(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】基地局装置および端末局装置
(51)【国際特許分類】
H04W 72/231 20230101AFI20241217BHJP
H04W 76/36 20180101ALI20241217BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20241217BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H04W72/231
H04W76/36
H04W28/18 110
H04W72/0446
(21)【出願番号】P 2024006370
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2022555211の分割
【原出願日】2020-10-08
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0166553(US,A1)
【文献】特表2010-533374(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065814(WO,A1)
【文献】ETRI,Small data transmission in RRC_INACTIVE state[online],3GPP TSG RAN WG2 #111-e R2-2007069,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_111-e/Docs/R2-2007069.zip>,2020年08月07日,[検索日 2024.10.31]
【文献】Xiaomi,Paging enhancements for power saving[online],3GPP TSG RAN WG1 #102-e R1- 2005738,Internet:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_102-e/Docs/R1-2005738.zip> ,2020年08月07日,[検索日 2024.10.31]
【文献】OPPO,Procedure of Small Data Transmission,3GPP TSG RAN WG2 #111-e R2-2006836,インターネット:<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_111-e/Docs/R2-2006836.zip> ,2020年08月07日,[検索日 2024.10.31]
【文献】Huawei, Ericsson,Summary of email discussion [NR-AH1#13][NR] UL data in INACTIVE[online],3GPP TSG RAN WG2 #97 R2-1701125,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97/Docs/R2-1701125.zip>,[検索日 2024.10.31]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末局装置が所定の状態であるときに通信を実施できる通信部と、
前記通信のうちの第1の通信に対応する第1の区間と、第2の通信に対応する第2の区間に応じた、前記端末局装置が通信を実施するための制御信号を復号する領域が有効となる区間を使用して、前記端末局装置との前記通信を実施させる制御が行える制御部と、
を有し、
前記第2の区間は、前記端末局装置が前記第2の通信に対応するデータを送信することで開始され、前記通信部から送信される、サスペンドを設定するRRC(Radio Resource Control)メッセージが前記端末局装置に受信するまでの区間である、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記サスペンドを設定するRRCメッセージは、RRC Release with suspend Configを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記端末局装置に第1の区間と第2の区間を間欠的に使用して、通信を実行させる、請求項1に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記領域が有効となる区間に関する設定の情報を含むRRCレイヤのメッセージを送信する、請求項1に記載の基地局装置。
【請求項5】
前記第1の通信は、ページングの通信であり、前記第2の通信は、スモールデータの通信であり、前記所定の状態は、RRCインアクティブモードの状態であることを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
【請求項6】
基地局装置と、所定の状態であるときに通信を実施できる通信部と、
前記通信のうちの第1の通信に対応する第1の区間と、第2の通信に対応する第2の区間に応じて、前記通信を実施するための制御信号を復号する領域が有効となる区間を使用して、前記通信を実施する制御ができる制御部と、
を有し、
前記第2の区間は、前記通信部が前記第2の通信に対応するデータを送信することで開始され、前記通信部が前記基地局装置からサスペンドを設定するRRCメッセージを受信するまでの区間である、
ことを特徴とする端末局装置。
【請求項7】
前記制御部は、
周期的に実施される前記第1の通信に対応する区間において、前記通信部に含まれる無線受信回路をオンにし、データの送信を含む前記第2の通信に対応する区間において、前記通信部に含まれる無線受信回路をオンにする
ことを特徴とする請求項6に記載の端末局装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記端末局装置に第1の区間と第2の区間を間欠的に使用して、通信を実行する、請求項6に記載の端末局装置。
【請求項9】
前記第1の通信は、ページングの通信であり、前記第2の通信は、スモールデータの通信であり、前記所定の状態は、RRCインアクティブモードの状態であることを特徴とする請求項6に記載の端末局装置。
【請求項10】
端末局装置が所定の状態であるときに通信を実施できる通信部と、
前記通信のうちの第1の通信に対応する第1の区間と、第2の通信に対応する第2の区間に応じた、前記端末局装置が通信を実施するための制御信号を復号する領域が有効となる区間を使用して、前記端末局装置との前記通信を実施させる制御が行える制御部と、
を有し、
前記第2の区間は、前記端末局装置が前記第2の通信に対応するデータを送信することで開始され、前記通信部から送信される、個別制御情報を前記端末局装置に受信するまでの区間である、
ことを特徴とする基地局装置。
【請求項11】
基地局装置と、所定の状態であるときに通信を実施できる通信部と、
前記通信のうちの第1の通信に対応する第1の区間と、第2の通信に対応する第2の区間に応じて、前記通信を実施するための制御信号を復号する領域が有効となる区間を使用して、前記通信を実施する制御ができる制御部と、
を有し、
前記第2の区間は、前記通信部が前記第2の通信に対応するデータを送信することで開始され、前記通信部が前記基地局装置から個別制御情報を受信するまでの区間である、
ことを特徴とする端末局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、端末局装置、無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークにおいては、モバイル端末(スマートフォンやフィーチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使用するトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of Things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開に合わせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5G又はNR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~13)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。
【0004】
なお、第5世代通信規格については、3GPP(Third Generation Partnership Project)の作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている。
【0005】
ところで、一般に無線通信システムにおいては、RRC(Radio Resource Control)レイヤの処理が実行される。RRCレイヤの処理では、例えば基地局装置と端末局装置との間でコネクションの設定、変更、解放などが行なわれる。例えば、4Gの標準技術であるLTE(Long Term Evolution)又はLTE-A(LTE-Advanced)においては、RRCレイヤの状態として、RRCコネクテッドモード(RRC_CONNECTED)とRRCアイドルモード(RRC_IDLE)とが規定されている。RRCコネクテッドモードは、例えば、基地局装置と端末局装置との間でデータ通信が実施可能なモードである。RRCアイドルモードは、例えば、基地局装置と端末局装置との間でデータ通信が実施されないモードであり、端末局装置が省電力状態となるモードである。
【0006】
