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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/18 20060101AFI20241217BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20241217BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H05K3/18 G
H05K1/16 B
H05K1/02 J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023531862
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2022024889
(87)【国際公開番号】W WO2023276817
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2021106970
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢治
(72)【発明者】
【氏名】酒井 将一郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 航
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-051050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0262471(US,A1)
【文献】国際公開第2017/199747(WO,A1)
【文献】特開2018-098415(JP,A)
【文献】特開2021-057391(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211733(WO,A1)
【文献】特開2009-277861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/18
H05K 1/16
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有するベースフィルムと、
前記主面上に配置されている配線と、
前記主面上に配置されており、かつ前記配線に接続されている少なくとも1つのめっきリードとを備え、
前記少なくとも1つのめっきリードには、第1位置において前記配線に接続されている第1めっきリードと、第2位置において前記配線に接続されている第2めっきリードとが含まれており、
前記第1位置と前記第2位置との間にある前記配線の電気抵抗値は、2Ω以下であり、
前記主面は、第1主面及び前記第1主面の反対面である第2主面であり、
前記配線は、前記第1主面上に配置されている第1配線及び第2配線と、前記第2主面上に配置されている第3配線とを有し、
前記少なくとも1つのめっきリードには、第3位置において前記配線に接続されている第3めっきリードがさらに含まれており、
前記第1配線は、第1端と、前記第1端の反対側の端である第2端とを含み、
前記第2配線は、第3端と、前記第3端の反対側の端である第4端とを含み、
前記第3配線は、第5端と、前記第5端の反対側の端である第6端とを含み、
前記第1端及び前記第3端は、それぞれ前記第1位置及び前記第3位置になっており、
前記第2位置は、前記第5端と前記第6端との間にある前記第3配線の部分であり、
前記第2端は、前記第5端に電気的に接続されており、
前記第4端は、前記第6端に電気的に接続されており、
前記第2位置と前記第3位置との間にある前記配線の電気抵抗値は、2Ω以下になっている、プリント配線板。
【請求項2】
前記第1配線は、前記第1配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第1コイルを含み、
前記第2配線は、前記第2配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第2コイルを含み、
前記第3配線は、前記第3配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第3コイル及び第4コイルを含み、
前記第1コイル及び前記第2コイルは、それぞれ前記ベースフィルムの厚さ方向において前記第3コイル及び前記第4コイルと重なっており、
前記第2位置は、前記第3コイルと前記第4コイルとの間にある、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
主面を有するベースフィルムと、
前記主面上に配置されている配線と、
前記主面上に配置されており、かつ前記配線に接続されている少なくとも1つのめっきリードとを備え、
バイパスリードをさらに備え、
前記バイパスリードは、前記配線の一方端に電気的に接続されている第1部分と、前記配線の他方端に電気的に接続されている第2部分とを有し、
前記第1部分及び前記第2部分は、互いに分離されており
前記主面は、第1主面及び前記第1主面の反対面である第2主面であり、
