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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車両の荷箱
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/023 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
B62D33/023 W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024511782
(86)(22)【出願日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2023010277
(87)【国際公開番号】W WO2023189646
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022058365
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】山川 顕也
(72)【発明者】
【氏名】良永 圭太
(72)【発明者】
【氏名】貴島 敬
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-68230(JP,A)
【文献】特開2005-186683(JP,A)
【文献】実開昭63-110179(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0079439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/023
B62D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルとインナパネルとで閉断面を構成する縦壁部を備える車両の荷箱であって、
前記アウタパネルは、前記インナパネルと対向して配置されるアウタロアパネルと、前記アウタロアパネルの上部と接合されて上方に延設され、前記縦壁部の上縁部を構成するアウタアッパパネルと、を有し、
前記アウタロアパネルおよび前記アウタアッパパネルは、互いに接合されるロア側接合部およびアッパ側接合部をそれぞれ有し、
前記アウタロアパネルの前記ロア側接合部および前記アウタアッパパネルの前記アッパ側接合部の何れか一方に、他方に向かって突出するとともに上下方向に延在する接合用凸状部が車幅方向に間隔をおいて複数設けられ、
前記アウタロアパネルと前記アウタアッパパネルとの接合は、前記接合用凸状部の頂面が、前記ロア側接合部または前記アッパ側接合部の他方に接合されることでなされ、
前記ロア側接合部は、前記アウタロアパネルの上端縁より下方に位置しており、前記アウタロアパネルは、前記上端縁が前記アウタアッパパネルに対して隙間を有した状態で前記アウタアッパパネルに接合される
ことを特徴とする車両の荷箱。
【請求項2】
前記上縁部は、前記アウタアッパパネルの前記アッパ側接合部から上方に起立する起立面部と、前記起立面部の上端から車両後方に延在する上面部と、前記上面部の車両後端から下方に延在する屈曲面部と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の荷箱。
【請求項3】
車幅方向の両側の隣り合う前記接合用凸状部間の間隔は、車幅方向の中間部の隣り合う前記接合用凸状部間の間隔よりも小さい寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の荷箱。
【請求項4】
前記ロア側接合部または前記アッパ側接合部の車幅方向両端において、前記アウタロアパネルと前記アウタアッパパネルとの間には空間が形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の荷箱。
【請求項5】
前記接合用凸状部は前記アウタアッパパネルに設けられ、
前記接合用凸状部の前記頂面が接合される前記ロア側接合部は車幅方向の全長にわたって延在する単一の平坦面で形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の荷箱。
【請求項6】
前記アウタロアパネルの肉厚よりも前記アウタアッパパネルの肉厚が大きな寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の荷箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアップトラックなどのように荷箱を備えた車両が提供されている(特許文献1参照)。
