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特許7605228情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241217BHJP
   G06V 40/40 20220101ALI20241217BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241217BHJP
【FI】
G06T7/00 510A
G06V40/40
G06F21/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022572933
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2021042188
(87)【国際公開番号】W WO2022145143
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2020218564
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】星野 哲朗
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-249587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0294824(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 40/00-40/70
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成可能な撮像装置と、
前記複数の画像のうちの少なくとも一つを用いて前記対象を認証する情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出する抽出手段と、
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する認証手段と
単位時間当たりに前記撮像装置が前記対象を撮像する回数を示す撮像レートを変更可能な変更手段と
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記変更手段は、前記撮像装置が同じ対象を撮像する期間中に、前記撮像レートを、第1の撮像レートから、前記第1の撮像レートとは異なる第2の撮像レートに変更し、
前記撮像装置は、前記第1の撮像レートで前記対象を時系列的に連続して撮像した後に、前記第2の撮像レートで同じ対象を時系列的に連続して撮像し、
前記認証手段は、前記第1の撮像レートで前記対象を時系列的に連続して撮像することで生成される前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続変化しているという第1条件、及び、前記第2の撮像レートで前記対象を時系列的に連続して撮像することで生成される前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化しているという第2条件の少なくとも一方が成立する場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記撮像装置は、前記撮像装置に向かって進んでいる前記対象を時系列的に連続して撮像する
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
撮像装置が対象を時系列的に連続して撮像することで生成される、前記対象が写り込んだ複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出する抽出手段と、
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する認証手段と
単位時間当たりに前記撮像装置が前記対象を撮像する回数を示す撮像レートを変更可能な変更手段と
を備える情報処理装置。
【請求項5】
撮像装置が対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成することと
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出することと
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定することと
を含み、単位時間当たりに前記撮像装置が前記対象を撮像する回数を示す撮像レートを変更可能である
情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
撮像装置が対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成することと
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出することと
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定することと
を含み、単位時間当たりに前記撮像装置が前記対象を撮像する回数を示す撮像レートを変更可能である
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、例えば、対象を認証する情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
人物の顔を撮像する撮像装置が生成した画像を用いて人物を認証する情報処理装置は、なりすましを防止することが求められている。このようななりすましを防止するための情報処理装置の一例が、特許文献1及び2に記載されている。
【0003】
その他、この開示に関連する先行技術文献として、特許文献3があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-067371号公報
【文献】特開2013-128572号公報
【文献】特許第6727684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この開示は、先行技術文献に記載された技術の改良を目的とする情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の情報処理システムは、対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成可能な撮像装置と、前記複数の画像のうちの少なくとも一つを用いて前記対象を認証する情報処理装置とを備え、前記情報処理装置は、前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出する抽出手段と、前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する認証手段とを備える。
【0007】
この開示の情報処理装置は、撮像装置が対象を時系列的に連続して撮像することで生成される、前記対象が写り込んだ複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出する抽出手段と、前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する認証手段とを備える。
【0008】
この開示の情報処理方法は、対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成し、前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出し、前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する。
【0009】
この開示の記録媒体は、コンピュータに、対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成し、前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出し、前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態の情報処理システムが行う認証動作の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、カメラの前に実際に存在する認証対象人物を撮像するカメラを示している。
図5図5は、カメラの前に実際に存在する認証対象人物をカメラが撮像する状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。
図6図6は、カメラの前に実際に存在する認証対象人物とは異なる登録人物が表示されたディスプレイを撮像するカメラを示している。
図7図7は、登録人物を表示するディスプレイの表示レートがカメラの撮像レートよりも低い状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。
図8図8は、登録人物を表示するディスプレイの表示レートがカメラの撮像レートよりも高い状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。
図9図9は、第2実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図10図10は、第3実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図11図11は、第3実施形態の情報処理システムが行う認証動作の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、第3実施形態の情報処理装置が表示する質問画面の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体の実施形態について説明する。以下では、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及び記録媒体の実施形態が適用された情報処理システムSYSについて説明する。
【0012】
(1)第1実施形態の情報処理システムSYS
初めに、第1実施形態の情報処理システムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、第1実施形態の情報処理システムSYSを、“情報処理システムSYSa”と称する。
【0013】
(1-1)情報処理システムSYSaの概要
情報処理システムSYSaは、カメラ1(後述する図1参照)の前に存在する対象(以降、“認証対象”と称する)をカメラ1が時系列的に連続して撮像することで生成される複数の画像のうちの少なくとも一つを用いて、画像に写り込んでいる対象を認証する。例えば、情報処理システムSYSaは、画像に写り込んでいる対象(以降、“被撮像対象”と称する)が、情報処理システムSYSaに予め登録された対象(以降、“登録対象”と称する)と一致するか否かを判定する照合処理を行うことで、認証対象を認証してもよい。
【0014】
対象は、例えば、人物を含んでいてもよい。対象は、人物とは異なる動物(例えば、犬及び猫等の哺乳類、スズメ等の鳥類、ヘビ等の爬虫類、カエル等の両生類及び金魚等の魚類の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。対象は、無生物たる物体を含んでいてもよい。無生物たる物体は、人物又は動物を模したロボットを含んでいてもよい。
【0015】
以下の説明では、対象が人物となる例について説明する。この場合、情報処理システムSYSaは、カメラ1(後述する図1参照)の前に存在するをカメラ1が時系列的に連続して撮像することで生成される複数の人物画像IMGのうちの少なくとも一つを用いて、人物画像IMGに写り込んでいる人物を認証する。例えば、情報処理システムSYSaは、複数の人物画像IMGの夫々に写り込んでいる人物(以降、“被撮像人物”と称する)が、情報処理システムSYSaに予め登録された人物(以降、“登録人物”と称する)と一致するか否かを判定する照合処理を行うことで、認証対象人物を認証してもよい。
