(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】スピーカ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20241217BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20241217BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H04R1/00 310Z
H04R7/04
H04R17/00
(21)【出願番号】P 2021554283
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2020038441
(87)【国際公開番号】W WO2021079769
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2019192790
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新免 真己
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 剛
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 正輝
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/013225(WO,A1)
【文献】特開2019-087819(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013223(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0208327(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/02
H04R 7/04- 7/26
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を具備
し、
前記第1の方向は、前記振動板に対して垂直な方向であり、
前記第2の方向は、前記振動板に対して平行な方向である
スピーカ。
【請求項2】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を具備
し、
前記アクチュエータは、板形状を有し、
前記アクチュエータ機構は、前記アクチュエータに対して垂直な方向を第1の方向として、前記第1の振動を発生する
スピーカ。
【請求項3】
請求項
2に記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置される
スピーカ。
【請求項4】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を具備
し、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構は、入力された振動を変換して出力するための構成が、互いに等しく、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構の各々は、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成される
スピーカ。
【請求項5】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を具備
し、
前記第2のリンク機構は、レージトング式のリンク機構により構成される
スピーカ。
【請求項6】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を具備
し、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置され、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有し、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有し、
前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記アクチュエータを基準として前記振動板の反対側の位置となるように構成される
スピーカ。
【請求項7】
請求項1
から5のうちいずれか1項に記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置され、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有し、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有し、
前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記振動板及び前記アクチュエータの間の位置となるように構成される
スピーカ。
【請求項8】
請求項1
から7のうちいずれか1項に記載のスピーカであって、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動の振幅よりも大きい振幅となるように、前記第2の振動を出力する
スピーカ。
【請求項9】
請求項1
から8のうちいずれか1項に記載のスピーカであって、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動の振幅よりも大きい振幅となるように、前記第3の振動を出力する
スピーカ。
【請求項10】
請求項1
から9のうちいずれか1項に記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、圧電素子、又は誘電エラストマにより構成される
スピーカ。
【請求項11】
請求項1
から10のうちいずれか1項に記載のスピーカであって、さらに、
前記振動板、前記アクチュエータ機構、前記第1のリンク機構、及び前記第2のリンク機構を保持するフレーム機構を具備する
スピーカ。
【請求項12】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を有するスピーカと、
前記スピーカの駆動を制御する制御部と
を具備
し、
前記第1の方向は、前記振動板に対して垂直な方向であり、
前記第2の方向は、前記振動板に対して平行な方向である
電子機器。
【請求項13】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を有するスピーカと、
前記スピーカの駆動を制御する制御部と
を具備
し、
前記アクチュエータは、板形状を有し、
前記アクチュエータ機構は、前記アクチュエータに対して垂直な方向を第1の方向として、前記第1の振動を発生する
電子機器。
【請求項14】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を有するスピーカと、
前記スピーカの駆動を制御する制御部と
を具備
し、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構は、入力された振動を変換して出力するための構成が、互いに等しく、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構の各々は、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成される
電子機器。
【請求項15】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を有するスピーカと、
前記スピーカの駆動を制御する制御部と
を具備
し、
前記第2のリンク機構は、レージトング式のリンク機構により構成される
電子機器。
【請求項16】
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を有するスピーカと、
前記スピーカの駆動を制御する制御部と
を具備
し、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置され、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有し、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有し、
前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記アクチュエータを基準として前記振動板の反対側の位置となるように構成される
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、スピーカ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のスピーカ装置は、振動伝達部材を挟むように対向して配置された2つの平板状の振動板を備える。アクチュエータにより生成された振動が、振動伝達部材を介して振動板に伝達されて音声が出力される。2つの平板状の振動板が振動伝達部材を挟むように対向して配置されるので、薄型化を確保した上で音圧の向上を図ることができる(特許文献1の明細書段落[0079][0080]
図1~3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにスピーカの薄型化を実現することが可能な技術が求められている。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、薄型化を実現することが可能なスピーカ、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係るスピーカは、振動板と、アクチュエータ機構と、第1のリンク機構と、第2のリンク機構とを具備する。
前記アクチュエータ機構は、アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生する。
前記第1のリンク機構は、前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する。
