(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】トレンチ型半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241217BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241217BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L29/78 658F
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 655B
H01L29/78 655A
(21)【出願番号】P 2023064204
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2018161093の分割
【原出願日】2018-08-30
【審査請求日】2023-04-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003889
【氏名又は名称】弁理士法人酒井総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下沢 慎
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-136270(JP,A)
【文献】特開2007-311547(JP,A)
【文献】特開2014-075582(JP,A)
【文献】特開2007-134666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110573(US,A1)
【文献】国際公開第2018/147466(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の熱酸化膜を形成する工程と、
前記熱酸化膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記熱酸化膜に側壁部の少なくとも一部が接するようにバリアメタルを形成する工程と、
前記半導体基体の表面が前記熱酸化膜
および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、
を含
み、
前記熱酸化膜を形成する工程では、酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより前記熱酸化膜を形成することを特徴とするトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記層間絶縁膜を形成する工程の後に、前記熱酸化膜および前記層間絶縁膜を貫通するコンタクトホールを形成する工程を含み、
前記コンタクトホール内に前記バリアメタルを形成することを特徴とする請求項1に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記熱酸化膜を形成する工程では、前記ゲート絶縁膜よりも膜厚が薄い前記熱酸化膜を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート絶縁膜を形成する工程よりも後の工程で、前記熱酸化膜を形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記熱酸化膜を形成する工程よりも前の工程で、前記ゲート絶縁膜を選択的に除去することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体基体の表面側に第1導電型の第1高濃度領域を形成する工程を含み、
前記金属プラグを埋め込む工程の後において、前記熱酸化膜および前記層間絶縁膜は前記第1高濃度領域の少なくとも一部の上に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1高濃度領域を形成する工程は、前記熱酸化膜を形成する工程と前記層間絶縁膜を形成する工程との間に実施されることを特徴とする請求項6に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記熱酸化膜を形成する工程では、200nm以下の膜厚で前記熱酸化膜を形成し、
前記第1高濃度領域を形成する工程では、燐(P)を注入して前記第1高濃度領域を形成することを特徴とする請求項7に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記熱酸化膜を形成する工程では、50nm以下の膜厚で前記熱酸化膜を形成し、
前記第1高濃度領域を形成する工程では、砒素(As)を注入して前記第1高濃度領域を形成することを特徴とする請求項7に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記熱酸化膜を形成する工程と前記層間絶縁膜を形成する工程との間に、前記半導体基体の表面側に第2導電型の第2高濃度領域を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記層間絶縁膜を形成する工程では、前記熱酸化膜上に、HTO膜とBPSG膜とを順に積層することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項12】
シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の膜に側壁部の少なくとも一部が接するようにバリアメタルを形成する工程と、
前記半導体基体の表面が前記第1の膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、
を含み、
前記第1の膜は、前記層間絶縁膜よりも緻密な膜であり、
