(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】旋削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/00 20060101AFI20241217BHJP
B23B 29/12 20060101ALI20241217BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B23B27/00 D
B23B29/12 Z
B23Q17/09 A
(21)【出願番号】P 2024547548
(86)(22)【出願日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 JP2024007040
【審査請求日】2024-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香西 孝司
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166600(JP,A)
【文献】特開2020-062746(JP,A)
【文献】特開昭57-079431(JP,A)
【文献】国際公開第2020/171156(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/002762(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/039967(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第2577078(GB,A)
【文献】特許第7361801(JP,B2)
【文献】特許第7299988(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2023/0330752(US,A1)
【文献】国際公開第2022/230148(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/238404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/00
B23B 29/12
B23Q 17/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削チップを保持する旋削工具であって、
前記切削チップが取り付けられる第1本体領域と、前記第1本体領域に連なっており且つ凹部が設けられている第2本体領域とを含む本体部と、
前記本体部に取り付けられているセンサと、
前記センサと電気的に接続されており、且つ前記凹部内に配置されている第1端子と、
前記凹部を覆うように前記第2本体領域に取り付け可能である第1蓋と、
前記第1端子と電気的に接続可能なコネクタを含み、且つ前記凹部を覆うように前記第2本体領域に取り付け可能である第2蓋と、を備え、
前記第1蓋が前記第2本体領域に取り付けられている場合、前記第2本体領域と前記第1蓋とは、前記第1端子と電気的に接続可能な電池を収容する内部空間を形成し、
前記第1蓋と前記第2蓋とは、互いに交換可能であ
り、
前記第2蓋が前記第2本体領域に取り付けられている場合、外部電源から前記コネクタを介して前記センサへ電力が供給される、旋削工具。
【請求項2】
切削チップを保持する旋削工具であって、
前記切削チップが取り付けられる第1本体領域と、前記第1本体領域に連なっており且つ凹部が設けられている第2本体領域とを含む本体部と、
前記本体部に取り付けられているセンサと、
前記センサと電気的に接続されており、且つ前記凹部内に配置されている第1端子と、
前記凹部を覆うように前記第2本体領域に取り付け可能である第1蓋と、
前記第1端子と電気的に接続可能なコネクタを含み、且つ前記凹部を覆うように前記第2本体領域に取り付け可能である第2蓋と、を備え、
前記第1蓋が前記第2本体領域に取り付けられている場合、前記第2本体領域と前記第1蓋とは、前記第1端子と電気的に接続可能な電池を収容する内部空間を形成し、
前記第1蓋と前記第2蓋とは、互いに交換可能であり、
前記第2本体領域は、前記第1本体領域の反対にある後端面と、前記後端面に連なる外側面とを有し、
前記外側面において、前記凹部が設けられている
、旋削工具。
【請求項3】
前記第1本体領域は、前記切削チップを支持する座面を有し、
前記第1本体領域から前記後端面に向かう方向において、前記センサは、前記座面と前記凹部との間に設けられている、請求項2に記載の旋削工具。
【請求項4】
前記第2蓋は、前記コネクタを支持し、且つ前記第2本体領域に取り付けられる支持部を含み、
前記コネクタは、第2端子と、前記第2端子と電気的に接続されている第3端子とを有し、
前記第2蓋が前記第2本体領域に取り付けられている場合、
前記第2端子は、前記旋削工具の外部に露出し、
前記第3端子は、前記支持部と前記凹部の底面との間に配置され、
前記第1本体領域から前記後端面に向かう方向において、前記第2端子は、前記後端面と前記凹部の中心との間に配置される請求項2または請求項3に記載の旋削工具。
【請求項5】
前記凹部は、前記外側面の内、前記切削チップの主逃げ面に対応する面において設けられている、請求項2
または請求項
3に記載の旋削工具。
【請求項6】
