(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】静電容量センサ、及び、測定器
(51)【国際特許分類】
G01R 27/26 20060101AFI20241217BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G01R27/26 C
G01N27/22 B
(21)【出願番号】P 2023546830
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2022029528
(87)【国際公開番号】W WO2023037793
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2021148131
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022088969
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】倉持 美惠
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 純
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智紀
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-265079(JP,A)
【文献】特開2021-83482(JP,A)
【文献】特開2011-166240(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125222(WO,A1)
【文献】特開2005-287547(JP,A)
【文献】特開平10-104292(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0259284(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018556(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/00
G01N 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサを構成する第1電極及び第2電極を有するセンサ部と、
前記センサ部に接続される静電容量検知回路と、
を備え、
前記静電容量検知回路は、
前記第1電極と前記第2電極とに接続され、前記コンデンサを充放電させるための充放電回路と、
前記コンデンサが充放電を繰り返すように前記充放電回路を制御する制御回路と、
前記コンデンサと並列となるように前記第1電極に接続される第1補助コンデンサと、前記コンデンサと並列となるように前記第2電極に対して接続される第2補助コンデンサと、の少なくとも一方を有する補助容量回路と、
を備える、
静電容量センサ。
【請求項2】
前記補助容量回路は、前記第1補助コンデンサと前記第2補助コンデンサとを有する、
請求項1に記載の静電容量センサ。
【請求項3】
前記第1補助コンデンサの静電容量と前記第2補助コンデンサの静電容量とは等しい、
請求項2に記載の静電容量センサ。
【請求項4】
前記第1補助コンデンサの静電容量と前記第2補助コンデンサの静電容量とが異なる、
請求項2に記載の静電容量センサ。
【請求項5】
前記充放電回路は、前記第1電極に一定の出力電流を供給する第1状態と、前記第2電極に一定の出力電流を供給する第2状態と、が相補的に切り替え可能に構成され、
前記制御回路は、
前記充放電回路が前記第1状態である場合に前記第1電極の電位が第1閾値に達すると前記充放電回路を前記第1状態から前記第2状態に切り替え、
前記充放電回路が前記第2状態である場合に前記第2電極の電位が第2閾値に達すると前記充放電回路を前記第2状態から前記第1状態に切り替える、
ように構成される、
請求項1に記載の静電容量センサ。
【請求項6】
前記第1閾値と前記第2閾値とは等しい、
請求項5に記載の静電容量センサ。
【請求項7】
前記充放電回路は、電源に接続される電源端子と基準電位に接続される基準電位端子との間に接続され、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ及び第4スイッチを有し、
前記第1スイッチと前記第3スイッチは、直列回路を構成し、
前記第1スイッチと前記第3スイッチの直列回路は、前記第1スイッチが前記電源端子、前記第3スイッチが前記基準電位端子に接続されるように、前記電源端子と前記基準電位端子との間にあり、
前記第1スイッチと前記第3スイッチとの接続点が前記第1電極に接続され、
前記第2スイッチと前記第4スイッチは、直列回路を構成し、
前記第2スイッチと前記第4スイッチの直列回路は、前記第2スイッチが前記電源端子、前記第4スイッチが前記基準電位端子に接続され、かつ、前記第1スイッチと前記第3スイッチの直列回路に並列に接続されるように、前記電源端子と前記基準電位端子との間にあり、
前記第2スイッチと前記第4スイッチとの接続点が前記第2電極に接続され、
前記第1状態では、前記第1及び第4スイッチがオン、前記第2及び第3スイッチがオフとなり、
前記第2状態では、前記第1及び第4スイッチがオフ、前記第2及び第3スイッチがオンとなる、
請求項5に記載の静電容量センサ。
【請求項8】
前記第1補助コンデンサが前記第3スイッチに並列となるように、前記第1補助コンデンサの第1端が前記第1電極に接続されるとともに、前記第1補助コンデンサの第2端が前記基準電位端子に接続され、
前記第2補助コンデンサが前記第4スイッチに並列となるように、前記第2補助コンデンサの第1端が前記第2電極に接続されるとともに、前記第2補助コンデンサの第2端が前記基準電位端子に接続される、
請求項7に記載の静電容量センサ。
【請求項9】
前記静電容量検知回路は、
【数1】
及び、
【数2】
を満たし、
Ceは、前記コンデンサの静電容量であり、
Cg1は、前記第1補助コンデンサの静電容量であり、
Cg2は、前記第2補助コンデンサの静電容量であり、
Vth1は、前記第1閾値であり、
Vth2は、前記第2閾値であり、
Vf1は、前記第1補助コンデンサがない場合における前記充放電回路を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた際の前記第1電極の電位の下限値であり、
Vf2は、前記第2補助コンデンサがない場合における前記充放電回路を前記第1状態から前記第2状態に切り替えた際の前記第2電極の電位の下限値である、
請求項8に記載の静電容量センサ。
【請求項10】
Vf1=Vf2を満たす、
請求項9に記載の静電容量センサ。
【請求項11】
Vf1<0及びVf2<0を満たす、
請求項9に記載の静電容量センサ。
【請求項12】
前記第3スイッチと前記第4スイッチの各々は、電界効果トランジスタであり、
Vf1は、前記第3スイッチのボディダイオードの閾値電圧で決まり、
Vf2は、前記第4スイッチのボディダイオードの閾値電圧で決まる、
請求項9に記載の静電容量センサ。
【請求項13】
前記センサ部は、前記第1電極及び前記第2電極が配置されるセンサ基板を有し、
前記充放電回路は、前記センサ基板とは別の回路基板に配置され、
前記補助容量回路は、前記センサ基板と前記回路基板との間で、かつ、前記センサ基板よりも前記回路基板に近い位置に配置される、
請求項1~12のいずれか一つに記載の静電容量センサ。
【請求項14】
前記静電容量検知回路による前記コンデンサの充放電の時間に基づいて前記コンデンサの静電容量を算出する処理回路をさらに備える、
請求項1~12のいずれか一つに記載の静電容量センサ。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一つに記載の静電容量センサと、
前記静電容量センサを収容するハンドヘルド筐体と、
を備える、
測定器。
【請求項16】
前記静電容量検知回路による前記コンデンサの充放電の時間に基づいて前記コンデンサの静電容量を算出する処理回路をさらに備える、
請求項15に記載の測定器。
【請求項17】
前記ハンドヘルド筐体は、
前記ハンドヘルド筐体の第1端に配置されるとともに測定対象に接触されるヘッド部と、
前記ハンドヘルド筐体の第2端に配置されるとともに手で握られるグリップ部と、
前記ヘッド部と前記グリップ部とを結合するプローブ部と、
を含み、
前記センサ部は、前記ヘッド部に位置し、
前記静電容量検知回路は、前記ヘッド部又は前記プローブ部に位置し、
前記処理回路は、前記グリップ部に位置する、
請求項16に記載の測定器。
【請求項18】
前記グリップ部は、前記グリップ部の表面に露出する導電部を有し、
前記導電部は、前記処理回路の基準電位に接続される、
請求項17に記載の測定器。
【請求項19】
前記センサ部は、前記ヘッド部から露出する表面を有し、
前記センサ部の表面は、凹凸形状を有する、
請求項17に記載の測定器。
【請求項20】
前記センサ部は、前記ヘッド部から露出する表面を有し、
前記ヘッド部は、前記センサ部の表面を囲う枠状領域を有し、
前記センサ部の表面の少なくとも一部は、前記ヘッド部の枠状領域に対して突出又は凹没する、
請求項17に記載の測定器。
【請求項21】
前記センサ部の表面の全部は、前記ヘッド部の枠状領域から突出する、
請求項20に記載の測定器。
【請求項22】
前記センサ部の表面と前記枠状領域を含む所定平面との間の距離は、5μm以上1mm以下である、
請求項20に記載の測定器。
【請求項23】
前記処理回路は、前記センサ部が前記測定対象から受ける荷重が所定値以上である間に、前記コンデンサの静電容量に基づく演算の結果を出力する、
請求項17に記載の測定器。
【請求項24】
前記センサ部は、前記第1及び第2電極が測定対象に接触することで前記第1及び第2電極が前記測定対象の一部とともに前記コンデンサを形成するように構成され、
前記処理回路は、前記コンデンサの静電容量に基づいて前記測定対象の水分量を求めるように構成される、
請求項16に記載の測定器。
【請求項25】
前記測定対象は、生物である、
請求項24に記載の測定器。
【請求項26】
前記測定対象は、生物の口腔である、
請求項24に記載の測定器。
【請求項27】
前記センサ部は、圧力が加わることで変形する変形部を備え、
前記センサ部は、前記第1及び第2電極が前記変形部とともに前記コンデンサを形成するように構成され、
前記処理回路は、前記コンデンサの静電容量に基づいて前記圧力を測定する、
請求項26に記載の測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電容量センサ、及び、測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、静電容量式のセンサ(静電容量センサ)を備える測定器として、口腔内水分測定器を開示する。特許文献1に記載の口腔内水分測定器は、本体に対して所定の揺動中心を中心に揺動する揺動部材と、前記揺動部材の先端側に設けられ、口腔内の測定部位に直接的又は間接的に当接されて水分量を検出する水分量検出部と、前記揺動部材を揺動方向の一方に付勢する付勢部材と、を備えている。水分量検出部は、静電容量式のセンサを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、口腔内水分測定器は、人が手で持った状態で使用される。そのため、口腔内水分測定器は、人体と口腔内水分測定器との間に発生する浮遊容量の影響を受けて、測定精度が低下する場合がある。
【0005】
本開示は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる、静電容量センサ、及び測定器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる静電容量センサは、コンデンサを構成する第1電極及び第2電極を有するセンサ部と、センサ部に接続される静電容量検知回路とを備える。静電容量検知回路は、第1電極と第2電極とに接続されコンデンサを充放電させるための充放電回路と、コンデンサが充放電を繰り返すように充放電回路を駆動する駆動回路と、コンデンサと並列になるように第1電極に接続される第1補助コンデンサと、コンデンサと並列になるように第2電極に接続される第2補助コンデンサとの少なくとも一方を有する補助容量回路とを備える。
【0007】
本開示の一態様にかかる測定器は、上記の静電容量センサと、静電容量センサを収容するハンドヘルド筐体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる測定器の構成例の概略図
【
図2】
図1の測定器の静電容量センサの構成例の回路図
【
図3】
図2の静電容量センサのセンサ部の構成例の概略断面図
【
図6】
図2の静電容量センサの静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図
【
図7】
図2の静電容量検知回路の動作の一例の説明図
【
図8】
図2の静電容量検知回路の動作の一例の説明図
【
図9】
図2の静電容量検知回路の動作の一例の説明図
【
図10】
図2の静電容量検知回路の動作の一例の説明図
【
図11】
図2の静電容量検知回路の動作の一例の説明図
【
図12】
図2の静電容量検知回路の動作の一例の説明図
【
図13】比較例の静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図
【
図14】
図1の測定器の使用時に生じる容量の説明図
【
図15】実施の形態1の一変形例の静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図
【
図16】実施の形態2にかかる測定器の静電容量センサの構成例の回路図
【
図17】
図16の静電容量センサの静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図
【
図24】実施の形態2の一変形例の静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図
【
図25】実施の形態3にかかる測定器の構成例の概略図
【
図27】実施の形態4にかかる測定器のヘッド部の構成例の概略斜視図
【
図28】
図27の測定器の静電容量センサのセンサ部の構成例の説明図
【
図29】
図27の測定器の静電容量センサのセンサ部の構成例の概略断面図
【
図32】実施の形態5にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部の構成例の概略断面図
【
図35】実施の形態6にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部の構成例の概略断面図
【
図36】実施の形態7にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部の構成例の概略断面図
【
図37】実施の形態8にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部の構成例の概略断面図
【
図38】実施の形態9にかかる測定器のヘッド部の構成例の概略斜視図
【
図39】実施の形態10にかかる測定器のヘッド部の構成例の概略斜視図
【
図40】実施の形態11にかかる測定器の構成例の概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1.実施の形態]
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0012】
以下の実施の形態において、「A及びBが、C及びDにそれぞれ接続される」及びこれに類する表現は、「AがCに接続され、BがDに接続される」ことを意味しており、「A及びBがCに接続され、A及びBがDに接続される」ことを意味しているわけではない。また、「複数のAが、複数のCにそれぞれ接続される」及びこれに類する表現は、「AとCとが一対一対応で接続される」ことを意味している。
【0013】
本開示の回路構成において、「接続される」とは、接続端子及び/又は配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路部品を介して電気的に接続される場合も含む。また、「A及びBの間に接続される」とは、A及びBの間でA及びBの両方に接続されることを意味する。
【0014】
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、実施の形態1にかかる測定器10の構成例の概略図である。測定器10は、測定対象の水分量を測定するための水分測定器である。測定対象は、例えば、生物である。特に、測定対象は、生物の口腔である。本実施の形態では、測定器10は、人の口腔の特定部位の水分量の測定に利用される。ヘルスケア用途において、測定器10は、口腔湿潤計ともいわれる。
【0015】
図1の測定器10は、静電容量式の水分測定器である。測定器10は、静電容量センサ1と、ハンドヘルド筐体2とを備える。
【0016】
ハンドヘルド筐体2は、静電容量センサ1を収容する。ハンドヘルド筐体2は、人が片手で持てる大きさ及び重さである。ハンドヘルド筐体2は、防水構造を有し、ハンドヘルド筐体2内の静電容量センサ1を水分から保護する。
図1のハンドヘルド筐体2は、棒状である。ハンドヘルド筐体2は、ヘッド部21と、グリップ部22と、プローブ部23とを備える。
図1のハンドヘルド筐体2は、いわゆる歯ブラシのような形状である。ヘッド部21は、ハンドヘルド筐体2において測定対象に接触される部位である。ヘッド部21は、ハンドヘルド筐体2の第1端(
図1における左端)に配置される。本実施の形態では、ヘッド部21は、使用時に人の口腔内に入れられる。グリップ部22は、ハンドヘルド筐体2において手で握られる部位である。グリップ部22は、ハンドヘルド筐体2の第2端に(
図1における右端)配置される。グリップ部22は、導電部221を含む。導電部221は、グリップ部22の表面に露出する。導電部221は、人がグリップ部22を握った際に、人の手が当たる位置にあるとよい。導電部221は、後述する基準電位Vg(
図2参照)に接続される。プローブ部23は、ヘッド部21とグリップ部22とを結合する。プローブ部23の長さは、人がグリップ部22を握ってヘッド部21を測定対象に接触させやすいように、設定されてよい。
【0017】
静電容量センサ1は、静電容量に基づいて測定対象の水分量を求める。
図2は、静電容量センサ1の構成例の回路図である。
図2の静電容量センサ1は、センサ部3と、静電容量検知回路4と、処理回路5とを備える。本実施の形態では、センサ部3及び静電容量検知回路4は、ハンドヘルド筐体2のヘッド部21に位置する。静電容量検知回路4は、ハンドヘルド筐体2のプローブ部23に位置してもよい。本実施の形態では、処理回路5は、ハンドヘルド筐体2のグリップ部22に位置する。
図2に示すように、静電容量センサ1は、直流電源6から、静電容量センサ1の動作に必要な電力を得る。直流電源6は、一次電池又は二次電池であってよい。直流電源6は、交換可能であってよい。
【0018】
図2のセンサ部3は、第1電極31と第2電極32とを備える。センサ部3は、第1及び第2電極31,32が測定対象に接触することで第1及び第2電極31,32が測定対象の一部とともにコンデンサ30を形成するように構成される。以下、センサ部3の構成について
図3~
図5を参照して更に詳細に説明する。
図3は、センサ部3の構成例の概略断面図である。
図4は、センサ部3の概略平面図である。
図5は、センサ部3の概略底面図である。
【0019】
図3のセンサ部3は、第1電極31と第2電極32とに加えて、センサ基板33と、保護層34とを備える。
図3~
図5に示すように、センサ基板33は矩形板状である。センサ基板33は、センサ基板33の厚み方向において第1面33a及び第2面33bを有する。センサ基板33には、第1電極31と第2電極32と保護層34とが配置される。
【0020】
第1電極31は、電極部311と、端子部312と、接続部313とを有する。電極部311は、測定対象との接触に用いられる。
図3に示すように、電極部311は、センサ基板33の第1面33aに配置される。
図4に示すように、電極部311は、櫛歯構造である。電極部311は、所定間隔で並ぶ複数の歯部3111と、複数の歯部3111の一端同士を連結する連結部3112とを有する。
図3に示すように、電極部311は、複数の金属層を含む。電極部311の複数の金属層は、Ni層311aと、Ni層311aを覆うPd層311bと、Pd層311bを覆うAu層311cとを含む。電極部311の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。端子部312は、静電容量検知回路4との接続に用いられる。
図3に示すように、端子部312は、センサ基板33の第2面33bに配置される。
