(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】無線アクセスネットワーク装置、無線通信装置、方法及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
H03M 3/02 20060101AFI20241217BHJP
H04B 3/04 20060101ALI20241217BHJP
H04B 10/2575 20130101ALN20241217BHJP
【FI】
H03M3/02
H04B3/04 C
H04B10/2575 120
(21)【出願番号】P 2023542104
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2021030241
(87)【国際公開番号】W WO2023021626
(87)【国際公開日】2023-02-23
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 真明
(72)【発明者】
【氏名】村岡 一志
(72)【発明者】
【氏名】石井 直人
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/083508(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/147530(WO,A1)
【文献】特開2015-050770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 3/02
H04B 3/04
H04B 10/2575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置であって、
伝送経路を介して、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置
から、第2の信号を受信する受信手段であって、前記第2の信号は、前記第2の物理レイヤに関する処理を通じて、第1の信号から変換された信号であり、前記第2の無線アクセスネットワーク装置内でフィードバックされる、受信手段と、
前記第2の信号の伝送に関する情報を取得する取得手段と、
前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する送信手段
であって、前記第1の信号から前記第2の信号への変換は、前記フィードバックされた前記第2の信号及び前記伝送に関する前記情報に基づいている、送信手段と、
を備える第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項2】
前記伝送に関する前記情報は、
前記第2の信号の伝送過程において生成された情報
を含む、請求項1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項3】
前記伝送に関する前記情報は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置から端末装置へ送信されるべき下りリンク信号に関する情報
を更に含む、請求項2に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項4】
前記伝送に関する前記情報は、前記下りリンク信号を周波数変換することにより得られた信号
を更に含む、請求項3に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項5】
前記伝送に関する前記情報は、前記伝送過程において生じた歪みに関する情報を
更に含む、請求項2に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項6】
前記伝送に関する前記情報は、
前記第2の信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値を出力するニューラルネットワークのパラメータ
を含む、請求項1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から送信された指示信号に応じて、前記伝送に関する前記情報の前記送信を制御する、請求項1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項8】
前記送信手段は、前記伝送に関する所定の条件が成立した場合、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する、請求項1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項9】
第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置であって、
第1の信号を第2の信号に変換する変換手段と、
前記第2の信号を前記変換手段にフィードバックするフィードバック手段と、
伝送経路を介して、前記第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置
に、前記第2の信号を送信する送信手段と、
前記第1の無線アクセスネットワーク装置から、前記第2の
信号の伝送に関する情報を受信する受信手段と、
前記伝送に関する前記情報
及び前記フィードバックされた前記第2の信号を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行う処理手段と、
を備える第2の無線アクセスネットワーク装置。
【請求項10】
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置において、
伝送経路を介して、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置
から、第2の信号を受信することであって、前記第2の信号は、前記第2の物理レイヤに関する処理を通じて、第1の信号から変換された信号であり、前記第2の無線アクセスネットワーク装置内でフィードバックされる、受信することと、
前記第2の信号の伝送に関する情報を取得することと、
前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信すること
であって、前記第1の信号から前記第2の信号への変換は、前記フィードバックされた前記第2の信号及び前記伝送に関する前記情報に基づいている、送信することと、
をプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線アクセスネットワーク装置、無線通信装置、方法及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の分野において、トラフィックの増大に対処するために、高速通信を実現するための技術の開発が進んでいる。通常、高速通信を実現するために、無線通信装置は、高速で且つ高精度なDAC(Digital-to-Analog Converter)を備える必要がある。しかし、このような装置の消費電力は大きくなるという課題がある。
【0003】
この課題を解決するために、デルタシグマ変調が使用される場合がある(例えば、特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。デルタシグマ変調は、入力信号としてのアナログ信号を量子化信号(パルス列)に変換する処理である。デルタシグマ変調は、DACの分解能の要求を(場合によっては1ビットまで)下げることができる。これにより、無線通信装置の消費電力を低減させることができる。
【0004】
一方、無線通信装置において、無線アクセスネットワーク装置の複数の機能が物理的に離れた2つの通信装置に分割される構成が知られている。例えば、基地局は、ベースバンドユニット(Base Band Unit:BBU)及びリモートユニット(Remote Unit:RU)に分割される。なお、RUは、RRU(Remote Radio Unit)、RRH(Remote Radio Head)又はRAU(Remote Antenna Unit)と称呼されてもよい。BBUとRUとは通信経路(例えば、光ファイバ)を介して接続される。この構成において、BBUとRUとの間の信号の伝送は、RoF(Radio over Fiber)技術が使用される。
【0005】
近年、デルタシグマ変調及びRoF技術を使用したシステムが検討されている(例えば、非特許文献3を参照)。以降において、このようなシステムにおいては、デルタシグマ変調によって出力されたパルス列が、光ファイバを介してBBUからRUへと送信される。この場合、RUは、パルス列を、例えば、アナログのバンドパスフィルタ(BPF)を通して、デルタシグマ変調の前の元のアナログ信号へと復元する。RUがDACを備える必要がないので、RUの消費電力を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】T. Maehata, S. Kameda, and N. Suematsu, “1- bit feedforward distortion compensation technology for bandpass delta-sigma modulation,” IEICE Trans. Commun., vol.E99-B, no.5, pp.1087-1092, May 2016
【文献】A.Frappe, A.Flament, B.Stefanelli, A.Kaiser, and A.Cathelin, “An all-digital RF signal generator using high-speed SD modulators,” IEEE Journal of Solid-State Circuits, vol.44, no.10, pp.2722-2732, Oct.2009
【文献】H. Li et al., “Real-Time 100-GS/s Sigma-Delta Modulator for All-Digital Radio-over-Fiber Transmission,” J. Lightw. Technol. vol. 38, no. 2, pp. 386-393, Jul. 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、非特許文献1に記載されているように、デルタシグマ変調を用いる構成において、波形に生じる歪みに起因して、スペクトラムリーク(spectrum leakage)という現象が生じることが知られている。ここで、スペクトラムリークとは、所望の周波数帯域の周辺の帯域(即ち、所望の周波数帯域以外の帯域)の信号成分が生じる現象である。スペクトラムリークに起因してRUから出力される信号の品質が低下する。上記の歪みを抑えるためには、2つの通信装置(この例では、BBU及びRU)の間で適切な情報をやり取りすることが求められる。
【0009】
本開示は、2つの通信装置の間の伝送を改善するための情報を送信又は受信する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つ以上の実施形態において、第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置が提供される。前記第1の無線アクセスネットワーク装置は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得する取得部と、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する送信部と、を備える。
【0011】
1つ以上の実施形態において、第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置が提供される。前記第2の無線アクセスネットワーク装置は、前記第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を受信する受信部と、前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行う処理部と、を備える。
【0012】
1つ以上の実施形態において、無線通信装置が提供される。前記無線通信装置は、第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置と、を備える。前記第1の無線アクセスネットワーク装置は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置と前記第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得し、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する。前記第2の無線アクセスネットワーク装置は、前記伝送に関する前記情報を受信し、前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を実行する。
【0013】
1つ以上の実施形態において、第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置における方法が提供される。前記方法は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得することと、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信することと、を含む。
【0014】
1つ以上の実施形態において、第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置における方法が提供される。前記方法は、前記第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を受信することと、前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行うことと、を含む。
【0015】
1つ以上の実施形態において、コンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体が提供される。前記非一時的記録媒体は、第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得することと、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信することと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録している。
【0016】
1つ以上の実施形態において、コンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体が提供される。前記非一時的記録媒体は、第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を受信することと、前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行うことと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録している。
【発明の効果】
【0017】
上記の構成によれば、2つの装置(第1の無線アクセスネットワーク装置及び第2の無線アクセスネットワーク装置)の間の伝送を改善するための情報を送信又は受信することが可能となる。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る無線通信装置の概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るデルタシグマ変調部の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るニューラルネットワーク処理部の構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るニューラルネットワーク学習部の構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る変調部の構成を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る伝送モデルの構築の流れを説明する図である。
【
図7】第1実施形態に係るデルタシグマ変調装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態に係る無線通信装置の具体的構成の一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る第1の装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る第2の装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】変形例に係るデルタシグマ変調部の構成を示す図である。
【
図13】変形例に係る第1のニューラルネットワークの構成を示す図である。
【
図14】変形例に係る第1のニューラルネットワークの構成を示す図である。
【
図15】変形例に係るデルタシグマ変調装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】変形例に係るニューラルネットワーク学習部の構成を示す図である。
【
図17】第2実施形態に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図18】第2実施形態に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図19】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図20】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図21】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図22】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図23】変形例に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図24】変形例に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図25】第3実施形態に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図26】第4実施形態に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図27】第4実施形態に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図28】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図29】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図30】変形例に係る無線通信装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図31】変形例に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図32】変形例に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図33】第5実施形態に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【
図34】第5実施形態に係る第1の無線アクセスネットワーク装置の構成を示す図である。
【
図35】第5実施形態に係る第2の無線アクセスネットワーク装置の構成を示す図である。
【
図36】第5実施形態に係る第1の無線アクセスネットワーク装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図37】第5実施形態に係る第2の無線アクセスネットワーク装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図38】デルタシグマ変調及びRoF技術を使用したシステムの一例である。
