(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】収容物取り出しシステム及び収容物取り出し方法
(51)【国際特許分類】
B65D 43/16 20060101AFI20241217BHJP
B65B 69/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65D43/16
B65B69/00 103
(21)【出願番号】P 2023177764
(22)【出願日】2023-10-13
(62)【分割の表示】P 2022212698の分割
【原出願日】2022-12-28
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 要
(72)【発明者】
【氏名】正木 栄次郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 知尚
(72)【発明者】
【氏名】菊田 智之
(72)【発明者】
【氏名】落合 将也
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-040077(JP,A)
【文献】特開平10-147338(JP,A)
【文献】特開2010-097121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物が収容される収容筐体
と、前記収容筐体の蓋体を開閉する蓋体開閉装置とを備えた収容物取り出しシステムであって、
前記収容筐体は、
開口が形成された直方体からなる中空の本体と、
上面視で矩形状からなる前記開口を形成する前記本体の四辺の縁部のうち互いに対向する二辺の縁部にそれぞれ設けられて前記開口を開閉する一対の蓋体とを備え、
前記一対の蓋体は、
その蓋体縁部の一方が前記本体の前記縁部に回動自在に支持され、
前記蓋体縁部の一方が延びる方向に直交する方向における幅寸法が、予め定められた大寸法とされた幅広部と、前記大寸法よりも小さい予め定められた小寸法とされた幅狭部とを備え、
前記蓋体開閉装置は、
前記収容筐体が載置される位置の上方に設けられ、前記収容筐体に対して接近又は離間し、前記収容筐体を通る仮想鉛直線を中心にして回転する回転ユニットを備え、
前記回転ユニットは、
前記回転ユニットと共に前記収容筐体に接近して該収容筐体の前記一対の蓋体
の幅広部の外側に吸着し、前記回転ユニットと共に前記収容筐体から離間する方向に移動して前記一対の蓋体を持ち上げて開く蓋用吸盤と、
前記蓋用吸盤により持ち上げられた前記一対の蓋体の内側となる前記回転ユニット上の位置に設けられ、前記蓋用吸盤が前記一対の蓋体から外れたときに、前記回転ユニットと共に回転して前記一対の蓋体の内側に接して、前記一対の蓋体が開く方向に前記一対の蓋体をその内側から押圧する当接部材と、
前記収容筐体内の収容物に吸着する収容物用吸盤とを備え、
前記回転ユニットは、
前記蓋用吸盤が前記蓋体から離れて前記蓋体が開かれた状態で、前記収容筐体内に移動し、前記収容物用吸盤を前記収容筐体内にある前記収容物に吸着させ、前記収容物用吸盤が前記収容物を吸着した状態で、前記収容筐体内から前記収容筐体の外部に移動する、収容物取り出しシステム。
【請求項2】
前記蓋体開閉装置の前記蓋用吸盤が、前記収容筐体の前記一対の蓋体から外され、前記一対の蓋体が開かれた状態で、前記当接部材を前記回転ユニットと共に前記一対の蓋体から離間する方向に移動させた後、前記当接部材を前記回転ユニットと共に回転させて、前記当接部材を前記一対の蓋体の外側に位置させ、前記当接部材を前記回転ユニットと共に回転させて、前記当接部材により前記一対の蓋体をその外側から押圧させ、
前記押圧により前記一対の蓋体が閉じる方向に倒れ、前記一対の蓋体が前記開口を閉じる状態では、一方の前記蓋体の前記幅広部に、他方の前記蓋体の前記幅狭部が接する、請求項1に記載の
収容物取り出しシステム。
【請求項3】
前記蓋体開閉装置の前記当接部材は、
前記一対の蓋体をその内側から押圧するとき、前記一対の蓋体の幅広部の内側に当接し、
前記一対の蓋体をその外側から押圧するときは、前記一対の蓋体の幅広部の外側に当接する、請求項2に記載の
収容物取り出しシステム。
【請求項4】
収容筐体の蓋体を開閉する蓋体開閉装置により前記収容筐体から
収容物を取り出す収容物取り出し方法であって、
前記収容筐体は、
開口が形成された直方体からなる中空の本体と、
上面視で矩形状からなる前記開口を形成する前記本体の四辺の縁部のうち互いに対向する二辺の縁部にそれぞれ設けられて前記開口を開閉する一対の蓋体とを備え、
前記一対の蓋体は、
その蓋体縁部の一方が前記本体の前記縁部に回動自在に支持され、
前記蓋体縁部の一方が延びる方向に直交する方向における幅寸法が、予め定められた大寸法とされた幅広部と、前記大寸法よりも小さい予め定められた小寸法とされた幅狭部とを備え、
前記蓋体開閉装置は、
前記収容筐体が載置される位置の上方に設けられ、前記収容筐体に対して接近又は離間し、前記収容筐体を通る仮想鉛直線を中心にして回転する回転ユニットを備え、
前記回転ユニットは、
前記回転ユニットと共に前記収容筐体に接近して該収容筐体の前記一対の蓋体
の幅広部の外側に吸着し、前記回転ユニットと共に前記収容筐体から離間する方向に移動して前記一対の蓋体を持ち上げて開く蓋用吸盤と、
前記蓋用吸盤により持ち上げられた前記一対の蓋体の内側となる前記回転ユニット上の位置に設けられ、前記蓋用吸盤が前記一対の蓋体から外れたときに、前記回転ユニットと共に回転して前記一対の蓋体の内側に接して、前記一対の蓋体が開く方向に前記一対の蓋体をその内側から押圧する当接部材と、
前記収容筐体内の収容物に吸着する収容物用吸盤とを備え、
前記回転ユニットが、
前記蓋用吸盤が前記蓋体から離れて前記蓋体が開かれた状態で、前記収容筐体内に移動し、前記収容物用吸盤を前記収容筐体内にある前記収容物に吸着させ、前記収容物用吸盤が前記収容物を吸着した状態で、前記収容筐体内から前記収容筐体の外部に移動することにより、前記収容筐体から収容物を取り出す収容物取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
収容筐体に関し、特に、収容筐体の蓋体、及び蓋体を開閉する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
収容筐体(例えばコンテナー)は、開口部を開閉する蓋体が開閉自在に設けられ、蓋体が開けられて開口部が開放された状態で、収容筐体に対して収容物が出し入れされる。例えば、特許文献1に記載の天蓋開閉装置付コンテナーは、上部に開口を有するコンテナー本体と、開口を左右方向に分割して閉塞する一対の天蓋と、一対の天蓋を、開口を閉塞した閉鎖姿勢と、開口を開放した開放姿勢との間で開閉動作させる開閉装置とを備えている。
【0003】
また、無人搬送車両(AGV:Automatic Guided Vehicle)により物品を移動させる種々のシステムが提案されている。例えば、特許文献2に記載の無人搬送システムでは、コンベアーにより荷物を搬送させ、荷物がコンベアーの端に到着すると、近くの無人搬送車両を呼び出して、ロボットにより荷物を無人搬送車両に搭載させ、無人搬送車両により荷物を棚へと移動させて、荷物を棚に保管している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-064675号公報
【文献】特開2020-123196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献2において、荷物が収容筐体である場合、収容筐体を無人搬送車両に搭載させるだけではなく、収容筐体の蓋を開閉して、収容筐体内の収容物を出し入れすることが望まれる。例えば、そのような作業を行うアームロボットなどの適用が想定されるが、このようなロボットを適用した場合、システムの構成が複雑化し、システムのコストが高くなる。
【0006】
