(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2021146028
(22)【出願日】2021-09-08
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 由里香
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏光
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-135015(JP,A)
【文献】特開2002-243755(JP,A)
【文献】特開2019-148866(JP,A)
【文献】特開2002-063695(JP,A)
【文献】特開2017-219544(JP,A)
【文献】特開2018-150666(JP,A)
【文献】特許第6882589(JP,B1)
【文献】特開平10-297776(JP,A)
【文献】特開2020-090152(JP,A)
【文献】中国実用新案第205563268(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0000113(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによる荷物の預け入れが可能な格納装置と、
前記ユーザが前記荷物を前記格納装置に預け入れるときに前記ユーザが利用可能な緩衝材を収納する収納部と、
を備えた車両を制御する制御部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、前記収納部における前記緩衝材の残量が所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令を生成すること、
を実行する情報処理装置。
【請求項2】
前記緩衝材を補充することに関する指令には、前記緩衝材を補充可能な地点へ前記車両を移動させる指令を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記緩衝材を補充することに関する指令には、前記ユーザに前記緩衝材の補充を依頼する指令を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記収納部における前記緩衝材の残量を検出するセンサの検出値に基づいて、前記緩衝材の残量が前記所定量未満であるか否か判定する、
請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザが入力した情報に基づいて、前記収納部における前記緩衝材の残量が前記所定量未満であるか否か判定する、
請求項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記緩衝材の残量は、使用可能な前記緩衝材の残量である、
請求項1から5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記緩衝材の残量は、前記格納装置の区画内の緩衝材の量と前記収納部内の緩衝材の量とを合わせた量である、
請求項1から6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記車両が、前記収納部とは別に、予備の前記緩衝材を収納する第二収納部を更に備えており、
前記制御部は、前記収納部における前記緩衝材の残量が前記所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令として、前記第二収納部から前記収納部に前記緩衝材を移すことを前記ユーザに依頼するための指令を生成する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第二収納部から前記収納部に前記緩衝材を移した前記ユーザに付与するインセンティブを表すデータを生成する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記ユーザが前記格納装置から荷物を引き取るときに前記格納装置から前記収納部に前記緩衝材を移した場合に、前記ユーザに付与するインセンティブを表すデータを生成する、
請求項1から9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
ユーザによる荷物の預け入れが可能な格納装置と、
前記ユーザが前記荷物を前記格納装置に預け入れるときに前記ユーザが利用可能な緩衝材を収納する収納部と、
を備えた車両を制御する情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記収納部における前記緩衝材の残量が所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令を生成すること、
を実行する情報処理方法。
【請求項12】
前記緩衝材を補充することに関する指令には、前記緩衝材を補充可能な地点へ前記車両を移動させる指令を含む、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記緩衝材を補充することに関する指令には、前記ユーザに前記緩衝材の補充を依頼する指令を含む、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、
前記収納部における前記緩衝材の残量を検出するセンサの検出値に基づいて、前記緩衝材の残量が前記所定量未満であるか否か判定する、
請求項11から13の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、
前記ユーザが入力した情報に基づいて、前記収納部における前記緩衝材の残量が前記所定量未満であるか否か判定する、
請求項11から14の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記緩衝材の残量は、使用可能な前記緩衝材の残量である、
請求項11から15の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記緩衝材の残量は、前記格納装置の区画内の緩衝材の量と前記収納部内の緩衝材の量とを合わせた量である、
請求項11から16の何れか1項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記車両が、前記収納部とは別に、予備の前記緩衝材を収納する第二収納部を更に備えており、
前記コンピュータが、
前記収納部における前記緩衝材の残量が前記所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令として、前記第二収納部から前記収納部に前記緩衝材を移すことを前記ユーザに依頼するための指令を生成する、
請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項19】
前記コンピュータが、
前記第二収納部から前記収納部に前記緩衝材を移した前記ユーザに付与するインセンティブを表すデータを生成する、
請求項18に記載の情報処理方法。
【請求項20】
前記コンピュータが、
前記ユーザが前記格納装置から荷物を引き取るときに前記格納装置から前記収納部に前記緩衝材を移した場合に、前記ユーザに付与するインセンティブを表すデータを生成する、
請求項11から19の何れか1項に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両にロッカーを搭載し、ユーザが利用する地点まで車両が移動する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ロッカーに預けた荷物をユーザの希望する場所まで転送する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-039432号公報
【文献】特開2008-123055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、荷物の移動時に荷物が破損することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
ユーザによる荷物の預け入れが可能な格納装置と、
前記ユーザが前記荷物を前記格納装置に預け入れるときに前記ユーザが利用可能な緩衝材を収納する収納部と、
を備えた車両を制御する制御部を有する情報処理装置であって、
前記制御部は、前記収納部における前記緩衝材の残量が所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令を生成すること、
を実行する情報処理装置である。
【0006】
本開示の態様の一つは、
ユーザによる荷物の預け入れが可能な格納装置と、
