(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電力伝送装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20241217BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241217BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
(21)【出願番号】P 2021565738
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020065248
(87)【国際公開番号】W WO2020249432
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-17
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】アガフォノフ アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】エッテス ウィルヘルムス ジェラルドゥス マリア
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012148(WO,A1)
【文献】特表2016-504908(JP,A)
【文献】特開2012-075302(JP,A)
【文献】特開2014-212603(JP,A)
【文献】国際公開第2018/219793(WO,A1)
【文献】特開2010-259172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0159371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力送信機から電力受信機への無線電力伝送のための電力伝送装置であって、当該電力伝送装置は前記電力送信機および前記電力受信機のうちの一方であり、当該電力伝送装置は、
電力伝送信号を介して相補電力伝送装置の相補電力伝送コイルと電力を伝送するための電力伝送コイルであって、前記相補電力伝送装置は前記電力送信機および前記電力受信機のうちの他方である、電力伝送コイルと、
電力伝送の間に、前記電力伝送信号の変調を使用した第1通信チャネルを介して前記相補電力伝送装置と第1データを通信するための第1通信機と、
電力伝送の間に、前記電力伝送信号から独立した第2通信チャネルを介して前記相補電力伝送装置と電力伝送制御データを通信するための第2通信機であって、前記第2通信チャネルの通信データレートは前記第1通信チャネルの通信データレートの10倍以上高い、第2通信機と、
電力伝送の間に、前記第1データに応じて前記相補電力伝送装置が前記電力伝送コイルの近傍に存在するかどうかを判定する存在検出器と、
前記相補電力伝送装置が存在しないことの検出に応じて前記電力送信機から前記電力受信機への前記無線電力伝送を制限するように構成された電力伝送コントローラと、
を有し、
電力伝送の間の前記電力伝送信号が、電力伝送時間インターバルと低減電力時間インターバルとを少なくとも有する反復時間フレームを使用し、前記低減電力時間インターバルの間、前記電力伝送信号の電力レベルが前記電力伝送時間インターバルに対して低減され、前記第1通信機が、前記低減電力時間インターバルの間に前記第1データを通信するように構成さ
れ、
前記第1通信機および前記第2通信機が、電力伝送動作中に前記第1通信チャネルのための通信リンクと前記第2通信チャネルのための通信リンクとを同時に確立するように構成される、
電力伝送装置。
【請求項2】
前記第1通信チャネルの前記通信データレートが500ビット/秒以下である、請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記第1通信チャネルの前記通信データレートが100ビット/秒以下である、請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記第1データが前記相補電力伝送装置から受信され、前記存在検出器が、基準を満たす前記第1データが受信されないことの検出に応じて前記相補電力伝送装置の不存在を判定するように構成される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記第1データが前記相補電力伝送装置の識別表示を有し、前記
存在検出器が、基準を満たす前記識別表示が受信されないことに応じて前記相補電力伝送装置の不存在を検出するように構成される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記第1通信機が、前記相補電力伝送装置にクエリメッセージを送信するように構成され、前記
存在検出器が、前記クエリメッセージに対する有効な応答を有する前記第1データが受信されないことに応じて前記相補電力伝送装置の不存在を検出するように構成される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項7】
前記第1データが電力伝送のための制御データを有する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項8】
前記相補電力伝送装置と電力伝送のための制御データを通信するように構成された電力コントローラをさらに有し、前記電力コントローラは、幾つかの制御データを前記第1通信チャネルを介して前記相補電力伝送装置と通信し、他の制御データを前記第2通信チャネルを介して前記相補電力伝送装置と通信するように構成される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項9】
前記電力伝送信号が、複数の連続する前記低減電力時間インターバルにおいて固定の非ゼロの振幅を持つ、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項10】
前記電力伝送信号の周波数が、前記電力伝送時間インターバルの間よりも、前記低減電力時間インターバルの間のほうが高い、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項11】
前記電力伝送装置が前記電力受信機であり、前記相補電力伝送装置が前記電力送信機である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項12】
前記電力伝送装置が前記電力送信機であり、前記相補電力伝送装置が前記電力受信機である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電力伝送装置。
【請求項13】
電力送信機から電力受信機への無線電力伝送のための電力伝送システムであって、
前記電力送信機は、
電力を前記電力受信機に伝送するための電力伝送信号を生成する電力送信機コイルと、
電力伝送の間に、前記電力伝送信号の変調を使用した第1通信チャネルを介して前記電力受信機と第1データを通信するための第1送信機通信機と、
電力伝送の間に、前記電力伝送信号から独立した第2通信チャネルを介して前記
電力受信機と電力伝送制御データを通信するための第2送信機通信機であって、前記第2通信チャネルの通信データレートは前記第1通信チャネルの通信データレートよりも10倍以上高い、第2送信機通信機とを有し、
前記電力受信機は、
前記電力伝送信号を介して電力を受信するための電力受信機コイルと、
電力伝送の間に、前記第1通信チャネルを介して前記電力
送信機と前記第1データを通信するための第1受信機通信機と、
電力伝送の間に、前記第2通信チャネルを介して前記電力送信機と前記電力伝送制御データを通信するための第2受信機通信機とを有し、
前記電力送信機及び前記電力受信機のうちの少なくとも一方はさらに、
電力伝送の間に、前記第1データに応じて
、電力伝送動作の相手方装置が
前記電力送信機コイルまたは前記電力受信機コイルの近傍に存在するかどうかを判定するための存在検出
器と、
前記
相手方装置の不在の検出に応じて前記電力送信機から前記電力受信機への前記無線電力伝送を制限するように構成された電力伝送コントローラとを有し、
電力伝送の間の前記電力伝送信号が、電力伝送時間インターバルと低減電力時間インターバルとを少なくとも有する反復時間フレームを使用し、前記低減電力時間インターバルの間、前記電力伝送信号の電力レベルが前記電力伝送時間インターバルに対して低減され、前記第1送信機通信機および前記第1受信機通信機が、前記低減電力時間インターバルの間に前記第1データを通信するように構成さ
れ、
前記第1送信機通信機、前記第2送信機通信機、前記第1受信機通信機および前記第2受信機通信機が、電力伝送動作中に前記第1通信チャネルのための通信リンクと前記第2通信チャネルのための通信リンクとを同時に確立するように構成される、
システム。
【請求項14】
前記第1データが、前記相補電力伝送装置が前記電力伝送コイルの近傍に存在するかどうかを判定するための専用の存在データである、請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項15】
前記第1通信チャネルが、前記相補電力伝送装置が前記電力伝送コイルの近傍に存在するかどうかを判定するためのデータを通信するためにのみ使用される、請求項1または14に記載の電力伝送装置。
【請求項16】
前記電力伝送制御データが、電力制御ループエラーメッセージを含む、請求項1、14または15に記載の電力伝送装置。
【請求項17】
前記第1データが、前記相補電力伝送装置が前記電力伝送コイルの近傍に存在するかどうかを判定するための専用の存在データであり、
前記電力伝送制御データが、電力制御ループエラーメッセージを含み、