【0016】
ここで、通常、カメラ1は、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物を撮像する。このため、人物画像IMGに写り込んでいる被撮像人物は、通常は、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物と一致する。この場合、被撮像人物が登録人物と一致するか否かを判定する照合処理は、認証対象人物が登録人物と一致するか否かを判定する照合処理と等価である。このため、情報処理システムSYSaは、被撮像人物が登録人物と一致すると判定した場合には、認証対象人物が登録人物と一致するがゆえに、認証対象人物の認証(つまり、人物画像IMGに写り込んでいる被撮像人物の認証、以降同じ)が成功したと判定する。一方で、情報処理システムSYSaは、被撮像人物が登録人物と一致しないと判定した場合には、認証対象人物が登録人物と一致しないがゆえに、認証対象人物の認証が失敗したと判定する。
【0017】
一方で、悪意を持った認証対象人物は、認証対象人物とは異なる登録人物になりすますために、認証対象人物とは異なる登録人物が写り込んだ画像をカメラに撮像させる可能性がある。具体的には、カメラ1の前に存在する悪意を持った認証対象人物は、登録人物が写り込んだ画像が表示されているポータブルなディスプレイ(例えば、スマートフォン又はタブレット端末のディスプレイ)をカメラ1の前に配置する可能性がある。その結果、カメラ1は、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物ではなく、ディスプレイに表示された登録人物の画像を撮像することになる。この場合、カメラ1の前に登録人物が実際には存在しないにも関わらず、カメラ1が生成した人物画像IMGには、登録人物が被撮像人物として写り込むことになる。その結果、情報処理システムSYSaは、照合処理を行うことで、人物画像IMGに写り込んでいる被撮像人物が、登録人物と一致するであると判定する可能性がある。このため、情報処理システムSYSaは、認証対象人物の認証が成功したと誤判定してしまう可能性がある。具体的には、情報処理システムSYSaは、カメラの前に登録人物が実際には存在しないにも関わらず、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物が登録人物と一致すると誤判定してしまう可能性がある。言い換えれば、情報処理システムSYSaは、カメラ1の前には登録人物とは異なる認証対象人物が存在するがゆえに認証対象人物の認証が失敗したと判定するべき状況であるにも関わらず、認証対象人物の認証が成功したと誤判定してしまう可能性がある。
【0018】
このため、認証対象人物を認証する情報処理システムSYSaは、悪意を持った認証対象人物が認証対象人物とは異なる登録人物になりすます行動に相当する「なりすまし」を防止することが求められる。そこで、第1実施形態の情報処理システムSYSaは、なりすましを防止しながら認証対象人物を認証するための認証動作を行う。特に、第1実施形態では、情報処理システムSYSaは、登録人物の画像を表示したディスプレイを用いて認証対象人物が登録人物になりすます行動に相当するなりすましを防止しながら認証対象人物を認証するための認証動作を行う。
【0019】
具体的には、後に詳述するが、情報処理システムSYSaは、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がない場合には、認証対象人物の認証が失敗したと判定する。このため、第1実施形態では、情報処理システムSYSaは、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がない場合には、仮に被撮像人物が登録人物と一致していると判定された場合であっても、認証対象人物の認証(つまり、被撮像人物の認証)が失敗したと判定する。
【0020】
以下、このような認証動作を行う情報処理システムSYSaの構成及び動作の詳細について、順に説明する。
【0021】
(1-2)情報処理システムSYSaの構成
はじめに、第1実施形態の情報処理システムSYSaの構成について説明する。
【0022】
(1-2-1)情報処理システムSYSaの全体構成
はじめに、図1を参照しながら、第1実施形態の情報処理システムSYSaの全体構成について説明する。図1は、第1実施形態の情報処理システムSYSaの全体構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、情報処理システムSYSaは、カメラ1と、情報処理装置2とを備えている。情報処理システムSYSaは、単一のカメラ1を備えていてもよいし、複数のカメラ1を備えていてもよい。カメラ1と情報処理装置2とは、通信ネットワーク3を介して互いに通信可能である。通信ネットワーク3は、有線の通信ネットワークを含んでいてもよい。通信ネットワーク3は、無線の通信ネットワークを含んでいてもよい。
【0024】
カメラ1は、撮像対象範囲を時系列的に連続して撮像可能な撮像装置である。カメラ1は、情報処理システムSYSaが行う認証動作の一部を構成する撮像処理を行う。撮像処理は、撮像対象範囲を撮像することで撮像対象範囲が写り込んだ画像を生成する処理を含む。
【0025】
通常、撮像対象範囲には、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物が存在する。この場合、カメラ1は、認証対象人物を時系列的に連続して撮像することで、認証対象人物が被撮像人物として写り込んだ複数の人物画像IMGを生成する。或いは、上述したように、登録人物の画像を表示したディスプレイを用いて認証対象人物が登録人物になりすましている場合には、撮像対象範囲には、登録人物の画像を表示したディスプレイ(特に、その表示画面)が存在する。この場合、カメラ1は、ディスプレイに表示された登録人物の画像を時系列的に連続して撮像することで、認証対象人物とは異なる登録人物が被撮像人物として写り込んだ複数の人物画像IMGを生成する。
【0026】
カメラ1は、所定の撮像レートで撮像対象範囲を時系列的に連続して撮像する。尚、撮像レートは、単位時間当たりにカメラ1が撮像対象範囲を撮像する回数を示していてもよい。例えば、カメラ1は、30[fps(frame per second)]という撮像レートで撮像対象範囲内の光景を時系列的に連続して撮像してもよい。尚、「x[fps]」という撮像レート(尚、xは、正の実数)は、撮像対象範囲を1秒間にx回撮像可能な(つまり、人物画像IMGを1秒間にx枚生成可能な)撮像レートを意味する。
【0027】
カメラ1は、生成した複数の人物画像IMGを、情報処理装置2に出力する。具体的には、カメラ1は、生成した複数の人物画像IMGを、通信ネットワーク3を介して、情報処理装置2に送信する。
【0028】
情報処理装置2は、通信ネットワーク3を介してカメラ1から送信された複数の人物画像IMGを受信する。情報処理装置2は、受信した複数の人物画像IMGを用いて、情報処理システムSYSaが行う認証動作の一部を構成する認証処理を行う。認証処理は、複数の人物画像IMGを用いて、なりすましを防止しながら認証対象人物を認証する処理である。第1実施形態では特に、認証処理は、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性が存在するか否かを判定する連続性判定処理を含む。連続性判定処理の結果、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がないと判定された場合には、上述したように、情報処理装置2は、認証対象人物の認証が失敗したと判定する。尚、情報処理装置2の構成及び情報処理装置2が行う認証処理(つまり、認証動作の一部)の詳細については、後に図面を参照しながら詳述するため、ここでの説明を省略する。
【0029】
尚、上述したように情報処理システムSYSaが複数のカメラ1を備えている場合には、情報処理装置2は、カメラ1毎に認証処理を別個に行ってもよい。例えば、情報処理装置2は、複数のカメラ1のうちの第1のカメラ1から送信された複数の人物画像IMGを用いて、第1のカメラ1の前に存在する認証対象人物を認証するための第1の認証処理を行ってもよい。例えば、情報処理装置2は、第1の認証処理と並行して又は相前後して、複数のカメラ1のうちの第1のカメラ1とは異なる第2のカメラ1から送信された複数の人物画像IMGを用いて、第2のカメラ1の前に存在する認証対象人物を認証するための第2の認証処理を行ってもよい。
【0030】
このような情報処理システムSYSaは、例えば、所定のエリアに対する認証対象人物の入場を許可するか否かを判定するために、認証動作を行ってもよい。この場合、カメラ1は、例えば、認証対象人物が所定のエリアに入場する際に利用可能な所定のエリアの出入り口に配置されていてもよい。また、登録人物は、所定のエリアに対して入場する権限を有する人物であってもよい。例えば、情報処理システムSYSaは、認証対象人物の認証が成功したと判定した場合には、所定のエリアに対する認証対象人物の入場を許可すると判定してもよい。この場合、情報処理システムSYSaは、所定のエリアの出入り口に配置されたゲート装置の状態を、所定のエリアに対する認証対象人物の入場を妨げない開状態に設定してもよい。一方で、例えば、情報処理システムSYSaは、認証対象人物の認証が失敗したと判定した場合には、所定のエリアに対する認証対象人物の入場を許可しないと判定してもよい。この場合、情報処理システムSYSaは、所定のエリアの出入り口に配置されたゲート装置の状態を、所定のエリアに対する認証対象人物の入場を禁止する閉状態に設定してもよい。但し、情報処理システムSYSaが認証動作を行う場面が、所定のエリアに対する認証対象人物の入場を許可するか否かを判定する場面に限定されることはない。
【0031】
(1-2-2)情報処理装置2の構成
続いて、図2を参照しながら、第1実施形態の情報処理装置2の構成について説明する。図2は、第1実施形態の情報処理装置2の構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、情報処理装置2は、演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23とを備えている。更に、情報処理装置2は、入力装置24と、出力装置25とを備えていてもよい。但し、情報処理装置2は、入力装置24及び出力装置25のうちの少なくとも一つを備えていなくてもよい。演算装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、入力装置24と、出力装置25とは、データバス26を介して接続されていてもよい。
【0033】
演算装置21は、例えば、CPU、GPU(Graphics Proecssing Unit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)のうちの少なくとも一つを含む。演算装置21は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、演算装置21は、記憶装置22が記憶しているコンピュータプログラムを読み込んでもよい。例えば、演算装置21は、コンピュータで読み取り可能であって且つ一時的でない記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。演算装置21は、通信装置23(或いは、その他の通信装置)を介して、情報処理装置2の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、ダウンロードしてもよい又は読み込んでもよい)。演算装置21は、読み込んだコンピュータプログラムを実行する。その結果、演算装置21内には、情報処理装置2が行うべき処理(例えば、上述した認証処理であり、特に、連続性判定処理を含む認証処理)を実行するための論理的な機能ブロックが実現される。つまり、演算装置21は、情報処理装置2が行うべき処理を実行するための論理的な機能ブロックを実現するためのコントローラとして機能可能である。