前記ユーザが前記荷物を前記格納装置に預け入れるときに前記ユーザが利用可能な緩衝材を収納する収納部と、
を備えた車両を制御する情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記収納部における前記緩衝材の残量が所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令を生成すること、
を実行する情報処理方法である。
【0007】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理装置における処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、このプログラムを非一時的に記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、荷物の移動時に荷物が破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係るシステムを構成する車両、ユーザ端末、及び、サーバのそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図5】車両情報DBのテーブル構成を例示した図である。
【
図6】荷物情報DBのテーブル構成を例示した図である。
【
図9】第1実施形態における緩衝材を補充するときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図10】第1実施形態における緩衝材を補充するときのサーバにおける処理のフローチャートである。
【
図11】第2実施形態における緩衝材を補充するときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図12】第2実施形態における緩衝材を補充するときのサーバにおける処理のフローチャートである。
【
図13】第3実施形態における緩衝材を使用後に収納部に戻したユーザにインセンティブを付与する処理を示したフローチャートである
【
図14】第4実施形態におけるユーザに緩衝材の補充を依頼するときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図15】ロッカーに忘れ物があるときのシステム全体の処理のシーケンス図である。
【
図16】第4実施形態における緩衝材を補充するときのサーバにおける処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の態様の一つである情報処理装置は、ユーザによる荷物の預け入れが可能な格納装置と、前記ユーザが前記荷物を前記格納装置に預け入れるときに前記ユーザが利用可能な緩衝材を収納する収納部と、を備えた車両を制御する制御部を備える。
【0011】
格納装置は車両に搭載されているため、車両の移動と共に格納装置も移動する。したがって、ユーザは、荷物を預け入れるとき又は荷物を引き取るときに車両ごと格納装置を呼び寄せることができる。そのため、ユーザは、荷物を預けたり引き取ったりするときに、長距離を移動する必要がない。また、格納装置を利用して荷物を配送することもできる。ユーザは、格納装置に荷物を預け入れるときに、緩衝材を使用することができる。緩衝材は収納部に入れてあり、必要に応じてユーザが使用することができる。荷物を保護するように緩衝材を配置した状態で荷物を預けることにより、移動中の荷物の破損等を抑制できる。緩衝材は、例えば、エアキャップ、ゴム、綿、布、発砲スチロール、スポンジ、紙、草、段ボール、及び、衝撃吸収ゲル等である。なお、緩衝材は有料で貸与してもよい。
【0012】
収納部に緩衝材を入れておきユーザが使用可能にしておくことで、ユーザが格納装置に荷物を入れたときに、ユーザ自身が隙間に緩衝材を詰めることができる。しかし、緩衝材の使用により緩衝材が消耗したり又は紛失したりして緩衝材の量が減少することが考えられる。そうすると、ユーザが荷物を預けるときに緩衝材が不足する虞がある。
【0013】
そこで制御部は、前記制御部は、前記収納部における前記緩衝材の残量が所定量未満である場合に、前記収納部に前記緩衝材を補充することに関する指令を生成する。所定量は、ユーザの荷物を保護するのに十分な量である。この所定量は、例えば、格納装置が荷物を格納する複数の区画を有する場合に、各区画に緩衝材を配置可能な量であってもよい。したがって、区画の数または区画の大きさなどに応じて所定量を決定してもよい。緩衝材を補充することに関する指令は、車両または格納装置に対して緩衝材を補充する処理を実行させるための指令である。この指令には、ユーザに対して緩衝材の補充を依頼するため
の指令、または、緩衝材を補充可能な場所に車両を移動させるための指令を含むことができる。
【0014】
このような指令に基づいた処理が実行されることにより、収納部に緩衝材が補充されるため、緩衝材が不足することを抑制できる。したがって、緩衝材が不足することによる荷物の破損を抑制できる。
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、実施形態に係るシステム1の概略構成を示す図である。システム1は、ロッカー18を搭載する車両10にユーザが荷物を保管することが可能なシステムである。ユーザは、サーバ30を介して車両10を呼び出すことで、任意の地点において荷物の預け入れ、および、引き取りを行うことができる。車両10は、例えば自律走行可能な車両であるが、運転者による手動走行可能な車両であってもよく、車両10またはロッカー18を監視するオペレータが乗車する車両であってもよい。
【0017】
ロッカー18は、複数の区画を有し、それぞれの区画に荷物を格納することができる装置である。
図2に、ロッカー18の外観を示す。図示したように、ロッカー18は、複数の扉によってそれぞれの区画であるボックス180にアクセスできるよう構成される。システム1のユーザは、ユーザ端末20を用いて、または、ロッカー18に設けられたインタフェースを介して、指定されたボックス180の解錠操作を行うことができる。ロッカー18は、車両10の車室内に搭載される。なお、ロッカー18は格納装置の一例である。また、ロッカー18には、緩衝材191を収納する収納部19が備わる。ユーザは、収納部19から緩衝材191を自由に取り出して使用することができる。緩衝材の種類及び大きさは、複数あってもよい。
【0018】
ユーザは、ロッカー18を利用するユーザである。ユーザ端末20は、ユーザが所持する端末である。ユーザは、ユーザ端末20にインストールされている所定のアプリケーションを実行することで、車両10の呼び出し及びロッカーの施解錠を行うことができる。
【0019】
サーバ30は、車両10の運行を管理する装置である。サーバ30は、ユーザ端末20から、車両10の派遣要請を受けた場合に、当該ユーザの元へ派遣する車両10を決定し、当該車両10に対して運行を指示する。
【0020】
また、サーバ30は、ロッカー18を管理する装置でもある。サーバ30は、緩衝材191の残量が所定量未満になると、緩衝材191を補充するための処理を実行する。この処理により、車両10は、例えば緩衝材191を補充可能な場所に移動する。
【0021】
車両10、ユーザ端末20、及び、サーバ30は、ネットワークN1によって相互に接続されている。ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1は、携帯電話等の電話通信網、または、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。また、ロッカー18は、近距離無線通信等を含むネットワークN2を介して、ユーザ端末20に接続される。ネットワークN2は、例えば、Bluetooth(登録商標)LowEnergy、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、Wi-Fi(登録商標)などを利用してデータ通信を行う。
【0022】
図3に基づいて、車両10、ユーザ端末20、及び、サーバ30のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るシステム1を構成する車両10、ユーザ端末20、及び、サーバ30のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0023】
サーバ30は、コンピュータの構成を有している。サーバ30は、プロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33、及び、通信部34を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ31は、制御部の一例である。
【0024】
