(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】駐車管理装置、駐車管理システム、駐車管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2023508257
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012236
(87)【国際公開番号】W WO2022201358
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-258842(JP,A)
【文献】国際公開第2014/040612(WO,A1)
【文献】特開2018-106375(JP,A)
【文献】特開2009-014536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/02、50/10、50/26-50/32
G07B 15/00-15/06
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の内部の混雑状況を測定する内部状況測定部と、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する決定部と、
ユーザが車両内の端末を介して駐車を希望する車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記車両内の端末に対し、前記電子整理券を発行する発行部と、
を備える、駐車管理装置。
【請求項2】
前記決定部は、測定された前記駐車場の内部の混雑状況が高いほど、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を、当該駐車場までの到達所要時間が長い位置又は当該駐車場から離れた位置に決定する、請求項1に記載の駐車管理装置。
【請求項3】
前記駐車場の近隣の所定エリアの混雑状況を測定する外部状況測定部と、
前記駐車場の内部の混雑状況が基準より混雑しており、かつ前記所定エリアの混雑状況が基準より混雑している場合、車両が前記決定された場所に達したことが判定された場合に、当該車両を、当該駐車場より手前の別の駐車場に誘導する誘導部と、を更に備える、請求項1又は2に記載の駐車管理装置。
【請求項4】
前記発行部は、前記決定された場所を撮影可能な撮像部により、前記車両が撮影された場合に、当該駐車場の電子整理券を発行する、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
【請求項5】
前記発行部は、前記車両に搭載された端末または前記車両内の搭乗者の端末に対して、前記電子整理券を発行する、請求項1~4のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
【請求項6】
前記発行部は、前記車両の位置情報が前記場所に達したことが判定された場合に、当該駐車場の電子整理券を発行する、請求項1~5のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
【請求項7】
前記外部状況測定部は、信号機に取り付けられた撮像部により撮影された画像に基づいて、混雑状況を測定する、請求項3に記載の駐車管理装置。
【請求項8】
駐車場の内部の混雑状況を測定する内部状況測定部と、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する決定部と、
ユーザが車両内の端末を介して駐車を希望する車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記車両内の端末に対し、前記電子整理券を発行する発行部と、
を備える、駐車管理システム。
【請求項9】
コンピュータにより実行される駐車管理方法であって、
駐車場の内部の混雑状況を測定し、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定し、
ユーザが車両内の端末を介して駐車を希望する車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記車両内の端末に対し、前記電子整理券を発行する、駐車管理方法。
【請求項10】
駐車場の内部の混雑状況を測定する処理と、
測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する処理と、
ユーザが車両内の端末を介して駐車を希望する車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記車両内の端末に対し、前記電子整理券を発行する処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車管理装置、駐車管理システム、駐車管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、市街地又は観光地の渋滞を防止するため、市街地又は観光地の周辺部に設けた周辺部駐車場に、希望する駐車場の選定条件と整理番号を記録した整理券を発行する整理券発行機と、を備えた駐車場管理システムが開示されている。これによれば、周辺部駐車場を出て中心部駐車場に入庫されるまでの間も、駐車料金の計算対象になることから、ユーザは市街地や観光地の中を無用に走り回ることなく、出来るだけ早く指定された中心部駐車場へ車両を入庫させるように心掛けることになるため、市街地や観光地中心部での車両の混雑を緩和することが可能となる。その他の関連文献として、特許文献2~5も挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-258842号
