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特許7605406外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/06 20060101AFI20241217BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65D19/06
E04B2/56 644A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020194923
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083546
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松原 悟志
(72)【発明者】
【氏名】尾山 誠
(72)【発明者】
【氏名】林 哲平
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089567(JP,A)
【文献】特開2016-088607(JP,A)
【文献】特開2005-003536(JP,A)
【文献】特開2016-094792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/06
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネルを積載する、外壁パネル積載ラックであって、
左右の二本のラック支柱と、二本の該ラック支柱を繋ぐパネル受け桟と、を備える縦フレーム体を二つ含む、段フレーム体を有し、
前記パネル受け桟には、ジャッキが取り付けられており、
前記ジャッキが前記パネル受け桟に反力を取ることにより、二本の前記パネル受け桟に積載されている前記外壁パネルを前記ラック支柱の上方にジャッキアップするようになっていることを特徴とする、外壁パネル積載ラック。
【請求項2】
前記段フレーム体が、複数段積層されており、
最上段の前記段フレーム体の前記パネル受け桟に、前記ジャッキが取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の外壁パネル積載ラック。
【請求項3】
複数段の前記段フレーム体の少なくとも一部の該段フレーム体は、二つの前記縦フレーム体を二つの繋ぎ材が繋ぐことにより形成される、平面視枠状の前記段フレーム体であることを特徴とする、請求項2に記載の外壁パネル積載ラック。
【請求項4】
前記パネル受け桟の側面には複数のピン孔が開設され、
前記ジャッキが載置固定される固定治具が水平方向に張り出すピンを備えており、
前記ピン孔に前記ピンが差し込まれることにより、前記固定治具を介して前記ジャッキが前記パネル受け桟に取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外壁パネル積載ラック。
【請求項5】
前記固定治具は、前記パネル受け桟の下面の少なくとも一部を支持する支持片を備えており、
前記ピン孔に対する前記ピンの係止と、前記支持片による支持により、前記固定治具が前記パネル受け桟に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の外壁パネル積載ラック。
【請求項6】
前記段フレーム体の備える前記ラック支柱が、上方もしくは下方にある他段の前記段フレーム体の備える前記ラック支柱に対して差し込まれており、
最上段の前記段フレーム体に積載されている前記外壁パネルが荷卸しされた後、最上段の該段フレーム体が撤去され、新たな最上段の該段フレーム体の前記パネル受け桟に対して前記ジャッキが盛り替えられるようになっていることを特徴とする、請求項2、請求項2に従属する請求項3乃至5のいずれか一項に記載の外壁パネル積載ラック。
【請求項7】
前記ジャッキが、パンタグラフジャッキであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の外壁パネル積載ラック。
【請求項8】
外壁パネルを積載する外壁パネル積載ラックに、該外壁パネルが積載された状態で該外壁パネルに対してガスケットを取り付ける、ガスケットの取り付け方法であって、
前記外壁パネル積載ラックは、左右の二本のラック支柱と、二本の該ラック支柱を繋ぐパネル受け桟と、を備える縦フレーム体を二つ含む、段フレーム体を有し、該段フレーム体の前記パネル受け桟にはジャッキが取り付けられており、
前記ジャッキが前記パネル受け桟に反力を取ることにより、二本の前記パネル受け桟に積載されていた前記外壁パネルを前記ラック支柱の上方にジャッキアップする、ジャッキアップ工程と、
前記ラック支柱の上方に位置決めされた前記外壁パネルの小口面に対して前記ガスケットを取り付ける、ガスケット設置工程とを有することを特徴とする、ガスケットの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば都市部において鉄骨造の建物を施工するに当たり、施工対象の建物の外壁と隣地境界との間には、足場の組立てに十分なスペースがない場合が往々にしてある。あるいは、仮に足場を組むことができたとしても、足場と外壁設置位置との間に外壁パネルが入り込むスペースや、さらには、外壁パネルを設置するためのスペースがない場合がある。