また、特許文献1のようにコンテナー自体に天蓋を開閉させる開閉装置を設けた場合は、コンテナーの構成が複雑化し、コンテナーのコストが高くなる。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、簡易な構成で収容筐体の蓋体の開閉可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面にかかる収容筐体は、蓋体開閉装置によって蓋体が開閉される収容筐体であって、前記収容筐体は、開口が形成された直方体からなる中空の本体と、上面視で矩形状からなる前記開口を形成する前記本体の四辺の縁部のうち互いに対向する二辺の縁部にそれぞれ設けられて前記開口を開閉する一対の蓋体とを備え、前記一対の蓋体は、その蓋体縁部の一方が前記本体の前記縁部に回動自在に支持され、前記蓋体縁部の一方が延びる方向に直交する方向における幅寸法が、予め定められた大寸法とされた幅広部と、前記大寸法よりも小さい予め定められた小寸法とされた幅狭部とを備え、前記蓋体開閉装置は、前記収容筐体が載置される位置の上方に設けられ、前記収容筐体に対して接近又は離間し、前記収容筐体を通る仮想鉛直線を中心にして回転する回転ユニットを備え、前記回転ユニットは、前記回転ユニットと共に前記収容筐体に接近して該収容筐体の前記一対の蓋体に吸着し、前記回転ユニットと共に前記収容筐体から離間する方向に移動して前記一対の蓋体を持ち上げて開く蓋用吸盤と、前記蓋用吸盤により持ち上げられた前記一対の蓋体の内側となる前記回転ユニット上の位置に設けられ、前記蓋用吸盤が前記一対の蓋体から外れたときに、前記回転ユニットと共に回転して前記一対の蓋体の内側に接して、前記一対の蓋体が開く方向に前記一対の蓋体をその内側から押圧する当接部材と、を備え、前記蓋用吸盤は、前記収容筐体の前記蓋体に吸着するとき、前記一対の蓋体の幅広部の外側に吸着するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構成で収容筐体の蓋体の開閉可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる蓋体開閉装置を適用した無人搬送車両システムを概略的に示す平面図である。
【
図2】無人搬送車両システムにおける無人搬送車両を示す斜視図である。
【
図3】無人搬送車両の各アームのスライド状態を示す斜視図である。
【
図4】アームを往復移動させるためのラックギア及びピニオンギアを概略的に示す図である。
【
図5】(A)は、各アームの第1爪部及び第2爪部を突出させたり退避させたりするための機構を示す斜視図、(B)は当該機構を示す平面図である。
【
図6】無人搬送車両の制御系を示すブロック図である。
【
図7】コンベアーにより搬送されている収容筐体を無人搬送車両へと移し替えて、無人搬送車両により収容筐体を移動させるための制御手順を示すフローチャートである。
【
図8】(A)はコンベアーにより収容筐体が搬送されている状態を示す斜視図であり、(B)は無人搬送車両がコンベアーにより搬送されている収容筐体に追い着いた状態を示す斜視図である。
【
図9】無人搬送車両における収容筐体の搬送方向上流側にある一方のアームがコンベアーにより搬送されている収容筐体に接した状態を示す斜視図である。
【
図10】(A)はコンベアーにより搬送されている収容筐体を無人搬送車両の各アームの間に挟んだ状態を示す斜視図であり、(B)はコンベアーにより搬送されている収容筐体を無人搬送車両に移し替えている過程を示す斜視図である。
【
図11】無人搬送車両の各アームの間にコンベアーにより搬送されている収容筐体を挟んで、各アームの先端内側の第1爪部を突出させた状態を示す斜視図である。
【
図12】コンベアーから移し替えられた収容筐体を載せた無人搬送車両を示す斜視図である。
【
図13】無人搬送車両が蓋体開閉装置の前で停止した状態を示す斜視図である。
【
図14】無人搬送車両の各アームの間に収容筐体を挟んで、各アームの後端内側の第2爪部を突出させた状態を示す斜視図である。
【
図15】収容筐体を無人搬送車両から蓋体開閉装置に移し替えている過程を示す斜視図である。
【
図16】本実施形態の蓋体開閉装置を概略的に示す斜視図である。
【
図17】(A)は蓋体開閉装置における回転ユニットを示す斜視図、(B)は蓋体開閉装置における回転ユニットを示す平面図、(C)は蓋体開閉装置における回転ユニットを示す側面図である。
【
図18】本実施形態の蓋体開閉装置の制御系を示すブロック図である。
【
図19】(A)は収容筐体を示す斜視図、(B)は収容筐体を示す平面図である。
【
図20】(A)は、収容筐体の各蓋体が開かれる途中の状態を示す斜視図、(B)は各蓋体が開かれた状態を示す斜視図である。
【
図21】蓋体開閉装置による収容筐体の各蓋体の開閉などを行うための制御手順を示すフローチャートである。
【
図22】(A)は回転ユニット及び該ユニットの下方に位置決めされた収容筐体を示す平面図、(B)は回転ユニット及び該ユニットの下方に位置決めされた収容筐体を示す側面図である。
【
図23】(A)(B)は、収容筐体が上昇されて回転ユニットに接近する過程を示す側面図である。
【
図24】(A)は回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれる過程を示す平面図、(B)は回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれる過程を示す側面図である。
【
図25】(A)は回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれる過程を示す平面図、(B)は回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれる過程を示す正面図である。
【
図26】回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれた状態を示す側面図である。
【
図27】(A)は回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれた状態を示す平面図、(B)回転ユニットにより収容筐体の蓋が開かれた状態を示す正面図である。
【
図28】回転ユニット及び蓋が開かれて下降された収容筐体を示す側面図である。
【
図29】回転ユニットにより収容筐体内の収容物を取り出す過程を示す側面図である。
【
図30】回転ユニットにより取り出された収容物を移動棚に載せる過程を示す側面図である。
【
図31】(A)は回転ユニットにより収容筐体の蓋を閉じる直前の状態を示す平面図,(B)は回転ユニットにより収容筐体の蓋を閉じる直前の状態を示す正面図である。
【
図32】(A)は回転ユニットにより収容筐体の蓋を閉じる過程を示す平面図、(B)は回転ユニットにより収容筐体の蓋を閉じる過程を示す正面図である。
【
図33】回転ユニットにより収容筐体の蓋を閉じる過程を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る蓋体開閉装置、無人搬送車両システム、及び収容筐体について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態にかかる無人搬送車両システムを示す概略図である。
図1に示す無人搬送車両システムSyは、無人搬送車両10と、物品を搬送するコンベアー11とを備える。無人搬送車両システムSyは、蓋体開閉装置12を備える倉庫などの屋内に設けられる。
【0013】
まず、無人搬送車両システムSyの構成と、無人搬送車両10の構成及び動作を説明する。その後で、本実施形態の蓋体開閉装置12の構成及び動作を説明する。
【0014】
無人搬送車両10は、床面に敷設されている走行ライン15に沿って自走する。例えば、走行ライン15は、床面に貼られた磁気テープであり、無人搬送車両10には、磁気テープを検出する磁気センサーが設けられる。無人搬送車両10では、磁気センサーにより磁気テープ(走行ライン15)の位置を検出し、走行ライン15の位置に応じて操舵制御を行って、該無人搬送車両10を走行ライン15に沿って走行させる。あるいは、走行ライン15は、床面に貼られた該床面とは色又は反射率が異なる色テープであり、無人搬送車両10には、色テープを検出するCCD等の光学センサーが設けられる。無人搬送車両10では、制御部(後述)が、光学センサーから得られる情報に基づいて色テープ(走行ライン15)の位置を検出し、走行ライン15の位置に応じて操舵制御を行って、該無人搬送車両10を走行ライン15に沿って走行させる。このような磁気テープと磁気センサーを用いた方式、及び色テープと光学センサーを用いた方式のいずれも、既知の技術である。
【0015】
コンベアー11は、複数のローラー16をケース(収容筐体の一例)CSの搬送方向に並べたものである。各ローラー16は、ケースCSの搬送方向と交差するそれぞれの軸により支持され、一方向に回転駆動されて、該各ローラー16上のケースCSを搬送する。
【0016】
走行ライン15は、第1走行ライン15A、第2走行ライン15B、第3走行ライン15C、及び第4走行ライン15Dを矩形状に接続してなる。各走行ライン15A~15Dはいずれも直線状である。第1走行ライン15Aは、第1コンベアー11Aの延びる方向(ケースCSが搬送される方向)と平行に延在する。第4走行ライン15Dは、蓋体開閉装置12の近傍を通る。
【0017】
無人搬送車両10は、第1走行ライン15Aの始端近傍に設けられた待機位置HPから走行を開始し、第1走行ライン15Aに沿って該第1コンベアー11Aと平行に走行し、第1走行ライン15Aの終端で進行方向を90度転換して第2走行ライン15Bに沿った走行に移る。無人搬送車両10は、更に第2走行ライン15Bの終端で進行方向を90度転換して第3走行ライン15Cに沿った走行に移る。無人搬送車両10は、第3走行ライン15Cに沿って走行して蓋体開閉装置12に至り、この後、第3走行ライン15Cの終端で進行方向を90度転換して第4走行ライン15Dに沿った走行に移る。無人搬送車両10は、更に第4走行ライン15Dの終端で進行方向を90度転換して第1走行ライン15Aに沿った走行に移り、第1走行ライン15Aの始端近傍の待機位置HPへと戻る。
