(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】認証システム、認証方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/37 20200101AFI20241217BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20241217BHJP
【FI】
G07C9/37
G06F21/32
(21)【出願番号】P 2022556953
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 JP2021037515
(87)【国際公開番号】W WO2022080293
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2020174914
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】荻野 有加
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/170893(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/170894(WO,A1)
【文献】特開平10-021436(JP,A)
【文献】特開2007-037851(JP,A)
【文献】特開2018-106437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
G07B 11/00-17/04
G08B 23/00-31/00
E05B 49/00
G06T 1/00, 7/00
G06Q 10/00-10/30,
30/00-30/08,
50/00-50/20,
50/26-99/00
H04N 7/18
A61B 5/117-5/1178
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者を撮影するカメラにより構成される撮影手段と、
前記被認証者を運ぶ輸送機器により構成され前記撮影手段により撮影される前記被認証者の体の振れを抑制する振れ抑制手段と、
前記被認証者の位置をセンサ又はカメラを用いてコンピュータ装置により検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記被認証者を撮影する前記撮影手段の撮影動作を
コンピュータ装置により制御す
る制御手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、前記被認証者を認証するか否かを
コンピュータ装置により判定す
る認証手段と
を備え
、
前記輸送機器は動く歩道であり、前記動く歩道の路面は前記撮影手段に向かって下る傾斜面である認証システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検知手段により検知された前記被認証者の位置の移動に関わる情報と、前記撮影手段が前記被認証者を撮影する予め設定されている撮影地点の情報とに基づいて、前記撮影動作を制御する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記被認証者の位置の移動に関わる情報は前記被認証者の移動速度であり、
前記制御手段は、前記被認証者の移動速度に基づいて前記撮影地点に達する時間を推定し、当該推定した時間に基づき前記撮影手段の撮影開始タイミングを決定する請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記振れ抑制手段は、前記撮影手段により前記被認証者が撮影される領域において前記被認証者の移動を補助する手すりを含む請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の認証システム。
【請求項5】
前記撮影手段は、前記被認証者の虹彩を撮影し、
前記認証手段は、前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報である虹彩に基づいて、前記被認証者を認証するか否かを判定する請求項1乃至請求項
4の何れか一つに記載の認証システム。
【請求項6】
コンピュータによって、
カメラにより構成される撮影手段により撮影される被認証
者を運ぶ輸送機器により構成され前記被認証者の体の振れを抑制する振れ抑制手段によって体の振れが抑制されている前記被認証者の位置をセンサ又はカメラを用いて検知し、
検知結果に基づいて、前記撮影手段の撮影動作を制御し、
前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、前記被認証者を認証するか否かを判定
し、
前記輸送機器が動く歩道であり、前記動く歩道の路面が前記撮影手段に向かって下る傾斜面である認証方法。
【請求項7】
カメラにより構成される撮影手段により撮影される被認証
者を運ぶ輸送機器により構成され前記被認証者の体の振れを抑制する振れ抑制手段によって体の振れが抑制されている前記被認証者の位置をセンサ又はカメラを用いて検知する処理と、
検知結果に基づいて、前記撮影手段の撮影動作を制御する処理と、
前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、前記被認証者を認証するか否かを判定する処理と
をコンピュータに実行させ
、
前記輸送機器が動く歩道であり、前記動く歩道の路面が前記撮影手段に向かって下る傾斜面であるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、個人の特徴を表す生体情報を利用する生体認証の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証とは、個人の特徴である顔、指紋、虹彩、指や手のひらや甲の静脈パターン、歩き方の癖などというような生体情報を利用する認証である。生体認証では、例えば、被認証者の生体情報から抽出した特徴量と、予め登録されている登録者の生体情報の特徴量との比較により、被認証者の特徴量が登録者の特徴量と一致している場合には、被認証者は登録者であると認証される。
【0003】
なお、特許文献1(特開2007-159762号公報)には、被認証者の眼が撮影されている画像を利用する生体認証装置に関し、認証に適切な眼の画像を取得するために、最適な撮影位置に被認証者(被写体)を誘導するための技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2(特開平4-153799号公報)には、荷重あるいは接触を検知することにより人の所在位置を検知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-159762号公報
【文献】特開平4-153799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体認証システムの一つに、ウォークスルー型とも称される生体認証システムがある。ウォークスルー型生体認証システムは、被認証者を例えばカメラの前で立ち止まらせることなく歩きながらの被認証者について認証するか否かを判定する認証システムである。ウォークスルー型生体認証システムでは、例えば、固定カメラにより歩行中の被認証者の眼の画像が撮影され、当該眼の撮影画像が生体情報として認証処理に利用される。固定カメラによって歩行中の被認証者の眼の画像を撮影するタイミングは、例えば、被認証者が予め定められたトリガ地点を通過したときから所定時間を経過したときというように予め定められる。その所定時間とは、トリガ地点を通過してから固定カメラの撮影地点に到達するのに要すると想定される時間であり、例えば、多数の人の歩行速度などの歩行状態の調査結果に基づいて設定される。
【0007】
ところで、被認証者が足に怪我をしているために歩行速度がとても遅いという如く被認証者の歩行状態が想定された歩行状態と異なっている場合がある。このような場合には、固定カメラが予め設定された撮影タイミングで撮影しても、被認証者が固定カメラの撮影地点まで到達していないために、被認証者の眼の撮影画像が得られないという問題が発生する場合がある。また、歩行中の被認証者の頭が、足の怪我等に起因して、想定された歩行状態よりも大きく振れることに因り、眼を撮影できたとしても当該眼の画像がぶれていて認証処理には不適切であるという問題が発生することもある。
【0008】
