(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両の二次電池システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20241217BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20241217BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241217BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20241217BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20241217BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241217BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H02J7/04 K
B60L1/00 L
B60L3/00 H
B60L58/26
H01M10/42 Z
H02J7/00 P
H02J7/04 L
H02J7/10 K
(21)【出願番号】P 2022187706
(22)【出願日】2022-11-24
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高須 純太
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115715(JP,A)
【文献】特開2020-152310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0035082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
B60L 1/00
B60L 3/00
B60L 58/26
H01M 10/42
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の二次電池システムであって、
内部の圧力と外部の気圧との差圧によって機能が維持される電池と、
前記車両の走行履歴に基づく前記電池の外部の気圧の平均に関する情報、および前記車両の現在の位置に基づく前記電池の現在の外部の気圧に関する情報に基づいて、前記電池の温度を制御するプロセッサと、を備えた車両の二次電池システム。
【請求項2】
前記車両の走行履歴に基づく前記電池の外部の気圧の平均に関する情報および前記車両の現在の位置に基づく前記電池の現在の外部の気圧に関する情報と、前記電池の保証時間との対応関係を定めた情報を記憶するメモリを備え、
前記プロセッサは、前記電池の外部の気圧の平均に関する情報、前記電池の現在の外部の気圧に関する情報、および前記電池の使用時間を取得し、
前記プロセッサは、前記対応関係を定めた情報を参照して、取得した前記電池の外部の気圧の平均に関する情報および前記電池の現在の外部の気圧に関する情報に対応する前記電池の保証時間を特定し、前記電池の使用時間と前記電池の保証時間とに基づいて、前記電池の温度を制御する、請求項1記載の車両の二次電池システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記電池の使用時間が前記電池の保証時間を超えている場合に、前記電池の温度を低下させる、請求項2記載の車両の二次電池システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記電池の使用時間が前記電池の保証時間を超えている場合に、前記電池の使用時間と前記電池の保証時間との差に応じた温度だけ前記電池の温度を低下させる、請求項3記載の車両の二次電池システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記電池の使用時間が前記電池の保証時間を超えており、かつ前記電池の温度が予め定められた温度以上の場合に、前記電池の温度を低下させる、請求項2記載の車両の二次電池システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記電池の使用時間が前記電池の保証時間を超えており、かつ前記電池の温度が予め定められた温度以上の場合に、前記電池の使用時間と前記電池の保証時間との差に応じた温度だけ前記電池の温度を低下させる、請求項5記載の車両の二次電池システム。
【請求項7】
前記対応関係を定めた情報は、前記電池の外部の気圧の平均が同一のときに、前記電池の現在の外部の気圧が大きくなるほど、前記電池の保証時間が短くなるように定め、前記電池の現在の外部の気圧が同一のときに、前記電池の外部の気圧の平均が大きくなるほど、前記電池の保証時間が長くなるように定める、請求項2記載の車両の二次電池システム。
【請求項8】
前記車両の走行履歴に基づく前記電池の外部の気圧の平均に関する情報および前記車両の現在の位置に基づく前記電池の現在の外部の気圧に関する情報と、前記電池を定められた保証時間だけ使用できる条件としての前記電池の最大許容温度との対応関係を定めた情報を記憶するメモリを備え、
前記プロセッサは、前記電池の外部の気圧の平均に関する情報、前記電池の現在の外部の気圧に関する情報、および前記電池の現在の温度を取得し、
前記プロセッサは、前記対応関係を定めた情報を参照して、取得した前記電池の外部の気圧の平均に関する情報および前記電池の現在の外部の気圧に関する情報に対応する前記電池の最大許容温度を特定し、前記電池の現在の温度と前記電池の最大許容温度とに基づいて、前記電池の温度を制御する、請求項1記載の車両の二次電池システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記電池の現在の温度が前記電池の最大許容温度を超えている場合に、前記電池の温度を前記電池の最大許容温度以下に低下させる、請求項8記載の車両の二次電池システム。