前記配線は、前記第1主面上に配置されている第1配線及び第2配線と、前記第2主面上に配置されている第3配線とを有し、
前記第1配線は、第1端と、前記第1端の反対側の端である第2端とを含み、
前記第2配線は、第3端と、前記第3端の反対側の端である第4端とを含み、
前記第3配線は、第5端と、前記第5端の反対側の端である第6端とを含み、
前記第1端は、前記第5端に電気的に接続されており、
前記第2端は、前記第1部分に電気的に接続されており、
前記第3端は、前記第6端に電気的に接続されており、
前記第4端は、前記第2部分に電気的に接続されている、プリント配線板。
【請求項4】
前記第1配線は、前記第1配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第1コイルを含み、
前記第3配線は、前記第3配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第2コイルを含み、
前記第1コイルは、前記ベースフィルムの厚さ方向において、前記第2コイルと重なっており、
前記第2端、前記第3端及び前記第4端は、平面視において前記第1コイルの内側にあり、
前記第6端は、平面視において前記第2コイルの内側にある、請求項に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記配線及び前記少なくとも1つのめっきリードは、前記主面上に配置されているシード層と、前記シード層上に配置されている第1電解めっき層と、前記シード層及び前記第1電解めっき層を覆っている第2電解めっき層とを有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント配線板に関する。本出願は、2021年6月28日に出願した日本特許出願である特願2021-106970号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2016-9854号公報(特許文献1)には、プリント配線板が記載されている。特許文献1に記載のプリント配線板は、ベースフィルムと、ベースフィルムの主面上に配置されている配線とを有している。配線は、ベースフィルムの主面上に配置されているシード層と、シード層上に配置されている芯体と、芯体を覆っているシュリンク層とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-9854号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示のプリント配線板は、主面を有するベースフィルムと、主面上に配置されている配線と、主面上に配置されており、かつ配線に接続されている少なくとも1つのめっきリードとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、プリント配線板100の平面図である。
図2図2は、プリント配線板100の底面図である。
図3図3は、図1中のIII-IIIにおける断面図である。
図4図4は、プリント配線板100の製造方法を示す工程図である。
図5図5は、シード層形成工程S21後におけるベースフィルム10の断面図である。
図6図6は、レジスト形成工程S22後におけるベースフィルム10の断面図である。
図7図7は、第1電解めっき工程S23後におけるベースフィルム10の断面図である。
図8図8は、レジスト除去工程S24後におけるベースフィルム10の断面図である。
図9図9は、シード層除去工程S25後におけるベースフィルム10の断面図である。
図10図10は、プリント配線板200の平面図である。
図11図11は、プリント配線板200の底面図である。
図12図12は、図10中のXII-XIIにおける断面図である。
図13図13は、プリント配線板200の製造方法のシード層除去工程S25後におけるベースフィルム10の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載のプリント配線板の配線の形成では、第1に、シード層がベースフィルムの主面上に形成される。第2に、シード層上に開口を有するレジストが形成される。第3に、シード層に通電することにより、レジストの開口から露出しているシード層上に電解めっき(第1電解めっき)が行われる。これにより、芯体が形成される。第3に、レジスト及び芯体の間にあるシード層を除去した上で芯体に通電が行われることにより、芯体を覆うように電解めっき(第2電解めっき)が行われる。これにより、シュリンク層が形成される。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、第2電解めっきを行う際にどのように芯体に給電するかについて、明らかではない。
【0008】
本開示は、ベースフィルムの主面上の配線を形成する際に良好な給電が可能なプリント配線板を提供するものである。
【0009】
[本開示の効果]
本開示のプリント配線板によると、ベースフィルムの主面上の配線を形成する際に良好な給電が可能である。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を列記して説明する。
【0011】
(1)実施形態に係るプリント配線板は、主面を有するベースフィルムと、主面上に配置されている配線と、主面上に配置されており、かつ配線に接続されている少なくとも1つのめっきリードとを備える。