【0034】
図2には、演算装置21内に実現される論理的な機能ブロックの一例が示されている。図2に示すように、演算装置21内には、「抽出手段」の一具体例である特徴抽出部211と、「認証手段」の一具体例である認証部212とが実現される。特徴抽出部211は、複数の人物画像IMGの夫々から、被撮像人物の特徴量を抽出する。特に、特徴抽出部211は、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために利用可能な特徴量を抽出する。認証部212は、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定する。認証部212は、特徴量に基づいて、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がないと判定された場合に、認証対象人物の認証(つまり、被撮像人物の認証)が失敗したと判定する。
【0035】
記憶装置22は、所望のデータを記憶可能である。例えば、記憶装置22は、演算装置21が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶していてもよい。記憶装置22は、演算装置21がコンピュータプログラムを実行している際に演算装置21が一時的に使用するデータを一時的に記憶してもよい。記憶装置22は、情報処理装置2が長期的に保存するデータを記憶してもよい。尚、記憶装置22は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。つまり、記憶装置22は、一時的でない記録媒体を含んでいてもよい。
【0036】
通信装置23は、通信ネットワーク3(図1参照)を介して、カメラ1と通信可能である。第1実施形態では、通信装置23は、通信ネットワーク3を介して、カメラ1から人物画像IMGを受信(つまり、取得)する。
【0037】
入力装置24は、情報処理装置2の外部からの情報処理装置2に対する情報の入力を受け付ける装置である。例えば、入力装置24は、情報処理装置2のオペレータが操作可能な操作装置(例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つ)を含んでいてもよい。例えば、入力装置24は、情報処理装置2に対して外付け可能な記録媒体にデータとして記録されている情報を読み取り可能な読取装置を含んでいてもよい。
【0038】
出力装置25は、情報処理装置2の外部に対して情報を出力する装置である。例えば、出力装置25は、情報を画像として出力してもよい。つまり、出力装置25は、出力したい情報を示す画像を表示可能な表示装置(いわゆる、ディスプレイ)を含んでいてもよい。例えば、出力装置25は、情報を音声として出力してもよい。つまり、出力装置25は、音声を出力可能な音声装置(いわゆる、スピーカ)を含んでいてもよい。例えば、出力装置25は、紙面に情報を出力してもよい。つまり、出力装置25は、紙面に所望の情報を印刷可能な印刷装置(いわゆる、プリンタ)を含んでいてもよい。
【0039】
(1-3)情報処理システムSYSaが行う認証動作
続いて、図3を参照しながら、入場管理システムSYSaが行う認証動作について説明する。図3は、入場管理システムSYSaが行う認証動作の流れを示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、カメラ1は、撮像対象範囲を時系列的に連続して撮像する(ステップS11)。つまり、カメラ1は、撮像処理を行う(ステップS11)。その結果、カメラ1は、複数の人物画像IMGを生成する。上述したように、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物が撮像対象範囲に存在する場合には、複数の人物画像IMGの夫々には、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物が被撮像人物として写り込んでいる。一方で、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物とは異なる登録人物の画像が表示されたディスプレイが撮像対象範囲に存在する場合には、複数の人物画像IMGの夫々には、ディスプレイに表示された登録人物が被撮像人物として写り込んでいる。カメラ1は、生成した複数の人物画像IMGを情報処理装置2に送信する。
【0041】
カメラ1が行う撮像処理に続いて又は並行して、情報処理装置2は、認証処理を含むを行う(ステップS12からステップS15)。尚、図3は、説明の便宜上、カメラ1が行う撮像処理に続いて情報処理装置2が認証処理を行う例を示している。しかしながら、カメラ1が行う撮像処理と並行して、情報処理装置2が認証処理を行ってもよい。
【0042】
認証処理を行うために、特徴抽出部211は、ステップS11で生成された複数の人物画像IMGの夫々から、人物画像IMGに写り込んでいる被撮像人物の特徴量を抽出する(ステップS12)。特に、上述したように、特徴抽出部211は、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために利用可能な特徴量を抽出する。第1実施形態では、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために利用可能な特徴量は、典型的には、被撮像人物の動きに応じて変化する被撮像人物の特徴量である。
【0043】
被撮像人物が動くと、被撮像人物の身体のある部位が動く可能性がある。このため、特徴抽出部211は、ステップS12において、被撮像人物の身体のある部位(つまり、被撮像人物の身体のある特徴点)の位置に関する特徴量を抽出してもよい。例えば、被撮像人物の頭の少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物の顔の少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物の手の少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物の胴体の少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物の脚の少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物のまゆげの少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物のまつげの少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物の目の少なくとも一部の位置に関する特徴量、被撮像人物の眼球の少なくとも一部の位置に関する特徴量及び被撮像人物の口の少なくとも一部の位置に関する特徴量のうちの少なくとも一つを抽出してもよい。
【0044】
尚、ステップS12で抽出された特徴量は、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために用いられる。このため、ステップS12の処理は、連続性判定処理の一部を構成していてもよい。つまり、特徴抽出部211は、連続性判定処理の一部として、ステップS12の処理を行ってもよい。
【0045】
その後、認証部212は、ステップS12で抽出された特徴量に基づいて、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定する(ステップS13)。つまり、特徴抽出部211は、連続性判定処理の一部として、ステップS13の処理を行う。
【0046】
第1実施形態では、認証部212は、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために、例えば、ステップS12で抽出された特徴量が、複数の人物画像IMGの間で時系列的に連続して変化しているか否かを判定する。特徴量が、複数の人物画像IMGの間で時系列的に連続して変化していると判定される場合には、認証部212は、被撮像人物の動きに連続性があると判定する。一方で、特徴量が、複数の人物画像IMGの間で時系列的に連続して変化していないと判定される場合には、認証部212は、被撮像人物の動きに連続性がないと判定する。言い換えれば、特徴量が、複数の人物画像IMGの間で時系列的に非連続に変化していると判定される場合には、認証部212は、被撮像人物の動きに連続性がないと判定する。
【0047】
ステップS13における判定の結果、被撮像人物の動きに連続性があると判定された場合には(ステップS13:Yes)、認証部212は、認証対象人物が認証対象人物とは異なる人物になりすましている可能性はないと判定する。つまり、認証部212は、人物画像IMGには、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物が被撮像人物として写り込んでいると判定する。この場合、認証部212は、認証対象人物の認証が成功したと判定する(ステップS14)。
【0048】
但し、認証部212は、被撮像人物の動きに連続性があるという条件のみならず、被撮像人物が登録人物に一致しているという条件が成立した場合に、認証対象人物の認証が成功したと判定してもよい。このため、認証部212は、第1実施形態において、連続性判定処理に加えて、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する照合処理を行ってもよい。登録人物に関する情報(例えば、データベース)は、例えば記憶装置22によって記憶されていてもよい。この場合、認証部212は、記憶装置22に記憶されているデータベースを用いて照合処理を行ってもよい。
【0049】
他方で、ステップS13における判定の結果、被撮像人物の動きに連続性がないと判定された場合には(ステップS13:No)、認証部212は、認証対象人物が認証対象人物とは異なる人物(典型的には、登録人物)になりすましている可能性があると判定する。つまり、認証部212は、人物画像IMGには、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物とは異なる人物(典型的には、登録人物)が被撮像人物として写り込んでいると判定する。例えば、認証部212は、人物画像IMGには、カメラ1の前に存在するディスプレイに表示された人物(典型的には、登録人物)が被撮像人物として写り込んでいると判定する。この場合、認証部212は、認証対象人物の認証が失敗したと判定する(ステップS15)。
【0050】
まとめると、第1実施形態では、認証部212は、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がある(つまり、被撮像人物の特徴量が時系列的に連続して変化している)場合に、認証対象人物が認証対象人物とは異なる人物になりすましている可能性はない(その結果、認証対象人物の認証が成功した)と判定する。つまり、認証部212は、なりすましが発生している可能性はない(その結果、認証対象人物の認証が成功した)と判定する。一方で、認証部212は、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がない(つまり、被撮像人物の特徴量が時系列的に非連続に変化している)場合に、認証対象人物が認証対象人物とは異なる人物になりすましている可能性がある(その結果、認証対象人物の認証が失敗した)と判定する。つまり、認証部212は、なりすましが発生している可能性がある(その結果、認証対象人物の認証が失敗した)と判定する。このように、認証部212は、連続性判定処理を行うことで、なりすましが発生しているか否かを適切に判定することができる。以下、連続性判定処理を行うことでなりすましが発生しているか否かを適切に判定することが可能な技術的理由について、図4から図8を参照しながら説明する。
【0051】
