(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】旋削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/00 20060101AFI20241217BHJP
B23B 29/12 20060101ALI20241217BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B23B27/00 D
B23B29/12 Z
B23Q17/09 Z
(21)【出願番号】P 2024513495
(86)(22)【出願日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2023031312
【審査請求日】2024-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】小池 雄介
(72)【発明者】
【氏名】村上 大介
(72)【発明者】
【氏名】栗山 裕介
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-036264(JP,A)
【文献】特開2022-045927(JP,A)
【文献】中国実用新案第211760241(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112317786(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00
B23B 29/12
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削チップが保持される先端部と、前記先端部とは長手方向において反対側の端部である基端部とを有する棒状の本体部と、
前記本体部に設置されるひずみセンサと、を備え、
前記本体部は、前記基端部を含む第1部分と、前記基端部から長手方向において離れた位置に前記第1部分と連なって形成され、前記第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分と、を含み、
前記ひずみセンサは、前記本体部の長手方向において、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記先端部側に配置され
、
前記第1部分が工作機械の保持機構により保持され、前記第1部分と前記第2部分との境界よりも前記先端部側の領域は工作機械の保持機構により拘束されない、旋削工具。
【請求項2】
前記本体部は、前記先端部を含むように形成され、前記第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第3部分をさらに含み、
前記第2部分は、前記本体部の長手方向において、前記基端部と前記第3部分との間の、前記本体部の外周面に前記第3部分から離れて形成された突起を含む領域であ
り、
前記突起は工作機械の保持機構による保持の妨げとなる、請求項1に記載の旋削工具。
【請求項3】
前記本体部は、複数の平面部を含み、
前記突起は、前記本体部の長手方向に垂直な面と前記本体部の表面とが交差して形成される第1環状線上であって、前記複数の平面部のうち同一の平面部上に複数形成される、請求項2に記載の旋削工具。
【請求項4】
前記突起は、前記複数の平面部のうち、複数の各平面部上に複数形成される、請求項3に記載の旋削工具。
【請求項5】
前記本体部は、前記先端部を含むように形成され、前記第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第3部分をさらに含み、
前記第2部分は前記本体部の長手方向において前記第3部分と接続されている、請求項1に記載の旋削工具。
【請求項6】
前記本体部の外周面には第1凹部が形成されており、
前記ひずみセンサは、前記第1凹部内に収容される、請求項1に記載の旋削工具。
【請求項7】
前記本体部の外周面には
ひずみを増幅するための第2凹部が形成されており、
前記ひずみセンサは、前記第2凹部を跨ぐように配置される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の旋削工具。
【請求項8】
前記本体部の外周面には、前記本体部の長手方向に垂直な面と前記本体部の表面とが交差して形成される第2環状線上に沿って並べて配置される
、ひずみを増幅するための一対の第3凹部が形成されており、
前記ひずみセンサは、前記一対の第3凹部の間に配置される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の旋削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、旋削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
旋削工具による加工中に、ひずみセンサによって旋削工具のひずみを測定することにより、旋削工具の状態を把握する技術が知られている(たとえば、国際公開第2022/230148号(特許文献1)参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に従った旋削工具は、切削チップが保持される先端部と、先端部とは長手方向において反対側の端部である基端部とを有する棒状の本体部と、本体部に設置されるひずみセンサと、を備える。本体部は、基端部を含む第1部分と、基端部から長手方向において離れた位置に第1部分と連なって形成され、第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分と、を含む。ひずみセンサは、本体部の長手方向において、第1部分と第2部分との境界よりも先端部側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、実施の形態1における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、タレットの構造を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、タレットに旋削工具が保持された状態を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図8】