【請求項10】
前記対応関係を定めた情報は、前記電池の外部の気圧の平均が同一のときに、前記電池の現在の外部の気圧が大きくなるほど、前記電池の最大許容温度が低くなるように定め、前記電池の現在の外部の気圧が同一のときに、前記電池の外部の気圧の平均が大きくなるほど、前記電池の最大許容温度が高くなるように定める、請求項8記載の車両の二次電池システム。
【請求項11】
前記車両の二次電池システムは、
前記電池を冷却する冷却機構をさらに備え、
前記プロセッサは、前記冷却機構を制御することによって、前記電池の温度を制御する、請求項1記載の二次電池システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記電池へ入力される電流または前記電池から出力される電流を制御することによって、前記電池の温度を制御する、請求項1記載の二次電池システム。
【請求項13】
前記電池は、内部の圧力と外部の気圧との差圧に応じて変形することによって、前記電池の内部の空間が保持される構造を有する、請求項1記載の二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単セルが積層されている積層体を有する電池パックが記載されている。この電池パックでは、蓋部材が、セルケースの内部圧力が大気圧よりも低い場合に密閉を維持した状態で変形し、積層体一方の面と当接し、大気圧とセルケースの内部圧力との差圧に基づく圧力を、当接した面に付与するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池は、経年劣化により電池の内部の圧力が上昇する。電池は、標高が高い環境に移動した場合に、電池の外部の気圧が低下する。
【0005】
その結果、電池の外部の気圧と電池の内部の圧力との差が小さくなることがある。あるいは、電池の内部の圧力の方が電池の外部の気圧よりも大きくなる場合がある。その結果、セルへの押圧力によって、電池内部の空間を維持できなくなることがある。
【0006】
それゆえに、本開示の目的は、電池の内外の圧力差を維持することができる車両の二次電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の車両の二次電池システムは、内部の圧力と外部の気圧との差圧によって機能が維持される電池と、車両の走行履歴に基づく電池の外部の気圧の平均に関する情報、および車両の現在の位置に基づく電池の現在の外部の気圧に関する情報に基づいて、電池の温度を制御するプロセッサと、を備える。
【0008】
このような構成によって、電池の内外の圧力差が変化する環境下であっても、電池の外部の気圧の平均および現在値に基づいて、電池の温度が制御することによって、電池の内外の圧力差を維持するように調整することができる。
【0009】
(2)車両の走行履歴に基づく電池の外部の気圧の平均に関する情報および車両の現在の位置に基づく電池の現在の外部の気圧に関する情報と、電池の保証時間との対応関係を定めた情報を記憶するメモリを備える。プロセッサは、電池の外部の気圧の平均に関する情報、電池の現在の外部の気圧に関する情報、および電池の使用時間を取得する。プロセッサは、対応関係を定めた情報を参照して、取得した電池の外部の気圧の平均に関する情報および電池の現在の外部の気圧に関する情報に対応する電池の保証時間を特定し、電池の使用時間と電池の保証時間とに基づいて、電池の温度を制御する。
【0010】
このような構成によって、電池の内外の圧力差が変化する環境下であっても、電池の保証時間を特定し、電池の使用時間と電池の保証時間とに基づいて、電池の温度を制御することによって、電池の内外の圧力差を維持するように調整することができる。
【0011】
(3)プロセッサは、電池の使用時間が電池の保証時間を超えている場合に、電池の温度を低下させる。
【0012】
電池の温度を低下することによって、電池の内部の圧力を低下させることができる。
(4)プロセッサは、電池の使用時間が電池の保証時間を超えている場合に、電池の使用時間と電池の保証時間との差に応じた温度だけ電池の温度を低下させる。
【0013】
電池の使用時間と電池の保証時間との差が大きい場合に、電池の温度を大きく低下させることができる。
【0014】
(5)プロセッサは、電池の使用時間が電池の保証時間を超えており、かつ電池の温度が予め定められた温度以上の場合に、電池の温度を低下させる。
【0015】
電池の使用時間が電池の保証時間を超えていても、電池の温度が予め定められた温度未満の場合に、電池の温度を低下させなくても、電池の内外の圧力差に影響がない場合に、電池の温度制御を必要なときだけに限定することができる。
【0016】
(6)プロセッサは、電池の使用時間が電池の保証時間を超えており、かつ電池の温度が予め定められた温度以上の場合に、電池の使用時間と電池の保証時間との差に応じた温度だけ電池の温度を低下させる。
【0017】
電池の使用時間と電池の保証時間との差が大きい場合に、電池の温度を大きく低下させることができる。
【0018】
(7)対応関係を定めた情報は、電池の外部の気圧の平均が同一のときに、電池の現在の外部の気圧が大きくなるほど、電池の保証時間が短くなるように定め、電池の現在の外部の気圧が同一のときに、電池の外部の気圧の平均が大きくなるほど、電池の保証時間が長くなるように定める。
【0019】
この対応関係を定めた情報は、電池の特性を適切に表わすので、電池の温度制御の精度を高くすることができる。
【0020】
