(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ及びノイズ除去方法
(51)【国際特許分類】
H03H 7/01 20060101AFI20241217BHJP
H03H 7/09 20060101ALI20241217BHJP
H02J 3/01 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H03H7/01 A
H03H7/09 A
H02J3/01
(21)【出願番号】P 2024538406
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2022034191
(87)【国際公開番号】W WO2024057395
(87)【国際公開日】2024-03-21
【審査請求日】2024-06-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】萩原 開人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 喬太
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 健二
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-223422(JP,A)
【文献】特開平05-045399(JP,A)
【文献】特開2009-164998(JP,A)
【文献】特開2012-182956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/00- 7/13
H02J 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷とを電気的に接続する電源線に設けられ、
オン状態であるときは前記電源と前記負荷とを電気的に接続し、オフ状態であるときは前記電源と前記負荷とを電気的に遮断するスイッチング素子と、
前記電源線に印加される周期的なインパルスノイズを検出するセンサと、
第1のインパルスノイズを検出してから第2のインパルスノイズを検出するまでの時間に相当する時間が、前記第2のインパルスノイズを検出してから経過した場合、前記スイッチング素子をオフ
状態とさせ
、前記第2のインパルスノイズを検出してから前記時間が経過した後、予め設定された開放時間が経過した場合、前記スイッチング素子をオン状態とさせる制御部と、
を備えたノイズフィルタ。
【請求項2】
前記スイッチング素子と前記負荷との間の前記電源線に設けられ、
前記スイッチング素子がオフであるときに、前記負荷に電力を供給する給電回路を備えた
請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項3】
前記センサは、前記第1のインパルスノイズに連続した前記第2のインパルスノイズを検出する
請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、スイッチングダイオードである
請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項5】
前記センサは、電圧センサまたは電流センサである
請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項6】
前記給電回路は、コンデンサである
請求項2に記載のノイズフィルタ。
【請求項7】
前記センサは、前記第1のインパルスノイズを検出すると、前記第1のインパルスノイズに対応する第1の信号を前記制御部に送信し、前記第2のインパルスノイズを検出すると、前記第2のインパルスノイズに対応する第2の信号を前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記第2の信号を受信した時間から前記第1の信号と前記第2の信号を受信した時間の差が経過した時間に前記スイッチング素子をオフ
状態とさせ、
前記時間が経過した後、前記開放時間が経過した場合、前記スイッチング素子をオン状態とさせる制御を行う
請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項8】
前記電源と前記スイッチング素子の間の前記電源線に設けられ、前記電源から供給される三相交流を直流に整流して出力するダイオードブリッジを更に備えた
請求項1に記載のノイズフィルタ。
【請求項9】
電源と負荷とを電気的に接続する電源線に印加される周期的なインパルスノイズをセンサが検出するステップと、
前記センサが、第1のインパルスノイズを検出すると、前記第1のインパルスノイズに対応する第1の信号を制御部に送信するステップと、
前記センサが、第2のインパルスノイズを検出すると、前記第2のインパルスノイズに対応する第2の信号を前記制御部に送信するステップと、
前記制御部が、前記第1の信号を受信してから前記第2の信号を受信するまでの時間差を算出するステップと、
前記制御部が、前記第2の信号を受信してから前記時間差が経過したかを判断するステップと、
前記第2の信号を受信してから前記時間差が経過した場合は、
オン状態であるときは前記電源と前記負荷とを電気的に接続し、オフ状態であるときは前記電源と前記負荷とを電気的に遮断するスイッチング素子に対して、前記制御部がオフ
状態とさせる制御を行うステップと、
前記第2のインパルスノイズを検出してから前記時間差が経過した後、予め設定された開放時間が経過した場合、前記スイッチング素子に対して、前記制御部がオン状態とさせる制御を行うステップと、