図8は、実施の形態3における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態4における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態5における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、実施の形態5における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態6における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図14】
図14は、実施の形態6における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態7における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図16】
図16は、実施の形態7における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態7における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態8における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図19】
図19は、実施の形態8における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【
図20】
図20は、実施の形態9における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
【
図21】
図21は、実施の形態9における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
旋削工具のひずみを測定するためには、たとえばひずみセンサを旋削工具の本体部に設置することができる。旋削工具の本体部は、工作機械の保持機構によって保持される。しかし、本発明者らの検討によれば、測定されるひずみの値が安定しないという問題が生じる場合がある。具体的には、同一の旋削工具を使用して同一の加工を実施した場合でも、測定されるひずみの値が通常の誤差の範囲を超えて異なる場合がある。このように、測定されるひずみの値が安定しないと、たとえば測定されるひずみの値から旋削工具の異常を検知する場合、異常と判断するための閾値の設定が困難になるという問題が生じる。
【0007】
測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具を提供することが、本開示の目的の1つである。
【0008】
[本開示の効果]
本開示の旋削工具によれば、測定されるひずみの値を安定させることができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の旋削工具は、切削チップが保持される先端部と、先端部とは長手方向において反対側の端部である基端部とを有する棒状の本体部と、本体部に設置されるひずみセンサと、を備える。本体部は、基端部を含む第1部分と、基端部から長手方向において離れた位置に第1部分と連なって形成され、第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分と、を含む。ひずみセンサは、本体部の長手方向において、第1部分と第2部分との境界よりも先端部側に配置される。
【0010】
本発明者らは、旋削工具の本体部にひずみセンサを設置した場合に、測定されるひずみの値が安定しない原因について検討した。その結果、本体部のひずみセンサが設置される領域が工作機械の保持機構によって拘束されている場合にひずみの値がばらつき、ひずみセンサが設置される領域が工作機械の保持機構によって拘束されていない場合には測定されるひずみの値が安定することを見出した。これは、本体部のひずみセンサが設置される領域が工作機械の保持機構によって拘束されている場合には、保持機構による拘束の態様が測定されるひずみの値に影響するのに対し、拘束されていない場合には測定されるひずみの値に与える保持機構による拘束の態様の影響が小さくなるためであると考えられる。
【0011】
本開示の旋削工具においては、本体部が、第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分を含んでいる。そして、ひずみセンサが、本体部の長手方向において、第1部分と第2部分との境界よりも先端部側に配置される。第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分は、工作機械の保持機構による保持の妨げとなる。そのため、旋削工具を保持機構により保持する際には、第2部分よりも基端部側に位置する第1部分が保持され、本体部の第1部分と第2部分との境界よりも先端部側の領域は保持機構により拘束されない状態となる。そうすると、ひずみセンサが配置される本体部の領域は、保持機構により拘束されない。その結果、ひずみセンサにより測定されるひずみの値が安定する。このように、本開示の旋削工具によれば、測定されるひずみの値を安定させることができる。
【0012】
上記本開示の旋削工具において、本体部は、先端部を含むように形成され、第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第3部分をさらに含んでいてもよい。第2部分は、本体部の長手方向において、基端部と第3部分との間の、本体部の外周面に第3部分から離れて形成された突起を含む領域であってもよい。このように、第2部分として本体部の外周面に突起を含む領域を形成することにより、本体部の第1部分と第2部分との境界よりも先端部側の領域が保持機構により拘束されない状態を容易に達成することができる。
【0013】
上記本開示の旋削工具において、本体部は、複数の平面部を含んでいてもよい。上記突起は、本体部の長手方向に垂直な面と前記本体部の表面とが交差して形成される第1環状線上であって、上記複数の平面のうち同一の平面上に複数形成されてもよい。この構成により、本体部の第1部分と第2部分との境界よりも先端部側の領域が保持機構により拘束されない状態をより確実に達成することができる。
【0014】
