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特許7605227リスク表示装置、リスク表示方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】リスク表示装置、リスク表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20241217BHJP
【FI】
G16H50/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022571954
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2021041851
(87)【国際公開番号】W WO2022137884
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2020212393
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】内田 曜教
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08924319(US,B1)
【文献】特開2017-207877(JP,A)
【文献】特開2013-003635(JP,A)
【文献】特開2018-169938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラから画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データから複数の人物を特定する特定手段と、
前記人物の互いの距離と、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記人物の顔の方向のそれぞれを測定する測定手段と、
前記距離に対応する接続線の外観を設定する接続線設定手段と、
前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンであって前記人物の前記顔を含む人物アイコンを生成する人物アイコン生成手段と、
前記接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する画像生成手段と、
前記リスク画像にかかるリスク画像データを出力する出力手段と、を備え
前記画像生成手段は、一の前記人物アイコンを選択アイコンとして選択し、前記選択アイコンの周囲に他の前記人物アイコンを、前記顔の方向に基づいて配置する
リスク表示装置。
【請求項2】
前記接続線設定手段は、前記距離に対応する前記接続線の長さを設定する、
請求項1に記載のリスク表示装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記距離に対応する時間をさらに測定し、
前記接続線設定手段は、前記距離と前記時間とに対応する前記接続線の外観を設定する、
請求項1または2に記載のリスク表示装置。
【請求項4】
前記接続線設定手段は、前記時間に対応する前記接続線の太さを設定する、
請求項3に記載のリスク表示装置。
【請求項5】
前記接続線設定手段が設定する前記接続線の長さは、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記距離の平均値に対応する、
請求項2に記載のリスク表示装置。
【請求項6】
前記接続線設定手段が設定する前記接続線の太さは、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記時間の累計値に対応する、
請求項4に記載のリスク表示装置。
【請求項7】
前記画像生成手段は、前記他の前記人物アイコンの内から一の前記人物アイコンが選択される処理を受け付けた場合には、選択された前記人物アイコンを前記選択アイコンとして配置する、
請求項に記載のリスク表示装置。
【請求項8】
コンピュータが、
カメラから画像データを取得し、
前記画像データから複数の人物を特定し、
前記人物の互いの距離と、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記人物の顔の方向のそれぞれを測定し、
前記距離に対応する接続線の外観を設定し、
前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンであって前記人物の前記顔を含む人物アイコンを生成し、
前記接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成し、
前記リスク画像にかかるリスク画像データを出力
前記リスク画像の生成では、一の前記人物アイコンを選択アイコンとして選択し、前記選択アイコンの周囲に他の前記人物アイコンを、前記顔の方向に基づいて配置する
リスク表示方法。
【請求項9】
カメラから画像データを取得する処理と、
前記画像データから複数の人物を特定する処理と、
前記人物の互いの距離と、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記人物の顔の方向のそれぞれを測定する処理と、
前記距離に対応する接続線の外観を設定する処理と、
前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンであって前記人物の前記顔を含む人物アイコンを生成する処理と、
前記接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する処理と、
前記リスク画像にかかるリスク画像データを出力する処理と、
を備える画像処理方法をコンピュータに実行させ
前記リスク画像を生成する前記処理では、一の前記人物アイコンを選択アイコンとして選択し、前記選択アイコンの周囲に他の前記人物アイコンを、前記顔の方向に基づいて配置する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリスク表示装置、リスク表示方法および非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の人同士の接触があった場合に、それぞれの人物の感染症に対する感染リスクを把握するための種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、所定エリアに存在し、グループに属する可能性がある複数の対象者のそれぞれが注視する領域を示す注視領域を特定し、特定した複数の対象者のそれぞれの注視領域に基づいてグループを推定する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、人の感染情報と人の部屋間の移動情報とに基づいて、部屋間の感染に関する関係性の強さを特定し、特定された部屋間の感染に関する関係性の強さを示す情報等をマップ上に表示する技術が記載されている。