を備えるノイズ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、周期的なインパルスノイズに対するフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、例えば特許文献1には、サージ電圧により発生したインパルスノイズや適応しない電源が供給された場合の保護動作を行う電源回路が記載されている。特許文献1の電源回路では、過電圧検知回路の監視対象となる交流の伝送ラインと過電圧検知回路との間に、例えばコイルとコンデンサを備えたローパスフィルタを介挿し、このローパスフィルタによりインパルスノイズを除去している。また、この電源回路は、適応しない電源が供給された場合の過電圧を過電圧検知回路が検知した場合に、伝送ラインを電気的に切断する過電流保護回路を備えている。過電流保護回路は、伝送ラインに流れる過電流により溶断するヒューズにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電源回路では、コイルとコンデンサにより構成されるローパスフィルタによってインパルスノイズを除去している。しかし、コンデンサは急速な電圧の変化に対応できず、一部のインパルスノイズがフィルタ後段の負荷へ流れてしまう可能性があり、コイルのコアは磁気飽和することで対策効果が失われる可能性がある。また、仮に、除去しきれなかったインパルスノイズを遮断するために過電流保護回路としてのヒューズを適用して、伝送ラインを電気的に切断した場合、新たなヒューズを装着するまで断線したままであり、負荷を継続的に動作させることが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るノイズフィルタは、電源と負荷とを電気的に接続する電源線に設けられ、オン状態であるときは前記電源と前記負荷とを電気的に接続し、オフ状態であるときは前記電源と前記負荷とを電気的に遮断するスイッチング素子と、電源線に印加される周期的なインパルスノイズを検出するセンサと、第1のインパルスノイズを検出してから第2のインパルスノイズを検出するまでの時間に相当する時間が、第2のインパルスノイズを検出してから経過した場合、スイッチング素子をオフ状態とさせ、前記第2のインパルスノイズを検出してから前記時間が経過した後、予め設定された開放時間が経過した場合、前記スイッチング素子をオン状態とさせる制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本開示のノイズフィルタは、第1のインパルスノイズを検出してから第2のインパルスノイズを検出するまでの時間に相当する時間が、第2のインパルスノイズを検出してから経過した場合、スイッチング素子をオフさせる制御部を備えており、電源と負荷とをヒューズの溶断による遮断を行わずに、インパルスノイズの到達に合わせて電源と回路を遮断するため、負荷の継続的な動作を妨げることなく、インパルスノイズが負荷へ流れてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるノイズフィルタの構成図
【
図3】実施の形態1におけるノイズフィルタの適用前における電源線及び負荷にかかる電圧の変化を示したタイミングチャート
【
図4】実施の形態1におけるノイズフィルタの適用後におけるノイズフィルタの構成要素の動作と電源線及び負荷にかかる電圧の変化とを示したタイミングチャート
【
図5】実施の形態1における制御部の動作を表すフローチャート
【
図7】実施の形態1の変形例におけるノイズフィルタの構成図
【
図8】実施の形態1の変形例におけるノイズフィルタの適用後におけるノイズフィルタの構成要素の動作と電源線及び負荷にかかる電圧の変化及びスイッチング素子の開放時間と電源線間電圧の関係図
【
図9】実施の形態2におけるノイズフィルタの構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の構成を示す図である。実施の形態1では、ノイズフィルタ3を単相の電源線4に適用した場合について説明する。ノイズフィルタ3は、
図1に示すように、電源1と、負荷2との間に設けられている。電源1は、負荷2に対して電力を供給する。負荷2は、電源1から電源線4を介して電力が供給され、供給された電力により駆動する。負荷2は、1つ以上の回路素子から構成されている。電源線4は、電源1と負荷2を電気的に接続する。電源線4は、第1の電源線41と第2の電源線42の2線からなる。なお、第1の電源線41と第2の電源線42を分けて説明する必要がない場合には、これ以降、単に電源線4と記載する。実施の形態1では、電源線4がインパルスノイズの伝搬経路となる場合について説明する。
【0009】
ノイズフィルタ3は、
図1に示すように、スイッチング素子31と、センサ32と、制御部33とを備えている。ノイズフィルタ3は、負荷2をインパルスノイズから保護するために、電源線4に設けられている。
【0010】
スイッチング素子31は、電源線4において、負荷2よりも電源1に近い位置に設けられている。スイッチング素子31は、第1のスイッチング素子311と第2のスイッチング素子312との2つからなる。第1のスイッチング素子311は、第1の電源線41に設けられている。第2のスイッチング素子312は、第2の電源線42に設けられている。これ以降、第1のスイッチング素子311と第2のスイッチング素子312が同じ動作を行う場合の説明については、スイッチング素子31と記載する。
【0011】