【
図39】デルタシグマ変調及びRoF技術を使用したシステムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して1以上の実施形態を説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略される。
【0020】
説明は、以下の順序で行われる。
1.実施形態の概要
2.第1実施形態
2-1.無線通信装置の概略構成
2-2.デルタシグマ変調部の構成
2-3.ニューラルネットワーク処理部の構成
2-4.ニューラルネットワーク学習部の構成の概要
2-5.通信経路の構成
2-6.バンドパスフィルタの構成
2-7.変調部の構成
2-8.ニューラルネットワーク学習部の具体的構成
2-9.デルタシグマ変調装置の処理の流れ
2-10.無線通信装置の具体的構成例
2-11.第1の装置の構成
2-12.第2の装置の構成
2-13.無線通信装置の処理の流れ
2-14.変形例
3.第2実施形態
3-1.無線通信装置の概略構成
3-2.第1の装置の構成
3-3.第2の装置の構成
3-4.無線通信装置の処理の流れの概要
3-5.無線通信装置の処理の流れ
3-6.変形例
4.第3実施形態
4-1.無線通信装置の概略構成
4-2.第1の装置の構成
4-3.第2の装置の構成
5.第4実施形態
5-1.無線通信装置の概略構成
5-2.第1の装置の構成
5-3.第2の装置の構成
5-4.無線通信装置の処理の流れ
5-5.変形例
6.第5実施形態
6-1.無線通信装置の構成
6-2.無線通信装置の処理の流れ
6-3.変形例
【0021】
<<1.実施形態の概要>>
後述される1以上の実施形態の概要を説明する。
【0022】
(1)技術的課題
図38は、デルタシグマ変調及びRoF技術を使用したシステムの一例である。このシステムは、第1の装置3710と、第2の装置3720とを備える。第1の装置3710と第2の装置3720とは光ファイバ3730を介して接続されている。
【0023】
第1の装置3710は、O/E変換部(Optic-Electric converter)3711と、バンドパスフィルタ(BPF)3712と、増幅器3713と、アンテナ3714とを備える。第2の装置3720は、デルタシグマ変調部3721と、E/O変換部(Electric-Optic converter)3722とを備える。
【0024】
入力信号としてのアナログ信号3741は、デルタシグマ変調部3721を通して量子化信号(パルス列)3742に変換される。なお、このデルタシグマ変調部3721は、1入力1出力の一般的な構成であり、量子化信号(パルス列)は、デルタシグマ変調部3721の内部においてフィードバックされる。パルス列3742は、E/O変換部3722を通して光信号に変換される。光信号が、光ファイバ3730上を伝送される。その後、光信号が、O/E変換部3711を通して電気信号3743に変換される。電気信号3743は、BPF3712を通して、デルタシグマ変調の前の元のアナログ信号3745へと変換される。アナログ信号3745は、増幅器3713を用いて増幅される。増幅されたアナログ信号は、アンテナ3714から出力される。
【0025】
図38のシステムにおいては、理想的なデルタシグマ変調が実行される。パルス列3742の伝送過程においてパルス列3742に歪みが生じていない。その結果、スペクトラムリークが生じない。
【0026】
図39は、デルタシグマ変調及びRoF技術を使用したシステムの一例である。このシステムにおいては、パルス列3742の伝送過程において、パルス列3742に歪みが生じる。例えば、光信号が光ファイバ3730を通過する際に歪みが生じる。このような歪みは、「光伝送歪み」と称呼される。パルス列3810は、光伝送歪みが生じた状態を表す。
【0027】
更に、O/E変換部3711とBPF3712との間の電力反射が大きい場合にも、歪みが生じる。このような歪みは、「電気伝送歪み」と称呼される。パルス列3820は、電気伝送歪みが生じた状態を表す。以降において、光伝送歪み及び電気伝送歪みは、まとめて「伝送歪み」と称呼される。
【0028】
伝送歪みは、その結果として、BPF3712を介して出力されるアナログ信号3830の周波数成分に影響を与える。具体的には、上述したスペクトラムリークが生じる。これにより、アナログ信号3830のSN比(signal to noise ratio)が劣化する。このように伝送歪みに起因して信号品質が劣化するという課題がある。
【0029】
上記の課題を解決するために、2つの装置(第1の装置3710及び第2の装置3720)の間の伝送を改善するための適切な情報を送信又は受信する構成が求められる。
【0030】
(2)技術的特徴
1以上の実施形態において、無線通信装置は、第1の無線アクセスネットワーク装置と、第2の無線アクセスネットワーク装置とを備える。第1の無線アクセスネットワーク装置は、第1の物理レイヤに関する処理を行う装置である。第2の無線アクセスネットワーク装置は、第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う装置である。ここで、第1及び第2の物理レイヤは、第1の無線アクセスネットワーク装置と、第2の無線アクセスネットワーク装置とに実装された通信プロトコルをなす複数レイヤのうち、第1層(最下位層)に含まれると捉えてもよい。
【0031】
第1の無線アクセスネットワーク装置は、第1の無線アクセスネットワーク装置と第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得する取得部と、伝送に関する情報を第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する送信部とを備える。
【0032】
第2の無線アクセスネットワーク装置は、伝送に関する情報を受信する受信部と、伝送に関する情報を用いて、第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行う処理部とを備える。
【0033】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の無線アクセスネットワーク装置は、伝送に関する情報を第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信(フィードバック)する。第2の無線アクセスネットワーク装置は、伝送に関する情報を用いて、2つの装置(第1の無線アクセスネットワーク装置及び第2の無線アクセスネットワーク装置)の間の伝送を改善することができる。
【0034】
<<2.第1実施形態>>
続いて、
図1~
図16を参照して、第1実施形態及びその変形例を説明する。
【0035】
<2-1.無線通信装置の概略構成>
図1は、無線通信装置100の概略構成を示す図である。無線通信装置100は、3GPP(Third Generation Partnership Project)の技術仕様に準拠した装置である。具体的には、無線通信装置100は、5G(5th Generation)の技術仕様に準拠した装置であってもよい。当然ながら、無線通信装置100は、この例に限定されない。
【0036】
無線通信装置100は、デルタシグマ変調装置110と、伝送経路120とを備える。無線通信装置100は、デルタシグマ変調装置110によって出力された信号を、伝送経路120を介して無線信号に変換し、当該無線信号を端末装置190へ送信する。
【0037】
デルタシグマ変調装置110は、デルタシグマ変調部111と、ニューラルネットワーク処理部112と、ニューラルネットワーク学習部113とを備える。以降において、ニューラルネットワーク処理部112は、「NN処理部112」と称呼される。ニューラルネットワーク学習部113は、「NN学習部113」と称呼される。
【0038】
伝送経路120は、通信経路130と、送信部140とを備える。通信経路130は、デルタシグマ変調部111と送信部140とを接続する。送信部140は、アンテナ141と、バンドパスフィルタ(BPF)142と、増幅器143と、変調部144とを備える。
【0039】
デルタシグマ変調部111は、外部入力信号としてのアナログ信号に対してデルタシグマ変調を実行して、量子化信号(1ビットパルス列)を出力する。量子化信号は、通信経路130を介してBPF142に送信される。BPF142は、量子化信号に対して、所望の周波数帯域のみを通過させるバンドパス処理(以下、「BPF処理」と称呼する)を実行する。量子化信号は、BPF142を通してアナログ信号へと変換される。即ち、量子化信号は、デルタシグマ変調前の元のアナログ信号へと復元される。増幅器143は、アナログ信号を増幅する。アンテナ141は、当該増幅されたアナログ信号を出力する。このように送信部140は、信号を端末装置190へ向けて送信する機能を有する。
【0040】
なお、上記増幅されたアナログ信号は、変調部144にも出力される。変調部144は、アナログ信号に対して変調処理を実行し、当該変調されたアナログ信号をNN学習部113に出力する。このように、送信部140は、デルタシグマ変調部111によって出力された量子化信号の伝送過程を経て生成された信号をデルタシグマ変調装置110へと送信する(即ち、フィードバックする)機能も有する。
【0041】
以降において、デルタシグマ変調部111に入力されるアナログ信号は、「第1の信号」と称呼される。更に、デルタシグマ変調部111によって出力される量子化信号は、「第2の信号」と称呼される。更に、第2の信号の伝送過程を経て生成された信号であって、NN学習部113へフィードバックされる信号は、「第3の信号」と称呼される。他の言い方をすれば、第3の信号は、第2の信号が伝送経路120上を伝送される過程において生成された信号である。第3の信号は、伝送経路120において生じた伝送歪みについての情報を含み得る。従って、第3の信号は、伝送経路120において生じた伝送歪みについての情報をフィードバックするために使用される。
【0042】
NN処理部112は、所定のパラメータに従って動作する第1のニューラルネットワーク300を含む(
図3を参照)。以降において、第1のニューラルネットワーク300は、「第1のNN300」と称呼される。第1のNN300のパラメータは、「第1のパラメータ」と称呼される。
【0043】
NN学習部113は、第2の信号と第3の信号とを入力信号として受け取る。NN学習部113は、第2の信号と、第3の信号とを用いて、第1のパラメータを計算する。NN学習部113は、当該計算された第1のパラメータをNN処理部112へ送信する。
【0044】
NN処理部112は、NN学習部113から第1のパラメータを受け取る。NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、上記受け取った第1のパラメータ(即ち、NN学習部113によって計算された第1のパラメータ)に更新する。
【0045】
NN処理部112は、第2の信号を入力信号として受け取る。NN処理部112は、第2の信号を用いて、第1のNN300を通して、第2の信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値(アナログ信号)を出力する。以降において、この近似値は、「第4の信号」と称呼される。NN処理部112は、第4の信号を用いて、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みについての情報をデルタシグマ変調部111へフィードバックすることができる。
【0046】
デルタシグマ変調部111は、第1の信号と第4の信号とを入力信号として受け取る。デルタシグマ変調部111は、第4の信号を用いて、第1の信号に対してデルタシグマ変調を実行して、第2の信号を出力する。
【0047】
一般的には、
図38において説明した1入力1出力の構成(即ち、量子化信号がその内部で直接フィードバックされるデルタシグマ変調部3721)が、デルタシグマ変調と称呼される。これに対し、本開示の1以上の実施形態では、第2の信号が第4の信号として直接フィードバックされず、第2の信号と第4の信号とは、NN処理部112をそれらの間に介在させることにより分離される。デルタシグマ変調部111は、第1の信号と第4の信号の2つを入力信号として受け取って第2の信号を出力する構成、即ち、2入力1出力の構成である。本開示の1以上の実施形態では、便宜上、このような2入力1出力の構成が、デルタシグマ変調と定義される。NN処理部112は、フィードバック機能を担う。1以上の実施形態は、NN処理部112内の第1のパラメータがNN学習部113によって更新される点に特徴がある。
【0048】
<2-2.デルタシグマ変調部の構成>
デルタシグマ変調部111を実装するデバイスのタイプとして、バンドパスタイプ(非特許文献1を参照)及びローパスタイプ(非特許文献2を参照)の2種類が存在する。本例のデルタシグマ変調部111は、バンドパスタイプのデバイスであり、非特許文献1を参考に実装されている。
【0049】
図2は、デルタシグマ変調部111の構成の一例を示す図である。デルタシグマ変調部111は、アップコンバータ210と、ループフィルタ220と、量子化器230とを備える。
【0050】
第1の信号は、ベースバンド信号であり、同相成分信号(以下、「I信号」と称呼する)と、直交成分信号(以下、「Q信号」と称呼する)とを含む。
【0051】
アップコンバータ210は、2入力1出力の構成要素である。アップコンバータ210は、I信号とQ信号とを、入力信号として受け取る。アップコンバータ210は、第1の信号(I信号及びQ信号)を所望の周波数(ターゲットの周波数)f0にアップコンバートする。
【0052】
アップコンバータ210は、第1の乗算器211aと、第2の乗算器211bと、加算器212とを備える。第1の乗算器211aは、I信号に対してcosωtを乗算して、乗算結果を加算器212に出力する。第2の乗算器211bは、Q信号に対して-sinωtを乗算して、乗算結果を加算器212に出力する。ここで、「cos()」は、余弦関数であり、「sin()」は、正弦関数である(以下、同じ)。更に、ω=2×π×f0である。
【0053】
加算器212は、第1の乗算器211aの乗算結果と第2の乗算器211bの乗算結果とを加算して、加算結果を出力する。
【0054】
ループフィルタ220は、2入力1出力の要素である。ループフィルタ220は、アップコンバータ210の出力と第4の信号とを、入力信号として受け取る。ループフィルタ220は、入力信号のうちのフィードバック成分(即ち、第4の信号)に含まれる伝送歪みを抑制するための処理を実行する。
【0055】
ループフィルタ220は、第1の加算器221aと、第2の加算器221bと、伝達関数処理部222とを備える。
【0056】
第1の加算器221aは、アップコンバータ210の出力(加算器212の出力)と第4の信号とを加算し、加算結果を伝達関数処理部222に出力する。ここで、第1の加算器221aの出力は、アップコンバータ210の出力と第4の信号との差分である。他の言い方をすれば、第1の加算器221aの出力は、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの成分を含み得る。
【0057】
伝達関数処理部222は、第1の加算器221aの出力に対して伝達関数を適用して、第2の信号の伝送過程(伝送経路120)において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制する(又はキャンセルする)ための成分を出力する。伝達関数は、本例におけるデルタシグマ変調の特性を決定する関数であり、所望の信号伝達関数及び雑音伝達関数等に基づいて決定される。
【0058】
第2の加算器221bは、アップコンバータ210の出力と、伝達関数処理部222の出力とを加算し、加算結果を量子化器230に出力する。
【0059】
このように、ループフィルタ220は、アップコンバータ210の出力と第4の信号とを用いて、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための成分を含む信号(アナログ信号)を出力する。
【0060】
量子化器230は、1ビット量子化器である。量子化器230は、ループフィルタ220の出力(第2の加算器221bの出力)を1ビットで量子化して、第2の信号(1ビットパルス列)を出力する。
【0061】
このように、デルタシグマ変調部111は、第4の信号を用いて、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための成分を計算し、当該成分を第2の信号に反映させる。
【0062】
他の例において、ループフィルタ220において、第2の加算器221bが省略されてもよい。この場合、伝達関数処理部222の出力が、量子化器230に入力される。伝達関数処理部222の出力は、アップコンバータ210の出力と、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための成分とを含む。
【0063】
<2-3.ニューラルネットワーク処理部の構成>
図3は、NN処理部112の構成の一例を示す図である。NN処理部112は、第1のNN300を含む。第1のNN300は、第2の信号を入力信号として受け取り、第4の信号を出力する。
【0064】
本例において、第4の信号は、第2の信号が伝送経路120の一部を通過する過程において生成される信号の近似値(推定値)である。より具体的には、第4の信号は、第2の信号が、通信経路130、BPF142及び増幅器143を通過する過程において生成される信号の近似値(推定値)である。他の言い方をすれば、第4の信号は、アンテナ141から出力される無線信号の近似値(推定値)である。
【0065】
従って、第4の信号は、第2の信号の伝送過程を経て生じる伝送歪みの少なくとも一部の近似値を含む。具体的には、第4の信号は、第2の信号が、通信経路130、BPF142及び増幅器143を通過する過程において生じる伝送歪みの少なくとも一部の近似値を含む。
【0066】
第1のNN300は、第1のパラメータに従って動作する。第1のパラメータは、例えば、重み及びバイアスを含む。例えば、以下の式(1)の関数fが、ニューラルネットワークにおける活性化関数であるとすると、xが入力であり、wが重みであり、bがバイアスである。
f(wx+b) ・・・(1)
【0067】
第1のNN300は、入力層310と、中間層320と、出力層330とを備える。中間層320は1層である。
【0068】
入力層310は、第2の信号の現在の値が入力されるノード310aを含む。更に、入力層310は、第2の信号の過去の値が入力されるノード310bを更に含む。なお、「D」は、遅延を表す。出力層330は、活性化関数を持たない線形層である。第1のパラメータは、中間層320に反映される。出力層330は、中間層320の複数のノードの出力の総和を第4の信号として出力する。
【0069】
第1のNN300の構成は、
図3の構成に限定されない。一般的に使われている各種のニューラルネットワークが本実施形態に適用されてもよい。例えば、第1のNN300の中間層320は、複数層を有してもよい。即ち、第1のNN300として、多層のニューラルネットワークが採用されてもよい。
【0070】
NN処理部112は、NN学習部113から第1のパラメータを受け取る。NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、上記受け取った第1のパラメータに更新する。即ち、NN処理部112は、第1のパラメータを、伝送経路120の状態に応じて更新する。従って、NN処理部112は、伝送経路120の現在の状態において生じる伝送歪みの少なくとも一部を第4の信号に反映させることができる。
【0071】
<2-4.ニューラルネットワーク学習部の構成の概要>
図4は、NN学習部113の構成の一例を示す図である。NN学習部113は、伝送モデル410と、誤差計算部420と、パラメータ計算部430とを備える。
【0072】
伝送モデル410は、第2の信号の伝送過程の少なくとも一部をモデル化した構成要素である。本例において、伝送モデル410は、伝送経路120をモデル化した構成要素である。伝送モデル410は、第2の信号を用いて、第3の信号の近似値(推定値)を出力する。
