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特許7605223リスク値算出装置、リスク値算出方法及びリスク値算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】リスク値算出装置、リスク値算出方法及びリスク値算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/80 20180101AFI20241217BHJP
【FI】
G16H50/80
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022566547
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2020044863
(87)【国際公開番号】W WO2022118397
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊明
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027364(JP,A)
【文献】特開2019-083395(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059442(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光カメラが生成した可視光画像データと前記可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する画像データ取得手段と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定し、特定した前記人物の体表温度を測定する温度測定手段と、
前記可視光画像データに基づいて前記人物の感染症の症状を検出する症状検出手段と、
前記可視光画像データから前記人物が含まれる所定空間の混雑度を算出する混雑度算出手段と、
前記体表温度と前記症状と前記混雑度とに基づいて、前記人物の感染リスク値を算出するリスク値算出手段と、
前記感染リスク値を出力する出力手段と、を備える
リスク値算出装置。
【請求項2】
前記症状検出手段は、前記人物の姿勢から前記症状を検出する、
請求項1に記載のリスク値算出装置。
【請求項3】
前記感染症の前記症状に関連する姿勢パターンを記憶する記憶部をさらに備え、
前記症状検出手段は、前記人物の姿勢と前記姿勢パターンとを照合することにより前記症状を検出する、
請求項2に記載のリスク値算出装置。
【請求項4】
前記症状検出手段は、前記人物の姿勢と前記姿勢パターンとが所定期間内に所定の割合以上に一致した場合に、前記症状を検出する、
請求項3に記載のリスク値算出装置。
【請求項5】
前記記憶部は、所定の肺炎の前記症状に関連する前記姿勢パターンを記憶する、
請求項3または4に記載のリスク値算出装置。
【請求項6】
前記混雑度算出手段は、所定空間の人数に基づいて前記混雑度を算出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のリスク値算出装置。
【請求項7】
前記リスク値算出手段は、前記人物の周辺に存在する周辺人物の前記体表温度と前記症状とをさらに加味して前記人物の前記感染リスク値を算出する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のリスク値算出装置。
【請求項8】
コンピュータが、
可視光カメラが生成した可視光画像データと前記可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得し、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定し、
特定した前記人物の体表温度を測定し、
前記可視光画像データに基づいて前記人物の感染症の症状を検出し、
前記可視光画像データに基づいて前記人物が含まれる所定空間の混雑度を算出し、
前記体表温度と前記症状と前記混雑度とに基づいて前記人物の感染リスク値を算出し、
前記感染リスク値を出力する、
リスク値算出方法。
【請求項9】
可視光カメラが生成した可視光画像データと前記可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する処理と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定する処理と、
特定した前記人物の体表温度を測定する処理と、
前記可視光画像データに基づいて前記人物の感染症の症状を検出する処理と、
前記可視光画像データに基づいて前記人物が含まれる所定空間の混雑度を算出する処理と、
前記体表温度と前記症状と前記混雑度とに基づいて、前記人物の感染リスク値を算出する処理と、
前記感染リスク値を出力する処理と、
を、コンピュータに実行させるリスク値算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリスク値算出装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の空間に存在する人の感染症に対する感染リスクを検出ないし測定する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の感染リスク特定システムは、空間に滞在する人の感染レベルを特定し、空間における人の位置を検出し、上記感染レベルと上記人の位置に基づいて空間内の位置ごとに感染性物質への感染リスクを示す情報を生成する。