この開示は上記課題を解決するために考え出されたものである。すなわち、この開示の主な目的は、歩行中の被認証者の歩行状態に応じた適切な撮影タイミングでもって被認証者を撮影でき、かつ、被認証者のぶれが抑制された明瞭な画像の取得を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、認証システムは、その一態様として、
被認証者の体の振れを抑制する振れ抑制手段と、
前記被認証者の位置を検知する検知手段と、
前記被認証者を撮影する撮影手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記被認証者を撮影する前記撮影手段の撮影動作を制御する制御手段と、
前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、前記被認証者を認証するか否かを判定する認証手段と
を備える。
【0010】
また、認証方法は、その一態様として、
コンピュータによって、
被認証者の体の振れを抑制する振れ抑制手段によって体の振れが抑制されている前記被認証者の位置を検知し、
検知結果に基づいて、前記被認証者を撮影する撮影手段の撮影動作を制御し、
前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、前記被認証者を認証するか否かを判定する。
【0011】
さらに、プログラム記憶媒体は、その一態様として、
被認証者の体の振れを抑制する振れ抑制手段によって体の振れが抑制されている前記被認証者の位置を検知する処理と、
検知結果に基づいて、前記被認証者を撮影する撮影手段の撮影動作を制御する処理と、
前記撮影手段により撮影された前記被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、前記被認証者を認証するか否かを判定する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この開示における認証システムの大概構成を表すブロック図である。
【
図2】
図1に表される認証システムの認証処理に係る動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図3】第1実施形態の認証システムを説明する図である。
【
図4】第1実施形態の認証システムを構成するコンピュータ装置の構成を説明する図である。
【
図5】第1実施形態の認証システムの認証処理に係る動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の認証システムを説明する図である。
【
図7】第3実施形態の認証システムを説明する図である。
【
図8】検知装置のその他の形態例を説明する図である。
【
図9】振れ抑制装置のその他の形態例を説明する図である。
【
図10】振れ抑制装置のさらに別の形態例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この開示における実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
まず始めに、この開示における認証システムの大概構成を説明する。
図1は、この開示における認証システムの大概構成を表すブロック図である。この開示における認証システム1は、撮影装置により取得した被認証者の生体情報に基づき被認証者を認証するか否かを判定する機能を備え、かつ、被認証者を立ち止まらせることなく被認証者の生体情報を取得する機能を備えるシステムである。所謂、認証システム1は、ウォークスルー型生体認証システムである。当該認証システム1は、振れ抑制装置11と、検知装置12と、撮影装置13と、制御装置14と、認証装置15とを備えている。
【0015】
振れ抑制装置11は、被認証者の体の振れを抑制する構成を備えている。検知装置12は、被認証者の位置を検知する検知機能を備えている。撮影装置13は、被認証者を撮影する装置である。制御装置14は、検知装置12の検知結果に基づき、撮影装置13の撮影動作を制御する制御機能を備える。認証装置15は、撮影装置13により撮影された被認証者の撮影画像から取得される生体情報に基づき、被認証者を認証するか否かを判定する認証機能を備える。
【0016】
このような認証システム1における認証処理に係る動作例を、
図2を参照して以下に説明する。
図2は、認証システム1における認証処理に係る動作の一例を説明するフローチャートである。なお、この例では、検知装置12における検知機能と、制御装置14の制御機能と、認証装置15の認証機能とは、コンピュータ装置がコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
まず、検知装置12が被認証者の位置を検知すると(
図2のステップ101)、制御装置14が、その検知結果に基づき、撮影装置13を制御して被認証者を撮影する(ステップ102)。
【0018】
その後、認証装置15が、撮影装置13による被認証者の撮影画像から取得された生体情報に基づき、被認証者を認証するか否かを判定する(ステップ103)。
【0019】
上記したような認証システム1においては、振れ抑制装置11を備えることにより、被認証者の体の振れが抑制されることから、撮影装置13による被認証者の撮影画像のぶれを防止することができる。また、認証システム1は、検知装置12の検知結果に基づき撮影装置13の撮影動作を制御する制御装置14を備えている。これにより、制御装置14は、被認証者の移動の状態に応じて被認証者を撮影する撮影装置13の撮影動作を制御できる。
【0020】
よって、認証システム1は、歩行中の被認証者の歩行状態に応じた適切な撮影タイミングでもって被認証者を撮影でき、かつ、被認証者のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるという効果を得ることができる。これにより、認証システム1は、被認証者についての認証結果の精度を高めることができ、認証結果に対する信頼性を向上させることができる。
【0021】
以下に、このような認証システム1の具体例である実施形態を説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図3は、第1実施形態の認証システムを説明する図である。なお、第1実施形態の説明において、
図1に表される認証システムを構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0023】
第1実施形態の認証システム1は、入場が許可されている登録者のみが入場可能な施設など(以下、入場監視エリアとも記す)の入口につながる通路において、入場監視エリアに入場しようとしている人10を被認証者として入場を許可するか否かを判定する。当該認証システム1は、被認証者10の虹彩を生体情報として利用する生体認証システムであり、コンピュータ装置2と、照明部3と、全体カメラ5と、報知装置6と、手すり7と、人検知センサ8と、撮影装置13とを備えている。
【0024】
撮影装置13は、被認証者の虹彩を撮影するカメラであり、例えば1cm程度の被写界深度領域を通過する被認証者10の少なくとも眼領域を、固定焦点で、高フレームレートかつ高解像度で撮影する。ここでは、高フレームレートとは、例えば30fps(frames per second)よりもレートが高いフレームレートである。また、高解像度とは、例えば350dpi(dots per inch)よりも解像度が高い解像度である。
【0025】
第1実施形態では、背の高さが異なる複数の被認証者10がいることを想定し、何れの背の高さの被認証者10の虹彩をも撮影すべく、それら被認証者10の背の高さの差異を考慮した高さ方向の範囲内に複数の撮影装置13が高さ方向に配列配置されている。
図3の例では、複数の撮影装置13は、高さ方向に配列配置している状態で、例えば支柱32に固定されている。この支柱32は、入場監視エリアの入口につながる通路の路面31に固定されている。このような撮影装置13の撮影動作は、コンピュータ装置2により制御される。
【0026】
照明部3は、撮影装置13による撮影画像において被認証者10の虹彩が明瞭に写し出されるように、被認証者10の顔に向けて光(例えば赤外線)を照射する光源4を備えている。照明部3においても、撮影装置13と同様に、背の高さが異なる複数の被認証者10がいることを想定し、複数の光源4が高さ方向に配列配置されている。これら光源4における発光と停止は、コンピュータ装置2により制御される。
【0027】