【0073】
伝送モデル410は、所定のパラメータに従って動作する第2のニューラルネットワーク600を含む(
図6を参照)。以降において、第2のニューラルネットワーク600は、「第2のNN600」と称呼される。第2のNN600のパラメータは、「第2のパラメータ」と称呼される。第2のパラメータは、第1のパラメータと同様に、重み及びバイアスを含む。
【0074】
誤差計算部420は、伝送モデル410の出力(第3の信号の近似値)と第3の信号(本例では、変調部144の出力)とを、入力信号として受け取る。誤差計算部420は、伝送モデル410の出力と、第3の信号との間の誤差(差分)を計算する。以降において、当該誤差は、「近似誤差」と称呼される。誤差計算部420は、近似誤差をパラメータ計算部430に出力する。
【0075】
パラメータ計算部430は、近似誤差を用いて、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。パラメータ計算部430は、当該計算された第1のパラメータを、NN処理部112へ送信する。更に、パラメータ計算部430は、第2のNN600の第2のパラメータを、当該計算された第2のパラメータに更新する。
【0076】
このように、NN学習部113は、第2の信号と第3の信号とを用いて、伝送経路120の現在の状態を学習する。即ち、NN学習部113は、伝送経路120の現在の状態に応じて第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。NN学習部113は、伝送経路120の現在の状態において生じる伝送歪みの少なくとも一部を第1のNN300及び第2のNN600に反映させることができる。
【0077】
<2-5.通信経路の構成>
通信経路130は、電気信号を伝送する電気伝送線(例えば、金属線)と、光信号を伝送する光伝送線(例えば、光ファイバ)との一方又は両方を含む。
【0078】
なお、通信経路130は、電気信号を光信号に変換するE/O変換部、光信号を電気信号に変換するO/E変換部、バンドパスフィルタ、及び、周波数変換部等の1つ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0079】
<2-6.バンドパスフィルタの構成>
BPF142は、通信経路130の出力に対してBPF処理を実行する。ここで、所望の周波数帯域は、f0-fαからf0+fαまでの帯域である。fαは、任意の周波数である。
【0080】
BPF142は、アナログ素子によって構成されてもよい。BPF142は、LCフィルタ又はRLCフィルタであってもよい。LCフィルタは、インダクタ(L)及びキャパシタ(C)の組合せに基づいて構成されるフィルタである。RLCフィルタは、抵抗器(R)、インダクタ(L)及びキャパシタ(C)の組合せに基づいて構成されるフィルタである。
【0081】
<2-7.変調部の構成>
図5は、変調部144の構成の一例を示す図である。変調部144は、増幅器143の出力をダイレクトコンバージョン方式によってダウンコンバートして、ダウンコンバートされた信号を第3の信号として出力する。
【0082】
変調部144は、第1の変調部500aと、第2の変調部500bとを備える。
【0083】
第1の変調部500aは、第1の乗算器510aと、第1のローパスフィルタ(LPF)520aと、第1のA/Dコンバータ(ADC)530aとを備える。
【0084】
第1の乗算器510aは、増幅器143の出力に対してcosωtを乗算して、乗算結果を第1のLPF520aに出力する。ここで、ω=2×π×f0である。第1のLPF520aは、第1の乗算器510aの出力に対してローパスフィルタ処理を実行して、実行結果を第1のADC530aに出力する。第1のADC530aは、第1のLPF520aの出力をデジタル信号に変換し、これにより、デジタルのI信号を出力する。
【0085】
第2の変調部500bは、第2の乗算器510bと、第2のローパスフィルタ(LPF)520bと、第2のA/Dコンバータ(ADC)530bとを備える。
【0086】
第2の乗算器510bは、増幅器143の出力に対して-sinωtを乗算して、乗算結果を第2のLPF520bに出力する。第2のLPF520bは、第2の乗算器510bの出力に対してローパスフィルタ処理を実行して、実行結果を第2のADC530bに出力する。第2のADC530bは、第2のLPF520bの出力をデジタル信号に変換し、これにより、デジタルのQ信号を出力する。
【0087】
従って、第3の信号は、デジタルのI信号と、デジタルのQ信号とを含む。第3の信号は、NN学習部113に入力される。
【0088】
<2-8.ニューラルネットワーク学習部の具体的構成>
次に、NN学習部113の具体的構成について説明する。まず、伝送モデル410の構成について説明する。
図6は、伝送モデル410の構築の流れの一例である。
【0089】
図6の上段に示すように、伝送経路120は、通信経路130と、BPF142と、増幅器143と、変調部144とを含む。ここで、増幅器143が強い非線形性を有しておらず、即ち、増幅器143が強い線形性を有していると仮定する。BPF142も線形性を有しているので、
図6の中段に示すように、BPF142の位置と増幅器143の位置とを入れ替えることができる。即ち、上段の伝送経路120の構成は、中段の伝送経路120’によって近似することができる。これにより、通信経路130及び増幅器143をまとめてモデル化することができる。
【0090】
通信経路130及び増幅器143は、まとめて、第2のNN600によってモデル化される。第2のNN600は、第2の信号の伝送過程の一部を経て生成される信号の近似値(推定値)を出力する。具体的には、第2のNN600は、第2の信号が通信経路130及び増幅器143を通過する過程において生成される信号の近似値を出力する。
【0091】
BPF142は、デジタルフィルタ610によってモデル化される。デジタルフィルタ610は、例えば、FIR(Finite impulse response)であってもよい。
【0092】
変調部144は、デジタルダウンコンバータ620によってモデル化される。デジタルダウンコンバータ620は、変調部144と同じ機能/性質を有する。従って、デジタルダウンコンバータ620は、デジタルフィルタ610の出力をダウンコンバートして、デジタルのI信号及びデジタルのQ信号を出力する。
【0093】
次に、誤差計算部420によって計算される近似誤差について説明する。近似誤差は、第3の信号の近似値(伝送モデル410の出力)と、実際の第3の信号(変調部144の出力)との間の誤差を表す。
【0094】
無線通信装置100が起動された時点にて、伝送経路120において生じる伝送歪みの情報が第2のNN600に反映されていないので、伝送モデル410は、第2の信号をそのまま出力する。一方で、実際の第3の信号は、第2の信号の伝送過程において生じた伝送歪みを含む。伝送歪みの大きさ(以下、「歪み量」と称呼する)が大きくなると、近似誤差が大きくなる。近似誤差が大きい場合、これは、伝送経路120において現在生じている伝送歪みについての情報が第1のNN300及び第2のNN600に反映できておらず、従って、伝送歪みが抑制できていないことを意味する。一方で、伝送経路120において生じる伝送歪みの情報が第2のNN600に反映された後であっても、歪み量は、時間の経過に従って変化する。従って、近似誤差が大きい場合、これは、伝送モデル410の出力に含まれる歪み量と、実際の第3の信号に含まれる歪み量との間の差(誤差)が大きいことも意味する。従って、近似誤差は、第2の信号の伝送過程において生じた歪み量に関連した値である。
【0095】
近似誤差が小さい場合、これは、伝送モデル410の出力が実際の第3の信号に近いことを意味する。即ち、これは、伝送経路120において現在生じている伝送歪みについての情報が第1のNN300及び第2のNN600に反映できており、従って、伝送歪みが抑制できていることを意味する。
【0096】
誤差計算部420は、伝送モデル410によって出力されたI信号と、第3の信号に含まれるI信号との間の差分である第1の差分を計算する。I信号は実数成分であるので、第1の差分は実数成分である。更に、誤差計算部420は、伝送モデル410によって出力されたQ信号と、第3の信号に含まれるQ信号との間の差分である第2の差分を計算する。Q信号は虚数成分であるので、第2の差分は虚数成分である。
【0097】
誤差計算部420は、第1の差分と第2の差分とに基づいて近似誤差を計算する。例えば、近似誤差は、実数成分である第1の差分と、虚数成分である第2の差分とによって表現される複素数であってもよい。他の例によれば、近似誤差は、第1の差分の絶対値と第2の差分の絶対値とのうちの大きい方であってもよい。近似誤差は、伝送モデル410の出力と実際の第3の信号との間の誤差を表す限り、公知の計算方法の一つによって計算されてもよい。
【0098】
パラメータ計算部430は、近似誤差と伝送モデル410の内部パラメータとを用いて、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。伝送モデル410の内部パラメータは、第2のNN600の第2のパラメータ、及び、第2のNN600内の少なくとも1つのノードの出力値を含んでもよい。他の例において、伝送モデル410の内部パラメータは、デジタルフィルタ610のフィルタ係数と、デジタルダウンコンバータ620におけるsin波及びcos波とを更に含んでもよい。パラメータ計算部430は、近似誤差が小さくなるように、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。例えば、パラメータ計算部430は、第1の差分の絶対値及び第2の差分の絶対値の少なくとも一方が小さくなるように、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。
【0099】
<2-9.デルタシグマ変調装置の処理の流れ>
次に、
図7を参照して、デルタシグマ変調装置110の処理の流れを説明する。
図7は、デルタシグマ変調装置110の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0100】
無線通信装置100が起動される(又は無線通信装置100がリセットされる)と、デルタシグマ変調部111は、外部入力信号としての第1の信号に対してデルタシグマ変調を実行して、第2の信号を出力する(701)。
【0101】
NN学習部113は、第2の信号と第3の信号とを用いて、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(702)。NN学習部113は、上記計算された第1のパラメータをNN処理部112へ送信する。
【0102】
NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、NN学習部113によって計算された第1のパラメータに更新する。更に、NN学習部113は、伝送モデル410における第2のNN600の第2のパラメータを、上記計算された第2のパラメータに更新する(703)。
【0103】
NN処理部112は、第2の信号を用いて、第1のNN300を通して、第4の信号を出力する(704)。
【0104】
デルタシグマ変調部111は、第4の信号を用いて、第1の信号に対してデルタシグマ変調を実行して、第2の信号を出力する(705)。
【0105】
その後、ステップ702~ステップ705の処理が繰り返し実行される。
【0106】
上記構成は以下の効果を奏する。デルタシグマ変調装置110は、第2の信号の伝送過程(伝送経路120)において生じた伝送歪みに関する情報を、フィードバックされる第3の信号として受け取る。デルタシグマ変調装置110は、第2の信号と第3の信号とを用いて近似誤差を計算し、当該近似誤差を用いて第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。デルタシグマ変調装置110は、第1のNN300の第1のパラメータを上記計算された第1のパラメータに更新するとともに、第2のNN600の第2のパラメータを上記計算された第2のパラメータに更新する。これにより、伝送経路120において生じる伝送歪みの情報が第1のNN300及び第2のNN600に反映される。デルタシグマ変調装置110は、第4の信号(第1のNN300の出力)を用いて、第1の信号に対してデルタシグマ変調を実行する。これにより、デルタシグマ変調装置110は、ターゲットの周波数f0の信号成分を通過させて、周波数f0の近傍の雑音を帯域外に移行させるノイズシェーピングを行うことができる。
【0107】
デルタシグマ変調装置110は、上述したようなフィードバック処理によって、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みを抑えることができる。従って、デルタシグマ変調装置110は、スペクトラムリークを抑えることができる。デルタシグマ変調装置110は、高品質な信号の伝送を行うことができる。
【0108】
<2-10.無線通信装置の具体的構成例>
次に、
図8~
図10を参照して、無線通信装置の具体的構成について説明する。
図8は、無線通信装置800の具体的構成の一例である。既に説明された構成要素については、同一の符号を付することにより詳細な説明が省略される。
【0109】
無線通信装置800は、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)のノードである。本例において、無線通信装置800は、基地局である。無線通信装置800は、カバレッジエリア内に位置する端末装置190との無線通信を行う。
【0110】
無線通信装置800は、複数の装置(又は複数のノード)を含む。具体的には、無線通信装置800は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。第1の装置810は、無線アクセスネットワークのノードであり、「第1の無線アクセスネットワーク装置」と称呼される場合がある。第2の装置820は、無線アクセスネットワークのノードであり、「第2の無線アクセスネットワーク装置」と称呼される場合がある。
【0111】
第1の装置810は、第1の物理レイヤに関する処理を行う。本例において、第1の物理レイヤに関する処理は、BPF処理及び増幅処理を含む。
【0112】
第2の装置820は、第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う。本例において、第2の物理レイヤに関する処理は、デルタシグマ変調を含む。なお、第1及び第2の物理レイヤは、第1の装置810と、第2の装置820とに実装された通信プロトコルをなす複数レイヤのうち、第1層(最下位層)に含まれると捉えてもよい。
【0113】
第1の装置810と第2の装置820とは、第1の通信経路131を介して接続されている。第2の装置820は、第2の信号を第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。
【0114】
第1の装置810と第2の装置820とは、第2の通信経路132を介して接続されている。第1の装置810は、第1の装置810と第2の装置820との間の伝送に関する情報を第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する。以降において、上記伝送に関する情報は、「伝送関連情報」と称呼される。
【0115】
本例において、伝送関連情報は、第2の装置820から第1の装置810へと送信される第2の信号の伝送に関する情報である。具体的には、伝送関連情報は、第2の信号の伝送過程において生成された第3の信号(即ち、変調部144の出力)である。第3の信号は、第2の信号の伝送過程において生じた伝送歪みに関する情報を含む。
【0116】
<2-11.第1の装置の構成>
第1の装置810は、アンテナ141と、BPF142と、増幅器143と、変調部144と、情報送信部145とを備える。情報送信部145は、第2の通信経路132を介した第2の装置820との通信を制御する。具体的には、情報送信部145は、伝送関連情報の送信を制御する。
【0117】
図9は、第1の装置810のハードウェア構成の一例を示す図である。第1の装置810は、通信インタフェース910と、記憶部920と、処理部930とを備える。
【0118】
通信インタフェース910は、他の装置との通信のためのインタフェースである。通信インタフェース910は、無線通信のためのアンテナ141を含む。更に、通信インタフェース910は、第1の通信経路131を介して第2の装置820と通信するための接続端子及び接続回路等を含む。通信インタフェース910は、第2の通信経路132を介して第2の装置820と通信するための接続端子及び接続回路等を含む。
【0119】
記憶部920は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含んでよい。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)のうちの1つ以上を含んでよい。不揮発性メモリは、第1の装置810の1つ以上の機能を実現するためのプログラムコード(インストラクション)を記憶する。
【0120】
処理部930は、1つ以上のプロセッサを含む。当該1つ以上のプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及びマイクロコントローラのうちの1つ以上を含んでよい。処理部930は、記憶部920に記憶されたプログラムコード(インストラクション)を実行することにより、第1の装置810の1つ以上の機能を実現する。
【0121】
処理部930は、1つ以上のアナログ素子及び/又はアナログ回路を含んでもよい。処理部930は、1つ以上のアナログ素子及び/又はアナログ回路を用いて、第1の装置810の1つ以上の機能を実現してもよい。なお、本明細書において、「A及び/又はB」という表現は、「A又はB」、又は、「A及びB」と解釈されるべきである。
【0122】
<2-12.第2の装置の構成>
第2の装置820は、デルタシグマ変調部111と、NN処理部112と、NN学習部113とを備える。
【0123】
図10は、第2の装置820のハードウェア構成の一例を示す図である。第2の装置820は、通信インタフェース1010と、記憶部1020と、処理部1030とを備える。
【0124】
通信インタフェース1010は、他の装置との通信のためのインタフェースである。通信インタフェース1010は、第1の通信経路131を介して第1の装置810と通信するための接続端子及び接続回路等を含む。通信インタフェース1010は、第2の通信経路132を介して第1の装置810と通信するための接続端子及び接続回路等を含む。
【0125】
なお、通信インタフェース1010は、コアネットワークのノード(図示省略)と通信するための接続端子及び接続回路等を含んでもよい。更に、通信インタフェース1010は、第1の装置810と無線通信するためのアンテナを含んでもよい。
【0126】
記憶部1020は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む。揮発性メモリは、例えば、RAMを含んでよい。不揮発性メモリは、例えば、ROM、HDD及びSSDのうちの1つ以上を含んでよい。不揮発性メモリは、第2の装置820の1つ以上の機能を実現するためのプログラムコード(インストラクション)を記憶する。
【0127】
処理部1030は、1つ以上のプロセッサを含む。当該1つ以上のプロセッサは、例えば、CPU、MPU及びマイクロコントローラのうちの1つ以上を含んでよい。処理部1030は、記憶部1020に記憶されたプログラムコード(インストラクション)を実行することにより、第2の装置820の1つ以上の機能を実現する。
【0128】
処理部1030は、1つ以上のアナログ素子及び/又はアナログ回路を含んでもよい。処理部1030は、1つ以上のアナログ素子及び/又はアナログ回路を用いて、第2の装置820の1つ以上の機能を実現してもよい。
【0129】
<2-13.無線通信装置の処理の流れ>
次に、
図11を参照して、無線通信装置800の処理の流れを説明する。
図11は、無線通信装置800の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0130】