【0004】
また、特許文献2には、人の往来の多い地点において、ビデオカメラによる映像から人物を特定すると共に、熱画像カメラで当該人物の体温を測定し、所定閾値を超える体温の人物を選別して発熱者と推定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-067939号公報
【文献】特開2012-235415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術の内、例えばサーマルカメラにより人物の体表温度を測定する場合には、次のような課題がある。第1に、感染症の感染者が必ず発熱しているというわけではない。第2に、サーマルカメラが測定する人物の身体の部位が露出されていない場合や、外気温の影響を大きく受ける場合には体表温度を好適に測定できない場合がある。また所定のゲートを通過する人物の呼吸や心拍数を測定し、測定した呼吸や心拍数とその人物の発熱状況とを併せて分析する試みがある。しかしそのような技術を採用する場合、呼吸や心拍数などは広い空間における複数人に対して測定することができない。
【0007】
本開示はこのような課題を鑑みてなされたものであり、好適に感染リスクを判定できるリスク値算出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1実施形態にかかるリスク値算出装置は、画像データ取得手段、温度測定手段、症状検出手段、リスク値算出手段および出力手段を有する。画像データ取得手段は、可視光カメラが生成した可視光画像データと可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する。温度測定手段は、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定し、特定した人物の体表温度を測定する。症状検出手段は、可視光画像データに基づいて人物の感染症の症状を検出する。リスク値算出手段は、体表温度と症状とに基づいて、人物の感染リスク値を算出する。出力手段は、感染リスク値を出力する。
【0009】
本開示の1実施形態にかかる判定方法は、以下の方法をコンピュータが実行する。コンピュータは、可視光カメラが生成した可視光画像データと可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する。コンピュータは、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定し、特定した人物の体表温度を測定する。コンピュータは、可視光画像データに基づいて人物の感染症の症状を検出する。コンピュータは、体表温度と症状とに基づいて、人物の感染リスク値を算出する。コンピュータは、感染リスク値を出力する。
【0010】
本開示の1実施形態にかかるプログラムは、コンピュータに、以下のステップを実行させるものである。コンピュータは、可視光カメラが生成した可視光画像データと可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する。コンピュータは、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定し、特定した人物の体表温度を測定する。コンピュータは、可視光画像データに基づいて人物の感染症の症状を検出する。コンピュータは、体表温度と症状とに基づいて、人物の感染リスク値を算出する。コンピュータは、感染リスク値を出力する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、好適に感染リスクを判定できるリスク値算出装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1にかかるリスク算出装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1にかかるリスク算出方法を示すフローチャートである。
図3】実施形態2にかかるリスク算出装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態2にかかるリスク算出方法を示すフローチャートである。
図5】実施形態3にかかるリスク算出装置の構成を示すブロック図である。
図6】実施形態3にかかるリスク算出方法を示すフローチャートである。
図7】実施形態4にかかるリスク算出システムの構成を示すブロック図である。
図8】実施形態4にかかる認証装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0014】
<実施形態1>
図1を参照して実施形態1について説明する。図1は、実施形態1にかかるリスク値算出装置11の構成を示すブロック図である。リスク値算出装置11は、例えば所定の施設に存在する人が所定の感染に感染している可能性や感染する可能性を把握するために利用される。リスク値算出装置11は主な構成として、画像データ取得部110、温度測定部111、症状検出部112、リスク値算出部113および出力部114を有する。なお、リスク値算出装置11が有するこれらの構成は、適宜通信可能に接続されている。
【0015】
画像データ取得部110は、可視光カメラが生成した可視光画像データと可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する。画像データ取得部110は、取得した可視光画像データおよび熱画像データを、温度測定部111および症状検出部112にそれぞれ供給し得る。
【0016】