【文献】特開平06-052495号
【文献】特開2009-014536号
【文献】特開2014-206857号
【文献】特開2017-062692号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示す駐車場管理システムでは、電子整理券を発行する場所が、周辺部駐車場に固定されているため、ユーザはその場所まで行き、電子整理券を取得する必要となり、面倒となる。また、電子整理券を取得する場所に多数の車両が集中することで、混雑が生じる場合がある。
【0005】
本開示の目的の1つは、駐車場付近の混雑を抑制し、より効率的に駐車場を管理できる駐車管理装置、駐車管理システム、駐車管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様にかかる駐車管理装置は、駐車場の内部の混雑状況を測定する内部状況測定部と、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する決定部と、
車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記電子整理券を発行する発行部と、
を備える。
【0007】
本開示の第2の態様にかかる駐車管理システムは、駐車場の内部の混雑状況を測定する内部状況測定部と、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する決定部と、
車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記電子整理券を発行する発行部と、
を備える。
【0008】
本開示の第3の態様にかかる駐車管理方法は、
駐車場の内部の混雑状況を測定し、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定し、
車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記電子整理券を発行する。
【0009】
本開示の第4の態様にかかるプログラム或いはそのプログラムが格納された記録媒体(非一時的なコンピュータ可読媒体)は、駐車場の内部の混雑状況を測定する処理と、
測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する処理と、
車両が前記決定された場所の近くに達した場合に、前記電子整理券を発行する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、駐車場付近の混雑を抑制し、より効率的に駐車場を管理できる駐車管理装置、駐車管理システム、駐車管理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかる駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる駐車管理方法を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態2にかかる駐車管理システムの例示的な全体構成を説明する図である。
【
図4】実施の形態2にかかる駐車管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態2にかかる駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態2にかかる駐車管理方法を示すフローチャートである。
【
図7】駐車管理装置100等のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる駐車管理装置の構成を示すブロック図である。駐車管理装置100は、駐車場を利用するユーザに効果的に電子整理券を発行するために使用され得る。駐車管理装置100は、プロセッサおよびメモリなどを備えたコンピュータにより実現され得る。駐車管理装置100は、内部状況測定部101、決定部102、および発行部103を含む。
【0013】
内部状況測定部101は、駐車場の内部の混雑状況を測定する。混雑状況は、駐車場の稼働率、空き情報などを示す情報である。内部状況測定部101は、例えば、市街地又は観光地などにある駐車場の空き情報(又は稼働情報)を取得する。内部状況測定部101は、カメラにより撮影された撮影画像に基づいて、空き情報(又は稼働情報)を取得することができる。また、内部状況測定部101は、駐車場に取り付けられた開閉可能なゲートと連動して、空き情報(又は稼働情報)を取得してもよい。更に、内部状況測定部101は、各種センサ(例えば、フラップ板に取り付けられたセンサ)と連動して、空き情報(又は稼働情報)を取得してもよい。なお、これらは、単なる例示であり、他の好適な方法で空き情報(又は稼働情報)を取得してもよい。