5Gにおいては、RRCコネクテッドモード及びRRCアイドルモードに加えて、RRCインアクティブモード(RRC_INACTIVE)を導入することが検討されている。RRCインアクティブモードは、RRCアイドルモードと同等の低消費電力であり、データ送信時にRRCコネクテッドモードに素早く遷移可能なモードである。RRCインアクティブモードでは、端末局装置とのデータ通信に関する情報が基地局装置に保持される。データ通信に関する情報は、端末局装置の位置、通信能力、各種パラメータ、端末局装置の識別子(端末ID)などの情報を含む。このように、データ通信に関する情報が基地局装置に保持されるため、RRCインアクティブモードであっても、コアネットワークからは端末局装置が基地局装置に接続中であるとみなされる。結果として、端末局装置がRRCインアクティブモードからRRCコネクテッドモードへ復帰する際、基地局装置とコアネットワークとの間での信号の送受信が省略され、RRCコネクテッドモードへの迅速な遷移が実現される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.133 V16.6.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 36.211 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 36.212 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 36.213 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 36.214 V16.1.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 36.300 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.321 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.322 V16.0.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.331 V16.1.1(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.413 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.423 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 36.425 V16.0.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 37.324 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 37.340 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.201 V16.0.0(2019-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V16.1.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 38.211 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 38.212 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 38.213 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 38.214 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 38.215 V16.2.0(2020-06)
【文献】3GPP TS 38.300 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.321 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.322 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.323 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.331 V16.1.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.401 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.410 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.413 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.420 V16.0.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.423 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.470 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TS 38.473 V16.2.0(2020-07)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RRCインアクティブモードは、基地局装置と端末局装置との間で通信の実施又は維持に必要不可欠なデータ通信を除くデータ通信が実施されないモードであるが、最近は、RRCインアクティブモード中にデータ(例えばスモールデータ)の伝送を実現することが検討されている。すなわち、例えば端末局装置の故障情報やセンサによる測定値などのスモールデータが、RRCインアクティブモード中に端末局装置から基地局装置へ送信されることが考えられる。
【0009】
スモールデータの送信には、ランダムアクセスを用いるRACH方式と、あらかじめ設定された無線リソースを用いるCG(Configured Grant)方式とのいずれかを使用することが検討されている。RACH方式においては、端末局装置は、基地局装置と同期確立する際のランダムアクセスと同様にプリアンブルを含むメッセージなどを基地局装置へ送信するが、これらのメッセージのうちの1つにスモールデータを含めて送信する。一方、CG方式においては、端末局装置は、あらかじめ送信に使用する無線リソースを基地局装置から設定されており、スモールデータが発生した場合、あらかじめ設定された無線リソースを使用してスモールデータを送信する。
【0010】
しかしながら、RRCインアクティブモードにおけるデータ通信には、制御の効率が悪いという問題がある。すなわち、RRCインアクティブモードにおいては、端末局装置は、必要不可欠な場合を除き、無線通信部への電力供給をオフにして省電力状態となるが、例えばスモールデータの送信に伴って、短時間での電力供給の有無の切り替えが発生してしまう。
【0011】
例えばRRCインアクティブモード中に端末局装置からスモールデータが送信される場合、端末局装置は、このスモールデータに対応する再送を制御する制御チャネル(例えばPDCCH(Physical Downlink Control CHannel))を受信するために、無線受信回路への電力供給をオンにする。また、例えばTCP(Transmission Control Protocol)のACKやRLC(Radio Link Control)レイヤのステータスレポート(Status Report)などを受信するためにも、無線受信回路への電力供給がオンになる。さらに、RRCインアクティブモード中、端末局装置は、周期的なページング信号をページングフレームで受信して、基地局装置からの下り回線のデータの有無を確認する。
【0012】
このように、無線受信回路への電力供給がオフとなるRRCインアクティブモード中、無線受信回路への電力供給が頻繁にオンとなり、短時間でのオン・オフの切り替えが発生して制御の効率が低下する。
【0013】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、RRCインアクティブモード中のデータ通信の効率を向上することができる基地局装置、端末局装置、無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願が開示する基地局装置は、1つの態様において、端末局装置が所定の状態であるときに通信を実施できる通信部と、通信のうちの第1の通信に対応する第1の区間と、第2の通信に対応する第2の区間に応じた、端末局装置が通信を実施するための制御信号を復号する領域が有効となる区間を使用して、端末局装置との前記通信を実施させる制御が行える制御部と、を有し、第2の区間は、端末局装置が第2の通信に対応するデータを送信することで開始され、通信部から送信される、サスペンドを設定するRRC(Radio Resource Control)メッセージが端末局装置に受信するまでの区間である。
【発明の効果】
【0015】
本願が開示する基地局装置、端末局装置、無線通信システム及び無線通信方法の1つの態様によれば、RRCインアクティブモード中のデータ通信の効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る基地局装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る端末局装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、無線通信方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、無線通信方法の他の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、スモールデータ送信方法の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2に係る無線通信方法の具体例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る無線通信方法の他の具体例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る無線通信方法のさらに他の具体例を示すシーケンス図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3に係る無線通信方法の具体例を示すシーケンス図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係る無線通信方法の他の具体例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3に係る無線通信方法のさらに他の具体例を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、実施の形態4に係る無線通信方法の具体例を示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、実施の形態4に係る無線通信方法の他の具体例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願が開示する基地局装置、端末局装置、無線通信システム及び無線通信方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る基地局装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示す基地局装置100は、ネットワークインタフェース(以下「ネットワークIF」と略記する)110、プロセッサ120、メモリ130及び無線通信部140を有する。
【0019】
ネットワークIF110は、図示しないコアネットワークに有線接続され、コアネットワークを構成する装置との間で信号を送受信する。
【0020】
