(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、3Dモデル生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20241217BHJP
G06T 7/564 20170101ALI20241217BHJP
G06T 17/20 20060101ALI20241217BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06T7/60 180B
G06T7/564
G06T17/20
G01B11/24 K
(21)【出願番号】P 2022509962
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2021010470
(87)【国際公開番号】W WO2021193213
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2020056899
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 伸明
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/074252(WO,A1)
【文献】富山仁博,外3名,局所的形状特徴に拘束された3次元形状復元手法とそのリアルタイム動画表示,映像情報メディア学会誌,日本,2007年04月01日,第61巻,第4号,p.471-481,https://doi.org/10.3169/itej.61.471
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/60
G06T 7/564
G06T 17/20
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得する距離取得部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記距離取得部は、
前記第1の点が存在しない場合には、前記第1の距離として、所定の第1の距離値を取得して、
前記第2の点が存在しない場合には、前記第2の距離として、前記第1の距離値よりも小さい所定の第2の距離値を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記距離取得部は、
前記第1の距離値と前記第2の距離値とを、等しい値に設定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記距離取得部が取得した前記第1の距離と前記第2の距離とを関連付けて、前記被写体の3次元形状を再構成する復号装置に送信する送信部を更に備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記被写体を複数の投影点から見たテクスチャ情報と、当該テクスチャ情報を取得したのと同じ複数の投影点から見た前記第1の距離と、を関連付けて取得する色・距離取得部を更に備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記距離取得部は、同じ前記投影点から、前記被写体を分解した各物体に対して、それぞれ、前記第1の距離と前記第2の距離とを取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記距離取得部は、異なる前記投影点から、前記被写体を分解した各物体に対して、それぞれ、前記第1の距離と前記第2の距離とを取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離、または、前記第1の点が存在しない場合に、前記第1の距離として所定の第1の距離値を取得して、
前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離、または、前記第2の点が存在しない場合に、前記第2の距離として、前記第1の距離値よりも小さい所定の第2の距離値を取得して、
前記第1の距離と前記第2の距離との大小関係に基づいて、前記被写体の領域を特定する領域判定部を備える、
情報処理装置。
【請求項9】
前記投影点に係る複数の前記第1の距離に基づく、前記被写体の前記投影点から見た前面側の端部と、前記投影点に係る複数の前記第2の距離に基づく、前記被写体の前記投影点から見た背面側の端部とを接続する閉空間生成部を更に備える、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記閉空間生成部は、
三角形状に隣接する3点の前記第1の距離のうち、2点の前記第1の距離が前記被写体の前面を表して、残り1点の前記第1の距離が前記被写体の前面を表さない場合に、
前記残り1点を、前記3点に対応する前記第2の距離のうち、前記被写体の背面を表す2点のいずれか一方に代入して、
前記3点に対応する前記第2の距離のうち、前記被写体の背面を表さない1点を、前記被写体の前面を表す2点のうち、前記残り1点を代入したのとは反対側の1点に代入する、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記被写体を複数の投影点から見たテクスチャ情報と、当該テクスチャ情報を取得したのと同じ複数の投影点から見た前記第1の距離と、を関連付けて取得する色・距離取得部と、
前記色・距離取得部が取得した情報に基づいて、前記投影点から見た前記第1の距離に応じた第1の点の3次元位置と、前記投影点とは異なる投影点から見た前記第1の点の方向に対応する第1の距離に応じた3次元位置とが一致しない場合に、前記投影点から見た前記第1の点が、当該投影点とは異なる投影点からは見えないと判定する可視性確認部と、を更に備える、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得して、前記投影点の位置と、前記第1の距離と、前記第2の距離とを関連付けることによって、前記被写体の3Dモデルを生成する、
3Dモデルの生成方法。
【請求項13】
コンピュータを、
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得する距離取得部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、3Dモデル生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現実の3D空間をセンシングした情報、例えば異なる視点から被写体を撮像した多視点映像を用いて、視聴空間内に3Dオブジェクトを生成し、そのオブジェクトが視聴空間内に存在しているかのように見える映像(ボリュメトリック映像)を生成する方法が提案されている。
【0003】
ボリュメトリック映像を生成するためには、3次元空間の座標情報が必要であり、例えば特許文献1では、カメラから被写体の表面までの距離を表すデプスマップに基づいて、被写体の3D形状を求めていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、被写体のカメラに面する面、即ち被写体の表面側の3D形状を得ることしかできなかった。そのため、被写体の裏面側の3D形状は、被写体を裏面側から見たデプスマップに基づいて3D形状を求める必要があった。
【0006】
そのため、被写体の正確な形状を生成するのが困難であるという問題があった。
【0007】
本開示では、被写体の正確な形状を生成することができる情報処理装置、3Dモデル生成方法およびプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の情報処理装置は、被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得する距離取得部を備える情報処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態の情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】情報処理システムのハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【
図5】符号化部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】デプスマップの生成方法を説明する図である。
【
図7】第1層デプスマップと第2層デプスマップの量子化デプス値について説明する図である。
【
図8】第1層デプスマップと第2層デプスマップの一例を示す図である。
【
図9】タイリング処理部が生成する画像の一例を示す図である。
【
図10】復号部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図11】デプス有効領域判定部が、デプスマップからデプス値を読み出す方法を説明する図である。
【
図12】デプス有効領域判定部が、デプス値の有効無効を判定する方法を説明する図である。
【
図13】デプス有効領域判定部が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】デプスマップ上に設定される三角形パッチを説明する図である。
【
図15】三角形パッチの有効点数を説明する図である。
【
図17】被写体の3次元形状メッシュデータが生成される様子を示す模式図である。
【
図18】三角形パッチ生成部が行うメッシュデータ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図19】レンダリング部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図20】第2の実施形態において、タイリング処理部が生成する、符号化の対象となる画像の一例を示す図である。
【
図21】第2の実施形態の復号部およびレンダリング部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図22】可視性を確認する処理を説明する図である。
【
図23】第3の実施形態の情報処理システムの作用を説明する図である。
【
図24】第4の実施形態の情報処理システムの作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.第1の実施形態
1-1.情報処理システムの機能構成
1-2.情報処理システムが行う処理の流れ
1-3.情報処理システムのハードウエア構成
1-4.符号化部の詳細構成
1-5.復号部の詳細構成
1-6.デプス有効判定処理
1-7.メッシュデータ生成処理
1-8.レンダリング部の詳細構成
1-9.第1の実施形態の変形例
