(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】医療計画支援システム、医療計画支援方法、及び、医療計画支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20241217BHJP
【FI】
G16H50/20
(21)【出願番号】P 2022553236
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2020036753
(87)【国際公開番号】W WO2022070226
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】外川 遼介
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505897(JP,A)
【文献】特開2019-047859(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0068084(US,A1)
【文献】特開2019-212034(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1947725(KR,B1)
【文献】特表2018-528552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される前記推奨医療行為を出力する出力手段と、
第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新するモデル生成手段と、
前記第2の患者に対して実施された医療行為をその類似性に基づいてグループに分類し、前記グループを前記モデル生成手段に入力する分類手段と、
を備え、
前記推定モデルは、
前記グループを単位として、前記第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルであり、
前記モデル生成手段は、
前記第2の患者の状態と、前記第2の患者に対して実施された医療行為が分類された前記グループと、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新し、
前記推定手段は、前記推奨医療行為が属する前記グループを推定する、
医療計画支援システム。
【請求項2】
前記第1の患者に関する前記患者状態情報は、前記第1の患者の生体状態の履歴と前記第1の患者に対して実施された医療行為の履歴とを含む、
請求項1に記載の医療計画支援システム。
【請求項3】
前記第1の患者及び前記第2の患者の状態は、体温、心拍数、血圧、血液の状態、尿の状態、便の状態、臓器の状態、意識の状態、痛みの状態、及び、関節の動きの状態の少なくとも一つを含む、
請求項1または請求項2に記載の医療計画支援システム。
【請求項4】
前記推奨医療行為、及び、前記第1の患者及び前記第2の患者に対して実施された医療行為は、手術、投薬治療、放射線治療、及び、リハビリ治療の少なくとも一つを含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【請求項5】
前記手術は、手術する体の部位と手術の方法とを含み、
前記投薬治療は、投薬する薬の種別と用法と投与量との少なくとも一つを含み、
前記放射線治療は、使用する放射線の種別と照射箇所と照射時間との少なくとも一つを含み、
前記リハビリ治療は、治療する体の部位とリハビリの種別との少なくとも一つを含む、
請求項4に記載の医療計画支援システム。
【請求項6】
前記推定手段は、前記第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記推定モデルとに基づいて、前記第2の患者に対して推奨される医療行為を推定し、
前記モデル生成手段は、
前記第2の患者の状態の変化が前記第2の患者の状態が改善したことを示す場合、前記第2の患者に対して推奨される医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為との違いが小さくなるように前記推定モデルを更新し、
前記第2の患者の状態の変化が前記第2の患者の状態が改善していないことを示す場合、前記第2の患者に対して推奨される医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為との違いが大きくなるように前記推定モデルを更新する、
請求項1に記載の医療計画支援システム。
【請求項7】
前記第2の患者に対して実施された複数の医療行為の組み合わせが前記第2の患者の状態に影響を与えたか否かを分析し、前記第2の患者の状態に影響を与えた前記組み合わせを前記モデル生成手段に入力する分析手段をさらに備え、
前記モデル生成手段は、前記第2の患者に対して実施された医療行為として前記組み合わせを使用し、
前記推定手段は、前記第1の患者に対して推奨される前記組み合わせを推定する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【請求項8】
前記出力手段は、前記推定手段に対して前記第1の患者に関する前記患者状態情報を入力する入力操作が行われたときに、前記推奨医療行為を表示するよう表示装置を制御する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【請求項9】
情報処理装置によって、
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得し、
取得した前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定し、
推定した前記推奨医療行為を出力し、
第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新し、
前記第2の患者に対して実施された医療行為をその類似性に基づいてグループに分類し、前記グループを前記推定モデルの生成あるいは更新において使用する方法であって、
前記推定モデルは、
前記グループを単位として、前記第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルであり、
前記第2の患者の状態と、前記第2の患者に対して実施された医療行為が分類された前記グループと、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新し、
前記推奨医療行為が属する前記グループを推定する、
医療計画支援方法。
【請求項10】
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定処理と、
前記推定処理により推定される前記推奨医療行為を出力する出力処理と、
第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新するモデル生成処理と、
前記第2の患者に対して実施された医療行為をその類似性に基づいてグループに分類し、前記グループを前記モデル生成処理に入力する分類処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記推定モデルは、
前記グループを単位として、前記第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルであり、
前記モデル生成処理は、
前記第2の患者の状態と、前記第2の患者に対して実施された医療行為が分類された前記グループと、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新し、
前記推定処理は、前記推奨医療行為が属する前記グループを推定する、