【0003】
通常、足場と外壁設置位置との間に十分なスペースがある場合は、クレーン等の重機にて吊り上げられた外壁パネルがこのスペースに落とし込まれ、足場上にいる作業員は、外壁パネルをその下方が外壁設置位置側に向くようにして斜め姿勢とし、外壁パネルの下端に取り付けられている取り付けボルトを、各階の外壁設置位置の下方に取り付けられている下方取り付け金具の有する溝に対してまず設置する。そして、この取り付けボルトと溝との係合部を支点として、外壁パネルの上方を外壁設置位置側に起こし、外壁パネルの上方を屋外側から室内側へ面外方向に回動させることにより、外壁パネルの上端に開設されているボルト孔を、外壁設置位置にある上方取り付け金具の有するボルト孔に位置合わせする。双方のボルト孔が位置合わせされることにより貫通孔が形成され、この貫通孔にボルトを挿通し、ナット締めすることにより、外壁パネルの取り付けが行われる。
【0004】
すなわち、この施工では、外壁パネルの下端が固定されてここを支点として、外壁パネルの上方が屋外側から室内側へ円弧を描いて面外の動きで回動しながら設置されることから、外壁設置位置と足場との間には、ある程度余裕のあるスペースが必要になる。
【0005】
そこで、上記するように足場を設置するスペースがない狭小敷地においても、外壁パネルを好適に施工することのできる建築方法が提案されている。具体的には、建物の躯体を構成する下階天井梁及び上階天井梁の長手方向に延びるように、それぞれ案内レールを設ける。一方、下階外壁パネル及び上階外壁パネルの上端部には、案内レールに引っ掛けられるハンガーを取り付ける。そして、それぞれのハンガーを各天井梁の案内レールに引っ掛けることにより、各外壁パネルは各天井梁に吊り下げられた状態となる。この吊り下げ状態においてハンガーを案内レールに沿ってスライドさせることにより、各外壁パネルを所定の取り付け位置に移動させる。この取り付け位置において、各外壁パネルを屋内側からボルト等により固定する建築方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
例えば特許文献1に記載の建築方法のように、外壁パネルを横引き(もしくはスライド)しながら建物の架構に設置することにより、狭小敷地においても外壁パネルの設置が可能になり、例えば、足場を設置することなく、外壁パネルの取り付けを行うことができる(所謂、無足場工法)。ところで、一般に工場生産化(工業化)された外壁においては、面材(外壁面材)、外壁フレーム、断熱材、防水シート、縦胴縁(通気下地)等が工場にて組み立てられることにより外壁パネルが製作され、現場に搬送される。例えば、クレーンにて吊り下げられた外壁パネルが、上記するように横引きされながら、建物の架構に対して左右及び上下に順次設置される。
【0007】
外壁パネルを横引きしながら建物の架構に対して順次設置した後、外壁パネル間の目地(縦目地、横目地(階間目地を含む))に防水用のガスケットが設置されることになる。しかしながら、狭小敷地においては、ガスケットの設置に際しても十分なスペースを確保できない場合もあり、また、上記する無足場工法では、2m乃至3mの長さのガスケットを目地に設置することは極めて困難になる。
【0008】
そこで、トラック等にて搬送されてきた外壁パネルをクレーンにて横引きして架構に立て込む前に、当該外壁パネルに対して予めガスケットを取り付ける先付け工法が考えられる。この先付け工法には、さらに、外壁パネルが積載ラックに載置されている状態で当該外壁パネルにガスケットを取り付ける、建て込み前設置工法と、外壁パネルを積載ラックから荷卸しし、クレーンにて架構に建て込んだ後、複数の外壁パネル間に目地を形成する前に一つの外壁パネルの小口面にガスケットを取り付ける、建て込み後設置工法が考えられる。
【0009】
外壁パネルの搬送に際しては、搬送時の外壁パネルの破損を防止するために、外壁パネルが上記する積載ラックに積載され、積載ラックがトラックの荷台に積まれて搬送される。ここで、特許文献2には、高さを低くできて運搬効率が良く、作業性を向上できる外壁パネル用積載ラックが提案されている。この外壁パネル用積載ラックは、積み重ね本体部と、積み重ね本体部の上側に形成された積み上げ用嵌合凸部と、積み重ね本体部の下側に形成された積み上げ用嵌合凹部と、外壁パネルの荷重を受けるように積み重ね本体部に設けられたパネル支持部と、外壁パネルの面内方向移動を規制するピン状の第1規制部と、外壁パネルの面内方向と交差する上下方向の移動を規制する棒状の第2規制部と、吊り部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2008-127927号公報