前記存在データおよび前記電力制御ループエラーメッセージが共に電力伝送フェーズ中に通信される、請求項1に記載の電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送装置およびその方法に関し、特に、限定はしないが、Qiタイプの電力伝送システムなどの無線電力コンソーシアム無線電力伝送システムのための無線電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のほとんどの電気製品は外部電源から電力を供給するために、専用の電気接点を必要とする。しかしながら、これは、非実用的である傾向があり、ユーザが物理的にコネクタを挿入するか、さもなければ物理的な電気的接触を確立することを必要とする。典型的には、電力要件も大きく異なり、現在のところ、ほとんどの装置には専用の電源が提供されており、その結果、典型的なユーザは、各電源が特定の装置専用である多数の異なる電源を有することになる。しかし、内蔵バッテリの使用は使用中に電源への有線接続の必要性を回避し得るが、これはバッテリが再充電(または交換)を必要とするため、部分的な解決策を提供するに過ぎない。また、バッテリを使用することは、装置の重量および潜在的なコストおよびサイズを実質的に増大させ得る。
【0003】
著しく改善されたユーザ体験を提供するために、電力が電力送信装置内の送信機インダクタから、個々の装置内の受信機コイルに誘導伝送される無線電源を使用することが提案されている。
【0004】
磁気誘導を介した電力伝送はよく知られた概念であり、大部分は、一次送信機インダクタ/コイルと二次受信機コイルとの間の密結合を有する変圧器に適用される。一次送信機コイルと二次受信機コイルを二つの装置間で分離することにより、これらの間の無線電力伝送が疎結合変圧器の原理に基づいて可能になる。
【0005】
このような構成は、有線または物理的な電気接続を行う必要なく、装置への無線電力伝送を可能にする。実際、外部から再充電または電力を供給するために、単に、送信機コイルに隣接してまたはその上に装置を配置することができる。例えば、電力送信機は、電力を供給するために装置を単に配置することができる水平面を有するように構成されることができる。
【0006】
さらに、そのような無線電力伝送構成は、電力送信機がある範囲の電力受信装置と共に使用され得るように有利に設計され得る。特に、Qi規格として知られる無線電力伝送アプローチが定義され、現在さらに開発されている。このアプローチは、Qi規格を満たす電力送信機装置が同じ製造業者からのものである必要も、互いに専用である必要もなく、Qi規格を満たす電力受信機装置と共に使用されることを可能にする。Qi規格は、特定の電力受信装置に動作を適合させることを可能にするためのいくつかの機能をさらに含んでいる(例えば、特定の電力ドレインに依存する)。
【0007】
Qi規格は、無線パワーコンソーシアムによって開発され、より詳細な情報は例えば、それらのウェブサイト(http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.html)に見出すことができ、特に、定義された仕様書を見出すことができる。
【0008】
さらなる開発は、一連の新しい用途および特徴を導入しようとするものである。例えば、無線電力コンソーシアムは、Qiの原理を、ヒーター、ケトル、ブレンダー、パンなどを含む様々なキッチンアプリケーションおよび器具に適用するように拡張することに基づく規格を開発している。特に、これらの開発は、電力伝送のためのはるかに高い電力レベルをサポートし、コードレスキッチン規格として知られている。
【0009】
Qi規格は、電力受信機から電力送信機への通信をサポートし、それによって、電力受信機が、電力送信機が特定の電力受信機に適応することを可能にし得る情報を提供することを可能にする。現在の規格では、電力受信機から電力送信機への単方向通信リンクが定義されており、電力受信機は、電力を伝送する電力伝送信号の負荷変調を行うことによって通信する。具体的には、電力受信機による電力伝送信号の負荷が、電力信号の変調を提供するように変化される。結果として生じる電気的特性の変化(例えば、電流引き込みの変動)は、電力送信機によって検出され、復号(復調)され得る。
【0010】
したがって、物理層では、電力受信機から電力送信機への通信チャネルが電力伝送信号をデータキャリアとして使用する。電力受信機は負荷を変調し、これが送信機コイル電流または電圧の振幅および/または位相の変化によって検出される。データはバイトとパケットでフォーマットされる。
【0011】
さらなる情報は、Qi無線電力規格(バージョン1.0)のパート1の第6章に見ることができる。
【0012】
当初、Qiは一方向通信リンクのみを利用したが、電力伝送動作のより高度な制御および柔軟性を可能にするために双方向通信リンクが導入されてきた。電力送信機から電力受信機への通信は、例えば、振幅、周波数または位相変調を使用して電力伝送信号を変調することによって達成されてもよい。
【0013】
しかし、電力伝送信号を用いた通信は必ずしも最適ではないことが分かっている。具体的には、電力伝送信号を搬送波として使用する通信のための通信容量および可能なデータレートはかなり制限される傾向があり、しばしば、数百ビット/秒に制限される。通信のための電力伝送信号の適性は、電力レベルの増加とともに大幅に劣化する傾向がある。
【0014】
より高い電力レベルのための多数の無線電力伝送システムが提案されてきた。例えば、無線電力コンソーシアムは、Qiの原理を、ヒーター、ケトル、ブレンダー、パンなどを含む様々なキッチンアプリケーションおよび器具に適用するように拡張することに基づく規格を開発している。特に、これらの開発は、電力伝送のためのはるかに高い電力レベルをサポートし、コードレスキッチン規格として知られている。
【0015】
このようなより高い電力レベルの電力伝送システムの大部分では、電力伝送信号から独立し、従って、特に電力伝送信号を通信リンクのキャリアとして使用しない、別個の通信システムを使用することが提案されている。
【0016】
そのような別個の通信システムは、典型的には、大幅に高いデータレートを提供することができ、しばしば、より信頼性の高い通信を提供することができる。これは、ほとんどの実用的な用途において、改善された、より信頼性のある電力伝送を可能にすることができる。
【0017】
しかし、別個の通信システムの使用は多くの利点を提供することができるが、本発明者らは、いくつかのシナリオでは最適動作よりも劣る動作をもたらすこともあり、特に、いくつかのシナリオでは電力受信機が移動、除去または交換されるときに潜在的なエラー状況をもたらすことがあることに気付いた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
たがって、改善された電力伝送アプローチが有利であり、特に、柔軟性の増大、コストの低減、複雑さの低減、ユーザ体験の向上、追加のまたは改善された機能またはサービス、より信頼性の高い操作、エラー検出の改善、および/または性能の改善を可能にするアプローチが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、好ましくは上記の欠点の1つ以上を単独でまたは任意の組み合わせで軽減、低減または排除しようとするものである。
【0020】
本発明の一側面によれば、電力送信機から電力受信機へ無線で電力を伝送するための電力伝送装置が提供され、前記電力伝送装置は前記電力送信機および前記電力受信機の一方であり、前記電力伝送装置は、相補電力伝送装置の相補電力伝送コイルと電力伝送信号を介して電力を伝送するための電力伝送コイルであって、前記相補電力伝送装置は前記電力送信機および前記電力受信機の他方である、電力伝送コイルと、電力伝送中に、電力伝送信号の変調を用いた第1通信チャネルを介して前記相補電力伝送装置と第1データを通信する第1通信機と、電力伝送中に、電力伝送信号とは独立した第2通信チャネルを介して前記相補電力伝送装置と電力伝送制御データを通信する第2通信機であって、前記第2通信チャネルの通信データレートは前記第1通信チャネルの通信データレートの10倍以上である、第2通信機と、電力伝送中に、前記第1データに応じて前記相補電力伝送装置が前記電力伝送コイルの近傍に存在するかどうかを判定する存在検出器と、前記相補電力伝送装置が存在しないことの検出に応じて、前記電力送信機から前記電力受信機への無線電力伝送を制限するように構成された電力伝送コントローラと、を有する。
【0021】
本発明は、多くの無線電力伝送システムにおいて改善された性能および/または動作を提供することができる。それは、電力伝送動作の効率的な制御を含む改善された動作を提供することができ、同様に、例えば、電力受信機が除去される場合に生じる望ましくない又は検出されないエラーシナリオのリスクを軽減又は低減する。
【0022】
存在検出器は、第1データに応答して、相補電力伝送装置が電力伝送コイルの近傍に存在するか否かを判定するように構成されてもよく、特に、電力伝送の初期化中に存在した電力受信機もはや存在しないことを判定するように構成されてもよい。
【0023】
第1および/または第2通信チャネルは、双方向または単方向の通信チャネルであってもよい。通信チャネルは、通信リンクであってもよい。通信データレートは、具体的には、最大通信データレートであってもよく、通信リンクの通信容量であってもよい。通信データレートは、平均通信レートであってもよい。例えば、通信チャネルがタイムスロット動作を実施する場合、通信データレートは、すべてのタイムスロット(データが通信されないタイムスロットを含む)にわたって平均化された通信データレートであってもよい。
【0024】
近接は、特定のまたは明確に定義された近接である必要はなく、すなわち、典型的には、特定の明確に定義された所定の距離に対応しない。むしろ、第1データが或る近接基準を満たす場合、電力伝送装置および相補電力伝送装置は、近傍にあると見なされてもよい。近接基準は、電力伝送装置と相補電力伝送装置との間のより小さい距離に対して満たされ、より大きい距離に対しては満たされないものであってもよい(しきい値は必ずしも特定又は既知ではない)。多くの実施形態およびシナリオでは、装置は、それらが第1通信リンクの通信範囲未満の距離にある場合に近傍にあると見なされる。
【0025】