前記第1の膜を形成する工程では、酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより前記第1の膜を形成することを特徴とするトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項13】
シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の膜に側壁部の少なくとも一部が接するようにバリアメタルを形成する工程と、
前記半導体基体の表面が前記第1の膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、
を含み、
前記第1の膜は、ハロゲンに対するエッチングレートが前記層間絶縁膜よりも小さく、
前記第1の膜を形成する工程では、酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより前記第1の膜を形成することを特徴とするトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項14】
シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の熱酸化膜を形成する工程と、
前記熱酸化膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、
底部よりも膜厚が薄い側壁部の少なくとも一部が前記熱酸化膜に接するようにバリアメタルを形成する工程と、
前記半導体基体の表面が前記熱酸化膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記側壁部を有する前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、
を含むことを特徴とするトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項15】
シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、
底部よりも膜厚が薄い側壁部の少なくとも一部が
前記第1の膜に接するようにバリアメタルを形成する工程と、
前記半導体基体の表面が前記第1の膜
および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、
前記側壁部を有する前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、
を含み、
前記第1の膜は、前記層間絶縁膜よりも緻密な膜であることを特徴とするトレンチ型半導体装置の製造方法。
【請求項16】
シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、
前記第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、
底部よりも膜厚が薄い側壁部の少なくとも一部が前記第1の膜に接するようにバリアメタルを形成する工程と、
前記半導体基体の表面が前記第1の膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記側壁部を有する前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、
を含み、
前記第1の膜は、ハロゲンに対するエッチングレートが前記層間絶縁膜よりも小さいことを特徴とするトレンチ型半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレンチ型半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用または電気自動車用といった様々な用途の電力変換装置において、その中心的な役割を果たすパワー半導体デバイスへの低消費電力化に対する期待は大きい。パワー半導体デバイスの中でも、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)は、伝導度変調効果により低オン電圧が達成でき、また電圧駆動のゲート制御で制御が容易であるため、その使用が確実に定着してきている。特にシリコン(Si)ウエハの表面に設けたトレンチにゲート電極を形成するトレンチゲート型IGBTは、電子の反転層(チャネル)の密度(総チャネル長)を大きくすることができるので、オン電圧を低くすることができる。
【0003】
図15は、従来のトレンチゲート型IGBTの構造を示す断面図である。
図15に示すように、n
-型ドリフト層101を備えるシリコン基板の一方の表面層にp型ベース層105が設けられ、他方の表面層にn
+型フィールドストップ層(以下FS層と略記)103が設けられ、n
+型FS層103の表面層にp
+型コレクタ層102が設けられている(以降は、p型ベース層105が設けられている側をシリコン基板のおもて面、p
+型コレクタ層102が設けられている側をシリコン基板の裏面と定義する)。シリコン基板のおもて面側からは、p型ベース層105を深さ方向に貫通してn
-型ドリフト層101に達する複数のトレンチ118が設けられている。
【0004】
p型ベース層105の内部には、n++型エミッタ領域106が選択的に設けられている。さらに、p型ベース層105の内部には、n++型エミッタ領域106に隣接して選択的にp++型コンタクト領域107が設けられている。p型ベース層105の、トレンチ118の側壁に沿った部分には、オン状態のときに主電流の電流経路となるn型の反転層が形成される。
【0005】
エミッタ電極111は、層間絶縁膜110に設けられたコンタクトホールを介してp++型コンタクト領域107およびn++型エミッタ領域106に導電接続されている。コレクタ電極112は、シリコン基板の裏面側においてp+型コレクタ層102に導電接続されている。ゲート電極109は、ゲート絶縁膜108を介して、トレンチ118の内部に設けられている。
【0006】
