(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電力システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20241217BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241217BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J3/38 110
H02J13/00 301A
H02J13/00 311A
(21)【出願番号】P 2022062761
(22)【出願日】2022-04-05
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝田 浩司
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299264(JP,A)
【文献】特開2004-314691(JP,A)
【文献】特開2018-107981(JP,A)
【文献】特開2014-068439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0161859(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力網の電力を変電する配電用変圧器に接続された複数の住宅と、
前記複数の住宅の各々に設置された電気負荷と、
前記電気負荷に関する情報を受信可能なサーバとを備え、
前記電気負荷は、所定値以上の突入電流あるいは始動電流を伴う起動を要求する起動要求を発信するとともに、前記起動要求に対する起動許可指令に基づいて、前記起動を行うよう構成されており、
前記サーバは、前記複数の住宅に設置された前記電気負荷から、同時に、前記起動要求を受信した場合に、前記突入電流あるいは前記始動電流に起因する電圧降下に関するパラメータが許容値以上であるとき、前記電気負荷の起動時期を調停して、前記起動許可指令を送信するように構成されている、電力システム。
【請求項2】
前記電圧降下に関するパラメータは、前記突入電流あるいは前記始動電流による電力変動量であり、
前記サーバは、
前記電気負荷毎に前記電力変動量を求め、
同時に前記起動要求を発信した前記電気負荷の前記電力変動量を加算して合計電力変動量を算出し、
前記合計電力変動量が前記許容値以上であるとき、前記電気負荷の起動時期を調停して、前記起動許可指令を送信するように構成されている、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記複数の住宅の各々は、当該住宅に設置された複数の前記電気負荷を制御可能なコントローラを含み、
前記コントローラは、前記サーバと通信可能に構成されており、
前記コントローラは、前記起動要求を前記サーバに送信するとともに前記サーバから受信した前記起動許可指令に基づいて、前記電気負荷の前記起動を行う、請求項1または請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
前記電気負荷は、作動停止を要求する停止要求を発信するとともに、前記停止要求に対する停止許可指令に基づいて、前記作動停止を行うように構成されており、
前記サーバは、前記複数の住宅に設置された前記電気負荷から、同時に、前記停止要求を受信した場合に、前記作動停止に伴う電圧上昇に関するパラメータが閾値以上であるとき、前記電気負荷の停止時期を調停して、前記停止許可指令を送信するように構成されている、請求項1に記載の電力システム。
【請求項5】
前記電圧上昇に関するパラメータは、前記作動停止による電力変動量であり、
前記サーバは、
前記電気負荷毎に前記電力変動量を求め、
同時に前記停止要求を発信した前記電気負荷の前記電力変動量を加算して合計電力変動量を算出し、
前記合計電力変動量が前記閾値以上であるとき、前記電気負荷の停止時期を調停して、前記停止許可指令を送信するように構成されている、請求項4に記載の電力システム。
【請求項6】
前記複数の住宅の各々は、当該住宅に設置された複数の前記電気負荷を制御可能なコントローラを含み、
前記コントローラは、前記サーバと通信可能に構成されており、
前記コントローラは、前記停止要求を前記サーバに送信するとともに前記サーバから受信した前記停止許可指令に基づいて、前記電気負荷の前記作動停止を行う、請求項4または請求項5に記載の電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-107981号公報(特許文献1)には、配電線に流れる電流(潮流)を小さくでき、コストダウンを図ることができるとともに安定した電力供給が可能な配電システムが開示されている。この配電システムでは、電力網(電力系統)の電力を降圧する柱上変圧器に、配電線を介して接続された複数の戸建て住宅と共用蓄電池から、電力融通街区が形成されている。そして、電力融通街区の配電線の電力状態が所定の状態に収まるよう、共用蓄電池等の充放電を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、配電線を流れる電流値が所定値以下になるよう共有蓄電池等の充放電量を制御することにより、電力融通街区の配電線の電力状態が所定の状態に収まるようにしている。住宅には、各種の電気機器(電気負荷)が設置される。これら電気負荷の中には、容量性負荷や誘導性負荷を備える負荷が存在し、これら電気負荷への電源投入時(電気負荷の起動時)に、突入電流あるいは始動電流が発生する。突入電流あるいは始動電流は、定常電流の十数倍になることもあり、電圧降下を招く。