医療計画支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療計画支援システム、医療計画支援装置、医療計画支援方法、及び、医療計画支援プログラムが格納された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
急速に進展している機械学習の技術を利用することによって、医療現場をはじめとする様々な領域に従事する人々を支援することが期待されている。
【0003】
特許文献1には、複数の要素から構成される患者の診療データと、患者が入院した経験がある体調不良者または患者が入院したことがない通常者かのいずれかを特定する罹患情報とを含む医療用のデータ構造が開示されている。このデータ構造は、患者が回復患者に該当する場合において、重み付けルールにしたがって、診療データのいずれかの要素の重みを変更してテンソルデータを変更し、ターゲットコアテンソルと類似するようにコアテンソルを生成する教師有学習を実行する処理において用いられる。
【0004】
また、特許文献2には、それぞれに説明変数および目的変数を有する訓練データから、当該説明変数の組み合わせにより構成され、当該訓練データのいずれかを分類し、特定の条件を満たす仮説を列挙した仮説集合を生成する学習プログラムが開示されている。この学習プログラムは、当該訓練データそれぞれに対する、当該仮説集合に含まれる複数の仮説それぞれの成立有無に基づき、その複数の仮説それぞれの重みを算出する学習を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-101901号公報
【文献】特開2020-046888号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Lu Wang, Wenchao Yu, Wei Wang, Wei Cheng, Martin Renqiang Min, Bo Zong, Xiaofeng He, Hongyuan Zha, Wei Zhang, Haifeng Chen, "Adversarial Cooperative Imitation Learning for Dynamic Treatment Regimes", WWW ‘20, April 20-24, 2020, Taipei, Taiwan, Pages 1785-1795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療現場では、通常、ある状態の患者に対する医療行為を、個々の医師の知識や経験に基づいて決定している。このため、医療行為を決定する際の判断基準としての正確性が十分ではなく、例えば知識や経験が不十分な医師等の医療従事者によって不適切な医療行為が行われることにより、患者の状態が改善しない、あるいは悪化する場合がある。特許文献1及び2は、この問題について言及していない。
【0008】
本発明の主たる目的は、患者の状態に応じた適切な医療行為を行うように、医療従事者を支援することができる医療計画支援システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る医療計画支援システムは、第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定手段と、前記推定手段により推定される前記推奨医療行為を出力する出力手段と、を備え、前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである。
【0010】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る医療計画支援方法は、情報処理装置によって、第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得し、取得した前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定し、推定した前記推奨医療行為を出力し、前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである。
【0011】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る医療計画支援プログラムは、第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得処理と、前記取得処理により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定処理と、前記推定処理により推定される前記推奨医療行為を出力する出力処理と、をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである。
【0012】
更に、本発明は、係る医療計画支援プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、患者の状態に応じた適切な医療行為を行うように、医療従事者を支援することができる医療計画支援システム等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る医療計画支援システム10の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る患者状態情報101を例示する図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る医療行為情報102を例示する図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る状態変化情報103を例示する図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る医療計画支援システム10が推定モデル140を生成する(機械学習を行う)動作(処理)を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る出力部16が、治療中の患者に関する患者状態情報101及び医療行為情報102、及び、推定された推奨医療行為104を表示画面200に表示する態様を例示する図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る医療計画支援システム10が推奨医療行為104を推定する動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る医療計画支援システム40の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る医療計画支援システム10あるいは第2の実施形態に係る医療計画支援システム30を実現可能な情報処理システム900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
後述する実施形態を一例とするシステムは、ある入力情報から目的の事象を推定する場合において、機械学習(例えば、深層学習)によって生成した学習済モデル(推定モデルとも称する)を用いる。また、当該システムは、非特許文献1に示すACIL(Adversarial Cooperative Imitation Learning:敵対的協調模倣学習)、及び、SAiL(Skill Acquisition Learning:スキル獲得学習)という既存の機械学習の技術を利用してもよい。
【0016】