エミッタ電極111の形成方法を、以下に具体的に説明する。シリコン基板の一方の表面層に層間絶縁膜110を形成し、層間絶縁膜110の一部をエッチングしてコンタクトホールを形成し、コンタクトホール内に金属プラグ115のようなメタル部材を組み込むことで接続部が形成される。金属プラグ115は、例えば、タングステンプラグである。以前は、エミッタ電極111であるアルミニウム(Al)電極とシリコン基板が直接接続される構造であったが、微細化によりコンタクトホールが狭くなると主にスパッタ法で形成されるAlではシリコン基板との良好な接触が確保できなくなった。このため、コンタクトホール内にタングステンプラグのようなメタル部材を組み込み、コンタクトホールの底部でシリコン基板とタングステン(W)を接続させ、コンタクトホールの上部でWとAl電極を接続する構造を採用している。
【0007】
ここで、Wを堆積させ、タングステンプラグを形成させる方法として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法がある。この場合、WF6(六フッ化タングステン)ガスとH2(水素)ガスの還元反応を用いて、W膜を形成する場合が多い。その際、WF6ガスはシリコン基板、層間絶縁膜110の酸化珪素(SiO2)膜をエッチングしてしまうため、WF6ガスを用いてWを堆積させる時、シリコン基板、SiO2膜がエッチングされないように、バリアメタル114が設けられている。バリアメタル114はチタン(Ti)系の膜をスパッタ法で形成する場合が多く、膜厚制御やスパッタ後の加熱制御によりシリサイド化等を施すことにより、コンタクト抵抗を所望の範囲内に制御する場合が多い。
【0008】
また、トレンチゲート型IGBTにおいて、シリコン基板の表面に、シリコン基板の一部を酸化して形成する熱酸化法で形成された熱酸化膜で形成されたSiO2のゲート絶縁膜、その上にボロンとリンを含有したシリケートガラスからなる層間絶縁膜を堆積した構造が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。また、コンタクトプラグには、例えばタングステンを用い、層間絶縁膜が下部層間絶縁膜と上部層間絶縁膜からなり、下部層間絶縁膜には、例えばHTO(High Temperature Oxide)を用い、上部層間絶縁膜には、例えばBPSG(Boron Phosphorous Silicon Glass)を用いることが公知である(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第3384198号公報
【文献】特開2017-163107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、スパッタ後の加熱処理により、コンタクトホールの底部のバリアメタル114はシリコン(Si)と反応してシリサイド化することで、膜厚が加熱処理前よりも2~3倍になりバリア性が担保される。しかし、コンタクトホールの側壁部(例えば、
図15の領域S)では、層間絶縁膜110とほとんど反応しないため、膜厚が加熱処理前と変わらずに薄いままである。このため、バリアメタル114をスパッタ法で形成する場合、特に側壁部でバリアメタル114の膜厚が薄くなる場合が多い。また、この側壁部におけるバリアメタル114の膜質は、比較的疎な膜になる場合が多く、膜厚、膜質の観点から、バリア性が比較的弱い領域となっている。
【0011】
この状態で、タングステンプラグの形成を行うとコンタクトホールの側壁部のバリアメタル114のバリア性が弱い領域で、層間絶縁膜110がWF
6ガス等によりエッチングされてしまう場合がある。特に層間絶縁膜110にBPSG膜を用いている場合、BPSG膜中に吸着している水分の存在により、エッチング量が大きくなる場合がある。このエッチングが進行して、
図15の矢印Aのように、WF
6ガスがシリコン基板に到達してしまうと、WF
6ガスとSiが反応してシリコン基板もエッチングされてしまう場合があった。これにより、半導体装置の電気的特性が著しく損なわれる場合があり、半導体装置の歩留まりが悪化してしまう。
【0012】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、コンタクトホールに金属プラグを形成する際に、シリコン基板がエッチングされることを防止し、歩留まりを向上させることができるトレンチ型半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる構成は、シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、半導体基体の一方の表面側およびゲート電極上に、ゲート絶縁膜とは別体の熱酸化膜を形成する工程、熱酸化膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、熱酸化膜に側壁部の少なくとも一部が接するようにバリアメタルを形成する工程と、前記半導体基体の表面が熱酸化膜およびバリアメタルで覆われた単位セルにおいて、バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、を含む。前記熱酸化膜を形成する工程では、酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより前記熱酸化膜を形成する。
【0014】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる他の構成は、シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、半導体基体の一方の表面側およびゲート電極上に、ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、第1の膜に側壁部の少なくとも一部が接するようにバリアメタルを形成する工程と、前記半導体基体の表面が第1の膜およびバリアメタルで覆われた単位セルにおいて、バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、を含む。第1の膜は、層間絶縁膜よりも緻密な膜である。前記第1の膜を形成する工程では、酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより前記第1の膜を形成する。