荷箱は、複数のパネル部材が接合されることで閉断面を構成する縦壁部を備えているため、パネル部材の接合部分のうち上方を向いた上端は、降雨時に雨水が溜まりやすく錆の発生が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2017-94888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、従来は、パネル部材の接合部分の上端に錆防止用のシール材を充填する必要があり、コストアップの原因となっている。
また、縦壁部が、パネル部材の接合部分の上端を上方から覆う上縁部を備えた構造の場合、上縁部が位置していることからシール材をパネル部材の接合部分の上端に充填する作業がやりにくく、何らかの改善が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、錆を防止するためのシール材の充填作業を省略でき、コストダウンを図る上で有利な車両の荷箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、アウタパネルとインナパネルとで閉断面を構成する縦壁部を備える車両の荷箱であって、前記アウタパネルは、前記インナパネルと対向して配置されるアウタロアパネルと、前記アウタロアパネルの上部と接合されて上方に延設され、前記縦壁部の上縁部を構成するアウタアッパパネルと、を有し、前記アウタロアパネルおよび前記アウタアッパパネルは、互いに接合されるロア側接合部およびアッパ側接合部をそれぞれ有し、前記アウタロアパネルの前記ロア側接合部および前記アウタアッパパネルの前記アッパ側接合部の何れか一方に、他方に向かって突出するとともに上下方向に延在する接合用凸状部が車幅方向に間隔をおいて複数設けられ、前記アウタロアパネルと前記アウタアッパパネルとの接合は、前記接合用凸状部の頂面が、前記ロア側接合部または前記アッパ側接合部の他方に接合されることでなされ、前記ロア側接合部は、前記アウタロアパネルの上端縁より下方に位置しており、前記アウタロアパネルは、前記上端縁が前記アウタアッパパネルに対して隙間を有した状態で前記アウタアッパパネルに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、降雨時など、アウタアッパパネルを伝って上方から流れてきた水は、アウタロアパネルの上端縁とアウタアッパパネルとの間の隙間から縦壁部の内部に導かれ、接合用凸状部の間を通って下方へ排出される。
したがって、アウタアッパパネルとアッパロアパネルの上端縁との間に水が溜まることがないため、縦壁部の錆を防止するためのシール材の充填作業を省略でき、コストダウンを図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る縦壁部を車両後方から見た斜視図である。
図2】実施の形態に係る縦壁部を車両前方から見た斜視図である。
図3】実施の形態に係る縦壁部からアウタロアパネルを取り外して車両後方から見た斜視図である。
図4】実施の形態に係る縦壁部の縦断面図である。
図5】(A)及び(B)は縦壁部の上部の拡大断面図であり、(A)は接合用凸状部の頂面の部分での断面を示し、(B)は隙間の部分での断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係る縦壁部について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方、符号UPは車両上方、符号INは車幅方向内側、OUTは車幅方向外側を示す。
本実施の形態の縦壁部が適用される車両は、ピックアップトラックでありラダーフレームにキャビンと荷箱が搭載されたフレーム車である。
荷箱は、矩形状の床面と、床面の車両前端から起立されキャビンの後面に設けられたバックパネルと、床面の車幅方向両端から起立された一対のサイドパネルと、床面の車両後端から起立された図1に示すリアゲート10と、を含んで構成されている。本実施の形態では、リアゲート10に本実施の形態の縦壁部が適用されている場合について説明するが、バックパネルあるいはサイドパネルにも本発明は無論適用可能である。
リアゲート10(縦壁部)は、荷箱の後部を閉塞した閉塞位置と、荷箱の後部を開放した開放位置と、の間で揺動可能に設けられている。
【0009】
図4に示すように、リアゲート10(縦壁部)は、ゲート本体12と上縁部14とを備えている。
ゲート本体12は、その下端が支軸を介して床面に回動可能に支持される。ゲート本体12の車幅方向の両端がロック機構を介して一対のサイドパネルの後端にロックされることでリアゲート10が閉塞位置に維持され、また、ロック機構のロックを解除することでリアゲート10を開放位置に揺動できるように構成されている。
ゲート本体12は、インナパネル16、アウタパネルを備え、閉断面構造で形成されている。
アウタパネルは、インナパネル16と対向して配置されるアウタロアパネル18と、アウタロアパネル18の上部と接合されて上方に延設され、縦壁部の上縁部14Aを構成するアウタアッパパネル20と、を有している。
