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  • 特許-中古車売買支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】中古車売買支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022068810
(22)【出願日】2022-04-19
(65)【公開番号】P2023158804
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 恭介
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第7007443(JP,B1)
【文献】特開2016-129024(JP,A)
【文献】特開2009-086818(JP,A)
【文献】特開2022-016517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両から取得されてデータベースに格納された車両情報を活用して中古車の売買を支援する中古車売買支援システムであって、
前記データベースに前記車両情報が格納されている車両の車両所有者に自己の所有車両を売却の可能性がある前記中古車として公開する意思があるか否かを確認するための確認通知を定期的に送信する第1確認部と、
前記車両所有者からの返信に基づいて前記第1確認部により前記車両所有者に前記所有車両を前記中古車として公開する意思があると確認されたときに、前記所有車両の前記車両情報を公開する情報公開部と、
公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者が存在するときに、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知する通知部と、
前記希望買取価格の通知を受けた前記車両所有者から前記所有車両の売却の可否を確認する第2確認部と、
を備える中古車売買支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の中古車売買支援システムにおいて、
少なくとも前記車両情報に基づいて前記所有車両の参考残価を算出する残価算出部を更に備え、
前記情報公開部は、前記所有車両の前記車両情報に加えて、前記残価算出部により算出された前記参考残価を最低売却価格として公開する中古車売買支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記残価算出部は、前記所有車両と同一車種の市場における取引実績および流通状態を考慮して前記参考残価を算出する中古車売買支援システム。
【請求項4】
請求項1に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記情報公開部は、前記所有車両の前記車両情報を所定期間だけ公開し、
前記所定期間内に前記買取希望者が出現したか否かを判定すると共に前記希望買取価格を定める判定処理部を更に備える中古車売買支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の中古車売買支援システムにおいて、
前記判定処理部は、複数の前記買取希望者が存在する場合、複数の前記買取希望者により提示された前記希望買取価格のうちの最高額を抽出し、
前記通知部は、前記最高額を前記車両所有者に通知する中古車売買支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中古車の売買を支援する中古車売買支援システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個人の売主端末と買主端末との間における中古車の売買取引を支援するサーバを含む中古車流通システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この中古車流通システムのサーバは、登録された売却中古車情報、売主情報、購入中古車情報および買主情報に基づいて売主端末と買主端末との間における中古車売買の商談を支援する商談支援手段と、納車支援手段とを含む。商談支援手段は、売主端末または買主端末からアプローチ要求を受信した場合、相互にメッセージ交換可能な商談画面を売主端末および買主端末に送信して商談を開始させる。納車支援手段は、売主と買主との商談が成立した場合に、納品依頼情報を生成して提携業者端末に送信し、納車までの手続を提携業者に依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-036843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の中古車流通システムでは、売主が売却中古車情報や売主情報をシステムに登録することが売買成立の必須条件となるが、売却中古車情報等をシステムに一旦登録すると、売主は、買主の出現に応じて必ず商談を行わなければならない。このため、上記従来の中古車流通システムは、条件次第では自己の所有する車両を売却してもよいと考えている車両所有者にとって必ずしも使いやすいものとはいえず、売主になり得る車両所有者のユーザビリティの面で、なお改善の余地を有している。