【文献】特開2014-136592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載の外壁パネル用積載ラックによれば、運搬効率のよい外壁パネルの搬送を実現できる。ところで、上記する先付け工法の中の建て込み前設置工法においては、トラックから吊り下ろされた積載ラックに外壁パネルが積載された状態で、ガスケットが外壁パネルの小口面に取り付けられることにより、効率的なガスケットの先付けが可能になる。しかしながら、例えば特許文献1に記載の外壁パネル用積載ラックでは、積み重ね本体部と外壁パネルの間に十分な隙間が無く、外壁パネル用積載ラックに外壁パネルが積載された状態でガスケットを取り付けるのは難しい。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、外壁パネル積載ラックに対して外壁パネルが積載された状態で、ガスケットの効率的な取り付けを可能にした、外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成すべく、本発明による外壁パネル積載ラックの一態様は、
外壁パネルを積載する、外壁パネル積載ラックであって、
左右の二本のラック支柱と、二本の該ラック支柱を繋ぐパネル受け桟と、を備える、二つの縦フレーム体を少なくとも含む、段フレーム体を有し、
前記パネル受け桟には、ジャッキが取り付けられており、
前記ジャッキが前記パネル受け桟に反力を取ることにより、二本の前記パネル受け桟に積載されている前記外壁パネルを前記ラック支柱の上方にジャッキアップするようになっていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、段フレーム体を構成するパネル受け桟に対してジャッキが取り付けられ、ジャッキがパネル受け桟に反力を取ることにより、二本のパネル受け桟に積載されている外壁パネルをラック支柱の上方にジャッキアップすることができる。このことにより、ラック支柱と外壁パネルの間に十分な隙間が無い場合でも、ガスケットの取り付けに際して外壁パネルがラック支柱の上方にジャッキアップされることとなり、ラック支柱がガスケットの取り付けの支障になることが解消される。すなわち、外壁パネル積載ラックに外壁パネルが積載されて搬送される際には、ラック支柱と外壁パネルの間に十分な隙間がなく、従って、外壁パネル積載ラックに対して外壁パネルが大きく横ずれすることなく、安定した積載姿勢で搬送される。一方、現場に到着したトラックから外壁パネル積載ラックが重機にて吊り下ろされた後、外壁パネル積載ラックに外壁パネルが積載された状態で、例えばジャッキがパネル受け桟に取り付けられ、ジャッキを作動することにより、所望の高さ位置に外壁パネルがジャッキアップされ、ジャッキアップされた状態の外壁パネルの小口面に対してガスケットを効率的に取り付けることができる。
【0015】
ここで、二つの縦フレーム体の備える一方のパネル受け桟にジャッキを取り付け、ジャッキアップして外壁パネルの一方側を所定高さまで上昇させた後、ジャッキを他方のパネル受け桟に盛り替え、ジャッキアップして外壁パネルの他方側を同様の高さまで上昇させることにより、外壁パネルの全体をラック支柱の上方位置に位置決めすることができる。また、二つの縦フレーム体の備える双方のパネル受け桟に対してそれぞれに固有のジャッキが取り付けられ、双方のジャッキを同時もしくはほぼ同時にジャッキアップすることにより、一度に外壁パネルの全体をラック支柱の上方位置に位置決めするようにしてもよい。
【0016】
また、本発明による外壁パネル積載ラックの他の態様において、前記段フレーム体が、複数段積層されており、
最上段の前記段フレーム体の前記パネル受け桟に、前記ジャッキが取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、複数段の段フレーム体を備え、各段フレーム体に対して一つもしくは複数の外壁パネルが積載されていることにより、複数の外壁パネルを効率的に現場へ搬送することができる。そして、最上段の段フレーム体を構成するパネル受け桟にジャッキを取り付け、当該最上段の段フレーム体をジャッキアップすることにより、最上段にある外壁パネルにガスケットを取り付けた後、ガスケットが取り付けられた外壁パネルが重機に吊られ、横引きされながら架構へ設置される。最上段に例えば二つの外壁パネルが積載されている場合は、段フレーム体を構成する左右のラック支柱のうち、一方(例えば左側のラック支柱)の近傍上方をガスケット取り付け位置に設定し、まず、左側にある外壁パネルにガスケットが取り付けられて重機にて荷卸しされた後、右側にある外壁パネルをパネル受け桟の上方を左側のラック支柱の近傍まで横スライドさせ、左側のラック支柱の上方にて同様にガスケットの取り付けを行う。このようにすると、外壁パネル積載ラックの外側にいる作業員が、外壁パネル積載ラックの最上段の段フレーム体の上に乗って、右側にある外壁パネルの小口面にガスケットを取り付ける必要がなくなるため、このように段フレーム体の上に作業員が乗るに際して段フレーム体の上に養生シート等を敷設する手間を省くことができる。
【0018】
また、本発明による外壁パネル積載ラックの他の態様において、複数段の前記段フレーム体の少なくとも一部の該段フレーム体は、二つの前記縦フレーム体を二つの繋ぎ材が繋ぐことにより形成される、平面視枠状の前記段フレーム体であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、複数段の段フレーム体の少なくとも一部の段フレーム体が、二つの縦フレーム体を二つの繋ぎ材が繋ぐことにより形成される、平面視枠状の段フレーム体であることにより、構造安定性のある外壁パネル積載ラックが形成される。ここで、「複数段の段フレーム体の少なくとも一部の段フレーム体」とは、全部の段フレーム体の他、例えば、三段以上の段フレーム体の中の最下段と最上段の段フレーム体等を含んでいる。
