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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20241217BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241217BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241217BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241217BHJP
   B60L 9/18 20060101ALN20241217BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20241217BHJP
   B60L 53/14 20190101ALN20241217BHJP
   B60L 53/24 20190101ALN20241217BHJP
   B60L 58/13 20190101ALN20241217BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H02J7/02 H
H02J7/34 C
H01M10/44 P
H01M10/48 P
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/24
B60L58/13
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022177973
(22)【出願日】2022-11-07
(65)【公開番号】P2024067704
(43)【公開日】2024-05-17
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 勇輝
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063717(JP,A)
【文献】特開2014-003771(JP,A)
【文献】国際公開第2022/209244(WO,A1)
【文献】特開2011-101456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部システムとの間で充放電を行う電源システムであって、
組電池とコンバータとを含む電池ユニットと、
前記電池ユニットを制御する制御装置と、を備え、
前記電池ユニットが複数並列に接続されており、
前記制御装置は、前記組電池の電圧を均等化する均等化制御の要求が発生した場合、一部の前記組電池の前記均等化制御を実施しつつ、残りの前記組電池と前記外部システムとの間で充放電が可能な状態を維持するよう、前記コンバータを制御する、電源システム。
【請求項2】
前記コンバータは、三相インバータを転用したものであり、前記三相インバータの各相アームに前記組電池が接続されており、
前記制御装置は、前記三相インバータを制御する制御部を有し、
前記制御装置は、前記三相インバータに接続された、3個の前記組電池の前記均等化制御を同時に実行する、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記組電池の電圧または時間に基づいて、前記均等化制御の要求を生成する、請求項1または請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記電源システムに含まれる前記組電池の平均電圧を求め、前記平均電圧との差が所定値より大きい電圧を示す前記組電池を、前記均等化制御の対象とする、請求項3に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源システムに関し、特に、組電池とコンバータとを含む電池ユニットを複数並列に接続した電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-103804号公報(特許文献1)には、複数の組電池を並列に接続した電池システムにおいて、複数の組電池の電圧を均等化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-103804号公報
【文献】特開2013-70441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電池システム(電源システム)では、複数の組電池のうち、最も電圧が低い組電池が特定される。そして、特定された(最も電圧が低い)組電池の電圧を基準電圧として、他の組電池が基準電圧に低下するように、均等化制御が実施される。このような均等化制御を採用する場合、基準電圧が、最も電圧が低い組電池の電圧に限定されてしまう。
【0005】
本開示の目的は、電源システムの運用を継続しつつ、組電池の電圧を所望の基準電圧へ均等化可能な電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の電源システムは、外部システムとの間で充放電を行う電源システムである。電源システムは、組電池とコンバータとを含む電池ユニットと、電池ユニットを制御する制御装置と、を備え、電池ユニットが複数並列に接続されている。制御装置は、組電池の電圧を均等化する均等化制御の要求が発生した場合、一部の組電池の均等化制御を実施しつつ、残りの組電池と外部システムとの間で充放電が可能な状態を維持するよう、コンバータを制御する。
【0007】
この構成によれば、電池ユニットは、組電池とコンバータから構成される。そして、電源システムは、電池ユニットが複数並列に接続されることによって、構成される。電池ユニットは、組電池とコンバータから構成されるので、コンバータを制御することにより、組電池の電圧を所望の電圧に均等化できる(組電池の電圧を所望の電圧にすることができる)。また、コンバータを制御することにより、組電池と外部システムとの間で充放電を行うことができる。
【0008】
制御装置は、組電池の電圧を均等化する均等化制御の要求が発生した場合、一部の組電池の均等化制御を実施しつつ、残りの組電池と外部システムとの間で充放電が可能な状態を維持するよう、コンバータを制御する。したがって、電源システムの運用を継続しつつ、組電池の電圧を所望の基準電圧へ均等化することができる。
【0009】