可視光カメラおよび赤外線カメラは、所定の施設内や施設の周辺または屋外における所定の場所等に設置されている。可視光カメラは、人物を含む風景を撮影し、撮影した風景の画像にかかる可視光画像データ生成し、生成した可視光画像データをリスク値算出装置11に供給する。赤外線カメラは、人物を含む風景を撮影し、撮影した風景の画像にかかる熱画像データ生成し、生成した熱画像をリスク値算出装置11に供給する。
【0017】
可視光カメラと赤外線カメラとは、少なくとも撮影範囲の一部が互いに重複している。換言すると、赤外線カメラは、可視光カメラが撮影する可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ。また可視光カメラと赤外線カメラとは、互いの位置関係が変化しないように固定されていることが好ましい。このような構成により、撮影装置は、可視光カメラが生成した可視光画像データに含まれる物体と赤外線カメラが生成した熱画像データに含まれる物体とを対応づけることができる。なお、可視光カメラおよび赤外線カメラは、それぞれ1台であってもよいし、複数であってもよい。また例えば可視光カメラまたは赤外線カメラは、互いの位置関係が変化する可動式であってもよい。この場合、可視光カメラまたは赤外線カメラは、例えばユーザの操作等により一時的にパン、チルトまたはズームを行って、画角が変更されたとしても、その後自動的に所定の位置に復帰することが好ましい。
【0018】
温度測定部111は、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定し、特定した人物の体表温度を測定する。温度測定部111は、人物の体表温度を測定すると、測定した体表温度に関するデータをリスク値算出部113に供給する。
【0019】
より具体的には、例えば温度測定部111はまず、可視光画像データから人物の画像を抽出する。このとき温度測定部111は、人物の身体の内、顔画像など特定の部位のみを抽出してもよい。可視光カメラが同時に複数の人物を撮影した場合には、温度測定部111は、可視光画像データから複数の人物をそれぞれ抽出してそれぞれ特定する。
【0020】
次に温度測定部111は、特定した人物の画像に対応する熱画像データを抽出する。さらに温度測定部111は、抽出した熱画像データから特定した人物の体表温度を測定する。温度測定部111は、抽出された熱画像データのうち最も高い温度を示す部分から体表温度を測定してもよい。また温度測定部111は、抽出された熱画像データの温度の統計値を算出し、算出した統計値を人物の体表温度としてもよい。
【0021】
症状検出部112は、可視光画像データを受け取ると、受け取った可視光画像データに含まれる人物の画像データからその人物の感染症の症状を検出する。症状検出部112は人物の画像データから症状を検出すると、症状を検出したことを示すデータをリスク値算出部113に供給する。
【0022】
より具体的には、症状検出部112は、可視光画像データに含まれる人物の画像データを特定する。次に症状検出部112は、特定した人物の画像データを解析してこの人物の姿勢を推定する。さらに症状検出部112は、推定した姿勢が予め設定された疾病を罹患した場合に示される症状に一致するか否かを判定する。そして症状検出部112は人物の姿勢が症状に一致すると判定した場合には、特定した人物から症状を検出する。
【0023】
予め設定された疾病とは、例えば肺炎であり、より具体的には、感染性の肺炎である。感染性の肺炎とは、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎およびマイコプラズマ肺炎を含む。このような肺炎に感染した者が肺炎を発症した場合、感染者は例えば悪寒により両肘を抱えたり、前かがみの姿勢になったり、あるいは喉や胸に痛みを感じるために喉や胸に手を当てたりする。なお予め設定された疾病とは、特有の症状が現れる他の疾病であってもよい。
【0024】
リスク値算出部113は、特定した人物の体表温度および症状から、その人物の感染リスク値を算出する。リスク値算出部113は人物の感染リスク値を算出すると、算出した感染リスク値を出力部114に供給する。なお、症状検出部112は、可視光カメラから取得した可視光画像データに加えて、サーマルカメラ92から取得した熱画像を利用して症状を検出してもよい。
【0025】
より具体的には、リスク値算出部113は、温度測定部111から人物の体表温度に関するデータを受け取る。またリスク値算出部113は、症状検出部112から人物の症状に関するデータを受け取る。そしてリスク値算出部113は、受け取ったこれらのデータを使って人物の感染リスク値を算出する。感染リスク値は、予め設定された疾病に感染していることを推定する指標であり、予め設定された数値により示される。例えば感染リスク値は0から1までの数値により定義される。この場合、例えば0が最も感染リスクが低く、1が最も感染リスクが高いことを意味する。なお「感染リスク」は、高いほど感染している可能性が高いことを示す。より具体的には、例えば、人物の体表温度は、複数のレベルに分類され、それぞれの区分が、0から1の範囲のうち予め設定された値に設定される。また人物の症状は、例えば該当する症状ごとに0から1の範囲のうち予め設定された値に設定される。感染リスク値は、このように設定されたそれぞれの値の平均値を取ることにより算出される。感染リスク値は、人物の体表温度が所定の閾値を超える場合には、当該閾値を超えない場合よりも高く算出される。また感染リスク値は、当該人物が感染症の症状を示す場合には、当該症状を示さない場合よりも高く算出される。なお、上述の感染リスク値の算出方法は一例であって、感染リスク値の算出方法は上述のものに限定されない。