第1データおよび電力伝送制御データの動作、具体的には通信ならびに存在検出は、電力伝送フェーズ中に実行され得る。電力伝送フェーズは、具体的には、電力送信機から電力受信機へ電力を伝送するために、電力伝送信号が生成されるフェーズである。電力伝送フェーズは、電力制御エラーメッセージが電力受信機から電力送信機に送信されるフェーズであってもよい。電力送信機及び電力受信機は、電力伝送フェーズ中に電力伝送のための電力制御ループを実施することができる。電力制御ループは、電力制御エラーメッセージに応じて電力伝送信号のレベルを適応させることができる。
【0026】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1通信チャネルの通信データレートは500ビット/秒以下である。
【0027】
これは、多くの実施形態及びシナリオにおいて特に有利な性能を提供することができる。多くの実施形態では、より高い電力レベルの電力伝送を可能にすることができ、および/または、電力伝送信号の比較的低い周波数を可能にすることができる。
【0028】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1通信チャネルの通信データレートは100ビット/秒以下である。
【0029】
これは、多くの実施形態及びシナリオにおいて特に有利な性能を提供することができる。多くの実施形態では、電力伝送のより高い電力レベルを可能にすることができ、および/または電力伝送信号の比較的低い周波数を可能にすることができる。
【0030】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1データは相補電力伝送装置から受信され、存在検出器は基準を満たす第1データが受信されないという検出に応じて、相補電力伝送装置の不存在を判定するように構成される。
【0031】
これは、多くの実施形態において、特に効率的で有利な動作を提供することができる。それは、典型的には、電力送信機のための適切な電力伝送領域内の電力受信機の存在または不在についての、低複雑度であるが高信頼性の検出を提供し得る。
【0032】
基準は、具体的には、所与のデータパターンが所与の時間インターバル内に受信されることとすることができる。データパターンは、静的な、おそらくは所定の、または動的なデータパターンであってもよい。
【0033】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1データは、相補電力伝送装置に対する識別表示を含み、近接検出器は、受信された基準を満たしていない識別表示に応じて、相補電力伝送装置の不存在を検出するように構成される。
【0034】
これは、多くの実施形態において、特に効率的で有利な動作を提供することができる。基準は、具体的には、所与の識別データパターンが所与の時間インターバル内に受信されることとすることができる。データパターンは、静的な、おそらくは所定の、または動的なデータパターンであってもよい。
【0035】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1通信機は、クエリメッセージを相補電力伝送装置に送信するように構成され、近接検出器は、クエリメッセージが受信されたことに対する有効な応答を含む第1データがないことに応じて、相補電力伝送装置がないことを検出するように構成される。
【0036】
これは、多くの実施形態において、特に効率的で有利な動作を提供することができる。
【0037】
本発明の任意選択の特徴によれば、第1データは、電力伝送のための制御データを含む。
【0038】
これは多くの実施形態において特に効率的で有利な動作を提供することができ、具体的には改善された制御データ通信を提供することができる。
【0039】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力伝送装置は、電力伝送のための制御データを相補電力伝送装置と通信するように構成された電力コントローラをさらに有し、電力コントローラは、幾つかの制御データを第1通信チャネルを介して相補電力伝送装置と通信し、他の制御データを第2通信チャネルを介して相補電力伝送装置と通信するように構成される。
【0040】
これは多くの実施形態において特に効率的で有利な動作を提供することができ、具体的には改善された制御データ通信を提供することができる。このアプローチは、例えば、異なる通信リンクの異なる特性を利用することによって、高データレートの制御データ通信と低遅延の制御データ通信の両方を提供することができる。相補電力伝送装置との電力伝送のための制御データは、電力伝送信号の特性などの電力伝送の動的特性に影響を及ぼす制御データを含むことができる。特性は、電力伝送信号のレベル、持続時間、振幅、強度および/または周波数であってもよい。
【0041】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力伝送信号は、電力伝送時間インターバルと、電力伝送時間インターバルに対して電力伝送信号の電力レベルが低減された低減電力時間インターバルとを少なくとも含む反復時間フレームを採用し、第1通信機(205、305)は、低減電力時間インターバルの間に第1データを通信するように構成される。
【0042】
これは、多くの実施形態において、特に効率的で有利な動作を提供することができる。電力伝送信号は、電力伝送フェーズ中に反復時間フレームを採用することができる。
【0043】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力伝送信号は、複数の後続の低減電力時間インターバルにおいて、固定された非ゼロ振幅を有する。
【0044】
これは、多くの実施形態において、特に効率的で有利な動作を提供することができる。
【0045】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力伝送信号の周波数は、電力伝送時間インターバルの間よりも、低減電力時間インターバルの間の方が高い。
【0046】
これは、多くの実施形態において、特に効率的で有利な動作を提供することができる。
【0047】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力伝送装置は電力受信機であり、相補電力伝送装置は電力送信機である。
【0048】
本発明の任意選択の特徴によれば、電力伝送装置は電力送信機であり、相補電力伝送装置は電力受信機である。
【0049】
本発明の任意の特徴によれば、電力送信機から電力受信機への無線電力伝送を行う電力伝送装置の動作方法であって、前記電力伝送装置は、前記電力送信機および前記電力受信機の一方であり、前記方法は、電力伝送コイルが、電力伝送信号を介して、相補電力伝送装置の相補電力伝送コイルと電力を伝送するステップであって、前記相補電力伝送装置は前記電力送信機および前記電力受信機のうちの他方の装置である、ステップと、電力伝送中に、電力伝送信号の変調を用いる第1通信チャネルを介して相補電力伝送装置と第1データを通信するステップと、電力伝送中に、相補電力伝送装置との間で、電力伝送信号とは独立した第2通信チャネルを介して、電力伝送制御データを通信するステップであって、前記第2通信チャネルの通信データレートが前記第1通信チャネルの通信データレートの10倍以上であるステップと、電力伝送中に、前記第1データに応じて、前記相補電力伝送装置が前記電力伝送コイルの近傍に存在するか否かを判定するステップと、前記相補電力伝送装置が存在しないことが検出されたことに応じて、前記電力送信機から前記電力受信機への無線電力伝送を制限するステップと、を有する。
【0050】
本発明の一側面によれば、電力送信機から電力受信機へ無線で電力を伝送するための電力伝送システムが提供され、前記電力送信機は、前記電力受信機に電力を伝送するための電力伝送信号を生成するための電力伝送コイルと、電力伝送中に、電力伝送信号の変調を用いた第1通信チャネルを介して前記電力受信機と第1データを通信する第1送信機通信機と、電力伝送中に、電力伝送信号とは独立した第2通信チャネルを介して相補電力伝送装置と電力伝送制御データを通信するための第2送信機通信機であって、前記第2通信チャネルの通信データレートが前記第1通信チャネルの通信データレートの10倍以上である、第2送信機通信機と、を有し、 前記電力受信機は、電力伝送信号を介して電力を受信するための電力受信機コイルと、電力伝送中に、前記第1通信チャネルを介して第1データを前記電力送信機と通信する第1受信機通信機と、電力伝送中に、前記第2通信チャネルを介して電力伝送制御データを電力送信機と通信するための第2受信機通信機と、を有し、前記電力送信機および前記電力受信機の少なくとも一方は、さらに、電力伝送中に、前記第1データに応じて、相補電力伝送装置が電力伝送コイルの近傍に存在するかどうかを判断する存在検出器であって、前記相補電力伝送装置は、前記電力送信機および前記電力受信機の前記少なくとも一方の他方である、存在検出器と、前記相補電力伝送装置が存在しないことの検出に応じて、前記電力送信機から前記電力受信機への無線電力伝送を制限するように構成された電力伝送コントローラと、を有する。
【0051】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴および利点は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の実施形態は、単なる例として、図面を参照して説明される。
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの素子の例を示す図。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による電力送信器の要素の一例を示す図
