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特許7605134無線端末とその送信方法、および、基地局とその受信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】無線端末とその送信方法、および、基地局とその受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20241217BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20241217BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H04L1/00 B
H04W28/04 110
H04W72/20
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021566835
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2020038449
(87)【国際公開番号】W WO2021131233
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2019232175
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅典
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033541(JP,A)
【文献】特表2017-528980(JP,A)
【文献】国際公開第2019/051485(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/012126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04W 28/04
H04W 72/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置と同期した情報および無線端末の識別子に基づいて送信に使用するための無線資源を決定する無線資源決定部と、
前記決定された無線資源に基づいて送信対象データの誤り訂正符号の一部を冗長ビットとして決定して前記送信対象データおよび前記冗長ビットをペイロードとする無線フレームを生成するフレーム生成部と、
前記決定された無線資源を使用して前記無線フレームを前記受信装置に送信する無線送信部と
を具備する無線端末。
【請求項2】
前記フレーム生成部は、前記誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の各々を前記冗長ビットとして前記決定された無線資源に基づいて前記送信対象データについて複数の無線フレームを生成し、
前記無線送信部は、前記複数の無線フレームを送信する
請求項1記載の無線端末。
【請求項3】
前記無線資源決定部は、前記複数の部分符号の送信順序を前記無線資源の一部として決定する
請求項2記載の無線端末。
【請求項4】
前記無線資源決定部は、前記受信装置と同期した情報および前記識別子を初期値とする疑似乱数系列に従って前記送信順序を決定する
請求項3記載の無線端末。
【請求項5】
前記無線資源決定部は、前記無線資源に含まれる送信周波数に基づいて前記送信順序を決定する
請求項3記載の無線端末。
【請求項6】
前記無線資源決定部は、前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして送信されるかを示す同期情報を生成し、
前記無線送信部は、前記無線フレームの送信に先立って前記同期情報を送信する
請求項3記載の無線端末。
【請求項7】
無線端末と同期した情報および前記無線端末の識別子に基づいて受信に使用するための無線資源を決定する無線資源決定部と、
前記決定された無線資源を使用して前記無線端末から受信データおよび冗長ビットを含む無線フレームを受信する無線受信部と、
前記受信データの誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを前記決定された無線資源に基づいて判断してフレームを合成するフレーム合成部と
を具備する基地局。
【請求項8】
前記無線受信部は、前記受信データを含む複数の無線フレームを受信し、
前記フレーム合成部は、前記複数の無線フレームの前記冗長ビットを前記決定された無線資源に基づいて並び替えて前記誤り訂正符号を復元する
請求項7記載の基地局。
【請求項9】
前記無線資源決定部は、前記無線端末と同期した情報および前記識別子を初期値とする疑似乱数系列に従って前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを判断する
請求項8記載の基地局。
【請求項10】
前記無線資源決定部は、前記無線フレームを受信した受信周波数に基づいて前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを判断する
請求項8記載の基地局。
【請求項11】
前記無線受信部によって受信された無線フレームに先立って当該無線フレームにおいて前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを示す複数の同期情報の各々に対応して設けられて当該同期情報に合致する無線フレームを検出する複数のフレーム検出部をさらに具備し、
前記フレーム合成部は、前記複数のフレーム検出部の何れにおいて検出されたかに応じて前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを判断する
請求項8記載の基地局。
【請求項12】
無線資源決定部が、受信装置と同期した情報および無線端末の識別子に基づいて送信に使用するための無線資源を決定し、
フレーム生成部が、前記決定された無線資源に基づいて送信対象データの誤り訂正符号の一部を冗長ビットとして決定して前記送信対象データおよび前記冗長ビットをペイロードとする無線フレームを生成し、
無線送信部が、前記決定された無線資源を使用して前記無線フレームを前記受信装置に送信する
無線端末の送信方法。
【請求項13】
無線資源決定部が、無線端末と同期した情報および前記無線端末の識別子に基づいて受信に使用するための無線資源を決定し、
無線受信部が、前記決定された無線資源を使用して前記無線端末から受信データおよび冗長ビットを含む無線フレームを受信し、
フレーム合成部が、前記受信データの誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを前記決定された無線資源に基づいて判断してフレームを合成する