【0018】
また、無人搬送車両10は、第1走行ライン15Aに沿ってコンベアー11と平行に走行しつつ、コンベアー11により搬送されているケースCSを該無人搬送車両10へと移し替える。そして、無人搬送車両10は、第2走行ライン15Bを経て第3走行ライン15Cに沿って走行している途中、蓋体開閉装置12の前で停止する。この位置で、無人搬送車両10は、ケースCSを該無人搬送車両10から蓋体開閉装置12に移し、また、ケースCSを蓋体開閉装置12から該無人搬送車両10に受け取る。
【0019】
図2は、無人搬送車両10を拡大して概略的に示す斜視図である。
図2に示すように無人搬送車両10は、車両本体の下側に走行部22を設け、車両本体の上側に作業部23を設けて構成される。
【0020】
走行部22の底部の4隅には、それぞれのキャスター31が設けられ、走行部22の底部の内側には、複数の駆動輪32が離間して設けられている。各駆動輪32がそれぞれの走行駆動モーター33により回転駆動されて、無人搬送車両10が走行し、各キャスター31の車輪が従動回転する。また、各駆動輪32別に、駆動輪32を回転駆動する走行駆動モーター33が制御されて、それぞれの駆動輪32の回転速度が調節され、無人搬送車両10の進行方向が変更される。
図2では、各駆動輪32の駆動源を含む機構の図示は省略している。
【0021】
作業部23には、その上面に、一対の支持壁41が対向配置されて突設されている。各支持壁41はその上部及び外側側壁でアーム42を支持する。各アーム42は、例えば中空の筐体状のものであり、スライドレール43を介して各支持壁41に沿ってスライド自在に各支持壁41に支持されている。各アーム42の離間距離は、コンベアー11により搬送されるケースCSの幅よりも僅かに長い予め定められた距離に設定され、各アーム42の間にケースCSを挿し入れて挟むことが可能にされている。
【0022】
図3は、各アーム42のスライド状態を示す斜視図である。各アーム42のいずれも、水平方向に延在する2本のスライドレール43により各支持壁41に対してスライド自在に支持されて移動方向が案内され、該各アーム42はその長手方向に往復移動する。各スライドレール43は、例えば3段引きと称される構成のものであり、その一部が作業部23の側方となる外部に向けて突出して移動する構成を有している。スライドレール43は、その一部をなす第1レールが支持壁41の側壁に設けられ、この第1レールに係止及び支持されて第1レールにより移動方向が案内されて作業部23の側方となる外部に移動する第2レールを有する。この第2レールは、アーム42に取り付けられている。これにより、各アーム42が水平方向に往復移動し、各アーム42の全体が、無人搬送車両10から外方に突出し、及び当該突出した位置から無人搬送車両10内に引き込まれる動作を行うことが可能にされている。
【0023】
各アーム42別に、
図4に示すようにアーム42の下端にラックギア44が設けられている。また、各支持壁41には、それぞれのアーム駆動モーター45(
図6に示す)が設けられ、各アーム駆動モーター45の出力軸には、それぞれのピニオンギア46が固定されている。各アーム駆動モーター45が往復回転されると、それぞれのピニオンギア46が往復回転し、各ラックギア44並びに各アーム42がスライドレール43による移動方向の案内を受けて往復移動される。なお、アーム42の当該移動方向における上記外方側への移動は、スライドレール43の第1レール及び第2レールの係合及びアーム駆動モーター45の回転制御により、
図3に示すように、アーム42が支持壁41及びスライドレール43による係止及び支持が解除されない位置までに制限される。
【0024】
また、
図2及び
図3に示すように各アーム42別に、アーム42の先端の内側(対向する他方のアーム42に向く側)となる側面部にスリット42Aが形成されて、スリット42Aを通じて各アーム42の間のスペースに突出する第1爪部51が設けられている。また、アーム42の後端(基端)の内側(対向する他方のアーム42に向く側)となる側面部にスリット42Bが形成されて、スリット42Bを通じて各アーム42の間のスペースに突出する第2爪部52が設けられている。
【0025】
図5(A)、
図5(B)に示すように各第1爪部51は中空の筐体状のアーム42の内側で回転軸53により支持され、各第2爪部52は、中空の筐体状のアーム42の内側で回転軸54により支持されている。各第1爪部51は、各回転軸53に接続された爪駆動モーター55(
図6に示す)により往復回転されてスリット42Aから各アーム42の間のスペースに突出する動作及び該スペースから移動してアーム42内に退避する動作を行う。各第2爪部52は、各回転軸54に接続された爪駆動モーター56(
図6に示す)により往復回転されてスリット42Bから各アーム42の間のスペースに突出する動作及び該スペースから移動してアーム42内に退避する動作を行う。
【0026】
作業部23の上には、例えばCCD等からなる撮像カメラが設けられている。無人搬送車両10が第1走行ライン15Aに沿って第1コンベアー11Aと平行に走行するときに、撮像カメラ61(
図6)が第1コンベアー11A上方のスペースに向くように該撮像カメラ61の向きが設定されている。本実施形態では、この撮像カメラ61は、作業部23上において2つの支持壁41に挟まれた領域の無人搬送車両10の進行方向における中央部であって、各アーム42の基端側に配置されている。撮像カメラ61は、第1コンベアー11A上で搬送されるケースCSに取り付けられている2次元コード(例えばQRコード(登録商標))Q又はマークを撮像する。なお、撮像カメラ61は、各アーム42の基端側であって、無人搬送車両10の進行方向において、作業部23上における一方の支持壁41の外側(2つの支持壁41に挟まれた領域の外側)となる位置、又は一方の支持壁41の上部であって他方の支持壁41に対向する側壁側となる位置に配置されてもよい。更には、撮像カメラ61は、各アーム42の基端側でない位置であっても、第1コンベアー11A上で搬送されるケースCSに取り付けられている2次元コードQ又はマークを撮像可能な位置であれば、他の位置に配置されてもよい。
【0027】
図6は、無人搬送車両10の制御系を示すブロック図である。
図6に示すように無人搬送車両10は、走行部22の各駆動輪32を回転駆動するそれぞれの走行駆動モーター33と、作業部23の各アーム42を水平方向に移動させるそれぞれのアーム駆動モーター45と、各第1爪部51に、各アーム42の両端内側のスリット42Aから該各アーム42の間のスペースに突出させる動作及びアーム42内に退避させる動作を行わせる各爪駆動モーター55と、各第2爪部52に、各アーム42の両端内側のスリット42Bから該各アーム42の間のスペースに突出させる動作及びアーム42内に退避させる動作を行わせる各爪駆動モーター56と、第1コンベアー11A上のケースCSに取り付けられている2次元コードQを撮像する撮像カメラ61と、走行ライン15を検出する走行ラインセンサー62と、通信部63と、制御部64と、を備えている。
【0028】
通信部63は、不図示のLANチップなどの通信モジュールを備える通信インターフェイスであり、有線又は無線LANを通じて端末装置65と接続され、端末装置65との間でデータの送受信を行う。端末装置65は、例えばPC(パーソナルコンピューター)であり、ユーザーにより操作される。
【0029】
制御部64は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御部64は、上記ROMに記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部64は、無人搬送車両10を統括的に制御する。
【0030】
例えば、制御部64は、走行ラインセンサー62の検出出力に基づき走行ライン15の位置を検出し、この検出された走行ライン15の位置に応じて、各駆動輪32別に、駆動輪32の走行駆動モーター33を駆動制御して、駆動輪32の回転速度を調節し、無人搬送車両10の進行方向を変更して、各アーム42の長手方向が走行ライン15と直交する状態で無人搬送車両10を走行ライン15に沿って走行させるという操作制御を行う。また、制御部64は、無人搬送車両10の走行速度Vを調節する。
【0031】
また、制御部64は、各アーム駆動モーター45を駆動制御して、各アーム42を往復移動させ、各爪駆動モーター55、56を駆動制御して、各爪部51、52を各アーム42の両端に形成されているそれぞれのスリット42A、42Bから突出させるか又はアーム42内に退避させる。
【0032】
更に、制御部64は、撮像カメラ61から撮像された画像を取得して当該画像を解析し、当該画像に含まれている2次元コードQを識別する。
【0033】