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による電力受信機の要素の例を示す図。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による装置の要素の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明は、Qi規格から知られているような電力伝送アプローチを利用する無線電力伝送システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てる。しかしながら、本発明は、この用途に限定されず、多くの他の無線電力伝送システムに適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0054】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送信機コイル/インダクタ103を含む(またはそれに結合される)電力送信機101を含む。システムは、受信機コイル/インダクタ107を含む(またはそれに結合される)電力受信機105をさらに備える。
【0055】
システムは、電力送信機101から電力受信機105への無線誘導電力伝送を提供する。具体的には、電力送信機101が送信機コイルまたはインダクタ103によって磁束として伝播される無線誘導電力伝送信号(電力伝送信号または誘導電力伝送信号とも呼ばれる)を生成する。電力伝送信号は、典型的には、約20kHz乃至約500kHzの間の周波数を有してもよく、Qi互換システムに対しては、典型的には、95kHz乃至205kHzの範囲である(または例えば、高出力キッチン用途に対しては、周波数は典型的には20kHz乃至80kHzの範囲であってもよい)。送信機コイル103と受信機コイル107は緩く結合されており、従って、受信機コイル107は、電力送信機101からの電力伝送信号(の少なくとも一部)をピックアップする。したがって、電力は、送信機コイル103から受信機コイル107への無線誘導結合を介して、電力送信機101から電力受信機105に伝送される。電力伝送信号という用語は主に、送信機コイル103と受信機コイル107との間の誘導信号/磁場(磁束信号)を指すために使用されるが、同様に、送信機コイル103に提供されるか、または受信機コイル107によってピックアップされる電気信号を指すとも考えられ、使用され得ることが理解されるであろう。
【0056】
例において、電力受信機105は、具体的には、受信機コイル107を介して電力を受信する電力受信機である。しかしながら、他の実施形態では、電力受信機105が金属加熱素子のような金属素子を含んでもよく、この場合、電力伝送信号は素子の加熱をもたらす渦電流を誘導する。
【0057】
システムは、実質的な電力レベルを伝送するように構成され、具体的には多くの実施形態において、電力送信機は500mW、1W、5W、50W、100Wまたは500Wを超える電力レベルをサポートすることができる。例えば、Qi対応アプリケーションでは、電力伝送が典型的には低電力アプリケーションでは1~5Wの電力範囲であり、無線電力コンソーシアムによって開発されているコードレスキッチン規格によってサポートされる高電力アプリケーションでは100 Wを超え、1000Wを超える。
【0058】
以下では、電力送信機101および電力受信機105の動作は、Qi規格(本明細書で説明される(またはその結果である)修正および拡張を除く)に従うか、またはより高電力のコードレスキッチン規格に適した実施形態を特に参照して説明される。
【0059】
図1のシステムは、電力伝送動作をサポートするために双方向通信を利用する。双方向通信は、電力伝送を構成し、確立し、制御するために使用され、様々な制御データの交換を含むことができる。特に、無線電力送信機と無線電力受信機との間の通信チャネルは、無線電力受信機から無線電力送信機へのフィードバックループを確立するために不可欠であると考えられ、これは電力システムの安定性に不可欠である。
【0060】
一例として、現在のQi規格は、無線電力伝送のための電力量を15ワットに制限する。このような電力量は、低電力無線電力システムとみなされる場合がある。このシステムは、電力送信機と電力受信機との間の通信手段として、電力送信機の変調を使用する。これは、帯域内通信チャネルとしても知られている。
【0061】
しかしながら、このような通信は全てのシステムにとって理想的ではなく、特に、より高い電力レベルに対しては最適以下である傾向がある。具体的には、より高い伝送電力レベルを有するアプリケーションの場合、電力伝送信号の変調は損失の追加の発生源となり、損失の電力レベル絶対値の増加も生じる。これらの損失は、例えば、無線電力システムの電力電子回路、又は無線電力システムの動作範囲内の材料において、熱放散を引き起こす。
【0062】
また、電力伝送の効率的な制御を提供するために、電力送信機と電力受信機との間の高い通信データレートを有することが望ましい。しかしながら、これは、典型的にはキャリア信号として電力伝送信号を使用して達成することが非常に困難であり、特に、キッチン用途のようなより高い電力用途の場合には達成可能なデータレートが典型的には低すぎて、所望の機能性をサポートすることができない。具体的には、20~300kHzのオーダーの電力伝送信号の動作周波数では、例えば、電力受信機の認証のためのような、より複雑な動作のためには、チャネルの帯域幅がしばしば十分ではない。
【0063】
従って、コードレスキッチン規格に適合するシステムのような、より高い電力レベルのシステムは、電力伝送信号を使用する帯域内通信を、別個の、通常は専用の短距離通信システムによって実現される帯域外通信チャネルに置き換える傾向がある。この別個の通信システムは電力伝送信号とは無関係であり、電力伝送信号を通信用キャリアとして使用しない。これは、例えば、BluetoothやNFC通信システムなどの短距離通信システムであることが多い。
【0064】
しかしながら、本発明者らは、このようなアプローチに関連する特定の欠点が存在する可能性があること、およびこれらが、電力伝送信号をキャリアとして使用して確立されている特に低いデータレートの通信リンクと、別個の通信システムを使用して確立されているより高いデータレートの通信リンクとを用いて、電力送信機と電力受信機との間の2つの通信チャネルを実装する
図1のシステムによって効果的に対処される可能性があることを認識した。本願発明者らは、特に、近接検出を、電力伝送信号を使用する低データレート通信チャネルに基づいて実施することができ、それによって、より信頼性が高くかつ堅牢な動作を可能にし、それは、特に、電力受信機が存在しないとき(または間違った電力受信機が存在するとき)に強力な磁場が生成されるリスクを低減し得ることを認識した。
【0065】
具体的には、システム内の無線電力伝送は、電力受信機コイルが無線電力送信機コイルの近くにあり、これらのコイルが高効率でエネルギーを伝送するのに十分な結合係数を有する場合に行われる。この近接領域は、通常、無線電力受信機コイルと送信機コイルとの間の位置ずれと、それらの間の最大垂直距離との組み合わせとして特定される。このボリュームは、無線電力システムの無線電力動作領域/ボリュームと見なされる。
【0066】
本発明者らは、確立された帯域外通信チャネルを用いた無線電力伝送の場合、通信リンクは典型的には無線電力動作領域/ボリュームとは異なる範囲を有し、これは従来の帯域内通信アプローチによっては本質的に回避される問題を引き起こし得ることを認識した。
【0067】
図1のシステムでは、二重並列通信システムは、一方の通信リンク/チャネルが電力伝送信号から独立した帯域外通信リンクであり、他方の通信リンク/チャネルがデータによる変調のためのキャリアとして電力伝送信号を使用する帯域内通信リンクである状態で実施される。帯域内通信リンクは低いデータレートで実施され、帯域外通信リンクは高いデータレートで実施される。帯域外通信リンクのデータレートは、帯域内通信リンクよりも10倍以上高い。
【0068】
帯域外通信リンクは、例えば電力制御メッセージのような、特に電力伝送信号をサポートする制御データであり得る制御データの通信のために使用される。したがって、電力伝送動作は、かなりの量のデータ/情報の交換に基づく場合がある。
【0069】
帯域内通信リンクは、電力送信機と電力受信機が実際に近接しているか/近接したままであるかどうかをシステムが検出するための近接検出を提供するために使用される。従って、帯域内通信リンクを使用して、電力受信機及び/又は電力送信機が互いに近接しないように動かされたことを検出することができ、これに応じて、システムは例えば、電力伝送を終了するように進むことができる。
【0070】
このアプローチは、無線電力受信機が無線電力動作領域/ボリューム内に位置することを検出することが重要であるという本発明者らの認識を反映する。無線電力受信機が無線電力動作ボリュームを離れるとすぐに、無線電力送信機からの大きな磁場が他のデバイスに何らかの負の影響(例えば、それは金属物体における望ましくない加熱、または特に異なる電力受信機が電力送信機に近づけられるような、潜在的に他の電気機器を損傷する可能性がある)を及ぼさないことを確実にするために、無線電力伝送は中断されるべきである(例えば、停止されるか、または低いレベルに低減される)。
【0071】
この問題に対処するために、システムは、電力伝送の無線電力受信機と無線電力送信機との間に明確な1対1の関係を確立しようとする近接/存在検出技術を含むことができる。近接/存在検出は、この文脈では、無線電力送信機が動作ボリューム内の関連する無線電力受信機の有無を検出/推定する能力と考えられ得る。
【0072】
通信が電力伝送信号の変調に基づくQiのようなシステムでは、これは、電力動作から電力受信機を除去することが、電力伝送の終了につながる通信のブレークダウンをもたらすので、本質的に起こり得る。
【0073】
しかしながら、通信リンクの範囲が対応する無線電力動作ボリュームよりも大きい、確立された帯域外通信リンクを用いた無線電力伝送の場合、有効な制御データが依然として交換され得るので、電力伝送が継続する可能性がある。
