(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】需要予測システム、需要予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241217BHJP
G06Q 30/0202 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q30/0202
(21)【出願番号】P 2022027886
(22)【出願日】2022-02-25
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】菅井 友駿
(72)【発明者】
【氏名】河村 芳海
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真
【審査官】野村 和史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-282906(JP,A)
【文献】特開2019-125048(JP,A)
【文献】特開2012-155684(JP,A)
【文献】特開2005-038098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0319259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを備えた需要予測システムであって、前記コンピュータが、
物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、
前記時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、
前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、
前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示す第1予測データを得る第1予測処理を実行し、
前記提供対象毎に、前記提供対象の前記実績データと前記提供対象が属する前記クラスタについての前記第1予測データとの差異を、前記提供対象について前記差異を回帰学習させた学習モデルに入力し、前記提供対象毎の前記差異の予測値を示すデータである第2予測データを得る第2予測処理を実行し、
前記提供対象毎に前記第1予測データと前記第2予測データとの和を算出することで、前記提供対象毎の需要予測値を示すデータである第3予測データを得る、
需要予測システム。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記抽出処理で前記トレンド成分のデータが抽出された後のデータである抽出後データに対し、前記クラスタ毎にトレンド成分を含むか否かを判定する判定処理を実行し、
前記判定処理の結果、少なくとも1つの前記クラスタについてトレンド成分を含むと判定された場合、前記実績データに代えて前記抽出後データに対して前記時系列クラスタリング処理及び前記抽出処理を、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定されるまで実行し、
前記パターン算出処理は、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定された段階で、前記実績データに代えて前記抽出後データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータを前記第1データとし、前記第1データを前記所定期間について統計処理を施すことで、前記パターンデータを算出する、
請求項1に記載の需要予測システム。
【請求項3】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、
前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理である、
請求項1又は2に記載の需要予測システム。
【請求項4】
前記第1予測処理は、前記抽出処理で抽出された前記トレンド成分のデータを多項式に近似する近似処理を含み、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記多項式が示すデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記第1予測データを得る、
請求項1~3のいずれか1項に記載の需要予測システム。
【請求項5】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記第2予測処理では、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の需要予測システム。
【請求項6】
前記提供対象は、
1又は複数の商品を構成する部品、
1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、
1又は複数の商品グループに属する商品、及び、
1又は複数のサービスグループに属するサービス、
のうちのいずれか1つである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の需要予測システム。
【請求項7】
コンピュータが、
物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、
前記時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、
前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、
前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示す第1予測データを得る第1予測処理を実行し、
前記提供対象毎に、前記提供対象の前記実績データと前記提供対象が属する前記クラスタについての前記第1予測データとの差異を、前記提供対象について前記差異を回帰学習させた学習モデルに入力し、前記提供対象毎の前記差異の予測値を示すデータである第2予測データを得る第2予測処理を実行し、
前記提供対象毎に前記第1予測データと前記第2予測データとの和を算出することで、前記提供対象毎の需要予測値を示すデータである第3予測データを得る、
需要予測方法。
【請求項8】
コンピュータに、
物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、
前記時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、
前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、
前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示す第1予測データを得る第1予測処理を実行し、
前記提供対象毎に、前記提供対象の前記実績データと前記提供対象が属する前記クラスタについての前記第1予測データとの差異を、前記提供対象について前記差異を回帰学習させた学習モデルに入力し、前記提供対象毎の前記差異の予測値を示すデータである第2予測データを得る第2予測処理を実行し、
前記提供対象毎に前記第1予測データと前記第2予測データとの和を算出することで、前記提供対象毎の需要予測値を示すデータである第3予測データを得る、