(2)好ましくは、(1)において、コンバータは、三相インバータを転用したものであり、三相インバータの各相アームに組電池が接続されている。制御装置は、三相インバータを制御する制御部を有する。そして、制御装置は、三相インバータに接続された、3個の組電池の均等化制御を同時に実行するようにしてもよい。
【0010】
この構成によれば、コンバータは、三相インバータを転用したものであり、三相インバータの各相アームに組電池が接続されている。三相インバータのU相アーム、V相アーム、および、W相アームの各々に、組電池が接続されるので、3個の電池ユニットが並列に接続された構成になる。制御装置は、三相インバータを制御する制御部を有し、三相インバータに接続された、3個の組電池の均等化制御を同時に実行する。三相インバータを制御する制御部が、三相インバータに接続された3個の組電池の均等化制御を同時に制御するので、制御仕様を比較的シンプルにできる。
【0011】
近年、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)や電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)などの電動車両の普及が進んでいる。これら車両の買い換え、解体等に伴って回収されるバッテリ(組電池)やPCU(Power Control Unit)を、リサイクルあるいはリユースすることが望まれる。この構成によれば、回収したPCUの三相インバータを、電源システム(電池ユニット)のコンバータに転用することにより、PCUのリユースを促進することができる。なお、電源システム(電池ユニット)の組電池として、回収したバッテリ(組電池)も用いれば、バッテリのリユースを促進することもできる。
【0012】
また、電動車両には、PCUを制御するための制御装置が搭載される。この制御装置は、PCUの三相インバータを制御する制御部(制御装置)を含む。この三相インバータを制御する制御部(制御装置)を用いて、コンバータに転用された三相インバータを制御することにより、制御仕様を比較的シンプルにできる。また、車両に搭載されていた制御装置(制御部)を、電源システムに転用すれば、制御装置(制御部)のリユースを促進することもできる。
【0013】
(3)好ましくは、(1)または(2)において、制御装置は、組電池の電圧または時間に基づいて、均等化制御の要求を生成するようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、組電池の電圧に基づいて、あるいは、時間に基づいて、均等化制御の要求が生成される。たとえば、いずれかの組電池の電圧が高くなったとき、あるいは、いずれかの組電池の電圧が低くなったとき、均等化制御の要求を生成すれば、各々の組電池の電圧の差が大きくなることを抑止できる。所定時間毎に、均等化制御の要求を生成し、各組電池の均等化制御を順次繰り返すことにより、各々の組電池の電圧の差が拡大することを抑止できる。また、時間は、時刻であってよく、たとえば、深夜の時間帯に、均等化制御の要求を生成すれば、電源システムに要求される充放電電力を満足しつつ、均等化制御を実行することができる。
【0015】
(4)好ましくは、(3)において、制御装置は、電源システムに含まれる組電池の平均電圧を求め、平均電圧との差が所定値より大きい電圧を示す組電池を、均等化制御の対象とするようにしてもよい。
【0016】
この構成によれば、電源システムに含まれる組電池の平均電圧との差が所定値より大きい電圧を示す組電池を、均等化制御の対象とするので、電源システム全体として、高い均等化効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、電源システムの運用を継続しつつ、組電池の電圧を所望の基準電圧へ均等化可能な電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態の電源システムの全体構成を示す図である。
図2】電動車両の一例を説明する図である。
図3】監視ユニットが備える均等化回路の一例を示す図である。
図4】電源システムの制御装置の構成の一例を示す図である。
図5】制御装置において実行される均等化制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】変形例1に係る、電源システムの制御装置を説明する図である。
図7】変形例1の制御装置において実行される均等化制御の一例を示すフローチャートである。
図8】変形例2において制御装置で実行される均等化制御の一例を示す図である。
図9】変形例3における電源システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0020】
図1は、本実施の形態の電源システムPの全体構成を示す図である。電源システムPは、3個のバッテリパック1とコンバータ2とを含む電源サブユニットSuと、制御装置3とを備える。本実施の形態において、電源サブユニットSuは、電動車両に搭載されるバッテリパックおよびPCUを、電源システムPに転用したものである。バッテリパックおよびPCUを搭載した電動車両の構成の一例を図2で説明する。
【0021】
図2は、電動車両の一例を説明する図である。図2において、電動車両Vは、回転電機とエンジンとを車両の駆動に併用するハイブリッド車である。電動車両Vは、バッテリパック1と、PCU20と、エンジン30と、回転電機としてのモータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構40と、駆動輪50と、を含む。
【0022】
バッテリパック1は、バッテリ10とシステムメインリレー(SMR)11とを備える。バッテリ10は、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、等の二次電池からなる単電池(電池セル)を、電気的に直列に接続した組電池である。バッテリパック1の出力端子(正極端子,負極端子)は、PCU20のバッテリ接続端子25に接続され、SMR11が閉成すると、バッテリ10とPCU20とが接続され、SMR11が開放されると、バッテリ10とPCU20との接続が遮断される。バッテリパック1には、監視ユニット15が設けられており、バッテリ10の電圧VB、バッテリ10の入出力電流IB、および、バッテリ10の温度等を検出する。
【0023】