図4に示すように、端子部312は、矩形の板状である。
図3に示すように、端子部312は、複数の金属層(金属膜)を含む。端子部312の複数の金属層は、Ni層312aと、Ni層312aを覆うPd層312bと、Pd層312bを覆うAu層312cとを含む。端子部312の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。接続部313は、電極部311と端子部312とを接続する。
図3に示すように、接続部313は、センサ基板33を貫通するビアである。接続部313は、例えば、Ag製である。
【0021】
第2電極32は、電極部321と、端子部322と、接続部323とを有する。電極部321は、測定対象との接触に用いられる。
図3に示すように、電極部321は、センサ基板33の第1面33aに配置される。
図4に示すように、電極部321は、櫛歯構造である。電極部321は、所定間隔で並ぶ複数の歯部3211と、複数の歯部3211の一端同士を連結する連結部3212とを有する。
図3に示すように、電極部321は、複数の金属層を含む。電極部321の複数の金属層は、Ni層321aと、Ni層321aを覆うPd層321bと、Pd層321bを覆うAu層321cとを含む。電極部321の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。端子部322は、静電容量検知回路4との接続に用いられる。
図3に示すように、端子部322は、センサ基板33の第2面33bに配置される。
図4に示すように、端子部322は、矩形の板状である。
図3に示すように、端子部322は、複数の金属層(金属膜)を含む。端子部322の複数の金属層は、Ni層322aと、Ni層322aを覆うPd層322bと、Pd層322bを覆うAu層322cとを含む。端子部322の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。接続部323は、電極部321と端子部322とを接続する。
図3に示すように、接続部323は、センサ基板33を貫通するビアである。接続部323は、例えば、Ag製である。
【0022】
図3に示すように、保護層34は、センサ基板33の第1面33aに配置される。保護層34は、第1電極31の電極部311と第2電極32の電極部321とを覆う。保護層34は、第1電極31と第2電極32とを保護する。保護層34は、例えば、絶縁性を有する。保護層34は、例えば、ポリイミド等の絶縁性を有する材料により形成される。
【0023】
図2の静電容量検知回路4は、センサ部3のコンデンサ30の充放電時間に基づいてコンデンサ30の静電容量を検知する。静電容量検知回路4は、電源Iinに接続される電源端子41aと、基準電位Vgに接続される基準電位端子41bと、充放電回路42と、制御回路43と、補助容量回路44とを備える。充放電回路42と、制御回路43と、補助容量回路44とは、センサ基板33とは別の回路基板4aに配置される(
図14参照)。回路基板4aには、電源Iinが配置される。
【0024】
電源Iinは、静電容量検知回路4にコンデンサ30を充電するための電力を供給する。
図2の電源Iinは、静電容量検知回路4に一定の出力電流を出力する定電流源である。電
源Iinは、直流電源6からの電力により動作する。電源Iinは、従来周知の構成であってよいから詳細な説明は省略する。
【0025】
図2の充放電回路42は、コンデンサ30を構成する第1及び第2電極31,32に接続され、センサ部3のコンデンサ30を充放電させるように構成される。
図2の充放電回路42は、電源端子41aと基準電位端子41bとの間に接続される。充放電回路42は、第1~第4スイッチS1~S4を備える。
【0026】
第1スイッチS1は、第1電極31と電源端子41aとの間に接続される。第2スイッチS2は、第2電極32と電源端子41aとの間に接続される。第3スイッチS3は、第1電極31と基準電位端子41bとの間に接続される。第4スイッチS4は、第2電極32と基準電位端子41bとの間に接続される。換言すれば、充放電回路42では、第1スイッチS1と第3スイッチS3とが直列回路を構成し、第1スイッチS1と第3スイッチS3との直列回路が電源端子41aと基準電位端子41bとの間に接続され、第1スイッチS1と第3スイッチS3との接続点が第1電極31に接続されている。換言すれば、充放電回路42では、第2スイッチS2と第4スイッチS4が直列回路を構成し、第2スイッチS2と第4スイッチS4との直列回路が電源端子41aと基準電位端子41bとの間に接続され、第2スイッチS2と第4スイッチS4との接続点が第2電極32に接続されている。
【0027】
本実施の形態において、第1~第4スイッチS1~S4の各々は、電界効果トランジスタである。第1~第4スイッチS1~S4の各々は、例えば、MOSFETである。ここで、第1及び第2スイッチS1,S2は、エンハンスメント型PチャネルMOSFETであり、第3及び第4スイッチS3,S4は、エンハンスメント型NチャネルMOSFETである。
【0028】
充放電回路42は、第1状態と第2状態とを相補的に切り替え可能に構成される。第1状態は、センサ部3の第1電極31に定電流を供給する状態である。
図2では、第1状態は、電源Iinからの出力電流を第1電極31に供給する状態である。第1状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオン、第2及び第3スイッチS2,S3がオフとなる。そのため、第1及び第2電極31,32が電源端子41a及び基準電位端子41bにそれぞれ接続される。第1状態では、第1電極31の電位が第2電極32の電位より高くなるようにコンデンサ30が充電される。第2状態は、センサ部3の第2電極32に定電流を供給する状態である。
図2では、第2状態は、電源Iinからの出力電流を第2電極32に供給する状態である。第2状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオフ、第2及び第3スイッチS2,S3がオンとなる。そのため、第1及び第2電極31,32が基準電位端子41b及び電源端子41aにそれぞれ接続される。第2状態では、第2電極32の電位が第1電極31の電位より高くなるようにコンデンサ30が充電される。充放電回路42は、第1電極31と第2電極32との正負が交互に入れ替わるように第1及び第2電極31,32に電力を供給するから、発振回路であるともいえる。
【0029】
充放電回路42は、第1状態と第2状態の切り替えの際には、直列接続された2つのスイッチ(第1及び第3スイッチS1,S3又は第2及び第4スイッチS2,S4)がショートすることによる過電流を防ぐため、第1スイッチS1~第4スイッチS4が全てオフとなる第3状態にすることで、デッドタイムを設ける。充放電回路42は、第1状態と第2状態との切り替え時には、第1状態→第3状態→第2状態、もしくは、第2状態→第3状態→第1状態となるよう第1~第4スイッチS1~S4の制御を行う。
【0030】
図2の補助容量回路44は、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bを備える。第1及び第2補助コンデンサ44a,44bは、コンデンサ30の静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減するために設けられる。第1補助コンデンサ44aはコンデンサ30と並列になるように、第1補助コンデンサ44aの第1端が第1電極31に接続されるとともに第1補助コンデンサ44aの第2端が基準電位端子41bに接続される。本実施の形態において、第1補助コンデンサ44aは、第3スイッチS3に並列に接続される。これにより、第1補助コンデンサ44aは、第1電極31と基準電位端子41bとの間に接続される。第2補助コンデンサ44bはコンデンサ30と並列になるように、第2補助コンデンサ44bの第1端が第2電極32に接続されるとともに第2補助コンデンサ44bの第2端が基準電位端子41bに接続される。本実施の形態において、第2補助コンデンサ44bは、第4スイッチS4に並列に接続される。これにより、第2補助コンデンサ44bは、第2電極32と基準電位端子41bとの間に接続される。
【0031】
第1及び第2補助コンデンサ44a,44bの静電容量は、例えば、コンデンサ30の静電容量の測定可能範囲に基づいて設定されてよい。コンデンサ30の静電容量の測定可能範囲は、測定対象に基づいて適宜設定される。一例として、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bの静電容量は、コンデンサ30の静電容量の測定可能範囲内の任意の値の5倍に設定されてよい。ここで、任意の値は、上限値であってよい。口腔内の水分量の測定の場合、一例として、上限値は、9.4pFであってよく、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bの静電容量は、47pFであってよい。本実施の形態では、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bの静電容量は互いに等しい。
【0032】
補助容量回路44は、センサ部3のセンサ基板33と回路基板5aとの間で、かつ、センサ基板33よりも回路基板5aに近い位置に配置される。本実施の形態において、補助容量回路44は、回路基板5aに配置される。センサ部3は静電容量センサ1において測定対象に接触される接触部分であるから、接触部分から遠いほど浮遊容量の影響を抑制することが可能となる。したがって、センサ部3の第1電極31及び第2電極32からの浮遊容量の影響を低減することができる。
【0033】
図2の制御回路43は、センサ部3のコンデンサ30が充放電を繰り返すように充放電回路42を制御するように構成される。本実施の形態において、制御回路43は、充放電回路42が第1状態と第2状態とに交互に切り替わるように充放電回路42を制御する。
【0034】
以下、制御回路43についてさらに詳細に説明する。
図2の制御回路43は、判定回路431と、駆動回路432とを有する。
【0035】
判定回路431は、センサ部3のコンデンサ30の充放電の切り替えのタイミングを決定するように構成される。コンデンサ30の充放電の切り替えのタイミングは、充放電回路42の第1状態と第2状態との切り替えのタイミングである。判定回路431は、第1電極31の電位及び第2電極32の電位に基づいてセンサ部3のコンデンサ30の充放電の切り替えのタイミングを決定する。判定回路431は、充放電回路42が第1状態である場合に第1電極31の電位が第1閾値に達したかどうかの判定を実行する。判定回路431は、充放電回路42が第2状態である場合に第2電極32の電位が第2閾値に達したかどうかの判定を実行する。本実施の形態では、第1閾値と第2閾値とは互いに等しい。判定回路431の判定の結果は、駆動回路432に出力される。判定回路431は、例えば、第1電極31の電位と第1閾値とを比較する第1コンパレータと、第2電極32の電位と第2閾値とを比較する第2コンパレータと、第1及び第2コンパレータからの出力信号が入力されるOR回路とを備えて構成されてよい。
【0036】
駆動回路432は、判定回路431の判定結果に応じて充放電回路42の第1~第4スイッチS1~S4を駆動するように構成される。本実施の形態では、駆動回路432は、第1及び第3スイッチS1,S3に共通の第1駆動信号D1を出力し、第2及び第4スイッチS2,S4に共通の第2駆動信号D2を出力する。上述したように、第1及び第2スイッチS1,S2はエンハンスメント型PチャネルMOSFETであり、第3及び第4スイッチS3,S4は、エンハンスメント型NチャネルMOSFETである。第1~第4スイッチS1~S4を駆動するにあたっては、第1駆動信号D1の電圧値と第2駆動信号D2の電圧値とは、ハイレベル又はロウレベルに設定される。ハイレベル及びロウレベルは、第1及び第2スイッチS1,S2のエンハンスメント型PチャネルMOSFET及び第3及び第4スイッチS3,S4のエンハンスメント型NチャネルMOSFETの特性から決定される。ハイレベル及びロウレベルは、第1駆動信号D1がハイレベルのとき、第1スイッチS1がオン、第3スイッチS3がオフ、第1駆動信号D1がロウレベルのとき、第1スイッチS1がオフ、第3スイッチS3がオンとなるように、設定される。ハイレベル及びロウレベルは、第2駆動信号D2がハイレベルのとき、第2スイッチS2がオン、第4スイッチS4がオフ、第2駆動信号D2がロウレベルのとき、第2スイッチS2がオフ、第4スイッチS4がオンとなるように、設定される。第1駆動信号D1と第2駆動信号D2とは、同時にハイレベル又はロウレベルにならないようにされている。
【0037】
駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する場合には、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定する。これによって、第1及び第4スイッチS1、S4がオン、第2及び第3スイッチS2,S3がオフとなる。駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する場合には、第1駆動信号D1の電圧値をロウレベル、第2駆動信号D2の電圧値をハイレベルにそれぞれ設定する。これによって、第1及び第4スイッチS1、S4がオフ、第2及び第3スイッチS2,S3がオンとなる。
【0038】
駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定している状態において、判定回路431により第1電極31の電位が第1閾値に達したと判定されると、第1駆動信号D1の電圧値をロウレベル、第2駆動信号D2の電圧値をハイレベルにそれぞれ設定する。これによって、充放電回路42が第1状態から第2状態に切り替えられる。駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をロウレベル、第2駆動信号D2の電圧値をハイレベルにそれぞれ設定している状態において、判定回路431により第2電極32の電位が第2閾値に達したと判定されると、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定する。これによって、充放電回路42が第2状態から第1状態に切り替えられる。なお、駆動回路432は、第1及び第2駆動信号D1,D2の電圧値のハイレベルとロウレベルとを切り替える際には、上述したように、第3状態に設定することでデッドタイムを設ける。例えば、駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベルとロウレベルとの間で切り替え、かつ、第2駆動信号D2の電圧値をハイレベルとロウレベルとの間で切り替える過程において、第1駆動信号D1の電圧値及び第2駆動信号D2の電圧値を、
図8のように第1~第4スイッチS1~S4の全てがオフになる中間電圧に設定する。これによって、充放電回路42において電源Iinと基準電位Vgとが短絡される可能性が低減される。
【0039】
次に、
図6~
図13を参照して静電容量検知回路4の動作の一例について説明する。
【0040】
図6は、静電容量検知回路4の動作の一例のタイミング図である。
図6において、V1は第1電極31の電位を示し、V2は第2電極32の電位を示す。
図6において、Hは、第2駆動信号D2の電圧値がハイレベルの状態に対応し、Lは、第2駆動信号D2の電圧値がロウレベルの状態を示す。
図7~
図13は、静電容量検知回路4の動作の一例の説明図である。
図7~
図13では、図示の簡略化のためだけに、制御回路43を省略している。
【0041】
図6の時刻t10では、コンデンサ30に電荷が蓄積されていない。駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定することにより、充放電回路42を第1状態に設定する。
【0042】
図7は、充放電回路42が第1状態であるときの静電容量検知回路4の動作の説明図である。
図7に示すように、第1状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオン、第2及び第3スイッチS2,S3がオフである。第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。充放電回路42は、第1電極31に並列的に接続される第1補助コンデンサ44aを有するから、第1状態では第1補助コンデンサ44aがコンデンサ30に並列に接続されて、第1補助コンデンサ44aにも電荷が蓄積される。
【0043】
判定回路431は、充放電回路42が第1状態である場合に第1電極31の電位V1が第1閾値に達したかどうかの判定を実行する。
図6では、第1閾値は、Vthである。時刻t11において、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。本実施の形態では、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替える際に、充放電回路42を第3状態に設定することで、デッドタイムを設ける。より詳細には、駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベルからロウレベルに、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルからハイレベルに設定する過程において、第1駆動信号D1の電圧値及び第2駆動信号D2の電圧値を、
図8のように第1~第4スイッチS1~S4の全てがオフになる中間電圧に設定する。
図8は、充放電回路42が第3状態であるときの静電容量検知回路4の動作の説明図である。この後に、駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をロウレベル、第2駆動信号D2の電圧値をハイレベルに設定することにより、充放電回路42を第2状態に設定する。
【0044】
図9は、充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後の静電容量検知回路4の動作の説明図である。
図9に示すように、第2状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオフ、第2及び第3スイッチS2,S3がオンである。コンデンサ30では、第1電極31が基準電位端子41bに接続され、第2電極32が電源端子41aに接続される。充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後は、第2電極32の電位V2が負になる。充放電回路42は、第2電極32に並列的に接続される第2補助コンデンサ44bを有するから、第2状態では第2補助コンデンサ44bがコンデンサ30に並列に接続される。これによって、コンデンサ30の電荷が第2補助コンデンサ44bに移動する。
図6では、第2電極32の電位V2は、Vdまで低下する。Vdは負の値である。Vdは、第1状態においてコンデンサ30に蓄えらえた電荷と、コンデンサ30と第2補助コンデンサ44bの合成静電容量とで決まるから、次式(1)が成立する。
【0045】
【0046】
式(1)において、Ceはコンデンサ30の静電容量であり、Cgは第1補助コンデンサ44aと第2補助コンデンサ44bの静電容量である。
【0047】
本実施の形態では、|Vd|≦|Vf|が成立するように、第2補助コンデンサ44bの静電容量(Cg)と、第1閾値(Vth)とが設定されている。Vfは負の値であり、Vfの大きさは、第3スイッチS3として用いられる電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧に等しい。|Vd|>|Vf|の場合には、ボディダイオードの順方向電圧が|Vf|を超えることになるから、第2電極32の電位V2は、Vfまで低下する。Vfの大きさは第3スイッチS3の電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧の大きさに対応し、第2補助コンデンサ44bがない場合における充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替えた際の第2電極32の電位V2の下限値である。
【0048】
第2状態では、第2電極32には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。また、第2補助コンデンサ44bにも電荷が蓄積される。
図10は、充放電回路42が第2状態に切り替えられて時間が経過した静電容量検知回路4の動作の説明図である。
図10では、第2電極32の電位V2が正になっている。
【0049】
判定回路431は、充放電回路42が第2状態である場合に第2電極32の電位V2が第2閾値に達したかどうかの判定を実行する。