【0012】
上記(1)のプリント配線板によると、ベースフィルムの主面上の配線を形成する際に良好な給電が可能である。
【0013】
(2)上記(1)のプリント配線板では、少なくとも1つのめっきリードに、第1位置において配線に接続されている第1めっきリードと、第2位置において配線に接続されている第2めっきリードとが含まれていてもよい。第1位置と第2位置との間にある配線の電気抵抗値は、2Ω以下であってもよい。
【0014】
上記(2)のプリント配線板によると、ベースフィルムの主面上に配線を形成する際により良好な給電が可能である。
【0015】
(3)上記(2)のプリント配線板では、主面が、第1主面及び第1主面の反対面である第2主面であってもよい。配線は、第1主面上に配置されている第1配線及び第2配線と、第2主面上に配置されている第3配線とを有していてもよい。少なくとも1つのめっきリードには、第3位置において配線に接続されている第3めっきリードがさらに含まれていてもよい。第1配線は、第1端と第1端の反対側の端である第2端とを含んでいてもよい。第2配線は、第3端と、第3端の反対側の端である第4端とを含んでいてもよい。第3配線は、第5端と、第5端の反対側の端である第6端とを含んでいてもよい。第1端及び第3端は、それぞれ、第1位置及び第3位置になっていてもよい。第2位置は、第5端と第6端との間にある第3配線の部分であってもよい。第2端は、第5端に電気的に接続されていてもよい。第4端は、第6端に電気的に接続されていてもよい。第2位置と第3位置との間にある配線の電気抵抗値は、2Ω以下になっていてもよい。
【0016】
上記(3)のプリント配線板によると、ベースフィルムの主面上に配線を形成する際により良好な給電が可能である。
【0017】
(4)上記(3)のプリント配線板では、第1配線が、渦巻き状に第1配線が巻回されることにより構成されている第1コイルを含んでいてもよい。第2配線は、渦巻き状に第2配線が巻回されることにより構成されている第2コイルを含んでいてもよい。第3配線は、第3配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第3コイル及び第4コイルを含んでいてもよい。第1コイル及び第2コイルは、それぞれ、ベースフィルムの厚さ方向において第3コイル及び第4コイルと重なっていてもよい。第2位置は、第3コイルと第4コイルとの間にあってもよい。
【0018】
(5)上記(1)のプリント配線板は、バイパスリードをさらに備えていてもよい。バイパスリードは、配線の一方端に電気的に接続されている第1部分と、配線の他方端に電気的に接続されている第2部分とを有していてもよい。第1部分及び第2部分は、互いに分離されていてもよい。
【0019】
上記(5)のプリント配線板によると、バイパスリードによりベースフィルムの主面上の配線に含まれる複数の部分が並列接続され、当該配線の電気抵抗値が減少するため、当該配線を形成する際により良好な給電が可能である。
【0020】
(6)上記(5)のプリント配線板では、主面が、第1主面及び第1主面の反対面である第2主面であってもよい。配線は、第1主面上に配置されている第1配線及び第2配線と、第2主面上に配置されている第3配線とを有していてもよい。第1配線は、第1端と第1端の反対側の端である第2端とを含んでいてもよい。第2配線は、第3端と、第3端の反対側の端である第4端とを含んでいてもよい。第3配線は、第5端と、第5端の反対側の端である第6端とを含んでいてもよい。第1端は、第5端に電気的に接続されていてもよい。第2端は、第1部分に電気的に接続されていてもよい。第3端は、第6端に電気的に接続されていてもよい。第4端は、第2部分に電気的に接続されていてもよい。
【0021】
(7)上記(6)のプリント配線板では、第1配線は、第1配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第1コイルを含んでいてもよい。第3配線は、第3配線が渦巻き状に巻回されることにより構成されている第2コイルを含んでいてもよい。第1コイルは、ベースフィルムの厚さ方向において、第2コイルと重なっていてもよい。第2端、第3端及び第4端は、平面視において第1コイルの内側にあってもよい。第6端は、平面視において第2コイルの内側にあってもよい。
【0022】
(8)上記(1)から(7)のプリント配線板では、配線及び少なくとも1つのめっきリードが、主面上に配置されているシード層と、シード層上に配置されている第1電解めっき層と、シード層及び第1電解めっき層を覆っている第2電解めっき層とを有していてもよい。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るプリント配線板(以下においては、「プリント配線板100」とする)を説明する。
【0025】
<プリント配線板100の構成>
以下に、プリント配線板100の構成を説明する。
【0026】
図1は、プリント配線板100の平面図である。図2は、プリント配線板100の底面図である。図3は、図1中のIII-IIIにおける断面図である。図1図2及び図3に示されるように、プリント配線板100は、ベースフィルム10と、第1配線20と、第2配線30と、第3配線40と、少なくとも1つのめっきリード50とを有している。