【0026】
出力部114は、リスク値算出部113が算出した感染リスク値を受け取ると、受け取った感染リスク値を所定の表示装置へ出力する。所定の表示装置は、リスク値算出装置11に含まれてもよい。所定の表示装置は、リスク値算出装置11と通信可能に接続する所定の端末装置に含まれるものであってもよい。
【0027】
次に、図2を参照して、実施形態1にかかるリスク値算出装置11が実行する処理について説明する。図2は、実施形態1にかかるリスク算出方法を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、例えばリスク値算出装置11を起動させることにより開始する。
【0028】
まず、画像データ取得部110は、可視光カメラから可視光画像データを取得するとともに、赤外線カメラから熱画像データを取得する(ステップS11)。画像データ取得部110は、可視光画像データと熱画像データとを平行して取得してもよいし、予め設定されたプロトコルにしたがって、順次取得してもよい。
【0029】
次に、温度測定部111は、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定し(ステップS12)、特定した人物の体表温度を測定する(ステップS13)。なお、温度測定部111は、複数の人物の体表温度を測定した場合には、それぞれ特定した人物をリスク値算出部113が識別できる態様により体表温度のデータを生成する。
【0030】
次に、症状検出部112は、可視光画像データに基づいて人物の感染症の症状を検出する(ステップS14)。なお、症状検出部112は、複数の人物の症状を検出した場合には、それぞれ特定した人物をリスク値算出部113が識別できる態様により、症状に関するデータを生成する。
【0031】
次に、リスク値算出部113は、温度測定部111から受け取った体表温度に関するデータと、症状検出部112から受け取った症状に関するデータとから、特定した人物の感染リスク値を算出する(ステップS15)。
【0032】
次に、出力部114は、リスク値算出部113が算出した感染リスク値を受け取り、受け取った感染リスク値を出力する(ステップS16)。
【0033】
以上、リスク値算出装置11が実行する処理について説明した。なお、本実施形態にかかるリスク値算出方法は上述のフローチャートに限られない。例えば、ステップS13とステップS14とは並行して実行されてもよいし、ステップS13の後にステップS12が実行されてもよい。
【0034】
以上、実施形態1について説明した。上述のとおり、実施形態1にかかるリスク値算出装置11は、可視光カメラから取得した可視光画像データとサーマルカメラから取得した熱画像データとを利用する。リスク値算出装置11は、熱画像データから測定した人物の体表温度と、可視光画像データから検出した、かかる人物の症状と、を併せて感染リスク値を算出する。よって、本実施形態によれば、好適に感染リスクを判定できるリスク値算出装置、リスク値算出方法およびプログラムを提供することができる。
【0035】
尚、リスク値算出装置11は、図示しない構成としてプロセッサ及び記憶装置を有するものである。リスク値算出装置11が有する記憶装置は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置を含む。
【0036】
リスク値算出装置11が有する記憶装置には、本実施形態に係るリスク値算出方法を実行するためのコンピュータプログラム(以降、単にプログラムとも称する)が記憶されている。またプロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。
【0037】
リスク値算出装置11が有する各構成は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0038】
また、リスク値算出装置11の各構成要素の一部又は全部が複数の演算装置や回路等により実現される場合には、複数の演算装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、演算装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、リスク値算出装置11の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0039】
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。図3は、実施形態2にかかるリスク値算出装置の構成を示すブロック図である。図3に示すリスク値算出装置12は、ネットワーク500を介して、ユーザ端末21、可視光カメラ91およびサーマルカメラ92に互いに通信可能に接続している。ネットワーク500は、例えばインターネットのようなワイドエリアネットワークまたは所定の施設内の回線のようなローカルエリアネットワークなどの通信網である。
【0040】
可視光カメラ91およびサーマルカメラ92は、所定の施設90内に設置され、ネットワーク500を介してリスク値算出装置12と通信可能に接続している。施設90には人物が存在する。可視光カメラ91およびサーマルカメラ92は、施設90における人物を含む内部の風景をそれぞれ撮影し、撮影して生成した画像データ(可視光画像データおよび熱画像データ)をそれぞれリスク値算出装置12に送信する。
【0041】