図6では、第2閾値は、第1閾値と等しく、Vthである。時刻t12において、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。本実施の形態では、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替える際に、充放電回路42を第3状態に設定することで、デッドタイムを設ける。
図11は、充放電回路42が第3状態であるときの静電容量検知回路4の動作の説明図である。この後に、駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルに設定することにより、充放電回路42を第1状態に設定する。
【0050】
図12は、充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後の静電容量検知回路4の動作の説明図である。
図12に示すように、第1状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオン、第2及び第3スイッチS2,S3がオフである。コンデンサ30では、第1電極31が電源端子41aに接続され、第2電極32が基準電位端子41bに接続される。充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後は、第1電極31の電位V1が負になる。充放電回路42は、第1電極31に並列的に接続される第1補助コンデンサ44aを有するから、第1状態では第1補助コンデンサ44aがコンデンサ30に並列に接続される。これによって、コンデンサ30の電荷が第1補助コンデンサ44aに移動する。
図6では、第1電極31の電位V1は、第2電極32と同様にVdまで低下する。
【0051】
本実施の形態では、|Vd|≦|Vf|が成立するように、第1補助コンデンサ44aの静電容量(Cg)と、第2閾値(Vth)とが設定されている。Vfは負の値であり、Vfの大きさは、第4スイッチS4として用いられる電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧に等しい。|Vd|>|Vf|の場合には、ボディダイオードの順方向電圧が|Vf|を超えることになるから、第1電極31の電位V1は、Vfまで低下する。Vfの大きさは第4スイッチS4の電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧の大きさに対応し、第1補助コンデンサ44aがない場合における充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替えた際の第1電極31の電位V1の下限値である。
【0052】
第1状態では、第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。また、第1補助コンデンサ44aにも電荷が蓄積される。充放電回路42が第1状態に切り替えられて時間が経過した後には、
図7に示すように、第1電極31の電位V1が正になる。
【0053】
図6の時刻t13では、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。
【0054】
図6の時刻t14では、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。
【0055】
図6の時刻t15では、時刻t13の場合と同様に、判定回路431が第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定して、駆動回路432が充放電回路42を第2状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。
【0056】
このように、制御回路43は、充放電回路42が第1状態である場合に第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達すると充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替える。制御回路43は、充放電回路42が第2状態である場合に第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達すると充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替える。したがって、静電容量検知回路4では、コンデンサ30が第1電極31の電位が第2電極32の電位より高くなるように充電される状態と、コンデンサ30が第2電極32の電位が第1電極31の電位より高くなるように充電される状態とが繰り返される。
【0057】
図6において、Tは、このようなコンデンサ30の充放電の周期を示す。周期Tは、第1周期T1と、第2周期T2との合計である。第1周期T1は、充放電回路42が第1状態である期間の長さである。充放電回路42が第1状態である期間の長さは、コンデンサ30と第1補助コンデンサ44aとの合成コンデンサに、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第1電極31の電位がVdからVthになるまでにかかる時間である。第2周期T2は、充放電回路42が第2状態である期間の長さである。充放電回路42が第2状態である期間の長さは、コンデンサ30と第2補助コンデンサ44bとの合成コンデンサに、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第2電極32の電位がVdからVthになるまでにかかる時間である。したがって、周期Tは、次式(2)で与えられる。次式(2)において、iは、出力電流I1の値(電流値)である。
【0058】
なお、第1補助コンデンサ44aの静電容量と、第2補助コンデンサ44bの静電容量とが等しい場合は、
図6に示すように、周期T1と周期T2が等しくなり、周期T1における電位Vdと周期T2における電位Vdとが等しくなる。よって、周期T1、T2の期間であったり、それぞれの電位Vdを測定することにより、第1補助コンデンサ44aの静電容量と、第2補助コンデンサ44bの静電容量とを算出することが可能となる。
【0059】
【0060】
式(2)に、上式(1)のVdを代入すると、次式(3)が得られる。
【0061】
【0062】
上式(3)から明らかなように、周期Tから、コンデンサ30の静電容量Ceの算出が可能である。
【0063】
なお、本実施の形態では、周期Tを含む式から静電容量Ceを算出しているが、これに限らず、インピーダンス測定など、既存の方法により静電容量を測定してもよい。
【0064】
図13は、比較例の静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図である。比較例の静電容量検知回路は、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bを有していない点で、静電容量検知回路4と異なる。
【0065】
図13において、時刻t20において充放電回路42が第1状態に設定されて、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。時刻t21において、電位V1が第1閾値Vthに達し、充放電回路42が第2状態に切り替えられる。時刻t22において、電位V2が第2閾値Vthに達し、充放電回路42が第1状態に切り替えられる。時刻t23において、電位V1が第1閾値Vthに達し、充放電回路42が第2状態に切り替えられる。時刻t24において、電位V2が第2閾値Vthに達し、充放電回路42が第1状態に切り替えられる。時刻t25において、電位V1が第1閾値Vthに達し、充放電回路42が第2状態に切り替えられる。
【0066】
図13に示すように、充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後(時刻t22,t24参照)は、第1電極31の電位V1がVfになる。充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後(時刻t21,t23参照)は、第2電極32の電位V2がVfになる。これは、|Vth|が|Vf|より大きいためである。
【0067】
比較例では、第1周期T1は、コンデンサ30に、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第1電極31の電位がVfからVthになるまでにかかる時間である。第2周期T2は、コンデンサ30に、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第2電極32の電位がVfからVthになるまでにかかる時間である。したがって、比較例では、周期Tは、次式(4)で与えられる。
【0068】
【0069】
式(3)と式(4)とを比較すると、本実施の形態の静電容量検知回路4は、周期Tに対する静電容量Ceの変化の影響が、比較例の静電容量検知回路よりも2倍になっていることがわかる。静電容量検知回路4は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0070】
図2の処理回路5は、演算回路51と、入出力回路52とを備える。演算回路51と入出力回路52とは、センサ基板33及び回路基板4aとは別の回路基板5aに配置される(
図14参照)。回路基板5aには、基準電位Vgが設けられる。回路基板5aには、直流電源6が配置される。
【0071】
入出力回路52は、静電容量センサ1の操作のための入力装置、及び、静電容量センサ1からの情報の出力のための出力装置としての機能を有する。入出力回路52は、例えば、1以上のヒューマン・マシン・インタフェースを備える。ヒューマン・マシン・インタフェースの例としては、メカニカルスイッチ、タッチパッド等の入力装置、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置、タッチパネル等の入出力装置が挙げられる。
【0072】
演算回路51は、静電容量センサ1の動作を制御する。演算回路51は、入出力回路52に接続される。演算回路51は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ等)プログラムを実行することで、演算回路51としての機能を実現する。
【0073】
演算回路51は、入出力回路52に接続される。演算回路51は、入出力回路52の入力装置により水分量の計測開始の操作がされた場合、静電容量検知回路4に、静電容量の検知のための動作を開始させる。演算回路51は、静電容量検知回路4によるコンデンサ30の充放電の時間に基づいてコンデンサ30の静電容量を算出するように構成される。本実施の形態において、静電容量検知回路4によるコンデンサ30の充放電の時間は、周期Tである。
図2の演算回路51は、静電容量検知回路4の駆動回路432から第2駆動信号D2を取得し、第2駆動信号D2に基づいて周期Tを決定する。
図6に示すように、周期Tは、第2駆動信号D2の周期に対応する。演算回路51は、上記の式(3)に基づき、周期Tからコンデンサ30の静電容量Ceを求めることができる。演算回路51は、コンデンサ30の静電容量Ceに基づいて測定対象の水分量を求めるように構成される。演算回路51は、測定対象の水分量を、入出力回路52の出力装置により表示する。
【0074】
[1.1.2 使用方法]
次に、
図1の測定器10の使用方法の一例について説明する。例えば、測定器10は、測定者が、測定対象の口腔内の水分量を測定するために利用される。測定者は、例えば、医師、看護師等の医療従事者である。測定対象は、例えば、患者である。一例として、測定者は、測定器10のハンドヘルド筐体2のグリップ部22を手で持って、測定器10のハンドヘルド筐体2のヘッド部21を測定対象の口腔内に入れ、舌粘膜、頬粘膜、口蓋粘膜又は口唇粘膜等の測定部位に接触させる。測定器10自体は接地されていないため、上記のように測定器10を使用する場合、測定器10のヘッド部21が測定対象と介して接地され、さらに測定器10のグリップ部22が測定者を介して接地される。そのため、測定器10の使用時には種々の浮遊容量が生じうる。
【0075】
図14は、
図1の測定器10の使用時に生じる浮遊容量の説明図である。
図14では、M1は、測定対象の体を概略的に示す。M11は、測定者の体表面水分層を概略的に示す。M2は、測定者の体を概略的に示す。
【0076】
図14に示すように、測定器10のハンドヘルド筐体2のヘッド部21は測定対象M1の口腔内の特定部位に接触される。
図14では、センサ部3の第1及び第2電極31,32が保護層34を介して、測定対象M1の体表面水分層M11に触れる。これによって、第1電極31と測定対象M1との間に、浮遊容量C1が生じ得る。第2電極32と測定対象M1との間に、浮遊容量C2が生じ得る。浮遊容量C1,C2の影響により、第1及び第2電極31,32とで構成されるコンデンサ30の静電容量が変化する。
【0077】
測定器10の使用時には、測定しようとする静電容量に関係しない浮遊容量が生じる。
図14では、測定対象M1とグランドとの間に浮遊容量ch1が生じ得る。静電容量検知回路4において第1電極31に接続される端子と基準電位Vgとの間に浮遊容量Cp1が生じうる。静電容量検知回路4において第2電極32に接続される端子と基準電位Vgとの間に浮遊容量Cp2が生じうる。測定器10のハンドヘルド筐体2のグリップ部22は測定者M2により持たれる。
図14では、測定者M2とグランドとの間に浮遊容量Ch21が生じ得る。測定者M2と処理回路5の基準電位Vgとの間に、浮遊容量Ch22が生じ得る。
【0078】
このように水分量の測定を行うために、人体に接触し、静電容量を測定する測定器10においては測定箇所となるセンサ部3以外においても、人体と測定器10の間や、人体と基準電位Vgの間に発生する浮遊容量Ch1,Ch21,Ch22が接地電位を介して接続され、正確な容量が観測できない可能性がある。測定する静電容量が大きい場合には、このような浮遊容量の影響は相対的に小さくなるため、測定の精度に対する影響が少ない。これに対して、第1及び第2電極31,32間の静電容量のような微小な場合には、浮遊容量の影響は大きな誤差の一因となり得る。従来、このような浮遊容量の対策としては、静電容量を周波数に変換する回路を有する基板の面積を最小にした上で他の機能回路との基準電位を分離する必要がある他、ガードリング等の方法で測定対象外の容量が回路から無視できるようにする対策がある。しかしながら、基準電位の分離を行うためには高価かつ複雑な回路構成が必要になり、基板面積の増大から、口腔内への挿入が困難になり、製品価格も上昇する。ガードリングに関しても、人体を製品と電気的に結合する必要があり、装置構成や、安全面などからも難易度が高くなる。
【0079】
これに対して、本実施の形態では、測定しようとする静電容量に関係しない浮遊容量をまとめてCsとすると、上式(3)は次式(5)のように変形することができる。
【0080】
【0081】
測定器10では、静電容量検知回路4が第1及び第2補助コンデンサ44a,44bを備えており、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bの静電容量Cgによって、検出しようとする容量に対して相対的に感度を高めることができる。つまり、外乱となる浮遊容量(例えば、
図14のCh1、Ch21、Ch22)の影響を受けにくくなる。浮遊容量Csの影響を低減できる。つまり、本実施の形態では、第1及び第2補助コンデンサ44a,44bを配置するだけで、浮遊容量Csの影響を低減できる。
【0082】
[1.1.3 変形例]
図15は、実施の形態1の一変形例の静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図である。本変形例は、第1補助コンデンサ44aの静電容量と第2補助コンデンサ44bの静電容量とが同じではなく、異なっている点で、上記の構成と異なる。
【0083】
図15の時刻t30では、コンデンサ30に電荷が蓄積されていない。駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定することにより、充放電回路42を第1状態に設定する。
【0084】
第1状態では、第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。充放電回路42は、第1電極31に並列的に接続される第1補助コンデンサ44aを有するから、第1状態では第1補助コンデンサ44aがコンデンサ30に並列に接続されて、第1補助コンデンサ44aにも電荷が蓄積される。
【0085】
時刻t31において、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後は、第2電極32の電位V2が負になる。充放電回路42は、第2電極32に並列的に接続される第2補助コンデンサ44bを有するから、第2状態では第2補助コンデンサ44bがコンデンサ30に並列に接続される。これによって、コンデンサ30の電荷が第2補助コンデンサ44bに移動する。
図15では、第2電極32の電位V2は、Vd2まで低下する。Vd2は負の値である。Vd2は、第1状態においてコンデンサ30に蓄えらえた電荷と、コンデンサ30と第2補助コンデンサ44bの合成静電容量とで決まるから、次式(6)が成立する。
【0086】
【0087】
式(6)において、Ceはコンデンサ30の静電容量であり、Cg2は第2補助コンデンサ44bの静電容量である。Vd2の大きさは、第3スイッチS3のボディダイオードの閾値電圧の大きさを超えないように設定される。つまり、|Vd2|≦|Vf|が成立するように、第2補助コンデンサ44bの静電容量(Cg2)と、第1閾値(Vth)とが設定されている。
【0088】
第2状態では、第2電極32には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。また、第2補助コンデンサ44bにも電荷が蓄積される。
【0089】
時刻t32において、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後は、第1電極31の電位V1が負になる。充放電回路42は、第1電極31に並列的に接続される第1補助コンデンサ44aを有するから、第1状態では第1補助コンデンサ44aがコンデンサ30に並列に接続される。これによって、コンデンサ30の電荷が第1補助コンデンサ44aに移動する。
図15では、第2電極32の電位V2は、Vd1まで低下する。Vd1は負の値である。Vd1は、第2状態においてコンデンサ30に蓄えらえた電荷と、コンデンサ30と第1補助コンデンサ44aの合成静電容量とで決まるから、次式(7)が成立する。
【0090】
【0091】
式(7)において、Cg1は第1補助コンデンサ44aの静電容量である。Vd1の大きさは、第4スイッチS4のボディダイオードの閾値電圧の大きさを超えないように設定される。つまり、||Vd1|≦|Vf|が成立するように、第1補助コンデンサ44aの静電容量(Cg1)と、第2閾値(Vth)とが設定されている。
【0092】
本実施の形態において、第1閾値と第2閾値との値は等しく、Vthである。式(6)において、Vthは、第1閾値の値であり、式(7)において、Vthは、第2閾値の値である。第1閾値と第2閾値とが異なる場合には、式(6)は次式(6a)となり、式(7)は次式(7a)となる。
【0093】
【0094】
本実施の形態において、第3スイッチS3のボディダイオードの閾値電圧と第4スイッチS4のボディダイオードの閾値電圧は等しい。上記の|Vd2|≦|Vf|の条件式において、Vfは、第2補助コンデンサ44bがない場合における充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替えた際の第2電極32の電位V2の下限値であり、第3スイッチS3のボディダイオードの閾値電圧に対応する。上記の|Vd1|≦|Vf|の条件式において、Vfは、第1補助コンデンサ44aがない場合における充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替えた際の第1電極31の電位V1の下限値であり、第4スイッチS4のボディダイオードの閾値電圧に対応する。第3スイッチS3のボディダイオードの閾値電圧の大きさをVf1、第4スイッチS4のボディダイオードの閾値電圧の大きさをVf2として互いに区別すると、|Vd1|≦|Vf|の条件式は次式(8)で表され、|Vd2|≦|Vf|の条件式は次式(9)で表される。
【0095】
【0096】
本実施の形態では、上式(8),(9)を満たすように、第1補助コンデンサ44aの静電容量と、第2補助コンデンサ44bの静電容量と、第1閾値と、第2閾値とが設定されている。
【0097】