PCU20は、昇圧コンバータ21、インバータ22およびインバータ23を含む。昇圧コンバータ21は、バッテリパック1から入力されるバッテリ電圧VBを昇圧し、インバータ22およびインバータ23に出力する。インバータ22は、昇圧コンバータ21から昇圧された直流電力を三相交流電力に変換して、たとえばエンジン30を始動させるために、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ22は、エンジン30から伝達される動力によってモータジェネレータMG1で発電された交流電力を直流電力に変換し昇圧コンバータ21に戻す。このとき、昇圧コンバータ21は、降圧回路として動作するよう制御される。インバータ23は、昇圧コンバータ21から出力された直流電力を三相交流電力に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
【0024】
動力分割機構40は、エンジン30とモータジェネレータMG1,MG2とに連結されて、これらの間で動力を分配する機構である。動力分割機構40として、遊星歯車機構を用いることができ、たとえば、エンジン30がプラネタリキャリアに、モータジェネレータMG1がサンギヤに、モータジェネレータMG2がリングギヤに接続されている。モータジェネレータMG2のロータ(および動力分割機構40のリングギヤの回転軸)は、図示しない減速ギヤ、差動ギヤおよびドライブシャフトを介して駆動輪50に連結されている。
【0025】
PCU20の昇圧コンバータ21は、リアクトルと、スイッチング素子Q1a,Q1b,Q2a,Q2bとを含む。スイッチング素子Q1a~Q2bは、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子からなり、各IGBT素子と逆並列に接続されるダイオードを含む。スイッチング素子Q1aとスイッチング素子Q1bとが並列に設けられ、スイッチング素子Q2aとスイッチング素子Q2bとが並列に設けられており、スイッチング素子Q1aとスイッチング素子Q1bとは同一の駆動信号で駆動され、スイッチング素子Q2aとスイッチング素子Q2bとは同一の駆動信号で駆動される。スイッチング素子Q1a,Q1bのコレクタが正極線Plに接続され、スイッチング素子Q2a,Q2bのエミッタが負極線Nlに接続されている。リアクトルは、スイッチング素子Q1a,Q1bのエミッタおよびスイッチング素子Q2a,Q2bのコレクタに接続されている。
【0026】
インバータ22は、三相インバータであり、正極線Plと負極線Nlとの間に直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4からなるU相アームと、正極線Plと負極線Nlとの間に直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6からなるV相アームと、正極線Plと負極線Nlとの間に直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8からなるW相アームとを備える。スイッチング素子Q3~Q8は、スイッチング素子Q1aと同様に、IGBT素子と逆並列に接続されるダイオードを含むスイッチング素子である。
【0027】
各相のアームの中間点は、MG1接続端子26を介して、モータジェネレータMG1の各相のコイルに接続されている。モータジェネレータMG1は、三相の永久磁石同期モータであり、たとえばIPM(Interior Permanent Magnet)同期電動機であってよい。
【0028】
インバータ23の構成は、各相のアームのスイッチング素子が並列に設けられている他は、インバータ22の構成と同様な三相インバータである。スイッチング素子Q9a,Q9bがスイッチング素子Q3に相当し、スイッチング素子Q10a,Q10bがスイッチング素子Q4に相当してU相アームを構成する。スイッチング素子Q11a,Q11bがスイッチング素子Q5に相当し、スイッチング素子Q12a,Q12bがスイッチング素子Q6に相当してV相アームを構成する。スイッチング素子Q13a,Q13bがスイッチング素子Q7に相当し、スイッチング素子Q14a,Q14bがスイッチング素子Q8に相当してW相アームを構成する。
【0029】
各相のアームの中間点は、MG2接続端子27を介して、モータジェネレータMG2の各相のコイルに接続されている。モータジェネレータMG2も、IPM同期電動機であってよい。
【0030】
PCU20には、インバータ22およびインバータ23の各々のU相電流iuを検出する電流センサiu、V相電流ivを検出する電流センサiv、W相電流iwを検出する電流センサiwが設けられている。また、PCU20は、昇圧コンバータ21からインバータ22、23へ供給される電圧であるシステム電圧VHを検出する電圧センサVH、および、バッテリパック1から昇圧コンバータ21に入力される電圧VLを検出する電圧センサVLを備えている。
【0031】
電動車両Vは、制御装置として、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)(HV-ECU)200、モータジェネレータECU(MG-ECU)210、バッテリECU(BT-ECU)220、および、エンジンECU(EG-ECU)230を備える。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、バッファ(いずれも図示せず)とを含んで構成される。
【0032】
監視ユニット15は、バッテリ10の電圧(バッテリ電圧)VBおよびセル電圧(単電池電圧)Vbを検出する電圧検出回路VB、入出力電流IBを検出する電流センサIB、等を備えている。また、監視ユニット15は、後述するように、バッテリ10の単電池(電池セル)の電圧を均等化する均等化回路を備えている。BT-ECU220は、監視ユニット15で検出した電圧VBおよび入出力電流IB等に基づいて、バッテリ10のSOC(State Of Charge)を演算し、HV-ECU200へ送信する。
【0033】
HV-ECU200は、電動車両Vの走行制御のために、たとえば、アクセル開度、車速等に基づいて要求駆動トルクTrを算出し、要求駆動トルクTrに駆動輪50の回転速度を乗じて、要求パワーPdを求める。要求パワーPdからバッテリ10のSOCに基づく充放電パワーPb(バッテリ10から放電するときに正の値)を減じて、エンジン30に要求される要求パワーPeを設定する。そして、エンジン30から要求パワーPeが出力されるとともに、要求駆動トルクTrが駆動輪50に出力されるよう、目標エンジン回転速度Ne、目標エンジントルクTe、モータジェネレータMG1の指令トルクTm1およびモータジェネレータMG2の指令トルクTm2を設定する。