【0027】
ベースフィルム10は、可撓性のある絶縁性の材料により形成されている。すなわち、プリント配線板100は、フレキシブルプリント配線板である。ベースフィルム10を構成している材料の具体例としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート及びフッ素樹脂が挙げられる。
【0028】
ベースフィルム10の主面は、第1主面10a及び第2主面10bである。第2主面10bは、第1主面10aの反対面である。第1主面10aから第2主面10bに向かう方向を、ベースフィルム10の厚さ方向ということがある。
【0029】
第1配線20、第2配線30及び第3配線40は、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線である。より具体的には、第1配線20及び第2配線30は、第1主面10a上に配置されている。第3配線40は、第2主面10b上に配置されている。
【0030】
第1配線20は、第1端20aと、第2端20bとを有している。第2端20bは、第1端20aの反対側の端である。第1配線20は、端子21と、ランド22とを有している。端子21は、第1端20aにある。ランド22は、第2端20bにある。第1配線20は、第1コイル23を有している。第1コイル23は、第1配線20が第1主面10a上において渦巻き状に巻回されることにより構成されている。第2端20bは、平面視において(第1主面10aに直交する方向から見て)第1コイル23の内側にある。
【0031】
第2配線30は、第3端30aと、第4端30bとを有している。第4端30bは、第3端30aの反対側の端である。第2配線30は、端子31と、ランド32とを有している。端子31は、第3端30aにある。ランド32は、第4端30bにある。第2配線30は、第2コイル33を有している。第2コイル33は、第2配線30が第1主面10a上において渦巻き状に巻回されることにより構成されている。第4端30bは、平面視において(第1主面10aに直交する方向から見て)第2コイル33の内側にある。
【0032】
第3配線40は、第5端40aと、第6端40bとを有している。第6端40bは、第5端40aの反対側の端である。第3配線40は、ランド41と、ランド42とを有している。ランド41は、第5端40aにある。ランド42は、第6端40bにある。
【0033】
ベースフィルム10には、貫通穴10c及び貫通穴10dが形成されている。貫通穴10c及び貫通穴10dは、厚さ方向に沿ってベースフィルム10を貫通している。貫通穴10cは、ランド22及びランド41に重なる位置にある。貫通穴10dは、ランド32及びランド42に重なる位置にある。
【0034】
ランド22及びランド41は、貫通穴10cの内壁面上に形成されている導電体(図示せず)により電気的に接続されている。ランド32及びランド42は、貫通穴10dの内壁面上に形成されている導電体(図示せず)により、電気的に接続されている。これにより、第1配線20、第2配線30及び第3配線40は、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線として一体化されている。
【0035】
第3配線40は、第3コイル43と、第4コイル44とを有している。第3コイル43は、第3配線40が第2主面10b上において渦巻き状に巻回されることにより構成されている。第4コイル44は、第3配線40が第2主面10b上において渦巻き状に巻回されることにより構成されている。第3コイル43及び第4コイル44は、それぞれベースフィルム10の厚さ方向において、第1コイル23及び第2コイル33と重なっている。
【0036】
めっきリード50は、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線に接続されている。プリント配線板100では、めっきリード50の数は、3つである。これら3つのめっきリード50を、第1めっきリード50a、第2めっきリード50b及び第3めっきリード50cとする。
【0037】
第1めっきリード50aは、第1位置P1においてベースフィルム10の主面上に配置されている配線に接続されている。より具体的には、第1めっきリード50aは、第1端20a(端子21)に接続されている。つまり、第1位置P1は、第1端20aである。
【0038】
第2めっきリード50bは、第2位置P2においてベースフィルム10の主面上に配置されている配線に接続されている。より具体的には、第2めっきリード50bは、第5端40aと第6端40bにある第3配線40の部分に接続されている。すなわち、第2位置P2は、第5端40aと第6端40bにある第3配線40の部分である。
【0039】
第3めっきリード50cは、第3位置P3においてベースフィルム10の主面上に配置されている配線に接続されている。より具体的には、第3めっきリード50cは、第3端30a(端子31)に接続されている。つまり、第3位置P3は、第3端30aである。
【0040】
なお、第1めっきリード50a、第2めっきリード50b及び第3めっきリード50cは、ベースフィルム10の端に達するように延在している。