1-10.第1の実施形態の効果
2.第2の実施形態
2-1.タイリング画像の構成
2-2.可視性確認処理
2-3.第2の実施形態の効果
3.第3の実施形態
3-1.第3の実施形態の作用
3-2.第3の実施形態の効果
4.第4の実施形態
4-1.第4の実施形態の作用
4-2.第4の実施形態の効果
5.本開示の応用例
5-1.コンテンツの制作
5-2.仮想空間での体験
5-3.遠隔地とのコミュニケーションへの応用
5-4.その他
【0012】
(1.第1の実施形態)
[1-1.情報処理システムの構成]
まず、
図1を用いて、本開示を適用した情報処理システム10aの概要を説明する。
図1は、第1の実施形態の情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、情報処理システム10aは、データ取得部11と、3Dモデル生成部12と、符号化部13aと、送信部14と、受信部15と、復号部16aと、レンダリング部17aと、表示部18とを備える。
【0014】
データ取得部11は、撮像対象物体である被写体90の3Dモデル90Mを生成するための画像データを取得する。例えば、
図2に示すように被写体90を取り囲むように配置された複数の撮像装置70(70a,70b,…)によって撮像された複数の視点画像を画像データとして取得する。この場合、複数の視点画像は、複数のカメラが同期して撮像した画像であるのが好ましい。また、データ取得部11は、例えば、1台のカメラを移動して複数の視点から被写体を撮像した画像データとして取得してもよい。なお、データ取得部11は、画像データに基づいてキャリブレーションを行い、各撮像装置の内部パラメータ及び外部パラメータを取得してもよい。また、データ取得部11は、例えば、複数箇所の視点から被写体90までの距離を示す複数のデプス情報を取得してもよい。
【0015】
3Dモデル生成部12は、被写体90の3Dモデル90Mを生成するための画像データに基づいて被写体の3次元情報を有するモデルを生成する。3Dモデル生成部12は、例えば、所謂Visual Hullを用いて、複数の視点からの画像(例えば、複数の視点からのシルエット画像)を用いて被写体の3次元形状を削ることによって被写体の3Dモデルを生成する。この場合、3Dモデル生成部12は更に、Visual Hullを用いて生成した3Dモデル90Mを複数箇所の視点から被写体までの距離を示す複数のデプス情報を用いて高精度に変形させることができる。また、3Dモデル生成部12は、被写体90の1枚の撮像画像から被写体90の3Dモデル90Mを生成してもよい。
【0016】
3Dモデル生成部12が生成する3Dモデル90Mは、時系列のフレーム単位で生成することで3Dモデルの動画と言うこともできる。また、3Dモデル90Mは、撮像装置で撮像された画像を用いて生成されるため実写の3Dモデルとも言うことができる。3Dモデルは、被写体90の表面形状を表す形状情報を、例えば、ポリゴンメッシュと呼ばれる、頂点(Vertex)と頂点との繋がりで表現した3次元形状メッシュデータの形式で表現することができる。3次元形状メッシュデータは、例えば、メッシュの頂点の3次元座標と、どの頂点を組み合わせて三角形メッシュを形成するかを示すインデックス情報とを有する。なお、3Dモデルの表現の方法はこれらに限定されるものではなく、点の位置情報で表現される所謂ポイントクラウドの表現方法で記述されてもよい。これらの3D形状データに紐づけられる形で、色情報データもテクスチャとして生成される。どの方向から見ても一定の色となるView Independentテクスチャの場合と、視聴する方向によって色が変化するView Dependentテクスチャの場合が考えらえる。
【0017】
符号化部13aは、3Dモデル生成部12で生成された3Dモデル90Mのデータを伝送・蓄積に適したフォーマットに変換する。本実施形態では、3次元形状メッシュデータ等の形式で入力された3次元形状データは、ひとつまたは複数の視点から投影されたデプス情報画像、所謂デプスマップに変換される。この2次元画像の状態のデプス情報と、色情報を圧縮して送信部14に出力する。デプス情報と色情報は、並べて1枚の画像として伝送してもよいし、2本の別々の画像として伝送してもよい。いずれも2次元画像データの形であるため、AVC(Advanced Video Coding)等の2次元圧縮技術を用いて圧縮することもできる。
【0018】
送信部14は、符号化部13aで形成された伝送データを、受信部15に送信する。送信部14は、データ取得部11、3Dモデル生成部12と符号化部13aの一連の処理をオフラインで行った後に、伝送データを受信部15に伝送する。また、送信部14は、上述した一連の処理から生成された伝送データをリアルタイムに受信部に伝送してもよい。
【0019】
なお、3Dモデル生成部12と符号化部13aと送信部14とは符号化装置40aを構成する。符号化装置40aは、本開示における情報処理装置の一例である。
【0020】
受信部15は、送信部14から伝送された伝送データを受信する。
【0021】
復号部16aは、受信部15で受け取ったビットストリームを2次元画像に復元し、復元された2次元画像からレンダリング部17aが描画可能なメッシュとテクスチャ情報を復元する。
【0022】
なお、受信部15と復号部16aとレンダリング部17aとは復号装置50aを構成する。復号装置50aは、本開示における情報処理装置の一例である。
【0023】
レンダリング部17aは、3Dモデル90Mのメッシュを描画カメラ視点で投影し、色や模様を表すテクスチャを貼り付けるテクスチャマッピングを行う。この時の描画は、撮影時のカメラ位置とは関係なく、任意に設定した自由な視点で見ることができる点が、本実施形態の特徴である。テクスチャマッピングには、所謂、ユーザの視聴視点を考慮するView Dependentと呼ばれる方式(VD方式)や、ユーザの視聴視点を考慮しないView Independentと呼ばれる方式(VI方式)がある。VD方式は、視聴視点の位置に応じて3Dモデルに貼り付けるテクスチャを変化させるため、VI方式よりも高品質なレンダリングが実現できる利点がある。一方、VI方式は視聴視点の位置を考慮しないためVD方式に比べて処理量が少なくて済むという利点がある。尚、視聴視点のデータは、ユーザの視聴箇所(Region of Interest)を表示装置が検出し、表示装置からレンダリング部17aに入力される。
【0024】
表示部18は、レンダリング部17aによりレンダリングされた結果を表示装置の表示部に表示する。表示装置は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ、空間ディスプレイ、携帯電話、テレビ、PC等、2Dモニタでも3Dモニタでもよい。
【0025】
なお、
図1の情報処理システム10aは、コンテンツを生成する材料である撮像画像を取得するデータ取得部11からユーザの視聴する表示装置を制御する表示制御部までの一連の流れを示した。しかしながら、本実施形態の実施のために全ての機能ブロックが必要という意味ではなく、機能ブロック毎又は複数の機能ブロックの組合せに対して、本実施形態が実施でき得る。例えば、
図1は、コンテンツを作成する側からコンテンツデータの配信を通じてコンテンツを視聴する側までの一連の流れを示すために送信部14や受信部15を設けたが、コンテンツの制作から視聴までを同じ情報処理装置(例えばパーソナルコンピューター)で実施する場合は、送信部14や受信部15を備える必要はない。
【0026】
情報処理システム10aを実施するに当たっては、同一の実施者が全てを実施する場合もあれば、機能ブロック毎に異なる実施者が実施することもできる。例えば、事業者Aは、データ取得部11、3Dモデル生成部12、符号化部13aを通じて3Dコンテンツを生成する。その上で、事業者Bの送信部14(プラットフォーム)を通じて3Dコンテンツが配信されて、事業者Cの表示装置が3Dコンテンツの受信、レンダリング、表示制御を行うように、複数の実施者が共同で実施する場合もある。
【0027】
また、前記した各機能ブロックは、クラウド上で実施することができる。例えば、レンダリング部17aは、表示装置内で実施されてもよいし、サーバで実施してもよい。その場合は表示装置とサーバ間での情報のやり取りが生じる。
【0028】
図1は、データ取得部11、3Dモデル生成部12、符号化部13a、送信部14、受信部15、レンダリング部17a、表示部18を纏めて情報処理システム10aとして説明した。但し、本明細書の情報処理システム10aは、2以上の機能ブロックが関係していれば情報処理システムと言うこととし、例えば、表示部18は含めずに、データ取得部11、3Dモデル生成部12、符号化部13a、送信部14、受信部15、復号部16a、レンダリング部17aを総称して情報処理システム10aと言うこともできる。
【0029】
[1-2.情報処理システムが行う処理の流れ]
次に、
図3を用いて、情報処理システム10aが行う処理の流れを説明する。
図3は、情報処理システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0030】
処理が開始されると、ステップS11において、データ取得部11は被写体の3Dモデルを生成するための画像データを取得する。
【0031】
次に、ステップS12において、3Dモデル生成部12は、被写体の3Dモデルを生成するための画像データに基づいて、被写体の3次元情報を有する3Dモデルを生成する。
【0032】
ステップS13において、符号化部13aは、3Dモデル生成部12で生成された3Dモデルの形状およびテクスチャデータを伝送蓄積に好適なフォーマットにエンコードする。
【0033】
そして、ステップS14において、送信部14が符号化されたデータを伝送し、ステップS15において、この伝送されたデータを受信部15が受信する。
【0034】
ステップS16において、復号部16aはデコード処理を行い、3Dモデルを、表示に必要な形状およびテクスチャデータに変換する。そして、ステップS17において、レンダリング部17aは、形状およびテクスチャデータを用いてレンダリングを行う。レンダリングされた結果は、ステップS18において、表示部に表示される。そして、ステップS18の処理が終了すると、情報処理システム10aの処理が終了する。
【0035】
[1-3.情報処理システムのハードウエア構成]
次に、
図4を用いて、情報処理システム10aのハードウエア構成を説明する。
図4は、情報処理システムのハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【0036】
図4に示されるコンピュータにおいて、CPU21、ROM22、RAM23は、バス24を介して相互に接続されている。バス24には、入出力インタフェース25も接続されている。入出力インタフェース25には、入力部26、出力部27、記憶部28、通信部29、およびドライブ30が接続されている。
