いても良い。
【0046】
ここから、走行用駆動力源PGが停止している状態において、車両電源スイッチ94が運転者により操作されて走行用駆動力源PGの起動要求がなされた場合について説明する。
【0047】
起動制御部104は、起動要求判定部104a、異常判定部104b、及び起動方式決定部104cを機能的に備える。
【0048】
起動要求判定部104aは、走行用駆動力源PGの起動要求を受けたか否かを判定する。例えば、起動要求判定部104aは、パワースイッチ信号SWonがオン状態であるか否かに基づいて走行用駆動力源PGの起動要求を受けたか否かを判定する。具体的には、運転者により押圧操作がされることにより車両電源スイッチ94が起動状態に切り替えられると、走行用駆動力源PGの起動要求があったと判定される。
【0049】
起動要求判定部104aにより走行用駆動力源PGの起動要求を受けたと判定されると、異常判定部104bは、走行用駆動力源PGの起動要求よりも前に、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12を始動することができない所定の異常が検知されていたか否かを判定する。例えば、所定の異常が検知されていたか否かは、後述する異常検知部110により所定の異常が検知されたことが記憶されているか否かに基づいて判定される。所定の異常とは、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12をクランキングして始動することができない異常であって、例えば(a)システムメインリレー62が故障している場合、(b)電動機回転速度センサ86がレゾルバであってそのレゾルバの回転角学習が完了していない場合、(c)エンジン制御部102aとクラッチ制御部106との間で通信異常(通信途絶)が発生している場合などである。レゾルバの回転角学習とは、レゾルバによって検出された電動機MGの回転位置と、実際の電動機MGの回転位置と、の差が予め定められた許容範囲内となるように補正する学習である。
【0050】
(a)システムメインリレー62が故障している場合(例えば、システムメインリレー62の閉状態における電気抵抗が高くなっている場合)には、メインバッテリ60とインバータ52との接続状態が正常ではないため、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12をクランキングすることは好ましくない。(b)レゾルバの回転角学習が完了していない場合には、例えば矩形波で駆動する矩形波駆動により電動機MGが駆動制御されると、位相ずれによって電動機MGから意図しない走行用駆動力が出力されるおそれがある。そのため、矩形波駆動による電動機MGの駆動制御が禁止され、この矩形波駆動が禁止された状態では電動機MGからクランキングトルクTcrを出力させることができないおそれがある。(c)エンジン制御部102aとクラッチ制御部106との間で通信異常(通信途絶)が発生している場合は、クラッチK0及び電動機MGによるエンジン12のクランキングに連動して後述するようなエンジン制御部102aによるエンジン12への燃料供給や点火などができない。
【0051】
起動要求判定部104aにより走行用駆動力源PGの起動要求を受けたと判定され且つ異常判定部104bにより走行用駆動力源PGの起動要求よりも前に所定の異常が検知されていたと判定された場合、起動方式決定部104cは、車両10の状態にかかわらずエンジン走行モードで走行可能な状態とする起動方式を選択することを決定する。例えば、走行用駆動力源PGの起動要求を受けた直後において、車速V及びアクセル開度θaccがいずれも零値であって前述の駆動力源切替マップにおいてBEV走行モードの領域である場合であっても、エンジン走行モードで走行可能な状態とされる。そして、起動方式決定部104cは、スタータモータ70を用いてエンジン12をクランキングしてエンジン12の始動制御(以下、「エンジン始動制御」と記す。)を実行することを決定する。
【0052】
起動方式決定部104cによりスタータモータ70を用いてエンジン始動制御を実行することが決定されると、ハイブリッド制御部102のエンジン制御部102a及びクラッチ制御部106は、エンジン始動制御を実行する。具体的には、エンジン制御部102aは、スタータモータ70によりフライホイール12aを介してエンジン12のクランキングを行わせるとともにエンジン12への燃料供給や点火などを開始させる。クラッチ制御部106は、エンジン12が完爆して(運転を開始して)自立運転可能になった後に、クラッチK0を解放状態から半係合状態を経て係合状態に切り替える。これにより、エンジン12から出力される走行用駆動力がクラッチK0を介して駆動輪14に伝達可能とされる。ハイブリッド制御部102は、エンジン始動制御の完了後は、車両10をエンジン走行モードで走行させる。
【0053】
起動要求判定部104aにより走行用駆動力源PGの起動要求を受けたと判定され且つ異常判定部104bにより走行用駆動力源PGの起動要求よりも前に所定の異常が検知されていなかったと判定された場合、起動方式決定部104cは、車両10の状態に応じて起動方式を決定する。例えば、走行用駆動力源PGの起動要求を受けた直後において、車速V及びアクセル開度θaccがいずれも零値であって前述の駆動力源切替マップにおいてBEV走行モードの領域である場合には、エンジン始動制御は実行されず、BEV走行モードで走行可能な状態とされる。ハイブリッド制御部102は、走行開始後においては車両10の状態に応じて車両10をBEV走行モード、エンジン走行モード、又はHEV走行モードのいずれかで走行させる。ハイブリッド制御部102及びクラッチ制御部106は、必要に応じて電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12をクランキングしてエンジン始動制御を実行する。具体的には、電動機制御部102bは、クラッチ制御部106によるクラッチK0の解放状態から係合状態への切り替えに合わせて、クランキングが終了するまで電動機MGがクランキングトルクTcrを出力するように制御する。また、エンジン制御部102aは、クラッチK0及び電動機MGによるエンジン12のクランキングに連動して、エンジン12への燃料供給や点火などを制御する。
【0054】
異常検知部110は、車両10に電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12を始動することができない所定の異常が発生しているか否かを検知する。また、異常検知部110は、所定の異常を検知した場合、所定の異常が検知されたことを記憶する。例えば、異常検知部110は、所定の異常が検知されない場合には異常検知フラグをオフとし、所定の異常が検知された場合には異常検知フラグをオンとする。