前記センサと電気的に接続されており、且つ前記センサから受信した信号を前記旋削工具の外部へと送信する無線通信部をさらに備える、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の旋削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、旋削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する被加工物に接触することによって被加工物を切削する切削工具の一例として、国際公開第2022/230149号(特許文献1)には、本体部と、センサと、電池とを有する切削工具が記載されている。当該切削工具によれば、電池は、センサと電気的に接続されている。電池は、本体部内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る旋削工具は、切削チップを保持する。旋削工具は、本体部と、センサと、第1端子と、第1蓋と、第2蓋とを備える。本体部は、第1本体領域と、第2本体領域とを含む。第1本体領域には、切削チップが取り付けられる。第2本体領域は、第1本体領域に連なっている。第2本体領域において、凹部が設けられている。センサは、本体部に取り付けられている。第1端子は、センサと電気的に接続されている。第1端子は、凹部内に配置されている。第1蓋は、凹部を覆うように第2本体領域に取り付け可能である。第2蓋は、コネクタを含む。コネクタは、第1端子と電気的に接続可能である。第2蓋は、凹部を覆うように第2本体領域に取り付け可能である。第1蓋が第2本体領域に取り付けられている場合、第2本体領域と第1蓋とは、内部空間を形成する。内部空間は、第1端子と電気的に接続可能な電池を収容する。第1蓋と第2蓋とは、互いに交換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る旋削工具の構成を示す斜視模式図である。
【
図2】
図2は、蓋が取り外された状態における旋削工具の構成を示す第1斜視模式図である。
【
図3】
図3は、蓋が取り外された状態における旋削工具の構成を示す第2斜視模式図である。
【
図4】
図4は、蓋が取り外された状態における旋削工具の構成を示す平面模式図である。
【
図6】
図6は、
図4のVI-VI線に沿った断面模式図である。
【
図7】
図7は、第1蓋の構成を示す側面模式図である。
【
図8】
図8は、第1蓋が第2本体領域に取り付けられている状態を示す平面模式図である。
【
図9】
図9は、
図8のIX-IX線に沿った拡大断面模式図である。
【
図12】
図12は、第2蓋が第2本体領域に取り付けられている状態を示す平面模式図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る旋削工具の構成を示す拡大断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の切削工具によれば、センサが動作可能な時間は、電池の放電容量によって決定される。従って、比較的長い期間においてセンサを連続して動作させる場合、電池の放電容量が不足することがある。
【0007】
本開示の目的は、電池からセンサへの電力の供給と、外部電源からセンサへの電力の供給とを切り替え可能な旋削工具を提供することである。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、電池からセンサへの電力の供給と、外部電源からセンサへの電力の供給とを切り替え可能な旋削工具を提供できる。
【0009】
[実施形態の概要]
まず、本開示の実施形態の概要について説明する。
【0010】
(1)本開示に係る旋削工具は、切削チップを保持する。旋削工具は、本体部と、センサと、第1端子と、第1蓋と、第2蓋とを有する。本体部は、第1本体領域と、第2本体領域とを有する。第1本体領域には、切削チップが取り付けられる。第2本体領域は、第1本体領域に連なっている。第2本体領域において、凹部が設けられている。センサは、本体部に取り付けられている。第1端子は、センサと電気的に接続されている。第1端子は、凹部内に配置されている。第1蓋は、凹部を覆うように第2本体領域に取り付け可能である。第2蓋は、第2端子を有する。第2端子は、第1端子と電気的に接続可能である。第2蓋は、凹部を覆うように第2本体領域に取り付け可能である。第1蓋が第2本体領域に取り付けられている場合、第2本体領域と第1蓋とは、内部空間を形成する。内部空間は、第1端子と電気的に接続可能な電池を収容する。第1蓋と第2蓋とは、互いに交換可能である。
【0011】
本開示に係る旋削工具によれば、第1蓋と第2蓋とを互いに交換することによって、電池からセンサへの電力の供給と、外部電源からセンサへの電力の供給とを切り替えることができる。
【0012】
(2)上記(1)に係る旋削工具によれば、第2本体領域は、後端面と、外側面とを有していてもよい。後端面は、第1本体領域の反対にあってもよい。外側面は、後端面に連なってもよい。外側面において、凹部が設けられていてもよい。これによって、工作機械に旋削工具を取り付けた際に、工作機械から突出する旋削工具の部分の長さを短くすることができる。
【0013】
(3)上記(2)に係る旋削工具によれば、第1本体領域は、座面を有していてもよい。座面は、切削チップを支持してもよい。第1本体領域から後端面に向かう方向において、センサは、座面と凹部との間に設けられていてもよい。切削チップと被削材との接触に起因する物理量の変化に対するセンサの感度を向上できる。
【0014】
(4)上記(2)または(3)に係る旋削工具によれば、第2蓋は、支持部を有してもよい。支持部は、コネクタを支持してもよい。支持部は、第2本体領域に取り付けられてもよい。コネクタは、第2端子と、第3端子とを有してもよい。第3端子は、第2端子と電気的に接続されていてもよい。第2蓋が第2本体領域に取り付けられている場合、第2端子は、旋削工具の外部に露出してもよく、第3端子は、支持部と凹部の底面との間に配置されてもよく、第1本体領域から後端面に向かう方向において、第2端子は、後端面と凹部の中心の間に配置されてもよい。これによって、外部電源とコネクタとを接続するケーブルが、切屑および切削油と接触することを防止できる。
【0015】
(5)上記(2)から(4)のいずれかに係る旋削工具によれば、凹部は、外側面の内、切削チップの主逃げ面に対応する面において設けられていてもよい。これによって、外部電源とコネクタとを接続するケーブルが、工作機械に接触することを防止できる。