【0037】
入力部26は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子等を備える。出力部27は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子等を備える。記憶部28は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリ等を備える。通信部29は、例えば、ネットワークインタフェース等を備える。ドライブ30は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブルメディアを駆動する。
【0038】
以上のように構成されるコンピュータは、CPU21が、例えば、記憶部28に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース25およびバス24を介して、RAM23にロードして実行することにより、上述した一連の処理を行う。RAM23にはまた、CPU21が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0039】
コンピュータが実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディアに記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディアをドライブに装着することにより、入出力インタフェースを介して、記憶部28にインストールすることができる。
【0040】
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部29で受信し、記憶部28にインストールすることができる。
【0041】
[1-4.符号化部の詳細構成]
次に、
図5を用いて、符号化部13aの詳細構成を説明する。
図5は、符号化部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0042】
符号化部13aは、3Dモデル生成部12から、被写体90の3次元形状メッシュデータと色情報テクスチャデータC(
図9参照)とを受け取る。そして、符号化部13aは、伝送・蓄積に適したビットストリームデータに変換して出力する。
図5に示すように、符号化部13aは、第1層デプスマップ生成部131と、第2層デプスマップ生成部132と、色情報パッキング部133と、タイリング処理部134aと、画像圧縮処理部135とを備える。
【0043】
第1層デプスマップ生成部131は、3Dモデル生成部12が取得した3D形状に基づいて、投影点Qを始点として被写体90に至る直線が被写体90と接触する第1の点P1と投影点Qとの第1の距離d1を取得する。そして、第1層デプスマップ生成部131は、投影点Qから見た被写体90の表面までの距離を可視化した画像、即ち第1層デプスマップDm1を生成する。なお、第1層デプスマップ生成部131は、本開示における距離取得部の一例である。
【0044】
第2層デプスマップ生成部132は、3Dモデル生成部12が取得した3D形状に基づいて、投影点Qを始点として、第1の点P1から被写体90の内部に進入した直線が、被写体90から外部に貫通する第2の点P2と投影点Qとの第2の距離d2を取得する。そして、第2層デプスマップ生成部132は、投影点Qから見た被写体90の裏面までの距離を可視化した画像、即ち第2層デプスマップDm2を生成する。なお、第2層デプスマップ生成部132は、本開示における距離取得部の一例である。なお、投影点Qを始点として被写体90に至る直線が、被写体90を複数回貫く場合もある。このような場合は、第1の点P1と第2の点P2のペアが複数発生する。即ち、直線が被写体90を貫くたびに、第1の点P1と第2の点P2のペアが生成される。
【0045】
このように、3Dモデル生成部12において、被写体90の3次元形状が復元されているため、当該被写体90の3次元形状に対して、任意の視点から透視変換を行うと、被写体90の表面までの距離を画像として表現することができる。この画像が、前記した第1層デプスマップDm1および第2層デプスマップDm2である。
【0046】
なお、透視変換は、例えば式(1)で計算される。
【0047】
【0048】
式(1)は、被写体90上の点(X,Y,Z)が、回転成分r11~r33と並進移動成分t1~t3からなるカメラ外部パラメータが形成する行列と、fx,fyおよびcx,cyで表されるカメラ内部パラメータが形成する行列を掛けることによって、投影面の2次元座標(u,v)と深度sとが得られることを示す。
【0049】
投影点Qから見える被写体90の3次元メッシュの全ての面を投影して、最も手前、即ち投影点Qから最も近い点までの距離を2次元配列のデータに格納したのが第1層デプスマップDm1である。
【0050】
本実施形態においては、第1層デプスマップDm1に加えて、被写体90の裏側の表面までの距離を記録した、第2層デプスマップDm2も併せて利用する。
図6は、デプスマップの生成方法を説明する図である。
【0051】
第1層デプスマップ生成部131は、第1の距離d1として計算された深度sを、最小値と最大値の範囲で量子化して、
図6に示す投影面R(u,v)の点Psに格納する。最小値は、例えば、
図6における投影点Qからnear面Snまでの距離near、最大値は、例えば、
図6における投影点Qからfar面Sfまでの距離farである。
【0052】
本実施形態では、深度は例えばAVC(Advanced Video Coding)で圧縮できるように8ビットの輝度値に格納する。即ち、第1の距離d1は、式(2)に示す計算式により、量子化デプス値D1に変換される。なお、被写体90が存在しない領域には、D1=0を格納する。なお、以降、量子化デプス値D1を単にデプス値D1と呼ぶ。
【0053】
【0054】
第2層デプスマップ生成部132は、第1層と同じ透視投影パラメータを用いるが、被写体90の内部を突き抜けて、被写体90の裏側から抜ける点までの第2の距離d2として計算された深度sを、
図6に示す投影面R(u,v)の点Psに格納する。デプスマップ内で被写体90が投影される領域では、第2の距離d2は、第1の距離d1よりも大きい値となる。第2層の量子化デプス値D2は、第1層のデプス値D1と大小が反転した値となるように、式(2)の距離nearと距離farとを入れ替えた式(3)で算出する。なお、被写体90が存在しない領域には、無効値を表すD2=0を格納する。この無効値(D2=0)は、第2の距離d2が距離nearと等しいときと同じ値である。なお、式(2)におけるround(x)は、xを四捨五入して整数化する関数である。また、以降、量子化デプス値D2を単にデプス値D2と呼ぶ。
【0055】
【0056】
なお、
図6には、投影点Qを投影中心とする透視投影によってデプスマップを生成する例を示したが、透視投影以外の投影方法、例えば平行投影を用いてデプスマップを生成してもよい。
【0057】
次に、
図7と
図8を用いて、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2の具体例を説明する。
図7は、第1層デプスマップと第2層デプスマップの量子化デプス値について説明する図である。
図8は、第1層デプスマップと第2層デプスマップの一例を示す図である。
【0058】
符号化部13aは、
図7に示すように、第1層デプスマップDm1に格納する被写体90が存在しない領域(無効領域)におけるデプス値D1を、距離farとしてnear面Snに格納する。また、第2層デプスマップDm2に格納する被写体90が存在しない領域(無効領域)におけるデプス値D2を、距離farよりも小さい距離nearとしてfar面Sfに格納する。なお、距離farは、本開示における第1の距離値の一例である。また、距離nearは、本開示における第2の距離値の一例である。これによって、d1<d2となる領域が被写体90を示す領域であると判定することが可能となる。
【0059】
また、符号化部13aは、式(2)と式(3)に示すように、第1層と第2層とで量子化の方向を逆にする。これによって、
図7に示すように、量子化後の無効領域に対応するデプス値D1,D2を等しい値、即ちデプス値D1とデプス値D2を、ともに0にする。
【0060】
仮に、第1層と第2層とで量子化の方向を同じにすると、
図8の上図に示すように、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを1枚の画像に並べたときに、境界線にデプス値のギャップが生じる。一方、第1層と第2層とで量子化の方向を逆にすることによって、
図8の下図に示すように、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを1枚の画像に並べたときに、境界線にデプス値のギャップが生じない。したがって、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを1枚の画像に並べて符号化する際に、画像の圧縮効率を高めることができる。
【0061】
なお、ここに示した量子化方法は一例であって、式(2)と式(3)に示したリニアな量子化以外の量子化方法を適用してもよい。例えば、式(4)に示す逆数量子化を適用してもよい。式(4)によると、遠方ほど粗いステップで量子化される。
【0062】
【0063】
図5に戻り、色情報パッキング部133は、3Dモデル生成部12から入力された複数の色情報テクスチャデータCを、1枚の画像に並べる(パッキングする)処理を行う。この処理によって、復号装置50aに送信する画像の枚数を減らすことができる。なお、色情報テクスチャデータCは、本開示におけるテクスチャ情報の一例である。
【0064】
タイリング処理部134aは、第1層デプスマップDm1と、第2層デプスマップDm2と、色情報パッキング部133がパッキングした色情報テクスチャデータCとを1枚の画像にまとめる処理を行う。第1層デプスマップDm1および第2層デプスマップDm2に格納された値(デプス値D1,D2)は、色情報と同じ画像に配置するために、Y/Cb/Crの信号形式(輝度信号と色差信号)に変換される。即ち、輝度値にデプス値D1,D2を格納する。また、色差には一定値、例えば画素当たり8ビットの画像であれば、グレーを表す128等の一定値を格納する。また、タイリング処理部134aは、まとめられた1枚の画像のどの位置にデプスマップや色情報テクスチャデータCが格納されたかを示す画像配置情報を出力する。画像配置情報は、例えば、元の画像がどれだけ移動して1枚の画像に配置されたかを示すオフセット値と、デプスマップの量子化に使用した距離near、farの値と、投影点Qの位置等を含む。