【0055】
図2は、図1に示す電子制御装置100の制御作動を説明するフローチャートの一例である。図2のフローチャートは、走行用駆動力源PGが停止している状態において繰り返し実行される。
【0056】
まず、起動要求判定部104aの機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、運転者により車両電源スイッチ94の押圧操作がされることにより走行用駆動力源PGの起動要求があったか否かが判定される。S10の判定が肯定された場合は、異常判定部104bの機能に対応するS20において、S10における走行用駆動力源PGの起動要求よりも前に、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12を始動することができない所定の異常が検知されていたか否かが判定される。例えば、異常検知フラグがオンであるか否かが判定される。S10の判定が否定された場合は、終了となる。
【0057】
S20の判定が肯定された場合は、起動制御部104及びクラッチ制御部106の機能に対応するS30において、スタータモータ70を用いたエンジン始動制御が実行され、ハイブリッド制御部102の機能に対応するS40において、車両10がエンジン走行モードで走行させられる。
【0058】
S20の判定が否定された場合は、ハイブリッド制御部102の機能に対応するS50において、車両10の状態に応じてBEV走行モード、エンジン走行モード、又はHEV走行モードで車両10が走行させられる。S50の実行後、異常検知部110の機能に対応するS60において、車両10に電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12を始動することができない所定の異常が発生しているか否かが検知される。
【0059】
S60の検知が肯定された場合は、異常検知部110の機能に対応するS70において、異常検知フラグがオンとされる。S40の実行後、S60の検知が否定された場合、又はS70の実行後は、ハイブリッド制御部102の機能に対応するS80において、走行用駆動力源PGが停止される。そして終了となる。
【0060】
本実施例によれば、走行用駆動力源PGの起動要求を受けた場合、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12を始動することができない所定の異常が起動要求よりも前に検知されていた場合には、スタータモータ70を用いてエンジン12が始動される。このように、電動機MG及びクラッチK0を用いてエンジン12を始動することができない所定の異常が起動要求よりも前に検知されていた場合には、スタータモータ70を用いてエンジン12が始動される。始動されたエンジン12から出力される走行用駆動力により車両10が走行させられる、すなわちエンジン走行モードで車両10が走行させられることにより、走行可能距離が電動機MGに電力を供給するメインバッテリ60に実際に蓄電されている充電量分に制限されないため、走行可能距離が低下することが抑制される。
【0061】
本実施例によれば、(a)所定の異常が検知された場合には、所定の異常が検知されたことが異常検知フラグがオンとされることで記憶され、(b)走行用駆動力源PGの起動要求を受けた場合において所定の異常が検知されたことが異常検知フラグに記憶されていると、スタータモータ70を用いてエンジン12が始動される。例えば、走行用駆動力源PGの起動要求を受けて実行される始動制御に要する時間に比較して、所定の異常の検知に要する時間が長い場合がある。そのような場合であっても所定の異常が検知されたことが異常検知フラグに予め記憶されているため、所定の異常が検知されたことが異常検知フラグに予め記憶されていない場合に比較して、走行用駆動力源PGの起動要求を受けた場合にスタータモータ70を用いてエンジン12の始動制御を速やかに実行することができる。これにより、ドライバビリティの低下が抑制される。
【0062】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0063】
前述の実施例では、走行用駆動力源PGの起動要求を受けた場合において所定の異常が検知されたことが異常検知フラグに記憶されていると、スタータモータ70を用いてエンジン12が始動される態様であったが、本発明はこの態様に限らない。例えば、電子制御装置100が所定期間毎に所定の異常が発生しているか否かを繰り返し検知し、電子制御装置100は、所定の異常が発生していることを検知した後に走行用駆動力源PGの起動要求を受けた場合(すなわち所定の異常が走行用駆動力源PGの起動要求よりも前に検知されていた場合)には、スタータモータ70を用いてエンジン12を始動する態様であっても良い。
【0064】
前述の実施例では、所定の異常が検知された場合には、所定の異常が検知されたことが異常検知フラグがオンとされることで記憶される態様であったが、この態様に限らず、所定の異常が検知されたことが記憶されるのであればどのような態様であっても良い。
【0065】
前述の実施例では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ24が用いられたが、本発明はこの態様に限らない。例えば、流体式伝動装置として、トルクコンバータ24に替えて、トルク増幅作用のないフルードカップリングなどの他の流体式伝動装置が用いられても良い。また、流体式伝動装置は、必ずしも備えられている必要はなく、例えば発進用のクラッチに置き換えられても良い。
【0066】
前述の実施例では、メインバッテリ60とシステムメインリレー62とは直接接続されていたが、本発明はこの態様に限らない。例えば、メインバッテリ60とシステムメインリレー62との間に昇圧コンバータが設けられた態様であっても良い。この態様においては、メインバッテリ60の電圧が昇圧コンバータにより昇圧され、この昇圧された電圧がシステムメインリレー62及び電力線64を介してインバータ52に出力される。
【0067】
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
10:ハイブリッド車両
12:エンジン(内燃機関)
70:スタータモータ
100:電子制御装置(制御装置)
K0:クラッチ(係合装置)
MG:電動機
PG:走行用駆動力源
図1
図2