上記本開示の旋削工具において、上記突起は、上記複数の平面部のうち、複数の各平面部上に複数形成されていてもよい。この構成により、本体部の第1部分と第2部分との境界よりも先端部側の領域が保持機構により拘束されない状態をより確実に達成することができる。
【0015】
上記本開示の旋削工具において、本体部は、先端部を含むように形成され、第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第3部分をさらに含んでいてもよい。第2部分は本体部の長手方向において第3部分と接続されていてもよい。このような構成によっても、本体部の第1部分と第2部分との境界よりも先端部側の領域が保持機構により拘束されない状態を容易に達成することができる。
【0016】
上記本開示の旋削工具において、本体部の外周面には第1凹部が形成されていてもよい。ひずみセンサは、第1凹部内に収容されていてもよい。このようにひずみセンサが凹部内に収容されることにより、旋削工具の取り扱いが容易となる。
【0017】
上記本開示の旋削工具において、本体部の外周面には第2凹部が形成されていてもよい。ひずみセンサは、第2凹部を跨ぐように配置されていてもよい。本体部が第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分を含むことにより、本体部の剛性が上昇し、ひずみセンサが設置される本体部の領域に生じるひずみの値が小さくなる。これに対し、本体部に第2凹部を形成することで、第2凹部周辺におけるひずみを増幅することができる。そして、ひずみセンサを、当該第2凹部を跨ぐように配置することで、ひずみセンサによるひずみの検知が容易となる。
【0018】
上記本開示の旋削工具において、本体部の外周面には、本体部の長手方向に垂直な面と本体部の表面とが交差して形成される第2環状線上に沿って並べて配置される一対の第3凹部が形成されていてもよい。ひずみセンサは、一対の第3凹部の間に配置されてもよい。本体部に第3凹部を形成することで、第3凹部周辺におけるひずみを増幅することができる。そして、ひずみセンサを、当該第3凹部の間に配置することで、ひずみセンサによるひずみの検知が容易となる。
【0019】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本開示にかかる旋削工具の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0020】
(実施の形態1)
【0021】
(1)本体部の構造
図1は、実施の形態1における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図2は、実施の形態1における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図2は、
図1の線分II-IIに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるX-Z平面における断面)を示している。
【0022】
図1を参照して、本実施の形態の旋削工具1は、先端部10Aから基端部10Bまで延びる棒状の本体部10を備えている。本明細書において、先端部10Aから基端部10Bへと延びる方向、すなわち本体部10の長手方向はY方向である。Y方向に直交する本体部10の幅方向はX方向である。X方向およびY方向に直交する本体部10の高さ方向はZ方向である。
【0023】
本体部10は、金属製である。本体部10は、第1面10Cと、第2面10Dと、第3面10Eと、第4面10Fと、第5面10Gとを含んでいる。第1面10Cおよび第4面10Fは、X-Y平面に沿う平面である。第1面10Cと第4面10Fとは平行である。第2面10Dおよび第3面10Eは、Y-Z平面に沿う平面である。第2面10Dと第3面10Eとは平行である。第1面10Cおよび第4面10Fと第2面10Dおよび第3面10Eとは垂直である。第1面10C、第2面10D、第3面10Eおよび第4面10Fは、本体部10の外周面を構成する。第5面10Gは、X-Z平面に沿う平面である。第5面10Gは、第1面10C、第2面10D、第3面10Eおよび第4面10Fと垂直である。第5面10Gは、本体部10の基端部10B側の端面である。本開示の本体部の形状は、特に限定されるものではないが、本実施の形態における本体部10は、直方体状の形状を有している。
【0024】
図1に示すように、本体部10の先端部10Aには、切削チップ90を保持するための凹部が形成されている。この凹部には、切削チップ90および敷板81が配置されている。切削チップ90は、敷板81上に積み重ねて配置されている。本体部10の先端部10A付近には、切削チップ90を固定するための固定部82が配置されている。切削チップ90は、敷板81と固定部82とに挟まれることにより保持されている。切削チップ90は、回動可能な固定部82により着脱可能に固定されている。すなわち、本体部10の先端部10Aには、切削チップ90が保持される。旋削工具1は、回転する被加工物に切削チップ90が接触することによって被加工物を切削する切削工具である。すなわち、旋削工具1は、旋削加工に用いられる切削工具である。
【0025】
図1および
図2を参照して、本体部10は、基端部10Bを含む第1部分11と、基端部10Bから長手方向(Y方向)において離れた位置に第1部分11と連なって形成され、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12と、先端部10Aを含むように形成され、第1部分11よりも長手方向(Y方向)に垂直な断面積が大きい第3部分13とを含んでいる。
【0026】
第2部分12は、本体部10の長手方向(Y方向)において、基端部10Bと第3部分13との間の、本体部10の外周面、より具体的には第1面10Cに第3部分13から離れて形成された突起12Aを含む領域である。突起12Aの形状は、特に限定されるものではないが、本実施の形態では直方体状の形状を有している。
図2を参照して、突起12Aは、本体部10の長手方向(Y方向)に見て、第1部分11の外縁11Aに取り囲まれる領域から突出する部分である。すなわち、第2部分12は、本体部10の長手方向(Y方向)に見て、第1部分11の外縁11Aに取り囲まれる領域から突出する部分を有する領域である。
【0027】