ACILは、過去の成功事例を入力し、成功事例における行動を模倣することを実現する技術であるAIL(Adversarial Imitation Learning:敵対的模倣学習)を応用し、失敗事例も入力することによって失敗を回避することを実現する技術である。そして、SAiLは、複数の行動模倣器を備え、行動模倣器を状況に合わせて選択することによって、熟練者の行動を精度よく模倣(学習)することを実現する技術である。尚、後述する実施形態では、これらの技術の詳細な説明を省略する。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る医療計画支援システム10の構成を示すブロック図である。医療計画支援システム10は、患者の状態に応じた適切な医療行為を決定できるように、医療従事者を支援するシステムである。但し、医療従事者は、医療行為を行う医師、及び、医師の指示に従って医師をサポートする看護師や理学療法士、作業療法士、放射線技師等を含む。
【0019】
医療計画支援システム10は、患者の状態が改善した成功事例あるいは患者の状態が改善しなかった失敗事例としてラベル付けされた、過去に行われた様々な治療事例について、患者の状態及びその患者に対して行われた医療行為に関する情報を用いて、学習済モデル(推定モデルとも称する)を生成する。医療計画支援システム10は、当該学習済モデルを用いて、治療中の患者の状態に応じて、その患者に対して行うことが推奨される医療行為を推定する。医療計画支援システム10は、少なくとも1つ以上の情報処理装置によって構成される。
【0020】
医療計画支援システム10には、管理端末装置20(表示装置とも称する)、及び、医療機器30が通信可能に接続されている。管理端末装置20は、医療計画支援システム10を使用する医療従事者が、医療計画支援システム10に対して情報を入力したり、医療計画支援システム10から出力された情報を確認したりする際に使用する、例えばパーソナルコンピュータ、その他の情報処理装置である。管理端末装置20は、医療計画支援システム10から出力された情報を表示する表示画面200を備えている。
【0021】
医療機器30は、例えば、体温や血圧等の患者の状態を測定する機器、あるいは、患者に投薬する医薬品の量を調整可能な機器などである。医療計画支援システム10は、医療機器30から患者の状態を表すデータを収集することが可能である。医療計画支援システム10は、あるいは、医師が医療機器30を使用した医療行為を行う際に、医療機器30の動作を制御することが可能である。
【0022】
医療計画支援システム10は、取得部11、分類部12、分析部13、モデル生成部14、推定部15、及び、出力部16を備えている。取得部11、分類部12、分析部13、モデル生成部14、推定部15、及び、出力部16は、順に、取得手段、分類手段、分析手段、モデル生成手段、推定手段、及び、出力手段の一例である。
【0023】
次に、本実施形態に係る医療計画支援システム10が、治療中の患者(以下、「対象患者」ともいう)に対して行うことが推奨される医療行為である推奨医療行為104を推定するための推定モデル140を生成あるいは更新(再学習)する動作について説明する。その後に、その推定モデル140を用いて当該患者に対する推奨医療行為104を推定する動作について説明する。
【0024】
<推定モデル140を生成(及び更新又は再学習)する動作>
まず、本実施形態に係る医療計画支援システム10が、治療のための情報を取得してから治療中の患者に対して行うことが推奨される医療行為を推定するための推定モデル140を生成あるいは更新するまでの動作について説明する。
【0025】
取得部11は、学習対象とする過去の治療事例に関する、患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を、ネットワークを介してコンピュータ装置あるいはデータベース(図示せず)から取得する。取得部11は、例えば定期的に、患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を取得してもよい。取得部11は、例えば、医療従事者が管理端末装置20を介して入力した指示に応じて、患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を取得してもよい。
【0026】
取得部11は、例えば、患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を送信する1つまたは複数のコンピュータ装置あるいはデータベースに接続する通信回路と、当該通信回路によって取得された情報を格納する記憶デバイスとを備える。記憶デバイスは、後述される
図9に示す情報処理システム900のハードディスク904あるいはRAM903でもよい。
【0027】
患者状態情報101は、患者ごとの状態の履歴を表す情報である。但し、患者の状態は、例えば、体温、心拍数、血圧、血中酸素濃度や血中に含まれる物質の量や濃度などの血液の状態、尿の色やにおいや含有物質などの尿の状態、便の状態、等である。患者の状態は、あるいは例えば、医師が患者を診断する際に得られた、意識レベルなどの意識の状態、痛みの有無や痛みの程度などの痛みの状態、関節の可動域などの関節の動きの状態、等である。患者の状態は、あるいは例えば、レントゲン等の医療機器によって得られた画像から医師が評価した臓器の状態等である。尚、患者状態情報は、当該患者の健康状態又は生体状態に関する情報であれば、上記のものに限定されない。
【0028】
上述した患者状態情報は、健康診断などの所定の検査において取得されたものでもよいし、診療や診断の際に取得されるものでもよいし、ウェアラブルデバイスにより取得されるものでもよい。
【0029】
図2は、本実施形態に係る患者状態情報101のデータを例示する図である。患者状態情報101は、患者A、患者Bといった患者ごとに、患者の状態の履歴(推移)を表す。
図2に例示する患者状態情報101は、患者の状態として、体温、心拍数、血圧、血糖値等を表すが、患者状態情報101が表す患者の状態は、これらに限定されない。
【0030】
また、
図2に例示する患者状態情報101は、患者の状態を具体的な数値で表しているが、患者状態情報101は、例えば、各項目に関して正常値か異常値かを表すことによって、患者の状態を表すようにしてもよい。
【0031】
医療行為情報102は、各患者に対して行われた医療行為の履歴を表す情報である。例えば、医療行為は、手術、投薬治療、放射線治療、リハビリ治療等である。医療行為情報102は、例えば手術の場合、手術した体の部位、及び、手術の方法等を表す。手術の方法は、例えば、開腹手術、カテーテル手術等である。医療行為情報102は、例えば投薬治療の場合、投薬する薬の種別(名称等)、用法、投与量等を表す。医療行為情報102は、例えば放射線治療の場合、X線、γ線、電子線等の使用する放射線の種別と、照射箇所と、照射時間等とを表す。医療行為情報102は、例えばリハビリ治療の場合、治療した体の部位、及び、リハビリの具体的な種別等を表す。
【0032】
図3は、本実施形態に係る医療行為情報102を例示する図である。医療行為情報102は、患者A、患者Bといった患者ごとに、行われた医療行為の履歴を表す。
図3に例示する医療行為情報102は、患者Aに対して継続的な投薬治療が行われていることを表している。
【0033】
状態変化情報103は、各患者の状態の変化の履歴を表す情報である。状態の変化とは、例えば、患者の状態が改善したのかあるいは悪化したのか、即ち、治療が成功したのかあるいは失敗したのかを表す。そして、患者の状態が改善したのかあるいは悪化したのかは、所定のKPI(Key Performance Indicator)を用いて定義された判定基準に基づいて、判定することができる。また、改善したか悪化したかだけでなく、KPIが所定の値以上改善も悪化もしていない場合には、「現状維持」など患者の状態が変わらないことを示すようにしてもよい。
【0034】