【0016】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに係る旋削工具は、無線通信部をさらに有していてもよい。無線通信部は、センサと電気的に接続されていてもよい。無線通信部は、センサから受信した信号を外部へと送信してもよい。これによって、被削材を旋削している間においても、センサが検知した情報を把握できる。
【0017】
[実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて本開示の実施形態(以降、本実施形態とも称する)の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0018】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る旋削工具100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る旋削工具100の構成を示す斜視模式図である。
図1に示されるように、旋削工具100は、本体部5と、第1端子56と、第1蓋1と、第2蓋2と、第3蓋3と、第4蓋4とを主に有している。旋削工具100は、切削チップ90および敷板94を保持する。旋削工具100は、回転する被加工物(図示せず)に切削チップ90を接触させることによって被加工物を旋削する。旋削工具100は、バイトの一部である。旋削工具100と、切削チップ90と、敷板94とは、バイトを構成する。
【0019】
本体部5は、切削チップ90および敷板94を支持する部分である。本体部5において、第1凹部81が設けられている。第1端子56は、第1凹部81内に配置されている。第1端子56は、電池および外部電源のいずれか一方と電気的に接続される部分である。
【0020】
第1蓋1は、第1凹部81を覆うように本体部5に取り付け可能である。同様に、第2蓋2は、第1凹部81を覆うように本体部5に取り付け可能である。第1蓋1と第2蓋2とは互いに交換可能である。第1蓋1および第2蓋2の各々の具体的な構成については後述する。第3蓋3は、本体部5に取り付けられている。第3蓋3の形状は、たとえば平板状である。第4蓋4は、本体部5に取り付けられている。第4蓋4の形状は、たとえば平板状である。
【0021】
図2は、蓋が取り外された状態における旋削工具100の構成を示す第1斜視模式図である。
図3は、蓋が取り外された状態における旋削工具100の構成を示す第2斜視模式図である。
図4は、蓋が取り外された状態における旋削工具100の構成を示す平面模式図である。
図2から
図4において、第3蓋3および第4蓋4の各々が取り外された状態における旋削工具100が示されている。なお、説明の便宜のため、
図2から
図4において、第1蓋1および第2蓋2は図示されていない。
【0022】
図2から
図4に示されるように、本体部5は、第1本体領域10と、第2本体領域20とを有している。第1本体領域10には、切削チップ90が取り付けられる。第1本体領域10は、座面15と、第1面11と、第2面12と、第3面13と、第4面14と、第5面35とを有している。
【0023】
座面15は、切削チップ90を支持する面である。座面15は、第1座面部16と、第2座面部17とを有する。第1座面部16は、敷板94が配置される面である。第2座面部17は、第1座面部16に連なっている。第2座面部17は、第1座面部16に対して実質的に垂直であってもよい。第2座面部17は、切削チップ90および敷板94の各々に接触する面である。
【0024】
図2から
図4に示されるように、第1面11は、第1座面部16および第2座面部17の各々に連なっている。第2面12は、第1面11、第1座面部16、および第2座面部17の各々に連なっている。第1面11、第2面12、および第1座面部16は、角18を形成している。角18は、本体部5の前端にある。角18において、切削チップ90が配置される。
【0025】
第3面13は、第1面11、第2面12、および第2座面部17の各々に連なっている。第4面14は、第1面11および第2面12の各々に連なっている。第4面14は、第3面13の反対にある。第5面35は、第2面12および第3面13の各々に連なっている。第5面35は、第1面11の反対にある。
【0026】
図3に示されるように、旋削工具100は、固定部6と、締結ネジ7とを有している。固定部6は、第3面13に設けられている。固定部6は、切削チップ90および敷板94を固定する。具体的には、固定部6と第1本体領域10とが切削チップ90および敷板94を挟み込むことによって、切削チップ90および敷板94を固定する。締結ネジ7は、固定部6と第1本体領域10とを締結している。
【0027】
図2から
図4に示されるように、第2本体領域20は、第1本体領域10に連なっている。第2本体領域20は、たとえば工作機械(図示せず)に保持される。具体的には、第2本体領域20は、たとえば工作機械のタレットに保持される。言い換えれば、第2本体領域20はシャンクである。第2本体領域20において、第1凹部81が設けられている。
【0028】
第2本体領域20は、後端面21と、外側面22とを有している。後端面21は、第1本体領域10の反対にある。旋削工具100において、後端面21は、角18の反対にある。第1本体領域10から後端面21に向かう方向は、長手方向110とされる。後端面21は、長手方向110に垂直な面に沿って拡がっている。後端面21の形状は、たとえば四角形である。
【0029】
図2から
図4に示されるように、外側面22は、後端面21に連なっている。外側面22は、長手方向110に沿って延びている。外側面22は環状である。外側面22において、第1凹部81、第2凹部82、第3凹部83、および第4凹部84の各々が設けられている。外側面22は、第1側面部31と、第2側面部32と、第3側面部33と、第4側面部34とを有している。
【0030】