前記第2のリンク機構は、前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する。
【0007】
このスピーカでは、アクチュエータ機構により発生された第1の方向に沿った第1の振動が、第1のリンク機構により第2の方向に沿った第2の振動に変換されて出力される。また第2のリンク機構により、第2の振動が第1の方向に沿った第3の振動に変換され、振動板に伝達される。これにより、スピーカの薄型化を実現することが可能となる。
【0008】
前記第1の方向は、前記振動板に対して垂直な方向であってもよい。この場合、前記第2の方向は、前記振動板に対して平行な方向であってもよい。
【0009】
前記アクチュエータは、板形状を有してもよい。この場合、前記アクチュエータ機構は、前記アクチュエータに対して垂直な方向を第1の方向として、前記第1の振動を発生してもよい。
【0010】
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置されてもよい。
【0011】
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有してもよい。この場合、前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有してもよい。
【0012】
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構は、入力された振動を変換して出力するための構成が、互いに等しくてもよい。
【0013】
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構の各々は、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成されてもよい。
【0014】
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動の振幅よりも大きい振幅となるように、前記第2の振動を出力してもよい。
【0015】
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動の振幅よりも大きい振幅となるように、前記第3の振動を出力してもよい。
【0016】
前記第2のリンク機構は、レージトング式のリンク機構により構成されてもよい。
【0017】
前記アクチュエータは、圧電素子、又は誘電エラストマにより構成されてもよい。
【0018】
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置されてもよい。この場合、前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有してもよい。また前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有してもよい。また前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記振動板及び前記アクチュエータの間の位置となるように構成されてもよい。
【0019】
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置されてもよい。この場合、前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有してもよい。また前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有してもよい。また前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記アクチュエータを基準として前記振動板の反対側の位置となるように構成されてもよい。
【0020】
前記スピーカは、さらに、前記振動板、前記アクチュエータ機構、前記第1のリンク機構、及び前記第2のリンク機構を保持するフレーム機構を具備してもよい。
【0021】
本技術の一形態に係る電子機器は、前記スピーカと、制御部とを具備する。
前記制御部は、前記スピーカの駆動を制御する。
【0022】
前記スピーカは、前記電子機器の基本姿勢に基づいて、前記第2の方向が鉛直方向とは異なる方向となるように、前記電子機器に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本技術に係るスピーカの基本原理を説明するための模式図である。
【
図2】スコットラッセル機構の構成例を示す模式図である。
【
図3】スコットラッセル機構の角度と振動の増幅/減衰との関係を示す表である。
【
図4】本技術に係るスピーカの一実施形態を示す模式図である(正面図)。
【
図5】
図4に示すスピーカを正面の下方側から斜めに見た場合の図である。
【
図6】
図4に示すスピーカを右側から斜めに見た場合の図である。
【
図7】
図4に示すスピーカを右側から見た側面図である。
【
図8】
図4に示すスピーカを上方側から見た上面図である。
【
図9】
図4に示すスピーカを下方側から見た下面図である。
【
図10】スピーカによる音の出力動作を説明するための模式図である。
【
図11】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図12】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図13】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図14】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図15】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図16】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図17】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図18】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図19】本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
【
図20】本技術に係るスピーカが搭載された電子機器の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
[スピーカの基本原理]
図1は、本技術に係るスピーカの基本原理を説明するための模式図である。
スピーカ100は、アクチュエータ機構10、第1のリンク機構11、第2のリンク機構12、及び振動板13を有する。
【0026】
アクチュエータ機構10は、アクチュエータを有し、所定の方向に沿った振動を発生することが可能である。
アクチュエータとしては、例えば、電気-機械変換が可能な圧電素子(ピエゾ素子)や誘電エラストマ等が用いられる。
例えばPZTスタック等の圧電アクチュエータは、小型で、信頼性があり、安定した材料特性に加えて、高応力、高帯域幅及び高出力密度の特性を有する。
例えばピエゾフィルム等の、薄型の板形状を有するアクチュエータを構成する。この場合、電圧の印加に応じた湾曲変形を利用することで、アクチュエータに対して垂直となる方向に沿った振動を発生することが可能である。あるいは、電圧の印加に応じたピストン運動(平行運動)、すなわち平面形状を保ったままの伸縮運動を利用することで、アクチュエータに対して垂直となる方向に振動を発生することも可能である。
その他、アクチュエータ及びアクチュエータ機構10の構成は限定されず、任意に設計されてよい。
以下、
図1に示すように、アクチュエータ機構10により発生される振動を、第1の方向に沿った第1の振動V1とする。
【0027】
本開示において、リンク機構は、振動を伝達することが可能な任意の機構を含む。
リンク機構は、入力端部と出力端部とを有し、入力端部に入力される振動を、出力端部から出力することが可能である。その際には、振動の増幅/減衰や振動方向の変更等、振動を変換して出力することも可能である。
リンク機構は、例えばチタン、マグネシウム等の金属材料により構成されてもよいし、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等の樹脂材料により構成されてもよい。
図1に示すように、本技術に係るスピーカ100は、第1のリンク機構11、及び第2のリンク機構12の、2つのリンク機構を有する。
【0028】
第1のリンク機構11は、アクチュエータ機構10に接続され、第1の振動V1を第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動V2に変換して出力する。すなわち第1のリンク機構11は、入力端部に入力された第1の振動V1を、第2の振動V2に変換して出力端部から出力することが可能である。
第1のリンク機構11の入力端部及び出力端部は、第1の振動V1が入力される第1の入力端部、及び第2の振動V2を出力する第1の出力端部に相当する。
【0029】
第2のリンク機構12は、第1のリンク機構11に接続され、第2の振動V2を第1の方向に沿った第3の振動V3に変換し、振動板13に伝達することが可能である。すなわち第2のリンク機構12は、入力端部に入力された第2の振動V2を、第3の振動V3に変換して出力端部から出力し、振動板13に伝達することが可能である。
第2のリンク機構12の入力端部及び出力端部は、第2の振動V2が入力される第2の入力端部、及び第3の振動V3を出力する第2の出力端部に相当する。
【0030】
振動板13は、発音部として機能し、振動することで音を発生(放射)することが可能である。本技術に係るスピーカ100では、振動板13は、第2のリンク機構12の出力端部に接続される。そして第2のリンク機構12により出力される第3の振動V3により振動(ピストン運動)することで、音が発生する。
振動板13の材料、サイズ、形状等の具体的な構成は限定されず、任意に設計されてよい。
【0031】