【0020】
また、本発明による外壁パネル積載ラックの他の態様において、前記パネル受け桟の側面には複数のピン孔が開設されており、
前記ジャッキが載置固定される固定治具が水平方向に張り出すピンを備えており、
前記ピン孔に前記ピンが差し込まれることにより、前記固定治具を介して前記ジャッキが前記パネル受け桟に取り付けられていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、パネル受け桟の側面に開設されているピン孔に対して、ジャッキが載置固定される固定治具から水平方向に張り出すピンが差し込まれることにより、固定治具を介してジャッキをパネル受け桟に対して簡単に取り付けることができる。そのため、取り外しの際も、ピン孔からピンを抜くことにより、ジャッキが載置固定される固定治具をパネル受け桟から簡単に取り外すことができる。ここで、ピンにはボルトも含まれるが、ピン孔に対してピンは差し込まれるだけで十分であり、ピンがボルトの場合にピン孔に対してボルトを螺合させる必要はない。
【0022】
また、パネル受け桟の側面に開設されている複数のピン孔の位置は、パネル受け桟の一端から例えば0.25P(Pはモジュールを示し、800mm乃至1100mmの間で、例えば910mm幅等、モジュール設計仕様により任意に設定可能)ピッチに開設されているのが好ましい。外壁パネルは一般に、0.5P,1P,1.5P、2P等の幅を有していることから、複数のピン孔が0.25Pピッチに設けられていることにより、いずれの幅の外壁パネルに対してもその幅中央位置にジャッキを取り付けることができ、外壁パネルの幅中央をジャッキアップすることが可能になる。
【0023】
また、本発明による外壁パネル積載ラックの他の態様において、前記固定治具は、前記パネル受け桟の下面の少なくとも一部を支持する支持片を備えており、
前記ピン孔に対する前記ピンの係止と、前記支持片による支持により、前記固定治具が前記パネル受け桟に取り付けられていることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、固定治具の備えるピンがパネル受け桟のピン孔に係止されていることに加えて、固定治具の備える支持片がパネル受け桟の下面を支持することにより、固定治具をパネル受け桟に対してスムーズかつ安定的に取り付けることができる。
【0025】
また、本発明による外壁パネル積載ラックの他の態様において、前記段フレーム体の備える前記ラック支柱が、上方もしくは下方にある他段の前記段フレーム体の備える前記ラック支柱に対して差し込まれており、
最上段の前記段フレーム体に積載されている前記外壁パネルが荷卸しされた後、最上段の該段フレーム体が撤去され、新たな最上段の該段フレーム体の前記パネル受け桟に対して前記ジャッキが盛り替えられるようになっていることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、複数の段フレーム体が、それぞれのラック支柱が相互に差し込まれることにより積層されていることから、最上段の段フレーム体に積載される外壁パネルが荷卸しされた後に、最上段の段フレーム体のラック支柱をその下段の段フレーム体のラック支柱から抜くことにより、最上段の段フレーム体を容易に取り外すことができ、新たな最上段の段フレーム体を形成することができる。そして、取り外されたジャッキは、新たな最上段の段フレーム体のパネル受け桟に盛り替えられる。ここで、最上段の段フレーム体が繋ぎ材を備えている場合は、二つの縦フレーム体から繋ぎ材を取り外した後に、二つの段フレーム体を順次取り外すことにより、全体として平面積の大きな矩形枠状の段フレーム体であっても、その取り外しは容易となる。
【0027】
また、本発明による外壁パネル積載ラックの他の態様は、前記ジャッキが、パンタグラフジャッキであることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、ジャッキにパンタグラフジャッキが適用されることにより、入手が容易で寸法がコンパクトであり、かつ使い勝手の良好なジャッキにて外壁パネルのジャッキアップを行うことができる。
【0029】
また、本発明によるガスケットの取り付け方法の一態様は、
外壁パネルを積載する外壁パネル積載ラックに、該外壁パネルが積載された状態で該外壁パネルに対してガスケットを取り付ける、ガスケットの取り付け方法であって、
前記外壁パネル積載ラックは、左右の二本のラック支柱と、二本の該ラック支柱を繋ぐパネル受け桟と、を備える、二つの縦フレーム体を少なくとも含む、段フレーム体を有し、該段フレーム体の前記パネル受け桟にはジャッキが取り付けられており、
前記ジャッキが前記パネル受け桟に反力を取ることにより、二本の前記パネル受け桟に積載されていた前記外壁パネルを前記ラック支柱の上方にジャッキアップする、ジャッキアップ工程と、