第3側面部33は、第1側面部31の反対にある。第3側面部33から第1側面部31に向かう方向は、第1方向101とされる。第1方向101は、長手方向110に垂直である。第1方向101は、たとえば被削材を端面から外径旋削加工する際における旋削工具100の送り方向と同じである。第4側面部34は、第2側面部32の反対にある。第2側面部32から第4側面部34に向かう方向は、第2方向102とされる。第2方向102は、第1方向101および長手方向110の各々に垂直である。
【0031】
第1側面部31は平面状である。第1側面部31は、第1方向101に向いている。切削チップ90の主逃げ面91は、第1側面部31に対して第1方向101に位置する。第1側面部31において、第1凹部81および第2凹部82の各々が設けられている。第1凹部81は、第1方向101に開口している。第3蓋3(
図1参照)は、第2凹部82を覆うようにして第2本体領域20に取り付けられている。
図4は、第1側面部31に垂直に見た旋削工具100の構成を示している。
【0032】
外側面22の内、第1側面部31は、切削チップ90の主逃げ面91に対応する面である。別の観点から言えば、第1凹部81は、外側面22の内、切削チップ90の主逃げ面91に対応する面において設けられている。主逃げ面91は、切削チップ90の主切れ刃に連なる逃げ面である。主切れ刃は、被削材に接触する切れ刃である。
【0033】
第2側面部32は、第1側面部31に実質的に垂直であってもよい。第2側面部32は、第4面14に連なっている。第2側面部32と第4面14とは、実質的に同一平面上にあってもよい。第2側面部32は平面状である。第2側面部32において、第3凹部83が設けられている。第4蓋4(
図1参照)は、第3凹部83を覆うようにして第2本体領域20に取り付けられている。
【0034】
第3側面部33は、第1側面部31に実質的に平行であってもよい。第3側面部33は、第5面35に連なっている。第3側面部33と第5面35とは、実質的に同一平面上にあってもよい。第3側面部33は平面状である。第3側面部33において、第4凹部84が設けられている。第4凹部84を覆うように、第5蓋(図示せず)が第2本体領域20に取り付けられていてもよい。第4側面部34は平面状である。第4側面部34は、第2側面部32に実質的に平行であってもよい。
【0035】
図2に示されるように、旋削工具100は、たとえば第1センサ61と、第1基板71と、第2基板72と、第1配線76と、第2配線77とを有している。第1センサ61は、本体部5に取り付けられている。具体的には、第1センサ61は、たとえば第2本体領域20に取り付けられている。第1センサ61は、第3凹部83内に配置されている。
【0036】
長手方向110において、第1センサ61は、座面15(
図3参照)と第1凹部81との間に設けられている。長手方向110において、第1凹部81は、第1センサ61と後端面21との間に設けられている。第1センサ61は、本体部5の物理量を検知するセンサである。具体的には、第1センサ61は、たとえば歪みセンサである。第1センサ61は、たとえば第2方向102における本体部5を検知する。
【0037】
第1基板71は、第3凹部83内に配置されている。第1基板71は、第2本体領域20に取り付けられている。第1配線76は、第1センサ61と第1基板71とを電気的に接続している。第2基板72は、第2凹部82内に配置されている。第2基板72は、第2本体領域20に取り付けられている。
【0038】
図3に示されるように、旋削工具100は、第2センサ62と、第3基板73と、第3配線78とを有している。第2センサ62は、第4凹部84内に配置されている。第2センサ62は、本体部5に取り付けられている。具体的には、第2センサ62は、たとえば第2本体領域20に取り付けられている。
【0039】
長手方向110において、第2センサ62は、座面15と第1凹部81(
図2参照)との間に設けられている。第2センサ62は、本体部5の物理量を検知するセンサである。具体的には、第2センサ62は、たとえば歪みセンサである。第2センサ62は、たとえば第1方向101における本体部5の歪みを検知する。
【0040】
第3基板73は、第4凹部84内に配置されている。第3基板73は、第2本体領域20に取り付けられている。第4配線79は、第2センサ62と第3基板73とを電気的に接続している。
【0041】
図2に示されるように、旋削工具100は、ADコンバータ66と、無線通信部67とを有している。ADコンバータ66は、第2基板72上に設けられている。無線通信部67は、第2基板72上に設けられている。第2基板72は、ADコンバータ66と無線通信部67とを電気的に接続している。ADコンバータ66は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。無線通信部67は、第1センサ61および第2センサ62の各々から受信した信号を外部へと送信する。
【0042】
図5は、
図4のV-V線に沿った断面模式図である。
図5に示される断面は、長手方向110に垂直であり、且つ第3配線78および第4配線79の各々と交差する断面である。
図5に示されるように、第2本体領域20において、第1接続通路68と、第2接続通路69とが設けられている。第2凹部82は、第1接続通路68を介して第3凹部83と通じている。第2凹部82は、第2接続通路69を介して第4凹部84に通じている。
【0043】
第2配線77は、第1接続通路68内に配置されている。第2配線77は、第1基板71と第2基板72とを電気的に接続している。別の観点から言えば、第1センサ61(
図2参照)は、第1配線76(
図2参照)、第1基板71、第2配線77、および第2基板72を介して、ADコンバータ66(
図2参照)および無線通信部67(
図2参照)の各々と電気的に接続されている。第2配線77は、たとえばフレキシブルケーブルである。
【0044】