ユーザ端末21は、例えばパーソナルコンピューター、スマートフォンまたはタブレット端末等の情報処理端末である。ユーザ端末21は、ネットワーク500を介してリスク値算出装置12と通信可能に接続しており、リスク値算出装置12から感染リスク値を受け取る。ユーザ端末21はリスク値算出装置12から受け取った感染リスク値を表示して、ユーザ端末21を操作するユーザに感染リスク値を通知する。ユーザは、ユーザ端末21を介して施設90に存在する人物の感染リスク値を把握できる。これにより例えばユーザは、施設90に存在する人物に対する感染リスクを低減する活動を行うことができる。
【0042】
本実施形態にかかるリスク値算出装置12は、記憶部120を含む点が、実施形態1にかかるリスク値算出装置11と異なる。記憶部120は、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはフラッシュメモリ等の不揮発メモリを含む記憶装置である。
【0043】
記憶部120は、症状DB121を記憶する。症状DB121は、予め設定された疾病の症状に関する情報を含む。より具体的には、症状DB121は、予め設定された疾病の症状のうち、罹患者の姿勢に関連するものを含む。また症状DB121は、症状検出部112が抽出した人物の姿勢と照合できる態様の情報を含む。抽出した人物の姿勢と照合できる態様とは、例えば人物の姿勢パターンを示す画像データや、人物の姿勢パターンの特徴量を抽出した特徴量データである。症状DB121は、記憶する姿勢パターンに付随する症状属性情報が含まれていてもよい。症状属性情報は、症状の姿勢パターンそれぞれに対応する感染の可能性や症状の重篤度合いを示す情報である。記憶部120は、症状検出部112に対して症状DB121を供給する。
【0044】
本実施形態にかかる症状検出部112は、記憶部120から症状DB121を読み取り、読み取った症状DB121と、抽出した人物の姿勢とを照合する。症状検出部112は、照合の結果、抽出した人物の姿勢が症状DB121に含まれる症状を示す姿勢パターンと一致するか否かを判定する。症状検出部112は、抽出した人物の姿勢が症状DB121に含まれると判定した場合、この人物の姿勢から症状を検出する。症状検出部112は、例えば、人物の姿勢と症状DB121に含まれる姿勢パターンとが所定期間内に所定の割合以上に一致した場合に、症状を検出する。具体的には、例えば症状検出部112は、60秒間の内の10秒間に症状を示す姿勢パターンに一致した場合に、症状を検出する。
【0045】
症状DB121が症状属性情報を含む場合、症状検出部112は、検出した症状に併せて、症状属性情報をリスク値算出部113に供給してもよい。これにより、リスク値算出装置12は、算出する感染リスク値の精度を向上させることができる。
【0046】
次に、図4を参照して実施形態2にかかるリスク値算出装置12の処理について説明する。図4は、実施形態2にかかるリスク算出方法のフローチャートである。図4に示すフローチャートは、ステップS13とステップS15の間の処理が、ステップS14に代えてステップS21およびステップS22となっている点が、図2に示す実施形態1にかかるフローチャートと異なる。
【0047】
ステップS11からステップS13は、図2に示したフローチャートと同様である。ステップS21において、症状検出部112は、画像データ取得部110から受け取った可視光画像データから、特定した人物の姿勢を抽出する(ステップS21)。
【0048】
次に、症状検出部112は、記憶部120から症状DB121を読み取り、抽出した人物の姿勢と症状DB121を照合し、症状を検出する(ステップS22)。抽出した人物の姿勢と症状DB121との照合の結果、一致すると判定した場合、症状検出部112は抽出した人物の姿勢から症状を検出する。抽出した人物の姿勢と症状DB121との照合の結果、一致すると判定しない場合、症状検出部112は抽出した人物の姿勢から症状を検出しない。症状検出部112は、検出した症状に関するデータをリスク値算出部113に供給する。次にリスク値算出装置12は、ステップS15に進む。ステップS15以降の処理は、図2に示したフローチャートと同様である。
【0049】
以上、実施形態2について説明したが、リスク値算出装置12は上述の構成に限られない。図3において可視光カメラ91とサーマルカメラ92を1つずつ示した。しかし、リスク値算出装置12は、それぞれ複数の可視光カメラ91およびサーマルカメラ92から画像データを取得するものであってもよい。またこの場合、可視光カメラ91とサーマルカメラ92とは構成される数が異なっていてもよい。
【0050】
以上、実施形態2について説明した。上述のとおり、実施形態2にかかるリスク値算出装置12は、抽出した人物の姿勢と症状DB121の情報とを照合する。これにより、リスク値算出装置12は、精度よく感染リスク値を算出できる。なお、症状DB121は更新可能に構成されていてもよい。これにより、リスク値算出装置12は、流行している疾病の種類に応じた症状を照合できる。よって、本実施形態によれば、好適かつ柔軟に感染リスクを判定できるリスク値算出装置、リスク値算出方法およびプログラムを提供することができる。
【0051】
<実施形態3>
次に、実施形態3について説明する。図5は、実施形態3にかかるリスク値算出装置の構成を示すブロック図である。図5に示すリスク値算出装置13は、混雑度算出部115を含む点が、上述のリスク値算出装置11およびリスク値算出装置12と異なる。本実施形態にかかる画像データ取得部110は、取得した可視光画像データを混雑度算出部115にも供給する。
【0052】