第2の装置820は、
図7のステップ701の処理を実行する(1101)。従って、第2の装置820は、第2の信号を第1の装置810へ送信する。
【0131】
第1の装置810は、第2の信号を受信する。その後、第1の装置810(本例では、情報送信部145)は、伝送関連情報(本例では、第3の信号)を第2の装置820へ送信する(1102)。
【0132】
第2の装置820は、伝送関連情報を受信し、
図7のステップ702~ステップ704の処理を実行する(1103)。
【0133】
第2の装置820は、
図7のステップ705の処理を実行する(1104)。従って、第2の装置820は、第2の信号を第1の装置810へ送信する。その後、ステップ1102~ステップ1104の処理が繰り返し実行される。
【0134】
なお、第1の装置810の情報送信部145は、予め決定されたルールに従って、伝送関連情報を第2の装置820に送信してもよい。情報送信部145は、周期的に(即ち、所定の時間間隔で)伝送関連情報を第2の装置820に送信してもよい。情報送信部145は、非周期的に伝送関連情報を第2の装置820に送信してもよい。
【0135】
上記構成は以下の効果を奏する。第1の装置810は、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックすることができる。第2の装置820は、伝送関連情報を受信して、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みに対する適切な処理を実行することができる。例えば、第2の装置820は、伝送関連情報を用いて第1のNN300の第1のパラメータを更新する。これにより、第2の装置820は、伝送歪みを抑える成分を含む第2の信号を第1の装置810へ送信することができる。従って、2つの装置(第1の装置810及び第2の装置820)の間の伝送を改善することができる。
【0136】
<2-14.変形例>
本開示に係る技術は、上述した実施形態には限定されない。
【0137】
(1)第1変形例
デルタシグマ変調部111は、ローパスタイプのデバイスであってもよい。
図12は、デルタシグマ変調部111の構成の一例を示す図である。以降において、第1の信号に含まれるI信号は、「第1のI信号」と称呼される。第1の信号に含まれるQ信号は、「第1のQ信号」と称呼される。
【0138】
デルタシグマ変調部111は、ダウンコンバータ1210と、第1のループフィルタ1220と、第2のループフィルタ1230と、第1の量子化器1240と、第2の量子化器1250と、アップコンバータ1260とを備える。
【0139】
ダウンコンバータ1210は、第1の乗算器1211aと、第2の乗算器1211bとを備える。
【0140】
第1の乗算器1211aは、第4の信号に対してcosωtを乗算して、第4の信号のI成分を生成する。ここで、ω=2×π×f0である。以降において、第4の信号から生成されたI成分は、「第2のI信号」と称呼される。第1の乗算器1211aは、第2のI信号を第1のループフィルタ1220に出力する。
【0141】
第2の乗算器1211bは、第4の信号に対して-sinωtを乗算して、第4の信号のQ成分を生成する。以降において、第4の信号から生成されたQ成分は、「第2のQ信号」と称呼される。第2の乗算器1211bは、第2のQ信号を第2のループフィルタ1230に出力する。
【0142】
このように、ダウンコンバータ1210は、第4の信号を第2のI信号及び第2のQ信号へとダウンコンバートする。
【0143】
なお、信号のサンプリングレートをターゲットの周波数f0の1/4倍、即ち、f0/4と設定した場合、cosωtの信号例は、[1,0,-1,0,1,…]となり、-sinωtの信号列は、[0,-1,0,1,0,…]となる。ここでの記号「/」は、除算を表す。これにより、上述した乗算処理が簡素化される。本変形例は、このような処理を含んでもよい。
【0144】
第1のループフィルタ1220は、フィードバック成分(即ち、第2のI信号)に含まれる伝送歪みを抑制するための処理を実行する。具体的には、第1のループフィルタ1220は、第1のI信号と第2のI信号とを用いて、第2の信号の伝送過程(即ち、伝送経路120)において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための第1の成分を含む信号を出力する。
【0145】
第1のループフィルタ1220は、第1の加算器1221aと、第2の加算器1221bと、伝達関数処理部1222とを備える。
【0146】
第1の加算器1221aは、第1のI信号と、第2のI信号とを加算する。第1の加算器1221aは、加算結果を伝達関数処理部1222に出力する。ここで、第1の加算器1221aの出力は、第1のI信号と第2のI信号との差分である。他の言い方をすれば、第1の加算器1221aの出力は、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの成分の一部を含む。
【0147】
伝達関数処理部1222は、第1の加算器1221aの出力に対して伝達関数を適用して、伝送経路120において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための第1の成分を出力する。伝達関数は、本例におけるデルタシグマ変調の特性を決定する関数であり、所望の信号伝達関数及び雑音伝達関数等に基づいて決定される。
【0148】
第2の加算器1221bは、第1のI信号と伝達関数処理部1222の出力とを加算し、加算結果を第1の量子化器1240に出力する。
【0149】
第1の量子化器1240は、1ビット量子化器である。第1の量子化器1240は、第2の加算器1221bの出力を1ビットで量子化し、第1の量子化信号をアップコンバータ1260に出力する。
【0150】
第2のループフィルタ1230は、フィードバック成分(即ち、第2のQ信号)に含まれる伝送歪みを抑制するための処理を実行する。具体的には、第2のループフィルタ1230は、第1のQ信号と第2のQ信号とを用いて、第2の信号の伝送過程(即ち、伝送経路120)において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための第2の成分を含む信号を出力する。
【0151】
第2のループフィルタ1230は、第1の加算器1231aと、第2の加算器1231bと、伝達関数処理部1232とを備える。
【0152】
第1の加算器1231aは、第1のQ信号と、第2のQ信号とを加算する。第1の加算器1231aは、加算結果を伝達関数処理部1232に出力する。ここで、第1の加算器1231aの出力は、第1のQ信号と第2のQ信号との差分である。他の言い方をすれば、第1の加算器1231aの出力は、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの成分の一部を含む。
【0153】
伝達関数処理部1232は、第1の加算器1231aの出力に対して伝達関数を適用して、伝送経路120において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制するための第2の成分を出力する。伝達関数は、本例におけるデルタシグマ変調の特性を決定する関数であり、所望の信号伝達関数及び雑音伝達関数に基づいて決定される。
【0154】
第2の加算器1231bは、第1のQ信号と、伝達関数処理部1232の出力とを加算し、加算結果を第2の量子化器1250に出力する。
【0155】
第2の量子化器1250は、1ビット量子化器である。第2の量子化器1250は、第2の加算器1231bの出力を1ビットで量子化し、第2の量子化信号をアップコンバータ1260に出力する。
【0156】
アップコンバータ1260は、2入力1出力の構成要素である。アップコンバータ1260は、第1の乗算器1261aと、第2の乗算器1261bと、加算器1262とを備える。
【0157】
第1の乗算器1261aは、第1の量子化信号に対してcosωtを乗算して、乗算結果を加算器1262に出力する。
【0158】
第2の乗算器1261bは、第2の量子化信号に対して-sinωtを乗算して、乗算結果を加算器1262に出力する。
【0159】
加算器1262は、第1の乗算器1261aの出力と第2の乗算器1261bの出力とを加算して、第2の信号を出力する。このように、アップコンバータ1260は、第1の量子化信号と第2の量子化信号とをアップコンバートして、第2の信号を出力する。
【0160】
なお、信号のサンプリングレートを所望の周波数f0の1/4倍、即ち、f0/4と設定した場合、cosωtの信号例は、[1,0,-1,0,1,…]となり、-sinωtの信号列は、[0,-1,0,1,0,…]となる。ここでの記号「/」は、除算を表す。これにより、上記の乗算処理が簡素化される。更に、第1の量子化器1240の出力及び第2の量子化器1250の出力が二値化された信号例である(即ち、1又は-1の何れかである)ので、加算器1262の出力もまた、二値化された信号例である。アップコンバータ1260の処理によって信号の量子化が損われない。本変形例は、このような処理を含んでもよい。
【0161】
上記構成は以下の効果を奏する。第4の信号(第1のNN300の出力)が、ダウンコンバータ1210を介して第1のループフィルタ1220及び第2のループフィルタ1230にフィードバックされる。これにより、デルタシグマ変調部111は、ターゲットの周波数f0の信号成分を通過させて、周波数f0の近傍の雑音を帯域外に移行させるノイズシェーピングを行うことができる。
【0162】
なお、第1のループフィルタ1220において、第2の加算器1221bが省略されてもよい。この場合、伝達関数処理部1222の出力が、第1の量子化器1240に入力される。伝達関数処理部1222における伝達関数は、伝達関数処理部1222の出力が第1のI信号と上記の第1の成分とを含むように、設定される。
【0163】
第2のループフィルタ1230において、第2の加算器1231bが省略されてもよい。この場合、伝達関数処理部1232の出力が、第2の量子化器1250に入力される。伝達関数処理部1232における伝達関数は、伝達関数処理部1232の出力が第1のQ信号と上記の第2の成分とを含むように、設定される。
【0164】
(2)第2変形例
第1のNN300は、伝送経路120の一部を経て生成される信号の近似値を出力するように構成されてもよい。一例として、第1のNN300は、第2の信号が通信経路130を通過する過程を経て生成される信号の近似値を出力する。この構成によれば、伝送経路120において生じる伝送歪みの少なくとも一部を抑制することができる。
【0165】
(3)第3変形例
第1のNN300は、上記の例に限定されない。
図13は、第1のNN300の構成の一例を示す図である。
【0166】
入力層310は、入力層310内の2つのノードの論理演算の結果が入力されるノード310c及び310dを含んでもよい。例えば、論理演算は、論理積(AND)及び排他的論理和(XOR)等を含んでもよい。なお、入力層310は、2つのノードの論理演算の第1の結果と、2つのノードの論理演算の第2の結果との間の論理演算が入力されるノードを含んでもよい。即ち、入力層310は、入力層310内の2つ以上のノードの論理演算の結果が入力されるノードを含んでもよい。
【0167】
上記構成は以下の効果を奏する。第1のNN300は、第2の信号が伝送経路120を通過する過程において生じる符号間干渉等の非線形な歪みを効率的に生成することができる。第1のNN300によって出力される第4の信号の精度が向上する。
【0168】
図14は、第1のNN300の構成の一例を示す図である。ノード310aは、第2の信号の現在の値が中間層320を介さずに出力層330へと出力される出力線(接続線)を有していてもよい。
【0169】
上記構成は以下の効果を奏する。第2の信号の現在の値が中間層320を経由しないので、第2の信号の現在の値に対して重みが適用されない。第1のNN300は、現在の入力値との残差を効率的に第4の信号に反映させることができる。第1のNN300によって出力される第4の信号の精度が向上する。
【0170】
なお、第1のNN300は、上述した構成の組み合わせであってもよい。入力層310は、第2の信号の現在の値が入力されるノードを少なくとも含む。入力層310は、第2の信号の過去の値が入力されるノードと、入力層310内の2つ以上のノードの論理演算の結果が入力されるノードと、第2の信号の現在の値が中間層320を介さずに出力層330へと出力される出力線を有するノードと、の少なくとも1つを更に含んでよい。更に、第1のNN300は、公知の様々な構造を含んでもよい。
【0171】
(4)第4変形例
デルタシグマ変調装置110の処理の流れは、上述の例に限定されない。
図15は、デルタシグマ変調装置110の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15のフローチャートは、
図7のフローチャートにステップ1501が追加されたフローチャートである。
【0172】
ステップ701の後、NN学習部113は、所定の第1の条件が成立するか否かを判定する(1501)。第1の条件が成立する場合、デルタシグマ変調装置110は、ステップ702の処理及びステップ703の処理を実行する。従って、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータが更新される。
【0173】
第1の条件が成立しない場合、デルタシグマ変調装置110は、ステップ702の処理及ステップ703の処理を実行しない。即ち、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータが更新されない。
【0174】
第1の条件は、近似誤差が所定の第1の大きさよりも大きいという条件である。具体的には、近似誤差が第1の差分の絶対値と第2の差分の絶対値とのうちの大きい方である場合、第1の条件は、近似誤差が所定の第1の閾値Th1よりも大きいという条件であってもよい。近似誤差が複素数によって表現される場合、第1の条件は、複素数の絶対値(即ち、複素数平面上での原点からの距離)に関する条件であってもよい。第1の条件は、近似誤差の絶対値(原点からの距離)が所定の第1の距離閾値よりも大きいという条件であってもよい。他の例において、第1の条件は、第1の差分に対する条件と、第2の差分に対する条件とを含んでもよい。例えば、第1の差分の絶対値が所定の第1の実数成分閾値を超える及び/又は第2の差分の絶対値が所定の第1の虚数成分閾値を超えた場合、NN学習部113は、第1の条件が成立すると判定してもよい。
【0175】
伝送経路120の状態は刻々と変化する。デルタシグマ変調装置110は、上記のような第1の条件を用いることにより、伝送経路120の現在の状態に応じて第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新することができる。
【0176】
上述したように、近似誤差が大きい場合、これは、伝送モデル410の出力(第3の信号の近似値)が実際の第3の信号から離れていることを意味する。即ち、これは、伝送モデル410の出力の精度が低く、且つ、第1のNN300によって出力される第4の信号の精度も低いことを意味する。従って、伝送経路120の現在の状態(特に、伝送歪みに関する情報)を第1のNN300及び第2のNN600に反映させる必要性が高い。従って、第1の条件が成立する場合、NN学習部113は、ステップ1501において「Yes」と判定する。そして、デルタシグマ変調装置110は、ステップ702の処理及びステップ703の処理を実行する。
【0177】
一方で、近似誤差が小さい場合、これは、伝送モデル410の出力が実際の第3の信号に近いことを意味する。従って、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新する必要性が低い。従って、NN学習部113は、ステップ1501において「No」と判定する。そして、デルタシグマ変調装置110は、ステップ704へと進む。
【0178】
上記の構成は以下の効果を奏する。伝送経路120の現在の状態を第1のNN300及び第2のNN600に反映させる必要性が高い場合にのみ、デルタシグマ変調装置110は、ステップ702及びステップ703の処理を実行する。デルタシグマ変調装置110は、不要な状況においてステップ702及びステップ703の処理を実行しないので、デルタシグマ変調装置110における処理負荷を抑えることができる。
【0179】
なお、第1の条件が成立した後、デルタシグマ変調装置110は、所定の第2の条件が成立するまで、ステップ702及びステップ703の処理を繰り返し実行してもよい。具体的には、パラメータ計算部430は、第2の条件が成立するまで、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する処理を継続する。パラメータ計算部430は、第2の条件が成立するまで、第2のNN600の第2のパラメータを更新する処理を継続する。NN処理部112は、第2の条件が成立するまで、第1のNN300の第1のパラメータを更新する処理を継続する。
【0180】
第2の条件は、近似誤差が所定の第2の大きさよりも小さいという条件である。第2の大きさは、上記の第1の大きさよりも小さい。具体的には、近似誤差が第1の差分の絶対値と第2の差分の絶対値とのうちの大きい方である場合、第2の条件は、近似誤差が所定の第2の閾値Th2よりも小さいという条件であってもよい。第2の閾値Th2は、第1の閾値Th1よりも小さい。近似誤差が複素数によって表現される場合、第2の条件は、複素数の絶対値(即ち、複素数平面上での原点からの距離)に関する条件であってもよい。第2の条件は、近似誤差の絶対値(原点からの距離)が所定の第2の距離閾値よりも小さいという条件であってもよい。第2の距離閾値は、第1の距離閾値よりも小さい。他の例において、第2の条件は、第1の差分に対する条件と、第2の差分に対する条件とを含んでもよい。例えば、第1の差分の絶対値が所定の第2の実数成分閾値を下回る及び/又は第2の差分の絶対値が所定の第2の虚数成分閾値を下回る場合、NN学習部113は、第2の条件が成立すると判定してもよい。例えば、第2の実数成分閾値は、第1の実数成分閾値よりも小さい。第2の虚数成分閾値は、第1の虚数成分閾値よりも小さい。
【0181】
(5)第5変形例
NN学習部113の構成は、上記の例に限定されない。
図16は、NN学習部113の構成の一例を示す図である。
【0182】
NN学習部113は、遅延調整部1610と、ゲイン調整部1620とを更に含む。
【0183】
遅延調整部1610は、第2の信号を入力信号として受け取る。遅延調整部1610は、伝送モデル410の出力が誤差計算部420に入力されるタイミングと、第3の信号が誤差計算部420に入力されるタイミングとが同期するように、第2の信号を遅延させる。
【0184】
ゲイン調整部1620は、第3の信号を入力信号として受け取る。ゲイン調整部1620は、第3の信号に対してゲインを乗算する。具体的には、ゲイン調整部1620は、第3の信号を複素数と見なして、第3の信号に含まれるI信号及びQ信号のそれぞれに対して複素ゲインを乗算する。
【0185】
なお、遅延調整部1610における遅延値及びゲイン調整部1620における複素ゲインは、誤差計算部420の出力である近似誤差が最小になるように、設定される。
【0186】
(6)第6変形例
変調部144は、スーパーヘテロダイン方式によって増幅器143の出力をダウンコンバートして、IF信号を出力してもよい。
【0187】
(7)第7変形例
伝送経路120内の変調部144が省略されてもよい。この構成において、伝送モデル410内のデジタルダウンコンバータ620が省略される。誤差計算部420は、伝送モデル410の出力と、第3の信号(この例では、増幅器143の出力)との間の近似誤差を計算する。
【0188】
(8)第8変形例
伝送モデル410の構成は、上記の例に限定されない。伝送モデル410の構成は、デルタシグマ変調装置110の構成及び伝送経路120の構成に従って、適宜変更されてもよい。例えば、一般的に使われているデジタル歪補償技術が第1の信号(I信号及びQ信号)に適用されてもよい。これに従って、伝送モデル410の構成が変更されてもよい。
【0189】