【0005】
そこで、本開示は、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の中古車売買支援システムは、複数の車両から取得された車両情報を活用して中古車の売買を支援する中古車売買支援システムであって、車両所有者に自己の所有車両を売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認する第1確認部と、第1確認部により前記車両所有者に前記所有車両を前記中古車として公開する意思があると確認されたときに、前記所有車両の前記車両情報を公開する情報公開部と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者が存在するときに、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知する通知部と、前記希望買取価格の通知を受けた前記車両所有者から前記所有車両の売却の可否を確認する第2確認部とを含むものである。
【0007】
本開示の中古車売買支援方法は、複数の車両から取得された車両情報を活用して中古車の売買を支援する中古車売買支援方法であって、車両所有者に自己の所有車両を売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認し、前記車両所有者に前記所有車両を前記中古車として公開する意思があると確認されたときに、前記所有車両の前記車両情報を公開し、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両の買取を希望した買取希望者が存在するときに、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知し、前記車両所有者から前記所有車両の売却の可否を確認するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の中古車売買支援システムを示す概略構成図である。
図2】本開示の中古車売買支援システムによる中古車売買の支援手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本開示の中古車売買支援システム1を示す概略構成図である。同図に示す中古車売買支援システム1は、自己の所有車両Voの売却を考えている車両所有者と、当該所有車両Voの買取を希望する買取希望者とのマッチングを図ることができるものである。図1に示すように、中古車売買支援システム1は、車両情報管理サーバ2と、中古車情報管理サーバ3と、中古車売買管理サーバ4とを含む。車両情報管理サーバ2と中古車情報管理サーバ3とは、例えばインターネット等のネットワークや専用回線を介して相互に情報をやり取り可能であり、中古車情報管理サーバ3と中古車売買管理サーバ4とは、例えばインターネット等のネットワークや専用回線を介して相互に情報をやり取り可能である。また、中古車売買管理サーバ4は、系列の中古車販売店あるいは中古車を取り扱う系列のディーラー等である実店舗5,6…に設置された端末あるいはサーバ(図示省略)とインターネット等のネットワークや専用回線を介して相互に情報をやり取り可能である。
【0011】
車両情報管理サーバ2は、CPU,ROM,RAM、入出力装置、通信モジュール等を含むコンピュータであり、本実施形態では例えば自動車製造者により設置・管理される。車両情報管理サーバ2は、CPUやROM,RAMといったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により構築される車両情報処理モジュール20と、記憶装置25とを含む。車両情報処理モジュール20は、車両情報管理サーバ2に登録された複数の車両から車両情報を取得し、記憶装置25の記憶させる。
【0012】
車両情報処理モジュール20により該当する車両から取得される車両情報は、例えば、車台番号あるいは車両識別番号、車両番号、現在の車両所有者名、車両所有者名の連絡先、所有者遍歴、メーカ名、車名、型式、年式、ボディカラー、駆動方式、ミッション形式、ハンドル位置、排気量、燃料種、定員、ドア数、ボディタイプ、クレード名、個別装備、車両写真、車検有無、所有形態、整備記録、走行距離、事故履歴、ボディデータ、走行記録といった情報を含む。かかる車両情報は、車両で発生する不具合の原因究明や、部品や車両システムの仕様の適正化、交通流、路面状況、行動修正等の解析、カーシェアリング事業の効率化等を図るために、複数の車両からビッグデータとして取得される。
【0013】