全体カメラ5は、入場監視エリアの入口に向かってくる人を撮影するカメラである。全体カメラ5は、例えば、撮影装置13の固定焦点の位置(例えば
図3における撮影地点Fの位置)を含む所定領域(以下、全体カメラ5の撮影領域とも記す)に位置している人(被認証者10)の体全体を撮影するように、カメラパラメータが設定されている。
【0028】
報知装置6は、情報を視覚的あるいは聴覚的に報知する装置である。例えば、報知装置6は、スピーカ付きのディスプレイ装置により構成され、入場監視エリアへの入場の可否判定の結果を被認証者10に向けて報知する。報知装置6の動作制御は、コンピュータ装置2により実行される。
【0029】
手すり7は、第1実施形態では、振れ抑制装置11を構成するものである。すなわち、手すり7は、入場監視エリアの入口に向かう通路に沿って、少なくとも次の領域に設けられ、撮影装置13により撮影される人(被認証者10)の歩行を補助する。手すり7が設けられる領域とは、例えば、
図3に表されるような撮影領域Zpと撮影準備領域Zqである。撮影領域Zpは、撮影装置13の撮影地点Fを含む撮影領域(以下、撮影装置13の撮影領域とも記す)である。撮影準備領域Zqは、入場監視エリアの入口に向かっている人(被認証者10)が撮影領域Zpに到達する前の領域であって、認証システム1が撮影装置13の撮影開始のタイミングを決定するために用いる領域である。
【0030】
手すり7は、被認証者10の歩行を補助することにより、被認証者10の体の振れを抑制し、これにより、撮影装置13による撮影画像における被認証者10のぶれ防止を図る。
【0031】
人検知センサ8は、入場監視エリアの入口に向かう通路に設けられており、当該通路を通る人を検知するセンサである。第1実施形態では、
図3に表されているように、複数の人検知センサ8が、入場監視エリアの入口に向かう通路に沿って、少なくとも撮影準備領域Zqにおいて、互いに間隔を介し配列配置されている。人検知センサには複数の種類があり、ここでは、通路の態様等を考慮して、人検知センサ8として採用される人検知センサの種類は適宜に選択され、その種類は限定されるものではないが、一例を挙げると、赤外線、超音波、可視光など利用して非接触により人を検知する種類がある。
【0032】
また、隣り合う人検知センサ8の間の間隔は、例えば、通路を歩行している被認証者10が複数の人検知センサ8によって検知されないように、人検知センサ8の性能などを考慮して設定される。
【0033】
コンピュータ装置2は、撮影装置13や照明部3の動作を制御する制御機能と、撮影装置13による撮影画像を利用して入場監視エリアへの被認証者10の入場を許可するか否かを判定する認証機能とを備えている。なお、コンピュータ装置2は、入場監視エリアの入口近傍に配設されていてもよいし、他の場所(例えば施設のサーバ室)に配設されていてもよく、配設場所は限定されない。
【0034】
図4はコンピュータ装置2の構成を説明するブロック図である。コンピュータ装置2は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ20と、記憶装置30とを備えている。ここで、プロセッサ20として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Demand-Side Platform)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうち一つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。
【0035】
記憶装置30は、各種データやコンピュータプログラム(以下、プログラムとも記す)を記憶(格納)する記憶媒体である。記憶装置30には、磁気ディスク装置や、半導体メモリなどの様々な種類があり、ここでは、記憶装置30は、何れの種類の記憶装置により構成されていてもよい。また、記憶装置30を構成する記憶装置は1種類に限定されず、複数種の記憶装置により記憶装置30が構成されていてもよい。
【0036】
第1実施形態では、記憶装置30には、識別モデルが格納されている。この識別モデルは、被認証者から取得した生体情報(ここでは虹彩、より具体的は、虹彩の画像から抽出された特徴量)を機械学習することにより生成され、被認証者が入場を許可されているか否かの判定に利用されるモデルである。
【0037】
プロセッサ20は、演算回路であり、記憶装置30に格納されているプログラムを読み出し当該プログラムを実行することにより、コンピュータ装置2に,プログラムに基づいた機能を持たせることができる。すなわち、プロセッサ20は、機能部として、取得部21と、抽出部22と、撮影制御部23と、検知部24と、出力部25と、認証部26とを備えている。
【0038】
取得部21は、撮影装置13や全体カメラ5により撮影された撮影画像を取得する。また、取得部21は、人検知センサ8から出力されたセンサ出力を取得する。なお、第1実施形態では、人検知センサ8と撮影装置13は、複数ずつ設けられているが、
図4では、人検知センサ8と撮影装置13は、それぞれ、1つずつしか図示されておらず、他の人検知センサ8と撮影装置13の図示は省略されている。
【0039】
複数の撮影装置13には、それぞれ、識別情報としての撮影装置ID(IDentification)が設定されており、取得部21により取得された撮影装置13の撮影画像には、当該撮影画像を撮影した撮影装置13の撮影装置IDが関連付けられている。
【0040】
また、複数の人検知センサ8には、それぞれ、識別情報としてのセンサID(IDentification)が設定されている。取得部21により取得された人検知センサ8のセンサ出力には、当該センサ出力を出力した人検知センサ8のセンサIDが関連付けられている。また、取得部21により取得された人検知センサ8のセンサ出力には、例えば、取得部21により取得されたときの時間の情報が関連付けられている。
【0041】
抽出部22は、取得部21により取得された撮影装置13の撮影画像から生体情報である虹彩の画像領域を検知し当該虹彩の画像領域から虹彩の特徴量を抽出する。特徴量の抽出手法には様々な手法があり、ここでは、コンピュータ装置2の性能や撮影画像の画質などを考慮して適宜選択された特徴量の抽出手法が採用され、当該特徴量の抽出手法の説明は省略される。
【0042】
検知部24は、取得部21により取得された人検知センサ8のセンサ出力を利用して、被認証者10の位置を検知する。すなわち、人検知センサ8の設置位置を表す情報が当該人検知センサ8のセンサIDに関連付けられて例えば記憶装置30に格納されている。検知部24は、複数の人検知センサ8のうちの一つが、人を検知したことを表すセンサ出力を出力したことを検知した場合には、そのセンサ出力を出力した人検知センサ8のセンサIDに基づいて当該人検知センサ8の設置位置を取得する。そして、検知部24は、取得した人検知センサ8の設置位置を、被認証者10の位置として検知する。
【0043】
また、検知部24は、被認証者10の移動(歩行)の速度を、被認証者の位置の移動に関わる情報として算出する。すなわち、入場監視エリアの入口に向かっている被認証者10は、入場監視エリアの入口につながる通路に配列配置されている複数の人検知センサ8に、入場監視エリアの入口に遠い方から順番に、検知される。このような人検知センサ8のセンサ出力に関連付けられている時間情報に基づいて、検知部24は、人検知センサ8の一つで被認証者10が検知されてから、その隣の人検知センサ8で被認証者10が検知されるまでの移動時間を算出できる。また、検知部24は、予め与えられている人検知センサ8の設置位置の情報に基づき、隣り合う人検知センサ8の間の距離は算出可能である。検知部24は、そのような距離と移動時間に基づいて被認証者10の移動速度を算出する。なお、3つ以上の人検知センサ8が配列配置されている場合には、配列の1番目と2番目の人検知センサ8のセンサ出力に基づいた移動速度と、配列の2番目と3番目の人検知センサ8のセンサ出力に基づいた移動速度というように、検知部24は、複数の移動速度を算出できる。このような場合には、検知部24は、算出した複数の移動速度の一つ(例えば中央値)を被認証者10の移動速度としてもよいし、算出した複数の移動速度の平均値をさらに算出し、当該平均値を被認証者10の移動速度としてもよい。
【0044】
第1実施形態では、このような検知部24および人検知センサ8により検知装置12が構成される。
【0045】