インナパネル16、アウタロアパネル18、アウタアッパパネル20は鋼板製である。アウタロアパネル18の肉厚は、インナパネル16よりも大きな肉厚で形成される。アウタアッパパネル20の肉厚は、アウタロアパネル18の肉厚よりも大きな寸法で形成されている。
図4に示すように、インナパネル16は、アウタロアパネル18、アウタアッパパネル20の車両前方に配置される。インナパネル16の下端とアウタロアパネル18の下端とは、例えばヘミング加工により接合されている。
【0010】
図2図4に示すように、インナパネル16の下端寄りの箇所に水抜き孔22が車幅方向に間隔をおいて複数設けられている。
インナパネル16の上部には、アウタロアパネル18に組み付けるブレーキランプなどの配線作業を行なうための作業孔24が車幅方向に間隔をおいて複数設けられている。それら作業孔24は不図示の蓋部材によって閉塞される。
インナパネル16の上端1602に、アウタアッパパネル20の下端2002が車両後方から重ね合わされ溶接により接合されている。
アウタロアパネル18は、下端から連続状に上方に延在しリアゲート10の後面を構成する後面1802と、後面1802の上端から車両前方に至るにつれて僅かに上方に変位する傾斜面1804と、傾斜面1804の後端から上方に変位しつつ車両前方に変位するロア側接合部1806と、ロア側接合部1806より上方に位置する上端縁1808を備えている。
また、アウタアッパパネル20の上下方向の中間部に位置するアッパ側接合部2004にアウタロアパネル18の上端縁1808より下方に位置するロア側接合部1806が車両後方から重ね合わされ溶接により接合されている。
アウタアッパパネル20の下端2002はほぼ上下方向に延在する。アウタアッパパネル20の下端2002とアッパ側接合部2004との間は、上方に至るにつれて次第に車両後方に変位する傾斜部2006で形成される。アッパ側接合部2004は傾斜部2006の上端から上方に至るにつれて次第に車両前方に変位する傾斜面で形成されている。
アウタアッパパネル20の上下方向のアッパ側接合部2004と、アウタロアパネル18のロア側接合部1806と、が接合されることによりゲート本体12の上端12Aが構成されている。
【0011】
図2図4に示すように、上縁部14は、ゲート本体12の上端12Aから上方に突出するアウタアッパパネル20の箇所によりゲート本体12の上端12Aを上方から覆うように設けられている。
上縁部14は、アウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004から上方に起立する起立面部1402と、起立面部1402の上端から車両後方に延在する上面部1404と、上面部1404の車両後端から下方に延在する屈曲面部1406と、を備えている。
屈曲面部1406の下端は、アウタロアパネル18の傾斜面1804の延在方向の中間部の上方に位置している。
本実施の形態では、ゲート本体12の上端12A、すなわち、アッパ側接合部2004の上端から上方に突出するアウタアッパパネル20の箇所は、上方に至るにつれて車両前方に変位する傾斜面部2008として形成される。起立面部1402は傾斜面部2008の車両前端から上方に起立している。
また、上縁部14の車幅方向の両端には、起立面部1402と上面部1404と屈曲面部1406とで形成された空間を閉塞する不図示のキャップが装着されている。
なお、図1において、符号26は、荷箱に積載された荷物に掛けるロープを掛止する一対のロープフックを示す。一対のロープフック26は、上縁部14の車幅両側で起立面部1402および上面部1404の内側から下方に向かって突設されている。
【0012】
次に、ゲート本体12の上端12Aを構成するアウタロアパネル18のロア側接合部1806と、アウタアッパパネル20の上下方向のアッパ側接合部2004と、の接合構造について説明する。
図2図3図5(A)に示すように、アウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004に、アウタロアパネル18のロア側接合部1806に向かって突出する接合用凸状部28が車幅方向に間隔をおいて複数設けられている。
図3に示すように、接合用凸状部28は、車幅方向に間隔をおいたアッパ側接合部2004の箇所から車両後方に向かって起立する一対の側面2802と、それら一対の側面2802の車両後端を接続し上下方向に延在する頂面2804と、を備えている。
図2図3に示すように、本実施の形態では、接合用凸状部28は、ゲート本体12の上端12Aの車幅方向の両端を除いた箇所に設けられ、ゲート本体12の上端12Aの車幅方向の両端には設けられていない。