このような構成の無人搬送車両10は、制御部64による制御の下、待機位置HPで停止して待機し、第1コンベアー11AによりケースCSの搬送が開始されると、第1走行ライン15Aに沿って第1コンベアー11Aと平行に走行しつつ、各アーム42を駆動して、第1コンベアー11Aにより搬送されているケースCSを該無人搬送車両10に移し替える。更に、無人搬送車両10は、制御部64による制御の下、第1走行ライン15A→第2走行ライン15B→第3走行ライン15Cという経路で走行して、蓋体開閉装置12の前まで移動して停止し、ケースCSを蓋体開閉装置12に移し替え、またケースCSを蓋体開閉装置12から受け取り、第3走行ライン15C→第4走行ライン15D→第1走行ライン15Aという経路で走行して、待機位置HPに戻る。
【0034】
次に、上記のようにコンベアー11により搬送されているケースCSを無人搬送車両10に移し替えて、ケースCSを無人搬送車両10により移動させるための制御手順を、
図7に示すフローチャートなどを参照して詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように無人搬送車両10が第1走行ライン15Aの待機位置HPで待機している状態で、ケースCSが第2コンベアー11Bにより搬送開始される。待機位置HPは、第2コンベアー11Bの終端であって第1コンベアー11Aに接続する位置(第1コンベアー11Aの始端)の側部に設定されている。第2コンベアー11B上にあるケースCSは、取り付けられている2次元コードQが待機位置HPに向く姿勢で搬送される。
図1に破線で示す位置まで搬送されてきたケースCSは、引き続いて、第1コンベアー11Aにより
図1に示す矢印方向に搬送方向を切り換えて搬送される。
【0036】
待機位置HPにある無人搬送車両10は、ケースCSが
図1に破線で示す位置まで搬送されてきた時点で、撮像カメラ61によりケースCSの2次元コードQを撮像する。待機位置HPにある無人搬送車両10の撮像カメラ61は、該ケースCSの側面の2次元コードQに対峙する位置に設けられている。2次元コードQは、当該ケースCS固有のIDを示す識別情報を含んでいる。無人搬送車両10では、制御部74が撮像カメラ61により撮像された2次元コードQを解析し、当該識別情報の示すIDが、予め端末装置81から通信部73を介して受信している識別情報が示すIDと同一であるかを判定する。
【0037】
無人搬送車両10では、制御部74が、上記同一であると判定したとき、
図1に示す矢印方向への無人搬送車両10の走行を開始させる(S101)。なお、この時点では、ケースCSは、姿勢を変えることなく、第1コンベアー11Aによる搬送が開始されており、
図1に破線で示す位置、すなわち、待機位置HPを既に通り過ぎているものとする。
【0038】
制御部64は、走行ラインセンサー62の検出出力に基づき走行ライン15の位置を検出し、この検出された走行ライン15の位置に応じて、各駆動輪32の走行駆動モーター33を駆動制御して、
図8(A)に示すように、無人搬送車両10を、各アーム42の延びる方向(アーム42の長手方向)が走行ライン15と直交する姿勢として、無人搬送車両10を第1走行ライン15Aに沿って第1コンベアー11Aと平行に第1コンベアー11Aに近接する位置で走行させる(S102)。このとき、制御部64は、無人搬送車両10の走行速度Vを、第1コンベアー11AによるケースCSの搬送速度VCよりも速い
予め定められた走行速度VAに設定する(S102)。
【0039】
また、制御部64は、各アーム駆動モーター45の一方を駆動制御して、
図8(B)に示すようにケースCSの搬送方向上流側にある一方のアーム42をコンベアー11上のスペースへと突出させる(S103)。
【0040】
このとき、制御部64は、無人搬送車両10の走行速度Vを第1コンベアー11AによるケースCSの搬送速度VCよりも速い上記走行速度VAに設定しているので、
図8(B)及び
図9に示すように、ケースCSの搬送方向の上流側にある一方のアーム42であって、第1コンベアー11A上方のスペースへと突出しているアーム42が該ケースCSに追い着いて接する。
【0041】
また、無人搬送車両10側に向くケースCSの側面には、予め定められたマーク(当該側面に形成された穴、或いは、印刷されている予め定められた画像など。2次元コードQでもよい)が設けられている。撮像カメラ61は、上記一方のアーム42がケースCSに追い着いて接したときに該ケースCSの側面を撮像可能な位置に設けられているため、上記一方のアーム42がケースCSに追い着いて接したときに、撮像カメラ61により上記マークが撮像される。
【0042】
制御部74は、撮像カメラ61により撮像された画像を取得して、この画像を解析し、当該画像中に上記マークを示す画像を識別すると(S104)、上記一方のアーム42がケースCSに追い着いて接したものとして、他方のアーム42駆動用のアーム駆動モーター45を駆動制御して、
図10(A)に示すように、ケースCSの搬送方向下流側にある他方のアーム42を第1コンベアー11A上方のスペースへと突出させる(S105)。各アーム42の離間距離は、ケースCSの幅よりもわずかに長い、ケースCSの幅に相当する距離に設定されているので、他方のアーム42の当該突出により、各アーム42の間にケースCSが入って挟まれる。また、制御部64による制御で突出される各アーム42は、この突出により、その先端部が、ケースCSの搬送方向に直交する方向におけるケースCSの後端部を超える位置に達する長さを有している。制御部64は、各アーム42の先端部が、このようにケースCSの後端部を超える位置に達するまで、各アーム42を突出させる(
図10(A)及び
図11)。
【0043】
続いて、制御部64は、各爪駆動モーター55を駆動制御して、
図10(B)及び
図11に示すように各アーム42の先端内側の第1爪部51を突出させる(S106)。
【0044】
S104で識別された2次元コードQは、ケースCSに収容されている収容物の重さを示す情報を含む。この情報は、重さ自体を示してもよいし、例えば、収容物の単体の重さと収容物の数を示してもよい。制御部64は、当該情報に基づき収容物の重さを判別し、この収容物の重さにケースCSの既知の重さを加算して物品の重さを算出する(S107)。なお、上記情報が、この収容物の重さにケースCSの既知の重さを加算した物品の重さ自体を示してもよい。この場合、制御部64は、当該情報から直接に物品の重さを取得する。
【0045】
この時点では、制御部64は、各駆動輪32の走行駆動モーター33を駆動制御して、無人搬送車両10をS102で設定された走行速度VAで走行させている。制御部64は、S107の後、S107で算出された物品の重さを予め設定された閾値と比較して、物品の重さが閾値未満であると判定した場合には、無人搬送車両10の走行速度Vを走行速度VAに維持する。
【0046】
また、制御部64は、物品の重さが上記閾値以上であれば、無人搬送車両10の走行速度Vを、第1コンベアー11AによるケースCSの搬送速度VC以上であって、S102で設定されたそれまでの走行速度VAよりも遅い予め定められた走行速度VDに低下させる(S108)。これにより、ケースCSに収容されている物品の重さが閾値以上であって重い場合は、無人搬送車両10の走行速度VがケースCSの搬送速度VC以上に保たれながらも低減される。このため、無人搬送車両10が、突出させた上記一方のアーム42によりケースCSを押しながら走行している状態のときに、各走行駆動モーター33に掛かる負荷を低減でき、上記一方のアーム42に掛かるケースCSからの荷重も低減することができるため、無人搬送車両10を安定して走行させることができる。
【0047】
更に、制御部64は、S107で算出された物品の重さに応じて各アーム駆動モーター45の回転速度を設定する(S109)。例えば、制御部64は、物品の重さが重くなる程、各アーム駆動モーター45の回転速度を遅く設定する。例えば、制御部64に内蔵されるROMに、物品の重さ及びこれに対応する各アーム駆動モーター45の回転速度を、物品の重さ毎に示したデータテーブルが記憶されている。制御部64は、当該データテーブルから、107で算出された物品の重さに対応する各アーム駆動モーター45の回転速度を読み出し、当該読み出した回転速度を、S107で算出された物品の重さに応じた各
アーム駆動モーター45の回転速度として設定する。
【0048】
そして、制御部64は、各アーム駆動モーター45を駆動制御して、S108で設定された回転速度で各アーム駆動モーター45を回転させ、
図12に示すように、各アーム42を、第1コンベアー11A上方のスペースから退避させ、上記のように突出させた位置から無人搬送車両10の作業部23内の領域に引き込ませる。この各アーム42の引き込み時には、各第1爪部51がケースCSの端部に引っ掛かり、各アーム42がケースCSを第1コンベアー11Aから無人搬送車両10の作業部23へと引き込む(S110)。すなわち、各アーム42の上記引き込みにより、ケースCSが第1コンベアー11A上の位置から無人搬送車両10の作業部23上に移動する。これにより、物品の重さが重くなる程、各アーム42の移動速度が遅くされ、ケースCSが第1コンベアー11Aから無人搬送車両10の作業部23へと遅い速度で移し替えられる。このため、各アーム42がケースCSを無人搬送車両10の作業部23に引き込むときに、各アーム駆動モーター45に掛かる負荷を低減できる。また、ケースCSの第1コンベアー11A上の位置から無人搬送車両10の作業部23上への移動は、第1コンベアー11Aによる搬送及び無人搬送車両10の走行が継続した状態で行われるが、当該移動が低速で行われることになるため、第1コンベアー11A上の位置から無人搬送車両10の作業部23上にケースCSを安定して確実に移動させることができる。