図1のシステムは、(適切である)電力受信機が電力送信機のための適切な無線電力動作ボリューム内に位置することを判断するための存在/近接検出機能を含むので、そのようなシナリオに対処することができる。さらに、この存在/近接検出は、存在検出を実行するために特に使用される帯域内通信リンクによって帯域外通信リンクを補足することに基づく。具体的には、制御データが、電力伝送を効果的にサポートするために高いデータレートを有する帯域外通信リンクを使用して、高いデータレートで通信されることができ、帯域内通信リンクが、存在検出を実行するために使用される存在データを通信することによってこれを補完することができる。具体的には、正しい存在データの通信が成功した場合、電力送信機および電力受信機が近くに存在すると判定され、存在データの通信が成功しなかった場合、存在が検出されるのに十分に近くに存在しないと判定され得る。存在データは、典型的には、電力送信機の近傍における電力受信機(またはその逆)の存在を検出するのに適した任意のデータであり得る。
【0074】
従って、記載されたアプローチは、無線電力伝送中、具体的には電力伝送フェーズ中に、無線電力受信機近接検出を実装する。このアプローチは、例えば、電力送信機が電力受信機の近接を検出し、電力受信機が無線電力動作ボリュームを離れたことが検出された場合に電力伝送を終了させることを可能にすることができる。例えば、電力伝送フェーズ中に近接検出が失敗した場合、システムは電力伝送を終了することができる。存在/近接検出は、存在データによる変調のための通信キャリアとして電力伝送信号を利用するシステムに基づくことができる。これは、特に、存在/近接検出と電力伝送動作とを密接に結びつけることができ、その結果、より堅牢な動作が得られる。電力受信機の検出が存在しなくなると、電力伝送/電力伝送フェーズが終了して、望ましくない動作シナリオが発生することを回避し、特に、これが有効な電力伝送の一部として必要とされないときに生成される望ましくない強い電磁場を回避することができる。
【0075】
このアプローチは、電力送信機101の要素を図示する
図2を参照してさらに詳細に説明され、
図3は
図1の電力受信機105の要素をより詳細に図示する。
【0076】
図2は、
図1の電力送信機101の要素の例をより詳細に示す。送信機コイル103は、送信機コイル103のための駆動信号を生成するドライバ201に結合されている。ドライバ201は、送信機インダクタ103に供給される電流および電圧信号を生成する。ドライバ201は、典型的には直流電圧から交流信号を生成するインバータの形の駆動回路である。ドライバ201の出力は、通常、スイッチブリッジのスイッチの適切なスイッチングによって駆動信号を生成するスイッチブリッジである。
【0077】
ドライバ201は、電力送信機101の動作を制御するように構成された電力送信機コントローラ203に結合されている。電力送信機コントローラ203は、システムの電力伝送プロトコルに関連する必要な機能および所望の機能を実行するために電力送信機101の動作を制御するように構成され、本例では具体的には、コードレスキッチン規格に従って動作するように電力送信機101を制御するように構成されることができる。例えば、電力送信機コントローラ203は、電力伝送を開始するための、電力伝送をサポートするための、電力伝送を終了するための、および、電力受信機を検出するための、機能を含むことができる。
【0078】
実施例では、電力送信機101は、電力受信機105と通信するように構成された第1送信機通信機205をさらに備える。第1送信機通信機205は、電力伝送信号を通信キャリアとして使用して電力受信機105と通信するように構成され、すなわち、電力伝送信号上にデータを変調することができる。第1送信機通信機205は、帯域内通信リンクを使用して電力受信機105と通信するように構成される。
【0079】
電力送信機通信機205は、典型的には、電力受信機105から、例えばQi電力伝送規格から当業者に知られるように、電力伝送信号を負荷変調する電力受信機105によってメッセージを受信するように構成されてもよい。電力送信機通信機205は例えば、当業者に知られるように電力伝送信号を変調することによって、電力受信機にメッセージを通信することができる。例えば、第1送信機通信機205は、送信されるデータに応じて駆動信号の周波数、振幅および/または位相を変化させるようにドライバを制御することができる。したがって、電力送信機コントローラ203は、例えば、周波数、振幅および/または位相変調を使用して、電力受信機105にデータを送信することができる。多くの実施形態では、第1送信機通信機205が双方向通信をサポートすることができるが、いくつかの実施形態では通信が一方向のみであってもよいことが理解されるであろう。
【0080】
電力送信機101は、電力伝送信号とは独立に電力受信機105と通信するように構成された第2送信機通信機207をさらに備える。第2送信機通信機207は、電力伝送信号とは異なる通信キャリアを使用する通信リンクを使用して電力受信機105と通信するように構成される。従って、第2送信機通信機207は、電力伝送信号とは無関係であり、このリンクを介して通信されるデータは電力伝送信号上で変調されない帯域外通信リンクを確立する。
【0081】
正確な通信アプローチおよび使用される通信キャリアは、異なる実施形態において異なってもよく、特定のアプリケーションの選好および要件に依存することができる。帯域外通信リンクは、典型的には、電力伝送の範囲よりも大幅に大きく、無線電力伝送動作ボリュームを大幅に超える範囲を有する短距離通信システムによって実装される。
【0082】
多くの実施形態では、帯域外通信リンクは、BluetoothまたはNFC通信システムなどの標準化された短距離通信システムによって実装され得る。そのような通信システムは、高いデータレート、信頼性のある通信および典型的には低コストの実装を提供する効率的な帯域外通信リンクを提供することができる。これは、特に、電力伝送のための制御データの効率的な交換を可能にすることができる。多くの実施形態では、第2送信機通信機207は、双方向通信をサポートすることができるが、いくつかの実施形態では通信が一方向のみであってもよいことが理解されるであろう。
【0083】
図3に図示されるように、電力受信機105の受信機コイル107は、受信機コイル107を負荷303に結合する電力受信機コントローラ301に結合される。電力受信機コントローラ301は、受信機コイル107によって抽出された電力を負荷303に適した供給に変換する電力制御経路を含む。さらに、電力受信機コントローラ301は、電力伝送を実行するために必要とされる様々な電力受信機コントローラ機能、特に、コードレスキッチン規格に従って電力伝送を実行するために必要とされる機能を含むことができる。
【0084】
電力受信機105はさらに、電力伝送信号をキャリアとして使用して第1送信機通信機205と通信するように構成された第1受信機通信機305を備える。したがって、第1送信機通信部205および第1受信機通信部305は、帯域内通信リンクを確立する。
【0085】
帯域内通信リンクは、典型的には非常に低いデータレートを有する。このシステムは、例えば100Wを超えるような、無線電力伝送の高電力レベルに特に適している。このような高レベルのため、電力伝送信号を通信キャリアとして使用する通信は非常に困難となり、信頼性の高い通信を確保し、電力伝送への影響を最小限に抑えるためには、データレートを比較的低く抑える必要がある。
【0086】
ほとんどの実施形態では、帯域内通信リンク上の通信のための通信データ速度は1000ビット/秒以下、500ビット/秒以下、または100ビット/秒以下である。これは、典型的には、高電力伝送に適しており、信頼性のある通信リンクを提供する。
【0087】
しかしながら、ほとんどの実施形態では、最適化された電力伝送制御を可能にすることは不十分である。例えば、制御データは、より高いデータレートで通信されることが望まれる。例えば、電力制御データは、絶対誤差(受信機側での予想電力/現在のレベルの不一致)又は相対誤差(受信機がより多くの電力又はより少ない電力を必要とする場合にのみ報告する)を示すことができる電力制御ループエラーメッセージとして通信されることができる。
【0088】
このより高いデータレートの通信をサポートするために、電力受信機105は、第2送信機通信機207との帯域外通信リンクを確立する第2受信機通信機307をさらに備える。従って、二次共振回路205は、第1送信機通信機205と相補的であってもよい。
【0089】
したがって、電力送信機101および電力受信機105は、電力伝送動作中に同時に2つの通信リンクを確立することができ、その各々は、一方向(いずれかの方向)であっても双方向であってもよい。
【0090】
2つの通信リンクは、典型的には非常に異なる特性を有する。具体的には、帯域外通信リンクの通信データレートは帯域内通信リンクの通信データレートの10倍以上である。したがって、帯域外通信リンクの通信レートは、帯域内通信リンクの通信レートよりもはるかに大きい。しかしながら、通信は、通信の信頼性及びエラーレートのような他のパラメータにおいても異なり得る。
【0091】
さらに、典型的には、2つの通信リンクの範囲は異なるか、または少なくとも同一であることは知られていない。ほとんどの実施形態では、帯域外通信リンクが帯域内通信リンクよりも(はるかに)長い範囲を有する。さらに、帯域内通信リンクが通信キャリアとして電力伝送信号を利用するという事実のために、帯域内通信リンクの範囲は、帯域外通信リンクとは対照的に、本質的に電力伝送の範囲と連動する。
【0092】
このシステムでは、これは電力伝送フェーズ中に近接/存在検出を提供するために利用される。
【0093】
具体例として、電力送信機101は、帯域内通信リンクを介して通信されるデータに基づいて、電力受信機が送信機コイル103の近傍に存在するか否かを決定するように構成される送信機存在検出器209を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1送信機通信機205は電力受信機105からデータを受信するように構成されてもよく、所与の基準を満たす存在データが受信されていない/受信されないという検出に応じて、電力受信機105の不存在(非存在)を決定するように構成されてもよい。
【0095】
