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  • 特許-電動機のステータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電動機のステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/25 20160101AFI20241217BHJP
【FI】
H02K11/25
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022027246
(22)【出願日】2022-02-24
(65)【公開番号】P2023123262
(43)【公開日】2023-09-05
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】田渕 堅大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 弘樹
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-182801(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0029498(US,A1)
【文献】特開2015-154565(JP,A)
【文献】特開2021-158859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線まわりに配置される筒状のステータコアと、前記ステータコアを前記回転軸線方向に貫通するスロットに挿し通された複数本のコイルと、前記コイルに電気的に接続されている導電部材と、前記導電部材に取り付けられている温度センサと、前記導電部材および前記温度センサのそれぞれの少なくとも一部を被覆する樹脂部と、を備える電動機のステータであって、
前記導電部材には、前記ステータコアの前記回転軸線方向に伸びる穴が貫通して形成され、
前記温度センサは、基部と、前記導電部材の厚みより大きく前記基部から突き出す円柱状の凸部と、を有し、
前記温度センサの前記凸部は、前記基部と前記導電部材とが当接する位置まで前記丸穴に締まりばめ状態で挿入されている
ことを特徴とする電動機のステータ。
【請求項2】
前記導電部材は、中性線バスバーである
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機のステータに取り付けられる温度センサの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動機を構成するステータに取り付けられる温度センサの取付構造について記載されている。具体的には、特許文献1には、ステータコアに取り付けられたステータコイルに接続される導電部材に、温度センサを取り付ける構造が記載されている。また、特許文献1には、ステータコアから回転軸線方向に突き出すステータコイルの先端が各々に溶接され、これら溶接された部位の絶縁性を良好とするため、各々のコイルの先端を樹脂で被覆する構造が記載されている。さらに、特許文献1には、温度センサの素子部が冷却油などの冷媒と接触してセンサ測定値が実際のコイル温度よりも低くならないように、温度センサをステータコイルの先端とともに樹脂で被覆することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-114877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の温度センサの取付構造では、導電部材を折り曲げ、導電部材の間に挟まれるようにして温度センサが取り付けられていたため、温度センサの取付部分の厚みが大きくなる。その結果、温度センサおよび導電部材を被覆する樹脂の使用量が増加し、体格が大型化するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、導電部材に取り付けられた温度センサが樹脂で被覆される構造を有する電動機のステータにおいて、樹脂の使用量を減少して体格の大型化を抑制できる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、(a)回転軸線まわりに配置される筒状のステータコアと、前記ステータコアを前記回転軸線方向に貫通するスロットに挿し通された複数本のコイルと、前記コイルに電気的に接続されている導電部材と、前記導電部材に取り付けられている温度センサと、前記導電部材および前記温度センサのそれぞれの少なくとも一部を被覆する樹脂部と、を備える電動機のステータであって、(b)前記導電部材には、前記ステータコアの前記回転軸線方向に伸びる穴が貫通して形成され、(c)前記温度センサは、基部と、前記導電部材の厚みより大きく前記基部から突き出す円柱状の凸部と、を有し、(d)前記温度センサの前記凸部は、前記基部と前記導電部材とが当接する位置まで前記丸穴に締まりばめ状態で挿入されていることを特徴とする。