【0049】
この後、制御部64は、各爪駆動モーター55を駆動制御して、各第1爪部51を退避させてアーム42内に格納させる。
【0050】
このように無人搬送車両10を第1走行ライン15Aに沿って第1コンベアー11Aと平行に走行させつつ、第1コンベアー11Aにより搬送されているケースCSを第1コンベアー11Aから無人搬送車両10へと移し替える。
【0051】
更に、制御部64は、走行ラインセンサー62の検出出力に基づき走行ライン15の位置を検出し、この検出された走行ライン15の位置に応じて、各駆動輪32の走行駆動モーター33を駆動制御して、無人搬送車両10を第1走行ライン15A→第2走行ライン15B→第3走行ライン15Cという経路で走行させる(S111)。
【0052】
無人搬送車両10が並設された複数の蓋体開閉装置12の位置まで走行したとき、各蓋体開閉装置12において無人搬送車両10に対向する位置に付されているそれぞれの2次元コードQ2が撮像カメラ61により撮像される。制御部74は、撮像された各2次元コードQ2を解析して、2次元コードQ2に含まれる蓋体開閉装置12の場所情報を検出する。制御部74は、予め上記IDに紐付けた蓋体開閉装置12の場所情報を、通信部73を介して受信している。制御部74は、上記IDに紐付けた蓋体開閉装置12の場所情報に一致する場所情報を含む2次元コードQ2が撮像された時に、この時点の位置、すなわち、ケースCSを移し換える先として指定された蓋体開閉装置12の位置で、
図13に例を示すように、無人搬送車両10を停止させる(S112)。このとき、無人搬送車両10は、第1走行ライン15A→第2走行ライン15B→第3走行ライン15Cの各経路変更時における方向転換により、各第1爪部51が設けられているアーム42の先端部が蓋体開閉装置12側に向く姿勢となっている。
【0053】
ここで、制御部64は、各爪駆動モーター56を駆動制御して、
図14に示すように各アーム42の後端内側の第2爪部52を突出させる(S113)。このとき、各アーム42の後端内側の第2爪部52は、蓋体開閉装置12とは反対側となるケースCSの端部側に位置している。
【0054】
続いて、制御部64は、各アーム駆動モーター45を駆動制御して、
図15に示すように各アーム42を蓋体開閉装置12の側に突出させる(S114)。このときの突出量は、各アーム42の後端内側の第2爪部52が、少なくとも蓋体開閉装置12の上方位置まで入り込むことが可能な量とされている。スライドレール43は、第2レールが第1レールによる係止及び支持により、第1レールにより移動方向が案内されて蓋体開閉装置12側に向かう外部方向(
図3を用いて示した第1コンベアー11A側に向かう外部とは反対方向)にも移動する構成が採用されている。
【0055】
上記各アーム42の蓋体開閉装置12側への突出により、各第2爪部52をケースCSに引っ掛けて、上記各アーム42及び第2爪部52によりケースCSを無人搬送車両10の作業部23の上から蓋体開閉装置12内に押し込み、ケースCSを無人搬送車両10の作業部23の上から蓋体開閉装置12へと移動させる。この後、制御部64は、各爪駆動モーター56を駆動制御して、各第2爪部52を退避させてアーム42内に格納させる。
【0056】
蓋体開閉装置12においてケースCSに対する処理(後述)が終了すると、制御部64は、各アーム駆動モーター45を駆動制御して、各アーム42を蓋体開閉装置12へと突出させる。このとき、各アーム42の間に蓋体開閉装置12側に在るケースCSが挟みこまれた状態となる。
【0057】
この状態で、制御部64は、各爪駆動モーター55を駆動制御して、各アーム42の先端内側の第1爪部51を突出させ、更に各アーム駆動モーター45を駆動制御して、各アーム42を蓋体開閉装置12から退避させ、作業部23上に移動させる。このとき、各第1爪部51がケースCSに引っ掛かり、各アーム42の作業部23上への移動と共に、ケースCSが蓋体開閉装置12から無人搬送車両10の作業部23上に移動する。
【0058】
制御部64は、走行ラインセンサー62の検出出力に基づき走行ライン15の位置を検出し、この検出された走行ライン15の位置に応じて、各駆動輪32の走行駆動モーター33を駆動制御して、無人搬送車両10を第3走行ライン15C→第4走行ライン15D→第1走行ライン15Aという経路で走行させ、第4走行ライン15Dと第1走行ライン15Aの間で進行方向を90度転換させてから一定時間後に各駆動輪32の走行駆動モーター33を停止させて、無人搬送車両10を待機位置HPに停止させる(S115)。
【0059】
以上説明したように第1コンベアー11AによりケースCSの搬送が開始されると、無人搬送車両10が第1走行ライン15Aに沿って第1コンベアー11Aと平行に走行し、上記搬送方向における上流側にある一方のアーム42が突出され、このとき、無人搬送車両10の走行速度VがケースCSの搬送速度VCよりも速い走行速度VAに設定されており、一方のアーム42がケースCSの位置まで移動すると、搬送方向下流側にある他方のアーム42が突出される。そして、各アーム42の間にケースCSが挟まれる。この状態で、各アーム42の先端内側の第1爪部51が突出され
て各アーム42が無人搬送車両10に引き戻される。このとき、各第1爪部51がケースCSに引っ掛かり、アーム42及び第1爪部51によりケースCSが、第1コンベアー11Aから無人搬送車両10の作業部23へと押し込まれ、無人搬送車両10の作業部23上に移動する。これにより、本実施形態によれば、無人搬送車両10を走行させつつ、第1コンベアー11Aにより搬送されているケースCSを無人搬送車両10に移し替え、ケースCSを効率的に移動させることができる。
【0060】
上記実施形態として、コンベアー装置11を搬送されるケースCSを無人搬送車両10が取り込んで蓋体開閉装置12に収納する実施形態を説明したが、これに加えて更に、制御部74が、走行駆動モーター33、アーム駆動モーター45、及び爪駆動モーター55、爪駆動モーター56を駆動制御して、上記アーム42、第1爪部51、第2爪部52、及び撮像カメラ61を動作させることで、無人搬送車両10が、蓋体開閉装置12からケースCSを無人搬送車両10上に取り込んで、ケースCSをコンベアー装置11の位置まで搬送し、無人搬送車両10上からコンベアー装置11上にケースCSを移す動作を行う
ようにしてもよい。
【0061】
次に、本実施形態の蓋体開閉装置12の構成及び動作を説明する。
【0062】
図16は、本実施形態の蓋体開閉装置12の構成を概略的に示す斜視図である。蓋体開閉装置12は、無人搬送車両10からケースCSを受け入れて、当該ケースCSの蓋部分を開閉し、更に、ケースCSの内部から収容物を取り出す機構を備える。
【0063】
図16に示すように蓋体開閉装置12は、装置本体120の内部下方に昇降棚66が設けられ、装置本体120の上部に回転ユニット71が設けられている。昇降棚66は、複数のローラー67と、各ローラー67の軸を支持するそれぞれの側壁部68とを備えている。昇降棚66は、昇降機構(図略)により上下方向に昇降する。昇降機構は、装置本体120を構成する上下方向に延びる各支柱により昇降棚66を垂直方向に移動自在に支持する。昇降機構は、制御部98(
図18)による制御の下、各支柱に設けられたボールねじ(既知の機構)及びモーターにより昇降棚66を昇降させる。
【0064】
ボールねじは、蓋体開閉装置12の装置本体120の底部から鉛直方向に延びて回転自在に支持されたネジ軸と、昇降棚66に固定されて該ネジ軸に螺合したナットとを備える。装置本体120の底部には、各ネジ軸を回転させるそれぞれの昇降棚モーター92(
図18)が設けられている。制御部98は、各昇降棚モーター92により各ネジ軸を一方向に回転させ、これにより各ナット及び昇降棚66を上昇させる。また、制御部98は、各昇降棚モーター92により各ネジ軸を上記一方向とは逆方向に回転させ、これにより各ナット及び昇降棚66を下降させる。
【0065】
昇降棚66には、上述したようにしてケースCSが無人搬送車両10から移し替えられて移動してくる。この移し替え時には、各ローラー67がローラーモーター91(
図18)からの回転駆動力で回転し、この回転によりケースCSが昇降棚66内の各ローラー67上を移動する。各ローラー67が回転することでケースCSが各ローラー67上を移動すると、ケースCSの搬送方向における装置本体120端部(無人搬送車両10側とは反対方向となる側の端部)に設けられたストッパー(図略)にケースCSが突き当たる。これにより、ケースCSが、回転ユニット71の下方となる昇降棚66上の作業位置に位置決めされる。
