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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20241217BHJP
   B61D 47/00 20060101ALI20241217BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B61B13/00 A
B61D47/00 A
B65G1/00 501C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023115930
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2021081806の分割
【原出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2023133357
(43)【公開日】2023-09-22
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 宏嘉
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/049960(WO,A1)
【文献】特開2018-034932(JP,A)
【文献】特開2019-018983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B61D 47/00
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して前記物品を移載する搬送車であって、
走行する走行体と、
前記物品を支持及び移載するための機能部と、
前記機能部を駆動するための第1駆動源及び第2駆動源と、を備え、
前記走行体は、走行本体部と、前記走行本体部に支持された一対の駆動輪と、一対の前記駆動輪を駆動する車輪駆動源と、を備え、
一対の前記駆動輪は、前記車輪駆動源により、互いに同じ速度又は異なる速度で回転駆動され、
前記走行体が走行する方向を車体前後方向とし、前記車体前後方向の一方側を車体前後方向第1側とし、前記車体前後方向の他方側を車体前後方向第2側とし、
上下方向に沿う上下方向視で前記車体前後方向に直交する方向を車体幅方向とし、前記車体幅方向の一方側を車体幅方向第1側とし、前記車体幅方向の他方側を車体幅方向第2側とし、
一対の前記駆動輪は、前記走行本体部の前記車体前後方向の中央領域において前記車体幅方向に離間して配置され、
前記上下方向視で一対の前記駆動輪を結ぶように前記車体幅方向に沿って延在する仮想線を幅方向基準線とし、前記車体幅方向における一対の前記駆動輪の中間位置において前記上下方向視で前記幅方向基準線に交差すると共に、前記車体前後方向に延在する仮想線を前後方向基準線として、
前記第1駆動源が、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側且つ前記前後方向基準線に対して前記車体幅方向第1側に配置され、
前記第2駆動源が、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第2側且つ前記前後方向基準線に対して前記車体幅方向第2側に配置され、
前記物品が被収容物を収容可能な容器であり、
前記走行体に搭載され、複数の前記容器を段積み状態の容器群として規定の段積み領域内に支持する容器群支持部と、
前記走行体に搭載され、前記容器群支持部に支持された前記容器群の前記容器を持ち上げる前記機能部としての持ち上げ装置と、
前記走行体に搭載され、前記容器の移載を行う前記機能部としての移載装置と、を備え、
前記第1駆動源は、前記持ち上げ装置の駆動源であり、
前記第2駆動源は、前記移載装置の駆動源である、搬送車。
【請求項2】
前記第1駆動源は、前記上下方向視で前記容器群支持部に対して少なくとも一部が重複するように配置されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記走行体、前記持ち上げ装置、及び前記移載装置を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記容器群支持部よりも下方であって、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側に配置されている、請求項1又は2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記車輪駆動源、前記第1駆動源、及び前記第2駆動源に電力を供給する蓄電装置を備え、
前記蓄電装置は、前記容器群支持部よりも下方であって、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項5】
前記第1駆動源及び前記第2駆動源が、前記容器群支持部よりも下方に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項6】
前記車輪駆動源は、前記走行本体部の前記車体前後方向の前記中央領域に配置され
前記移載装置は、前記物品を保持する保持部を備え、前記保持部と前記段積み領域との間で前記物品を移載可能に構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して前記物品を移載する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような技術分野では、搬送車のスムーズな走行や方向変換等を実現するために様々な措置が講じられている。
【0003】
例えば、特許第5481994号公報(特許文献1)に開示された技術では、搬送車(10)の車体(11)に、一対の駆動輪(12,13)と一対のキャスタ輪(14,15)とを設けている。そして、一対のキャスタ輪(14,15)のうち一方のキャスタ輪(14)に緩衝機構を設けて上下動可能とし、他方のキャスタ輪(15)を上下動できないように固定し、上下方向視で一対の駆動輪(12,13)と固定キャスタ輪(15)とが成す三角形の内側に、重量物であるバッテリ(18)を配置している。これにより、特許文献1の技術では、偏荷重により車体(11)が傾いた場合であっても、駆動輪(12,13)が接地し易いようにして、キャスタ輪(14,15)に掛かる旋回時の抵抗を小さくすることで、搬送車(10)のスムーズな走行や方向変換の実現を図っている。なお、上記において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5481994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような、物品を支持した状態で搬送および移載する搬送車には、物品を支持及び移載するための機能部が備えられる。機能部を駆動するための駆動源は、搬送車を構成する部材の中では比較的重量物となり易い。このような駆動源の配置位置を考慮することで、搬送車の重量バランスを良好にすることが期待でき、延いては、方向変換等のために搬送車が旋回した際の当該搬送車の挙動の安定化が期待できる。
【0006】
上記実状に鑑みて、旋回時の搬送車の挙動を安定させることが可能な技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物品を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して前記物品を移載する搬送車であって、
走行する走行体と、
前記物品を支持及び移載するための機能部と、
前記機能部を駆動するための第1駆動源及び第2駆動源と、を備え、
前記走行体は、走行本体部と、前記走行本体部に支持された一対の駆動輪と、一対の前記駆動輪を駆動する車輪駆動源と、を備え、
一対の前記駆動輪は、前記車輪駆動源により、互いに同じ速度又は異なる速度で回転駆動され、
前記走行体が走行する方向を車体前後方向とし、前記車体前後方向の一方側を車体前後方向第1側とし、前記車体前後方向の他方側を車体前後方向第2側とし、
上下方向に沿う上下方向視で前記車体前後方向に直交する方向を車体幅方向とし、前記車体幅方向の一方側を車体幅方向第1側とし、前記車体幅方向の他方側を車体幅方向第2側とし、
一対の前記駆動輪は、前記走行本体部の前記車体前後方向の中央領域において前記車体幅方向に離間して配置され、
前記上下方向視で一対の前記駆動輪を結ぶように前記車体幅方向に沿って延在する仮想線を幅方向基準線とし、前記車体幅方向における一対の前記駆動輪の中間位置において前記上下方向視で前記幅方向基準線に交差すると共に、前記車体前後方向に延在する仮想線を前後方向基準線として、
前記第1駆動源が、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側且つ前記前後方向基準線に対して前記車体幅方向第1側に配置され、
前記第2駆動源が、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第2側且つ前記前後方向基準線に対して前記車体幅方向第2側に配置され、
前記物品が被収容物を収容可能な容器であり、
前記走行体に搭載され、複数の前記容器を段積み状態の容器群として規定の段積み領域内に支持する容器群支持部と、
前記走行体に搭載され、前記容器群支持部に支持された前記容器群の前記容器を持ち上げる前記機能部としての持ち上げ装置と、
前記走行体に搭載され、前記容器の移載を行う前記機能部としての移載装置と、を備え、
前記第1駆動源は、前記持ち上げ装置の駆動源であり、
前記第2駆動源は、前記移載装置の駆動源である。
【0008】
本構成によれば、一対の駆動輪を互いに反対方向に回転駆動することで、走行体をその場で旋回させる、いわゆるスピンターンを行うことができる。しかし、そのようなスピンターンを行う場合に、搬送車の重心が車体前後方向及び車体幅方向に大きく偏っていると、搬送車の挙動が不安定になる可能性がある。ここで、上下方向視で幅方向基準線と前後方向基準線とが交差する点が、搬送車がスピンターンを行う場合の走行体の旋回中心と概略的に一致する。本構成によれば、重量物となり易い第1駆動源と第2駆動源とが、走行体の旋回中心に対して、上下方向視で対角状に配置されることになる。そのため、搬送車の重心が車体前後方向及び車体幅方向に大きく偏ることがないようにし易くなっている。従って、本構成によれば、上記スピンターンを含む旋回時の搬送車の挙動を安定させることが可能となる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】搬送車を備えた搬送設備の平面図
図2】走行体が走行する各領域を示す平面図
図3】容器棚の正面図
図4】搬送車の車体幅方向視図
図5】移載装置の第1姿勢と第2姿勢とを示す平面図
図6】制御ブロック図