【0005】
特許文献3には、ラウンド情報で得られた人物の移動経路と、人物の感染危険度とに基づいて、医療施設における感染影響範囲を表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-091622号公報
【文献】特開2018-169938号公報
【文献】特開2016-184196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の技術は、人物同士の関係性を表示したり所定のルールにしたがった感染リスクを表示したりする。しかしながら、実際に生じる感染リスクは、定量的な判断のみでは難しく、上述の内容で適切に判断できない場合が多い。
【0008】
本開示はこのような課題を鑑みてなされたものであり、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の1実施形態にかかるリスク表示装置は、画像データ取得手段、人物特定手段、測定手段、接続線設定手段、人物アイコン生成手段、画像生成手段および出力手段を有している。画像データ取得手段は、カメラから画像データを取得する。人物特定手段は、前記画像データから複数の人物を特定する。測定手段は、前記人物の互いの距離を測定する。接続線設定手段は、前記距離に対応する接続線の外観を設定する。人物アイコン生成手段は、前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンを生成する。画像生成手段は、接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する。出力手段は、リスク画像にかかるリスク画像データを出力する。
【0010】
本開示の1実施形態にかかるリスク表示方法は、以下の方法をコンピュータが実行する。コンピュータは、カメラから画像データを取得する。コンピュータは、画像データから複数の人物を特定する。コンピュータは、人物の互いの距離を測定する。コンピュータは、距離に対応する接続線の外観を設定する。コンピュータは、画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンを生成する。コンピュータは、接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する。コンピュータは、リスク画像にかかるリスク画像データを出力する。
【0011】
本開示の1実施形態にかかるプログラムは、コンピュータに、以下のステップを実行させるものである。コンピュータは、カメラから画像データを取得する。コンピュータは、画像データから複数の人物を特定する。コンピュータは、人物の互いの距離を測定する。コンピュータは、距離に対応する接続線の外観を設定する。コンピュータは、画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンを生成する。コンピュータは、接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する。コンピュータは、リスク画像にかかるリスク画像データを出力する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1にかかるリスク表示装置のブロック図である。
図2】実施の形態1にかかるリスク表示方法を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2にかかるリスク表示システムのブロック図である。
図4】実施の形態2にかかるリスク表示装置が生成するリスク画像の例を示す図である。
図5】実施の形態3にかかるリスク表示方法を示すフローチャートである。
図6】実施の形態3にかかるリスク表示装置が生成するリスク画像の第1例を示す図である。
図7】実施の形態3にかかるリスク表示装置が生成するリスク画像の第2例を示す図である。
図8】実施の形態4にかかるリスク表示装置のブロック図である。
図9】実施の形態4にかかるリスク表示方法を示すフローチャートである。
図10】実施の形態4にかかるリスク表示装置が表示する画像の例を示す図である。
図11】実施の形態4の変形例にかかるリスク表示システムのブロック図である。
図12】コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施の形態1にかかるリスク表示装置10のブロック図である。リスク表示装置10は、例えば所定の施設に存在する複数の人同士の接触状況から、それぞれの人物の感染症に対する感染リスクを表示するための装置である。リスク表示装置10は、施設内の風景を撮影するカメラに通信可能に接続している。またリスク表示装置10は、リスク画像を表示する所定の表示装置に通信可能に接続している。リスク表示装置10は主な構成として、画像データ取得部111、特定部112、測定部113、接続線設定部114、人物アイコン生成部115、画像生成部116および出力部117を有する。なお、リスク表示装置10が有するこれらの構成は、適宜通信可能に接続されている。
【0016】
画像データ取得部111は、所定の施設内の風景を撮影するように設置されたカメラが複数の異なる時刻に生成した画像データを取得する。例えばカメラは1秒間に15フレーム、30フレームまたは60フレーム程度の画像データを生成し、画像データ取得部111はカメラが生成した画像データを15分の1秒、30分の1秒または60分の1秒ごとに取得する。画像データは例えば画像データ取得部111が接続するカメラは1台でもよいし複数でもよい。また画像データ取得部111が接続するカメラは所定の画角を撮影するために固定されていてもよいし、パン、チルトまたはズームを行う可動式のものであってもよい。画像データ取得部111は、カメラから取得した画像データを、適宜各構成に供給する。
【0017】
特定部112は、画像データ取得部111が取得した画像データを受け取り、受け取った画像データに含まれる人物の画像(人物画像)を検出することにより人物を特定する。特定部112は、例えば画像データに対して畳み込み処理を行うことにより人物画像の特徴量と一致する特徴量を有する領域を検索する。そして特定部112は人物画像の特徴量と一致する領域を人物画像であると判断する。特定部112は、画像データにかかる画像に複数の人物が含まれる場合には、画像に含まれる複数の人物をそれぞれ特定する。特定部112は、特定した人物に関する情報を、測定部113に供給する。特定した人物に関する情報は、例えば画像における人物の位置情報を含む。
【0018】