【0065】
図9は、タイリング処理部が生成する画像の一例を示す図である。タイリング処理部134aは、第1層デプスマップDm1と、第2層デプスマップDm2と、色情報テクスチャデータCとを、1枚のタイリング画像T1にまとめる。色情報テクスチャデータCは、
図9に示すように、被写体90を複数の撮像装置70(
図2参照)で撮像した実際の画像である。
【0066】
画像圧縮処理部135は、タイリング処理部134aにおいて1枚にまとめられた画像を、一般的な動画コーデックを用いて圧縮する。具体的には、AVCやHEVCにように広く普及しているコーデックが用いられる。
【0067】
なお、前記した式(2)、式(3)では、デプス値D1,D2が8ビットである場合を想定して、0から255の値で量子化したが、HEVC等では10ビットの値を扱うことも可能であるため、デプス値D1,D2を10ビット(0から1023)で量子化してもよい。
【0068】
画像圧縮処理部135が生成したビットストリームと、タイリング処理部134aが生成した画像配置情報とは、送信部14を介して、復号装置50aに送信される。即ち、送信部14は、第1の距離d1と第2の距離d2とを関連付けて、被写体90の3次元形状を再構成する復号装置50aに送信する。
【0069】
[1-5.復号部の詳細構成]
次に、
図10を用いて、復号部16aの詳細構成を説明する。
図10は、復号部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0070】
図10に示すように、復号部16aは、画像伸長処理部161と、デプス有効領域判定部162と、三角形パッチ生成部163と、色情報テクスチャ切り出し部164とを備える。復号部16aを含む復号装置50a(
図1参照)は、符号化装置40aから送信された情報、即ち、被写体90の表面の3D形状に基づいて、投影点Qから被写体90に至る直線が被写体90と接触する第1の点P1と投影点Qとの第1の距離d1と、第1の点P1から被写体90の内部に進入した直線が被写体90から外部に貫通する第2の点P2と投影点Qとの第2の距離d2と、を取得して、投影点Qの位置と、第1の距離d1と、第2の距離d2とを関連付けることによって、被写体90の3Dモデル90Mを生成する。
【0071】
画像伸長処理部161は、画像圧縮処理部135で圧縮されたビットストリームを画像に伸長する。なお、符号化(エンコード)と復号(デコード)とは対になるため、例えばAVCエンコードされたビットストリームは、AVCデコード処理で復号する。
【0072】
デプス有効領域判定部162は、第1層デプスマップ生成部131が取得した第1層デプスマップDm1に格納された第1の距離d1と、第2層デプスマップ生成部132が取得した第2層デプスマップDm2に格納された第2の距離d2との大小関係に基づいて、被写体90の領域を特定する。より具体的には、デプス有効領域判定部162は、被写体90が投影された領域を有効領域と判定して、被写体90が投影されていない領域を無効領域と判定する。有効領域と判定された領域は、格納されたデプス値D1,D2が、被写体90の形状復元に利用される。一方、無効領域と判定された領域のデータはレンダリングには使用されずに廃棄される。なお、デプス有効領域判定部162は、本開示における領域判定部の一例である。また、デプス有効領域判定部162が行う処理の詳細は後述する。
【0073】
三角形パッチ生成部163は、被写体90の内部および被写体90と外部との境界において、レンダリング処理が利用できる形状データ、所謂メッシュデータを生成する。また、三角形パッチ生成部163は、投影点Qに係る第1層デプスマップDm1に格納された第1の距離d1に基づく被写体90の前面側の端部と、投影点Qに係る第2層デプスマップDm2に格納された第2の距離d2に基づく被写体90の背面側の端部とを接続して、閉空間を形成する。なお、三角形パッチ生成部163は、本開示における閉空間生成部の一例である。また、三角形パッチ生成部163が行う処理の詳細は後述する。
【0074】
色情報テクスチャ切り出し部164は、画像伸長処理部161でデコードされた画像情報と、タイリング処理部134aで生成された画像配置情報とに基づいて、後段のレンダリング部17aにおいて、3次元形状メッシュデータに貼り付ける色情報テクスチャデータCを生成する。
【0075】
[1-6.デプス有効判定処理]
次に、
図11と
図12を用いて、デプス有効領域判定部162が行うデプス有効領域判定処理を説明する。
図11は、デプス有効領域判定部が、デプスマップからデプス値を読み出す方法を説明する図である。
図12は、デプス有効領域判定部が、デプス値の有効無効を判定する方法を説明する図である。
【0076】
図11の左方に示す第1層デプスマップDm1および第2層デプスマップDm2は、右方に示す第1層デプスマップDm1および第2層デプスマップDm2の一部(被写体の肩の部分)を拡大したものである。
図11において、白丸は被写体内部の点、即ち有効なデプス値D1またはデプス値D2が格納された点を表す。また、黒丸は被写体外部の点、即ち無効なデプス値D1またはデプス値D2が格納された点を表す。即ち、
図11の左方に示す第1層デプスマップDm1および第2層デプスマップDm2は、実際には各点にデプス値が格納された曲面で表現すべきであるが、説明をわかりやすくするため、平面で描いている。
【0077】
第1層デプスマップDm1および第2層デプスマップDm2の読み出し点は、
図11に示すように正方格子状に配置されている。なお、格子のグリッド間隔は自由に設定してよい。また、デプスマップの読み出し点の位置は、必ずしもデプスマップの画素位置と一致させなくてもよい。読み出し点と画素位置とが異なる場合は、補間フィルタによって補間されたデプス値が使われる。
【0078】
後述する三角形パッチ生成部163は、3つのデプス読み出し点を結ぶ三角形を単位として描画処理を行うため、読み出し点のグリッド間隔が小さいほど描画処理量が多くなる。一方、読み出し点のグリッド間隔を大きく設定すると、描画処理が軽くなる、これを利用して、復号装置50aの処理負荷を調整することが可能である。
【0079】
デプス読み出し点から読み出したデプス値D1,D2は、有効領域、即ち被写体90がある領域では、第1層に被写体90の表面のデプス値D1が格納されている。そして、第2層に被写体90の裏面のデプス値D2が格納されている。一方、無効領域、即ち被写体90がない領域では、第1層にfar値が格納されて、第2層にnear値が格納されている。したがって、
図12の左図に示すように、有効領域においてはD1≦D2となる。なお、被写体90が奥行方向に非常に薄い場合、量子化した際に、表面と裏面とが等しいデプス値になる場合も考えられるため、D1=D2の場合も含まれる。一方、無効領域ではD1>D2となる。
【0080】
デプス値D1,D2は、伝送時に圧縮されるため、圧縮誤差による劣化を伴う。特に被写体90の境界部分は、デプス値の大きなギャップが生じる可能性があるが、本実施形態では、第1層と第2層の相対比較によって被写体90の有効領域を判定するため、
図12の右図に示すように、第1層と第2層の有効領域は完全に一致する。
【0081】
次に、
図13を用いて、デプス有効領域判定部162が行うデプス有効領域判定処理の流れを説明する。
図13は、デプス有効領域判定部が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0082】
デプス有効領域判定部162は、デプス読み出し点を設定する(ステップS21)。
【0083】
デプス有効領域判定部162は、第1層デプスマップDm1から第1層のデプス値D1を取得する(ステップS22)。
【0084】
続いて、デプス有効領域判定部162は、第2層デプスマップDm2から第2層のデプス値D2を取得する(ステップS23)。
【0085】
デプス有効領域判定部162は、第1層のデプス値D1が第2層のデプス値D2以下であるかを判定する(ステップS24)。第1層のデプス値D1が第2層のデプス値D2以下であると判定される(ステップS24:Yes)と、ステップS25に進む。一方、第1層のデプス値D1が第2層のデプス値D2以下であると判定されない(ステップS24:No)と、ステップS26に進む。
【0086】
ステップS24においてYesと判定されると、デプス有効領域判定部162は、デプス読み出し点は被写体90の領域に含まれると判断して、デプス読み出し点に有効フラグを立てる(ステップS25)。その後、ステップS27に進む。
【0087】
一方、ステップS24においてNoと判定されると、デプス有効領域判定部162は、デプス読み出し点は被写体90の領域に含まれないと判断して、デプス読み出し点に無効フラグを立てる(ステップS26)。その後、ステップS27に進む。
【0088】
デプス有効領域判定部162は、デプス面全体を処理したかを判定する(ステップS27)。デプス面全体を処理したと判定される(ステップS27:Yes)と、デプス有効領域判定部162は、
図13の処理を終了する。一方、デプス面全体を処理したと判定されない(ステップS27:No)と、ステップS21に戻って、異なるデプス読み出し点に対して、前記した一連の処理を繰り返す。
【0089】
なお、最初は全てのデプス読み出し点に有効フラグを立てておき、ステップS24においてNoと判定された場合に、デプス読み出し点の有効フラグを下げてもよい。
【0090】
[1-7.メッシュデータ生成処理]
次に、
図14と
図15を用いて、三角形パッチ生成部163が行うメッシュデータ生成処理を説明する。
図14は、デプスマップ上に設定される三角形パッチを説明する図である。
図15は、三角形パッチの有効点数を説明する図である。
【0091】
三角形パッチ生成部163には、デプス有効領域判定部162から、正方格子上の読み出し点から読み出されたデプス値D1,D2とその有効フラグが入力される。
図14の左図は、デプス読み出し点とその有効フラグが検出された状態の一例を示す。
【0092】
三角形パッチ生成部163は、
図14の右図に示すように、正方格子一つに対して、直角三角形2つを割り当てたグラフ構造を生成する。当該グラフ構造は、デプス読み出し点を頂点として、近接した3点ずつが接続された三角形状を呈する。なお、
図14の右図は1層分で、実際には、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とに対して、それぞれ同様のグラフ構造が生成される。
【0093】
三角形パッチ生成部163は、こうして生成された三角形パッチを単位として、以降の処理を行う。そして、三角形パッチ生成部163は、この三角形パッチを元に座標変換処理を施された三角形群(メッシュデータ)を、後段のレンダリング部17aに引き渡す。