車両情報管理サーバ2の記憶装置25は、複数の車両ごとに上記車両情報を格納したデータベースを記憶するものである。すなわち、車両情報管理サーバ2に登録された複数の車両の各々には、個別のIDが付与され、車両情報は、当該IDに紐付けしてデータベースに格納される。更に、当該データベースは、車両情報管理サーバ2に新たな車両が登録されるたびに更新されていく。また、本実施形態において、車両情報処理モジュール20は、所有車両Vo等の車両に搭載された車載通信機CM(図1参照)に対して定期的に車両情報の送信を要求し、当該車載通信機CMから送信された車両情報に基づいて、データベースを更新する。
【0014】
更に、車両情報処理モジュール20は、車両情報管理サーバ2に登録されている車両の車載通信機CMに対して、車両所有者に自己の所有車両Voを売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認するための情報公開意思確認通知を定期的に送信する。車両所有者は、情報公開意思確認通知の受信を確認した際に、所有車両Voを売却したい、あるいは、条件次第では所有車両Voを売却してもよいと考えている場合、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の返信(通知)を車両情報管理サーバ2に返信(送信)することができる。また、車両所有者は、車両情報管理サーバ2からの通知の有無に拘わらず、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を車載通信機CM等から自発的に車両情報管理サーバ2に送信することができる。
【0015】
車両情報処理モジュール20(車両情報管理サーバ2)は、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を車両所有者から受信すると、当該所有車両Voの車両情報を中古車情報管理サーバ3に送信する。なお、車両所有者は、情報公開意思確認通知の受信を確認した際に所有車両Voを売却する意思がない場合、その旨を車両情報管理サーバ2に通知するか、あるいは情報公開意思確認通知を無視することで、所有車両Voの公開を禁止することができる。また、情報公開意思確認通知は、車載通信機CMのみならず、例えば登録された車両所有者のメールアドレス等に送信されてもよい。
【0016】
中古車情報管理サーバ3は、CPU,ROM,RAM、入出力装置、通信モジュール等を含むコンピュータであり、本実施形態では例えば自動車製造者により設置・管理される。中古車情報管理サーバ3は、CPUやROM,RAMといったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により構築される中古車情報処理モジュール30と、記憶装置35とを含む。中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2から送信された車両情報を記憶装置25に記憶させる。また、中古車情報処理モジュール30は、自社および他社の中古車情報サイトに掲載されている中古車情報や、いわゆるオートオークションにおける中古車の取引情報を取得(収集)し、取得した情報を中古車売買支援システム1を介して成立した売買の情報と共に記憶させる。中古車情報管理サーバ3の記憶装置35は、上記車両情報を格納した車両情報データベースと、上記中古車情報や取引情報、中古車売買支援システム1を介して成立した売買の情報を格納した市場取引相場データベースとを記憶するものである。
【0017】
また、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報の受信に応じて、受信した車両情報や市場取引相場データベースに格納された情報に基づいて、車両所有者が売却を考えている所有車両Voの参考残価を算出する。更に、中古車情報処理モジュール30(中古車情報管理サーバ3)は、当該所有車両Voの参考残価を算出した後、算出した参考残価および所有車両Voの車両情報を中古車売買管理サーバ4に送信する。
【0018】
中古車売買管理サーバ4は、CPU,ROM,RAM、入出力装置、通信モジュール等を含むコンピュータであり、本実施形態では例えば自動車製造者により設置・管理される。中古車売買管理サーバ4は、CPUやROM,RAMといったハードウエアと予めインストールされた各種プログラムとの協働により構築される売買管理モジュール40と、記憶装置45とを含む。売買管理モジュール40は、いわゆる認定中古車や下取り車両といった販売対象となる中古車の在庫管理や、自社の中古車情報ウェブサイトの管理等に加えて、車両所有者が売却を考えている所有車両Voの売買の仲介処理を実行する。
【0019】