図7】棚部に対する容器の掬い動作を示す説明図
図8】棚部に対する容器の卸し動作を示す説明図
図9】持ち上げ装置により段積み領域の容器を持ち上げた状態を示す図
図10】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
図11】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
図12】走行体の要部を概略的に示す車体幅方向視図
図13】走行体の要部を概略的に示す平面図
図14】低重心化制御による移載装置の動作を示す説明図
図15】低重心化制御を開始するタイミングを示す説明図
図16】低重心化制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート
図17】第2実施形態に係る持ち上げ装置を示す車体前後方向視図
図18】第2実施形態に係る持ち上げ装置を示す平面図
図19】第2実施形態において、容器群対向制御による持ち上げ装置の動作を示す説明図
図20】第2実施形態において、容器群対向制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送車は、物品を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して物品を移載する。以下、搬送車が、容器を搬送する搬送設備に備えられている場合を例示して、当該搬送車の実施形態について説明する。すなわち本実施形態では、容器が「物品」に相当する。搬送車は、容器を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して容器を移載するように構成されている。
【0012】
〔第1実施形態〕
まず、搬送車の第1実施形態について説明する。
【0013】
図1に示すように、搬送設備TFは、容器70(図3参照)を収納する容器棚8と、容器70の搬出及び搬入を行う搬出入部9と、設備全体を管理する上位コントローラHと、を備えている。搬送車100は、搬出入部9によって搬入された容器70を容器棚8へ搬送し、又は、容器棚8に収納された容器70を搬出のために搬出入部9へ搬送する。
【0014】
本実施形態では、複数の容器棚8が、規定の間隔を空けつつ互いに平行に配置されている。複数の容器棚8のそれぞれは少なくとも正面が開口しており、当該正面において容器70の出し入れが行われる。そして、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間に、走行体1(搬送車100)の走行経路Rの一部が設定されている。換言すれば、隣り合う一対の容器棚8が、間隔を空けて互いに平行に配置されており、走行経路Rの一部が、一対の容器棚8の間を通るように設定されている。また、搬送設備TFに備えられた複数の容器棚8のうち最も端に配置された容器棚8は、正面を外側に向けて配置されており、当該端の容器棚8の正面に沿った領域にも走行経路Rの一部が設定されている。また、搬送設備TFには、複数の搬出入部9が設けられており、複数の搬出入部9のそれぞれを通る領域にも、走行経路Rの一部が設定されている。
【0015】
走行経路Rは、容器棚8の正面に沿って当該容器棚8の延在方向に延びる棚内経路Raと、容器棚8の配置領域の外部に設定された棚外経路Rbと、を含んでいる。棚内経路Raは、複数の容器棚8のそれぞれに対応して設定されている。本実施形態では、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間の領域に設定された走行経路Rの一部、及び、正面を外側に向けて配置された容器棚8の当該正面に沿った領域に設定された走行経路Rの一部が、棚内経路Raに相当する。また、棚外経路Rbは、複数の棚内経路Raを繋ぐように設定されている。また、棚外経路Rbは、複数の搬出入部9のそれぞれを通るようにも設定されている。本実施形態では、走行経路Rにおける棚内経路Ra以外の部分が、棚外経路Rbに相当する。
【0016】
図2に示すように、搬送設備TFには、走行体1が走行する棚領域IA及び外部領域OAが設定されている。本実施形態では、搬送設備TFには、方向変換領域DAが更に設定されている。
【0017】
棚領域IAは、各容器棚8の正面に沿って設定された領域である。棚領域IAの全体が、当該棚領域IAに対応する容器棚8の正面に対向している。換言すれば、棚領域IAは、当該棚領域IAに対応する容器棚8の正面に沿って当該容器棚8の延在方向に延びている。そして、当該棚領域IAの前記延在方向の寸法と当該容器棚8の前記延在方向の寸法とは等しくなっている。
【0018】
また、棚領域IAは、棚内経路Ra(図1参照)が通る領域であり、棚内経路Raを走行する走行体1が容器棚8の正面に対向する領域である。本実施形態では、棚領域IAは、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間の領域に設定されている。また棚領域
IAは、搬送設備TFに備えられた複数の容器棚8のうち最も端に配置された容器棚8の正面に沿った領域にも設定されている。
【0019】
外部領域OAは、搬送設備TF内における棚領域IA以外の領域である。外部領域OAは、棚外経路Rbが通る領域である。本実施形態では、外部領域OAにおける複数箇所に、方向変換領域DAが設定されている。方向変換領域DAは、走行体1が進行方向を変更(方向変換)するための領域である。複数の方向変換領域DAのうちの一部は、複数の走行経路R(棚外経路Rb)が交わる箇所に設定されている。詳細は後述するが、本実施形態に係る走行体1は、方向変換領域DAにおいて、その場で上下方向に沿う軸心まわりに回転することで、進行方向を変更する。
【0020】
〔容器棚〕
図3に示すように、容器棚8は、容器70を収納する棚部80を上下方向に複数段備えている。本実施形態では、容器棚8は、当該容器棚8の正面に沿って水平方向に延在する梁部材82を複数備えると共に、上下方向に沿って延在し、複数の梁部材82のそれぞれに連結される複数の支柱部材81を備えている。すなわち、容器棚8は、複数の支柱部材81と複数の梁部材82とを組み合わせた支持枠を備えて構成されている。
【0021】
複数の梁部材82は、上下方向に互いに離間して配置されている。そして、複数の梁部材82のそれぞれに、容器70を載置するための載置部材83が連結されている。本例では、容器70は、一対の載置部材83に載置されることにより、棚部80に収納される。また、棚部80には、一対の載置部材83の組が複数組配置されており、1つの棚部80において複数の容器70を収納可能となっている。なお、本例では、図3に示す正面視で幅方向(左右方向)に隣接する一対の支柱部材81の間であって、上下方向に隣接する一対の梁部材82の間の領域が、容器棚8の開口に相当する。
【0022】
本実施形態では、棚部80における容器70を収納するための基準位置80Pに、当該基準位置80Pにおいて容器70を収納するための目標となる目標部82Tが設けられている。本例では、目標部82Tは、梁部材82に設けられている。目標部82Tは、一対の載置部材83の組につき1つ設けられている。図示の例では、目標部82Tは、梁部材82に形成された孔によって構成されている。
【0023】
〔容器〕
容器70は、搬送車100による搬送対象である。詳細な図示は省略するが、容器70は、上方に開口する開口部を備えた箱状に形成されている。本例では、上下方向視における容器の外形は、矩形状を成している。容器70の内部には、規定の被収容物が収容可能となっている。被収容物には、例えば、食料品や生活用品などの各種商品、又は、工場の生産ライン等において用いられる部品や仕掛品などが含まれる。上述のように、本実施形態では、容器70が「物品」に相当する。すなわち本実施形態において、物品は、被収容物を収容可能な容器70である。
【0024】
本実施形態では、容器70は、その内部に被収容物を収容した状態で、別の容器70と積み重ねることが可能に構成されている。すなわち、容器70は、上下方向に段積み可能に構成されている(図4参照)。本例では、容器70の底部が、別の容器70の開口部に対して上方から嵌合することにより、2つの容器70が上下方向に段積みされる。
【0025】
〔搬送車〕
図4に示すように、搬送車100は、走行する走行体1と、容器70を支持及び移載するための機能部Fと、を備えている。走行体1は、既定の走行経路R(図1参照)に沿って走行する。本実施形態では、搬送車100は、複数の容器70を段積み状態の容器群7
として規定の段積み領域2A内に支持する容器群支持部2と、容器群支持部2に支持された容器群7の容器70を持ち上げる機能部Fとしての持ち上げ装置3と、容器70の移載を行う機能部Fとしての移載装置4と、を備えている。本実施形態では、搬送車100は、走行体1、持ち上げ装置3、及び移載装置4を制御する制御装置C(図6参照)を更に備えている。制御装置Cは、これらの他、容器群支持部2も制御する。
【0026】
容器群支持部2、持ち上げ装置3、及び移載装置4は、走行体1に搭載されている。走行体1が走行する方向を「車体前後方向L」とすると、容器群支持部2と移載装置4とは、走行体1上において車体前後方向Lに並んで配置されている。なお、以下では、上下方向に沿う上下方向視で車体前後方向Lに直交する方向を「車体幅方向W」とする。
【0027】
〔走行体〕
走行体1は、規定の走行経路R(図1参照)を走行するように構成され、棚領域IA及び外部領域OA(図2参照)を走行可能に構成されている。本実施形態では、走行体1は、棚内経路Raと棚外経路Rbとを走行するように構成されている。そして、走行体1は、棚内経路Raを走行又は停止している状態で棚領域IAに位置し、棚外経路Rbを走行又は停止している状態で外部領域OAに位置する。走行体1が棚領域IAと外部領域OAとの境界にある状態では、走行体1の一部が棚領域IAに位置し、走行体1の他の一部が外部領域OAに位置することになる。本実施形態では、走行体1は、床面を走行するように構成されている。
【0028】
走行体1は、走行本体部10と、走行本体部10に支持された複数の走行車輪11と、走行車輪11を駆動する車輪駆動源11Mと、を備えている。車輪駆動源11Mは、不図示のモータを含んで構成されている。車輪駆動源11Mが複数の走行車輪11のうち一部の走行車輪11を駆動することにより、走行体1に推進力が付与される。
【0029】
〔容器群支持部〕
容器群支持部2は、走行体1に搭載されている。容器群支持部2は、複数の容器70を段積み状態の容器群7として支持可能に構成されている。容器群支持部2の上方には、容器群7が配置される段積み領域2Aが規定されている。段積み領域2Aは、容器群支持部2から上方に延在する立体的な仮想領域である。本例では、容器群支持部2は、容器群7を載置した状態で当該容器群7を移動させることが可能なコンベヤとして構成されている。本例では、容器群支持部2は、容器群7を車体幅方向Wに沿って移動させることが可能となっている。容器群支持部2を構成するコンベヤとしては、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤなどの周知のコンベヤであって良い。