【0005】
特に、配電用変圧器(柱上変圧器)を共有する複数の住宅において、同時に、突入電流あるいは始動電流が発生した場合、大きな電圧降下を招き、電力網へ与える影響を無視し得ない可能性がある。また、配電用変圧器および配電線を流れる電流が非常に大きくなり、許容電流値の大きな設備が必要になる。特許文献1には、突入電流等によるこれらの課題について、言及されていない。
【0006】
本開示の目的は、配電用変圧器を共有する複数の住宅において、同時に、突入電流あるいは始動電流が発生することを抑制し、電圧降下が大きくなること抑制するとともに、配電用変圧器および配電線を流れる電流が非常に大きくなること抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る電力システムは、電力網の電力を変電する配電用変圧器に接続された複数の住宅と、住宅に設置された電気負荷と、電気負荷に関する情報を受信可能なサーバとを備える。住宅に設置された電気負荷は、所定値以上の突入電流あるいは始動電流を伴う起動を要求する起動要求を発信するとともに、起動要求に対する起動許可指令に基づいて、起動を行うよう構成されている。サーバは、複数の住宅に設置された電気負荷から、同時に、起動要求を受信した場合に、突入電流あるいは始動電流に起因する電圧降下に関するパラメータが許容値以上であるとき、電気負荷の起動時期を調停して、起動許可指令を送信するように構成されている。
【0008】
この構成によれば、複数の住宅が、配電用変圧器に接続され、当該配電用変圧器を共有している。住宅に設置された電気負荷は、所定値以上の突入電流あるいは始動電流を伴う起動を要求する起動要求を発信するとともに、起動要求に対する起動許可指令に基づいて、起動を行うように構成されている。電気負荷に関する情報を受信可能なサーバは、複数の住宅に設置された電気負荷から、同時に、起動要求を受信した場合に、突入電流あるいは始動電流に起因する電圧降下に関するパラメータが許容値以上であるとき、電気負荷の起動時期を調停して、起動許可指令を送信する。
【0009】
サーバは、複数の住宅に設置された電気負荷から、同時に、起動要求を受信した場合に、突入電流あるいは始動電流に起因する電圧降下に関するパラメータが許容値以上であるとき、電気負荷の起動時期を調停するので、複数の住宅に設置された電気負荷が同時に起動することを抑止でき、同時に突入電流あるいは始動電流が発生することを抑制できる。
【0010】
好ましくは、電圧降下に関するパラメータは、突入電流あるいは始動電流による電力変動量であってよい。サーバは、電気負荷毎に電力変動量を求め、同時に起動要求を発信した電気負荷の電力変動量を加算して合計電力変動量を算出し、合計電力変動量が許容値以上であるとき、電気負荷の起動時期を調停して、起動許可指令を送信するように構成されてよい。
【0011】
この構成によれば、突入電流あるいは始動電流による電圧降下を、突入電流あるいは始動電流による電力変動量によって推定する。電力網(電力系統)における電圧変動の許容レベルは、電力変動量の大きさ、あるいは、周波数変化の大きさによって決定されていることが多い。この構成では、突入電流あるいは始動電流による電力変動量を用いて、電気負荷の起動時期の調停を行うので、電力網へ与える影響を良好に抑制できる。
【0012】
好ましくは、各住宅は、当該住宅に設置された複数の電気負荷を制御可能なコントローラを含んでもよい。コントローラは、サーバと通信可能に構成されており、コントローラは、起動要求をサーバに送信するとともにサーバから受信した起動許可指令に基づいて、電気負荷の起動を行う。
【0013】
この構成によれば、住宅に設置された複数の電気負荷を制御可能なコントローラによって、起動要求をサーバに送信するとともに電気負荷の起動を行うことができるので、各電気負荷とサーバとの間で通信可能な構成でなくとも、各電気負荷の起動時期の調停を行うことが可能になる。
【0014】
好ましくは、電気負荷は、作動停止を要求する停止要求を発信するとともに、停止要求に対する停止許可指令に基づいて作動停止を行う構成をさらに備えてもよい。サーバは、複数の住宅に設置された電気負荷から、同時に、停止要求を受信した場合に、作動停止に伴う電圧上昇に関するパラメータが閾値以上であるとき、電気負荷の停止時期を調停して、停止許可指令を送信するように構成される。