図4は、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物を撮像するカメラ1を示している。この場合、カメラ1は、カメラ1の撮像レートに応じたタイミングで、認証対象人物を時系列的に連続して撮像する。その結果、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに応じた変化態様で変化する可能性が高くなる。例えば、図5は、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物をカメラ1が撮像する状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。図5に示すように、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに忠実になるように(言い換えれば、認証対象人物の動きに追従する)ように変化する可能性が高い。つまり、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに合わせた滑らかな変化態様で変化する可能性が高い。特に、被撮像人物の特徴量は、撮像レートに応じた周期で、認証対象人物の動きに合わせて変化する可能性が高い。この場合、第1実施形態では、認証部212は、被撮像人物の特徴量が時系列的に連続して変化すると判定してもよい。従って、第1実施形態では、「被撮像人物の特徴量が時系列的に連続して変化する」状態(つまり、被撮像人物の動きに連続性がある状態)は、「被撮像人物の特徴量が、認証対象人物の動きに応じた変化態様で変化する」状態を意味していてもよい。
【0052】
一方で、図6は、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物とは異なる登録人物の画像が表示されたディスプレイを撮像するカメラ1を示している。この場合、カメラ1は、カメラ1の撮像レートに応じたタイミングで、ディスプレイに表示された登録人物の画像を時系列的に連続して撮像する。ここで、ディスプレイは、一般的には、所定の表示レート(言い換えれば、表示レート)で画像を表示する。尚、表示レートは、単位時間当たりにディスプレイが画像を表示する(言い換えれば、更新する又は書き換える)回数を示していてもよい。例えば、ディスプレイは、60[fps]という表示レートで画像を表示してもよい。尚、「x[fps]」という表示レート(尚、xは、正の実数)は、画像を1秒間にx回表示可能な表示レートを意味する。この場合、カメラ1の撮像レートとディスプレイの表示レートとの大小関係によっては、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する可能性が高くなる。典型的には、カメラ1の撮像レートとディスプレイの表示レートとが異なる場合には、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する可能性が高くなる。
【0053】
例えば、図7は、ある動きをしている登録人物が写り込んだ複数の画像をDR#1[fps]という表示レートで表示しているディスプレイを、IR#1[fps](但し、IR#1>DR#1)という撮像レートでカメラ1が撮像する状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。つまり、図7は、登録人物を表示するディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートよりも低い状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。図7に示すように、ディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートよりも低い場合には、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する可能性が高い。具体的には、図7に示すように、時刻t1において、ディスプレイは、第1状態にある登録人物が写り込んだ表示画像Aを表示する。その結果、時刻t1において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Aを撮像することで、第1状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#1を生成する。その後、時刻t1から撮像レートIR#1の逆数に相当する撮像周期IC#1が経過した時刻t2において、カメラ1は、再度ディスプレイを撮像する。時刻t2においては、時刻t1から表示レートDR#1の逆数に相当する表示周期DC#1が経過していないがゆえに、ディスプレイは、表示画像Aを表示したままである。その結果、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Aを再度撮像することで、第1状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#2を生成する。その後、時刻t2から撮像周期IC#1が経過した時刻t3において、カメラ1は、再度ディスプレイを撮像する。時刻t3においては、時刻t1から表示周期DC#1が経過したがゆえに、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第1状態から第2状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Bを表示する。その結果、時刻t3において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Bを撮像することで、第2状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#3を生成する。以降同様の動作が繰り返される。その結果、時刻t3から撮像周期IC#1が経過した時刻t4において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Bを撮像することで、第2状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#4を生成す。更に、時刻t4から撮像周期IC#1が経過した時刻t5及び時刻t5から撮像周期IC#1が経過した時刻t6の夫々において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第2状態から第3状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Cを表示する。その結果、時刻t5及びt6の夫々において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Cを撮像することで、第3状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#5及び#6を生成する。更に、時刻t6から撮像周期IC#1が経過した時刻t7及び時刻t7から撮像周期IC#1が経過した時刻t8の夫々において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第3状態から第4状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Dを表示する。その結果、時刻t7及びt8の夫々において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Dを撮像することで、第4状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#7及び#8を生成する。更に、時刻t8から撮像周期IC#1が経過した時刻t9及び時刻t9から撮像周期IC#1が経過した時刻t10の夫々において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第4状態から第5状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Eを表示する。その結果、時刻t9及びt10の夫々において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Eを撮像することで、第5状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#9及び#10を生成する。この場合、図7に示すように、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに忠実に変化しない(言い換えれば、認証対象人物の動きに追従しないように変化する)可能性が高い。つまり、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに合致しない非連続な変化態様で変化する可能性が高い。なぜならば、カメラ1は、ディスプレイに表示された同じ表示画像を異なる時刻に重複して撮像するからである。
【0054】
一方で、例えば、図8は、ある動きをしている登録人物が写り込んだ複数の画像をDR#2[fps]という表示レートで登録人物の画像を表示しているディスプレイを、IR#2[fps](但し、IR#2<DR#2)という撮像レートでカメラ1が撮像する状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。つまり、図8は、登録人物を表示するディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートよりも高い状況下での特徴量の時間変化を示すグラフである。図8に示すように、ディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートよりも高い場合には、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する可能性が高い。具体的には、図8に示すように、時刻t1において、ディスプレイは、第1状態にある登録人物が写り込んだ表示画像Aを表示する。その結果、時刻t1において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Aを撮像することで、第1状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#1を生成する。その後、時刻t1から撮像レートIR#2の逆数に相当する撮像周期IC#2が経過した時刻t2において、カメラ1は、再度ディスプレイを撮像する。時刻t2においては、時刻t1から表示レートDR#2の逆数に相当する表示周期DC#2が既に経過しているがゆえに、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第1状態から第2状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Bを表示している。その結果、時刻t2において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Bを撮像することで、第2状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#2を生成する。その後、時刻t2から撮像周期IC#2が経過した時刻t3において、カメラ1は、再度ディスプレイを撮像する。ここで、時刻t3においては、時刻t1から表示周期DC#2の3倍に相当する期間が経過している。その結果、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第2状態から第3状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Cの表示を既に終了し、登録人物の動きに合わせて第3状態から第4状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Dの表示を表示している。その結果、時刻t3において、カメラ1は、第3状態にある登録人物が写り込んだ表示画像Cを撮像することなく、ディスプレイに表示された表示画像Dを撮像することで、第4状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#3を生成する。