【0066】
回転ユニット71は、ケースCSの蓋部分を開閉し、更に、ケースCSの内部から収容物を取り出す機構である。回転ユニット71は、3段構造となっており、上方から1段目の昇降回転駆動部74と、2段目の中間支持体73と、3段目の梯子フレーム72とを備えている。昇降回転駆動部74の支軸75は、蓋体開閉装置12の装置本体120の天井部又は梁76(
図17(C))に軸支されて、回転ユニット71を天井又は梁76から吊り下げた状態で支持する。
【0067】
図17(A)は回転ユニット71を示す斜視図、(B)は回転ユニット71を示す平面図、(C)は回転ユニット71を示す側面図である。
図17(A)(B)、及び(C)に示すように、梯子フレーム72は、平行な2本の枠部材72Aが該各枠部材72Aと直交する2本の枠部材72Bにより連結されてなる。各枠部材72Bの長さ方向中央には、それぞれ支持板72Cが固定されている。各支持板72Cの下面には、それぞれ蓋用吸盤77が取り付けられている。また、各枠部材72Aの長さ方向両端には、それぞれ収容物用吸盤78が取り付けられている。2つの蓋用吸盤77及び4つの収容物用吸盤78のいずれも、エアー吸盤であり、空気を吸引するホースHが連結されて、負圧により吸着力を発生する。なお、蓋用吸盤77及び収容物用吸盤78として採用する吸盤の構成を当該構成に限定する意図ではない。
【0068】
また、梯子フレーム72の各枠部材72Bには、それぞれガイド支柱79が突設され、各ガイド支柱79は中間支持体73を貫通している。中間支持体73は、梯子フレーム72を支持する部材であり、例えば、平板状の部材からなる。各ガイド支柱79は、中間支持体73内で上下方向に移動自在に中間支持体73に保持されている。これにより梯子フレーム72は、中間支持体73に対して接離する方向(上下方向)に移動する。ここでは、2本のガイド支柱79を示しているが、4本のガイド支柱79を設けて、4本のガイド支柱79が中間支持体73内で上下方向に移動自在に保持されてもよい。
【0069】
各ガイド支柱79は、中間支持体73により上下方向に移動が案内され、梯子フレーム72の自重により該梯子フレーム72と共に下降する。各ガイド支柱79上端にはストッパー79Aが設けられている。ガイド支柱79は、中間支持体73により支持されているが、中間支持体73に形成されたガイド支柱79貫通用の孔には遊嵌状態で通されている。ストッパー79Aは、当該孔よりも大きな径を有し、支柱79の中間支持体73に対する下方向への移動を規制する。支柱79が中間支持体73に対して下方向に移動し、ストッパー79Aが中間支持体73に当接して係止し、中間支持体73に対する梯子フレーム72の下降が停止する。すなわち、蓋用吸盤77が下方からの押圧を受けていないときは、ストッパー79Aが中間支持体73に係止して、中間支持体73に対する梯子フレーム72の位置は最下部となる。
【0070】
また、中間支持体73には、上方に向けて伸びるガイド支柱81が突設されている。ガイド支柱81は、昇降回転駆動部74を貫通し、昇降回転駆動部74により上下方向に移動可能に保持されている。これにより、中間支持体73は、昇降回転駆動部74に対して接離する方向(上下方向)に移動する。ここでは、1本のガイド支柱81を示しているが、2本のガイド支柱81を設けて、2本のガイド支柱81が昇降回転駆動部74に対して上下方向に移動自在に保持される構成としてもよい。
【0071】
中間支持体73は、ボールねじ(既知の機構)により昇降される。ボールねじは、昇降回転駆動部74側で回転自在に支持されたネジ軸82と、中間支持体73に固定されて該ネジ軸82に螺合したナット83とを備える。昇降回転駆動部74にネジ軸82を回転させる中間支持体モーター94(
図18)が設けられている。中間支持体モーター94によりネジ軸82を一方向に回転させることで、ナット83及び中間支持体73が上昇する構成とされている。また中間支持体モーター94によりネジ軸82を上記一方向とは逆方向に回転させることで、ナット83及び中間支持体73が下降する構成とされている。
【0072】
例えば、各ガイド支柱79上端のストッパー79Aが中間支持体73に当接して、梯子フレーム72の下降が停止している状態で、梯子フレーム72が中間支持体73と共に昇降する。
【0073】
従って、昇降回転駆動部74に対して、中間支持体73及び梯子フレーム72が共に、接離する方向に移動して昇降する。
【0074】
昇降回転駆動部74の支軸75は、上記のように蓋体開閉装置12の装置本体120の天井又は梁76に固定されている。また、昇降回転駆動部74は、支軸75を中心にして回転自在に支持され、支軸75と共回りで回転する。例えば、第1平ギアを支軸75に同心状にして供回りするように固定し、第2平ギアを昇降回転駆動部74に設けられた回転モーター95(
図18)の出力軸に供回りするように固定する。第1平ギアと第2平ギアを歯合させ、回転モーター95により第2平ギアを回転させて、昇降回転駆動部74を第1平ギア及び支軸75と共に回転させる。
【0075】
昇降回転駆動部74は、上記のようにガイド支柱81、ネジ軸82及びナット83からなるボールねじを介して、中間支持体73に連結されている。また中間支持体73は、各ガイド支柱79を介して梯子フレーム72に連結されている。このため、昇降回転駆動部74が回転すると、中間支持体73及び梯子フレーム72もこれに伴って回転する。よって、回転ユニット71全体が支軸75を中心にして回転される。
【0076】
支軸75の回転中心は、仮想鉛直線Bと一致し、回転ユニット71は仮想鉛直線Bを中心にして回転する。仮想鉛直線Bは、昇降棚66の各ローラー67上で上記作業位置に移動してきたケースCSの幅方向及び長さ方向における中心を通る。
【0077】
昇降回転駆動部74には、2本の枠部材84が、梯子フレーム72の各枠部材72Aと平行に、
図17(A)に示すように、昇降回転駆動部74から延ばして設けられている。また、各枠部材84は、昇降回転駆動部74の支軸75の中心からずれた位置に設けられている。昇降回転駆動部74側とは反対側となる各枠部材84の先端部には、それぞれロッド85が下方に延びるように設けられている。各ロッド85の下端には、当接ローラー86がそれぞれ設けられている。
【0078】
また、
図16に示すように蓋体開閉装置12の装置本体120の互いに対向する各内壁には、ケースCSの搬送方向に延びるレール87がそれぞれ設けられている。各レール87は、回転ユニット71よりも低い位置に配置され、回転ユニット71の下方位置に水平方向移動により進出して当該下方位置から退出していく移動棚88(
図30)を水平方向に移動自在に案内する。
【0079】
例えば、各レール87には、移動棚88の移動方向に並設されて、当該移動方向に直交する方向における移動棚88の端部に接する複数の駆動輪(図略)が設けられている。当該各駆動輪は、その周面が移動棚88の移動方向に回転する。移動棚88の上記端部は、当該周面上に載置される。当該各駆動輪が、移動棚モーター96(
図18)により一方向に回転駆動され、移動棚88が駆動輪の周面により搬送されることで各駆動輪により移動し、移動棚88が回転ユニット71の下方位置に進出し、当該各駆動輪が、移動棚モーター96により一方向とは逆方向に回転駆動されることで移動棚88が回転ユニット71の下方位置から退出する。
【0080】
移動棚88は、蓋体開閉装置12の装置本体120に設けられ、各レール87上の位置と、蓋体開閉装置12の装置本体120の側方となる装置本体120よりも外側まで突出する外側位置との間で移動可能に構成されている。移動棚88は、当該外側位置に移動した状態では、移動棚88の一端部が装置本体120に係止して固定されつつ、当該固定されていない移動棚88部分が装置本体120よりも外側まで突出した状態となる。
【0081】
図18は、本実施形態の蓋体開閉装置12の制御系を示すブロック図である。
図18に示すように蓋体開閉装置12は、昇降棚66の各ローラー67を回転させる回転駆動力を供給するローラーモーター91と、昇降棚66を昇降させる駆動力を供給する昇降機構の各昇降棚モーター92と、各蓋用吸盤77のホースHから空気を吸引する空気ポンプ93Aと、各収容物用吸盤78のホースHから空気を吸引する空気ポンプ93Bと、中間支持体73を昇降させる昇降回転駆動部74の中間支持体モーター94と、回転ユニット71を支軸75周りに回転させる昇降回転駆動部74の回転モーター95と、移動棚88を移動させる駆動力を供給する移動棚モーター96と、通信部97と、制御部98と、を備えている。
【0082】
通信部97は、図略のLANチップなどの通信モジュールを備える通信インターフェイスであり、有線又は無線LANを通じて端末装置65と接続され、端末装置65との間でデータの送受信を行う。
【0083】
制御部98は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御部98は、上記ROMに記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、蓋体開閉装置12の各機構を統括的に制御する。