【0030】
搬出入部9(図1及び図2参照)には、複数の容器70が段積みされた状態の容器群7が搬入される。走行体1が搬出入部9に隣接した状態で、容器群支持部2は、搬出入部9から容器群7を受け取り、または、搬出入部9へ容器群7を引き渡す。すなわち、容器群支持部2は、搬出入部9との間で容器群7の受け渡しを行うように構成されている。詳細な図示は省略するが、本例では、搬出入部9は、容器70から商品等の被収容物を取り出す作業が行われるピッキングエリアに隣接している。容器群支持部2から搬出入部9へ容器群7が引き渡されると、搬出入部9に隣接するピッキングエリアにおいて容器70から被収容物が取り出される。容器70に収容された被収容物の一部又は全部が取り出された後は、当該容器70は、搬出入部9から容器群支持部2(搬送車100)に引き渡されて、再び容器棚8へ搬送される。但し、搬出入部9は、ピッキングエリアに隣接していなくても良く、他の設備や作業エリアに隣接していても良い。また、例えば、搬出入部9は、容器群支持部2から引き渡された容器群7を搬送設備TFの外部へ搬送するように構成されていても良い。
【0031】
〔持ち上げ装置〕
機能部Fとしての持ち上げ装置3は、走行体1に搭載されている。持ち上げ装置3は、容器群支持部2に支持された容器群7の容器70、換言すれば、段積み領域2Aに配置された容器群7の容器70を持ち上げるように構成されている。また、持ち上げ装置3は、段積み領域2Aの容器群7を水平方向から支持することが可能に構成されている。
【0032】
持ち上げ装置3は、走行体1から上方に立設された持ち上げ用マスト30と、持ち上げ用マスト30に連結された持ち上げ用昇降体30Bと、持ち上げ用昇降体30Bを持ち上げ用マスト30に沿って昇降させる持ち上げ用昇降体駆動部30Mと、を備えている。詳細な図示は省略するが、持ち上げ用昇降体駆動部30Mは、例えば、ベルト等の無端体が巻回された回転体を回転駆動するためのモータとして構成されている。
【0033】
本実施形態では、持ち上げ用昇降体駆動部30Mは、機能部Fとしての持ち上げ装置3の駆動源である。ここでは、持ち上げ用昇降体駆動部30Mが「第1駆動源」に相当する。すなわち、搬送車100は、機能部Fを駆動するための第1駆動源(持ち上げ用昇降体駆動部30M)を備えている。
【0034】
持ち上げ装置3は、段積み領域2Aに段積みされた容器群7の内の任意の高さの容器70を当該容器70の下に隣接する容器70に対して持ち上げる第1持ち上げ機構31と、第1持ち上げ機構31により持ち上げられた容器70よりも下方の容器70を当該容器70の下に隣接する容器70に対して持ち上げる第2持ち上げ機構32と、を備えている。また、本実施形態では、第1持ち上げ機構31と第2持ち上げ機構32とが、上下方向に離間して配置されている。これにより、例えば図9に示すように、第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70と、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70との、上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。また、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方にも、上下方向のスペースを形成することが可能となっている。
【0035】
本実施形態では、持ち上げ装置3は、複数のフレーム部を含んで構成されるフレームユニットFUを備えている。本例では、持ち上げ用昇降体30Bから段積み領域2Aに向けて車体前後方向Lに突出する第1フレーム部31F及び第2フレーム部32Fと、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとを連結する連結フレーム部33Fと、を備えている。すなわち、フレームユニットFUは、第1フレーム部31F、第2フレーム部32F、及び連結フレーム部33Fを含む。第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとは、上下方向に間隔を空けて配置されている。第1フレーム部31Fは、第2フレーム部32Fよりも上方に配置されている。連結フレーム部33Fは、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとを上下方向に連結している。このような構成により、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとは、相対移動しないようになっており、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとの上下方向の間隔は常に一定となっている。第1フレーム部31F、第2フレーム部32F、及び連結フレーム部33F(フレームユニットFU)は、持ち上げ用昇降体30Bの昇降に伴って、一体的に昇降する。
【0036】
本実施形態では、第1フレーム部31Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第1フレーム部材31Faを備えている。一対の第1フレーム部材31Faは、段積み領域2Aに配置された容器70の幅(車体幅方向Wの長さ)に対応して配置されている。第2フレーム部32Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第2フレーム部材32Faを備えている。一対の第2フレーム部材32Faは、段積み領域2Aに配置された容器70の幅に対応して配置されている。連結フレーム部33Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の連結フレーム部材33Faを備えている。一対の連結フレーム部材33Faのそれぞれは、上下方向に並ぶ第1フレーム部材31Faと第2フレ
ーム部材32Faとを連結している。
【0037】
図9に示すように、本実施形態では、第1持ち上げ機構31は、容器70を保持する第1持ち上げ保持部31aを備えている。第1持ち上げ保持部31aは、容器70を保持する保持姿勢と、容器70を保持しない非保持姿勢とに、姿勢変更可能に構成されている。図9では、第1持ち上げ保持部31aは保持姿勢となっている。
【0038】
同様に、第2持ち上げ機構32は、容器70を保持する第2持ち上げ保持部32aを備えている。第2持ち上げ保持部32aは、容器70を保持する保持姿勢と、容器70を保持しない非保持姿勢とに、姿勢変更可能に構成されている。図9では、第2持ち上げ保持部32aは保持姿勢となっている。
【0039】
ここで、図9では、下から上に向けて順番に、段積み領域2Aに段積みされた各容器70に「1~5」の数字を付している。また、移載装置4によって保持された容器70に「α」の文字を付している。
【0040】
第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70と第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70との上下方向の間にスペースを形成した場合には、当該スペースに、他の容器70を卸すことが可能となっている。すなわち、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の上に、移載装置4によって他の容器70を段積みすることが可能となっている。図10では、第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70(容器「5」)と第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースに、移載装置4によって保持された容器70(容器「α」)を卸す場合の例を示している。
【0041】
また、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方に上下方向のスペースを形成した場合には、当該スペースを利用して、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方に配置された容器70を掬うことが可能となっている。図10では、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70(容器「4」)の下方に配置された容器70(容器「3」)を掬う場合の例を示している。なお、段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作および掬い動作については後述する。
【0042】
〔移載装置〕
図4に示すように、機能部Fとしての移載装置4は、走行体1に搭載されている。移載装置4は、移載対象箇所Tに対して容器70の移載を行うように構成されている。移載装置4は、移載対象箇所Tへ容器70を移載する卸し動作と、移載対象箇所Tから容器70を移載する掬い動作と、を行うように構成されている。本実施形態では、移載対象箇所Tには、段積み領域2Aと容器棚8の棚部80とが含まれる。
【0043】
ここでは、移載装置4により移載される容器70の移動方向を「移載方向X」とする。また、移載方向Xにおける一方側を「移載方向卸し側X1」とし、他方側を「移載方向掬い側X2」とする。本例では、移載方向Xは、水平方向に沿う方向である。移載方向卸し側X1は、容器70を卸す場合に、移載方向Xに沿って容器70が移動する側である。移載方向掬い側X2は、容器70を掬う場合に、移載方向Xに沿って容器70が移動する側である。
【0044】
本実施形態では、搬送車100は、移載装置4を上下方向に沿う軸心まわりに旋回させる旋回装置5を備えている。図5に示すように、旋回装置5は、移載装置4(詳細には移載装置4の一部)を上下方向に沿う軸心回りに旋回させて、移載方向Xを段積み領域2Aに向けた第1姿勢P1と、移載方向Xを容器棚8に向けた第2姿勢P2とに、移載装置4
の向きを変更するように構成されている。このように本実施形態では、移載方向Xは、旋回装置5によって水平面内において変更され得る。
【0045】
本実施形態では、移載装置4は、移載対象箇所Tの位置に応じて姿勢を変更する。具体的には、移載装置4は、移載対象箇所Tが段積み領域2Aである場合に第1姿勢P1となり、移載対象箇所Tが容器棚8(棚部80)である場合に第2姿勢P2となる。図4に示すように、本例では、旋回装置5は、移載装置4(詳細には移載装置4の一部)を支持する旋回台50と、移載用昇降体40Bに対して旋回台50を旋回自在に支持する旋回軸51と、旋回軸51を駆動する旋回駆動部(不図示)と、を備えている。