【0009】
発明の要旨とするところは、第1発明において、前記導電部材は、中性線バスバーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、温度センサが導電部材に形成された穴に挿入されるため、温度センサが穴に挿入された分だけ、樹脂部によって被覆される部位の厚みを薄くすることができる。その結果、樹脂の使用量が減少し、装置の体格が大型化するのを抑制することができる。また、温度センサの、前記導電部材の厚みより大きく前記基部から突き出す円柱状の凸部は、基部と導電部材とが当接する位置まで丸穴に締まりばめ状態で挿入されるため、温度センサの導電部材への組付後に、温度センサが丸穴から外れることが防止される。また、温度センサと導電部材とが密着状態になるため、温度センサの温度追従性を向上させることができる。
【0013】
発明によれば、導電部材は、中性線バスバーであるため、走行中に常に電流が印加される中性線バスバーの温度が検出されることで、温度センサによる電動機の温度検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例である車両に搭載される電動機を回転軸線方向に見た図である。
図2図1のA-A断面図を簡略化した図である。
図3図2の切断線B-Bで切断した断面図である。
図4】溶接部、中性線バスバー、および温度センサを樹脂部で被覆するときの製造過渡期の状態を示す図である。
図5】温度センサおよび中性線バスバーの組付前の寸法関係を示す図である。
図6】本発明の他の実施例に対応する中性線バスバーおよび中性線バスバーに取り付けられる温度センサの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明が適用された車両に搭載される電動機MGを回転軸線CL方向に見た図である。電動機MGは、非回転部材であるケース12内に収容されている。電動機MGは、回転軸線CLを中心にして配置されている。電動機MGは、回転軸線CLを中心にして回転可能に配置されているロータ14と、ロータ14の外周側に配置されているステータ16と、を含んで構成されている。
【0017】
ロータ14は、円筒状に構成され、回転軸線CL方向の両端に配置されている図示しない軸受を介してケース12によって回転可能に支持されている。ステータ16は、円筒状に形成され、ケース12に図示しないボルトを介して締結されている。従って、ステータ16は、ケース12に回転不能に固定されている。ロータ14とステータ16との間には、径方向で所定の間隙が形成されている。
【0018】
ロータ14には、複数個の磁石14aが内蔵されている。ステータ16は、回転軸線CL方向まわりに配置された円筒状のステータコア18と、ステータコア18を回転軸線CL方向に貫通する複数本のステータコイル20と、を備えている。ステータコイル20は、断面が矩形の図示しない絶縁被膜付の導線から形成され、且つ、一辺が後述するスロット22の間隙の寸法と略同じ寸法とされている。なお、ステータコイル20が、本発明のコイルに対応している。
【0019】
ステータコア18は、複数枚の電磁鋼板が積層されて円筒状に構成されている。ステータコア18には、回転軸線CL方向に見たとき放射状に形成された複数のスロット22が形成されている。スロット22は、ステータコア18の内周面から径方向外側に向かって伸びる切欠である。複数のスロット22は、ステータコア18の周方向に等角度間隔に配置されている。また、スロット22は、ステータコア18を回転軸線CLの方向に貫通している。
【0020】
各スロット22には、複数本のステータコイル20が挿し通されている。スロット22を回転軸線CL方向に見ると、各スロット22には、それぞれ複数本のステータコイル20が径方向に並んで配置されている。ステータコイル20は、U字状に形成されており、各ステータコイル20の一対の先端部が、ステータコア18の回転軸線CL方向の一方から他方に向かってスロット22に挿し通される。従って、ステータコイル20の各々の端部が、ステータコア18の回転軸線CL方向の一端から回転軸線CL方向に突き出している。ステータコイル20のうちステータコア18から回転軸線CL方向に突き出した部位が束ねられることによって、一点鎖線で示すコイルエンド24が形成される。コイルエンド24を形成するステータコイル20の回転軸線CL方向の端部では、別個のステータコイル20の先端同士が互いに溶接された溶接部26(図2参照)が形成されている。
【0021】