撮影制御部23は、撮影装置13の撮影に係る制御を実行する。例えば、撮影制御部23は、人検知センサ8のセンサ出力に基づいて、被認証者10が撮影準備領域Zqに入ったことを検知した場合に、全体カメラ5の撮影画像から、被認証者10の眼領域の高さを検知する。また、撮影装置13のそれぞれが設置されている高さの情報、あるいは、撮影装置13のそれぞれの焦点における路面31からの高さの情報が撮影装置IDに関連付けられて記憶装置30に格納されている。撮影制御部23は、このような撮影装置13に関連する高さ情報と、被認証者10の眼領域の高さの情報とに基づき、複数の撮影装置13のうち、被認証者10の眼領域を撮影するのに適している撮影装置13を選択する。また、撮影制御部23は、照明部3の光源4の発光を開始させる。
【0046】
さらに、撮影制御部23は、撮影に使用すると選択した撮影装置13の撮影を開始する撮影開始タイミングを、検知部24による検知情報(つまり、被認証者10の位置と移動速度の情報)を利用して決定する。例えば、撮影制御部23は、配列配置されている人検知センサ8のうち、撮影地点Fに最も近い人検知センサ8の設置位置(トリガ地点)と、撮影地点Fとの間の距離と、検知部24により算出された被認証者10の移動速度との情報を取得する。そして、撮影制御部23は、取得した情報を利用して、被認証者10が撮影地点Fに最も近い人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fに到達するまでに要すると推定される所要時間を算出する。換言すれば、撮影制御部23は、撮影地点Fに到達する時間を推定する。さらに、撮影制御部23は、推定された所要時間から予め定められた時間(例えば1秒)を差し引いた時間と、撮影地点Fに最も近い人検知センサ8にて被認証者10が検知された時間とに基づいて、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定する。さらにまた、撮影制御部23は、決定した撮影開始タイミングでもって撮影を開始し、かつ、撮影開始から所定の撮影時間(例えば1秒)を経過したときに撮影を終了するように撮影装置13の撮影動作を制御する。
【0047】
第1実施形態では、撮影制御部23が制御装置14に対応する。
【0048】
上記のような撮影制御部23の制御に基づいた撮影装置13の撮影による撮影画像が、前記の如く、取得部21により取得され、当該撮影画像に写し出されている被認証者10の生体情報である虹彩の特徴量が抽出部22により抽出される。
【0049】
認証部26は、記憶装置30の識別モデルを用いて、被認証者10の生体情報から抽出された虹彩の特徴量に基づき、被認証者10が入場監視エリアの入場を許可されているか否か(入場可否)を判定する。換言すれば、認証部26は、被認証者10を認証するか否かを判定する。第1実施形態では、このような認証部26が認証装置15に対応する。
【0050】
出力部25は、認証部26の判定結果を予め定められた出力先に出力する。例えば、その出力先は、報知装置6や、認証システム1と接続している入出管理システム34である。判定結果の情報を受信した報知装置6は、その判定結果を被認証者10に向けて報知する。また、入出管理システム34は、入場監視エリアへの入場と、入場監視エリアからの退場とを管理するシステムであり、例えば、入場監視エリアの入口に設置されている通行遮断用バーの開閉動作や、扉の施錠と解錠の動作を制御する。入出管理システム34は、出力部25から認証部26の判定結果として『認証する(入場許可)』の情報を受信した場合には、通行遮断用バーを開ける、扉を解錠するなどの入場を許可する装置動作を実行させる。
【0051】
以下に、コンピュータ装置2における認証処理に関する動作の一例を、
図5を参照しつつ説明する。
図5は、コンピュータ装置2における認証処理に関する動作の一例を説明するフローチャートである。
【0052】
例えば、まず、検知部24が、人検知センサ8のセンサ出力に基づき、人検知センサ8が撮影準備領域Zqに人(つまり、被認証者10)を検知したか否かを判断する(
図5におけるステップ201)。この判断により、人を検知していないと判断した場合には、検知部24は、ステップ201の判断動作を繰り返す。これに対し、人を検知したと判断した場合には、検知部24は、人検知センサ8のセンサ出力に基づき、被認証者10の位置を検知する(ステップ202)。さらに、検知部24は、取得部21により取得された複数の人検知センサ8のセンサ出力に関連付けられている時間情報と、人検知センサ8の設置位置間の距離とを利用して、被認証者10の移動速度を算出する(ステップ203)。
【0053】
その後、撮影制御部23が、撮影を実行する撮影装置として選択した撮影装置13の撮影開始タイミングを、被認証者10の移動速度と、撮影地点Fの位置の情報とに基づいて決定する(ステップ204)。そして、撮影制御部23は、決定した撮影開始タイミングでもって撮影を開始し、かつ、撮影開始から所定の撮影時間を経過したときに撮影を終了するように撮影装置13の撮影動作を制御する(ステップ205)。これにより、被認証者10の眼領域が撮影装置13により撮影される。
【0054】
このように撮影装置13により撮影された被認証者10の眼領域を含む撮影画像を、取得部21が取得し、抽出部22が、撮影画像における眼領域の画像部分から被認証者10の虹彩の特徴量を抽出する(ステップ206)。さらに、認証部26が、識別モデルを用いて、抽出された特徴量に基づき入場監視エリアへの被認証者10の入場の可否を判定する(ステップ207)。そして、出力部25が、その判定結果を予め定められている出力先に出力する(ステップ208)。
【0055】
第1実施形態の認証システム1は、上記のように構成されている。この認証システム1は、入場監視エリアの入口に向かう通路における撮影装置13の撮影に関係する撮影領域Zpと撮影準備領域Zqに、振れ抑制装置11として、当該通路に沿う手すり7が設けられている。これにより、入場監視エリアの入口に向かって歩行している被認証者10が手すり7を利用することにより、被認証者10の歩行の安定化が図られ、認証システム1は、被認証者のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるという効果を得ることができる。
【0056】
また、認証システム1は、検知装置12を構成する人検知センサ8のセンサ出力を利用して、被認証者10の歩行状態を表す移動速度を算出し、当該移動速度に基づいて撮影装置13による被認証者10の撮影開始タイミングを決定する。つまり、認証システム1は、被認証者10の歩行状態に応じて撮影装置13による被認証者10の撮影開始タイミングを決定するため、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができる。
【0057】
このように、第1実施形態の認証システム1は、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができ、かつ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できる。このため、認証システム1は、被認証者についての認証結果の精度を高めることができ、認証結果に対する信頼性を向上させることができる。
【0058】
また、第1実施形態の認証システム1は、撮影装置13による被認証者10の撮影開始タイミングを決定する場合に、被認証者10の歩行状態を表す移動速度を算出し、当該移動速度に基づいて撮影地点Fに達すると推定される時間の情報を算出して利用している。これにより、認証システム1(撮影制御部23)は、撮影地点Fに達すると推定される時間を、予め定めた固定時間を利用して算出する場合に比べて、その算出精度(推定精度)を高めることができる。このため、撮影制御部23は、被認証者10が撮影地点Fに達する前の撮影開始に適切なタイミングを的確に決定することが可能となる。
【0059】
さらに、第1実施形態では、振れ抑制装置11として、手すり7が設けられている。手すり7は、簡単な構成で、被認証者10の体の振れを効果的に抑制できる。また、手すり7は、被認証者10をスムーズに撮影地点Fに誘導することができる。
【0060】
さらにまた、認証システム1は、生体情報である虹彩を利用して、被認証者10の認証処理を実行している。虹彩は、個人差が明確であり、また、生涯不変と言われ、さらに、角膜に覆われて損傷しにくいため、当該虹彩を利用して認証処理を行うことにより、認証システム1は、被認証者10に関する認証可否の判定に対する信頼性を高めることができる。また、認証システム1は、上記の如く、撮影装置13による被認証者10の眼領域の撮影が制御されることにより、歩行中の被認証者10であっても眼領域(虹彩)の明瞭な画像を取得できることから、虹彩認証に有効なシステムである。