第3配線78は、第2接続通路69内に配置されている。第3配線78は、第3基板73と第1基板71とを電気的に接続している。別の観点から言えば、第2センサ62(
図3参照)は、第4配線79(
図3参照)、第3基板73、第3配線78、第2基板72、第2配線77、および第1基板71を介して、ADコンバータ66および無線通信部67の各々と電気的に接続されている。第3配線78は、たとえばフレキシブルケーブルである。
【0045】
図6は、
図4のVI-VI線に沿った断面模式図である。
図6に示される断面は、長手方向110に平行であり、且つ第1端子56と交差する断面である。
図4および
図6に示されるように、第2本体領域20は、第1内壁面24と、支持面26と、第2内壁面25と、第1底面23とを有している。
【0046】
第1内壁面24は、第1側面部31に連なっている。第1内壁面24は、環状である。第1内壁面24は、第1方向101に実質的に平行であってもよい。支持面26は、第1内壁面24に連なっている。支持面26は、第1側面部31に実質的に平行であってもよい。支持面26において、ネジ穴88が設けられている。
【0047】
第2内壁面25は、支持面26に連なっている。第2内壁面25は環状である。第2内壁面25は、第1方向101に実質的に平行であってもよい。第1側面部31に垂直に見て、第2内壁面25は、第1内壁面24に取り囲まれていてもよい。第1側面部31に垂直に見て、第2内壁面25は、第1端子56を取り囲んでいる。第1側面部31に垂直に見て、第2内壁面25の中心は、第1凹部81の中心Oとされる。
【0048】
第1底面23は、第2内壁面25に連なっている。第1底面23は、第1側面部31に実質的に平行であってもよい。第1内壁面24、支持面26、第2内壁面25、および第1底面23は、第1凹部81を形成している。
【0049】
図6に示されるように、第2本体領域20において、第3接続通路70が設けられている。第1凹部81は、第3接続通路70を介して第2凹部82と通じている。第3接続通路70は、第2内壁面25において開口している。第2本体領域20と第1本体領域10との境界面27は、後端面21の反対にある。長手方向110は、境界面27から後端面21に向かう方向と同じである。
【0050】
図6に示されるように、旋削工具100は、第5配線80を有している。第5配線80は、第3接続通路70内に配置されている。第5配線80は、第1端子56と第2基板72とを電気的に接続している。別の観点から言えば、第1端子56は、第1センサ61(
図2参照)、第2センサ62(
図3参照)、ADコンバータ66、および無線通信部67の各々と電気的に接続されている。
【0051】
(第1蓋)
次に、第1蓋1の構成について説明する。
図7は、第1蓋1の構成を示す側面模式図である。
図1および
図7に示されるように、第1蓋1の形状は平板状である。第1蓋1は、第1平面41と、第2平面42と、第1外周面45とを有している。
【0052】
第2平面42は、第1平面41の反対にある。第2平面42は、第1平面41と実質的に平行であってもよい。第1外周面45は、第1平面41および第2平面42の各々に連なっている。第1外周面45は、環状である。第1蓋1において、複数の第1貫通孔19が設けられている。複数の第1貫通孔19の各々は、第1平面41と第2平面42とを貫通している。
【0053】
図8は、第1蓋1が第2本体領域20に取り付けられている状態を示す平面模式図である。
図9は、
図8のIX-IX線に沿った拡大断面模式図である。
図8および
図9に示されるように、第1蓋1は、支持面26上に配置されている。第1蓋1が第2本体領域20に取り付けられている状態において、たとえば第2平面42は、支持面26に接触している。第1外周面45は、第1内壁面24に接触していてもよい。たとえば第1貫通孔19を通ってネジ穴88にねじ込まれるネジ(図示せず)によって、第1蓋1と本体部5とが締結されている。
【0054】
第1蓋1が第2本体領域20に取り付けられている場合、第2本体領域20と第1蓋1とは、第1内部空間86を形成する。具体的には、第2平面42と、第2内壁面25と、第1底面23とによって第1内部空間86が形成される。第1内部空間86は、電池95を収容する。第1内部空間86は、第3接続通路70(
図6参照)を介して第2凹部82(
図6参照)と通じている。電池95は、第1端子56と電気的に接続可能である。具体的には、電池95と第1端子56とは、たとえば接続配線96によって電気的に接続される。接続配線96は、電池95および第1端子56の各々から取り外し可能である。別の観点から言えば、電池95は、第1端子56から電気的に遮断可能である。
【0055】
(第2蓋)
次に、第2蓋2の構成について説明する。
図10は、第2蓋2の構成を示す平面模式図である。
図11は、
図10のXI-XI線に沿った断面模式図である。
図10および
図11に示されるように、第2蓋2は、支持部38と、コネクタ39とを有している。支持部38は、板部51と、凸部52とを有している。板部51は、第3平面43と、第4平面44と、第2外周面46を有している。
【0056】
第4平面44は、第3平面43の反対にある。第3平面43から第4平面44に向かう方向は、第3方向103とされる。第4平面44は、第3平面43に実質的に平行であってもよい。第2外周面46は、第3平面43および第4平面44の各々に連なっている。第2外周面46は環状である。第2外周面46の形状は、第1蓋1の第1外周面45(
図1および
図7参照)の形状と実質的に同じであってもよい。
【0057】
支持部38において、複数の第2貫通孔29が設けられている。複数の第2貫通孔29の各々は、第3平面43と第4平面44とを貫通している。第3方向103に沿って見た場合における複数の第2貫通孔29の各々の間における距離は、第1蓋1の第1平面41に垂直に見た場合における複数の第1貫通孔19の各々の間における距離と実質的に同じであってもよい。第4平面44において凸部52が設けられている。凸部52は、第3方向103に凸である。