なお、例えば、第1のスイッチング素子311のみ動作させ、第2のスイッチング素子312を動作させない場合、第2の電源線42を介してインパルスノイズが伝搬してしまう可能性がある。そのため、インパルスノイズの伝搬を防ぐために、本実施の形態では、第1のスイッチング素子311と第2のスイッチング素子312とを同時に動作させることとする。
【0012】
スイッチング素子31は、オンオフ動作により電源1と負荷2との電気的な接続または遮断を切り替える。スイッチング素子31は、オン状態であるときは電源1と負荷2とを電気的に接続し、オフ状態であるときは電源1と負荷2とを電気的に遮断する。スイッチング素子31は、詳細は後述するが、制御部33によってオンオフ動作が制御される。スイッチング素子31は、例えば、スイッチングダイオードなどである。また、スイッチング素子31は、ノイズフィルタ3用に別途設けることに限られず、DC-DCコンバータ等のスイッチング電源の回路内のスイッチング素子を代用してもよい。
【0013】
センサ32は、電源線4において、スイッチング素子31よりも電源1に近い位置に設けられている。センサ32は、例えば、電源線4にかかる電圧を測定する電圧センサである。センサ32は、電圧の測定値が所定値以上のとき、これをインパルスノイズとして検出する。
図2を用いて、本実施の形態で扱うインパルスノイズについて説明する。
図2は、インパルスノイズの周期性を示した模式図である。
図2(a)は、バーストの非周期性について示した模式図である。バーストとは、数十回分程度のインパルスノイズの束をいう。
図2(a)に示すように、バーストは非周期的に到来する。
【0014】
図2(b)は、バーストに含まれる複数のインパルスノイズの周期性について示した模式図である。
図2(b)に示すように、ある1つのバーストに含まれる複数のインパルスノイズは、ある程度周期的に到来する。実施の形態1では、このようなインパルスノイズのことを周期的なインパルスノイズと呼ぶ。周期的なインパルスノイズとは、具体的には、1つ目のインパルスノイズが到達してから2つ目のインパルスノイズが到達するまでの時間の差と、2つ目のインパルスノイズが到達してから3つ目のインパルスノイズが到達するまでの時間の差とがほぼ等しいものをいう。すなわち、バーストに含まれる複数のインパルスノイズが到来する時間の差は、それぞれほぼ等しい。
【0015】
図2(c)は、1つのインパルスノイズの電圧波形について示した模式図である。
図2(c)に示すように、インパルスノイズは、例えば、負荷2の外部で発生し、電源線4を伝搬する電気的なノイズであり、電圧の最大値を100%としたときに、10%から90%まで数nsで立ち上がるような電圧波形となるものをいう。インパルスノイズは、例えば、この数nsの立ち上がり時間の間にセンサ32によって検出される。
【0016】
なお、センサ32は、電圧センサだけではなく、電流センサであってもよいし、電界センサや磁界センサでもよい。センサ32は、インパルスノイズを検出すると、制御部33に検出結果を送信する。センサ32は、検出結果として、例えば、センサ信号を制御部33へ送信する。
【0017】
図1に示すように、制御部33は、スイッチング素子31のオンオフ動作を制御する。制御部33は、スイッチング素子31とセンサ32とに電気的に接続されている。制御部33は、例えば、CPUとメモリで構成された基板または装置である。この場合、制御部33は、メモリに格納されているプログラムをCPUが読み出して実行することで、動作する。制御部33は、スイッチング素子31のオンオフ動作を制御するための信号として、例えば、ゲート信号を出力する。ゲート信号は、デジタル信号またはアナログ信号のどちらでもよく、スイッチング素子31の駆動方式にあわせて選択される。ここでは、ゲート信号がデジタル信号である場合について説明する。
【0018】
次に、ノイズフィルタ3の動作について説明する。
図3は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用前における電源線4及び負荷2にかかる電圧の変化を示したタイミングチャートである。
図3(a)は、実施の形態1におけるノイズフィルタの適用前における電源線4にかかる電圧の変化を示している。周期的なインパルスノイズが電源線4に伝搬するとき、
図3(a)に示すように、電源線4のコモンモード電圧には、インパルスノイズの電圧が重畳される。ここで、コモンモードとは、第1の電源線41と第2の電源線42にかかる電圧の基準が接地である場合をいう。実施の形態1では、第1の電源線41と第2の電源線42にかかる電圧の波形が同位相である場合について説明する。
図3(a)では、周期的なインパルスノイズが電源線4に4つ到来していることを示している。インパルスノイズは、到来する順に第1のインパルスノイズ、第2のインパルスノイズ、第3のインパルスノイズ、第4のインパルスノイズとする。第2のインパルスノイズは、第1のインパルスノイズに連続してセンサ32に検出される。同様に、第3のインパルスノイズは第2のインパルスノイズに連続してセンサ32に検出され、第4のインパルスノイズは第3のインパルスノイズに連続してセンサ32に検出される。
【0019】
図3(b)は、実施の形態1におけるノイズフィルタの適用前における負荷2にかかる電圧の変化を示している。
図3(b)では、インパルスノイズの電圧が負荷2のコモンモード電圧に重畳される例について図示している。
図3(b)からわかるように、ノイズフィルタ3を適用しない場合、インパルスノイズが負荷2へ伝搬してしまう。
【0020】
図4は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用後におけるノイズフィルタ3の構成要素の動作と電源線4及び負荷2にかかる電圧の変化とを示したタイミングチャートである。