(8)車両の走行履歴に基づく電池の外部の気圧の平均に関する情報および車両の現在の位置に基づく電池の現在の外部の気圧に関する情報と、電池を定められた保証時間だけ使用できる条件としての電池の最大許容温度との対応関係を定めた情報を記憶するメモリを備える。プロセッサは、電池の外部の気圧の平均に関する情報、電池の現在の外部の気圧に関する情報、および電池の現在の温度を取得する。プロセッサは、対応関係を定めた情報を参照して、取得した電池の外部の気圧の平均に関する情報および電池の現在の外部の気圧に関する情報に対応する電池の最大許容温度を特定し、電池の現在の温度と電池の最大許容温度とに基づいて、電池の温度を制御する。
【0021】
このような構成によって、電池の内外の圧力差が変化する環境下であっても、電池の保最大許容温度を特定し、電池の現在の温度と電池の最大許容温度とに基づいて、電池の温度を制御することによって、電池の内外の圧力差を維持するように調整することができる。
【0022】
(9)プロセッサは、電池の現在の温度が電池の最大許容温度を超えている場合に、電池の温度を電池の最大許容温度以下に低下させる。
【0023】
電池の温度を最大許容温度以下に低下させることによって、電池の内部の圧力を低下させることができる。
【0024】
(10)対応関係を定めた情報は、電池の外部の気圧の平均が同一のときに、電池の現在の外部の気圧が大きくなるほど、電池の最大許容温度が低くなるように定め、電池の現在の外部の気圧が同一のときに、電池の外部の気圧の平均が大きくなるほど、電池の最大許容温度が高くなるように定める。
【0025】
この対応関係を定めた情報は、電池の特性を適切に表わすので、電池の温度制御の精度を高くすることができる。
【0026】
(11)車両の二次電池システムは、電池を冷却する冷却機構をさらに備える。プロセッサは、冷却機構を制御することによって、電池の温度を制御する。
【0027】
これによって、車両の走行に影響を与えることなく、電池の温度を制御することができる。
【0028】
(12)プロセッサは、電池へ入力される電流または電池から出力される電流を制御することによって、電池の温度を制御する。
【0029】
冷却機構だけでは、電池の温度を制御できない場合などにおいて、電池への入出力電流を制御することによって、電池の温度を制御することができる。
【0030】
(13)電池は、内部の圧力と外部の気圧との差圧に応じて変形することによって、電池の内部の空間が保持される構造を有する。
【0031】
電池の内外の圧力差が変化する環境下であっても、電池の内部の空間を保持することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、電池の内外の圧力差を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】実施の形態1に係る充電システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】車両1および充電器5の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】電池21の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図3におけるIV-IV線での断面図である。
【
図5】電池21の温度が定められた温度αのときの、車両の平均高度EHと車両の最高高度XHに対応する電池21の保証時間D(i,j)を表わす図である。
【
図6】電池21の保証時間マップの例を表わす図である。
【
図7】第1の実施形態の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態の変形例1の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態の変形例2の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態の変形例3の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【
図11】電池21の最大許容温度マップの例を表わす図である。
【
図12】第2の実施形態の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0035】
[第1の実施形態]
<充電システムの全体構成>
図1は、実施の形態1に係る充電システムの全体構成を概略的に示す図である。
図1を参照して、充電システムは、車両1と、充電器5とを備える。
図1には、車両1と充電器5とが充電ケーブル6により電気的に接続され、充電器5から車両1へ電力を供給する外部充電制御時の状況が示されている。
【0036】
車両1は、たとえば電気自動車である。ただし、車両1は、外部充電が可能に構成された車両であれば、たとえばプラグインハイブリッド車であってもよい。充電器5は、ユーザの家庭等に設けられた専用の充電器であってもよいし、公共の充電スタンド(充電ステーションとも呼ばれる)に設けられた充電器であってよい。
【0037】
図2は、車両1および充電器5の構成を概略的に示すブロック図である。充電器5は、直流(DC:Direct Current)充電器であって、系統電源7からの供給電力(交流電力)を、車両1に搭載された電池21の充電電力(直流電力)に変換する。充電器5は、電力線ACLと、AC/DC変換器51と、電圧センサ52と、給電線PL0,NL0と、制御回路50とを含む。
【0038】
電力線ACLは、系統電源7に電気的に接続されている。電力線ACLは、系統電源7からの交流電力をAC/DC変換器51へ伝送する。
【0039】
AC/DC変換器51は、電力線ACL上の交流電力を、車両1に搭載された電池21を充電するための直流電力に変換する。AC/DC変換器51による電力変換は、力率改善のためのAC/DC変換と、電圧レベル調整のためのDC/DC変換との組み合わせによって実行されてもよい。AC/DC変換器51から出力された直流電力は、正極側の給電線PL0および負極側の給電線NL0によって供給される。
【0040】