第2のNN600は、伝送経路120の全体をモデル化したニューラルネットワークであってもよい。
【0190】
変調部144がスーパーヘテロダイン方式によって増幅器143の出力をダウンコンバートする構成を有する場合、伝送モデル410は、これに対応する構成要素を含んでもよい。伝送モデル410は、スーパーヘテロダイン方式によってデジタルフィルタ610の出力からIF信号を出力する構成要素を含んでもよい。
【0191】
増幅器143が第2のNN600としてモデル化されず、増幅器143が個別でモデル化されてもよい。別の例において、増幅器143のモデル化が省略されてもよい。
【0192】
第2のNN600は、伝送経路120の一部をモデル化した構成要素であってもよい。例えば、第2のNN600は、第1のNN300と同じ信号(第4の信号)を出力するニューラルネットワークであってもよい。即ち、第2のNN600は、第2の信号が、通信経路130、BPF142及び増幅器143を通過する過程を経て生成される信号の近似値を出力してもよい。
【0193】
第2のNN600は、第1のNN300と同じ構造を備えてもよい。第2のNN600は、入力層と、少なくとも1つの中間層と、出力層とを備える。入力層は、第2の信号の現在の値が入力されるノードを少なくとも含む。入力層は、更に、第2の信号の過去の値が入力されるノードと、入力層内の2つ以上のノードの論理演算の結果が入力されるノードと、第2の信号の現在の値が中間層を介さずに出力層へと出力される出力線を有するノードと、の少なくとも1つを更に含んでもよい。
【0194】
<<3.第2実施形態>>
続いて、
図17~
図24を参照して、第2実施形態及びその変形例を説明する。なお、第2実施形態について、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、それらの構成要素の詳細な説明を省略する。
【0195】
<3-1.無線通信装置の概略構成>
図17は、無線通信装置1700の構成を示す図である。無線通信装置1700は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。
【0196】
第1の通信経路131は、光ファイバ131aを含む。第1の通信経路131は、光ファイバ131aの第2の装置820の側の端部において、E/O変換部131bを備える。E/O変換部131bは、電気信号を光信号に変換する。更に、第1の通信経路131は、光ファイバ131aの第1の装置810の側の端部において、O/E変換部131cを備える。O/E変換部131cは、光信号を電気信号に変換する。
【0197】
第2の通信経路132は、光ファイバ132aを含む。第2の通信経路132は、光ファイバ132aの第2の装置820の側の端部において、E/O変換部132bを備える。更に、第2の通信経路132は、光ファイバ132aの第1の装置810の側の端部において、O/E変換部132cを備える。
【0198】
<3-2.第1の装置の構成>
第1の装置810は、アンテナ141と、BPF142と、増幅器143と、変調部144と、情報送信部145とを備える。情報送信部145は、伝送関連情報を、第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する。本例の伝送関連情報は、第1実施形態と同様に、第3の信号(変調部144の出力)である。
【0199】
<3-3.第2の装置の構成>
第2の装置820は、デルタシグマ変調部111と、NN処理部112と、NN学習部113と、指示送信部114とを備える。デルタシグマ変調部111は、第2の信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。指示送信部114は、後述する指示信号(初期指示信号、第1の指示信号及び第2の指示信号)を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。
【0200】
<3-4.無線通信装置の処理の流れの概要>
次に、無線通信装置1700の処理の流れの概要を説明する。具体的には、第1の装置810が第2の装置820へ伝送関連情報を送信する処理の流れについて説明する。
【0201】
指示送信部114は、第2の信号の伝送過程において生じた歪み量に関する条件が成立するか否かを判定する。例えば、当該条件は、近似誤差に関する上記の第1の条件である。指示送信部114は、第1の条件が成立した場合、第1の指示信号を第1の装置810へ送信する。
【0202】
本例において、第1の指示信号は、第2の装置820へ伝送関連情報を送信することを第1の装置810に対して指示する信号である。第1の指示信号は、第1の装置810が第2の装置820へ伝送関連情報を送信する回数Nkについての情報を含む。Nkは、1以上の整数である。情報送信部145は、第1の指示信号に応じて、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。
【0203】
指示送信部114は、近似誤差に関する上記の第2の条件が成立したか否かを判定する。指示送信部114は、第2の条件が成立した場合、第2の指示信号を第1の装置810へ送信する。
【0204】
本例において、第2の指示信号は、第2の装置820への伝送関連情報の送信を停止することを第1の装置810に対して指示する信号である。情報送信部145は、第2の指示信号に応じて、伝送関連情報の送信を停止する。
【0205】
<3-5.無線通信装置の処理の流れ>
次に、
図18を参照して、無線通信装置1700の処理の流れを説明する。
図18は、無線通信装置1700の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0206】
指示送信部114は、初期指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1801)。初期指示信号は、第1の装置810に、伝送関連情報を1回だけ第2の装置820に送信させるための指示信号である。
【0207】
デルタシグマ変調部111は、第2の信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1802)。情報送信部145は、伝送関連情報(本例では、第3の信号)を、第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する(1803)。
【0208】
第2の装置820は、伝送関連情報を受信する。第2の装置820(即ち、NN処理部112及びNN学習部113)は、
図7のステップ702及びステップ703の処理を実行する(1804)。以降において、ステップ702及びステップ703の一連の処理は、まとめて「学習処理」と称呼される。なお、NN学習部113は、ステップ702の処理において計算された近似誤差を指示送信部114へ送信する。
【0209】
指示送信部114は、近似誤差を用いて第1の条件が成立したか否かを判定する。本例において、指示送信部114は、第1の条件が成立したと判定する(1805)。従って、指示送信部114は、第1の指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1806)。
【0210】
デルタシグマ変調部111は、第2の信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1807)。
【0211】
情報送信部145は、第1の指示信号に応じて、伝送関連情報を、第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する(1808)。これは、第1の装置810が第1の指示信号を受信した時点を基準として、1回目の伝送関連情報の送信である。
【0212】
第2の装置820は、学習処理を実行する(1809)。第2の装置820が学習処理を実行するごとに、指示送信部114は、第2の条件が成立するか否かを判定する。
【0213】
第2の信号の送信、伝送関連情報の送信及び学習処理が繰り返し実行される。これにより、近似誤差が徐々に小さくなる。
【0214】
その後、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1810)。
【0215】
情報送信部145は、伝送関連情報を、第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する(1811)。これは、第1の装置810が第1の指示信号を受信した時点を基準として、Nj回目の伝送関連情報の送信である。なお、Nj<Nkである。
【0216】
第2の装置820は、学習処理を実行する(1812)。指示送信部114は、第2の条件が成立すると判定する(1813)。従って、指示送信部114は、第2の指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1814)。情報送信部145は、第2の指示信号に応じて、伝送関連情報の送信を停止する。
【0217】
その後、指示送信部114は、所定の待ち時間Twが経過するごとに、初期指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する(1815)。
【0218】
なお、第1の装置810が第1の指示信号を受信した後に情報送信部145が伝送関連情報をNk回送信すると、情報送信部145は伝送関連情報の送信を停止する。指示送信部114は、伝送関連情報をNk回受信した時点から所定の待ち時間Twが経過すると、初期指示信号を第1の装置810へ送信する。
【0219】
他の例において、第2の指示信号は、待ち時間Twの情報を更に含んでもよい。この構成において、情報送信部145は、待ち時間Twが経過するごとに、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。指示送信部114は、伝送関連情報を受信するごとに、第1の条件が成立するか否かを判定する。指示送信部114は、第1の条件が成立した場合、第1の指示信号を第1の装置810へ送信する。
【0220】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の条件が成立した場合(即ち、近似誤差が大きい場合)、これは、伝送経路120の現在の状態(特に、伝送歪みに関する情報)が第1のNN300及び第2のNN600に反映できておらず、従って、伝送歪みが抑制できていないことを意味する。このような状況において、第1の装置810は、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックする。第2の装置820は、伝送関連情報を用いて学習処理を実行して、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新できる。これにより、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みを抑えることができる。更に、同時接続数及び伝送容量を増大させる分散MIMO(Multiple Input Multiple Output)システムを実現できる。
【0221】
<3-6.変形例>
本開示に係る技術は、上述した実施形態には限定されない。
【0222】
(1)第1変形例
第1の指示信号は、上記の例に限定されない。第1の指示信号は、第1の装置810が第2の装置820へ伝送関連情報を送信する周期Tpについての情報を含んでもよい。情報送信部145は、第1の指示信号に応じて、周期Tpが経過するごとに、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。
【0223】
周期Tpは、学習期間のk1倍であってもよい。ここで、k1は、1以上の整数である。学習期間は、第2の装置820が伝送関連情報を受信した時点から、第2の装置820が第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新するまでに要する期間である。
【0224】
周期Tpは、3GPP上で定義されるフレーム、サブフレーム又はスロットによって定義されてもよい。フレームは、複数のサブフレームによって定義される。サブフレームは、1以上のスロットによって定義される。周期Tpは、「フレームのk2倍」として定義されてもよい。ここで、k2は、1以上の整数である。一例として、1つのフレームは、10ms(millisecond)である。周期Tpは、「サブフレームのk3倍」として定義されてもよい。ここで、k3は、1以上の整数である。一例として、1つのサブフレームは、1msである。周期Tpは、「スロットのk4倍」として定義されてもよい。ここで、k4は、1以上の整数である。
【0225】
図19は、無線通信装置1700の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0226】
指示送信部114は、第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(1901)。デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(1902)。情報送信部145は、伝送関連情報(本例では、第3の信号)を第2の装置820へ送信する(1903)。第2の装置820は、学習処理を実行する(1904)。その後、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ繰り返し送信する(1905)。
【0227】
情報送信部145がステップ1903の処理を実行した時点から周期Tpが経過する。情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する(1906)。第2の装置820は、学習処理を実行する(1907)。その後、情報送信部145は、周期Tpが経過するごとに、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する(1908)。
【0228】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の装置810は、周期的に、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックする。第2の装置820は、伝送関連情報を用いて周期的に学習処理を実行して、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新できる。これにより、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みを抑えることができる。
【0229】
(2)第2変形例
情報送信部145は、第1の装置810と第2の装置820との間の伝送に関する条件が成立した場合に、伝送関連情報を第2の装置820へ送信してもよい。例えば、情報送信部145は、第2の信号に基づいて、第2の信号の伝送過程において生じた歪み量を推定してもよい。情報送信部145は、歪み量に関する第3の条件が成立したか否かを判定する。第3の条件は、歪み量が所定の大きさよりも大きいという条件である。情報送信部145は、第3の条件が成立した場合、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。
【0230】
歪み量は、以下のように推定されてもよい。情報送信部145は、第2の信号に対してフーリエ変換処理等を実行して、第2の信号の周波数成分を分析する。第2の信号の伝送過程において生じた歪み量が大きい場合、第2の信号の周波数成分のうち、上述した所望の周波数帯域(f0-fαからf0+fαまでの帯域)の外側の周波数成分が大きい。これを考慮して、情報送信部145は、所望の周波数帯域の外側の帯域の信号電力を計算する。
【0231】
第3の条件は、所望の周波数帯域の外側の帯域の信号電力が第3の閾値Th3よりも大きいという条件であってもよい。所望の周波数帯域の外側の帯域の信号電力が大きい場合、情報送信部145は、歪み量が所定の大きさよりも大きいと判定してもよい。
【0232】
なお、フーリエ変換処理の対象となる信号は、
図17に示す信号1701~1703の何れであってもよい。
・第1の通信経路131を通過した後で且つBPF142を通過する前の信号1701
・BPF142を通過した後で且つ増幅器143を通過する前の信号1702
・増幅器143を通過した後の信号1703
【0233】
図20は、無線通信装置1700の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0234】
デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(2001)。情報送信部145は、上述のように歪み量を推定し、第3の条件が成立するか否かを判定する(2002)。本例において、情報送信部135は、第3の条件が成立すると判定する(2003)。従って、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する(2004)。第2の装置820は、学習処理を実行する(2005)。その後、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ繰り返し送信する(2006)。
【0235】
その後、情報送信部145がステップ2002の処理を実行した時点から第1の時間Taが経過する。情報送信部145は、上述のように歪み量を推定し、第3の条件が成立するか否かを判定する(2007)。このように、情報送信部145は、第1の時間Taが経過するごとに、歪み量を推定する。第3の条件が成立する場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。これに対し、第3の条件が成立しない場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信しない。
【0236】
上記の構成は以下の効果を奏する。第3の条件が成立した場合(即ち、歪み量が比較的大きい場合)に、第1の装置810は、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックする。第1の装置810は、第2の装置820からの第1の指示信号なしに、適切な状況において伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックできる。
【0237】
なお、他の例において、第1の装置810が第2の信号を受信するたびに、情報送信部145は歪み量を推定してもよい。
【0238】
(3)第3変形例
図18に示した処理と
図19に示した処理とが組み合わされてもよい。
図21は、無線通信装置1700の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0239】
図21のステップ2101~ステップ2107と、
図19のステップ1901~ステップ1907とは同じ処理である。従って、これらのステップの詳細な説明を省略する。情報送信部145は、周期Tpについての情報を含む第1の指示信号(2101)に応じて、周期Tpが経過するごとに、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。
【0240】
第2の装置820が学習処理を実行するごとに、指示送信部114は、第1の条件が成立したか否かを判定する。
【0241】
第2の装置820がステップ2107において学習処理を実行した後、指示送信部114は、第1の条件が成立したと判定する(2108)。指示送信部114は、回数Nkについての情報を含む第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(2109)。
【0242】
図21のステップ2110~ステップ2117と、
図18のステップ1807~ステップ1814とは同じ処理である。従って、これらのステップの詳細な説明を省略する。なお、ステップ2110~ステップ2117において、第1の装置810が伝送関連情報を第2の装置820へ送信する時間間隔は、周期Tpよりも小さい。
【0243】
指示送信部114がステップ2117において第2の指示信号を送信した後、指示送信部114は、周期Tpについての情報を含む第1の指示信号を第1の装置810へ送信する。これに応じて、情報送信部145は、周期Tpが経過するごとに、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。