基地局の受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、無線システムに関する。詳しくは、無線端末から送信された無線フレームを基地局が受信する無線システム、および、これらにおける処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)領域は、様々な物体から情報を取得して分析することにより、新たな価値を生み出すことが期待されている。情報を取得するために使用される無線技術には、様々な要求事項が期待されているが、特に無線端末の低消費電力化および長距離伝送に対する期待が高い。無線端末の消費電力が低減されることによって、より長時間の駆動が可能になり、または、より小型の電池を用いることによって無線端末の小型化が可能となり、より多くの用途に利用できるようになるためである。また、長距離伝送ができれば遠くの場所から情報を収集することが可能となり、従来では得られなかった情報を得ることができるようになるためである。
【0003】
無線端末の低消費電力化を実現する技術として、通信手順の簡略化が検討されている。従来の携帯電話や無線LANなどでは、無線端末は基地局やアクセスポイントが周期的に送信している制御信号や、ビーコンと呼ばれる信号を受信して、接続要求を送信し、接続許可を受信し、その後にデータの送信が可能となる。一連の手順ではデータの送信までに、多くの制御信号のやり取りが必要であり、この部分により多くの電力を消費することになる。特にIoT領域では、無線端末が送信するデータは、位置情報、温度、湿度など数十バイト程度の少量のセンサ情報が主なデータである。このため、データに対する制御信号のオーバヘッドが大きく、無線端末の低消費電力化を実現するうえで大きな課題となっている。このため、制御情報のやり取りをなくして、無線端末がデータ送信を行う方法が検討されている。この方法では、無線端末は制御信号の受信をすることなくデータ送信が可能になるため、無線端末の低消費電力化が可能となる。しかしながら、この方法では、基地局は、無線端末がどの時刻、どの周波数で送信するのか事前に把握することができないため、常時無線フレームの検出と復調を行う必要があり、基地局の高機能化が必要となる。そのため、無線システム全体のコストが高くなるという課題が生じる。そこで、無線端末および基地局がともに、GPS(Global Positioning System)受信機を使って共通の時刻に基づいて時間同期する無線システムが考えられている。この無線システムでは、送信周期、GPSから得られる時刻、端末識別子(ID)から、データを送信する時刻、周波数を決定する無線資源規則が事前に無線規格として、無線端末と基地局との間で共有されている。無線端末は、事前に割り当てられた送信周期、GPSから得られる時刻、端末識別子から、送信時刻および周波数を決定する。一方で、基地局も同様に受信すべき時刻と周波数を決定する。これにより、基地局は事前に受信する時刻および周波数を限定することができるため、低価格で実現することが可能となる。
【0004】
長距離伝送を実現する技術として、耐雑音性を高めるために、同一情報を繰り返し送信する繰り返し送信技術や、誤り訂正技術がある。繰り返し送信技術では、基地局で受信した信号を波形合成することによってランダムな雑音の影響を軽減し、受信信号のSN比(Signal to Noise ratio: 信号電力対雑音電力比)を向上することによって長距離伝送を実現している。誤り訂正技術は、例えばLDPC(Low Density Parity check Code)などに代表される信号処理により送信する情報に冗長ビットを付加して送信することによって受信側での受信成功率を向上させる技術である。
そこで、繰り返し送信技術と誤り訂正技術を組み合わせたHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)と呼ばれる技術が利用されている。繰り返し送信技術では、繰り返し送信する回数に伴いSN比が向上するが、その向上の割合は対数関数になることが知られており、繰り返し送信回数を多くしてもSN比の向上は飽和してしまう。また、誤り訂正技術では、付加する冗長ビットを多くすることによってSN比を向上させることが可能であるが、冗長ビットが多くなると一度に送信する情報量が多くなり、1回の送信時間が長くなるため送信に伴う消費電力が増加する。HARQは、これらの技術を組み合わせたものであり、長距離伝送を実現する方法として有用である。例えば、HARQを使用するチャネルを介して送信する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-033541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
HARQを使用する上述の従来技術では、受信側で受信した無線フレームに含まれる冗長ビットを適切に並び替えるために無線フレームにヘッダ情報を付加する必要がある。ヘッダ情報が正しく受信できることが前提となるため、ヘッダ情報の耐雑音性を高くする必要があり、送信時間を長くしてビット当たりの電力を高めるなどの対策が必要となる。IoT向けの無線技術では、送信する情報がセンサ情報であるため数十ビット程度であり、相対的にヘッダ情報の割合が高くなるため、無線フレームの送信時間が長くなり、消費電力的に非効率になってしまうという課題がある。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、ヘッダ情報を送信することなくHARQによる無線フレームを送信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、受信装置と同期した情報および無線端末の識別子に基づいて送信に使用するための無線資源を決定する無線資源決定部と、上記決定された無線資源に基づいて送信対象データの誤り訂正符号の一部を冗長ビットとして決定して上記送信対象データおよび上記冗長ビットをペイロードとする無線フレームを生成するフレーム生成部と、上記決定された無線資源を使用して上記無線フレームを上記受信装置に送信する無線送信部とを具備する無線端末およびその送信方法である。これにより、決定された無線資源に基づいて送信対象データの誤り訂正符号の一部を冗長ビットとして決定し、その冗長ビットを含む無線フレームを送信するという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記フレーム生成部は、上記誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の各々を上記冗長ビットとして上記決定された無線資源に基づいて上記送信対象データについて複数の無線フレームを生成し、上記無線送信部は、上記複数の無線フレームを送信するようにしてもよい。これにより、誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の各々を冗長ビットとして含む無線フレームを送信するという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記無線資源決定部は、上記複数の部分符号の送信順序を上記無線資源の一部として決定するようにしてもよい。これにより、無線端末において、複数の部分符号の送信順序を無線資源の一部として決定するという作用をもたらす。