需要予測処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、需要予測システム、学習システム、需要予測方法、学習方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過去の時系列データに基づき予測を行う予測システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、平滑化した実績に対し、クラスタリングを実施し、クラスタ毎に予測器を作成しているため、予測時には時系列データがもつ短期的な変動の情報が欠落しており、精度の高い予測ができない。また、特許文献1に記載の技術では、スケールの異なる複数の時系列をクラスタリングすることも想定していない。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的は、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能な需要予測システム、需要予測方法、及びプログラムを提供すること、並びにかかる予測に用いる学習モデルを生成することが可能な学習システム、学習方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る需要予測システムは、物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、前記時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示す第1予測データを得る第1予測処理を実行し、前記提供対象毎に、前記提供対象の前記実績データと前記提供対象が属する前記クラスタについての前記第1予測データとの差異を、前記提供対象について前記差異を回帰学習させた学習モデルに入力し、前記提供対象毎の前記差異の予測値を示すデータである第2予測データを得る第2予測処理を実行し、前記提供対象毎に前記第1予測データと前記第2予測データとの和を算出することで、前記提供対象毎の需要予測値を示すデータである第3予測データを得る、ものである。前記需要予測システムは、このような構成により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能になる。
【0007】
前記需要予測システムは、前記抽出処理で前記トレンド成分のデータが抽出された後のデータである抽出後データに対し、前記クラスタ毎にトレンド成分を含むか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理の結果、少なくとも1つの前記クラスタについてトレンド成分を含むと判定された場合、前記実績データに代えて前記抽出後データに対して前記時系列クラスタリング処理及び前記抽出処理を、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定されるまで実行し、前記パターン算出処理は、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定された段階で、前記実績データに代えて前記抽出後データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータを前記第1データとし、前記第1データを前記所定期間について統計処理を施すことで、前記パターンデータを算出するようにしてもよい。
【0008】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理であってもよい。
【0009】
前記第1予測処理は、前記抽出処理で抽出された前記トレンド成分のデータを多項式に近似する近似処理を含み、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記多項式が示すデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記第1予測データを得るようにしてもよい。
【0010】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記第2予測処理では、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いるようにしてもよい。
【0011】
前記提供対象は、1又は複数の商品を構成する部品、1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、1又は複数の商品グループに属する商品、及び、1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つであるようにしてもよい。
【0012】
本開示の第2の態様に係る学習システムは、物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データと、前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行して分類されたクラスタ毎に得られた、前記提供対象が属するクラスタについての代表的な需要予測値を示すデータである第1予測データと、の差異を、回帰学習モデルに入力し、前記回帰学習モデルの回帰学習を実行し、前記回帰学習モデルが、運用時において、前記差異を入力して所定期間についての前記差異の予測値を出力するモデルとなるように更新し、前記第1予測データは、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出する第1予測処理を実行することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示すデータとして、得られたものである。前記学習システムは、このような構成により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能な需要予測システムで用いる学習モデルを生成することが可能になる。
【0013】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理であるようにしてもよい。
【0014】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記回帰学習モデルに入力される前記差異は、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いて算出された差異を用いるようにしてもよい。
【0015】
前記提供対象は、1又は複数の商品を構成する部品、1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、1又は複数の商品グループに属する商品、及び、1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つであるようにしてもよい。
【0016】
本開示の第3の態様に係る需要予測方法は、物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、前記時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示す第1予測データを得る第1予測処理を実行し、前記提供対象毎に、前記提供対象の前記実績データと前記提供対象が属する前記クラスタについての前記第1予測データとの差異を、前記提供対象について前記差異を回帰学習させた学習モデルに入力し、前記提供対象毎の前記差異の予測値を示すデータである第2予測データを得る第2予測処理を実行し、前記提供対象毎に前記第1予測データと前記第2予測データとの和を算出することで、前記提供対象毎の需要予測値を示すデータである第3予測データを得る、ものである。前記需要予測方法は、このような構成により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能になる。
【0017】