電圧センサ52は、給電線PL0と給電線NL0との間に電気的に接続されている。電圧センサ52は、給電線PL0と給電線NL0との間の電圧を検出し、その検出結果を制御回路50に出力する。
【0041】
制御回路50は、図示しないCPUと、メモリと、入出力ポートとを含んで構成されていてもよい。制御回路50は、電圧センサ52により検出された電圧、車両1からの信号、ならびに、メモリに記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、AC/DC変換器51による電力変換動作を制御する。
【0042】
車両1は、インレット11と、充電線PL1,NL1と、電圧センサ121と、電流センサ122と、充電リレー131,132と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)141,142と、電力線PL2,NL2と、PCU(Power Control Unit)16と、モータジェネレータ17と、動力伝達ギヤ18と、駆動輪19と、二次電池システム2とを備える。二次電池システム2は、電池21と、電圧センサ221と、電流センサ222と、温度センサ223と、センサ99と、冷却機構23と、ECU(Electronic Control Unit)20とを備える。
【0043】
インレット(充電ポート)11は、嵌合等の機械的な連結を伴って充電ケーブル6のコネクタ61を挿入することが可能に構成されている。コネクタ61の挿入に伴い、給電線PL0とインレット11の正極側の接点との間の電気的な接続が確保されるとともに、給電線NL0とインレット11の負極側の接点との間の電気的な接続が確保される。また、インレット11とコネクタ61とが充電ケーブル6により接続されることで、車両1のECU20と充電器5の制御回路50とがCAN(Controller Area Network)等の通信規格に従う通信により、信号、指令、メッセージまたはデータ等の各種情報を相互に送受信することが可能になる。
【0044】
電圧センサ121は、充電リレー131,132よりもインレット11側において、充電線PL1と充電線NL1との間に電気的に接続されている。電圧センサ121は、充電線PL1と充電線NL1との間の直流電圧を検出し、その検出結果をECU20に出力する。電流センサ122は、充電線PL1に設けられている。電流センサ122は、充電線PL1を流れる電流を検出し、その検出結果をECU20に出力する。ECU20は、電圧センサ121および電流センサ122による検出結果に基づき、充電器5からの供給電力(電池21の充電量)を算出することもできる。
【0045】
充電リレー131は充電線PL1に接続され、充電リレー132は充電線NL1に接続されている。充電リレー131,132の閉成/開放は、ECU20からの指令に応じて制御される。充電リレー131,132が閉成され、かつSMR141,142が閉成されると、インレット11と電池21との間での電力伝送が可能な状態となる。
【0046】
電池21は、複数のセル3を含んで構成された組電池である。電池21は、車両1の駆動力を発生させるための電力を供給する。電池21は、モータジェネレータ17により発電された電力を蓄える。電池21は、内部の圧力と外部の気圧との差圧によって機能が維持される。たとえば、電池21は、内部の圧力と外部の気圧との差圧に応じて変形することによって、電池内部の空間が保持される構造を有するものであってもよい。電池21は、ラミネート電池であってもよい。電池21は、内部の圧力と外部の気圧との差圧に応じて、圧縮されて、その状態が保持される電極体腹部を有するものであってもよい。
【0047】
電池21の正極は、SMR141を経由してノードND1に電気的に接続されている。ノードND1は、充電線PL1および電力線PL2に電気的に接続されている。同様に、電池21の負極は、SMR142を経由してノードND2に電気的に接続されている。ノードND2は、充電線NL1および電力線NL2に電気的に接続されている。SMR141,142の閉成/開放は、ECU20からの指令に応じて制御される。
【0048】
電圧センサ221は、電池21の電圧を検出する。電流センサ222は、電池21に入出力される電流を検出する。温度センサ223は、電池21の温度TBを検出する。各センサは、その検出結果をECU20に出力する。ECU20は、電圧センサ221および/または電流センサ222による検出結果に基づいて、電池21のSOCを推定することができる。
【0049】
センサ99は、車両の現在位置の気圧に関する情報を検出する。センサ99は、GPS(Global Positioning System)高度計などの標高センサ、または気圧センサなどである。
【0050】
冷却機構23は、ECU20による制御に従って電池21を冷却する。冷却機構23は、たとえば、ファンで構成される。
【0051】
PCU16は、電力線PL2,NL2とモータジェネレータ17との間に電気的に接続されている。PCU16は、コンバータおよびインバータ(いずれも図示せず)を含んで構成され、ECU20からの指令に従ってモータジェネレータ17を駆動する。
【0052】
モータジェネレータ17は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。モータジェネレータ17の出力トルクは、動力伝達ギヤ18を通じて駆動輪19に伝達され、車両1を走行させる。また、モータジェネレータ17は、車両1の制動動作時には、駆動輪19の回転力によって発電することができる。モータジェネレータ17による発電電力は、PCU16によって電池21の充電電力に変換される。
【0053】
ECU20は、制御回路50と同様に、CPU201と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ202と、入出力ポート203とを含んで構成されている。ECU20は、各センサ等からの信号に応じて、車両1が所望の状態となるように機器類を制御する。なお、ECU20は、機能毎に複数のECUに分割して構成されていてもよい。