【0094】
三角形パッチ生成部163は、
図15に示すように、各三角形パッチに対して有効点数Nをカウントする。有効点数Nとは、具体的には、着目している三角形パッチの3頂点のうち何個が被写体90の内部に属しているかを示す値である。この有効点数Nは、着目している三角形パッチが被写体90の内側に属しているかを示す評価尺度である。
【0095】
即ち、有効点数Nは、0,1,2,3のいずれかの値をとる。N=0は、三角形パッチが完全に被写体90の外側に存在することを示す。一方、N=3は、三角形パッチが完全に被写体90の内側に存在することを示す。そして、N=1,2は、三角形パッチが、被写体90の内部と外部に跨っていることを示す。
【0096】
三角形パッチ生成部163は、N=0,1の場合は、
図15の右図に示すように三角形パッチを削除する。そして、該当する三角形の3頂点を結ぶグラフ構造を削除する。
【0097】
一方、N=2,3の場合、三角形パッチ生成部163は、三角形パッチを削除せずに残す。そして、N=3の場合は、式(1)の逆変換(逆透視変換)を行って、三角形パッチの3頂点に対して、それぞれ、投影面R(u,v)の座標位置と,当該座標位置に格納された深度sから(X,Y,Z)を求める。また、N=2の場合は、三角形パッチのうち有効な2頂点に対して、前記した逆透視変換を行う。そして、無効な1頂点に対しては、後述する頂点座標変更処理を行う。なお、N=2以外の場合、第1層、第2層に対して、独立して処理が可能である。
【0098】
次に、
図16を用いて、N=2の場合に、三角形パッチ生成部163が行う頂点座標変更処理を説明する。
図16は、頂点座標変更処理を説明する図である。
【0099】
図16の左上は、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを近接した状態で配置した様子を示す。そして、
図16の右上は、1組のN=2の三角形パッチのみを抽出した状態を示す。
図16の右上に示すように、一方のデプスマップにN=2の三角形パッチが生成された場合に、反対側のデプスマップの同じ位置にも、N=2の三角形パッチが生成される。
【0100】
図16の左上に示すように、第1層デプスマップDm1の三角形パッチの頂点をA1,B1,C1とする。そして、第2層デプスマップDm2の三角形パッチの頂点をA2,B2,C2とする。
【0101】
三角形パッチ生成部163は、被写体90の外側に属する無効な頂点A1,A2に対して、頂点変更処理を行う。
【0102】
即ち、三角形パッチ生成部163は、
図16の左下に示すように、無効な頂点A1に、逆側のデプスマップの有効な頂点B2の値(デプス値D2)を代入する。即ち、頂点A1は、あたかも頂点B2の位置にあるものとみなす。また、三角形パッチ生成部163は、無効な頂点A2に、逆側のデプスマップの有効な頂点C1の値(デプス値D1)を代入する。即ち、頂点A2は、あたかも頂点C1の位置にあるものとみなす。このように、無効な頂点に、互い違いに逆側のデプスマップの有効な頂点の値(デプス値)を代入することによって、四角形B1-C1-C2-B2が、2つの三角形パッチで接続される。これにより、離れていた辺B1-C1と、辺B2-C2とが、面で隙間なく接続される。即ち、投影点から見た被写体90の前面と背面との境界線が切れ目なく接続されて、閉じた立体(閉空間)が形成される。なお、頂点A1に頂点C2のデプス値D2を代入して、頂点A2を頂点B1のデプス値D1を代入しても同様の効果が得られる。
【0103】
前記した処理を、デプス面の全てのN=2の三角形パッチに対して実行することによって、
図16の右下に示すように、被写体90の前面と背面との境界線が切れ目なく接続される。
【0104】
なお、
図16では、説明をわかりやすくするために、第1層のデプス値D1が略等しく、第2層のデプス値D2が略等しい状態で説明したが、実際には、第1層のデプス値D1と第2層のデプス値D2とから、式(1)の逆変換によって各頂点の3次元座標を計算し、3次元空間上に配置することによって、2層のデプス面に挟まれた、被写体90を表す閉じた立体形状が再現される。
【0105】
図17は、被写体の3次元形状メッシュデータが生成される様子を示す模式図である。
図17に示すように、被写体90の投影点Qに面する領域と、被写体90の投影点Qの背面側の領域とが切れ目なく繋がった、3次元形状メッシュデータが得られる。
【0106】
次に、
図18を用いて、三角形パッチ生成部163が行うメッシュデータ生成処理の流れを説明する。
図18は、三角形パッチ生成部が行うメッシュデータ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0107】
三角形パッチ生成部163は、
図14の右図に示したように生成された三角形パッチに対して、有効点数Nをカウントする(ステップS31)。
【0108】
三角形パッチ生成部163は、ステップS31でカウントした有効点数Nが2以上であるかを判定する(ステップS32)。有効点数Nが2以上、即ち有効点数Nが2または3であると判定される(ステップS32:Yes)と、ステップS33に進む。一方、有効点数Nが2以上であると判定されない(ステップS32:No)、即ち有効点数Nが0または1であると判定されると、ステップS34に進む。
【0109】
ステップS32においてYesと判定されると、三角形パッチ生成部163は、有効と判定された頂点の3次元座標を算出する(ステップS33)。その後、ステップS35に進む。
【0110】
一方、ステップS32においてNoと判定されると、三角形パッチ生成部163は、着目している三角形パッチに三角形メッシュを生成しない(ステップS34)。そして、レンダリングが行われないように、着目している三角形パッチを消去する。その後、ステップS38に進む。
【0111】
ステップS33に続いて、三角形パッチ生成部163は、着目している三角形パッチに対して、有効点数Nが3であるかを判定する(ステップS35)。有効点数Nが3であると判定される(ステップS35:Yes)と、ステップS37に進む。一方、有効点数Nが3であると判定されない(ステップS35:No)、即ち有効点数Nが2であると判定されると、ステップS36に進む。
【0112】
ステップS35においてNoと判定されると、三角形パッチ生成部163は、前記した頂点座標変更処理(
図16参照)を行う(ステップS36)。
【0113】
ステップS36に引き続き、またはステップS35においてYesと判定されると、三角形パッチ生成部163は、着目している三角形パッチに対して三角形メッシュを生成する(ステップS37)。
【0114】
三角形パッチ生成部163は、全ての三角形パッチを処理したかを判定する(ステップS38)。全ての三角形パッチを処理したと判定される(ステップS38:Yes)と、三角形パッチ生成部163は、
図18の処理を終了する。一方、全ての三角形パッチを処理したと判定されない(ステップS38:No)と、ステップS31に戻って、異なる三角形パッチに対して、前記した一連の処理を繰り返す。
【0115】
[1-8.レンダリング部の詳細構成]
次に、
図19を用いて、レンダリング部17aの詳細構成を説明する。
図19は、レンダリング部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0116】
図19に示すように、レンダリング部17aは、デプスマップ生成部171と、可視性確認部172と、描画部173とを備える。
【0117】
デプスマップ生成部171は、三角形パッチ生成部163が生成した被写体90の3次元形状メッシュデータを、色情報テクスチャデータCと同じ投影点Qから見たデプスマップを生成する。即ち、デプスマップ生成部171は、複数の色情報テクスチャデータCにそれぞれ対応する複数のデプスマップを生成する。
【0118】
可視性確認部172は、デプスマップ生成部171が生成したデプスマップと3次元形状メッシュデータの3次元座標とを比較することによって、着目している3次元形状メッシュデータが投影点Qから見えるか否かを判定するVisibility Checkを行う。この判定によって、複数の物体が重なって投影点Qから見えないメッシュであることが判定される。なお、Visibility Checkについて、詳しくは後述する(
図22参照)。
【0119】
描画部173は、可視性確認部172が、目に見える(可視性がある)と判定したメッシュの3次元形状を描画する。また、描画部173は、描画したメッシュに、対応する色情報テクスチャデータCを貼り付ける。これによって、被写体90を任意の投影点Qから観測した画像を生成することができる。
【0120】
[1-9.第1の実施形態の変形例]
なお、第1の実施形態は、様々な形態に変形して実行することが可能である。例えば、タイリング画像T1(
図9参照)において、第1層デプスマップDm1と、第2層デプスマップDm2と、色情報テクスチャデータCとは1枚の画像でなくてもよい。即ち、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを1枚の画像として、色情報テクスチャデータCを別の1枚の画像としてもよい。また、第1層デプスマップDm1と、第2層デプスマップDm2と、色情報テクスチャデータCとを、それぞれ1枚の画像としてもよい(この場合、タイリング処理を行う必要はない)。更に、色情報テクスチャデータCを全て別の画像としてもよい(この場合、パッキング処理もタイリング処理も行う必要はない)。なお、送信部14が送信する画像が複数枚になると、それに伴ってビットストリームの画像チャンネル数が増加するが、一般的なマルチチャンネルストリーム配信の仕組みを用いることによって、チャンネル間の同期をとることができる。
【0121】
また、送信部14は、タイリング画像T1と音声情報とを同時に送信してもよい。
【0122】
また、タイリング画像T1は、静止画データでも動画データでも構わない。タイリング画像T1が静止画データである場合には、画像圧縮処理部135は、JPEG等の静止画用圧縮処理を行う。また、タイリング画像T1が動画データである場合には、画像圧縮処理部135は、MPEG2,AVC,HEVC,VVC,AV1等の動画用圧縮処理を行う。
【0123】
なお、送信するタイリング画像T1の圧縮、伸長は行わなくてもよい。この場合には、画像圧縮処理部135(
図5参照)と画像伸長処理部161(
図10参照)とは不要になる。
【0124】
また、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とに格納するデプス値D1,D2のビット長は問わない。即ち、実施形態で説明した8ビットの他に、10ビット,12ビット等であってもよい。なお、デプス値D1,D2のビット長が大きいほど、被写体90の細かいデプスを表現することができる。