【0014】
決定部102は、測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する。ここでいう場所は、所定の領域であってもよいし、後述する電子整理券を発行する際に使用されるセンサ(例えば、当該場所を撮影可能な撮像部)の場所であってもよい。所定の領域は、位置情報を用いた仕組みにおける仮想的な地理的境界線(ジオフェンスと呼ばれる)とすることもできる。
【0015】
決定部102は、固定した場所ではなく、駐車場の内部の混雑状況に基づいて、動的に、電子整理券の発行場所を変更することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、目的地の駐車場の混雑状況が高いほど、当該駐車場までの到達所要時間が長い位置で、電子整理券を発行させるように決定することができる。この場合、到達所要時間は、道幅、信号機の数、時間帯ごとの一般的な交通量、道路の制限速度、その他の交通規則などに基づいて、経路ごとに予め定められていてもよい。いくつかの実施形態では、決定部102は、目的地の駐車場の混雑状況が高いほど、当該駐車場から距離が離れた場所で、電子整理券を発行させるように決定することができる。これは、車両が、駐車場の待ちのため、目的地の周辺に滞在することにより、駐車場付近に渋滞を引き起こすのを防止するためである。
【0016】
発行部103は、駐車を希望する1台以上の車両が、決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、電子整理券を当該車両内の端末に対して順番に発行する。測位システムにおいて、車両の位置情報又は車両内の携帯端末の位置情報を取得し、車両が、決定部102で決定された場所に達したことを判定することもできる。あるいは、発行部103が、本システムにおいて、カメラなどの撮像部が様々な場所に設けられている場合、撮像部により撮像された車両の画像に基づいて、車両を識別し、当該識別された車両端末に対して、電子整理券を発行することができる。いくつかの実施形態では、発行部103が、撮影画像内の車両のナンバープレートに対して画像認識技術により、車両番号を特定し、特定された車両に対して、電子整理券を発行することができる。撮像部は、白色LED等の照明部、撮像レンズを含む撮像光学系、および撮像素子(CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャ、CCD(charge-coupled device)等)により実現され、外部周辺を白色LED等で照射し、撮像を行う。
【0017】
車両内の端末とは、車両に搭載された端末又は車両内にある携帯端末(例えば、車両内の運転手を含む搭乗者が所持する携帯端末)を含む。端末とは、車載コンピュータなどの情報処理装置である。携帯端末は、スマートフォン、タブレット、タップトップ型パーソナルコンピュータ、スマートウォッチなど、任意の好適な携帯可能な情報処理装置とすることができる。
【0018】
図2は、実施の形態1にかかる駐車管理方法を示すフローチャートである。
内部状況測定部101は、駐車場の内部の混雑状況を測定する(ステップS11)。決定部102は、測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する(ステップS12)。発行部103は、車両が前記決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、前記電子整理券を発行する(ステップS13)。
【0019】
以上説明した実施の形態1によれば、目的地の駐車場の混雑状況に応じて、電子整理券の発行場所を変更でき、それにより目的地の駐車場に効率的に車両を駐車させることで、目的地周辺の車両の混雑状況を抑制することができる。
【0020】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2にかかる駐車管理システム1の例示的な構成を説明する図である。
車両を運転するユーザは、スマートフォンなどの携帯端末上又は車両内のナビゲーションシステム上のアプリを利用して登録した目的地に向かってナビゲーションされている。目的地は、市街地又は観光地などの地域の特定の施設である。
図3では、当該施設(目的地)には、その駐車場P1が隣接されている。また、目的地から離れた場所にも、駐車場P2がある。各駐車場には、撮像部8が設けられ、駐車場の利用状況(稼働率、混雑状況、空き状況等)を把握することができる。
【0021】
市街地の各交差点には、信号機5が配置されている。信号機5はそれぞれ、カメラ(又は各種センサ)と、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)基地局と、プロセッサと、メモリと、を備える信号機端末(
図4では、信号機端末50)を有する。信号機端末は、コンピュータにより実現される。信号機端末は、5Gネットワークを介して、信号機間の中継、および車両又は携帯端末との通信を可能となる。また、信号機端末は、カメラ(又は各種センサ)を用いて、周辺情報(例えば、混雑状況)などを収集することができる。周辺情報には、道路上の車両、歩行者などに関する情報も含まれる。また、基地局の一例として5G基地局を挙げたが、基地局は、LTE(Long Term Evolution)の基地局や、第6世代移動通信システム以降の基地局であってもよい。