本実施の形態において、突起12Aは複数(2個)存在している。
図1を参照して、これら2つの突起12Aは、本体部10の長手方向に垂直な面αと本体部10の表面とが交差して形成される第1環状線β上であって、本体部10の表面を構成する複数の平面部のうち第1面10C上に並べて形成されている。
【0028】
(2)センサモジュールの構造
図1および
図2を参照して、旋削工具1は、ひずみセンサ41を含むセンサモジュール40を備えている。センサモジュール40は、ひずみセンサ41と、ひずみセンサ41に電気的に接続された配線部42とを含んでいる。ひずみセンサ41は、矩形平板状の形状を有している。配線部42は、帯状の形状を有している。配線部42上にひずみセンサ41が設置されている。
【0029】
(3)ひずみセンサの配置
本体部10の外周面の一部である第1面10Cには、第1凹部18が形成されている。第1凹部18は、一対の突起12Aに挟まれる領域を含むように形成されている。ひずみセンサ41を含むセンサモジュール40は、第1凹部18内に収容されている。すなわち、旋削工具1は、本体部10に設置されるひずみセンサ41を備えている。
【0030】
図2を参照して、第1凹部18は、充填材15により充填されている。充填材15は、たとえば樹脂製である。センサモジュール40は、充填材15から露出しないように配置されている。これにより、旋削工具1が旋削加工に使用される状態において、切削液などがセンサモジュール40に触れることが回避されている。充填材15に代えて、または充填材15に加えて、第1凹部18の開口を閉じる蓋部材(図示しない)が本体部10に設置されてもよい。
【0031】
図1を参照して、ひずみセンサ41は、本体部10の長手方向(Y方向)において、第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側に配置されている。本実施の形態においては、ひずみセンサ41を含むセンサモジュール40全体が境界γよりも先端部10A側に配置されている。ひずみセンサ41の全体が境界γよりも先端部10A側に配置されていればよく、配線部42の一部は境界γよりも基端部10B側に配置されていてもよい。
【0032】
(4)旋削工具の工作機械への固定
旋削工具1は、種々の方法で工作機械に対して固定されて使用することができる。旋削工具1は、たとえば工作機械の保持機構であるタレットに以下のような態様で固定される。
図3は、タレットの構造を示す概略斜視図である。
図4は、タレットに旋削工具が保持された状態を示す概略斜視図である。
図3を参照して、工作機械(図示しない)に含まれる保持機構としてのタレット140には、旋削工具1を保持するための溝141が形成されている。タレット140は、底壁142と、底壁142から立ち上がる一対の側壁143とを含んでいる。底壁142および側壁143は、溝141を規定する。旋削工具1は、第1の固定部材150、第2の固定部材160およびねじ169A,169Cを用いてタレット140の溝141内に固定される。
【0033】
具体的には、第1の固定部材150は、台形形状を有する一対の端面155と、それぞれ長方形形状を有し、一対の端面155を繋ぐように一対の端面155に垂直に配置される上面151、底面152、第1の側面153および第2の側面154を含む形状を有している。台形形状を有する端面155の互いに平行な辺のうち、上面151に接続されている辺は、底面152に接続されている辺よりも短い。第2の固定部材160は、台形形状を有する一対の端面165と、それぞれ長方形形状を有し、一対の端面165を繋ぐように一対の端面165に垂直に配置される上面161、底面162、第1の側面163および第2の側面164を含む形状を有している。台形形状を有する端面165の互いに平行な辺のうち、上面161に接続されている辺は、底面162に接続されている辺よりも長い。第2の固定部材160には、上面161から底面162まで貫通するねじ孔165A,165B,165Cが形成されている。
【0034】
図3および
図4を参照して、第1の固定部材150は、底面152がタレット140の底壁142と接触し、かつ第1の側面153がタレット140の側壁143に接触するように配置される。旋削工具1は、第3面10Eがタレット140の底壁142と接触し、かつ第4面10Fがタレット140の側壁143に接触するように配置される。第2の固定部材160は、第1の側面163が第1の固定部材150の第2の側面154と接触し、かつ第2の側面164が旋削工具1の第1面10Cと接触するように配置される。第2の固定部材160は、底面162がタレット140の底壁142に向かい合うように配置される。そして、ねじ169Aおよびねじ169Cが、それぞれ第2の固定部材160のねじ孔165Aおよびねじ孔165Cを貫通し、タレット140の底壁142に形成されたねじ孔(図示しない)に挿入されるように配置される。ねじ169Bは、第2の固定部材160のねじ孔165Bに挿入される。ねじ169Aおよびねじ169Cが締め付けられることにより、第2の固定部材160の底面162とタレット140の底壁142との距離が小さくなる。このようにして第2の固定部材160がシムとして機能し、旋削工具1がタレット140に対して強固に固定される。
【0035】
一方、旋削工具1をタレット140から取り外す際には、ねじ169Bがねじ孔165Bへとねじ込まれる。ねじ169Bは、ねじ孔165Bを貫通し、その先端が底壁142に接触する。ねじ169Bをさらにねじ込むと、底面162と底壁142との距離が大きくなるように第2の固定部材160がタレット140に対して相対的に移動する。これにより、第2の固定部材160を容易に取り外すことができる。第2の固定部材160が取り外されると、タレット140に対する旋削工具1の固定が解除され、旋削工具1をタレット140から容易に取り外すことができる。なお、上記においては、くさび状の形状を有する固定部材を用いて旋削工具1が工作機械の保持機構(タレット140)に対して固定される例について説明したが、旋削工具1の工作機械に対する固定方法はこれに限られない。たとえば旋削工具1は、工作機械の保持機構の一部を貫通するボルトの先端が旋削工具1に接触するようにボルトがねじ込まれることにより固定されてもよいし、このようなボルトの先端と旋削工具1との間に板状の部材が介在し、ボルトの先端が当該板状の部材に接触するようにボルトがねじ込まれることで板状の部材が旋削工具1に押し付けられて固定されてもよい。