【0125】
また、送信部14および受信部15を介した伝送を行わずに、タイリング画像T1を蓄積データとして記憶部に蓄積して、蓄積データを記憶部から読み出して再生してもよい。
【0126】
また、データ取得部11から送信部14までは、リアルタイム処理で動作しなくてもよい。即ち、送信するタイリング画像T1を、記憶部等に一旦蓄積して、蓄積したデータを読み出して、復号装置50aに送信してもよい。
【0127】
なお、データ取得部11から送信部14までをリアルタイム処理で動作させれば、ライブストリーミング等のリアルタイム通信に用いることができる。
【0128】
[1-10.第1の実施形態の効果]
以上説明したように、第1の実施形態の符号化装置40(情報処理装置)において、第1層デプスマップ生成部131(距離取得部)は、被写体90の表面の3D形状に基づいて、投影点Qから被写体90に至る直線が被写体90と接触する第1の点P1と投影点Qとの第1の距離d1を取得する。また、第2層デプスマップ生成部132(距離取得部)は、被写体90の表面の3D形状に基づいて、投影点Qを始点として、第1の点P1から被写体90の内部に進入した直線が、被写体90から外部に貫通する第2の点P2と投影点Qとの第2の距離d2を取得する。
【0129】
これにより、被写体90を同じ位置から観測した際に、当該被写体90の前面と背面との形状を同時に取得することができる。
【0130】
また、第1の実施形態の符号化装置40(情報処理装置)によると、第1層デプスマップ生成部131(距離取得部)は、第1の点P1が存在しない場合には、第1の距離d1として、距離far(第1の距離値)を取得する。また、第2層デプスマップ生成部132(距離取得部)は、第2の点P2が存在しない場合には、第2の距離d2として、距離farよりも小さい距離near(第2の距離値)を取得する。
【0131】
これにより、被写体90の領域と、被写体90が存在しない領域とを容易に識別することができる。
【0132】
また、第1の実施形態の符号化装置40(情報処理装置)によると、第1層デプスマップ生成部131(距離取得部)と第2層デプスマップ生成部132(距離取得部)とは、距離far(第1の距離値)と距離near(第2の距離値)とを、等しい値に設定する。
【0133】
これにより、第1層デプスマップ生成部131が生成した第1層デプスマップDm1と、第2層デプスマップ生成部132が生成した第2層デプスマップDm2とを並べて配置した際に、境界線にデプス値のギャップが生じない。そのため、第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを1枚の画像に並べて符号化する際に、画像の圧縮効率を高めることができる。
【0134】
また、第1の実施形態の符号化装置40(情報処理装置)において、送信部14は、第1層デプスマップ生成部131が取得した第1の距離d1と、第2層デプスマップ生成部132が取得した第2の距離d2とを関連付けて、被写体90の3次元形状を再構成する復号装置50aに送信する。
【0135】
これにより、被写体の前面側の座標と背面側の座標とを関連付けて送信することができるため、情報の伝送効率を向上させることができる。
【0136】
また、第1の実施形態の復号装置50a(情報処理装置)は、第1層デプスマップ生成部131が取得した第1の距離d1と、第2層デプスマップ生成部132が取得した第2の距離d2とを取得して、第1の距離d1と第2の距離d2との大小関係に基づいて、被写体90の領域を特定する。
【0137】
これにより、簡便な比較演算のみで、被写体90の存在範囲を特定することができる。
【0138】
また、第1の実施形態の復号装置50a(情報処理装置)において、三角形パッチ生成部163(閉空間生成部)は、投影点Qに係る複数の第1の距離d1に基づく、被写体90の投影点Qから見た前面側の端部と、投影点Qに係る複数の第2の距離d2に基づく、被写体90の投影点Qから見た背面側の端部とを接続する。
【0139】
これにより、被写体90の前面と背面とを接続することによって、隙間のない被写体90の3Dモデル90Mを生成することができる。
【0140】
また、第1の実施形態の復号装置50a(情報処理装置)は、三角形パッチ生成部163(閉空間生成部)が、三角形状に隣接する3点(頂点A1,B1,C1)の第1の距離d1のうち、2点(頂点B1,C1)の第1の距離d1が被写体90の前面を表して、残り1点(頂点A1)の第1の距離d1が被写体90の前面を表さない場合に、残り1点(頂点A1)を、3点(頂点A1,B1,C1)に対応する第2の距離d2のうち、被写体90の背面を表す2点のいずれか一方(頂点B2,C2のいずれか一方)に代入して、3点(頂点A1,B1,C1)に対応する第2の距離d2のうち、被写体90の背面を表さない1点(頂点A2)を、被写体90の前面を表す2点(頂点B1,C1)のうち、残り1点(頂点A1)を代入したのとは反対側の1点(残り1点を頂点B2に代入した場合は頂点C2、残り1点を頂点C2に代入した場合は頂点B2)に代入する。
【0141】
これにより、簡便な演算処理で、被写体90の前面と背面とを隙間なく接続することができる。
【0142】
(2.第2の実施形態)
[2-1.タイリング画像の構成]
第2の実施形態の情報処理システム10b(非図示)は、第1の実施形態で説明した情報処理システム10b(
図1参照)に対して、符号化装置40aの代わりに符号化装置40b(非図示)を備える。また、復号装置50aの代わりに復号装置50b(非図示)を備える。
【0143】
符号化装置40bは、非図示の符号化部13bと送信部14とを備える。また、復号装置50bは、受信部15と復号部16b(
図20参照)とを備える。更に、復号装置50bは、レンダリング部17aの代わりにレンダリング部17b(
図20参照)を備える。
【0144】
次に、情報処理システム10bの符号化部13bの機能を説明する。符号化部13bは、複数の色情報テクスチャデータCに対して、それぞれの色情報テクスチャデータCを取得したのと同じ投影点Qから取得した、複数の第1層デプスマップDを生成する。なお、符号化部13bは、
図5に示した符号化部13aにおいて、タイリング処理部134aの代わりにタイリング処理部134b(非図示)を備える。
【0145】
図20は、第2の実施形態において、タイリング処理部が生成する、符号化の対象となる画像の一例を示す図である。
【0146】
図20に示すタイリング画像T2は、第1の実施形態で説明したタイリング画像T1(
図9参照)に対して、複数の色情報テクスチャデータCとそれぞれ1対1に対応する複数の第1層デプスマップDを含む点が異なる。即ち、タイリング処理部134bは、被写体90を複数の投影点Qから見た色情報テクスチャデータCと、当該色情報テクスチャデータCを取得したのと同じ複数の投影点Qから見た第1層デプスマップDと、を関連付けたタイリング画像T2を生成する。なお、第1の実施形態で説明した第1層デプスマップDm1は、
図20に示すように、タイリング画像T2に配置される複数の第1層デプスマップDに含まれる。そして、タイリング画像T2は、第1の実施形態で説明した第2層デプスマップDm2も含む。なお、タイリング処理部134bは、本開示における色・距離取得部の一例である。
【0147】
タイリング画像T2が含む複数の第1層デプスマップDは、復号部16bが被写体90の3次元形状を再構成する際に、後述する可視性確認処理(
図22参照)に利用する。
【0148】
次に、
図21を用いて、情報処理システム10bの復号部16bおよびレンダリング部17bの機能を説明する。
図21は、第2の実施形態の復号部およびレンダリング部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0149】
復号部16bは、第1の実施形態で説明した復号部16a(
図10参照)に対して、デプスマップ切り出し部165を追加した構成を有する。デプスマップ切り出し部165は、複数の色情報テクスチャデータCの中から、被写体90の領域を、それぞれの色情報テクスチャデータCと対応する第1層デプスマップDに基づいて切り出す。より具体的には、第1層デプスマップDに有効なデプス値が格納されている場合に、当該デプス値が格納されている座標と対応する色情報テクスチャデータCを、被写体90の領域であると判断して切り出す。
【0150】
レンダリング部17bは、第1の実施形態で説明したレンダリング部17a(
図19参照)に対して、デプスマップ生成部171を除いた構成を有する。
【0151】
情報処理システム10bは、情報処理システム10aが可視性確認処理(Visibility Cheek)を行うためにレンダリング部17aで行っていたデプスマップの生成を、復号部16bで行う。更に、復号部16bは、実際にデプスマップを作成するのではなく、符号化部13bが生成した複数の第1層デプスマップDの取得のみを行う。そして、復号部16bのデプスマップ切り出し部165で、第1層デプスマップDを用いて、被写体90の領域に対応する色情報テクスチャデータCの切り出しを行う。
【0152】
したがって、デプスマップの生成という計算負荷の高い処理を削減することができる。
【0153】
[2-2.可視性確認処理]
次に、
図22を用いて、可視性確認処理について説明する。
図22は、可視性を確認する処理を説明する図である。
【0154】
被写体90を複数の異なる投影点Qから見た画像を生成する場合、被写体90の表面の点が、投影点Qから見えているか否かを判定する必要がある。即ち、投影面R(u,v)に記録される色情報テクスチャデータCは、投影点Qに一番近い面であって、当該面によって遮蔽された奥側の面は、投影点Qからは見えない状態になっている。
【0155】
具体的には、
図22において、被写体90の点Pa(第1の点の一例)は投影点Qaから可視化されて、点Paのデプス値(第1の距離)は、投影面Raに記録される。一方、異なる投影点Qbから点Paを観測すると、手前側の点Pbに遮蔽されるため、点Paを可視化することはできない。そして、投影面Rbには、点Pbのデプス値(第1の距離とは異なる距離)が格納される。
【0156】
したがって、
図22の場合、投影面Raに格納されたデプス値から計算される点Paの3次元座標と、投影面Rbに格納されたデプス値から計算される点Pbの3次元座標とは一致しない。即ち、可視性確認部172は、投影点Qaから見たデプス値に応じた点Paの3次元位置と、投影点Qaとは異なる投影点Qbから見た点Paの方向に対応するデプス値に応じた3次元位置とが一致しない場合に、投影点Qaから見た点Paが、投影点Qaとは異なる投影点Qbからは見えないと判定する。
【0157】