【0054】
図3は、電池21の一例を概略的に示す斜視図である。
図4は、
図3におけるIV-IV線での断面図である。
【0055】
電池21は、電極積層体10と、複数のセパレータ400と、封止部500と、緩衝域形成部材600と、を備える。
【0056】
電極積層体10は、複数のバイポーラ電極100と、正極終端電極200と、負極終端電極300と、を有する。
【0057】
複数のバイポーラ電極100は、互いに積層されている。各バイポーラ電極100は、集電体110と、正極活物質層120と、負極活物質層130と、を有する。
【0058】
集電体110は、金属からなり、例えば矩形状に形成されている。集電体110は、正極集電箔112と、負極集電箔113と、を有する。正極集電箔112は、例えばアルミニウムからなる。負極集電箔113は、例えば銅箔からなる。負極集電箔113は、導電性接着材によって正極集電箔112に接着されている。
【0059】
正極活物質層120は、集電体110における一方の面、すなわち、正極集電箔112の表面に設けられている。負極活物質層130は、集電体110における他方の面、すなわち、負極集電箔113の表面に設けられている。
【0060】
複数のバイポーラ電極100は、一のバイポーラ電極100における正極活物質層120と、一のバイポーラ電極100に隣接するバイポーラ電極100における負極活物質層130と、が互いに対向するように積層されている。
【0061】
正極終端電極200は、積層方向における複数のバイポーラ電極100の一方側に配置されている。正極終端電極200は、正極集電箔112と、正極集電箔112に設けられた正極活物質層120と、を有する。正極終端電極200における正極集電箔112及び正極活物質層120の構成は、バイポーラ電極100におけるそれと同じである。
【0062】
負極終端電極300は、積層方向における複数のバイポーラ電極100の他方側に配置されている。負極終端電極300は、負極集電箔113と、負極集電箔113に設けられた負極活物質層130と、を有する。負極終端電極300における負極集電箔113及び負極活物質層130の構成は、バイポーラ電極100におけるそれと同じである。
【0063】
各バイポーラ電極100における正極集電箔112及び正極終端電極200における正極集電箔112は、正極塗工部112aと、正極未塗工部112bと、を有する。
【0064】
正極塗工部112aは、正極活物質層120が設けられた部位である。
正極未塗工部112bは、正極活物質層120が設けられていない部位、つまり、正極集電箔112が露出している部位である。
【0065】
各バイポーラ電極100における負極集電箔113及び負極終端電極300における負極集電箔113は、負極塗工部113aと、負極未塗工部113bと、を有する。
【0066】
負極塗工部113aは、負極活物質層130が設けられた部位である。
負極未塗工部113bは、負極活物質層130が設けられていない部位、つまり、負極集電箔113が露出している部位である。負極未塗工部113bは、積層方向に正極未塗工部112bと対向している。
【0067】
各セパレータ400は、積層方向に互いに隣接する一対の電極100,200,300間に配置されている。具体的に、各セパレータ400は、正極活物質層120と負極活物質層130との間に配置されている。各セパレータ400は、絶縁材料からなり、イオンの透過を許容する。各セパレータ400として、ポリオレフィン微多孔膜などが挙げられる。
【0068】
封止部500は、絶縁材料(樹脂等)からなる。封止部500は、電極積層体10のうち積層方向に互いに隣接する一対の電極100,200,300間を封止している。より詳細には、封止部500は、正極未塗工部112bと負極未塗工部113bとの間に形成される領域R1が大気圧よりも低圧となった状態で当該領域R1を封止している。この領域R1には、電解液が封入されている。封止部500は、各集電箔112,113の周縁部と各セパレータ400の周縁部とを保持している。封止部500は、領域R1からの電解液の漏出及び外部から領域R1への水分の浸入を防止する機能、および領域R1を挟むように配置された正極未塗工部112b及び負極未塗工部113b間の間隔を確保する機能を有する。領域R1は、充放電時に各電極100,200,300から生じるガスを収容するガスポケットとしての機能を有する。
【0069】
緩衝域形成部材600は、積層方向における電極積層体10の外側に密閉された緩衝域R2(
図2を参照)を形成している。緩衝域形成部材600は、積層方向に領域R1と重なる位置に緩衝域R2を形成している。緩衝域形成部材600は、正極側導電部材612と、正極側導電フィルム622と、正極側保持部632と、正極側支持部642と、負極側導電部材613と、負極側導電フィルム623と、負極側保持部633と、負極側支持部643と、を有する。
【0070】
正極側導電部材612は、正極終端電極200における正極塗工部112aの外表面に接するように配置されている。正極側導電部材612は、平板状に形成されている。正極側導電部材612は、アルミニウムや銅等からなる。
【0071】
正極側導電フィルム622は、正極側導電部材612を被覆している。正極側導電フィルム622は、正極側導電部材612の外表面の全域を被覆している。正極側導電フィルム622は、アルミニウム等からなる。
【0072】
正極側保持部632は、正極終端電極200における正極未塗工部112b、正極側導電部材612及び正極側導電フィルム622とともに緩衝域R2を形成するように正極側導電フィルム622の周縁部を保持している。正極側保持部632は、絶縁材料(樹脂等)からなる。正極側保持部632は、積層方向における封止部500の外端面につながっている。正極側保持部632は、封止部500と同一材料からなるとともに、封止部500と一体的に形成されてもよい。