測定部113は、画像データ取得部111から画像データを取得し、特定部112から人物に関する情報を取得したうえで、人物の互いの距離を測定する。これにより測定部113は、複数の人物のそれぞれの距離に関する情報を保持する。測定部113は、特定した人物に関する情報とともに、その人物に関して測定した距離に関する情報を、接続線設定部114に供給する。
【0019】
接続線設定部114は、測定部113からから受け取った距離に関する情報から、接続線の外観を設定する。本実施の形態における接続線は、二人の人物間の距離を示すための記号である。接続線設定部114は、接続線の外観をユーザが視認することにより、画像データに含まれる人物間の距離を把握できる態様において接続線の外観を設定する。接続線の外観は、例えば接続線の長さ、太さ、色調または線種のいずれかを含む。
【0020】
より具体的には、接続線設定部114は、例えば人物同士の距離を接続線の長さによって示してもよい。ただし接続線設定部114が設定する接続線の外観は、上述の具体例には限られない。接続線設定部114は、接続線の外観に関する設定を行うと、この設定にかかる情報を画像生成部116に供給する。
【0021】
人物アイコン生成部115は、画像データ取得部111から受け取った画像データを利用して人物を示す人物アイコンを生成する。人物アイコン生成部115は例えば、特定した人物の画像を抽出し、抽出した画像を用いて人物アイコンを生成する。接続線設定部114が抽出する人物の画像は、例えば人物の顔の画像(顔画像)である。なお、人物アイコンは、文字データが含まれていてもよい。人物アイコン生成部115は、生成した人物アイコンに関する情報を、画像生成部116に供給する。
【0022】
画像生成部116は、接続線設定部114から接続線の外観に関する情報を受け取るとともに、人物アイコン生成部115から人物アイコンに関する情報を受け取る。そして画像生成部116は、受け取ったこれらの情報からリスク画像を生成する。画像生成部116は、生成したリスク画像を出力部117に供給する。
【0023】
リスク画像は、接続線を介して複数の人物アイコンを互いに接続したものである。より具体的には、リスク画像は、二つの人物アイコンを所定の接続線により接続した画像である。すなわちリスク画像において人物アイコンは撮影された人物を表し、人物アイコン同士を接続する接続線は、当該接続線により接続された二つの人物アイコンにかかる人物の関係を表す。リスク表示装置10はリスク画像を表示することにより、リスク画像を視認するユーザに対して人物同士の接触状況を示す。
【0024】
出力部117は、画像生成部116からリスク画像データを受け取り、受け取ったリスク画像データを、リスク表示装置10が接続している表示装置に出力する。
【0025】
次に、図2を参照して、リスク表示装置10が実行する処理について説明する。図2は、実施の形態1にかかるリスク表示方法を示すフローチャートである。リスク表示装置10は、例えばリスク表示装置10を使用するユーザがリスク表示方法の開始を指示する操作を行うことにより開始する。
【0026】
まず、画像データ取得部111は、カメラから複数の画像データを取得する(ステップS11)。なお、画像データ取得部111はここで所定期間分の画像データを一時的に蓄えた後に他の構成要素に供給し得る。所定期間とは例えば10分間、30分間または60分間等である。
【0027】
次に、特定部112は、画像データから複数の人物を特定したか否かを判定する(ステップS12)。画像データから複数の人物を特定したと判定しない場合(ステップS12:NO)、リスク表示装置10はステップS11に戻り新たな画像データを取得する(ステップS11)。画像データから複数の人物を特定したと判定する場合(ステップS12:YES)、リスク表示装置10はステップS13に進む。
【0028】
ステップS13において、測定部113は、画像データから人物の互いの距離を測定する(ステップS13)。なお画像データにおける人物の位置は時間の経過とともに変動し得る。そのため測定部113は、人物の互いの距離に関して、平均値や最小値などの所定の統計値を算出し得る。測定部113は、特定した人物に関して測定した距離に関する情報を、接続線設定部114に供給する。
【0029】
次に、接続線設定部114は、距離に対応する接続線の外観を設定する(ステップS14)。接続線設定部114は、接続線の外観を設定すると、設定した情報を画像生成部116に供給する。
【0030】
次に、人物アイコン生成部115は、例えば画像データに含まれる人物の画像を利用して、人物アイコンを生成する(ステップS15)。人物アイコン生成部115は、生成した人物アイコンに関する情報を、画像生成部116に供給する。
【0031】
次に、画像生成部116は、接続線設定部114から受け取った情報と、人物アイコン生成部115から受け取った情報とを利用してリスク画像を生成する(ステップS16)。
【0032】
次に、出力部117は、リスク画像にかかるリスク画像データを出力する(ステップS17)。出力部117がリスク画像を出力すると、リスク表示装置10は一連の処理を終了する。
【0033】
以上、実施の形態1にかかるリスク表示装置10について説明した。尚、リスク表示装置10は、図示しない構成としてプロセッサ及び記憶装置を有するものである。リスク表示装置10が有する記憶装置は、例えばフラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置を含む。この場合に、リスク表示装置10が有する記憶装置は、上述のリスク表示方法を実行するためのコンピュータプログラム(以降、単にプログラムとも称する)を記憶している。またプロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のバッファメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。
【0034】
リスク表示装置10が有する各構成は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。なお、ここに説明した構成に関する説明は、本開示において以下に説明するその他の装置またはシステムにおいても、適用され得る。
【0035】
また、リスク表示装置10の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、リスク表示装置10の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0036】
以上、実施の形態1について説明した。実施の形態1にかかるリスク表示装置10は、上述の構成により、カメラが撮影した画像データに含まれる人物同士の接触状況を示す。リスク表示装置10が出力するリスク画像は、人物同士の距離の情報を含む。そのためリスク画像を視認するユーザは、人物同士の接触状況を直観的に把握できる。例えば一方の人物が感染症の感染者であった場合に、感染者に接触した他の人物の感染リスクを判断したいという要求がある。このような要求に対して、リスク表示装置10は人物同士の接触状況を提示できる。すなわち本実施形態によれば、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することができる。