混雑度算出部115は、画像データ取得部110から可視光画像データを受け取り、受け取った可視光画像データから空間の混雑度を算出する。空間の混雑度は、所定空間に存在する人数により算出される。混雑度が高い場合は、混雑度が低い場合に比較して、その空間に存在する人数が多い。すなわち、混雑度算出部115は、所定空間の人数を数えることにより混雑度を算出しうる。混雑度算出部115は、例えば可視光画像データ全体を所定空間として設定してもよいし、可視光画像データに含まれる画像の一部分を所定空間として設定してもよい。また混雑度算出部115は可視光画像データに含まれる空間を複数に分割し、分割した空間ごとの混雑度を算出してもよい。混雑度算出部115は、算出した混雑度を、リスク値算出部113に供給する。
【0053】
また混雑度算出部115は、上述の方法に代えて、所定の空間に含まれる人物を群衆として扱い、群衆の状態から混雑度を算出してもよい。群衆とは、所定の空間において複数の人物が重なり合って見える状態を示す。この場合、混雑度算出部115は、群衆を検知し、検知した群衆の混雑状態を識別する。これにより、混雑度算出部115は混雑度を算出する。より具体的には、例えば混雑度算出部115は、可視光画像データの画像サイズより小さい所定の局所画像を抽出し、抽出した局所画像における群衆の混雑状態を判定する。かかる混雑状態の判定に際して、混雑度算出部115は例えば機械学習により生成された識別器を利用し得る。このような手段を採用することにより、混雑度算出部115は、画像内の正確な人数を数えることなく、混雑度を算出できる。
【0054】
なお、上述した例において、混雑度算出部115は、混雑度の算出に際して可視光画像データを利用した。しかし、混雑度算出部115が行う混雑度の算出において利用されるデータは可視光画像データに限られない。すなわち混雑度算出部115は熱画像データを利用して混雑度の算出を行ってもよい。
【0055】
リスク値算出部113は、特定した人物の体表温度および症状に加え、可視光画像データにおいて人物が含まれる所定空間の混雑度をさらに加味して感染リスク値を算出する。すなわち、リスク値算出部113は、混雑度が比較的に高い空間に存在する人物の感染リスク値を、混雑度が比較的に低い空間に存在する人物の感染リスク値より高く算出する。このように混雑度を加味して感染リスク値を算出することにより、リスク値算出装置13は、感染リスク値の精度を向上させることができる。
【0056】
リスク値算出部113は、以下のように周辺の人物の状況をさらに加味して感染リスク値を算出してもよい。リスク値算出部113は、人物の周辺に存在する周辺人物の体表温度と症状とをさらに加味して人物の感染リスク値を算出してもよい。より具体的には、例えば、感染リスク値を算出する人物の近傍に、周辺人物が存在している場合において、周辺人物の体表温度が平熱を超えている場合や、周辺人物の姿勢が症状の姿勢パターンと一致している場合には、リスク値算出部113はこれを加味し、比較的に高い感染リスク値を算出する。
【0057】
また、周辺人物の感染リスク値が既に算出されている場合、リスク値算出部113は、周辺人物の感染リスク値を加味して感染リスク値を算出する。例えば、周辺人物の感染リスク値が第1リスク値(例えば0.7)の場合、リスク値算出部113は、周辺人物の感染リスク値が第2リスク値(例えば0.3)の場合よりも比較的に高く感染リスク値を算出する。
【0058】
またリスク値算出部113は、人物の周辺に存在する周辺人物との距離をさらに加味して人物の感染リスク値を算出してもよい。より具体的には、例えば、周辺人物との距離が第1距離(例えば1メートル)の場合、リスク値算出部113は、周辺人物の感染リスク値が第1距離より遠い第2距離(例えば3メートル)の場合に算出する感染リスク値よりも比較的に高く算出する。上述の内容を踏まえ、例えば感染リスク値は次のように算出されうる。まず感染リスク値を算出するための各要素は、次のように0から1の間の値に設定される。例えば、人物の体表温度は、複数のレベルに分類され、それぞれの区分が、0から1の範囲のうち予め設定された値に設定される。また人物の症状は、例えば該当する症状ごとに0から1の範囲のうち予め設定された値に設定される。また混雑度は、混雑しているほど1に近く、混雑していないほど0に近い値になるように正規化される。感染リスク値は、このように設定されたそれぞれの値の平均値を取ることにより算出される。周辺人物の体表温度および周辺人物の症状についても同様に0から1の間の値に設定される。そしてリスク値算出部113は、感染リスク値としてこれらの要素の平均値を算出する。なお、リスク値算出部113は平均値を算出する際に、特定の要素の影響が比較的に大きく反映されるように重み付けを行ってもよい。なお、上述の感染リスク値は、所定の人物の周囲に存在する周辺人物へ感染が拡がるリスクを示した。しかしリスク値算出部113は、周辺人物から所定の人物へ感染が拡がるリスクを算出してもよいし、所定の群衆において感染が拡がるリスクを算出してもよい。上述の感染リスク値の算出方法は一例であって、感染リスク値の算出方法は上述のものに限定されない。
【0059】
次に、図6を参照して実施形態3にかかるリスク値算出装置13の処理について説明する。図6は、実施形態3にかかるリスク算出方法のフローチャートである。図6に示すフローチャートは、ステップS15に代えてステップS31およびステップS32を有する点が、図4に示した実施形態2にかかるフローチャートと異なる。
【0060】
ステップS22の後、ステップS31において、混雑度算出部115は、可視光画像データから混雑度を算出する(ステップS31)。
【0061】
次に、リスク値算出部113は、温度測定部111から受け取った体表温度に関するデータと、症状検出部112から受け取った症状に関するデータと、混雑度算出部115から受け取った混雑度とから、特定した人物の感染リスク値を算出する(ステップS32)。リスク値算出部113が感染リスク値を算出すると、出力部114はリスク値算出部113から受け取った感染リスク値を出力する(ステップS16)。