【0015】
配電用変圧器を共有する複数の住宅において、同時に、電気負荷の作動が停止すると、電力消費が急激に低下し、瞬間的な電圧上昇が発生する可能性がある。この構成によれば、住宅に設置された電気負荷は、作動停止を要求する停止要求を発信するとともに、停止要求に対する停止許可指令に基づいて、作動停止行うよう構成されている。サーバは、複数の住宅に設置された電気負荷から、同時に、停止要求を受信した場合に、作動停止に伴う電圧上昇に関するパラメータが閾値以上であるとき、電気負荷の停止時期を調停して、停止許可指令を送信する。
【0016】
サーバは、複数の住宅に設置された電気負荷から、同時に、停止要求を受信した場合に、作動停止に伴う電圧上昇に関するパラメータが閾値以上であるとき、電気負荷の作動停止時期を調停するので、複数の住宅に設置された電気負荷が同時に停止することを抑止でき、瞬間的な電圧上昇を抑制することができる。
【0017】
好ましくは、電圧上昇に関するパラメータは、作動停止による電力変動量であってよい。サーバは、電気負荷毎に電力変動量を求め、同時に停止要求を発信した電気負荷の電力変動量を加算して合計電力変動量を算出し、合計電力変動量が閾値以上であるとき、電気負荷の停止時期を調停して、停止許可指令を送信する。
【0018】
電力網(電力系統)における電圧変動の許容レベルは、電力変動量の大きさ、あるいは、周波数変化の大きさによって決定されていることが多い。この構成によれば、電気負荷の作動停止による電圧上昇を電力変動量によって推定し、電気負荷の停止時期の調停を行うので、電力網へ与える影響を良好に抑制できる。
【0019】
好ましくは、各住宅は、当該住宅に設置された複数の電気負荷を制御可能なコントローラを含んでもよい。コントローラは、サーバと通信可能に構成されており、コントローラは、停止要求をサーバに送信するとともにサーバから受信した停止許可指令に基づいて、電気負荷の作動停止を行う。
【0020】
この構成によれば、住宅に設置された複数の電気負荷を制御可能なコントローラによって、停止要求をサーバに送信するとともに電気負荷の作動停止を行うことができるので、各電気負荷とサーバとの間で通信可能な構成でなくとも、各電気負荷の停止時期の調停を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、配電用変圧器を共有する複数の住宅において、同時に、突入電流あるいは始動電流が発生することを抑止でき、電圧降下を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態に係る電力システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る住宅の概略構成を示す図である。
【
図3】サーバ200で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】変形例において、サーバ200で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る電力システムの全体構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、電力システム100は、電力網(電力系統)1と、配電変電所3と、配電用変圧器(柱上変圧器)5と、住宅10と、共有バッテリ20と、サーバ200を含む。
【0025】
電力網1は、発電所、送電線、高圧変電所等からなる電力系統であり、電力小売事業者等によって管理される電力網である。電力網1の送電線2の電力は、配電変電所3によって、たとえば、6.6kVの電圧に降圧され、配電線4に送電される。配電線4の電力は、配電用変圧器5によって、たとえば、単相3線式100V/200Vに降圧され、配電線6に送電される。配電用変圧器5は、たとえば、容量30kVAの柱上変圧器であってよい。
【0026】
配電線6は、各住宅用の引き込み線7を介して複数の住宅10に接続される。これにより、配電用変圧器5から配電線6に送電された電力は、複数の住宅10に供給される。また、配電線6には、引き込み線7を介して共有バッテリ20が接続されている。本実施の形態では、5軒の住宅10と1台の共有バッテリ20が、ひとつの配電用変圧器5を介して、電力網1に接続されている。なお、ひとつの配電用変圧器5を共有する(配電用変圧器5に接続された)住宅10および共有バッテリ20から構成された低圧電力系統を、配電街区DBと称する。
【0027】
図2は、本実施の形態に係る住宅の概略構成を示す図である。配電線6に接続された引き込み線7は、スマートメータ50を介して宅内電力線8に接続される。スマートメータ50は、通信機能を備えた電子式電力量計であり、所定計測期間(たとえば、30分)に電力網1と住宅10との間で授受される電力量を計測し、所定周期毎(たとえば、60分毎)に、計測した電力量を、スマートメータ50の識別コード(ID)とともに、電力小売事業者が管轄するサーバ300へ送信する。