【0244】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の条件が成立した場合(即ち、近似誤差が大きい場合)に、第1の装置810は、比較的短い周期で、伝送関連情報を第2の装置820へフィードバックする。第2の装置820は、伝送経路120の現在の状態を第1のNN300及び第2のNN600に早く反映させることができる。一方で、第2の条件が成立した場合(即ち、近似誤差が小さい場合)、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新する必要性が低い。このような状況において、第1の装置810は、比較的長い周期Tpで、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックする。第2の装置820における処理負荷を抑えることができる。
【0245】
(4)第4変形例
図18に示した処理と
図20に示した処理とが組み合わされてもよい。
図22は、無線通信装置1700の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0246】
図22のステップ2201~ステップ2205と、
図20のステップ2001~ステップ2005とは同じ処理である。従って、これらのステップの詳細な説明を省略する。
【0247】
第2の装置820が学習処理を実行するごとに、指示送信部114は、第1の条件が成立したか否かを判定する。
【0248】
第2の装置820がステップ2205において学習処理を実行した後、指示送信部114は、第1の条件が成立したと判定する(2206)。指示送信部114は、回数Nkについての情報を含む第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(2207)。
【0249】
図22のステップ2208~ステップ2215と、
図18のステップ1807~ステップ1814とは同じ処理である。従って、これらのステップの詳細な説明を省略する。ステップ2208~ステップ2215において、第2の装置820が第2の信号を第1の装置810へと送信するたびに、第1の装置810が伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。従って、第1の装置810が伝送関連情報を第2の装置820へ送信する時間間隔は、比較的短い。
【0250】
指示送信部114がステップ2215において第2の指示信号を送信した後、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(2216)。情報送信部145は、上述のように歪み量を推定し、第3の条件が成立するか否かを判定する(2217)。
【0251】
第1の装置810が第2の信号を受信するたびに、情報送信部145は歪み量を推定して、第3の条件が成立するか否かを判定する。第3の条件が成立した場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。この場合、上述のように、指示送信部114は、第1の条件が成立するか否かを判定する。
【0252】
これに対し、第3の条件が成立しない場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信しない。
【0253】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の段階において、第3の条件が成立した場合(即ち、歪み量が比較的大きい場合)にのみ、第1の装置810は、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックする。第2の装置820は、第1の装置810が伝送関連情報をフィードバックしたときのみ、学習処理を実行し、且つ、第1の条件が成立するか否かを判定する。第2の装置820における処理負荷を抑えることができる。
【0254】
次に、第2の段階において、第1の条件が成立した場合(即ち、近似誤差が大きい場合)に、第2の装置820は、比較的短い周期で伝送関連情報を第2の装置820へフィードバックするように、第1の装置810に対して指示する。第2の段階では、第2の装置820は、比較的短い周期で、伝送経路120の現在の状態(特に、伝送歪みに関する情報)を第1のNN300及び第2のNN600に反映させることができる。
【0255】
(5)第5変形例
第1の装置810と第2の装置820との間は1つの通信経路(例えば、1つの光ファイバ)によって接続されてもよい。第2の信号の送信が光ファイバを介して行われ、伝送関連情報の送信が同じ光ファイバを介して行われてもよい。
【0256】
例えば、第1の装置810及び第2の装置820は、光波長多重通信の方式を用いて互いに通信するように構成されてもよい。光波長多重通信は、公知の技術であり、複数の異なる波長の光信号を1つの光ファイバ上で送信する方式である。
【0257】
第1の装置810及び第2の装置820は、偏波多重通信の方式を用いて互いに通信するように構成されてもよい。偏波多重通信は、公知の技術であり、水平方向に振動する水平偏波と垂直方向の垂直偏波とを1つの光ファイバ上で送信する方式である。
【0258】
第1の装置810及び第2の装置820は、時間多重通信の方式を用いて互いに通信するように構成されてもよい。時間多重通信は、公知の技術であり、複数の信号が時間軸上で重ならないように複数の信号を1つの光ファイバ上で順番に送信する方式である。
【0259】
光ファイバは、複数のコアを有するマルチコアファイバであってもよい。この場合、第1の装置810及び第2の装置820は、空間多重通信の方式を用いて互いに通信するように構成されてもよい。空間多重通信は、公知の技術であり、コアごとに異なる信号を送信する方式である。
【0260】
(6)第6変形例
図23は、無線通信装置2300の構成を示す図である。無線通信装置2300は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。無線通信装置2300は、N種類の信号を出力するための構成を有する。ここで、Nは、2以上の整数である。
【0261】
具体的には、第1の装置810は、複数のアンテナ141-1~141-Nと、複数のBPF142-1~142-Nと、複数の増幅器143-1~143-Nとを備える。
【0262】
第2の装置820は、複数のデルタシグマ変調部111-1~111-Nを備える。更に、第1の装置810と第2の装置820は、複数の第1の通信経路131-1~131-Nを介して接続されている。複数のデルタシグマ変調部111-1~111-Nは、それぞれ、複数の第1の通信経路131-1~131-Nを介して複数のアンテナ141-1~141-Nに接続されている。例えば、デルタシグマ変調部111-Nは、第1の通信経路131-N、BPF142-N及び増幅器143-Nを介して、アンテナ141-Nに接続されている。
【0263】
第1の装置810は、スイッチ146を備える。スイッチ146は、変調部144へ出力する信号を切り替えることができる。この構成によれば、第1の装置810は、N種類の第2の信号のそれぞれについて、伝送関連情報(この例では、第3の信号)を第2の装置820へフィードバックすることができる。これにより、N種類の第2の信号のそれぞれの伝送過程において生じる伝送歪みを抑えることができる。
【0264】
(7)第7変形例
図24は、無線通信装置2400の構成を示す図である。無線通信装置2400は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。無線通信装置2400は、送信機能及び受信機能を備える。
【0265】
以降において、信号が第2の装置820から第1の装置810を介して端末装置190まで送信されるリンクは、「下りリンク」と称呼される場合がある。下りリンク上を送信される信号は、「下りリンク信号」と称呼される場合がある。
【0266】
一方、信号が端末装置190から第1の装置810を介して第2の装置820まで送信されるリンクは、「上りリンク」と称呼される場合がある。上りリンク上を送信される信号は、「上りリンク信号」と称呼される場合がある。
【0267】
第2の装置820は、第1の通信経路131を介して下りリンク信号を第1の装置810へ送信する。第1の装置810は、第2の通信経路132を介して上りリンク信号を第2の装置820へ送信する。
【0268】
第1の装置810は、アンテナスイッチ147を備える。アンテナスイッチ147は、増幅器143に接続された第1端子147aと、アンテナ141に接続された第2端子147bと、低ノイズ増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)148に接続された第3端子147cとを備える。
【0269】
アンテナスイッチ147は、送信モード、受信モード及びフィードバックモードの3種類のモードで動作することができる。
【0270】
送信モードの場合、第1端子147aと第2端子147bとが接続される。従って、下りリンク信号がアンテナ141から出力される。
【0271】
受信モードの場合、第2端子147bと第3端子147cとが接続される。従って、上りリンク信号が、LNA148、変調部144、情報送信部145及び第2の通信経路132を介して第2の装置820に送信される。第2の装置820は、図示しない受信機能を用いて、上りリンク信号に対して所定の処理を実行する。
【0272】
フィードバックモードの場合、第1端子147aと第3端子147cとが接続される。従って、下りリンク信号が、LNA148及び変調部144を介して情報送信部145に送られる。情報送信部145は、所定のタイミングで、第2の通信経路132を介して、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。本例の伝送関連情報は、第1の装置810から端末装置190へと送信されるべき下りリンク信号に関する情報である。具体的には、伝送関連情報は、下りリンク信号を変調部144を通して周波数変換(ダウンコンバート)することにより得られた信号(即ち、第3の信号)である。
【0273】
このような構成において、無線通信装置2400は、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)方式を用いて、下りリンク信号を送信し、上りリンク信号を受信してもよい。TDDは、上りリンク信号と下りリンク信号を異なるスロットで交互に送信する方式である。なお、上記のスロットは、「タイムスロット」と称呼される場合もある。
【0274】
無線通信装置2400がTDD方式で動作する場合、指示送信部114は以下のように動作する。上りリンクのスロットの場合、第2の通信経路132は上りリンク信号の送信のために使用されているが、第1の通信経路131は使用されていない。従って、指示送信部114は、上りリンクのスロットにおいて、第1の指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。指示送信部114は、上りリンクのスロットにおいて、第2の指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。
【0275】
更に、情報送信部145は、以下のように動作する。下りリンクのスロットの場合、第1の通信経路131は下りリンク信号の送信のために使用されているが、第2の通信経路132は使用されていない。従って、情報送信部145は、下りリンクのスロットにおいて、伝送関連情報を第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する。
【0276】
<<4.第3実施形態>>
続いて、
図25を参照して、第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態について、第1及び第2実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、それらの構成要素の詳細な説明を省略する。
【0277】
<4-1.無線通信装置の概略構成>
図25は、無線通信装置2500の構成を示す図である。無線通信装置2500は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。第1の装置810と第2の装置820とは、第1の通信経路131を介して接続されている。
【0278】
<4-2.第1の装置の構成>
第1の装置810は、アンテナ141と、BPF142と、増幅器143と、アンテナ150と、周波数変換部151と、第2の変調部152と、第3の変調部153を備える。第3の変調部153は、変調部144と同じ構成を有する。第3の変調部153は、増幅器143によって増幅されたアナログ信号(下りリンク信号に相当)を上述のように処理し、第3の信号(I信号及びQ信号を含む)を出力する。
【0279】
第2の変調部152は、第3の変調部153の出力を受け取る。第2の変調部152は、第3の変調部153の出力に対して信号変調処理を実行する。信号変調処理として、一般的な変調方式が使用されてよい。例えば、信号変調処理として、シングルキャリア変調又はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等が使用されてよい。周波数変換部151は、第2の変調部152の出力を受け取る。周波数変換部151は、第2の変調部152の出力をアップコンバートする。この場合、周波数変換部151は、第2の変調部152の出力を、周波数f0とは異なる周波数f1へアップコンバートする。周波数変換部151の出力は、アンテナ150を介して送信される。
【0280】
<4-3.第2の装置の構成>
第2の装置820は、デルタシグマ変調部111と、NN処理部112と、NN学習部113と、アンテナ115と、復調部117と、変調部144とを備える。第2の装置820は、アンテナ115を介して、第1の装置810のアンテナ150から出力された信号を受信する。変調部144は、当該受信された信号を上述のように処理する。復調部117は、変調部144の出力を復調する。なお、復調部117の復調方式は、第2の変調部152の変調方式に対応する方式である。復調部117は、復調された第3の信号(I信号及びQ信号を含む)をNN学習部113に出力する。
【0281】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の装置810は、空間伝送を介して伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックできる。本例の伝送関連情報は、第1の装置810から端末装置190へと送信されるべき下りリンク信号に関する情報である。従って、第2の装置820は、伝送関連情報を用いて第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを更新できる。これにより、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みを抑えることができる。
【0282】
<<5.第4実施形態>>
続いて、
図26~
図32を参照して、第4実施形態及びその変形例を説明する。なお、第4実施形態について、第1~第3実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、それらの構成要素の詳細な説明を省略する。
【0283】
<5-1.無線通信装置の概略構成>
図26は、無線通信装置2600の構成を示す図である。無線通信装置2600は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。第1の装置810と第2の装置820とは、第1の通信経路131を介して接続されている。更に、第1の装置810と第2の装置820とは、第2の通信経路132を介して接続されている。
【0284】
<5-2.第1の装置の構成>
第1の装置810は、アンテナ141と、BPF142と、増幅器143と、変調部144と、情報送信部145と、デジタル復元部149と、NN学習部113とを備える。
【0285】
デジタル復元部149は、第1の通信経路131の出力を受け取る。デジタル復元部149は、第1の通信経路131の出力を1ビットのデジタル信号に変換する。このとき、第1の通信経路131の出力に含まれる伝送歪みが整形されてデジタル信号が出力される。これにより、デルタシグマ変調部111によって出力された元の第2の信号が復元される。このように、デジタル復元部149は、第3の信号(この例では、第2の信号が第1の通信経路131を通過する過程を経て生成された信号)から、第2の信号の復元信号を生成する。以降において、このような第2の信号の復元信号は、「第5の信号」と称呼される場合がある。
【0286】
NN学習部113は、第5の信号(復元された第2の信号)と、変調部144によって出力された第3の信号(即ち、第2の信号が、第1の通信経路131、BPF142、増幅器143及び変調部144を通過する過程を経て生成された第3の信号)とを用いて、第1のNN300の第1のパラメータ及び第2のNN600の第2のパラメータを計算する。NN学習部113は、第2のNN600の第2のパラメータを、当該計算された第2のパラメータに更新する。更に、NN学習部113は、当該計算された第1のパラメータを情報送信部145に出力する。情報送信部145は、第1のパラメータを、第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する。従って、本例の伝送関連情報は、第1のパラメータである。第1のパラメータは、第1のNN300において、第2の信号の伝送過程において生成される信号の近似値を出力するために使用される情報である。従って、第1のパラメータは、第1の装置810と第2の装置820との間の伝送に関する情報である。更に、他の言い方をすれば、第1のパラメータは、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みの近似値を出力するためにも使用されるので、第1のパラメータは、伝送歪みに関する情報であると言うこともできる。
【0287】
<5-3.第2の装置の構成>
第2の装置820は、デルタシグマ変調部111と、NN処理部112と、指示送信部114とを備える。デルタシグマ変調部111は、第1の通信経路131を介して第2の信号を第1の装置810へ送信する。指示送信部114は、第1の指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。指示送信部114は、第2の指示信号を、第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。NN処理部112は、第2の通信経路132を介して第1のパラメータを受信する。NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、当該受信した第1のパラメータに更新する。
【0288】
<5-4.無線通信装置の処理の流れ>
次に、
図27を参照して、無線通信装置2600の処理の流れを説明する。
図27は、無線通信装置2600の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0289】
無線通信装置2600が起動される(又は無線通信装置2600がリセットされる)と、指示送信部114は、第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(2701)。本例において、第1の指示信号は、回数Nkについての情報を含む。
【0290】
デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(2702)。NN学習部113は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(2703)。NN学習部113は、第2のNN600の第2のパラメータを、当該計算された第2のパラメータに更新する。
【0291】