【0037】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。図3は、実施の形態2にかかるリスク表示システムのブロック図である。図3にはリスク表示システム1が示されている。リスク表示システム1は、リスク表示装置10、ディスプレイ200、およびカメラ300を含む。
【0038】
本実施の形態におけるリスク表示装置10は、通信ネットワークN1を介してカメラ300と通信可能に接続し、カメラ300が生成した画像データを取得する。またリスク表示装置10は、ディスプレイ200と通信可能に接続している。リスク表示装置10は、カメラ300から取得した画像データからリスク画像を生成し、生成したリスク画像をディスプレイ200に出力する。
【0039】
ディスプレイ200は、例えば液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスを含む表示装置である。ディスプレイ200は、リスク表示装置10と通信可能に接続し、リスク表示装置10からリスク画像にかかる画像データを受け取り、受け取った画像データを表示する。なお、図3に示した例において、リスク表示装置10とディスプレイ200とは通信ネットワークN1を介さずに接続しているが、通信ネットワークN1を介して接続していてもよい。ディスプレイ200に表示されるリスク画像をリスク表示システム1のユーザが視認することにより、ユーザは、カメラ300が撮影した画像に含まれる人物の接触状況を把握できる。
【0040】
カメラ300は、施設900の所定の位置に固定されており、施設900の風景を撮影する。カメラ300は、通信ネットワークN1を介してリスク表示装置10に通信可能に接続している。図に示すように、例えばカメラ300は点線により示した画角により第1人物P1、第2人物P2、第3人物P3および第4人物P4が存在する風景を撮影し、画像データを生成してリスク表示装置10に供給する。
【0041】
次に、本実施形態におけるリスク表示装置10の、実施の形態1と異なる点について説明する。本実施の形態におけるリスク表示装置10は、測定部113が人物間の距離を測定するとともに、この距離に対応する時間を測定する。
【0042】
本実施形態における測定部113は、画像データ取得部111から画像データを取得し、特定部112から人物に関する情報を取得したうえで、人物の互いの距離と、この距離に対応する時間とを測定する。これにより測定部113は、複数の人物のそれぞれの距離とその距離において経過した時間とに関する情報を保持する。測定部113は、特定した人物に関する情報とともに、その人物に関して測定した距離に関する情報と時間とに関する情報を、接続線設定部114に供給する。
【0043】
接続線設定部114は、測定部113からから受け取った距離と時間とに関する情報から、接続線の外観を設定する。本実施の形態における接続線は、二人の人物間の距離および当該距離において経過した時間を示すための記号である。接続線設定部114は、接続線の外観をユーザが視認することにより、画像データに含まれる人物間の距離とその距離において経過した時間を把握できる態様において接続線の外観を設定する。接続線の外観は、例えば接続線の長さ、太さ、色調または線種のいずれかを含む。
【0044】
より具体的には、接続線設定部114は、例えば人物同士の距離を接続線の長さによって示してもよい。あるいは接続線設定部114は、例えば人物同士の距離にかかる時間の長さを接続線の太さによって示してもよい。ただし接続線設定部114が設定する接続線の外観は、上述の具体例には限られない。接続線設定部114は、接続線の外観に関する設定を行うと、この設定にかかる情報を画像生成部116に供給する。
【0045】
次に、本実施形態におけるリスク表示装置10が行う処理において実施の形態1と異なる点について説明する。本実施形態におけるリスク表示装置10は、図2において説明したフローチャートのステップS13の処理が、実施の形態1と異なる。
【0046】
ステップS13において、測定部113は、画像データから人物の互いの距離と当該距離に対応する時間とを測定する(ステップS13)。なお画像データにおける人物の位置は時間の経過とともに変動し得る。そのため測定部113は、人物の互いの距離に関して、平均値や最小値などの所定の統計値を算出し得る。同様に、測定部113は、人物の距離における時間については、例えば所定の距離の範囲における時間の経過を算出し得る。測定部113は、特定した人物に関して測定した距離に関する情報と時間に関する情報とを、接続線設定部114に供給する。
【0047】
上述の構成により、リスク表示装置10は、カメラ300が撮影した第1人物P1、第2人物P2、第3人物P3および第4人物P4の位置から、それぞれの人物の互いの距離を測定する。またリスク表示装置10は、カメラ300から取得する画像データから、第1人物P1、第2人物P2、第3人物P3および第4人物P4のそれぞれの距離に紐づく時間を測定する。そしてリスク表示装置10は、上述の情報からリスク画像を生成し、生成したリスク画像にかかる画像データをディスプレイ200に出力する。
【0048】
次に、図4を参照してリスク表示装置10が生成するリスク画像について説明する。図4は、実施の形態2にかかるリスク表示装置10が生成するリスク画像の例を示す図である。図4は、図3に示した第1人物P1、第2人物P2、第3人物P3および第4人物P4について、第1人物P1を中心とした接触状況を示している。
【0049】
図4は、リスク画像R11が示されている。リスク画像R11は、第1アイコンP11、第2アイコンP21、第3アイコンP31および第4アイコンP41を含む。第1アイコンP11は第1人物P1を示すアイコンである。同様に、第2アイコンP21は第2人物P2を示し、第3アイコンP31は第3人物P3を示し、そして第4アイコンP41は第4人物P4を示している。人物アイコン生成部115は、カメラ300が撮影した画像データから第1人物P1~第4人物P4の顔画像をそれぞれ抽出して第1アイコンP11~第4アイコンP41を生成する。
【0050】
図4において、第1アイコンP11と第2アイコンP21とは、接続線L12により接続されている。接続線L12は、第1人物P1と第2人物P2との接触状況を示している。具体的には、接続線L12の長さD12は、第1人物P1と第2人物P2との距離を示している。すなわち第1人物P1と第2人物P2との距離が近い程、接続線L12の長さD12は短く表示される。また第1人物P1と第2人物P2との距離が遠い程、接続線L12の長さD12は長く表示される。