図4(a)は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用後における電源線4にかかる電圧の変化を示している。周期的なインパルスノイズが電源線4に伝搬するとき、
図4(a)に示されるように、インパルスノイズの電圧が電源線4のコモンモード電圧に重畳される。
図4(a)でも、
図3(a)と同様に、第1から第4のインパルスノイズが電源線4に到来していることを示している。
【0021】
図4(b)は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用後におけるセンサ32の動作を示している。
図4(b)では、センサ32がインパルスノイズを検出すると、制御部33にセンサ信号を送信することを図示している。センサ32は、第1のインパルスノイズを検出すると、これに対応するセンサ信号として第1の信号を制御部33に送信する。同様に、センサ32は、第2、第3、第4のインパルスノイズを検出すると、センサ信号として第2、第3、第4の信号を制御部33に送信する。
【0022】
図4(c)は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用後における制御部33の動作を示している。
図4(c)では、インパルスノイズが到達する時間に合わせて、制御部33がゲート信号をスイッチング素子31に送信することを図示している。制御部33は、センサ信号を受信した時間から、それぞれのインパルスノイズが到達した時間の差である時間差ΔT12、ΔT23、ΔT34を計算する。ここで、時間差ΔT12は、第1のインパルスノイズを検出してから第2のインパルスノイズを検出するまでの時間に相当する、第1と第2のインパルスノイズが到達した時間の差である。同様に、時間差ΔT23は第2と第3のインパルスノイズが到達した時間の差であり、時間差ΔT34は第3と第4のインパルスノイズが到達した時間の差である。第2のインパルスノイズが到達した時間から時間差ΔT12が経過すると、制御部33は、スイッチング素子31にゲート信号=1を送信する。ゲート信号=1を受信すると、スイッチング素子31はオフ状態となる。スイッチング素子31がオフ状態になると、スイッチング素子31が設けられた箇所において電源線4が電気的に遮断された状態となるため、負荷2は電源1から電気的に遮断されることになる。
【0023】
図4(d)は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用後におけるスイッチング素子31の動作を示している。
図4(d)では、
図4(c)で制御部33からスイッチング素子31に送信されたゲート信号に合わせて、スイッチング素子31が電源1と負荷2との電気的な接続と遮断を行うことが図示されている。
【0024】
制御部33は、時間差ΔT12の経過後、更に開放時間Toffが経過すると、ゲート信号=0をスイッチング素子31に送信する。開放時間Toffとは、負荷2を電源1から電気的に遮断する時間のことである。開放時間Toffの長さは、例えば数百ナノ秒である。ゲート信号=0を受信すると、スイッチング素子31はオン状態となる。スイッチング素子31がオン状態になると、スイッチング素子31が設けられた箇所において電源線4が電気的に接続された状態となるため、負荷2は電源1と電気的に接続されることになる。
【0025】
制御部33は、第3のインパルスノイズが到達する時間から時間差ΔT23が経過した後においてと、第4のインパルスノイズが到達する時間から時間差ΔT34が経過した後においても、第2のインパルスノイズが到達する時間から時間差ΔT12が経過した後と同様の動作を行う。このように、制御部33が連続したインパルスノイズに対してそれぞれ動作を行うので、ノイズフィルタ3は第3のインパルスノイズ以降のインパルスノイズを取りこぼすことなく除去することができる。
【0026】
制御部33は、第4のインパルスノイズが到達する時間から時間差ΔT34が経過した後において、更に開放時間Toffが経過する間にセンサ32からのセンサ信号を受信しなかった場合、開放時間Toffが経過してから更に待機時間Twait待機する。制御部33は、待機時間Twaitの間にセンサ32からのセンサ信号を受信しなかった場合は、バーストの到来が終了したと判断し、センサ32からセンサ信号の受信を待つ状態に戻る。制御部33は、待機時間Twaitの間にセンサ32からのセンサ信号を受信した場合は、
図4(c)での動作を繰り返す。ここで、待機時間Twaitは、開放時間Toffに比べて十分長い時間であればよく、例えば、数秒である。
【0027】
図4(e)は、実施の形態1におけるノイズフィルタ3の適用後における負荷2にかかる電圧の変化を示している。
図4(e)では、負荷2にかかるコモンモード電圧に、第3のインパルスノイズと第4のインパルスノイズの電圧が重畳されなかったことを図示している。上述したように、制御部33は、インパルスノイズが到達する時間にあわせてスイッチング素子31のオンオフ動作の制御を行う。そして、スイッチング素子31が、インパルスノイズが到達する時間にあわせて負荷2を電源1から電気的に遮断することにより、インパルスノイズから負荷2を保護することができる。
【0028】
次に、インパルスノイズから負荷2を保護するための制御部33の動作について、
図5を参照しながら詳細に説明する。