プロセッサ31は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ31は、サーバ30を制御し、様々な情報処理の演算を
行う。主記憶部32は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。補助記憶部33は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディ
スクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、リムーバブルメディア等である。補助記憶
部33には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部33に格納されたプログラムをプロセッサ31が主記憶部32の作業領域にロードして実行し、このプログラムの実行を通じて各構成部等が制御される。これにより、所定の目的に合致した機能をサーバ30が実現する。主記憶部32および補助記憶部33は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。なお、サーバ30は、単一のコンピュータであってもよいし、複数台のコンピュータが連携したものであってもよい。また、補助記憶部33に格納される情報は、主記憶部32に格納されてもよい。また、主記憶部32に格納される情報は、補助記憶部33に格納されてもよい。
【0025】
通信部34は、ネットワークN1経由で、車両10、及び、ユーザ端末20と通信を行う手段である。通信部34は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路である。LANインターフェースボードや無線通信回路は、ネットワークN1に接続される。
【0026】
次に、車両10は、例えば自律的に走行可能な移動体であり、コンピュータを有している。車両10は、プロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14、位置情報センサ15、環境情報センサ16、駆動部17、及び、ロッカー18を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ11、主記憶部12、及び、補助記憶部13は、サーバ30のプロセッサ31、主記憶部32、及び、補助記憶部33と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
通信部14は、車両10をネットワークN1に接続するための通信手段である。通信部14は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網
)、Wi-Fi(登録商標)、または、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を利用して、ネットワークN1経由で他の装置(例えばサーバ30等)と通信を行うための回路である。
【0028】
位置情報センサ15は、所定の周期で、車両10の位置情報(例えば緯度、経度)を取得する。位置情報センサ15は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信部
、無線通信部等である。位置情報センサ15で取得された情報は、例えば、補助記憶部13等に記録され、サーバ30に送信される。
【0029】
環境情報センサ16は、車両10の状態をセンシングしたり、または、車両10の周辺
をセンシングしたりする手段である。車両10の状態をセンシングするためのセンサとして、ジャイロセンサ、加速度センサ、または、方位角センサが挙げられる。車両10の周辺をセンシングするためのセンサとして、ステレオカメラ、レーザスキャナ、LIDAR、または、レーダなどが挙げられる。
【0030】
駆動部17は、プロセッサ11が生成した制御指令に基づいて、車両10を走行させるための装置である。駆動部17は、例えば、車両10が備えるロータを駆動するための複数のモータ等を含んで構成され、制御指令に従って複数のモータ等が駆動されることで、車両10の自律走行が実現される。
【0031】
ロッカー18は、ユーザの荷物を預かる装置である。ロッカー18は、ユーザの荷物を格納する複数の区画(以下、ボックス180という。)を有している。また、ロッカー18は、入出力部182及び通信部183を有する。また、ロッカー18には、緩衝材191の量を検出するセンサ192が備わる。センサ192は、例えば、収納部19内の緩衝材191及び体積の少なくとも一方を検出してもよい。センサ192、入出力部182及び通信部183は、バスにより車両10のプロセッサ11等と接続されている。
【0032】
センサ192は、例えば、収納部19の底に取り付けられ、質量を検出可能なセンサを含む。すなわち、収納部19の底面に加わる力を検出することにより、収納部19に収納されている緩衝材191の質量を検出してもよい。別法として、センサ192は、例えば、カメラ(イメージセンサ)を備えたセンサを含むことができる。すなわち、撮像した画像データに基づいて緩衝材191の量を検出してもよい。この場合、緩衝材191の体積を検出することで緩衝材191の量を検出してもよい。さらに別法として、センサ192は、ボックス180内に照射される光を検出するセンサを含むことができる。すなわち、光量を検出することで緩衝材191の量を検出してもよい。この場合も、緩衝材191の体積を検出することで緩衝材191の量を検出してもよい。センサ192は、複数備えることができる。なお、以下では、センサ192が、緩衝材191の量を検出するものとして説明する。
【0033】
入出力部182は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示するユニットである。本実施形態では一つのタッチパネルディスプレイからなる。また、入出力部182は、ユーザ端末20との間で認証情報を交換するためのさらなる手段を有していてもよい。例えば、二次元バーコードを読み取るためのカメラなどを有していてもよい。
【0034】
通信部183は、ロッカー18をネットワークN2に接続するための通信手段である。通信部183は、例えば、Bluetooth(登録商標)LowEnergy、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を利用して、ネットワークN2経由で他の装置(例えばユーザ端末20等)と通信を行うための回路である。
【0035】
次に、ユーザ端末20について説明する。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer、PC)といった小型のコンピュータである。ユーザ端末20は、プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23、入力部24、ディスプレイ25、及び、通信部26を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23については、サーバ30のプロセッサ31、主記憶部32、補助記憶部33と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
入力部24は、ユーザが行った入力操作を受け付ける手段であり、例えば、タッチパネル、マウス、キーボード、または、押しボタン等である。ディスプレイ25は、ユーザに対して情報を提示する手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または、EL(Electroluminescence)パネル等である。入力部24及びディスプレイ25は、
1つのタッチパネルディスプレイとして構成してもよい。
【0037】
通信部26は、ユーザ端末20をネットワークN1またはネットワークN2に接続するための通信手段である。通信部26は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録
商標)LowEnergy、NFC(Near Field Communication)、UWB(Ultra Wideband)、等の無線通信網を利用して、ネットワークN1またはネットワークN2経由で他の装置(例えば車両10、ロッカー18、または、サーバ30等)と通信を行うための回路である。
【0038】
次に、サーバ30の機能について説明する。
図4は、サーバ30の機能構成を例示した図である。サーバ30は、機能構成要素として、制御部300、ユーザ情報DB311、車両情報DB312、荷物情報DB313、及び、地図情報DB314を備える。サーバ30のプロセッサ31は、主記憶部32上のコンピュータプログラムにより、制御部300の処理を実行する。ただし、各機能構成素のいずれか、またはその処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。制御部300には、車両管理部301、荷物管理部302、緩衝材管理部303、及び、指令部304が含まれる。