【0015】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる他の構成は、シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、半導体基体の一方の表面側およびゲート電極上に、ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、第1の膜に側壁部の少なくとも一部が接するようにバリアメタルを形成する工程と、前記半導体基体の表面が第1の膜およびバリアメタルで覆われた単位セルにおいて、バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、を含む。第1の膜は、ハロゲンに対するエッチングレートが層間絶縁膜よりも小さい。前記第1の膜を形成する工程では、酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより前記第1の膜を形成する。上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる他の構成は、シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の熱酸化膜を形成する工程と、前記熱酸化膜上に層間絶縁膜を形成する工程と、底部よりも膜厚が薄い側壁部の少なくとも一部が前記熱酸化膜に接するようにバリアメタルを形成する工程と、前記半導体基体の表面が前記熱酸化膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記側壁部を有する前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、を含む。上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる他の構成は、シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、前記第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、底部よりも膜厚が薄い側壁部の少なくとも一部が前記第1の膜に接するようにバリアメタルを形成する工程と、前記半導体基体の表面が前記第1の膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記側壁部を有する前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、を含み、前記第1の膜は、前記層間絶縁膜よりも緻密な膜である。上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる他の構成は、シリコンを含んだ半導体基体の一方の表面側にトレンチが形成され、前記トレンチにゲート絶縁膜を介して埋め込まれるゲート電極を含む単位セルを備えるトレンチ型半導体装置の製造方法であって、前記半導体基体の前記一方の表面側および前記ゲート電極上に、前記ゲート絶縁膜とは別体の第1の膜を形成する工程と、前記第1の膜上に第2の膜としての層間絶縁膜を形成する工程と、底部よりも膜厚が薄い側壁部の少なくとも一部が前記第1の膜に接するようにバリアメタルを形成する工程と、前記半導体基体の表面が前記第1の膜および前記バリアメタルで覆われた前記単位セルにおいて、前記側壁部を有する前記バリアメタル内に金属プラグを埋め込む工程と、を含み、前記第1の膜は、ハロゲンに対するエッチングレートが前記層間絶縁膜よりも小さい。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるトレンチ型半導体装置の製造方法によれば、コンタクトホールに金属プラグを形成する際に、シリコン基板がエッチングされ、半導体装置の歩留まりが低下する場合を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図2】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図3】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図4】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
【
図5】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
【
図6】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
【
図7】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
【
図8】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その7)。
【
図9】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その8)。
【
図10】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その9)。
【
図11】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その10)。
【
図12】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その11)。
【