車両搭載状態でコイルエンド24の鉛直方向で上方には、冷却パイプ28が回転軸線CL方向に沿って配置されている。冷却パイプ28には、オイルクーラ30を経由して冷却された冷却油が、機械式オイルポンプ32によって汲み上げられて供給される。
【0022】
図1の矢印は、冷却油の流れを示している。冷却パイプ28には、複数の油放出穴34が形成されており、各油放出穴34から冷却油が放出される。油放出穴34から放出された冷却油は、コイルエンド24に向かって飛散する。コイルエンド24に付着した冷却油は、矢印で示すようにコイルエンド24を伝って下方に移動し、このときコイルエンド24が冷却される。また、コイルエンド24の下方に到達した冷却油は、ケース12の下部に移動し、オイルクーラ30によって冷却され、機械式オイルポンプ32を経由して再度冷却パイプ28に供給される。このようにして、冷却油は、コイルエンド24を冷却しつつケース12内を循環する。
【0023】
図2は、図1のA-A断面図を簡略化した図である。図2では、紙面上下方向が回転軸線CL方向に対応し、紙面左右方向が回転軸線CLを中心とする径方向に対応している。図2に示すように、ステータコア18の回転軸線CL方向の端部から突き出した複数本のステータコイル20によってコイルエンド24が形成されている。また、コイルエンド24の先端部では、別個のステータコイル20の先端が互いに溶接された溶接部26が形成されている。コイルエンド24および溶接部26は、回転軸線CLを中心にして環状に形成されている。
【0024】
ステータコイル20には、中性線バスバー36が電気的に接続されている。中性線バスバー36は、ステータコイル20を構成するU相コイル、V相コイル、およびW相コイルのそれぞれの端部を接続し、Y結線の中性点を形成している。また、中性線バスバー36には、電動機MGのモータ温度検出用の温度センサ38が取り付けられている。中性線バスバー36には、車両運転中(車両停止時を含む)において常に電流が流れるため、中性線バスバー36に温度センサ38が取り付けられることで、温度センサ38のモータ温度検出精度が向上する。また、温度センサ38は、中性線バスバー36とステータコア18との間に形成される空間に取り付けられるため、温度センサ38を取り付けることで電動機MGの体格が大型化することが防止される。なお、中性線バスバー36が、本発明の導電部材に対応している。
【0025】
また、ステータコイル20の先端部が互いに溶接された溶接部26の絶縁性を確保するため、溶接部26が樹脂からなる樹脂部40によって被覆されている。さらに、中性線バスバー36に取り付けられた温度センサ38のサーミスタ素子部48(図3参照)付近が冷却油と接触して温度センサ38の温度検出精度が低下しないように、中性線バスバー36および温度センサ38の一部についても樹脂部40によって被覆されている。従って、樹脂部40は、溶接部26、中性線バスバー36、および温度センサ38の一部を一体的に被覆している。
【0026】
上述したように、温度センサ38の一部が樹脂部40によって被覆されることで、温度センサ38によるセンサ計測値が冷却油によって低くなることが抑制されるが、温度センサ38を樹脂で被覆するだけ、樹脂部40の回転軸線CL方向の厚み(図2において厚みL1に相当)が厚くなる。その結果、樹脂の使用量が増加してしまう。また、電動機MGの搭載上の制約などにより、電動機MGの回転軸線CL方向の長さが制限される場合には、冷却油によって冷却可能なコイルエンド24の回転軸線CL方向の長さ(図2において長さL2に相当)が、樹脂部40の厚みに対して相対的に短くなる。その結果、冷却油に接触可能なコイルエンド24の表面積が少なくなり、冷却油によるステータコイル20の冷却性が低下する。これに関連して、ステータコイル20の温度制約によって電動機MGの出力トルクが制限される場面が増加する虞もある。
【0027】
上述した問題を回避するため、温度センサ38の少なくとも一部は、中性線バスバー36に貫通して形成された丸穴46に挿入されている。図3は、図2の切断線B-Bで切断した断面図である。図3において、紙面上下方向が回転軸線CL方向に対応している。また、図3において紙面上方に、温度センサ38のC-C断面図が記載されている。図3では、樹脂部40については省略されている。なお、丸穴46が、本発明の穴に対応している。
【0028】
温度センサ38は、サーミスタ素子部48と、サーミスタ素子部48を保護するセンサケース50と、を備えている。サーミスタ素子部48は、樹脂からなるセンサケース50に内蔵されている。また、サーミスタ素子部48には、2本のリード線52a、52bが接続されている。
【0029】
センサケース50は、所定の厚みを有する板状の基部54と、中性線バスバー36の厚みよりも大きく基部54から垂直に突き出す円柱状の凸部56と、を有する凸形状(段付形状)となっている。中性線バスバー36は、回転軸線CL方向に所定の厚みを有している。中性線バスバー36には、厚み方向すなわち回転軸線CL方向に伸びる丸穴46が形成されている。