【0036】
(5)旋削工具の動作
図1~
図4を参照して、旋削工具1の動作時においては、旋削工具1は、回転する被加工物に切削チップ90にて接触することにより、被加工物を加工する。このとき、本体部10のひずみが、ひずみセンサ41により検知される。ひずみセンサ41が検知するひずみの情報を含む信号は、アナログ信号である。アナログ信号であるひずみの情報は、本体部10に設置されたADコンバータ(図示しない)においてデジタル信号に変換された後、無線通信部(図示しない)へと送信され、外部へと送信される。この信号は、外部において受信され、分析されることにより、旋削工具1の状態が把握される。
【0037】
(6)本実施の形態の効果
本実施の形態の旋削工具1においては、本体部10が、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12を含んでいる。そして、ひずみセンサ41が、本体部10の長手方向(Y方向)において、第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側に配置されている。第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12(突起12A)は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなる。そのため、旋削工具1をタレット140により保持する際には、第2部分12よりも基端部10B側に位置する第1部分11が保持され、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。そうすると、ひずみセンサ41が配置される本体部10の領域は、タレット140により拘束されない。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0038】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図5は、実施の形態2における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図6は、実施の形態2における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図6は、
図5の線分VI-VIに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるX-Z平面における断面)を示している。実施の形態2における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2の旋削工具1は、突起12A、第1凹部18およびセンサモジュール40の配置において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0039】
具体的には、実施の形態2の旋削工具1の突起12Aおよび第1凹部18は、本体部10の第3面10Eに形成されている。そして、センサモジュール40は、第1凹部18内に収容されることにより、本体部10の第3面10Eに配置されている。
【0040】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12(突起12A)は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0041】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図7は、実施の形態3における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図8は、実施の形態3における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図8は、
図7の線分VIII-VIIIに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるX-Z平面における断面)を示している。実施の形態3における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態3の旋削工具1は、突起12A、第1凹部18およびセンサモジュール40の配置において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0042】
具体的には、実施の形態3の旋削工具1の突起12Aおよび第1凹部18は、本体部10の第4面10Fに形成されている。そして、センサモジュール40は、第1凹部18内に収容されることにより、本体部10の第4面10Fに配置されている。
【0043】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12(突起12A)は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0044】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。
図9は、実施の形態4における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図10は、実施の形態4における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図10は、
図9の線分X-Xに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるX-Z平面における断面)を示している。
図9および
図10は、それぞれ実施の形態1の
図1および
図2に対応する図である。実施の形態4における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態4の旋削工具1は、突起12A、第1凹部18およびセンサモジュール40の配置において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0045】