【0034】
MG-ECU210は、モータジェネレータMG1から指令トルクTm1が出力されるよう、インバータ22の各スイッチング素子をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。また、MG-ECU210は、モータジェネレータMG2から指令トルクTm2が出力されるよう、インバータ23の各スイッチング素子をPWM制御する。
【0035】
EG-ECU230は、エンジン30が目標エンジン回転速度Neおよび目標エンジントルクTeで運転されるようエンジン30を制御する。
【0036】
図3は、監視ユニット15が備える均等化回路EQの一例を示す図である。バッテリ10においては、複数の単電池(電池セル)101~10Mが直列接続されている。電圧検出回路VBは、複数の電圧検出ラインL1、分岐ラインL11、および分岐ラインL12を介して、単電池101~10Mの電圧を検出する。電圧検出ラインL1は、単電池101の正極端子と単電池10Mの負極端子に接続される。また、電圧検出ラインL1は、単電池101~10Mの間において、一方の単電池の負極端子と他方の単電池の負極端子とに接続されている。
【0037】
電圧検出ラインL1には、ヒューズFとチップビーズCbが設けられている。ヒューズFは、過電流の発生時に溶断し、回路を保護する。チップビーズCbは、瞬間的にサージ電圧が印加された際に、印加ストレスを低減する。
【0038】
単電池101~10Mには、電圧検出ラインL1を介してツェナーダイオードDが並列に接続されている。ツェナーダイオードDのカソードは、対応の単電池の正極端子側に接続され、アノードは、対応の単電池の負極端子側に接続される。バッテリ10(単電池)から電圧検出回路VBに過電圧が印加されると、ツェナーダイオードDに電流が流れることにより、電圧検出回路VBを過電圧から保護する。
【0039】
電圧検出ラインL1は、ツェナーダイオードDより監視ユニット15側において、分岐ラインL11と分岐ラインL12に分岐する。分岐ラインL11は、スイッチSoを介してコンパレータVBcに接続され、分岐ラインL12は、スイッチShを介してコンパレータVBcに接続される。スイッチSoおよびスイッチShは、たとえば、フォトMOS(Metal Oxide Semiconductor)リレーを用いることができる。なお、バッテリ10の正極出力端子側に配置された単電池101の正極端子に接続される電圧検出ラインL1から分岐した分岐ラインL11は、コンパレータVBcに接続されない。また、バッテリ10の負極出力端子側に配置された単電池10Mの負極端子に接続される電圧検出ラインL1は、分岐ラインL12を備えない。
【0040】
分岐ラインL12には、抵抗R1が設けられている。各単電池の正極端子に接続された分岐ラインL12と、負極端子に接続された分岐ラインL11の間に、キャパシタ(フライングキャパシタ)Cが設けられている。分岐ラインL12において、キャパシタCは、抵抗R1とスイッチShとの間に接続されており、抵抗R1とキャパシタCによってRCローパスフィルタを形成している。キャパシタCは、対応する単電池101~10Mと並列に接続されており、対応する単電池101~10Mの電荷がキャパシタCにチャージされ、キャパシタCの電圧値は、対応する単電池101~10Mに電圧値と等しくなる。特定の単電池101~10Mに対応したスイッチShおよびスイッチSoをON(閉成)することにより、コンパレータVBcは、特定の単電池101~10Mの電圧(セル電圧)Vbを出力する。これにより、監視ユニット15は、各単電池101~10Mに対応したスイッチShおよびSoを順次ONすることにより、電圧検出回路VBを用いて、各単電池101~10Mのセル電圧Vbを検出することができる。また、単電池101のスイッチShと単電池10Mの負極端子に接続されたスイッチSoをON(閉成)することにより、バッテリ10の電圧VBを検出することができる。
【0041】
均等化回路EQは、分岐ラインL11に設けた放電用抵抗Rdと、隣接する分岐ラインL11の間を導通(閉成)/遮断(開放)するスイッチS1から構成される。スイッチS1は、BT-ECU220からの制御信号を受けることにより、ON(閉成)およびOFF(開放)の間で切り替わる。図4において、一点鎖線の矢印は、セル電圧Vbの不均等を解消するため、均等化制御を実行した際の電流の流れを示す。単電池102のセル電圧Vbがセル基準電圧より高く、単電池102から放電を行い、均等化制御を実行した場合を示している。単電池102のセル電圧Vbがセル基準電圧より高い場合、単電池102に対応するスイッチS1をON(閉成)する。単電池102に対応するスイッチS1をON(閉成)されると、一点鎖線の矢印で示すように、単電池102から放電された電流が放電用抵抗Rd、Rdによって消費されて、単電池102のセル電圧Vbが低下し、セル電圧の均等化が実行される。このようにして、バッテリ10(組電池)の電池セル間の均等化が行われる。
【0042】
再び図1を参照して、電源システムPにおいて、バッテリパック1およびコンバータ2は、電動車両Vに搭載されたバッテリパック1およびPCU20を転用したものである。3個のバッテリパック1(1-1-1、1-1-2、1-1-3)の出力端子の正極端子が、PCU20のインバータ23(三相インバータ)の各相アーム(U相アーム、V相アーム、W相アーム)の中間点が接続されたMG2接続端子27に、コイル(インダクタ)5を介して接続される。バッテリパック1の正極端子とコイル5との間の電力線は、コンデンサ6を介して、バッテリパック1の出力端子の負極端子と接続される。バッテリパック1の負極端子は、電力線Nl1によって、PCU20の負極線Nlに接続される。なお、図1においては、便宜上、監視ユニット15の図示を一部省略している。
【0043】