【0030】
温度センサ38の凸部56は、中性線バスバー36に形成された断面円形状の丸穴46に挿入されている。温度センサ38は、センサケース50の基部54と中性線バスバー36とが当接する位置まで挿入されている。
【0031】
従って、図2に示すように、樹脂部40の厚みL1を、温度センサ38が丸穴46に挿入されている寸法L3分だけ薄くできる。その結果、樹脂部40を形成するための樹脂の使用量を低減することができる。また、搭載性の問題などから、電動機MGのステータコア18から回転軸線CL方向に突き出す部位の寸法が制限される場合であっても、樹脂部40の厚みL1を薄くできるため、冷却油によって冷却可能なコイルエンド24の回転軸線CL方向の長さL2を厚みL1に対して相対的に長くできる。その結果、冷却油に接触可能なコイルエンド24の表面積が増加するため、冷却油による電動機MGの冷却性能が向上する。これに関連して、電動機MGの熱による出力制限が緩和され、電動機MGを小型化することもできる。
【0032】
図4は、溶接部26、中性線バスバー36、および温度センサ38を樹脂部40で被覆するときの製造過渡期の状態を示している。図4では、紙面下方が製造時における鉛直下方に対応する。樹脂部40を成形するに当たって、予め溶接部26を形成するとともに、中性線バスバー36に温度センサ38を取り付けた状態で、金型42に充填された液状の樹脂内に、溶接部26、中性線バスバー36、および温度センサ38を浸漬させる。この状態で液状の樹脂が硬化すると、溶接部26、中性線バスバー36、および温度センサ38が樹脂で被覆された樹脂部40が成形される。
【0033】
図5は、温度センサ38および中性線バスバー36の組付前の寸法の関係を示す図である。温度センサ38が中性線バスバー36の丸穴46に挿入される前では、円柱状に形成されている凸部56の外形d1が、丸穴46の外形d2よりも僅かに大きい。従って、温度センサ38の組付過渡期には、温度センサ38が丸穴46に圧入されることとなる。これに伴い、温度センサ38が丸穴46に挿入された後は、温度センサ38が締まりばめ状態で中性線バスバー36に固定される。なお、凸部56の外形d1と丸穴46の外形d2との寸法差は、組付後において凸部56と丸穴46とが締まりばめされる程度の寸法に設定されている。
【0034】
これより、中性線バスバー36に温度センサ38を取り付けた状態で、これらが液状の樹脂に浸漬されるが、このとき温度センサ38が中性線バスバー36の丸穴46に締まりばめ状態で固定されているため、製造過渡期に温度センサ38が丸穴46からずれることが防止されて製造性が向上する。また、サーミスタ素子部48近傍の樹脂が中性線バスバー36に密着するため、温度センサ38と中性線バスバー36との間に空気や樹脂が入り込むことが抑制され、温度センサ38と中性線バスバー36との間に空気等が介在することによる熱抵抗が低減される。その結果、温度センサ38の温度追従性が向上する。
【0035】
上述のように、本実施例によれば、温度センサ38が中性線バスバー36に形成された丸穴46に挿入されるため、温度センサ38が丸穴46に挿入された分だけ、樹脂部40によって被覆される部位の厚みL1を薄くすることができる。その結果、樹脂の使用量が減少し、装置の体格が大型化するのを抑制することができる。
【0036】
また、本実施例によれば、温度センサ38の基部54から突き出す凸部56が丸穴46に挿入されるため、温度センサ38のうち丸穴46に挿入される部位の長さを常に一定にすることができる。また、温度センサ38は丸穴46に締まりばめ状態で挿入されるため、温度センサ38の中性線バスバー36への組付後に、温度センサ38が丸穴46から外れることが防止される。また、温度センサ38と中性線バスバー36とが密着状態になるため、温度センサ38の温度追従性を向上させることができる。また、走行中に常に電流が印加される中性線バスバー36に温度センサ38が取り付けられることで、温度センサ38による電動機MGの温度検出精度が向上する。
【0037】
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0038】
図6は、本発明の他の実施例に対応する中性線バスバー80および中性線バスバー80に取り付けられる温度センサ82の構造を示す図である。なお、中性線バスバー80および温度センサ82以外の構造については、前述した実施例と同じであるためその説明を省略する。また、中性線バスバー80が、本発明の導電部材に対応している。
【0039】
図6に示すように、中性線バスバー80には、温度センサ82が挿入される四角穴84が形成されている。四角穴84は、断面が正方形に形成されている。なお、四角穴84が、本発明の穴に対応している。