【0028】
スマートメータ50を介して電力網1に接続された住宅10では、HEMS(Home Energy Management Service)対応の分電盤11を介して、たとえば、パワーコンディショナ(PCS)12および太陽光発電装置13、ヒートポンプ式給湯器14、冷蔵庫15、エアコンディショナ(冷暖房装置)16、充放電設備17、等の各種電気機器が宅内電力線を用いて接続されている。これにより、電力網1から供給された電力を消費したり、太陽光発電装置13で発電した電力や電動車両40から放電した電力を電力網1へ供給(逆潮流)したりすることができる。これら各電気機器が、本開示の「電気負荷」に相当する。
【0029】
充放電設備17は、V2H(Vehicle to Home)充放電設備であり、電動車両40の蓄電装置の充電、および、電動車両40から放電される電力を電力網1へ逆潮流することが可能にされている。
【0030】
電動車両40は、図示しないバッテリ(蓄電装置)を搭載した、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。ただし、電動車両40のタイプは、充放電設備17と接続可能な車両であればよく、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であってもよいし、プラグイン可能な燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)であってもよい。
【0031】
住宅10には、HEMSコントローラ30が設けられている。HEMSコントローラ30は、HEMS対応の分電盤11、PCS12、冷蔵庫15、冷暖房装置16等の各電気機器と通信可能に構成されている。HEMSコントローラ30は、各電気機器の情報を取得するとともに、各電気機器の作動を制御する。
【0032】
HEMSコントローラ30は、サーバ200と通信可能に構成されている。サーバ200は、HEMSコントローラ30を介して、冷蔵庫15、冷暖房装置16等の各電気機器(住宅10に設置された電気負荷)を制御する。サーバ200は、図示しない、制御装置と、記憶装置と、通信装置とを含み、制御装置は所定の演算処理を実行するように構成されている。記憶装置は、制御装置により実行されるプログラムを記憶するメモリを含み、そのプログラムで使用される各種情報(マップ、関係式、パラメータ等)を記憶している。また、記憶装置は、データベースを含み、各住宅10のHEMSコントローラ30の識別コード(ID)とともに、当該IDの所在値情報や各電気機器に関するデータ等を記憶している。通信装置は、通信インターフェースを含み、HEMSコントローラ30やサーバ300等と通信可能に構成されている。
【0033】
なお、共有バッテリ20(
図1参照)は、太陽光発電装置13で発電した電力を一時的に蓄えたり、蓄えた電力を各住宅10に供給したりする。
【0034】
住宅10に設置された各電気機器は、容量性負荷や誘導性負荷を含む。たとえば、冷蔵庫15や冷暖房装置16は、電動コンプレッサを含んでいる。電動コンプレッサ(電動モータ)を始動するため電源が投入されると、突入電流あるいは始動電流が発生する。突入電流あるいは始動電流は、定常電流の十数倍の大電流である場合もある。配電街区DBにおいて、各住宅10に設置された電気機器に、突入電流の発生が同時に発生した場合、各住宅10で共有する(各住宅10に接続された)配電用変圧器5には、各住宅10の電気機器で発生した突入電流の総和に相当する大電流が流れ、大きな電圧降下を招く。
【0035】
各住宅10の各種電気機器で発生した突入電流の総和に相当する大電流が流れることを許容するには、許容電流値の大きな配電用変圧器5および許容電流値の大きな配電線6が必要になり、設備のコストが上昇する。また、各住宅10の各種電気機器で発生した突入電流の総和に相当する大電流を許容すると、電圧降下が大きくなり、電力網1へ与える影響を無視し得ない可能性がある。
【0036】
本実施の形態では、配電街区DBにおける各住宅10の各種電気機器の起動タイミング(起動時期)を調停することにより、各住宅10に設置された各種電気機器において、突入電流の発生が同時に発生することを抑止する。これにより、大きな電圧降下を抑制するとともに、各住宅10で共有する配電用変圧器5および配電線6に、大電流が流れることを抑制する。
【0037】
本実施の形態において、HEMSコントローラ30は、各電気機器の情報を取得するとともに、各電気機器の作動を制御する。住宅10に設置された各電気機器は、ユーザが電源を投入したこと(電気機器のスイッチをONにしたこと)を、HEMSコントローラ30へ、起動要求(ON要求)として送信する。また、作動中の各電気機器において、現在停止している突入電流が大きな機器を起動する際にも、HEMSコントローラ30へ、起動要求(ON要求)を送信する。たとえば、冷蔵庫15や冷暖房装置16の作動中、停止していた電動コンプレッサ(電動モータ)を起動する際、冷蔵庫15や冷暖房装置16は、HEMSコントローラ30へ、起動要求を送信する。