中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3から車両所有者が売却を考えている所有車両Voの車両情報および参考残価を受信すると、受信した車両情報および参考残価を記憶装置45に記憶させると共に、当該所有車両Voを自社の中古車情報ウェブサイト上に予め定められた掲載期間(所定期間)だけ売却可能車両として掲載(公開)する。これにより、不特定多数の閲覧者がインターネット等のネットワークを介して当該中古車情報ウェブサイトの所有車両Voの車両情報等に時限的にアクセス可能となる。当該所有車両Voの買取を希望する買取希望者は、パーソナルコンピュータやスマートフォンといった自己の端末10から、当該中古車情報ウェブサイト上で中古車売買管理サーバ4に対して買取の申し込みを行うと共に希望買取価格を提示することができる。そして、中古車売買支援システム1は、以下に詳細に説明するようにして、所有車両Voの売却を考えている車両所有者と、当該所有車両Voの買取を希望する買取希望者とのマッチングを図っていく。
【0020】
図2は、中古車売買支援システム1による中古車売買の支援手順を示すフローチャートである。図2に示す一連の処理は、上述の車両情報管理サーバ2の車両情報処理モジュール20と、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30と、中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40との協働により実行される。
【0021】
図示するように、車両情報処理モジュール20は、車両情報管理サーバ2に登録されている車両所有者から、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を受信すると(ステップS100)、当該所有車両Voの車両情報を中古車情報管理サーバ3に送信する(ステップS110)。車両情報管理サーバ2から中古車情報管理サーバ3に車両情報が送信されると、中古車情報処理モジュール30は、受信した車両情報や市場取引相場データベースに格納された情報に基づいて当該所有車両Voの参考残価を算出する(ステップS120)。
【0022】
ステップS120において、中古車情報処理モジュール30は、まず、車両情報管理サーバ2からの車両情報より、所有車両Voの経過年数、走行距離、個別装備の充実度(例えば、サンルーフ等の純正メーカーオプション等の有無)、修復歴の有無、整備手帳の有無、内外装の状態といった情報(基本情報)を取得すると共に、取得したい情報と予め定められた指標とからベース残価を算出する。また、ステップS120において、中古車情報処理モジュール30は、市場取引相場データベースに格納された所有車両Voと同一車種の市場における取引実績や流通状態の情報に基づいて、対象となる所有車両Voが市場における人気車、需要の高い限定車あるいは在庫が過剰な車両であるか否かを判定し、判定結果に応じた加算額または減算額を算出する。更に、ステップS120において、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報より取得した修復の程度や内外装の状態といった情報(健康状態)に基づいて、当該所有車両Voを次期所有者に引き渡すにあたって標準の整備を超える整備が必要であるか否かを判定し、判定結果に応じた減算額を算出する。そして、ステップS120において、中古車情報処理モジュール30は、市場における取引実績等に基づく加算額または減算額と、車両の健康状態に基づく減算額を上記ベース残価に加算して参考残価を算出する。
【0023】
続いて、中古車情報処理モジュール30は、車両情報管理サーバ2からの車両情報と、対象となる所有車両Voについて算出した参考残価とを中古車売買管理サーバ4に送信する(ステップS130)。中古車情報管理サーバ3から中古車売買管理サーバ4に車両情報等が送信されると、売買管理モジュール40は、中古車情報管理サーバ3からの車両情報と参考残価とに基づいて対象となる所有車両Voのウェブページを作成し、自社の中古車情報ウェブサイトに期間を区切って掲載する(ステップS140)。ステップS140において、中古車情報処理モジュール30により算出された参考残価は、上記ウェブページに当該所有車両Voの最低売却価格として表示される。これにより、所有車両Voのウェブページが中古車情報ウェブサイトに掲載されてから上記掲載期間(所定期間)が経過するまで(ステップS150:NO)、不特定多数の閲覧者が当該中古車情報ウェブサイト上で公開された所有車両Voの車両情報および最低売却価格に時限的にアクセス可能となる。
【0024】
中古車情報ウェブサイト上で公開された車両情報等を閲覧して所有車両Voの買取を望んだ買取希望者は、上記掲載期間内に、自己の端末10から当該中古車情報ウェブサイト上で中古車売買管理サーバ4に対して当該所有車両Voの買取の申し込みを行うと共に希望買取価格を提示することができる。また、本実施形態において、売買管理モジュール40は、上記掲載期間内に複数の買取希望者が出現した場合、各買取希望者に希望買取価格の最高額および当該最高額を提示しているか否か通知する。これにより、所有車両Voの買取を希望する買取希望者は、当該最高額を超える希望買取価格を中古車売買管理サーバ4に対して提示することができる。すなわち、中古車売買支援システム1では、希望買取価格がオークション形式で決定されていく。