また、リアゲート10の車幅方向の両側に設けられた隣り合う接合用凸状部28間の間隔は、リアゲート10の車幅方向の中間部に設けられた隣り合う接合用凸状部28間の間隔よりも小さい寸法で形成されている。
【0013】
図4図5(A)に示すように、アウタロアパネル18のロア側接合部1806とアウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004との接合は、接合用凸状部28の頂面2804が、アウタロアパネル18のロア側接合部1806に溶接により接合されることでなされている。
接合用凸状部28の頂面2804が接合されるロア側接合部1806は、車幅方向の全長にわたって延在する単一の平坦面で形成されている、
そして、図5(B)に示すように、車幅方向において隣り合う接合用凸状部28の間は、ゲート本体12の内部への水の流通を可能とした隙間30として形成されている。
言い換えると、アウタロアパネル18は、上端縁1808がアウタアッパパネル20に対して隙間30を有した状態でアウタアッパパネル20に接合されている。
また、図2に示すように、ロア側接合部1806またはアッパ側接合部2004の車幅方向両端において、アウタロアパネル18とアウタアッパパネル20との間にはゲート本体12の内部への水の流通を可能とした空間32が形成されている。
【0014】
次に本実施の形態のリアゲート10の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、アウタロアパネル18のロア側接合部1806およびアウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004の何れか一方に、他方に向かって突出するとともに上下方向に延在する接合用凸状部28が車幅方向に間隔をおいて複数設けられ、アウタロアパネル18とアウタアッパパネル20との接合は、接合用凸状部28の頂面2804が、ロア側接合部1806またはアッパ側接合部2004の他方に接合されることでなされ、ロア側接合部1806は、アウタロアパネル18の上端縁1808より下方に位置しており、アウタロアパネル18は、上端縁1808がアウタアッパパネル20に対して隙間30を有した状態でアウタアッパパネル20に接合されるようにした。
そのため、例えば、降雨時に上縁部14(アウタアッパパネル20)を伝ってゲート本体12の上端12Aの上方の起立面部1402に流れてきた雨水、より具体的には、起立面部1402と上端縁1808との間に到達した雨水は、隙間30からリアゲート10の内部に導かれ、接合用凸状部28の間を通って下方へ流れた後、水抜き孔22からリアゲート10の外部に排出される。
すなわち上縁部14(アウタアッパパネル20)の起立面部1402とアウタロアパネル18の上端縁1808との間に水が溜まらないよう隙間30を設けるとともに、アウタアッパパネル20とアウタロアパネル18の接合部に下方へ流れる通路を形成することで、積極的に水をリアゲート10の内部を通して排水する構成としている。
したがって、ゲート本体12の上端12A(すなわちアウタロアパネル18の上端縁1808)の錆を防止するためのシール材の充填作業を省略でき、コストダウンを図る上で有利となる。
特に、本実施の形態のように、ゲート本体12の上端12Aの上方を覆う上縁部14が設けられている場合には、アウタロアパネル18のロア側接合部1806とアウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004との間にシール材を充填する作業、詳細には起立面部1402および傾斜面部2008と、上端縁1808との間にシール材を充填する作業は上縁部14が位置していることからやりにくいため、シール材の充填作業の省略はコストダウンを図る上でより有利となる。
また、ゲート本体12の上端12A、すなわちアウタアッパパネル20とアウタロアパネル18の接合部に複数の接合用凸状部28が設けられることで、接合部に上下方向に延びる複数の縦断面が形成されるので、ゲート本体12の上端12Aの強度剛性が高められ、耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0015】
また、本実施の形態では、上縁部14は、アウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004から上方に起立する起立面部1402と、起立面部1402の上端から車両後方に延在する上面部1404と、上面部1404の車両後端から下方に延在する屈曲面部1406と、を備えているので、それらが単一の平坦面で形成されている場合に比べて強度剛性が高められている。
したがって、上縁部14によってリアゲート10の強度剛性の向上、耐久性の向上を図る上でより有利となる。
【0016】
また、本実施の形態では、ゲート本体12の車幅方向の両端がロック機構を介して一対のサイドパネルの後端にロックされる構造となっていることから、ゲート本体12の車幅方向の中間部に比較して車幅方向の両側部分にはより大きな荷重が加わりやすい。