図1において、PCU20のインバータ22のスイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、および、スイッチング素子Q7が短絡されている。インバータ22の各相アームの中間点が接続されたMG1接続端子26において、U相アームが接続された端子が、電力線Nl2によって、バッテリ接続端子25の負極端子に接続される。バッテリ接続端子25の負極端子は、電源サブユニットSuの負極端子28bに接続される。MG1接続端子26において、V相アームおよびW相アームが接続される端子が、電力線Pl1によって、電源サブユニットSuの正極端子28aに接続される。
【0044】
このようにPCU20のインバータ23の各相アームをバッテリパック1に接続し、インバータ22の一部のスイッチング素子を短絡させ、MG1接続端子26を電源サブユニットSuの正極端子28a、負極端子28bに接続することによって、PCU20は、インバータ23の各相アームに接続されたバッテリパック1(バッテリ10)の電圧を制御するコンバータ2に転用されている。
【0045】
図1において、バッテリパック1、あるいは、バッテリパック1に含まれるバッテリ10が、本開示の「組電池」の一例に相当する。1個のバッテリパック1に対応する(1個のバッテリパック1に接続された)各相アーム、コイル5およびコンデンサ6からなるチョッパ回路が、本開示の「コンバータ」に相当する。なお、図1においては、便宜上、3個のコンバータをまとめて、符号2を付している。そして、バッテリパック1と1個のコンバータ2を含む構成が、本開示の「電池ユニット」に相当する。たとえば、図1において、バッテリパック1-1-1、U相アーム(スイッチング素子Q9a,Q9b,Q10a,Q10b)、U相アームの中間点に接続されたコイル5、および、バッテリパック1-1-1の正極端子とコイル5との間の電力線に設けたコンデンサ6が、本開示の「電池ユニット」に相当する。なお、本実施の形態の説明では、各電池ユニットを区別することなく、電池ユニットに符号Buを用いる。
【0046】
電源サブユニットSuは、PCU20を転用したコンバータ2を含む、3個の電池ユニットBuから構成される。電源サブユニットSuにおいて、各電池ユニットBuは並列に接続されている。電源システムPは、電源サブユニットSuを複数備え、各電源サブユニットSuはPCS100に対して並列に接続される。本実施の形態において、電源サブユニットSuは、n個(nは正の整数)の電源サブユニットSuを備えており、たとえば、20個の電源サブユニットSuを備えてよい。電源サブユニットSuには、3個の電池ユニットBu(バッテリパック1)が並列に接続されており、20個の電源サブユニットSuを備えた電源システムPでは、60個の電池ユニットBu(バッテリパック1)が並列に接続されている。図1において、符号Su-nのnは、n番目の電源サブユニットSuであることを表している。符号1-n-1、1-n-2および1-n-3のnは、n番目の電源サブユニットSuに含まれるバッテリパック1を表している。
【0047】
各電源サブユニットSuの正極端子28aは、正極線PLを介して、PCS100の入出力端子に接続される。各電源サブユニットSuの負極端子28bは、負極線NLを介して、PCS100の入出力端子に接続される。
【0048】
PCS100は、電源システムPに加え、電力系統PG、太陽光発電装置650、および、負荷(電気負荷)300に接続されている。電力系統PGは、発電所や送電網からなる、たとえば商用電源である。PCS100は、電力変換装置を含み、太陽光発電装置650で発電した電力を負荷300に供給したり、逆潮流を行ったりする。PCS100は、電力系統PGの交流電力を直流電力に変換し、電源システムP(電池ユニットBu)の充電を行う。PCS100は、電源システムP(電池ユニットBu)の放電電力(出力電力)を交流電力に変換し、負荷300に供給したり逆潮流を行ったりする。負荷300は、家庭負荷(家電)であってよく、事業所や工場の電気負荷であってよい。
【0049】
電源システムPは、電力系統PGとの間で電力の授受を行う連系運転と、電力系統PGと解列された(遮断された)自立運転とを行う。連系運転時、負荷300への電力供給は、主に、電力系統PGの電力が供給される。連系運転時、電源システムPは、下げDRあるいは上げDRの要請に応じて、電力系統PGと電力の授受を行う。電源システムPの自立運転時には、電源システムP(電池ユニットBu)の出力電力(放電電力)が、負荷300に供給される。
【0050】
図4は、電源システムPの制御装置3の構成の一例を示す図である。制御装置3は、制御ECU400と駆動ECU450とを備える。各ECUは、CPUと、メモリと、バッファ(いずれも図示せず)とを含んで構成される。PCS-ECU500は、PCS100を制御する制御装置であり、電源システムP(電池ユニットBu)から出力される電力の要求値、あるいは、電源システムPに入力される電力の要求値である電力指令RP、および、電源システムPから出力される電圧の指令値である電圧指令RVを、制御ECU400に出力する。
【0051】
制御ECU400は、電源システムP(電池ユニットBu)の充放電を制御する。駆動ECU450は、電源システムP(電池ユニットBu)の充放電電力が、電力指令RPになるよう、また、電源システムPの出力電圧がRVになるよう、電池ユニットBu(コンバータ2)をPMW制御する。また、制御ECU400は、電池ユニットBu(バッテリ10)の均等化制御を実行する。
【0052】
このように構成された電源システムPにおいて、電池ユニットBu(バッテリ10)の間でバッテリ10の電圧を均等化する(バランスを取る)ことが好ましく、バッテリ10(組電池)の電池セル間の電圧を均等化することが好ましい。この場合、電源システムPの運用(電源システムPの充放電)を継続しつつ、均等化をすることが望まれる。本実施の形態では、電池ユニットBuのコンバータ2を制御することにより、バッテリ10(電池ユニットBu)の電圧を所望の基準電圧に均等化する。また、バッテリ10(電池ユニットBu)の電池セル間の均等化を行う。
【0053】
図5は、制御装置3(制御ECU400)において実行される均等化制御の処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、電源システムPの作動中、所定期間毎に繰り返し処理される。所定期間としては、たとえば、1時間であってよく、12時間、あるいは、48時間であってよい。
【0054】