KPIとしては、上述した患者の状態を表す様々な指標(例えば、体温、血圧、血糖値等)が使用可能である。そして当該判定基準は、例えば、これらの指標が所定の基準値以上に上昇した場合、状態が悪化したことを示し、これらの指標が所定の基準値以下に低下した場合、状態が改善したことを示すようにすればよい。
【0035】
図4は、本実施形態に係る状態変化情報103を例示する図である。状態変化情報103は、患者A、患者Bといった患者ごとに、状態の改善あるいは悪化の履歴を表す。
図4に例示する状態変化情報103によれば、患者Aは、2020年8月24日の11時に発熱し、状態が悪化している。このため、
図3に例示する医療行為情報102が示す通り、2020年8月24日の11時10分に、患者Aに対して、医薬品Zを2単位投与する医療行為が行われている。この結果、
図2に例示する患者状態情報101、及び、
図4に例示する状態変化情報103が示す通り、患者Aの体温は、2020年8月24日の19時に平熱まで低下し、状態が改善している。
図2乃至
図4に例示する上述した例は、患者Aに対して行われた、医薬品Zを2単位投与する治療が成功したことを示している。
【0036】
尚、取得部11は、状態変化情報103を外部から取得せずに、患者状態情報101から生成するようにしてもよい。取得部11は、患者状態情報101が示す患者の状態の履歴から、患者の状態の変化を求めることができる。そして取得部11は、事前に与えられた、上述した所定のKPIを用いて定義された判定基準に基づいて、患者の状態が改善したのかあるいは悪化したのかを判定すればよい。
【0037】
取得部11は、上述の通りに取得した、患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を、図示しない記憶デバイス(例えばメモリやハードディスク等)に格納する。
【0038】
モデル生成部14は、取得部11によって取得された患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を教師データとして、機械学習によって、後述する推定部15が推奨医療行為104を推定する際に用いる推定モデル140(学習済モデル)を生成する。推定モデル140は、過去の患者の状態及びその過去の患者に対する実施医療行為と、当該実施医療行為による当該過去の患者の状態の変化との関係を学習することにより、生成される。例えば、モデル生成部14は、上述した機械学習の技術であるACIL及びSAiLによって、推定モデル140を生成あるいは更新する。モデル生成部14は、プロセッサによって、上述した教師データを用いる推定モデル140を生成あるいは更新する機械学習を行う。
【0039】
患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103によって表される学習対象とする治療事例は、状態変化情報103によって示される、患者の状態が悪化したのか改善したのかの判定結果によって、成功事例あるいは失敗事例としてラベル付けされている。上述した、発熱した患者Aに対して医薬品Zを2単位投与した治療事例は、
図2乃至
図4に示す通り、成功事例である。
【0040】
尚、例えば、ある医療行為の後、長い時間が経過してから患者の状態が変化(改善あるいは悪化)したような治療事例では、医療行為と患者の状態との因果関係の見極めが難しい。このような治療事例に関しては、例えば、専門家によって長期的な視点で成功事例か失敗事例かが判定された実証済みの研究データを、教師データとして用いることができる。
【0041】
モデル生成部14は、推定モデル140を生成あるいは更新する際に、教師データに関して後述する推定部15が過去の患者に対して推奨される医療行為を推定した結果を用いることができる。
【0042】
例えば、上述した
図2及び
図3に示す例では、推定部15は、医薬品Xと医薬品Yとにより投薬治療が行われている患者が発熱したときにその患者に対して推奨される医療行為を推定する。尚、この場合、上述した通り、医薬品Zを2単位投与することによって患者の状態が改善したという実績があるが、推定部15は、この実績を参照せずに、推奨される医療行為を推定する。
【0043】
モデル生成部14は、状態変化情報103に基づいて、教師データが成功事例を示すのか、あるいは失敗事例を示すのかを判定する。モデル生成部14は、教師データが成功事例を示す場合、推定部15による推奨される医療行為の推定結果が、医療行為情報102が示す実際に行われた医療行為により近くなる(類似する)ように、推定モデル140を生成あるいは更新する。
【0044】
例えば、成功事例を示す当該教師データに対して、推定部15が、推奨される医療行為として、医薬品Zを1単位投与することを推定したとする。この場合、モデル生成部14は、推定部15が実際に行われた医薬品Zを2単位投与することを推奨される医療行為として推定できるように、推定モデル140を生成あるいは更新する。即ち、モデル生成部14は、推定部15が、成功事例において行われた医療行為により近い(類似する)医療行為を推定できるように、推定モデル140を生成あるいは更新する。
【0045】
また、モデル生成部14は、教師データが上述した例とは逆に失敗事例を示す場合、推定部15による推奨される医療行為の推定結果が、医療行為情報102が示す実際に行われた医療行為からより遠くなる(異なる)ように、推定モデル140を生成あるいは更新する。
【0046】
例えば、
図2乃至
図4に例示する医薬品X及び医薬品Yにより投薬治療が行われている患者が発熱した場合において、当該患者に医薬品Zを2単位投与したものの、当該患者の状態が改善しなかったこととする。即ち、この場合の教師データは、失敗事例を示している。
【0047】
このような失敗事例を示す当該教師データに対して、推定部15が、例えば、推奨される医療行為として、医薬品Zを1単位投与することを推定したとする。この場合、モデル生成部14は、このような実際に行われた医薬品Zを2単位投与することに類似する医療行為を、推奨される医療行為として推定しないように、推定モデル140を生成あるいは更新する。即ち、モデル生成部14は、推定部15が、例えば、医薬品Zとは異なる医薬品を投与する医療行為を推奨される医療行為として推定するように、推定モデル140を生成あるいは更新する。
【0048】
モデル生成部14は、上述の通りに生成あるいは更新した推定モデル140を、図示しない不揮発性の記憶デバイスに格納する。モデル生成部14は、例えば所定時間ごとに、推定モデル140を更新(再学習ともいう)することにより、推定精度を漸次向上することができる。
【0049】
図1に示す分類部12は、取得部11によって取得された医療行為情報102が示す医療行為を、その類似性に基づいてグループに分類し、そのグループの内容をモデル生成部14に入力する。但し、分類部12には、例えば医療従事者等によって、分類するための基準が事前に与えられていることとする。分類部12は、例えば、グループを識別可能な識別子をモデル生成部14に入力してもよい。
【0050】
分類部12は、例えば、第1の医薬品を使用した医療行為と、その第1の薬と効果が同等であって名称等の種別が異なる第2の医薬品を用いた医療行為とを、同一のグループに分類する。より具体的には、第1の医薬品は先発医薬品であり、第2の医薬品は後発医薬品(ジェネリック医薬品)である。
【0051】
分類部12は、このような投薬治療の他、手術、放射線治療、リハビリ治療等の医療行為に関しても、その類似性に基づいてグループに分類すればよい。
【0052】
分類部12は、また、医療行為を、その類似性に基づく階層構造を有するグループに分類してもよい。例えば、分類部12は、がん患者に対して行われる医療行為を、手術、投薬治療、放射線治療という粒度の大きなグループに分類する。そして、分類部12は、例えば、手術の方式、使用する医薬品の種別、使用する放射線の種別等に基づいて、医療行為を、大きなグループに属する粒度のより小さなグループに分類する。