【0025】
上記所有車両Voが中古車情報ウェブサイトに掲載されてから上記掲載期間が経過すると(ステップS150:YES)、売買管理モジュール40は、中古車情報ウェブサイトにおける所有車両Voのステータスを「商談中」にした上で、当該所有車両Voの買取希望者が存在するか否かを判定する(ステップS160)。売買管理モジュール40は、所有車両Voの買取希望者が存在しないと判定した場合(ステップS160:NO)、所有車両Voの買取希望者が存在しない旨の通知を当該所有車両Voの車載通信機CMや車両所有者のメールアドレス等に送信すると共に所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除し(ステップS165)、図2の一連の処理をその時点で終了させる。この場合、車両所有者は、売買管理モジュール40からの通知を受領した後、車両情報等の公開に同意する旨を車両情報管理サーバ2に再度通知するか、あるいは所有車両Voの売却を取り止める。
【0026】
一方、所有車両Voの買取希望者が存在すると判定した場合(ステップS160:YES)、売買管理モジュール40は、買取希望者が複数であるか否かを判定する(ステップS170)。売買管理モジュール40は、複数の買取希望者が所有車両Voの買取を希望していると判定した場合(ステップS170:YES)、複数の買取希望者により提示された希望買取価格の最高額を抽出し、当該最高額を提示した買取希望者を買取予定者(次期所有者)として定めると共に、当該最高額を当該買取予定者の希望買取価格として定める(ステップS180)。また、買取希望者が1名であると判定した場合(ステップS170:NO)、売買管理モジュール40は、当該1名を買取予定者として定めると共に、その提示額を当該買取予定者の希望買取価格として定める(ステップS185)。
【0027】
ステップS180またはS185の処理の後、売買管理モジュール40は、回答期限を設定した上で、車両所有者すなわち所有車両Voの車載通信機CM等に、所有車両Voの買取を希望する買取希望者が存在している旨および希望買取価格を含む、売却可否を確認するための通知(売却可否確認通知)を送信する(ステップS190)。更に、ステップS190において、売買管理モジュール40は、回答期限を設定した上で、買取予定者(メールアドレス等)に、所有車両Voの買取が可能である旨および希望買取価格を含む、買取可否を確認するための通知(買取可否確認通知)を送信する。また、複数の買取希望者が存在していた場合、売買管理モジュール40は、ステップS190において、買取予定者にならなかった買取希望者に当人が買取予定者にならなかった旨を告げる通知を送信する。
【0028】
売買管理モジュール40は、売却可否確認通知および買取可否確認通知の送信後、上記回答期限が経過するまで、車両所有者および買取予定者からの回答を受信したか否かを判定する(ステップS200)。回答期限までに車両所有者および買取予定者の何れか一方または双方から回答を受信しなかったと判定した場合(ステップS200:NO)、売買管理モジュール40は、車両所有者と買取予定者との間で所有車両Voの売買が成立し得なかったとみなし、車両所有者および買取予定者に所有車両Voの売買が成立しなかった旨の通知を送信すると共に所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除し(ステップS205)、図2の一連の処理をその時点で終了させる。
【0029】
また、車両所有者および買取予定者の双方から回答を受信したと判定した場合(ステップS200:YES)、売買管理モジュール40は、車両所有者が所有車両Voの売却に同意し、かつ買取予定者が所有車両Voの買取に同意しているか否かを判定する(ステップS210)。車両所有者および買取予定者の何れか一方が所有車両Voの売却または買取に同意していないと判定した場合(ステップS210:NO)、売買管理モジュール40は、車両所有者と買取予定者との間で所有車両Voの売買が成立し得なかったとみなし、車両所有者および買取予定者に所有車両Voの売買が成立しなかった旨の通知を送信すると共に所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除し(ステップS205)、図2の一連の処理をその時点で終了させる。
【0030】