【0039】
ユーザ情報DB311、車両情報DB312、荷物情報DB313、及び、地図情報DB314は、プロセッサ31によって実行されるデータベース管理システム(Database Management System、DBMS)のプログラムが、補助記憶部33に記憶されるデータを管理することで構築される。ユーザ情報DB311、車両情報DB312、荷物情報DB313、及び、地図情報DB314は、例えば、リレーショナルデータベースである。
【0040】
なお、サーバ30の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0041】
車両管理部301は、車両10に関する情報を収集し、後述の車両情報DB312を更新する。具体的には、車両管理部301は、複数の車両10と周期的に通信を行い、車両10に関する情報(以下、車両情報ともいう。)を収集する。収集した情報は、後述する車両情報DB312に反映される。
【0042】
荷物管理部302は、荷物の預け入れを希望するユーザからの預け入れ要求を取得する。預け入れ要求とは、ユーザの希望する地点に荷物を預け入れる車両10を呼び出すための情報である。預け入れ要求は、ユーザ端末20からサーバ30に送信される。預け入れ要求には、ユーザID、預け入れ地点、預け入れ日時、及び、荷物の大きさ等に関する情報が含まれる。ユーザIDは、ユーザに固有な識別子である。ユーザIDに対応するユーザ情報(例えば、氏名、住所、電話番号、e-mailアドレス等)は、予めユーザがユ
ーザ端末20を用いて登録してもよく、または、預け入れ要求と共にユーザ端末20から送信されてもよい。このユーザ情報は、ユーザ情報DB311に格納されている。ユーザ情報DB311は、上記の補助記憶部33にユーザ情報が格納されて形成されており、そこではユーザとユーザ情報の紐付けが行われている。
【0043】
預け入れ地点は、ユーザが車両10のロッカー18に荷物を預け入れることを希望する
地点であり、例えば、座標(緯度及び経度)、住所、又は、建物の名称などによって示される。預け入れ日時は、ユーザが車両10のロッカーに荷物を預け入れることを希望する日時である。なお、預け入れ日時は、ある程度の幅を持った時間帯として指定してもよい。
【0044】
また、荷物管理部302は、荷物の引き取りを希望するユーザからの引き取り要求を取得する。引き取り要求とは、荷物を引き取る目的のために、ユーザの希望する地点に荷物を載せた車両10を呼び出すための情報である。引き取り要求は、ユーザ端末20からサーバ30に送信される。引き取り要求には、ユーザID、引き取り地点、引き取り日時等に関する情報が含まれる。
【0045】
引き取り地点は、ユーザが車両10のロッカー18から荷物を引き取ることを希望する地点であり、例えば、座標(緯度及び経度)、住所、又は、建物の名称などによって示される。引き取り日時は、ユーザが車両10のロッカー18から荷物を引き取ることを希望する日時である。なお、引き取り日時は、ある程度の幅を持った時間帯として指定してもよい。また、引き取り要求は、預け入れ要求と同時にユーザ端末20から送信されてもよく、預け入れ要求の後に、引き取り要求がユーザ端末20から送信されてもよい。
【0046】
荷物管理部302は、預け入れ要求に含まれる情報、及び、引き取り要求に含まれる情報を後述する荷物情報DB313に格納する。
【0047】
緩衝材管理部303は、各車両10の緩衝材191の残量を管理する。緩衝材管理部303は、センサ192の検出値に基づいて緩衝材191の残量を検出する。そして、緩衝材191の残量が所定量未満になると、緩衝材191を補充可能な場所に車両10を移動させる。緩衝材191を補充可能な場所はサーバ30に予め登録されており、その情報は補助記憶部33に記憶されている。緩衝材191を補充可能な場所は、例えば、車両10のメンテナンスを行う場所、自動車販売店、自動車整備工場、自動車用品販売店、緩衝材販売店、車両10の基地、及び、緩衝材191を管理する管理センタ等であってもよい。
【0048】
緩衝材管理部303は、緩衝材191の体積が所定量未満の場合、または、緩衝材191の質量が所定量未満の場合に、緩衝材191を補充させてもよい。所定量は、例えば、ロッカー18の規模に応じて設定してもよい。すなわち、ボックス180の数が多いほど、より多くの緩衝材191が必要となり得るため、所定量を大きくしてもよい。所定量は、緩衝材191が不足しない量として設定される。
【0049】
指令部304は、預け入れ要求または引き取り要求を受信した場合に、荷物の預け入れまたは引き取りを行う地点(すなわち、車両10を派遣する地点。以下、派遣地点)、および、その日時(以下、派遣日時)を決定し、車両10を運行させるための指令である運行指令を生成する。運行指令には、例えば、車両10のルートが含まれる。指令部304は、地図情報DB314に格納されている地図情報に基づいてルートを生成する。指令部304は、例えば、車両10が、現在地から出発して、各派遣地点を派遣日時に経由して走行するように運行指令を生成する。また、運行指令には、各派遣地点において、ユーザから荷物を預かる指令、または、ユーザに荷物を引き渡す指令が含まれる。
【0050】
指令部304は、例えば、ユーザから預け入れ要求を受信した場合には、預け入れ要求に含まれる預け入れ地点、預け入れ日時、及び、荷物の大きさなどの情報に基づいて、派遣可能な車両10を選定する。派遣可能な車両10は、該当する大きさの荷物を預け入れ可能なボックス180の空きがあり、且つ、預け入れ日時に預け入れ地点に移動可能な車両である。
【0051】
また、指令部304は、例えば、ユーザから引き取り要求を受信した場合には、引き取り要求に含まれるユーザID、引き取り地点、及び、引き取り日時などの情報に基づいて、派遣する車両10を選定する。このときに派遣する車両10は、ユーザが既に荷物を預けている車両である。したがって、ユーザIDに基づいてユーザが既に荷物を預けている車両10を特定する。そして、指令部304は、引き取り要求に含まれる引き取り地点及び引き取り日時に基づいて、その引き取り日時に引き取り地点に車両10を派遣可能か否か判定する。なお、ユーザが希望する引き取り日時に車両10を派遣できない場合には、その引き取り日時にその引き取り地点で荷物の引き渡しができないことをユーザ端末20に通知してもよい。このときに、引き取り地点において荷物を引き渡すことができる日時をユーザ端末20に通知してもよい。
【0052】
次に、車両情報DB312に格納される車両情報の構成について、
図5に基づいて説明する。
図5は、車両情報DB312のテーブル構成を例示した図である。車両情報テーブルは、車両ID、現在地、ステータス、及び、ルートの各フィールドを有する。車両IDフィールドには、車両を識別可能な情報(車両ID)が入力される。車両IDは、各車両に例えば車両管理部301によって付与される。現在地フィールドには、車両10の現在地に関する情報(位置情報)が入力される。車両10の現在地は、車両10の位置情報センサ15で検出され、サーバ30に送信される。
【0053】
ステータスフィールドには、車両10の現在の状態を表すデータが格納されるフィールドである。具体的には、車両10のバッテリ残量、または、走行可能距離に関する情報などが格納される。なお、ステータスフィールドに緩衝材191の量に関する情報を格納してもよい。緩衝材191の量は、センサ192の検出値に基づいて取得できる。ルートフィールドには、車両10のルートに関する情報が入力される。
【0054】
次に、荷物情報DB313に格納される荷物情報の構成について、
図6に基づいて説明する。
図6は、荷物情報DB313のテーブル構成を例示した図である。荷物情報テーブルは、車両ID、ボックス番号、ユーザID、大きさ、預け入れ地点、預け入れ日時、引き取り地点、及び、引き取り日時の各フィールドを有する。車両IDフィールドには、車両を識別可能な情報(車両ID)が入力される。ボックス番号フィールドには、ボックス180を識別可能な情報(ボックス番号)が入力される。ユーザIDフィールドには、荷物を預けるユーザを識別可能な情報(ユーザID)が入力される。大きさフィールドには、荷物の大きさに関する情報が入力される。例えば、縦、横、及び、奥行きの寸法によって大きさを示してもよく、予め定義された、大、中、及び、小などによって大きさを示してもよい。
【0055】