前記抽出処理で前記トレンド成分のデータが抽出された後のデータである抽出後データに対し、前記クラスタ毎にトレンド成分を含むか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理の結果、少なくとも1つの前記クラスタについてトレンド成分を含むと判定された場合、前記実績データに代えて前記抽出後データに対して前記時系列クラスタリング処理及び前記抽出処理を、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定されるまで実行し、前記パターン算出処理は、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定された段階で、前記実績データに代えて前記抽出後データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータを前記第1データとし、前記第1データを前記所定期間について統計処理を施すことで、前記パターンデータを算出するようにしてもよい。
【0018】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理であるようにしてもよい。
【0019】
前記第1予測処理は、前記抽出処理で抽出された前記トレンド成分のデータを多項式に近似する近似処理を含み、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記多項式が示すデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記第1予測データを得るようにしてもよい。
【0020】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記第2予測処理では、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いるようにしてもよい。
【0021】
前記提供対象は、1又は複数の商品を構成する部品、1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、1又は複数の商品グループに属する商品、及び、1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つであるようにしてもよい。
【0022】
本開示の第4の態様に係る学習方法は、物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データと、前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行して分類されたクラスタ毎に得られた、前記提供対象が属するクラスタについての代表的な需要予測値を示すデータである第1予測データと、の差異を、回帰学習モデルに入力し、前記回帰学習モデルの回帰学習を実行し、前記回帰学習モデルが、運用時において、前記差異を入力して所定期間についての前記差異の予測値を出力するモデルとなるように更新し、前記第1予測データは、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出する第1予測処理を実行することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示すデータとして、得られたものである。前記学習方法は、このような構成により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能な需要予測システムで用いる学習モデルを生成することが可能になる。
【0023】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理であるようにしてもよい。
【0024】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記回帰学習モデルに入力される前記差異は、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いて算出された差異を用いるようにしてもよい。
【0025】
前記提供対象は、1又は複数の商品を構成する部品、1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、1又は複数の商品グループに属する商品、及び、1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つであるようにしてもよい。
【0026】
本開示の第5の態様に係るプログラムは、コンピュータに、物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、前記時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示す第1予測データを得る第1予測処理を実行し、前記提供対象毎に、前記提供対象の前記実績データと前記提供対象が属する前記クラスタについての前記第1予測データとの差異を、前記提供対象について前記差異を回帰学習させた学習モデルに入力し、前記提供対象毎の前記差異の予測値を示すデータである第2予測データを得る第2予測処理を実行し、前記提供対象毎に前記第1予測データと前記第2予測データとの和を算出することで、前記提供対象毎の需要予測値を示すデータである第3予測データを得る、需要予測処理を実行させるためのプログラムである。前記プログラムは、このような構成により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能になる。
【0027】
前記需要予測処理は、前記抽出処理で前記トレンド成分のデータが抽出された後のデータである抽出後データに対し、前記クラスタ毎にトレンド成分を含むか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理の結果、少なくとも1つの前記クラスタについてトレンド成分を含むと判定された場合、前記実績データに代えて前記抽出後データに対して前記時系列クラスタリング処理及び前記抽出処理を、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定されるまで実行し、前記パターン算出処理は、前記判定処理でトレンド成分を含まないと判定された段階で、前記実績データに代えて前記抽出後データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータを前記第1データとし、前記第1データを前記所定期間について統計処理を施すことで、前記パターンデータを算出するようにしてもよい。
【0028】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理であるようにしてもよい。
【0029】
前記第1予測処理は、前記抽出処理で抽出された前記トレンド成分のデータを多項式に近似する近似処理を含み、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記多項式が示すデータとの和を算出することで、前記クラスタ毎に前記第1予測データを得るようにしてもよい。
【0030】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記第2予測処理では、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いるようにしてもよい。
【0031】
前記提供対象は、1又は複数の商品を構成する部品、1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、1又は複数の商品グループに属する商品、及び、1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つであるようにしてもよい。
【0032】