図1に示すように、アクチュエータから振動板13までの駆動力(振動)の伝達機構として、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12を構成する。これにより、スピーカ100の薄型化を図ることが可能となる。
例えば、第1の振動V1の振動方向である第1の方向を、振動板13に対して垂直な方向に設定する。また第2の振動V2の振動方向である第2の方向を、振動板13に対して平行な方向に設定する。
また板形状を有するアクチュエータを用いて、アクチュエータに対して垂直な方向を第1の方向として、第1の振動V1を発生するように、アクチュエータ機構10を構成する。これによりアクチュエータを、振動板13に対して平行に配置することが可能となり、スピーカ100の薄型化が実現される。
また第1の振動V1が増幅されて第3の振動V3として出力されるように、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12を構成する。すなわち第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12により、第1の振動V1の振幅よりも大きい振幅となるように、第3の振動V3を出力する。これにより音圧を向上させることが可能となる。
もちろんこのような設計が採用される場合に限定される訳ではない。例えば、第1の方向及び第2の方向として、互いに異なる任意の方向がそれぞれ設定されてもよい。このような場合でも、
図1に示す基本原理によりスピーカ100を実現することで、薄型化を実現することが可能である。
【0032】
なお第1のリンク機構11の構成、及び第2のリンク機構12の構成は、それぞれ任意に設計されてもよい。例えば、入力された振動を変換して出力するための構成(振動を伝達するための基本原理)が、互いに等しくなるように、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12を構成する。これにより、装置構成の簡素化を図ることが可能となる。
もちろん、第1のリンク機構11の構成、及び第2のリンク機構12の構成が、互いに異なるように設計されてもよい。
【0033】
[スコットラッセル式の厳正直線運動機構]
入力された振動を変換して出力するリンク機構の一例として、スコットラッセル式の厳正直線運動機構(以下、単にスコットラッセル機構と記載する)を説明する。
【0034】
図2は、スコットラッセル機構の構成例を示す模式図である。
スコットラッセル機構15は、直線状の主リンク部材16と、直線状の副リンク部材17とを有する。
図2に示すように、主リンク部材16の一方の端部を入力端部18とし、他方の端部を出力端部19とする。主リンク部材16は、入力端部18が、所定のスライド方向SD1に沿って移動可能(スライド可能)となるように構成される。
副リンク部材17は、一方の端部20が、主リンク部材16の中央の位置、すなわち入力端部18及び出力端部19の中間の位置に、回転可能に連結される(以下連結端部20と記載する)。副リンク部材17の他方の端部21は、主リンク部材16の入力端部18のスライド方向に沿って伸びる直線上の位置に、回転可能に設置される(以下、回転端部21と記載する)。
また副リンク部材17は、連結端部20から回転端部21までの長さが、入力端部18から出力端部19までの長さの1/2となるように構成される。従って、スコットラッセル機構15は、主リンク部材16及び副リンク部材17が連結する連結位置から入力端部18までの長さ、連結位置から出力端部19までの長さ、及び連結位置から副リンク部材17の回転端部21までの長さが、互いに等しくなるように構成されている(以下、長さLとする)。
この結果、入力端部18、連結位置(連結端部20)、回転端部21の3点で構成される三角形と、出力端部19、連結位置(連結端部20)、回転端部21の3点で構成される三角形とが、2つの等辺の長さがLである二等辺三角形となる。従って、
図2に示すように、主リンク部材16の出力端部19と、副リンク部材17の回転端部21とは、スライド方向SD1に直交する方向に延在する直線上にて並ぶように配置される。
【0035】
このような構成において、入力端部18にスライド方向SD1に沿ってスライドさせる。そうすると、スライド方向SD1に直交するスライド方向SD2に沿って、出力端部19がスライドする。すなわち入力端部18のスライドに応じて、出力端部19による厳正直線運動を実現することが可能である。
従って、入力端部18にスライド方向SD1に沿った方向の振動を入力すると、出力端部19により、スライド方向SD2に沿った方向の振動を出力することが可能となる。この結果、
図1にて示した第1の振動V1を第2の振動V2に変換して出力することや、第2の振動V1を第3の振動V2に変換して出力することが可能となる。
【0036】
スコットラッセル機構15における振動の増幅/減衰について説明する。
例えば
図2Aに示す状態から、
図2Bに示す状態の間で、入力端部18がスライド方向SD1に沿って振動するとする。当該振動に応じて、
図2Aに示す状態から
図2Bに示す状態の間で、出力端部19がスライド方向SD2に沿って振動する。
図2に示すように、スライド方向SD1と、副リンク部材17との交差する角度に着目する。
図2Aに示す状態における角度を角度θ1とし、
図2Bに示す状態における角度をθ2とする。そうすると、以下の式が成り立つ。
入力端部18の振幅(移動量)=2a(cosθ2-cosθ1)
出力端部19の振幅(移動量)=2a(sinθ1-sinθ2)
入力端部18の振幅に対する出力端部19の振幅の割合
=(sinθ1-sinθ2)/(cosθ2-cosθ1)
従って、(sinθ1-sinθ2)/(cosθ2-cosθ1)>1となるように、角度θ1及びθ2を設定する。これにより入力端部18の振幅よりも大きき振幅となるように、出力端部19を振動させることが可能となる。この結果、入力される振動を増幅して出力することが可能となる。
【0037】
図3は、角度θ1及びθ2と、(sinθ1-sinθ2)/(cosθ2-cosθ1)との関係を示す表である。表に示すように、(sinθ1-sinθ2)/(cosθ2-cosθ1)が常に1を上回る、ある連続する角度の領域(θ1>θ2からθ1<θ2になる領域を含む)が存在する。例えば、そのような領域内にて、角度θ1及びθ2を適宜設定すればよい。
【0038】
[スピーカの実施形態]
以下、本技術のスピーカ100の実施形態を説明する。
図4~9は、1つの実施形態であるスピーカ110を示す模式図である。
ここで便宜的に、
図4に示す図を、スピーカ110を正面から見た正面図とする。そして、奥行方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向をとして説明を行う。また、手前側/奥側、左側/右側、上方側/下方側といった表現を用いる場合がある。
もちろん本技術の適用が、スピーカ110を使用する向き等により限定される訳ではない。
【0039】
図5は、スピーカ110を正面の下方側から斜めに見た場合の図である。
図6は、スピーカ110を右側から斜めに見た場合の図である。
図7は、スピーカ110を右側から見た側面図である。
図8は、スピーカ110を上方側から見た上面図である。
図9は、スピーカ110を下方側から見た下面図である。
【0040】
本実施形態では、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12は、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成されている。すなわち
図2に例示するスコットラッセル機構15が多段連結された構成により、スピーカ110が実現される。
さらに述べると、第1のリンク機構11として機能するスコットラッセル機構15が4つ配置される。その4つのスコットラッセル機構15に対応して、第2のリンク機構12として機能するスコットラッセル機構15が4つ配置される。
これら複数のスコットラッセル機構15が、ジョイント部材等を介して適宜連結され、アクチュエータ機構10により発生される振動が、振動板13に伝達される。
【0041】
図4~
図9に示すように、スピーカ110は、アクチュエータ機構10と、4つの第1のリンク機構11(11a~11d)と、4つの第2のリンク機構12(12a~12d)と、振動板13とを有する。またスピーカ110は、フレーム機構23と、ジョイント部材50~58とを有する。
フレーム機構23は、アクチュエータ機構10、4つの第1のリンク機構11、4つの第2のリンク機構12、及びジョイント部材50~58を保持する。フレーム機構23としては、例えば鉄やアルミニウム等の金属材料が用いられる。もちろんこれに限定される訳ではない。
フレーム機構23は、例えばスピーカ110を含むキャビネット(スピーカ110が取付けられる部材や、スピーカ110が設置される筐体等)に対して動作しない(意図的に動かされない)部材として構成される。
【0042】
フレーム機構23は、振動板保持部24と、2つの側壁部25(25a、25b)と、2つのリンク保持部26(26a、26b)と、2つのアクチュエータ保持部27(27a、27b)とを有する。
図8及び
図9等に示すように、振動板保持部24は、上方及び下方から見て、4隅が丸まった角丸四角形の枠部材から構成される。振動板保持部24の内周側は上下方向(Z方向)に開口する貫通孔が構成される。
図5~
図7等に示すように、2つの側壁部25の各々は、互いに等しい構成を有し、全体的な形状としては、薄板状の直方体形状を有する。
図9等に示すように、側壁部25a及び25bは、振動板保持部24の左右方向(Y方向)にて対向する2つの辺部の中央部分に、下方側に延在するように配置される。従って、側壁部25a及び25b自体も、左右方向(Y方向)にて対向するように設けられる。
【0043】
2つのリンク保持部26の各々は、互いに等しい構成を有し、一方向に延在する棒状の部材からなる。
図4及び
図9等に示すように、リンク保持部26a及び26bは、左右方向(Y方向)に延在するように、両端が、側壁部25a及び25bにそれぞれ接続される。