【0046】
図4に示すように、移載装置4は、走行体1に固定されると共に上下方向に沿うように配置された移載用マスト40と、移載用マスト40に沿って昇降する移載用昇降体40Bと、移載用昇降体40Bに連結されると共に容器70を保持する保持部Aと、容器70を移載する移載機Bと、を備えている。また、移載装置4は、移載用昇降体40Bを移載用マスト40に沿って昇降させる移載用昇降体駆動部40Mを備えている。これにより、移載装置4は、保持部A及び移載機Bを上下方向に移動させることができ、複数段の棚部80(図3参照)のそれぞれに対して容器70を移載することが可能となっている。詳細な図示は省略するが、移載用昇降体駆動部40Mは、例えば、ベルト等の無端体が巻回された回転体を回転駆動するためのモータとして構成されている。
【0047】
本実施形態では、移載用昇降体駆動部40Mは、機能部Fとしての移載装置4の駆動源である。ここでは、移載用昇降体駆動部40Mが「第2駆動源」に相当する。すなわち、搬送車100は、機能部Fを駆動するための第2駆動源(移載用昇降体駆動部40M)を備えている。
【0048】
保持部Aは、移載用昇降体40Bに連結されており、容器70を保持可能に構成されている。本実施形態では、保持部Aは、第1保持部41Aと、第1保持部41Aよりも下方に配置された第2保持部42Aと、を含む。第1保持部41Aと第2保持部42Aとは、それぞれ単独で容器70を保持可能に構成されている。
【0049】
本実施形態では、移載装置4は、第1保持部41Aと第2保持部42Aとを上下方向に連結する保持連結部43を備えている。保持連結部43は、第1保持部41Aと第2保持部42Aとの上下方向の間隔が一定となるように、両者を連結している。
【0050】
移載機Bは、棚部80及び段積み領域2Aのそれぞれに対して容器70を移載可能に構成されている。棚部80が移載対象箇所Tとされる場合、移載機Bは、保持部Aと棚部80との間で容器70を移載する。また、段積み領域2Aが移載対象箇所Tとされる場合、移載機Bは、保持部Aと段積み領域2Aとの間で容器70を移載する。本例では、移載機Bは、第1姿勢P1において段積み領域2Aに対して容器70を移載し、第2姿勢P2において棚部80に対して容器70を移載する(図5参照)。
【0051】
図4に示すように、本実施形態では、移載機Bは、第1移載機41Bと、第1移載機41Bよりも下方に配置された第2移載機42Bと、を含む。第1移載機41Bは、第1保持部41Aと移載対象箇所Tとの間で容器70を移載する。第2移載機42Bは、第2保持部42Aと移載対象箇所Tとの間で容器70を移載する。
【0052】
〔制御構成〕
図6に示すように、搬送車100は、各部を制御する制御装置Cを備えている。本実施形態では、制御装置Cは、走行体1、容器群支持部2、持ち上げ装置3、移載装置4、及び、旋回装置5を制御する。容器70を支持、搬送、及び移載するための動作は、制御装
置Cによる各部の制御によって実現される。本例では、制御装置Cは、後述する基準位置検出センサSe1及び収納容器検出センサSe2による検出結果に基づいて、容器70を支持、搬送、及び移載するための動作を各部に行わせる。制御装置Cは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0053】
〔移載動作〕
図7図11は、移載装置4が、移載対象箇所Tに対して容器70の移載動作(卸し動作又は掬い動作)を行う場合の説明図である。
【0054】
図7図11に示すように、本実施形態では、第1移載機41Bは、容器70の卸し動作を行う場合に容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する第1押圧部41Baと、容器70の掬い動作を行う場合に容器70に係止されて当該容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む第1係止部41Bbと、第1押圧部41Baと第1係止部41Bbとを支持する第1支持部材41Bcと、を備えている。本例では、第1支持部材41Bcは、不図示の駆動部によって駆動され、第1保持部41Aに対して移載方向Xに沿って相対移動するように構成されている。これにより、第1押圧部41Ba及び第1係止部41Bbは、第1保持部41Aに対して移載方向Xに沿って相対移動可能に構成されている。そして、第1押圧部41Baは、移載方向卸し側X1へ向けて第1保持部41Aに対して相対移動することで、卸し対象の容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。また、第1係止部41Bbは、移載方向掬い側X2へ向けて第1保持部41Aに対して相対移動することで、掬い対象の容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む。
【0055】
また本実施形態では、第2移載機42Bは、容器70の卸し動作を行う場合に容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する第2押圧部42Baと、容器70の掬い動作を行う場合に容器70に係止されて当該容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む第2係止部42Bbと、第2押圧部42Baと第2係止部42Bbとを支持する第2支持部材42Bcと、を備えている。本例では、第2支持部材42Bcは、不図示の駆動部によって駆動され、第2保持部42Aに対して移載方向Xに沿って相対移動するように構成されている。これにより、第2押圧部42Ba及び第2係止部42Bbは、第2保持部42Aに対して移載方向Xに沿って相対移動可能に構成されている。そして、第2押圧部42Baは、移載方向卸し側X1へ向けて第2保持部42Aに対して相対移動することで、卸し対象の容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。また、第2係止部42Bbは、移載方向掬い側X2へ向けて第2保持部42Aに対して相対移動することで、掬い対象の容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む。
【0056】
本実施形態では、第1係止部41Bb及び第2係止部42Bbのそれぞれは、不図示の駆動部により駆動されて、容器70に係止される係止姿勢と容器70に係止されない非係止姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。図7図11では、係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを灰色で示し、非係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを白色で示している。
【0057】
図7は、棚部80に対する容器70の掬い動作(移載動作)を示しており、第1移載機41Bによって、棚部80に収納された容器70を第1保持部41Aへ掬う場合を例示している。この場合、制御装置C(図6参照)は、第1移載機41Bの位置を、棚部80の基準位置80P(図3参照)に合せた後、第1係止部41Bbによって容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む。
【0058】
本実施形態では、移載装置4は、棚部80における基準位置80P(図3参照)を検出
する基準位置検出センサSe1を備えている。上述のように、基準位置80Pは、棚部80における容器70を収納するための基準となる位置である。
【0059】
基準位置検出センサSe1は、梁部材82に設けられた目標部82Tを検出することで、基準位置検出センサSe1を備えた移載装置4と棚部80の基準位置80Pとの位置関係を検出するように構成されている。そして、基準位置検出センサSe1による目標部82Tの検出結果に基づいて、走行体1、旋回装置5、及び移載用昇降体駆動部40Mを制御して、移載装置4の位置を補正する動作を行うことにより、棚部80に対する容器70の移載を適切に行うことが可能となる。本例では、基準位置検出センサSe1は、カメラにより構成されている。カメラとして構成される基準位置検出センサSe1の画像認識によって、移載装置4と梁部材82に設けられた目標部82Tとの位置関係を検出可能となっている。例えば、基準位置検出センサSe1は、対象との距離を検出する測距センサとしての機能を有していても良い。
【0060】
図8は、棚部80に対する容器70の卸し動作(移載動作)を示しており、第2移載機42Bによって、第2保持部42Aに保持された容器70を棚部80へ卸す場合を例示している。この場合、制御装置C(図6参照)は、容器70を卸す対象となる棚部80に別の容器70が収納されていないと判定した場合に、第2押圧部42Baによって容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。
【0061】
また、本実施形態では、移載装置4は、棚部80に収納された容器70を検出する収納容器検出センサSe2を備えている。
【0062】
収納容器検出センサSe2は、移載装置4が棚部80へ容器70を移載する卸し動作を行う場合に、移載しようとする棚部80における容器70の有無を検出する。移載装置4は、卸し先となる目標の棚部80に容器70が無いことが収納容器検出センサSe2によって検出された場合に、当該棚部80への容器70の卸し動作を行う。卸し先となる目標の棚部80に容器70が有ることが収納容器検出センサSe2によって検出された場合には、他の空きの棚部80へ容器70を移載するようにしても良いし、或いは、移載を中止しても良い。例えば、収納容器検出センサSe2は、目標との距離を検出する測距センサとしても構成されていても良い。これにより、移載装置4と移載対象箇所Tとの距離を測りながら移載動作を行うことができる。本実施形態では、収納容器検出センサSe2は、目標に対して光を投光する光センサとして構成されている。但し、このような構成に限定されず、収納容器検出センサSe2は、例えば超音波センサやカメラなどの周知の手段を用いて構成されていても良い。
【0063】
図9図11は、段積み領域2Aに対する容器70の移載動作を示している。上述したように、本実施形態では、持ち上げ装置3によって、段積み領域2Aに段積みされた複数の容器70の上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。そして、移載装置4は、これらのスペースを利用して、段積み領域2Aに対する容器70の移載を行う。本実施形態では、移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器70の掬い動作および卸し動作を行うように構成されている。詳細には、移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器70の掬い及び卸しを並行して行う並行動作を行うように構成されている。