図13】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その12)。
【
図14】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その13)。
【
図15】従来のトレンチゲート型IGBTの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の製造方法および半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同じとは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(実施の形態)
本発明にかかる半導体装置について、トレンチゲート型IGBTを例に説明する。
図1は、実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図1には、2つの単位セル(素子の機能単位)のみを示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する。
図1に示すIGBTは、n
-型ドリフト層1となるシリコンからなる半導体基体(シリコン基体:半導体チップ)のおもて面(p型ベース層5側の面)側にMOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートを備えたIGBTである。
【0020】
図1に示すように、実施の形態にかかる半導体装置は、n
-型ドリフト層(第1導電型の第1半導体層)1の主面(おもて面)の表面層にp型ベース層(第2導電型の第2半導体層)5が選択的に設けられている。n
-型ドリフト層1の裏面側にn
+型FS層3が設けられ、n
+型FS層3の表面にp
+型コレクタ層(第2導電型の第4半導体層)2が設けられている。
【0021】
p型ベース層5の内部には、p++型コンタクト領域7およびn++型エミッタ領域(第1導電型の第3半導体層)6が選択的に設けられる。n++型エミッタ領域6はp++型コンタクト領域7の横に配置され、p++型コンタクト領域7がn++型エミッタ領域6より深くてもよい。n++型エミッタ領域6に隣接した領域には、p型ベース層5を深さ方向(コレクタ電極12側)に貫通してn-型ドリフト層1に達するトレンチ18が設けられる。例えば、熱酸化膜であるゲート絶縁膜8を介してポリシリコンからなるゲート電極9がトレンチ18に埋め込まれる。
【0022】
また、ゲート電極9上に、エミッタ電極11と絶縁するための熱酸化膜13および層間絶縁膜10が積層して設けられる。熱酸化膜13および層間絶縁膜10はn++型エミッタ領域6の一部上に設けられていてもよい。熱酸化膜13および層間絶縁膜10に選択的に開口されたコンタクトホール内で、エミッタ電極11が、バリアメタル14および金属プラグ15を介して、n++型エミッタ領域6、p++型コンタクト領域7およびp型ベース層5と電気的に接続される。エミッタ電極11は接地されてもよく、負の電圧が印加されてもよい。半導体装置の裏側には、p+型コレクタ層と電気的に接続するコレクタ電極12が設けられる。コレクタ電極12には正の電圧が印加される。
【0023】
バリアメタル14は、コンタクトホールを覆い、実施の形態のバリアメタル14は、例えば、Ti、TiN(窒化チタン)、Ta(タンタル)、TaN(窒化タンタル)などからなる、またはこれらの積層からなる。金属プラグ15は、エミッタ電極11と異なる金属からなり、例えば、タングステンをバリアメタル14内に埋め込んだタングステンプラグである。金属プラグ15として、モリブデン(Mo)をバリアメタル14内に埋め込んだモリブデンプラグであってもよい。
【0024】
実施の形態のIGBTでは、シリコン基板の一部を酸化して形成する熱酸化法で形成された熱酸化膜13がシリコン基板と層間絶縁膜10との間に設けられている。
図1においては、層間絶縁膜10とゲート電極9との間にも熱酸化膜13が設けられているが、シリコン基板と層間絶縁膜10との間にあればよく、層間絶縁膜10とゲート電極9との間の熱酸化膜13はなくてもよい。一般に、熱酸化膜13は、BPSG膜等のCVD法により形成された酸化膜より緻密な膜となり、ハロゲンに対するエッチングレートが大幅に減少する。このため、熱酸化膜13をシリコン基板(
図1では、n
++型エミッタ領域6)と層間絶縁膜10との間に設けることによって、コンタクトホールの側壁部(例えば、
図1の領域S)でバリアメタル14の膜厚が薄くバリア性が比較的弱い領域で、金属プラグ15としてタングステンプラグを形成する際に、層間絶縁膜10がWF
6ガス等によりエッチングされてしまっても、エッチングレートが大幅に遅い熱酸化膜13があることで、
図1の矢印Aのように、熱酸化膜13によりエッチング量が大幅に低下し、WF
6ガスがシリコン基板まで到達する可能性が著しく低くなる。これにより、実施の形態のIGBTでは、コンタクトホール内に金属プラグ15を形成する際に、半導体装置の電気的特性が損なわれることがなくなり、半導体装置の歩留まりが向上し、良品率を良好な値に維持することが可能になる。
【0025】
また、熱酸化膜13は、上述のようにWF6ガスがシリコン基板まで到達することを阻止する機能を有しているため、金属プラグ15を形成中にすべてエッチングされない程度の膜厚が必要である。具体的には、熱酸化膜13は、少なくとも1nm以上の膜厚を有している。また、熱酸化膜13は、p型ベース層5を形成する際のイオン注入のスクリーン酸化膜としての機能も有している。この機能のため、熱酸化膜13は、10nm以上の膜厚を有していることが好ましい。
【0026】
さらに、エッチングを阻止する機能の場合、膜厚は厚くても問題はないが、スクリーン酸化膜として機能する場合、膜厚が厚すぎるとイオン注入の効率が落ちる。このため、イオン注入する不純物がリン(P)である場合、熱酸化膜13は、少なくとも200nm以下、効率を考慮する120nm以下が好ましい。一方、イオン注入する不純物が砒素(As)である場合、熱酸化膜13をさらに薄くする必要がある。この場合、熱酸化膜13は、少なくとも50nm以下、効率を考慮する35nm以下が好ましい。また、ゲート絶縁膜8の膜厚は、100nm以上150nm以下、熱酸化膜13は、ゲート絶縁膜8より膜厚が薄いことが好ましい。