プロセッサ120は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備え、基地局装置100の全体を統括制御する制御部である。また、プロセッサ120は、基地局装置100に対向する端末局装置が通信を実施するための制御信号を復号する無線リソースの領域と、この領域が端末局装置において有効となる時間的な区間とに関する設定を行う。すなわち、プロセッサ120は、例えば端末局装置の第1の通信に対応する区間と端末局装置の第2の通信に対応する区間とを設定し、それぞれの区間を間欠的に使用して端末局装置に通信を実施させるように制御する。なお、プロセッサ120は、無線通信部140を介して制御情報を送信することにより、上述した区間の設定に関する情報を端末局装置へ通知し、端末局装置による通信を制御する。
【0021】
メモリ130は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを備え、プロセッサ120による処理に用いられる情報を記憶する。
【0022】
無線通信部140は、対向する端末局装置との間で無線通信を実行する。無線通信部140は、例えば区間の設定に関する情報を含む制御情報を端末局装置へ送信する。また、無線通信部140は、端末局装置から送信されるデータを受信する。なお、無線通信部140は、対向する端末局装置が所定の状態に遷移した際にも、端末局装置と通信を実施することができる。
【0023】
図2は、実施の形態1に係る端末局装置200の構成を示すブロック図である。
図2に示す端末局装置200は、無線通信部210、プロセッサ220及びメモリ230を有する。
【0024】
無線通信部210は、対向する基地局装置100との間で無線通信を実行する。無線通信部210は、例えば制御信号を復号する無線リソースの領域が有効となる時間的な区間の設定に関する情報を含む制御情報を基地局装置100から受信する。また、無線通信部210は、例えばスモールデータを基地局装置100へ送信する。なお、無線通信部210は、端末局装置200が所定の状態に遷移した際にも、基地局装置100と通信を実施することができる。
【0025】
プロセッサ220は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、端末局装置200の全体を統括制御する制御部である。また、プロセッサ220は、端末局装置200が通信を実施するための制御信号を復号する無線リソースの領域と、この領域が有効となる時間的な区間とに関する設定を基地局装置100から受ける。すなわち、プロセッサ220は、例えば端末局装置200の第1の通信に対応する区間と端末局装置200の第2の通信に対応する区間とが設定され、それぞれの区間を間欠的に使用して通信を実施する制御を行う。このとき、プロセッサ220は、データ通信の実施の状態に応じて通信を実施する制御を行う。
【0026】
メモリ230は、例えばRAM又はROMなどを備え、プロセッサ220による処理に用いられる情報を記憶する。
【0027】
次いで、上記のように構成された基地局装置100及び端末局装置200による無線通信方法について、
図3、4を参照しながら説明する。
【0028】
図3は、無線通信方法の一例を示すシーケンス図である。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となる所定の状態に遷移しているものとする。
図3においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
図3に示すように、基地局装置100は、端末局装置200の第1の通信に対応する区間と端末局装置200の第2の通信に対応する区間との設定に関する情報(以下「区間設定情報」という)を含む制御情報を送信する(ステップS101)。
【0029】
端末局装置200は、区間設定情報を受信すると、第1の通信に対応する区間において無線受信回路をオンにして、第1の通信に係る制御信号を基地局装置100から受信する(ステップS102)。そして、端末局装置200は、第1の通信に対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。
【0030】
その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、あらかじめ基地局装置100によって設定された無線リソースCGを使用して、スモールデータSDを基地局装置100へ送信する第2の通信を実施する(ステップS103)。また、端末局装置200は、区間設定情報に応じて、第2の通信に対応するタイマ301を始動し、タイマ301が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0031】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じて端末局装置200へ制御信号を送信する(ステップS104)。端末局装置200は、タイマ301が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS104において制御信号を受信することができる。そして、端末局装置200は、タイマ301が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0032】
なお、第1の通信は周期的であっても良い。その後、端末局装置200は、周期的に実施される第1の通信に対応する区間において無線受信回路をオンにして、第1の通信に係る制御信号を基地局装置100から受信する(ステップS105)。そして、端末局装置200は、第1の通信に対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。
【0033】
このように、基地局装置100による設定に応じて、端末局装置200が無線受信回路をオンにする区間を制御するため、端末局装置200は、スモールデータSDの送信に応じた制御信号を受信することができるとともに、無線受信回路のオン及びオフが切り替えられる頻度を最小限にして、データ通信の効率を向上することができる。
【0034】
図4は、無線通信方法の他の一例を示すシーケンス図である。
図4において、
図3と同じ部分には同じ符号を付す。
図4においても、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となる所定の状態に遷移しているものとする。
図4に示すように、基地局装置100は、区間設定情報を含む制御情報を送信する(ステップS101)。
【0035】
端末局装置200は、区間設定情報を受信すると、第1の通信に対応する区間において無線受信回路をオンにして、第1の通信に係る制御信号を基地局装置100から受信する(ステップS102)。また、端末局装置200は、区間設定情報に応じてタイマ302を始動し、タイマ302が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0036】
その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、あらかじめ基地局装置100によって設定された無線リソースCGを使用して、スモールデータSDを基地局装置100へ送信する第2の通信を実施する(ステップS103)。
【0037】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じて端末局装置200へ制御信号を送信する(ステップS104)。端末局装置200は、タイマ302が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS104において制御信号を受信することができる。そして、端末局装置200は、タイマ302が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0038】
その後、端末局装置200は、第1の通信に対応する区間において無線受信回路をオンにして、第1の通信に係る制御信号を基地局装置100から受信する(ステップS105)。そして、端末局装置200は、第1の通信に対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。
【0039】
図4に示した例では、第1の通信が周期的な通信であり、無線リソースCGが周期的なリソースであっても良い。すなわち、周期的に実施される第1の通信の周期と、周期的な無線リソースCGの周期とが対応する時間長となっている。そして、タイマ302は、これらの周期に応じた所定の時間で満了するように設定される。
【0040】
このように、基地局装置100による設定に応じて、第1の通信に対応する区間とスモールデータSDに関する第2の通信に対応する区間とで連続して無線受信回路をオンにするため、端末局装置200は、スモールデータSDの送信に応じた制御信号を受信することができるとともに、無線受信回路のオン及びオフが切り替えられる頻度を最小限にして、データ通信の効率を向上することができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、基地局装置による設定に応じて、端末局装置が無線受信回路をオンにする区間を制御して間欠的に通信を実施するため、端末局装置は、スモールデータの送信に応じた制御信号を受信することができるとともに、無線受信回路のオン及びオフが切り替えられる頻度を最小限にして、データ通信の効率を向上することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態1においては、一例として、周期的に実施される第1の通信が例えばページング信号の送受信であっても良く、第2の通信がスモールデータの送受信であっても良い。また、第2の通信に関して端末局装置200が受信する制御信号は、例えばPDCCHなどの制御チャネルを用いて伝送されても良い。この場合、制御チャネルには、端末局装置200ごとに固有の無線リソースの領域(すなわち、端末固有サーチスペース(USS:UE-specific Search Space))が設定されても良い。さらに、
図4に示した例においては、第1の通信の周期と、周期的な無線リソースCGの周期とが対応する時間長となるものとした。具体的には、例えばサブキャリア間隔が15KHzの場合、周期的な無線リソースCGの周期を320ms*14シンボル*N(N=1、2、3、4)としても良い。
【0043】
(実施の形態2)
ところで、例えばミリ波帯などの周波数帯を含むFR2(Frequency Range 2)を用いる無線通信システムにおいては、基地局装置が複数の方向にビームを形成することによってセルを展開し、端末局装置は受信パワーが大きいビームを選択して基地局装置と通信することが検討されている。この場合、例えばあらかじめ設定された無線リソースを用いるCG方式で端末局装置がスモールデータを送信する際には、端末局装置は、最適なビームを選択するよりも前に設定された無線リソースを用いてスモールデータを送信することになる。
【0044】
具体的には、例えば