【0011】
また、この第1の側面において、上記無線資源決定部は、上記受信装置と同期した情報および上記識別子を初期値とする疑似乱数系列に従って上記送信順序を決定するようにしてもよい。これにより、受信装置と同期した情報および上記識別子から一意に複数の部分符号の送信順序を決定するという作用をもたらす。
【0012】
また、この第1の側面において、上記無線資源決定部は、上記無線資源に含まれる送信周波数に基づいて上記送信順序を決定するようにしてもよい。これにより、送信周波数から一意に複数の部分符号の送信順序を決定するという作用をもたらす。
【0013】
また、この第1の側面において、上記無線資源決定部は、上記複数の部分符号の何れが上記冗長ビットとして送信されるかを示す同期情報を生成し、上記無線送信部は、上記無線フレームの送信に先立って上記同期情報を送信するようにしてもよい。これにより、受信側において、同期情報から一意に複数の部分符号の送信順序を決定させるという作用をもたらす。
【0014】
また、本技術の第2の側面は、無線端末と同期した情報および上記無線端末の識別子に基づいて受信に使用するための無線資源を決定する無線資源決定部と、上記決定された無線資源を使用して上記無線端末から受信データおよび冗長ビットを含む無線フレームを受信する無線受信部と、上記受信データの誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の何れが上記冗長ビットとして含まれているのかを上記決定された無線資源に基づいて判断してフレームを合成するフレーム合成部とを具備する基地局およびその受信方法である。これにより、決定された無線資源に基づいて、複数の部分符号の何れが冗長ビットとして含まれているのかを判断するという作用をもたらす。
【0015】
また、この第2の側面において、上記無線受信部は、上記受信データを含む複数の無線フレームを受信し、上記フレーム合成部は、上記複数の無線フレームの上記冗長ビットを上記決定された無線資源に基づいて並び替えて上記誤り訂正符号を復元するようにしてもよい。これにより、決定された無線資源に基づいて、誤り訂正符号を復元するという作用をもたらす。
【0016】
また、この第2の側面において、上記無線資源決定部は、上記受信装置と同期した情報および上記識別子を初期値とする疑似乱数系列に従って上記複数の部分符号の何れが上記冗長ビットとして含まれているのかを判断するようにしてもよい。これにより、受信装置と同期した情報および上記識別子から一意に複数の部分符号の送信順序を決定するという作用をもたらす。
【0017】
また、この第2の側面において、上記無線資源決定部は、上記無線フレームを受信した受信周波数に基づいて上記複数の部分符号の何れが上記冗長ビットとして含まれているのかを判断するようにしてもよい。これにより、受信周波数から一意に複数の部分符号の送信順序を決定するという作用をもたらす。
【0018】
また、この第2の側面において、上記無線受信部によって受信された無線フレームに先立って当該無線フレームにおいて上記複数の部分符号の何れが上記冗長ビットとして含まれているのかを示す複数の同期情報の各々に対応して設けられて当該同期情報に合致する無線フレームを検出する複数のフレーム検出部をさらに具備し、上記フレーム合成部は、上記複数のフレーム検出部の何れにおいて検出されたかに応じて上記複数の部分符号の何れが上記冗長ビットとして含まれているのかを判断するようにしてもよい。これにより、同期情報から一意に複数の部分符号の送信順序を決定するという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本技術の実施の形態における無線システムの全体構成例を示す図である。
図2】本技術の実施の形態における無線端末100の構成例を示す図である。
図3】本技術の実施の形態における基地局200の構成例を示す図である。
図4】本技術の実施の形態において使用するHARQの概要を説明するための図である。
図5】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける送信時刻を説明するための図である。
図6】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器の一例を示す図である。
図7】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器による第1の生成例を示す図である。
図8】本技術の実施の形態において使用するHARQにおけるグリッド番号の決定例を示す図である。
図9】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器による第2の生成例を示す図である。
図10】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける周波数の決定例を示す図である。
図11】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器による第3の生成例を示す図である。
図12】本技術の実施の形態において使用するHARQにおける冗長ビットのパターンの決定例を示す図である。
図13】本技術の実施の形態における無線フレームのフィールド構成例を示す図である。
図14】本技術の実施の形態における無線システムの動作例を示すシーケンス図である。
図15】本技術の実施の形態における無線端末100の処理手順例を示す流れ図である。
図16】本技術の実施の形態における基地局200の処理手順例を示す流れ図である。
図17】本技術の第3の実施の形態における無線フレームのフィールド構成例を示す図である。
図18】本技術の第3の実施の形態における基地局200の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(疑似乱数系列によって冗長ビットのパターンを決定する例)
2.第2の実施の形態(送信周波数と冗長ビットとの関係を固定する例)
3.第3の実施の形態(同期情報と冗長ビットとの関係を固定する例)
【0021】
<1.第1の実施の形態>