【0027】
また、以下の半導体装置の製造方法で説明するように、熱酸化膜13を形成する前に、n++型エミッタ領域6、p++型コンタクト領域7およびp型ベース層5を形成する場合、熱酸化膜13のスクリーン酸化膜としての機能は不要になる。この場合、熱酸化膜13の膜厚は厚くても問題はない。
【0028】
(実施の形態にかかる半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。
図2~
図14は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、n
-型ドリフト層1となるn
-型半導体基板を用意する。n
-型半導体基板の材料は、シリコンであってもよいし、炭化珪素(SiC)であってもよい。また、n
-型半導体基板は、n型の半導体基板のおもて面上にn
-型の半導体層をエピタキシャル成長させたものでもよい。以下、n
-型半導体基板がシリコンウエハである場合を例に説明する。ここまでの状態が
図2に記載される。
【0029】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、n
-型ドリフト層1を貫通しないトレンチ18を形成する。トレンチ18は、例えば、深さ5μm以下に形成する。ここまでの状態が
図3に記載される。次に、例えば熱酸化により、n
-型ドリフト層1のおもて面およびトレンチ18の内壁に沿ってゲート絶縁膜8を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、p型の不純物を注入することで、n
-型ドリフト層1のおもて面側にp型ベース層5を形成する。p型の不純物は、例えば、Bである。ここまでの状態が
図4に記載される。
【0030】
次に、p型ベース層5のおもて面上に、トレンチ18の内部を埋め込むようにポリシリコン(poly-Si)層を形成する。次に、このポリシリコン層を例えばエッチバックして、ゲート電極9となる部分をトレンチ18の内部に残す。ここまでの状態が
図5に記載される。
【0031】
次に、p型ベース層5のおもて面に形成されたゲート絶縁膜8を除去する。イオン注入時に、イオン注入装置に起因する重金属がゲート絶縁膜8に入り込む場合があり、重金属が入り込んだゲート絶縁膜8を残しておくと、重金属が高温(1000℃程度)のアニール時に拡散して、チャネルを形成するp型ベース層5に欠陥を作ってしまい、半導体装置の特性が劣化してしまう。このため、アニールの前にゲート絶縁膜8を除去しておく必要があり、ゲート絶縁膜8を熱酸化膜13の代わりに使用することはできない。ここまでの状態が
図6に記載される。
【0032】
また、p型ベース層5を形成し、アニール後にゲート絶縁膜8を形成することも考えられる。この場合、ゲート絶縁膜8を除去する必要がなくなる。しかしながら、ゲート絶縁膜8の形成時に、p型ベース層5がゲート絶縁膜8から影響を受けるため、p型ベース層5の面積、不純物濃度の制御を厳格に行う必要があり、実現は難しく、ゲート絶縁膜8を熱酸化膜13の代わりに使用することは現実的ではない。
【0033】
次に、酸素(O
2)雰囲気中で熱処理(アニール)を行うことによってp型ベース層5
のおもて面に熱酸化膜13を形成する。なお、熱酸化には酸素を使ったドライ酸化と、H
2Oを使ったスチーム酸化とがある。どちらの製法でもハロゲンに対するエッチングレートが低いため、どちらの製法も使用可能であるが、ドライ酸化の方が熱酸化膜の緻密性が高く、エッチングレートの低減が期待できるため、熱酸化にはドライ酸化が好ましい。また、前記熱処理および続く熱処理でp型ベース層5のp型不純物が活性化、拡散されてもよい。ここまでの状態が
図7に記載される。
【0034】
次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、p型ベース層5の表面に、p++型コンタクト領域7を選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、p型ベース層5の表面にn++型エミッタ領域6を選択的に形成する。
【0035】
次に、p
++型コンタクト領域7およびn
++型エミッタ領域6を活性化させるための熱処理(アニール)を行う。ここまでの状態が
図8に記載される。ここで、熱酸化膜13を形成する際のアニールの場合と同様に、重金属がp
++型コンタクト領域7およびn
++型エミッタ領域6に拡散されるが、チャネルが形成されるp型ベース層5に重金属が拡散される場合に比べて、半導体装置の特性への影響は軽微なため、半導体装置の特性を良好な値に維持できる。また、p
++型コンタクト領域7およびn
++型エミッタ領域6を形成する順序は種々変更可能である。また、熱酸化膜13を形成した直後にn
++型エミッタ領域6およびp
++型コンタクト領域7を形成することが好ましい。
【0036】
次に、熱酸化膜13を覆うように層間絶縁膜10を形成する。層間絶縁膜10は、HTO膜とBPSG膜を順に積層することで形成することが好ましい。HTO膜とBPSG膜の積層構造とすることで、HTO膜により、BPSG膜に含まれるドーパントが拡散することを防ぐことができる。また、層間絶縁膜10は、HTO膜またはBPSG膜で形成してもよい。ここまでの状態が
図9に記載される。
【0037】
次に、熱酸化膜13および層間絶縁膜10をパターニングして、熱酸化膜13および層間絶縁膜10を深さ方向に貫通する複数のコンタクトホールを形成する。なお、
図1のIGBTのようなストライプ状のトレンチ構造の半導体装置では、コンタクトホールはストライプ状や、格子状などの溝となる。深さ方向とは、n