図5は制御部33の動作を表すフローチャートである。制御部33は、定常状態となると、動作を開始する。ここで、定常状態とは、制御部33がセンサ32から第1の信号の受信を待つ状態のことをいう。また、後述する待機時間Twaitの間に制御部33がセンサ信号を受信せずに第1の信号の受信を待つ状態となる場合を含む。ステップS11において、制御部33は、スイッチング素子31にゲート信号=0を送信する。制御部33は、ステップS12において、センサ32から第1の信号を受信しない場合、センサ32からセンサ信号を受信するまで待機する。ステップS12において、制御部33がセンサ32から第1の信号を受信すると、ステップS13に進む。ステップS13において、制御部33は、センサ32から第2の信号を受信しない場合、センサ32からセンサ信号を受信するまで待機する。ステップS13において、制御部33がセンサ32から第2の信号を受信すると、ステップS14に進む。
【0029】
ステップS14において、制御部33は、第1の信号を受信してから第2の信号を受信するまでの時間差ΔT12を計算する。例えば、時間差ΔT12は、第1の信号を受信した時間をT1、第2の信号を受信した時間をT2とすると、以下の式(1)で求めることができる。
ΔT12=T2―T1・・・(1)
【0030】
また、制御部33は、計算した時間差ΔT12を用いて第3のインパルスノイズが到達する時間T’3を予測する。時間T’3は、以下の式(2)で求めることができる。なお、インパルスノイズが到達すると予測する時間には「’」を付して、実際にセンサ信号を受信する時間とは区別するものとする。
T’3=T2+ΔT12・・・(2)
【0031】
ステップS15において、制御部33がセンサ32から新たなセンサ信号を受信していない場合、ステップS16に進む。ステップS16において、時間T2から時間差ΔT12が経過していない場合、ステップS15に戻る。ステップS15とステップS16とを繰り返すことで、制御部33は、時間差ΔT12が経過するまでの間にインパルスノイズが到達したかどうかを監視する。ステップS16において、時間T2から時間差ΔT12が経過した場合、ステップS18に進む。
【0032】
ステップS15において、センサ32から第3の信号を受信した場合、時間差ΔT12が経過するまでの間に第3のインパルスノイズが到達したと判断することができる。この場合、ステップS14に戻り、再度のステップS14において、制御部33は、上記式(1)と同様に、第2の信号を受信してから第3の信号を受信するまでの時間差ΔT23を計算する。また、制御部33は、上記式(2)と同様に、計算した時間差ΔT23を用いて第4のインパルスノイズが到達する時間T’4を予測する。
【0033】
ここで、ステップS14の動作を繰り返す場合について、一般化して説明する。まず、ステップS14において、nが2以上の整数である場合において、第n-1の信号を受信してから第nの信号を受信するまでの時間差ΔT(n-1)(n)を算出する。そして、第nの信号を受信した時間に、時間差ΔT(n-1)(n)を加算することで、第n+1のインパルスノイズが到達する時間T’(n+1)を算出する。
【0034】
次に、ステップS15において、センサ32からセンサ信号を受信すると、ステップS14に戻る。そして、制御部33は、nに代入する整数を1だけ増加させたうえで、第n-1の信号を受信してから第nの信号を受信するまでの時間差ΔT(n-1)(n)を求める。制御部33は、計算した時間差ΔT(n-1)(n)を用いて次の第n+1のインパルスノイズが到達する時間T’(n+1)を予測する。
【0035】
このように、ステップS14で予測した第n+1のインパルスノイズが到達する時間T’(n+1)よりも前に次のインパルスノイズが到達した場合、制御部33は、ステップS15において、そのインパルスノイズに対応するセンサ信号を受信する。再度のステップS14において、制御部33は、nに代入する整数を1だけ増加させたうえで、第n-1の信号を受信してから第nの信号を受信するまでの時間差ΔT(n-1)(n)を用いて、再度第n+1のインパルスノイズが到達する時間T’(n+1)を予測し直す。以後、ステップ14へ戻る毎に、制御部33は同様の動作を繰り返し、そのたびnに代入する整数は1ずつ増加させる。
【0036】
なお、開放時間Toffを予め適切な長さに設定しておくことで、第n+1のインパルスノイズの到達が、予測した時間T’(n+1)より多少遅れても、第n+1のインパルスノイズが電源線4を伝搬経路として負荷2へ伝搬してしまうことを防ぐことができる。よって、第n+1のインパルスノイズの到達が多少遅れても、時間T’(n+1)を予測し直す必要がなくなる。また、開放時間Toffは、例えば、予め設定されて制御部33のメモリに保存されている。
【0037】
ステップS16において、時間T’(n+1)が経過していない場合、ステップS15に戻る。ステップS15とステップS16とを繰り返すことで、制御部33は、時間T’(n+1)が経過するまでの間にインパルスノイズが到達したかどうかを監視する。ステップS16において、時間T’(n+1)が経過した場合、ステップS17に進む。ステップS17において、制御部33は、スイッチング素子31にゲート信号=1を送信する。スイッチング素子31は、ゲート信号1を受信すると、開放時間Toffだけオフ状態となる。負荷2は、スイッチング素子31がオフ状態となることにより、インパルスノイズが伝搬する電源線4から遮断されることとなる。
【0038】
ステップS18において、制御部33は、第n+1のインパルスノイズが到達すると予測した時間T’(n+1)から開放時間Toffが経過していない場合、開放時間Toffが経過するまで待機する。
【0039】
ステップS18において、開放時間Toffが経過すると、ステップS19に進む。
【0040】
ステップS19において、制御部33は、ゲート信号=0をスイッチング素子31に送信する。