【0041】
第1位置P1及び第2位置P2は、第1位置P1と第2位置P2との間にある配線(第1配線20及び第3配線40)の電気抵抗値が2Ω以下になるように決定される。第2位置P2及び第3位置P3は、第2位置P2と第3位置P3との間にある配線(第2配線30及び第3配線40)の電気抵抗値が2Ω以下になるように決定される。なお、第1端20aと第3端30aとの間にある配線の電気抵抗値は、例えば2Ω以上である。なお、配線の電気抵抗値は、測定箇所にテスターのプローブを接触させることにより測定される。
【0042】
第1配線20は、シード層24と、第1電解めっき層25と、第2電解めっき層26とを有している。
【0043】
シード層24は、ベースフィルム10の主面(第1主面10a)上に配置されている。シード層24は、例えば、第1層と第2層とを有している。シード層24の第1層は、ベースフィルム10の主面(第1主面10a)上に配置されている。シード層24の第2層は、シード層24の第1層上に配置されている。シード層24の第1層は、例えば、ニッケル-クロム合金のスパッタ層(スパッタリングにより形成されている層)である。シード層24の第2層は、銅の無電解めっき層(無電解めっきにより形成されている層)である。
【0044】
第1電解めっき層25は、電解めっきにより形成されている層である。第1電解めっき層25は、銅により形成されている。第1電解めっき層25は、シード層24上に配置されている。第2電解めっき層26は、電解めっきにより形成されている層である。第2電解めっき層26は、銅により形成されている。第2電解めっき層26は、シード層24及び第1電解めっき層25を覆っている。より具体的には、第2電解めっき層26は、シード層24及び第1電解めっき層25の側面上及び第1電解めっき層25の上面上に配置されている。
【0045】
第3配線40は、第1配線20と同様の構造(シード層24、第1電解めっき層25及び第2電解めっき層26)を有している。図示されていないが、第2配線30及びめっきリード50も、第1配線20と同様の構造を有している。
【0046】
<プリント配線板100の製造方法>
以下に、プリント配線板100の製造方法を説明する。
【0047】
図4は、プリント配線板100の製造方法を示す工程図である。図4に示されているように、プリント配線板100の製造方法は、準備工程S1と、配線形成工程S2とを有している。配線形成工程S2は、準備工程S1の後に行われる。
【0048】
準備工程S1では、ベースフィルム10が準備される。準備工程S1で準備されるベースフィルム10の主面上には、配線(第1配線20、第2配線30及び第3配線40)及びめっきリード50が形成されていない。
【0049】
配線形成工程S2では、第1配線20、第2配線30、第3配線40及びめっきリード50が形成される。配線形成工程S2は、セミアディティブ法を用いて行われる。
【0050】
より具体的には、配線形成工程S2は、シード層形成工程S21と、レジスト形成工程S22と、第1電解めっき工程S23と、レジスト除去工程S24と、シード層除去工程S25と、第2電解めっき工程S26とを有している。
【0051】
レジスト形成工程S22はシード層形成工程S21の後に行われ、第1電解めっき工程S23はレジスト形成工程S22の後に行われる。レジスト除去工程S24は第1電解めっき工程S23の後に行われ、シード層除去工程S25はレジスト除去工程S24の後に行われる。第2電解めっき工程S26は、シード層除去工程S25の後に行われる。
【0052】
図5は、シード層形成工程S21後におけるベースフィルム10の断面図である。図5に示されるように、シード層形成工程S21では、ベースフィルム10の主面(第1主面10a及び第2主面10b)上にシード層24が形成される。シード層24は、スパッタリング及び無電解めっきにより形成される。
【0053】
図6は、レジスト形成工程S22後におけるベースフィルム10の断面図である。図6に示されるように、レジスト形成工程S22では、シード層24上にレジスト60が形成される。レジスト60は、感光性の有機材料をシード層24上に塗布するとともに、塗布された感光性の有機材料を露光及び現像してパターンニングことにより形成される。レジスト60は、開口を有している。
【0054】
図7は、第1電解めっき工程S23後におけるベースフィルム10の断面図である。図7に示されるように、第1電解めっき工程S23では、レジスト60の開口から露出しているシード層24上に第1電解めっき層25が形成される。第1電解めっき層25は、シード層24に通電してレジスト60の開口から露出しているシード層24上に電解めっきを行うことにより形成される。
【0055】
図8は、レジスト除去工程S24後におけるベースフィルム10の断面図である。図8に示されるように、レジスト除去工程S24では、シード層24上からレジスト60を剥離することにより、レジスト60が除去される。図9は、シード層除去工程S25後におけるベースフィルム10の断面図である。図9に示されるように、第1電解めっき層25の間から露出しているシード層24が、エッチングにより除去される。エッチングは、例えば、ウエットエッチングである。
【0056】