つまり、人物画像IMG#1から#3には、第1状態から第2及び第3状態を経て第4状態に遷移するように自然な動きをしている登録人物ではなく、第1状態から第2状態を経て第3状態を経ることなく第4状態に遷移するように不自然な動き(つまり、非連続な動き)をしている登録人物が写り込むことになる。以降同様の動作が繰り返される。その結果、時刻t3から撮像周期IC#2が経過した時刻t4において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第4状態から第5状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Eを表示する。その結果、時刻t4において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Eを撮像することで、第5状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#4を生成する。更に、時刻t4から撮像周期IC#2が経過した時刻t5において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第5状態から第6状態を経て第7状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Gを表示する。その結果、時刻t5において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Gを撮像することで、第7状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#5を生成する。更に、時刻t5から撮像周期IC#2が経過した時刻t6において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第7状態から第8状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Hを表示する。その結果、時刻t6において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Hを撮像することで、第8状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#6を生成する。更に、時刻t6から撮像周期IC#2が経過した時刻t7において、ディスプレイは、登録人物の動きに合わせて第8状態から第9状態を経て第10状態へと変化した登録人物が写り込んだ表示画像Jを表示する。その結果、時刻t7において、カメラ1は、ディスプレイに表示された表示画像Jを撮像することで、第10状態にある登録人物が写り込んだ人物画像IMG#7を生成する。この場合、図8に示すように、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに忠実に変化しない(言い換えれば、認証対象人物の動きに追従しないように変化する)可能性が高い。つまり、被撮像人物の特徴量は、認証対象人物の動きに合致しない非連続な変化態様で変化する可能性が高い。なぜならば、人物画像IMG#1から#7には、第1状態から第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8及び第9状態を順に経て第10状態に遷移するように自然な動きをしている登録人物ではなく、第1状態から第3、第6及び第9状態を経ることなく第10状態に遷移するように不自然な動き(つまり、非連続な動き)をしている登録人物が写り込むからである。
【0055】
このように、ある動きをしている登録人物が写り込んだ複数の画像をディスプレイが表示したとしても、被撮像人物の特徴量は、時系列的に非連続に変化する可能性が高くなる。つまり、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物と同じ動きをディスプレイに表示された登録人物がしていたとしても、ディスプレイに表示された登録人物を撮像することで生成される人物画像IMGに写り込んだ被撮像人物の特徴量は、時系列的に非連続に変化する可能性が高くなる。言い換えれば、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物と同じ動きをディスプレイに表示された登録人物がしていたとしても、ディスプレイに表示された登録人物を撮像することで生成される人物画像IMGに写り込んだ被撮像人物の特徴量は、認証対象人物を撮像することで生成される人物画像IMGに写り込んだ被撮像人物の特徴量とは異なる変化態様で変化する可能性が高くなる。この場合、第1実施形態では、認証部212は、被撮像人物の特徴量が時系列的に非連続に変化していると判定する。従って、第1実施形態では、「被撮像人物の特徴量が時系列的に非連続に変化する」状態(つまり、被撮像人物の動きに連続性がない状態)は、「被撮像人物の特徴量が、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する」状態を意味していてもよい。
【0056】
図7に示す例では、被撮像人物の特徴量は、あるタイミング(例えば、時刻t3、t5、t7及びt9)では変化する一方で、あるタイミング(例えば、時刻t2、t4、t6、t8及びt10)では変化しない。つまり、図7に示す例では、被撮像人物の特徴量は、前後の時刻における特徴量と比較して変化してない特徴量が一定の周期で現れるという変化態様で変化する。このため、「被撮像人物の特徴量が、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する」状態は、例えば、図7に示すように、「前後の時刻における特徴量と比較して変化してない特徴量が一定の周期で現れる」状態を含んでいてもよい。この場合、認証部212は、前後の時刻における特徴量と比較して変化してない特徴量が一定の周期で現れるか否かを判定することで、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定してもよい。例えば、認証部212は、前後の時刻における特徴量と比較して変化してない特徴量が一定の周期で現れると判定した場合には、被撮像人物の動きに連続性がないと判定してもよい。例えば、認証部212は、前後の時刻における特徴量と比較して変化してない特徴量が一定の周期で現れることはないと判定した場合には、被撮像人物の動きに連続性があると判定してもよい。
【0057】
図8に示す例では、被撮像人物の特徴量は、特徴量を結ぶ近似線(つまり、回帰曲線)からの乖離量(つまり、差分)があるタイミングで大きくなる変化態様で変化しているとも言える。つまり、図8に示す例では、被撮像人物の特徴量は、一定の周期で特徴量と近似線との差分が一定量以上大きくなるという変化態様で変化する。このため、「被撮像人物の特徴量が、認証対象人物の動きに応じた変化態様とは異なる変化態様で変化する」状態は、例えば、図8に示すように、「一定の周期で特徴量と近似線との差分が所定閾値以上大きくなる(つまり、特徴量と近似線との差分が所定閾値以上大きくなる現象が、一定の周期で観測される)状態を含んでいてもよい。この場合、認証部212は、特徴量を結ぶ近似線と特徴量との差分に基づいて、被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定してもよい。例えば、認証部212は、一定の周期で特徴量と近似線との差分が所定閾値以上大きくなると判定した場合には、被撮像人物の動きに連続性があると判定してもよい。例えば、認証部212は、一定の周期で特徴量と近似線との差分が所定閾値以上大きくなることはないと判定した場合には、被撮像人物の動きに連続性があると判定してもよい。
【0058】
(1-4)情報処理システムSYSaの技術的効果
以上説明したように、第1実施形態の情報処理システムSYSaは、なりすましが発生していない状況下での被撮像人物の動きの連続性と、なりすましが発生している状況下での被撮像人物の動きの連続性との間に有意な違いが存在することに着目し、被撮像人物の動きの連続性に基づいて、なりすましが発生しているか否かを判定する。このため、情報処理システムSYSa(特に、認証処理を実際に行う情報処理装置2)は、被撮像人物の動きの連続性に着目することなくなりすましが発生しているか否かを判定する比較例の情報処理装置と比較して、なりすましが発生しているか否かをより高精度に判定することができる。その結果、情報処理システムSYSaは、なりすましをより適切に防止することができる。つまり、情報処理システムSYSa(特に、認証処理を実際に行う情報処理装置2)は、なりすましをより適切に防止することで、認証対象人物を精度よく認証することができる。
【0059】
尚、なりすましが発生しているか否かを判定するために被撮像人物の動きに連続性があるか否かを認証部212が判定するがゆえに、認証対象人物は、カメラ1の前で動くことが好ましい。このため、演算装置21は、出力装置25を用いて、カメラ1の前で動くように認証対象人物に指示してもよい。例えば、演算装置21は、出力装置25を用いて、カメラ1の前で特定の動きをするように認証対象人物に指示してもよい。特定の動きの一例として、認証対象人物の連続的な動きがあげられる。認証対象人物の連続的な動きとして、認証対象人物が歩くという動き、認証対象人物が走るという動き、認証対象人物がジャンプするという動き及び認証対象人物がしゃがむという動きのうちの少なくとも一つがあげられる。特定の動きの一例として、認証対象人物の身体のある部位の連続的な動きがあげられる。認証対象人物の身体のある部位の連続的な動きの一例として、手を上げる動き、手を下げる動き、手を振る動き、脚を上げる動き、脚を下げる動き、脚を揺らす動き、顔を傾ける動き、首を振る(つまり、顔を振る)という動き、まゆげを持ち上げるという動き、目を開けるという動き、目を閉じるという動き、眼球を所定方向に動かく動き、口を開けるという動き及び口を閉じるという動きのうちの少なくとも一つがあげられる。
【0060】
或いは、カメラ1は、カメラ1に向かって進行している認証対象人物を撮像してもよい。例えば、所定のエリアの出入り口にカメラ1が配置されている場合には、認証対象人物は、所定のエリアに入場するために、カメラ1に向かって(つまり、出入り口に向かって)歩いてくる可能性がある。この場合、カメラ1に向かって進行してくる認証対象人物をカメラ1が撮像すれば、特徴抽出部211は、カメラ1が生成した複数の人物画像IMGから、カメラ1に向かって進行してくるという認証対象人物の動きに応じて変化する特徴量を抽出できる。その結果、認証部212は、カメラ1に向かって進行してくるという認証対象人物の動きの連続性に基づいて、なりすましが発生しているか否かを判定できる。この場合、認証対象人物が積極的に又は意図的に特定の動きをする必要がなくなるため、認証対象人物の手間が軽減されるという効果が享受可能となる。
【0061】
(2)第2実施形態の情報処理システムSYS
続いて、第2実施形態の情報処理システムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、第2実施形態の情報処理システムSYSを、“情報処理システムSYSb”と称する。第2実施形態の情報処理システムSYSbは、上述した第1実施形態の情報処理システムSYSaと比較して、情報処理装置2に代えて、情報処理装置2bを備えるという点で異なる。情報処理システムSYSbのその他の特徴は、情報処理システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。このため、以下では、図9を参照しながら、第2実施形態の情報処理装置2bについて説明する。図9は、第2実施形態の情報処理装置2bの構成を示すブロック図である。
【0062】
図9に示すように、第2実施形態の情報処理装置2bは、上述した第1実施形態の情報処理装置2と比較して、演算装置21内に、論理的な機能ブロックとしてレート変更部213bが実現されるという点で異なる。尚、レート変更部213bは、「変更手段」の一具体例である。情報処理装置2bのその他の特徴は、情報処理装置2のその他の特徴と同一であってもよい。