本実施の形態では、リアゲート10の車幅方向の両側に設けられた隣り合う接合用凸状部28間の間隔は、リアゲート10の車幅方向の中間部に設けられた隣り合う接合用凸状部28間の間隔よりも小さい寸法で形成されている。
したがって、より大きな荷重が加わりやすいゲート本体12の車幅方向の両側部分に中間部よりも多くの接合用凸状部28が設けられ、それら接合用凸状部28がアウタロアパネル18のロア側接合部1806に接合されていることから、ゲート本体12の車幅方向の両側部分の強度剛性を高め、リアゲート10の耐久性の向上を図る上で有利となる。
【0017】
また、車両の走行時や停車時、車幅方向両端の車輪が同一の水平面に位置していることは無く、何れか一方の車輪が高位または下位に位置しており、降雨時に、ゲート本体12の上端12Aの車幅方向の一方の端部において、ゲート本体12の上端12Aの上方の起立面部1402に、あるいは傾斜面部2008と上端縁1808との間に雨水が溜まりやすい。
本実施の形態では、ロア側接合部1806またはアッパ側接合部2004の車幅方向両端において、アウタロアパネル18とアウタアッパパネル20との間にはゲート本体12の内部への水の流通を可能とした空間32が形成されている。
したがって、降雨時にゲート本体12の上端12Aの車幅方向の一方の端部において、ゲート本体12の上端12Aの上方の起立面部1402に溜まりやすい雨水、あるいは傾斜面部2008と上端縁1808との間に溜まりやすい雨水は、空間32を通ってリアゲート10の内部に導かれ、水抜き孔22からリアゲート10の外部に排出されるので、ゲート本体12の上端12A(すなわちアウタロアパネル18の上端縁1808)が錆びることを防止する上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、接合用凸状部28はアウタアッパパネル20に設けられているので、この接合用凸状部28の頂面2804が接合されるアウタロアパネル18のロア側接合部1806を車幅方向の全長にわたって延在する単一の平坦面で形成することができる。
したがって、車両後方からリアゲート10を見た場合に、接合用凸状部28との接合箇所が単一の平坦面で形成されたアウタロアパネル18によって隠され、リアゲート10の意匠性を確保する上で有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、アウタロアパネル18の肉厚よりもアウタアッパパネル20の肉厚が大きな寸法で形成されている。
したがって、肉厚の大きいアウタアッパパネル20に接合用凸状部28を設けることでゲート本体12の上端12Aの強度剛性を高める上でより有利となり、ゲート本体12の強度剛性の向上、耐久性の向上を図る上でより有利となる。
【0020】
なお、本実施の形態では、接合用凸状部28をアウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004に設け接合用凸状部28の頂面2804をアウタロアパネル18のロア側接合部1806に接合した場合について説明したが、これとは反対に、接合用凸状部28をアウタロアパネル18のロア側接合部1806に設け、接合用凸状部28の頂面2804をアウタアッパパネル20のアッパ側接合部2004に接合してもよく、この場合も同様の効果が奏される。
ただし、この場合は、車両後方からリアゲート10を見た場合に、アウタアッパパネル20に設けた接合用凸状部28が視認されてしまうことから、意匠性を確保するためにアウタアッパパネル20の後面に専用の意匠部品を取り付けて接合用凸状部28を隠す必要が生じる。
したがって、本実施の形態のように構成する方がコストアップを抑制しつつリアゲート10の意匠性を確保する上で有利となる。
【0021】
以上、各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0022】
なお、本出願は、2022年3月31日出願の日本特許出願(特願2022-058365)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0023】
10 リアゲート(縦壁部)
12 ゲート本体
12A 上端
14 上縁部
1402 起立面部
1404 上面部
1406 屈曲面部
16 インナパネル
1602 上端
18 アウタロアパネル
1802 後面
1804 傾斜面
1806 ロア側接合部
1808 上端縁
20 アウタアッパパネル
2002 下端
2004 アッパ側接合部
2006 傾斜部
2008 傾斜面部
22 水抜き孔
24 作業孔
26 ロープフック
28 接合用凸状部
2802 一対の側面
2804 頂面
30 隙間
32 空間
図1
図2
図3
図4
図5