具体的には、実施の形態4の旋削工具1の突起12Aは、本体部10の第1面10C、第3面10Eおよび第4面10Fのそれぞれに形成されている。すなわち、本実施の形態においては、突起12Aは、本体部10を構成する複数の平面部(外周面)である第1面10C、第2面10D、第3面10Eおよび第4面10Fのうち、複数の(3つの)各平面部上に複数(2つずつ)形成されている。第1面10C、第3面10Eおよび第4面10Fにそれぞれ2つずつ形成された突起12Aの間に、第1凹部18が形成されている。第1凹部18は、第1面10C、第3面10Eおよび第4面10Fに形成されている。そして、センサモジュール40は、各第1凹部18内に収容されることにより、本体部10の第1面10C、第3面10Eおよび第4面10Fに配置されている。つまり、本実施の形態においては、複数の(3つの)センサモジュール40が本体部10に配置されている。
【0046】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12(突起12A)は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。また、本実施の形態では、複数の(3つの)センサ41が本体部10の異なる外周面に設置されている。その結果、本体部10におけるひずみの状態をより詳細に把握することができる。
【0047】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。
図11は、実施の形態5における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図12は、実施の形態5における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図12は、
図11の線分XII-XIIに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるX-Z平面における断面)を示している。
図11および
図12は、それぞれ実施の形態1の
図1および
図2に対応する図である。実施の形態5における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態5の旋削工具1は、第2部分12の構造において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0048】
具体的には、実施の形態5の旋削工具1の第2部分12は、第1面10C上に形成され、Y方向に沿って延びる一対の延出部12Cと、延出部12Cから見て第3部分13側に配置され、一対の延出部12Cを接続する接続部12Dとを含んでいる。一対の延出部12Cおよび接続部12Dの厚み(Z方向における高さ)は全域にわたって一定である。接続部12Dは、第3部分13に接続されている。つまり、本実施の形態において、第2部分12は本体部10の長手方向において第3部分13と接続されている。第1凹部18は、一対の延出部12Cに挟まれる領域に形成されている。そして、センサモジュール40は、第1凹部18内に収容されることにより、本体部10の第1面10Cに配置されている。
【0049】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0050】
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。
図13は、実施の形態6における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図14は、実施の形態6における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図14は、
図13の線分XIV-XIVに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるX-Z平面における断面)を示している。
図13および
図14は、それぞれ実施の形態5の
図11および
図12に対応する図である。実施の形態6における旋削工具1は、基本的には実施の形態5の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態6の旋削工具1は、延出部12Cおよび接続部12Dの形状において、実施の形態5の旋削工具1とは異なっている。
【0051】
具体的には、実施の形態6の旋削工具1の接続部12Dの厚み(Z方向における高さ)は、Y方向において第3部分13から離れるにしたがって減少している。一対の延出部12Cの厚み(Z方向における高さ)は、Y方向において第3部分13から離れるにしたがって減少するとともに、X方向において第1凹部18を挟む領域では、厚みが一定となっている。
【0052】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0053】
(実施の形態7)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態7について説明する。
図15は、実施の形態7における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図16および
図17は、実施の形態7における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図16は、
図15の線分XVI-XVIに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるY-Z平面における断面)を示している。
図17は、
図15の線分XVII-XVIIに沿う断面(本体部10の幅方向であるX方向に垂直な断面であるY-Z平面における断面)を示している。実施の形態7における旋削工具1は、基本的には実施の形態1の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態7の旋削工具1は、第2部分12の構造およびひずみセンサ41の設置態様において、実施の形態1の旋削工具1とは異なっている。
【0054】
具体的には、実施の形態7の旋削工具1の第2部分12は、第3部分13に接続されている。第2部分12は、第1部分11に比べてZ方向における厚みが大きいことにより、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい。第2部分12には、Y方向に延びる第1凹部18が形成されている。さらに、本実施の形態においては、第2部分12には、X方向に延びる第2凹部としての溝17が形成されている。溝17は、第1凹部18に交差し、本体部10の第2部分12をX方向に貫通している。第2凹部としての溝17は、第1凹部18よりも深さが大きい。そして、センサモジュール40は、第1凹部18内に収容されている。このとき、ひずみセンサ41は、溝17を跨ぐように配置されている。第1凹部18および溝17は、充填材15により充填されている。