【0053】
モデル生成部14は、分類部12から上述したグループを入力された場合、医療行為として、グループを用いて、推定モデル140を生成あるいは更新する。この場合、推定部15は、医療行為のグループを用いて生成された推定モデル140に基づいて、医療行為のグループを推奨される医療行為として推定する。
【0054】
図1に示す分析部13は、取得部11によって取得された患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103において、複数の医療行為の組み合わせが患者の状態に影響を与えたことを示すか否かを分析する。分析部13は、例えば、患者に対して、同等のタイミングに複数の医療行為を行い、その結果として、患者の状態が改善あるいは悪化したことが認められる場合、それらの医療行為の組み合わせが患者の状態に影響を与えたと判定する。分析部13には、複数の医療行為の組み合わせが患者の状態に影響を与えたことを示すと判定するための基準が、例えば医療従事者等によって、事前に与えられていることとする。
【0055】
複数の医療行為の組み合わせとは、例えば、複数の医薬品の組み合わせによる投薬治療である。複数の医療行為の組み合わせは、あるいは例えば、手術、投薬治療、放射線治療、リハビリ治療のうちの2つ以上の医療行為の組み合わせであってもよい。
【0056】
分析部13は、上述の分析の結果、ある医療行為の組み合わせが、患者の状態に影響を与えたことが判明した場合、その組み合わせをモデル生成部14に入力する。組み合わせは、組み合わされる医療行為に関するデータである。
【0057】
モデル生成部14は、分析部13から上述した組み合わせを入力された場合、医療行為として、組み合わせを用いて、推定モデル140を生成あるいは更新する。この場合、推定部15は、医療行為の組み合わせを用いて生成された推定モデル140に基づいて、医療行為の組み合わせを推奨される医療行為として推定する。
【0058】
次に
図5のフローチャートを参照して、本実施形態に係る医療計画支援システム10が推定モデル140を生成する(機械学習を行う)動作(処理)について詳細に説明する。
【0059】
取得部11は、過去に治療した患者に関する患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103を取得する(ステップS101)。推定部15は、取得部11によって取得された当該患者に関する患者状態情報101、医療行為情報102、及び、推定モデル140に基づいて、当該患者に対して推奨される医療行為を推定する(ステップS102)。
【0060】
モデル生成部14は、状態変化情報103が、当該患者の状態が改善したことを示すか否か(即ち、入力された治療事例が成功事例であるのか失敗事例であるのか)を確認する(ステップS103)。
【0061】
状態変化情報103が、当該患者の状態が改善している(即ち、入力された治療事例が成功事例である)ことを示す場合(ステップS104でYes)、処理はステップS105に進む。モデル生成部14は、当該患者に対して推奨される医療行為の推定結果と、医療行為情報102が示す実施医療行為との差分がより小さくなるように、推定モデル140を生成あるいは更新し(ステップS105)、全体の処理は終了する。
【0062】
状態変化情報103が、当該患者の状態が改善していない(即ち、入力された治療事例が失敗事例である)ことを示す場合(ステップS104でYes)、処理はステップS106に進む。モデル生成部14は、当該患者に対して推奨される医療行為の推定結果と、医療行為情報102が示す実施医療行為との差分がより大きくなるように、推定モデル140を生成あるいは更新し(ステップS106)、全体の処理は終了する。
【0063】
<治療中の患者に対して行うことが推奨される医療行為を推定する動作>
次に、本実施形態に係る医療計画支援システム10が、生成あるいは更新した推定モデル140を用いて、治療中の患者に対して行うことが推奨される医療行為を推定する動作について説明する。
【0064】
取得部11は、医療計画支援システム10が推定モデル140を生成するときと同様に、患者状態情報101、及び、医療行為情報102を、外部の装置(図示せず)から取得する。但し、取得部11は、これらの情報を、上述した教師データとして取得するのではなく、治療中の患者(第1の患者とも称する)に対して行うことが推奨される医療行為に関する推定対象のデータとして取得する。
【0065】
そして上述の通り、過去に治療した患者(第2の患者とも称する)に関する、患者状態情報101、医療行為情報102、及び、状態変化情報103に基づいて推定モデル140が生成されていることとする。この場合、取得部11は、例えば医師等の医療従事者が管理端末装置20を介して入力した、治療中の患者に関する患者状態情報101及び医療行為情報102を取得する。治療中の患者に関する患者状態情報101、及び、医療行為情報102の態様は、
図2及び
図3に示す、推定モデル140の生成に用いた患者状態情報101、及び、医療行為情報102と同様である。
【0066】
図6は、本実施形態に係る出力部16が、治療中の患者に関する患者状態情報101及び医療行為情報102、及び、推定部15によって推定された推奨医療行為104を表示画面200に表示する態様を例示する図である。
【0067】
図6に例示する表示画面200は、医療従事者のうちの医師が、管理端末装置20を介して医療計画支援システム10に自分のID(Identification)でログインしたのちに、出力部16によって表示される。出力部16は、複数の患者の中からいずれかの患者を選択する図示しない画面において、医師が患者Aを選択した入力操作に応じて、
図6に例示する表示画面200を表示する。
【0068】
出力部16は、対象患者に関する患者状態情報101と、医療行為情報102と、状態変化情報103との少なくとも一つを出力する。
【0069】
例えば、出力部16は、表示制御部として、
図6に例示する通り、患者Aに関する、患者状態情報101と、医療行為情報102とを、表示画面200に表示する。患者状態情報101及び医療行為情報102は、
図6に例示する表示画面200において、医師による入力操作によって入力された情報の他、医療機器30から収集した情報、あるいは、看護師等の医療従事者が管理端末装置20を介して別途入力した情報等を含んでもよい。
【0070】
図6に例示する表示画面200において、医師によって入力された治療中の患者Aに関する患者状態情報101及び医療行為情報102は、医療計画支援システム10によって、患者状態情報101及び医療行為情報102を管理するコンピュータ装置あるいはデータベースに格納される。
【0071】
推定部15は、取得部11によって取得された、治療中の患者に関する患者状態情報101及び医療行為情報102と、推定モデル140とに基づいて、治療中の患者に対して行うことが推奨される医療行為である推奨医療行為104を推定する。また、推定部15は、教師データとして入力された患者状態情報101及び医療行為情報102と、推定モデル140とに基づいて、推奨される医療行為を推定する機能を有する 。
【0072】
推定部15は、推定モデル140が分類部12の上述した動作によって医療行為のグループを用いて生成されている場合、医療行為のグループを推奨医療行為104として推定する場合がある。
【0073】