第1状態では、第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。また、第1補助コンデンサ44aにも電荷が蓄積される。
【0098】
図15の時刻t33,t35では、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。
【0099】
図6の時刻t34では、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。
【0100】
図15において、Tは、コンデンサ30の充放電の周期を示す。周期Tは、第1周期T1と、第2周期T2との合計である。第1周期T1は、コンデンサ30と第1補助コンデンサ44aとの合成コンデンサに、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第1電極31の電位がVd1から第1閾値(Vth)になるまでにかかる時間である。第2周期T2は、コンデンサ30と第2補助コンデンサ44bとの合成コンデンサに、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第2電極32の電位がVd2から第2閾値(Vth)になるまでにかかる時間である。したがって、周期Tは、次式(10)で与えられる。次式(10)において、iは、出力電流I1の値(電流値)である。
【0101】
【0102】
式(10)に、上式(6)のVd2及び上式(7)のVd1を代入すると、次式(11)が得られる。
【0103】
【0104】
上式(11)から明らかなように、周期Tから、コンデンサ30の静電容量Ceの算出が可能である。
【0105】
なお、第1閾値をVth1、第2閾値をVth2とした場合には、上式(11)は次式(12)のようになる。
【0106】
【0107】
上式(12)から明らかなように、周期Tから、コンデンサ30の静電容量Ceの算出が可能である。静電容量センサ1の簡略化のためには、第1閾値と第2閾値とが等しく、第1補助コンデンサ44aの静電容量と第2補助コンデンサ44bとの静電容量とが等しいほうがよい。
【0108】
また、周期Tを構成する周期T1、T2の期間から、第1補助コンデンサ44aの静電容量と、第2補助コンデンサ44bの静電容量との算出が可能である。T1≠T2の場合は、第1補助コンデンサ44aの静電容量と、第2補助コンデンサ44bの静電容量とは異なっている。そして、周期T1における電位Vd1と周期T2における電位Vd2との値も異なる。このように、周期T1,T2だけでなく、電位Vd1,Vd2に基づいて、第1補助コンデンサ44aの静電容量と、第2補助コンデンサ44bの静電容量との算出が可能となる。
【0109】
[1.1.4 効果等]
以上述べたように、静電容量センサ1は、コンデンサ30を構成する第1電極31及び第2電極32を有するセンサ部3と、センサ部3に接続される静電容量検知回路4とを備える。静電容量検知回路4は、第1電極31及び第2電極32に接続され、コンデンサ30を充放電させるための充放電回路42と、コンデンサ30が充放電を繰り返すように充放電回路42を制御する制御回路43と、コンデンサ30と並列となるように第1電極31に接続される第1補助コンデンサ44aとコンデンサ30と並列となるように第2電極32に接続される第2補助コンデンサ44bとを有する補助容量回路44とを備える。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0110】
静電容量センサ1において、第1補助コンデンサ44aの静電容量と第2補助コンデンサ44bの静電容量とは等しい。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0111】
静電容量センサ1において、第1補助コンデンサ44aの静電容量と第2補助コンデンサ44bの静電容量とが異なる。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0112】
静電容量センサ1において、充放電回路42は、第1電極31に一定の出力電流を供給する第1状態と、第2電極32に一定の出力電流を供給する第2状態と、が相補的に切り替え可能に構成される。制御回路43は、充放電回路42が第1状態である場合に第1電極31の電位が第1閾値に達すると充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替えるように構成される。制御回路43は、充放電回路42が第2状態である場合に第2電極32の電位が第2閾値に達すると充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替えるように構成される。この構成は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0113】
静電容量センサ1において、第1閾値と第2閾値とは等しい。この構成は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0114】
静電容量センサ1において、充放電回路42は、電源Iinに接続される電源端子41aと基準電位Vgに接続される基準電位端子41bとの間に接続され、第1スイッチS1、第2スイッチS2、第3スイッチS3及び第4スイッチS4を有する。第1スイッチS1と第3スイッチS3は、直列回路を構成する。第1スイッチS1と第3スイッチS3の直列回路は、第1スイッチS1が電源端子41a、第3スイッチS3が基準電位端子41bに接続されるように、電源端子41aと基準電位端子41bとの間にある。第1スイッチS1と第3スイッチS3との接続点が第1電極31に接続される。第2スイッチS2と第4スイッチS4は、直列回路を構成する。第2スイッチS2と第4スイッチS4の直列回路は、第2スイッチS2が電源端子41a、第4スイッチS4が基準電位端子41bに接続され、かつ、第1スイッチS1と第3スイッチS3との直列回路に並列に接続されるように、電源端子41aと基準電位端子41bとの間にある。第2スイッチS2と第4スイッチS4との接続点が第2電極32に接続される。第1状態では、第1スイッチS1及び第4スイッチS4がオン、第2スイッチS2及び第3スイッチS3がオフとなる。第2状態では、第1スイッチS1及び第4スイッチS4がオフ、第2スイッチS2及び第3スイッチS3がオンとなる。この構成は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0115】
静電容量センサ1において、第1補助コンデンサ44aが第3スイッチS3に並列となるように、第1補助コンデンサ44aの第1端が第1電極31に接続されるとともに、第1補助コンデンサ44aの第2端が基準電位端子41bに接続される。第2補助コンデンサ44bが第4スイッチS4に並列となるように、第2補助コンデンサ44bの第1端が第2電極32に接続されるとともに、第2補助コンデンサ44bの第2端が基準電位端子41bに接続される。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0116】
静電容量センサ1において、次式を満たす。
【0117】
【0118】
Ceは、コンデンサ30の静電容量である。Cg1は、第1補助コンデンサ44aの静電容量である。Cg2は、第2補助コンデンサ44bの静電容量である。Vth1は、第1閾値である。Vth2は、第2閾値である。Vf1は、第1補助コンデンサ44aがない場合における充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替えた際の第1電極31の電位の下限値である。Vf2は、第2補助コンデンサ44bがない場合における充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替えた際の第2電極32の電位の下限値である。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0119】
なお、第1補助コンデンサ44aの静電容量と第2補助コンデンサ44bの静電容量とが等しい場合、Cg1=Cg2=Cgとできる。第1閾値と第2閾値とが等しい場合、Vth1=Vth2=Vthとできる。第1補助コンデンサ44aがない場合における充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替えた際の第1電極31の電位の下限値と第2補助コンデンサ44bがない場合における充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替えた際の第2電極32の電位の下限値とが等しい場合、Vf1=Vf2=Vfとすることができる。この場合、静電容量検知回路4において、次式を満たせばよい。
【0120】
【0121】
静電容量センサ1において、Vf1=Vf2を満たす。この構成は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0122】
静電容量センサ1において、Vf1<0及びVf2<0を満たす。この構成は、静電容量の変化量を大きくでき、静電容量の検知の精度の向上が図れる。
【0123】
静電容量センサ1において、第3スイッチS3と第4スイッチS4の各々は、電界効果トランジスタである。Vf1は、第3スイッチS3のボディダイオードの閾値電圧で決まる。Vf2は、第4スイッチS4のボディダイオードの閾値電圧で決まる。この構成は、静電容量検知回路の小型化及び第1状態と第2状態との切り替えの高速化が図れる。
【0124】
静電容量センサ1は、静電容量検知回路4によるコンデンサ30の充放電の時間に基づいてコンデンサ30の静電容量を算出する処理回路5をさらに備える。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0125】
静電容量センサ1において、センサ部3は、第1電極31及び第2電極32が配置されるセンサ基板33を有する。充放電回路42は、センサ基板33とは別の回路基板4aに配置される。補助容量回路44は、センサ基板33と回路基板4aとの間で、かつ、センサ基板33よりも回路基板4aに近い位置に配置される。この構成は、センサ部3の第1電極31及び第2電極32からの浮遊容量の影響を低減することができる。
【0126】
以上述べた測定器10は、静電容量センサ1と、静電容量センサ1を収容するハンドヘルド筐体2とを備える。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0127】
測定器10において、ハンドヘルド筐体2は、ハンドヘルド筐体2の第1端に配置されるとともに測定対象に接触されるヘッド部21と、ハンドヘルド筐体2の第2端に配置されるとともに手で握られるグリップ部22と、ヘッド部21とグリップ部22とを結合するプローブ部23とを含む。センサ部3は、ヘッド部21に位置する。静電容量検知回路4は、ヘッド部21又はプローブ部23に位置する。処理回路5は、グリップ部22に位置する。この構成は、グリップ部で生じる浮遊容量の影響を低減できる。
【0128】
測定器10において、グリップ部22は、グリップ部22の表面に露出する導電部221を有する。導電部221は、処理回路5の基準電位Vgに接続される。この構成は、測定器を持つ人側での浮遊容量の影響のばらつきを低減できる。
【0129】
測定器10において、センサ部3は、第1及び第2電極31,32が測定対象に接触することで第1及び第2電極31,32が測定対象の一部とともにコンデンサ30を形成するように構成される。処理回路5は、コンデンサ30の静電容量に基づいて測定対象の水分量を求めるように構成される。この構成は、測定対象の水分量の測定を可能にする。
【0130】
測定器10において、測定対象は、生物である。この構成は、生物の水分量の測定を可能にする。
【0131】
測定器10において、測定対象は、生物の口腔である。この構成は、生物の口腔の水分量の測定を可能にする。
【0132】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図16は、実施の形態2にかかる測定器の静電容量センサ1Aの構成例の回路図である。静電容量センサ1Aは、静電容量センサ1の静電容量検知回路4とは異なる静電容量検知回路4Aを備える点で、静電容量センサ1と異なる。
図16の静電容量検知回路4Aは、静電容量検知回路4の補助容量回路44とは異なる補助容量回路44Aを備える点で、静電容量検知回路4とは異なる。補助容量回路44Aは、第1補助コンデンサ44aを備えるが、第2補助コンデンサ44bを備えていない点で、補助容量回路44と異なる。
【0133】
次に、
図17~
図23を参照して静電容量検知回路4Aの動作の一例について説明する。
【0134】
図17は、静電容量検知回路4Aの動作の一例のタイミング図である。
図17において、V1は第1電極31の電位を示し、V2は第2電極32の電位を示す。
図17において、Hは、第2駆動信号D2の電圧値がハイレベルの状態に対応し、Lは、第2駆動信号D2の電圧値がロウレベルの状態を示す。
図18~
図23は、静電容量検知回路4Aの動作の一例の説明図である。
図18~
図23では、図示の簡略化のためだけに、制御回路43を省略している。
【0135】
図17の時刻t40では、コンデンサ30に電荷が蓄積されていない。駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定することにより、充放電回路42を第1状態に設定する。
【0136】
図18は、充放電回路42が第1状態であるときの静電容量検知回路4Aの動作の説明図である。
図18に示すように、第1状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオン、第2及び第3スイッチS2,S3がオフである。第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。充放電回路42は、第1電極31に並列的に接続される第1補助コンデンサ44aを有するから、第1状態では第1補助コンデンサ44aがコンデンサ30に並列に接続されて、第1補助コンデンサ44aにも電荷が蓄積される。
【0137】
判定回路431は、充放電回路42が第1状態である場合に第1電極31の電位V1が第1閾値に達したかどうかの判定を実行する。
図17では、第1閾値は、Vthである。時刻t41において、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。本実施の形態では、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する前に、第3状態に設定する。
図19は、充放電回路42が第3状態であるときの静電容量検知回路4Aの動作の説明図である。この後に、駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をロウレベル、第2駆動信号D2の電圧値をハイレベルに設定することにより、充放電回路42を第2状態に設定する。
【0138】
図20は、充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後の静電容量検知回路4Aの動作の説明図である。
図20に示すように、第2状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオフ、第2及び第3スイッチS2,S3がオンである。コンデンサ30では、第1電極31が基準電位端子41bに接続され、第2電極32が電源端子41aに接続される。充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後は、第2電極32の電位V2が負になる。充放電回路42は、第2電極32に並列的に接続される第2補助コンデンサ44bを有していない。そのため、実施の形態1とは異なり、
図17では、第2電極32の電位V2は、Vf1まで低下する。Vf1は負の値であり、Vf1の大きさは、第3スイッチS3として用いられる電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧に等しい。
【0139】
第2状態では、第2電極32には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。
図21は、充放電回路42が第2状態に切り替えられて時間が経過した静電容量検知回路4Aの動作の説明図である。
図21では、第2電極32の電位V2が正になっている。
【0140】
判定回路431は、充放電回路42が第2状態である場合に第2電極32の電位V2が第2閾値に達したかどうかの判定を実行する。
図17では、第2閾値は、第1閾値と等しく、Vthである。時刻t42において、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。本実施の形態では、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する前に、充放電回路42を第3状態に設定する。
図22は、充放電回路42が第3状態であるときの静電容量検知回路4Aの動作の説明図である。この後に、駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルに設定することにより、充放電回路42を第1状態に設定する。
【0141】
図23は、充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後の静電容量検知回路4Aの動作の説明図である。
図23に示すように、第1状態では、第1及び第4スイッチS1、S4がオン、第2及び第3スイッチS2,S3がオフである。コンデンサ30では、第1電極31が電源端子41aに接続され、第2電極32が基準電位端子41bに接続される。充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後は、第1電極31の電位V1が負になる。充放電回路42は、第1電極31に並列的に接続される第1補助コンデンサ44aを有するから、第1状態では第1補助コンデンサ44aがコンデンサ30に並列に接続される。これによって、コンデンサ30の電荷が第1補助コンデンサ44aに移動する。
図17では、第1電極31の電位V1は、Vd1まで低下する。Vd1は負の値である。Vd1は、第2状態においてコンデンサ30に蓄えらえた電荷と、コンデンサ30と第1補助コンデンサ44aの合成静電容量とで決まるから、上式(7)が成立する。
【0142】
本実施の形態では、|Vd1|≦|Vf2|が成立するように、第1補助コンデンサ44aの静電容量(Cg1)と、第2閾値(Vth)とが設定されている。Vf2は負の値であり、Vf2の大きさは、第4スイッチS4として用いられる電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧に等しい。|Vd1|>|Vf2|の場合には、第4スイッチS4のボディダイオードの順方向電圧が|Vf2|を超えることになるから、第1電極31の電位V1は、Vf2まで低下する。
【0143】
第1状態では、第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。また、第1補助コンデンサ44aにも電荷が蓄積される。充放電回路42が第1状態に切り替えられて時間が経過した後には、
図18に示すように、第1電極31の電位V1が正になる。
【0144】
図17の時刻t43,t45では、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。
【0145】
図17の時刻t44では、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。
【0146】
図17において、Tは、このようなコンデンサ30の充放電の周期を示す。周期Tは、第1周期T1と、第2周期T2との合計である。第1周期T1は、コンデンサ30と第1補助コンデンサ44aとの合成コンデンサに、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第1電極31の電位がVd1から第1閾値(Vth)になるまでにかかる時間である。第2周期T2は、コンデンサ30に、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第2電極32の電位がVf1から第2閾値(Vth)になるまでにかかる時間である。したがって、周期Tは、次式(12)で与えられる。次式(12)において、iは、出力電流I1の値(電流値)である。
【0147】
【0148】
式(13)に、上式(7)のVd1を代入すると、次式(13)が得られる。
【0149】
【0150】
上式(14)から明らかなように、周期Tから、コンデンサ30の静電容量Ceの算出が可能である。
【0151】
[1.2.2 変形例]