預け入れ地点フィールドには、ユーザが荷物を預け入れる地点に関する情報が入力される。預け入れ地点フィールドには、例えば、座標、住所、または、建物の名称など、車両10のロッカー18にユーザが荷物を預け入れるときに車両10の目的地となり得る地点に関する情報が入力される。預け入れ日時フィールドには、ユーザが荷物を預け入れる日時に関する情報が入力される。引き取り地点フィールドには、ユーザが荷物を引き取る地点に関する情報が入力される。引き取り地点フィールドには、例えば、座標、住所、または、建物の名称など、車両10のロッカー18からユーザが荷物を引き取るときに車両10の目的地となり得る地点に関する情報が入力される。引き取り日時フィールドには、ユーザが荷物を引き取る日時に関する情報が入力される。
【0056】
地図情報DB314には、地図情報として、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、ルートを探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が格納されている。また、各道路に対応する制限速度等に関する情報、または、各道路の属性
に関する情報が格納されていてもよい。
【0057】
次に、車両10の機能について説明する。
図7は、車両10の機能構成を示した図である。車両10は、機能構成要素として、走行部101、及び、ロッカー管理部102を有する。車両10のプロセッサ11は、主記憶部12上のコンピュータプログラムにより、走行部101、及び、ロッカー管理部102の処理を実行する。ただし、各機能構成素のいずれか、またはその処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。なお、車両10の各機能構成要素のいずれか、またはその処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0058】
走行部101は、車両10の自律走行時に車両10の走行を制御する。走行部101は、環境情報センサ16によって検出したデータを用いて、駆動部17を制御するための制御指令を生成する。走行部101は、例えば、複数のモータを制御して複数のロータの回転速度に差を発生させることにより、車両10の速度、及び、舵角などを制御する。
【0059】
走行部101は、例えば、環境情報センサ16によって検出したデータに基づいて車両10の走行軌跡を生成し、当該走行軌跡に沿って走行するように、駆動部17を制御する。なお、車両10を自律走行させる方法については、公知の方法を採用することができる。走行部101は、自律走行時に、環境情報センサ16の検出値に基づいたフィードバック制御を実施してもよい。走行部101は、予め定められたルートを巡るように自律走行する。このルートは、サーバ30から送信される運行指令に含まれる。
【0060】
例えば、走行部101は、サーバ30から受信した運行指令に含まれる走行ルート及び目的地に基づいて車両10を走行させる。預け入れ要求または引き取り要求があった場合には、派遣地点が目的地になる。そして、派遣地点においてユーザが荷物の預け入れ又は引き取りを行うために車両10を停止させる。
【0061】
また、走行部101は、車両10に関する情報を定期的にサーバ30へ送信する。走行部101は、位置情報センサ15によって取得される現在地及びバッテリの残容量などに関する情報を車両10に関する情報としてサーバ30に送信する。
【0062】
また、ロッカー管理部102は、荷物の預け入れ又は引き取りを行うユーザのユーザ端末20の認証、ボックス180の施解錠、及び、忘れ物の検出などを実行する。ロッカー管理部102は、ネットワークN1を介してサーバ30からユーザ端末20の認証情報を取得する。また、ロッカー管理部102は、ネットワークN2を介してユーザ端末20と通信を確立してユーザ端末20の認証を行う。例えば、サーバ30から取得した認証情報と、ユーザ端末20から取得した認証情報とが一致した場合に、ユーザ端末20の認証が成功する。
【0063】
ユーザ端末20の認証が成功すると、ロッカー管理部102は、ユーザが入力した荷物の大きさに対応したボックス180を解錠すると共に、開扉させる。その後、ユーザがボックス180の扉を閉めると、ボックス180を施錠すると共に、ユーザが荷物を預けたことをサーバ30に通知する。なお、別法として、ユーザが入出力部182に入力した情報にしたがってユーザを認証してもよい。例えば、ユーザが入出力部182に入力したパスワードと、サーバ30から取得したパスワードとが一致した場合に、認証が成功する。このパスワードは、サーバ30が決定してもよい。別法として、ユーザがユーザ端末20に入力したパスワードが、ユーザ端末20からサーバ30へ送信されてもよい。
【0064】
また、荷物の引き取りの場合も同様に、ロッカー管理部102は、ネットワークN1を介してサーバ30からユーザ端末20の認証情報を取得する。また、ロッカー管理部10
2は、ネットワークN2を介してユーザ端末20と通信を確立してユーザの認証を行う。例えば、サーバ30から取得した認証情報と、ユーザ端末20から取得した認証情報とが一致した場合に、ユーザの認証が成功する。ユーザの認証が成功すると、ユーザが荷物を預け入れたボックス180の解錠及び開扉を行う。ユーザが荷物を預け入れたボックスの番号は、サーバ30から取得してもよい。また、別法として、ユーザが荷物を預け入れたときに、ユーザが荷物を預け入れたボックスの番号を車両10の補助記憶部13に記憶させてもよい。
【0065】
また、ロッカー管理部102は、センサ192の検出値を、ネットワークN1を介してサーバ30へ送信する。センサ192の検出値の送信は、定期的に行ってもよく、サーバ30からの要求に応じて行ってもよい。なお、別法として、ユーザが荷物を引き取った後に、センサ192の検出値をサーバ30へ送信してもよい。さらに別法として、センサ192の検出値が所定値未満の場合に限り、センサ192の検出値をサーバ30へ送信してもよい。また、別法として、センサ192の検出値が所定値未満の場合に、センサ192の検出値が所定値未満であることを示す情報をサーバ30へ送信してもよい。
【0066】
次に、ユーザ端末20の機能について説明する。
図8は、ユーザ端末20の機能構成を示した図である。ユーザ端末20は、機能構成要素として、ロッカー利用部201を有する。ユーザ端末20のプロセッサ21は、主記憶部22上のコンピュータプログラムにより、ロッカー利用部201の処理を実行する。ただし、ロッカー利用部201の処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。なお、ロッカー利用部201の処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0067】
ロッカー利用部201は、ユーザ端末20の入力部24への入力にしたがって、預け入れ要求及び引き取り要求を生成する。ロッカー利用部201は、ディスプレイ25にロッカー18を利用するための画面を表示させる。そこには、例えば、「預け入れ」及び「引き取り」の文言と共にボタンが表示される。
【0068】
ユーザが「預け入れ」のボタンをタップすると、ロッカー利用部201は、ユーザ情報の入力を求める。なお、ユーザ情報を一度入力すれば、その情報が補助記憶部23に記憶され、その後は例えばパスワードの入力だけでロッカー18を利用できるようにしてもよい。ユーザは、入力部24を介して、預け入れ地点、預け入れ日時、住所、氏名、電話番号、及び、e-mailアドレスなどを入力する。ユーザの入力が完了すると、ロッカー
利用部201は、預け入れ要求を生成してサーバ30へネットワークN1を介して送信する。
【0069】
一方、ユーザが「引き取り」のボタンをタップすると、ロッカー利用部201は、ユーザに対して引き取り地点、及び、引き取り日時などの入力を促す。ユーザが入力部24を介してこれらの入力を完了すると、ロッカー利用部201は、引き取り要求を生成してサーバ30へネットワークN1を介して送信する。
【0070】
預け入れ要求及び引き取り要求を送信すると、サーバ30から荷物の預け入れ又は引き取りに関する情報が送信されてもよい。例えば、ユーザ端末20が送信した条件で荷物の預け入れまたは引き取りが可能であることを示す情報、または、ユーザ端末20が送信した条件では荷物の預け入れまたは引き取りができないことを示す情報がサーバ30から送信される。その情報に応じた画像をロッカー利用部201がディスプレイ25に表示させる。
【0071】
また、ユーザがロッカー18に荷物を預け入れるとき、または、ユーザがロッカー18から荷物を引き取るときには、ロッカー利用部201がロッカー18の通信部26と通信
を確立し、ユーザに関する情報をロッカー18に送信する。したがって、ユーザ端末20は、ロッカー18のボックス180を解錠するための鍵として利用される。
【0072】
次に、緩衝材191を補充するときのシステム1全体の処理について説明する。