図5に示すように、基地局装置100は、例えばMIB(Master Information Block)若しくはSIB(System Information Block)などの報知情報、又はRRCレイヤの個別制御情報によって、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用可能な無線リソースCGを設定する(ステップS10)。端末局装置200は、基地局装置100から受信する報知情報又は個別制御情報に従って無線リソースCGを設定し、スモールデータSDが発生すると、直後のタイミングに到来する無線リソースCGを用いてスモールデータSDを送信する(ステップS20)。このとき、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームからスモールデータSDの送信に使用するビームを選択するが、無線リソースCGがあらかじめ設定されているため、ビームの選択には一定の制限が生じる。また、無線リソースCGが設定されてから端末局装置200がスモールデータSDを送信するまでには、比較的長い時間が経過している可能性があり、この間に端末局装置200が移動することがある。このため、スモールデータSDの送信に用いられる無線リソースCGは、必ずしも最適な無線リソースではない。
【0045】
そこで、実施の形態2においては、最適なビーム及び無線リソースを使用してデータ通信の効率を向上する場合について説明する。特に、実施の形態2においては、4ステップのランダムアクセス手順を利用して、スモールデータSDの送信に用いられる無線リソースCGを設定する場合について説明する。
【0046】
実施の形態2に係る基地局装置100及び端末局装置200の構成は、実施の形態1に係る基地局装置100(
図1)及び端末局装置200(
図2)の構成と同一である。
図6は、実施の形態2に係る無線通信方法の具体例を示すシーケンス図である。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図6においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0047】
基地局装置100は、ページングフレームに対応する区間とスモールデータの通信に対応する区間との設定に関する区間設定情報を含む制御情報を送信する(ステップS201)。区間設定情報には、例えば、ページングフレームが設けられる時間の情報や、スモールデータが送信された際に始動するタイマの設定時間の情報などが含まれていても良い。そして、区間設定情報を含む制御情報としては、例えばMIB若しくはSIBなどの報知情報、又はRRCレイヤの個別制御情報が用いられる。
【0048】
端末局装置200は、区間設定情報を受信すると、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにして、ページングに係るPDCCHなどの制御信号を基地局装置100から受信する。そして、端末局装置200は、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。
【0049】
その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、選択したビームに対応するプリアンブルを含むメッセージ(MSG1)を基地局装置100へ送信する(ステップS202)。端末局装置200は、MSG1の送信後、MSG1に対応するメッセージを受信するために、無線受信回路をオンにする。
【0050】
MSG1を受信する基地局装置100は、端末局装置200の送信タイミングを調整するタイミングアドバンスの値(以下「TA値」という)を決定し、端末局装置200に一時的な識別子であるTemporary C-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)を割り当てる。そして、基地局装置100は、TA値及びTemporary C-RNTIを含むメッセージ(MSG2)を端末局装置200へ送信する(ステップS203)。
【0051】
TA値を含むMSG2を受信する端末局装置200は、上り回線の同期が確立されたと判断し、上り回線の同期継続時間を規定する時間調整タイマ(Time Alignment Timer)311を始動する。以後、時間調整タイマ311が満了するまでは、端末局装置200のプロセッサ220は、無線受信回路のオン及びオフを任意に設定することが可能となる。また、端末局装置200は、MSG2に含まれるTemporary C-RNTIを時間調整タイマ311が満了するまで保持する。
【0052】
そして、端末局装置200は、RRC Resume Requestに相当するメッセージ(MSG3)を基地局装置100へ送信する(ステップS204)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSG3に含めて送信しても良い。MSG3を受信する基地局装置100は、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含むメッセージ(MSG4)を端末局装置200へ送信する(ステップS205)。なお、MSG4は、RRC Release w/ suspendConfigに相当する。ここでは、端末局装置200によって最適なビームが選択された状態で無線リソースCGが決定されるため、最適な無線リソースCGが設定される。無線リソースCGは、複数の時間領域に設定されても良い。
【0053】
端末局装置200は、MSG4を受信後、無線リソースCGを用いてスモールデータSDの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS206)。また、端末局装置200は、ステップS201において受信した区間設定情報に応じて、スモールデータSDの通信に関するタイマ312を始動し、タイマ312が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。なお、ここではステップS201においてタイマ等の区間設定情報が受信されるものとしたが、無線リソースCGに関するタイマ等の区間設定情報は、ステップS205において受信されても良い。
【0054】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS207)。このとき、基地局装置100は、MSG2に含めたTemporary C-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、タイマ312が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS207においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSG2によって通知されたTemporary C-RNTIを保持しているため、Temporary C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。そして、端末局装置200は、タイマ312が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0055】
その後、端末局装置200は、次の無線リソースCGを用いてスモールデータSDの残りの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS208)。また、端末局装置200は、ステップS201において受信した区間設定情報に応じて、スモールデータSDの通信に関するタイマ313を始動し、タイマ313が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0056】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS209)。このとき、基地局装置100は、MSG2に含めたTemporary C-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、タイマ313が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS209においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSG2によって通知されたTemporary C-RNTIを保持しているため、Temporary C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。そして、端末局装置200は、タイマ313が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0057】
このように、
図6に示す例においては、無線リソースCGを用いてスモールデータSDが送信される度にタイマ312、313が始動し、タイマ312、313が満了するまで、無線受信回路がオンとなる区間が継続する。この結果、端末局装置200は、RRCインアクティブモード中においても、スモールデータSDに対するPDCCHの制御信号を確実に受信することができる。
【0058】
なお、ここでは2回の無線リソースCGによってスモールデータSDが送信されるものとしたが、無線リソースCGが3回以上設定され、それぞれの無線リソースCGを用いてスモールデータSDが送信されても良い。また、1回の無線リソースCGによってスモールデータSDが送信可能であれば、ステップS208においては、スモールデータSDが送信されなくても良い。この場合、スモールデータSDの代わりに、例えば端末局装置200のバッファの状態を示すバッファ状態情報(BSR:Buffer Status Report)が無線リソースCGを用いて送信されるようにしても良い。
【0059】
図7は、実施の形態2に係る無線通信方法の他の具体例を示すシーケンス図である。
図7において、
図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図7においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0060】
基地局装置100が区間設定情報を含む制御情報を送信すると(ステップS201)、端末局装置200は、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにし、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、MSG1を基地局装置100へ送信する(ステップS202)。端末局装置200は、MSG1の送信後、MSG1に対応するメッセージを受信するために、無線受信回路をオンにする。
【0061】
MSG1を受信する基地局装置100は、TA値及びTemporary C-RNTIを含むMSG2を端末局装置200へ送信する(ステップS203)。TA値を含むMSG2を受信する端末局装置200は、時間調整タイマ311を始動する。また、端末局装置200は、MSG2に含まれるTemporary C-RNTIを時間調整タイマ311が満了するまで保持する。
【0062】
そして、端末局装置200は、MSG3を基地局装置100へ送信する(ステップS204)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSG3に含めて送信しても良い。MSG3を送信すると、端末局装置200は衝突解決タイマ(Contention Resolution Timer)314を始動し、衝突解決タイマ314が満了するまではMSG4の受信検出を試みる。このとき、端末局装置200は、衝突解決タイマ314を上述したタイマ312及びタイマ313相当のタイマとして取り扱い、衝突解決タイマ314が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする(ケース1)。あるいは、タイマの役割を分離するため、端末局装置200は、衝突解決タイマ314とは別のタイマを定義し、当該タイマを上述したタイマ312及びタイマ313相当のタイマとして取り扱っても良い。この場合、端末局装置200は、定義された別のタイマが満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする(ケース2)。
【0063】
ケース1において、端末局装置200は、ステップS201において受信した区間設定情報に応じて、MSG3を送信すると始動する衝突解決タイマ314の設定時間を延長しても良い。具体的には、無線リソースCGの後にPDCCHの制御信号の受信を待機する時間が経過してから満了するように、区間設定情報によって指定される時間だけ衝突解決タイマ314の設定時間が延長される。なお、衝突解決タイマ314の最大の設定時間は、現在のところ64サブフレーム(64ms相当)と規定されているが、必要に応じてより長い設定時間が衝突解決タイマ314に設定されるようにしても良い。端末局装置200は、衝突解決タイマ314を始動すると、衝突解決タイマ314が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。以下、衝突解決タイマ314の設定時間が延長されたものとして、本実施の形態の説明を続ける。
【0064】
MSG3を受信する基地局装置100は、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含むMSG4を端末局装置200へ送信する(ステップS205)。端末局装置200は、MSG4を受信後、無線リソースCGを用いてスモールデータSDの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS206)。
【0065】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS207)。端末局装置200は、延長された衝突解決タイマ314が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS207においてPDCCHの制御信号を受信することができる。
【0066】
その後、端末局装置200は、次の無線リソースCGを用いてスモールデータSDの残りの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS208)。端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS209)。端末局装置200は、延長された衝突解決タイマ314が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS209においてPDCCHの制御信号を受信することができる。そして、端末局装置200は、衝突解決タイマ314が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0067】
このように、
図7に示す例においては、衝突解決タイマ314の設定時間を延長し、複数の無線リソースCGすべてに対するPDCCHの制御信号が受信されるまで、無線受信回路がオンとなる区間が継続する。この結果、それぞれの無線リソースCGの後に無線受信回路が一旦オフとなることがなく、オン・オフの切り替えを抑制して制御の効率をさらに向上することができる。
【0068】
図8は、実施の形態2に係る無線通信方法のさらに他の具体例を示すシーケンス図である。
図8において、
図6と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図8においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0069】
基地局装置100が区間設定情報を含む制御情報を送信すると(ステップS201)、端末局装置200は、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにし、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、MSG1を基地局装置100へ送信する(ステップS202)。端末局装置200は、MSG1の送信後、MSG1に対応するメッセージを受信するために、無線受信回路をオンにする。
【0070】
MSG1を受信する基地局装置100は、TA値及びTemporary C-RNTIを含むMSG2を端末局装置200へ送信する(ステップS203)。TA値を含むMSG2を受信する端末局装置200は、時間調整タイマ311を始動する。また、端末局装置200は、MSG2に含まれるTemporary C-RNTIを時間調整タイマ311が満了するまで保持する。
【0071】
そして、端末局装置200は、MSG3を基地局装置100へ送信する(ステップS204)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSG3に含めて送信しても良い。また、端末局装置200は、MSG3の送信時に、MSG4の受信を待機するための衝突解決タイマを始動し、衝突解決タイマが満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。なお、衝突解決タイマの最大の設定時間は、現在のところ64サブフレーム(64ms相当)と規定されているが、必要に応じてより長い設定時間が衝突解決タイマに設定されるようにしても良い。
【0072】
MSG3を受信する基地局装置100は、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含むRRCレイヤの再設定情報(例えばRRC Reconfiguration)を端末局装置200へ送信する(ステップS211)。このとき、基地局装置100は、MSG4が送信されるまでの時刻に無線リソースCGを設定する。ここでは、端末局装置200によって最適なビームが選択された状態で無線リソースCGが決定されるため、最適な無線リソースCGが設定される。無線リソースCGは、複数の時間領域に設定されても良い。
【0073】
端末局装置200は、再設定情報を受信後、MSG4の受信前の時刻に設定された無線リソースCGを用いてスモールデータSDを基地局装置100へ送信する(ステップS212)。端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS213)。このとき、基地局装置100は、MSG2に含めたTemporary C-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、MSG4の受信を待機する衝突解決タイマが満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS213においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSG2によって通知されたTemporary C-RNTIを保持しているため、Temporary C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。
【0074】
その後、基地局装置100は、端末局装置200の衝突解決タイマが満了するまでの間に、MSG3に対応するMSG4を端末局装置200へ送信する(ステップS205)。端末局装置200は、MSG4を受信後、衝突解決タイマが満了すると無線受信回路をオフにする。
【0075】
このように、
図8に示す例においては、端末局装置200は、MSG3の送信後、MSG4の受信を待機するための衝突解決タイマが満了するまでの間に、無線リソースCGを用いてスモールデータSDを送信し、PDCCHの制御信号を受信する。このため、端末局装置200は、MSG3を送信してからMSG4を受信するまでの間にPDCCHをモニタリングすれば良く、スモールデータSDの送信に対するPDCCHの制御信号の受信を待機するための新たなタイマを設定する必要がない。
【0076】
以上のように、本実施の形態によれば、スモールデータの発生後に、4ステップのランダムアクセス手順を利用してスモールデータを送信するための無線リソースが設定され、スモールデータの送信後も継続して端末局装置の無線受信回路をオンにする区間が設けられる。このため、端末局装置は、スモールデータの送信に応じた制御信号を受信することができるとともに、無線受信回路のオン及びオフが切り替えられる頻度を最小限にして、データ通信の効率を向上することができる。また、最適なビームが選択された後に設定される最適な無線リソースを用いてスモールデータが送信されるため、スモールデータの受信品質を改善することができる。
【0077】
(実施の形態3)
実施の形態3においては、2ステップのランダムアクセス手順を利用して、スモールデータSDの送信に用いられる無線リソースCGを設定する場合について説明する。
【0078】
実施の形態3に係る基地局装置100及び端末局装置200の構成は、実施の形態1に係る基地局装置100(
図1)及び端末局装置200(
図2)の構成と同一である。
図9は、実施の形態3に係る無線通信方法の具体例を示すシーケンス図である。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図9においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0079】
基地局装置100は、ページングフレームに対応する区間とスモールデータの通信に対応する区間との設定に関する区間設定情報を含む制御情報を送信する(ステップS301)。区間設定情報には、例えば、ページングフレームが設けられる時間の情報や、スモールデータが送信された際に始動するタイマの設定時間の情報などが含まれていても良い。そして、区間設定情報を含む制御情報としては、例えばMIB若しくはSIBなどの報知情報、又はRRCレイヤの個別制御情報が用いられる。
【0080】
端末局装置200は、区間設定情報を受信すると、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにして、ページングに係るPDCCHなどの制御信号を基地局装置100から受信する。そして、端末局装置200は、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。
【0081】
その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、選択したビームに対応するプリアンブルを含むメッセージ(MSGA)を基地局装置100へ送信する(ステップS302)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSGAに含めて送信しても良い。MSGAは、実施の形態2で説明した4ステップのランダムアクセス手順におけるMSG1及びMSG3を統合したメッセージである。端末局装置200は、MSGAの送信後、MSGAに対応するメッセージを受信するために、無線受信回路をオンにする。
【0082】
MSGAを受信する基地局装置100は、端末局装置200の送信タイミングを調整するTA値を決定し、端末局装置200に識別子であるC-RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identifier)を割り当てる。そして、基地局装置100は、TA値及びC-RNTIを含むメッセージ(MSGB)を端末局装置200へ送信する(ステップS303)。MSGBは、実施の形態2で説明した4ステップのランダムアクセス手順におけるMSG2及びMSG4を統合したメッセージであるが、ここではMSG4においてRRC Release w/ suspendConfigが送信されない。
【0083】
TA値を含むMSGBを受信する端末局装置200は、上り回線の同期が確立されたと判断し、上り回線の同期継続時間を規定する時間調整タイマ321を始動する。以後、時間調整タイマ321が満了するまでは、端末局装置200のプロセッサ220は、無線受信回路のオン及びオフを任意に設定することが可能となる。また、端末局装置200は、MSGBに含まれるC-RNTIを時間調整タイマ321が満了するまで保持する。
【0084】
基地局装置100は、MSGBを送信した後、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含む個別制御情報を端末局装置200へ送信する(ステップS304)。この個別制御情報は、RRC Release w/ suspendConfigに相当する。ここでは、端末局装置200によって最適なビームが選択された状態で無線リソースCGが決定されるため、最適な無線リソースCGが設定される。無線リソースCGは、複数の時間領域に設定されても良い。
【0085】
端末局装置200は、個別制御情報を受信後、無線リソースCGを用いてスモールデータSDの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS305)。また、端末局装置200は、ステップS301において受信した区間設定情報に応じて、スモールデータSDの通信に関するタイマ322を始動し、タイマ322が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0086】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS306)。このとき、基地局装置100は、MSGBに含めたC-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、タイマ322が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS306においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSGBによって通知されたC-RNTIを保持しているため、C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。そして、端末局装置200は、タイマ322が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0087】
その後、端末局装置200は、次の無線リソースCGを用いてスモールデータSDの残りの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS307)。また、端末局装置200は、ステップS301において受信した区間設定情報に応じて、スモールデータSDの通信に関するタイマ323を始動し、タイマ323が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0088】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS308)。このとき、基地局装置100は、MSGBに含めたC-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、タイマ323が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS308においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSGBによって通知されたC-RNTIを保持しているため、C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。そして、端末局装置200は、タイマ323が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0089】
このように、
図9に示す例においては、無線リソースCGを用いてスモールデータSDが送信される度にタイマ322、323が始動し、タイマ322、323が満了するまで、無線受信回路がオンとなる区間が継続する。この結果、端末局装置200は、RRCインアクティブモード中においても、スモールデータSDに対するPDCCHの制御信号を確実に受信することができる。
【0090】
なお、ここでは2回の無線リソースCGによってスモールデータSDが送信されるものとしたが、無線リソースCGが3回以上設定され、それぞれの無線リソースCGを用いてスモールデータSDが送信されても良い。また、1回の無線リソースCGによってスモールデータSDが送信可能であれば、ステップS307においては、スモールデータSDが送信されなくても良い。この場合、スモールデータSDの代わりに、例えば端末局装置200のバッファの状態を示すバッファ状態情報(BSR)が無線リソースCGを用いて送信されるようにしても良い。
【0091】
図10は、実施の形態3に係る無線通信方法の他の具体例を示すシーケンス図である。
図10において、
図9と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図10においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0092】
基地局装置100が区間設定情報を含む制御情報を送信すると(ステップS301)、端末局装置200は、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにし、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、MSGAを基地局装置100へ送信する(ステップS302)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSGAに含めて送信しても良い。
【0093】
端末局装置200は、MSGAの送信後、端末局装置200は応答ウインドウ(msgB-ResponseWindow)324を開始し、応答ウインドウ324が終了するまではMSGBの受信検出を試みる。このとき、端末局装置200は、応答ウインドウ324を上述したタイマ322及びタイマ323相当のタイマとして取り扱い、応答ウインドウ324が終了するまでの区間において無線受信回路をオンにする(ケース1)。あるいは、タイマの役割を分離するため、端末局装置200は、応答ウインドウ324とは別のタイマを定義し、当該タイマを上述したタイマ322及びタイマ323相当のタイマとして取り扱っても良い。この場合、端末局装置200は、定義された別のタイマが満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする(ケース2)。
【0094】
ケース1において、端末局装置200は、ステップS301において受信した区間設定情報に応じて、MSGBの受信を待機するための応答ウインドウ324の設定時間を拡張しても良い。具体的には、無線リソースCGの後にPDCCHの制御信号の受信を待機する時間が経過してから満了するように、区間設定情報によって指定される時間だけ応答ウインドウ324の設定時間が拡張される。なお、MSGBのための応答ウインドウ324の最大の設定時間は、現在のところ1320スロットと規定されているが、必要に応じてより長い設定時間の応答ウインドウ324が設定されるようにしても良い。端末局装置200は、応答ウインドウ324が開始すると、応答ウインドウ324が終了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。以下、応答ウインドウ324の設定時間が拡張されたものとして、本実施の形態の説明を続ける。
【0095】
MSGAを受信する基地局装置100は、TA値及びC-RNTIを含むMSGBを端末局装置200へ送信する(ステップS303)。TA値を含むMSGBを受信する端末局装置200は、時間調整タイマ321を始動する。また、端末局装置200は、MSGBに含まれるC-RNTIを時間調整タイマ321が満了するまで保持する。
【0096】
基地局装置100は、MSGBを送信した後、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含む個別制御情報を端末局装置200へ送信する(ステップS304)。端末局装置200は、個別制御情報を受信後、無線リソースCGを用いてスモールデータSDの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS305)。
【0097】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS306)。端末局装置200は、拡張された応答ウインドウ324が終了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS306においてPDCCHの制御信号を受信することができる。
【0098】
その後、端末局装置200は、次の無線リソースCGを用いてスモールデータSDの残りの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS307)。端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS308)。端末局装置200は、拡張された応答ウインドウ324が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS308においてPDCCHの制御信号を受信することができる。そして、端末局装置200は、応答ウインドウ324が終了すると無線受信回路をオフにする。
【0099】
このように、
図10に示す例においては、MSGBのための応答ウインドウ324の設定時間を拡張し、複数の無線リソースCGすべてに対するPDCCHの制御信号が受信されるまで、無線受信回路がオンとなる区間が継続する。この結果、それぞれの無線リソースCGの後に無線受信回路が一旦オフとなることがなく、オン・オフの切り替えを抑制して制御の効率をさらに向上することができる。
【0100】
図11は、実施の形態3に係る無線通信方法のさらに他の具体例を示すシーケンス図である。
図11において、
図9と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図11においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0101】
基地局装置100が区間設定情報を含む制御情報を送信すると(ステップS301)、端末局装置200は、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにし、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、MSGAを基地局装置100へ送信する(ステップS302)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSGAに含めて送信しても良い。また、端末局装置200は、MSGAの送信時に、MSGBの受信を待機するための応答ウインドウを開始し、応答ウインドウが終了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。なお、応答ウインドウの最大の設定時間は、現在のところ1320スロットと規定されているが、必要に応じてより長い設定時間の応答ウインドウが設定されるようにしても良い。
【0102】
MSGAを受信する基地局装置100は、TA値及びC-RNTIを含むMSGBを端末局装置200へ送信する(ステップS303)。ただし、このMSGBにおいてRRC Release w/ suspendConfigは送信されない。TA値を含むMSGBを受信する端末局装置200は、時間調整タイマ321を始動する。また、端末局装置200は、MSGBに含まれるC-RNTIを時間調整タイマ321が満了するまで保持する。
【0103】
基地局装置100は、MSGBを送信した後、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含むRRCレイヤの再設定情報(例えばRRC Reconfiguration)を端末局装置200へ送信する(ステップS311)。このとき、基地局装置100は、MSG4に相当する個別制御情報が送信されるまでの時刻に無線リソースCGを設定する。ここでは、端末局装置200によって最適なビームが選択された状態で無線リソースCGが決定されるため、最適な無線リソースCGが設定される。無線リソースCGは、複数の時間領域に設定されても良い。
【0104】
端末局装置200は、再設定情報を受信後、個別制御情報の受信前の時刻に設定された無線リソースCGを用いてスモールデータSDを基地局装置100へ送信する(ステップS312)。端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS313)。このとき、基地局装置100は、MSGBに含めたC-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、MSGBの受信を待機する応答ウインドウが終了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS313においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSGBによって通知されたC-RNTIを保持しているため、C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。
【0105】
その後、基地局装置100は、端末局装置200の応答ウインドウが終了するまでの間に、MSG4に相当する個別制御情報を端末局装置200へ送信する(ステップS304)。端末局装置200は、個別制御情報を受信後、応答ウインドウが終了すると無線受信回路をオフにする。
【0106】
このように、
図11に示す例においては、端末局装置200は、MSGAの送信後、MSGBの受信を待機するための応答ウインドウが終了するまでの間に、無線リソースCGを用いてスモールデータSDを送信し、PDCCHの制御信号を受信する。このため、端末局装置200は、MSGAを送信してからMSG4に相当する個別制御情報であるRRC Release w/ suspendConfigを受信するまでの間にPDCCHをモニタリングすれば良く、スモールデータSDの送信に対するPDCCHの制御信号の受信を待機するための新たなタイマを設定する必要がない。
【0107】
以上のように、本実施の形態によれば、スモールデータの発生後に、個別制御情報を利用してスモールデータを送信するための無線リソースが設定され、スモールデータの送信後も継続して端末局装置の無線受信回路をオンにする区間が設けられる。このため、端末局装置は、スモールデータの送信に応じた制御信号を受信することができるとともに、無線受信回路のオン及びオフが切り替えられる頻度を最小限にして、データ通信の効率を向上することができる。また、最適なビームが選択された後に設定される最適な無線リソースを用いてスモールデータが送信されるため、スモールデータの受信品質を改善することができる。
【0108】
(実施の形態4)
実施の形態4においては、2ステップのランダムアクセス手順を利用して、スモールデータSDの送信に用いられる無線リソースCGを設定する他の場合について説明する。
【0109】
実施の形態4に係る基地局装置100及び端末局装置200の構成は、実施の形態1に係る基地局装置100(
図1)及び端末局装置200(
図2)の構成と同一である。
図12は、実施の形態4に係る無線通信方法の具体例を示すシーケンス図である。
図12において、
図9と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図12においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0110】
基地局装置100が区間設定情報を含む制御情報を送信すると(ステップS301)、端末局装置200は、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにし、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、MSGAを基地局装置100へ送信する(ステップS302)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSGAに含めて送信しても良い。端末局装置200は、MSGAの送信後、MSGAに対応するメッセージを受信するために、無線受信回路をオンにする。
【0111】
MSGAを受信する基地局装置100は、端末局装置200の送信タイミングを調整するTA値を決定し、端末局装置200に識別子であるC-RNTIを割り当てる。また、基地局装置100は、端末局装置200がスモールデータSDの送信に使用する無線リソースCGを決定し、この無線リソースCGの設定情報を含むとともに、TA値及びC-RNTIを含むメッセージ(MSGB)を端末局装置200へ送信する(ステップS401)。MSGBは、実施の形態2で説明した4ステップのランダムアクセス手順におけるMSG2及びMSG4を統合したメッセージである。
【0112】
TA値を含むMSGBを受信する端末局装置200は、上り回線の同期が確立されたと判断し、上り回線の同期継続時間を規定する時間調整タイマ331を始動する。以後、時間調整タイマ331が満了するまでは、端末局装置200のプロセッサ220は、無線受信回路のオン及びオフを任意に設定することが可能となる。また、端末局装置200は、MSGBに含まれるC-RNTIを時間調整タイマ331が満了するまで保持する。
【0113】
端末局装置200は、MSGBを受信後、無線リソースCGを用いてスモールデータSDの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS305)。また、端末局装置200は、ステップS301において受信した区間設定情報に応じて、スモールデータSDの通信に関するタイマ322を始動し、タイマ322が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0114】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS306)。このとき、基地局装置100は、MSGBに含めたC-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、タイマ322が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS306においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSGBによって通知されたC-RNTIを保持しているため、C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。そして、端末局装置200は、タイマ322が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0115】
その後、端末局装置200は、次の無線リソースCGを用いてスモールデータSDの残りの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS307)。また、端末局装置200は、ステップS301において受信した区間設定情報に応じて、スモールデータSDの通信に関するタイマ323を始動し、タイマ323が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。
【0116】
端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS308)。このとき、基地局装置100は、MSGBに含めたC-RNTIの値に応じてPDCCHをマスクして送信する。端末局装置200は、タイマ323が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS308においてPDCCHの制御信号を受信することができる。また、端末局装置200は、MSGBによって通知されたC-RNTIを保持しているため、C-RNTIの値に応じてマスクされた制御信号を復号することができる。そして、端末局装置200は、タイマ323が満了すると無線受信回路をオフにする。
【0117】
このように、
図12に示す例においては、無線リソースCGを用いてスモールデータSDが送信される度にタイマ322、323が始動し、タイマ322、323が満了するまで、無線受信回路がオンとなる区間が継続する。この結果、端末局装置200は、RRCインアクティブモード中においても、スモールデータSDに対するPDCCHの制御信号を確実に受信することができる。
【0118】
なお、ここでは2回の無線リソースCGによってスモールデータSDが送信されるものとしたが、無線リソースCGが3回以上設定され、それぞれの無線リソースCGを用いてスモールデータSDが送信されても良い。また、1回の無線リソースCGによってスモールデータSDが送信可能であれば、ステップS307においては、スモールデータSDが送信されなくても良い。この場合、スモールデータSDの代わりに、例えば端末局装置200のバッファの状態を示すバッファ状態情報が無線リソースCGを用いて送信されるようにしても良い。
【0119】
図13は、実施の形態4に係る無線通信方法の他の具体例を示すシーケンス図である。
図13において、
図9、12と同じ部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。ここでは、端末局装置200は、無線通信部210への電力供給が低下して低消費電力となるRRCインアクティブモードに遷移しているものとする。
図13においては、無線通信部210の無線受信回路がオン又はオフとなる時間的な区間が示されている。
【0120】
基地局装置100が区間設定情報を含む制御情報を送信すると(ステップS301)、端末局装置200は、例えばページングフレームに対応する区間において無線受信回路をオンにし、ページングフレームに対応する区間が経過すると無線受信回路をオフにする。その後、端末局装置200から送信すべきスモールデータSDが発生すると、端末局装置200は、基地局装置100が形成する複数のビームから最適なビームを選択し、MSGAを基地局装置100へ送信する(ステップS302)。このとき、端末局装置200は、スモールデータSDの一部をMSGAに含めて送信しても良い。
【0121】
端末局装置200は、MSGAの送信後、端末局装置200は応答ウインドウ324を開始し、応答ウインドウ324が終了するまではMSGBの受信検出を試みる。このとき、端末局装置200は、応答ウインドウ324を上述したタイマ322及びタイマ323相当のタイマとして取り扱い、応答ウインドウ324が終了するまでの区間において無線受信回路をオンにする(ケース1)。あるいは、タイマの役割を分離するため、端末局装置200は、応答ウインドウ324とは別のタイマを定義し、当該タイマを上述したタイマ322及びタイマ323相当のタイマとして取り扱っても良い。この場合、端末局装置200は、定義された別のタイマが満了するまでの区間において無線受信回路をオンにする(ケース2)。
【0122】
ケース1において、端末局装置200は、ステップS301において受信した区間設定情報に応じて、MSGBの受信を待機するための応答ウインドウ324の設定時間を拡張しても良い。端末局装置200は、応答ウインドウ324が開始すると、応答ウインドウ324が終了するまでの区間において無線受信回路をオンにする。以下、応答ウインドウ324の設定時間が拡張されたものとして、本実施の形態の説明を続ける。
【0123】
MSGAを受信する基地局装置100は、無線リソースCGの設定情報を含むとともに、TA値及びC-RNTIを含むMSGBを端末局装置200へ送信する(ステップS401)。TA値を含むMSGBを受信する端末局装置200は、時間調整タイマ321を始動する。また、端末局装置200は、MSGBに含まれるC-RNTIを時間調整タイマ321が満了するまで保持する。
【0124】
端末局装置200は、MSGBを受信後、無線リソースCGを用いてスモールデータSDの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS305)。端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS306)。端末局装置200は、拡張された応答ウインドウ324が終了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS306においてPDCCHの制御信号を受信することができる。
【0125】
その後、端末局装置200は、次の無線リソースCGを用いてスモールデータSDの残りの一部を基地局装置100へ送信する(ステップS307)。端末局装置200からスモールデータSDを受信する基地局装置100は、スモールデータSDに応じてPDCCHの制御信号を送信する(ステップS308)。端末局装置200は、拡張された応答ウインドウ324が満了するまでの区間において無線受信回路をオンにしているため、ステップS308においてPDCCHの制御信号を受信することができる。そして、端末局装置200は、応答ウインドウ324が終了すると無線受信回路をオフにする。
【0126】
このように、
図13に示す例においては、MSGBのための応答ウインドウ324の設定時間を拡張し、複数の無線リソースCGすべてに対するPDCCHの制御信号が受信されるまで、無線受信回路がオンとなる区間が継続する。この結果、それぞれの無線リソースCGの後に無線受信回路が一旦オフとなることがなく、オン・オフの切り替えを抑制して制御の効率をさらに向上することができる。
【0127】
以上のように、本実施の形態によれば、スモールデータの発生後に、2ステップのランダムアクセス手順を利用してスモールデータを送信するための無線リソースが設定され、スモールデータの送信後も継続して端末局装置の無線受信回路をオンにする区間が設けられる。このため、端末局装置は、スモールデータの送信に応じた制御信号を受信することができるとともに、無線受信回路のオン及びオフが切り替えられる頻度を最小限にして、データ通信の効率を向上することができる。また、最適なビームが選択された後に設定される最適な無線リソースを用いてスモールデータが送信されるため、スモールデータの受信品質を改善することができる。
【0128】
なお、上記実施の形態4において、端末局装置200は、実施の形態3(
図11)と同様に、MSGBの受信を待機するための応答ウインドウが終了するまでの間に、無線リソースCGを用いてスモールデータSDを送信し、PDCCHの制御信号を受信するようにすることも可能である。
【0129】
(他の実施の形態)
上記各実施の形態に共通する技術事項を例示する。上記各実施の形態においては、端末局装置200において送信すべきスモールデータSDが発生した場合に、無線リソースCGを用いてスモールデータSDを送信するものとした。ここで、スモールデータSDが発生した場合とは、例えば所定の種類のデータが発生した場合や、発生したデータのサイズがスモールデータと判定される基準を満たす場合などである。また、無線品質も重要であるため、スモールデータSDが発生した場合とは、例えばMSG1及びMSGAなどの送信が可能な無線品質を満たす状態であるという条件を含んでも良い。端末局装置200は、これらのスモールデータSDが発生の有無のようなデータ通信の実施の状態に応じて、スモールデータSDの送信に関する通信を実施する。
【0130】
消費電力の観点で、
図6、
図9及び
図12に示した無線受信回路のオン及びオフが繰り返される設定方法(設定1)と、
図7、
図8、
図10、
図11及び
図13に示した無線受信回路のオンの区間が集約される設定方法(設定2)との違いについて言及する。設定1では、オンとオフが長く繰り返される場合には、オン区間の立ち上がり時に消費電力が大きくなるため、設定2と比較して消費電力が大きくなる。しかし、オフ区間で下り制御信号であるPDCCHのモニタが行われないため、制御信号の処理の観点では消費電力を低減することができるという長所がある。一方、設定2は、オン区間の立ち上がり時の消費電力を低減することができるため、設定1と比較して消費電力が小さくなる。しかし、オン区間でPDCCHのモニタが行われるため、制御信号の処理の観点では消費電力が増加するという短所がある。このような長所及び短所を考慮して、設定1、2によるオン区間とオフ区間の設定を使い分けるのが好ましい。
【0131】
上記各実施の形態において、準正常通信(例えば、各種の障害(failure))の管理が行われても良い。例えば、スモールデータの通信中に、RLC(Radio Link Control)レイヤでの送信失敗が生じ、最大再送回数が所定の閾値に達するとRLF(Radio Link Failure)が生じる。しかし、そもそもRRCインアクティブモード時のスモールデータ通信では、最適なパラメータ(例えば、上りの送信電力、無線リソース、送信タイミングなど)を用いた通信を実施することが困難である場合があり、RLCレイヤでの再送回数が多くなることがある。このため、RRCインアクティブモード中のスモールデータ通信では、たとえ最大再送回数が所定の閾値に到達しても、RLFが発生していないと判断されるようにしても良い。
【0132】
また、上記各実施の形態において、時間調整タイマ311、321、331の長さは、注意深く設定されるべきである。これらの時間調整タイマが満了すると無線リソースCGが解放されるという規定がある場合には、時間調整タイマが満了した後に端末局装置200がスモールデータの送信の継続を希望しても、無線リソースCG解放されているため、スモールデータの送信が困難になる。そこで、時間調整タイマの長さをある程度長く設定し、スモールデータの送信を継続可能にするのが好ましい。しかし、時間調整タイマの長さが十分に長く設定されず、依然としてスモールデータの送信が困難となる可能性もある。
【0133】
このような状況を根本的に解決する方法の1つとして、基地局装置100が端末局装置200に対してTA値を含むTAコマンドを定期的に送信し、端末局装置200の時間調整タイマをリスタートさせる方法がある。例えば、端末局装置200の消費電力を低減することを考慮して、基地局装置100がページングの周期でTAコマンドを送信するようにした場合、上述した時間調整タイマの長さはページングの周期以上に設定することが好ましい。また、端末局装置200の消費電力低減の有無に関わらず、基地局装置100は、端末局装置200の時間調整タイマが満了する前にTAコマンドを送信するのが好ましい。
【0134】
また、上記各実施の形態は、適宜組み合わせて実施することも可能である。例えば、各実施の形態において説明した各種のタイマ、衝突解決タイマ及び応答ウインドウを組み合わせて、端末局装置200が無線受信回路をオンにしてPDCCHをモニタする区間が設定されても良い。この場合、例えば、同時に設定される各種のタイマ及びウインドウの時間長の最大値又は最小値によって、PDCCHをモニタする区間が設定されても良い。
【符号の説明】
【0135】
110 ネットワークIF
120、220 プロセッサ
130、230 メモリ
140、210 無線通信部