【0022】
図4は、実施の形態2にかかる駐車管理システムの構成を示すブロック図である。
駐車管理装置100は、有線又は無線ネットワークを介して各車両端末30A、30B・・・30Nと接続されている。また、駐車管理装置100は、有線又は無線ネットワークを介して各信号機端末50A、50B・・・50Nおよびそれに接続された撮像部6A、6B・・・6Nと接続されている。駐車管理装置100は、有線又は無線ネットワークを介して各駐車場端末10A、10B・・・10Nおよびそれに接続された撮像部8A、8B・・・8Nと接続されている。駐車場端末10は、各駐車場に配置されたコンピュータであり、駐車管理装置100と通信可能に接続される。
【0023】
なお、車両端末30は、コンピュータにより実現され得る。車両端末30は、GPS(Global Positioning System)などの測位システムの信号(例えば、GPS信号)を受信する受信機4を有することができる。
【0024】
図5は、実施の形態2にかかる駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
駐車管理装置100は、プロセッサおよびメモリを有するサーバコンピュータであり得る。具体的には、
図5に示すように、駐車管理装置100は、登録部110、内部状況測定部101、決定部102、発行部103、外部状況測定部104、及び誘導部105を含む。
【0025】
登録部110は、本サービスを利用するユーザの個人識別情報を登録する。例えば、本サービスを利用するにあたり、ユーザの車両および携帯端末などの識別番号(例えば、ナンバープレート、個人識別情報)や個人情報(例えば、氏名、年齢、性別)を、登録することができる。こうした登録は、携帯端末等を介してユーザ入力によって行われ得る。登録情報は、駐車管理装置内部又はそれに接続された記憶部に記憶され得る。
【0026】
内部状況測定部101は、駐車場の内部の混雑状況を測定する。混雑状況は、駐車場の稼働率、空き情報などを示す情報である。内部状況測定部101は、例えば、市街地又は観光地などにある駐車場の空き情報(又は稼働情報)を取得する。内部状況測定部101は、カメラにより撮影された撮影画像に基づいて、空き情報(又は稼働情報)を取得することができる。また、内部状況測定部101は、駐車場に取り付けられた開閉可能なゲートと連動して、空き情報(又は稼働情報)を取得してもよい。更に、内部状況測定部101は、各種センサ(例えば、カメラ)と連動して、空き情報(又は稼働情報)を取得してもよい。なお、これらは、単なる例示であり、他の好適な方法で空き情報(又は稼働情報)を取得してもよい。
【0027】
決定部102は、測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所、すなわち、本実施の形態では、信号機の場所を決定する。前述した通り、市街地では、多数の信号機5(5A~5R)は各交差点に配置されているので、このうち、当該駐車場の電子整理券を発行するために使用される信号機を決定する。
【0028】
本実施の形態では、決定部102は、目的地の駐車場の混雑度が高いほど、当該駐車場P1から離れた信号機5において、電子整理券を発行させるように決定することができる。
図3の点線で示した同心円状の領域C1,C2,C3は、混雑度に応じた電子整理券の発行可能場所を示す。
図3では、駐車場P1付近の信号機5Aを中心とする同心円状に、領域C1,C2,C3が順番に半径が大きくなるように配置されている。例えば、駐車場P1の混雑状況が閾値(例えば、稼働率30%)未満の場合、小さな半径を有する円形領域C1の外側にある信号機5B、5C、5D、5E、5F、5M、5N、5Oが当該駐車場の電子整理券を発行するために使用されるように決定される。また、例えば、駐車場P1の混雑状況が閾値以上閾値未満(例えば、稼働率30%以上70%未満)の場合、中程度の半径を有する円形領域C2の外側にある信号機5G、5H、5I、5P、5Q、5Rが当該駐車場の電子整理券を発行するために使用されるように決定される。さらに、例えば、駐車場P1の混雑状況が閾値(例えば、稼働率70%)以上の場合、大きな半径を有する円形領域C3の外側にある信号機5J、5K、5Lが当該駐車場の電子整理券を発行するために使用されるように決定される。
【0029】
上記実施形態は、単なる例示に過ぎず、様々な方法で当該駐車場の電子整理券を発行するために使用される信号機を決定することができる。上記例では、駐車場付近の信号機5Aを中心とする様々な半径の同心円状領域を規定したが、これに限定されず、例えば、駐車場の位置を中心とする様々なサイズの矩形領域、楕円領域、ひし形領域など様々な形状の領域を規定してもよい。また、他の実施形態では、混雑状況が高くなるほど、駐車場の位置から離れる位置の信号機を、当該駐車場の電子整理券を発行するために使用されるように予め設定してもよい。
【0030】