図9は、第1実施形態における緩衝材191を補充するときのシステム1全体の処理のシーケンス図である。この処理は、各車両10について行われる。車両10は、例えば所定時間毎に収納部19に取り付けられているセンサ192の検出値を取得し(S11)、サーバ30へ送信する(S12)。サーバ30は、センサ192の検出値に基づいて、緩衝材191の量が所定量未満であるか否か判定する(S13)。緩衝材191の量が所定量未満であると判定した場合にサーバ30は、車両10の運行指令を生成する(S14)。この運行指令には、緩衝材191の補充場所に車両10を移動させ、その後に緩衝材191を補充するために例えば車両10の扉を開く指令を含む。サーバ30は、生成した運行指令を車両10へ送信する(S15)。
【0073】
運行指令を受信した車両10は、運行指令に基づいて緩衝材191の補充場所に移動して停車する(S16)。そして、車両10は、停車中に扉を開いて緩衝材191が補充されるのを待つ。緩衝材191の補充が終わると、例えば、作業員が入出力部182に作業が完了したことを入力する。これにより、車両10では、補充完了情報が生成される(S17)。補充完了情報は、緩衝材191の補充が完了したことを示す情報である。生成した補充完了情報は、サーバ30へ送信される(S18)。
【0074】
補充完了情報を受信したサーバ30は、次の目的地に移動するように車両10の運行指令を生成し(S19)、車両10へ送信する(S20)。この運行指令にしたがって、車両10は、次のユーザの預け入れ地点または引き取り地点に向けて移動する。
【0075】
次に、緩衝材191を補充するときのサーバ30における処理について説明する。
図10は、第1実施形態における緩衝材191を補充するときのサーバ30における処理のフローチャートである。本ルーチンは、各車両10について実行される。
【0076】
ステップS101において緩衝材管理部303は、車両10から受信したセンサ192の検出値を読み込む。センサ192の検出値は、例えば所定時間毎に車両10から発信されるため、その値を補助記憶部33に記憶しておく。そして緩衝材管理部303は、ステップS101において最新のセンサ192の検出値を読み込む。ステップS102において緩衝材管理部303は、センサ192の検出値である緩衝材191の量が、所定量未満であるか否か判定する。すなわち、緩衝材管理部303は、緩衝材191の補充が必要か否か判定する。所定量は、補充の必要がない緩衝材191の量として補助記憶部33に記憶されている。ステップS102で肯定された場合にはステップS103へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0077】
なお、センサ192が、質量を検出するセンサである場合には、緩衝材191の質量に基づいて緩衝材191の量が判定されるが、例えば、緩衝材191がエアキャップまたは発泡スチロールなどの場合には、緩衝材191が潰れて使い物にならない場合であっても質量がほとんど変化しないこともあり得る。このような場合に質量だけで緩衝材191の量を判定すると、緩衝材191が不足する虞がある。そこで、質量を検出するセンサとカメラとを併用して使用可能な緩衝材191の残量を判定してもよい。すなわち、センサで検出される緩衝材191の質量が所定質量以上であっても、カメラにより検出される緩衝材191の体積が所定体積未満の場合には、緩衝材191が不足する虞があると考えて、ステップS102において肯定判定してもよい。また、カメラに代えて、例えば、収納部19内の所定の高さにおける光の透過率を検出することで、その高さまで緩衝材191が積まれているか否か判定してもよい。その高さまで緩衝材191が積まれていれば、緩衝
材191の体積が所定体積以上と判定できる。さらに別法として、緩衝材191の質量ではなく体積のみに基づいた判定を行ってもよい。
【0078】
ステップS103において指令部304は、車両10が緩衝材191の補充場所まで移動して緩衝材191の補充を受けるように運行指令を生成する。この運行指令には、車両10が緩衝材191の補充場所まで移動するルートが含まれる。このルートは、例えば、最も近い補充場所に移動するルートであってもよく、補充場所と次の荷物の預け入れ地点または引き取り地点とを通る最短のルートであってもよい。そして、ステップS104において指令部304は、生成した運行指令を車両10へ送信する。なお、このときに緩衝材191の補充場所で利用されている端末に対して、車両10が緩衝材191の補充のために向かっていることを通知してもよい。ステップS105において指令部304は、車両情報DB312を更新する。例えば、ルートフィールドに、ステップS103において生成したルートに関する情報を入力する。
【0079】
ステップS106において緩衝材管理部303は、車両10から補充完了情報を受信したか否か判定する。なお、車両10に代えて補充場所で利用されている端末から補充完了情報を送信してもよい。ステップS106で肯定判定された場合にはステップS107へ進み、否定判定された場合にはステップS106の処理を再度実行する。
【0080】
ステップS107において指令部304は、次の目的地(次の預け入れ地点または次の引き取り地点)に移動するように運行指令を生成し、ステップS108において指令部304は、生成した運行指令を車両10へ送信する。この運行指令には、車両10が次の目的地まで移動するルートが含まれる。また、ステップS109において指令部304は、車両情報DB312を更新する。例えば、ルートフィールドに、ステップS107において生成したルートに関する情報を入力する。
【0081】
以上説明したように第1実施形態によれば、ロッカー18のボックス180に荷物を預けるときに、ユーザが収納部19から緩衝材191を必要に応じて取り出して、自由に利用することができるため、荷物を保護することができる。また、緩衝材191の残りが少なくなると緩衝材191を補充可能な場所に移動するように車両10の運行指令を生成するため、緩衝材191を補充することができる。したがって、緩衝材191が不足することを抑制でき、さらには荷物が破損することを抑制できる。また、車両10に緩衝材191を備えることにより、ロッカー18に荷物を預けるサービスの利用を促進させることができる。
【0082】
<第2実施形態>
第1実施形態では、センサ192の検出値に基づいて緩衝材191を補充している。一方、第2実施形態では、ユーザから得られる情報に基づいて緩衝材191を補充する。また、情報を提供したユーザに対してインセンティブを付与する。ただし、ユーザにインセンティブを付与することは必須ではない。なお、センサ192の検出値とユーザからの情報とを併用して緩衝材191を補充してもよく、センサ192の検出値を用いずにユーザから得られる情報のみに基づいて緩衝材191を補充してもよい。
【0083】
第1実施形態のようにセンサ192により質量または体積を検出することで緩衝材191の量が所定量以上であると判定されたとしても、例えば、緩衝材191に汚れが付着していたり、緩衝材191の劣化によって使用できなかったりする場合も考えられる。このような場合に、ユーザが使用可能な緩衝材191の量についての情報をサーバ30に提供することで、サーバ30は、より適切なタイミングで緩衝材191を補充することができる。
【0084】
例えば、ユーザが、ボックス180に荷物を預け入れるとき、または、ボックス180から荷物を引き取るときに、緩衝材191が足りていたか否かをユーザに問い合わせ、その回答に基づいて緩衝材の量を判定してもよい。この問い合わせは、ユーザ端末20を介して行ってもよく、車両10若しくはロッカー18を介して行ってもよい。例えば、ユーザが、ボックス180に荷物を預け入れるとき、または、ボックス180から荷物を引き取るときに、ロッカー18の入出力部182に「緩衝材は足りましたか」などといった文言と共に、「はい」または「いいえ」の何れかの回答を選択するためのGUIを画面に表示させてもよい。そして、ユーザの操作にしたがって回答を得てもよい。ユーザは、例えば、主観的に緩衝材191が足りないと感じた場合に、緩衝材191が足りないと回答してもよい。
【0085】
そして、ユーザから緩衝材191が足りないとの回答を得た場合に、サーバ30の緩衝材管理部303は、緩衝材191の量が所定量未満であると判定する。
【0086】
また、ユーザに付与するインセンティブは、例えば、ロッカーの利用料金の割引であってもよく、電子マネーの付与、または、クーポン券の付与などであってもよい。また、ユーザが次回にロッカーを利用したときに、料金を自動的に割り引いてもよい。
【0087】
次に、緩衝材191を補充するときのシステム1全体の処理について説明する。
図11は、第2実施形態における緩衝材191を補充するときのシステム1全体の処理のシーケンス図である。この処理は、各車両10について行われる。なお、
図9と同じ処理が実行されるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0088】