【0051】
接続線L12の太さW12は、第1人物P1と第2人物P2とが長さD12にかかる距離に存在した時間を示している。すなわち第1人物P1と第2人物P2とが長さD12にかかる距離に存在した時間が長い程、接続線L12の太さW12は太く表示される。第1人物P1と第2人物P2とが長さD12にかかる距離に存在した時間が短い程、接続線L12の太さW12は細く表示される。
【0052】
第1アイコンP11と第3アイコンP31とは、接続線L13により接続されている。接続線L13は、第1人物P1と第3人物P3との接触状況を示している。具体的には、接続線L13の長さD13は、第1人物P1と第3人物P3との距離を示している。接続線L13の太さW13は、第1人物P1と第3人物P3とが長さD13にかかる距離に存在した時間を示している。
【0053】
同様に、第1アイコンP11と第4アイコンP41とは、接続線L14により接続されている。接続線L14は、第1人物P1と第4人物P4との接触状況を示している。具体的には、接続線L14の長さD14は、第1人物P1と第4人物P4との距離を示している。接続線L14の太さW14は、第1人物P1と第4人物P4とが長さD14にかかる距離に存在した時間を示している。
【0054】
なお、リスク画像R11における接続線の長さおよび太さは、リスク画像を視認したユーザが人物同士の接触状況を容易に把握できることを目的として設定されている。リスク画像R11における接続線の長さは、例えば測定部113が測定した距離を縮小して表示したものであってもよいし、測定部113が測定した距離に対して所定の係数を掛けたものであってもよい。
【0055】
接続線設定部114が設定する接続線の太さは、二人の人物の間の距離が所定の閾値より近づいた場合における時間の累計値に対応する。リスク画像R11における接続線の太さは、例えば測定部113が測定した時間に比例した太さにより表示したものであってもよいし、測定部113が測定した時間に対して所定の係数を掛けたものであってもよい。
【0056】
以上、図4に示したリスク画像R11について説明した。本実施の形態における接続線設定部114は、人物の距離に対応する接続線の長さと時間に対応する接続線の太さとを設定する。なお、リスク表示装置10は、人物同士の距離が所定の閾値より小さい場合に限り上述のリスク画像を生成するように設定されていてもよい。このような構成により、リスク表示装置10は、感染リスクに応じてリスク画像を生成できる。
【0057】
本実施の形態における接続線設定部114が設定する接続線の長さは、二人の人物の間の距離が所定の閾値より近づいた場合における距離の平均値に対応するものであってもよい。また接続線設定部114が設定する接続線の長さは、二人の人物の間の距離が所定の閾値より近づいた場合における距離の最小値に対応するものであってもよい。またリスク表示装置10は、リスク画像における接続線の長さが示す内容を、ユーザの要求に応じて切り替え可能に構成されていてもよい。これにより、リスク表示装置10はユーザの所望する接触状況を表示できる。
【0058】
上述のように、画像生成部116は、一の人物アイコンを選択アイコンとして選択し、選択アイコンの周囲に他の人物アイコンを配置する。図4に示す例の場合、選択アイコンは、第1アイコンP11であり、他の人物アイコンは第2アイコンP21、第3アイコンP31および第4アイコンP41である。リスク画像R11を視認することにより、ユーザは、第1人物P1と、第1人物P1の周囲に存在する他の人物(すなわち第2人物P2、第3人物P3および第4人物P4)との接触状況を直観的に把握できる。
【0059】
画像生成部116は、他の前記人物アイコンの内から一の人物アイコンが選択される処理を受け付けた場合には、選択された人物アイコンを選択アイコンとして配置するものであってもよい。例えば図4において、ユーザが第2アイコンP21を選択する操作を行った場合において、画像生成部116は、第2アイコンP21を選択する処理を受け付ける。この場合、画像生成部116は、第2アイコンP21にかかる第2人物P2と、第2人物P2の周囲に存在する他の人物との接触状況を表示するリスク画像に切り替える。
【0060】
以上、実施の形態2について説明した。上述のように、リスク表示装置10は、選択アイコンにかかる人物と、その周囲に存在する他の人物との接触状況を一元的に把握できる。すなわち本実施の形態によれば、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することができる。
【0061】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3は、測定部113が測定する対象と、リスク画像の表示態様が、上述の実施の形態と異なる。
【0062】
本実施の形態における測定部113は、画像データから特定された人物の互いの距離と、この距離に対応する時間とに加えて、人物のそれぞれの位置および顔の方向を測定する。すなわち測定部113は、二人の人物の間の距離が所定の閾値より近づいた場合における人物の顔の方向をそれぞれ測定する。測定部113は、複数の人物のそれぞれの距離とその距離において経過した時間、さらに、人物の位置および顔の方向に関する情報を保持する。測定部113は、特定した人物に関するこれらの情報を、接続線設定部114および画像生成部116に供給する。
【0063】
本実施の形態における画像生成部116は、接続線の外観に関する情報および人物アイコンに関する情報に加えて、測定部113から人物のそれぞれの位置および顔の方向に関する情報を受け取る。そして画像生成部116は、受け取ったこれらの情報からリスク画像を生成する。すなわち画像生成部116は顔の方向に基づいて人物アイコンを配置する。より具体的には、画像生成部116は、選択アイコンの周囲に配置する他の人物アイコンの位置を、選択アイコンにかかる顔の向きとの相対的な角度により配置する。また画像生成部116は、選択アイコンの周囲に配置する他の人物アイコンの顔の方向を、選択アイコンにかかる顔の向きとの相対的な角度により配置してもよい。
【0064】
なお、上述した相対的な角度や、顔の向きは、上述の閾値より近づいた状態で時間の経過とともに変化をすることがある。そのため、画像生成部116は、人物アイコン同士の相対的な角度や顔の向きを、平均値や最も長く留まっていた角度などの、所定の統計値により算出する。
【0065】
また本実施の形態における画像生成部116は、リスク画像を生成するに際して、選択アイコンにかかる人物とその周囲の人物との距離を抽出し、その距離が予め設定された閾値未満の場合のリスク画像を生成する。画像生成部116は、生成したリスク画像を出力部117に供給する。
【0066】