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10では、各電池ユニットBuの監視ユニット15で検出したバッテリ電圧VBを取得する。本実施の形態では、60個の電池ユニットBuを備えるので、バッテリ電圧VBを60個取得することになる、続くS12では、取得した60個のバッテリ電圧VBから、平均電圧VBavを算出する。平均電圧VBabは、単純平均であってよい。
【0055】
S13では、S12で算出した平均電圧VBavと、各電池ユニットBu(バッテリ10)のバッテリ電圧VBとの差(|VBav-VB|)が、所定値α以上であるか否かを判定する。所定値αは、電池ユニットBu(バッテリ10)間の電圧のバラツキを許容できる値であり、実験等によって予め設定される。すべての電池ユニットBuにおいて、平均電圧VBabとバッテリ電圧VBとの差が、所定値αより小さい場合(|VBav-VB|<α)、否定判定され、今回のルーチンを終了する。
【0056】
いずれかの電池ユニットBu(バッテリ10)において、平均電圧VBavとバッテリ電圧VBとの差が、所定値α以上である場合(|VBav-VB|≧α)、S13で肯定判定されS14へ進む。
【0057】
S14では、平均電圧VBavとバッテリ電圧VBとの差が所定値α以上であると判定された電池ユニットBuに含まれるバッテリ10の電池セル間の均等化を実行するか否かを判定する。なお、以下において、平均電圧VBavとバッテリ電圧VBとの差が所定値α以上であると判定された電池ユニットBuに含まれるバッテリ10を、「対象バッテリ」とも称する。たとえば、対象バッテリのセル電圧Vbの最大値と最小値の偏差が、設定値以上であるとき、対象バッテリの電池セル間の均等化を実行すると判定(肯定判定)し、S15へ進む。対象バッテリのセル電圧Vbの最大値と最小値の偏差が、設定値未満であるとき、対象バッテリの電池セル間の均等化の実行は不要と判断(否定判断)し、S16へ進む。
【0058】
S15では、対象バッテリの電池セル間の均等化制御を実行する。たとえば、対象バッテリの電池ユニットBuのコンバータ2を停止する(各相アームのスイッチング素子をオフ状態にする)。そして、対象バッテリのセル電圧Vbの最大値と最小値を除いて算出した、セル電圧Vbの平均値を、セル基準電圧として設定し、セル基準電圧より高いセル電圧を示す単電池から放電を行い(放電用抵抗R1,R1で電流を消費し)、対象バッテリの電池セル間の均等化制御を実行する。対象バッテリの電池セル間の均等化制御が終了すると、S16へ進む。
【0059】
S16では、対象バッテリ(組電池)の均等化制御を実行する。均等化制御では、対象バッテリのバッテリ電圧VBが平均電圧VBavになるよう、対象バッテリの電池ユニットBuのコンバータ2を制御する。たとえば、バッテリ電圧VBが平均電圧VBavより高い場合には、電池ユニットBuから放電を行うよう、コンバータ2を制御する。また、バッテリ電圧VBが平均電圧BVavより低い場合には、電池ユニットBu(バッテリ10)を充電するよう、コンバータ2を制御する。なお、電池ユニットBuは、電力系統PGから供給される電力によって充電されてよく、あるいは、他の電池ユニットBuから供給される電力によって充電されてもよい。そして、バッテリ電圧VBが平均電圧VBavになると、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、対象バッテリの電池ユニットBuが制御され、S10へ戻る。なお、本ルーチンの処理中、対象バッテリ(S14およびS13の処理が実行されるバッテリ)を含まない電池ユニットBuは、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、コンバータ2が制御されている。
【0060】
S10に戻ると、再度、各電池ユニットBuの監視ユニット15で検出したバッテリ電圧VBを取得し、S10~S16の各ステップが処理される。そして、すべての対象バッテリの均等化制御(S16)が終了すると、すべての電池ユニットBuにおいて、平均電圧VBabとバッテリ電圧VBとの差が所定値αより小さくなるので(|VBav-VB|<α)、S13で否定判定され、今回のルーチンを終了する。
【0061】
本実施の形態によれば、電池ユニットBuは、バッテリ10(組電池)とコンバータ2から構成される。そして、電池ユニットBuが複数並列に接続され、電源システムPが構成される。電池ユニットBuは、バッテリ10とコンバータ2から構成されるので、コンバータ2を制御することにより、バッテリ10の電圧を所望の電圧に均等化できる(S16)。
【0062】
制御装置3は、バッテリ10の電圧を均等化する均等化制御の要求が発生した場合(S13で肯定判定)、一部のバッテリ10(対象バッテリ)の均等化制御を実施しつつ、残りのバッテリ10(電池ユニットBu)とPCS100との間で充放電が可能な状態を維持するよう、コンバータ2を制御する。したがって、電源システムPの運用を継続しつつ、バッテリ10の電圧を所望の基準電圧へ均等化することができる。
【0063】
上記の実施の形態によれば、電池ユニットBuのコンバータ2は、電動車両VのPCU20に含まれるインバータ23(三相インバータ)を転用したものである。また、電池ユニットBuのバッテリパック1として、電動車両Vのバッテリパック1を用いている。したがって、電動車両Vの買い換え、解体等に伴って回収されるバッテリやPCUのリユースを促進することができる。
【0064】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る、電源システムPの制御装置3aを説明する図である。変形例1の制御装置3aは、電動車両Vに搭載された、HV-ECU200、MG-ECU210、および、BT-ECU220を利活用したものである。図6において、H/HV-ECU220a、および、HV-ECU(1)220a-1~HV-ECU(3)220a-3は、電動車両Vに搭載されたHV-ECU200を利活用したものである。MG-ECU210aは、MG-ECU210を利活用したものである。BT-ECU220a1~BT-ECU220a-3は、BT-ECU220を利活用したものである。
【0065】
インターフェースECU(I/F-ECU)600は、PCS-ECU500と制御装置3a(H/HV-ECU200a)との間を接続し、PCS-ECU500の通信プロトコルと制御装置3aの通信プロトコルとの間の整合を行っている。H/HV-ECU200aは、I/F-ECU600を介して、PCS-ECU500から受信した、電力指令RP、電圧指令RV、等から、各電池ユニットBuに対する電力指令RP、等を演算する。また、H/HV-ECU200aは、電池ユニットBu(バッテリ10)の均等化制御の指令を出力する。