他の実施形態では、当該駐車場からの直線距離で到達所要時間が長い位置を、電子整理券の発行場所に決定してもよい。この場合、発行場所から駐車場までの経路を加味したものであっても良いし、さらに経路上の混雑度や交通量のような情報を用いて発行位置を規定してもよい。また、他の実施形態では、外部状況測定部104により、駐車場までの経路の混雑状況を測定し、測定結果を考慮して、発行場所を動的に決定してもよい。具体的には、駐車場までの経路の混雑度が高い場合は、所要時間が長くなるように判断され得る。
【0031】
発行部103は、登録部110に登録されている車両が、決定部102により決定された信号機の近くに達した場合に、電子整理券を当該車両3内の端末に対して発行する。例えば、駐車場P1の混雑状況が閾値(例えば、稼働率30%)未満の場合、小さな半径を有する円形領域C1の外側にある信号機5Cが、電子整理券の発行主体となっている。そのため、信号機5Cは、その撮像部6Cが目的地の駐車場P1に向かう車両3Cを撮像した際に、車両3C内の端末(例えば、車載コンピュータ又はスマートフォン)に対して電子整理券を発行することができる。別の例では、例えば、駐車場P1の混雑状況が閾値以上閾値未満(例えば、稼働率30%以上70%未満)の場合、中程度の半径を有する円形領域C2の外側にある信号機5Hが電子整理券の発行主体となっている。そのため、信号機5Hは、その撮像部6Hが目的地の駐車場P1に向かう車両3Dを撮像した際に、車両3D内の端末(例えば、車載コンピュータ又はスマートフォン)に対して電子整理券を発行することができる。更に別の例では、例えば、駐車場P1の混雑状況が閾値(例えば、稼働率70%)以上の場合、大きな半径を有する円形領域C3の外側にある信号機5Kが当該駐車場の電子整理券の発行主体となっている。そのため、信号機5Kは、その撮像部6Kが目的地の駐車場P1に向かう車両3Hを撮像した際に、車両3H内の端末(例えば、車載コンピュータ又はスマートフォン)に対して電子整理券を発行することができる。
【0032】
発行部103は、前述したように、画像認識技術を用いて、車両のナンバープレートを特定し、特定された車両の端末および当該車両に関連付けられた携帯端末に電子整理券を発行することができる。車両の撮影画像を用いて電子整理券を発行することで、GPSなどの位置情報を用いる場合より、精度良く、正確に車両を把握し、電子整理券を発行することができる。
【0033】
以上説明した例は、領域(C1、C2,C3)の外側にいる車両が、当該領域のすぐ外側の信号機を通過した時点で、電子整理券を発行するようにしている。すなわち、領域内にいる車両には、電子整理券を発行しないようにすることができる。これによっても、領域内の混雑を抑制することができる。
【0034】
外部状況測定部104は、駐車場P1の近隣の所定エリアの混雑状況を測定する。例えば、
図3の例では、外部状況測定部104として、信号機5Aの撮像部6A、信号機5Bの撮像部6B、信号機5Cの撮像部6C、信号機5Dの撮像部6D、信号機5Eの撮像部6E、信号機5Fの撮像部6F、信号機5Mの撮像部6M、信号機5Nの撮像部6N、および信号機5Oの撮像部6Oを用いることができる。これらが撮影した画像を基づいて、駐車場P1の近隣の所定エリアの混雑状況を測定することができる。
【0035】
誘導部105は、駐車場P1の内部の混雑状況が基準より混雑しており、かつ所定エリア(例えば、領域C1内部の道路)の混雑状況が基準より混雑している場合、車両が前記決定された場所(例えば、信号機5K)に達した場合に、当該車両を、当該駐車場より手前の別の駐車場P2に誘導する。いくつかの実施形態では、駐車場P1の混雑状況が閾値(例えば、稼働率90%)以上の場合、かつ所定エリア(例えば、領域C1内部の道路)の混雑状況が基準より混雑している場合、駐車場P1の電子整理券を発行せずに、別の駐車場P2に誘導してもよい。他の実施形態では、駐車場P1の混雑状況が閾値(例えば、稼働率90%)以上の場合、かつ所定エリア(例えば、領域C1内部の道路)の混雑状況が基準より混雑している場合、駐車場P1の電子整理券を発行するとともに、別の駐車場P2の場所を、ユーザがいずれかを選択できるようにユーザに提示してもよい。ユーザが誘導された別の駐車場P2を選択した場合、ナビゲーションシステムにより、車両は駐車場P2まで案内されてもよい。なお、誘導部105は、地図情報および後続する車両等の位置情報を利用して、車両のナビゲーションを実行することができる。
【0036】
位置情報取得部106は、様々な測位システムにより、車両又は車両内の携帯端末の位置情報を取得する。
【0037】
なお、いくつかの実施形態では、駐車管理装置100の機能の全部又は一部が、信号機端末50、車両端末30、又は駐車場端末10の機能に含まれていてもよい。また、駐車場には、電子整理券が発行された車両のための入り口と、電子整理券が発行されていない車両のための入り口を別々に設けてもよい。駐車管理装置100の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0038】
図6は、実施の形態2にかかる駐車管理方法を示すフローチャートである。