次に図5を参照して、実施の形態3にかかるリスク表示装置10が行う処理について説明する。図5は、実施の形態3にかかるリスク表示方法を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、ステップS13に代えてステップS31を有する点が、図2に示すフローチャートと異なる。以下に、図5に示すフローチャートについて、図2に示すフローチャートと異なる点を中心に説明する。
【0067】
本実施の形態において、特定部112が画像データから複数の人物を特定したか否かを判定する処理(ステップS12)において、画像データから複数の人物を特定したと判定する場合(ステップS12:YES)、リスク表示装置10はステップS31に進む。
【0068】
ステップS31において、測定部113は、画像データから人物の互いの距離と当該距離に対応する時間を測定する。また測定部113は、画像データにおいて特定された人物の位置および顔の方向を測定する(ステップS31)。測定部113は、測定したこれらの情報のうち、人物の互いの距離と当該距離に対応する時間についての情報を接続線設定部114へ供給する。また測定部113は、測定したこれらの情報のうち、特定された人物の位置および顔の方向についての情報を画像生成部116に供給する。
【0069】
上述の処理の後、本実施の形態におけるステップS17において、画像生成部116は、人物の位置および顔の方向を加味してリスク画像を生成する。
【0070】
図6を参照して、リスク表示装置10が生成するリスク画像の例について説明する。図6は、実施の形態3にかかるリスク表示装置が生成するリスク画像の第1例を示す図である。図6には、リスク画像R21が示されている。リスク画像R21は、選択アイコンとして第1アイコンP11が選択され、中央に配置されている。
【0071】
第1アイコンP11は、第1人物P1の顔が抽出されたうえ、顔画像の正面が図の上方向を向くように配置されている。すなわち図の上側は、第1アイコンP11にかかる第1人物P1にとっての前方を示す。図の下側は、第1アイコンP11にかかる第1人物P1にとっての後方を示す。同様に、図の右側は、第1アイコンP11にかかる第1人物P1にとっての右側を示し、図の左側は、第1アイコンP11にかかる第1人物P1にとっての左側を示す。
【0072】
また第1アイコンP11の周囲には点線により描かれた円C21が示されている。第1アイコンP11は、この円C21の中心に配置されている。第1アイコンP11と円C21の外縁とは距離D10である。距離D10は施設900において予め設定された距離の閾値Dthに対応している。画像生成部116は、第1人物P1の周囲において閾値Dth未満の距離に存在する人物の人物アイコンを円C21の内側に表示する。
【0073】
図6において、第1アイコンP11の周囲には、他の人物にかかる第2アイコンP21、第3アイコンP31および第4アイコンP41がそれぞれ配置されている。第2アイコンP21は、図4において説明した接続線L12により第1アイコンP11と接続している。同様に、第3アイコンP31は接続線L13により第1アイコンP11と接続し、第4アイコンP41は接続線L14により第1アイコンP11と接続している。また第2アイコンP21、第3アイコンP31および第4アイコンP41は、施設900における第1人物P1との相対的な位置関係に対応した位置に配置されている。
【0074】
例えば第2アイコンP21にかかる第2人物P2は、施設900において第1人物P1の前方に存在していた。そのため、第2アイコンP21は、第1アイコンP11の前方に配置されている。同様に、第3人物P3は、施設900において第1人物P1の右後ろに存在していた。そのため、第3アイコンP31は、第1アイコンP11の右後ろに配置されている。第4人物P4は、施設900において第1人物P1の左前に存在していた。そのため、第4アイコンP41は、第1アイコンP11の左前に配置されている。
【0075】
上述の構成により、リスク表示装置10は、選択アイコンと他の人物アイコンとの距離、時間および方向を示すリスク画像を生成する。
【0076】
図7を参照して、リスク表示装置10が生成するリスク画像の別の例について説明する。図7は、実施の形態3にかかるリスク表示装置が生成するリスク画像の第2例を示す図である。図7は、リスク画像R22が示されている。リスク画像R22は、選択アイコンである第1アイコンP11の周囲に存在する他の人物アイコンの顔の方向がさらに表示されている点が、図6にかかるリスク画像R21と異なる。
【0077】
例えば第2アイコンP21にかかる第2人物P2は、施設900において第1人物P1の前方に存在し、主に第1人物P1の方に向いていた。そのため、第2アイコンP21は、第1アイコンP11の前方に配置され、さらに第2アイコンP21の顔画像の正面は第1アイコンP11の方に向いている。第3人物P3は、施設900において第1人物P1の右後ろに存在し、第1人物P1の方には向いておらず、主に右側を向いていた。そのため、第3アイコンP31は、第1アイコンP11の右後ろに配置され、第3アイコンP31の顔画像の正面は第1アイコンP11から右側に逸れた方向を向いている。第4人物P4は、施設900において第1人物P1の左前に存在し、主に第2人物P2の方を向いていた。そのため、第4アイコンP41は、第1アイコンP11の左前に配置され、第4アイコンP41の顔画像の正面は、第2アイコンP21に向かっている。
【0078】
上述のリスク画像R22を表示することにより、リスク表示装置10は、人物同士の接触状況の詳細をユーザが容易に把握できる態様において示すことができる。よって、本実施の形態によれば、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することができる。
【0079】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4は、感染リスク値を表示する点が、上述の実施の形態と異なる。図8は、実施の形態4にかかるリスク表示装置20のブロック図である。本実施の形態におけるリスク表示装置20は、感染リスク値算出部118および口唇状態検出部119を有している。
【0080】
感染リスク値算出部118は、二人の人物における少なくとも距離と時間とに基づいて感染リスク値を算出する。感染リスク値は、予め設定された感染症に感染する可能性を示す指標であり、予め設定された数値により示される。例えば感染リスク値は0から1までの数値により定義される。この場合、例えば0が最も感染リスクが低く、1が最も感染リスクが高いことを意味する。なお「感染リスク」は、値が高いほど感染する可能性が高いことを示す。より具体的には、例えば、二人の人物同士が至近距離で向かい合って話をする状況は、感染リスクが比較的に高い。感染リスク値を算出するための要素となる情報は、例えば二人の人物の間の距離、当該距離にかかる時間、およびそれぞれの人物の顔の向きである。また感染リスク値を算出するための要素となる情報は、人物の口唇状態を含んでもよい。口唇状態とは、例えば、人物が会話をしているか否か、マスクをしているか否か、咳やくしゃみをしているか、などの情報を含み得る。感染リスク値算出部118は、感染リスク値を算出すると、算出した感染リスク値に関する情報を、接続線設定部114に供給する。