これに対して、車両所有者が所有車両Voの売却に同意し、かつ買取予定者が所有車両Voの買取に同意していると判定した場合(ステップS210:YES)、売買管理モジュール40は、車両所有者と買取予定者との間で所有車両Voの売買が成立したとみなし、車両所有者との手続を担当する最寄りの実店舗5および買取予定者との手続を担当する最寄りの実店舗6を選定すると共に、車両所有者、買取予定者および実店舗5,6に必要な通知を送信する(ステップS220)。ステップS220において、売買管理モジュール40は、車両所有者(所有車両Voの車載通信機CM等)に所有車両Voの売買が成立した旨、実店舗5における手続の流れ等を含む通知を送信し、買取予定者(メールアドレス等)に所有車両Voの売買が成立した旨、実店舗6における手続の流れ等を含む通知を送信する。更に、ステップS220において、売買管理モジュール40は、実店舗5,6の端末等に車両所有者または買取予定者に関する情報、所有車両Voの車両情報、希望買取価格といった必要な情報を含む通知を送信する。また、ステップS220において、売買管理モジュール40は、所有車両Voのウェブページを中古車情報ウェブサイトから削除する。
【0031】
ステップS220にて関係先に通知が送信されると、車両所有者と実店舗5との間で所有車両Voの売買契約および引き渡しが行われ、所有車両Voは、車両所有者の自宅等から実店舗5を経由して実店舗6へと搬送される。この間、実店舗5と実店舗6との間では、適宜必要な情報がやり取りされる。また、買取希望者と実店舗6との間で所有車両Voの売買契約が行われ、所有車両Voは、実店舗6への到着後に買取予定者へと引き渡される。買取予定者(新規所有者)への所有車両Voの引き渡し後、最終的な諸経費等を含む売却価格といった所有車両Voの売買に関する情報が実店舗5,6から中古車売買管理サーバ4に送信され、売買管理モジュール40は、実店舗5,6から取得した情報を中古車情報管理サーバ3に送信する(ステップS230)。更に、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、中古車売買管理サーバ4からの情報を所有車両Voの車両情報に紐付けて市場取引相場データベースに格納する(ステップS240)。これにより、中古車売買支援システム1による支援のもとでの所有車両Voすなわち中古車の売買が完了する。
【0032】
上述のように、中古車売買支援システム1において、第1確認部としての車両情報管理サーバ2の車両情報処理モジュール20は、車両所有者に自己の所有車両Voを売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認する。また、情報公開部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、車両情報処理モジュール20により車両所有者に所有車両Voを中古車として公開する意思があると確認されたときに(S100)、当該所有車両Voの車両情報を公開する(ステップS140,S150)。更に、通知部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、公開された車両情報を閲覧して当該所有車両Voの買取を希望した買取希望者が存在するときに(ステップS160:YES,S170,S180,S185)、買取予定者として定められた買取希望者の希望買取価格を車両所有者に通知する(ステップS190)。そして、第2確認部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、車両所有者から所有車両Voの売却の可否を確認する(ステップS200,S210)。
【0033】
これにより、車両所有者は、自己の所有車両Voが中古車として買い取られる可能性や買取条件を探るために車両情報を公開させて、買取予定者(買取希望者)の希望買取価格を知った上で、所有車両Voを売却するか否かを判断することが可能となる。すなわち、車両所有者は、条件次第で自己の所有車両Voを売却してもよいと考えているときに中古車売買支援システム1を利用することで、商談等を行うことなく、所有車両Voの買取条件(希望買取価格)を知ることができる。この結果、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0034】
また、中古車売買支援システム1において、中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、少なくとも車両情報管理サーバ2から送信される車両情報に基づいて所有車両Voの参考残価を算出する残価算出部(ステップS120)として機能する。更に、中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、所有車両Voの車両情報に加えて、中古車情報管理サーバ3で算出された参考残価を最低売却価格として公開する(ステップS140,S150)。これにより、所有車両Voすなわち中古車の買主になり得る買取希望者は、車両情報および最低売却価格(参考残価)を基に買取希望の意思表示をするか否か判断することができる。この結果、中古車の買主になり得る買取希望者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0035】