【0064】
図9図11には、段積み領域2Aに、5段の容器70が容器群7として段積みされている例が示されている。図中では、下から上に向けて順番に、段積みされた各容器70に「1~5」の数字を付している。また、第1保持部41Aに保持された卸し対象の容器70に「α」の文字を付している。以下に示す例では、持ち上げ装置3によって5段目の容器70(容器「5」)と4段目の容器70(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースを利用して、4段目の容器70(容器「4」)の上に卸し対象の容器70(容器
「α」)を卸す。また、それに並行して、持ち上げ装置3によって4段目の容器70(容器「4」)の下方に形成されたスペースを利用して、3段目の容器70(容器「3」)を掬う。
【0065】
図10に示すように、制御装置C(図6参照)は、係止姿勢の第2係止部42Bbを、容器70(容器「3」)に係止させた状態で第2保持部42Aに対して移載方向掬い側X2に相対移動させる。制御装置Cは、これと並行して、第1保持部41Aに保持された容器70(容器「α」)を第1押圧部41Baにより押圧した状態で、当該第1押圧部41Baを第1保持部41Aに対して移載方向卸し側X1に相対移動させる。これにより、第2係止部42Bbが、掬い対象の容器70(容器「3」)を移載方向掬い側X2に引き込み、第1押圧部41Baが、卸し対象の容器70(容器「α」)を移載方向卸し側X1に押圧する。
【0066】
そして、制御装置Cは、第2係止部42Bbにより引き込まれる掬い対象の容器70(容器「3」)を第2保持部42A上に配置すると共に、第1押圧部41Baにより押圧される卸し対象の容器70(容器「α」)を第2持ち上げ保持部32aにより持ち上げられた容器70(容器「4」)の上方に配置して当該容器70(容器「4」)に嵌合させる。これにより、段積み領域2Aの容器群7は、図11に示すような状態となる。すなわち、段積み領域2Aに配置された複数の容器70のうち一部の容器70(容器「3」)が、新たな容器70(容器「α」)と入れ替えられる。
【0067】
ここで、上述のように、搬送車100は、容器70を支持及び移載するための機能部F(本例では持ち上げ装置3及び移載装置4)と、機能部Fを駆動するための第1駆動源(本例では持ち上げ用昇降体駆動部30M)及び第2駆動源(本例では移載用昇降体駆動部40M)を備えている。このような機能部Fを駆動するための駆動源30M,40Mは、搬送車100を構成する部材の中では比較的重量物となり易い。このような駆動源30M,40Mの配置位置を考慮することで、搬送車100の重量バランスを良好にすることが期待でき、延いては、方向変換等のために搬送車100が旋回した際の当該搬送車100の挙動の安定化が期待できる。
【0068】
図12は、走行体1の要部を概略的に示す車体幅方向W視図である。図13は、走行体1の要部を概略的に示す平面図である。以下では、車体前後方向Lの一方側を車体前後方向第1側L1とし、車体前後方向Lの他方側を車体前後方向第2側L2とする。また、車体幅方向Wの一方側を車体幅方向第1側W1とし、車体幅方向Wの他方側を車体幅方向第2側W2とする。
【0069】
図12及び図13に示すように、走行体1は、走行本体部10と、走行本体部10に支持された複数の走行車輪11と、を備えている。複数の走行車輪11は、一対の駆動輪11aと複数の従動輪11bとを含む。一対の駆動輪11aは、車輪駆動源11Mによって駆動される。すなわち、走行体1は、走行本体部10と、走行本体部10に支持された一対の駆動輪11aと、一対の駆動輪11aを駆動する車輪駆動源11Mと、を備えている。
【0070】
一対の駆動輪11aは、車輪駆動源11Mにより、互いに同じ速度又は異なる速度で回転駆動される。本実施形態では、一対の駆動輪11aのそれぞれは、別の車輪駆動源11Mによって独立して駆動される。なお、一対の駆動輪11aが互いに異なる速度で回転駆動される場合には、一対の駆動輪11aのうち一方が正方向に回転駆動され、他方が逆方向に回転駆動される場合が含まれる。換言すれば、一対の駆動輪11aが、互いに反対方向に回転駆動される場合が含まれる。
【0071】
本実施形態では、一対の駆動輪11aのそれぞれに対して車体前後方向Lの両側に、従動輪11bが設けられている。すなわち本例では、4つの従動輪11bが、走行本体部10に支持されている。各従動輪11bは、上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に走行本体部10に支持されている。すなわち、従動輪11bの回転軸が沿う方向は、水平面内において変更され得る。本例では、各従動輪11bは、キャスターとして構成されている。
【0072】
本実施形態では、一対の駆動輪11aが互いに反対方向に回転駆動されることで、搬送車100は、走行体1をその場で上下軸心まわりに旋回させる、いわゆるスピンターンを行うことができる。本例では、搬送車100は、方向変換領域DA(図1参照)でスピンターンを行うことにより、走行体1の進行方向を変更するように構成されている。但し、走行体1の進行方向の変更は、スピンターン以外によっても可能である。例えば、搬送車100は、一対の駆動輪11aの一方の回転を停止させ、他方を回転させることで走行体1の進行方向を変更し、或いは、一対の駆動輪11aを同じ方向に回転させつつ互いの回転速度を異ならせることで走行体1の進行方向を変更するようにしても良い。
【0073】
搬送車100がスピンターンを含む旋回を行う場合に、搬送車100の重心が車体前後方向L及び車体幅方向Wに大きく偏っていると、搬送車100の挙動が不安定になる可能性がある。しかし、本開示に係る搬送車100は、スピンターンを含む旋回時の挙動を安定させることが可能な構成となっている。以下、詳細に説明する。
【0074】
一対の駆動輪11aは、走行本体部10の車体前後方向Lの中央領域10Amにおいて車体幅方向Wに離間して配置されている。中央領域10Amは、走行本体部10の車体前後方向Lにおける中央付近の領域である。本実施形態では、中央領域10Amは、走行本体部10の車体前後方向Lの寸法を3等分した範囲に形成される各領域のうち、車体前後方向Lの中央に配置される領域である。本例では、一対の車輪駆動源11Mは、走行本体部10の中央領域10Amに配置されている。
【0075】
ここで、図13に示すように、上下方向視で一対の駆動輪11aを結ぶように車体幅方向Wに沿って延在する仮想線を幅方向基準線LWとし、車体幅方向Wにおける一対の駆動輪11aの中間位置Pmにおいて上下方向視で幅方向基準線LWに交差すると共に、車体前後方向Lに延在する仮想線を前後方向基準線LLとする。
【0076】
第1駆動源である持ち上げ用昇降体駆動部30M、及び、第2駆動源である移載用昇降体駆動部40Mは、走行本体部10に搭載されている。持ち上げ用昇降体駆動部30Mは、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1且つ前後方向基準線LLに対して車体幅方向第1側W1に配置されている。そして、移載用昇降体駆動部40Mは、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第2側L2且つ前後方向基準線LLに対して車体幅方向第2側W2に配置されている。これにより、重量物となり易い持ち上げ用昇降体駆動部30Mと移載用昇降体駆動部40Mとが、走行体1の旋回中心に対して、上下方向視で対角状に配置されることになる。そのため、搬送車100の重心が車体前後方向L及び車体幅方向Wに大きく偏ることがないようにできる。従って、上記構成によれば、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動を安定させることが可能となっている。
【0077】
本実施形態では、幅方向基準線LWから持ち上げ用昇降体駆動部30Mまでの車体前後方向Lの離間距離と、幅方向基準線LWから移載用昇降体駆動部40Mまでの車体前後方向Lの離間距離とは、同等となっている。更に、前後方向基準線LLから持ち上げ用昇降体駆動部30Mまでの車体幅方向Wの離間距離と、前後方向基準線LLから移載用昇降体駆動部40Mまでの車体幅方向Wの離間距離とは、同等となっている。これにより、搬送車100の重心位置を、搬送車100がスピンターン(旋回)を行う場合の走行体1の旋
回中心に近づけ易くすることができ、搬送車100の挙動を更に安定させ易い。なお、各基準線LW,LLから持ち上げ用昇降体駆動部30Mまでの離間距離は、上下方向視における持ち上げ用昇降体駆動部30Mの中心を基準として定義される。同様に、各基準線LW,LLから移載用昇降体駆動部40Mまでの離間距離は、上下方向視における移載用昇降体駆動部40Mの中心を基準として定義される。
【0078】
図12に示すように、本実施形態では、持ち上げ用昇降体駆動部30M及び移載用昇降体駆動部40Mは、容器群支持部2よりも下方に配置されている。これにより、搬送車100の重心位置を低くすることができ、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動を更に安定させることが可能となる。
【0079】
本実施形態では、持ち上げ用昇降体駆動部30Mは、上下方向視で容器群支持部2に対して少なくとも一部が重複するように配置されている。また、容器群支持部2と持ち上げ装置3とは近接して配置されている。従って、上記構成により、第1駆動源である持ち上げ用昇降体駆動部30Mと当該持ち上げ用昇降体駆動部30Mの駆動対象となる持ち上げ装置3とを近づけて配置できるため、持ち上げ用昇降体駆動部30Mから持ち上げ装置3への駆動力の伝達を容易にすることができる。例えば、この駆動力が伝達する動力伝達経路の構成を簡略化することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、移載用昇降体駆動部40Mは、上下方向視で移載装置4に対して重複しないように配置されている。これにより、移載装置4によって昇降する容器70の昇降範囲を広く確保することができる。本実施形態では、移載用昇降体駆動部40Mは、移載用昇降体40Bに対して上下方向視で重複しないように配置されている(図14参照)。これにより、後述する移載用昇降体40Bの昇降可能範囲VR(図14参照)を広く確保することが可能となっている。
【0081】
上述のように、搬送車100は、搬送車100の各部を制御する制御装置Cを備えている。更に本実施形態では、搬送車100は、車輪駆動源11M、第1駆動源としての持ち上げ用昇降体駆動部30M、及び第2駆動源としての移載用昇降体駆動部40Mに電力を供給する蓄電装置Cbを備えている。
【0082】