【0041】
ステップS20において、制御部33が、第n+1のインパルスノイズが到達すると予測した時間T’(n+1)から開放時間Toffが経過するまでの間にセンサ32からセンサ信号を受信していない場合、ステップS21に進む。ステップS20において、制御部33が、開放時間Toffが経過するまでの間にセンサ32からセンサ信号を受信した場合、予測した時間に第n+1のインパルスノイズが到達したと判断することができる。この場合、ステップS14に戻る。
【0042】
ステップS21において、開放時間Toffからさらに待機時間Twaitが経過する間に制御部33がセンサ32からセンサ信号を受信していない場合、ステップS22に進む。ステップS21において、開放時間Toffからさらに待機時間Twaitが経過する間に制御部33がセンサ32からセンサ信号を受信した場合、待機時間Twaitが経過するまでの間に新たなインパルスノイズが到達したと判断することができる。新たなインパルスノイズとは、例えば、遅れてきた第5のインパルスノイズである。この場合、ステップS14に戻る。ステップS21とステップS22とを繰り返すことで、制御部33は、待機時間Twaitが経過するまでの間にインパルスノイズが到達したかどうかを監視する。
【0043】
ステップS22において、待機時間Twaitが経過した場合は、ステップS23に進む。ステップS23において、制御部33は定常状態となり、周期的なインパルスノイズで構成された1つのバーストに対するノイズ除去のための動作を終了する。
【0044】
次に、制御部33の状態遷移について説明する。
図6は、制御部33の状態遷移図である。状態遷移図とは、制御部33の複数の状態を四角の中にそれぞれ記載し、矢印で状態の遷移を表し、矢印の近くには状態が遷移したきっかけとなる情報を記載したものである。
【0045】
図6の状態1において、制御部33は、定常状態である。制御部33が定常状態となったとき、制御部33は、ゲート信号=0をスイッチング素子31に送信する。定常状態において、制御部33は、センサ32からのセンサ信号を待つ。制御部33は、センサ32から第1の信号を受信すると、状態2に遷移する。このとき、制御部33は、第1の信号を受信した時間T1を、例えば、メモリに記録する。
図4の状態2において、制御部33は、第2の信号を待つ状態となる。制御部33は、センサ32から第2の信号を受信すると、状態3に遷移する。
【0046】
状態3において、センサ32から第1の信号と第2の信号を受信すると、制御部33は、第1の信号を受信してから第2の信号を受信するまでの時間差ΔT12を計算する。制御部33は、この時間差ΔT12を第2の信号を受信した時間T2に加算して、時間T’3を算出する。時間T’3とは、第3のインパルスノイズが到達することが予測される時間のことである。そして、制御部33は、時間T’3を算出すると、状態4に遷移する。
【0047】
状態4において、制御部33は、予測した時間T’3になるまで待機する。予測した時間T’3になる前にセンサ32から第3の信号を受信した場合、制御部33は、状態3に遷移する。
【0048】
状態4から状態3に遷移すると、制御部33は、第2の信号を受信してから第3の信号を受信するまでの時間差ΔT23を計算する。制御部33は、第3の信号を受信した時間T3に時間差ΔT23を加算して、時間T’4を算出し、再度状態4に遷移する。時間T’4とは、第4のインパルスノイズが到達することが予測される時間のことである。再度の状態4において、制御部33は、時間T’4になるまで待機する。制御部33は、時間T’4となる前にセンサ信号を受信した場合、再び状態3に遷移する。
【0049】
状態3と状態4の遷移について一般化して説明する。まず、状態3で時間差ΔT(n-1)(n)を計算し、これを用いて第n+1のインパルスノイズが到達すると予測した時間T’(n+1)を算出する。なお、nは2以上の整数である。状態4に遷移して、予測した到達時間T’(n+1)となる前にセンサ信号を受信すると、状態3に遷移する。そして、制御部33は、nに代入する整数を1だけ増加させたうえで、第n-1の信号を受信してから第nの信号を受信するまでの時間差ΔT(n-1)(n)を計算する。制御部33は、時間T(n)に時間差ΔT(n-1)(n)を加算して、第n+1のインパルスノイズが到達する時間である時間T’(n+1)を再度算出し直す。以後、状態3へ遷移する毎に、制御部33は同様の動作を繰り返し、そのたびにnに代入する整数を1ずつ増加させる。時間T’(n+1)まで待機している間にセンサ32からセンサ信号を受信せず、時間T’(n+1)となった場合、制御部33は、ゲート信号=1を出力して状態5へ遷移する。ゲート信号=1を受信することで、スイッチング素子31はオフ状態となる。なお、状態5から状態3へ遷移したときの動作と、状態6から状態3へ遷移したときの動作は、状態4から状態3へ遷移したときの動作と同様である。
【0050】
状態5において、制御部33は、第n+1のインパルスノイズが到達すると予測した時間T’(n+1)から開放時間Toffが経過するまでの間、センサ32からのセンサ信号を待つ。
【0051】
時間T’(n+1)から開放時間Toffが経過するまでの間にセンサ信号を受信した場合、制御部33は、開放時間Toffの経過後にゲート信号=0を出力して状態3へ遷移する。状態3において、制御部33は、nに代入する整数を1だけ増加させたうえで、第n-1の信号を受信してから第nの信号を受信するまでの時間差ΔT(n-1)(n)を計算し、これを用いて更に次の第n+1の信号が到来する時間T’(n+1)を算出する。
【0052】