多くの実施形態では、この基準は単に、所与のデータパターンが受信されることであってもよい。例えば、送信機存在検出器209は、所定のパターンと比較されるデータを受信することができ、それらが(所定の一致基準に従って)一致する場合、電力受信機が依然として存在すると判断される。所与の時間制限内に所定のパターンに一致するデータが受信されない場合、送信機存在検出器209は、電力受信機が電力伝送の動作領域内にもはや存在しないと判断することができる。
【0096】
そのような動作をサポートするために、電力受信機は、規則的な間隔で、潜在的に連続的に、所望の所定のパターンを送信することができる。例えば、電力受信機がデータを連続的に送信し、電力送信機がそのようなデータが正常に受信されているかどうかを継続的に評価する連続フィードバックシステムを生成することができる。この通信フィードバックループがアクティブである場合、電力受信機が電力伝送信号を使用して信頼できる通信を可能にするのに十分に近接していることを意味するはずであり、したがって、電力受信機が電力伝送動作ボリューム内に存在する(すなわち、十分に近接している/近くにある)と考えられる。したがって、このアプローチは、帯域内通信リンクの通信範囲に対応する送信器コイル103の近傍に電力受信機が存在するか否かを連続的に判断することができる。帯域内通信リンクは、電力伝送信号を通信キャリアとして使用することに基づいているので、帯域内通信リンクの通信範囲は本質的に電力伝送範囲とリンクされ、従って、このアプローチは電力受信機が電力伝送動作容ボリューム内に存在するか否かの良好な推定/検出を提供する。
【0097】
送信機存在検出器209は、相補機器の不存在の検出に応じて電力伝送を制限するように構成される電力送信機コントローラ203に結合される。したがって、送信機存在検出器209は、検出プロセスの結果を電力送信機コントローラ203に連続的に送信し、電力受信機が動作ボリューム内にないこと(ない可能性が高いこと)を示す場合、電力伝送を制限するように進むことができる。制限は、典型的には、最大電力レベルが(制限が適用されない場合の)電力伝送の最大電力レベル制限よりも低い場合、最大電力レベル制限を電力伝送信号に適用することによるものであってもよい。
【0098】
典型的には、電力送信機コントローラ203は、電力受信機が存在しないことの検出に応じて電力伝送を終了するように構成される(電力伝送または最大電力レベル制限をゼロに制限することに等しい)。したがって、電力伝送が進行中(システムが電力伝送フェーズで動作中)であり、例えば、期待されるデータが帯域内通信リンク上で受信されていないと判断することによって、電力伝送装置が電力受信機の不存在を検出した場合、電力送信機コントローラ203は通知され、電力伝送を終了するように進行し、それによって、電力受信機が存在せずに強力な磁気信号が生成されることが防止される。
【0099】
上記の説明は、電力受信機が存在するか否かを電力送信機が検出し、それに応じて電力伝送を制御するシナリオに焦点を当てた。しかしながら、他の実施形態では、検出機能が代替的に又は追加的に、電力受信機内にあってもよいことが理解されるであろう。実際、電力送信機に検出機能が存在するシステムに関して上記および以下に提供されるすべてのコメントは、電力受信機に検出機能が存在する相補的な状況にも適用されると考えることができる(例えば、電力受信機が近傍にあるかどうかを検出する電力送信機への言及は、電力送信機が近傍にあるかどうかを検出する電力受信機に、必要な変更を加えて、適用される)。
【0100】
具体的には、電力受信機105は、帯域内通信リンクを介して通信されるデータに基づいて、電力送信機101が受信機コイル107の近傍に存在するか否かを判定するように構成される受信機存在検出器309を含んでもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1受信機通信機305は、電力送信機101からデータを受信するように構成されてもよく、所与の基準を満たす存在データが受信されないという検出に応じて、電力送信機101の不存在を判定するように構成されてもよい。
【0102】
相補的シナリオについて説明したように、基準は単に、所与のデータパターンが受信されることであってもよい。例えば、受信機存在検出器309は、電力伝送信号の例えばAM、FMまたはPM変調によって、第1送信機通信機205から送信されたデータを受信して、これは所定のパターンと比較されることができる。それらが(所与の一致基準に従って)一致する場合、電力送信機101が依然として存在すると判断され、したがって、信頼性のある電力伝送が実現可能であると判断される。所定のパターンに一致する所与の閾値内のデータが受信されない場合、受信機存在検出器309は、電力送信機101が電力伝送の動作領域内にもはや存在しないと判断することができる。
【0103】
また、相補的なシナリオについて説明したように、第1送信機通信機205は、所定のパターンを連続的に送信することができ、受信機存在検出器309は、それを連続的に監視することができる。ここでも、通信が搬送波として使用されている電力伝送信号に基づいているので、電力受信機が電力伝送動作ボリューム内にあると考えられるほど、電力受信機と電力送信機とが十分に近いかどうかの良好な指標である。
【0104】
受信機存在検出器309は電力受信機コントローラ301に結合され、(適切なデータが受信されないことによって)電力送信機が受信機コイル107の近傍にもはや存在しないことが検出されると、電力受信機コントローラ301に通知される。電力受信機コントローラ301は、電力伝送動作を制限するように進むことができる。これは用途に応じて異なる態様で実行されることができるが、多くの実施形態では、電力受信機105が帯域外通信リンク(通常、帯域内通信リンクよりはるかに広い範囲を有する)を使用して電力送信機にデータ要求またはコマンドを通信することによって達成されることができる。
【0105】
電力受信機105は、例えば、電力伝送を終了するため、または電力レベルを所与の値に制限するためのコマンドを直接送信することができる。他の実施形態では、電力受信機コントローラ301は、これが電力伝送の所望の変化をもたらすように、制御データの送信を修正することができる。例えば、連続的な電力ダウン要求を送信することができる。別の例として、電力受信機コントローラ301は、電力伝送を継続するために不可欠なメッセージの送信を保留することができる。例えば、エラー制御メッセージが送信されない場合、電力送信機101は電力伝送を終了する。
【0106】
したがって、一般に、説明された機能は、相補的な電力伝送装置(電力送信機および電力受信機のうちの他方である)との電力伝送を実行するための電力伝送装置(電力送信機または電力受信機である)に適用されると考えることができる。簡潔にするために、説明は、検出機能を含む電力伝送装置が電力送信機であり、相補装置が電力受信機であるシナリオに焦点を当てているが、提供されるコメントは、検出機能が電力受信機内にあり、相補装置が電力送信機である場合にも当てはまることが理解されるであろう。実際、多くの実施形態では、検出機能が電力送信機および電力受信機の両方に実装されてもよい。
【0107】
このようにして提供された説明および個々のコメントは、相補的セットアップ、すなわち、適宜、電力受信機および電力送信機の特徴および参照を交換することによっても適用される(準用される)。
【0108】
多くの実施形態では、存在検出に使用されるデータ(以下、存在データと呼ぶ)は、具体的には、相補的な装置、すなわち、電力送信機101または電力受信機105の識別表示であってもよい。識別表示は、いくつかの実施形態では、所定のIDであってもよい。例えば、製造時に、各デバイスに所与のデータパターンを割り当て、このデータパターンを存在データとして送信することができる。存在検出器は、一部の実施形態では、IDデータパターンに関する所定の知識を有することができるが(例えば、電力送信機は特定の電力受信器と共に動作するように設計されてもよい)、大部分の実施形態では電力伝送の初期化中に通信されるであろう。例えば、電力伝送が初期化されるとき、電力受信機はIDデータパターン(シグネチャ)を電力送信機に送信することができ、送信機存在検出器209は、電力伝送中に、このシグネチャに一致するデータパターンを電力受信機から十分に頻繁に受信することをチェックし始めることができる。そうではなく、データパターンが受信されないか、または誤ったデータパターンが受信される場合、電力送信機は、電力伝送を終了することに進むことができる。従って、電力受信機が取り外され、別の電力受信機に迅速に交換される場合、たとえ電力送信機が帯域外通信リンクを介して前回の電力受信機から有効な制御データを受信することができたとしても、これは送信機存在検出器209によって検出され、電力伝送が終了する。
【0109】
したがって、多くの実施形態では、相補装置の不存在の検出、具体的には、送信機存在検出器209による電力受信機の不存在の検出は、所定の時間内に期待されるデータパターンが受信されないというような、所定の基準を満たす識別表示が受信されないという検出に基づく。
【0110】
多くの実施形態では、ID表示は一時的なIDであってもよく、特に、この特定の電力伝送動作のためにのみ設計されてもよい。例えば、電力伝送初期化中に、電力送信機は、電力受信機にデータシグネチャ(パターン)を割り当て、送信することができる。次いで、電力受信機は、電力伝送動作中に、一定の間隔でこのデータシグネチャを送信するように進行してもよく、送信機存在検出器209は、このデータシグネチャを継続的に監視し、これが十分に頻繁に受信されない場合、電力伝送を終了する。
【0111】
多くの実施形態では、IDは両方向に伝送されてもよく、両方のデバイスは適切なID表示が受信されることを保証するために監視してもよいことも理解されるであろう。したがって、多くの実施形態では、電力伝送中に、IDデータは帯域内通信リンクを使用して双方向に通信され得、電力伝送の継続は両方のデバイスで受信されている正しいIDデータに依存し得る。
【0112】