【0073】
正極側導電フィルム622のうち緩衝域R2を規定する部位(正極側導電部材612と正極側保持部632との間の部位)は、大気圧と領域R2内の圧力との差圧に応じて積層方向における内向きに変形している。これによって、領域R2の大きさが維持されている。大気圧が低下し、または領域R2内の圧力が低下すると、差圧が減少する。その結果、領域R2の大きさが維持されなくなる。
【0074】
正極側支持部642は、正極終端電極200における正極未塗工部112bと正極側導電フィルム622との間に配置されている。正極側支持部642は、正極側導電フィルム622を支持している。正極側支持部642は、絶縁材料(樹脂等)からなる。正極側支持部642は、正極側保持部632から正極側導電部材612に向かって延びる形状を有する。正極側支持部642は、正極側保持部632と同一材料からなるとともに、正極側保持部632と一体的に形成されてもよい。正極側支持部642は、積層方向における内向きに変形している正極側導電フィルム622を支持することができる程度の剛性に設定される。正極側支持部642は、正極終端電極200における正極未塗工部112bに接していてもよいし、正極未塗工部112bから離間していてもよい。
【0075】
負極側導電部材613、負極側導電フィルム623、負極側保持部633及び負極側支持部643は、それぞれ、正極側導電部材612、正極側導電フィルム622、正極側保持部632及び正極側支持部642と対応する構成を有する。このため、負極側導電部材613、負極側導電フィルム623、負極側保持部633及び負極側支持部643の説明を簡略化する。
【0076】
負極側導電部材613は、負極終端電極300における負極塗工部113aの外表面に接するように配置されている。
【0077】
負極側導電フィルム623は、負極側導電部材613を被覆している。
負極側保持部633は、負極終端電極300における負極未塗工部113b、負極側導電部材613及び負極側導電フィルム623とともに緩衝域R2を形成するように負極側導電フィルム623の周縁部を保持している。
【0078】
負極側支持部643は、負極終端電極300における負極未塗工部113bと負極側導電フィルム623との間に配置されている。負極側支持部643は、負極側導電フィルム623を支持している。
【0079】
次に、電池21の温度制御について説明する。
図5は、電池21の温度が定められた温度αのときの、車両の平均高度EHと車両の最高高度XHに対応する電池21の保証時間D(i,j)を表わす図である。
【0080】
電池21の使用時間が
図5に示す電池21の保証時間に達し、かつ電池21の温度が定められた温度αになったときに、電池21の内部の圧力が電池21の外部の圧力以上となる。ここで、電池21の内部とは、具体的には、
図4に示す領域R2である。
【0081】
図5において、平均高度EHおよび最高高度XHは、500m単位で記載されている。同一の平均高度EHでは、最高高度XHが高い方が、電池21の保証時間D(i,j)は短い。同一の最高高度XHでは、平均高度EHが高い方が、電池21の保証時間D(i,j)は長い。
【0082】
図5の特徴は、本願の発明者によって発見された特徴である。CPU201は、この特徴を用いて、電池21の温度を制御する。本実施の形態では、CPU201は、車両の最高高度(最低気圧)を車両の現在高度(現在気圧)に置き換えて、電池21の温度を制御する。車両の最高高度より低い高度でも、電池の保証時間に達している場合には、電池21の温度制御が必要だからである。
【0083】
メモリ202は、電池21の保証時間マップ、電池21の外部の気圧の平均に関する情報、および電池21の使用時間を記憶する。
【0084】
電池21の保証時間マップは、車両の走行履歴に基づく電池21の外部の気圧の平均に関する情報および車両の現在の位置に基づく電池21の現在の外部の気圧に関する情報と、電池21の保証時間との対応関係を定めた情報を記憶する。電池21の保証時間マップは、電池21の外部の気圧の平均が同一のときに、電池21の現在の外部の気圧が大きくなるほど、電池21の保証時間が短くなるように定め、電池21の現在の外部の気圧が同一のときに、電池21の外部の気圧の平均が大きくなるほど、電池の保証時間が長くなるように定める。
【0085】
図6は、電池21の保証時間マップの例を表わす図である。
図6の例では、車両の走行履歴に基づく電池の外部の気圧の平均に関する情報は、車両の走行履歴に基づく車両の平均高度EHである。車両の現在の位置に基づく電池の現在の外部の気圧に関する情報は、車両の現在高度CHである。電池21の保証時間は、電池21の温度が定められた温度αのときに保証される時間である。
【0086】
図6において、平均高度EHおよび現在高度CHは、500m単位で記載されている。同一の平均高度EHでは、現在高度CHが高い方が、電池21の保証時間D(i,j)は短い。同一の現在高度CHでは、平均高度EHが高い方が、電池21の保証時間D(i,j)は長い。
【0087】
CPU201は、車両の走行履歴に基づく電池21の外部の気圧の平均に関する情報(車両の平均高度EH)、および車両の現在の位置に基づく電池21の現在の外部の気圧に関する情報(車両の現在高度CH)に基づいて、電池21の温度を制御する。
【0088】
CPU201は、メモリ202から電池21の外部の気圧の平均に関する情報(車両の平均高度EH)および電池21の使用時間を取得する。CPU201は、センサ99から電池21の現在の外部の気圧に関する情報(車両の現在高度CH)を取得する。
【0089】