【0058】
支持部38において、第5凹部85が設けられている。第5凹部85は、板部51と凸部52とによって形成されている。支持部38は、第3内壁面47と、第2底面48と、内周面50とを有している。第3内壁面47は、第3平面43に連なっている。第3内壁面47は、第3方向103に沿って延びている。第2底面48は、第3内壁面47に連なっている。第2底面48は、第3平面43に実質的に平行であってもよい。第3内壁面47と第2底面48とは、第5凹部85を形成している。内周面50は、第2底面48に連なっている。内周面50は環状である。内周面50は、第3方向103に沿って延びている。
【0059】
図10および
図11に示されるように、コネクタ39は、支持部38に支持されている。具体的には、コネクタ39は、第2底面48と内周面50とによって支持されている。コネクタ39の一部は、第5凹部85内に位置している。コネクタ39は、第3平面43に対して、第3方向103に位置している。コネクタ39は、第3内壁面47に取り囲まれている。第2底面48において、コネクタ39が配置されている。コネクタ39は、凸部52を貫通している。コネクタ39は、ケーブル9が接続される部分である。コネクタ39は、ケーブル9を介して外部電源(図示せず)と電気的に接続される部分である。
【0060】
図10および
図11に示されるように、コネクタ39は、ハウジング53と、第2端子57と、第3端子58と、第4端子59と、第5端子(図示せず)とを有している。ハウジング53は、支持部38に取り付けられている。ハウジング53は、コネクタ39に接続されているケーブル9を支持する。ハウジング53は、たとえばケーブル9と嵌合する。ハウジング53は、たとえば電気絶縁材料によって形成されている。
【0061】
第2端子57は、ハウジング53から第3方向103と反対の方向に延びている。具体的には、ハウジング53は、第2底面48と内周面50とによって支持されている。第2端子57は、ハウジング53に支持されている。第3方向103において、第2端子57は、第3平面43と第2底面48との間に設けられている。第2端子57は導体である。第2端子57の形状は、たとえば棒状である。第2端子57は、ケーブル9が接続される部分である。
【0062】
第3端子58は、第2端子57の反対にある。第3端子58は、第2端子57と電気的に接続されている。第3端子58は、支持部38に対して第3方向103に設けられている。第3端子58は、たとえばハウジング53から第3方向103に沿って延びている。第3端子58は、ハウジング53に支持されている。第3端子58は、第1端子56と電気的に接続可能である。第3端子58は導体である。第3端子58の形状は、たとえば棒状である。
【0063】
第4端子59は、第2端子57と実質的に同じ構成である。第4端子59は、ハウジング53によって第2端子57および第3端子58の各々と電気的に絶縁されている。第5端子(図示せず)は、第3端子58と実質的に同じ構成である。第5端子は、第4端子59と電気的に接続されている。
【0064】
図12は、第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている状態を示す平面模式図である。
図13は、
図12のXIII-XIII線に沿った断面模式図である。
図12および
図13に示されるように、第2蓋2は、支持面26上に配置される。第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、第4平面44は、支持面26に接触する。第2外周面46は、第1内壁面24に接触してもよい。
【0065】
支持部38は、第2本体領域20に取り付けられる。具体的には、たとえば第2貫通孔29を通ってネジ穴88にねじ込まれるネジ(図示せず)によって、第2蓋2と第2本体領域20とが締結される。ネジを取り外すことによって、第2蓋2と第1蓋1(
図8および
図9参照)とを互いに交換できる。
【0066】
第1方向101において、第2端子57は、第1凹部81の中心Oと実質的に同じ位置に配置されていてもよい。同様に、第1方向101において、第4端子59は、第1凹部81の中心Oと実質的に同じ位置に配置されていてもよい。
【0067】
図13に示されるように、第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、第2端子57は、旋削工具100の外部に露出する。第1方向101において、第2端子57は、第1側面部31と第2底面48との間に位置する。
【0068】
第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、第3端子58は、支持部38と第1底面23との間に配置される。第3端子58は、第2内壁面25に取り囲まれる。第3端子58は、第1端子56と電気的に接続される。具体的には、第3端子58と第1端子56とは、たとえば接続配線96によって電気的に接続される。接続配線96は、第3端子58および第1端子56の各々から取り外し可能である。別の観点から言えば、第3端子58は、第1端子56から電気的に遮断可能である。同様に、第5端子(図示せず)は、第1端子56と電気的に接続される。
【0069】
第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、第2本体領域20と第2蓋2とは、第2内部空間87を形成する。ハウジング53の一部は、第2内部空間87に配置される。第3端子58は、第2内部空間87に配置される。第2内部空間87は、電池95(
図9参照)を収容できなくてもよい。第5凹部85は、第2蓋2によって第2内部空間87から隔てられている。
【0070】
次に、旋削工具100の動作について説明する。被削材を旋削する際に、旋削工具100は工作機械に保持される。回転する被削材に切削チップ90の主切れ刃が押し当てられている状態で、旋削工具100が送り方向に移動されることによって、被削材は旋削される。