ユーザがボックス180に荷物を預け入れるとき、または、ボックス180から荷物を引き取るときに、ロッカーの入出力部182に緩衝材191が足りたか否かをユーザに問い合わせるための画像を入出力部182に表示させる(S31)。この画像を表示させるタイミングは、例えば、ユーザが入出力部182を操作するとき、ボックス180の扉を開閉するとき、ボックス180を施解錠するとき、または、車両10の扉を開いた後などを例示できる。なお、別法として、サーバ30からユーザ端末20へ問い合わせを送信してもよい。この場合、ユーザは、ユーザ端末20の入力部24に回答を入力する。ユーザがボックス180に荷物を預け入れた後、または、ボックス180から荷物を引き取った後に、サーバ30からユーザ端末20へ問い合わせを送信してもよい。さらに別法として、緩衝材191の量が足りないと判断したユーザが、自主的に例えばユーザ端末20にインストールされているアプリケーションを起動させ、このアプリケーションを介して緩衝材191の量が足りないことをサーバ30に通知してもよい。
【0089】
車両10のロッカー18の入出力部182に、ユーザによって緩衝材191が足りたか否かの回答が入力されると(S32)、その入力に応じた情報がサーバ30へ送信される(S33)。サーバ30は、ユーザからの入力に基づいて、緩衝材191の量が所定量未満であるか否か判定する(S34)。すなわち、緩衝材191が足りたとの回答をユーザから得た場合には、緩衝材191の量が所定量以上であると判定し、緩衝材191が足りないとの回答をユーザから得た場合には、緩衝材191の量が所定量未満であると判定する。
【0090】
なお、ユーザから取得した回答と、センサ192の検出値とを併用して、緩衝材191の量を判定してもよい。例えば、ユーザから緩衝材191が足りないとの回答があり、且つ、センサ192の検出値が所定値未満の場合に、緩衝材191の量が所定量未満であると判定してもよい。そして、緩衝材191の量が所定量未満であると判定した場合にサーバ30は、緩衝材191を補充するように車両10の運行指令を生成する(S14)。
【0091】
また、サーバ30が、次の目的地に移動するように車両10へ運行指令を送信した後(S20)、サーバ30においてインセンティブを表すデータが生成される(S35)。このデータには、例えば、クーポンコードが含まれる。このインセンティブを表すデータは、ユーザ端末20へ送信される(S36)。なお、別法として、インセンティブを表すデータをサーバ30の補助記憶部33に記憶しておき、次回にユーザがロッカー18を利用するときに、料金の割引などを行ってもよい。
【0092】
次に、緩衝材191を補充するときのサーバ30における処理について説明する。
図12は、第2実施形態における緩衝材191を補充するときのサーバ30における処理のフローチャートである。本ルーチンは、各車両10について実行される。
図10と同じ処理が実行されるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0093】
ステップS201において緩衝材管理部303は、車両10から緩衝材191の量についてのユーザの回答を受信したか否か判定する。ステップS201において肯定判定された場合にはステップS202へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。ステップS202において緩衝材管理部303は、収納部19に収納されている緩衝材191の量を判定する。ユーザから緩衝材191が足りないとの回答を得た場合には、緩衝材191の量が所定量未満であると判定し、緩衝材191が足りたとのユーザからの回答を得た場合には、緩衝材191の量が所定値以上であると判定する。
【0094】
また、ステップS203において緩衝材管理部303は、ユーザにインセンティブを付与するために、インセンティブを表すデータを生成する。そして、ステップS204において緩衝材管理部303は、ユーザ端末20にインセンティブを表すデータを送信する。
【0095】
以上説明したように第2実施形態によれば、ユーザから提供される情報に基づいて緩衝材191の量が少なくなっていることを検知できる。そのため、緩衝材191が不足することを抑制できる。したがって、荷物が破損することを抑制できる。
【0096】
<第3実施形態>
第1実施形態では、収納部19内の緩衝材191の量が所定量未満の場合に補充を行っている。しかし、ユーザが緩衝材191を利用した後に、緩衝材191を収納部19に戻さずに、ボックス180内に置き去りにすることも考えられる。このような場合には、緩衝材191を補充せずに、ボックス180内の緩衝材191を収納部19に戻せば問題はない。
【0097】
そこで、第3実施形態では、収納部19内の緩衝材191の量が所定量未満であっても、ユーザが荷物を引き取った後のボックス180に緩衝材191が残っており、このボックス180に残っている緩衝材191の量を加えることで所定量以上となる場合には、緩衝材191の補充は行わない。また、ユーザが荷物の引き取りの際に使用後の緩衝材191を収納部19に戻した場合には、ユーザにインセンティブを付与する。
【0098】
例えば、収納部19および各ボックス180にセンサ192としてのカメラを取り付けておき、カメラによって撮像したデータを解析することで、各ボックス180に存在している緩衝材191の量を判定することができる。緩衝材191が配置されている場所が、ユーザが利用していないボックス180である場合には、この緩衝材191の量を収納部19に収納されている緩衝材191の量に加えて、所定量と比較する。なお、別法として、さらにユーザが利用中のボックス180内に存在する緩衝材191の量を加えて、所定量と比較してもよい。
【0099】
なお、別法として、例えば、各緩衝材191にRFIDタグを取り付けておき、ロッカ
ー18の通信部183がRFIDを読み取ることによって、各緩衝材191が配置されている場所を特定することができる。したがって、ボックス180内に置き去りにされた緩衝材191を検出することができる。
【0100】
図9に示したシーケンス図を参照して説明すると、S11において、収納部19および各ボックス180に取り付けたセンサ192から検出値を取得する。これらの検出値をサーバ30に送信し(S12)、サーバ30においてこれらの検出値に基づいて緩衝材191の量が判定される(S13)。
【0101】
また、
図10に示したフローチャートを例に挙げると、ステップS101において緩衝材管理部303は、収納部19および各ボックス180に取り付けたセンサ192の検出値を読み込む。そして、ユーザに利用されていないボックス180に残された緩衝材191の量と、収納部19に収納されている緩衝材191の量との合計値である、使用可能な緩衝材191の量を算出する。そして、ステップS102において緩衝材管理部303は、使用可能な緩衝材191の量が所定量未満であるか否か判定する。
【0102】
また、
図13は、第3実施形態における緩衝材191を使用後に収納部19に戻したユーザにインセンティブを付与する処理を示したフローチャートである。本ルーチンは、各車両10の各ボックス180について実行される。ステップS301において緩衝材管理部303は、ユーザによる荷物の預け入れが完了したか否か判定する。例えば、荷物の預け入れ地点において、ボックス180の扉が一旦開けられた後に閉められた場合に、荷物の預け入れが完了したと判定する。別法として、荷物の預け入れ地点において、ボックス180がアンロックされた後にロックされた場合に、荷物の預け入れが完了したと判定してもよい。ステップS301で肯定判定された場合にはステップS302へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0103】
ステップS302において緩衝材管理部303は、ボックス180に対応するセンサ192の検出値(例えば、カメラの撮像データ)を読み込む。ステップS303において緩衝材管理部303は、ユーザが緩衝材を使用したか否か判定する。緩衝材管理部303は、センサ192によってボックス180内に緩衝材が検出されている場合には、緩衝材191が使用されたと判定する。ステップS303で肯定判定された場合にはステップS304へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0104】
ステップS304において緩衝材管理部303は、ユーザによる荷物の引き取りが完了したか否か判定する。例えば、荷物の引き取り地点において、ボックス180の扉が一旦開けられた後に閉められた場合に、荷物の引き取りが完了したと判定する。別法として、荷物の引き取り地点において、ボックス180がアンロックされた後にロックされた場合に、荷物の引き取りが完了したと判定してもよい。ステップS304で肯定判定された場合にはステップS305へ進み、否定判定された場合にはステップS304の処理を再度実行する。