具体的には、電力伝送開始前に、電力送信機及び電力受信機はTXID及びRXIDを交換することができる。電力伝送中、帯域内通信リンクを介して、電力送信機はTXIDを送信し、電力受信機はRXIDを送信する。次に、無線電力送信機が無線電力動作ボリューム内の誤った(無許可の)無線電力受信機を識別した場合(誤ったRXID)、または無線電力動作ボリューム内の無線電力受信機を識別しなかった場合(RXIDなし)、無線電力送信機は電力伝送を終了する。同様に、電力受信機が動作ボリューム内の誤った無線電力送信機(誤ったTXID)を識別した場合、電力受信機は電力伝送が初期化された電力送信機にこれを報告することができ、次いで、これは、電力伝送を終了するように進むことができる。
【0113】
例えば、異なる実施形態では、帯域外通信リンクMACアドレス、CRCまたは他のデータシーケンスなどを含む、異なる存在データおよびID表示が使用され得ることが理解されるであろう。
【0114】
いくつかの実施形態では、データ交換は、要求および応答フォーマットを使用することができ、それによって、検出を実行するメッセージは通信を開始して制御することができる。例えば、送信機存在検出器209は、(例えば、規則的な間隔で)存在テストのための時間であると判断することができ、応答を要求するクエリメッセージを電力受信機に送信するために第1送信機通信機205を開始することができる。例えば、送信されるべき電力受信機IDに対する要求に対応する単純なパターンが要求されてもよい。これに応答して、電力受信機は、応答メッセージの送信に進むことができる。
【0115】
そのような場合、送信機存在検出器209が所与の持続時間内に有効な応答(例えば適切な識別表示)を受信した場合、それは、電力受信機が依然として存在していると判断することができる。しかし、許容可能な応答メッセージが受信されない場合、送信機存在検出器209は電力受信機の不存在が検出されたと判断し、電力送信機コントローラ203を制御して電力伝送を終了するように進む。
【0116】
このようなアプローチの利点は、存在検知が1つの装置、典型的には電力送信機においてのみ実行される必要があるが、存在は電力送信機と電力受信機との間の帯域内通信が両方向において可能である場合にのみ検出されることである。
【0117】
多くの実施形態では、帯域外通信リンクが前述のように、電力伝送のための制御データを通信するために使用されてもよく、一方、帯域内通信リンクは例えば、識別データのみのような、存在検出のためのデータを通信するためにのみ使用される。しかしながら、いくつかの実施形態では、システムは、帯域内通信リンクおよび帯域外通信リンクに制御データ通信を分散するように構成されてもよく、したがって、両方の通信アプローチが制御データの通信のために使用されてもよい。
【0118】
これは、多くのシナリオにおいて特定の利点を提供することができる。具体的には、帯域外通信リンクが高い最大データレートを提供することができ、したがって、高いデータレートを有する制御データをサポートするのに適し得る。しかしながら、高いデータレートを有するにもかかわらず、多くの帯域外通信リンクは、帯域内通信リンクよりも高い通信遅延をもたらす傾向がある。実際、多くの実施形態では、帯域内通信リンクが帯域外通信リンクよりも低いデータレートをサポートするが、大幅に低いデータレートも有することを特徴とする。したがって、帯域内通信リンクは、いくつかの実施形態では、特に遅延に敏感な制御データのために使用されてもよく、帯域外通信リンクは高いデータレートの制御データのために使用される。
【0119】
一例として、低遅延の帯域内通信リンクは、時間クリティカル制御データのために利用されてもよく、このデータは、電力をネゴシエートされたレベルに調整すること、または電力伝送を即座に停止することなど、電力受信機によって要求された即座のアクションを示すことができる。帯域外通信リンクを利用して、正確な電力レベルまたは絶対電力不整合をネゴシエートし、電力伝送を制御するためのインターフェースをユーザに提供し、または電力伝送に直接関係しない他の補助データをネゴシエートすることができる。
【0120】
多くの実施形態では、存在検出は、帯域内通信リンク上で通信される制御データであるデータに基づいてもよい。例えば、送信機存在検出器209は、有効な電力制御メッセージが帯域内通信リンクを介して十分に頻繁に受信されたことを検出した場合、電力受信機が実際に存在すると考えることができる。しかしながら、送信機存在検出器209が、電力制御メッセージが受信されないことを検出した場合、電力受信機の不存在が検出されたとみなすことができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、電力伝送信号は、少なくとも1つの電力伝送時間インターバルおよび1つの低減電力時間インターバルを含む反復時間フレームを受ける。電力伝送フェーズの間、電力伝送信号に反復時間フレームが適用される。
【0122】
電力伝送信号の電力レベルは、電力伝送時間インターバルに対して低減電力時間インターバルの間に低減され、典型的には、低減電力時間インターバル中の最大許容電力は、電力伝送時間インターバル中よりも、少なくとも5倍、10倍または50倍低い。電力レベルの低減は、電力送信機及び/又は電力受信機でのアクションから生じることができる。例えば、いくつかの実施形態では、電力送信機は、低減電力時間インターバルの間、電力伝送信号をオフにするように構成されてもよく、および/または、電力受信機は、低減電力時間インターバルの間、負荷を切断するように構成されてもよい。
【0123】
電力送信機及び/又は電力受信機は、低減電力時間インターバルの間に存在データの通信を実行するように構成される。存在データの通信は帯域内通信であり、電力伝送信号を通信キャリアとして使用する。それに応じて、電力伝送信号の電力レベルは、低減電力時間インターバルの間、ゼロに設定されずに、より低い電力レベルの値が設定される。
【0124】
典型的には、電力伝送信号の電力レベルがさらに、低減電力時間インターバルの間、一定の固定値に設定される。いくつかの実施形態では、低減電力時間インターバルの間の電力レベルは固定された一定の所定の値に設定されるが、いくつかの実施形態では電力レベルが適応されてもよい。しかしながら、ほとんどの実施形態では、この適応は非常に遅くなり、電力レベルは、少なくとも幾つかの連続する低減電力時間インターバルの間、一定であると見なすことができる。
【0125】
従って、電力伝送信号は、典型的には複数の後続の低減電力時間インターバルにおいて、固定された非ゼロの振幅/電力レベルに設定される。電力レベルは、低減電力時間インターバル外で印加され得る電力レベルと比較して、更に低減され、特に、最大電力レベルが、電力伝送信号と比較して低減電力時間インターバルの間、低減され得る。
【0126】
図4は、反復時間フレームを用いた動作の一例を示す図である。
図4は、低減電力伝送時間インターバル401の間及び電力伝送インターバル403の間の電力伝送信号の振幅を示し、例Aでは電力レベルが電力伝送インターバル中に変化し、例Bでは電力レベルが電力伝送時間インターバル403の間一定である。
【0127】
多くの実施形態では、ドライバ/インバータ201に供給される電圧供給は、電圧調整または平滑化なしに(場合によってはある程度の整流を伴って)主電源電圧から直接生成され、したがって、実際には多くの場合、正弦波または整流された正弦波の電源電圧によって生成される場合がある。典型的にはこれは50Hzまたは60Hzの比較的低い周波数を有し(または整流が適用される場合にはその2倍)、ドライバはこの供給電圧からより高い周波数の駆動信号を生成する。それに応じて、より高い周波数の駆動信号の振幅/電力レベルは、
図4に示すように、供給電圧信号によって変化する。
【0128】
このような場合、低減電力時間インターバルは電力/振幅レベルの変動に同期させることができ、具体的にはその最小値の周囲で発生するように同期させることができ、典型的にはドライバへの供給電圧のゼロ交差に対応する。
【0129】
これは、改善された性能を提供する可能性があり、特に、これらの低減電力時間インターバルを導入することによる電力伝送への影響を最小化することによって、電力伝送性能を最適化することができる。
【0130】
図4は電力伝送時間インターバル中の電力レベルを示し、低減電力時間インターバル中の電力レベルがそれと比較して低減されることを示すことに留意されたい。しかしながら、上述したように、電力伝送信号はオフにされず、電力レベルはゼロに設定されない。むしろ、それはより低い、しばしば所定の値に設定される。
【0131】
次いで、存在データは、低減電力時間インターバルの間に通信され、従って、電力伝送信号が一定の所定のレベルに設定され得る時間の間通信される。これにより、より信頼性の高い通信が確保され、電力伝送信号を変調する電力伝送動作への影響が低減される。さらにそれは、より信頼性があり、ロバストな動作および存在検出を可能にする。
【0132】
実際、低下した電力レベルは、それに応じて通信キャリア電力が低減されるので、通信範囲を低下させる可能性がある。これにより、存在データを正常に通信できれば、電力受信機と電力送信機が安全な電力伝送のために十分近くにあることが保証される。実際、低減電力時間インターバル中の電力レベルは、存在データのための所望の通信範囲を提供するために特に選択され得る。
【0133】
このアプローチは、より高い電力レベルに対して、帯域内通信は信頼できないか、許容できない電力損失を引き起こす可能性があるという実現を反映している。AC主電源に基づくドライバの場合、電力キャリアの変調は、伝送される電力レベルが十分に低い主電源ゼロ交差点の近くで実行されてもよい。電力伝送/電力伝送フェーズ中に、電力送信機は、電力伝送時間インターバルおよび低減電力時間インターバルにそれぞれ対応する、メインモード(高電力伝送モード)および低電力伝送モードの2つのモードで動作することができる。
【0134】
具体的には、無線電力送信機は、短い間隔(低減電力時間インターバル)の間、主電力供給を定期的に停止することができる。このスロットの間、無線電力送信機は無線電力受信機により低い電力を提供する。低電力キャリア伝送の間、無線電力送信機及び無線電力受信機は、低電力キャリアの変調を通してデータ(例えば、RXID及び/又はTXID)を交換することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、電力送信機101は、電力レベルを変更するだけでなく、低減電力時間インターバルの間の周波数も変更するように構成されてもよい。具体的には、電力伝送時間インターバル中よりも低減電力時間インターバル中の方が高くなるように電力伝送信号の周波数を増加するように構成されることができる。例えば、電力伝送の間、電力伝送信号の周波数は100kHzであり、低減電力時間インターバルの間、これは150kHzに増加されることができる。