登録部110は、ユーザの識別情報(例えば、車両の番号など個人情報)を記憶部に登録する(ステップS20)。内部状況測定部101は、駐車場の内部の混雑状況を測定する(ステップS21)。決定部102は、測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する(ステップS22)。発行部103は、車両が前記決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、電子整理券を当該車両内の端末に対して発行する(ステップS23)。外部状況測定部104は、駐車場P1の近隣の所定エリアの混雑状況を測定し、基準以上に混雑しているか否かを判定する(ステップS23)。駐車場の周辺の所定エリアの混雑状況を測定し、基準以上に混雑していない場合は(ステップS23でNO)、前述した通り、電子整理券を発行し、車両内の端末に通知する(ステップS24)。一方、所定エリアの混雑状況を測定し、基準以上に混雑している場合は(ステップS23でYES)、駐車場P1より手前の別の駐車場P2に車両を誘導することができる(ステップS25)。
【0039】
以上説明した実施の形態2によれば、目的地の駐車場の混雑状況に応じて、電子整理券の発行場所を変更できる。さらに、駐車場付近のエリアが混雑している場合は、目的地の駐車場とは異なる手前の駐車場へ車両を誘導することができる。これにより、駐車場付近の混雑を抑制するとともに、より一層効率的な駐車管理を行うことができる。
【0040】
なお、いくつかの実施形態では、電子整理券が発行された時点から、駐車料金が発生するようにしてもよい。こうすることで、車両は、発行された場所(例えば、信号機)から駐車場まで、寄り道をせずに向かうことになり、駐車場周辺の渋滞を抑制することができる。反対に、電子整理券が発行される前は、ユーザは、自由に寄り道をしながら、目的地に向かうことができる。
【0041】
更に他の実施形態では、別の駐車場P2の周辺のエリアの混雑状況を、外部状況測定部104により測定し、混雑の発生していない他の駐車場に誘導してもよい。
【0042】
なお、信号機にカメラと基地局が搭載される構成の他に、例えば、街路灯や電柱など道路上や道路付近に設けられた構造物にカメラと基地局などが搭載されていてもよい。
【0043】
図7は、駐車管理装置100、駐車場端末10,車両端末30、信号機端末50(以下、駐車管理装置100等という)のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図7を参照すると、駐車管理装置100等は、ネットワーク・インターフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワーク・インターフェース1201は、通信システムを構成する他のネットワークノード装置と通信するために使用される。ネットワーク・インターフェース1201は、無線通信を行うために使用されてもよい。例えば、ネットワーク・インターフェース1201は、IEEE 802.11 seriesにおいて規定された無線LAN通信、もしくは3GPP(3rd Generation Partnership Project)において規定されたモバイル通信を行うために使用されてもよい。もしくは、ネットワーク・インターフェース1201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインターフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0044】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートもしくはシーケンスを用いて説明された駐車管理装置100等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0045】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/Oインタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0046】
図7の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された駐車管理装置100の処理を行うことができる。
【0047】
図2又は
図5を用いて説明したように、駐車管理装置100が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0048】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0049】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【0050】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
駐車場の内部の混雑状況を測定する内部状況測定部と、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する決定部と、
車両が前記決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、前記電子整理券を発行する発行部と、
を備える、駐車管理装置。
(付記2)
前記決定部は、測定された前記駐車場の内部の混雑状況が高いほど、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を、当該駐車場までの到達所要時間が長い位置又は当該駐車場から離れた位置に決定する、付記1に記載の駐車管理装置。