【0066】
MG-ECU210a、HV-ECU(1)220a-1~HV-ECU(3)220a-3、および、BT-ECU220a1~BT-ECU220a-3から構成された、サブ制御装置3a1は、電源サブユニットSuを制御する制御装置である。図6において、サブ制御装置3a1-1は、図1における電源サブユニットSu-1を制御する制御装置であり、電源サブユニットSu毎にサブ制御装置3a1が設けられる。すなわち、制御装置3aは、サブ制御装置3a1-1~サブ制御装置3a1-nのn個のサブ制御装置3a1を有する。
【0067】
BT-ECU(1)220a-1は、電源サブユニットSu-1のバッテリパック1-1-1のバッテリ10の電圧VB、入出力電流IB、温度等を監視するとともに、電池セル間の均等化制御を実行する。HV-ECU(1)200a-1は、電力指令RPや電圧指令RVに基づいて、バッテリパック1-1-1のSMR11の開閉制御を行う。また、HV-ECU200(1)a-1は、バッテリパック1-1-1のバッテリ10の劣化度合の検出等を行う。BT-ECU(2)220a-2およびHV-ECU(2)200a-2は、バッテリパック1-1-2に対して、BT-ECU(1)220a-1およびHV-ECU(1)200a-1と同様の処理を行う。BT-ECU(3)220a-3およびHV-ECU(3)200a-3は、バッテリパック1-1-3に対して、BT-ECU(1)220a-1およびHV-ECU(1)200a-1と同様の処理を行う。MG-ECU210aは、電圧指令RV、電力指令RP等に基づいて、あるいは、H/HV-ECU200aからの均等化制御の指令に基づいて、コンバータ2を制御する(インバータ23の各相アームのスイッチング素子を駆動する)。
【0068】
サブ制御装置3a1-2~サブ制御装置3a1-nも、電源サブユニットSu-2~電源サブユニットSu-nに関して、サブ制御装置3a1-1と同様の処理を行う。
【0069】
図7は、変形例1の制御装置3aにおいて実行される均等化制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図5のフローチャートと同様に、電源システムPの作動中、所定期間毎に繰り返し処理される。
【0070】
図7において、S10~S13は、図5のフローチャートと同様の処理であり、たとえば、H/HV-ECU200aにおいて処理される。S13で肯定判定されると、H/HV-ECU200aは、平均電圧VBavとバッテリ電圧VBとの差が所定値α以上であると判定された電池ユニットBuを含む電源サブユニットSuを制御するサブ制御装置3a1へ均等化制御の指令を出力する(S20)。
【0071】
また、S20においては、均等化制御の指令を受けたサブ制御装置3a1のMG-ECU210aは、電源サブユニットSuに含まれる3個の電池ユニットBu(バッテリ10)のバッテリ電圧Vbが平均電圧VBavになるよう、電源サブユニットSuのコンバータ2(インバータ23の各相アーム)を制御する。そして、電源サブユニットSuに含まれる3個の電池ユニットBuのバッテリ電圧VBが平均電圧VBavになると、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、電源サブユニットSu-nが制御され、S10へ戻る。なお、本ルーチンが処理中、均等化制御の処理が行われていない電源サブユニットSuは、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、コンバータ2が制御されている。
【0072】
この変形例1によれば、制御装置3aは、インバータ23(三相インバータ)を制御するサブ制御装置3a1(MG-ECU210a)を有する。そして、インバータ23に接続された、3個のバッテリ10の均等化制御を同時に実行する。インバータ23を制御するサブ制御装置3a1が、インバータ23に接続された、3個のバッテリ10の均等化制御を同時に制御するので、制御仕様を比較的シンプルにできる。さらに、3個のバッテリ10(電池ユニットBu)を同時に均等化制御するので、均等化制御に要する時間を短縮できる。
【0073】
この変形例1によれば、電源システムPの制御装置として、電動車両Vに搭載された、HV-ECU200、MG-ECU210、および、BT-ECU220のハードウェアを利活用することが促進できる。また、電動車両Vに搭載された、HV-ECU200、MG-ECU210、および、BT-ECU220等で利用していたCAN(Controller Area Network)通信の資源も活用でき、信頼性の高い、多重系の通信や監視を、比較的容易に実行することができる。
【0074】
(変形例2)
変形例1では、平均電圧VBavとバッテリ電圧VBとの差が所定値α以上であると判定された電池ユニットBuがあったとき、電源サブユニットSuに含まれる3個の電池ユニットBu(バッテリ10)の均等化制御を同時に実行していた。変形例2では、平均電圧VBavとバッテリ電圧VBとの差に係わらず、均等化制御の処理を実行する。
【0075】
変形例2の制御装置3aは、変形例1の制御装置3aと同様である。図8は、変形例2において、制御装置3aで実行される均等化制御の一例を示す図である。このフローチャートは、所定の時刻になると開始される。所定の時刻は、たとえば、深夜0時であってよい。時刻が深夜0時になると、S30において、H/HV-ECU200aは、カウンタCをインクリメントし、インクリメントしたカウンタCをnに設定する。カウンタCの初期値は0であり、S30が初めて処理されるとき、nは1に設定される。
【0076】