リンク保持部26aは、側壁部25a及び25bの手前側の端部付近に接続される。リンク保持部26bは、側壁部25a及び25bの奥側の端部付近に接続される。リンク保持部26a及び26bは、奥行方向(X方向)に沿って並んで配置され、両部材の間は空隙となる。
また
図4及び
図5等に示すように、リンク保持部26aには、奥行方向(X方向)に沿って貫通し、左右方向(Y方向)に沿って延在する2つのスリット28a及び28bが形成される。スリット28a及び28bは、リンク保持部26aの中心を基準として左右に対称となるようにそれぞれ形成される。
リンク保持部26bも同様に、奥行方向(X方向)に沿って貫通し、左右方向(Y方向)に沿って延在する2つのスリット29a及び29bが形成される。スリット29a及び29bは、
図4に示すようにスピーカ110を正面から見た場合に、手前側のリンク保持部26aに形成されたスリット28a及び28bと同じ位置となるように、奥側のリンク保持部26bに形成される。
【0044】
2つのアクチュエータ保持部27は、互いに等しい構成を有し、側壁部25a及び25bの下方側の中央の部分にそれぞれ接続される。
図4及び
図5等に示すように、アクチュエータ保持部は、左側の側壁部25aに接続され、右斜め下方に延在する棒状の第1の部材30aと、第1の部材30aに連結され左右方向に延在する棒状の第2の部材30bとを有する。
第2の部材30bは、先端が、スピーカ110の中央の位置(
図4の正面図において中央の位置)よりも若干左側の位置に配置される長さで構成される。
アクチュエータ保持部27bは、右側の側壁部25bに接続され、左斜め下方に延在する棒状の第1の部材31aと、第1の部材31aに連結され左右方向に延在する棒状の第2の部材31bとを有する。
第2の部材31bは、先端が、スピーカ110の中央の位置(
図4の正面図において中央の位置)位置よりも若干右側の位置に配置される長さで構成される。
【0045】
図9等に示すように、アクチュエータ保持部27a及び27bは、リンク保持部26a及び26bの間の空隙の中央の位置に、左右方向に沿って一直線状に並ぶように配置される。アクチュエータ保持部27aの第2の部材30bの先端と、アクチュエータ保持部27bの第2の部材31bの先端との間には、空隙が構成される。当該空隙は、スピーカ110を下方から見た場合の中心の位置に構成される。
【0046】
また
図4等に示すように、上下方向(Z方向)において、振動板保持部24、2つのリンク保持部26、及び2つの第2の部材30b及び31bは、配置される位置が異なる。振動板保持部24が最も上方の位置に配置され、2つの第2の部材30b及び31bが最も下方の位置に配置される。そして2つのリンク保持部26が、振動板保持部24と2つの第2の部材30b及び31bとの間の位置に配置される。
本実施形態において、フレーム機構23を正面から見た場合の構成と、反対の奥側から見た場合の構成は、互いに等しい構成(
図4に示す構成)となる。またフレーム機構23を右側から見た場合の構成と、反対の左側の構成は、互いに等しい構成(
図7に示す構成)となる。
【0047】
図8及び
図9等に示すように、振動板13は、振動板保持部24の内周側に配置される。振動板13は、XY平面方向と平行となるように、配置される。すなわち上下方向(Z方向)が、振動板13に対して垂直な方向となる。
振動板13は、上方側に向かって音を出力(放射)する。すなわち上下方向(上方側の向き)が、音の出力方向(放射方向)となる。
上記でも述べたが、振動板13の材料、サイズ、形状(音の出力方向から見た正面形状等)等の具体的な構成は限定されず、任意に設計されてよい。また振動板13を固定する方法等も限定されない。
【0048】
アクチュエータ機構10は、アクチュエータ32と、振動出力部33とを有する。
図4~
図6等に示すように、アクチュエータ32は薄型の板形状を有し、アクチュエータ保持部27a及び27bが有する、2つの第2の部材30b及び31bの先端に保持される。
従って、
図9等に示すように、スピーカ110を下方から見た場合、スピーカ110の中心位置(振動板13の中心位置にも相当)に、アクチュエータ32が配置される。
アクチュエータ32は、XY平面方向と平行となるように配置される。すなわちアクチュエータ32は、振動板13と平行に配置される。またアクチュエータ32は、電圧の印加により、アクチュエータ32に対して垂直なZ方向に沿った振動を発生可能なように構成される。
例えば、アクチュエータ32は、Z方向に沿った振動を発生する際の動作原点時に、振動板13と平行となるように配置される。もちろんこれに限定される訳ではない。
図6等に示すように、振動出力部33は、全体的な概形として、直方体形状を有し、板形状のアクチュエータ32の上方側の面の中央に、長手方向が奥行方向(X方向)と平行になるように構成される。また振動出力部33には、奥行方向(X方向)に延在する貫通孔が形成される。
図7に示すように、振動出力部33の貫通孔には、奥行方向(X方向)に沿って延在する棒状のジョイント部材50が挿入される。ジョイント部材50は、両端が、貫通孔から突出するように配置される。
【0049】
4つの第1のリンク機構11(11a~11d)は、互いに等しい構成を有する。すなわち4つの第1のリンク機構11の各々は、
図2に示す主リンク部材16(入力端部18/出力端部19)と副リンク部材17(連結端部20/回転端部21)とを有する。
ここで、4つの第1のリンク機構11a~11dにおいて、主リンク部材16(入力端部18/出力端部19)と副リンク部材17(連結端部20/回転端部21)について、符号を以下のように定める。
第1のリンク機構11a…主リンク部材35a(入力端部37a/出力端部38a)、副リンク部材36a(連結端部39a/回転端部40a)
第1のリンク機構11b…主リンク部材35b(入力端部37b/出力端部38b)、副リンク部材36b(連結端部39b/回転端部40b)
第1のリンク機構11c…主リンク部材35c(入力端部37c/出力端部38c)、副リンク部材36c(連結端部39c/回転端部40c)
第1のリンク機構11d…主リンク部材35d(入力端部37d/出力端部38d)、副リンク部材36d(連結端部39d/回転端部40d)
【0050】
図4及び
図5等に示すように、4つの第1のリンク機構11は、2つのリンク保持部26と、アクチュエータ機構10を保持する2つの第2の部材30b及び31bの間の領域に構成される。
4つの第1のリンク機構11のうち、第1のリンク機構11a及び11bは、スピーカ110の手前側に構成される。
第1のリンク機構11aの主リンク部材35aの入力端部37aと、第1のリンク機構11bの主リンク部材35bの入力端部37bとは、ともにアクチュエータ機構10の振動出力部33に挿入されたジョイント部材50の手前側の端部に接続される。
主リンク部材35aの出力端部38aは、ジョイント部材51の奥側の端部に接続される。ジョイント部材51は奥行方向に延在するように構成され、手前側のリンク保持部26aに形成された左側のスリット28a内を左右に移動可能(スライド可能)に配置される。
主リンク部材35bの出力端部38bは、ジョイント部材52の奥側の端部に接続される。ジョイント部材52は、奥行方向に延在するように構成され、リンク保持部26aに形成された右側のスリット28b内を左右に移動可能(スライド可能)に配置される。
【0051】
第1のリンク機構11aの副リンク部材36aの連結端部39aは、主リンク部材35aの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材36aの回転端部40aは、手前側のリンク保持部26aの中央の位置に回転可能に連結される。
第1のリンク機構11bの副リンク部材36bの連結端部39bは、主リンク部材35bの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材36bの回転端部40bは、手前側のリンク保持部26aの中央の位置に回転可能に連結される。
すなわち本実施形態では、第1のリンク機構11a及び11bにおいて、副リンク部材36a及び36bの回転端部40a及び40bが、同じ位置に配置される。
図4に示すように、第1のリンク機構11a及び11bは、スピーカ110の中央の位置(
図4の正面図において中央の位置)に対して、左右対称となるように構成される。
【0052】
4つの第1のリンク機構11のうち、第1のリンク機構11c及び11dは、スピーカ110の奥側に構成される。第1のリンク機構11c及び11dは、スピーカ110を手前側から見た場合の、第1のリンク機構11a及び11bの構成と同様の構成を有する。
具体的には、第1のリンク機構11cの主リンク部材35cの入力端部37cと、第1のリンク機構11dの主リンク部材35dの入力端部37dとは、ともにアクチュエータ機構10の振動出力部33に挿入されたジョイント部材50の奥側の端部に接続される。
主リンク部材35cの出力端部38cは、ジョイント部材53の手前側の端部に接続される。ジョイント部材53は、奥行方向に延在するように構成され、奥側のリンク保持部26bに形成された左側(
図4を基準とした左側、以下同じ)のスリット29a内を左右に移動可能(スライド可能)に配置される。
主リンク部材35dの出力端部38dは、ジョイント部材54の手前側の端部に接続される。ジョイント部材54は、奥行方向に延在するように構成され、リンク保持部26bに形成された右側のスリット29b内を左右に移動可能(スライド可能)に配置される。
【0053】
第1のリンク機構11cの副リンク部材36cの連結端部39cは、主リンク部材35cの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材36cの回転端部40cは、奥側のリンク保持部26bの中央の位置に回転可能に連結される。
第1のリンク機構11dの副リンク部材36dの連結端部39dは、主リンク部材35dの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材36dの回転端部40dは、奥側のリンク保持部26bの中央の位置に回転可能に連結される。
すなわち、第1のリンク機構11c及び11dにおいて、副リンク部材36c及び36dの回転端部40c及び40dが、同じ位置に配置される。