情報送信部145は、伝送関連情報(本例では、第1のパラメータ)を第2の装置820へ送信する(2704)。これは、第1の装置810が第1の指示信号を受信した時点を基準として、1回目の伝送関連情報の送信である。第2の装置820が伝送関連情報を受信する。NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、当該受信した第1のパラメータに更新する。
【0292】
なお、NN学習部113が第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算するごとに、情報送信部145は、第2の条件が成立するか否かを判定する。
【0293】
その後、第2の信号の送信、第1及び第2のパラメータの計算処理、並びに、伝送関連情報の送信が、繰り返し実行される。これにより、近似誤差が徐々に小さくなる。
【0294】
デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(2705)。NN学習部113は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(2706)。
【0295】
情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する(2707)。これは、第1の装置810が第1の指示信号を受信した時点を基準として、Nj回目の伝送関連情報の送信である。なお、Nj<Nkである。
【0296】
この時点にて、情報送信部145は、第2の条件が成立すると判定する(2708)。情報送信部145は、通知を第2の装置820へ送信する(2709)。この通知は、第2の条件が成立したことを第2の装置820に知らせるための通知である。この通知に応じて、指示送信部114は、第2の指示信号を第1の装置810へ送信する(2710)。これにより、情報送信部145は、伝送関連情報の送信を停止する。
【0297】
その後、指示送信部114は、待ち時間Twが経過すると、回数Nkについての情報を含む第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(2711)。
【0298】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の装置810は、第2の条件が成立するまで、伝送関連情報(第1のパラメータ)を第2の装置820に繰り返しフィードバックする。第2の装置820は、伝送関連情報を用いて第1のNN300の第1のパラメータを更新できる。これにより、第2の信号の伝送過程において生じる伝送歪みを抑えることができる。更に、同時接続数及び伝送容量を増大させる分散MIMOシステムを実現できる。
【0299】
<5-5.変形例>
本開示に係る技術は、上述した実施形態には限定されない。
【0300】
(1)第1変形例
図28は、無線通信装置2600の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0301】
無線通信装置2600が起動される(又は無線通信装置2600がリセットされる)と、指示送信部114は、第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(2801)。第1の信号は、周期Tpついての情報を含む。周期Tpは、上述したように、学習期間によって定義されてもよい。更に、周期Tpは、上述したように、フレーム、サブフレーム又はスロットによって定義されてもよい。
【0302】
デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(2802)。NN学習部113は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(2803)。NN学習部113は、第2のNN600の第2のパラメータを、当該計算された第2のパラメータに更新する。
【0303】
情報送信部145は、伝送関連情報(本例では、第1のパラメータ)を第2の装置820へ送信する(2804)。第2の装置820が伝送関連情報を受信する。NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、当該受信した第1のパラメータに更新する。
【0304】
その後、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ繰り返し送信する(2805)。
【0305】
NN学習部113がステップ2803の処理を実行した時点から周期Tpが経過する。NN学習部113は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(2806)。情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する(2807)。
【0306】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の装置810は、周期的に、伝送関連情報(第1のパラメータ)を第2の装置820にフィードバックする。第2の装置820は、伝送関連情報を用いて第1のNN300の第1のパラメータを周期的に更新できる。
【0307】
なお、第1の装置810が第2の信号を受信するごとに、NN学習部113は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算してもよい。情報送信部145は、周期Tpが経過するごとに、伝送関連情報を第2の装置820へ送信してよい。
【0308】
(2)第2変形例
図29は、無線通信装置2600の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0309】
無線通信装置2600が起動される(又は無線通信装置2600がリセットされる)と、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ送信する(2901)。NN学習部113は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(2902)。NN学習部113は、近似誤差を情報送信部145に出力する。情報送信部145は、近似誤差を用いて、第1の条件が成立するか否かを判定する。本例において、情報送信部145は、第1の条件が成立したと判定する(2903)。この場合、情報送信部145は、伝送関連情報(本例では、第1のパラメータ)を第2の装置820へ送信する(2904)。
【0310】
その後、デルタシグマ変調部111は、第2の信号を第1の装置810へ繰り返し送信する(2905)。NN学習部113が第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する(2906)。そして、NN学習部113が第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算するたびに、情報送信部145は、第1の条件が成立するか否かを判定する。第1の条件が成立した場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。一方、第1の条件が成立しない場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信しない。
【0311】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の条件が成立した場合(即ち、近似誤差が大きい場合)に、第1の装置810は、伝送関連情報(第1のパラメータ)を第2の装置820へ送信できる。
【0312】
(3)第3変形例
図27に示した処理と
図28に示した処理とが組み合わされてもよい。
図30は、無線通信装置2600の処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0313】
図30のステップ3001~ステップ3009と、
図27のステップ2701~ステップ2709とは同じ処理である。従って、これらのステップの詳細な説明を省略する。なお、ステップ3001~ステップ3009において、第1の装置810が伝送関連情報を第2の装置820へ送信する時間間隔は、周期Tpよりも小さい。
【0314】
指示送信部114がステップ3009において通知を受信すると、指示送信部114は、周期Tpを含む第1の指示信号を第1の装置810へ送信する(3010)。
図30のステップ3011~ステップ3016と、
図28のステップ2802~ステップ2807とは同じ処理である。従って、これらのステップの詳細な説明を省略する。
【0315】
上記の構成は以下の効果を奏する。第1の装置810は、まず、比較的短い周期で、伝送関連情報(第1のパラメータ)を第2の装置820へ送信する。第2の装置820は、伝送経路120の状態を第1のNN300に早く反映させることができる。一方で、第2の条件が成立した場合(即ち、近似誤差が小さい場合)、第1のNN300の第1のパラメータを更新する必要性が低い。このような状況において、第1の装置810は、比較的長い周期Tpで、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックする。
【0316】
なお、
図29に示した処理が
図30のシーケンスに組み合わされてもよい。例えば、周期Tpの途中で(即ち、ステップ3012とステップ3015の間で)、情報送信部145が、第1の条件が成立するか否かを判定してもよい。第1の条件が成立した場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信する。一方、第1の条件が成立しない場合、情報送信部145は、伝送関連情報を第2の装置820へ送信しない。この構成によれば、周期Tpの途中でも、近似誤差が大きくなった場合には、第1の装置810は、伝送関連情報を第2の装置820にフィードバックできる。
【0317】
(4)第4変形例
無線通信装置2600は、第2実施形態の第7変形例の構成を備えてもよい。即ち、無線通信装置2600は、TDD方式で動作してもよい。この構成において、指示送信部114は、以下のように動作する。指示送信部114は、上りリンクのスロットにおいて、第1の指示信号を第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。指示送信部114は、上りリンクのスロットにおいて、第2の指示信号を第1の通信経路131を介して第1の装置810へ送信する。
【0318】
更に、情報送信部145は、以下のように動作する。情報送信部145は、下りリンクのスロットにおいて、伝送関連情報を第2の通信経路132を介して第2の装置820へ送信する。
【0319】
(5)第5変形例
図31は、無線通信装置2601の構成を示す図である。無線通信装置2601の構成要素は、
図26の無線通信装置2600の構成要素と同じである。
【0320】
第1の通信経路131の出力がデジタル復元部149へ直接入力される。デジタル復元部149によって出力された第5の信号(復元された第2の信号)は、BPF142へ入力される。第5の信号は、BPF142、増幅器143及び変調部144を経て、NN学習部113へ入力される。従って、NN学習部113は、「第5の信号」と、「第5の信号が、BPF142、増幅器143及び変調部144を通過する過程を経て生成された第3の信号」とを用いて、第1のパラメータ及び第2のパラメータを計算する。
【0321】
なお、本例の第1の装置810及び第2の装置820は、
図27~
図30の何れかのシーケンスに従って動作してもよい。
【0322】
(6)第6変形例
図32は、無線通信装置3100の構成を示す図である。無線通信装置3100は、第1の装置810と、第2の装置820とを備える。第1の装置810と第2の装置820とは、第1の通信経路131を介して接続されている。
【0323】
第1の装置810は、アンテナ141と、BPF142と、増幅器143と、変調部144と、情報送信部145と、デジタル復元部149と、NN学習部113と、アンテナ150と、周波数変換部151と、第2の変調部152とを備える。
【0324】
第2の装置820は、デルタシグマ変調部111と、NN処理部112と、指示送信部114と、アンテナ115と、変調部116と、復調部117とを備える。
【0325】
本例において、第1の装置810は、アンテナ150を介して伝送関連情報(第1のパラメータ)を第2の装置820へ送信する。第2の装置820は、アンテナ115を介して伝送関連情報を受信する。以下、第1の装置810の動作及び第2の装置820の動作について説明する。
【0326】
第2の変調部152は、NN学習部113の出力(第1のパラメータ)を受け取る。第2の変調部152は、NN学習部113の出力に対して信号変調処理を実行する。信号変調処理として、一般的な変調方式が使用されてよい。例えば、信号変調処理として、シングルキャリア変調又はOFDM等が使用されてよい。周波数変換部151は、第2の変調部152の出力を受け取る。周波数変換部151は、第2の変調部152の出力をアップコンバートする。この場合、周波数変換部151は、第2の変調部152の出力を、周波数f0とは異なる周波数f1へアップコンバートする。情報送信部145は、周波数変換部151の出力を受け取る。情報送信部145は、アンテナ150を介して伝送関連情報を送信する。本例の伝送関連情報は、周波数変換部151の出力であり、第1のパラメータである。
【0327】
第2の装置820は、アンテナ150から出力された信号を、アンテナ115を介して受信する。変調部116は、受信した信号をダウンコンバートして、I信号及びQ信号を出力する。復調部117は、I信号及びQ信号を元のデジタル値(第1のパラメータ)に復調する。なお、復調部117の復調方式は、第2の変調部152の変調方式に対応する方式である。
【0328】
復調部117は、第1のパラメータをNN処理部112へ出力する。NN処理部112は、第1のパラメータを受信する。NN処理部112は、第1のNN300の第1のパラメータを、当該受信した第1のパラメータに更新する。
【0329】
なお、第1の装置810及び第2の装置820は、
図27~
図30の何れかのシーケンスに従って動作してもよい。
【0330】
<<6.第5実施形態>>
続いて、
図33~
図37を参照して、第5実施形態を説明する。上述した第1実施形態~第4実施形態は、具体的な実施形態であるが、第5実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0331】
<6-1.無線通信装置の構成>
図33は、無線通信装置3200の構成を示す図である。無線通信装置3200は、第1の無線アクセスネットワーク装置3210と、第2の無線アクセスネットワーク装置3220とを備える。以降において、第1の無線アクセスネットワーク装置3210は、「第1の装置3210」と称呼され、第2の無線アクセスネットワーク装置3220は、「第2の装置3220」と称呼される。
【0332】
第1の装置3210は、第1の物理レイヤに関する処理を行う装置である。第2の装置3220は、第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う装置である。
【0333】
図34は、第1の装置3210の構成を示す図である。第1の装置3210は、取得部3211と、送信部3212とを備える。取得部3211は、第1の装置3210と第2の装置3220との間の伝送に関する情報を取得する。以降において、第1の装置3210と第2の装置3220との間の伝送に関する情報は、単に「伝送関連情報」と称呼される。送信部3212は、伝送関連情報を第2の装置3220へ送信する。
【0334】
第1の装置3210の構成要素3211~3212は、1つ以上のプロセッサと、メモリとにより実装されてもよい。当該1つ以上のプロセッサは、例えば、CPU、MPU及びマイクロコントローラのうちの1つ以上を含んでよい。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含んでもよい。メモリは、プログラムコード(インストラクション)を記憶していてもよい。1つ以上のプロセッサは、メモリに記憶されたプログラムコードを実行することにより、第1の装置3210の機能を実現してもよい。
【0335】
なお、第1の装置3210は、上記の第1の装置810と同じように動作してもよい。
【0336】
図35は、第2の装置3220の構成を示す図である。第2の装置3220は、受信部3221と、処理部3222とを備える。受信部3221は、第1の装置3210から伝送関連情報を受信する。処理部3222は、伝送関連情報を用いて、第1の装置3210との通信に関する処理を行う。
【0337】
第2の装置3220の構成要素3221~3222は、1つ以上のプロセッサと、メモリとにより実装されてもよい。当該1つ以上のプロセッサは、例えば、CPU、MPU及びマイクロコントローラのうちの1つ以上を含んでよい。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含んでもよい。メモリは、プログラムコード(インストラクション)を記憶していてもよい。1つ以上のプロセッサは、メモリに記憶されたプログラムコードを実行することにより、第2の装置3220の機能を実現してもよい。
【0338】
なお、第2の装置3220は、上記の第2の装置820と同じように動作してもよい。
【0339】
<6-2.無線通信装置の処理の流れ>
図36は、第1の装置3210の処理の流れを示すフローチャートである。取得部3211は、伝送関連情報を取得する(3501)。送信部3212は、伝送関連情報を第2の装置3220へ送信する(3502)。
【0340】
図37は、第2の装置3220の処理の流れを示すフローチャートである。受信部3221は、第1の装置3210から伝送関連情報を受信する(3601)。処理部3222は、伝送関連情報を用いて、第1の装置3210との通信に関する処理を行う(3602)。
【0341】
上記の構成によれば、第1の装置3210と第2の装置3220との間で伝送関連情報をやり取りすることにより、第1の装置3210と第2の装置3220との間の伝送を改善することができる。
【0342】
<6-3.変形例>
本開示に係る技術は、上述した実施形態には限定されない。
【0343】
伝送関連情報は、第2の装置3220から第1の装置3210へと送信された信号の伝送過程において生成された情報であってもよい。
【0344】
第1の装置3210は、第2の装置3220から第1の装置3210へと送信された信号を下りリンク信号として端末装置(図示省略)へ送信するように構成されてもよい。この構成において、例えば、伝送関連情報は、第1の装置3210から端末装置へ送信されるべき下りリンク信号に関する情報であってもよい。伝送関連情報は、上記の下りリンク信号を周波数変換することにより得られた信号であってもよい。
【0345】
伝送関連情報は、第2の装置3220から第1の装置3210へと送信された信号の伝送過程において生じた歪みに関する情報を含んでもよい。
【0346】
伝送関連情報は、第2の装置3220から第1の装置3210へと送信された信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値を出力するニューラルネットワークのパラメータであってもよい。例えば、伝送関連情報は、上述した実施形態における第1のNN300のパラメータであってもよい。
【0347】
送信部3212は、第2の装置3220から送信された指示信号に応じて、伝送関連情報の送信を制御してもよい。例えば、指示信号は、上述した実施形態における第1の指示信号及び第2の指示信号を含んでもよい。
【0348】
送信部3212は、第1の装置3210と第2の装置3220との間の伝送に関する所定の条件が成立した場合、伝送関連情報を第2の装置3220へ送信してもよい。所定の条件は、第2の装置3220から第1の装置3210へと送信された信号の伝送過程において生じた歪み量に関する条件であってもよい。上記の所定の条件は、上述した実施形態における第1の条件であってもよい。所定の条件は、上述した実施形態における第3の条件であってもよい。
【0349】
第1の装置3210及び第2の装置3220は、TDD方式で動作するように構成されてもよい。この場合、送信部3212は、下りリンクのスロットにおいて、伝送関連情報を第2の装置3220へ送信してもよい。