図24は、実施の形態2の一変形例の静電容量検知回路の動作の一例のタイミング図である。本変形例は、静電容量検知回路が、第2補助コンデンサ44bを備えるが、第1補助コンデンサ44aを備えていない点で、静電容量検知回路4Aと異なる。
【0152】
図24の時刻t50では、コンデンサ30に電荷が蓄積されていない。駆動回路432は、第1駆動信号D1の電圧値をハイレベル、第2駆動信号D2の電圧値をロウレベルにそれぞれ設定することにより、充放電回路42を第1状態に設定する。
【0153】
第1状態では、第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。
【0154】
時刻t51において、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。充放電回路42が第2状態に切り替えられた直後は、第2電極32の電位V2が負になる。充放電回路42は、第2電極32に並列的に接続される第2補助コンデンサ44bを有するから、第2状態では第2補助コンデンサ44bがコンデンサ30に並列に接続される。これによって、コンデンサ30の電荷が第2補助コンデンサ44bに移動する。
図24では、第2電極32の電位V2は、Vd2まで低下する。Vd2は負の値である。Vd2は、第1状態においてコンデンサ30に蓄えらえた電荷と、コンデンサ30と第2補助コンデンサ44bの合成静電容量とで決まるから、上式(6)が成立する。
【0155】
本変形例では、|Vd2|≦|Vf1|が成立するように、第2補助コンデンサ44bの静電容量(Cg2)と、第1閾値(Vth)とが設定されている。Vf1は負の値であり、Vf1の大きさは、第3スイッチS3として用いられる電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧に等しい。|Vd2|>|Vf1|の場合には、第3スイッチS3のボディダイオードの順方向電圧が|Vf1|を超えることになるから、第2電極32の電位V2は、Vf1まで低下する。
【0156】
第2状態では、第2電極32には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。また、第2補助コンデンサ44bにも電荷が蓄積される。
【0157】
時刻t52において、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これにより、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。充放電回路42が第1状態に切り替えられた直後は、第1電極31の電位V1が負になる。
図24では、第1電極31の電位V1は、Vf2まで低下する。Vf2は負の値である。Vf2の大きさは、第4スイッチS4として用いられる電界効果トランジスタのボディダイオードの閾値電圧に等しい。
【0158】
第1状態では、第1電極31には、電源Iinから一定の出力電流I1が供給される。これにより、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。
【0159】
図24の時刻t53,t55では、判定回路431は、第1電極31の電位V1が第1閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第2状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第2電極32の電位V2が第1電極31の電位V1より高くなるように充電される。
【0160】
図24の時刻t54では、判定回路431は、第2電極32の電位V2が第2閾値(Vth)に達したと判定する。これによって、駆動回路432は、充放電回路42を第1状態に設定する。これによって、コンデンサ30は、第1電極31の電位V1が第2電極32の電位V2より高くなるように充電される。
【0161】
図24において、Tは、コンデンサ30の充放電の周期を示す。周期Tは、第1周期T1と、第2周期T2との合計である。第1周期T1は、コンデンサ30に、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第1電極31の電位がVf2からVthになるまでにかかる時間である。第2周期T2は、コンデンサ30と第2補助コンデンサ44bとの合成コンデンサに、電源Iinから一定の出力電流I1が供給されることで、第2電極32の電位がVd2からVthになるまでにかかる時間である。したがって、周期Tは、次式(14)で与えられる。次式(14)において、iは、出力電流I1の値(電流値)である。
【0162】
【0163】
式(15)に、上式(6)のVd2を代入すると、次式(16)が得られる。
【0164】
【0165】
上式(16)から明らかなように、周期Tから、コンデンサ30の静電容量Ceの算出が可能である。
【0166】
[1.2.3 効果等]
以上述べたように、静電容量センサ1Aは、コンデンサ30を構成する第1電極31及び第2電極32を有するセンサ部3と、センサ部3に接続される静電容量検知回路4Aとを備える。静電容量検知回路4Aは、第1電極31及び第2電極32に接続され、コンデンサ30を充放電させるための充放電回路42と、コンデンサ30が充放電を繰り返すように充放電回路42を制御する制御回路43と、コンデンサ30と並列となるように第1電極31に接続される第1補助コンデンサ44aとコンデンサ30と並列となるように第2電極32に接続される第2補助コンデンサ44bとの一方を有する補助容量回路44Aとを備える。この構成は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0167】
[1.3 実施の形態3]
[1.3.1 構成]
図25は、実施の形態3にかかる測定器10Bの構成例の概略図である。測定器10Bは、人の上下顎歯の咬合力を測定するための咬合力測定器である。
【0168】
図25の測定器10Bは、静電容量式の咬合力測定器である。測定器10Bは、静電容量センサ1Bと、ハンドヘルド筐体2Bとを備える。
【0169】
ハンドヘルド筐体2Bは、静電容量センサ1Bを収容する。ハンドヘルド筐体2Bは、人が片手で持てる大きさ及び重さである。ハンドヘルド筐体2Bは、防水構造を有し、ハンドヘルド筐体2B内の静電容量センサ1Bを水分から保護する。
図25のハンドヘルド筐体2Bは、棒状である。
図25のハンドヘルド筐体2Bは、いわゆる歯ブラシのような形状である。ハンドヘルド筐体2Bは、ヘッド部21Bと、グリップ部22と、ヘッド部21Bとグリップ部22とを結合するプローブ部23とを備える。
図25のハンドヘルド筐体2Bは、ヘッド部21Bの構造が、
図1のハンドヘルド筐体2と異なる。
【0170】
ヘッド部21Bは、ハンドヘルド筐体2Bにおいて測定対象に接触される部位である。ヘッド部21Bは、ハンドヘルド筐体2Bの第1端(
図25における左端)に配置される。本実施の形態では、ヘッド部21Bは、使用時に人の口腔内に入れられて上下顎歯で挟まれる。ヘッド部21Bは、上下顎歯による咬合力を静電容量センサ1Bに伝達できるように柔らかい材料により形成される。
【0171】
図26は、ヘッド部21Bの構成例の概略斜視図である。ヘッド部21Bは、一対の樹脂層211B,212Bを有する。一対の樹脂層211B,212B間には、後述するセンサ部3Bが配置される。樹脂層211B,212Bは、例えば、矩形板状である。樹脂層211B,212Bは、柔軟性を有する樹脂により形成される。柔軟性を有する樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂が挙げられる。
【0172】
静電容量センサ1Bは、静電容量に基づいて咬合力を求める。静電容量センサ1Bは、センサ部3Bと、静電容量検知回路4と、処理回路5Bとを備える。本実施の形態では、センサ部3B及び静電容量検知回路4は、ハンドヘルド筐体2Bのヘッド部21Bに位置する。本実施の形態では、処理回路5Bは、ハンドヘルド筐体2Bのグリップ部22Bに位置する。
【0173】
図26に示すように、センサ部3Bは、第1及び第2電極31B,32Bと、変形部35Bとを備える。変形部35Bは、圧力が加わることで変形する。圧力は、例えば、人が上下顎歯で咬むことで与えられ得る。変形部35Bは、例えば、矩形板状である。変形部35Bは、柔軟性を有する樹脂で形成される。柔軟性を有する樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、荷重に対する物性変化が大きく、使用者に対する負荷を抑えることが可能となる。第1及び第2電極31B,32Bは、例えば、矩形板状である。第1及び第2電極31B,32Bは、スパッタ、蒸着や印刷により形成することができる。第1及び第2電極31B,32Bの材料としては、Au、Ag、Pd等の貴金属、Cu、Al、Ni等の卑金属が挙げられる。センサ部3Bでは、変形部35Bが第1及び第2電極31B,32B間にある。これによって、センサ部3Bは、第1及び第2電極31B,32Bが変形部35Bとともにコンデンサ30Bを形成するように構成される。より詳細には、第1及び第2電極31B,32Bは、コンデンサ30Bの電極として機能する。変形部35Bは、第1及び第2電極31B,32Bに対する誘電体として機能する。つまり、柔軟性を有する変形部35Bが変位することで第1及び第2電極31B,32B間の静電容量、つまり、コンデンサ30Bの静電容量が変化する。
【0174】
処理回路5Bは、演算回路51の動作が、
図2の処理回路5と異なる。
図25の処理回路5Bの演算回路51は、演算回路51は、入出力回路52の入力装置により咬合力の計測開始の操作がされた場合、静電容量検知回路4に、静電容量の検知のための動作を開始させる。演算回路51は、静電容量検知回路4によるコンデンサ30の充放電の時間に基づいてコンデンサ30の静電容量を算出するように構成される。演算回路51は、実施の形態1,2と同様に、周期Tからコンデンサ30Bの静電容量Ceを求めることができる。演算回路51は、コンデンサ30Bの静電容量Ceに基づいて上下顎歯の咬合力を求めるように構成される。演算回路51は、咬合力を示す情報、入出力回路52の出力装置により表示する。
【0175】
[1.3.2 効果等]
以上述べた測定器10Bでは、センサ部3Bは、圧力が加わることで変形する変形部35Bを備える。センサ部3Bは、第1及び第2電極31B,32Bが変形部35Bとともにコンデンサ30Bを形成するように構成される。処理回路5Bは、コンデンサ30Bの静電容量に基づいて圧力を求めるように構成される。この構成は、圧力の測定を可能にする。特に、圧力は、人が上下顎歯で咬むことで変形部35Bに与えられてよい。この場合は、人の上下顎歯の咬合力の測定を可能にする。
【0176】
[1.4 実施の形態4]
[1.4.1 構成]
図27は、実施の形態4にかかる測定器10Cのヘッド部21Cの構成例の概略斜視図である。測定器10Cは、測定器10と同様に、静電容量式の水分測定器である。測定器10Cは、静電容量センサ1Cと、ハンドヘルド筐体2Cとを備える。
【0177】
ハンドヘルド筐体2Cは、静電容量センサ1Cを収容する。ハンドヘルド筐体2Cは、ヘッド部21Cを備える。
図27では図示が省略されているが、ハンドヘルド筐体2Cは、
図1のハンドヘルド筐体2と同様に、グリップ部22と、プローブ部23とを備える。
【0178】
静電容量センサ1Cは、静電容量に基づいて測定対象の水分量を求める。静電容量センサ1Cは、センサ部3Cを備える。静電容量センサ1Cは、
図2の静電容量センサ1と同様に、静電容量検知回路4と、処理回路5とを備える。
【0179】
本実施の形態では、少なくともセンサ部3Cが、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Cの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Cの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Cの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。接触領域100は、測定器10Cでの測定時に測定対象に接触されることが予定されている領域である。本実施の形態において、センサ部3Cの表面300は、ヘッド部21Cの枠状領域200を含む所定平面上に位置する。つまり、センサ部3Cの表面300とヘッド部21Cの枠状領域200とは同一平面上にあるといえる。
【0180】
図28は、静電容量センサ1Cのセンサ部3Cの構成例の説明図である。
図29は、静電容量センサ1Cのセンサ部3Cの構成例の概略断面図である。
図30は、センサ部3Cの概略平面図である。
図31は、センサ部3Cの概略底面図である。特に、
図29は、
図30のA-A線の断面図である。
【0181】
図28及び
図29のセンサ部3Cは、第1電極31と、第2電極32と、センサ基板33と、保護層34Cとを備える。センサ部3Cは、第1及び第2電極31,32が測定対象に接触することで第1及び第2電極31,32が測定対象の一部とともにコンデンサ30(
図2参照)を形成するように構成される。
【0182】
図30及び
図31に示すように、センサ基板33は矩形板状である。
図28及び
図29に示すように、センサ基板33は、センサ基板33の厚み方向において第1面33a及び第2面33bを有する。
図28及び
図29に示すように、センサ基板33には、第1電極31と第2電極32と保護層34Cとが配置される。
図30において、保護層34Cの図示は省略されている。
【0183】
図30及び
図31に示すように、第1電極31は、電極部311と、端子部312と、接続部313とを有する。
【0184】
電極部311は、測定対象との接触に用いられる。
図30に示すように、電極部311は、センサ基板33の第1面33aに配置される。
図30の電極部311は、櫛歯構造である。電極部311は、所定間隔で並ぶ複数の歯部3111と、複数の歯部3111の一端同士を連結する連結部3112と、端子部312に接続される接続部3113とを有する。接続部3113は、連結部3112の端部から複数の歯部3111と並ぶように延びる。
図28に示すように、電極部311は、例えば、複数の金属層を含む。
図28の電極部311の複数の金属層は、例えば、Ni層311aと、Ni層311aを覆うPd層311bと、Pd層311bを覆うAu層311cとを含む。電極部311の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0185】
端子部312は、静電容量検知回路4との接続に用いられる。
図31に示すように、端子部312は、センサ基板33の第2面33bに配置される。
図31の端子部312は、矩形状のパッド部3121と、電極部311に接続される接続部3122とを有する。接続部3122は、パッド部3121から延びる帯状である。
図28に示すように、端子部312は、例えば、複数の金属層(金属膜)を含む。
図28の端子部312の複数の金属層は、例えば、Ni層312aと、Ni層312aを覆うPd層312bと、Pd層312bを覆うAu層312cとを含む。端子部312の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0186】
接続部313は、電極部311と端子部312とを接続する。より詳細には、接続部313は、電極部311の接続部3113の端部と端子部312の接続部3122の端部とを接続する。
図29に示すように、接続部313は、センサ基板33を貫通するビアである。接続部313は、例えば、Ag製である。
【0187】
図30及び
図31に示すように、第2電極32は、電極部321と、端子部322と、接続部323とを有する。
【0188】
電極部321は、測定対象との接触に用いられる。
図30に示すように、電極部321は、センサ基板33の第1面33aに配置される。
図30の電極部321は、櫛歯構造である。電極部321は、所定間隔で並ぶ複数の歯部3211と、複数の歯部3211の一端同士を連結する連結部3212と、端子部322に接続される接続部3213とを有する。接続部3213は、連結部3212の端部から複数の歯部3211と並ぶように延びる。
図28に示すように、電極部321は、例えば、複数の金属層を含む。
図28の電極部321の複数の金属層は、例えば、Ni層321aと、Ni層321aを覆うPd層321bと、Pd層321bを覆うAu層321cとを含む。電極部321の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0189】
端子部322は、静電容量検知回路4との接続に用いられる。
図31に示すように、端子部322は、センサ基板33の第2面33bに配置される。
図31の端子部322は、矩形状のパッド部3221と、電極部321に接続される接続部3222とを有する。接続部3222は、パッド部3221から延びる帯状である。
図28に示すように、端子部322は、例えば、複数の金属層(金属膜)を含む。
図28の端子部322の複数の金属層は、例えば、Ni層322aと、Ni層322aを覆うPd層322bと、Pd層322bを覆うAu層322cとを含む。端子部322の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0190】
接続部323は、電極部321と端子部322とを接続する。より詳細には、接続部323は、電極部321の接続部3213の端部と端子部322の接続部3222の端部とを接続する。接続部323は、センサ基板33を貫通するビアである。接続部323は、例えば、Ag製である。
【0191】
保護層34Cは、第1電極31と第2電極32とを保護するために用いられる。特に、保護層34Cは、第1電極31の電極部311と第2電極32の電極部321とを保護するために用いられる。
図28及び
図29に示すように、保護層34Cは、センサ基板33の第1面33aに配置される。保護層34Cは、第1電極31の電極部311と第2電極32の電極部321とを覆う。保護層34Cは、例えば、絶縁性を有する。保護層34Cは、例えば、ポリイミド等の絶縁性を有する材料により形成される。
【0192】
図28の保護層34Cの表面340は、凹凸形状を有する。
図28において、保護層34Cの表面340は、凸領域341と、凹領域342とを含む。凸領域341は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含み、凹領域342は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含まない。つまり、
図28の保護層34Cの表面340は、センサ基板33の第1面33aに電極部311,321が形成されたことにより生じた凹凸形状を反映する。このように、保護層34Cが下地の凹凸を反映する場合、一般的には、保護層34Cの厚みはおおよそ一定になる。つまり、凸領域341での保護層34Cの厚みTH1と凹領域342での保護層34Cの厚みTH2とは同等、実質的に等しくなる。凸領域341での保護層34Cの厚みTH1は、凸領域341と第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321との間の距離である。凹領域342での保護層34Cの厚みTH2は、凹領域342と第1面33aとの間の距離である。
図28の保護層34Cは、例えば、スピンコート法により形成され得る。なお、保護層34Cにおいて、必ずしも、厚みTH1と厚みTH2とは実質的に等しい必要はなく、例えば、
図29のように、凸領域341と凹領域342とでの保護層34Cの厚みが異なってもよい。なお、
図29では、凸領域341よりも凹領域342のほうが、保護層34Cが厚い。
【0193】
本実施の形態において、保護層34Cの表面340が、センサ部3Cにおいてヘッド部21Cから露出する表面300を規定する。そして、上述したように、保護層34Cの表面340が凹凸形状を有しており、これによって、センサ部3Cの表面300が凹凸形状を有する。
【0194】
センサ部3Cの表面300が凹凸形状であることによって、センサ部3Cの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Cの比表面積が大きくなる。センサ部3Cの比表面積が大きくなると、センサ部3Cが測定対象の一部とともに構成するコンデンサ30の静電容量が大きくなり得る。そのため、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。特に、
図28及び
図29のセンサ部3Cでは、凹領域342において測定対象と電極部311又は電極部321との距離が短くなりやすく、これによっても、部分的に静電容量が大きくなり得る。
【0195】