[無線システム]
図1は、本技術の実施の形態における無線システムの全体構成例を示す図である。
【0022】
この無線システムは、無線端末100と、基地局200とを備える。この例では、無線端末100は、所定のデータを検知または取得する機能を備え、そのデータをセンサデータとして基地局200に無線伝送することを想定する。基地局200にはさらに他の装置が接続され、センサデータが適宜送信される。
【0023】
なお、ここでは、無線端末100および基地局200をそれぞれ1台ずつ示しているが、これらは複数台存在していてもよい。無線端末100には、後述するように、端末識別子が付与されており、基地局200においてそれぞれを識別することができる。
【0024】
[無線端末]
図2は、本技術の実施の形態における無線端末100の構成例を示す図である。
【0025】
無線端末100は、GPS受信部110と、端末識別子保持部120と、無線資源決定部130と、無線制御部140と、無線送信部150と、センサデータ取得部160と、フレーム生成部170とを備える。
【0026】
GPS受信部110は、GPS衛星からGPS信号を受信して、時刻情報および位置情報を取得するものである。
【0027】
端末識別子保持部120は、この無線端末100の端末識別子を保持するものである。端末識別子は、この無線端末100に事前に割り当てられた固有の識別子である。
【0028】
無線資源決定部130は、後述する無線資源決定規則に基づいて、送信時刻、送信周波数、送信する冗長ビットを決定するものである。
【0029】
センサデータ取得部160は、対象となるセンサデータを取得するものである。このセンサデータ取得部160は、例えば、周期的または定期的に(例えば、1秒間に1回)センサデータを取得してもよく、また、センサに変化が生じたときにセンサデータを取得してもよい。
【0030】
フレーム生成部170は、センサデータ取得部160によって取得されたセンサデータ、端末識別子保持部120に保持された端末識別子、後述する冗長ビットに関する情報に基づいて無線フレームを生成するものである。
【0031】
無線制御部140は、無線資源決定部130によって決定された送信時刻および送信周波数によって無線フレームを送信するように、無線送信部150を制御するものである。
【0032】
無線送信部150は、指定された送信時刻および送信周波数で、フレーム生成部170によって生成された無線フレームを、アンテナを介して電磁波に変換して空間へ送信するRF(Radio Frequency)回路である。
【0033】
[基地局]
図3は、本技術の実施の形態における基地局200の構成例を示す図である。
【0034】
基地局200は、GPS受信部210と、受信端末識別子保持部220と、無線資源決定部230と、無線制御部240と、無線受信部250と、フレーム検出部260と、フレーム合成部270と、フレーム復調部280と、データ取得部290とを備える。
【0035】
GPS受信部210は、GPS衛星からGPS信号を受信して、時刻情報および位置情報を取得するものである。
【0036】
受信端末識別子保持部220は、受信対象となる無線端末100の端末識別子を保持するものである。基地局200は、予め端末識別子を設定していてもよく、また、必要に応じて他の装置(例えば、クラウドサーバなど)から端末識別子を取得してもよい。
【0037】
無線資源決定部230は、後述する無線資源決定規則に基づいて、受信時刻、受信周波数、受信した無線フレームに含まれる冗長ビットを決定するものである。
【0038】
無線制御部240は、無線資源決定部230から指定された受信時刻および受信周波数によって受信を行うように、無線受信部250を制御するものである。
【0039】
無線受信部250は、指定された受信時刻および受信周波数において、アンテナを介して電磁波を受信信号に変換するRF回路である。
【0040】
フレーム検出部260は、後述する同期情報を用いて、無線受信部250によって受信された受信信号から無線フレームを検出するものである。
【0041】
フレーム合成部270は、検出した無線フレームおよび受信した無線フレームに含まれる冗長ビットの情報に基づいてフレームを合成して、フレームの再構成を行うものである。具体的には繰り返し送信される情報は波形合成し、冗長ビットについてはもとの順番通りに並び替えを行う。この処理の詳細については後述する。
【0042】
フレーム復調部280は、誤り訂正による復号処理を行うものである。
【0043】
データ取得部290は、復号されたデータの端末識別子とセンサデータを用いて、CRC(Cyclic Redundancy Check)を計算し、復号されたCRCと一致するかの判定を行うものである。CRCが一致した場合にはデータが正常に受信できたものと判断し、後段の処理ブロックやサーバ等にそのデータを提供する。
【0044】
[HARQ]
図4は、本技術の実施の形態において使用するHARQの概要を説明するための図である。
【0045】
同図におけるaに示すように、無線端末100が送信するセンサデータは、無線端末100の端末識別子(同図において「ID」と表す。)、センサデータおよび端末識別子を用いて計算されるCRCとともに、オリジナルデータ(同図において「D」と表す。)を形成する。
【0046】
オリジナルデータは、例えば、LDPC(Low-Density Parity-Check)などの誤り訂正技術により誤り訂正符号が計算される。同図におけるbに示すように、この例では、オリジナルデータの誤り訂正符号は4分割されて、4つの冗長ビットP1乃至P4として表される。すなわち、この例は、符号化率R=1/5の例となっている。なお、冗長ビットP1乃至P4は、特許請求の範囲に記載の複数の部分符号の一例である。
【0047】
ここでは、無線フレームを4回送信するものとする。同図におけるcに示すように、1番目の無線フレームでは、オリジナルデータと冗長ビットP1を送信する。2番目の無線フレームでは、オリジナルデータと冗長ビットP2を送信する。3番目の無線フレームでは、オリジナルデータと冗長ビットP3を送信する。4番目の無線フレームでは、オリジナルデータと冗長ビットP4を送信する。
【0048】
基地局200は、これら4つの無線フレームを受信して、同図におけるdに示すように、フレーム合成を行う。このとき、フレームに含まれる同一情報(すなわち、オリジナルデータ)については波形合成を行う。そして、ケース#Aのように、全ての無線フレームが検出できた場合には、冗長ビットP1乃至P4を並び替えて元の誤り訂正符号を復元する。一方、ケース#Bのように、例えば2番目の無線フレームの検出に失敗した場合には、冗長ビットP2に該当する部分にはゼロを挿入する。
【0049】