時間T’(n+1)から開放時間Toffが経過するまでの間にセンサ信号を受信しなかった場合、制御部33は、開放時間Toffの経過後にゲート信号=0を出力して状態6へ遷移する。
【0053】
状態6において、制御部33は、開放時間Toffが経過して、更に待機時間Twaitが経過するまでの間、センサ信号の受信を待つ。待機時間Twaitが経過するまでの間にセンサ信号を受信した場合、制御部33は、状態3へ遷移する。状態3において、制御部33は、nに代入する整数を1だけ増加させたうえで、第n-1の信号と第nの信号の受信時間の差から第n+1の信号が到来する時間T’(n+1)を予測する。待機時間Twaitの間にセンサ信号を受信しなかった場合、制御部33は、状態1へ遷移し、定常状態に戻る。状態1における制御部33の動作は、前述した動作と同様の動作を行う。
【0054】
実施の形態1のノイズフィルタ3は、センサ32が電源線4に印加される周期的なインパルスノイズを検出してセンサ信号を制御部33に送信し、第1のインパルスノイズを検出してから第2のインパルスノイズを検出するまでの時間に相当する時間が、第2のインパルスノイズを検出してから経過した場合、スイッチング素子31をオフさせる制御部33を備えており、インパルスノイズの到達に合わせて電源1と負荷2を電気的に遮断する。このため、実施の形態1のノイズフィルタ3は、負荷2の継続的な動作を妨げることなく、インパルスノイズが負荷2へ流れてしまうことを防ぐことができる。
【0055】
なお、実施の形態1では、電源線4が2線である場合について説明したが、電源線4は3線以上であってもよい。この場合、スイッチング素子31はそれぞれの電源線4に設ければよいので、電源線4の本数に応じたスイッチング素子31を用意すればよい。
【0056】
また、実施の形態1では、センサ32は電源線41及び電源線42に設けた場合について説明した。しかし、センサ32の配置は、電源線4に印加されるインパルスノイズを検出できる配置であればどこでもよい。例えば、センサ32は、インパルスノイズを除去する働きを持つコンデンサに直列に接続する配置としても良い。このようなコンデンサの例としては、例えば、電源ラインとグラウンドとの間に接続されるYコンデンサがある。
【0057】
変形例として、ノイズフィルタ3は、負荷2が電源1から電気的に遮断された際に、負荷2に電力を供給する給電回路5を備えてもよい。ここで、負荷2としては、例えば、数nsでも電気的に遮断されると動作をできなくなる精密機器などの回路を用いる場合を想定する。この場合、負荷2は、ノーマルモード電圧がかかっていることで動作する。負荷2は、開放時間Toffの間であっても電源1から電気的に遮断されると、すなわち、負荷2にかかるノーマルモード電圧が一定値以下となると、動作を継続できなくなる。ここで、ノーマルモード電圧とは、第1の電源線41と第2の電源線42の間の電圧をいう。
【0058】
図7は、実施の形態1の変形例におけるノイズフィルタの構成図である。給電回路5は、
図7に示すように、スイッチング素子31と負荷2との間の電源線4に設けられている。給電回路5は、スイッチング素子31がオフ状態である場合に、負荷2に電力を供給する。給電回路5は、例えば、コンデンサなどである。給電回路5として用いるコンデンサの数はいくつであってもよく、制限はない。また、給電回路5は、瞬間停電対策や電流の平滑化のために設けられたコンデンサを利用してもよい。
【0059】
給電回路5としてコンデンサを用いる場合、負荷2に供給される電力には、コンデンサの容量値と負荷2の消費電力に依存した電圧降下が生じる。そのため、負荷2の動作を継続させるために必要なコンデンサの容量値は、負荷2の消費電力とスイッチング素子31がオフ状態となる開放時間Toffの長さから算出する。
【0060】
図8は、ノイズフィルタ3の適用後におけるノイズフィルタ3の構成要素の動作と電源線及び負荷にかかる電圧の変化及びスイッチング素子31の開放時間Toffと、第1の電源線41と第2の電源線42との間にかかる電圧である電源線間電圧Vnとの関係を示した図である。
図8上部の(a)から(e)は
図4の(a)から(e)と同じである。
図8(f)は、変形例におけるノイズフィルタ3の適用後における負荷2にかかるノーマルモード電圧の変化を示している。スイッチング素子31が電源1と負荷2との電気的な接続と遮断を行う時間に、ノーマルモード電圧が変化する。
【0061】
スイッチング素子31をオフ状態とすると、負荷2は、電源1からの電力供給が遮断される。このため、負荷2には、給電回路5として用いたコンデンサから電力が供給される。この場合、
図8(g)に示すように、電源線間電圧Vnは、コンデンサの放電に伴って、時間の経過に応じて低下する。従って、負荷2の動作を継続させるために、コンデンサは、負荷2の消費電力とスイッチング素子31がオフ状態となる開放時間Toffの長さから計算した十分な容量があるものを選定すればよい。
【0062】
なお、電源1を上流側とし、負荷2を下流側とすると、上流側から電源1、センサ32、制御部33、スイッチング素子31、給電回路5、負荷2の順に電気的に接続されていればよい。それぞれの回路や素子の間に他の回路や素子であるダイオードブリッジ、DC-DCコンバータ、他のフィルタまたは入出力の保護回路などを配置してもよい。
【0063】
変形例によれば、本願のノイズフィルタ3は、負荷2が電源1から電気的に遮断された際に、負荷2に電力を供給する給電回路5を設けたので、負荷2が、数nsでも電気的に遮断されると動作できなくなるような精密機器に搭載される回路の場合であっても、負荷2を継続的に動作させることができる。
【0064】
実施の形態2.