制御装置C及び蓄電装置Cbは、走行本体部10に搭載されている。本実施形態では、制御装置Cは、容器群支持部2よりも下方に配置されている。また、蓄電装置Cbは、容器群支持部2よりも下方に配置されている。比較的重量物となり易い制御装置C及び蓄電装置Cbを、容器群支持部2よりも下方に配置することによって、搬送車100の重心位置を低くすることができ、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動を更に安定させることが可能となる。
【0083】
更に、本実施形態では、制御装置Cは、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1に配置されている。また、蓄電装置Cbは、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1に配置されている。段積み領域2Aに支持された容器群7を構成する容器70の数の増減に伴って、搬送車100の重心位置は変化する。上記構成によれば、複数の容器70が段積みされる段積み領域2Aに対して上下方向視で重複する位置、或いはそれと近い位置に、重量物となり易い制御装置C及び蓄電装置Cbを配置することができる。そのため、容器群7を構成する容器70の数の増減があった場合であっても、搬送車100の重心位置の変化量を小さく抑えることができる。従って、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動を安定化させ易い。
【0084】
図14に示すように、本実施形態では、制御装置C(図6参照)は、移載用昇降体40Bの位置を昇降可能範囲VRの中央よりも下方に設定された下部範囲UR内に位置するよ
うに制御する低重心化制御を実行可能に構成されている。制御装置Cは、移載装置4を制御することにより、低重心化制御を実行する。具体的には、制御装置Cは、移載用昇降体駆動部40Mを(図12等参照)制御して、低重心化制御を実行する。この低重心化制御の実行により、搬送車100全体の重心を低くして、搬送車100を倒れ難くすることができる。また、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動も安定化させ易い。本実施形態では、制御装置Cは、低重心化制御において、移載用昇降体40Bを昇降可能範囲VRの最下部に位置させる。これにより、搬送車100を更に倒れ難くすることができると共に、旋回時の搬送車100の挙動も更に安定化させ易い。
【0085】
制御装置Cは、走行体1が棚領域IAにいるか外部領域OA(図2参照)にいるかを判定し、外部領域OAの少なくとも一部において、低重心化制御を実行する。外部領域OAには、走行体1が棚領域IAにいる場合に搬送車100の支えとなり得る容器棚8のような構造物が少ない。しかし、上記のように、外部領域OAの少なくとも一部において低重心化制御が実行されることによって、搬送車100が外部領域OAにいる場合に搬送車100全体の重心を低くすることができるため、外部領域OAにいる搬送車100を倒れ難くすることができる。また上述のように、外部領域OAには、走行体1が進行方向を変更するための領域である方向変換領域DAが設けられている。そのため、搬送車100の重心を低くした状態で、方向変換領域DAにおいてスピンターン等により方向変換を行うことができる。
【0086】
本実施形態では、搬送車100は、走行体1の現在の位置情報を取得する位置情報取得部Ca(図6参照)を備えている。本例では、制御装置Cは、位置情報取得部Caによって取得された位置情報に基づいて、走行体1が棚領域IAにいるか外部領域OAにいるかを判定する。本例では、位置情報取得部Caは、設備全体を管理する上位コントローラHから送信される走行体1の現在の位置情報を取得するように構成されている。この場合、上位コントローラHは、設備全体に存在する走行体1(搬送車100)の位置を把握しており、走行体1(搬送車100)の現在の位置情報を位置情報取得部Caに送信する。
【0087】
図15に示すように、本実施形態では、移載装置4(図4等参照)が容器棚8との間で容器70を移載する場合の走行体1の停止位置を移載用停止位置SPとして、制御装置Cは、走行体1の走行経路Rに沿って棚領域IAから外部領域OAへ出る前の最後の移載用停止位置SPにおいて容器70の移載を完了した後、走行体1が外部領域OAに出るまでに、低重心化制御を開始する。そして、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAにいる間、低重心化制御を実行している状態を維持する。本例では、移載装置4が次の容器70の移載を行う場合には、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAへ出た後、走行体1が外部領域OAにいる間、及び、走行体1が棚領域IAに進入してから次の移載を実行するまでの間、低重心化制御を実行している状態を維持する。
【0088】
次に、図16のフローチャートを参照して、低重心化制御を実行する場合の処理手順について説明する。
【0089】
図16に示すように、制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートであるか否かを判定する(ステップ#1)。走行体1が走行するルートは、例えば、上位コントローラHから送信される搬送指令に含まれる。この場合、制御装置Cは、当該搬送指令に基づいて、ルートの判定を行う。
【0090】
制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートではないと判定した場合には(ステップ#1:No)、ルーチンを終了する。制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートであると判定した場合には(ステップ#1:Yes)、棚領域IAにおける
最後の移載が完了したか否かを判定する(ステップ#2)。
【0091】
制御装置Cは、棚領域IAにおける最後の移載が完了していないと判定した場合には(ステップ#2:No)、ステップ#2の処理を繰り返し行う。制御装置Cは、棚領域IAにおける最後の移載が完了したと判定した場合には(ステップ#2:Yes)、低重心化制御を実行する(ステップ#3)。そして、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAを出た後、棚領域IAに進入して移載機Bによって次の容器70の移載が行われるまでの間、低重心化制御の実行を維持する(ステップ#4)。
【0092】
以上のように、搬送車100は、構造的及び制御的に、搬送車100の重心位置を低くすることが可能に構成されている。これにより、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動を安定させることが可能となっている。
【0093】
〔第2実施形態〕
次に、搬送車の第2実施形態について、図17図20を参照して説明する。以下で特に説明しない点については、第1実施形態と同様である。
【0094】
図17は、車体前後方向L視における持ち上げ装置3を示している。図18は、平面視における持ち上げ装置3を示している。
【0095】
図17及び図18に示すように、本実施形態では、持ち上げ装置3は、段積み領域2Aの容器群7の傾きを規制する規制案内部3Gを備えている。規制案内部3Gは、容器群7を下方から支持する容器群支持部2(図4等参照)とは別に、当該容器群7に対して水平方向に対向することで容器群7の傾きを規制する。また、規制案内部3Gは、移載装置4が段積み領域2Aに対して容器70を移載する場合に、容器70を移載方向Xに案内する機能も有する。
【0096】
本実施形態では、規制案内部3Gは、第1規制案内部31Gと、第1規制案内部31Gよりも下方に配置された第2規制案内部32Gと、を含む。本例では、第1規制案内部31Gは、第1フレーム部31Fに設けられている。詳細には、第1規制案内部31Gは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第1フレーム部材31Faに設けられており、それぞれの第1フレーム部材31Faから車体幅方向Wの内側に突出した部分を有する。また、本例では、第2規制案内部32Gは、第2フレーム部32Fに設けられている。詳細には、第2規制案内部32Gは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第2フレーム部材32Faに設けられており、それぞれの第2フレーム部材32Faから車体幅方向Wの内側に突出した部分を有する。
【0097】
図18に示すように、本実施形態では、第1フレーム部31Fは、一対の第1フレーム部材31Faの他に、車体幅方向Wに沿って配置される幅方向フレーム部材31Fbを備えている。本例では、幅方向フレーム部材31Fbは、一対の第1フレーム部材31Faのそれぞれにおける移載方向掬い側X2の端部を連結している。そして、本実施形態では、第1規制案内部31Gは、一対の第1フレーム部材31Faの他に、当該幅方向フレーム部材31Fbにも設けられている。詳細な図示は省略するが、第2フレーム部32Fも同様に、幅方向フレーム部材を備えている。そして、第2規制案内部32Gも同様に、一対の第2フレーム部材32Faの他に、当該幅方向フレーム部材にも設けられている。すなわち本例では、第1規制案内部31Gと第2規制案内部32Gとは、互いに同様の構造を備えている。以下では、第1規制案内部31Gの構造について説明し、第2規制案内部32Gの構造についてはそれと同様であるので説明を省略する。
【0098】
図18に示すように、本実施形態では、第1規制案内部31Gは、段積み領域2Aの容
器群7に対して、車体幅方向Wに対向する幅方向対向部31Gaと、車体前後方向Lに対向する前後方向対向部31Gbと、を備えている。これにより、段積み領域2Aの容器群7が車体幅方向W又は車体前後方向Lに傾いた場合に、幅方向対向部31Ga又は前後方向対向部31Gbが容器群7に当接して当該容器群7を車体幅方向W又は車体前後方向Lに支持する。これにより、容器群7の傾きを適切に規制することができる。なお、段積み領域2Aの容器群7が車体幅方向W又は車体前後方向Lに移動した場合にも、幅方向対向部31Ga又は前後方向対向部31Gbが容器群7に当接することで、当該容器群7の移動を適切に規制することができる。
【0099】
本実施形態では、第1規制案内部31Gは、段積み領域2Aの容器群7における移載方向卸し側X1の部分に対応して配置された第1規制案内部材31G1と、段積み領域2Aの容器群7における移載方向掬い側X2の部分に対応して配置された第2規制案内部材31G2と、段積み領域2Aの容器群7よりも移載方向掬い側X2に配置された第3規制案内部材31G3と、を備えている。
【0100】