【0105】
ステップS305において緩衝材管理部303は、ボックス180に対応するセンサ192の検出値を読み込む。ステップS304において緩衝材管理部303は、ボックス180から収納部19に緩衝材を戻したか否か判定する。緩衝材管理部303は、センサ192によってボックス180内に緩衝材が検出されていない場合には、緩衝材191が戻されたと判定する。なお、さらに、収納部19において緩衝材191が増加したか否かを判定し緩衝材191が増加している場合に限り、緩衝材191が戻されたと判定してもよい。ステップS306で肯定判定された場合にはステップS307へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0106】
ステップS307において緩衝材管理部303は、ユーザにインセンティブを付与するために、インセンティブを表すデータを生成する。そして、ステップS308において緩衝材管理部303は、ユーザ端末20にインセンティブを表すデータを送信する。
【0107】
以上説明したように第3実施形態によれば、収納部19における緩衝材191の量が減少したとしても、ボックス180内に十分な量の緩衝材191が残っている場合には、緩衝材191を補充しないため、車両10が必要以上に緩衝材191の補充場所に移動することを抑制できる。また、緩衝材191を使用したユーザが緩衝材191を収納部19に戻した場合には、ユーザにインセンティブを付与するため、緩衝材191を収納部19に戻すことを促進させることができる。これにより、ボックス180内に放置される緩衝材191の量を減少させることができる。
【0108】
<第4実施形態>
第1実施形態では、収納部19内の緩衝材191の量が所定量未満の場合に、緩衝材191を補充可能な場所に移動して緩衝材191の補充を行っている。一方、第4実施形態では、予備の緩衝材191を入れる第二収納部193を備えており、収納部19内の緩衝材191の量が所定量未満になると、ユーザに対して緩衝材191を第二収納部193から収納部19に補充するように依頼する。そして、緩衝材191を補充したユーザに対してインセンティブを付与する。なお、インセンティブを付与することは必須ではない。
【0109】
図14は、第4実施形態におけるロッカー18の外観を示す図である。収納部19の例えば下部に第二収納部193を備えており、第二収納部193には、予備の緩衝材191が配置されている。サーバ30は、ロッカー18の入出力部182であるディスプレイに文字を表示されたり、ロッカー18の入出力部182であるスピーカから音声を流したりすることで、ユーザに対して緩衝材191の補充を依頼する。なお、別法として、サーバ30は、ユーザ端末20のディスプレイ25に文字を表示されたり、ユーザ端末20のスピーカから音声を流したりすることで、ユーザに対して緩衝材191の補充を依頼してもよい。なお、センサ192が、第二収納部193に収納されている緩衝材191の量を検出してもよい。
【0110】
緩衝材191の補充を依頼するタイミングは、例えば、ユーザがロッカー18の入出力部182を操作するとき、ボックス180の扉を開閉するとき、ボックス180を施解錠するとき、または、車両10の扉を開いた後などを例示できる。また、ユーザ端末20に対して依頼を送信する場合には、預け入れ要求送信時、または、引き取り要求送信時であってもよい。
【0111】
図15は、第4実施形態におけるユーザに緩衝材191の補充を依頼するときのシステム1全体の処理のシーケンス図である。この処理は、各車両10について行われる。なお、
図9と同じ処理が実行されるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。S13において緩衝材191の量が所定量未満であると判定された場合には、車両10の運行指令を生成する(S41)。この運行指令には、緩衝材191の補充をユーザに依頼するための指令を含む。サーバ30は、生成した運行指令を車両10へ送信する(S42)。
【0112】
運行指令を受信した車両10は、次の預け入れ地点または引き取り地点に移動して停車する(S43)。そして、車両10は、ユーザが荷物を預け入れ又は引き取りのために例えばボックス180を開扉したとき若しくは閉扉したときに、緩衝材191を補充する依頼を入出力部182に出力させる(S44)。車両10は、例えば所定時間毎に収納部19に取り付けられているセンサ192の検出値を取得し(S45)、サーバ30へ送信する(S46)。
【0113】
サーバ30は、センサ192の検出値に基づいて、緩衝材191が第二収納部193から収納部19に移されたことを判定した場合に、インセンティブを表すデータを生成する(S47)。例えば、収納部19内の緩衝材191の量、及び第二収納部193内の緩衝材191の量の推移に基づいて、緩衝材191が補充されたか否か判定し、緩衝材191が補充されたと判定された場合にインセンティブを表すデータを生成してもよい。別法として、例えば、センサ192であるカメラの撮像データに基づいて、ユーザが緩衝材191を補充する動作を行ったか否か判定し、この動作を行ったと判定された場合にインセンティブを表すデータを生成してもよい。生成したインセンティブを表すデータは、ユーザ端末20に送信される(S40)。
【0114】
次に、緩衝材191を補充するときのサーバ30における処理について説明する。
図16は、第4実施形態における緩衝材191を補充するときのサーバ30における処理のフローチャートである。本ルーチンは、各車両10について実行される。
図10または
図12と同じ処理が実行されるステップについては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0115】
図16に示したフローチャートでは、ステップS102で肯定判定されるとステップS401へ進む。ステップS401において指令部304は、緩衝材191を第二収納部193から収納部19へ移動させる依頼(すなわち、緩衝材191を補充する依頼)を入出力部182に出力させるための運行指令を生成する。この運行指令は、例えば、預け入れ地点または引き取り地点において、ユーザがボックス180を開扉または閉扉するタイミングで緩衝材191の補充の依頼が出力されるように生成される。ステップS402において指令部304は、運行指令を車両10へ送信する。
【0116】
ステップS403において緩衝材管理部303は、車両10から受信したセンサ192の検出値を読み込む。センサ192の検出値は、所定時間毎に車両10から発信されるため、その値を補助記憶部33に記憶しておく。そして緩衝材管理部303は、ステップS403において最新のセンサ192の検出値を読み込む。
【0117】
ステップS404において緩衝材管理部303は、ユーザが第二収納部193から緩衝材191を補充したか否か判定する。例えば、第二収納部193の緩衝材191の量が減少し、且つ、収納部19の緩衝材191の量が増加した場合に、ユーザが緩衝材191を補充したと判定する。別法として、センサ192がカメラである場合に、緩衝材191を第二収納部193から収納部19に移すユーザの動作が撮像されている場合に、ユーザが緩衝材191を補充したと判定してもよい。ステップS404で肯定判定された場合にはステップS307へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0118】
以上説明したように第4実施形態によれば、ユーザに緩衝材191の補充を依頼することで、緩衝材191が不足することを抑制できる。したがって、荷物が破損することを抑制できる。
【0119】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0120】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0121】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によ
って実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。例えば、車両10の機能の一部を、サーバ30が備えていてもよい。また、例えば、サーバ30の機能の一部または全部を、車両10が備えていてもよい。
【0122】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0123】
1 システム
10 車両
18 ロッカー
19 収納部
20 ユーザ端末
30 サーバ
31 プロセッサ
32 主記憶部
33 補助記憶部
34 通信部
180 ボックス
182 入出力部
183 通信部
192 センサ