【0084】
制御部98は、ローラーモーター91を駆動制御して、昇降棚66の各ローラー67を回転させ、各昇降棚モーター92を駆動制御して、昇降棚66を昇降させる。また、制御部98は、空気ポンプ93A又は93Bを駆動制御して、各蓋用吸盤77又は各収容物用吸盤78の吸着をオンオフさせる。更に、制御部98は、中間支持体モーター94を駆動制御して、中間支持体73を昇降させ、回転モーター95を駆動制御して、回転ユニット71を支軸75と共に回転させ、移動棚モーター96を駆動制御して、移動棚88を移動させる。
【0085】
図19(A)はケースCSを示す斜視図、(B)はケースCSを示す平面図である。
図19(A)(B)に示すように、ケースCSは、開口を有する直方体形状の中空の本体121と、2つの蓋体122とを備えている。上記開口は、ケースCSを上面視したときに矩形状となっている。蓋体122は、上記開口を形成する本体121の四辺の縁部のうち、互いに対向する二辺の縁部にそれぞれ設けられて上記開口を開閉する。すなわち、蓋体122は、本体121の開口をなす2つの一辺121Aに開閉自在に軸支されている。蓋体122は、一辺121Aに軸支されている側とは反対側となる端部までの幅が広くされた幅広部122Aと、当該幅がこれよりも狭くされた幅狭部122Bとを有している。
【0086】
各蓋体122は、その蓋体縁部の一方が本体121の縁部に回動自在に支持されている。幅広部122Aは、蓋体縁部の一方が延びる方向に直交する方向における幅寸法が、予め定められた大寸法とされている。幅広部122Aは、当該大寸法よりも小さい予め定められた小寸法とされている。
【0087】
図19(A)に示す各蓋体122が上記開口を閉じる状態となるとき、一方の蓋体122の幅広部122Aと他方の蓋体122の幅狭部122Bとが接触し、一方の蓋体122の幅狭部122Bと他方の蓋体122の幅広部122Aとが接触した状態となって、本体121の開口を覆う。
【0088】
図20(A)はケースCSの各蓋体122が開かれる途中の状態を示し、(B)はケースCSの各蓋体122が開かれた状態を示す斜視図である。
図20(A)(B)に示すように、各蓋体122が開かれる途中、及び各蓋体122が開かれた状態では、各蓋体の幅広部122Aが上方に突出し、各蓋体の幅狭部122Bが下方に凹んだ状態、すなわち、幅広部122Aよりも上方への突出量が少ない状態となる。
【0089】
上記のように構成された蓋体開閉装置12においては、ケースCSが無人搬送車両10から昇降棚66の各ローラー67上に移動してくると、各ローラー67が回転されて、ケースCSが回転ユニット71の下方となる上記作業位置まで移動して位置決めされる。この状態で昇降棚66の昇降、回転ユニット71の各蓋用吸盤77による各蓋体122の吸着、回転ユニット71の回転などが予め設定された順序でなされて、各蓋体122が開かれる。そして、昇降棚66の昇降、回転ユニット71の各収容物用吸盤78によるケースCS内の収容物の吸着、移動棚88の進出及び退出などが予め設定された順序で行われ、ケースCSの収容物が取り出される。更に、昇降棚66の昇降、回転ユニット71の回転などが予め設定された順序でなされて、各蓋体122が閉じられる。この後、ケースCSは、昇降棚66の各ローラー67上から無人搬送車両10へと移し替えられる。
【0090】
次に、上記のように蓋体開閉装置12によるケースCSの各蓋体122の開閉などを行うための制御手順を、
図21に示すフローチャートなどを参照して詳細に説明する。
【0091】
ケースCSが無人搬送車両10から昇降棚66の各ローラー67の上に移し替えられたときに、例えば蓋体開閉装置12に備えられている位置検出センサー(光センサーなど)により、各ローラー67上に搬送されてきたケースCSが検出され、この検出信号を制御部98が位置検出センサーから受信した時に、制御部98が蓋体開閉装置12の動作を開始させる。或いは、ユーザーが、ケースCSが無人搬送車両10から昇降棚66の各ローラー67の上に移し替えられたときに、端末装置65を操作して、蓋体開閉装置12の動作開始を示す開始指示を蓋体開閉装置12に送信し、この開始指示に従って、制御部98が蓋体開閉装置12の動作を開始させるものとしてもよい。
【0092】
蓋体開閉装置12では、上記検出信号又は開始指示が通信部97で受信されたとき、制御部98は、上記検出信号又は開始指示に従って、ローラーモーター91を駆動制御して各ローラー67を回転させ、ケースCSを上記作業位置に移動させて位置決めする(S201)。なお、蓋体開閉装置12がローラーモーター91を備えず、各ローラー67はケースCSとの摩擦で従動回転のみするものとし、ケースCSは無人搬送車両10の各アーム42による動作で上記作業位置まで搬送されるものとしてもよい。
【0093】
これにより、
図22(A)(B)に示すように、回転ユニット71がケースCSの上方に位置し、ケースCSの上記中心が回転ユニット71の支軸75の延長線上に位置する。また、梯子フレーム72の各蓋用吸盤77がケースCSの各蓋体122の幅広部122Aの上方に位置する。昇降回転駆動部74の各当接ローラー86は、ケースCSの上方において、一方の蓋体122の幅広部122Aと他方の蓋体122の幅狭部122Bとの境界付近、更に、他方の蓋体122の幅広部122Aと一方の蓋体122の幅狭部122Bとの境界付近に位置する。
【0094】
制御部98は、昇降棚66の各昇降棚モーター92を駆動制御して、昇降棚66を上昇させる。これにより、
図23(A)に示すようにケースCSの各蓋体122が梯子フレーム72の各蓋用吸盤77に接し、ケースCSの各蓋体122により梯子フレーム72が僅かに押し上げられる。これにより、
図23(B)に示すように梯子フレーム72が上昇して中間支持体73に接近する。このとき、
図22(A)から明らかなように、ケースCSの各蓋体122の幅広部122Aが各蓋用吸盤77に接することになる。
【0095】
制御部98は、上昇する前の昇降棚66の各ローラー67から梯子フレーム72の各蓋用吸盤77までの距離、及びケースCSの各蓋体122の高さとから、ケースCSの各蓋体122が梯子フレーム72の各蓋用吸盤77に接するまでの昇降棚66の距離と、各蓋体122が各蓋用吸盤77を押し上げる距離(既定値)との合計である上昇距離を算出する。制御部98は、昇降棚66の昇降棚モーター92を回転させ、昇降棚66を上記上昇距離だけ上昇させ、ケースCSの各蓋体122の幅広部122Aを梯子フレーム72の各蓋用吸盤77に接触させる(S202)。
【0096】
制御部98は、ケースCSの各蓋体122の幅広部122Aが梯子フレーム72の各蓋用吸盤77に接触したタイミング(昇降棚66が上記の上昇距離だけ上昇したタイミング)で、空気ポンプ93Aを駆動制御して、各蓋用吸盤77に各蓋体122を吸着させる。そして、制御部98は、昇降棚66の昇降棚モーター92を駆動制御して、昇降棚66を予め定められた一定距離だけ下降させる(S203)。これにより、
図24(A)(B)に示すように梯子フレーム72の各蓋用吸盤77によりケースCSの各蓋体122の幅広部122Aが持ち上げられ、ケースCSの各蓋体122が半ば開いた状態となる。このとき、
図25(A)(B)に示すように各蓋体122の幅広部122A及び幅狭部122Bのいずれも、昇降回転駆動部74の各ロッド85下端の当接ローラー86に干渉することなく上記半ば開いた状態となる。すなわち、2本の枠部材84の昇降回転駆動部74に対する取付位置及び取り付け姿勢、枠部材84に対するロッド85の取付位置、更には、ロッド85の長さ(当接ローラー86の枠部材84からの位置)は、各蓋体122が上記半ば開いた状態となるときに各蓋体122に接触しないように設定されている。各蓋体122が上記半ば開いた状態となったときは、各ロッド85下端の当接ローラー86は、上記半ば開いた状態の各蓋体122の幅広部122Aの最上端よりも下側であって、幅広部122Aの内側に位置する。
【0097】
更に、制御部98は、昇降回転駆動部74の回転モーター95を駆動制御して、
図25(A)に例を示すように、回転ユニット71の上面視で、回転ユニット71を、支軸75を中心にして矢印で示す反時計回り方向に回転を開始させ、
図26、
図27(A)(B)に示すように回転ユニット71を90°回転させた位置で停止させる(S204)。このとき、昇降回転駆動部74の各ロッド85下端の当接ローラー86が各蓋体122の幅広部122Aの上端部内側に当接して、幅広部122Aをその内側から押圧している。これにより、ケースCSの各蓋体122が完全に開いた状態になる。
【0098】
このようにケースCSの各蓋体122が開かれた状態となった後、制御部98は、空気ポンプ93Aの動作を停止させる。これにより、各蓋用吸盤77が各蓋体122を吸引しなくなる。続いて、制御部98は、昇降棚66の昇降棚モーター92を駆動制御して、昇降棚66を更に下降させると共に、昇降回転駆動部74の回転モーター95を駆動制御して、回転ユニット71を、