本実施形態では、第1規制案内部材31G1及び第2規制案内部材31G2は、一対の第1フレーム部材31Faのそれぞれに連結されている。第1規制案内部材31G1は、第2規制案内部材31G2よりも移載方向卸し側X1に配置されている。第2規制案内部材31G2は、第1規制案内部材31G1よりも移載方向掬い側X2に配置されている。第3規制案内部材31G3は、幅方向フレーム部材31Fbに連結されている。本例では、一対の第3規制案内部材31G3が、互いに車体幅方向Wに間隔を空けて、幅方向フレーム部材31Fbに連結されている。
【0101】
本実施形態では、第1規制案内部材31G1は、幅方向対向部31Gaと前後方向対向部31Gbとを備えている。第1規制案内部材31G1の前後方向対向部31Gbは、段積み領域2Aの容器群7に対して移載方向卸し側X1に対向して配置されている。本例では、幅方向対向部31Gaは、車体幅方向Wの内側を向く面を有すると共に移載方向Xに沿って延在する板状に形成されている。第1規制案内部材31G1の前後方向対向部31Gbは、移載方向掬い側X2を向く面を有すると共に車体幅方向Wに沿って延在する板状に形成されている。そして、第1規制案内部材31G1の幅方向対向部31Gaと前後方向対向部31Gbとが連続して、上下方向視においてL字状を成している。図示の例では、幅方向対向部31Ga及び前後方向対向部31Gbは、いずれも容器群7に対して隙間を空けた状態で対向している。なお、幅方向対向部31Ga及び前後方向対向部31Gbが容器群7の側面に接する状態で対向するように配置されていても良い。
【0102】
本実施形態では、第1規制案内部31G(第2規制案内部32G)は、幅方向対向部31Ga、前後方向対向部31Gbの他に、段積み領域2Aへ移載される容器70を移載方向Xに沿って案内するガイド部31Ggを備えている。そして、第2規制案内部材31G2は、ガイド部31Ggと幅方向対向部31Gaとを備えている。ガイド部31Ggは、移載方向卸し側X1へ向かうに従って車体幅方向Wの内側へ向かうように延在する板状に形成されている。これにより、段積み領域2Aへ移載される容器70を移載方向卸し側X1に向けて適切に案内することが可能となっている。本例では、第2規制案内部材31G2のガイド部31Ggと幅方向対向部31Gaとは連続して形成されている。第2規制案内部材31G2の幅方向対向部31Gaは、ガイド部31Ggにおける移載方向卸し側X1の端部から連続して移載方向卸し側X1へ向けて延在する板状に形成されている。
【0103】
本実施形態では、第3規制案内部材31G3は、前後方向対向部31Gbを備えている。第3規制案内部材31G3の前後方向対向部31Gbは、段積み領域2Aの容器群7に対して移載方向掬い側X2に対向して配置されている。本例では、第3規制案内部材31G3の前後方向対向部31Gbは、移載方向卸し側X1を向く面を有すると共に車体幅方
向Wに沿って延在する板状に形成されている。
【0104】
ここで、幅方向対向部31Gaと前後方向対向部31Gbとは、段積み領域2Aの容器群7に対して水平方向に対向して当該容器群7を支持可能な対向状態と、容器群7に対して水平方向に対向しない非対向状態と、に状態変更するように構成されている。すなわち、図19において仮想線で示すように、フレームユニットFUが段積み領域2Aの容器群7に対して水平方向視で重複しない位置にある場合には、幅方向対向部31Gaと前後方向対向部31Gbとは非対向状態となる。一方、図19において実線で示すように、フレームユニットFUが段積み領域2Aの容器群7に対して水平方向視で重複する位置にある場合には、幅方向対向部31Gaと前後方向対向部31Gbとは対向状態となる。
【0105】
本実施形態では、制御装置C(図4参照)は、フレームユニットFUを段積み領域2Aの容器群7に対して水平方向視で重複する位置に配置する容器群対向制御を実行可能に構成されている。制御装置Cは、容器群対向制御では、フレームユニットFUを支持する持ち上げ用昇降体30Bを昇降させることで、容器群対向範囲SRにフレームユニットFUを配置する。具体的には、制御装置Cは、持ち上げ用昇降体駆動部30Mを(図12等参照)制御して、容器群対向制御を実行する。
【0106】
ここで、「容器群対向範囲SR」とは、上下方向に沿って設定される範囲であり、現在段積み領域2Aある容器群7の上下方向の存在範囲に応じて設定される範囲である。制御装置Cは、容器群対向制御の実行により、フレームユニットFUの少なくとも一部を容器群対向範囲SRに配置する。本実施形態では、制御装置Cは、容器群7を構成する複数の容器70のうち最上段に配置された容器70に対してフレームユニットFUが水平方向視で重複して配置されるように、容器群対向制御を実行する。ここでは、制御装置Cは、規制案内部3Gが容器群7の最上段に配置された容器70に対して水平方向視で重複して配置されるようにする。より詳しくは、本例では、フレームユニットFUに設けられた第1規制案内部31Gと第2規制案内部32Gとのうち、第1規制案内部31Gが容器群7の最上段に配置された容器70と水平方向視で重複して配置されるようにする。これにより、容器群7が傾いた場合に、当該容器群7を構成する複数の容器70のうち最上段に配置された容器70を規制案内部3G(幅方向対向部31Ga及び前後方向対向部31Gb)によって支持することが可能となり、容器群7の傾きや倒れを適切に規制できる。なお、図19では、煩雑さを避けるため、規制案内部3G(幅方向対向部31Ga及び前後方向対向部31Gb)の図示を省略している。
【0107】
本実施形態では、制御装置Cは、走行体1が棚領域IAにいるか外部領域OA(図2参照)にいるかを判定し、外部領域OAの少なくとも一部において、容器群対向制御を実行する。これにより、走行体1が外部領域OA、詳細には、方向変換領域DAにおいてスピンターン等によって方向変換を行う場合に、段積み領域2Aの容器群7が倒れ難いようにできる。
【0108】
本実施形態では、制御装置Cは、走行体1の走行経路Rに沿って棚領域IAから外部領域OAへ出る前の最後の移載用停止位置SP(図15参照)において容器70の移載を完了した後、走行体1が外部領域OAに出るまでに、容器群対向制御を開始する。そして、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAにいる間、容器群対向制御を実行している状態を維持する。本例では、移載装置4が次の容器70の移載を行う場合には、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAへ出た後、走行体1が外部領域OAにいる間、及び、走行体1が棚領域IAに進入してから次の移載を実行するまでの間、容器群対向制御を実行している状態を維持する。
【0109】
本実施形態では、制御装置Cは、低重心化制御と同時期に容器群対向制御を実行する。
これにより、搬送車100の倒れを抑制できると共に容器群7の倒れも抑制することができる。
【0110】
次に、図20のフローチャートを参照して、容器群対向制御を実行する場合の処理手順について説明する。
【0111】
図20に示すように、制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートであるか否かを判定する(ステップ#11)。走行体1が走行するルートは、例えば、上位コントローラHから送信される搬送指令に含まれる。この場合、制御装置Cは、当該搬送指令に基づいて、ルートの判定を行う。
【0112】
制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートではないと判定した場合には(ステップ#11:No)、ルーチンを終了する。制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートであると判定した場合には(ステップ#11:Yes)、棚領域IAにおける最後の移載が完了したか否かを判定する(ステップ#12)。
【0113】
制御装置Cは、棚領域IAにおける最後の移載が完了していないと判定した場合には(ステップ#12:No)、ステップ#12の処理を繰り返し行う。制御装置Cは、棚領域IAにおける最後の移載が完了したと判定した場合には(ステップ#12:Yes)、低重心化制御及び容器群対向制御を実行する(ステップ#13)。そして、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAを出た後、棚領域IAに進入して移載装置4によって次の容器70の移載が行われるまでの間、低重心化制御及び容器群対向制御の実行を維持する(ステップ#14)。
【0114】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0115】
(1)上記の実施形態では、機能部Fとして、持ち上げ装置3及び移載装置4を例示した。しかし、このような例に限定されることなく、持ち上げ装置3及び移載装置4以外の他の装置が、機能部Fとされても良い。
【0116】
(2)上記の実施形態では、第1駆動源として持ち上げ用昇降体駆動部30Mを例示し、第2駆動源として移載用昇降体駆動部40Mを例示した。しかし、このような例に限定されることなく、第1駆動源としては、機能部Fを駆動するための種々の駆動部であって良い。同様に、第2駆動源としては、上記機能部Fとは異なる機能部Fを駆動するための種々の駆動部であって良い。
【0117】
(3)上記の実施形態では、幅方向基準線LWから持ち上げ用昇降体駆動部30Mまでの車体前後方向Lの離間距離と、幅方向基準線LWから移載用昇降体駆動部40Mまでの車体前後方向Lの離間距離とが、同等となっており、前後方向基準線LLから持ち上げ用昇降体駆動部30Mまでの車体幅方向Wの離間距離と、前後方向基準線LLから持ち上げ用昇降体駆動部30Mまでの車体幅方向Wの離間距離とが、同等となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、上記の各離間距離は、走行体1の全体に占める重量バランスを考慮した値になっていれば良く、持ち上げ用昇降体駆動部30Mと移載用昇降体駆動部40Mとの重量差に応じて適宜設定される。
【0118】
(4)上記の実施形態では、持ち上げ用昇降体駆動部30Mが、上下方向視で容器群支持部2に対して少なくとも一部が重複するように配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、持ち上げ用昇降体駆動部30Mの全体が、上下
方向視で容器群支持部2に対して重複しないように配置されていても良い。
【0119】
(5)上記の実施形態では、移載用昇降体駆動部40Mが、上下方向視で移載装置4に対して重複しないように配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移載用昇降体駆動部40Mの少なくとも一部が、上下方向視で移載装置4に対して重複するように配置されていても良い。