【0071】
図8および
図9に示されるように、第1蓋1が第2本体領域20に取り付けられている場合、第1端子56は、電池95と電気的に接続される。これによって、第1センサ61、第2センサ62、ADコンバータ66、および無線通信部67の各々に電池95から電力が供給される。従って、被削材を旋削する際に、第1センサ61および第2センサ62の各々は、本体部5の歪みを検知できる。
【0072】
第1センサ61および第2センサ62の各々は、検知した情報を含むアナログ信号をADコンバータ66に出力する。ADコンバータ66は、第1センサ61および第2センサ62の各々から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。ADコンバータ66は、デジタル信号を無線通信部67に出力する。無線通信部67は、ADコンバータ66から入力されたデジタル信号を外部へと送信する。具体的には、無線通信部67は、旋削工具100の外部に設けられた受信部(図示せず)へ、信号を送信する。以上によって、無線通信部67は、第1センサ61および第2センサ62の各々から受信した信号を外部へと送信する。
【0073】
図12および
図13に示されるように、第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、第1端子56は、ケーブル9を介して、外部電源(図示せず)と電気的に接続される。これによって、第1センサ61、第2センサ62、ADコンバータ66、および無線通信部67の各々に外部電源から電力が供給される。これによって、第1センサ61および第2センサ62の各々は、本体部5の歪みを検知できる。
【0074】
次に、第1実施形態に係る旋削工具100の作用効果について説明する。
旋削工具100がセンサを有する場合、センサに電力を供給する電源が必要である。旋削工具100が電源としての電池95を内蔵している場合、工作機械および被削材の各々と旋削工具100との接触を防止できる。しかしながら、センサが動作可能な時間は、電池95の放電容量によって決定される。従って、比較的長い期間において連続してセンサが物理量を検知する場合、電池95の放電容量が不足することがある。結果として、比較的長い期間において連続してセンサが物理量を検知できない。
【0075】
一方で、旋削工具100が外部電源と電気的に接続されている場合、外部電源からセンサへ、電池95を内蔵した場合よりも長時間、または半永久的に電力を供給できる。従って、電池95からセンサへ電力が供給される場合と比較して、センサが連続して動作できる時間を長くすることができる。しかしながら、旋削工具100と外部電源とを電気的に接続するケーブル9が必要である。従って、ケーブル9が工作機械または被削材と接触することがある。以上より、旋削工具100においては、センサが動作する期間、工作機械の構造、および被削材の形状等に応じて、外部電源からセンサへの電力供給と、電池95からセンサへの電力供給とを切り替え可能であることが求められる。
【0076】
第1実施形態に係る旋削工具100は、第2本体領域20と、第1センサ61と、第1端子56と、第1蓋1と、第2蓋2とを有する。第2本体領域20において、第1凹部81が設けられている。第1端子56は、第1センサ61と電気的に接続されている。第1端子56は、第1凹部81内に配置されている。第1蓋1および第2蓋2の各々は、第1凹部81を覆うように第2本体領域20に取り付け可能である。第1蓋1が第2本体領域20に取り付けられている場合、第2本体領域20と第1蓋とは、第1内部空間86を形成する。第1内部空間86は、電池95を収容する。第2蓋2は、第1端子56と電気的に接続可能なコネクタ39を有している。第1蓋1と第2蓋2とは、互いに交換可能である。
【0077】
このため、第1蓋1が第2本体領域20に取り付けられている場合、第1内部空間86に収容された電池95から第1センサ61へ電力を供給できる。第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、外部電源からコネクタ39を介して第1センサ61へ電力を供給できる。従って、第1蓋1と第2蓋2とを互いに交換することによって、電池95から第1センサ61への電力の供給と、外部電源から第1センサ61への電力の供給とを切り替えることができる。
【0078】
工作機械に旋削工具100を取り付けた場合、切削チップ90と旋削工具100の一部とが、工作機械から突出する。工作機械から突出する旋削工具100の部分の長さが長くなるにつれて、被削材を旋削する際における切削チップ90および旋削工具100の振動が増大する。従って、工作機械から突出する旋削工具100の部分の長さは短いことが求められる。
【0079】
第1実施形態に係る旋削工具100によれば、第2本体領域20は、後端面21と、外側面22とを有している。外側面22において、第1凹部81が設けられている。このため、第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合において、後端面21からケーブル9が突出することを防止できる。従って、後端面21と工作機械との間の距離を短くすることができる。これによって、工作機械に旋削工具100を取り付けた際に、工作機械から突出する旋削工具100の部分の長手方向110における長さを短くすることができる。結果として、被削材を旋削する際における切削チップ90および旋削工具100の振動が低減できる。
【0080】
第1実施形態に係る旋削工具100によれば、第1本体領域10は、座面15を有している。座面15は、切削チップ90を支持する。長手方向110において、第1センサ61は、座面15と第1凹部81との間に設けられている。このため、被削物を旋削する際に、長手方向110において、第1センサ61と切削チップ90との間の距離を短くすることができる。これによって、切削チップ90と被削材との接触に起因する物理量の変化に対する第1センサ61の感度を向上できる。