(付記3)
前記駐車場の近隣の所定エリアの混雑状況を測定する外部状況測定部と、
前記駐車場の内部の混雑状況が基準より混雑しており、かつ前記所定エリアの混雑状況が基準より混雑している場合、車両が前記決定された場所に達したことが判定された場合に、当該車両を、当該駐車場より手前の別の駐車場に誘導する誘導部と、を更に備える、付記1又は2に記載の駐車管理装置。
(付記4)
前記発行部は、前記決定された場所を撮影可能な撮像部により、前記車両が撮影された場合に、当該駐車場の電子整理券を発行する、付記1~3のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
(付記5)
前記発行部は、前記車両に搭載された端末または前記車両内の搭乗者の端末に対して、前記電子整理券を発行する、付記1~4のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
(付記6)
前記発行部は、前記車両の位置情報が前記場所に達したことが判定された場合に、当該駐車場の電子整理券を発行する、付記1~5のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
(付記7)
前記前記外部状況測定部は、信号機に取り付けられた撮像部により撮影された画像に基づいて、混雑状況を測定する、付記3に記載の駐車管理装置。
(付記8)
前記車両内の端末の位置情報を取得する位置情報取得部を更に備える、付記1~7のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
(付記9)
駐車場の内部の混雑状況を測定する内部状況測定部と、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する決定部と、
車両が前記決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、前記電子整理券を発行する発行部と、
を備える、駐車管理システム。
(付記10)
前記決定部は、測定された前記駐車場の内部の混雑状況が高いほど、当該駐車場から離れた位置において当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する、付記9に記載の駐車管理システム。
(付記11)
前記駐車場の近隣の所定エリアの混雑状況を測定する外部状況測定部と、
前記駐車場の内部の混雑状況が基準より混雑しており、かつ前記所定エリアの混雑状況が基準より混雑している場合、車両が前記決定された場所に達したことが判定された場合に、当該車両を、当該駐車場より手前の別の駐車場に誘導する誘導部と、を更に備える、付記9又は10に記載の駐車管理システム。
(付記12)
前記発行部は、前記決定された場所を撮影可能な撮像部により、前記車両が撮影された場合に、当該駐車場の電子整理券を発行する、付記9~11のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
(付記13)
前記発行部は、前記車両に搭載された端末または前記車両内の搭乗者の端末に対して、前記電子整理券を発行する、付記9~11のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
(付記14)
前記発行部は、前記車両の位置情報が前記場所に達したことが判定された場合に、当該駐車場の電子整理券を発行する、付記9~13のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
(付記15)
前記前記外部状況測定部は、信号機に取り付けられた撮像部により撮影された画像に基づいて、混雑状況を測定する、付記11に記載の駐車管理システム。
(付記16)
前記車両内の端末の位置情報を取得する位置情報取得部を更に備える、付記9~15のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
(付記17)
駐車場の内部の混雑状況を測定し、
測定された前記駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定し、
車両が前記決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、前記電子整理券を発行する、駐車管理方法。
(付記18)
駐車場の内部の混雑状況を測定する処理と、
測定された駐車場の内部の混雑状況に基づいて、当該駐車場の電子整理券を発行するための場所を決定する処理と、
車両が前記決定された場所の近くに達したことが判定された場合に、前記電子整理券を発行する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0051】
1 駐車管理システム
3 車両
4 受信機
5 信号機
6 撮像部
8 撮像部
10 駐車場端末
30 車両端末
50 信号機端末
100 駐車管理装置
110 登録部
101 内部状況測定部
102 決定部
103 発行部
104 外部状況測定部
105 誘導部
106 位置情報取得部
C1,C2,C3 同心円状領域