前記ラック支柱の上方に位置決めされた前記外壁パネルの小口面に対して前記ガスケットを取り付ける、ガスケット設置工程とを有することを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、外壁パネル積載ラックに外壁パネルが積載された状態で、ジャッキを利用して外壁パネルをラック支柱の上方にジャッキアップすることにより、搬送時にはラック支柱との間に十分な隙間のない外壁パネルの小口面に対して、ガスケットを効率的に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上の説明から理解できるように、本発明の外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法によれば、外壁パネル積載ラックに対して外壁パネルが積載された状態で、ガスケットの効率的な取り付けが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態に係る外壁パネル積載ラックの段フレーム体を構成する縦フレーム体の一例を示す図であって、(a)は縦フレーム体の正面図であり、(b)は(a)のb方向矢視図であって縦フレーム体の平面図であり、(c)は(a)のc方向斜視図であって縦フレーム体の側面図である。
図2】平面視枠状の段フレーム体の形成方法を説明する図である。
図3】三段の段フレーム体により構成される外壁パネル積載ラックの一例の正面図であって、最上段の段フレーム体にジャッキが取り付けられていない状態を示す図である。
図4図3のIV-IV矢視図である。
図5】縦フレーム体を構成するパネル受け桟に対して、ジャッキが載置固定されている固定治具を取り付ける方法を説明する図である。
図6】パネル受け桟に対して取り付けられているジャッキがジャッキダウンしている状態を示す正面図である。
図7】ジャッキをジャッキアップしている状態を示す斜視図である。
図8】最上段の段フレーム体がジャッキアップした状態を示す斜視図である。
図9図3に対応する図であって、最上段の段フレーム体がジャッキアップした状態を示す斜視図である。
図10図9のX-X矢視図であって、図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施形態に係る外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0034】
[実施形態に係る外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法]
図1乃至図10を参照して、実施形態に係る外壁パネル積載ラックとガスケットの取り付け方法の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る外壁パネル積載ラックの段フレーム体を構成する縦フレーム体の一例を示す図であって、図1(a)は縦フレーム体の正面図であり、図1(b)は図1(a)のb方向矢視図であって縦フレーム体の平面図であり、図1(c)は図1(a)のc方向斜視図であって縦フレーム体の側面図である。また、図2は、平面視枠状の段フレーム体の形成方法を説明する図であり、図3は、三段の段フレーム体により構成される外壁パネル積載ラックの一例の正面図であって、最上段の段フレーム体にジャッキが取り付けられていない状態を示す図であり、図4は、図3のIV-IV矢視図である。また、図5は、縦フレーム体を構成するパネル受け桟に対して、ジャッキが載置固定されている固定治具を取り付ける方法を説明する図であり、図6は、パネル受け桟に対して取り付けられているジャッキがジャッキダウンしている状態を示す正面図である。さらに、図7は、ジャッキをジャッキアップしている状態を示す斜視図であり、図8は、最上段の段フレーム体がジャッキアップした状態を示す斜視図である。
【0035】
図3に示す外壁パネル積載ラック50は、三段の段フレーム体20が積層されることにより構成されている。ここで、外壁パネル積載ラック50は、一段の段フレーム体20のみにより構成されてもよいし、二段、四段以上の段フレーム体20により構成されてもよいが、一度のトラック搬送にて可及的に多数の外壁パネル60を搬送し、現場においては外壁パネル積載ラック50の上で効率的に各外壁パネル60に対してガスケット80(図9参照)を取り付ける観点から、複数段の段フレーム体20により外壁パネル積載ラック50が構成されているのが好ましい。
【0036】
段フレーム体20は、外壁パネル60の長手方向の上部近傍と下部近傍の二箇所を少なくとも支持する、二つの縦フレーム体10を有する。図1に示すように、縦フレーム体10は、左右の二本のラック支柱11と、二本のラック支柱11を繋ぐパネル受け桟16とを有する。ラック支柱11とパネル受け桟16は、溶接接合により接続されている。
【0037】
ラック支柱11は、上端と下端に溝を備えており、上端の溝には差し込み部材12が差し込まれており、下端の溝は被差し込み溝13であり、複数の段フレーム体20が積層された際に、上段の段フレーム体20の被差し込み溝13に対して下段の段フレーム体20の差し込み部材12が差し込まれるようになっている。
【0038】
図1に示す縦フレーム体10は、最下段の段フレーム体20を構成する縦フレーム体10であり、従って、ラック支柱11の下端には脚座14が設けられている。尚、二段目、三段目の段フレーム体20を構成するラック支柱11には、脚座14は設けられていない。
【0039】