センサ部3Cの表面300が凹凸形状であることによって、センサ部3Cの表面300が平坦である場合に比べれば、測定対象に対するセンサ部3Cの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)が大きくなる。これにより、測定時においてセンサ部3Cと測定対象との位置関係が変動する可能性を低減できる。つまり、センサ部3Cのグリップ力が向上し、測定対象により固定されるようになる。これによって、センサ部3Cの表面300を測定対象に押し付けやすくなり、測定対象によりセンサ部3Cの表面300にかかる圧力が大きくなりやすい。測定対象によりセンサ部3Cの表面300にかかる圧力が大きくなる。結果として、センサ部3Cの測定対象に対する密着性が向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0196】
[1.4.2 効果等]
以上述べた測定器10Cにおいて、センサ部3Cは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。センサ部3Cの表面300は、凹凸形状を有する。この構成は、センサ部3Cの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Cの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Cの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0197】
以上述べた測定器10Cは、測定対象に接触される接触領域100を有する。接触領域100は、センサ部3Cの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Cの表面300を囲う枠状領域200とを含む。接触領域100は、凹凸形状を有する。この構成は、接触領域100が平坦である場合に比べれば、接触領域100の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0198】
測定器10Cにおいて、センサ部3Cの表面300は、凹凸形状を有する。この構成は、センサ部3Cの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Cの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Cの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0199】
[1.5 実施の形態5]
[1.5.1 構成]
図32は、静電容量センサのセンサ部3Dの構成例の概略断面図である。
図33は、センサ部3Dの概略平面図である。
図34は、センサ部3Dの概略底面図である。特に、
図32は、
図33のB-B線の断面図である。
【0200】
センサ部3Dは、センサ部Cと同様に、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Dの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Dの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Dの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。
【0201】
図32のセンサ部3Dは、第1電極31と、第2電極32と、センサ基板33と、保護層34Dとを備える。センサ部3Dは、第1及び第2電極31,32が測定対象に接触することで第1及び第2電極31,32が測定対象の一部とともにコンデンサ30(
図2参照)を形成するように構成される。
【0202】
図33及び
図34に示すように、センサ基板33は矩形板状である。
図32に示すように、センサ基板33は、センサ基板33の厚み方向において第1面33a及び第2面33bを有する。
図32に示すように、センサ基板33には、第1電極31と第2電極32と保護層34Dとが配置される。
図33において、保護層34Dの図示は省略されている。
【0203】
図33及び
図34に示すように、第1電極31は、電極部311と、端子部312と、接続部313とを有する。
【0204】
電極部311は、測定対象との接触に用いられる。
図33に示すように、電極部311は、センサ基板33の第1面33aに配置される。
図33の電極部311は、櫛歯構造である。電極部311は、所定間隔で並ぶ複数の歯部3111と、複数の歯部3111の一端同士を連結する連結部3112とを有する。電極部311は、例えば、複数の金属層を含む。電極部311の複数の金属層は、例えば、Ni層と、Ni層を覆うPd層と、Pd層を覆うAu層とを含む。電極部311の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0205】
端子部312は、静電容量検知回路4との接続に用いられる。
図34に示すように、端子部312は、センサ基板33の第2面33bに配置される。
図34の端子部312は、矩形状のパッド部3121と、電極部311に接続される接続部3122とを有する。接続部3122は、パッド部3121から延びる帯状である。端子部312は、例えば、複数の金属層(金属膜)を含む。端子部312の複数の金属層は、例えば、Ni層と、Ni層を覆うPd層と、Pd層を覆うAu層とを含む。端子部312の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0206】
接続部313は、電極部311と端子部312とを接続する。より詳細には、接続部313は、電極部311の複数の歯部3111の一つの端部と端子部312の接続部3122の端部とを接続する。接続部313は、センサ基板33を貫通するビアである。接続部313は、例えば、Ag製である。
【0207】
図33及び
図34に示すように、第2電極32は、電極部321と、端子部322と、接続部323とを有する。
【0208】
電極部321は、測定対象との接触に用いられる。
図33に示すように、電極部321は、センサ基板33の第1面33aに配置される。
図33の電極部321は、櫛歯構造である。電極部321は、所定間隔で並ぶ複数の歯部3211と、複数の歯部3211の一端同士を連結する連結部3212とを有する。電極部321は、例えば、複数の金属層を含む。電極部321の複数の金属層は、例えば、Ni層と、Ni層を覆うPd層と、Pd層を覆うAu層とを含む。電極部321の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0209】
端子部322は、静電容量検知回路4との接続に用いられる。
図34に示すように、端子部322は、センサ基板33の第2面33bに配置される。
図34の端子部322は、矩形状のパッド部3221と、電極部321に接続される接続部3222とを有する。接続部3222は、パッド部3221から延びる帯状である。端子部322は、例えば、複数の金属層(金属膜)を含む。端子部322の複数の金属層は、例えば、Ni層と、Ni層を覆うPd層と、Pd層を覆うAu層とを含む。端子部322の複数の金属層は、メッキ処理により形成され得る。
【0210】
接続部323は、電極部321と端子部322とを接続する。より詳細には、接続部323は、電極部321の複数の歯部3211の一つの端部と端子部322の接続部3222の端部とを接続する。
図32に示すように、接続部323は、センサ基板33を貫通するビアである。接続部323は、例えば、Ag製である。
【0211】
保護層34Dは、第1電極31と第2電極32とを保護するために用いられる。特に、保護層34Dは、第1電極31の電極部311と第2電極32の電極部321とを保護するために用いられる。
図32に示すように、保護層34Dは、センサ基板33の第1面33aに配置される。保護層34Dは、第1電極31の電極部311と第2電極32の電極部321とを覆う。保護層34Dは、例えば、絶縁性を有する。保護層34Dは、例えば、ポリイミド等の絶縁性を有する材料により形成される。
【0212】
図32の保護層34Dの表面340は、凹凸形状を有する。
図32において、保護層34Dの表面340は、凸領域341と、凹領域342とを含む。凹領域342におけるセンサ基板33の第1面33aからの距離は、凸領域341におけるセンサ基板33の第1面33aからの距離よりも短い。凸領域341は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含まず、凹領域342は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含む。
【0213】
本実施の形態において、保護層34Dの表面340が、センサ部3Dにおいてヘッド部21Cから露出する表面300を規定する。そして、上述したように、保護層34Dの表面340が凹凸形状を有しており、これによって、センサ部3Dの表面300が凹凸形状を有する。
【0214】
センサ部3Dの表面300が凹凸形状であることによって、センサ部3Dの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Dの比表面積が大きくなる。センサ部3Dの比表面積が大きくなると、センサ部3Dが測定対象の一部とともに構成するコンデンサ30の静電容量が大きくなり得る。そのため、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。特に、
図32のセンサ部3Dでは、凹領域342において測定対象と電極部311又は電極部321との距離が短くなりやすく、これによっても、部分的に静電容量が大きくなり得る。
【0215】
センサ部3Dの表面300が凹凸形状であることによって、センサ部3Dの表面300が平坦である場合に比べれば、測定対象に対するセンサ部3Dの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)が大きくなる。これにより、測定時においてセンサ部3Dと測定対象との位置関係が変動する可能性を低減できる。つまり、センサ部3Dのグリップ力が向上し、測定対象により固定されるようになる。これによって、センサ部3Dの表面300を測定対象に押し付けやすくなり、測定対象によりセンサ部3Dの表面300にかかる圧力が大きくなりやすい。測定対象によりセンサ部3Dの表面300にかかる圧力が大きくなる。結果として、センサ部3Dの測定対象に対する密着性が向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0216】
[1.5.2 効果等]
以上述べた測定器10Dにおいて、センサ部3Dは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。センサ部3Dの表面300は、凹凸形状を有する。この構成は、センサ部3Dの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Dの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Dの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0217】
以上述べた測定器10Dは、測定対象に接触される接触領域100を有する。接触領域100は、センサ部3Dの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Dの表面300を囲う枠状領域200とを含む。接触領域100は、凹凸形状を有する。この構成は、接触領域100が平坦である場合に比べれば、接触領域100の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0218】
測定器10Dにおいて、センサ部3Dの表面300は、凹凸形状を有する。この構成は、センサ部3Dの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Dの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Dの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0219】
[1.6 実施の形態6]
[1.6.1 構成]
図35は、実施の形態6にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部3Eの構成例の概略断面図である。
【0220】
センサ部3Eは、センサ部Cと同様に、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Eの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Eの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Eの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。
【0221】
図35のセンサ部3Eは、第1電極31と、第2電極32と、センサ基板33と、保護層34Eとを備える。センサ部3Eの第1電極31、第2電極32及びセンサ基板33は、センサ部3Cの第1電極31、第2電極32及びセンサ基板33と同様である。
【0222】
図35の保護層34Eの表面340は、
図28及び
図29の保護層34Cの表面340と同様に、凹凸形状を有する。
図35において、保護層34Eの表面340は、凸領域341と、凹領域342とを含む。凹領域342におけるセンサ基板33の第1面33aからの距離は、凸領域341におけるセンサ基板33の第1面33aからの距離よりも短い。凸領域341は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含み、凹領域342は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含まない。
【0223】
図35の保護層34Eの表面340においては、凹凸形状の表面が、不規則な凹凸を有する粗面である。より詳細には、保護層34Eの表面340の凸領域341及び凹領域342は、不規則な凹凸を有する粗面である。保護層34Eの表面340の凹凸形状の粗面化には、エッチング技術等の周知の技術を利用可能である。
【0224】
本実施の形態において、保護層34Eの表面340、つまり、センサ部3Eの表面300の凹凸形状の表面が不規則な凹凸を有することによって、センサ部3Eの比表面積が更に大きくなり、測定対象に対するセンサ部3Eの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)が更に大きくなる。これによって、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。
【0225】
[1.6.2 効果等]
以上述べたように、センサ部3Eは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。センサ部3Eの表面300は、凹凸形状を有する。この構成は、センサ部3Eの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Eの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Eの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0226】
センサ部3Eにおいて、センサ部3Eの表面300の凹凸形状の表面は不規則な凹凸を有する粗面である。この構成は、センサ部3Eの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Eの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を更に大きくできて、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。
【0227】
[1.7 実施の形態7]
[1.7.1 構成]
図36は、実施の形態7にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部3Fの構成例の概略断面図である。
【0228】
センサ部3Fは、センサ部Cと同様に、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Fの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Fの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Fの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。
【0229】
図36のセンサ部3Fは、第1電極31と、第2電極32と、センサ基板33と、保護層34Fとを備える。センサ部3Fの第1電極31、第2電極32及びセンサ基板33は、センサ部3Dの第1電極31、第2電極32及びセンサ基板33と同様である。
【0230】
図36の保護層34Fの表面340は、
図32の保護層34Dの表面340と同様に、凹凸形状を有する。
図36において、保護層34Fの表面340は、凸領域341と、凹領域342とを含む。凹領域342におけるセンサ基板33の第1面33aからの距離は、凸領域341におけるセンサ基板33の第1面33aからの距離よりも短い。凸領域341は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含まず、凹領域342は、第1電極31の電極部311又は第2電極32の電極部321を覆う領域を含む。
【0231】
図36の保護層34Fの表面340においては、凹凸形状の表面が不規則な凹凸を有する粗面である。より詳細には、保護層34Fの表面340の凸領域341及び凹領域342は、不規則な凹凸を有する粗面である。保護層34Fの表面340の凹凸形状の粗面化には、エッチング技術等の周知の技術を利用可能である。
【0232】
本実施の形態において、保護層34Fの表面340、つまり、センサ部3Fの表面300の凹凸形状の表面が不規則な凹凸を有することによって、センサ部3Fの比表面積が更に大きくなり、測定対象に対するセンサ部3Fの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)が更に大きくなる。これによって、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。
【0233】
[1.7.2 効果等]
以上述べたように、センサ部3Fは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。センサ部3Fの表面300は、凹凸形状を有する。この構成は、センサ部3Fの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Fの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Fの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0234】
センサ部3Fにおいて、センサ部3Fの表面300の凹凸形状の表面は不規則な凹凸を有する粗面である。この構成は、センサ部3Fの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Fの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を更に大きくできて、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。
【0235】
[1.8 実施の形態8]
[1.8.1 構成]
図37は、実施の形態8にかかる測定器の静電容量センサのセンサ部3Gの構成例の概略断面図である。
【0236】
センサ部3Gは、センサ部Cと同様に、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Gの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Gの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Gの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。
【0237】
図37のセンサ部3Gは、第1電極31と、第2電極32と、センサ基板33と、保護層34Gとを備える。センサ部3Gの第1電極31、第2電極32及びセンサ基板33は、センサ部3Cの第1電極31、第2電極32及びセンサ基板33と同様である。ただし、