【0038】
HEMSコントローラ30は、起動要求を受信すると、「起動要求を送信した電気機器の情報(種類、定格消費電力等)」および「HEMSコントローラ30の識別コード(ID)」を、起動要求信号として、サーバ200へ送信する。サーバ200は、配電街区DBにおいて、複数のHEMSコントローラ30から、同時に、起動要求信号を受信している場合、各電気機器の起動時期(起動タイミング)を調停し、各電気機器の起動時期が重ならないよう(同時に、各電気機器が起動しないよう)起動許可指令を、各HEMSコントローラ30へ送信する。サーバ200は、HEMSコントローラ30から受信した起動要求信号が、他の電気機器の起動時期と重ならない場合(同時に各電気機器が起動しない場合)、HEMSコントローラ30へ、(調停を行うことなく)起動許可指令を送信する。HEMSコントローラ30は、サーバ200から起動許可指令を受信すると、起動許可指令に基づいて、起動要求を送信した電気機器が起動するよう、電気機器を制御する。なお、電源投入時(スイッチON時)の突入電流が所定値より小さく、突入電流が同時に発生しても、電力網1へ与える影響を無視し得る電気機器においては、HEMSコントローラ30へ起動要求(ON要求)を送信して起動許可指令を受信することなく、起動するようにしてよい。
【0039】
図3は、サーバ200で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、サーバ200において、所定期間毎に繰り返し処理される。なお、この処理は、配電街区DB毎に、サーバ200によって実行される。まず、ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10では、HEMSコントローラ30から、起動要求信号を受信したか否かを判定する。HEMSコントローラ30から起動要求信号を受信していない場合は、否定判定され今回のルーチンを終了する。
【0040】
サーバ200が、HEMSコントローラ30から起動要求信号を受信している場合は、肯定判定されS11へ進む。S11では、受信した起動要求信号が複数であるか否かを判定する。複数のHEMSコントローラ30から起動要信号を受信した場合、起動要求信号が複数であると判定される。複数のHEMSコントローラ30から起動要信号を受信したとき、S11において肯定判定され、S12へ進む。
【0041】
S12では、サーバ200は、合計電力変動量ΣΔkWを算出する。サーバ200は、S10で受信している起動要求信号に含まれる、「起動要求を送信した電気機器の情報(種類、定格消費電力等)」および「HEMSコントローラ30の識別コード(ID)」から、各電気機器における突入電流に起因する電力変動量ΔkWを算出する。たとえば、起動要求を送信した電気機器の種類および定格消費電流から、突入電流の大きさを算出する。この際、HEMSコントローラ30のIDから、電気機器の使用環境を推定し、突入電流の大きさを算出するようにしてもよい。たとえば、電気機器の種類が冷暖房装置16である場合、当該冷暖房装置16の定格消費電力に加え、HEMSコントローラ30のIDから所在地情報を取得し、当該所在地における気温を加味して、突入電流の大きさを算出するようにしてもよい。そして、突入電流の大きさに基づいて、突入電流による電力変動量ΔkWを算出する。
【0042】
サーバ200は、S10で受信した起動要求信号毎(HEMSコントローラ30のID毎)に、突入電流による電力変動量ΔkWを算出し、算出したすべての電力変動量ΔkWを加算することにより、合計電力変動量ΣΔkWを算出する。
【0043】
続くS13では、合計電力変動量ΣΔkWの大きさ(絶対値)が許容値α以上であるか否かを判定する。合計電力変動量ΣΔkWの大きさが許容値α以上の場合(|ΣΔkW|≧α)、肯定判定されS14へ進む。許容値αは、たとえば、配電用変圧器5および配電線6で許容可能な電流値から予め設定されてよく、あるいは、電力網1で許容可能な電圧降下量に基づいて設定されてもよい。S13において、合計電力変動量ΣΔkWの大きさが許容値αより小さい場合(|ΣΔkW|<α)、否定判定されS16へ進む。
【0044】
S14では、S10で受信した起動要求信号間(HEMSコントローラ30のID間)において、起動時期の調停を行う。本開示において、起動時期の調停とは、各電気機器が同時に起動しないよう各電気機器の起動時期(起動タイミング)をずらした、起動許可指令を送信することである。たとえば、電力変動量ΔkWの最も大きな電気機器が即時に起動するよう、当該HEMSコントローラ30へ、起動許可指令を送信する。そして、電力変動量ΔkWの最も大きな電気機器が起動した後、数秒間のインターバル(間隔)をもって、電力変動量ΔkWの大きさの順に、順次、各電気機器が起動するよう、対応するHEMSコントローラ30へ起動許可指令を送信する。起動時期の調停方法は任意である。たとえば、HEMSコントローラ30のIDが若い方から、順次、数秒間のインターバルをもって各電気機器が起動するよう、各HEMSコントローラ30へ起動許可指令を送信するようにしてもよく、電気機器の種類に基づいた優先度を用いて、順次、数秒間のインターバルをもって各電気機器が起動するよう、各HEMSコントローラ30へ起動許可指令を送信するようにしてもよい。