【0061】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の認証システムの構成を説明する図である。なお,第2実施形態の説明において、
図1に表されている認証システム1を構成する構成要素や、第1実施形態の認証システム1を構成する構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0062】
第2実施形態では、手すり7に複数の感圧センサ9が設けられ、また、複数の人検知センサ8を設けるのでなく、撮影準備領域Zqに人検知センサ8が一つ設けられている。
【0063】
感圧センサ9は、接触の圧力によって当該センサ9から出力するセンサ値が変化するセンサである。第2実施形態では、複数の感圧センサ9が、手すり7における人が把持する部分(把持部)に、入場監視エリアの入口に向かう通路に沿って(つまり、被認証者10の移動方向に沿って)互いに間隔を介して配列配置されている。なお、複数の感圧センサ9は、手すり7における少なくとも撮影準備領域Zqに設けられていればよいが、例えば、手すり7における通路に沿う方向の全長に亘って設けられていてもよい。
【0064】
感圧センサ9は、手すり7の把持部に設けられることから、当該感圧センサ9が設けられている手すり7の把持部を被認証者10が把持することにより、把持した部分の感圧センサ9のセンサ出力値が変化する。このようにセンサ出力値が変化した感圧センサ9の設置位置は、被認証者10の位置であるとも言える。第2実施形態では、被認証者10の手が手すり7を把持した場合に、その手で複数の感圧センサ9が同時に把持されないように、人の一般的な手のひらの大きさなどを考慮して、複数の感圧センサ9の間の間隔が設定されている。
【0065】
感圧センサ9のセンサ出力値は、コンピュータ装置2の取得部21により取得される。この取得された感圧センサ9のセンサ出力値には、当該センサ出力値を出力した感圧センサ9に固有の感圧ID(IDentification)と、取得された時間を表す時間情報とが関連付けられている。また、記憶装置30には、複数の感圧センサ9のそれぞれの設置位置を表す情報が、それぞれ対応する感圧センサ9の感圧IDに関連付けられて記憶されている。
【0066】
コンピュータ装置2の検知部24は、センサ出力値が予め定められた基準値から変化した感圧センサ9を検知した場合に、その感圧センサ9の感圧IDに基づき、当該感圧センサ9の設置位置の情報を記憶装置30から被認証者10の位置として読み出す。また、検知部24は、第1実施形態で説明した複数の人検知センサ8を利用して被認証者10の移動速度を算出する手法と同様な手法により、被認証者10の移動速度を算出する。すなわち、検知部24は、感圧センサ9のセンサ出力値に関連付けられている時間情報を用いて、感圧センサ9の一つで被認証者10が検知されてから、その隣の感圧センサ9で被認証者10が検知されるまでの移動時間を算出できる。また、検知部24は、予め与えられている感圧センサ9の設置位置の情報に基づき、隣り合う感圧センサ9の間の距離は算出可能である。検知部24は、そのような距離と移動時間に基づいて被認証者10の移動速度を算出する。つまり、第2実施形態では、このような検知部24および感圧センサ9により検知装置12が構成される。
【0067】
第2実施形態では、撮影制御部23は、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定する場合に、第1実施形態と同様に人検知センサ8による被認証者10の検知と、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fまでの距離を利用する。ただ、撮影制御部23は、被認証者10の移動速度として、複数の感圧センサ9を利用して検知部24が算出した被認証者10の移動速度を用いる。すなわち、撮影制御部23は、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fまでの距離と、検知部24により算出された被認証者10の移動速度とに基づき、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fに到達するまでに要すると推定される所要時間を算出する。そして、撮影制御部23は、第1実施形態と同様に、推定された所要時間から予め定められた時間を差し引いた時間と、人検知センサ8にて被認証者10が検知された時間とに基づいて、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定する。このように決定された撮影開始タイミングを用いて、撮影制御部23は、撮影装置13の撮影動作を制御する。
【0068】
第2実施形態の認証システム1の上記以外の構成は、第1実施形態の認証システム1と同様であり、その説明は省略する。
【0069】
第2実施形態の認証システム1は、第1実施形態と同様に、振れ抑制装置11としての手すり7が設けられているので、被認証者10の歩行の安定化を図ることができ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるという効果を得ることができる。
【0070】
また、第2実施形態の認証システム1は、複数の感圧センサ9を設け当該複数の感圧センサ9を利用して被認証者10の移動速度を算出し、当該移動速度を利用して撮影開始タイミングを決定することにより、第1実施形態と同様に撮影装置13を制御する。つまり、第2実施形態の認証システム1においても、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができる。
【0071】
よって、第2実施形態の認証システム1も、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができ、かつ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるため、認証結果の精度を高めることができる。
【0072】
さらに、複数の感圧センサ9を手すり7に設け当該感圧センサ9のセンサ出力に基づいて被認証者10の位置を検知する構成は、位置を検知されていることを被認証者10に意識させることなく、被認証者10の位置を検知することができる。
【0073】
ところで、被認証者10の手が荷物でふさがっている、あるいは、被認証者10の歩行が安定しているために手すり7の補助が不要であるというような理由のために、被認証者10が手すり7を把持しない場合があることが考えられる。このような場合には,感圧センサ9を利用した被認証者10の移動速度の算出ができない。これにより、撮影装置13の撮影開始タイミングが決定できずに撮影装置13による被認証者10の虹彩の撮影ができないという事態の発生が懸念される。このような事態を回避するために、例えば、全体カメラ5をステレオカメラにより構成してもよい。つまり、ステレオカメラは、当該カメラに対する奥行方向の距離の情報を含む撮影画像を出力できるカメラである。全体カメラ5をステレオカメラとすることにより、例えば、検知部24は、全体カメラ5による複数の撮影画像(フレーム画像)から、例えば、撮影準備領域Zqを、入場管理エリアの入口に向かって移動している人(被認証者10)の移動距離を算出できる。また、検知部24は、フレームレートからその移動に要した移動時間を算出できる。これにより、検知部24は、全体カメラ5を利用することにより、撮影準備領域Zqを入場管理エリアの入口に向かって移動している被認証者10の移動速度を算出可能である。このような全体カメラ5を利用した被認証者10の移動速度の算出機能を検知部24が備えていてもよい。
【0074】
このような全体カメラ5を利用した被認証者10の移動速度の算出機能を検知部24に持たせる場合には、例えば、検知部24は、全体カメラ5の撮影画像から、撮影準備領域Zqに被認証者10がいることを検知する機能をも備える。さらに、検知部24は、全体カメラ5の撮影画像から、撮影準備領域Zqに被認証者10がいることを検知したのにも拘わらず、感圧センサ9により被認証者10が検知されない場合には、感圧センサ9ではなく全体カメラ5を利用して被認証者10の移動速度を算出する。
【0075】