本開示の第6の態様に係るプログラムは、コンピュータに、物品又はサービスである提供対象について、複数種類の提供対象のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データと、前記提供対象毎の前記実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行して分類されたクラスタ毎に得られた、前記提供対象が属するクラスタについての代表的な需要予測値を示すデータである第1予測データと、の差異を、回帰学習モデルに入力し、前記回帰学習モデルの回帰学習を実行し、前記回帰学習モデルが、運用時において、前記差異を入力して所定期間についての前記差異の予測値を出力するモデルとなるように更新し、前記第1予測データは、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記クラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記実績データから前記トレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、前記所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、前記クラスタ毎に、前記パターンデータと前記トレンド成分のデータとの和を算出する第1予測処理を実行することで、前記クラスタ毎に前記クラスタに属する前記提供対象の代表的な需要予測値を示すデータとして、得られたものである、学習処理を実行させるプログラムである。前記プログラムは、このような構成により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能な需要予測システムで用いる学習モデルを生成することが可能になる。
【0033】
前記所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、前記統計処理は、前記クラスタ毎に、所定年数分の前記第1データにおける前記所定期間について、前記第1データの統計値を算出する処理であるようにしてもよい。
【0034】
前記時系列クラスタリング処理、前記抽出処理、及び前記パターン算出処理では、前記実績データとして、前記複数種類の提供対象について標準化がなされたデータを用い、前記回帰学習モデルに入力される前記差異は、前記実績データとして前記標準化がなされる前のデータを用いて算出された差異を用いるようにしてもよい。
【0035】
前記提供対象は、1又は複数の商品を構成する部品、1又は複数の商品を製造する場合に用いる、所定量の材料、1又は複数の商品グループに属する商品、及び、1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本開示により、物品又はサービスである提供対象の需要について、複数種類の提供対象についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能な需要予測システム、需要予測方法、及びプログラムを提供すること、並びにかかる予測に用いる学習モデルを生成することが可能な学習システム、学習方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本実施の形態に係る需要予測システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の需要予測システムで実行される需要予測処理における大域的な予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図3】
図1の需要予測システムで実行される需要予測処理における部品毎の予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図4】
図3の部品毎の予測処理で使用される変数の一例を示す図である。
【
図5】
図2の大域的な予測処理における時系列クラスタリング処理の結果の一例を示す図である。
【
図6】
図2の大域的な予測処理における時系列クラスタリング処理の結果の一例を示す図である。
【
図7】
図2の大域的な予測処理における時系列クラスタリング処理の結果の一例を示す図である。
【
図8】
図2の大域的な予測処理において算出された年単位の需要パターンの一例を示す図である。
【
図9】
図2の大域的な予測処理において算出された年単位の需要パターンの一例を示す図である。
【
図10】
図3の部品毎の予測処理において算出された或る部品の予測結果の一例を示す図である。
【
図11】
図3の部品毎の予測処理において算出された他の或る部品の予測結果の一例を示す図である。
【
図12】本実施の形態に係る需要予測システムで使用される学習モデルを生成する学習システムの一構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図12の学習システムにおける学習処理の一例を説明するためのフロー図である。
【
図14】装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施の形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0039】
(実施の形態)
図1~
図11を参照して、本実施の形態に係る需要予測システムの一構成例について説明する。まず、本実施の形態に係る需要予測システムの一構成例について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る需要予測システム(以下、本システム)の一構成例を示すブロック図である。
【0040】
図1に示す本システム10では、物品又はサービスである提供対象についての需要を予測する。以下、提供対象として、例えば1種類又は複数種類の自動車などのような1又は複数の商品を構成する、例えばエンジンの各パーツ、座席シートのパーツ、運転操作部のパーツ、制御装置のパーツなどのような部品を挙げて説明する。部品としては、例えば、新規販売商品に対して必要な部品と、修理時や定期的なメンテナンス時などで交換される部品(サービスパーツ)と、の少なくとも一方が挙げられる。なお、提供対象となり得る他の例については、代替例として後述する。
【0041】
図1に示すように、本システム10は、実績データ標準化部11、時系列クラスタリング部12、需要パターン算出部13、大域予測モデル生成部14、残差算出部15、残差予測モデル生成部16、及び需要予測値算出部17を備えることができる。
【0042】
本システム10は、各部11~17を制御部として備えることができる。この制御部は、例えば、集積回路(Integrated Circuit)によって実現されることができ、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、作業用メモリ、及び不揮発性の記憶装置などによって実現されることができる。この記憶装置にプロセッサによって実行される制御用のプログラムを格納しておき、プロセッサがそのプログラムを作業用メモリに読み出して実行することで、この各部11~17の機能を果たすことができる。
【0043】
実績データ標準化部11は、複数種類の部品のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データを入力し、入力した部品毎の実績データを標準化し、時系列クラスタリング部12に渡す。入力される実績データは、部品の販売又は予約等の実績の個数が時系列データとして、その部品を示す識別情報等の情報に関連付けられていればよい。また、上記複数種類の部品についての処理を実行するため、部品を示す識別情報等の情報には、考慮に入れる他種の部品を示す識別情報、あるいは考慮に入れるグループ名などを含んでおくとよい。
【0044】