-型ドリフト層1のおもて面から裏面に向かう方向である。コンタクトホールには、n
++型エミッタ領域6およびp
++型コンタクト領域7が露出される。ここまでの状態が
図10に記載される。
【0038】
次に、コンタクトホールを埋め込むように、スパッタ法でバリアメタル14を形成する。バリアメタル14は、例えば、TiとTiNを積層することで形成する。次に、バリアメタル14内に、金属プラグ15を形成する。金属プラグ15は、金属ハロゲン化物を用いたCVD法により形成される。金属プラグ15が、タングステンプラグである場合、例えば、CVD法により、WF
6ガスとH
2ガスの還元反応を用いてタングステンを埋め込むことで形成する。また、タングステンプラグは、WCl
6(六塩化タングステン)ガスとH
2ガスの還元反応を用いて形成してもよい。金属プラグ15はモリブデンプラグであってもよく、この場合、MoF
6ガス(六フッ化モリブデン)またはMoCl
6(六塩化モリブデン)ガスを用いてモリブデンプラグを形成する。ここまでの状態が
図11に記載される。
【0039】
次に、バリアメタル14および金属プラグ15上にエミッタ電極11を形成する。エミッタ電極11は、バリアメタル14および金属プラグ15を介して、p型ベース層5、n++型エミッタ領域6およびp++型コンタクト領域7に電気的に接続される。エミッタ電極11は、例えば、Alにより形成される。
【0040】
次に、n
-型ドリフト層1を裏面側から研削していき(バックグラインド)、半導体装置として用いる製品厚さの位置まで研削する。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、n
-型ドリフト層1を裏面側にn
+型FS層3を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、n
+型FS層3の表面にp
+型コレクタ層2を形成する。ここまでの状態が
図12に記載される。
【0041】
次に、p
+型コレクタ層2の表面の全面に、コレクタ電極12を形成する。その後、半導体ウエハをチップ状に切断(ダイシング)して個片化することで、
図1に示すIGBTチップ(半導体チップ)が完成する。
【0042】
また、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法は、ゲート絶縁膜8を選択的に除去する前に、n
++型エミッタ領域6およびp
++型コンタクト領域7を形成してもよい。この場合、n
-型ドリフト層1のおもて面側に、p型ベース層5となる部分にp型の不純物を注入する工程まで行う(
図5参照)。
【0043】
次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、p型ベース層5の表面に、p
++型コンタクト領域7を選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入によって、p型ベース層5の表面にn
++型エミッタ領域6を選択的に形成する。また、p
++型コンタクト領域7およびn
++型エミッタ領域6を形成する順序は種々変更可能である。また、p型ベース層5を形成した直後にn
++型エミッタ領域6およびp
++型コンタクト領域7を形成することが好ましい。ここまでの状態が
図13に記載される。
【0044】
次に、n
-型ドリフト層1のおもて面に形成されたゲート絶縁膜8を除去する。ここまでの状態が
図14に記載される。次に、p型ベース層5、p
++型コンタクト領域7およびn
++型エミッタ領域6を活性化させるための熱処理(アニール)を行う。この熱処理を酸素(O
2)雰囲気中で行うことによって、p型ベース層5、p
++型コンタクト領域7およびn
++型エミッタ領域6のおもて面に熱酸化膜13が形成される。この後、熱酸化膜13を覆うように層間絶縁膜10を形成する工程(
図9参照)以降の工程を行うことにより、
図1に示すIGBTチップ(半導体チップ)が完成する。
【0045】
以上、説明したように、実施の形態によれば、熱酸化膜がシリコン基板と層間絶縁膜との間に設けられている。これにより、バリアメタルの側壁部が薄くバリア性の弱い領域で、金属プラグを形成する際に、層間絶縁膜がハロゲン化物ガス等によりエッチングされてしまっても、ハロゲン化物ガスがシリコン基板まで到達する可能性が著しく低くなる。このため、半導体装置の電気的特性が損なわれることがなくなり、半導体装置の歩留まりが向上し、良品率を良好な値に維持することが可能になる。
【0046】
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、トレンチゲート型の半導体装置を例に説明しているが、これに限らず、縦型プレーナーゲート構造の半導体装置にも広く適用可能である。また、上述した各実施の形態では、IGBTを例に説明しているが、これに限らず、所定のゲート閾値電圧に基づいてゲート駆動制御されることで電流を導通および遮断する種々な半導体装置にも広く適用可能である。例えば、IGBTとは異なる導電型の半導体基板を用いることで、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電解効果トランジスタ)に適用することができる。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかるトレンチ型半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0048】
1、101 n-型ドリフト層
2、102 p+型コレクタ層
3、103 n+型FS層
5、105 p型ベース層
6、106 n++型エミッタ領域
7、107 p++型コンタクト領域
8、108 ゲート絶縁膜
9、109 ゲート電極
10、110 層間絶縁膜
11、111 エミッタ電極
12、112 コレクタ電極
13 熱酸化膜
14、114 バリアメタル
15、115 金属プラグ
18、118 トレンチ