ラック支柱11の途中位置には、側方に張り出す固定ピン15が設けられている。図2に示すように、段フレーム体20を矩形枠状の段フレーム体とする場合は、二つの縦フレーム体10の左右にあるラック支柱11の各固定ピン15に対して、繋ぎ材19の備えるピン孔19aをX1方向に嵌め込み、ナット締め等することにより、矩形枠状の段フレーム体20が形成される。
【0040】
図示例の三段の段フレーム体20により形成される外壁パネル積載ラック50においては、例えば、最下段の段フレーム体20を矩形枠状の段フレーム体としたり、最下段と最上段の二段の段フレーム体20を矩形枠状の段フレーム体とすることにより、繋ぎ材19の本数を低減しながら、外壁パネル積載ラック50の構造安定性を高めることができる。尚、全ての段フレーム体20が矩形枠状の段フレーム体であってもよい。
【0041】
図1に戻り、横方向に延設するパネル受け桟16は、角パイプ等により形成されており、その側面には、0.25Pの間隔で複数のピン孔17が設けられている。このピン孔17には、後述するジャッキ30が載置固定される固定治具40から張り出すピン44(いずれも図5参照)が挿通されるようになっている。
【0042】
また、パネル受け桟16の下面には、複数の緩衝ブロック18が取り付けられている。この緩衝ブロック18は、例えばゴム製のブロックであり、搬送時に外壁パネル60が上下動した場合でも、外壁パネル60が緩衝ブロック18に当接することにより、外壁パネル60の破損を防止できる。
【0043】
図3及び図4に示すように、外壁パネル積載ラック50は、各段フレーム体20の備えるパネル受け桟16の上に、様々な幅の外壁パネル60を載置できるようになっている。
【0044】
図示例の外壁パネル積載ラック50において、最下段の段フレーム体20には、二つの1P幅の外壁パネル60Aが載置され、二段目の段フレーム体20には、一つの2P幅の外壁パネル60Cが載置され、最上段の段フレーム体20には、一つの1P幅の外壁パネル60Aと、二つの0.5P幅の外壁パネル60Bが載置されている。
【0045】
各段フレーム体20ともに、パネル受け桟16の上面の左端において、外壁パネル60の外壁フレーム64に開設されているピン孔64aにボルト等のピン16aを差し込むことにより、外壁パネル60の横ずれが防止されている。尚、後述するように、各段フレーム体20ともに、左側の外壁パネル60の左端のみがピン16aを介して段フレーム体20に固定されている。このことにより、左側の外壁パネル60の小口面にガスケットが取り付けられ、荷卸しされた後は、中央もしくは右側にある他の外壁パネル60を左側に横スライドさせ、同様にガスケットの取り付けと荷卸しを行うことができる。
【0046】
外壁パネル積載ラック50では、最上段の段フレーム体20のパネル受け桟16のピン孔17に対して、固定治具40から張り出すピン44が挿通され、パネル受け桟16に反力を取ってジャッキ30を作動することにより、外壁パネル60がジャッキアップされる。この際、パネル受け桟16の側面に0.25Pの間隔で複数のピン孔17が設けられていることにより、図示例のように0.5P,1P,2P等の様々な幅を有している外壁パネル60の幅中央位置にジャッキ30を取り付けることができ、外壁パネル60の幅中央をジャッキアップすることが可能になる。
【0047】
外壁パネル積載ラック50により積載され、現場搬送される外壁パネル60は、外壁面材61と、外壁面材61の背面にある縦胴縁62と、縦胴縁62の背面にある透湿防水シート(図示せず)と、透湿防水シートが貼り付けられている断熱ボード63と、断熱ボード63の背面(室内側)に固定されている外壁フレーム64とを有する。尚、外壁面材61と縦胴縁62、縦胴縁62と断熱ボード63、断熱ボード63と外壁フレーム64等は、ビスや釘等の固定手段(図示せず)により相互に固定されている。また、外壁フレーム64の内部において、グラスウールやロックウール等により形成される断熱材が充填されてもよい。
【0048】
外壁面材61は、サイディング材から形成されており、複数の縦柄目地と横柄目地をその表面に備えている。このサイディング材としては、窯業系サイディング、アルミや鋼板からなる金属系サイディング、天然木を加工してなる木質系サイディング、塩化ビニル樹脂等からなる樹脂系サイディングなどが挙げられる。縦胴縁62を介して外壁面材61と透湿防水シート及び断熱ボード63を配設することにより、外壁面材61の背面側に通気層65が形成される。
【0049】
図3に示すように、段フレーム体20を構成する縦フレーム体10のラック支柱11と、外壁パネル60との間には僅かな隙間Gがあり、この状態で、最上段の段フレーム体20に積載されている外壁パネル60の縦小口面60aにガスケット80を取り付ける十分なスペースがない。外壁パネル積載ラック50に外壁パネル60が積載されて搬送される際には、ラック支柱11と外壁パネル60の間の隙間Gが狭いことにより、外壁パネル積載ラック50に対して外壁パネル60が大きく横ずれすることなく、安定した積載姿勢で搬送される。
【0050】
その一方で、ラック支柱11と外壁パネル60との間の隙間Gが十分にないことから、この隙間Gを利用してガスケットを外壁パネル60の例えば縦小口面に設置することができない。
【0051】