推定部15は、推定モデル140が分析部13の上述した動作によって医療行為の組み合わせを用いて生成されている場合、医療行為の組み合わせを推奨医療行為104として推定する場合がある。例えば、医療行為の組み合わせを推奨医療行為104は、「カテーテル手術を行い、その後医薬品Xを1週間一日朝晩の2回点滴投与する」など、複数の医療行為を含む一連の医療行為である。
【0074】
推定部15は、推定した推奨医療行為104を、出力部16へ出力する。推定部15は、この際、推奨医療行為104を推定した理由もあわせて、出力部16へ出力してもよい。推定部15は、深層学習におけるアテンション技術を備えることによって、推定理由を出力することができる。
【0075】
出力部16は、推定部15により推定される推奨医療行為を出力する。例えば、出力部16は、表示制御部として、推定部15から入力された推奨医療行為104を、管理端末装置20における表示画面200に表示する。すなわち、出力部16は、管理端末装置20の表示画面200に、推奨医療行為104を表示するよう、管理端末装置20を制御する。出力部16は、表示画面200において、医師が患者Aに関する患者状態情報101及び医療行為情報102を入力する入力操作を完了したタイミングで、その入力操作に対するフィードバックとして、推奨医療行為104を表示画面200に表示するようにしてもよい。
【0076】
図6に示す例では、推定部15は、医薬品X及び医薬品Yによる投薬治療が行われている患者Aに対して、「9時に医薬品X、医薬品Yを各1単位、20時に医薬品Xを1単位投与することを継続」することを示す推奨医療行為104を推定している。推定部15は、あるいは例えば、リハビリ治療が行われている患者Bに対して、「下部体幹を安定させ足関節の背屈の可動域を高めるリハビリ治療を行う」というような推奨医療行為104を推定する。
【0077】
また、出力部16は、
図6に例示する通り、表示画面200に表示された推奨医療行為104を承認するか否かを示す医師による入力操作を促すために、表示画面200に「承認」ボタンを表示する。
【0078】
出力部16は、例えば、医師によって当該「承認」ボタンがマウス操作やタッチ操作により選択された場合、医師が表示画面200に表示されている推奨医療行為104を行う際に使用する医療機器30の制御情報を生成し、生成した当該制御情報を医療機器30に送信する。
【0079】
次に
図7のフローチャートを参照して、本実施形態に係る医療計画支援システム10が推奨医療行為104を推定する動作(処理)について詳細に説明する。
【0080】
治療中の患者に関する患者状態情報101及び医療行為情報102が、管理端末装置20を介して入力される(ステップS201)。推定部15は、入力された患者状態情報101及び医療行為情報102と、推定モデル140とに基づいて、当該患者に対する推奨医療行為104を推定する(ステップS202)。
【0081】
出力部16は、推定部15によって推定された推奨医療行為104を表示画面200に表示するとともに、推奨医療行為104を承認するか否かを示す医師による入力操作を促す情報を表示画面200に表示する(ステップS203)。
【0082】
表示画面200において、医師により、推奨医療行為104を承認する入力操作が行われない場合(ステップS204でNo)、全体の処理は終了する。表示画面200において、医師により、推奨医療行為104を承認する入力操作が行われた場合(ステップS204でYes)、出力部16は、推奨医療行為104を行う医療機器30の制御情報を生成し、生成した当該制御情報を医療機器30に出力し、全体の処理は終了する。
【0083】
本実施形態に係る医療計画支援システム10は、患者の状態に応じた適切な医療行為を行うように、医療従事者を支援することができる。その理由は、医療計画支援システム10は、現在治療中の患者の状態と、過去の治療事例から生成した推定モデル140とに基づいて、現在治療中の患者に対して推奨される医療行為を推定するからである。
【0084】
以下に、本実施形態に係る医療計画支援システム10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0085】
医療現場では、通常、ある状態の患者に対する医療行為を、個々の医師の知識や経験に基づいて決定している。このため、医療行為を決定する際の判断基準としての正確性が十分ではなく、例えば知識や経験が不十分な医師等の医療従事者によって不適切な医療行為が行われることにより、患者の状態が改善しない、あるいは悪化する場合がある。
【0086】
このような問題に対して、本実施形態に係る医療計画支援システム10は、取得部11と、推定モデル140と、推定部15と、出力部16とを備え、例えば
図1乃至
図7を参照して上述した通り動作する。即ち、取得部11は、治療中の患者(第1の患者)の状態に関する患者状態情報101を取得する。推定モデル140は、過去の患者(第2の患者)の状態及びその過去の患者に対して実施された医療行為と、当該実施医療行為による当該過去の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである。そして推定部15は、治療中の患者の状態に関する患者状態情報101と推定モデル140とに基づいて、治療中の患者に対して推奨される推奨医療行為104を推定する。これにより医療計画支援システム10は、例えば知識や経験が不十分な医師等の医療従事者が、不適切な医療行為を行わないように、患者の治療を好適に支援することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る医療計画支援システム10は、過去の患者に関する患者状態情報101と医療行為情報102と状態変化情報103とに基づいて、推定モデル140を生成あるいは更新するモデル生成部14を備える。医療計画支援システム10は、推定モデル140を生成あるいは更新する過程において、推定部15により、過去の患者に関する患者状態情報101及び医療行為情報102と、推定モデル140とに基づいて、当該過去の患者に対して推奨される医療行為を推定する。そしてモデル生成部14は、治療の成功事例において実際に行われた医療行為と推定部15により推定された医療行為との差分がより小さくなるように、推定モデル140を更新する。モデル生成部14は、あるいは、治療の失敗事例において実際に行われた医療行為と推定部15により推定された医療行為との差分がより大きくなるように、推定モデル140を更新する。即ち、医療計画支援システム10は、治療の成功事例と失敗事例との両方を教師データとして使用することによって推定モデル140を更新するので、精度が高い推定を実現する推定モデル140を、短期間で構築することができる。
【0088】
また、推奨する医療行為を推定モデル140を用いて推定する場合において、次のような課題がある。例えば、先発医薬品と後発医薬品のような、効果は同等であるが種別(名称等)が異なる医薬品があるように、効果が同等である(即ち類似する)複数の医療行為がある。このような複数の医療行為を別々のものとして扱った場合、個々の医療行為に関するサンプル数が少なくなるので、教師データとしての精度が低下する要因となる。このような問題に対して、本実施形態に係る医療計画支援システム10は、医療行為をその類似性に基づいてグループに分類し、そのグループをモデル生成部14に入力する分類部12を備え、推定モデル140の生成及び推奨医療行為104の推定において、グループを単位とした処理を行う。これにより、医療計画支援システム10は、上述した教師データとしての精度が低下するという問題を解決することができる。
【0089】