そして、描画部173は、投影点Qbから見た被写体90の画像を描画する際には、点Pbの色情報テクスチャデータCを用いるのではなく、投影点Qbから近い、点Paが可視化されると判定された投影点に投影された色情報テクスチャデータCを用いる。また、投影点Qbから近い、点Paが可視化される複数の投影点に投影された色情報テクスチャデータCを混ぜ合わせて用いてもよい。
【0158】
[2-3.第2の実施形態の効果]
以上説明したように、第2の実施形態の符号化装置40b(情報処理装置)において、タイリング処理部134b(色・距離取得部)は、被写体90を複数の投影点Qから見た色情報テクスチャデータC(テクスチャ情報)と、当該色情報テクスチャデータCを取得したのと同じ複数の投影点Qから見た第1の距離d1と、を関連付けて取得する。
【0159】
これにより、第1層デプスマップDの中の1枚を、第2層デプスマップDm2とペアの第1層デプスマップDm1とすることができるため、送信部14が送信するデータ量を削減することができる。
【0160】
また、第2の実施形態の復号装置50b(情報処理装置)において、可視性確認部172は、タイリング処理部134b(色・距離取得部)が取得した情報に基づいて、投影点Qaから見た第1の距離d1に応じた点Paの3次元位置と、投影点Qaとは異なる投影点Qbから見た点Paの方向に対応する第1の距離d1に応じた3次元位置とが一致しない場合に、投影点Qaから見た点Paが、投影点Qbからは見えないと判定する。
【0161】
これにより、タイリング画像T2を用いて、簡便な処理で可視性確認(Visibility Cheek)を行うことができる。
【0162】
(3.第3の実施形態)
[3-1.第3の実施形態の作用]
第1の実施形態および第2の実施形態において、被写体90の形状が複雑である場合には、オクルージョンの発生によって、被写体90の表面の3D形状を途切れなくデータ化するのが困難である。第3の実施形態の情報処理システム10bは、このような課題を解決するために、被写体90を複数の物体に分解して、分解された各物体に対して、同じ投影点Qから、複数の第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを生成することによって、被写体90の表面を途切れなくデータ化するものである。
【0163】
なお、第3の実施形態の情報処理システム10bの構成(ハードウエア構成、機能構成)は、第2の実施形態で説明した情報処理システム10b(符号化装置40b、復号装置50b)と同じであるため、説明は省略する。
【0164】
次に、
図23を用いて、第3の実施形態の情報処理システムの作用を説明する。
図23は、第3の実施形態の情報処理システムの作用を説明する図である。
【0165】
情報処理システム10bが備える符号化装置40bにおいて、3Dモデル生成部12は、被写体90を複数の物体に分解する。そして、第1層デプスマップ生成部131と第2層デプスマップ生成部132は、分解された各物体に対して、それぞれ、同じ投影点Qから複数の見た第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2を生成する。即ち、第1層デプスマップ生成部131と第2層デプスマップ生成部132は、被写体90が分解された各物体に対して、同じ投影点Qから見た第1の距離d1と第2の距離d2とを取得する。なお、第1の実施形態で説明したように、投影点Qを始点として被写体90に至る直線が、被写体90を複数回貫く場合には、直線が被写体90を貫くたびに、第1の点P1と第2の点P2のペアを生成する。
【0166】
例えば、
図23に示すように、3Dモデル生成部12は、モデル化の対象となる被写体90を、矢印状の第1の物体と、矩形状の第2の物体とに分解する。そして、第1層デプスマップ生成部131と第2層デプスマップ生成部132は、第1の物体に対して、投影点Qから見た第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを生成する。
【0167】
但し、情報処理システム10bは、投影点Qから見た被写体90の映像を再構成する必要がある(View Dependent描画)ため、第1層デプスマップDm1は、投影点Qから被写体90の全体を見たデプスマップとする。
【0168】
即ち、第1層デプスマップ生成部131は、被写体90に対して、
図23に示す点線のデプス値が格納された第1層デプスマップDm1を生成する。そして、第2層デプスマップ生成部132は、矢印状の第1の物体に対して、当該第1の物体の裏面側のデプス値を表す太線のデプス値が格納された第2層デプスマップDm2を生成する。第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とは、一対のペアとして被写体90の再構成に用いられる。
【0169】
次に、第1層デプスマップ生成部131は、矩形状の第2の物体を投影点Qから見た第1層デプスマップDm1を生成する。なお、ここで生成される第1層デプスマップDm1を、前記した第1層デプスマップDm1と区別するため、第3層デプスマップと呼ぶ。
【0170】
そして、第2層デプスマップ生成部132は、第2の物体を投影点Qから見た第2層デプスマップDm2を生成する。なお、ここで生成される第2層デプスマップDm2を、前記した第2層デプスマップDm2と区別するため、第4層デプスマップと呼ぶ。このようにして生成された第3層デプスマップと第4層デプスマップとは、一対のペアとして被写体90の再構成に用いられる。
【0171】
レンダリング部17bは、被写体90を分解した各物体に対するデプスマップのペアを用いて、前記した方法で各物体のレンダリングを行う。そして、レンダリングされた各物体を投影点から観測した際に、最も近い点が被写体90の表面となるように合成することによって、当該被写体90の表面を途切れなく再構成する。
【0172】
なお、被写体90の形状が複雑な場合、当該被写体90をさらに多くの物体に分解して、前記したのと同じ処理を繰り返し、さらに多くのデプスマップのペアを生成してもよい。
【0173】
[3-2.第3の実施形態の効果]
以上説明したように、第3の実施形態の符号化装置40b(情報処理装置)において、第1層デプスマップ生成部131および第2層デプスマップ生成部132(距離取得部)は、同じ投影点Qから、被写体90を分解した各物体に対して、それぞれ、第1の距離d1と第2の距離d2とを取得する。そして、第1の距離d1と第2の距離d2とに基づいて再構成した各物体を合成することによって、被写体90の像を再構成する。
【0174】
これにより、被写体90が複雑な形状である場合でも、当該被写体90の像を途切れなく再構成することができる。
【0175】
(4.第4の実施形態)
[4-1.第4の実施形態の作用]
第1の実施形態および第2の実施形態において、被写体90の形状が複雑である場合には、オクルージョンの発生によって、被写体90の表面の3D形状を途切れなくデータ化するのが困難である。第4の実施形態の情報処理システム10bは、このような課題を解決するために、被写体90を複数の物体に分解して、分解された各物体に対して、複数の投影点から、それぞれ第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを生成することによって、被写体90の表面を途切れなくデータ化するものである。
【0176】
なお、第4の実施形態の情報処理システム10bの構成(ハードウエア構成、機能構成)は、第2の実施形態で説明した情報処理システム10b(符号化装置40b、復号装置50b)と同じであるため、説明は省略する。
【0177】
次に、
図24を用いて、第4の実施形態の情報処理システムの作用を説明する。
図24は、第4の実施形態の情報処理システムの作用を説明する図である。
【0178】
情報処理システム10bが備える符号化装置40bにおいて、3Dモデル生成部12は、被写体90を複数の物体に分解する。そして、第1層デプスマップ生成部131と第2層デプスマップ生成部132は、分解された各物体に対して、それぞれ、異なる投影点Q1,Q2,…から見た第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2を生成する。即ち、被写体90が分解された各物体に対して、異なる投影点Q1,Q2,…から見た第1の距離d1と第2の距離d2とを取得する。なお、第1の実施形態で説明したように、投影点Qを始点として被写体90に至る直線が、被写体90を複数回貫く場合には、直線が被写体90を貫くたびに、第1の点P1と第2の点P2のペアを生成する。
【0179】
例えば、
図24に示すように、3Dモデル生成部12は、モデル化の対象となる被写体90を、矢印状の第1の物体と、矩形状の第2の物体とに分解する。そして、第1層デプスマップ生成部131と第2層デプスマップ生成部132は、第1の物体に対して、投影点Q1から見た第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを生成する。また、第1層デプスマップ生成部131と第2層デプスマップ生成部132は、第1の物体に対して、投影点Q2から見た第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とを生成する。
【0180】
但し、情報処理システム10bは、各投影点Q1,Q2から見た被写体90の映像を再構成する必要がある(View Dependent描画)ため、第1層デプスマップDm1は、各投影点Q1,Q2から被写体90の全体を見たデプスマップとする。
【0181】
即ち、第1層デプスマップ生成部131は、被写体90の全体を投影点Q1から見た第1層デプスマップDm1を生成する。これによって、
図24に示す点線のデプス値が格納された第1層デプスマップDm1が生成される。そして、第2層デプスマップ生成部132は、矢印状の第1の物体の裏面側のデプス値を表す太線のデプス値が格納された第2層デプスマップDm2を生成する。第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とは、一対のペアとして被写体90の再構成に用いられる。
【0182】
次に、第1層デプスマップ生成部131は、被写体90の全体を投影点Q2から見た第1層デプスマップDm1を生成する。これによって、
図24に示す点線のデプス値が格納された第1層デプスマップDm1が生成される。そして、第2層デプスマップ生成部132は、矩形状の第2の物体の裏面側のデプス値を表す太線のデプス値が格納された第2層デプスマップDm2を生成する。第1層デプスマップDm1と第2層デプスマップDm2とは、一対のペアとして被写体90の再構成に用いられる。
【0183】
[4-2.第4の実施形態の効果]