【0045】
起動許可指令を受信したHEMSコントローラ30は、起動許可指令に基づいて、起動要求を送信した電気機器が起動するよう、当該電気機器を制御する。起動許可指令は、たとえば、「即時に電気機器を起動する指令」、「起動許可指令の受信後、所定時間(数秒~十数秒)経過後に電気機器を起動する指令」からなり、各電気機器が同時に起動しないよう各電気機器の起動時期(起動タイミング)をずらした、起動許可指令である。なお、起動許可指令は、各電気機器の起動時刻を指令して、各電気機器が同時に起動しないよう各電気機器の起動時期をずらすものであってもよい。
【0046】
S10で受信した起動要求信号がひとつである場合、S11で否定判定されS15へ進む。S15では、前回のルーチンにおいて、S14で起動時期の調停を実行した際に起動時期が遅延された電気機器の起動時期(起動許可指令に基づく起動時期)と、今回、S10で受信した起動要求信号による電気機器の起動時期が同期するか否かを判定する。サーバ200は、今回、S10で受信した起動要求信号に対して「即時に電気機器を起動する指令」の起動許可指令を送信した場合に、当該電気機器の起動時期が、前回のルーチンにおいて、S14で起動時期の調停を実行した際に起動時期が遅延された電気機器の起動時期(起動許可指令に基づく起動時期)と重なる場合(同時に起動する場合)、S15で肯定判定し、S12へ進む。
【0047】
前回のルーチンで、S14において起動時期の調停が行われていない場合、S15で否定判定されS16へ進む。また、前回のルーチンで、S14において起動時期の調停が行われた場合であっても、今回、S10で受信した起動要求に対して「即時に電気機器を起動する指令」の起動許可指令を送信した場合に、当該電気機器の起動時期が、前回のルーチンにおいて、S14で起動時期の調停を実行した際に起動時期が遅延された電気機器の起動時期(起動許可指令に基づく起動時期)と重ならない場合、S15で否定判定されS16へ進む。
【0048】
S15に続くS12では、今回、S10で受信した起動要求信号を発信した電気機器(以下、今回電気機器とも称する)における突入電流に起因する電力変動量ΔkWと、前回のルーチンにおいて、S14で起動時期が調停されたことにより今回電気機器と起動時期が重なる電気機器における突入電流に起因する電力変動量ΔkWとを、加算することにより、合計電力変動量ΣΔkWを算出し、S13へ進む。S13の処理は、上述の通りである。
【0049】
S16では、S10で受信した起動要求信号(HEMSコントローラ30)に対して、起動許可指令として「即時に電気機器を起動する指令」を送信し、今回のルーチンを終了する。
【0050】
本実施の形態では、住宅10に設置された各電気機器(電気負荷)は、所定値以上の突入電流あるいは始動電流を伴う起動を要求する起動要求を、HEMSコントローラ30へ発信する。そして住宅10に設置された各電気機器は、HEMSコントローラ30から、起動要求に対する起動許可指令を受信すると、起動許可指令に基づいて起動する。そして、サーバ200は、配電街区DBにおいて、複数のHEMSコントローラ30から、同時に、起動要求信号を受信している場合に、各電気機器の突入電流による電力変動量ΔkWを加算した合計電力変動量ΣΔkWが許容値α以上であると、各電気機器の起動時期(起動タイミング)を調停し、各電気機器の起動時期が重ならないよう(同時に、各電気機器が起動しないよう)起動許可指令を、各HEMSコントローラ30へ送信する。したがって、配電街区DBにおいて、各住宅10に設置された電気機器で、突入電流が同時に発生することを抑制でき、大きな電圧降下を招くことを抑制でき、電力網1へ与える影響を小さくできる。また、各住宅10で共有する配電用変圧器5および配電線6に、大電流が流れることを抑制できる。
【0051】
上記実施の形態では、突入電流に起因する電力変動量ΔkWを用いて電圧降下の大きさが許容レベルを超えるか否かを判定している(S12、S13)。これに代えて、電圧降下に伴う周波数変動量(ΔHz)を用いて、突入電流に起因する電圧降下の大きさが許容レベルを超えるか否かを判定してもよい。また、電圧降下の大きさを用いて、突入電流に起因する電圧降下の大きさが許容レベルを超えるか否かを判定してもよい。
【0052】