【0063】
レート変更部213bは、カメラ1の撮像レートを変更可能である。例えば、レート変更部213bは、カメラ1の撮像レートとして設定可能な複数のレート候補の中から一のレート候補を選択し、カメラ1の撮像レートを選択したレート候補に変更してもよい。この場合、レート変更部213bは、複数のレート候補の中から、一のレート候補をランダムに選択してもよい。或いは、レート変更部213bは、複数のレート候補の中から、所定の選択基準に従って一のレート候補を選択してもよい。例えば、レート変更部213bは、カメラ1の撮像レートを、変更後の撮像レートが変更前の撮像レートよりも高くなるように変更してもよい。例えば、レート変更部213bは、カメラ1の撮像レートを、変更後の撮像レートが変更前の撮像レートよりも低くなるように変更してもよい。
【0064】
このように撮像レートが変更可能である場合には、撮像レートが変更可能でない(つまり、撮像レートが固定されている)場合と比較して、情報処理装置2bは、なりすましが発生しているか否かをより適切に判定することができる。その理由は以下の通りである。
【0065】
まず、情報処理装置2bは、登録人物の画像を表示したディスプレイを用いたなりすましが発生しているか否かを判定するために、上述したように、ある動きをしている登録人物の画像を表示しているディスプレイをカメラ1が撮像すると、被撮像人物の動きに連続性がなくなるということを利用している。一方で、ディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートと一致する場合には、ある動きをしている登録人物の画像を表示しているディスプレイをカメラ1が撮像したとしても、被撮像人物の動きの連続性が維持される可能性がある。なぜならば、カメラ1がディスプレイに表示された登録人物の画像を撮像するタイミングと、ディスプレイが登録人物の画像を表示し直すタイミングとが同期しているからである。その結果、情報処理装置2bは、なりすましが発生している状況下で、なりすましが発生していないと誤判定してしまう可能性がある。つまり、情報処理装置2bは、登録人物の画像を表示したディスプレイを用いて認証対象人物が登録人物になりすましている状況下で、認証対象人物の認証が成功したと誤判定してしまう可能性がある。
【0066】
しかるに、カメラ1の撮像レートが変更される場合には、カメラ1の撮像レートが変更されない場合と比較して、ディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートと一致しなくなる可能性が高くなる。その結果、カメラ1がディスプレイに表示された登録人物の画像を撮像する状況下で、ディスプレイの表示レートがカメラ1の撮像レートと一致しなくなる可能性が高くなる。なぜならば、通常、ディスプレイの表示レートが変更されることはなく、且つ、カメラ1の撮像レートに関する情報は、登録人物になりすましている悪意を持った認証対象人物が知り得ない情報であるからである。このため、ある動きをしている登録人物の画像を表示しているディスプレイをカメラ1が撮像すると、被撮像人物の動きの連続性がなくなる可能性が高くなる。その結果、情報処理装置2bは、なりすましが発生している状況下で、なりすましが発生していると適切に判定することができる。つまり、情報処理装置2bは、なりすましが発生しているか否かをより高精度に判定することができる。
【0067】
一例として、ディスプレイの表示レートが60fpsに設定されている状況下でカメラ1の撮像レートが60fpsに固定されている場合には、情報処理装置2bは、なりすましが発生している状況下で、なりすましが発生していないと誤判定してしまう可能性がある。一方で、このような状況下でカメラ1の撮像レートが60fpsから、60fpsよりも高い90fpsに変更されると、図7を用いて説明したように、被撮像人物の特徴量が時系列的に非連続に変化する可能性が高くなる。或いは、このような状況下でカメラ1の撮像レートが60fpsから、60fpsよりも低い30fpsに変更されると、図8を用いて説明したように、被撮像人物の特徴量が時系列的に非連続に変化する可能性が高くなる。その結果、なりすましが発生している状況下で、なりすましが発生していないと情報処理装置2bが誤判定してしまう可能性が低くなる。つまり、情報処理装置2bは、なりすましが発生している状況下で、なりすましが発生していると適切に判定することができる。
【0068】
レート変更部213bは、ランダムなタイミングで、カメラ1の撮像レートを変更してもよい。この場合、レート変更部213bが予め定められたタイミングでカメラ1の撮像レートを変更する場合と比較して、悪意を持った認証対象人物がカメラ1の撮像レートの変更に気づく可能性が低くなる。このため、悪意を持った認証対象人物がディスプレイの表示レートをカメラ1の撮像レートに一致させるための対策を取りにくくなる。その結果、情報処理装置2bは、なりすましが発生している状況下で、なりすましが発生していると適切に判定することができる。
【0069】
レート変更部213bは、同じ認証対象人物がカメラ1の前に存在する期間中に、カメラ1の撮像レートを変更してもよい。例えば、レート変更部213bは、カメラ1の撮像対象範囲に同じ認証対象人物が存在する期間中に、カメラ1の撮像レートを第1の撮像レートから第2の撮像レートに変更してもよい。つまり、レート変更部213bは、カメラ1が同じ認証対象人物を撮像する期間中に、カメラ1の撮像レートを第1の撮像レートから第2の撮像レートに変更してもよい。この場合、カメラ1は、第1の撮像レートで認証対象人物を撮像した後に、第2の撮像レートで認証対象人物を撮像してもよい。或いは、例えば、レート変更部213bは、カメラ1の撮像対象範囲に悪意を持った同じ認証対象人物が用いるディスプレイが存在する期間中に、カメラ1の撮像レートを第1の撮像レートから第2の撮像レートに変更してもよい。つまり、レート変更部213bは、カメラ1が同じディスプレイ(つまり、同じディスプレイに表示された同じ登録人物の画像)を撮像する期間中に、カメラ1の撮像レートを第1の撮像レートから第2の撮像レートに変更してもよい。この場合、カメラ1は、第1の撮像レートでディスプレイに表示された登録人物を撮像した後に、第2の撮像レートでディスプレイに表示された同じ登録人物を撮像してもよい。
【0070】
この場合、認証部212は、第1の撮像レートで撮像対象範囲を撮像することで生成される複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がないという第1条件が成立する場合に、なりすましが発生している(その結果、認証対象人物の認証が失敗した)と判定してもよい。或いは、認証部212は、第1条件に加えて又は代えて、第2の撮像レートで撮像対象範囲を撮像することで生成される複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性がないという第2条件が成立する場合に、なりすましが発生している(その結果、認証対象人物の認証が失敗した)と判定してもよい。つまり、認証部212は、第1及び第2条件の少なくとも一方が成立する場合に、なりすましが発生している(その結果、認証対象人物の認証が失敗した)と判定してもよい。その結果、認証部212は、カメラ1の撮像レートが変更される場合であっても、なりすましが発生しているか否かを適切に判定することができる。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態の情報処理システムSYSb(特に、情報処理装置2b)は、上述した第1実施形態の情報処理システムSYSa(特に、情報処理装置2)が享受可能な効果と同様の効果を享受しつつ、なりすましが発生しているか否かをより適切に(例えば、より高精度に)判定することができる。
【0072】
(3)第3実施形態の情報処理システムSYS
続いて、第3実施形態の情報処理システムSYSについて説明する。尚、以下の説明では、第3実施形態の情報処理システムSYSを、“情報処理システムSYSc”と称する。第3実施形態の情報処理システムSYScは、上述した第1実施形態の情報処理システムSYSa又は第2実施形態の情報処理システムSYS2bと比較して、情報処理装置2に代えて、情報処理装置2cを備えるという点で異なる。情報処理システムSYScのその他の特徴は、情報処理システムSYSa又は情報処理システムSYS2bのその他の特徴と同一であってもよい。このため、以下では、図10を参照しながら、第3実施形態の情報処理装置2cについて説明する。図10は、第3実施形態の情報処理装置2cの構成を示すブロック図である。
【0073】
図10に示すように、第3実施形態の情報処理装置2cは、上述した第1実施形態の情報処理装置2又は第2実施形態の情報処理装置2bと比較して、演算装置21内に、論理的な機能ブロックとして照合部214cと質問処理部215cとが実現されるという点で異なる。尚、図10では、情報処理装置2cが情報処理装置2bと同様にレート変更部213bを備えているが、情報処理装置2cは、情報処理装置2と同様にレート変更部213bを備えていなくてもよい。更に、第3実施形態の情報処理装置2cは、上述した第1実施形態の情報処理装置2と比較して、記憶装置22が、照合DB221cと質問DB222cとを記憶しているという点で異なる。情報処理装置2cのその他の特徴は、情報処理装置2のその他の特徴と同一であってもよい。
【0074】
続いて、図11を参照しながら、第3実施形態の情報処理システムSYScが行う認証動作について説明する。図11は、第3実施形態の情報処理システムSYScが行う認証動作の流れを示すフローチャートである。
【0075】
図11に示すように、カメラ1は、撮像対象範囲を時系列的に連続して撮像する(ステップS21c)。つまり、カメラ1は、撮像処理を行う(ステップS21c)。尚、図11のステップS21cにおける処理は、図3のステップS11における処理と同一であってもよい。このため、図11のステップS21cにおける処理の詳細な説明は省略する。
【0076】
ステップS21cにおいてカメラ1が行う撮像処理に続いて又は並行して、情報処理装置2cは、照合処理を行う(ステップS22cからステップS23c)。尚、図11は、説明の便宜上、カメラ1が行う撮像処理に続いて情報処理装置2cが照合処理を行う例を示している。しかしながら、カメラ1が行う撮像処理と並行して、情報処理装置2cが照合処理を行ってもよい。
【0077】
照合処理を行うために、特徴抽出部211は、ステップS11で生成された複数の人物画像IMGの少なくとも一つから、人物画像IMGに写り込んでいる被撮像人物の特徴量を抽出する(ステップS22c)。尚、ステップS22cで抽出された特徴量は、被撮像人物が登録人物と一致するか否かを判定するために用いられる。このため、ステップS22cの処理は、照合処理の一部を構成していてもよい。つまり、特徴抽出部211は、照合処理の一部として、ステップS12の処理を行ってもよい。
【0078】
その後、照合部214cは、ステップS22cで抽出された特徴量に基づいて、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する(ステップS23c)。つまり、照合部214cは、照合処理の一部として、ステップS23cの処理を行う。
【0079】
照合部214cは、ステップS22cで抽出された被撮像人物の特徴量と、登録人物の特徴量とを比較することで、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定してもよい。照合部214cは、被撮像人物の特徴量と登録人物の特徴量との差分が閾値よりも小さい場合には、被撮像人物が登録人物に一致していると判定してもよい。一方で、照合部214cは、被撮像人物の特徴量と登録人物の特徴量との差分が閾値よりも大きい場合には、被撮像人物が登録人物に一致していないと判定してもよい。
【0080】