【0040】
温度センサ82は、サーミスタ素子部48と、サーミスタ素子部48を保護するための樹脂製のセンサケース86と、を備えている。センサケース86は、平板状の基部88と、中性線バスバー80の厚みよりも大きく基部88から垂直に突き出す凸部90と、を有する凸形状(段付形状)となっている。凸部90は、紙面上方に記載されたD-D断面図に示すように、外形が四角形(正方形)に形成されている。従って、中性線バスバー80の四角穴84に温度センサ82の凸部90を挿入することが可能になる。組付状態では、凸部90は、中性線バスバー80の四角穴84を貫通する。このように、温度センサ82が挿入される中性線バスバー80の穴(四角穴84)の形状が四角形に形成され、温度センサ82の凸部(凸部90)の外形形状が四角穴84の形状に合わせて四角形に形成されている。上記のように、形成される場合であっても、中性線バスバー80の四角穴84に温度センサ82の凸部90が挿入されることで、四角穴84に凸部90が挿入される分だけ樹脂部の厚みL1(図2参照)を薄くできる。その結果、樹脂の使用量を低減でき、また、冷却油に接触可能なコイルエンド24の表面積が増加することで、冷却油による電動機MGの冷却性能が向上する。
【0041】
また、温度センサ82が中性線バスバー80に組み付けられる前では、外形が四角柱に形成されている凸部90の一辺の寸法s1が、四角穴84の一辺の寸法s2よりも僅かに大きい。従って、温度センサ82の組付過渡機には、温度センサ82が四角穴84に圧入されることとなる。これに伴い、温度センサ82が四角穴84に挿入されると、温度センサ82が中性線バスバー80に締まりばめ状態で固定される。その結果、製造過渡期に温度センサ82が四角穴84からずれることが防止されたり、温度センサ82と中性線バスバー80とが密着状態となることで温度センサ82の温度追従性が向上したりする。上述のように、本実施例によっても、前述の実施例と同様の効果が得られる。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0043】
例えば、前述の実施例では、中性線バスバー36に形成される丸穴46は、真円形状に形成されるものであったが、楕円形状に形成されても構わない。また、これに合わせて、温度センサ38の凸部56の外形形状についても楕円形状に形成されても構わない。同じく、中性線バスバー80に形成される四角穴84は、正方形状に形成されるものであったが、長方形状に形成されても噛まない。また、これに合わせて、温度センサ82の凸部90の外形形状についても長方形状に形成されても構わない。さらには、中性線バスバーに形成される穴の形状は、円形状および四角形状に限定されず、例えば三角形状や台形形状など適宜変更されても構わない。同様に、温度センサの凸部の外形形状についても、穴の形状に応じて適宜変更されても構わない。
【0044】
また、前述の実施例では、中性線バスバー36に形成された丸穴46および中性線バスバー80に形成された四角穴84は、ともに中性線バスバー36、80を厚み方向に貫通する貫通穴であったが、中性線バスバーに形成される穴は必ずしも貫通穴に限定されない。例えば、切欠または所定の深さを有する穴であっても構わない。
【0045】
また、前述の実施例では、中性線バスバー36に形成された丸穴46および中性線バスバー80に形成された四角穴84は、ともに中性線バスバー36、80の内部に形成されるものであったが、中性線バスバーの縁に切欠を形成し、その切欠に温度センサが挿入されるものであっても構わない。すなわち、上記切欠は、中性線バスバーの縁に形成されて温度センサを嵌め着ける穴として機能する。
【0046】
また、前述の実施例では、温度センサ38、82のセンサケース50、86は、それぞれ基部54、88および凸部56、90からなる段付形状に形成されるものであったが、本発明は、必ずしも段付形状に限定されず、段付形状を有さない形状であっても構わない。これに伴って、温度センサ全体が中性線バスバーに形成された穴内に挿入されるものであっても構わない。すなわち、温度センサの少なくとも一部が、中性線バスバーに形成された穴に挿入されるものであればよい。
【0047】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
16:ステータ
18:ステータコア
20:ステータコイル(コイル)
22:スロット
26:溶接部
36、80:中性線バスバー(導電部材)
38、82:温度センサ
40:樹脂部
46:丸穴(穴)
54、88:基部
56、90:凸部
84:四角穴(穴)
MG:電動機
CL:回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6