あるいは、検知部24は、全体カメラ5の撮影画像から、撮影準備領域Zqに被認証者10がいることを検知する機能を持たずに、感圧センサ9による被認証者10の検知の有無に関係なく、全体カメラ5を利用して被認証者10の移動速度を算出してもよい。この場合には、検知部24は、感圧センサ9を利用した被認証者10の移動速度と、全体カメラ5を利用した被認証者10の移動速度との両方を算出する場合が生じる。この場合には、例えば、検知部24は、感圧センサ9を利用した被認証者10の移動速度と、全体カメラ5を利用した被認証者10の移動速度との平均値を被認証者10の移動速度として確定する。あるいは、検知部24は、全体カメラ5よりも感圧センサ9を優先して当該感圧センサ9を利用した被認証者10の移動速度を被認証者10の移動速度として確定してもよい。
【0076】
なお、第2実施形態では、感圧センサ9が手すり7に設けられる例を説明しているが、感圧センサ9は、例えば、入場監視エリアの入口につながる通路における撮影準備領域Zqの路面31に設けられていてもよい。この場合にも、上記同様に、路面31に設けられた感圧センサ9のセンサ出力を利用して、検知部24が被認証者10の位置を検知でき、また、被認証者10の移動速度を算出できる。
【0077】
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1や第2の実施形態とは別の手法により被認証者の位置を検知し、また、被認証者の移動速度を算出する例、つまり、
図1における検知装置12の別の具体例を説明する。なお、第3実施形態の説明において、
図1に表されている認証システム1を構成する構成要素や、第1や第2の実施形態の認証システム1を構成する構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0078】
図7は、入場監視エリアの入口につながる通路を上方側から見た平面図である。第3実施形態では、入場監視エリアの入口につながる通路には、通行遮断用バー36が、撮影準備領域Zqから入場監視エリアの入口に至るまでスライド移動可能に設けられている。当該通行遮断用バー36は、入場監視エリアの入口に向かう方向の押圧力を受けることにより、入場監視エリアの入口に向かう方向にスライド移動する構成を備えている。また、通行遮断用バー36は、閉状態により通路の通行を妨げ、開状態により通路の通行の妨げ(通路の遮断)を解除する構成を備えている。例えば、通行遮断用バー36の基本状態は閉状態であり、この閉状態から開状態の開動作は、入出管理システム34により制御される。また、第3実施形態では、通行遮断用バー36の位置を検知するセンサ37が設けられている。例えば、センサ37は、入場監視エリアの入口近傍に設けられ、通行遮断用バー36との間の距離に応じたセンサ出力を通行遮断用バー36の位置に関する情報として出力するセンサである。
【0079】
第3実施形態では、被認証者10は、撮影準備領域Zqから入場監視エリアの入口に至るまで、通行遮断用バー36を押しながら通行遮断用バー36と共に移動する。このため、通行遮断用バー36の位置は被認証者10の位置とも言え、また、通行遮断用バー36の移動距離や移動速度は、被認証者10の移動距離や移動速度とも言える。コンピュータ装置2の取得部21は、センサ37のセンサ出力を取得する。取得されたセンサ37のセンサ出力には、取得された時間を表す時間情報が関連付けられている。検知部24は、センサ37のセンサ出力を利用して、通行遮断用バー36の移動距離を算出でき、また、センサ出力に関連付けられている時間情報と、算出した移動距離とを利用して、通行遮断用バー36の移動速度を算出できる。すなわち、検知部24は、センサ37のセンサ出力と当該センサ出力に関連付けられている時間情報を利用して、被認証者10の移動距離や移動速度を算出できる。第3実施形態では、このような検知部24、通行遮断用バー36おおびセンサ37により検知装置12が構成される。
【0080】
第3実施形態では、撮影制御部23は、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定する場合に、第1実施形態と同様に人検知センサ8による被認証者10の検知と、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fまでの距離を利用する。また、撮影制御部23は、第1実施形態とは異なり、被認証者10の移動速度として、通行遮断用バー36の移動検知を利用して検知部24が算出した被認証者10の移動速度を用いる。すなわち、撮影制御部23は、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fまでの距離と、検知部24により算出された被認証者10の移動速度とに基づき、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fに到達するまでに要すると推定される所要時間を算出する。そして、撮影制御部23は、第1実施形態と同様に、推定された所要時間から予め定められた時間を差し引いた時間と、人検知センサ8にて被認証者10が検知された時間とに基づいて、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定する。このように決定された撮影開始タイミングを用いて、撮影制御部23は、撮影装置13の撮影動作を制御する。
【0081】
撮影制御部23の制御動作に基づいた撮影装置13の撮影による被認証者10の虹彩の画像から抽出部22により被認証者10の虹彩の特徴量が抽出され、当該特徴量に基づき認証部26が識別モデルを利用して被認証者10の入場監視エリアへの入場可否を判定する。これにより、入場可という判定であった場合には、その判定結果が出力部25によって入出管理システム34に出力される。この場合には、入出管理システム34は、例えば、通行遮断用バー36が入場監視エリアの入口に到達している状態において、当該通行遮断用バー36を開けるための制御を行う。これにより、被認証者10は、通行遮断用バー36に妨げられることなく、入場監視エリアに入場することができる。
【0082】
第3実施形態の認証システム1の上記以外の構成は、第1実施形態の認証システム1と同様であり、その説明は省略する。
【0083】
第3実施形態の認証システム1も、第1実施形態と同様に、振れ抑制装置11としての手すり7が設けられているので、被認証者10の歩行の安定化を図ることができ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるという効果を得ることができる。
【0084】
また、第3実施形態の認証システム1は、スライド移動する通行遮断用バー36の移動に関する情報を利用して被認証者10の移動速度を算出し、当該移動速度を利用して撮影開始タイミングを決定することにより、第1実施形態と同様に撮影装置13を制御する。つまり、第3実施形態の認証システム1においても、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができる。
【0085】
よって、第3実施形態の認証システム1も、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができ、かつ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるため、認証結果の精度を高めることができる。
【0086】
<第4実施形態>
第4実施形態では、さらに、第1~第3の実施形態とは別の手法により被認証者の位置を検知し、また、被認証者の移動速度を算出する例、つまり、
図1における検知装置12の別の具体例を説明する。なお、第4実施形態の説明において、
図1に表されている認証システム1を構成する構成要素や、第1~第3の実施形態の認証システム1を構成する構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0087】
第4実施形態では、手すり7の表面と、入場監視エリアの入口につながる通路における撮影準備領域Zqにおける路面31とのうちの少なくとも一方に、複数のマークが、入場監視エリアの入口に向かう方向に互いに間隔を介して配列配置されている。また、それら複数のマークを撮影する
図6の点線に表されるようなカメラ38が設けられる。このカメラ38による撮影画像における被認証者10の手や体によって隠れているマークの位置に基づいて、検知部24は、被認証者10の位置を検知することが可能である。
【0088】