また、推奨する医療行為を推定モデル140を用いて推定する場合において、次のような別の課題がある。例えばリハビリ治療などでは、複数の医療行為(施術)を組み合わせて実施することによって治療の効果が得られる場合がある。あるいは、複数の医薬品の組み合わせによって、副作用が生じることがある。したがって、単体の医療行為のみに着目した場合、上述した複数の医療行為の組み合わせによる影響を捉えることができず、教師データとしての精度が低下する要因となる。このような問題に対して、本実施形態に係る医療計画支援システム10は、複数の医療行為の組み合わせが患者の状態に影響を与えたか否かを分析し、患者の状態に影響を与えた組み合わせをモデル生成部14に入力する分析部13を備え、推定モデル140の生成及び推奨医療行為104の推定において、その組み合わせを単位とした処理を行う。これにより、医療計画支援システム10は、上述した教師データとしての精度が低下するという問題を解決することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る医療計画支援システム10は、表示画面200において治療中の患者の状態や行った医療行為を入力する入力操作が行われたときに、そのフィードバックとして推奨医療行為104を表示する。これにより、医療計画支援システム10は、医師等の医療従事者の作業効率を向上することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る医療計画支援システム10は、表示画面200に推奨医療行為104を承認するか否かを示す医師による入力操作を促す「承認」ボタンを、表示画面200に表示する。そして医療計画支援システム10は、医師によって推奨医療行為104が承認された場合、推奨医療行為104を行う医療機器30の制御情報を生成し、当該制御情報を医療機器30に出力する。これにより、医療計画支援システム10は、医師によって承認されていない不適切な医療行為が誤って行われることを回避することができる。
【0092】
<第2の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係る医療計画支援システム40の構成を示すブロック図である。医療計画支援システム40は、取得部41、推定モデル43を使用する推定部42、及び、出力部44を備えている。但し、取得部41、推定部42、出力部44は、順に、取得手段、推定手段、出力手段の一例である。
【0093】
取得部41は、第1の患者の状態に関する患者状態情報400を取得する。取得部41は、例えば、第1の実施形態に係る取得部11と同様に動作する。第1の患者は、例えば、第1の実施形態と同様に、現在治療中の患者(すなわち、対象患者)である。
【0094】
推定モデル43は、第2の患者の状態431及び第2の患者に対して実施された医療行為432と、第2の患者に対して実施された医療行為432による第2の患者の状態の変化433との関係を学習し、生成されるモデルである。第2の患者は、例えば、第1の実施形態と同様に、過去の患者である。推定モデル43は、例えば第1の実施形態に係る推定モデル140と同様に、第2の患者の状態431及び第2の患者に対して実施された医療行為432と、第2の患者に対して実施された医療行為432による第2の患者の状態の変化433との関係について機械学習を行った結果を表す学習済モデルである。
【0095】
第2の患者の状態431は、例えば、第1の実施形態において
図2を参照して説明した患者状態情報101と同様な情報であればよい。第2の患者に対して実施された医療行為432は、例えば、第1の実施形態において
図3を参照して説明した医療行為情報102と同様な情報であればよい。第2の患者の状態の変化433は、例えば、第1の実施形態において
図4を参照して説明した状態変化情報103と同様な情報であればよい。
【0096】
推定部42は、取得部41によって取得された患者状態情報400と推定モデル43とに基づいて、第1の患者に対して推奨される推奨医療行為420を推定する。推定部42は、より詳細には、例えば第1の実施形態に係る推定部15と同様に動作することによって、推奨医療行為420を推定する。
【0097】
出力部44は、推定部42により推定された推奨医療行為420を出力する。出力部44は、例えば第1の実施形態に係る出力部16と同様に動作する。
【0098】
本実施形態に係る医療計画支援システム40は、患者の状態に応じた適切な医療行為を行うように、医療従事者を支援することができる。その理由は、医療計画支援システム40は、現在治療中の患者の状態と、過去の治療事例から生成した推定モデル43とに基づいて、現在治療中の患者に対して推奨される医療行為を推定するからである。
【0099】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において
図1に示した医療計画支援システム10、あるいは、
図8に示した医療計画支援システム40における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、
図1及び
図8において、少なくとも、下記構成は、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・取得部11及び41、
・分類部12、
・分析部13、
・モデル生成部14、
・推定部15及び42、
・出力部16及び44。
【0100】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、
図9を参照して説明する。
【0101】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る医療計画支援システム10あるいは第2の実施形態に係る医療計画支援システム40を実現可能な情報処理システム900(コンピュータシステム)の構成を例示的に説明する図である。即ち、
図9は、
図1及び
図8に示した医療計画支援システム10及び40を実現可能な少なくとも1つのコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。
【0102】
図9に示した情報処理システム900は、構成要素として下記を備えているが、下記のうちの一部の構成要素を備えない場合もある。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・外部装置との通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0103】
即ち、上記構成要素を備える情報処理システム900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理システム900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理システム900は、CPU901に加えてGPU(Graphical_Processing_Unit)(不図示)を備えてもよい。
【0104】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、
図9に示した情報処理システム900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1及び
図8)における上述した構成、或いはフローチャート(
図5及び
図7)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0105】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0106】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0107】
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
【0108】
(付記1)
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される前記推奨医療行為を出力する出力手段と、