スピーカ110を奥側から見て、第1のリンク機構11c及び11dは、スピーカ110の中央の位置に対して、左右対称となるように構成される。
また主リンク部材35aと主リンク部材35cは、奥行方向(X方向)に沿って延在するジョイント部材55により、互いに連結されている。同様に、主リンク部材35bと主リンク部材35dも、奥行方向(X方向)に沿って延在するジョイント部材56により、互いに連結されている。
【0054】
4つの第2のリンク機構12(12a~12d)は、互いに等しい構成を有する。すなわち4つの第2のリンク機構12の各々は、
図2に示す主リンク部材16(入力端部18/出力端部19)と副リンク部材17(連結端部20/回転端部21)とを有する。
ここで、4つの第2のリンク機構12a~12dにおいて、主リンク部材16(入力端部18/出力端部19)と副リンク部材17(連結端部20/回転端部21)について、符号を以下のように定める。
第2のリンク機構12a…主リンク部材42a(入力端部44a/出力端部45a)、副リンク部材43a(連結端部46a/回転端部47a)
第2のリンク機構12b…主リンク部材42b(入力端部44b/出力端部45b)、副リンク部材43b(連結端部46b/回転端部47b)
第2のリンク機構12c…主リンク部材42c(入力端部44c/出力端部45c)、副リンク部材43c(連結端部46c/回転端部47c)
第2のリンク機構12d…主リンク部材42d(入力端部44d/出力端部45d)、副リンク部材43d(連結端部46d/回転端部47d)
【0055】
4つの第2のリンク機構12a~12dは、4つの第1のリンク機構11a~11dに対応して、それぞれ配置される。
図4及び
図5等に示すように、4つの第2のリンク機構12のうち、第2のリンク機構12a及び12bは、スピーカ110の手前側に構成される。
第2のリンク機構12aの主リンク部材42aの入力端部44aは、手前側のリンク保持部26aに形成された左側のスリット28a内を左右に移動可能(スライド可能)に配置されたジョイント部材51の手前の端部に接続される。
従って、主リンク部材42aの入力端部44aは、奥行方向に延在するように構成されたジョイント部材51を介して、第1のリンク機構11aの主リンク部材35aの出力端部38aに接続される。
第2のリンク機構12aの主リンク部材42aの出力端部38aは、振動板13の下方側の面に配置された接続部49aに接続される。
第2のリンク機構12aの副リンク部材43aの連結端部46aは、主リンク部材42aの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材43aの回転端部47aは、手前側のリンク保持部26aに回転可能に連結される。
図4等に示すように、副リンク部材43aの回転端部47aは、リンク保持部26aの手前側の面の、スリット28aの左側の位置に回転可能に連結される。
【0056】
第2のリンク機構12bの主リンク部材42bの入力端部44bは、手前側のリンク保持部26aに形成された右側のスリット28b内を左右に移動可能(スライド可能)に配置されたジョイント部材52の手前の端部に接続される。
従って、主リンク部材42bの入力端部44bは、奥行方向に延在するように構成されたジョイント部材52を介して、第1のリンク機構11bの主リンク部材35bの出力端部38bに接続される。
第2のリンク機構12bの主リンク部材42bの出力端部38bは、振動板13の下方側の面に配置された接続部49bに接続される。
第2のリンク機構12bの副リンク部材43bの連結端部46bは、主リンク部材42bの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材43bの回転端部47aは、手前側のリンク保持部26aに回転可能に連結される。
図4等に示すように、副リンク部材43bの回転端部47bは、リンク保持部26aの手前側の面の、スリット28bの右側の位置に回転可能に連結される。
【0057】
図4に示すように、第2のリンク機構12a及び12bは、スピーカ110の中央の位置(
図4の正面図において中央の位置)に対して、左右対称となるように構成される。
【0058】
4つの第2のリンク機構12のうち、第2のリンク機構12c及び12dは、スピーカ110の奥側に構成される。第2のリンク機構12及び12dは、スピーカ110を手前側から見た場合の、第2のリンク機構12a及び12bの構成と同様の構成を有する。
【0059】
第2のリンク機構12cの主リンク部材42cの入力端部44cは、奥側のリンク保持部26bに形成された左側のスリット29a内を左右に移動可能(スライド可能)に配置されたジョイント部材53の奥側の端部に接続される。
従って、主リンク部材42cの入力端部44cは、奥行方向に延在するように構成されたジョイント部材53を介して、第1のリンク機構11cの主リンク部材35cの出力端部38cに接続される。
第2のリンク機構12cの主リンク部材42cの出力端部38cは、振動板13の下方側の面に配置された接続部49cに接続される。
第2のリンク機構12cの副リンク部材43cの連結端部46cは、主リンク部材42cの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材43cの回転端部47cは、奥側のリンク保持部26bに回転可能に連結される。
副リンク部材43cの回転端部47cは、リンク保持部26bの手前側の面に連結される。また回転端部47cは、
図4に示すようにスピーカ110を正面から見た場合に、第2のリンク機構12aの副リンク部材43aの回転端部47aと同じ位置にて、リンク保持部26bに連結される。
【0060】
第2のリンク機構12dの主リンク部材42dの入力端部44dは、奥側のリンク保持部26bに形成された右側のスリット29b内を左右に移動可能(スライド可能)に配置されたジョイント部材54の手前の端部に接続される。
従って、主リンク部材42dの入力端部44dは、奥行方向に延在するように構成されたジョイント部材54を介して、第1のリンク機構11dの主リンク部材35dの出力端部38dに接続される。
第2のリンク機構12dの主リンク部材42dの出力端部38dは、振動板13の下方側の面に配置された接続部49dに接続される。
第2のリンク機構12dの副リンク部材43dの連結端部46dは、主リンク部材42dの中央の位置に回転可能に連結される。副リンク部材43dの回転端部47dは、奥側のリンク保持部26dに回転可能に連結される。
副リンク部材43dの回転端部47dは、リンク保持部26bの手前側の面に連結される。また回転端部47dは、
図4に示すようにスピーカ110を正面から見た場合に、第2のリンク機構12bの副リンク部材43bの回転端部47bと同じ位置にて、リンク保持部26bに連結される。
スピーカ110を奥側から見て、第2のリンク機構12c及び12dは、スピーカ110の中央の位置に対して、左右対称となるように構成される。
また主リンク部材42aと主リンク部材42cは、奥行方向(X方向)に沿って延在するジョイント部材57により、互いに連結されている。同様に、主リンク部材42bと主リンク部材42dも、奥行方向(X方向)に沿って延在するジョイント部材58により、互いに連結されている。
【0061】
図9に示すように、振動板13の下方の面において、中心の位置を基準として対称となるように、4つの接続部49a~49dが配置される。
従って、4つの第2のリンク機構12a~12dの各々の出力端部45a~45dは、振動板13の下方の面の、中心の位置を基準として対称となる位置に、それぞれ連結される。
【0062】
[スピーカの音出力動作]
図10は、スピーカ110による音の出力動作を説明するための模式図である。
図示しない回路等により、音声データ(音響データ)に基づいて、アクチュエータ32を駆動させるための駆動信号が生成される。駆動信号に基づいて、アクチュエータ32に電圧が印加され、上下方向(Z方向)を第1の方向とする第1の振動V1が発生される。
発生された第1の振動V1により、アクチュエータ機構10の振動出力部33(
図6等参照)に挿入されたジョイント部材50(
図7等参照)がZ方向に沿って振動する。なお、ジョイント部材50をZ方向に沿って振動させるためのガイド機構等が構成されてもよい。
【0063】
本実施形態では、ジョイント部材50の両端に、4つの第1のリンク機構11a~11dの各々の入力端部37a~37dがそれぞれ接続されている。従って、入力端部37a~37dも第1の振動V1にて振動する。すなわち4つの第1のリンク機構11a~11bの各々の入力端部37a~37dに、上下方向(Z方向)を第1の方向とする第1の振動V1が入力される。
【0064】
4つの第1のリンク機構11a~11dは、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成されている。従って、第1のリンク機構11a~11dの各々に入力された第1の振動V1は、左右方向(Y方向)を第2の方向とする第2の振動V2に変換される。
図10に示すように、本実施形態では、第1のリンク機構11a及び11cの各々の出力端部38a及び38cにより、第2の振動V2Aが出力される。出力された第2の振動V2Aにより、ジョイント部材51及び53(
図5等参照)が、Y方向に沿った厳正直線運動にて振動する。
また本実施形態では、第1のリンク機構11b及び11dの各々の出力端部38b及び38dにより、第2の振動V2Bが出力される。出力された第2の振動V2Bにより、ジョイント部材52及び54(
図5等参照)が、Y方向に沿った厳正直線運動にて振動する。
第2の振動V2Aと第2の振動V2Bは、同じ振幅であり、振動の向きは互いに逆向きとなる。
【0065】
4つの第2のリンク機構12a~12dは、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成されている。第2のリンク機構12aの入力端部44aはジョイント部材51に接続されている。第2のリンク機構12cの入力端部44cはジョイント部材53に接続されている。従って、入力端部44a及び44cは、第2の振動V2Aにて振動する。すなわち第2のリンク機構12a及び12cの各々の入力端部44a及び44cに、左右方向(Y方向)を第2の方向とする第2の振動V2Aが入力される。