そこで、外壁パネル積載ラック50では、最上段の段フレーム体20に積載されている外壁パネル60をジャッキアップしてラック支柱11の上方に外壁パネル60を位置決めすることにより、外壁パネル積載ラック50に外壁パネル60が積載された状態で、外壁パネル60の例えば縦小口面60aにガスケット80を取り付けることを可能にしている。
【0052】
図5に示すように、ジャッキ30にはパンタグラフジャッキが適用される。パンタグラフジャッキ30は固定治具40に載置固定され、固定治具40の備えるピン44が最上段の段フレーム体20のパネル受け桟16の備えるピン孔17に対して、X2方向に挿通されるようになっている。
【0053】
パンタグラフジャッキ30は、脚座31の上に基台32が設けられ、基台32を介してピン32aにより連結された一対のリンクアーム33からなる下部リンク機構と、受け台34を介してピン34aにより連結された一対のリンクアーム35からなる上部リンク機構とを有し、保持用連結体36aと作動用連結体36bの夫々を介して、下部リンク機構と上部リンク機構がパンタグラフ状に連結されている。保持用連結体36aと作動用連結体36bとの間隔は、スクリューロッド37の回動操作により拡縮し得るよう構成されている。
【0054】
スクリューロッド37の一端部(図5の右側端部)が保持用連結体36aに対し回動自在でかつ軸心方向には移動しないよう保持され、保持用連結体36aより外側に張り出した位置に回転操作体37aが設けられている。スクリューロッド37の他端部(図5における左側端部)側から一端部側の所要範囲に亘り、スクリューロッド37のネジ部が形成されており、ネジ部が作動用連結体36bに螺合されている。
【0055】
図7に示すように、回転操作体37aに対してインパクトレンチ70(ラチェットハンドル等であってもよい)を連結して保持用連結体36aと作動用連結体36bとの間隔が狭まる方向にスクリューロッド37を回動操作することにより、下部リンク機構と上部リンク機構の各リンクアーム33,35が起立作動し、基台32に対して受け台34がジャッキアップされる。
【0056】
図5に戻り、受け台34には、溝形鋼や角パイプ等からなる保持片38が固定され、保持片38に対して横方向に延設する長尺の押し上げ桟39が固定されている。パンタグラフジャッキ30を作動することにより、最上段の段フレーム体20のパネル受け桟16に載置されていた外壁パネル60が、押し上げ桟39を介してジャッキアップされる。
【0057】
パンタグラフジャッキ30が載置固定される固定治具40は、台座41と、台座41に固定されて縦方向に延設する縦片42と、縦片42の途中から側方(ジャッキ30側)へ張り出す横片43と、縦片42と横片43を繋ぐ補強リブ43aと、縦片42の背面側(パネル受け桟16側)に取り付けられている側面視くの字状の支持片45と、縦片42から背面側に張り出すピン44とを有する。
【0058】
台座41の下面には、例えばゴム製の緩衝ブロック41aが取り付けられている。台座41の上面にジャッキ30の脚座31が載置され、双方がボルト接合される。
【0059】
図示例のピン44はボルトにて形成されているが、ピン44はパネル受け桟16のピン孔17に螺合されず、単に挿通されるようになっている。
【0060】
最上段の段フレーム体20のパネル受け桟16の有する所定位置のピン孔17に対して、パンタグラフジャッキ30が載置固定されている固定治具40の備えるピン44をX2方向に挿通し、さらに、支持片45の上端エッジ45aにてパネル受け桟16の下面16bを支持することにより、固定治具40を介してパンタグラフジャッキ30をパネル受け桟16に対して簡単に取り付けることができる。従って、パネル受け桟16からパンタグラフジャッキ30を取り外す際も、固定治具40を側方に引き抜くだけで簡単に取り外すことができる。
【0061】
図6に示すように、最上段の段フレーム体20を構成する二つの縦フレーム体10のパネル受け桟16のうち、一方の縦フレーム体10のパネル受け桟16に対して、固定治具40を介してパンタグラフジャッキ30を取り付ける。この取り付け姿勢において、パンタグラフジャッキ30が載置固定されている固定治具40は、パネル受け桟16に吊り下げられている。パネル受け桟16に対してパンタグラフジャッキ30を取り付ける際は、図6に示すように、下部リンク機構と上部リンク機構が伏せた状態となっている。
【0062】
次に、図7に示すように、パンタグラフジャッキ30の回転操作体37aに対してインパクトレンチ70を連結し、スクリューロッド37を回動操作することにより、パンタグラフジャッキ30がパネル受け桟16に反力を取りながら、下部リンク機構と上部リンク機構の各リンクアーム33,35が起立作動する。このリンクアーム33,35の起立作動により、受け台34と押し上げ桟39が上昇し、最上段の段フレーム体20のパネル受け桟16に載置されていた外壁パネル60がジャッキアップされる。このジャッキアップにより、外壁パネル60の長手方向の一方の端部近傍が、最上段の段フレーム体20を構成するラック支柱11の上方に位置決めされる。
【0063】