【0062】
以上、実施形態3にかかるフローチャートについて説明した。なお、ステップS31は、ステップS11とステップS32の間において、図6に示した順と異なるタイミングに実行されてもよい。また体表温度を測定する処理(ステップS13)と、人物の症状を検出する処理(ステップS21およびステップS22)と、混雑度を算出する処理(ステップS31)とは、処理の順序を問わない。またこれらの処理は並行して実行されてもよい。
【0063】
以上、実施形態3について説明した。実施形態3にかかるリスク値算出装置13は、混雑度を算出し、算出した混雑度を加味してリスク値を算出する。これにより、リスク値算出装置12は、精度よく感染リスク値を算出できる。またリスク値算出部113は、感染リスク値を算出する人物の周辺人物の状況をさらに加味することにより、さらに精度よく感染リスク値を算出できる。よって、本実施形態によれば、好適かつ精度よく感染リスクを判定できるリスク値算出装置、リスク値算出方法およびプログラムを提供することができる。
【0064】
<実施形態4>
次に、実施形態4について説明する。実施形態4は、リスク値算出装置と認証装置とを少なくとも含むシステムである。図7は、実施形態4にかかるリスク算出システムの構成を示すブロック図である。図7には、リスク値算出システム700が示されている。リスク値算出システム700は、リスク値算出装置14、認証装置200、ユーザ端末21、可視光カメラ91およびサーマルカメラ92を含む。
【0065】
本実施形態にかかるリスク値算出装置14は、ネットワーク500を介して認証装置200に通信可能に接続している。リスク値算出装置14は、人物の特定を行う際に認証装置200と連携して人物についての認証を併せて行う。認証を行うことにより、リスク値算出装置11は特定した人物に紐づく属性情報を利用できる。これにより、リスク値算出装置11は、特定した人物における感染リスク値の履歴を記憶したり、算出した感染リスク値を個人に直接通知したりできる。
【0066】
リスク値算出装置14が有する記憶部120は、属性情報122を記憶している。属性情報は、認証にかかる人物に付随する属性情報が含まれる。属性情報122は例えば、人物の氏名、連絡先などの個人情報を含む。また属性情報122は、認証にかかる人物の既往歴や持病に関する情報が含まれていてもよい。リスク値算出装置14は、感染リスク値を算出する際に、属性情報を利用してもよい。例えば、リスク値算出部113は、免疫系の持病を有する人物について、感染リスク値を比較的に高く算出するものであってもよい。
【0067】
認証装置200は、ネットワーク500を介してリスク値算出装置14と通信可能に接続している。認証装置200は、リスク値算出装置14と連携して人物の顔画像データから人物の認証を行う。より具体的には、認証装置200はリスク値算出装置14から可視光画像データを受け取り、受け取った可視光画像データに含まれる顔画像についての認証を行う。また認証装置200は認証の結果をリスク値算出装置14に供給する。
【0068】
次に、図8を参照して、認証装置200の構成について詳細に説明する。図8は、認証装置200の構成を示すブロック図である。認証装置200は、顔特徴DB210、顔検出部220、特徴点抽出部230、登録部240及び認証部250を有する。
【0069】
顔特徴DB210は、人物のユーザIDと当該人物の顔特徴情報とを対応付けて記憶する顔特徴データベースである。顔検出部220は、撮影画像が含む顔領域を検出し、特徴点抽出部230に出力する。特徴点抽出部230は、顔検出部220が検出した顔領域から特徴点を抽出し、登録部240に顔特徴情報を出力する。顔特徴情報は、抽出した特徴点の集合である。
【0070】
登録部240は、顔特徴情報の登録に際して、ユーザIDを新規に発行する。登録部240は、発行したユーザIDと、登録画像から抽出した顔特徴情報と、を対応付けて顔特徴DB210に登録する。認証部250は、顔画像から抽出された顔特徴情報と、顔特徴DB210内の顔特徴情報と、の照合を行う。認証部250は、顔特徴情報が一致している場合、顔認証が成功したと判断し、顔特徴情報が不一致の場合、顔認証が失敗したと判断する。認証部250は、顔認証の成否をリスク値算出装置14に返信する。顔特徴情報の一致の有無は、認証の成否に対応する。また、認証部250は、顔認証に成功した場合、当該成功した顔特徴情報に対応付けられたユーザIDを特定し、特定されたユーザIDと認証成功の旨とを含めた認証結果をリスク値算出装置14に返信する。
【0071】
以上、実施形態4について説明したが、実施形態4にかかるリスク値算出システム700は上述の構成に限られない。例えばリスク値算出システム700はリスク値算出装置14と認証装置200とが一体となったものであってもよい。リスク値算出システム700において、ユーザ端末21は認証にかかる人物の端末であってもよい。その場合、ユーザ端末21は認証にかかる複数の人物それぞれが有するものである。したがって、リスク値算出システム700は、認証にかかる複数の人物に対応した複数のユーザ端末21を有し得る。
【0072】
以上、実施形態4について説明した。実施形態4にかかるリスク値算出システム700は、人物の認証を行い、認証にかかる人物に対する感染リスク値を算出できる。よってリスク値算出システム700は個人情報を加味した感染リスク値の算出を行うことができる。あるいはリスク値算出システム700は、算出した感染リスク値を個人に通知できる。よって、本実施形態によれば、個人情報を配慮したうえで好適に感染リスクを判定できるリスク値算出装置、リスク値算出方法およびプログラムを提供することができる。