また、第2のリンク機構12bの入力端部44bはジョイント部材52に接続されている。第2のリンク機構12dの入力端部44dはジョイント部材54に接続されている。従って、入力端部44b及び44dは、第2の振動V2Bにて振動する。すなわち第2のリンク機構12b及び12dの各々の入力端部44b及び44dに、左右方向(Y方向)を第2の方向とする第2の振動V2Bが入力される。
【0066】
第2のリンク機構12a及び12cにより、入力端部44a及び44cに入力された第2の振動V2Aは、上下方向(Z方向)に沿った第3の振動V3に変換されて、出力端部45a及び45cから出力される。出力された第3の振動V3は、振動板13の下方側の面に配置された接続部49a及び49cに伝達される。
第2のリンク機構12b及び12dにより、入力端部44b及び44dに入力された第2の振動V2Bは、上下方向(Z方向)に沿った第3の振動V3に変換されて、出力端部45b及び45dから出力される。出力された第3の振動V3は、振動板13の下方側の面に配置された接続部49b及び49dに伝達される。
なお、4つの第2のリンク機構12a~12dの各々から出力される第3の振動V3は、同じ振幅であり、振動の向きも同じ振動である。従って、振動板13の下方の面において、中心の位置を基準として対称となる位置に設けられた4つの接続部49a~49dには、同じ振動が伝達される。
すなわち振動板13は、4つの接続部49a~49dに伝達される、Z方向に沿った厳正直線運動による第3の振動V3にて、振動する。この結果、振動板13により、音声データに基づいた音が放射される。
なお、4つの出力端部45a~45dや、4つの接続部49a~49dをZ方向に沿って振動させるためのガイド機構等が構成されてもよい。
【0067】
以上、本実施形態に係るスピーカ100(110)では、アクチュエータ機構10により発生された第1の方向に沿った第1の振動V1が、第1のリンク機構11により第2の方向に沿った第2の振動V2に変換されて出力される。また第2のリンク機構12により、第2の振動V2が第1の方向に沿った第3の振動V3に変換され、振動板13に伝達される。これにより、スピーカの薄型化を実現することが可能となる。
【0068】
電気-音響変換器(スピーカ)を実現するために、種々の基本構造や種々の方式が考えられる。例えば、薄型化に寄与し、スペースの限られた製品に搭載するスピーカを実現するために、アクチュエータとして圧電素子を利用したスピーカが考えられる。
圧電素子を用いるスピーカでは、特定のセラミック等の物質に電圧を印加すると変形を得られる逆圧電効果によって振動板を駆動させる。この振動板を駆動させるまでにアクチュエータから駆動力を伝達させる方法として、伝達部材を介してアクチュエータの変形を変形後の曲面の延長として振動板に伝える構成が考えられる。また、圧電素子を用いた機器として薄型のディスプレイパネル等を実現するための方法として、圧電素子の変位方向に対して板面方向にも駆動力を伝搬させるような構成も考えられる。
これらの構成では、いずれも振動板(意図した振動部)全体のピストン運動を適えるスピーカとはならない。このことは、圧電素子の湾曲運動をそのまま振幅として増幅する手法、板面に沿う縦振動を用いる手法であることから明らかである。
また、圧電素子を用いるスピーカは導電型のスピーカ等と比べ変位量自体を大きくとりにくく、素子自体が硬質なことから共振周波数は高くなりやすいため、低域の再生力で不利となる。
【0069】
本実施形態に係るスピーカ110では、
図4等に示すように、板形状を有するアクチュエータ32を、振動板13に対して平行に配置することが可能となり、スピーカ110の薄型化を実現することが可能である。
またアクチュエータ機構10により発生した第1の振動V1に基づいて、同じ方向の振動である第3の振動V3を振動板13に伝達することが可能であり、振動板13の全体のピストン運動を実現することが可能となる。この結果、高い出力特性や音響特性を実現することが可能となる。
また第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12が、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成されているので、厳正直線運動により振動板13を振動させることが可能となる。この結果、音の歪等を十分に防止することが可能となり、音響特性の向上を実現することが可能となる。
【0070】
また、例えば
図3等を参照して、入力振動に対して出力振動が増幅するように、
図2に示す角度θ1及びθ2を設定して、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12が構成されてもよい。これにより、第1の振動V1の振幅よりも大きい振幅となるように第2の振動V2を出力することが可能となる。また第2の振動V2の振幅よりも大きい振幅となるように第3の振動V3を出力することが可能となる。
この結果、第1の振動V1が増幅され、第3の振動V3として振動板13に伝達される。これにより、振動板13のストローク量を増加させることが可能となり、音圧の向上や、低域再生周波数の拡大等を実現することが可能となる。
もちろん、第1のリンク機構11又は第2のリンク機構12のいずれかのみを、入力振動を増幅することが可能に構成することで、第1の振動V1を増幅して、第3の振動V3として出力することを実現することも可能である。
例えば、第1のリンク機構11では、第1の振動V1の振幅と同じ振幅の第2の振動V2が出力される。そして、第2のリンク機構12により、第2の振動V2の振幅よりも大きい振幅で第3の振動V3が出力される。このような構成も可能である。
【0071】
また振動板13の下方の面において、中心の位置を基準として対称となる4つの位置にて、振動板13に振動が伝達される。これにより、音出力時における振動板13のたわみ等を十分に防止することが可能となる。この結果、音響特性の向上を実現することが可能となる。
【0072】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することが可能である。
【0073】
図11は、本技術の他の実施形態に係るスピーカの構成例を示す模式図である。
図11Aに示すように、スピーカ120では、上下方向(Z方向)において、振動板13とリンク保持部26との間に、アクチュエータ32が配置される。従って、第1のリンク機構11は、入力端部37に対して、出力端部38が下方側に配置される。
第1のリンク機構11の出力端部38には、ジョイント部材を介して、第2のリンク機構12の入力端部44が接続される。第2のリンク機構12の出力端部45は、振動板13に連結される。
従ってスピーカ120では、第1のリンク機構11の出力端部38(第1の出力端部)、及び第2のリンク機構12の入力端部44(第2の入力端部)の位置が、アクチュエータ32を基準として、振動板13の反対側の位置となるように構成されている。
【0074】
図11Bに示すように、アクチュエータ32に電圧が印加されると、上下方向を第1の方向とする第1の振動V1が発生する。
第1のリンク機構11により、入力端部37に入力される第1の振動V1は、左右方向(Y方向)を第2の方向とする第2の振動V2に変換され、出力端部38により出力される。
第1のリンク機構11により出力された第2の振動V2は、第2のリンク機構12の入力端部44に入力される。第2のリンク機構12により、第2の振動V2が、上下方向(Z方向)に沿った第3の振動V3に変換され、出力端部45を介して振動板13に伝達される。
【0075】
このようにスピーカ120では、アクチュエータ32が、振動板13とリンク保持部26との間に配置される。従って、スピーカ120の厚みは振動板13の上端からリンク保持部26の下端までの距離により規定されるので、薄型化に非常に有利である。
一方で、
図4~
図10を参照して説明したスピーカ110では、第1のリンク機構11の出力端部38(第1の出力端部)、及び第2のリンク機構12の入力端部44(第2の入力端部)の位置が、振動板13及びアクチュエータ32の間の位置となるように構成される。本構成では、振動板13の最大振幅を大きく設定することが容易となるので、出力特性及び音響特性の向上に有利である。
【0076】
図12に示すスピーカ130では、第1のリンク機構11の出力端部38と、第2のリンク機構12の入力端部44とを接続するジョイント部材60として、第2の振動V2の振動方向に沿って延在する棒状の部材が用いられる。
これにより、第2の振動V2の振動方向(Y方向)において、第1のリンク機構11と第2のリンク機構12との距離を大きくとることが可能となる。この結果、例えば、アクチュエータ機構10、第1のリンク機構11、第2のリンク機構12、及びフレーム機構23の設計の自由度を向上させることが可能となり、スピーカ130の薄型化を実現することが可能となる。また振動板13に対して振動を伝達する位置等の設計の自由度も向上させることが可能となり、出力特性及び音響特性の向上を図ることも可能となる。
その他、第1のリンク機構11により出力される第2の振動V2を、第2のリンク機構12の入力端部44に入力するためのジョイント部材として、任意の構成が採用されてよい。また他の位置に設けられるジョイント部材の構成も任意に設計されてよい。
【0077】
図13に示すスピーカ140では、第2のリンク機構12が、レージトング式のリンク機構により構成されている。平行四辺形(ひし形)に構成されている平行リンク機構の数を増加することで、入力振動(第2の振動V2)に対する出力振動(第3の振動V3)の増幅率を増加させることが可能となる。
アクチュエータ32として圧電素子が用いられる場合は、高出力で第1の振動V1を発生することが可能である。従って、
図13に示すようなレージトング式のリンク機構を安定して駆動させることが可能となる。この結果、大音圧化を実現することが可能となる。
スピーカ140のように、入力された振動を変換して出力するための構成(振動を伝達するための基本原理)が、互いに異なるように、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12が構成されてもよい。
もちろん、第1のリンク機構11が、レージトング式のリンク機構により構成されてもよい。