次に、パンタグラフジャッキ30が載置固定されている固定治具40をパネル受け桟16から取り外し、他方の縦フレーム体10のパネル受け桟16に対して、固定治具40を同様に取り付ける。そして、図7に示すように、インパクトレンチ70を使用してスクリューロッド37を回動操作することにより、外壁パネル60の長手方向の他方の端部近傍を、最上段の段フレーム体20を構成するラック支柱11の上方に位置決めする。
【0064】
図8乃至図10は、外壁パネル60の全体が、最上段の段フレーム体20を構成するラック支柱11の上方に位置決めされた状態を示している。尚、図9及び図10は、外壁パネル60のジャッキアップ前後の状態をともに示している。
【0065】
図9に示すように、段フレーム体20を構成する左右のラック支柱11のうち、例えば左側のラック支柱11の近傍上方をガスケット取り付け位置に設定し、まず、左側にある外壁パネル60をZ1方向にジャッキアップする。この際、最上段の段フレーム体20のラック支柱11の上端には仮置きブラケット12aを設置しておき、仮置きブラケット12aの上に長尺なガスケット80を載置しておくのがよい(以上、ジャッキアップ工程)。
【0066】
次に、図9に明りょうに示すように、外壁パネル60の縦小口面60aの側方にはラック支柱11が存在せず、この状態で、仮置きブラケット12aに載置されているガスケット80を縦小口面60aに取り付ける。このガスケット80の取り付けに際しては、側方にラック支柱11が存在しないことから、精度よく、しかもスムーズに、外壁パネル60の縦小口面60aに対してガスケット80を取り付けることができる(以上、ガスケット設置工程)。
【0067】
外壁パネル60の縦小口面60a(や横小口面)にガスケット80が取り付けられた後、外壁パネル60は重機にて吊り下げられ、横引きされながら建物の架構に設置される。
【0068】
図9において、最上段の左側の外壁パネル60Aが荷卸しされた後、右側にある外壁パネル60Bをパネル受け桟16の上方に沿って左側のラック支柱11の近傍まで横スライドさせ、左側のラック支柱11の上方にて同様にガスケット80の取り付けを行う。すなわち、各段の段フレーム体20においては、左側に載置されている外壁パネル60の左端のみがピン16aを介して段フレーム体20に固定されている。尚、上から二段目の段フレーム体20では、広幅の一つの外壁パネル60Cの左端みがピン16aを介して段フレーム体20に固定されている。このことにより、搬送時には、各段フレーム体20に載置されている外壁パネル60の横ずれを防止でき、ガスケットの取り付けと荷卸しの際は、左側の外壁パネル60の縦小口面60a等にガスケット80が取り付けられ、荷卸しされた後、中央もしくは右側にある他の外壁パネル60を左側に横スライドさせ、同様にガスケットの取り付けと荷卸しを行うことができる。従って、搬送時の外壁パネル60の横ずれを防止でき、効率的なガスケットの取り付けと荷卸しを実現できる。また、このようにすることで、外壁パネル積載ラック50の外側にいる作業員が、外壁パネル積載ラック50の最上段の段フレーム体20の上に乗って、右側にある外壁パネル60の小口面にガスケット80を取り付ける必要がなくなるため、このように段フレーム体20の上に作業員が乗るに際して段フレーム体20の上に養生シート等を敷設する手間を省くことができる。
【0069】
最上段の段フレーム体20に積載されている全ての外壁パネル60A,60Bが荷卸しされた後、最上段の段フレーム体20が撤去され、新たな最上段の段フレーム体(図示例では、二段目の段フレーム体20)のパネル受け桟16に対してジャッキ30が盛り替えられ、同様に外壁パネル60Cに対するガスケット80の取り付けが行われ、外壁パネル60Cが荷卸しされていく。そして、最下段の段フレーム体20に載置されている外壁パネル60Aにも同様にガスケット80が取り付けられ、荷卸しされていく。
【0070】
図示する外壁パネル積載ラック50と、これを用いたガスケットの取り付け方法によれば、外壁パネル積載ラックに対して外壁パネルが積載された状態で、ガスケットの効率的な取り付けが可能になる。そのため、足場を設置するスペースがない狭小敷地における外壁パネルの設置施工に対して、好適な積載ラックであり、ガスケットの取り付け方法である。
【0071】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0072】
10:縦フレーム体
11:ラック支柱
12:差し込み部材
12a:仮置きブラケット
13:被差し込み溝
14:脚座
15:固定ピン
16:パネル受け桟
17:ピン孔
18:緩衝ブロック
19:繋ぎ材
19a:ピン孔
20:段フレーム体
30:ジャッキ(パンタグラフジャッキ)
31:脚座
32:基台
32a:ピン
33:リンクアーム
34:受け台
34a:ピン
35:リンクアーム
36a:保持用連結体
36b:作動用連結体
37:スクリューロッド
37a:回転操作体
38:保持片
39:押し上げ桟
40:固定治具
41:台座
41a:緩衝ブロック
42:縦片
43:横片
43a:補強リブ
44:ピン(ボルト)
45:支持片
45a:上端エッジ
50:外壁パネル積載ラック
60:外壁パネル
61:外壁面材
62:縦胴縁
63:断熱ボード
64:外壁パネルフレーム
65:通気層
70:インパクトレンチ
80:ガスケット
G:隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10