このように並び替えた後に、同図におけるeに示すように、誤り訂正技術による復号処理を行う。CRCを確認することによって、正常に受信できたか否かの判定を行うことが可能となる。
【0050】
図5は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける送信時刻を説明するための図である。
【0051】
HARQを利用するために、無線端末100および基地局200はともにGPS受信部110および210を備え、それぞれが得られた時刻情報を用いて無線資源を決定する。ここでは、無線資源の一つとして、無線端末100の送信時刻について説明する。
【0052】
無線システム内の時間は、スーパフレーム(SP:Superframe)、タイムスロット(TS:Time-Slot)、および、グリッド(grid)によって特定される。この例では、1つのスーパフレームは、4つのタイムスロットに分割されている。また、1つのタイムスロットにおいては、8か所の開始時刻がグリッドとして規定されている。
【0053】
まず、GPSの時刻情報から現在のSP番号と、そのSP番号の開始時刻を決定する。GPSから取得したGPS時刻をtとする。GPS時刻から得られる時刻は、1980年1月6日0時0分0秒を基準としたものである。ここでは秒単位として考える。また、SP区間の長さはSP_durationとする。SP区間の長さは無線システムとして事前に決定する。このとき、SP番号をnとし、番号nのSP開始時刻をSP(n)start-timeとすると、次のように決定することができる。なお、演算子div()は、割り算の商を示している。
n=div(t,SPduration
SP(n)start-time=n×SPduration
【0054】
例えば、SPduration=20秒、GPS時刻=105秒のとき、n=5、 SP(5)start-time=100秒となる。
【0055】
次に、無線端末100が送信することができるSP番号を決定する。これには事前に割り当てられる送信周期(Period)と端末識別子(ID)を用いて決定する。端末IDを用いて決定するため、同一送信周期であっても無線端末毎に異なるSP番号が割り当てられる。
【0056】
次式により、送信周期(秒)をSP番号の間隔(m)に変換する。
m=div(Period,SPduration
【0057】
次に、無線端末毎にSP番号を変えるためにオフセット値moftを計算する。なお、演算子mod()は、割り算の余りを示している。
oft=mod(ID,m)
これにより、無線端末100が送信することができるSP番号(n)を決定する。
mod(n+moft,m)=0
上式を満たすSP番号(n)の時に、無線端末100は送信を行うことができる。
【0058】
例えば、SPduration=20秒、GPS時刻=105秒、送信周期3分(180秒)、ID=1のとき、m=9, moft=1となり、SP番号がn=8,17,26,…のときに送信が可能となる。これは、SPdurationが20秒であるから、160秒(n=8)、340秒(n=17)、520秒(n=26)と、送信周期3分(18秒)毎に、送信機会が割り当てられていることになる。
【0059】
次に、上述のように決定したスーパフレーム(SP)番号内での送信時間を決定する。無線端末100は、各タイムスロットにおいて、繰返し送信を行うものとする。繰返し送信は同一のセンサデータを複数回送ることにより通信の成功率を高めることが可能であり、長距離通信を実現することが可能となる。なお、スーパフレーム内のタイムスロットが1つとしてもよい。その場合は繰返し送信を行わない例となる。
【0060】
各タイムスロットの開始時刻は、そのスーパフレームの開始時刻と、スーパフレーム内のタイムスロット数により決定することが可能である。SP(n)におけるタイムスロットの分割数をnTSとすれば、各TS(k), k=0~(nTS-1)の開始時刻TS(k)start-time in SP(n)は、以下のように決定される。なお、この例ではnTS=4である。
TS(k)start-time in SP(n)=SP(n)start-time+k×SPduration/nTS
【0061】
タイムスロット内にはグリッドと呼ばれる送信開始時刻が複数規定されている。この例ではgrid(0)乃至grid(7)までの8か所の開始時刻が規定されている。各無線端末が送信を行うグリッドは疑似乱数系列によって決定される。
【0062】
図6は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器の一例を示す図である。
【0063】
これは一般的なPN系列(Pseudorandom Numbers)の生成器の1つである。最初に初期値を設定する。初期値は、図中の四角箱で示される遅延素子の初期値として設定する0または1のビットを指す。この例では、1から24までの24個の遅延素子によって構成されているため、24ビットの初期値を設定することになる。このような疑似乱数系列生成器では、初期値が異なると生成される疑似乱数系列が異なるものになるという特性がある。
【0064】
初期値を設定した後、生成器のクロックを1つ動かすことによって、出力(OUTPUT)が1ビット出力される。すなわち、図中の遅延素子1に設定された値が出力される。それと同時に、出力は、図中の線で結ばれた箇所に提供される。図中の丸に×印は、排他的論理和(XOR)の論理演算を示している。例えば、出力は、遅延素子2の出力とのXORが計算され、遅延素子1に蓄えられる。以下同様に必要な演算を行い各遅延素子の値を更新する。順次クロックを動かすことによって、必要な長さの出力ビットを得ることが可能となる。
【0065】
図7は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器による第1の生成例を示す図である。
【0066】
無線端末100が送信を行うグリッドを決めるため、疑似乱数系列の初期値として端末IDとSP番号を設定し、12ビットの疑似乱数系列を生成する。この例ではIDの16ビットとSP番号nを256で割った余り8ビットの計24ビットを初期値として設定する。その後、クロックを12回動かし、12ビットの疑似乱数系列を生成する。
【0067】
図8は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおけるグリッド番号の決定例を示す図である。
【0068】
上述の処理により得られた12ビットから、各タイムスロットでのグリッド番号を決定する。12ビットを3ビット毎の4つのグループに分割し、それぞれの3ビットを10進数に変換したものを、それぞれのタイムスロットで送信するグリッド番号として決定する。
【0069】