第2電解めっき工程S26では、第2電解めっき層26が形成される。第2電解めっき層26は、シード層24及び第1電解めっき層25に通電して電解めっきを行うことにより形成される。上記の通電は、めっきリード50(第1めっきリード50a、第2めっきリード50b及び第3めっきリード50c)のシード層24及び第1電解めっき層25を介して行われる。
【0057】
めっきリード50のシード層24及び第1電解めっき層25は、個片化される前のベースフィルム10の端部にある給電端子まで延在している。第2電解めっき工程S26が行われた後には、ベースフィルム10は、切断されて個片化される。そのため、めっきリード50は、個片化後のベースフィルム10の端に達するように延在している。
【0058】
<プリント配線板100の効果>
以下に、プリント配線板100の効果を説明する。
【0059】
給電端子から離れるにしたがって、第2電解めっき工程S26においてシード層24及び第1電解めっき層25に加わる電圧は低くなる。そのため、給電端子から離れた位置では、第2電解めっき層26が形成されにくくなる。すなわち、給電端子から離れた位置では、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線(第1配線20、第2配線30及び第3配線40)の断面積が小さくなり、電気抵抗値が上昇してしまうことがある。
【0060】
しかしながら、プリント配線板100では、めっきリード50(第1めっきリード50a、第2めっきリード50b及び第3めっきリード50c)のシード層24及び第1電解めっき層25を介して、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線(第1配線20、第2配線30及び第3配線40)のシード層24及び第1電解めっき層25に給電が行われる。
【0061】
そのため、給電位置から離れた位置においても、シード層24及び第1電解めっき層25に十分な電圧を供給することができる。その結果、プリント配線板100によると、第2電解めっき層26の厚さ(配線の断面積)を確保すること、ひいては、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線の電気抵抗値の増大を抑制することができる。
【0062】
なお、上記においては、第1主面10a上及び第2主面10b上の双方に配線が配置される例を説明したが、第1主面10a及び第2主面10bの一方のみに配線が配置される場合も、同様の効果を奏する。
【0063】
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態に係るプリント配線板(以下においては、「プリント配線板200」とする)を説明する。ここでは、プリント配線板100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0064】
<プリント配線板200の構成>
以下に、プリント配線板200の構成を説明する。
【0065】
図10は、プリント配線板200の平面図である。図11は、プリント配線板200の底面図である。図12は、図10中のXII-XIIにおける断面図である。図10図11及び図12に示されるように、プリント配線板200は、ベースフィルム10と、めっきリード50とを有している。
【0066】
プリント配線板200は、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線として、第1配線20、第2配線30及び第3配線40に代えて第1配線70、第2配線80及び第3配線90を有している。プリント配線板200は、バイパスリード51をさらに有している。第1配線70、第2配線80、第3配線90及びバイパスリード51は、シード層24、第1電解めっき層25及び第2電解めっき層26を有している。
【0067】
第1配線70は、第1主面10a上に配置されている。第1配線70は、第1端70aと、第2端70bとを有している。第2端70bは、第1端70aの反対側の端である。第1配線70は、ランド71を有している。ランド71は、第1端70aにある。第1配線70は、第1コイル72を有している。第1コイル72は、第1配線70を第1主面10a上において渦巻き状に巻回することにより構成されている。第2端70bは、平面視において、第1コイル72の内側にある。
【0068】
第2配線80は、第1主面10a上に配置されている。第2配線80は、第3端80aと、第4端80bとを有している。第4端80bは、第3端80aの反対側の端である。第2配線80は、ランド81を有している。ランド81は、第3端80aにある。第2配線80(第3端80a及び第4端80b)は、平面視において、第1コイル72の内側にある。
【0069】
第3配線90は、第2主面10b上に配置されている。第3配線90は、第5端90aと、第6端90bとを有している。第6端90bは、第5端90aの反対側の端である。第3配線90は、ランド91と、ランド92とを有している。ランド91は、第5端90aにある。ランド92は、第6端90bにある。第3配線90は、第2コイル93を有している。第2コイル93は、第3配線90を第2主面10b上において渦巻き状に巻回することにより構成されている。第2コイル93は、ベースフィルム10の厚さ方向において、第1コイル72と重なっている。第6端90bは、平面視において、第2コイル93の内側にある。