図25で時計周り方向に回転させて、
図28に示すように、上記反時計回りの回転前の元の回転位置に戻す(S205)。
【0099】
この状態から、制御部98は、昇降棚66の各昇降棚モーター92を駆動制御して、
図29に示すように梯子フレーム72の各収容物用吸盤78が、ケースCS内の収容物(例えばパレット)Mに接触する位置に到達するまで、昇降棚66を上昇させる。続いて、制御部98は、空気ポンプ93Bを駆動制御して、各収容物用吸盤78に収容物Mを吸着させる。そして、制御部98は、昇降棚66の各昇降棚モーター92を駆動制御して、
図30に示すように各収容物用吸盤78により吸着されている収容物MがケースCSの外となる上方位置に到達するまで、昇降棚66を下降させる。これにより、回転ユニット71により収容物MがケースCSから取り出される。
【0100】
更に、制御部98は、移動棚モーター96を駆動制御して、移動棚88を上記外側位置から回転ユニット71の下方位置に進出させ、空気ポンプ93Bを駆動制御して、各収容物用吸盤78による収容物Mの吸着を解除する。これにより、収容物Mが各収容物用吸盤78から離れて移動棚88に載置される。制御部98は、移動棚モーター96を駆動制御して、移動棚88を収容物Mと共に回転ユニット71の下方から退出させ、移動棚88を上記外側位置に移動させ、移動棚88を蓋体開閉装置12の装置本体120よりも外方に突出させる(S206)。移動棚88が上記外側位置に移動したときに、移動棚88に載置されている収容物Mは、蓋体開閉装置12よりも外方に移動するように、移動棚88の突出量が設定されている。
【0101】
移動棚88の上記外側位置への移動により、移動棚88に載置されている収容物Mが蓋体開閉装置12よりも外方の位置に移動したとき、この位置で収容物Mが機械的に又は手動で回収される。例えば、収容物Mがトレー及び当該トレー上に載置された物品からなる場合、上記位置において、ロボット機構により当該トレー上から物品が回収される。このとき、全ての物品が回収されて空になったトレーは、移動棚88の動作により移動棚88による支持から外れることで落下し、当該トレーを収納する収納箱に収まる。すなわち、当該収納箱に複数の空トレーが回収される。
【0102】
制御部98は、ケースCS内に複数の収容物Mがあった場合、S206を繰り返す。制御部98は、収容物Mを1つずつ取り出し、ケースCS内の全ての収容物Mを取り出した時点で、S206を終了する。
【0103】
このとき、回転ユニット71は、
図25に示した姿勢と同様の姿勢となっている。ここで、制御部98は、昇降回転駆動部74の回転モーター95を駆動制御して、回転ユニット71を当該姿勢から時計周り方向に回転させ、
図31(A)に示すように、昇降回転駆動部74の各ロッド85下端の当接ローラー86を、ケースCSの各蓋体122の外側に移動させる(S208)。
【0104】
続いて、制御部98は、昇降棚66の各昇降棚モーター92を駆動制御して、昇降棚66を上昇させ、
図31(B)に示すように、ケースCSの各蓋体122が、昇降回転駆動部74の各ロッド85下端の当接ローラー86の内側に入り込み、当接ローラー86をケースCSの各蓋体122の外側となる位置に移動させる(S208)。
【0105】
そして、回転ユニット71が
図31(B)に示す状態にあるときに、制御部98は、昇降回転駆動部74の回転モーター95を駆動制御して、回転ユニット71を、
図31(B)における時計周り方向に更に回転させて、
図25に示した状態と同様の姿勢に戻す(S209)。回転ユニット71が当該姿勢に戻る過程で、
図32(B)に示すように、昇降回転駆動部74の各ロッド85下端の当接ローラー86が各蓋体122の幅広部122Aの上端部をその外側から押圧する。これにより、各蓋体122が、閉じる方向に倒れ始める。
【0106】
ここで、蓋体開閉装置12の装置本体120の側部(無人搬送車両10側とは反対側の側部であって、移動棚88の移動に干渉しない位置となる装置本体120部分に設けられている側壁)には、突出機構が設けられている。当該突出機構は、当該側壁に設けられた収納部と、当該収納部に収納された状態から、当該収納部から突出してケースCSの本体121の開口部分の上方位置まで達する棒状の突出部300と、当該突出部に前記突出動作を行わせるアクチュエーター(図略)とを備える。制御部98は、当該アクチュエーターの動作を制御する。すなわち、突出部300は、制御部98により制御されるソレノイド等のアクチュエーターにより上記突出動作を行う。制御部98は、蓋体122が当接部材86により蓋体122の外側から押圧されるとき、例えばS209の後のタイミングで、当該アクチュエーターを動作制御して突出部300を本体121の開口部分の上方位置まで突出させる(S210)。
【0107】
各蓋体122が当該閉じる方向に倒れ始めると、
図33に示すように、上記のように突出している突出部300に、各蓋体122の一部が係止されて、各蓋体122の閉じる方向への動作が一旦停止する。すなわち、突出部300は、各蓋体122の一部が係止する位置に設けられている。このとき、制御部98は、例えば、S210の処理時点から予め定められた時間(S210の処理時点から各蓋体122の幅広部122Aが突出部300に到達するために要するとされる予め規定された時間)の経過後に、当該アクチュエーターを動作制御して、突出部300を上記収納部に収納される位置に移動させる(S211)。これにより、各蓋体122の幅広部122Aは、自重により倒れ、
図19に示したような、ケースCSの本体121の開口を覆って当該開口を閉じる状態になる。
【0108】
この後、制御部98は、昇降棚66の各昇降棚モーター92を駆動制御して、昇降棚66を昇降させて、複数のローラー67の周面の最上部が、無人搬送車両10の作業部23と同程度の高さとなる位置に昇降棚66を移動させる(S212)。
【0109】
続いて、制御部98は、昇降棚66の各ローラー67を回転させるローラーモーター91を駆動制御して、各ローラー67をS201の場合とは逆方向に回転させて、ケースCSを無人搬送車両10側に移動させる(S213)。
【0110】
無人搬送車両10では、制御部64の制御により、ケースCSを蓋体開閉装置12上から無人搬送車両10側に移動させる(S214)。すなわち、無人搬送車両10では、制御部64が、各アーム駆動モーター45を駆動制御して、各アーム42を蓋体開閉装置12側に突出させる。これにより、各アーム42の間に昇降棚66上にあるケースCSが存在する状態となる。制御部64は、各爪駆動モーター56を駆動して、各アーム42の先端内側の第1爪部51を突出させ、この状態で、各アーム駆動モーター45を駆動制御して、各アーム42を蓋体開閉装置12から退避させて作業部23上に退避させる。このとき、各第1爪部51がケースCSに引っ掛かり、ケースCSは各アーム42と共に、蓋体開閉装置12上から無人搬送車両10の作業部23に移動する。この後、制御部64は、無人搬送車両10を予め定められた方向に向けて走行させる。
【0111】
このように本実施形態の蓋体開閉装置12では、ケースCSが無人搬送車両10から昇降棚66の各ローラー67の上に移し替えられ、昇降棚66の昇降、梯子フレーム72の各蓋用吸盤77による各蓋体122の吸着、回転ユニット71の回転などが予め設定された順序でなされて、各蓋体122が開かれる。そして、昇降棚66の昇降、梯子フレーム72の各収容物用吸盤78によるケースCS内の収容物の吸着、移動棚88の進出及び退出などが予め設定された順序でなされて、収容物が取り出される。更に、昇降棚66の昇降、回転ユニット71の回転などが予め設定された順序でなされて、各蓋体122が閉じられる。このため、アームロボットなどを適用することなく、蓋体開閉装置12が備える上述した各機構により、簡易な構成でありながら、ケースCSの各蓋体122を開閉する
ことができる。
【0112】
なお、上記実施形態では、昇降棚66を昇降させて、昇降棚66の各ローラー67上のケースCSを回転ユニット71に対して接近及び離間させているが、回転ユニット71を昇降させて、ケースCSを回転ユニット71に対して接近及び離間させる構成を採用してもよい。
【0113】
尚、
図1乃至
図33を用いて説明した上記実施形態及び変形例の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0114】
10 無人搬送車両
11 コンベアー
12 蓋体開閉装置
15 走行ライン
16 ローラー
22 走行部
23 作業部
31 キャスター
32 駆動輪
41 支持壁
42 アーム
43 スライドレール
51 第1爪部
52 第2爪部
33 各走行駆動モーター
45 各アーム駆動モーター
55 各爪駆動モーター
56 各爪駆動モーター
61 撮像カメラ
62 走行センサー
63 通信部
64 制御部
66 昇降棚
71 回転ユニット
72 梯子フレーム
73 中間支持体
74 昇降回転駆動部
77 蓋用吸盤
78 収容物用吸盤
85 ロッド
86 当接ローラー
97 通信部
98 制御部
Sy 無人搬送車両システム