時系列クラスタリング部12は、実績データ標準化部11から受け取った部品毎の実績データ、つまり標準化後の部品毎の実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行し、需要パターン算出部13に渡す。この時系列クラスタリング処理の手法は問わない。
【0045】
需要パターン算出部13は、時系列クラスタリング部12でなされた時系列クラスタリング処理により分類されたクラスタ毎に、標準化後の実績データからクラスタのトレンド成分のデータを抽出する抽出処理を実行し、大域予測モデル生成部14に渡す。抽出されるトレンド成分のデータは、長期的なトレンドを示すトレンド成分のデータを含むことができる。
【0046】
また、需要パターン算出部13は、クラスタ毎に、標準化後の実績データからトレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、パターンデータを算出するパターン算出処理を実行し、大域予測モデル生成部14に渡す。算出されるパターンデータは、所定期間についての需要パターンを示すデータとなる。この統計処理の種類は問わない。
【0047】
大域予測モデル生成部14は、受け取ったトレンド成分のデータとパターンデータとに対し、クラスタ毎に、パターンデータとトレンド成分のデータとの和を算出することで、第1予測データを得る第1予測処理を実行し、残差算出部15及び需要予測値算出部17に渡す。
【0048】
大域予測モデル生成部14で得られる第1予測データは、クラスタ毎にクラスタに属する部品の代表的な需要予測値を示すデータとなる。代表的な需要予測値は、クラスタ内の部品について共通の需要予測値を指すことになる。上述のように抽出されるトレンド成分のデータは、長期的なトレンドを示すトレンド成分のデータを含むことができ、よって、第1予測データは長期的な予測結果を示す予測データを含むことができる。
【0049】
残差算出部15は、部品毎に、部品の標準化前の実績データとその部品が属するクラスタについての第1予測データとの差異を算出し、残差予測モデル生成部16に渡す。
【0050】
残差予測モデル生成部16は、残差算出部15から受け取った部品毎の差異(残差)を、回帰学習させて残差予測モデル(残差モデル)を生成する。但し、本システム10において、残差予測モデル生成部16は、分離して構成しておくこともでき、事前に生成された残差モデルを需要予測値算出部17が参照して後述の第2予測処理を実行することもできる。
【0051】
需要予測値算出部17は、この残差モデルに、残差算出部15から受け取った部品毎の残差を入力し、第2予測データを得る第2予測処理を実行する。第2予測データは、部品毎の残差の予測値を示すデータであり、部品毎の今後発生し得る残差の予測値(予測誤差値)を示すデータとなる。特に、第2予測データは、部品毎の、今後短期的に発生し得る残差の予測値を示すデータを含むことができる。
【0052】
そして、需要予測値算出部17は、この第2予測データと大域予測モデル生成部14から受け取った第1予測データとに基づき、部品毎に第1予測データと第2予測データとの和を算出することで、第3予測データを得る。得られる第3予測データは、部品毎の需要予測値を示すデータである。
【0053】
また、本システム10が実績データ標準化部11を備えた例を挙げたように、時系列クラスタリング処理、抽出処理、及びパターン算出処理では、実績データとして、複数種類の部品について標準化がなされたデータを用いることができる。このとき、残差算出処理及び第2予測処理では、実績データとして標準化がなされる前のデータを用いることができる。このように、第2予測処理において、残差モデルに入力される残差は、実績データとして標準化がなされる前のデータを用いて算出された差異を用いることができる。
【0054】
但し、実績データの標準化は本システム10の内部で行わなくてもよく、その場合、標準化後の実績データと標準化前の実績データとを入力する入力部を需要予測システムに搭載しておけば、例示したような処理が可能となる。無論、対象となる複数種類の部品について各部品の実績データが標準化が不要な場面も想定でき、その場合には全ての処理において標準化しない実績データを用いることもできる。
【0055】
各部11~17における処理の具体例については、
図2~
図11を参照しながら以下に説明するが、本実施の形態では、上述のような構成を採用することで、部品の需要について、複数種類の部品についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することができるようになる。
【0056】
本システム10における処理の具体例について説明する。以下、部品がサービスパーツのみであることを想定して説明を行うが、部品が新規販売部品であっても、サービスパーツ及び新規販売部品の双方を含むものであって基本的な処理は同様である。また、以下では、年単位の処理例を挙げる。即ち、以下の処理例において、所定期間は、1年のうちの日にち又は月で開始日及び終了日が表される期間であり、統計処理は、クラスタ毎に、所定年数分の第1データにおける所定期間について、第1データの統計値を算出する処理である例を挙げる。但し、所定期間や統計処理についてはこの例に限ったものではなく、提供対象によって適切な所定期間や統計処理を選択するとよい。なお、所定期間が月で表される期間である場合、例えば開始月の初日を開始日とし終了月の初日又は末日を終了日とすること、あるいは開始月の中日(例えば16日)を開始日とし終了月の中日(例えば15日)を終了日とすることができる。但し、これらの日に限らず指定された月のどの日を開始日や終了日として採用するかを予め決めておけばよい。
【0057】
本システム10における処理は、
図1の説明からもわかるように、大域的な予測処理と単一部品に対する予測処理とでなる2段階の階層型の処理とすることができる。
【0058】
大域的な予測処理では、例えば、時系列の類似度を算出し、時系列データの季節変動による周期性等の特徴量が類似している幾つかのクラスタに分類することで、各クラスタを代表する情報としてクラスタ中心需要パターンを算出し、この需要パターンから大域的な特性を捉えた需要予測を実施する。
【0059】
単一部品に対する予測処理では、単一部品に対する特性を考慮する。つまり、単一部品に対する予測処理では、例えば、時系列クラスタリング処理によって得られた特性を基にした需要予測と実績との残差をモデル化する。そして、単一部品に対する予測処理では、大域的な予測処理で得られた大域的な予測結果と残差の予測結果の和をとることで、単一部品に対する需要予測を実施する。
【0060】
まず、
図2を参照しながら、大域的な予測処理の一例の詳細について説明する。
図2は、本システム10で実行される需要予測処理における大域的な予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0061】
部品には1年(12ヶ月)の季節性による周期変動とさらに短期的な周期変動のほかに、ランダムウォークと呼ばれるノイズ成分をもつ。そこで、大域的な予測処理として、類似部品を集約し、平均を取ることでノイズを除去し、集約された需要の傾向を予測に活用する。
【0062】
まず、時系列クラスタリング部12が、標準化された実績データを時系列クラスタリングする時系列クラスタリング処理を実行する(ステップS1)。この時系列クラスタリング処理では、時系列変化が類似する部品同士を同一グループに分類する。ここでは例として、Ward法による時系列クラスタリング処理を実施する例を挙げる。但し、時系列データに対するクラスタリング手法はWard法に限ったものではなく、例えば、類似度を測る距離関数の違いを用いた、最短距離法や群平均法なども適用できる。また、時系列データに対するクラスタリング手法としては、非階層型の手法としてKmeans法なども適用できる。本実施の形態では、予めクラスタ数を設定する必要が無く且つ分類感度が高いWard法を用いる例を挙げている。