【0120】
(6)上記の実施形態では、制御装置Cが、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御装置Cの一部が、上下方向視で幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1に配置され、制御装置Cにおけるその他の部分が、上下方向視で幅方向基準線LWに対して車体前後方向第2側L2に配置されていても良い。或いは、制御装置Cの全体が、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第2側L2に配置されていても良い。
【0121】
(7)上記の実施形態では、蓄電装置Cbが、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、蓄電装置Cbの一部が、上下方向視で幅方向基準線LWに対して車体前後方向第1側L1に配置され、蓄電装置Cbにおけるその他の部分が、上下方向視で幅方向基準線LWに対して車体前後方向第2側L2に配置されていても良い。或いは、蓄電装置Cbの全体が、上下方向視で、幅方向基準線LWに対して車体前後方向第2側L2に配置されていても良い。
【0122】
(8)上記の実施形態では、制御装置Cが、低重心化制御と同時期に容器群対向制御を実行する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御装置Cは、低重心化制御とは異なる時期に、容器群対向制御を実行しても良い。また、制御装置Cは、低重心化制御及び容器群対向制御のうち一方のみを実行しても良いし、或いは、何れも実行しないようにしても良い。
【0123】
(9)上記の実施形態では、一対の駆動輪11aのそれぞれが、別の車輪駆動源11Mによって独立して駆動される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、一対の駆動輪11aが、互いに同じ速度又は異なる速度で回転するようにギヤ機構等により連結され、1つの車輪駆動源11Mによって駆動されるように構成されていても良い。
【0124】
(10)上記の実施形態では、一対の車輪駆動源11Mが、走行本体部10の中央領域10Amに配置されている例について説明した。しかし、一対の車輪駆動源11Mは、走行本体部10における中央領域10Am以外の領域に配置されていても良い。
【0125】
(11)上記の実施形態では、位置情報取得部Caは、設備全体を管理する上位コントローラHから送信される走行体1の位置情報を取得するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、位置情報取得部Caは、棚領域IAと外部領域OAとの境界に設けられた情報記憶部(不図示)から当該情報記憶部の位置を示す情報を読み取ることで、前記境界における走行体1の現在の位置情報を取得するように構成されていても良い。この場合の情報記憶部としては、バーコードやICタグなどの情報記憶媒体であると良い。或いは、位置情報取得部Caは、カメラにより構成され、カメラにより撮像された走行体1の周辺の画像に基づいて走行体1の現在の位置情報を取得するようにしても良い。
【0126】
(12)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形
態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0127】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送車について説明する。
【0128】
物品を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して前記物品を移載する搬送車であって、
走行する走行体と、
前記物品を支持及び移載するための機能部と、
前記機能部を駆動するための第1駆動源及び第2駆動源と、を備え、
前記走行体は、走行本体部と、前記走行本体部に支持された一対の駆動輪と、一対の前記駆動輪を駆動する車輪駆動源と、を備え、
一対の前記駆動輪は、前記車輪駆動源により、互いに同じ速度又は異なる速度で回転駆動され、
前記走行体が走行する方向を車体前後方向とし、前記車体前後方向の一方側を車体前後方向第1側とし、前記車体前後方向の他方側を車体前後方向第2側とし、
上下方向に沿う上下方向視で前記車体前後方向に直交する方向を車体幅方向とし、前記車体幅方向の一方側を車体幅方向第1側とし、前記車体幅方向の他方側を車体幅方向第2側とし、
一対の前記駆動輪は、前記走行本体部の前記車体前後方向の中央領域において前記車体幅方向に離間して配置され、
前記上下方向視で一対の前記駆動輪を結ぶように前記車体幅方向に沿って延在する仮想線を幅方向基準線とし、前記車体幅方向における一対の前記駆動輪の中間位置において前記上下方向視で前記幅方向基準線に交差すると共に、前記車体前後方向に延在する仮想線を前後方向基準線として、
前記第1駆動源が、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側且つ前記前後方向基準線に対して前記車体幅方向第1側に配置され、
前記第2駆動源が、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第2側且つ前記前後方向基準線に対して前記車体幅方向第2側に配置されている。
【0129】
本構成によれば、一対の駆動輪を互いに反対方向に回転駆動することで、走行体をその場で旋回させる、いわゆるスピンターンを行うことができる。しかし、そのようなスピンターンを行う場合に、搬送車の重心が車体前後方向及び車体幅方向に大きく偏っていると、搬送車の挙動が不安定になる可能性がある。ここで、上下方向視で幅方向基準線と前後方向基準線とが交差する点が、搬送車がスピンターンを行う場合の走行体の旋回中心と概略的に一致する。本構成によれば、重量物となり易い第1駆動源と第2駆動源とが、走行体の旋回中心に対して、上下方向視で対角状に配置されることになる。そのため、搬送車の重心が車体前後方向及び車体幅方向に大きく偏ることがないようにし易くなっている。従って、本構成によれば、上記スピンターンを含む旋回時の搬送車の挙動を安定させることが可能となる。
【0130】
ここで、前記車輪駆動源は、前記走行本体部の前記車体前後方向の前記中央領域に配置されている、と好適である。
【0131】
本構成によれば、車輪駆動源を、搬送車がスピンターンを行う場合の走行体の旋回中心に近づけて配置することができるため、スピンターンを含む旋回時の搬送車の挙動を更に安定させることが可能となる。
【0132】
また、前記物品が、被収容物を収容可能な容器であり、
前記走行体に搭載され、複数の前記容器を段積み状態の容器群として規定の段積み領域内に支持する容器群支持部と、
前記走行体に搭載され、前記容器群支持部に支持された前記容器群の前記容器を持ち上げる前記機能部としての持ち上げ装置と、を備え、
前記第1駆動源は、前記持ち上げ装置の駆動源であり、前記上下方向視で前記容器群支持部に対して少なくとも一部が重複するように配置されている、と好適である。
【0133】
本構成によれば、第1駆動源と、当該第1駆動源の駆動対象となる持ち上げ装置とを、近づけて配置できるため、駆動源から駆動対象への駆動力の伝達を容易にすることができる。
【0134】
また、上記構成において、
前記走行体に搭載され、前記容器の移載を行う前記機能部としての移載装置を備え、
前記第2駆動源は、前記移載装置の駆動源であり、前記上下方向視で前記移載装置に対して重複しないように配置されている、と好適である。
【0135】
本構成によれば、移載装置の動作が、第2駆動源の存在による制約を受け難い。例えば、移載装置が、容器を昇降させる機能を備えている場合には、容器の昇降範囲を広く確保することが可能となる。
【0136】
また、上記構成において、
前記走行体、前記持ち上げ装置、及び前記移載装置を制御する制御装置を更に備え、
前記制御装置は、前記容器群支持部よりも下方であって、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側に配置されている、と好適である。
【0137】
段積み領域に支持された容器群を構成する容器の数の増減に伴って、搬送車の重心位置は変化する。本構成によれば、複数の容器が段積みされる段積み領域に対して上下方向視で重複する位置、或いはそれと近い位置に、重量物となり易い制御装置を配置することができる。そのため、容器群を構成する容器の数の増減があった場合であっても、搬送車の重心位置の変化量を小さく抑えることができる。
【0138】
また、上記構成において、
前記車輪駆動源、前記第1駆動源、及び前記第2駆動源に電力を供給する蓄電装置を備え、
前記蓄電装置は、前記容器群支持部よりも下方であって、前記上下方向視で、前記幅方向基準線に対して前記車体前後方向第1側に配置されている、と好適である。
【0139】
段積み領域に支持された容器群を構成する容器の数の増減に伴って、搬送車の重心位置は変化する。本構成によれば、複数の容器が段積みされる段積み領域に対して上下方向視で重複する位置、或いはそれと近い位置に、重量物となり易い蓄電装置を配置することができる。そのため、容器群を構成する容器の数の増減があった場合であっても、搬送車の重心位置の変化量を小さく抑えることができる。
【0140】
また、上記構成において、
前記第1駆動源及び前記第2駆動源が、前記容器群支持部よりも下方に配置されている、と好適である。
【0141】
本構成によれば、搬送車の重心位置を低くすることができるため、スピンターンを含む旋回時の搬送車の挙動を更に安定させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示に係る技術は、物品を支持した状態で搬送すると共に、移載対象箇所に対して前記物品を移載する搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0143】
100 :搬送車
F :機能部
C :制御装置
Cb :蓄電装置
1 :走行体
10 :走行本体部
10Am :中央領域
11M :車輪駆動源
11a :駆動輪
2 :容器群支持部
2A :段積み領域
3 :持ち上げ装置
30M :第1駆動源
4 :移載装置
40M :第2駆動源
7 :容器群
70 :容器(物品)
L :車体前後方向
L1 :車体前後方向第1側
L2 :車体前後方向第2側
W :車体幅方向
W1 :車体幅方向第1側
W2 :車体幅方向第2側
LL :前後方向基準線
LW :幅方向基準線
Pm :中間位置
T :移載対象箇所
図1
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