【0070】
ベースフィルム10には、貫通穴10e及び貫通穴10fが形成されている。貫通穴10e及び貫通穴10fは、厚さ方向に沿ってベースフィルム10を貫通している。貫通穴10eは、平面視においてランド71及びランド91に重なる位置にある。貫通穴10fは、平面視においてランド81及びランド92に重なる位置にある。
【0071】
ランド71及びランド91は、貫通穴10eの内壁面に形成されている導電体(図示せず)により電気的に接続されている。ランド81及びランド92は、貫通穴10fの内壁面に形成されている導電体(図示せず)より電気的に接続されている。これにより、第1配線70、第2配線80及び第3配線90が、ベースフィルム10の主面に配置されている配線として一体化されている。
【0072】
めっきリード50は、第1配線70に接続されている。より具体的には、めっきリード50は、例えば、第1端70aに接続されている。
【0073】
バイパスリード51は、第1主面10a上に配置されている。バイパスリード51は、第1部分51aと、第2部分51bとを有している。第1部分51aは第2端70bに電気的に接続されており、第2部分51bは第4端80bに電気的に接続されている。第1部分51a及び第2部分51bは、互いに分離されている。すなわち、第1配線70の第2端70b側と第2配線80の第4端80b側とは、電気的に接続されていない。
【0074】
なお、図示されていないが、第2端70b及び第4端80bは、プリント配線板200とは別のプリント配線板の主面上に配置されている端子に電気的に接続される。
【0075】
<プリント配線板200の製造方法>
以下に、プリント配線板200の製造方法を説明する。
【0076】
プリント配線板200の製造方法は、準備工程S1と、配線形成工程S2とを有している。プリント配線板200の製造方法における配線形成工程S2では、第1配線70、第2配線80、第3配線90、めっきリード50及びバイパスリード51が形成される。
【0077】
図13は、プリント配線板200の製造方法のシード層除去工程S25後におけるベースフィルム10の平面図である。図13に示されるように、プリント配線板200の製造方法では、シード層除去工程S25の後において、バイパスリード51のシード層24及び第1電解めっき層25が分断されていない。そのため、プリント配線板200の製造方法では、第2電解めっき工程S26が行われることにより、第1部分51aと第2部分51bとに分断されていないバイパスリード51が形成される。分断させずに形成されたバイパスリード51は、第2電解めっき工程S26が行われた後に、第1部分51aと第2部分51bとに分断される。
【0078】
<プリント配線板200の効果>
以下に、プリント配線板200の効果を説明する。
【0079】
上記のとおり、プリント配線板200の製造方法では、シード層除去工程S25の後において、バイパスリード51が分断されていない。そのため、プリント配線板200の製造方法では、シード層除去工程S25の後において、第1配線70と第2配線80及び第3配線90とが、並列接続されていることになる。その結果、第2電解めっき形成工程を行う際の第1端70aと第2端70bとの間の電気抵抗値が低減される。
【0080】
このように、給電位置から離れた位置においてもシード層24及び第1電解めっき層25に十分な電圧を供給することができるため、プリント配線板200によると、第2電解めっき層26の厚さ(配線の断面積)を確保すること、ひいては、ベースフィルム10の主面上に配置されている配線の電気抵抗値の増大を抑制することができる。
【0081】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
10 ベースフィルム、10a 第1主面、10b 第2主面、10c,10d,10e,10f 貫通穴、20 第1配線、20a 第1端、20b 第2端、21 端子、22 ランド、23 第1コイル、24 シード層、25 第1電解めっき層、26 第2電解めっき層、30 第2配線、30a 第3端、30b 第4端、31 端子、32 ランド、33 第2コイル、40 第3配線、40a 第5端、40b 第6端、41 ランド、42 ランド、43 第3コイル、44 第4コイル、50 めっきリード、50a 第1めっきリード、50b 第2めっきリード、50c 第3めっきリード、51 バイパスリード、51a 第1部分、51b 第2部分、60 レジスト、70 第1配線、70a 第1端、70b 第2端、71 ランド、72 第2コイル、80 第2配線、80a 第3端、80b 第4端、81 ランド、90 第3配線、90a 第5端、90b 第6端、91,92 ランド、93 第2コイル、100,200 プリント配線板、P1 第1位置、P2 第2位置、P3 第3位置、S1 準備工程、S2 配線形成工程、S21 シード層形成工程、S22 レジスト形成工程、S23 第1電解めっき工程、S24 レジスト除去工程、S25 シード層除去工程、S26 第2電解めっき工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13