なお、この例では疑似乱数系列の遅延素子が24個であるため、端末IDとSP番号の一部を初期値としたが、より遅延素子の多い疑似乱数系列を使用することによって、より長い端末IDやSP番号を初期値として用いることが可能である。また、スーパフレーム内のタイムスロット数が4つ、タイムスロット内のグリッド数が8つであるため、12ビットの系列からグリッド番号を決定したが、タイムスロット数およびタイムスロット内のグリッド数が異なる場合でも、必要な長さの疑似乱数を生成することによって対応可能である。
【0070】
図9は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器による第2の生成例を示す図である。
【0071】
無線システムとして利用可能な周波数チャネルの数をnFとする。ここではnF=4として説明する。この例ではスーパフレーム内で4回の送信を行うため、その4回の送信に使用する送信周波数を決定する例を示す。
【0072】
上述の送信時刻を決定するために生成した12ビットの後に、さらに8ビットの疑似乱数系列を生成する。新たに生成した疑似乱数系列が13から20である。
【0073】
図10は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける周波数の決定例を示す図である。
【0074】
上述の処理により得られた8ビットから各タイムスロットの送信に使用する周波数の決定方法を示す。nF=4であるため、2ビットずつ、4つに分割し、各2ビットを10進数に変換した値を、送信する周波数番号(0~3)とする。周波数番号のそれぞれは、実際に送信する場合の搬送波周波数の中心周波数に対応する。
【0075】
なお、この例では、利用できる周波数の数が4つ(nF=4)の場合であり、2ビットずつ、TSが4つであることから、4つのグループで計8ビットから決定した。ただし、これらは利用できる周波数やタイムスロットの数に応じて、必要な長さの疑似乱数系列を生成することにより拡張可能である。
【0076】
図11は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける疑似乱数系列の生成器による第3の生成例を示す図である。
【0077】
この例ではスーパフレーム内で4回の送信を行うため、その4回の送信で送信する冗長ビットを決定する。誤り訂正は、上述のように符号化率R=1/5で、冗長ビットが4種類あるものとする。
【0078】
上述の処理により得られた送信時刻および送信周波数を決定するための20ビットの後に、さらに5ビットの疑似乱数系列を生成する。新たに生成した疑似乱数系列が21から25である。この5ビットから無線フレームの送信で送信する冗長ビットを以下のように決定する。
【0079】
図12は、本技術の実施の形態において使用するHARQにおける冗長ビットのパターンの決定例を示す図である。
【0080】
この例では、4つの無線フレームによって冗長ビットP1乃至P4を分けて送信することを想定している。4つの無線フレームと4つの冗長ビットとの対応関係をパターンとして分類すると、ここに示す24通りとなる。すなわち、このパターンは、4つの冗長ビットの送信順序を示している。
【0081】
無線端末100と基地局200との間で、同じパターンを利用することにより、基地局200において冗長ビットP1乃至P4を正しく並べ替えることができる。このパターンをヘッダ等によって明示的に送信することは、非効率であるため、この実施の形態では、無線端末100および基地局200のそれぞれにおいて疑似乱数系列を用いてパターンを決定する。
【0082】
上述の疑似乱数系列21から25の5ビットPT5を十進数に変換して、24で割った余りを冗長ビットのパターンとして決定する。すなわち、冗長ビットのパターンpatternは次式により決定される。なお、演算子dec()は、2進数のビットパターンを十進数に変換した結果を示している。
pattern=mod(dec(PT5),24)
【0083】
これにより、無線端末100および基地局200は、無線フレームのそれぞれの冗長ビットがP1乃至P4の何れであるかを、独立に決定することができる。したがって、冗長ビットがP1乃至P4の何れであるかを、別途送信する必要はない。
【0084】
[無線フレーム]
図13は、本技術の実施の形態における無線フレームのフィールド構成例を示す図である。
【0085】
上述のように、端末識別子ID、センサデータ、および、それらのCRCによってオリジナルデータDが構成される。これらは、LDPCのような誤り訂正技術により冗長ビットP1乃至P4が計算される。
【0086】
無線資源決定部130および230のそれぞれは、上述の疑似乱数系列を用いて冗長ビットのパターンを決定する。これにより、無線フレームのペイロードに含まれる冗長ビットがP1乃至P4の何れであるかが決定される。同図の例では、冗長ビットP2がペイロードに含まれる例を示している。
【0087】
無線端末100が無線フレームを送信する際には、ペイロードに先立って同期情報Syncを送信する。この同期情報Syncは、フレーム検出用の既知情報である。基地局200は、同期情報Syncに合致する信号を検知することにより、無線フレームを検出する。
【0088】
ただし、冗長ビットがP1乃至P4の何れであるかを、無線端末100および基地局200のそれぞれにおいて独立に決定することができるため、明示的に送信する必要はない。したがって、フレーム長が固定されている場合などには、この例のようにヘッダ情報を省略することが可能である。
【0089】
[動作]
図14は、本技術の実施の形態における無線システムの動作例を示すシーケンス図である。
【0090】
無線端末100は、センサデータを取得後(811)、無線資源を決定する(812)。このとき、GPS受信を行い、その情報と端末識別子を用いて、送信時刻、送信周波数、各無線フレームで送信する冗長ビットを決定する。決定した無線資源に基づいて、繰り返し送信を行う(813乃至816)。
【0091】
基地局200は、周期的にGPS受信を行い、受信すべき端末識別子も用いて、受信時刻、受信周波数および無線フレームに含まれる冗長ビットの情報を計算する(821)。計算した受信時刻、受信周波数によって無線フレームの受信を行う(822乃至825)。そして、それら無線フレームについてフレーム合成を行い(826)、受信データを取得する(827)。
【0092】
図15は、本技術の実施の形態における無線端末100の処理手順例を示す流れ図である。
【0093】
センサデータ取得部160は、周期的または定期的に、または、センサに変化が生じたときにセンサデータを取得する(ステップS911)。センサデータを取得すると(ステップS911:Yes)、GPS受信部110は、GPS信号を受信して、時刻情報を取得する(ステップS912)。
【0094】