【0081】
口唇状態検出部119は、画像データからそれぞれの人物の口唇部の状態を検出する。例えば口唇状態検出部119は、人物が口を開閉させていることや咳やくしゃみをしていることを検出する。口唇状態検出部119は、口唇状態を検出すると、検出した口唇状態に関する情報を、感染リスク値算出部118に供給する。この場合、感染リスク値算出部118は、口唇状態を加味して感染リスク値を算出する。
【0082】
本実施の形態における接続線設定部114は、感染リスク値算出部118から感染リスク値に関する情報を受け取り、受け取った感染リスク値に応じて接続線の外観を設定する。より具体的には例えば、接続線設定部114は、感染リスク値に応じて接続線の色調を設定してもよい。
【0083】
図9は、実施の形態4にかかるリスク表示方法を示すフローチャートである。図9にかかるフローチャートは、ステップS31とステップS14との間における処理が、図5において説明したフローチャートと異なる。
【0084】
ステップS31の後、口唇状態検出部119は、画像データから口唇状態を検出する(ステップS41)。口唇状態検出部119は、口唇状態を検出すると、検出した口唇状態に関する情報を、感染リスク値算出部118に供給する。
【0085】
次に、感染リスク値算出部118は、人物間の距離、時間および人物の顔の方向、および口唇状態に関する情報を取得し、取得したこれらの情報から、感染リスク値を算出する(ステップS42)。感染リスク値算出部118は、感染リスク値を算出すると、算出した感染リスク値に関する情報を接続線設定部114に供給する。
【0086】
次に、接続線設定部114は、人物間の距離および当該距離にかかる時間についての情報を取得する。さらに接続線設定部114は、感染リスク値に関する情報を取得する。そして接続線設定部114はこれらの情報から接続線の外観を設定する(ステップS14)。以降の処理は、前述のフローチャートと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0087】
図10は、実施の形態4にかかるリスク表示装置が表示する画像の例を示す図である。図10は、リスク画像R31が示されている。リスク画像R31は、接続線のそれぞれに色調が付されている。具体的には、接続線L12は赤であり、接続線L13は黄色であり、接続線L14は緑である。ここでは、例えば赤が最も感染リスク値が高く、緑が最も感染リスク値が低く、黄色の場合の感染リスク値は、赤の場合より低く、緑の場合より高い。
【0088】
以上、実施の形態4について説明した。本実施の形態にかかるリスク表示装置20は、感染リスク値を算出し、算出した感染リスク値に応じて接続線の外観を設定する。これにより、リスク表示装置20は、感染リスク値とともに選択アイコンにかかる人物と他の人物との接触状況を把握できる。よって、本実施の形態によれば、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することができる。
【0089】
<実施の形態4の変形例>
次に、実施の形態4の変形例について説明する。図11は、実施の形態4の変形例にかかるリスク表示システム2のブロック図である。図11に示すリスク表示システム2は、施設900にサーマルカメラ400を有する点が、上述の実施の形態と異なる。
【0090】
サーマルカメラ400は、カメラ300の撮影範囲に対応した画角により熱画像データを生成し、生成した熱画像データをリスク表示装置20に供給する。リスク表示装置20は、サーマルカメラ400から熱画像データを取得すると、測定部113が特定した人物にかかる体表温度を測定する。そして、感染リスク値算出部118は、体表温度を加味して感染リスク値を算出する。これにより、リスク表示装置20は、より詳細に感染リスク値を算出できる。そのため、本実施の形態によれば、複合的に生じる感染リスクを一元的に表示できるリスク表示装置等を提供することができる。
【0091】
<ハードウェア構成の例>
以下、本開示におけるリスク表示装置の各機能構成がハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現される場合について説明する。
【0092】
図14は、コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。本開示におけるリスク表示装置は、図に示すハードウェア構成を含むコンピュータ500により上述の機能を実現できる。コンピュータ500は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータであってもよいし、PCなどの据え置き型のコンピュータであってもよい。コンピュータ500は、各装置を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。コンピュータ500は、所定のアプリケーションをインストールされることにより、所望の機能を実現できる。
【0093】
コンピュータ500は、バス502、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース(I/F)510およびネットワークインタフェース(I/F)512を有する。バス502は、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ504などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0094】
プロセッサ504は、CPU、GPUまたはFPGAなどの種々のプロセッサである。メモリ506は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。
【0095】
ストレージデバイス508は、ハードディスク、SSD、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス508は、所望の機能を実現するためのプログラムが格納されている。プロセッサ504は、このプログラムをメモリ506に読み出して実行することで、各装置の各機能構成部を実現する。
【0096】
入出力インタフェース510は、コンピュータ500と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース510には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0097】