CPU201は、電池21の保証時間マップを参照して、取得した電池の外部の気圧の平均に関する情報(車両の平均高度EH)および電池の現在の外部の気圧に関する情報(車両の現在高度CH)に対応する電池21の保証時間を特定する。CPU201は、電池21の使用時間と電池21の保証時間とに基づいて、電池21の温度を制御する。CPU201は、電池21の使用時間が電池21の保証時間を超えている場合に、電池21の温度を低下させる。具体的には、CPU201は、冷却機構23内のファンの回転数を増加することによって、電池21の温度を低下させる。あるいは、CPU201は、電池21への入力電流の大きさまたは電池21からの出力電流の大きさを低下させることによって、電池21の温度を低下させる。CPU201は、電池21への入力電流の上限値または電池21からの出力電流の上限値を低下させることによって、電池21の温度を低下させてもよい。CPU21は、通常時は、冷却機構23内のファンの回転数を増加することによって、電池21の温度を低下させ、迅速な温度制御が必要な場合には、冷却機構23内のファンの回転数を増加するととともに、電池21への入力電流の大きさまたは電池21からの出力電流の大きさを低下させるものとしてもよい。
【0090】
図7は、第1の実施形態の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【0091】
ステップS101において、CPU201は、メモリ202から電池21の使用時間PDを取得する。
【0092】
ステップS102において、CPU201は、メモリ202から車両の走行履歴における平均高度EHを取得する。
【0093】
ステップS103において、CPU201は、センサ99から車両の現在高度CHを取得する。
【0094】
ステップS104において、CPU201は、
図6に示す保証時間マップを参照して、取得した車両の平均高度EHおよび車両の現在高度CHに対応する電池の保証時間SDを特定する。
【0095】
ステップS105において、電池21の使用時間PDが電池21の保証時間SDを超えている場合に、処理がステップS106に進む。電池21の使用時間PDが電池21の保証時間SD以下の場合に、処理がステップS107に進む。
【0096】
ステップS106において、CPU201は、電池21の温度を低下させるための制御を実行する。たとえば、CPU201は、冷却機構23のファンの回転数を増加させる、または電池21への入力電流の大きさまたは電池21からの出力電流の大きさを低下させる。その後、処理が終了する。
【0097】
ステップS107において、電池21の温度を低下させるための制御を実行中の場合には、処理がステップS108に進む。電池21の温度を低下させるための制御を実行中でない場合に、処理が終了する。
【0098】
ステップS108において、CPU21は、電池21の温度を低下させるための制御を終了する。その後、処理が終了する。
【0099】
[第1の実施形態の変形例1]
本変形例では、CPU201は、電池21の使用時間が電池21の保証時間を超えている場合に、電池21の使用時間と電池21の保証時間との差に応じた温度だけ電池21の温度を低下させる。たとえば、電池21の使用時間と電池21の保証時間との差が大きいほど、低下させる温度を大きくしてもよい。
【0100】
図8は、第1の実施形態の変形例1の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
図8のフローチャートが、
図7のフローチャートと相違する点は、
図8のフローチャートがステップS106の代わりに、ステップS201を備える点である。
【0101】
ステップS201において、CPU201は、電池21の温度を(PD-SD)に応じた温度だけ低下させるための制御を実行する。たとえば、CPU201は、冷却機構23のファンの回転数を(PD-SD)に応じた量だけ増加させる、または電池21の充電電流の上限値を(PD-SD)に応じた量だけ低下させてもよい。
【0102】
[第1の実施形態の変形例2]
本変形例では、CPU201は、電池21の使用時間が電池21の保証時間を超えており、かつ電池21の温度が予め定められた温度以上の場合に、電池21の温度を低下させる。ここで、予め定められた温度は、
図6のマップが使用される場合には、αまたはαよりも少しだけ低い温度に設定することができる。
【0103】
図9は、第1の実施形態の変形例2の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
図9のフローチャートが、
図7のフローチャートと相違する点は、
図9のフローチャートがステップS105のYESとステップS106との間に、ステップS301およびS302を備える点である。
【0104】
ステップ301において、CPU201は、温度センサ223から電池21の現在の温度CTを取得する。
【0105】
ステップS302において、電池21の現在の温度CTが予め定められた温度PT以上の場合に、処理がステップS106に進み、電池21の現在の温度CTが予め定められた温度PT以下の場合に、処理がステップS107に進む。
【0106】
[第1の実施形態の変形例3]
本変形例では、CPU201は、電池21の使用時間が電池21の保証時間を超えており、かつ電池21の温度が予め定められた温度以上の場合に、電池21の使用時間と電池21の保証時間との差に応じた温度だけ電池21の温度を低下させる。
【0107】
図10は、第1の実施形態の変形例3の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
図10のフローチャートが、
図9のフローチャートと相違する点は、
図10のフローチャートがステップS106の代わりに、ステップS201を備える点である。
【0108】
ステップS201において、CPU201は、電池21の温度を(PD-SD)に応じた温度だけ低下させるための制御を実行する。たとえば、CPU201は、冷却機構23のファンの回転数を(PD-SD)に応じた量だけ増加させる、または電池21の充電電流の上限値を(PD-SD)に応じた量だけ低下させてもよい。
【0109】
[第2の実施形態]