更に、残価算出部としての中古車情報管理サーバ3の中古車情報処理モジュール30は、市場取引相場データベースに格納された所有車両Voと同一車種の市場における取引実績や流通状態の情報を考慮して参考残価を算出する(ステップS120)。これにより、当該所有車両Voの市場における人気や流通量を基に参考残価すなわち最低売却価格をより適正に算出することが可能となる。
【0036】
また、情報公開部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、所有車両Voの車両情報を予め定められた掲載期間(所定期間)だけ公開し(ステップS140,S150)、当該掲載期間内に買取希望者が出現したか否かを判定すると共に前記希望買取価格を定める判定処理部(ステップS170,S180,S185)としても機能する。これにより、自己の所有車両Voの車両情報の公開後、所有車両Voの買取条件(希望買取価格)が判明するまでの期間を明確にして、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティをより向上させることが可能となる。
【0037】
更に、判定処理部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、複数の買取希望者が存在する場合、当該複数の買取希望者により提示された希望買取価格のうちの最高額を抽出し(ステップS180)、通知部としての中古車売買管理サーバ4の売買管理モジュール40は、当該最高額を買取予定者の希望買取価格として車両所有者に通知する(ステップS220)。すなわち、オークション形式で希望買取価格を決定することで、車両所有者に対して、所有車両Voをより高額で売却する機会を与えることが可能となる。
【0038】
また、中古車売買支援システム1は、車両で発生する不具合の原因究明や、部品や車両システムの仕様の適正化等のために、複数の車両から車両情報を取得してデータベースに格納する車両情報処理モジュール20を含む。これにより、ビッグデータとして取得される車両情報を有効に活用して潜在的な中古車を発掘し、中古車市場ひいては新車市場の活性化を図ることが可能となる。
【0039】
ただし、上記車両情報は、中古車の売買のみを目的として取得されるものであってもよく、車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)の機能が、中古車情報管理サーバ3に統合されてもよい。また、中古車売買支援システム1において、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)の機能が、車両情報管理サーバ2あるいは中古車売買管理サーバ4に統合されてもよい。更に、車両情報管理サーバ2、中古車情報管理サーバ3および中古車売買管理サーバ4の機能が単一のサーバに集約されてもよい。また、車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)の代わりに、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)が、所有車両Voの売却可能性がある中古車としての公開に同意する旨の通知を車両所有者から受け付けてもよい。この場合、中古車情報管理サーバ3(中古車情報処理モジュール30)が、車両所有者からの通知に応じて、所有車両Voの車両情報の送信を車両情報管理サーバ2(車両情報処理モジュール20)に要求してもよい。
【0040】
以上説明したように、本開示の中古車売買支援システムは、複数の車両から取得された車両情報を活用して中古車の売買を支援する中古車売買支援システム(1)であって、車両所有者に自己の所有車両(Vo)を売却の可能性がある前記中古車として公開する意思があるか否かを確認する第1確認部(2,20)と、第1確認部(2,20)により前記車両所有者に前記所有車両(Vo)を前記中古車として公開する意思があると確認されたときに(S100)、前記所有車両(Vo)の前記車両情報を公開する情報公開部(4,40,S140,S150)と、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両(Vo)の買取を希望した買取希望者が存在するときに(S160,S170,S180,S185)、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知する通知部(4,40,S190)と、前記希望買取価格の通知を受けた前記車両所有者から前記所有車両(Vo)の売却の可否を確認する第2確認部(4,40,S200,S210)とを含むものである。
【0041】