【0063】
Ward法は以下のステップで解析される。
1.データ数をNとし、1個のデータだけを含むクラスタをN個作成する。
2.クラスタをC1,C2とし、その距離関数類似度をd(C1,C2)と定義する。
3.d(C1,C2)が最も小さい2つのクラスタを結合する。
4.全ての対象が2つのクラスタになるまで逐次的に解析し、階層的構造デンドログラムを作成する。
【0064】
ここで、Ward法では、距離関数d(C1,C2)が以下の式(1)のように定義される。但し、式(1)においてE(C1)は式(2)で定義される。ここで、c1はC1の重心、yのオーバーラインは標準化された時系列を表し、c1を基準にベクトル間の距離として用いられるユークリッド距離Dを使って求められる。
【0065】
【0066】
次に、時系列クラスタリング部12が、トレンド成分の抽出と多項式近似を実行し、トレンド成分を含むか否かを判定し(ステップS2)、トレンド成分を含む場合、つまりステップS2でYESの場合には、トレンド成分Tの抽出を行う(ステップS3)。
【0067】
時系列クラスタリング部12は、ステップS2でトレンド成分を含むと判定した場合、ステップS3の処理後、その判定内容を必要に応じて確認し(ステップS4)、トレンド成分を含む場合、つまりステップS4でYESとなった場合にはステップS1に戻り、再度、時系列クラスタリング処理を行う。このように、本システム10では、季節性などの周期変動の特性を需要パターンとして抽出するため、時系列クラスタリング処理の結果から、トレンド成分を含むクラスタにおいてはトレンド成分の抽出を行い、再度、時系列クラスタリング処理を行う。
【0068】
そのために、本システム10では、時系列データの分解を実施する。一般的に時系列データUはトレンドをT、季節変動をS、そしてその余剰項をRとして、それらの加法式として定義できる。そこで、本実施の形態では、時系列データUをそれぞれT,S,Rに分解できるSTL分解(Seasonal Decomposition Of Time Series By Loess)を用いて、トレンド成分Tの抽出を行う。STL分解は他の分解法と比較し、季節変動を制約する必要がなく外れ値に堅牢であり、ロバストな分解が可能である。したがって、突発な受注実績も含まれる補給部品の時系列データに対して有意である。但し、本実施の形態では、STL分解以外の手法で時系列データの分解を実施することもでき、特に、所定期間がここで説明する例と異なればそれに対応した分解を実施することができる。
【0069】
ステップS4でNOとなった場合、時系列クラスタリング部12が、抽出したトレンド成分Tに対して多項式近似を実施して、近似式を算出する(ステップS5)。このような算出を行う理由は、将来の需要を予測するために、外挿が必要であるためである。ここでは、一例として、3次の多項式回帰を実施し、近似関数を算出するものとするが、これに限ったものではない。
【0070】
このように、本システム10では、抽出処理でトレンド成分のデータが抽出された後のデータである抽出後データに対し、クラスタ毎にトレンド成分を含むか否かを判定する判定処理を実行することができる。そして、本システム10では、その判定処理の結果、少なくとも1つのクラスタについてトレンド成分を含むと判定された場合、実績データに代えて抽出後データに対して時系列クラスタリング処理及び抽出処理を、判定処理でトレンド成分を含まないと判定されるまで実行する。
【0071】
ステップS2でNOとなった場合、つまりトレンド成分の抽出が終了した場合、需要パターン算出部13が、需要パターンの生成を行う。需要パターンの生成処理では、例えば、得られた時系列クラスタリング処理の結果から、各クラスタを代表する時系列を見つけ活用する。需要パターンの算出手法としては、例えば、クラスタ内の分布の中でそれ以外のクラスタ内の時系列との非類似度の総和が最小になる時系列を算出する手法や、クラスタ内の平均値を代表時系列とする手法など、様々な手法が採用できる。
【0072】
本実施の形態では、例として、需要パターン算出部13が、各クラスタに属する部品の受注実績の平均値を代表時系列として算出し(ステップS6)、この代表時系列から同月毎の平均を取り、年単位の需要パターン(Zのオーバーライン)を、以下の式(3)で算出する(ステップS7)。
【0073】
【0074】
なお、ここで、kはクラスタ番号、lは年、mは月を表し、Lは学習期間の年数、Nkはクラスタ内に属する部品の品番数である。また、yi,k,l,mのオーバーラインはクラスタ内に属する標準化された時系列データの実数値を表す。
【0075】
このように、需要パターン算出部13は、パターン算出処理として、判定処理でトレンド成分を含まないと判定された段階で、実績データに代えて抽出後データからトレンド成分のデータを抽出して残ったデータを第1データとし、第1データを所定期間について統計処理を施すことで、パターンデータを算出することができる。
【0076】
ステップS5,S7の処理が終了した段階で、最後に、大域予測モデル生成部14が、年単位の需要パターン(Zのオーバーライン)とトレンド成分の近似関数(Tのハット(^))との和より分析期間中の、各部品の大域的な需要予測を行い(ステップS8)、大域的な予測処理を終了する。
【0077】
このように、大域的な予測処理である第1予測処理は、抽出処理で抽出されたトレンド成分のデータを多項式に近似する近似処理を含み、クラスタ毎に、パターンデータと多項式が示すデータとの和を算出することで、クラスタ毎に第1予測データを得ることができる。
【0078】
上述した大域的な予測処理では、サービスパーツの長期的な線形依存性と周期的な季節変動を表現することができ、類似部品を考慮した予測が可能である。しかしながら、これだけでは単一部品に対して十分な精度で将来の需要を予測することは難しい。その理由は、1、2か月の季節変動の違いや、さらに小さい変動が混在するなど、部品ごとに需要特性に差異があるためである。
【0079】
そのため、本システム10は、単一部品に対する予測処理として、上述した第2予測処理、及び、第1予測データと第2予測データとの和の算出処理を行う。具体的には、本システム10は、単一部品に対する予測処理として、トレンドの多項式回帰と年単位の需要パターンの和による大域予測と各部品の各実績との差をモデル化する。
【0080】
以下、
図3~
図11を参照しながら、単一部品に対する予測処理の一例の詳細について説明する。
図3は、本システム10で実行される需要予測処理における部品毎の予測処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0081】
まず、残差算出部15が大域予測と実績との差異(残差)を算出する(ステップS11)。この残差ei,mは、例えば以下の式(4)のように定義することができる。ここでyi,mは受注実績であり、Zkのオーバーラインはクラスタリングによって得られた年単位の需要パターンである。また、ここでのTiのハット(^)は多項式回帰で予測されたトレンド成分であり、それぞれを標準化前の値に戻している。
【0082】
【0083】
次いで、残差予測モデル生成部16が、残差算出部15から受け取った部品毎の残差を、残差予測モデル(残差モデル)に入力する。この残差モデルは、残差からの特徴ベクトルを抽出する特徴抽出処理と、抽出した特徴ベクトルを回帰学習するための学習モデルである。そして、残差予測モデル生成部16が、入力された残差に対し、残差の特徴ベクトルを抽出する(ステップS12)とともに、残差の特徴ベクトルを回帰学習して残差モデルを更新する(ステップS13)。
【0084】
この残差モデルは、上記の式(5)のように定義されることができる。ここで、fは残差を予測対象とした関数である。関数fは、ニューラルネットワークや勾配ブースティング木などを用いることができるが、これに限ったものではない。