本実施の形態では、メモリ202は、電池21の最大許容温度マップを記憶する。
【0110】
電池21の最大許容温度マップは、車両の走行履歴に基づく電池21の外部の気圧の平均に関する情報および車両の現在の位置に基づく電池21の現在の外部の気圧に関する情報と、電池21を定められた保証時間だけ使用できる条件としての電池21の最大許容温度との対応関係を定める。
【0111】
電池21の最大許容温度マップは、電池21の外部の気圧の平均が同一のときに、電池21の現在の外部の気圧が大きくなるほど、電池21の最大許容温度が低くなるように定め、電池21の現在の外部の気圧が同一のときに、電池21の外部の気圧の平均が大きくなるほど、電池21の最大許容温度が高くなるように定める。
【0112】
図11は、電池21の最大許容温度マップの例を表わす図である。
図11の例では、車両の走行履歴に基づく電池の外部の気圧の平均に関する情報は、車両の走行履歴に基づく車両の平均高度EHである。車両の現在の位置に基づく電池の現在の外部の気圧に関する情報は、車両の現在高度CHである。電池21の最大許容温度MT(i,j)は、電池21をたとえば20年の保証時間だけ使用できる条件として定められる。
【0113】
電池21の温度が最大許容温度MT(i,j)以上になったときに、電池21の使用時間が電池の保証時間に達する前に、電池21の内部の圧力が電池21の外部の圧力以上となる。同一の平均高度EHでは、現在高度CHが高い方が、電池21の最大許容温度MT(i,j)は低くなる。同一の現在高度CHでは、平均高度EHが高い方が、電池21の最大許容温度MT(i,j)は高くなる。
【0114】
CPU201は、メモリ202から電池21の外部の気圧の平均に関する情報(車両の平均高度EH)を取得する。CPU201は、センサ99から電池21の現在の外部の気圧に関する情報(車両の現在高度CH)を取得する。CPU201は、温度センサ223から電池21の現在の温度を取得する。
【0115】
CPU201は、電池21の最大許容温度マップを参照して、取得した電池21の外部の気圧の平均に関する情報(車両の平均高度EH)および電池21の現在の外部の気圧に関する情報(車両の現在高度CH)に対応する電池21の最大許容温度MT(i,j)を特定する。CPU201は、電池21の現在の温度と電池21の最大許容温度MT(i,j)とに基づいて、電池21の温度を制御する。CPU201は、電池21の現在の温度が電池21の最大許容温度MT(i,j)を超えている場合に、電池21の温度を電池21の最大許容温度MT(i,j)以下に低下させる。具体的には、CPU201は、冷却機構23内のファンの回転数を増加することによって、電池21の温度を低下させる、あるいは、CPU201は、電池21への入力電流の大きさまたは電池21からの出力電流の大きさを低下させることによって、電池21の温度を低下させる。CPU201は、電池21への入力電流の上限値または電池21からの出力電流の上限値を低下させることによって、電池21の温度を低下させてもよい。
【0116】
図12は、第2の実施形態の二次電池システム2の電池制御の手順を表わすフローチャートである。
【0117】
ステップS501において、CPU201は、メモリ202から車両の走行履歴における平均高度EHを取得する。
【0118】
ステップS502において、CPU201は、センサ99から車両の現在高度CHを取得する。
【0119】
ステップS503において、CPU201は、
図11に示す最大許容温度マップを参照して、取得した車両の平均高度EHおよび車両の現在高度CHに対応する電池21の最大許容温度MTを特定する。
【0120】
ステップS504において、CPU201は、温度センサ223から電池21の現在の温度CTを取得する。
【0121】
ステップS505において、電池21の現在の温度CTが電池21の最大許容温度MT以上の場合に、処理がステップS506に進む。
【0122】
ステップS506において、CPU201は、電池21の温度をMT以下に低下させるための制御を実行する。たとえば、CPU201は、冷却機構23のファンの回転数を増加させる、または電池21への入力電流の大きさまたは電池21からの出力電流の大きさを低下させる。その後、処理が終了する。
【0123】
ステップS507において、電池21の温度を低下させるための制御を実行中の場合には、処理がステップS508に進む。電池21の温度を低下させるための制御を実行中でない場合に、処理が終了する。
【0124】
ステップS508において、CPU21は、電池21の温度を低下させるための制御を終了する。その後、処理が終了する。
【0125】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0126】
1 車両、2 二次電池システム、3 セル、5 充電器、6 充電ケーブル、7 系統電源、10 電極積層体、11 インレット、17 モータジェネレータ、18 動力伝達ギヤ、19 駆動輪、21 電池、23 冷却機構、50 制御回路、51 変換器、52,121,221 電圧センサ、61 コネクタ、99 センサ、100,200,300 電極、110 集電体、112,113 集電箔、112a 正極塗工部、112b,113b 未塗工部、113a 負極塗工部、120 正極活物質層、122,222 電流センサ、130 負極活物質層、131,132 充電リレー、200 正極終端電極、201 CPU、202 メモリ、203 入出力ポート、223 温度センサ、300 負極終端電極、400 セパレータ、500 封止部、600 緩衝域形成部材、612 正極側導電部材、613 負極側導電部材、622 正極側導電フィルム、623 負極側導電フィルム、632 正極側保持部、633 負極側保持部、642 正極側支持部、643 負極側支持部、ACL,NL2,PL2 電力線、ND1,ND2 ノード、NL0,PL0 給電線、NL1,PL1 充電線。