【0081】
たとえば被削材の端面から工具を送る一般的な外形旋削加工をする場合において、被削材は、旋削工具100に対して送り方向に配置される。この場合、通常、旋削工具100を保持する工作機械の部分は、旋削工具100に対して送り方向に位置する空間には配置されない。これによって、工作機械と被削材との接触を防止する。第1実施形態に係る旋削工具100によれば、第1凹部81は、外側面22の内、切削チップ90の主逃げ面91に対応する面(第1側面部31)において設けられている。このため、第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合において、第2蓋2のコネクタ39に接続されるケーブル9は、旋削工具100に対して送り方向に位置する。従って、ケーブル9と工作機械との接触を防止できる。
【0082】
第1実施形態に係る旋削工具100は、無線通信部67を有している。無線通信部67は、第1センサ61から受信した信号を外部へと送信する。これによって、被削材を旋削している間においても、第1センサ61が検知した情報を把握できる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る旋削工具100の構成について説明する。第2実施形態に係る旋削工具100は、主に、第2蓋2のコネクタ39が本体部5の後端面21に比較的に近い位置に配置されている点において、第1実施形態に係る旋削工具100の構成と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る旋削工具100と実質的に同一である。以下、第1実施形態に係る旋削工具100と異なる点を中心に説明する。
【0084】
図14は、第2実施形態に係る旋削工具100の構成を示す拡大断面模式図である。
図14に示される断面は、
図13に示される断面に対応している。
図14に示されるように、第2蓋2が第2本体領域20に取り付けられている場合、長手方向110において、コネクタ39は、後端面21と中心Oとの間に配置されてもよい。別の観点から言えば、長手方向110において、第2端子57は、後端面21と中心Oとの間に配置されてもよい。
【0085】
これによって、第1方向101におけるケーブル9と切削チップ90(
図12参照)との間の距離を長くすることができる。このため、被削材を旋削する際に、被削材、被削材を把持している工作機械主軸のチャック、切屑、および切削油がケーブル9と接触することを防止できる。
【0086】
なお、上記において、第1センサ61および第2センサ62の各々(以下、センサとも称する)が歪みセンサである構成について説明したが、本開示に係る旋削工具100の構成は、上記の構成に限定されない。具体的には、センサは、たとえば温度センサであってもよいし、加速度センサであってもよい。センサが温度センサである場合、被削材を旋削する際における本体部5の温度を測定することができる。センサが加速度センサである場合、被削材を旋削する際における本体部5の振動を測定することができる。
【0087】
旋削工具100が有するセンサの数は、2個に限定されない。具体的には、旋削工具100は、センサを1個だけ有していてもよいし、3個以上有していてもよい。センサは、第1本体領域10に取り付けられていてもよい。
【0088】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0089】
1 第1蓋、2 第2蓋、3 第3蓋、4 第4蓋、5 本体部、6 固定部、7 締結ネジ、9 ケーブル、10 第1本体領域、11 第1面、12 第2面、13 第3面、14 第4面、15 座面、16 第1座面部、17 第2座面部、18 角、19 第1貫通孔、20 第2本体領域、21 後端面、22 外側面、23 第1底面、24 第1内壁面、25 第2内壁面、26 支持面、27 境界面、29 第2貫通孔、31 第1側面部、32 第2側面部、33 第3側面部、34 第4側面部、38 支持部、39 コネクタ、41 第1平面、42 第2平面、43 第3平面、44 第4平面、45 第1外周面、46 第2外周面、47 第3内壁面、48 第2底面、50 内周面、51 板部、52 凸部、53 ハウジング、56 第1端子、57 第2端子、58 第3端子、59 第4端子、61 第1センサ、62 第2センサ、66 ADコンバータ、67 無線通信部、68 第1接続通路、69 第2接続通路、70 第3接続通路、71 第1基板、72 第2基板、73 第3基板、76 第1配線、77 第2配線、78 第3配線、79 第4配線、80 第5配線、81 第1凹部、82 第2凹部、83 第3凹部、84 第4凹部、85 第5凹部、86 第1内部空間、87 第2内部空間、88 ネジ穴、90 切削チップ、91 主逃げ面、94 敷板、95 電池、96 接続配線、100 旋削工具、101 第1方向、102 第2方向、103 第3方向、110 長手方向、O 中心。
【要約】
旋削工具は、切削チップを保持する。旋削工具は、本体部と、センサと、第1端子と、第1蓋と、第2蓋とを有する。本体部は、第1本体領域と、第2本体領域とを有する。第1本体領域において、切削チップが取り付けられる。第2本体領域は、第1本体領域に連なっている。第2本体領域において、凹部が設けられている。センサは、本体部に取り付けられている。第1端子は、センサと電気的に接続されている。第1端子は、凹部内に配置されている。第1蓋は、凹部を覆うように第2本体領域に取り付け可能である。第2蓋は、コネクタを有する。コネクタは、第1端子と電気的に接続可能である。第2蓋は、凹部を覆うように第2本体領域に取り付け可能である。第1蓋が第2本体領域に取り付けられている場合、第2本体領域と第1蓋とは、内部空間を形成する。内部空間は、第1端子と電気的に接続可能な電池を収容する。第1蓋と第2蓋とは、互いに交換可能である。