【0078】
図14は、スピーカを上方側から見た場合の模式図であり、振動板13については外形のみが図示されている図である。
図14Aに示すスピーカ150では、振動板13の中心の位置に対応する位置に、アクチュエータ32が配置され、紙面に垂直な方向(Z方向)に沿って第1の振動V1が発生される。
第1のリンク機構11の入力端部37に入力された第1の振動V1は、Y方向に沿った第2の振動V2に変換され出力端子38から出力される。
第2のリンク機構12は、出力端子38に接続された入力端部44に入力された第2の振動V2を、Z方向に沿った第3の振動V3に変換して、出力端部45を介して振動板13に伝達する。なお、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12は、左右対称となるように構成されている。
振動板13は、中心を基準として左右対称となる2つの位置に伝達される第3の振動V3により振動することで、音を出力する。
【0079】
図14Bに示すスピーカ160では、振動板13の中心の位置に対応する位置に、アクチュエータ32が配置され、紙面に垂直な方向(Z方向)に沿って第1の振動V1が発生される。
3つの第1のリンク機構11a~11bの入力端部37a~37bに共通して第1の振動V1は、Z方向に垂直な3方向に沿った第2の振動V2A~B2Cに変換され、出力端子38a~38cから出力される。
3つの第2のリンク機構12a~12bは、入力端子44a~44cに入力された第2の第2の振動V2A~V2Cを、Z方向に沿った第3の振動V3に変換して、出力端部45a~45cを介して振動板13に伝達する。なお、第1のリンク機構11a~11c及び第2のリンク機構12a~12cは、左右対称となるように構成されている。
振動板13は、中心を基準として対称となる6つの位置に伝達される第3の振動V3により振動することで、音を出力する。
このように、複数の第1のリンク機構11に共通して入力される第1の振動V1が、互いに異なる方向に振動する第2の振動V2A~V2Cに変換されて出力されてもよい。
【0080】
図15に示すスピーカ170では、フレーム機構23に、2つの振動板13a及び13bが保持される。
振動板13aは、第1のリンク機構11a及び第2のリンク機構12aにより加振される。振動板13bは、第1のリンク機構11b及び第2のリンク機構12bにより加振される。第1のリンク機構11a及び11bは、アクチュエータ32により発生される第1の振動が共通して入力される。
このように、1つのアクチュエータ32から、2つの振動板13a及び13bを加振する構成を採用することも可能である。
例えば第1のリンク機構11a及び第2のリンク機構12aの振動を伝達するための構成、第1のリンク機構11b及び第2のリンク機構12bの振動を伝達するための構成、使用される材料の種類、回転する端部等に塗布されるオイル等の粘性等を適宜制御する。
これにより、第2のリンク機構12aから出力される第3の振動と、第2のリンク機構12bから出力される第3の振動とを、互いに異なる振動とすることが可能である。すなわち、振動板13aに伝達される振動と、振動板13bに伝達される振動とを、互いに異ならせることが可能である。
この結果、振動板13a及び13bを、互いに異なる出力特性や音響特性により動作させることが可能となる。例えば、一方の振動板13aを低域用として、他方の振動板13bを高域用とするといった構成も実現可能である。
また振動板13aに伝達される振動と、振動板13bに伝達される振動とが、互いに逆相の振動となるように構成することも可能である。
もちろん、機構11a及び第2のリンク機構12aと、第1のリンク機構11b及び第2のリンク機構12bとが、左右対称となるように構成されなくてもよい。
【0081】
図16に示すスピーカ180では、フレーム機構23に、2つの振動板13a及び13bが保持される。
第2のリンク機構12aには、2つの出力端部45a及び45a'が設けられる。出力端部45aが振動板13aに接続され、出力端部45a'が振動板13bに接続され、
第2のリンク機構12bには、2つの出力端部45b及び45b'が設けられる。出力端部45bが振動板13aに接続され、出力端部45b'が振動板13bに接続され、
振動板13aは、第2のリンク機構12aの出力端部45aから出力される第3の振動と、第2のリンク機構12bの出力端部45bから出力される第3の振動とにより加振される。
振動板13bは、第2のリンク機構12aの出力端部45a'から出力される第3の振動と、第2のリンク機構12bの出力端部45b'から出力される第3の振動とにより加振される。
このように、第2のリンク機構12に、複数の出力端部45が設けられてもよい。複数の出力端部45の各々から出力される第3の振動が互いに異なるように、第2のリンク機構12を構成する。これにより、複数の振動板13を、互いに異なるように加振することが可能となる。
例えば、
図16に示す例において、出力端部45a及び45a'の各々から互いに逆相となる振動を出力させる。また出力端部45b及び45b'の各々から互いに逆相となる振動を出力させる。これにより振動板13a及び13bを、互いに逆相となるように加振することが可能となる。このような構成も容易に実現可能である。
【0082】
図17に示すスピーカ190のように、1つのアクチュエータ32の異なる位置に、第1のリンク機構11a及び11bの入力端部37a及び37bが連結されてもよい。そして、入力端部37a及び37bの各々に第1の振動が入力されてもよい。
すなわち1つのアクチュエータ32に対して、複数の第1のリンク機構11が個別に連結されてもよい。
【0083】
図18に示すスピーカ200のように、第2のリンク機構12a及び12bと、フレーム機構23との間に、ダンパ(振動減衰部材)62が配置されてもよい。これにより、不要な振動を抑えることが可能となり、スピーカ200の音出力動作の安定化及び高精度化を実現することが可能となる。
ダンパ62の具体的な構成は限定されず、任意の構成が採用されてよい。例えば、回転する回転する端部等に塗布されるオイル等の粘性等を適宜制御することで、不要な振動が防止されてもよい。
もちろん、第1のリンク機構11a及び11bと、フレーム機構23との間にダンパが構成されてもよい。
【0084】
図19に示すスピーカ210では、第1のリンク機構11の出力端部38に、振動を入力する振動入力機構65が接続される。
振動入力機構65は、出力端部38に第2の振動V2と同じ振動を入力する。これにより、さらに高いパワーで、第2のリンク機構12に、第2の振動V2を入力することが可能となる。この結果、第2の振動V2を増幅して第3の振動V3として振動板13に伝達することに非常に有利となる。
図19に示す例では、振動入力機構65として、アクチュエータ機構10及び第1のリンク機構11と同じ構成が、左右反転した状態で配置され、出力端部38に連結される。振動入力機構65のアクチュエータには、アクチュエータ32に印加される電圧が反転されて印加される。これにより、第1の振動V1に対して逆相となる振動V1'が発生され、出力端部38には、第2の振動V2と同じ振動が入力される。
もちろん、振動入力機構65の構成は限定されず、他の任意の構成が採用されてもよい。
なお、振動入力機構65を、本技術に係るアクチュエータ機構及び第1の機構と見做すことも可能である。この場合、2つのアクチュエータ機構及び第1の機構により、共通の出力端部から第2の振動が出力される構成とも言える。
【0085】
図4~
図10を参照して説明したスピーカ110では、ジョイント部材50~58として、棒状の部材が用いられた。例えば、
図5及び
図6等に例示するように、第2のリンク機構12a及び12cを接続するジョイント部材57、及び第2のリンク機構12b及び12dを接続するジョイント部材58は、棒状の部材からなる。
複数の第1のリンク機構11を接続するための構成、第2のリンク機構12を接続するための構成は限定されない。例えば、ジョイント部材58及び57のように棒状の部材を用いることで、装置の軽量化を図ることが可能となる。一方で、ジョイント部材として厚みの大きい部材や太い部材等を用いることで、耐久度(強度)を向上させることが可能となる。
例えば
図6を参照して、第2にリンク機構12a及び12cの各々が有する主リンク部材42a及び42cが、ほぼ板形状となるジョイント部材により接続されてもよい。すなわち主リンク部材42a及び42cと、ジョイント部材とが、ほぼ板形状となる部材を構成する。そのような設計も可能である。
【0086】
アクチュエータ32として圧電素子が用いられる場合は、高出力で第1の振動V1を発生することが可能である。従って、第1のリンク機構11や第2のリンク機構12内の回転する端部等において、重量が大きい金属製のベアリング等を使用することが可能である。また高硬度のプラスチックのベアリングを使用することも可能である。この結果、第1のリンク機構11や第2のリンク機構12の振動を伝達する動作の安定化及び高精度化を実現することが可能となる。
例えば、第1のリンク機構11や第2のリンク機構12を、シリコンをインサートして成型することで実現するといったことも可能である。
【0087】
スピーカの非動作時(音の非出力時)に、アクチュエータ32を小さい振幅で常時動かしていてもよい。これにより、スピーカの動作時(音の出力時)における静止摩擦の影響を十分に抑制することが可能となる。この結果、スピーカの応答特性を向上させることが可能となる。例えば、上記したような金属製のベアリングや高硬度のプラスチックのベアリングが用いられる場合等において、非常に高い効果が得られる。
【0088】
図20は、本技術に係るスピーカが搭載された電子機器の一例を示す模式図である。
例えば
図20Aに示すように、薄型のテレビ装置70に、本技術に係るスピーカ100を搭載することが可能である。テレビ装置70には、スピーカ100の駆動を制御する制御部71が搭載されている。制御部71は、例えばCPU、GPU、ROM、RAM、HDD等のコンピュータの構成に必要なハードウェアを有する。例えば制御部71として、FPGA、ASIC等のハードウェアが用いられてもよい。スピーカ100の薄型化が実現されるので、テレビ装置70の薄型化に非常に有利である。