実施の形態1では、電源線4の数だけスイッチング素子31が必要である場合について述べた。本実施の形態では、電源線4が3線以上で、電源1とスイッチング素子31の間の電源線4にダイオードブリッジ6を設けた場合について述べる。ダイオードブリッジ6の下流にスイッチング素子31を配置することで、電源線4が3線以上であっても、2つのスイッチング素子で構成することができる。なお、実施の形態2のノイズフィルタ3は、実施の形態1またはその変形例のノイズフィルタ3と共通している部分がほとんどである。そのため、以下においては、実施の形態1またはその変形例のノイズフィルタ3との相違点を中心に説明することとし、実施の形態1またはその変形例のノイズフィルタ3と共通する構成等については適宜説明を省略する。
【0065】
図9は、実施の形態2におけるノイズフィルタ3の構成図を示したものである。本実施の形態2では、電源線4が三相交流用であり、かつ電源線4を流れる電流をダイオードブリッジ6で整流している場合に適用した例について説明する。電源線4は、ダイオードブリッジ6よりも電源1に近い位置に設けられた第1の電源線401、第2の電源線402、第3の電源線403からなる。また、ダイオードブリッジ6よりも負荷2に近い位置に設けられた電源線7は、第1の電源線701、及び第2の電源線702からなる。第1の電源線401、第2の電源線402、第3の電源線403は、電源1とダイオードブリッジ6を電気的に接続する。第1の電源線701、第2の電源線702は、ダイオードブリッジ6と負荷2とを電気的に接続する。なお、第1の電源線701と第2の電源線702を分けて説明する必要がない場合には、これ以降、単に電源線7と記載する。ダイオードブリッジ6は、電源1から供給される三相交流を直流に整流して出力する。このため、ダイオードブリッジ6は3線の入力を2線で出力することとなる
【0066】
本実施の形態2で説明する構成は、電源線4が三相交流用であり、ダイオードブリッジ6を設けた構成以外の構成については、実施の形態1と同様である。すなわち、負荷2に対して電力を供給する電源1と、電源1から電源線4を介して電力が供給され、供給された電力により駆動する負荷2と、負荷2をインパルスノイズから保護するために電源線4に設けられたノイズフィルタ3と、を備える構成については実施の形態1と同様である。
【0067】
ノイズフィルタ3は、スイッチング素子31と、センサ32と、制御部33とを備えている構成は実施の形態1と同様である。また、スイッチング素子31は第1のスイッチング素子311と第2のスイッチング素子312からなる構成についても実施の形態1と同様である。
図9に示すように、第1のスイッチング素子311は第1の電源線701に備えられている。また、第2のスイッチング素子312は第2の電源線702に備えられている。
【0068】
次に、ノイズフィルタ3の動作について説明する。センサ32は、第1の電源線401と第2の電源線402と第3の電源線403を伝搬するインパルスノイズを検出し、制御部33にセンサ信号を送信する。制御部33は、センサ32からセンサ信号を受信すると、スイッチング素子31のオンオフ動作の制御を行う。制御部33が行う動作は、実施の形態1と同様である。スイッチング素子31は、オンオフ動作を行うことによってインパルスノイズが負荷2へ伝搬してしまうことを防ぐ。
【0069】
実施の形態2によれば、三相交流を直流に整流して出力するダイオードブリッジ6を設けたので、3線の電源線4からの入力を電源線7の2線で出力することとなる。このため、電源線4の本数よりも少ない電源線7の本数と同数の個数のスイッチング素子31でノイズフィルタ3を構成することができる。
【0070】
なお、実施の形態2では、ノイズフィルタ3を三相3線式電源に用いた例について説明したが、これに限られない。例えば、三相4線式電源に用いた場合でも、電源線の本数よりも少ない個数のスイッチング素子にてノイズフィルタを構成することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 電源、2 負荷、3 ノイズフィルタ、4 電源線、5 給電回路、6 ダイオードブリッジ、7 電源線、31 スイッチング素子、32 センサ、33 制御部、 41 第1の電源線、42 第2の電源線、311 第1のスイッチング素子、312 第2のスイッチング素子、401 第1の電源線、402 第2の電源線、403 第3の電源線、701 第1の電源線、702 第2の電源線