照合部214cは、被撮像人物の顔の特徴量と、登録人物の顔の特徴量とを比較することで、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定してもよい。この場合、特徴抽出部211は、ステップS22cにおいて、被撮像人物の顔の特徴量を抽出してもよい。被撮像人物の顔の特徴量と登録人物の顔の特徴量とを比較することで被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する照合処理は、実質的には、顔認証で行われる照合処理と同一であってもよい。
【0081】
照合部214cは、被撮像人物の虹彩の特徴量と、登録人物の虹彩の特徴量とを比較することで、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定してもよい。この場合、特徴抽出部211は、ステップS22cにおいて、被撮像人物の虹彩の特徴量を抽出してもよい。被撮像人物の虹彩の特徴量と登録人物の虹彩の特徴量とを比較することで被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する照合処理は、実質的には、虹彩認証で行われる照合処理と同一であってもよい。
【0082】
照合部214cは、被撮像人物の指紋の特徴量と、登録人物の指紋の特徴量とを比較することで、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定してもよい。この場合、特徴抽出部211は、ステップS22cにおいて、被撮像人物の指紋の特徴量を抽出してもよい。被撮像人物の指紋の特徴量と登録人物の指紋の特徴量とを比較することで被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する照合処理は、実質的には、指紋認証で行われる照合処理と同一であってもよい。
【0083】
照合部214cは、被撮像人物の任意の生体情報(例えば、掌紋及び静脈パターンの少なくとも一方)に関する特徴量と、登録人物の任意の生体情報に関する特徴量とを比較することで、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定してもよい。この場合、特徴抽出部211は、ステップS22cにおいて、被撮像人物の生体情報に関する特徴量を抽出してもよい。被撮像人物の生体情報に関する特徴量と登録人物の生体情報に関する特徴量とを比較することで被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する照合処理は、実質的には、生体認証で行われる照合処理と同一であってもよい。
【0084】
尚、生体情報の一例として、人物の声に関する情報があげられる。しかしながら、被撮像人物の声に関する特徴量を人物画像IMGから抽出することは容易ではない。このため、生体情報として人物の声に関する情報が用いられる場合は、情報処理システムSYScは、認証対象人物の声を検出可能な検出装置(例えば、マイク)を備えていてもよい。この場合、特徴抽出部211は、被撮像人物の声に関する特徴量を抽出してもよい。その後、照合部214cは、被撮像人物の声に関する特徴量と、登録人物の声に関する特徴量とを比較することで、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定してもよい。被撮像人物の声に関する特徴量と登録人物の声に関する特徴量とを比較することで被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する照合処理は、実質的には、声認証で行われる照合処理と同一であってもよい。
【0085】
登録人物に関する情報は、記憶装置22が記憶する照合DB221cに格納されていてもよい。照合DB221cは、例えば、登録人物の特徴量に関する情報を含む人物レコードを格納していてもよい。一般的に、情報処理システムSYScには、複数の登録人物が登録されている。このため、照合DB221cは、複数の登録人物に夫々対応する複数の人物レコードを格納していてもよい。この場合、被撮像人物が登録人物に一致しているか否かを判定する処理は、被撮像人物に一致する登録人物が複数の登録人物の中に存在するか否かを判定する処理と等価である。
【0086】
ステップS23cにおける判定の結果、被撮像人物が登録人物に一致していないと判定された場合には(ステップS23c:No)、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物又はカメラ1が撮像しているディスプレイに表示された人物は、登録人物として情報処理システムSYScに登録されていない。この場合、認証部212は、認証対象人物の認証が失敗したと判定する(ステップS15)。
【0087】
他方で、ステップS23cにおける判定の結果、被撮像人物が登録人物に一致していると判定された場合には(ステップS23c:Yes)、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物又はカメラ1が撮像しているディスプレイに表示された人物は、登録人物として情報処理システムSYScに登録されている。但し、第3実施形態では、被撮像人物が登録人物に一致しているという照合条件が成立しているだけでは、認証部212は、認証対象人物の認証が成功したと判定することはない。具体的には、認証部212は、照合条件に加えて、情報処理システムSYScが認証対象人物に投げかけた質問に認証対象人物が正解するという質問正解条件と、被撮像人物の動きに連続性があるという連続性条件との双方が成立した場合に、認証対象人物の認証が成功したと判定する。そこで、質問正解条件が成立するか否かを判定するために、情報処理装置2cは、質問処理を行い、且つ、連続性条件が成立するか否かを判定するために、情報処理装置2cは、上述した連続性判定処理を行う。つまり、第3実施形態では、情報処理装置2cは、照合処理、質問処理及び連続性判定処理を含む認証処理を行う。
【0088】
具体的には、まず、質問処理部215cは、質問処理の一部として、質問DB222cを用いて、認証対象人物に投げかける質問を生成する(ステップS31c)。質問DB222cは、登録人物と、正解が登録人物にとって既知である質問(但し、登録人物以外の人物にとっては回答することが容易ではない質問)と、質問の正解とを含む質問レコードを格納する。一般的に、情報処理システムSYScには、複数の登録人物が登録されている。このため、質問DB222cは、複数の登録人物に夫々対応する複数の質問レコードを格納していてもよい。質問処理部215cは、質問DB222cから、ステップS23cで被撮像人物と一致していると判定された登録人物に対応する質問レコードを抽出する。質問処理部215cは、抽出した質問レコードに含まれる質問を、認証対象人物に投げかける質問として設定してもよい。
【0089】
その後、質問処理部215cは、質問処理の一部として、生成した質問をカメラ1の前に存在する認証対象人物が認識することができるように、出力装置25を用いて、生成した質問を出力する(ステップS31c)。例えば、図12に示すように、出力装置25が表示装置を備えている場合には、質問処理部215cは、生成した質問を認証対象人物が視覚で認識することができるように、出力装置25を用いて、生成した質問を表示してもよい。その結果、認証対象人物は、情報処理装置2cから投げかけられた質問に対して回答する。
【0090】
第3実施形態では、認証対象人物の回答方法は、情報処理装置2cが人物画像IMGから回答の内容を特定可能な回答方法であることが好ましい。具体的には、認証対象人物の回答方法は、情報処理装置2cが人物画像IMGに写り込んだ被撮像人物の動きから特定可能な回答方法であることが好ましい。一例として、質問に対する回答が「はい」及び「いいえ」のいずれかになる二者択一の質問が情報処理装置2cから認証対象人物に投げかけられる場合には、認証対象人物は、質問に対して「はい」という回答をするために、首を縦に振る(つまり、うなずく)一方で、質問に対して「いいえ」という回答をするために、首を横に振ってもよい。この場合、情報処理装置2cは、人物画像IMGに写り込んだ被撮像人物の動きから、認証対象人物の回答が「はい」という回答及び「いいえ」という回答のいずれであるかを特定することができる。このため、質問生成部215cは、情報処理装置2cが人物画像IMGから回答の内容を特定可能な回答方法を用いて認証対象人物が回答可能な質問を生成してもよい。質問DB222cが格納する質問レコードは、情報処理装置2cが人物画像IMGから回答の内容を特定可能な回答方法を用いて認証対象人物が回答可能な質問を格納してもよい。質問処理部215cは、図12に示すように、質問を出力する際に、回答方法を認証対象人物が認識することができるように、出力装置25を用いて、回答方法を合わせて出力(例えば、表示)してもよい。
【0091】
質問処理部215cが生成した質問が出力された後、カメラ1は、撮像対象範囲を時系列的に連続して撮像する(ステップS32c)。つまり、カメラ1は、撮像処理を行う(ステップS32c)。尚、図11のステップS32cにおける処理は、図3のステップS11における処理と同一であってもよい。このため、図11のステップS32cにおける処理の詳細な説明は省略する。
【0092】
第3実施形態では、ステップS32cにおいて、カメラ1は、質問に回答している人物を時系列的に連続して撮像する。上述したように、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物が撮像対象範囲に存在する場合には、当該認証対象人物が質問に対して回答する可能性がある。このため、カメラ1は、質問に回答している認証対象人物を時系列的に連続して撮像し、その結果、認証対象人物が被撮像人物として写り込んでいる複数の人物画像IMGを生成してもよい。一方で、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物とは異なる人物(典型的には、登録人物)の画像が表示されたディスプレイが撮像対象範囲に存在する場合には、当該ディスプレイに表示された人物が質問に対して回答する動きをする可能性がある。このため、カメラ1は、ディスプレイに表示された人物を時系列的に連続して撮像し、その結果、ディスプレイに表示された人物が被撮像人物として写り込んでいる複数の人物画像IMGを生成してもよい。カメラ1は、生成した複数の人物画像IMGを情報処理装置2に送信する。
【0093】
ステップS32cにおいてカメラ1が行う撮像処理に続いて又は並行して、情報処理装置2は、質問処理と連続性判定処理とを行う(ステップS33cからステップS35c)。尚、図3は、説明の便宜上、カメラ1が行う撮像処理に続いて情報処理装置2cが質問処理と連続性判定処理とを行う例を示している。しかしながら、カメラ1が行う撮像処理と並行して、情報処理装置2cが質問処理と連続性判定処理とを行ってもよい。
【0094】
質問処理及び連続性判定処理を行うために、特徴抽出部211は、ステップS32cで生成された複数の人物画像IMGの夫々から、人物画像IMGに写り込んでいる被撮像人物の特徴量を抽出する(ステップS33c)。特に、特徴抽出部211は、被撮像人物の動きから回答を質問に対する回答を特定し且つ被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために利用可能な特徴量を抽出する。このような特徴量は、上述した図3のステップS12における処理で抽出される特徴量と同一であってもよい。つまり、特徴抽出部211は、被撮像人物の動きに応じて変化する被撮像人物の特徴量を抽出してもよい。この場合、図11のステップS33cにおける処理は、図3のステップS12における処理と同一であってもよい。このため、図11のステップS33cにおける処理の詳細な説明は省略する。
【0095】
尚、ステップS33cで抽出された特徴量は、被撮像人物の動きから回答を質問に対する回答を特定し且つ被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定するために用いられる。このため、ステップS33cの処理は、質問処理及び連続性判定処理の夫々の一部を構成していてもよい。つまり、特徴抽出部211は、質問処理及び連続性判定処理の一部として、ステップS33cの処理を行ってもよい。