無線資源決定部130は、取得した時刻情報と端末識別子から送信時刻、送信周波数、送信する冗長ビットを、送信する無線フレーム(例えば、4フレーム分)について決定する(ステップS913)。そして、無線フレーム番号をカウントするカウント値に「1」を設定する(ステップS914)。
【0095】
フレーム生成部170は、無線フレーム番号と、無線資源決定で決定したパラメータに基づいて無線フレームを生成する(ステップS915)。無線送信部150は、無線フレーム番号と、無線資源決定で決定したパラメータに基づいて無線フレームの送信を行う(ステップS916)。
【0096】
無線フレームの送信回数が上限(例えば、4フレーム分)に達したかを確認する(ステップS917)。送信回数が上限に達した場合は(ステップS917:Yes)、送信処理を終了する。一方、送信回数が上限以下の場合は(ステップS917:No)、無線フレーム番号のカウント値を加算して(ステップS918)、次の無線フレームを生成する(ステップS915)。
【0097】
図16は、本技術の実施の形態における基地局200の処理手順例を示す流れ図である。
【0098】
GPS受信部210は、周期的にGPS信号を受信して、時刻情報を取得する(ステップS921)。
【0099】
無線資源決定部230は、受信対象の端末識別子とGPS受信情報を用いて、受信時刻、受信周波数、受信無線フレームに含まれる冗長ビットの情報を決定する(ステップS922)。そして、無線フレーム番号をカウントするカウント値に「1」を設定する(ステップS923)。
【0100】
無線受信部250は、無線フレーム番号と無線資源決定で決定したパラメータに基づいて受信動作を行う(ステップS924)。
【0101】
フレーム検出部260は、既知情報である同期情報Syncを用いてフレームの検出を行う(ステップS925)。フレームを検出できた場合には(ステップS925:Yes)、フレーム合成部270は、無線フレーム番号と無線資源決定で決定したパラメータに基づいて無線フレームの合成を行う(ステップS926)。具体的には同一情報の波形合成と冗長ビットの並び替えである。フレームを検出できなかった場合には(ステップS925:No)、フレーム合成を行なわず、対応する冗長ビットはゼロとして取り扱われる。
【0102】
無線フレームの送信回数が上限に達したかを確認する(ステップS927)。送信回数が上限に達した場合は(ステップS927:Yes)、フレーム復調部280は、合成した無線フレームについて誤り訂正技術によって復号処理を行う(ステップS931)。そして、データ取得部290は、復号結果を用いてCRCで正しく受信できたかの判定を行う(ステップS932)。
【0103】
一方、送信回数が上限に達していない場合は(ステップS927:No)、無線フレーム番号のカウント値を加算して(ステップS928)、次の受信動作を行う(ステップS924)。
【0104】
このように、本技術の第1の実施の形態によれば、無線端末100および基地局200のそれぞれにおいて疑似乱数系列によって冗長ビットのパターンを決定するため、冗長ビットに関する情報を明示的に送信することなくHARQを利用することができる。この場合、ヘッダ情報を省略することができるため、無線端末100における消費電力を抑制することができ、無線端末100の送信電力を低減しながら長距離伝送を行うことができる。
【0105】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、無線端末100および基地局200のそれぞれにおいて疑似乱数系列によって冗長ビットのパターンを決定していたが、この第2の実施の形態では、冗長ビットのパターンを送信周波数から決定する。なお、無線システムとしての構成自体は上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0106】
上述のように、無線資源決定部130および230において、送信周波数が決定される。決定した周波数をfとする。また、送信しうる冗長ビットの種類は、上述の第1の実施の形態と同様にP1乃至P4の4種類あるものとする。このとき、以下のように、送信周波数から送信する冗長ビットを決定する。ただし、Pは送信する冗長ビットの番号を示す。
P=mod(f,4)
【0107】
すなわち、この第2の実施の形態では、送信周波数と送信する冗長ビットとを紐づけて決定する。したがって、例えば周波数#1ならば冗長ビット#1というように、送信周波数と冗長ビットとの関係は固定される。これにより無線端末100および基地局200において無線フレームの冗長ビットを計算する過程を省略することが可能となる。特に、基地局200では受信周波数の情報から受信した無線フレームに含まれる冗長ビットの情報を得ることができるため、これにより無線フレームの再構成が可能となる。
【0108】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、送信周波数と冗長ビットとの関係を固定することにより、冗長ビットのパターンを決定する処理を簡略化することができる。
【0109】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、無線端末100および基地局200のそれぞれにおいて疑似乱数系列によって冗長ビットのパターンを決定していたが、この第3の実施の形態では、基地局200において冗長ビットのパターンを同期情報から決定する。なお、無線システムとしての構成自体は上述の第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0110】
この第3の実施の形態において、無線端末100は、上述の第1の実施の形態と同様に送信冗長ビットの決定を行う。そして、無線フレームのペイロードも、上述の第1の実施の形態と同様に形成する。ただし、以下に説明するように、無線端末100は、ペイロードに先立って、冗長ビットに応じた同期情報を送信する。
【0111】
[無線フレーム]
図17は、本技術の第3の実施の形態における無線フレームのフィールド構成例を示す図である。
【0112】
この第3の実施の形態における無線フレームは、ペイロード部分については、上述の第1の実施の形態のものと同様である。また、ペイロードに先立って同期情報を送信する点や、ヘッダ情報を送信しない点も同様である。
【0113】
同図におけるaは、冗長ビットP2を送信する場合であり、このときフレーム検出に用いる同期情報として、Sync2という固有の既知系列を用いる。また、同図におけるbは、冗長ビットP3を送信する場合であり、このときフレーム検出に用いる同期情報として、Sync3という固有の既知系列を用いる。冗長ビットP1およびP4についても同様に固有の既知系列(Sync1、Sync4)を用いるものとする。これにより無線フレームに含まれる冗長ビットの種類を同期情報の既知系列と紐付けることができる。