【0055】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0056】
また、本実施の形態では、センサ41が溝17を跨ぐように配置されている。これにより、本実施の形態のように断面積の大きい第2部分12が存在することで本体部10の剛性が大きくなり、ひずみが小さくなった場合でも、溝17の形成により溝17周辺のひずみが増幅されるため、センサ41によるひずみの検知が容易となっている。
【0057】
(実施の形態8)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態8について説明する。
図18は、実施の形態8における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図19は、実施の形態8における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図19は、
図18の線分XIX-XIXに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるY-Z平面における断面)を示している。実施の形態8における旋削工具1は、基本的には実施の形態7の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態8の旋削工具1は、第2部分12の構造およびセンサ41の設置態様において、実施の形態7の旋削工具1とは異なっている。
【0058】
具体的には、実施の形態8においては、実施の形態7の溝17が省略される一方で、一対の第3凹部16が本体部10の外周面である第1面10Cに形成されている。一対の第3凹部16は、本体部10の長手方向であるY方向に垂直な面(X-Z平面)と本体部10の表面とが交差して形成される第2環状線δ上に沿って並べて配置されている。ひずみセンサ41は、第2環状線δ上であって、一対の第3凹部16の間に配置されている。
【0059】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0060】
また、本実施の形態では、センサ41が第3凹部16の間に配置されている。これにより、本実施の形態のように断面積の大きい第2部分12が存在することで本体部10の剛性が大きくなり、ひずみが小さくなった場合でも、第3凹部16の形成により第3凹部16周辺のひずみが増幅されるため、センサ41によるひずみの検知が容易となっている。
【0061】
(実施の形態9)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態9について説明する。
図20は、実施の形態9における旋削工具の構造を示す概略斜視図である。
図21は、実施の形態9における旋削工具の構造を示す概略断面図である。
図21は、
図20の線分XXI-XXIに沿う断面(本体部10の長手方向に対応するY方向に垂直な断面であるY-Z平面における断面)を示している。実施の形態9における旋削工具1は、基本的には実施の形態8の旋削工具1と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態9の旋削工具1は、第3凹部16の形成態様において、実施の形態8とは異なっている。
【0062】
具体的には、実施の形態9においては、第3凹部16が本体部10の外周面である第1面10Cに二対形成されている。ひずみセンサ41は、第3凹部16の間に配置されている。
【0063】
このような構造が採用された場合でも、実施の形態1の場合と同様に、第1部分11よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分12は、工作機械の保持機構であるタレット140による保持の妨げとなり、本体部10の第1部分11と第2部分12との境界γよりも先端部10A側の領域はタレット140により拘束されない状態となる。その結果、ひずみセンサ41により測定されるひずみの値が安定する。このように、本実施の形態の旋削工具1は、測定されるひずみの値を安定させることが可能な旋削工具となっている。
【0064】
また、本実施の形態では、センサ41が第3凹部16の間に配置されている。これにより、実施の形態8の場合と同様に、第3凹部16の形成により第3凹部16周辺のひずみが増幅されるため、センサ41によるひずみの検知が容易となっている。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 旋削工具、10 本体部、10A 先端部、10B 基端部、10C 第1面、10D 第2面、10E 第3面、10F 第4面、10G 第5面、11 第1部分、11A 外縁、12 第2部分、12A 突起、12C 延出部、12D 接続部、13 第3部分、15 充填材、16 第3凹部、17 溝、18 第1凹部、40 センサモジュール、41 ひずみセンサ、42 配線部、81 敷板、82 固定部、90 切削チップ、140 タレット、141 溝、142 底壁、143 側壁、150 第1の固定部材、151 上面、152 底面、153 第1の側面、154 第2の側面、155 端面、160 第2の固定部材、161 上面、162 底面、163 第1の側面、164 第2の側面、165 端面、165A ねじ孔、165B ねじ孔、165C ねじ孔、169A ねじ、169B ねじ、169C ねじ、α 面、β 第1環状線、γ 境界、δ 第2環状線。
【要約】
旋削工具は、切削チップが保持される先端部と、先端部とは長手方向において反対側の端部である基端部とを有する棒状の本体部と、本体部に設置されるひずみセンサと、を備える。本体部は、基端部を含む第1部分と、基端部から長手方向において離れた位置に第1部分と連なって形成され、第1部分よりも長手方向に垂直な断面積が大きい第2部分と、を含む。ひずみセンサは、本体部の長手方向において、第1部分と第2部分との境界よりも先端部側に配置される。