【0136】
このより高い周波数は電力伝送にはあまり適していないが、改善された通信を可能にすることができる。例えば、これは、より高い帯域幅を可能にし、したがって、より高い通信データ速度を可能にする。これは、通信が全持続時間の間ではなく、低減電力時間インターバルにおいてのみ実行され得るので、スロット化された動作のために特に重要であり得る。したがって、平均通信レートは、低減電力時間インターバル中の瞬時データレートよりも大幅に低くてもよく、したがって、瞬時データレートを最大にしようとすることが重要である。
【0137】
明確にするための上記の説明は、異なる機能回路、ユニットおよびプロセッサを参照して本発明の実施形態を説明したことが理解されるであろう。しかしながら、本発明から逸脱することなく、異なる機能回路、ユニットまたはプロセッサ間での機能の任意の適切な分散を使用できることは明らかであろう。例えば、別個のプロセッサまたはコントローラによって実行されることが示されている機能が同じプロセッサまたはコントローラによって実行されてもよい。したがって、特定の機能ユニットまたは回路への言及は、厳密な論理的または物理的構造または編成を示すのではなく、説明された機能を提供するための適切な手段への言及としてのみ見なされるべきである。
【0138】
すべての主電源信号スロットが近接追跡に使用されているわけではない。所与の解決策は、低い電力を伝送し、近接を検出するために、いくつかのスロット(例えば1つおきの電力スロット)のみを使用する可能性を開き、他のスロットは、異物検出または他の目的のために使用され得る。主電力が中断されるスロットのサイズおよび2つのスロット間の間隔は、無線電力送信機によって事前にプログラムされた静的値、無線電力受信機内の事前にプログラムされた静的値、または通信チャネルを介して無線電力受信機と無線電力送信機との間でネゴシエートされた値とすることができる。スロットサイズ、スロット発生頻度および主電力中断の間のトレードオフを考慮に入れるべきであり、スロット間の間隔が長すぎるとリスクが増加し、同時に、スロットサイズは、低電力キャリアを使用する少なくともいくつかの通信のために十分であるべきである。AC主電源が伝送される無線電力システムでは、電力損失を低減するために、AC主電源のゼロ交差付近の電力供給を中断することが意味を持つ。
図4 は、AC主電源とDCケースの両方で、主電源と低電力を交互に供給する時間図を示している。
【0139】
スロットサイズを短く保つために、ID伝送を複数のスロットに分割することができる。これはシステム応答時間を増加させるが、AC主電源のケースで伝送される電力レベルを減少させ、DCケースでの電力ギャップを減少させる。
【0140】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの任意の組合せを含む任意の適切な形態で実施することができる。本発明は、任意選択で、1つまたは複数のデータプロセッサおよび/またはデジタル信号プロセッサ上で実行されるコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装され得る。本発明の実施形態の要素およびコンポーネントは、任意の適切な方法で物理的、機能的および論理的に実装され得る。実際、機能は、単一のユニットで、複数のユニットで、または他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、本発明は、単一のユニットで実施されてもよく、または異なるユニット、回路およびプロセッサの間で物理的および機能的に分散されてもよい。
【0141】
本発明はいくつかの実施形態に関連して説明されてきたが、本明細書に記載された特定の形態に限定されることは意図されていない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、或る特徴が特定の実施形態に関連して説明されるように見えるかもしれないが、当業者は説明された実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わされ得ることを認識するであろう。請求項において、「有する(comprising)」という用語は、他の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0142】
さらに、個別に列挙されているが、複数の手段、素子、回路または方法ステップが、例えば単一の回路、ユニットまたはプロセッサによって実装され得る。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれている場合があるが、これらは場合によっては有利に組み合わされてもよく、異なる請求項に含まれることは特徴の組み合わせが実現可能ではない及び/又は有利ではないことを意味しない。また、或る特徴を請求項の1つのカテゴリに含めることは、このカテゴリへの限定を意味するものではなく、むしろ、その特徴が必要に応じて他の請求項カテゴリに等しく適用可能であることを示す。さらに、請求項における特徴の順序は、当該特徴が動作しなければならない特定の順序を意味するものではなく、特に、方法の請求項における個々のステップの順序は、当該ステップがこの順序で実行されなければならないことを意味するものではない。むしろ、ステップは任意の適切な順序で実行されることができる。さらに、単数への言及は複数を除外しない。従って、「a」、「an」、「第1」、「第2」等への言及は複数を排除するものではない。請求項中の参照符号は、単に明確な例として提供されているにすぎず、請求項の範囲を何らかの態様で限定するものと解釈してはならない。
【0143】
以下が提供される:
【0144】
電力送信機(101)から電力受信機(103)への無線電力伝送のための電力伝送装置であって、電力伝送装置は電力送信機および電力受信機のうちの一方であり、当該電力伝送装置は、
電力伝送信号を介して相補電力伝送装置の相補電力伝送コイル(107, 103)と電力を伝送するための電力伝送コイル(103,107)であって、相補電力伝送装置は、電力送信機(101)および電力受信機(105)のうちの他方である、電力伝送コイルと、
電力伝送信号の変調を使用した第1通信チャネルを介して相補電力伝送装置と第1データを通信するための第1通信機(205,305)と、
【0145】
第2通信チャネルを介して相補電力伝送装置と電力伝送制御データを通信するための第2通信機(207, 307)であって、第2通信チャネルの通信データレートは第1通信チャネルの通信データレートの10倍以上高い、第2通信機と、
第1データに応じて相補電力伝送装置が電力伝送コイル(103, 107)の近傍に存在するかどうかを判定する存在検出器(209, 309)と、相補電力伝送装置が存在しないことの検出に応じて電力送信機(101)から電力受信機(103)への無線電力伝送を制限するように構成された電力伝送コントローラ(201, 301)とを有する。
【0146】
電力送信機(101)から電力受信機(103)への無線電力伝送のための電力伝送装置の動作方法であって、前記電力伝送装置は、前記電力送信機および前記電力受信機のうちの一方であり、当該方法は、
電力伝送コイル(103, 107)が電力伝送信号を介して相補電力伝送装置の相補電力伝送コイル(107, 103)と電力を伝送するステップであって、相補電力伝送装置は電力送信機(101)および電力受信機(105)のうちの他方である、ステップと、
電力伝送信号の変調を使用した第1通信チャネルを介して第1データを相補電力伝送装置と通信するステップと、
電力伝送信号から独立した第2通信チャネルを介して相補電力伝送装置と電力伝送制御データを通信するステップであって、第2通信チャネルの通信データレートは第1通信チャネルの通信データレートよりも10倍以上高い、ステップと、
第1データに応じて相補電力伝送装置が電力伝送コイル(103, 107)の近傍に存在するかどうかを判定するステップと、相補電力伝送装置が存在しないことの検出に応じて電力送信機(101)から電力受信機(103)への無線電力伝送を制限するステップとを有する。
【0147】
電力送信機(101)から電力受信機(103)への無線電力伝送のための電力伝送システムであって、
電力送信機(101)は、
電力を電力受信機(105)に伝送するための電力伝送信号を生成する電力送信機コイル(103)と、
電力伝送信号の変調を使用した第1通信チャネルを介して電力受信機(105)と第1データを通信するための第1送信機通信機(205) と、
第2通信チャネルを介して相補電力伝送装置と電力伝送制御データを通信するための第2送信機通信機(207)であって、第2通信チャネルの通信データレートは第1通信チャネルの通信データレートよりも10倍以上高い、第2送信機通信機とを有し、
電力受信機(103)は、
電力伝送信号を介して電力を受信するための電力受信機コイル(107)と、第1通信チャネルを介して電力受信機(105)と第1データを通信するための第1受信機通信機(305)と、第2通信チャネルを介して電力送信機(101)と電力伝送制御データを通信するための第2受信機通信機(307)とを有し、
前記電力送信機(101)及び前記電力受信機(103)のうちの少なくとも一方はさらに、
第1データに応じて相補電力伝送装置が電力伝送コイル(103, 107)の近傍に存在するかどうかを判定するための存在検出器(209, 309)であって、相補電力伝送装置は、電力送信機(101)および電力受信機(103)のうちの前記少なくとも一方の他方である、存在検出器と、相補電力伝送装置の不在の検出に応じて電力送信機(101)から電力受信機(103)への無線電力伝送を制限するように構成された電力伝送コントローラ(201、301)とを有する。