また
図20Bに示すようにヘッドフォン75に、本技術に係るスピーカ100を搭載することが可能である。ヘッドフォン75には、スピーカ100の駆動を制御する制御部76が搭載されている。スピーカ100の薄型化が実現されるので、ヘッドフォン75の薄型化(小型化)に非常に有利である。
【0089】
本技術に係るスピーカ100を搭載可能な電子機器の種類は限定されない。例えば、携帯電話、スマートフォン、パソコン、ゲーム機、デジタルカメラ、オーディオ機器、TV、プロジェクタ、カーナビ、GPS端末、ウエアラブル情報機器(眼鏡型、リストバンド型)等の電子機器や、インターネット等に接続されたIoT機器等、任意の電子機器に本技術を適用することが可能である。
【0090】
上記でも述べたが、本技術の適用が、スピーカ100を使用する向き等により限定される訳ではない。一方で、スピーカ100の配置方法を適宜設定することで、スピーカ100の動作精度の向上を図ることが可能である。
具体的には、第1の振動V1及び第3の振動V3の振動方向である第1の方向、及び/又は第2の振動V2の振動方向である第2の方向を、鉛直方向とは異なる方向となるように設定することが好ましい。すなわち第1の方向及び/又は第2の方向が、鉛直方向と平行とならないように設定することが好ましい。
例えば、
図4等に示すスピーカ110等のように、アクチュエータ32と振動板13とを平行に配置する。この場合、第1の方向は、振動板13の正面方向(音の出力方向)となるので、音を出力したい方向に必然的に設定されること多いと考えられる。
第1の方向が設定された場合に、第2の方向を、鉛直方向とは異なる方向、換言すれば重力の影響を受けない方向(影響が少ない方向)に設定する。これにより、第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12による振動の伝達動作の安定化及び高精度化を実現することが可能となる。この結果、スピーカ110の音出力動作の安定化及び高精度化が実現される。
【0091】
例えば、
図20Aに示すように、テレビ装置70にスピーカ100が搭載されるとする。この場合、スピーカ100は、予め定まっているテレビ装置70の基本姿勢に基づいて、第2の方向が鉛直方向とは異なる方向となるように、テレビ装置70に構成される。
例えば
図20Aに示す例では、上下方向が鉛直方向と平行となるように、テレビ装置70が配置される。このテレビ装置70の姿勢が基本姿勢となる。
テレビ装置70の正面側を音の出力方向(第1の方向)となるように、スピーカ100が搭載される場合には、第2の方向がテレビ装置70の左右方向となるように、スピーカ100が搭載される。これによりスピーカ100の音出力動作の安定化及び高精度化が実現される。
図20Bに示すヘッドフォン75に搭載される場合にも、第2の方向が、鉛直方向とは異なる方向となるように、スピーカ100を搭載する。これによりスピーカ100の音出力動作の安定化及び高精度化が実現される。
【0092】
上記で説明した第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12を、触覚提示装置に適用することも可能である。すなわちアクチュエータにより発生された振動を、触覚を提示する部材に伝達する振動伝達機構として、本技術に係る第1のリンク機構11及び第2のリンク機構12により実現することも可能である。
【0093】
各図面を参照して説明したスピーカ、アクチュエータ機構、第1のリンク機構、第2のリンク機構、振動板、フレーム機構、ジョイント部材、電子機器等の各構成、スピーカの動作例等はあくまで一実施形態であり、本技術の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。すなわち本技術を実施するための他の任意の構成やアルゴリズム等が採用されてよい。
【0094】
本開示において、「中心」「中央」「均一」「等しい」「同じ」「直交」「平行」「対称」「延在」「軸方向」「円柱形状」「円筒形状」「リング形状」「円環形状」等の、形状、サイズ、位置関係、状態等を規定する概念は、「実質的に中心」「実質的に中央」「実質的に均一」「実質的に等しい」「実質的に同じ」「実質的に直交」「実質的に平行」「実質的に対称」「実質的に延在」「実質的に軸方向」「実質的に円柱形状」「実質的に円筒形状」「実質的にリング形状」「実質的に円環形状」等を含む概念とする。
【0095】
例えば「完全に中心」「完全に中央」「完全に均一」「完全に等しい」「完全に同じ」「完全に直交」「完全に平行」「完全に対称」「完全に延在」「完全に軸方向」「完全に円柱形状」「完全に円筒形状」「完全にリング形状」「完全に円環形状」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
【0096】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0097】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を具備するスピーカ。
(2)(1)に記載のスピーカであって、
前記第1の方向は、前記振動板に対して垂直な方向であり、
前記第2の方向は、前記振動板に対して平行な方向である
スピーカ。
(3)(1)又は(2)に記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、板形状を有し、
前記アクチュエータ機構は、前記アクチュエータに対して垂直な方向を第1の方向として、前記第1の振動を発生する
スピーカ。
(4)(3)に記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置される
スピーカ。
(5)(1)から(4)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有し、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有する
スピーカ。
(6)(1)から(5)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構は、入力された振動を変換して出力するための構成が、互いに等しい
スピーカ。
(7)(6)に記載のスピーカであって、
前記第1のリンク機構及び前記第2のリンク機構の各々は、スコットラッセル式の厳正直線運動機構により構成される
スピーカ。
(8)(1)から(7)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動の振幅よりも大きい振幅となるように、前記第2の振動を出力する
スピーカ。
(9)(1)から(8)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動の振幅よりも大きい振幅となるように、前記第3の振動を出力する
スピーカ。
(10)(1)から(9)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記第2のリンク機構は、レージトング式のリンク機構により構成される
スピーカ。
(11)(1)から(10)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、圧電素子、又は誘電エラストマにより構成される
スピーカ。
(12)(1)から(11)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置され、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有し、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有し、
前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記振動板及び前記アクチュエータの間の位置となるように構成される
スピーカ。
(13)(1)から(11)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、
前記アクチュエータは、前記振動板に対して平行に配置され、
前記第1のリンク機構は、前記第1の振動が入力される第1の入力端部と、前記第2の振動を出力する第1の出力端部とを有し、
前記第2のリンク機構は、前記第2の振動が入力される第2の入力端部と、前記第3の振動を出力する第2の出力端部とを有し、
前記第1の出力端部及び前記第2の入力端部の位置が、前記アクチュエータを基準として前記振動板の反対側の位置となるように構成される
スピーカ。
(14)(1)から(13)のうちいずれか1つに記載のスピーカであって、さらに、
前記振動板、前記アクチュエータ機構、前記第1のリンク機構、及び前記第2のリンク機構を保持するフレーム機構を具備する
スピーカ。
(15)
振動板と、
アクチュエータを有し、第1の方向に沿った第1の振動を発生するアクチュエータ機構と、
前記アクチュエータ機構に接続され、前記第1の振動を前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿った第2の振動に変換して出力する第1のリンク機構と、
前記第1のリンク機構に接続され、前記第2の振動を前記第1の方向に沿った第3の振動に変換し、前記振動板に伝達する第2のリンク機構と
を有するスピーカと、
前記スピーカの駆動を制御する制御部と
を具備する電子機器。
(16)(15)に記載の電子機器であって、
前記スピーカは、前記電子機器の基本姿勢に基づいて、前記第2の方向が鉛直方向とは異なる方向となるように、前記電子機器に構成される
電子機器。
【符号の説明】
【0098】
V1…第1の振動
V2…第2の振動
V3…第3の振動
10…アクチュエータ機構
11…第1のリンク機構
12…第2のリンク機構
13…振動板
15…スコットラッセル機構(スコットラッセル式の厳正直線運動機構)
23…フレーム機構
32…アクチュエータ
37…第1のリンク機構の入力端部
38…第1のリンク機構の出力端部
44…第2のリンク機構の入力端部
45…第2のリンク機構の出力端部
70…テレビ装置
71、76…制御部
75…ヘッドフォン
100~210…スピーカ