本開示の中古車売買支援システムは、車両所有者に自己の所有車両を売却の可能性がある中古車として公開する意思があるか否かを確認し、車両所有者に所有車両を中古車として公開する意思があると確認されたときに、当該所有車両の車両情報を公開する。更に、当該中古車売買支援システムは、公開された車両情報を閲覧して上記所有車両の買取を希望した買取希望者が存在するときに、当該買取希望者の希望買取価格を車両所有者に通知し、当該車両所有者から所有車両の売却の可否を確認する。これにより、車両所有者は、自己の所有車両が中古車として買い取られる可能性や買取条件を探るために車両情報を公開させて、買取希望者の希望買取価格を知った上で、所有車両を売却するか否かを判断することが可能となる。すなわち、車両所有者は、条件次第で自己の所有車両を売却してもよいと考えているときに本開示の中古車売買支援システムを利用することで、商談等を行うことなく、所有車両の買取条件(希望買取価格)を知ることができる。この結果、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0042】
また、前記中古車売買支援システム(1)は、少なくとも前記車両情報に基づいて前記所有車両(Vo)の参考残価を算出する残価算出部(3,30,S120)を含むものであってもよく、前記情報公開部(4,40)は、前記所有車両(Vo)の前記車両情報に加えて、前記残価算出部(3,30,S120)により算出された前記参考残価を最低売却価格として公開する(S140,S150)ものであってもよい。これにより、中古車の買主になり得る買取希望者は、車両情報および最低売却価格(参考残価)を基に買取希望の意思表示をするか否か判断することができる。この結果、中古車の買主になり得る買取希望者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0043】
更に、前記残価算出部(3,30)は、前記所有車両(Vo)と同一車種の市場における取引実績および流通状態を考慮して前記参考残価を算出する(S120)ものであってもよい。これにより、当該所有車両の市場における人気や流通量を基に参考残価すなわち最低売却価格をより適正に算出することが可能となる。
【0044】
また、前記情報公開部(4,40)は、前記所有車両(Vo)の前記車両情報を所定期間だけ公開する(S140,S150)ものであってもよく、前記中古車売買支援システム(1)は、前記所定期間内に前記買取希望者が出現したか否かを判定すると共に前記希望買取価格を定める判定処理部(4,40,S160,S170,S180,S185)を含むものであってもよい。これにより、自己の所有車両の車両情報の公開後、所有車両の買取条件(希望買取価格)が判明するまでの期間を明確にして、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティをより向上させることが可能となる。
【0045】
更に、前記判定処理部(4,40)は、複数の前記買取希望者が存在する場合、複数の前記買取希望者により提示された前記希望買取価格のうちの最高額を抽出する(S180)ものであってもよく、前記通知部(4,40)は、前記最高額を前記車両所有者に通知する(S190)ものであってもよい。すなわち、オークション形式で希望買取価格を決定することで、車両所有者に対して、所有車両をより高額で売却する機会を与えることが可能となる。
【0046】
また、前記中古車売買支援システム(1)は、前記複数の車両から前記車両情報を取得してデータベースに格納する車両情報処理部(2,20)を含むものであってもよい。かかる車両情報処理部は、車両で発生する不具合の原因究明や、部品や車両システムの仕様の適正化等のために、複数の車両から車両情報を取得するものであってもよい。
【0047】
本開示の中古車売買支援方法は、複数の車両から取得された車両情報を活用して中古車の売買を支援する中古車売買支援方法であって、車両所有者に自己の所有車両(Vo)を売却の可能性がある前記中古車として公開する意思があるか否かを確認し、前記車両所有者に前記所有車両(Vo)を前記中古車として公開する意思があると確認されたときに(S100)、前記所有車両(Vo)の前記車両情報を公開し(S140,S150)、公開された前記車両情報を閲覧して前記所有車両(Vo)の買取を希望した買取希望者が存在するときに、前記買取希望者の希望買取価格を前記車両所有者に通知し(S190)、前記車両所有者から前記所有車両(Vo)の売却の可否を確認する(S200,S210)ものである。
【0048】
かかる方法によれば、中古車の売主になり得る車両所有者のユーザビリティを向上させて、中古車の円滑な売買を実現することが可能となる。
【0049】
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示の発明は、中古車の販売事業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 中古車売買支援システム、2 車両情報管理サーバ、20 車両情報処理モジュール、25,35,45 記憶装置、3 中古車情報管理サーバ、30 中古車情報処理モジュール、4 中古車売買管理サーバ、40 売買管理モジュール、5,6 実店舗、10 端末、CM 車載通信機、Vo 所有車両。
図1
図2