を備え、
前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである、
医療計画支援システム。
【0109】
(付記2)
前記第1の患者に関する前記患者状態情報は、前記第1の患者の生体状態の履歴と前記第1の患者に対して実施された医療行為の履歴とを含む、
付記1に記載の医療計画支援システム。
【0110】
(付記3)
前記第1及び第2の患者の状態は、体温、心拍数、血圧、血液の状態、尿の状態、便の状態、臓器の状態、意識の状態、痛みの状態、及び、関節の動きの状態の少なくとも一つを含む、
付記1または付記2に記載の医療計画支援システム。
【0111】
(付記4)
前記推奨医療行為、及び、前記第1及び第2の患者に対して実施された医療行為は、手術、投薬治療、放射線治療、及び、リハビリ治療の少なくとも一つを含む、
付記1乃至付記3のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【0112】
(付記5)
前記手術は、手術する体の部位と手術の方法とを含み、
前記投薬治療は、投薬する薬の種別と用法と投与量との少なくとも一つを含み、
前記放射線治療は、使用する放射線の種別と照射箇所と照射時間との少なくとも一つを含み、
前記リハビリ治療は、治療する体の部位とリハビリの種別との少なくとも一つを含む、
付記4に記載の医療計画支援システム。
【0113】
(付記6)
前記第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新するモデル生成手段をさらに備える、
付記1乃至付記5のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【0114】
(付記7)
前記推定手段は、前記第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記推定モデルとに基づいて、前記第2の患者に対して推奨される医療行為を推定し、
前記モデル生成手段は、
前記第2の患者の状態の変化が前記第2の患者の状態が改善したことを示す場合、前記第2の患者に対して推奨される医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為との違いが小さくなるように前記推定モデルを更新し、
前記第2の患者の状態の変化が前記第2の患者の状態が改善していないことを示す場合、前記第2の患者に対して推奨される医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為との違いが大きくなるように前記推定モデルを更新する、
付記6に記載の医療計画支援システム。
【0115】
(付記8)
前記第2の患者に対して実施された医療行為をその類似性に基づいてグループに分類し、前記グループを前記モデル生成手段に入力する分類手段をさらに備え、
前記モデル生成手段は、前記グループと、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化と、に基づいて、前記推定モデルを生成あるいは更新し、
前記推定手段は、前記推奨医療行為が属する前記グループを推定する、
付記6または付記7に記載の医療計画支援システム。
【0116】
(付記9)
前記分類手段は、前記第2の患者に対して実施された医療行為を、前記類似性に基づく階層構造を有する前記グループに分類する、
付記8に記載の医療計画支援システム。
【0117】
(付記10)
前記分類手段は、第1の薬を使用した第1の前記医療行為と、前記第1の薬と効果が同等であって種別が異なる第2の薬を使用した第2の前記医療行為とを、同一の前記グループに分類する、
付記8または付記9に記載の医療計画支援システム。
【0118】
(付記11)
前記第1の薬は先発医薬品であり、前記第2の薬は前記第1の薬の後発医薬品である、
付記10に記載の医療計画支援システム。
【0119】
(付記12)
前記第2の患者に対して実施された複数の医療行為の組み合わせが前記第2の患者の状態に影響を与えたか否かを分析し、前記第2の患者の状態に影響を与えた前記組み合わせを前記モデル生成手段に入力する分析手段をさらに備え、
前記モデル生成手段は、前記第2の患者に対して実施された医療行為として前記組み合わせを使用し、
前記推定手段は、前記第1の患者に対して推奨される前記組み合わせを推定する、
付記6乃至付記11のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【0120】
(付記13)
前記出力手段は、前記推定手段に対して前記第1の患者に関する前記患者状態情報を入力する入力操作が行われたときに、前記推奨医療行為を表示するよう表示装置を制御する、
付記1乃至付記12のいずれか一項に記載の医療計画支援システム。
【0121】
(付記14)
前記出力手段は、前記推奨医療行為を承認するか否かを示す医師による入力操作を促す情報を表示するよう前記表示装置を制御する、
付記13に記載の医療計画支援システム。
【0122】
(付記15)
前記出力手段は、前記医師による入力操作が前記推奨医療行為を承認することを示す場合、前記推奨医療行為を行う医療機器の制御情報を生成し、生成した前記制御情報を前記医療機器に出力する、
付記14に記載の医療計画支援システム。
【0123】
(付記16)
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される前記推奨医療行為を出力する出力手段と、
を備え、
前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである、
医療計画支援装置。
【0124】
(付記17)
情報処理装置によって、
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得し、
取得した前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定し、
推定した前記推奨医療行為を出力し、
前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである、
医療計画支援方法。
【0125】
(付記18)
第1の患者の状態に関する患者状態情報を取得する取得処理と、
前記取得処理により取得される前記患者状態情報と推定モデルとに基づいて、前記第1の患者に対して推奨される推奨医療行為を推定する推定処理と、
前記推定処理により推定される前記推奨医療行為を出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記推定モデルは、第2の患者の状態及び前記第2の患者に対して実施された医療行為と、前記第2の患者に対して実施された医療行為による前記第2の患者の状態の変化との関係を学習したモデルである、
医療計画支援プログラムが格納された記録媒体。
【符号の説明】
【0126】
10 医療計画支援システム
101 患者状態情報
102 医療行為情報
103 状態変化情報
104 推奨医療行為
11 取得部
12 分類部
13 分析部
14 モデル生成部
140 推定モデル
15 推定部
16 出力部
20 管理端末装置
200 表示画面
30 医療機器
40 医療計画支援システム
400 患者状態情報
41 取得部
42 推定部
420 推奨医療行為
43 推定モデル
431 第2の患者の状態
432 第2の患者に対して実施された医療行為
433 第2の患者の状態の変化
44 出力部
900 情報処理システム
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース