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特許7605361エレベーター制御システム、エレベーター制御方法、及びエレベーター制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】エレベーター制御システム、エレベーター制御方法、及びエレベーター制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20241217BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/18 N
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024059605
(22)【出願日】2024-04-02
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 孝治
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-038987(JP,A)
【文献】特許第7359340(JP,B1)
【文献】国際公開第2018/066057(WO,A1)
【文献】特開2022-064076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0154843(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びと、を登録する呼び登録手段と、
前記自律移動体の、前記エレベーターのかごへの乗降を制御する乗降制御手段と、
1つの人物乗場呼びが登録されるごとに、前記エレベーターのサービス階の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として予測する予測手段と、
を備え、
前記乗降制御手段は、1つの移動体乗場呼びが登録されるごとに、前記1つの移動体乗場呼びの乗場階から行先階までの乗車区間の階床それぞれの前記人物重量予測値と当該乗車区間の階床それぞれにおいて前記かごに乗車が可能と判定された他の自律移動体の重量と、前記1つの移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の重量との合計を、当該乗車区間の階床それぞれについて算出し、前記階床それぞれの前記合計のうちの最大値が、基準重量より小さい場合、前記1つの移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の前記かごへの乗車が可能と判定する、
エレベーター制御システム。
【請求項2】
前記乗降制御手段は、前記自律移動体のかごへの乗車が可能と判定された場合、
当該自律移動体による前記移動体乗場呼びの乗車階にかごが到着し、当該乗車階を乗車階とする人物乗場呼びを行った全ての利用者の乗車が完了した後に、当該自律移動体への乗車指令を行う、
請求項1に記載のエレベーター制御システム。
【請求項3】
前記自律移動体が複数体存在する場合において、複数の前記自律移動体が同一方向の移動体乗場呼びを行った場合、
前記乗降制御手段は、複数の前記自律移動体それぞれの乗車の優先レベルに基づいて、前記乗車指令を行う、
請求項2に記載のエレベーター制御システム。
【請求項4】
前記予測手段は、前記かごに前記利用者が乗車した際の前記かごの重量変化に基づいて、前記人物重量予測値を補正し、
前記乗降制御手段は、補正された前記人物重量予測値に基づいて、前記自律移動体の前記かごへの乗車が可能かを判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター制御システム。
【請求項5】
乗車不可と判定されている前記自律移動体がある状態において、前記移動体乗場呼びと同一方向の、前記人物乗場呼びがキャンセルされた場合、
前記予測手段は、前記人物重量予測値を再計算し、
前記乗降制御手段は、再演算された前記人物重量予測値の最大値に基づいて、前記自律移動体のかごへの乗車が可能かを再判定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター制御システム。
【請求項6】
前記自律移動体が乗車した後、当該自律移動体の行先階に到着するまでの間に、同一方向の人物乗場呼びが行われ、当該人物乗場呼びが満員通過となることが予測されるが当該自律移動体を降車させることで当該人物乗場呼びを行った利用者が乗車可能となると予測される場合、
前記乗降制御手段は、当該人物乗場呼びの乗車階で当該自律移動体を降車させ、当該利用者を乗車させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター制御システム。
【請求項7】
前記自律移動体が複数体存在し、
前記自律移動体のうちの1つの自律移動体の移動体呼びと同一方向の移動体乗場呼びを行った他の自律移動体が、前記1つの自律移動体より優先レベルが高く、かつ、前記他の自律移動体が、前記かごへの乗車不可と判定された場合、
前記乗降制御手段は、前記1つの自律移動体と前記他の自律移動体とを入れ替えても、前記1つの自律移動体の乗車階から前記他の自律移動体の降車階までの間の階床において、前記人物乗場呼びに対する満員通過が発生しないと予想される場合には、前記他の自律移動体の乗車階において、前記1つの自律移動体を降車させ、前記他の自律移動体を乗車させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエレベーター制御システム。
【請求項8】
利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びと、を登録可能なエレベーターを制御するエレベーターの制御方法であって
1つの人物乗場呼びが登録されるごとに、前記エレベーターのサービス階の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として制御装置が演算する処理と、
1つの移動乗場呼びが登録されるごとに、前記1つの移動体乗場呼びの乗場階から行先階までの乗車区間の階床それぞれの前記人物重量予測値と当該乗車区間の階床それぞれにおいて前記かごに乗車が可能と判定された他の自律移動体の重量と、前記1つの移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の重量との合計当該乗車区間の階床それぞれについて算出し、前記階床それぞれの前記合計のうちの最大値が、基準重量より小さい場合、前記制御装置が、前記1つの移動体乗場呼びを行った前記自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、
を備えるエレベーター制御方法。
【請求項9】
前記自律移動体のかごへの乗車が可能と判定された場合、
当該自律移動体による前記移動体乗場呼びの乗車階にかごが到着し、当該乗車階を乗車階とする人物乗場呼びを行った全ての利用者の乗車が完了した後に、前記制御装置が、当該自律移動体への乗車指令を発信する処理、
を備える請求項に記載のエレベーター制御方法。
【請求項10】
前記自律移動体が複数体存在する場合において、複数の前記自律移動体が同一方向の移動体乗場呼びを行った場合、
前記制御装置が、複数の前記自律移動体それぞれの乗車の優先レベルに基づいて、前記乗車指令を発信する処理、
を備える請求項に記載のエレベーター制御方法。
【請求項11】
前記制御装置が、前記かごに前記利用者が乗車した際の前記かごの重量変化に基づいて、前記人物重量予測値を補正して、補正された前記人物重量予測値に基づいて、前記自律移動体の前記かごへの乗車が可能かを判定する処理、
を備える請求項から10のいずれか1項に記載のエレベーター制御方法。
【請求項12】
乗車不可と判定されている前記自律移動体がある状態において、前記移動体乗場呼びと同一方向の、前記人物乗場呼びがキャンセルされた場合、
前記制御装置が、前記人物重量予測値を再計算する処理と、
前記制御装置が、再演算された前記人物重量予測値の最大値に基づいて、前記自律移動体のかごへの乗車が可能かを再判定する処理と、
を備える請求項から10のいずれか1項に記載のエレベーター制御方法。
【請求項13】
前記自律移動体が乗車した後、当該自律移動体の行先階に到着するまでの間に、同一方向の人物乗場呼びが登録され、当該人物乗場呼びが満員通過となることが予測されるが当該自律移動体を降車させることで当該人物乗場呼びを行った利用者が乗車可能となると予測される場合、
前記制御装置が当該人物乗場呼びの乗車階で当該自律移動体を降車させる処理、
を備える請求項から10のいずれか1項に記載のエレベーター制御方法。
【請求項14】
前記自律移動体が複数体存在し、
前記自律移動体のうちの1つの自律移動体の移動体呼びと同一方向の移動体乗場呼びを行った他の自律移動体が、前記1つの自律移動体より優先レベルが高く、かつ、前記他の自律移動体が、前記かごへの乗車不可と判定された場合、
前記1つの自律移動体と前記他の自律移動体とを入れ替えても、前記1つの自律移動体の乗車階から前記他の自律移動体の降車階までの間の階床において、前記人物乗場呼びに対する満員通過が発生しないと予想される場合には、前記制御装置が、前記他の自律移動体の乗車階において、前記1つの自律移動体を降車させ、前記他の自律移動体を乗車させる処理、
を備える請求項から10のいずれか1項に記載のエレベーター制御方法。
【請求項15】
利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びとを、登録可能なエレベーターを制御するための制御プログラムであって、
制御装置に、
1つの人物乗場呼びが登録されるごとに、前記エレベーターのサービス階の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として演算する処理と、
1つの移動体乗場呼びが登録されるごとに、前記1つの移動体乗場呼びの乗場階から行先階までの乗車区間の階床それぞれの前記人物重量予測値と当該乗車区間の階床それぞれにおいて前記かごに乗車が可能と判定された他の自律移動体の重量と、前記1つの移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の重量との合計を、当該乗車区間の階床それぞれについて算出し、前記階床それぞれの前記合計のうちの最大値が、基準重量より小さい場合、前記1つの移動体乗場呼びを行った前記自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、
を実行させるエレベーター制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はエレベーター制御システム、エレベーター制御方法、及びエレベーター制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自律移動可能なロボットがエレベーターに乗車して目的階まで移動する際、移動途中の乗場から、利用者により乗場呼びが行われた場合の制御が記載されている。この制御処理では、かごの全体負荷とロボット負荷とから、ロボットを降車させることで利用者を乗車させることができるか否かが判断される。その結果、できると判断された場合には、乗場にかごを停車させてロボットを降車させる。一方、できないと判断された場合には、その乗場を通過させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-064076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のエレベーターの運行制御では、自律移動体が乗車することでかごの負荷が高くなった場合、その後は利用者が乗場呼びを行っても、その乗場でかごが満員であれば、乗場が通過されてしまう。このため利用者の利便性が低下する虞がある。この点、特許文献1では、ロボットを降車させることで利用者が乗車できる場合がある。しかし、特許文献1の制御においては、まずロボットが降車し、その後、利用者が乗車することになる。したがって、利用者の移動時間が増加するなど、依然として利用者に対する利便性低下の虞が残る。
【0005】
本開示は、以上の課題を解決するためになされたものであり、一般利用者の乗車を妨げることなく自律移動体の移動を可能とするエレベーター制御システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のエレベーター制御システムは、利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びと、を登録する呼び登録手段と、自律移動体の、エレベーターのかごへの乗降を制御する乗降制御手段と、1つの人物乗場呼びが登録されるごとに、エレベーターのサービス階の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として予測する予測手段と、を備え、乗降制御手段は、1つの移動体乗場呼びが登録されるごとに、1つの移動体乗場呼びの乗場階から行先階までの乗車区間の階床それぞれの人物重量予測値と当該乗車区間の階床それぞれにおいてかごに乗車が可能と判定された他の自律移動体の重量と、1つの移動体乗場呼びを行った自律移動体の重量との合計が、基準重量より小さい場合、1つの移動体乗場呼びを行った自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する。
【0007】
本開示のエレベーター制御システムは、利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びと、を登録可能なエレベーターを制御するエレベーターの制御方法であって1つの人物乗場呼びが登録されるごとに、エレベーターのサービス階の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として制御装置が演算する処理と、1つの移動乗場呼びが登録されるごとに、1つの移動体乗場呼びの乗場階から行先階までの乗車区間の階床それぞれの人物重量予測値と当該乗車区間の階床それぞれにおいてかごに乗車が可能と判定された他の自律移動体の重量と、1つの移動体乗場呼びを行った自律移動体の重量との合計当該乗車区間の階床それぞれについて算出し、階床それぞれの合計のうちの最大値が、基準重量より小さい場合、制御装置が、1つの移動体乗場呼びを行った自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、を備える。
【0008】
本開示のエレベーター制御プログラムは、利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びとを、登録可能なエレベーターを制御するための制御プログラムであって、制御装置に、1つの人物乗場呼びが登録されるごとにエレベーターのサービス階の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として演算する処理と、1つの移動体乗場呼びが登録されるごとに、1つの移動体乗場呼びの乗場階から行先階までの乗車区間の階床それぞれの人物重量予測値と当該乗車区間の階床それぞれにおいてかごに乗車が可能と判定された他の自律移動体の重量と、移動体乗場呼びを行った自律移動体の重量との合計を、当該乗車区間の階床それぞれについて算出し、階床それぞれの合計のうちの最大値が、基準重量より小さい場合、1つの移動体乗場呼びを行った自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
自律移動体の乗車区間内の各階床における利用者の総重量を踏まえて自律移動体の乗車可否が判定されることで、自律移動体が乗車したことにより利用者が乗車不可となる事態の発生を抑止することができる。したがって、利用者に対するエレベーターのサービスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係るエレベーター及びその周辺の構成例を示す模式図である。
図2】本開示の実施の形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る制御装置の記憶手段に記憶された利用者、及び自律移動体の登録情報の一例を示す図である。
図4】本開示の実施の形態に係る制御装置による自律移動体に対する乗降制御を適用した場合の、各階床におけるかごの重量予想値と、利用者及び自律移動体の乗降状態とを現した図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施の形態1に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施の形態1に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施の形態1に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態1に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態1に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係るエレベーター制御システム及びその周辺の構成例を示す模式図である。エレベーター制御システムは、エレベーター15、制御装置100、自律移動体10A~10D、利用者12A~12Dが所持する携帯端末13A~13D、及びアンカー18を含む。図1の例では、建物内には複数の階床が形成され、複数の階床を縦方向に移動可能なエレベーター15が配置されている。
【0013】
建物内の複数の階床には、複数の利用者及び自律走行が可能な複数の自律移動体10A~10Dが通行する。図1の例では、複数の自律移動体10A~10Dが、各階床のエレベーター15の乗場近傍に位置している。自律移動体10A~10Dは、その移動経路にエレベーター15での移動が含まれる場合、移動経路上のエレベーター15の乗場近傍から、制御装置100に対して、乗場階と行先階との情報を含む移動体乗場呼び11を、制御装置100に送信する。
【0014】
また図1の例では、複数の階床のエレベーター15の乗場近傍に、一般利用者である利用者12A~12Dが位置している。利用者12A~12Dのそれぞれは、携帯端末13A~13Dを携帯している。携帯端末13A~13Dは、例えば、スマートフォン、タブレット、及び携帯電話等である。各携帯端末13A~13Dにより、各利用者12A~12Dの現在位置が発信される。携帯端末13A~13Dに替えて、現在位置を発信可能なタグなどを携帯する構成としてもよい。利用者12A~12Dは、エレベーター15を利用する場合、例えば、乗場近傍に設置された操作盤(図示せず)に行先階を入力することで、乗場階と行先階との情報を含む人物乗場呼び14を制御装置100に送信する。あるいは、携帯端末13A~13Dから、人物乗場呼び14が自動又は手動で発信される構成としてもよい。
【0015】
なお、以下では、複数の自律移動体10A~10D、複数の利用者12A~12D、及び、複数の携帯端末13A~13Dについて、特定の1つを区別して記載する必要がない場合には、単に自律移動体10、利用者12、携帯端末13と称することとする。
【0016】
エレベーター15は、昇降路15A内を昇降するかご16を備える。かご16には、かご16内の負荷を計測する秤装置17が設置されている。各階床にはアンカー18が設置され、アンカー18との距離の計測することで、利用者12及び自律移動体10の測位が行われる。ただし、ここでは自律移動体10及び利用者12の測位が可能であればアンカー18を設置する構成に限られない。アンカー18に替えて、カメラを設置して画像分析処理により自律移動体10及び利用者12の測位を行うものであってもよい。
【0017】
図2は、本実施の形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。本実施の形態において制御装置100は、エレベーター15の運行を制御するとともに、自律移動体10のかご16への乗車及びかご16からの降車を制御する。以下では、制御装置100の機能のうち、主に、自律移動体10の乗降制御に関連する部分について説明する。
【0018】
図2に示されるように、制御装置100は、呼び登録手段1、呼び登録手段2、検出手段4、計測手段5、記憶手段6、予測手段7、及び乗降制御手段8を備える。
【0019】
呼び登録手段1は、自律移動体10から送信される移動体乗場呼び11の情報を受け付け、移動体乗場呼び11の登録を行う。呼び登録手段2は、利用者により操作入力された人物乗場呼び14の情報を受け付け、人物乗場呼びの登録を行う。
【0020】
検出手段4には、アンカー18により計測された利用者12及び自律移動体10の測位情報3が入力される。検出手段4は、入力された測位情報3に基づいて、利用者12及び自律移動体10のかご16への乗車又はかご16からの降車を検出する。
【0021】
計測手段5は、かご16内の利用者及び自律移動体の重量を計測する。計測手段5には、検出手段4により検出された利用者12及び自律移動体10の乗降の情報と、かご16に設置された秤装置17の出力とが入力される。計測手段5は、秤装置17の出力に基づいて、かご16内の全体負荷を算出するとともに、秤装置17の出力変化と測位情報3とに基づいて、かご16内に乗車中の利用者12及び自律移動体10それぞれの重量を計測することができる。
【0022】
記憶手段6は、登録された利用者12、及び登録された自律移動体10の重量等の登録情報を記した利用者管理テーブルを記憶する。図3は、記憶手段に記憶された利用者、及び自律移動体の登録情報の一例を示す図である。図3に示されるように、記憶手段6は建物内を移動する利用者12A~12D及び自律移動体10A~10Dのそれぞれの登録情報を、利用者12及び自律移動体10のいずれの登録情報であるかを識別できる状態で記憶する。利用者12、及び自律移動体10の登録情報は事前に登録される。
【0023】
利用者12の登録情報には、重量(体重)、及び優先レベルの情報が含まれる。図3の例では、利用者12A~12Dの重量は、それぞれ、60kg、20kg、75kg、45kgである。優先レベルは、エレベーター15に乗場呼びを行った際にエレベーター15が割り当てられる優先順位を示すものである。優先レベルは、一例としては、優先レベルが高い順にLv5~Lv1のレベルで示され、図3の例では、全利用者12の優先レベルが最も高いLv5とされている。また、図3の例において利用者12の登録情報には、利用者12の属性の情報が含まれている。ここで属性には、性別及び大人又は子供の情報が含まれる。ただし、利用者12の登録情報には、属性が含まれていなくてもよく、また、属性として、例えば車いすの利用等の情報が含まれていてもよい。また、優先レベルは、例えば、属性に応じて、利用者間で異なるものとしてもよい。
【0024】
自律移動体10の登録情報には、重量、属性、優先レベルの情報が含まれ得る。図3の例では、自律移動体10A~10Dは、互いにその重量が異なり、各自律移動体10A~10Dの重量は、60kg、100kg、18kg、15kgである。自律移動体10の属性としては、自律移動体10の用途、例えば、配送用、清掃用、配膳用、警備用などの情報が含まれうる。ただし、登録情報に属性情報が含まれていなくてもよい。また、例えば、優先レベルは、自律移動体10の属性に応じて事前に設定される。優先レベルは、少なくとも全ての利用者より低く、図3の例では、Lv4以下に設定されている。
【0025】
予測手段7は、記憶手段6に記憶された利用者12、及び自律移動体10の登録情報と、人物乗場呼び14と移動体乗場呼び11とに基づいて、各階床ごとのかご16内の負荷である重量予測値を算出する。また、予測手段7は、重量予測値の算出に際し、各階床ごとのかご16内の負荷のうち、利用者12による重量の合計を人物重量予測値として算出する。なお、予測手段7により予測される重量予測値及び人物重量予測値は、かご16の同一方向の一回の運行ごとに算出される値である。
【0026】
乗降制御手段8には、検出手段4により検出された利用者12及び自律移動体10の乗降の情報と、記憶手段6に記憶された利用者12及び自律移動体10の登録情報と、予測手段7により予測された各階床での重量予測値等の情報と、呼び登録手段1、2からの人物乗場呼び14及び移動体乗場呼び11の情報と、が入力される。
【0027】
これらの入力情報に基づいて、乗降制御手段8は、ある自律移動体10が移動体乗場呼び11を行った場合に、当該自律移動体10の乗車階から行先階までの区間のうち行先階を除く各階床の重量予測値のうちの最大値を抽出する。なお以下において「乗車区間」は、乗場階から行先階までの区間を示すものの、その乗車区間内の階床は、降車階である行先階自体を含まず、乗場階から行先階の1つ手前の階までの階床を示すものとする。
【0028】
乗降制御手段8は、最大値と当該自律移動体10の重量との和が、基準重量より小さい場合に、当該自律移動体10のかご16への乗車を可能と判定し、大きい場合には当該自律移動体10かご16への乗車を不可と判定する。なお、ここで基準重量は、例えば、かご16の満員通過の条件となる重量に設定される。満員通過の条件となる基準重量は、例えば実際にかご16に乗車し得る重量の最大値である積載重量の80%などに設定され、予め記憶された値である。
【0029】
乗降制御手段8は、自律移動体10の乗車が可能と判定したときは、当該自律移動体10の乗車階にかご16が到着した際、その乗車階においてかご16に乗車する利用者の乗車が完了した後で、自律移動体10に対し乗車指令を発信して、自律移動体10をかご16に乗車させる。一方、乗降制御手段8は、自律移動体10の乗車不可と判定した場合には、乗車指令を発信せず、その乗場に乗車可能な利用者12又は他の自律移動体10がいない場合には、かご16を停車させず、通過させる。
【0030】
以下、図4を用いてより具体的に自律移動体10に対する乗降制御について説明する。図4は、制御装置による自律移動体に対する乗降制御を適用した場合の、各階床におけるかごの重量変化の予想、及び利用者及び自律移動体の乗降状態を表した図である。図4の例では、かご16の積載重量100%が250kg、満員通過条件である基準重量が、積載重量の80%である200kgに設定されている。制御装置100は、かご負荷が基準重量200kgを超えないように、自律移動体10の乗降を制御する。
【0031】
図4の例では、利用者12Aは、1階から8階、利用者12Bは1階から4階、利用者12Cは3階から10階、利用者12Dは5階から11階への人物乗場呼びを行うものとする。また、自律移動体10Aは1階から8階、自律移動体10Bは1階から5階、自律移動体10Cは4階から10階、自律移動体10Dは5階から11階への移動体乗場呼びを行うものとする。ただし、利用者12Cによる人物乗場呼びは、自律移動体10Aがかご16に乗車した後、行先階への移動中に登録されたものとする。
【0032】
例えば、自律移動体10Aは、重量が60kgで優先レベルがLv3である。自律移動体10Aの乗車区間は1階~8階である。自律移動体10Aが移動体乗場呼びを行った時点における、乗車区間内の階床1~7階までの各階床について、その階床を乗車区間に含む人物乗場呼びを行った利用者は、1~3階で利用者12A、12B、4階で利用者12A、5~7階で利用者12A、12Dである。従って、1~7階までの各階床における利用者の各階床の人物重量予測値は、1~3階で80kg、4階で60kg、5~7階で105kgであり、乗車区間である1~7階までの人物重量予測値の最大値は、105kgである。
【0033】
自律移動体10Aの重量は60kgであるから、1~7階までの階床ごとの重量予測値は、最大で165kgとなり、基準重量200kgを超えない見込みとなる。また、自律移動体10Bが、1階から4階までの移動体呼び登録を行っているが、自律移動体10Bの優先レベルは、自律移動体10Aより低いため、ここでは、その重量は考慮されない。したがって、自律移動体10Aは乗車可能と判定され、かご16の到着時に乗車指令が出される。
【0034】
一方、自律移動体10Bは重量が100kgであり、優先レベルはLv1である。また、自律移動体10Bの乗車区間は1階~5階である。自律移動体10Bの乗車区間内の各階床1階~4階において、利用者12の人物重量予測値に優先レベルの高い自律移動体10Aとの重量を加えた重量予測値は1階~3階で140kgとなる。この場合、さらに自律移動体10Bが乗車すると重量予測値は240kgとなり、基準重量200kgを超えることとなる。したがって、自律移動体10Bは、今回の運行においてかご16に乗車することはできないと判定される。
【0035】
また、図4の例では、自律移動体10Aがかご16に乗車した後、移動中に、利用者12Cが3階から10階までの人物乗場呼びを行っている。この場合、利用者12Cの乗車区間内の各階床3~9階の人物重量予測値は、利用者12Cの重量を含むよう再計算される。図4の例において、再計算の結果は、3階で155kg、4階で135kg、5~8階で180kg、9階で120kgとなる。人物重量予測値の最大値は基準重量以下であるので、利用者12Cは乗車可能と判定される。
【0036】
一方、再計算の結果、自律移動体10Aの乗車区間内の階床1~7階における人物重量予測値に、自律移動体10Aの重量60kgを加算したかご16の重量予測値は、3階の時点で基準重量を超える。したがって、利用者12Cの乗車を優先させるため、自律移動体10Aに対しては、3階で降車指令が送信され、自律移動体10Aは3階で降車する。その結果、利用者12Cは乗車可能となる。
【0037】
また、自律移動体10Cは、重量が18kgであり優先レベルはLv2である。自律移動体10Cの乗車区間内の各階床4~9階における利用者12の人物重量予測値は、4階で135kg、5~7階で180kg、8,9階で120kgであり、ここに自律移動体10Cの重量を加えても、各階床で重量予測値はいずれも200kg未満となる。しかし、優先レベルの高い自律移動体10Dが乗場階5階から行先階11階までの移動体乗場呼びを行っている。したがって、自律移動体10Dの乗車区間内の各階床5~10階で自律移動体10Dの重量を加えた各階床の重量予測値は、5~7階で213kgとなり基準重量を超える。この場合、乗降制御手段8は、重量予測値が基準重量を超える5階で自律移動体10Cに対して、降車指令を送信する。
【0038】
自律移動体10Cは、5階で降車するので、自律移動体10Dの乗車区間内の各階床5~10階での自律移動体10Dの重量を含む重量予測値は、4階―8階で195kg、9階で135kg、10階で60kgとなる。したがって、自律移動体10Dはかごへの乗車が可能と判定され、自律移動体10Dに乗車指令が送信される。
【0039】
図5図10は、本実施の形態に係る制御装置が実行する乗降制御の一例を示すフローチャートである。なお、図5図10の乗降制御の処理において、特に区別して説明する必要がある場合には、現在演算の対象となっている物に、例えば、「対象自律移動体10」「対象階床」、「対象利用者12」のように、「対象」と付して示すものとする。
【0040】
図5は、各階床におけるかご負荷のうち、人物重量予測値を算出する制御動作例を示している。図5の処理は、エレベーターのサービス中、所定の制御間隔で繰り返し実行される処理であり、同一方向のかご16の一走行ごとに行われ、その一走行のかご16の走行が開始されるまでの間、その一走行に対する処理として繰り返し実行される。当該一走行とは逆方向の走行に対しても、一走行ごとに図5の処理が繰り返し実行される。
【0041】
図5の例では、まず、ステップS1で、人物乗場呼びの新規登録又はキャンセルが発生したか否かが判定される。ステップS1で新規登録及びキャンセルの発生がないと判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0042】
ステップS1で、人物乗場呼びの新規登録又はキャンセルが検出されたと判定された場合には、次に、ステップS2に移行し、エレベーターが停止するサービス階床分、ステップS2~S6のループ処理が行われる。具体的には、新規登録又はキャンセルされた人物乗場呼びの方向が上り方向の場合には、最下階から最上階まで、下り方向の場合には、最上階から最下階までの各階床それぞれについてのループ処理が実行される。
【0043】
このループ処理では、まずステップS3で、現在の演算対象となっている対象階床が、新規登録又はキャンセルされた人物乗場呼びの乗車区間内の階床に含まれるか否かが判定される。ステップS3で乗車区間内ではないと判定された場合には、処理は、ステップS5に移行して、次の階床の予測を行う。
【0044】
一方、ステップS3で、対象階床が乗車区間内であれば、記憶手段6から、新規登録又はキャンセルされた人物乗場呼びを行った利用者の重量(「対象重量」とも称する)が取得される。そして、新規の乗場呼びである場合には、対象階床の、現在記憶されている人物重量予測値に対象重量が加算される。一方、乗場呼び登録のキャンセルであった場合には、現在の対象階床の人物重量予測値から対象重量が減算される。加算又は減算の結果が、対象階床の人物重量予測値として記憶手段6に記憶される。なお、人物重量予測値は初期値においてゼロであり、図5の制御処理が繰り返される過程で、順次更新される。
【0045】
その後、処理はステップS5に移行して、最上階又は最下階までの各階床のループ処理が完了するまで、ステップS2~S5の処理が繰り返され、ループ処理完了後、今回の処理は終了とされる。
【0046】
図6は、自律移動体に対し、かごへの乗車が可能か否かを判定する際の制御動作例を示している。図6の制御処理は、エレベーターのサービス中、所定の制御間隔で繰り返し実行される処理であり、同一方向のかご16の一走行ごとに行われ、その一走行のかご16の走行が開始されるまでの間、その一走行に対する処理として繰り返し実行される。当該一走行とは逆方向の走行に対しても、一走行ごとに図6の処理が繰り返し実行される。
【0047】
図6の例では、まずステップS10で、移動体乗場呼びが新規登録されたか否かが判定される。ステップS10で、移動体乗場呼びの新規登録がないと判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0048】
ステップS10で、移動体乗場呼びが新規登録されたと判定された場合、次に、ステップS12に移行し、現在、かご16に対する移動体乗場呼び登録がなされている自律移動体10それぞれについて、優先レベルの高い方から低い方に順に、ステップS12~S20のループ処理が行われる。
【0049】
ステップS13に移行すると、更に、対象自律移動体10の移動体乗場呼びの乗車区間内の各階床について、乗車階から降車階まで順にステップS13~S15のループ処理が実行される。
【0050】
まず、ステップS14では、対象自律移動体の乗車区間内の階床ごとのかご16の現在の仮負荷に、対象自律移動体10の重量を加算した値を、各階床のかご16の仮負荷として算出する。ここでの仮負荷は、図5の処理により算出される各階床の人物重量予測値を初期値とし、ステップS12~S15のループ処理の過程で、自律移動体の重量が加算され更新される値である。すなわち、仮負荷は、各階床を乗車区間内に含む移動体乗場呼びを行った自律移動体10のうち、対象自律移動体10より優先レベルの高い自律移動体10の重量分を、各階床の人物重量予測値に加算した値となる。ステップS12~S15のループ処理は、対象自律移動体10の乗車区間内の全ての階床についての仮負荷の算出が終わるまで繰り返し実行される。
【0051】
ステップS12~S15でのループ処理完了後、次に、ステップS16で、ステップS14で算出された各階床の仮負荷のうちの最大値が、満員通過条件である基準重量より小さいか否かが判定される。すなわち、仮負荷の値では満員通過が発生せず、対象自律移動体が乗車しても、その乗車区間内において、乗場呼びを行った利用者と、対象自律移動体10より優先レベルの高い自律移動体10とが乗車可能か否かが判定される。
【0052】
ステップS16で、仮負荷の最大値が基準重量より小さいと判定された場合には、ステップS17で、対象自律移動体10は乗車可能と判定される。次に、ステップS18で、ステップS14で算出された仮負荷が、各階床の重量予測値として更新される。
【0053】
一方、ステップS16で、最大仮負荷が基準重量より小さいと判定された場合には、次にステップS19で、対象自律移動体10は、乗車不可と判定される。この場合、仮負荷の値はキャンセルされ、ステップS13~S15のループ処理前の値に戻される。
【0054】
その後、優先レベルの最も低い自律移動体10についてステップS12~S20のループ処理が完了すると、今回の処理は終了とされる。
【0055】
図7は、人物重量予測値を実際に利用者12がかご16に乗車した際に計測した重量で補正する制御例を示している。この処理は、エレベーターのサービス中に、所定の制御間隔で繰り返し実行される。
【0056】
図7の例では、まず、ステップS21で、自律移動体10の乗車階で、当該自律移動体10の目的方向に移動するかご16が到着したか否かが判定される。ステップS21で到着していないと判定された場合には、今回の処理はこのまま終了する。
【0057】
ステップS21で、かご16が到着したと判定された場合には、ステップS22に移行して、ステップS22~S28のループ処理が実行される。ステップ22~S28のループ処理は、現在の乗車階で到着したかご16に乗り込む予定の利用者の人数分くりかえし実行される。
【0058】
ステップS23では、利用者の測位情報に基づいて、対象利用者12のかご16への乗車が完了したか否かが判定される。ステップS23で、乗車が完了していないと判定された場合には、処理はステップS28に進み、ループ処理S22のスタートに戻される。
【0059】
ステップS23で、対象利用者12の乗車が完了したと判定された場合には、次に、ステップS24で、対象利用者12の乗車によるかご負荷の増加分が取得される。かご負荷の増加分は、秤装置17の出力に基づき取得することができる。
【0060】
次に、ステップS25で、利用者管理テーブルの対象利用者の重量を、取得したかご負荷増加分に更新すると共に、利用者管理テーブルに登録されていた重量と、計測された重量との誤差分を補正値として算出する。
【0061】
次に、ステップS26で、対象利用者の乗車区間内の各階床の人物重量予測値を、ステップS26で算出された補正値で補正して、各階床の人物重量予測値を補正された値に更新する。
【0062】
次に、ステップS27で、自律移動体10の乗車可否の判定を再更新する。具体的には、図6のステップS12~S20のループ処理において、ステップS26で更新した人物重量予測値が用いられて、各自律移動体10の乗車可否が再演算される。ステップS27では、この乗車階で今回乗車許可を有する(即ち、乗車可能と判定された)自律移動体10についてのみ、乗車可否を再演算する構成としてもよい。
【0063】
ステップS28において、乗車予定人数分のループ処理が完了した場合、次に、ステップS29に進み、現在の階床に乗車許可された自律移動体10があるか否かが判定される。ステップS29で、乗車許可された自律移動体10がないと判別された場合、今回の処理は終了とされる。
【0064】
一方、ステップS29で、乗車許可された自律移動体10があると判定された場合、ステップS30で、対象自律移動体10に乗車指令が発信される。乗車指令を受けた自律移動体10は、かご16への乗車を開始する。
【0065】
次に、ステップS31で対象自律移動体10の乗車が完了したか否かが判定される。乗車が完了していない場合には、処理はステップS31に戻され、対象自律移動体10の乗車が完了するまでステップS31の判定が一定の制御間隔で繰り返し実行される。
【0066】
一方、ステップS31で乗車が完了したと判定された場合には、次に、ステップS32で、対象自律移動体10の乗車によるかご負荷の増加分と、記憶手段6に記憶された対象自律移動体10の重量との差分に基づいて、対象自律移動体10の乗車区間内の各階床の重量予測値を更新する。その後、今回の処理は終了とされる。
【0067】
図8は、自律移動体の乗場呼びがキャンセルされた場合の制御動作の一例を示している。図8の処理は、エレベーターのサービス中に、所定の制御間隔で繰り返し実行される。図8に示される例では、まず、ステップS41で、移動体乗場呼びのキャンセルが発生したか否かが判定される。ステップS41で、自律移動体10の乗場呼びのキャンセルが発生していないと判定された場合には、処理はこのまま終了とされる。
【0068】
一方、ステップS41で移動体乗場呼びのキャンセルが発生したと判定された場合、処理はステップS42に移行し、全自律移動体の乗車許可の判定が一旦キャンセルとされる。次に、ステップS43で各階床の重量予測値が、各階床の人物重量予測値に戻される。
【0069】
次に、ステップS44で、自律移動体10の乗車可否の再演算が実行される。具体的には、図6のステップS12~S20のループ処理が実行され、移動体呼び登録を行っている全自律移動体10についての乗車可否の演算が行われる。その後、今回の処理は終了とされる。
【0070】
なお、図8では、1つの移動体乗場呼びのキャンセル時に、全自律移動体10の乗車許可がキャンセルされ、乗車可否について再演算が行われる場合について説明した。しかし、移動体乗場呼びがキャンセルされた場合の処理はこれに限られない。例えば、他の処理として、移動体乗場呼びをキャンセルした自律移動体10の乗車区間内の各階床の重量予測値から、当該自律移動体10の重量を減算して重量予測値更新する。そして、乗場呼びをキャンセルした自律移動体10のほかに、キャンセルされた乗車区間内を含む乗場呼びを行い、かつ乗車許可を有しない(即ち、乗車不可と判定された)自律移動体10が待機している場合に、当該自律移動体10の重量を重量予測値に加算して、重量予測値を求める、その重量予測値が基準重量を超えない場合に、待機中の自律移動体10の乗車を可能する構成としてもよい。
【0071】
図9は、自律移動体10が乗車中に、利用者12が乗場呼びを行った場合の制御動作の一例を示している。図9の処理は、エレベーターのサービス中、所定の制御間隔で繰り返し実行される。
【0072】
図9の処理では、まず、ステップS51で、自律移動体10の少なくとも1つがかご16に乗車した状態でかご16が走行中であるか否かが判定される。なお、ここでの「走行中」には、ある方向の乗場呼びに応答してかご16が運行していることを示し、その運行中において利用者12又は自律移動体10の乗降のためいずれかの階床に停車している場合も含むものとする。ステップS51で、自律移動体10が1体も乗車していない、またはかご16が走行中でない場合には、今回の処理は終了とされる。
【0073】
ステップS51で、自律移動体10の乗車中のかご16が走行中であると判定された場合、次に、ステップS52で、かご16に乗車中の自律移動体10の乗車区間内で、新規の人物乗場呼びが登録されたか否かが判定される。ステップS52で乗車区間内での新規の人物乗場呼びがないと判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0074】
ステップS52で新規の人物乗場呼びがあると判定された場合、次に、ステップS53で、新規の人物乗場呼びの乗車区間内の各階床の重量予測値に、新規の人物乗場呼びを行った対象利用者12の重量を加算して、各階床の仮負荷を計算する。
【0075】
次に、ステップS54で、新規の人物乗場呼びが満員通過となるか否か、すなわち、ステップS53で算出された各階床の仮負荷のなかに、基準重量以上の値があるか否かが判定される。ステップS54で全ての階床の仮負荷が基準重量より小さいと判定された場合、対象利用者12は、かご負荷を調整しなくても、かご16に乗車可能な状態であるといえる。この場合、今回の処理はこのまま終了とされる。
【0076】
一方、ステップS54で仮負荷が基準重量以上であると判定された場合には、次に、ステップS55において、自律移動体10が降車することで、対象利用者が乗車可能であるか否かが判定される。具体的には、ステップS53で算出された対象利用者の乗車区間内の各階床の仮負荷から、その階床においてかご16に乗車中の自律移動体10の重量を減算して、各階床の仮負荷を再演算する。再演算された各階床の仮負荷がすべて、基準重量以上の場合、ステップS55において、対象利用者の乗車は不可と判定され、今回の処理は終了とされる。
【0077】
一方、ステップS55で、仮負荷の全てが基準重量より小さい、すなわち自律移動体10の降車により、対象利用者12の乗車が可能と判定された場合、次に、ステップS56で、かご16が対象利用者の乗車階に到着したか否かが判定される。ステップS56でかご16が到着していないと判定された場合、処理はステップS56に戻され、かご16が到着したと判定されるまで、所定の制御間隔でステップS56の判定処理が繰り返される。
【0078】
一方、ステップS56でかご16が到着したと判定された場合、次に、ステップS57で、自律移動体10に降車指令が発信される。次に、ステップS58で、対象利用者の乗車及び自律移動体10の降車による重量増減分に応じて、各階床の重量予測値が再演算され、自律移動体10の乗車可否が再演算される。ここでは、図6のステップS12~S20のループ処理に従て、重量予測値の再演算と自律移動体10の乗車可否の再演算が実行される。その後、今回の処理は終了とされる。
【0079】
なお、図9では1体の自律移動体10が乗車中である場合を説明したが、複数の自律移動体10がかご16に乗車中である場合にも図9の処理に従って処理される。この際、例えば、ステップS52においては、いずれかの1つ以上の乗車中の自律移動体10の乗車区間内で、新規の人物乗場呼びが登録されたか否かが判定される。
【0080】
また、ステップS55の判定は、ステップS53で算出された各階床の仮負荷から、その階床において乗車中又は乗車予定の全ての自律移動体10の重量の合計を減算して仮負荷が再計算される。
【0081】
また、ステップS57において降車指令を発信する自律移動体は、次のように決定することができる。例えば、ステップS55で算出された仮負荷に、各階床において乗車中又は乗車予定の自律移動体10の重量を、優先レベルの高い順に加算して順次仮負荷の値を更新する。自律移動体10の重量を加算するごとに、各階床の仮負荷の全てが基準重量を超えない範囲であるかを判定し、基準重量を超えていなければ、当該自律移動体10は、降車指令の対象としない。一方、仮負荷の値が基準重量を超えた場合、当該自律移動体10及び当該自律移動体10より優先レベルの低い自律移動体10を降車対象とする。あるいは、例えば、対象利用者12よりも重量の重い自律移動体10から順に選択して、各階床で基準重量を超えないように自律移動体10を降車させる構成としてもよい。また、他の条件に従って降車させる自律移動体10を選択してもよい。
【0082】
図10は、自律移動体の優先レベルに従い、乗車中の自律移動体10と移動体乗場呼びを行った自律移動体10とを入れ替える場合の制御動作の一例を示す。図10の処理は、エレベーターのサービス中、所定の制御間隔で繰り返し実行される。
【0083】
図10の例では、まず、ステップS61で、自律移動体10がかご16に乗車した状態で、かご16の走行中であるか否かが判定される。ステップS61で、自律移動体10がかご16に乗車していない、または、かご16が走行中でないと判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0084】
一方、ステップS61で、自律移動体10がかご16に乗車した状態でかご16が走行中であると判定された場合には、次に、かご16に乗車中の自律移動体10の乗車区間で、他の自律移動体10による新規の移動体乗場呼びがあるか否かが判定される。ステップS62で新規の移動体乗場呼びがないと判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0085】
一方、ステップS62で新規の移動体乗場呼びがあると判定された場合には、次に、ステップS63で、新規の移動体乗場呼びを行った対象自律移動体10の追加乗車が可能か否かが判定される。具体的には、対象自律移動体10の乗車区間内の各階床の重量予測値に、対象自律移動体10の重量を加算した仮負荷を演算し、全ての階床の仮負荷が基準重量より小さい場合に、追加乗車が可能と判定される。ステップS63で追加乗車が可能であると判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0086】
一方、ステップS63で追加乗車ができないと判定された場合には、次に、ステップS64に進み、対象自律移動体10よりも優先レベルが低い自律移動体10がかご16に乗車中又は対象自律移動体10より前の階床で乗車予定か否かが判定される。ステップS64で乗車していない、かつ乗車予定ではないと判定された場合には、今回の処理は終了とされる。
【0087】
一方、ステップS64で、優先レベルの低い自律移動体10がかご16内に乗車中又は対象自律移動体10より前の階床で乗車予定であると判定された場合、次に、ステップS65で、優先レベルの低い自律移動体10と入れ替えることで、対象自律移動体10の乗車区間内で、利用者の乗場呼びに対する満員通過が発生しないか否かが判定される。具体的には、優先レベルの低い自律移動体10と、対象自律移動体10とを入れ替えた場合における、対象自律移動体10の乗車区間内の各階床の重量予測値を仮負荷として算出する。そして、仮負荷が基準重量より小さいか否かに基づいて、満員通過が発生するか否かが判定される。ステップS65で、満員通過が発生すると判定された場合には、今回の処理はこのまま終了する。
【0088】
一方、ステップS65で、満員通過が発生しないと判定された場合には、次に、ステップS66で、対象自律移動体10の移動体乗場呼びの乗車階に、かご16が到着したか否かが判定される。かご16が到着していないと判定された場合、かご16が乗車階に到着したと判定されるまで、所定の制御間隔でステップS66の判定処理が繰り返される。
【0089】
一方、ステップS66で、かご16が乗車階に到着したと判定された場合、次に、ステップS67で、かご16に乗車している自律移動体10のうち、降車対象とされた自律移動体10に降車指令が送信され、これにより当該自律移動体10はかご16から降車する。
【0090】
次に、ステップS68で、対象自律移動体10に乗車指令が送信される。対象自律移動体10は乗車指令を受信すると、かご16に乗車する。次にステップS69で対象自律移動体10の乗車が完了したか否かが判定される。乗車が完了していないと判定された場合、処理は、ステップS69に戻され、乗車完了と判定されるまで、ステップS69の判定処理が、所定の制御間隔で繰り返される。
【0091】
一方、ステップS69で乗車完了と判定された場合には、ステップS70で各階床の重量予測値が更新される。その後今回の処理は終了とされる。
【0092】
以上説明した通り、本実施の形態によれば、乗車予定の利用者の重量に基づいて、かご内の人物重量予測値を算出し、算出された人物重量予測値に応じて、利用者が満員通過を回避できるよう自律移動体の乗降を判断する。これにより、自律移動体10が乗車することで、乗客乗場呼びに対する満員通過が発生するのを防ぐことができ、利用者に対するエレベーターのサービス向上に貢献することができる。
【0093】
また、本実施の形態では、図7に示されるように、各乗場階において、全ての利用者12がかご16に乗車した後で、乗車可能と判定された自律移動体10がかご16に乗車する。これにより、各階床の重量予測値に誤差が生じている場合でも、自律移動体10が乗車することで、乗客乗場呼びに対する満員通過が発生するのを防ぐことができる。
【0094】
また、移動体乗場呼びを行った自律移動体10が複数体存在する場合に、自律移動体10の乗車可否は優先レベルに基づいて判断される。したがって、より必要性の高い自律移動体10を優先的に移動させることができる。しかし、自律移動体10が複数体存在する場合におけるかご16のへの乗車可否の決定は、優先レベルに基づくものに限られない。例えば、乗客乗場呼びに対する満員通過を発生させない範囲で、重量が重い順に、自律移動体10の乗車可否を決定する構成としてもよいし、待機時間が長い順に自律移動体10の乗車可否を決定する構成としてもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、図7に示されるように、かご16への利用者又は自律移動体10の乗車時に、かご負荷の増加分に基づいて、人物重量予測値及び重量予測値を補正する。これにより、例えば、重たい荷物を持つなどによって利用者の重量が登録された重量と大きく異なる場合にも、高い精度でかご負荷(即ち、重量予測値)を予想することができ、より適切に自律移動体10の乗降を判定することができる。ただし、制御装置は、このような重要予測値の補正は行わない構成のものであってもよい。
【0096】
また、本実施の形態によれば、かご16の走行中に乗場呼び登録の新規登録やキャンセルが発生した場合、その都度、重量予測値が再演算され、それに基づき自律移動体10の乗車可否が判定される。したがって、より適切に自律移動体10の乗降を制御して、乗客乗場呼びに対する満員通過の発生を抑制することができる。
【0097】
なお、本実施の形態に記載された制御装置100を構成する各手段により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs(Application Specific Integrated Circuits)、CPU(a Central Processing Unit)、従来型の回路、あるいは、それらの組合せを含む回路を使用して実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むので、回路とみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行するものであってもよい。また、実施の形態における回路、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は、実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、実施の形態に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。当該ハードウェアが一種の回路と考え得るプロセッサである場合、当該回路、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成する為に用いられるソフトウェアとの組合せである。
【0098】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0099】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びと、を登録する呼び登録手段と、
前記自律移動体の、前記エレベーターのかごへの乗降を制御する乗降制御手段と、
前記移動体乗場呼びの乗車階から行先階までの乗車区間内の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として予測する予測手段と、
を備え、
前記乗降制御手段は、前記階床それぞれの前記人物重量予測値のうち最大値と、前記移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の重量との合計が、基準重量より小さい場合、当該自律移動体の前記かごへの乗車が可能と判定する、
エレベーター制御システム。
(付記2)
前記乗降制御手段は、前記自律移動体のかごへの乗車が可能と判定された場合、
当該自律移動体による前記移動体乗場呼びの乗車階にかごが到着し、当該乗車階を乗車階とする人物乗場呼びを行った全ての利用者の乗車が完了した後に、当該自律移動体への乗車指令を行う、
付記1に記載のエレベーター制御システム。
(付記3)
前記自律移動体が複数体存在する場合において、複数の前記自律移動体が同一方向の移動体乗場呼びを行った場合、
前記乗降制御手段は、複数の前記自律移動体それぞれの乗車の優先レベルに基づいて、前記乗車指令を行う、
付記2に記載のエレベーター制御システム。
(付記4)
前記自律移動体が複数体存在する場合において、複数の前記自律移動体が同一方向の移動体乗場呼びを行った場合、
前記予測手段は、複数の前記自律移動体のうち1つの自律移動体の乗車区間内の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量と、当該階床を乗車区間内に含む移動体乗場呼びを行った他の自律移動体のうち乗車可能と判定されている全ての自律移動体の重量と、の合計を重量予測値として演算し、
前記乗降制御手段は、前記重量予測値と、前記1つの自律移動体の重量との合計が、前記基準重量より小さい場合、前記1つの自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する、
付記1から3のいずれか1つに記載のエレベーター制御システム。
(付記5)
前記予測手段は、前記かごに前記利用者が乗車した際の前記かごの重量変化に基づいて、前記人物重量予測値を補正し、
前記乗降制御手段は、補正された前記人物重量予測値に基づいて、前記自律移動体の前記かごへの乗車が可能かを判定する、
付記1から4のいずれか1つに記載のエレベーター制御システム。
(付記6)
乗車不可と判定されている前記自律移動体がある状態において、前記移動体乗場呼びと同一方向の、前記人物乗場呼びがキャンセルされた場合、
前記予測手段は、前記人物重量予測値を再計算し、
前記乗降制御手段は、再演算された前記人物重量予測値の最大値に基づいて、前記自律移動体のかごへの乗車が可能かを再判定する、
付記1から5のいずれか1つに記載のエレベーター制御システム。
(付記7)
前記自律移動体が乗車した後、当該自律移動体の行先階に到着するまでの間に、同一方向の人物乗場呼びが行われ、当該人物乗場呼びが満員通過となることが予測されるが当該自律移動体を降車させることで当該人物乗場呼びを行った利用者が乗車可能となると予測される場合、
前記乗降制御手段は、当該人物乗場呼びの乗車階で当該自律移動体を降車させ、当該利用者を乗車させる、
付記1から6のいずれか1つに記載のエレベーター制御システム。
(付記8)
前記自律移動体が複数体存在し、
前記自律移動体のうちの1つの自律移動体の移動体呼びと同一方向の移動体乗場呼びを行った他の自律移動体が、前記1つの自律移動体より優先レベルが高く、かつ、前記他の自律移動体が、前記かごへの乗車不可と判定された場合、
前記乗降制御手段は、前記1つの自律移動体と前記他の自律移動体とを入れ替えても、前記1つの自律移動体の乗車階から前記他の自律移動体の降車階までの間の階床において、前記人物乗場呼びに対する満員通過が発生しないと予想される場合には、前記他の自律移動体の乗車階において、前記1つの自律移動体を降車させ、前記他の自律移動体を乗車させる、
付記1から7のいずれか1つに記載のエレベーター制御システム。
(付記9)
利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びとが登録された場合、
前記移動体乗場呼びの乗車階から行先階までの乗車区間内の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として制御装置が演算する処理と、
前記階床それぞれの前記人物重量予測値のうち最大値と、前記移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の重量との合計が、基準重量より小さい場合、前記制御装置が、当該自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、
を備えるエレベーター制御方法。
(付記10)
前記自律移動体のかごへの乗車が可能と判定された場合、
当該自律移動体による前記移動体乗場呼びの乗車階にかごが到着し、当該乗車階を乗車階とする人物乗場呼びを行った全ての利用者の乗車が完了した後に、前記制御装置が、当該自律移動体への乗車指令を発信する処理、
を備える付記9に記載のエレベーター制御方法。
(付記11)
前記自律移動体が複数体存在する場合において、複数の前記自律移動体が同一方向の移動体乗場呼びを行った場合、
前記制御装置が、複数の前記自律移動体それぞれの乗車の優先レベルに基づいて、前記乗車指令を発信する処理、
を備える付記10に記載のエレベーター制御方法。
(付記12)
前記自律移動体が複数体存在する場合において、複数の前記自律移動体が同一方向の移動体乗場呼びを行った場合、
前記制御装置が、複数の前記自律移動体のうち1つの自律移動体の乗車区間内の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量と、当該階床を乗車区間内に含む移動体乗場呼びを行った他の自律移動体のうち乗車可能と判定されている全ての自律移動体の重量と、の合計を重量予測値として演算する処理と、
前記制御装置が、前記重量予測値と、前記1つの自律移動体の重量との合計が、前記基準重量より小さい場合、前記1つの自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、
を備える付記9から11のいずれか1つに記載のエレベーター制御方法。
(付記13)
前記制御装置が、前記かごに前記利用者が乗車した際の前記かごの重量変化に基づいて、前記人物重量予測値を補正して、補正された前記人物重量予測値に基づいて、前記自律移動体の前記かごへの乗車が可能かを判定する処理、
を備える付記9から12のいずれか1つに記載のエレベーター制御方法。
(付記14)
乗車不可と判定されている前記自律移動体がある状態において、前記移動体乗場呼びと同一方向の、前記人物乗場呼びがキャンセルされた場合、
前記制御装置が、前記人物重量予測値を再計算する処理と、
前記制御装置が、再演算された前記人物重量予測値の最大値に基づいて、前記自律移動体のかごへの乗車が可能かを再判定する処理と、
を備える付記9から13のいずれか1つに記載のエレベーター制御方法。
(付記15)
前記自律移動体が乗車した後、当該自律移動体の行先階に到着するまでの間に、同一方向の人物乗場呼びが登録され、当該人物乗場呼びが満員通過となることが予測されるが当該自律移動体を降車させることで当該人物乗場呼びを行った利用者が乗車可能となると予測される場合、
前記制御装置が当該人物乗場呼びの乗車階で当該自律移動体を降車させる処理、
を備える付記9から14のいずれか1つに記載のエレベーター制御方法。
(付記16)
前記自律移動体が複数体存在し、
前記自律移動体のうちの1つの自律移動体の移動体呼びと同一方向の移動体乗場呼びを行った他の自律移動体が、前記1つの自律移動体より優先レベルが高く、かつ、前記他の自律移動体が、前記かごへの乗車不可と判定された場合、
前記1つの自律移動体と前記他の自律移動体とを入れ替えても、前記1つの自律移動体の乗車階から前記他の自律移動体の降車階までの間の階床において、前記人物乗場呼びに対する満員通過が発生しないと予想される場合には、前記制御装置が、前記他の自律移動体の乗車階において、前記1つの自律移動体を降車させ、前記他の自律移動体を乗車させる処理、
を備える付記9から15のいずれか1つに記載のエレベーター制御方法。
(付記17)
利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びとが登録された場合、
制御装置に、
前記移動体乗場呼びの乗車階から行先階までの乗車区間内の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間内に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として演算する処理と、
前記階床それぞれの前記人物重量予測値のうち最大値と、前記移動体乗場呼びを行った前記自律移動体の重量との合計が、基準重量より小さい場合、当該自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する処理と、
を実行させるエレベーター制御プログラム。
【符号の説明】
【0100】
1 呼び登録手段、 2 呼び登録手段、 3 測位情報、 4 検出手段、 5 計測手段、 7 予測手段、 8 乗降制御手段、 10、10A-10D 自律移動体、 11 移動体乗場呼び、 12、12A-12D 利用者、 13、13A-13D 携帯端末、 14 乗客乗場呼び、 15 エレベーター、 15A 昇降路、 17 秤装置、 18 アンカー
【要約】
【課題】一般利用者の乗車を妨げることなく自律移動体の移動を行う。
【解決手段】本開示のエレベーター制御システムは、利用者からのエレベーターの乗場呼びである人物乗場呼びと、自律移動体からのエレベーターの乗場呼びである移動体乗場呼びと、を登録する呼び登録手段と、自律移動体の、エレベーターのかごへの乗降を制御する乗降制御手段と、移動体乗場呼びの乗車階から行先階までの乗車区間内の階床それぞれについて、当該階床を乗車区間に含む人物乗場呼びを行った全ての利用者の重量の合計を人物重量予測値として予測する予測手段と、を備え、乗降制御手段は、階床それぞれの人物重量予測値のうち最大値と、移動体乗場呼びを行った自律移動体の重量との合計が、基準重量より小さい場合、当該自律移動体のかごへの乗車が可能と判定する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10