【0096】
その後、質問処理部215cは、ステップS33cで抽出された特徴量に基づいて、質問に対する被撮像人物の回答が正解であるか否かを判定する(ステップS34c)。つまり、特徴抽出部211は、質問処理の一部として、ステップS34cの処理を行う。例えば、質問処理部215cは、ステップS33cで抽出された特徴量に基づいて、被撮像人物の動きを特定する。その後、質問処理部215cは、被撮像人物の動きに基づいて、被撮像人物の回答(つまり、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物又はディスプレイに表示された人物の回答)を特定する。その後、質問処理部215cは、特定した被撮像人物の回答が、質問DB222cに格納されている質問レコードに含まれる正解と一致するか否かを判定することで、質問に対する被撮像人物の回答が正解であるか否かを判定する。
【0097】
ステップS34cの処理と相前後して又は並行して、認証部212は、ステップS33cで抽出された特徴量に基づいて、複数の人物画像IMGの間で被撮像人物の動きに連続性があるか否かを判定する(ステップS35c)。つまり、特徴抽出部211は、連続性判定処理の一部として、ステップS35cの処理を行う。尚、図11のステップS35cにおける処理は、図3のステップS13における処理と同一であってもよい。このため、図11のステップS35cにおける処理の詳細な説明は省略する。また、図11は、説明の便宜上、情報処理装置2cが、ステップS34cの質問処理に続いてステップS35cの連続性判定処理を行う例を示している。しかしながら、情報処理装置2cは、ステップS34cの質問処理とステップS35cの連続性判定処理とを並行して行ってもよい。情報処理装置2cは、ステップS35cの連続性判定処理に続けてステップS34cの質問処理を行ってもよい。
【0098】
ステップS34cにおける判定の結果、質問に対する被撮像人物の回答が正解でないと判定された場合には(ステップS34c:No)、登録人物であれば当然正解するであろうと想定される質問に被撮像人物(つまり、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物又はディスプレイに表示された人物)が誤答したことになる。この場合、質問に回答した人物(つまり、カメラ1の前に実際に存在する認証対象人物又はディスプレイに表示された人物)は、登録人物ではない可能性がある。そこで、この場合には、認証部212は、認証対象人物が認証対象人物とは異なる人物(典型的には、登録人物)になりすましている可能性があると判定する。その結果、認証部212は、認証対象人物の認証が失敗したと判定する(ステップS15)。
【0099】
また、ステップS35cにおける判定の結果、被撮像人物の動きに連続性がないと判定された場合に(ステップS35c:No)、認証部212は、第1実施形態で説明したように、認証対象人物の認証が失敗したと判定する(ステップS15)。
【0100】
他方で、ステップS34c及びS35cにおける判定の結果、質問に対する被撮像人物の回答が正解であり且つ被撮像人物の動きに連続性があると判定された場合には(ステップS34c:Yes、且つ、ステップS35c:Yes)、認証部212は、認証対象人物が認証対象人物とは異なる人物になりすましている可能性はないと判定する。その結果、認証部212は、認証対象人物の認証が成功したと判定する(ステップS14)。
【0101】
以上説明したように、第3実施形態の情報処理システムSYSc(特に、情報処理装置2c)は、上述した第1実施形態の情報処理システムSYSa(特に、情報処理装置2)又は第2実施形態の情報処理システムSYSb(特に、情報処理装置2b)が享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。特に、情報処理装置2cは、第1実施形態で用いられた被撮像人物の動きに連続性があるという連続性条件のみならず、被撮像人物が登録人物に一致しているという照合条件と質問に認証対象人物が正解するという質問正解条件との双方が成立してはじめて、認証対象人物の認証が成功したと判定する。このため、情報処理装置2cは、第1実施形態よりも厳しい条件の下で認証対象人物をより厳密に認証することができる。
【0102】
但し、情報処理装置2cは、連続性条件と質問正解条件が成立している場合には、照合条件が成立していない場合であっても、認証対象人物の認証が成功したと判定してもよい。この場合、情報処理装置2cは、照合処理を行わなくてもよい。情報処理装置2cは、照合処理を行うための照合部214cを備えていなくてもよい。
【0103】
また、情報処理装置2cは、連続性条件と照合条件が成立している場合には、質問正解条件が成立していない場合であっても、認証対象人物の認証が成功したと判定してもよい。この場合、情報処理装置2cは、質問処理を行わなくてもよい。情報処理装置2cは、質問処理を行うための質問処理部215cを備えていなくてもよい。
わなくてもよい。
【0104】
情報処理装置2cは、質問正解条件に代えて、登録人物だけが知っている情報を認証対象人物に入力させ、認証対象人物が入力した情報が正解であるという任意の正解条件を用いてもよい。例えば、情報処理装置2cは、認証対象人物が正しいパスワード又はPIN(Personal Identification Number)コードを入力したという正解条件を用いてもよい。
【0105】
(4)変形例
カメラ1は、グローバルシャッタ方式の撮像素子を備えていてもよい。グローバルシャッタ方式の撮像素子は、撮像素子の全ての画素における露光のタイミングと電荷の読み出しのタイミングとが同じになる撮像素子である。或いは、カメラ1は、ローリングシャッタ方式の撮像素子を備えていてもよい。ローリングシャッタ方式の撮像素子は、撮像素子の上の行の画素から下の行の画素に向かって行ごとに順に露光及び電荷の読み出しが行われる撮像素子である。このため、ローリングシャッタ方式の撮像素子を備えるカメラ1が生成した人物画像IMGには、露光及び読み出し時間の違いに起因した歪み(典型的には、水平方向に沿ったずれ)が生ずる。特に、動いている人物が写り込んだ人物画像IMGでは、この歪みが顕著に生ずる可能性がある。この場合、本来は連続的に変化するはずの被撮像人物の特徴量が、歪みに起因して非連続に変化してしまい、情報処理装置2bは、なりすましが発生していない状況下であるにも関わらずなりすましが発生していると誤判定してしまう可能性がある。逆に、本来は非連続に変化するはずの被撮像人物の特徴量が、歪みに起因して連続的に変化してしまい、情報処理装置2bは、なりすましが発生している状況下であるにも関わらずなりすましが発生していないと誤判定してしまう可能性がある。そこで、カメラ1がローリングシャッタ方式の撮像素子を備えている場合には、情報処理装置2bは、この歪みによる影響を排除するように、連続性判定処理を行ってもよい。例えば、情報処理装置2bは、特徴量を抽出する元となった被撮像人物の身体のある部位に対応する画素と、露光及び電荷の読み出しが行われている行との位置関係に基づいて、歪みによる影響を排除するように、連続性判定処理を行ってもよい。
【0106】
(4)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成可能な撮像装置と、
前記複数の画像のうちの少なくとも一つを用いて前記対象を認証する情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出する抽出手段と、
前記複数の対象画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する認証手段と
を備える情報処理システム。
[付記2]
前記情報処理装置は、単位時間当たりに前記撮像装置が前記対象を撮像する回数を示す撮像レートを変更可能な変更手段を更に備える
付記1に記載の情報処理システム。
[付記3]
前記変更手段は、前記撮像装置が同じ対象を撮像する期間中に、前記撮像レートを、第1の撮像レートから、前記第1の撮像レートとは異なる第2の撮像レートに変更し、
前記撮像装置は、前記第1の撮像レートで前記対象を時系列的に連続して撮像した後に、前記第2の撮像レートで同じ対象を時系列的に連続して撮像し、
前記認証手段は、前記第1の撮像レートで前記対象を時系列的に連続して撮像することで生成される前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続変化しているという第1条件、及び、前記第2の撮像レートで前記対象を時系列的に連続して撮像することで生成される前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化しているという第2条件の少なくとも一方が成立する場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する
付記2に記載の情報処理システム。
[付記4]
前記撮像装置は、前記撮像装置に向かって進んでいる前記対象を時系列的に連続して撮像する
付記1から3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
[付記5]
撮像装置が対象を時系列的に連続して撮像することで生成される、前記対象が写り込んだ複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出する抽出手段と、
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する認証手段と
を備える情報処理装置。
[付記6]
対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成し、
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出し、
前記複数の対象画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する
情報処理方法。
[付記7]
コンピュータに、
対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成し、
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出し、
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
[付記8]
コンピュータに、
対象を時系列的に連続して撮像することで前記対象が写り込んだ複数の画像を生成し、
前記複数の画像の夫々から、前記対象の動きに応じて変化する前記対象の特徴量を抽出し、
前記複数の画像の間で前記特徴量が時系列的に非連続に変化している場合に、前記対象の認証が失敗したと判定する
情報処理方法を実行させるコンピュータプログラム。
【0107】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできるこの開示の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体もまたこの開示の技術思想に含まれる。
【0108】
法令で許容される限りにおいて、この出願は、2020年12月28日に出願された日本出願特願2020-218564を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。また、法令で許容される限りにおいて、本願明細書に記載された全ての公開公報及び論文をここに取り込む。
【符号の説明】
【0109】
SYS 情報処理システム
1 カメラ
2 情報処理装置
21 演算装置
211 特徴抽出部
212 認証部
213b レート変更部
214c 照合部
215c 質問処理部
IMG 人物画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12