すなわち、カメラ38により撮影された撮影画像における複数のマークの位置と、実空間におけるマークの位置を表す情報とが関連付けられているマーク位置情報が例えば記憶装置30に記憶されている。また、記憶装置30には、カメラ38による撮影画像においてマークを隠す被認証者10の手や足の画像を機械学習することにより生成される被認証者10の体を検知する検知モデルが格納されている。
【0089】
検知部24は、その検知モデルを用いて、カメラ38による撮影画像から被認証者10の手や足の位置を検知し、当該検知された手や足と重なるマークの有無を判断する。検知部24は、被認証者10の手や足と重なるマークが有ると判断した場合には、記憶装置30のマーク位置情報に基づいて、実空間におけるマークの位置を被認証者10の位置として検知する。このように検知される被認証者10の位置と、カメラ38による複数の時系列の撮影画像(フレーム画像)における被認証者10の位置の変化(移動距離)と、当該変化に係る時間(移動時間)とに基づいて、検知部24は、被認証者10の移動速度を算出する。第4実施形態では、複数のマークとカメラ38と検知部24により
図1における検知装置12が構成される。
【0090】
このように算出される被認証者10の移動速度を用いて、撮影制御部23は、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定し、さらに、撮影装置13の撮影動作を制御する。
【0091】
第4実施形態の認証システム1の上記以外の構成は、第1や第2の実施形態の認証システム1と同様であり、その説明は省略する。
【0092】
第4実施形態の認証システム1も、第1~第3の実施形態と同様に、振れ抑制装置11としての手すり7が設けられているので、被認証者10の歩行の安定化を図ることができ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるという効果を得ることができる。
【0093】
また、第4実施形態の認証システム1は、撮影準備領域Zqにおける複数のマークとそれを撮影するカメラ38の撮影画像を用いて、検知部24が撮影装置13の撮影開始タイミングを決定することにより、第1~第3の実施形態と同様に撮影装置13を制御する。つまり、第4実施形態の認証システム1においても、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができる。
【0094】
よって、第4実施形態の認証システム1も、被認証者10の歩行状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができ、かつ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるため、認証結果の精度を高めることができる。
【0095】
なお、第1~第4の実施形態では、被認証者10の位置を検知する検知装置12の様々な構成の具体例を説明しているが、検知装置12の構成は、上記具体例に限定されない。例えば、被認証者10が所持しているスマートフォン等の携帯端末から発信されるビーコン信号を受信する複数の受信センサが、撮影準備領域Zqに、入場監視エリアの入口に向かう通路に沿って互いに間隔を介して配列配置されていてもよい。ビーコン信号を受信した受信センサの設置位置を表す情報を、取得部21を介して受信することにより、検知部24は、その情報に基づき被認証者10の位置を検知すると共に、前記同様に、被認証者10の移動速度を算出できる。つまり、この場合には、複数の受信センサと、検知部24により検知装置12が構成される。
【0096】
また、撮影準備領域Zqにおいて、
図8に表されているようなドローンとも呼ばれる無人航空機40を飛行させる。無人航空機40は、例えば、撮影準備領域Zqにおける人(被認証者10)を検知する機能を備える。人を検知する手法としては、赤外線センサを利用する手法や、カメラを搭載し当該カメラの撮影画像から人を検知する手法など、様々な手法があり、無人航空機40に搭載されるコンピュータの性能などを考慮し、適宜に選択される。
【0097】
さらに、無人航空機40は、撮影準備領域Zqにおいて検知された人(被認証者10)の移動に追従して移動する機能を備える。検知部24は、この無人航空機40の位置を被認証者10の位置として検知し、また、無人航空機40の移動速度を被認証者10の移動速度として算出する。無人航空機40の位置の検知や、無人航空機40の移動速度の算出は、例えば、前記した被認証者10の位置の検知手法や移動速度の算出手法を応用することにより可能である。
【0098】
このような場合には、無人航空機40と検知部24により検知装置12が構成される。
【0099】
上記のように携帯端末のビーコン信号や無人航空機を利用して被認証者10の位置の検知や移動速度の算出が成される場合においても、認証システム1は、第1~第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
<第5実施形態>
第5実施形態では、第1~第4の実施形態とは別の手法により被認証者の体の振れを抑制する例、つまり、
図1における振れ抑制装置11の別の具体例を説明する。なお、第3実施形態の説明において、
図1に表されている認証システム1を構成する構成要素や、第1や第2の実施形態の認証システム1を構成する構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0101】
第5実施形態では、入場監視エリアの入口につながる通路における少なくとも撮影準備領域Zqと撮影領域Zpの通路部分は、振れ抑制装置11として、
図9に表されているような動く歩道41とも称される人間用の輸送機器が設けられている。なお、動く歩道41の構成には、複数の方式があり、ここでは、何れの方式の動く歩道が設けられてもよく、その説明は省略する。また、動く歩道41の路面31の移動に伴って動く手すりが設けられるが、壁などに固定されている手すり7は省略される。
【0102】
このように、撮影準備領域Zqと撮影領域Zpの通路部分において動く歩道41が設けられている場合には、当該通路部分において、被認証者10は、歩行しなくとも移動できる。このため、歩行に起因した被認証者10の体の振れが抑制される。
【0103】
また、このように、被認証者10の体の振れを抑制できることにより、撮影装置13による撮影画像において、被認証者10の眼領域が撮影されると想定される画像領域が狭くなる。つまり、撮影画像において、抽出部22や検知部24などが処理する領域であるROI(関心領域:Region Of Interest)を狭く設定することが可能となる。これにより、認証システム1は、コンピュータ装置2における処理の負荷を軽減することができるという効果を奏することができる。
【0104】
さらに、第5実施形態では、コンピュータ装置2は、動く歩道41の動作を制御している駆動システムと接続し、動く歩道41の路面31の移動速度に関する情報を取得する機能を備える。この場合には、コンピュータ装置2の検知部24は、被認証者10と動く歩道41の路面31は同様に動くから、その駆動システムから取得した動く歩道41の路面31の移動速度に関する情報に基づき、被認証者10の移動速度を検知することができる。
【0105】
そして、撮影制御部23は、その検知した被認証者10の移動速度を利用して、第1~第4の実施形態と同様に、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定し、さらに、撮影装置13の撮影動作を制御する。すなわち、撮影制御部23は、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fまでの距離と、検知部24により算出された被認証者10の移動速度とに基づき、人検知センサ8の設置位置から撮影地点Fに到達するまでに要すると想定される所要時間を算出する。そして、撮影制御部23は、第1~第4の実施形態と同様に、算出された所要時間から予め定められた時間を差し引いた時間と、人検知センサ8にて被認証者10が検知された時間とに基づいて、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定する。このように決定された撮影開始タイミングを用いて、撮影制御部23は、撮影装置13の撮影動作を制御する。
【0106】
第5実施形態の認証システム1の上記以外の構成は、第1~第4の実施形態の認証システム1と同様であり、その説明は省略する。
【0107】
第5実施形態においては、振れ抑制装置11として、動く歩道41が設けられていることから、歩行に起因した被認証者10の体の振れを抑制でき、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるという効果を得ることができる。