図37のセンサ部3Gでは、第1電極31の電極部311及び第2電極32の電極部321は、センサ基板33の第1面33aに位置するが、第1電極31の電極部311の表面及び第2電極32の電極部321の表面は、センサ基板33の第1面33aと同一平面上に位置する。
【0238】
図37の保護層34Gの表面340は、
図28及び
図29の保護層34Cの表面340のような凹凸形状を有していないが、不規則な凹凸を有する粗面を含む。保護層34Gの表面340の粗面化には、エッチング技術等の周知の技術を利用可能である。なお、
図28及び
図29の保護層34Cの表面340は、全体が不規則な凹凸を有する粗面であるが、必ずしも表面340全体が不規則な凹凸を有する粗面である必要はない。
【0239】
本実施の形態において、保護層34Gの表面340、つまり、センサ部3Gの表面300が不規則な凹凸を有する粗面であることによって、センサ部3Gの比表面積が大きくなり、測定対象に対するセンサ部3Gの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)が大きくなる。これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0240】
[1.8.2 効果等]
以上述べたように、センサ部3Gは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。センサ部3Gの表面300は、粗面を含む。この構成は、センサ部3Gの表面300が平坦である場合に比べれば、センサ部3Gの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Gの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0241】
センサ部3Gにおいて、センサ部3Gの表面300の凹凸形状の表面は粗面である。この構成は、センサ部3Gの比表面積及び測定対象に対するセンサ部3Gの表面300の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0242】
[1.9 実施の形態9]
[1.9.1 構成]
図38は、実施の形態9にかかる測定器10Hのヘッド部21Cの構成例の概略斜視図である。測定器10Hは、測定器10Cと同様に、静電容量式の水分測定器である。測定器10Hは、静電容量センサ1Cと、ハンドヘルド筐体2Cとを備える。
【0243】
ハンドヘルド筐体2Cは、静電容量センサ1Cを収容する。ハンドヘルド筐体2Cは、ヘッド部21Cを備える。
図38では図示が省略されているが、ハンドヘルド筐体2Cは、
図1のハンドヘルド筐体2と同様に、グリップ部22と、プローブ部23とを備える。
【0244】
静電容量センサ1Cは、静電容量に基づいて測定対象の水分量を求める。静電容量センサ1Cは、センサ部3Cを備える。静電容量センサ1Cは、
図2の静電容量センサ1と同様に、静電容量検知回路4と、処理回路5とを備える。
【0245】
本実施の形態では、少なくともセンサ部3Cが、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Cの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Cの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Cの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。
【0246】
図38のセンサ部3Cの表面300は、ヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出する。これによって、測定器10Hの接触領域100を測定対象に接触させた場合に、センサ部3Cの表面300が測定対象に十分に接触しやすくなり、測定器10Hの測定のばらつきが抑制され、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。特に、センサ部3Cの表面300がヘッド部21Cの枠状領域200に対して凹没するよりも、センサ部3Cの表面300がヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出するほうが、センサ部3Cが測定対象に接触しやすくなる。センサ部3Cの表面300がヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出するから、冬場の低湿度環境等の静電気の発生しやすい状態でセンサ部3Cが帯電しても、センサ部3Cに帯電した静電気が効果的に放電され得る。そのため、センサ部3Cの帯電による測定結果のばらつきが抑制され、これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。この場合において、センサ部3Cの表面300の面積が1mm
2以上であると、静電気が更に効果的に放電され得る。
【0247】
本実施の形態においては、センサ部3Cの表面300の全部が、ヘッド部21Cの枠状領域200から突出する。したがって、グリップ力を得ながら、センサ部3Cが全面的に測定対象に接触する。結果として、センサ部3Cで検出する信号(静電容量の変化)が大きくなる。これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。センサ部3Cの表面300の全部が、ヘッド部21Cの枠状領域200から突出するから、センサ部3Cに帯電する静電気がより効果的に放電される。その結果、センサ部3Cの帯電による測定結果のばらつきが抑制され、これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0248】
図38の測定器10Hでは、センサ高さH1は、5μm以上1mm以下である。センサ高さH1が5μm以上であることで、センサ高さH1が5μm未満である場合に比べて、測定器10Hの測定のばらつきが抑制され得る。センサ高さH1が1mm以下であることで、センサ高さH1が1mmより大きい場合に比べて、センサ部3Cの測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかる可能性を低減し得る。センサ部3Cの測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかると、測定対象が人である場合に、痛みを感じる可能性がある。
【0249】
図38のセンサ高さH1は、センサ部3Cの表面300と、ヘッド部21Cの枠状領域200を含む所定平面との間の距離で規定される。センサ部3Cにおいては、
図28及び
図29に示すように、センサ部3Cの表面300は凹凸形状である。ここで、保護層34Cの厚みは非常に薄い。そのため、センサ部3Cのセンサ基板33の第1面33aと所定平面との間の距離を、センサ部3Cの表面300と所定平面との間の距離、すなわち、センサ高さH1として用いることができる。これによって、センサ部3Cの表面300の形状によらずに、センサ高さH1の設定が可能となる。
【0250】
[1.9.2 効果等]
以上述べた測定器10Hにおいて、センサ部3Cは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。ヘッド部21Cは、センサ部3Cの表面300を囲う枠状領域200を有する。センサ部3Cの表面300の少なくとも一部は、ヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出する。この構成は、センサ部3Cの表面300の少なくとも一部がヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出も凹没もしない場合に比べれば、センサ部3Cの測定対象に対する密着性が向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。この構成は、センサ部3Cに帯電する静電気が効果的に放電されるために、センサ部3Cの帯電による測定結果のばらつきが抑制され、これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0251】
測定器10Hにおいて、センサ部3Cの表面300の全部は、ヘッド部21Cの枠状領域200から突出する。この構成は、センサ部3Cの測定対象に対する密着性が更に向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。この構成は、センサ部3Cに帯電する静電気がより効果的に放電されるために、センサ部3Cの帯電による測定結果のばらつきが抑制され、これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0252】
測定器10Hにおいて、センサ部3Cの表面300とヘッド部21Cの枠状領域200を含む所定平面との間の距離(センサ高さH1)は、5μm以上1mm以下である。この構成は、センサ部3Cの測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかる可能性を低減しながら、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0253】
[1.10 実施の形態10]
[1.10.1 構成]
図39は、実施の形態10にかかる測定器10Iのヘッド部21Cの構成例の概略斜視図である。測定器10Iは、測定器10Cと同様に、静電容量式の水分測定器である。測定器10Iは、静電容量センサ1Cと、ハンドヘルド筐体2Cとを備える。
【0254】
ハンドヘルド筐体2Cは、静電容量センサ1Cを収容する。ハンドヘルド筐体2Cは、ヘッド部21Cを備える。
図39では図示が省略されているが、ハンドヘルド筐体2Cは、
図1のハンドヘルド筐体2と同様に、グリップ部22と、プローブ部23とを備える。
【0255】
静電容量センサ1Cは、静電容量に基づいて測定対象の水分量を求める。静電容量センサ1Cは、センサ部3Cを備える。静電容量センサ1Cは、
図2の静電容量センサ1と同様に、静電容量検知回路4と、処理回路5とを備える。
【0256】
本実施の形態では、少なくともセンサ部3Cが、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cに位置する。センサ部3Cの表面300は、ハンドヘルド筐体2Cのヘッド部21Cから外部に露出する。センサ部3Cの表面300と、ヘッド部21Cにおけるセンサ部3Cの表面300を囲う枠状領域200とは、測定対象に接触される接触領域100を構成する。
【0257】
図39のセンサ部3Cの表面300は、ヘッド部21Cの枠状領域200に対して凹没する。これによって、測定器10Iの接触領域100を測定対象に接触させた場合に、測定対象の一部が変形してヘッド部21Cの枠状領域200で囲まれた空間内に入り込む。これによって、センサ部3Cの表面300が測定対象に十分に接触しやすくなり、測定器10Iの測定のばらつきが抑制され、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。特に、センサ部3Cの表面300がヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出するよりも、センサ部3Cの表面300がヘッド部21Cの枠状領域200に対して凹没するほうが、グリップ力が向上し、センサ部3Cが測定対象に対して固定されやすくなる。
【0258】
本実施の形態においては、センサ部3Cの表面300の全部が、ヘッド部21Cの枠状領域200から凹没する。したがって、グリップ力を得ながら、センサ部3Cが全面的に測定対象に接触しやすくなる。結果として、センサ部3Cで検出する信号(静電容量の変化)が大きくなる。これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0259】
図39の測定器10Iでは、センサ高さI1は、5μm以上1mm以下である。センサ高さI1が5μm以上であることで、センサ高さI1が5μm未満である場合に比べて、測定器10Iの測定のばらつきが抑制され得る。センサ高さI1が1mm以下であることで、センサ高さI1が1mmより大きい場合に比べて、センサ部3Cの測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかる可能性を低減し得る。センサ部3Cの測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかると、測定対象が人である場合に、痛みを感じる可能性がある。
【0260】
[1.10.2 効果等]
以上述べた測定器10Iにおいて、センサ部3Cは、ヘッド部21Cから露出する表面300を有する。ヘッド部21Cは、センサ部3Cの表面300を囲う枠状領域200を有する。センサ部3Cの表面300の少なくとも一部は、ヘッド部21Cの枠状領域200に対して凹没する。この構成は、センサ部3Cの表面300の少なくとも一部がヘッド部21Cの枠状領域200に対して突出も凹没もしない場合に比べれば、センサ部3Cの測定対象に対する密着性が向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0261】
測定器10Iにおいて、センサ部3Cの表面300の全部は、ヘッド部21Cの枠状領域200から凹没する。この構成は、センサ部3Cの測定対象に対する密着性が更に向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。
【0262】
測定器10Iにおいて、センサ部3Cの表面300とヘッド部21Cの枠状領域200を含む所定平面との間の距離(センサ高さI1)は、5μm以上1mm以下である。この構成は、センサ部3Cの測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかる可能性を低減しながら、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0263】
[1.11 実施の形態11]
[1.11.1 構成]
図40は、実施の形態11にかかる測定器10Jの構成例の概略図である。
図40の測定器10Jは、静電容量式の水分測定器である。測定器10Jは、静電容量センサ1Jと、ハンドヘルド筐体2とを備える。
【0264】
静電容量センサ1Jは、静電容量に基づいて測定対象の水分量を求める。静電容量センサ1Jは、センサ部3と、静電容量検知回路4と、処理回路5Jと、荷重検出回路7とを備える。本実施の形態では、センサ部3、静電容量検知回路4及び荷重検出回路7は、ハンドヘルド筐体2のヘッド部21に位置する。本実施の形態では、処理回路5Jは、ハンドヘルド筐体2のグリップ部22に位置する。
【0265】
荷重検出回路7は、センサ部3が測定対象から受ける荷重を検出する。荷重検出回路7は、センサ部3が測定対象から受ける荷重それ自体又は当該荷重と相関がある物理量を検出できればよい。荷重検出回路7は、例えば、圧力センサを含んでよい。
【0266】
処理回路5Jは、演算回路51Jと、入出力回路52とを備える。
【0267】
演算回路51Jは、入出力回路52に接続される。演算回路51Jは、入出力回路52の入力装置により水分量の計測開始の操作がされた場合、静電容量検知回路4に、静電容量の検知のための動作を開始させる。演算回路51Jは、静電容量検知回路4によるコンデンサ30の充放電の時間に基づいてコンデンサ30の静電容量を算出するように構成される。演算回路51Jは、コンデンサ30の静電容量に基づいて測定対象の水分量を求めるように構成される。演算回路51Jは、測定対象の水分量を、入出力回路52の出力装置により表示する。
【0268】
ここで、センサ部3と測定対象の接触が不十分である場合には、算出されるコンデンサ30の静電容量の信頼性が低い場合がある。コンデンサ30の静電容量の信頼性が低いと、当然ながら、コンデンサ30の静電容量に基づく演算の結果(測定対象の水分量)の信頼性も低くなる。この観点から、本実施の形態において、演算回路51Jは、センサ部3が測定対象から受ける荷重に応じて、コンデンサの静電容量に基づく演算の結果(測定対象の水分量)を出力するかどうかを決定するように構成される。より詳細には、演算回路51Jは、荷重検出回路7はからセンサ部3が測定対象から受ける荷重を取得すると、センサ部3が測定対象から受ける荷重を所定値と比較する。演算回路51Jは、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値以上である間は、コンデンサの静電容量に基づく演算の結果(測定対象の水分量)を出力する。処理回路5Jは、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値未満である間は、コンデンサの静電容量に基づく演算の結果(測定対象の水分量)を出力しない。所定値は、例えば、2.3gf/mm2である。
【0269】
このように、処理回路5Jは、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値以上である間は、コンデンサの静電容量に基づく演算の結果(測定対象の水分量)を出力し、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値未満である間は、コンデンサの静電容量に基づく演算の結果(測定対象の水分量)を出力しない。これによって、コンデンサ30の静電容量が信頼できる場合にだけ、演算の結果を出力することができるから、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0270】
本実施の形態において、プローブ部23は、センサ部3が測定対象から受ける荷重に応じて、グリップ部22に対するヘッド部21の位置が変化するように構成される。プローブ部23は、センサ部3が測定対象から受ける荷重が0である場合(無負荷時)においては、ヘッド部21がグリップ部22の長さ方向に対して前側に傾斜するように構成される。プローブ部23は、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値である場合においては、ヘッド部21がグリップ部22の長さ方向に対して平行するように構成される。一例として、プローブ部23は、ばね性を有する材料で形成され得る。
【0271】
[1.11.2 効果等]
以上述べた測定器10Jにおいて、処理回路5Jは、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値以上である間は、コンデンサ30の静電容量に基づく演算の結果を出力し、センサ部3が測定対象から受ける荷重が所定値未満である間は、コンデンサ30の静電容量に基づく演算の結果を出力しない。この構成は、コンデンサ30の静電容量が信頼できる場合にだけ、演算の結果を出力することができるから、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0272】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0273】
一変形例において、静電容量検知回路4の第1~第4スイッチS1~S4は必ずしも電界効果トランジスタでなくてもよい。第1~第4スイッチS1~S4は、半導体スイッチであってもよいし、メカニカルスイッチであってもよい。第3スイッチS3及び第4スイッチS4が電界効果トランジスタではなく、ボディダイオードを有していない場合には、式(8)のVf2は、第2補助コンデンサ44bがない場合における充放電回路42を第1状態から第2状態に切り替えた際の第2電極32の電位V2の下限値であり、Vf2の大きさは第2閾値の大きさに等しい。式(9)のVf9は、第1補助コンデンサ44aがない場合における充放電回路42を第2状態から第1状態に切り替えた際の第1電極31の電位V1の下限値であり、Vf1の大きさは第1閾値の大きさに等しい。
【0274】
一変形例において、センサ部3,3Bの構造は特に限定されない。センサ部3,3Bは、従来周知の構造を有してよい。水分計の場合には、センサ部3は、第1及び第2電極31,32が測定対象に接触することで第1及び第2電極31,32が測定対象の一部とともにコンデンサ30を形成するように構成されるとよい。咬合力計の場合、センサ部3Bは、圧力が加わることで変形する変形部35Bを備え、第1及び第2電極31B,32Bが変形部35Bとともにコンデンサ30Bを形成するように構成されるとよい。
【0275】
実施の形態では、静電容量は周期Tに基づいて算出したがこれに限らず、インピーダンス測定などで測定してもよい。静電容量は総容量に限らず、補助コンデンサのみ測定、算出を行ってもよい。
【0276】
また、測定器の起動時の条件を一定にするため、起動前にコンデンサの電荷を放電させる動作を行ってから測定を開始しても良い。これに限らず、コンデンサを満充電にしてから測定しても良い。起動時のコンデンサに蓄えられた電荷がばらつくと測定結果に悪影響を与える可能性がある。そして、起動時の電荷を一定条件にすることにより、悪影響を低減し、測定の精度を向上させることが可能である。