【0073】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0075】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
可視光カメラが生成した可視光画像データと前記可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する画像データ取得手段と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定し、特定した前記人物の体表温度を測定する温度測定手段と、
前記可視光画像データに基づいて前記人物の感染症の症状を検出する症状検出手段と、
前記体表温度と前記症状とに基づいて、前記人物の感染リスク値を算出するリスク値算出手段と、
前記感染リスク値を出力する出力手段と、を備える
リスク値算出装置。
(付記2)
前記症状検出手段は、前記人物の姿勢から前記症状を検出する、
付記1に記載のリスク値算出装置。
(付記3)
前記感染症の症状に関連する姿勢パターンを記憶する記憶部をさらに備え、
前記症状検出手段は、前記人物の姿勢と前記姿勢パターンとを照合することにより前記症状を検出する、
付記2に記載のリスク値算出装置。
(付記4)
前記症状検出手段は、前記人物の姿勢と前記姿勢パターンとが所定期間内に所定の割合以上に一致した場合に、前記症状を検出する、
付記3に記載のリスク値算出装置。
(付記5)
前記記憶部は、所定の肺炎の症状に関連する前記姿勢パターンを記憶する、
付記3または4に記載のリスク値算出装置。
(付記6)
前記可視光画像データから空間の混雑度を算出する混雑度算出手段をさらに備え、
リスク値算出手段は、前記可視光画像データにおいて前記人物が含まれる所定空間の混雑度をさらに加味して前記感染リスク値を算出する、
付記1~5のいずれか一項に記載のリスク値算出装置。
(付記7)
前記混雑度算出手段は、所定空間の人数に基づいて前記混雑度を算出する、
付記6に記載のリスク値算出装置。
(付記8)
前記リスク値算出手段は、前記人物の周辺に存在する周辺人物の前記体表温度と前記症状とをさらに加味して前記人物の前記前記感染リスク値を算出する、
付記6または7に記載のリスク値算出装置。
(付記9)
前記リスク値算出手段は、前記周辺人物の前記感染リスク値が第1リスク値の場合に算出する前記人物の感染リスク値は、前記周辺人物の前記感染リスク値が前記第1リスク値より低い第2リスク値の場合に算出する感染リスク値よりも比較的に高く算出する、
付記8に記載のリスク値算出装置。
(付記10)
前記リスク値算出手段は、前記人物の周辺に存在する周辺人物との距離をさらに加味して前記人物の前記前記感染リスク値を算出する、
付記6~9のいずれか一項に記載のリスク値算出装置。
(付記11)
前記リスク値算出手段は、前記周辺人物の距離が第1距離の場合に算出する前記人物の感染リスク値は、前記周辺人物の前記感染リスク値が前記第1距離より遠い第2距離の場合に算出する感染リスク値よりも比較的に高く算出する、
付記10に記載のリスク値算出装置。
(付記12)
前記可視光画像データから人物の認証を行う認証装置と、
前記認証にかかる前記人物の感染リスク値を算出して出力する付記1~11のいずれか一項に記載のリスク値算出装置と、を備える
リスク値算出システム。
(付記13)
コンピュータが、
可視光カメラが生成した可視光画像データと前記可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得し、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定し、
特定した前記人物の体表温度を測定し、
前記可視光画像データに基づいて前記人物の感染症の症状を検出し、
前記体表温度と前記症状とに基づいて、前記人物の感染リスク値を算出し、
前記感染リスク値を出力する、
リスク値算出方法。
(付記14)
可視光カメラが生成した可視光画像データと前記可視光画像データの少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが生成した熱画像データとをそれぞれ取得する処理と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定する処理と、
特定した前記人物の体表温度を測定する処理と、
前記可視光画像データに基づいて前記人物の感染症の症状を検出する処理と、
前記体表温度と前記症状とに基づいて、前記人物の感染リスク値を算出する処理と、
前記感染リスク値を出力する処理と、
を、コンピュータに実行させるリスク値算出プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0076】
11 リスク値算出装置
12 リスク値算出装置
13 リスク値算出装置
14 リスク値算出装置
21 ユーザ端末
90 施設
91 可視光カメラ
92 サーマルカメラ
110 画像データ取得部
111 温度測定部
112 症状検出部
113 リスク値算出部
114 出力部
115 混雑度算出部
120 記憶部
121 症状DB
122 属性情報
200 認証装置
210 顔特徴DB
220 顔検出部
230 特徴点抽出部
240 登録部
250 認証部
500 ネットワーク
700 リスク値算出システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8