【0108】
また、第5実施形態の認証システム1は、動く歩道41の動作を制御している駆動システムと接続し、動く歩道41の路面31の移動速度に関する情報を取得する。これにより、検知部24は、その駆動システムから取得した動く歩道41の路面31の移動速度に関する情報に基づき、被認証者10の移動速度を検知できることから、被認証者10の移動速度の算出処理に係る負荷を軽減できる。
【0109】
さらに、第5実施形態の認証システム1も、第1~第4の実施形態と同様に、被認証者10の移動速度を考慮して撮影装置13の撮影開始タイミングを決定し、撮影装置13の撮影動作を制御する。このため、第5実施形態の認証システム1においても、第1~第4の実施形態と同様に、被認証者10の移動状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができる。
【0110】
よって、第5実施形態の認証システム1も、被認証者10の移動状態に応じた適切なタイミングでもって被認証者10を撮影することができ、かつ、被認証者10のぶれが抑制された明瞭な画像を取得できるため、認証結果の精度を高めることができる。
【0111】
なお、動く歩道41の路面31は、水平でもよいし、撮影装置13に向かって上る傾斜面であってもよいし、
図9のような撮影装置13に向かって下る傾斜面であってもよい。路面31が傾斜面である場合には、路面31が水平面である場合に比べて、被認証者10が足元付近を見るなど被認証者10の視線が定まりやすいため、路面31が傾斜面となっている構成は、被認証者10の眼領域(虹彩)を撮影しやすくするという効果が得られる。また、路面31が下る傾斜面となっている構成は、撮影装置13に向かう方向に複数の被認証者10が並んでいるような場合に、前後に並んでいる後方の被認証者10の頭が前方の被認証者10の頭よりも高い位置にあるというよう高低差が生じやすくなる。このため、後方の被認証者10の顔の一部又は全部が前方の被認証者10の頭に隠れてしまい、撮影装置13により良好に撮影できないという事態の発生を低減できる。
【0112】
なお、第5実施形態では、振れ抑制装置11として、動く歩道41が設けられている例を説明しているが、例えば、振れ抑制装置11として、
図10に表されるようなチェアリフト42や、自動運転カート等というような、座した状態で被認証者10を運ぶ輸送機器を、少なくとも撮影準備領域Zqと撮影領域Zpに設けてもよい。この場合には、被認証者10は座した状態で撮影領域Zpを通過するので、撮影領域Zpでの被認証者10の体の振れを、動く歩道41が設けられる場合よりも抑制することができる。これにより、撮影画像におけるROIを狭くすることができるという効果を認証システム1は得ることができる。また、認証システム1は、チェアリフト42や自動運転カート等の輸送機器の動作を制御している駆動システムと連携し、例えば、チェアリフト42や自動運転カート等の向きを制御することにより、被認証者10の顔を撮影装置13の方を向かせることができる。
【0113】
上記のようなチェアリフト42や自動運転カート等の輸送機器が設けられる場合にも、上記同様に、第5実施形態の認証システム1は、その輸送機器の動作を制御している駆動システムと接続し、輸送機器における移動速度に関する情報を取得する。そして、検知部24は、その取得した移動速度に関する情報に基づき、被認証者10の移動速度を検知する。撮影制御部23は、その被認証者10の移動速度を利用して、撮影装置13の撮影開始タイミングを決定し、さらに、撮影装置13の撮影動作を制御する。
【0114】
また、上記例では、認証システム1は、動く歩道41やチェアリフト42や自動運転カート等の輸送機器を駆動している駆動システムから、輸送機器における移動速度に関する情報を取得し、当該取得した情報に基づき、検知部24が被認証者10の移動速度を検知している。これに代えて、次のような構成により、検知部24が被認証者10の移動速度を検知(算出)してもよい。例えば、動く歩道41やチェアリフト42や自動運転カートにマークが付されると共に、そのようなマークを少なくとも撮影準備領域Zqにおいて撮影するカメラ(例えば
図6の点線に表されるようなカメラ38)が設けられる。そして、検知部24が、カメラ38による撮影画像において、記憶装置30に予め記憶されているマーク検知用の検知モデルを利用して、マークの位置を検知する。そのマーク検知用の検知モデルとは、マークの画像を学習することにより生成される、マークを撮影画像から検知するためのモデルであり、予め生成されて記憶装置30に格納される。
【0115】
さらに、検知部24は、カメラ38による複数の時系列の撮影画像(フレーム画像)におけるマークの移動の距離と、フレームレートに基づいた移動時間とに基づいて、マークの移動速度を、被認証者10の移動速度として算出する。このように、検知部24は、被認証者10の移動速度を算出してもよい。
【0116】
さらにまた、次のような構成により、検知部24は、被認証者10の移動速度を算出してもよい。例えば、チェアリフト42の椅子や自動運転カートに、ビーコン信号を発する発信機が装着され、また、ビーコン信号を受信する複数の受信センサが、撮影準備領域Zqに、入場監視エリアの入口に向かう通路に沿って互いに間隔を介して配列配置されていてもよい。検知部24は、前記したように、ビーコン信号を受信した受信センサの設置位置を表す情報を、取得部21を介して受信することにより、当該情報に基づき被認証者10の位置を検知すると共に、被認証者10の移動速度を算出する。
【0117】
<その他の実施形態>
この開示における認証システム1の形態は第1~第5の実施形態に限定されるものではなく、様々な他の形態をも採り得る。例えば、振れ抑制装置11のさらに別の例として、低反発マットを少なくとも撮影準備領域Zqと撮影領域Zpの通路部分において敷設する構成が挙げられる。低反発マットとは、反発弾性が小さく、衝撃吸収性が高い例えば低反発ウレタンなどと称される材料により形成されるマットであり、歩行による被認証者10の体の振れを抑制することができる。また、低反発マットを通路に敷設する場合に、低反発マットに、第2実施形態で説明したような複数の感圧センサ9が、被認証者10の移動歩行に沿って、互いに間隔を介して配列配置されてもよい。このような感圧センサ9により、前記同様に、被認証者10の位置を検知することができる。さらにまた、低反発マットを通路に敷設する場合には、第1実施形態等において説明した手すり7は省略されてもよい。また、振れ抑制装置11として、低反発マットと手すり7の両方が設けられてもよい。
【0118】
さらに、第2実施形態において、全体カメラ5をステレオカメラにより構成する例を説明しているが、例えば、全体カメラ5とは別にステレオカメラを、全体カメラ5に並設してもよい。このような場合に、そのステレオカメラによって、例えば、前記したようなチェアリフトの椅子や自動運転カートに付したマークが撮影されるように設置される。そして、ステレオカメラによる複数の時系列の撮影画像から得られるマークの位置情報を利用して、検知部24がマークの移動速度を被認証者10の移動速度として算出してもよい。
【0119】
さらに、第4実施形態などにおいて説明したように、手すり7や路面31やチェアリフトの椅子や自動運転カートに、被認証者10の位置を検知するためにマークを付す場合に、当該マークは、光に反射し易い材料により構成してもよい。また、当該マークは、予め定めた波長の光に反応する材料により構成されてもよい。このような場合には、さらにマークに光を照射する光源が設けられてもよい。このような構成とすることにより、例えば、マークを撮影した撮影画像において、マークを目立たせることができ、マークの検知が容易となる。
【0120】
さらに、第1~第5の実施形態では、認証システム1は、入場監視エリアへの入場を許可するか否かの判定に利用されるシステムとして説明しているが、この開示における認証システム1は、入場可否の判定以外の認証にも適用可能である。
【0121】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0122】
この出願は、2020年10月16日に出願された日本出願特願2020-174914を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0123】
1 認証システム
11 振れ抑制装置
12 検知装置
13 撮影装置
14 制御装置
15 認証装置