【0277】
実施の形態4,6において、保護層34Cの表面340の凸領域341及び凹領域342は、センサ基板33の第1面33aの電極部311,321に関係なく配置されてよい。実施の形態5,7において、保護層34Dの表面340の凸領域341及び凹領域342は、センサ基板33の第1面33aの電極部311,321に関係なく配置されてよい。
【0278】
一変形例において、ヘッド部21Cの枠状領域200は、凹凸形状又は不規則な凹凸を有する粗面を有してよい。この場合、センサ部3Cの表面300は平坦であってよい。すなわち、接触領域100が凹凸形状或いは不規則な凹凸を有する粗面又はその両方を有していればよく、センサ部3Cの表面300が凹凸形状或いは不規則な凹凸を有する粗面又はその両方を有することは必須ではない。なお、測定器10Cの使用時には、ヘッド部21Cは保護用の樹脂フィルムで覆われることがある。凹凸形状或いは不規則な凹凸を有する粗面は、このような樹脂フィルムの上からでも機能する程度の寸法形状であることが望ましい。
【0279】
実施の形態9,10において、センサ部3Cの代わりに、センサ部3,3D-3Gのいずれかを採用してもよい。実施の形態9において、センサ部3Cの表面300は、曲面状(凸面状)であってよい。これによって、センサ部3Cの表面300の全部ではなく一部が、ヘッド部21Cの枠状領域200から突出してよい。実施の形態10において、センサ部3Cの表面300は、曲面状(凹面状)であってよい。これによって、センサ部3Cの表面300の全部ではなく一部が、ヘッド部21Cの枠状領域200から凹没してよい。センサ部3Cの表面300の形状は、センサ部3Cの表面300の全部又は一部をヘッド部21Cの枠状領域200に対してどの程度突出又は凹没させるかによって、適宜設定され得る。
【0280】
実施の形態11において、センサ部3の代わりに、センサ部3B-3Gのいずれかを採用してもよい。
【0281】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0282】
第1の態様は、静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)であって、コンデンサ(30)を構成する第1電極(31)及び第2電極(32)を有するセンサ部(3;3B)と、前記センサ部(3;3B~3G)に接続される静電容量検知回路(4;4A)とを備える。前記静電容量検知回路(4;4A)は、前記第1電極(31)及び前記第2電極(32)に接続され、前記コンデンサ(30)を充放電させるための充放電回路(42)と、前記コンデンサ(30)が充放電を繰り返すように前記充放電回路(42)を制御する制御回路(43)と、前記コンデンサ(30)と並列となるように前記第1電極(31)に接続される第1補助コンデンサ(44a)と、前記コンデンサ(30)と並列となるように前記第2電極(32)に接続される第2補助コンデンサ(44b)との少なくとも一方を有する補助容量回路(44;44A)とを備える。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0283】
第2の態様は、第1の態様に基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第2の態様において、前記補助容量回路(44)は、前記第1補助コンデンサ(44a)と前記第2補助コンデンサ(44b)とを有する。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0284】
第3の態様は、第2の態様に基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第3の態様において、前記第1補助コンデンサ(44a)の静電容量と前記第2補助コンデンサ(44b)の静電容量とは等しい。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0285】
第4の態様は、第2の態様に基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第4の態様において、前記第1補助コンデンサ(44a)の静電容量と前記第2補助コンデンサ(44b)の静電容量とが異なる。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0286】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づく静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)である。第5の態様において、前記充放電回路(42)は、前記第1電極(31)に一定の出力電流を供給する第1状態と、前記第2電極(32)に一定の出力電流を供給する第2状態と、が相補的に切り替え可能に構成される。前記制御回路(43)は、前記充放電回路(42)が前記第1状態である場合に前記第1電極(31)の電位が第1閾値に達すると前記充放電回路(42)を前記第1状態から前記第2状態に切り替えるように構成される。前記制御回路(43)は、前記充放電回路(42)が前記第2状態である場合に前記第2電極(32)の電位が第2閾値に達すると前記充放電回路(42)を前記第2状態から前記第1状態に切り替えるように構成される。この態様は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0287】
第6の態様は、第5の態様に基づく静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)である。第6の態様において、前記第1閾値と前記第2閾値とは等しい。この態様は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0288】
第7の態様は、第5又は第6の態様に基づく静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)である。第7の態様において、前記充放電回路(42)は、電源(Iin)に接続される電源端子(41a)と基準電位(Vg)に接続される基準電位端子(41b)との間に接続され、第1スイッチ(S1)、第2スイッチ(S2)、第3スイッチ(S3)及び第4スイッチ(S4)を有する。前記第1スイッチ(S1)と前記第3スイッチ(S3)は、直列回路を構成する。前記第1スイッチ(S1)と前記第3スイッチ(S3)の直列回路は、前記第1スイッチ(S1)が前記電源端子(41a)、前記第3スイッチ(S3)が前記基準電位端子(41b)に接続されるように、前記電源端子(41a)と前記基準電位端子(41b)との間にある。前記第1スイッチ(S1)と前記第3スイッチ(S3)との接続点が前記第1電極(31)に接続される。前記第2スイッチ(S2)と前記第4スイッチ(S4)は、直列回路を構成する。前記第2スイッチ(S2)と前記第4スイッチ(S4)の直列回路は、前記第2スイッチ(S2)が前記電源端子(41a)、前記第4スイッチ(S4)が前記基準電位端子(41b)に接続され、かつ、前記第1スイッチ(S1)と前記第3スイッチ(S3)との直列回路に並列に接続されるように、前記電源端子(41a)と前記基準電位端子(41b)との間にある。前記第2スイッチ(S2)と前記第4スイッチ(S4)との接続点が前記第2電極(32)に接続される。前記第1状態では、前記第1及び第4スイッチ(S4)がオン、前記第2及び第3スイッチ(S3)がオフとなる。前記第2状態では、前記第1及び第4スイッチ(S4)がオフ、前記第2及び第3スイッチ(S3)がオンとなる。この態様は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0289】
第8の態様は、第7の態様に基づく静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)である。第8の態様において、前記第1補助コンデンサ(44a)が前記第3スイッチ(S3)に並列となるように、前記第1補助コンデンサ(44a)の第1端が前記第1電極(31)に接続されるとともに、前記第1補助コンデンサ(44a)の第2端が前記基準電位端子(41b)に接続される。前記第2補助コンデンサ(44b)が前記第4スイッチ(S4)に並列となるように、前記第2補助コンデンサ(44b)の第1端が前記第2電極(32)に接続されるとともに、前記第2補助コンデンサ(44b)の第2端が前記基準電位端子(41b)に接続される。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0290】
第9の態様は、第8の態に基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第9の態様において、前記静電容量検知回路(4)は、次式を満たす。
【0291】
【0292】
Ceは、前記コンデンサ(30)の静電容量である。Cg1は、前記第1補助コンデンサ(44a)の静電容量である。Cg2は、前記第2補助コンデンサ(44b)の静電容量である。Vth1は、前記第1閾値である。Vth2は、前記第2閾値である。Vf1は、前記第1補助コンデンサ(44a)がない場合における前記充放電回路(42)を前記第2状態から前記第1状態に切り替えた際の前記第1電極(31)の電位の下限値である。Vf2は、前記第2補助コンデンサ(44b)がない場合における前記充放電回路(42)を前記第1状態から前記第2状態に切り替えた際の前記第2電極(32)の電位の下限値である。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0293】
第10の態様は、第9の態様に基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第10の態様において、Vf1=Vf2を満たす。この態様は、静電容量検知回路の構成を簡素化できる。
【0294】
第11の態様は、第9又は第10の態様に基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第11の態様において、Vf1<0及びVf2<0を満たす。この態様は、静電容量の変化量を大きくでき、静電容量の検知の精度の向上が図れる。
【0295】
第12の態様は、第9~第11の態様のいずれか一つに基づく静電容量センサ(1;1B~1G;1J)である。第12の態様において、前記第3スイッチ(S3)と前記第4スイッチ(S4)の各々は、電界効果トランジスタである。Vf1は、前記第3スイッチ(S3)のボディダイオードの閾値電圧で決まる。Vf2は、前記第4スイッチ(S4)のボディダイオードの閾値電圧で決まる。この態様は、静電容量検知回路の小型化及び第1状態と第2状態との切り替えの高速化が図れる。
【0296】
第13の態様は、第1~第12の態様のいずれか一つに基づく静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)である。第13の態様において、前記センサ部(3;3B~3G)は、前記第1電極(31)及び前記第2電極(32)が配置されるセンサ基板(33)を有する。前記充放電回路(42)は、前記センサ基板(33)とは別の回路基板(4a)に配置される。前記補助容量回路(44;44A)は、前記センサ基板(33)と前記回路基板(4a)との間で、かつ、前記センサ基板(33)よりも前記回路基板(4a)に近い位置に配置される。この態様は、センサ部の第1電極及び第2電極からの浮遊容量の影響を低減することができる。
【0297】
第14の態様は、第1~第13の態様のいずれか一つに基づく静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)である。第14の態様において、前記静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)は、前記静電容量検知回路(4;4A)による前記コンデンサ(30)の充放電の時間に基づいて前記コンデンサ(30)の静電容量を算出する処理回路(5;5B;5J)をさらに備える。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0298】
第15の態様は、測定器(10;10B;~10J)であって、第1~第13の態様のいずれか一つに基づく静電容量センサ(1;1A:1B~1G;1J)と、前記静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)を収容するハンドヘルド筐体(2;2B;2C)とを備える。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0299】
第16の態様は、第15の態様に基づく測定器(10;10B~10J)である。第16の態様において、前記静電容量センサ(1;1A;1B~1G;1J)は、前記静電容量検知回路(4;4A)による前記コンデンサ(30)の充放電の時間に基づいて前記コンデンサ(30)の静電容量を算出する処理回路(5;5B;5J)をさらに備える。この態様は、静電容量の検知に対する浮遊容量の影響を低減できる。
【0300】
第17の態様は、第16の態様に基づく測定器(10;10B~10J)である。第17の態様において、前記ハンドヘルド筐体(2;2B;2C)は、前記ハンドヘルド筐体(2;2B;2C)の第1端に配置されるとともに測定対象に接触されるヘッド部(21;21B;21C)と、前記ハンドヘルド筐体(2;2B;2C)の第2端に配置されるとともに手で握られるグリップ部(22;22B)と、前記ヘッド部(21;21B;21C)と前記グリップ部(22;22B)とを結合するプローブ部(23)とを含む。前記センサ部(3;3B~3G)は、前記ヘッド部(21;21B;21C)に位置する。前記静電容量検知回路(4)は、前記ヘッド部(21;21B;21C)又は前記プローブ部(23)に位置する。前記処理回路(5;5B;5J)は、前記グリップ部(22;22B)に位置する。この態様は、グリップ部で生じる浮遊容量の影響を低減できる。
【0301】
第18の態様は、第17の態様に基づく測定器(10;10B~10J)である。第18の態様において、前記グリップ部(22;22B)は、前記グリップ部(22;22B)の表面に露出する導電部(221;221B)を有する。前記導電部(221;221B)は、前記処理回路(5;5B;5J)の基準電位(Vg)に接続される。この態様は、測定器を持つ人側での浮遊容量の影響のばらつきを低減できる。
【0302】
第19の態様は、第16~第18の態様のいずれか一つに基づく測定器(10C)である。第19の態様において、前記センサ部(3C;3D;3E;3F)は、前記ヘッド部(21C)から露出する表面(300)を有する。前記センサ部(3C;3D;3E;3F)の表面(300)は、凹凸形状を有する。この態様は、センサ部の表面が平坦である場合に比べれば、センサ部の比表面積及び測定対象に対するセンサ部の表面の摩擦係数(主に静止摩擦係数)を大きくできて、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0303】
第20の態様は、第17の態様に基づく測定器(10H;10I)である。第20の態様において、前記センサ部(3C)は、前記ヘッド部(21C)から露出する表面(300)を有する。前記ヘッド部(21C)は、前記センサ部(3C)の表面(300)を囲う枠状領域(200)を有する。前記センサ部(3C)の表面(300)の少なくとも一部は、前記ヘッド部(21C)の枠状領域(200)に対して突出又は凹没する。この態様は、センサ部の表面の少なくとも一部がヘッド部の枠状領域に対して突出も凹没もしない場合に比べれば、センサ部の測定対象に対する密着性が向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。この構成は、センサ部3Cに帯電する静電気が効果的に放電されるために、センサ部3Cの帯電による測定結果のばらつきが抑制され、これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0304】
第21の態様は、第20の態様に基づく測定器(10H)である。第21の態様において、前記センサ部(3C)の表面(300)の全部は、前記ヘッド部(21C)の枠状領域(200)から突出する。この態様は、センサ部の測定対象に対する密着性が更に向上するから、測定が安定し、静電容量の検知の精度のさらなる向上が可能になる。この構成は、センサ部3Cに帯電する静電気がより効果的に放電されるために、センサ部3Cの帯電による測定結果のばらつきが抑制され、これによって、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0305】
第22の態様は、第20の態様に基づく測定器(10H;10I)である。第22の態様において、前記センサ部(3C)の表面(300)と前記所定平面との間の距離は、5μm以上1mm以下である。この態様は、センサ部の測定対象との接触時に測定対象に過剰な圧力がかかる可能性を低減しながら、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0306】
第23の態様は、第17の態様に基づく測定器(10J)である。第23の態様において、前記処理回路(5J)は、前記センサ部(3)が前記測定対象から受ける荷重が所定値以上である間は、前記コンデンサ(30)の静電容量に基づく演算の結果を出力し、前記センサ部(3)が前記測定対象から受ける荷重が所定値未満である間は、前記コンデンサ(30)の静電容量に基づく演算の結果を出力しない。この態様は、コンデンサの静電容量が信頼できる場合にだけ、演算の結果を出力することができるから、静電容量の検知の精度の向上が可能になる。
【0307】
第24の態様は、第16~第23の態様のいずれか一つに基づく測定器(10;10C~10J)である。第24の態様において、前記センサ部(3;3C~3G)は、前記第1及び第2電極(31,32)が測定対象に接触することで前記第1及び第2電極(31,32)が前記測定対象の一部とともに前記コンデンサ(30)を形成するように構成される。前記処理回路(5;5J)は、前記コンデンサ(30)の静電容量に基づいて前記測定対象の水分量を求めるように構成される。この態様は、測定対象の水分量の測定を可能にする。
【0308】
第25の態様は、第24の態様に基づく測定器(10;10C~10J)である。第25の態様において、前記測定対象は、生物である。この態様は、生物の水分量の測定を可能にする。
【0309】
第26の態様は、第24又は第25の態様に基づく測定器(10;10C~10J)である。第26の態様において、前記測定対象は、生物の口腔である。この態様は、生物の口腔の水分量の測定を可能にする。
【0310】
第27の態様は、第26の態様に基づく測定器(10B)である。第27の態様において、前記センサ部(3B)は、圧力が加わることで変形する変形部(35B)を備える。前記センサ部(3B)は、前記第1及び第2電極(31B,32B)が前記変形部(35B)とともに前記コンデンサ(30B)を形成するように構成される。前記処理回路(5)は、前記コンデンサ(30B)の静電容量に基づいて前記圧力を求めるように構成される。この態様は、圧力の測定を可能にする。特に、圧力は、人が上下顎歯で咬むことで変形部(35B)に与えられてよい。この場合は、人の上下顎歯の咬合力の測定を可能にする。
【0311】
上記の第2~第14の態様、及び、第16~第27の態様は必須ではない。
【産業上の利用可能性】
【0312】
本開示は、静電容量検知回路、静電容量センサ、及び測定器に適用可能である。具体的には、コンデンサの充放電に基づいて静電容量を検知するための静電容量検知回路、静電容量検知回路を備える静電容量センサ、及び、静電容量センサを備える測定器に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0313】
10,10B~10J 測定器
1,1A,1B~1G,1J 静電容量センサ
2,2B,2C ハンドヘルド筐体
21,21B,21C ヘッド部
22,22B グリップ部
221,221B 導電部
23 プローブ部
3,3B~3G センサ部
30,30B コンデンサ
31B 第1電極
32B 第2電極
33 センサ基板
35B 変形部
4,4A 静電容量検知回路
41a 電源端子
41b 基準電位端子
42 充放電回路
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
S3 第3スイッチ
S4 第4スイッチ
43 制御回路
44,44A 補助容量回路
44a 第1補助コンデンサ
44b 第2補助コンデンサ
4a 回路基板
5,5B,5J 処理回路
Iin 電源
Vg 基準電位