上記実施の形態では、住宅10の各電気機器は、HEMSコントローラ30を介して、サーバ200へ起動要求を発信するとともに起動許可指令を受けることにより、起動時期の調停を行っている。しかし、HEMSコントローラ30を介することなく、住宅10の各電気機器とサーバ200との間で通信を行い、各電気機器の起動時期を調停するようにしてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、サーバ200が、起動要求信号に含まれる「起動要求を送信した電気機器の情報(種類、定格消費電力等)」および「HEMSコントローラ30の識別コード(ID)」から、各電気機器における突入電流に起因する電力変動量ΔkWを算出していた。しかし、各電気機器の「電力変動量ΔkW」に関する情報を、HEMSコントローラ30からサーバ200へ送信する起動要求信号に含め、サーバ200では、受信した各電気機器の「電力変動量ΔkW」を加算することにより、合計電力変動量ΣΔkWを求めるようにしてもよい。
【0054】
(変形例)
住宅10の電気機器の作動が停止すると、当該電気機器の消費電力が0になり、電力消費が急激に低下する。配電街区DBにおいて、各住宅10の電気機器が同時に停止すると、電力消費の低下量が大きくなる。電力消費が急激に大きく低下すると、配電用変圧器5および配電線6において、瞬間的に電圧上昇が発生する。この瞬間的な電圧上昇が、配電用変圧器5に与える影響、および、電力網1に与える影響を無視し得ない可能性もある。変形例では、電気機器の起動時期の調停に加えて、電気機器の停止時期の調停を行うことにより、配電街区DBにおける瞬間的な電圧上昇を抑制する。
【0055】
変形例において、住宅10に設置された各電気機器は、自身の作動を停止する際、HEMSコントローラ30へ、作動停止を要求する停止要求(OFF要求)を送信する。また、作動中の各電気機器において、作動停止している消費電力が大きな機器を停止する際にも、HEMSコントローラ30へ、停止要求(OFF要求)を送信する。たとえば、冷蔵庫15や冷暖房装置16の作動中、作動している電動コンプレッサ(電動モータ)を停止する際、冷蔵庫15や冷暖房装置16は、HEMSコントローラ30へ、停止要求を送信する。
【0056】
HEMSコントローラ30は、停止要求を受信すると、「停止要求を送信した電気機器の情報(種類、定格消費電力等)」および「HEMSコントローラ30の識別コード(ID)」を、停止要求信号として、サーバ200へ送信する。サーバ200は、配電街区DBにおいて、複数のHEMSコントローラ30から、同時に、停止要求信号を受信している場合、各電気機器の停止時期(停止タイミング)を調停し、各電気機器の停止時期が重ならないよう(同時に、各電気機器が停止しないよう)停止許可指令を、各HEMSコントローラ30へ送信する。サーバ200は、HEMSコントローラ30から受信した停止要求信号が、他の電気機器の停止時期と重ならない場合(同時に各電気機器が停止しない場合)、HEMSコントローラ30へ、(調停を行うことなく)停止許可指令を送信する。HEMSコントローラ30は、サーバ200から停止許可指令を受信すると、停止許可指令に基づいて、停止要求を送信した電気機器が停止するよう、電気機器を制御する。なお、消費電力が小さく、作動停止が同時に発生しても、電力網1へ与える影響を無視し得る電気機器においては、HEMSコントローラ30へ停止要求(OFF要求)を送信することなく、作動を停止するようにしてよい。
【0057】
図4は、変形例において、サーバ200で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、サーバ200において、所定期間毎に繰り返し処理される。なお、この処理は、配電街区DB毎に、
図3のフローチャートによる処置に加えて、サーバ200によって実行される。
【0058】
図4において、S20~S26は、
図3におけるS10~S16の処理と実質的に同じであり、サーバ200において、HEMSコントローラ30から受信する信号を、起動要求信号(
図3)から停止要求信号(
図4)に置き換えたものである。S20では、HEMSコントローラ30から、停止要求信号を受信したか否かを判定する。停止要求信号を受信していない場合は、否定判定され今回のルーチンを終了する。
【0059】
停止要求信号を受信している場合は、肯定判定されS21へ進み、受信した停止要求信号が複数であるか否かを判定する。複数のHEMSコントローラ30から停止要信号を受信した場合、停止要求信号が複数であると判定され(肯定判定され)、S22へ進む。
【0060】
S22では、サーバ200は、合計電力変動量ΣΔkWを算出する。サーバ200は、S20で受信している停止要求信号に含まれる、「停止要求を送信した電気機器の情報(種類、定格消費電力等)」および「HEMSコントローラ30の識別コード(ID)」から、各電気機器が停止した場合の電力変動量ΔkWを算出する。たとえば、停止要求を送信した電気機器の種類および定格消費電流から、停止した場合の電力変動量ΔkWを算出する。サーバ200は、S20で受信した停止要求信号毎(HEMSコントローラ30のID毎)に、作動を停止した場合の電力変動量ΔkWを算出し、算出したすべての電力変動量ΔkWを加算することにより、合計電力変動量ΣΔkWを算出する。
【0061】