ネットワークインタフェース512は、コンピュータ500をネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0098】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0099】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
カメラから画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データから複数の人物を特定する特定手段と、
前記人物の互いの距離を測定する測定手段と、
前記距離に対応する接続線の外観を設定する接続線設定手段と、
前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンを生成する人物アイコン生成手段と、
前記接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する画像生成手段と、
前記リスク画像にかかるリスク画像データを出力する出力手段と、を備える
リスク表示装置。
(付記2)
前記接続線設定手段は、前記距離に対応する前記接続線の長さを設定する、
付記1に記載のリスク表示装置。
(付記3)
前記測定手段は、前記距離に対応する時間をさらに測定し、
前記接続線設定手段は、前記距離と前記時間とに対応する前記接続線の外観を設定する、
付記1または2に記載のリスク表示装置。
(付記4)
前記接続線設定手段は、前記時間に対応する前記接続線の太さを設定する、
付記3に記載のリスク表示装置。
(付記5)
前記接続線設定手段が設定する前記接続線の長さは、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記距離の平均値に対応する、
付記2に記載のリスク表示装置。
(付記6)
前記接続線設定手段が設定する前記接続線の太さは、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記時間の累計値に対応する、
付記4に記載のリスク表示装置。
(付記7)
前記画像生成手段は、一の前記人物アイコンを選択アイコンとして選択し、前記選択アイコンの周囲に他の前記人物アイコンを配置する、
付記1~6のいずれか一項に記載のリスク表示装置。
(付記8)
前記画像生成手段は、前記他の前記人物アイコンの内から一の前記人物アイコンが選択される処理を受け付けた場合には、選択された前記人物アイコンを前記選択アイコンとして配置する、
付記7に記載のリスク表示装置。
(付記9)
前記測定手段は、二人の前記人物の間の前記距離が所定の閾値より近づいた場合における前記人物の顔の方向をそれぞれ測定し、
前記人物アイコン生成手段は、前記人物の前記顔を含む前記人物アイコンを生成し、
前記画像生成手段は前記顔の方向に基づいて前記人物アイコンを配置する、
付記7または8に記載のリスク表示装置。
(付記10)
前記画像生成手段は、前記選択アイコンの周囲に配置する前記他の前記人物アイコンの位置を、前記選択アイコンにかかる前記顔の向きとの相対的な角度により配置する、
付記9に記載のリスク表示装置。
(付記11)
前記画像生成手段は、前記選択アイコンの周囲に配置する前記他の前記人物アイコンの前記顔の方向を、前記選択アイコンにかかる前記顔の向きとの相対的な角度により配置する、
付記9または10に記載のリスク表示装置。
(付記12)
二人の前記人物における少なくとも前記距離に基づいて感染リスク値を算出する感染リスク値算出手段をさらに備え、
前記接続線設定手段は、前記感染リスク値に応じて前記接続線の外観を設定する、
付記1~11のいずれか一項に記載のリスク表示装置。
(付記13)
前記人物の口唇状態を検出する口唇状態検出手段をさらに備え、
前記感染リスク値算出手段は、前記口唇状態をさらに加味して前記感染リスク値を算出する、
付記12に記載のリスク表示装置。
(付記14)
前記画像データ取得手段は、さらにサーマルカメラから熱画像データを取得し、
前記測定手段は、前記熱画像データに基づいて前記人物の体表温度を測定し、
前記感染リスク値算出手段は、前記体表温度をさらに加味して前記感染リスク値を算出する、
付記12または13に記載のリスク表示装置。
(付記15)
前記接続線設定手段は、前記感染リスク値に応じて前記接続線の色調を設定する、
付記12~14のいずれか一項に記載のリスク表示装置。
(付記16)
コンピュータが、
カメラから画像データを取得し、
前記画像データから複数の人物を特定し、
前記人物の互いの距離を測定し、
前記距離に対応する接続線の外観を設定し、
前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンを生成し、
前記接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成し、
前記リスク画像にかかるリスク画像データを出力する、
リスク表示方法。
(付記17)
カメラから画像データを取得する処理と、
前記画像データから複数の人物を特定する処理と、
前記人物の互いの距離を測定する処理と、
前記距離に対応する接続線の外観を設定する処理と、
前記画像データに基づいて前記人物を示す人物アイコンを生成する処理と、
前記接続線を介して複数の前記人物アイコンを互いに接続したリスク画像を生成する処理と、
前記リスク画像にかかるリスク画像データを出力する処理と、
を備える画像処理方法をコンピュータに実行させる
プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0100】
この出願は、2020年12月22日に出願された日本出願特願2020-212393を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0101】
1 リスク表示システム
2 リスク表示システム
10 リスク表示装置
20 リスク表示装置
111 画像データ取得部
112 特定部
113 測定部
114 接続線設定部
115 人物アイコン生成部
116 画像生成部
117 出力部
118 感染リスク値算出部
119 口唇状態検出部
200 ディスプレイ
300 カメラ
400 サーマルカメラ
500 コンピュータ
900 施設
L12 接続線
L13 接続線
L14 接続線
N1 通信ネットワーク
P1 第1人物
P2 第2人物
P3 第3人物
P4 第4人物
P11 第1アイコン
P21 第2アイコン
P31 第3アイコン
P41 第4アイコン
R11 リスク画像
R21 リスク画像
R22 リスク画像
R31 リスク画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12