【0085】
また、x
nは過去の残差や月などの時間項を定義する。また、x
1,x
2,・・・,x
nは例えば、
図4で例示するような設計変数を持つことができる。
図4は
図3の部品毎の予測処理で使用される変数の一例を示す図である。
図4では、設計変数として、4ヶ月以前から13ヶ月前の過去の残差実績を設定するとともに、実績と時間の関係を特徴量(特徴ベクトル)とするために、月数、及び、月数を三角関数によって循環変数にした値を設定している。
【0086】
次いで、需要予測値算出部17が、対象となる部品の残差を上記の残差モデルに入力して、残差の予測値を得る(ステップS14)。次いで、需要予測値算出部17が、予測された残差である残差の予測値と大域予測された値との和を算出することで、その部品の需要予測値を算出して出力し(ステップS15)、処理を終了する。式(5)の予測値をei,mのハット(^)とすると、出力される最終的な需要予測値は上記の式(6)で示されることができる。
【0087】
次に、本システム10で或るサービスパーツについて需要予測を実施した結果について、
図5~
図11を参照しながら説明する。ここでは、一適用例として、季節変動のある約9000個のサービスパーツに対して、時系列クラスタリング処理を施し、そのうち約1割の910個のサービスパーツに対して、需要予測を実行する。
【0088】
まず、
図5~
図9を参照しながら需要予測結果の例を挙げる。
図5~
図7は、
図2の大域的な予測処理における時系列クラスタリング処理の結果の一例を示す図で、
図8及び
図9は、
図2の大域的な予測処理において算出された年単位の需要パターンの一例を示す図である。
図5~
図9では、横軸に時期(目盛は6ヶ月単位)を示し、縦軸にクラスタ内の各部品の受注量(標準化後の受注量)を示している。なお、
図5~
図9では、簡略化のために、910個分のデータより大幅に図示するデータを省略し且つデータの様子が定性的に分かる程度にデフォルメした状態で図示している。
【0089】
まず、標準化後の時系列実績データに対し時系列クラスタリング処理を施すことにより、
図5~
図7のそれぞれで示す合計3つのクラスタが生成されているのが分かる。そして、
図5で示すクラスタからトレンド成分を抽出して年単位の需要パターンを算出した結果、
図8において実線で示すような需要パターンが生成されているのが分かる。
図5と
図8を比較すると、このクラスタにはトレンド成分が存在していなかったことが見てとれる。一方で、
図6で示すクラスタからトレンド成分を抽出して年単位の需要パターンを算出した結果、
図9において実線で示すような需要パターンが生成されているのが分かる。
図6では全体的に右下がりの傾向(トレンド成分)にあったものの、
図9ではこのトレンド成分が抽出された後であることが見てとれる。
【0090】
次に残差を算出して、残差モデルを構築し、精度検証を実施した。その結果について、
図10及び
図11を参照しながら説明する。
図10は、
図3の部品毎の予測処理において算出された或る部品の予測結果の一例を示す図で、
図11は、
図3の部品毎の予測処理において算出された他の或る部品の予測結果の一例を示す図である。なお、
図10及び
図11では、横軸に時期(6ヶ月単位)を示し、縦軸に受注量を示しており、実線は実際の受注量を示し、点線は予測された受注量を示している。
【0091】
設計変数としては、
図4で示したように、4ヶ月以前から13ヶ月前の過去の残差実績を設定する。さらに、設計変数としては、実績と時間の関係を特徴量とするために、月数、及び、月数を三角関数によって循環変数にした値を設定している。
【0092】
また、この例では、残差モデルの汎化性能を評価するために予測期間を次のCV1,CV2,CV3で示すように3分割し、時系列交差検証を実施した。CV1では、学習期間を2017年8月~2020年5月、テスト期間を2020年6月~2020年9月とした。CV2では、学習期間を2017年8月~2020年9月、テスト期間を2020年10月~2021年1月とした。CV3では、学習期間を2017年8月~2021年1月、テスト期間を2021年2月~2021年5月とした。
【0093】
また、評価指標は以下の式(7)を用いた。式(7)を用いることで、予測月から過去1年間の実績の平均で標準化された予測誤差を算出できる。
【0094】
【0095】
次に、許容誤差Errorを-0.3≦Error≦0.5とし、予測対象とした910部品中、全てのテスト期間で予測精度が許容誤差範囲内である部品数の割合から評価を実施した。許容誤差は、人が修正を実施した後の誤差と同等であること、また欠品のリスクを減らし、且つ、在庫過多でも適切な在庫数+50まで管理可能なことから、上記の範囲を許容誤差としている。
【0096】
比較対象として、単一部品毎に、回帰モデルを構築し、予測した結果を用いた。評価の結果、比較対象の手法の正解率が0%であるのに対し、本システム10による需要予測では精度が向上し、全体の26.7%の部品で許容誤差範囲内での予測を可能であることが明らかになった。
図10及び
図11では、本システム10による需要予測を実行し、許容誤差範囲内での予測ができた2つの部品についての予測結果を示しているが、いずれも高い予測精度で需要予測が実行できていることが分かる。
【0097】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、部品の需要について、複数種類の部品についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能になる。より具体的には、本実施の形態によれば、単一部品に対して、複数種類の部品の需要についての長期的なトレンドや季節等による周期的な変動を考慮に入れて需要を予測できるだけでなく、単一部品の需要特性も考慮して十分な精度で将来の需要を予測することができる。
【0098】
本実施の形態の具体的な適用場面の一例について、本実施の形態による効果を考察する。例えば、サービスパーツは、お客様の信頼を得るためには、製造責任による部品の取り換えは言うまでもなく、事故による部品交換や定期的な消耗品交換などに対応して、タイムリーに供給する必要がある。サービスパーツは経年変化によるトレンド成分だけではなく、季節変動のような周期的な変動を持つ。さらに、部品それぞれの特性に応じて、季節性よりもさらに小さい周期性やノイズ成分を持つ。したがって、適切な在庫管理のためには、毎月の需要数を高精度に予測する必要がある。しかし、このような問題点から、短期的な時系列の変動を含めた個々の部品の需要に対して正確な予測が困難となる可能性や、スケールが異なる需要特性に対して正確にクラスタリングができない可能性がある。
【0099】
これに対し、本実施の形態では、部品間の類似する特性の情報を活用するために、標準化した時系列データに対するクラスタリングによる需要特性を抽出する大域予測と、各クラスタの単一部品における残差のモデル化による予測を組み合わせた予測手法を用いている。つまり、本実施の形態では、トレンド成分の抽出と需要特性の類似度の高い部品毎の需要パターンを算出し、大域的な需要予測を実施し、さらに、大域的な需要予測の結果と実績との残差から、各サービスパーツ特有の特性を予測対象とすることで、各パーツの予測を実施している。そのため、本実施の形態では、上記の問題点に起因する正確な予測が困難になる可能性や正確なクラスタリングができない可能性を低減させることができ、サービスパーツの欠品や過剰在庫のリスクを低減することができる。
【0100】
次に、
図12及び
図13を参照しながら、上述した学習モデル(残差モデル)を生成する学習システムの一例について説明する。
図12は、需要予測システム10で使用される学習モデルを生成する学習システムの一構成例を示すブロック図である。また、
図13は、