続くS23では、合計電力変動量ΣΔkWの大きさ(絶対値)が閾値値β以上であるか否かを判定する。合計電力変動量ΣΔkWの大きさが閾値β以上の場合(|ΣΔkW|≧β)、肯定判定されS24へ進む。閾値βは、たとえば、電力網1で許容可能な電圧上層量に基づいて設定される。S23において、合計電力変動量ΣΔkWの大きさが閾値βより小さい場合(|ΣΔkW|<β)、否定判定されS26へ進む。
【0062】
S24では、S20で受信した停止要求信号間(HEMSコントローラ30のID間)において、停止時期の調停を行う。本開示において、停止時期の調停とは、各電気機器が同時に停止しないよう各電気機器の停止時期(停止タイミング)をずらした、停止許可指令を送信することである。たとえば、電力変動量ΔkWの最も大きな電気機器が即時に停止するよう、当該HEMSコントローラ30へ、停止許可指令を送信する。そして、電力変動量ΔkWの最も大きな電気機器が停止した後、数秒間のインターバル(間隔)をもって、電力変動量ΔkWの大きさの順に、順次、各電気機器が停止するよう、対応するHEMSコントローラ30へ停止許可指令を送信する。停止時期の調停方法は任意である。たとえば、HEMSコントローラ30のIDが若い方から、順次、数秒間のインターバルをもって各電気機器が停止するよう、各HEMSコントローラ30へ停止許可指令を送信するようにしてもよく、電気機器の種類に基づいた優先度を用いて、順次、数秒間のインターバルをもって各電気機器が停止するよう、各HEMSコントローラ30へ停止許可指令を送信するようにしてもよい。
【0063】
停止許可指令を受信したHEMSコントローラ30は、停止許可指令に基づいて、停止要求を送信した電気機器が停止するよう、当該電気機器を制御する。停止許可指令は、たとえば、「即時に電気機器を停止する指令」、「停止許可指令の受信後、所定時間(数秒~十数秒)経過後に電気機器を停止する指令」からなり、各電気機器が同時に停止しないよう各電気機器の停止時期をずらした、停止許可指令である。なお、停止許可指令は、各電気機器の停止時刻を指令して、各電気機器が同時に停止しないよう各電気機器の停止時期をずらすものであってもよい。
【0064】
S20で受信した停止要求信号がひとつである場合、S21で否定判定されS25へ進む。S25では、前回のルーチンにおいて、S24で停止時期の調停を実行した際に停止時期が遅延された電気機器の停止時期(停止許可指令に基づく停止時期)と、今回、S20で受信した停止要求信号による電気機器の停止時期が同期するか否かを判定する。サーバ200は、今回、S20で受信した停止要求信号に対して「即時に電気機器を停止する指令」の停止許可指令を送信した場合に、当該電気機器の停止時期が、前回のルーチンにおいて、S24で停止時期の調停を実行した際に停止時期が遅延された電気機器の停止時期(停止許可指令に基づく停止時期)と重なる場合(同時に停止する場合)、S25で肯定判定し、S22へ進む。
【0065】
前回のルーチンで、S24において停止時期の調停が行われていない場合、S25で否定判定されS26へ進む。また、前回のルーチンで、S24において停止時期の調停が行われた場合であっても、今回、S20で受信した停止要求に対して「即時に電気機器を停止する指令」の停止許可指令を送信した場合に、当該電気機器の停止時期が、前回のルーチンにおいて、S24で停止時期の調停を実行した際に停止時期が遅延された電気機器の停止時期(停止許可指令に基づく停止時期)と重ならない場合、S25で否定判定されS26へ進む。
【0066】
S25に続くS22では、今回、S20で受信した停止要求信号を発信した電気機器(今回電気機器とも称する)における電力変動量ΔkWと、前回のルーチンにおいて、S24で停止時期が調停されたことにより今回電気機器と停止時期が重なる電気機器における電力変動量ΔkWとを、加算することにより、合計電力変動量ΣΔkWを算出し、S23へ進む。S23の処理は、上述の通りである。
【0067】
S26では、S20で受信した起動要求信号(HEMSコントローラ30)に対して、停止許可指令として「即時に電気機器を停止する指令」を送信し、今回のルーチンを終了する。
【0068】
この変形例によれば、配電街区DBにおいて、各住宅10に設置された電気機器で、突入電流が同時に発生することを抑制でき、大きな電圧降下を招くことを抑制できるとともに、各住宅10に設置された電気機器が同時に停止して、瞬間的な電圧上昇を招くことを抑止できる。
【0069】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 電力網、2 送電線、3 配電変電所、4 配電線、5 配電用変圧器、6 配電線、7 引き込み線、8 宅内電力線、10 住宅、11 分電盤、12 パワーコンディショナ、13 太陽光発電装置、14 ヒートポンプ給湯器、15 冷蔵庫、16 エアコンディショナ(冷暖房装置)、17 充放電設備、20 共有バッテリ、30 HEMSコントローラ、40 電動車両、50 スマートメータ、100 電力システム、200 サーバ、300 サーバ、DB 配電街区。