【0350】
第2の装置3220は、伝送関連情報の送信に関する指示信号を第1の装置3210へ送信する送信部を更に備えてもよい。例えば、指示信号は、上述した実施形態における第1の指示信号及び第2の指示信号を含んでもよい。
【0351】
第2の装置3220の送信部は、第1の装置3210と第2の装置3220との間の伝送に関する所定の条件が成立した場合、指示信号を第1の装置3210へ送信してもよい。上記の所定の条件は、上述した実施形態における第1の条件及び第2の条件を含んでもよい。
【0352】
第1の装置3210及び第2の装置3220は、TDD方式で動作するように構成されてもよい。この場合、第2の装置3220の送信部は、上りリンクのスロットにおいて、指示信号を第1の装置3210へ送信してもよい。
【0353】
第1の装置3210との通信に関する処理は、デルタシグマ変調を含んでもよい。処理部3222は、伝送関連情報を用いてデルタシグマ変調を実行してもよい。処理部3222は、当該デルタシグマ変調により出力された信号を第1の装置3210へ送信してもよい。
【0354】
第1の物理レイヤに関する処理は、フィルタリング処理、増幅処理及び周波数変換処理の1つ以上を含んでもよい。第1の物理レイヤに関する処理は、この例に限定されない。
【0355】
第2の物理レイヤに関する処理は、変調処理を含んでもよい。変調処理は、デルタシグマ変調を含んでもよい。第2の物理レイヤに関する処理は、第1の物理レイヤに関する処理よりも上位の処理である限り、他の処理であってもよい。
【0356】
第1の装置3210及び第2の装置3220は、3GPPの技術仕様に準拠すると共に、O-RAN(Open RAN)アライアンスの技術仕様に準拠してもよい。
【0357】
なお、以上説明した実施形態及び変形例はあくまで一例であり、本開示の技術的思想の範囲は、上述の構成に限定されない。本開示の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本開示の範囲内に含まれる。
【0358】
上述した実施形態及び変形例は、デジタルシグマ変調を用いたRoFシステム以外のシステムに適用されてもよい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、アナログRoFシステムに適用されてもよい。アナログRoFシステムは、アナログ信号を光信号に変換して、当該光信号を光ファイバ上で伝送する公知のシステムである。
【0359】
フローチャート又はシーケンス図に示した処理ステップは、必ずしも図示した順序通りに実行されなくてもよい。処理ステップは図示した順序とは異なる順序で実行されてもよく、2つ以上の処理ステップが並列的に実行されてもよい。また、一部の処理ステップが削除されてもよく、さらなる処理ステップが追加されてもよい。
【0360】
図面上の矢印は、ある構成要素から別の構成要素への信号(データ)の流れの方向を示す一例であり、上記2つの構成要素の双方向の通信を排除するものではない。
【0361】
本明細書において、「XをYへ送信する」とは、XをYへ直接的に送信することに限られず、XをYへ間接的に送信すること(即ち、Xが他のノードへ送信され、Xが当該他のノードからYへ送信されること)を含む。同様に、「XをYから受信する」とは、XをYから直接的に受信することに限られず、XをYから間接的に受信すること(即ち、XがYから他のノードへ送信され、Xが当該他のノードから受信されること)を含む。従って、第1の装置810と第2の装置820との間に中継器が配置されてもよい。中継器は、第2の信号の送信及び/又は伝送関連情報の送信を中継してもよい。
【0362】
本明細書において説明した装置の機能は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組み合わせのうちの何れかで実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムコード(インストラクション)は、例えば、各装置の内部又は外部のコンピュータ読取可能な記録媒体において記憶され、実行時にメモリへ読み込まれてプロセッサにより実行されてよい。また、プログラムコードを記録したコンピュータ読取可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。
【0363】
上記実施形態及び変形例の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0364】
(付記1)
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置であって、
前記第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得する取得部と、
前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する送信部と、
を備える第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0365】
(付記2)
前記伝送に関する前記情報は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程において生成された情報である、付記1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0366】
(付記3)
前記伝送に関する前記情報は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置から端末装置へ送信されるべき下りリンク信号に関する情報である、付記2に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0367】
(付記4)
前記伝送に関する前記情報は、前記下りリンク信号を周波数変換することにより得られた信号である、付記3に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0368】
(付記5)
前記伝送に関する前記情報は、前記伝送過程において生じた歪みに関する情報を含む、付記2に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0369】
(付記6)
前記伝送に関する前記情報は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値を出力するニューラルネットワークのパラメータである、付記1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0370】
(付記7)
前記送信部は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から送信された指示信号に応じて、前記伝送に関する前記情報の前記送信を制御する、付記1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0371】
(付記8)
前記指示信号は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ前記伝送に関する前記情報を送信することを前記第1の無線アクセスネットワーク装置に対して指示する第1の指示信号を含む、付記7に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0372】
(付記9)
前記第1の指示信号は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置が前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へと送信する回数についての情報を含む、付記8に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0373】
(付記10)
前記第1の指示信号は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置が前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へと送信する周期についての情報を含む、付記8に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0374】
(付記11)
前記周期は、フレーム、サブフレーム又はスロットによって定義される、付記10に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0375】
(付記12)
前記周期は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値を出力するニューラルネットワークの学習期間によって定義される、付記10に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0376】
(付記13)
前記指示信号は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置への前記伝送に関する前記情報の送信を停止することを前記第1の無線アクセスネットワーク装置に対して指示する第2の指示信号を含む、付記7に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0377】
(付記14)
前記送信部は、前記伝送に関する所定の条件が成立した場合、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する、付記1に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0378】
(付記15)
前記所定の条件は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程において生じた歪み量に関する条件である、付記14に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0379】
(付記16)
前記第1の無線アクセスネットワーク装置及び前記第2の無線アクセスネットワーク装置は、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)方式で動作するように構成され、
前記送信部は、下りリンクのスロットにおいて、前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信する、付記1~15の何れか一項に記載の第1の無線アクセスネットワーク装置。
【0380】
(付記17)
第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置であって、
前記第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を受信する受信部と、
前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行う処理部と、
を備える第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0381】
(付記18)
前記伝送に関する前記情報は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程において生成された情報である、付記17に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0382】
(付記19)
前記伝送に関する前記情報は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置から端末装置へ送信されるべき下りリンク信号に関する情報である、付記18に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0383】
(付記20)
前記伝送に関する前記情報は、前記下りリンク信号を周波数変換することにより得られた信号である、付記19に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0384】
(付記21)
前記伝送に関する前記情報は、前記伝送過程において生じた歪みに関する情報を含む、付記18に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0385】
(付記22)
前記伝送に関する前記情報は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値を出力するニューラルネットワークのパラメータである、付記17に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0386】
(付記23)
前記伝送に関する前記情報の送信に関する指示信号を前記第1の無線アクセスネットワーク装置へ送信する送信部
を更に備える付記17に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0387】
(付記24)
前記送信部は、前記伝送に関する所定の条件が成立した場合、前記指示信号を前記第1の無線アクセスネットワーク装置へ送信する、
付記23に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0388】
(付記25)
前記所定の条件は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程において生じた歪み量に関する条件である、
付記23に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0389】
(付記26)
前記指示信号は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ前記伝送に関する前記情報を送信することを前記第1の無線アクセスネットワーク装置に対して指示する第1の指示信号を含む、付記23に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0390】
(付記27)
前記第1の指示信号は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置が前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へと送信する回数についての情報を含む、付記26に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0391】
(付記28)
前記第1の指示信号は、前記第1の無線アクセスネットワーク装置が前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へと送信する周期についての情報を含む、付記26に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0392】
(付記29)
前記周期は、フレーム、サブフレーム又はスロットによって定義される、付記28に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0393】
(付記30)
前記周期は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置から前記第1の無線アクセスネットワーク装置へと送信された信号の伝送過程の少なくとも一部を経て生成される信号の近似値を出力するニューラルネットワークの学習期間によって定義される、付記28に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0394】
(付記31)
前記指示信号は、前記第2の無線アクセスネットワーク装置への前記伝送に関する前記情報の送信を停止することを前記第1の無線アクセスネットワーク装置に対して指示する第2の指示信号を含む、付記23に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0395】
(付記32)
前記第1の無線アクセスネットワーク装置及び前記第2の無線アクセスネットワーク装置は、時分割複信(Time Division Duplex:TDD)方式で動作するように構成され、
前記送信部は、上りリンクのスロットにおいて、前記指示信号を前記第1の無線アクセスネットワーク装置へ送信する、付記23~31の何れか一項に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0396】
(付記33)
前記第1の無線アクセスネットワーク装置との前記通信に関する前記処理は、デルタシグマ変調を含む、付記17~32の何れか一項に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0397】
(付記34)
前記処理部は、前記デルタシグマ変調により出力された信号を前記第1の無線アクセスネットワーク装置へ送信する、付記33に記載の第2の無線アクセスネットワーク装置。
【0398】
(付記35)
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、
前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置と、
を備え、
前記第1の無線アクセスネットワーク装置は、
前記第1の無線アクセスネットワーク装置と前記第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得し、
前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信し、
前記第2の無線アクセスネットワーク装置は、
前記伝送に関する前記情報を受信し、
前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を実行する、
無線通信装置。
【0399】
(付記36)
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置における方法であって、
前記第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得することと、
前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信することと、
を含む方法。
【0400】
(付記37)
第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置における方法であって、
前記第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を受信することと、
前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行うことと、
を含む方法。
【0401】
(付記38)
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を取得することと、
前記伝送に関する前記情報を前記第2の無線アクセスネットワーク装置へ送信することと、
をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【0402】
(付記39)
第1の物理レイヤに関する処理を行う第1の無線アクセスネットワーク装置と、前記第1の物理レイヤよりも上位の第2の物理レイヤに関する処理を行う第2の無線アクセスネットワーク装置との間の伝送に関する情報を受信することと、
前記伝送に関する前記情報を用いて、前記第1の無線アクセスネットワーク装置との通信に関する処理を行うことと、
をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0403】
2つの通信装置の間の伝送を改善するための適切な情報を送信又は受信することができる。
【符号の説明】
【0404】
110 :デルタシグマ変調装置
111 :デルタシグマ変調部
112 :ニューラルネットワーク処理部
113 :ニューラルネットワーク学習部
810 :第1の装置
820 :第2の装置
3210 :第1の無線アクセスネットワーク装置
3220 :第2の無線アクセスネットワーク装置