図12の学習システムにおける学習処理の一例を説明するためのフロー図である。
【0101】
図12に示すように、学習システム50は、制御部51、記憶部52、及び入力部53を備えることができる。学習システム50は、
図1の残差予測モデル生成部16として説明したシステムに相当し、例えば、AI(Artificial Intelligence)学習用のPC等のコンピュータを利用して生成されることができる。但し、学習システム50は、単体の装置で構成しても複数の装置に機能を分散して構成してもよい。
【0102】
制御部51は、学習システム50の全体を制御する。制御部51は、例えば、集積回路によって実現されることができ、例えばCPU等のプロセッサ、作業用メモリ、及び不揮発性の記憶装置などによって実現されることができる。この記憶装置にプロセッサによって実行される制御用のプログラムを格納しておき、プロセッサがそのプログラムを作業用メモリに読み出して実行することで、制御部51の機能を果たすことができる。この制御用のプログラムには、学習を実行する学習プログラムを含むことができる。なお、この記憶装置は、記憶部52を利用することもできる。
【0103】
記憶部52は、残差を示すデータである残差データ52a及び学習モデル52bを記憶する記憶装置であり、これらは例えばデータベース形式で記憶されることができる。入力部53は、学習に必要なデータセット、少なくとも残差データ52aを入力し、学習時に参照できるように記憶部52に記憶する。残差データ52aは、学習が教師有り学習を含む場合には正解データも含めておくとよい。
【0104】
学習システム50による処理は、
図13に示したように、まず、制御部51が入力部53から残差データ52aを入力し(ステップS21)、回帰学習を実行する(ステップS22)ことでなされる。例えば、制御部51は、学習時に残差データ52aを読み込み、学習モデル52bに基づく学習を実行させ、学習モデル52bを更新することができる。
【0105】
学習モデル52b及びそれによる回帰学習については、
図3等を参照しながら説明した通りであり、第2予測処理で用いる学習モデルを生成できればよく、その詳細な説明を省略するが、制御部51は、以下のような処理を実行することになる。
【0106】
制御部51は、複数種類の部品のそれぞれについての時系列の需要実績数を含む実績データと、部品毎の実績データに対し、時系列クラスタリング処理を実行して分類されたクラスタ毎に得られた、部品が属するクラスタについての代表的な需要予測値(部品の代表的な需要予測値)を示すデータである第1予測データと、の残差を、回帰学習モデルに入力する。そして、制御部51は、この回帰学習モデルの回帰学習を実行し、回帰学習モデルを更新する。この更新は、回帰学習モデルが、運用時において、上記残差を入力して所定期間についての残差の予測値を出力するモデルとなるように実行される。
【0107】
ここで、第1予測データは、上述したように、抽出処理、パターン算出処理、及び第1予測処理を実行することで、クラスタ毎にクラスタに属する部品の代表的な需要予測値を示すデータとして、得られたものである。上記抽出処理は、クラスタ毎に、実績データからクラスタのトレンド成分のデータを抽出する処理である。上記パターン算出処理は、クラスタ毎に、実績データからトレンド成分のデータを抽出して残ったデータである第1データを所定期間について統計処理を施すことで、所定期間についての需要パターンを示すパターンデータを算出する処理である。上記第1予測処理は、クラスタ毎に、パターンデータとトレンド成分のデータとの和を算出する処理である。
【0108】
学習システム50は、このような構成により、部品の需要について、複数種類の部品についての時系列スケールの異なる変動も考慮して、十分な精度で予測することが可能な需要予測システムで用いる学習モデルを生成することが可能になる。
【0109】
(代替例等)
【0110】
上記実施の形態では、提供対象について、1又は複数の商品を構成する部品を、自動車を例として挙げたが、商品は自動車に限ったものではなく、他種の機器、他種の日用品、他種の食料品など、どのような商品であってもよい。例えば、商品がお菓子の場合には、お菓子の材料、包装などが部品として挙げられる。
【0111】
また、上記の実施の形態では、提供対象として1又は複数の商品を構成する部品を例に挙げた。但し、提供対象は、例えば、(a)1又は複数の商品を構成する部品、(b)1又は複数の商品を製造する場合に用いる所定量の材料、(c)1又は複数の商品グループに属する商品、及び、(d)1又は複数のサービスグループに属するサービス、のうちのいずれか1つとすることができる。
【0112】
上記(b)としては、例えば、1種類又は複数種類の自動車などの1又は複数の商品を製造する場合に用いる、例えば一斗缶の塗料等の所定量の材料が例示できる。上記(c)としては、例えばチョコレート菓子などの1又は複数の商品グループに属する商品が例示でき、この場合の商品としては例えばアーモンドチョコレート、板チョコレートなどが挙げられ、具体的には商品名で区別することができる。上記(d)としては、例えば人を移動させるサービスグループなど、1又は複数のサービスグループについて、1又は複数のサービスグループに属するサービスが例示でき、この場合のサービスとしては、例えば、電車、特急電車、バス、タクシーなどが挙げられる。これにより、例えばMaaS(Mobility as a Service)車両を利用したサービスの需要予測が可能になる。無論、上記(a)~(d)については、上述した例以外にも様々な例が適用できる。
【0113】
また、上述した学習システムに限らず、上述した需要予約システムも、任意に機能を複数の装置に分散させたシステムとして構築することも、単体の装置で構築することもできる。これらの複数の装置や単体の装置はいずれも、例えば次のようなハードウェア構成を有することができる。
図14は、かかる装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0114】
図14に示す装置100は、いずれも、プロセッサ101、メモリ102、及びインタフェース103を備えることができる。例えば、装置100がコンピュータである場合、インタフェース103は、ユーザ操作を受け付ける操作機器とのインタフェース、情報を表示する表示機器とのインタフェース、情報の送受のための通信インタフェースなどを含むことができる。
【0115】
プロセッサ101は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPUなどであってもよい。プロセッサ101は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ102は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。上述した複数の装置や単体の装置における機能は、プロセッサ101がメモリ102に記憶された制御用のプログラムを読み込んで、インタフェース103を介して必要な情報をやり取りしながら実行することにより実現される。
【0116】
このプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0117】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0118】
10 需要予測システム
11 実績データ標準化部
12 時系列クラスタリング部
13 需要パターン算出部
14 大域予測モデル生成部
15 残差算出部
16 残差予測モデル生成部
17 需要予測値算出部
50 学習システム
51 制御部
52 記憶部
52a 残差データ
52b 学習モデル
53 入力部
100 装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 インタフェース