【0114】
[基地局]
図18は、本技術の第3の実施の形態における基地局200の構成例を示す図である。
【0115】
この第3の実施の形態における基地局200の構成は、基本的には、上述の第1の実施の形態のものと同様である。ただし、それぞれ固有の既知系列(Sync1乃至Sync4)を個別に検出するため、フレーム検出部261乃至264を設けている。
【0116】
フレーム合成部270は、フレーム検出部261乃至264の何れでフレームを検出したか、つまり受信無線フレームの同期情報がいずれの既知系列であったかに基づいて行われる。これにより、基地局200では、無線フレームの冗長ビットを計算する過程を省略することが可能となる。
【0117】
このように、本技術の第3の実施の形態によれば、同期情報と冗長ビットとの関係を固定することにより、基地局200において冗長ビットのパターンを決定する処理を簡略化することができる。
【0118】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0119】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0120】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0121】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)受信装置と同期した情報および無線端末の識別子に基づいて送信に使用するための無線資源を決定する無線資源決定部と、
前記決定された無線資源に基づいて送信対象データの誤り訂正符号の一部を冗長ビットとして決定して前記送信対象データおよび前記冗長ビットをペイロードとする無線フレームを生成するフレーム生成部と、
前記決定された無線資源を使用して前記無線フレームを前記受信装置に送信する無線送信部と
を具備する無線端末。
(2)前記フレーム生成部は、前記誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の各々を前記冗長ビットとして前記決定された無線資源に基づいて前記送信対象データについて複数の無線フレームを生成し、
前記無線送信部は、前記複数の無線フレームを送信する
前記(1)に記載の無線端末。
(3)前記無線資源決定部は、前記複数の部分符号の送信順序を前記無線資源の一部として決定する
前記(2)に記載の無線端末。
(4)前記無線資源決定部は、前記受信装置と同期した情報および前記識別子を初期値とする疑似乱数系列に従って前記送信順序を決定する
前記(3)に記載の無線端末。
(5)前記無線資源決定部は、前記無線資源に含まれる送信周波数に基づいて前記送信順序を決定する
前記(3)に記載の無線端末。
(6)前記無線資源決定部は、前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして送信されるかを示す同期情報を生成し、
前記無線送信部は、前記無線フレームの送信に先立って前記同期情報を送信する
前記(3)に記載の無線端末。
(7)無線端末と同期した情報および前記無線端末の識別子に基づいて受信に使用するための無線資源を決定する無線資源決定部と、
前記決定された無線資源を使用して前記無線端末から受信データおよび冗長ビットを含む無線フレームを受信する無線受信部と、
前記受信データの誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを前記決定された無線資源に基づいて判断してフレームを合成するフレーム合成部と
を具備する基地局。
(8)前記無線受信部は、前記受信データを含む複数の無線フレームを受信し、
前記フレーム合成部は、前記複数の無線フレームの前記冗長ビットを前記決定された無線資源に基づいて並び替えて前記誤り訂正符号を復元する
前記(7)に記載の基地局。
(9)前記無線資源決定部は、前記受信装置と同期した情報および前記識別子を初期値とする疑似乱数系列に従って前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを判断する
前記(8)に記載の基地局。
(10)前記無線資源決定部は、前記無線フレームを受信した受信周波数に基づいて前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを判断する
前記(8)に記載の基地局。
(11)前記無線受信部によって受信された無線フレームに先立って当該無線フレームにおいて前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを示す複数の同期情報の各々に対応して設けられて当該同期情報に合致する無線フレームを検出する複数のフレーム検出部をさらに具備し、
前記フレーム合成部は、前記複数のフレーム検出部の何れにおいて検出されたかに応じて前記複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを判断する
前記(8)に記載の基地局。
(12)無線資源決定部が、受信装置と同期した情報および無線端末の識別子に基づいて送信に使用するための無線資源を決定し、
フレーム生成部が、前記決定された無線資源に基づいて送信対象データの誤り訂正符号の一部を冗長ビットとして決定して前記送信対象データおよび前記冗長ビットをペイロードとする無線フレームを生成し、
無線送信部が、前記決定された無線資源を使用して前記無線フレームを前記受信装置に送信する
無線端末の送信方法。
(13)無線資源決定部が、無線端末と同期した情報および前記無線端末の識別子に基づいて受信に使用するための無線資源を決定し、
無線受信部が、前記決定された無線資源を使用して前記無線端末から受信データおよび冗長ビットを含む無線フレームを受信し、
フレーム合成部が、前記受信データの誤り訂正符号を分割した複数の部分符号の何れが前記冗長ビットとして含まれているのかを前記決定された無線資源に基づいて判断してフレームを合成する
基地局の受信方法。
【符号の説明】
【0122】
100 無線端末
110 GPS受信部
120 端末識別子保持部
130 無線資源決定部
140 無線制御部
150 無線送信部
160 センサデータ取得部
170 フレーム生成部
200 基地局
210 GPS受信部
220 受信端末識別子保持部
230 無線資源決定部
240 無線制御部
250 無線受信部
260~264 フレーム検出部
270 フレーム合成部
280 フレーム復調部
290 データ取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18