以上説明したように、第4の実施形態の符号化装置40b(情報処理装置)において、第1層デプスマップ生成部131および第2層デプスマップ生成部132(距離取得部)は、異なる投影点Q1,Q2から、被写体90を分解した各物体に対して、それぞれ、第1の距離d1と第2の距離d2とを取得する。そして、そして、第1の距離d1と第2の距離d2とに基づいて再構成した各物体を合成することによって、被写体90の像を再構成する。
【0184】
これにより、被写体90が複雑な形状である場合でも、当該被写体90の像を途切れなく再構成することができる。
【0185】
(5.本開示の応用例)
[5-1.コンテンツの制作]
例えば、3Dモデル生成部12で生成された被写体90の3Dモデル90Mと、他のサーバで管理されている3Dモデルとを合成して映像コンテンツを制作してもよい。また、例えば、Lidar等の撮像装置で背景データが存在している場合、3Dモデル生成部12で生成された被写体90の3Dモデル90Mと背景データとを組み合わせることで、被写体90が、あたかも背景データで示す場所にいるようなコンテンツを制作することができる。
【0186】
[5-2.仮想空間での体験]
例えば、ユーザがアバターとなってコミュニケーションを行う場である仮想空間の中に、3Dモデル生成部12で生成された被写体90を配置することができる。この場合、ユーザは、アバターとなって仮想空間で実写の被写体90を視聴することが可能となる。
【0187】
[5-3.遠隔地とのコミュニケーションへの応用]
例えば、3Dモデル生成部12で生成された被写体90の3Dモデル90Mを、送信部14から遠隔地に送信することにより、遠隔地にある再生装置を通じて遠隔地のユーザが被写体90の3Dモデル90Mを視聴することができる。例えば、この被写体90の3Dモデル90Mをリアルタイムに伝送することにより、被写体90と遠隔地のユーザとがリアルタイムにコミュニケーションをとることができる。例えば、被写体90が先生であり、ユーザが生徒である場合や、被写体90が医者であり、ユーザが患者である場合等が想定できる。
【0188】
[5-4.その他]
例えば、3Dモデル生成部12で生成された複数の被写体90の3Dモデル90Mに基づいて、スポーツ等の自由視点映像を生成することもできる。また、個人が3Dモデル生成部12で生成された自分を配信プラットフォームに配信することもできる。このように、本明細書に記載した実施形態における内容は、種々の技術やサービスに応用することができる。
【0189】
以上、本開示について、いくつかの実施形態を用いて説明したが、これらの実施形態は、任意の装置において実行されるようにしてもよい。その場合、その装置が、必要な機能ブロックを有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0190】
また、例えば、1つのフローチャートの各ステップを、1つの装置が実行するようにしてもよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。更に、1つのステップに複数の処理が含まれる場合、その複数の処理を1つの装置が実行するようにしてのよいし、複数の装置が分担して実行するようにしてもよい。換言すると、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0191】
また、例えば、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしてもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしてもよい。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。更に、プログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしてもよいし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしてもよい。
【0192】
また、例えば、本技術に関する複数の技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を適用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0193】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0194】
例えば、本開示は、以下のような構成もとることができる。
【0195】
(1)
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得する距離取得部を備える、
情報処理装置。
(2)
前記距離取得部は、
前記第1の点が存在しない場合には、前記第1の距離として、所定の第1の距離値を取得して、
前記第2の点が存在しない場合には、前記第2の距離として、前記第1の距離値よりも小さい、所定の第2の距離値を取得する、
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記距離取得部は、
前記第1の距離値と前記第2の距離値とを、等しい値に設定する、
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記距離取得部が取得した前記第1の距離と前記第2の距離とを関連付けて、前記被写体の3次元形状を再構成する復号装置に送信する送信部を更に備える、
前記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(5)
前記被写体を複数の投影点から見たテクスチャ情報と、当該テクスチャ情報を取得したのと同じ複数の投影点から見た前記第1の距離と、を関連付けて取得する色・距離取得部を更に備える、
前記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(6)
前記距離取得部は、同じ前記投影点から、前記被写体を分解した各物体に対して、それぞれ、前記第1の距離と前記第2の距離とを取得する、
前記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(7)
前記距離取得部は、異なる前記投影点から、前記被写体を分解した各物体に対して、それぞれ、前記第1の距離と前記第2の距離とを取得する、
前記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(8)
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離、または、前記第1の点が存在しない場合に、前記第1の距離として所定の第1の距離値を取得して、
前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離、または、前記第2の点が存在しない場合に、前記第2の距離として、前記第1の距離値よりも小さい所定の第2の距離値を取得して、
前記第1の距離と前記第2の距離との大小関係に基づいて、前記被写体の領域を特定する領域判定部を備える、
情報処理装置。
(9)
前記投影点に係る複数の前記第1の距離に基づく、前記被写体の前記投影点から見た前面側の端部と、前記投影点に係る複数の前記第2の距離に基づく、前記被写体の前記投影点から見た背面側の端部とを接続する閉空間生成部を更に備える、
前記(8)に記載の情報処理装置。
(10)
前記閉空間生成部は、
三角形状に隣接する3点の前記第1の距離のうち、2点の前記第1の距離が前記被写体の前面を表して、残り1点の前記第1の距離が前記被写体の前面を表さない場合に、
前記残り1点を、前記3点に対応する前記第2の距離のうち、前記被写体の背面を表す2点のいずれか一方に代入して、
前記3点に対応する前記第2の距離のうち、前記被写体の背面を表さない1点を、前記被写体の前面を表す2点のうち、前記残り1点を代入したのとは反対側の1点に代入する、
前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記被写体を複数の投影点から見たテクスチャ情報と、当該テクスチャ情報を取得したのと同じ複数の投影点から見た前記第1の距離と、を関連付けて取得する色・距離取得部と、
前記色・距離取得部が取得した情報に基づいて、前記投影点から見た前記第1の距離に応じた第1の点の3次元位置と、前記投影点とは異なる投影点から見た前記第1の点の方向に対応する第1の距離に応じた3次元位置とが一致しない場合に、前記投影点から見た前記第1の点が、当該投影点とは異なる投影点からは見えないと判定する可視性確認部と、を更に備える、
前記(8)に記載の情報処理装置。
(12)
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得して、前記投影点の位置と、前記第1の距離と、前記第2の距離とを関連付けることによって、前記被写体の3Dモデルを生成する、
3Dモデルの生成方法。
(13)
コンピュータを、
被写体の表面の3D形状に基づいて、投影点から前記被写体に至る直線が前記被写体と接触する第1の点と前記投影点との第1の距離と、前記第1の点から前記被写体の内部に進入した前記直線が前記被写体から外部に貫通する第2の点と前記投影点との第2の距離と、を取得する距離取得部、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0196】
10a,10b…情報処理システム、11…データ取得部、12…3Dモデル生成部、13a,13b…符号化部、14…送信部、15…受信部、16a,16b…復号部、17a,17b…レンダリング部、18…表示部、40a,40b…符号化装置(情報処理装置)、50a,50b…復号装置(情報処理装置)、70(70a,70b,70c,70d,70e)…撮像装置、90…被写体、90M…3Dモデル、131…第1層デプスマップ生成部(距離取得部)、132…第2層デプスマップ生成部(距離取得部)、133…色情報パッキング部、134a,134b…タイリング処理部(色・距離取得部)、135…画像圧縮処理部、161…画像伸長処理部、162…デプス有効領域判定部(領域判定部)、163…三角形パッチ生成部(閉空間生成部)、164…色情報テクスチャ切り出し部、165…デプスマップ切り出し部、171…デプスマップ生成部、172…可視性確認部、173…描画部、C…色情報テクスチャデータ(テクスチャ情報)、D1,D2…量子化デプス値(デプス値)、Dm1,D…第1層デプスマップ、Dm2…第2層デプスマップ、d1…第1の距離、d2…第2の距離、N…有効点数、P1…第1の点、P2…第2の点、Q,Q1,Q2,Qa,Qb…投影点、R,Ra,Rb…投影面、T1,T2…タイリング画像、far…距離(第1の距離値)、near…距離(第2の距離値)