続くS31では、H/HV-ECU200aは、サブ制御装置3a1-nへ均等化制御の指令を出力する。nは、S30で設定された値であり、以下、変形例2の説明において同様である。また、S31においては、均等化制御の指令を受けたサブ制御装置3a1-nのMG-ECU210aは、電源サブユニットSu-nに含まれる3個の電池ユニットBu(バッテリ10)のバッテリ電圧Vbが基準電圧VBbeになるよう、電源サブユニットSu-nのコンバータ2(インバータ23の各相アーム)を制御する。そして、電源サブユニットSu-nに含まれる3個の電池ユニットBuのバッテリ電圧VBが基準電圧VBbeになると、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、電源サブユニットSu-nが制御され、S33へ進む。基準電圧VBbeは、電源システムPあるいは電源サブユニットSu-nの仕様や電池(バッテリ10)の種類等によって予め設定された値であってよく、上述の平均電圧VBavであってもよい。なお、均等化制御の処理が行われていない電源サブユニットSuは、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、コンバータ2が制御されている。
【0077】
S33では、H/HV-ECU200aは、nが20以上であるか否かを判定する。nが20未満である場合(n<20)、否定判定されS34へ進んで、カウンタCをnに設定し、今回のルーチンを終了する。カウンタCに。nが20以上であれば(n≧20)、肯定判定されS35進み、カウンタCを0に設定して、今回のルーチンを終了する。なお、本ルーチンが処理中、均等化制御の処理が行われていない電源サブユニットSuは、電源システムPに要求される動作モード(充電あるいは放電)になるよう、コンバータ2が制御されている。
【0078】
この変形例2によれば、電源サブユニットSuに含まれる電池ユニットBu(バッテリ10)の電圧の均等化を、定期的、かつ、順次、繰り返し実行するので、各電池ユニットBu(バッテリ10)の電圧差が拡大することを抑止できる。また、負荷300の消費電力が小さくなる深夜時間帯に、均等化制御を実行しているので、電源サブユニットSuの単位(3個の電池ユニットBu)を同時に均等化制御しても、電源システムPに要求される電力を、確実に確保できる。また、変形例1と同様に、インバータ23を制御するサブ制御装置3a1が、インバータ23に接続された3個のバッテリ10の均等化制御を同時に制御するので、制御仕様を比較的シンプルにできる。さらに、3個のバッテリ10(電池ユニットBu)を同時に均等化制御するので、均等化制御に要する時間を短縮できる。
【0079】
(変形例3)
図9は、変形例3における電源システムPaの全体構成を示す図である。上記の実施の形態では、昇圧コンバータ21、インバータ22およびインバータ23を備えたPCU20を、電源システムPのコンバータ2に転用した例を説明した。上記の実施の形態では、特に、大電力を通電可能とするために、並列にスイッチング素子が設けられたインバータ23を、コンバータ2のスイッチング素子として利用していた。しかし、電動車両に搭載されるPCUには、インバータがひとつ設けられるもの、あるいは、昇圧コンバータを備えないPCUが存在する。
【0080】
変形例3における電源システムPaは、ひとつのインバータのみを備えるPCU、あるいは、PCUからインバータ部分を抜き出した回路を、電源システムPaのコンバータ2Aに転用したものである。
【0081】
図9において、コンバータ2Aは、電動車両に搭載されたPCUのインバータ(三相インバータ)を転用したものである。図9において、バッテリパック1のSR1およびSR2は、システムメインリレー(SMR)である。上記実施の形態と同様に、3個のバッテリパック1(1-1-1、1-1-2、1-1-3)の出力端子の正極端子が、PCUの三相インバータの各相アーム(U相アーム2A1、V相アーム2A2、W相アーム2A3)の中間点に、コイル(インダクタ)5を介して接続される。バッテリパック1の正極端子とコイル5との間の電力線は、コンデンサ6を介して、バッテリパック1の出力端子の負極端子と接続される。三相インバータの各相アーム(U相アーム2A1、V相アーム2A2、W相アーム2A3)の上アームは正極線PLに接続され、PCS100の入出力端子に接続される。三相インバータの各相アーム(U相アーム2A1、V相アーム2A2、W相アーム2A3)の下アームは負極線NLに接続され、PCS100の入出力端子に接続される。バッテリパック1の負極端子は、負極線NLに接続される。なお、監視ユニット15の図示は、省略している。
【0082】
このように、変形例3における電源システムPaでは、PCUの三相インバータの各相アームをバッテリパック1に接続し、三相インバータをコンバータ2Aに転用して、3個の電池ユニットBuを有する電源サブユニットSuaを構成している。電源システムPaは、上記実施の形態と同様に、電源サブユニットSuaを複数備え、各電源サブユニットSuaは並列に接続されている。この変形例3においても、制御装置3bにおいて、上記の実施の形態と同様な均等化制御を実行することにより、上記の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0083】
上記の実施の形態および変形例においては、三相インバータをコンバータに転用した電源システムを説明した。しかし、電池ユニットBuを構成するコンバータは、三相インバータを転用したものでなくともよく、電池ユニットBu毎に、独立したチョッパ回路(コンバータ)を備えてもよい。また、四相インバータをコンバータに転用してもよい。この場合、変形例1および変形例2では、四相インバータの各相アームに接続された4個の電池ユニット(バッテリ)を同時に均等化制御するようにしてよい。
【0084】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
1 バッテリパック、2,2A コンバータ、3,3a,3b 制御装置、5 コイル(インダクタ)、6 コンデンサ、10 バッテリ、11 SMR、15 監視ユニット、20 PCU、21 昇圧コンバータ、22,23 インバータ、25 バッテリ接続端子、26 MG1接続端子、27 MG2接続端子、28a 正極端子、28b 負極端子、30 エンジン、40 動力分割機構、50 駆動輪、100 PCS、200 HV-ECU、210 MEG-ECU、220 BT-ECU 230 EG-ECU、300 負荷、400 制御ECU、450 駆動ECU、500 PCS-ECU、600 I/F-ECU、650 太陽光発電装置、Bu 電池ユニット、MG1 モータジェネレータ、MG2 モータジェネレータ、Su,Sua 電源サブユニット、P,Pa 電源システム、PG 電力系統、V 電動車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9