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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021511417
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2020011969
(87)【国際公開番号】W WO2020203291
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019069009
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 実高
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-158255(JP,A)
【文献】特開2015-059519(JP,A)
【文献】特開2012-021362(JP,A)
【文献】特開2014-173258(JP,A)
【文献】特開2018-030396(JP,A)
【文献】特開2013-064320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
上部旋回体に取り付けられる作業装置と、
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記油圧アクチュエータを操作する電気式の操作装置と、
前記電動機を制御し、前記操作装置の操作がされていない場合に、前記油圧ポンプを自動で停止させ、その後、前記操作装置の操作が開始される兆候がある場合に、前記油圧ポンプを自動で始動させる制御装置と、を備え
前記制御装置は、前記油圧ポンプを自動で停止させた後、前記操作装置の操作が開始される兆候がある場合、前記油圧ポンプを自動で始動させ、作業開始可能な第1の回転数よりも低く且つ正の値である第2の回転数まで復帰させると共に、その後、前記操作装置の操作が開始された場合に、前記油圧ポンプを前記第2の回転数から前記第1の回転数まで復帰させる、
ショベル。
【請求項2】
前記制御装置は、前記操作装置の操作がされていない場合であっても、前記操作装置の操作が開始される兆候がある場合、前記油圧ポンプを自動で停止させない、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、前記操作装置に対する接触を検出するセンサの検出情報、前記操作装置から出力される電気信号、又は、キャビンの室内に設置されるカメラの画像情報に基づき、前記操作装置の操作が開始される兆候があるか否かを判断する、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記制御装置は、前記油圧ポンプを自動で停止させた後、前記操作装置の操作が開始される兆候がある場合であっても、操縦席のシートベルトが装着されていない場合、キャビンの窓若しくはドアが閉まっていない場合、又はメンテナンス用の開口が閉まっていない場合、前記油圧ポンプを自動で始動させない、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置により前記油圧ポンプが自動で停止された後、操縦席のシートベルトが装着されていない場合、キャビンの窓若しくはドアが閉まっていない場合、又はメンテナンス用の開口が閉まっていない場合に、前記油圧ポンプが始動できないこと、及びその原因の少なくとも一方を通知する通知手段を更に備える、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項6】
前記制御装置は、前記操作装置の操作がされていない場合であっても、ショベルの周囲の所定範囲内に人が存在する場合、又は、ショベルがその姿勢又はその位置する場所の地形に起因する不安定状態にある場合、前記油圧ポンプを自動で停止させない、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項7】
前記制御装置は、前記油圧ポンプを自動で停止させた後、ショベルの周囲の所定範囲内に人が侵入した場合、前記油圧ポンプを自動で始動させる、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項8】
前記電動機の動力で発電を行う発電手段と、
前記発電手段の発電電力で充電を行うと共に、前記制御装置を含む相対的に低い電圧で稼働する機器に電力を供給する低圧蓄電装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記操作装置の操作がされていない場合であっても、前記低圧蓄電装置の残容量が相対的に低下している場合、又は、前記低圧蓄電装置の劣化が相対的に進んでいる場合、前記油圧ポンプを自動で停止させない、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項9】
前記電動機に相対的に高い電圧の電力を供給する高圧蓄電装置を更に備え、
前記制御装置は、前記操作装置の操作がされていない場合であっても、前記高圧蓄電装置の残容量が相対的に低下している場合、又は、前記高圧蓄電装置の劣化が相対的に進んでいる場合、前記油圧ポンプを自動で停止させない、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項10】
前記制御装置は、前記操作装置の操作がされていない場合であっても、ショベルの暖気運転が必要な場合、前記油圧ポンプを自動で停止させない、
請求項1乃至の何れか一項に記載のショベル。
【請求項11】
前記制御装置により前記油圧ポンプが自動で停止された場合に、ショベルが稼働中であることを通知する通知手段を更に備える、
請求項1乃至1の何れか一項に記載のショベル。
【請求項12】
ショベルの周辺の所定の物体を監視する周辺監視機能を有し、
前記制御装置により前記油圧ポンプが自動で停止された場合であっても、前記周辺監視機能は継続して作動する、
請求項1乃至1の何れか一項に記載のショベル。
【請求項13】
前記制御装置による、前記操作装置の操作がされていない場合に前記油圧ポンプを自動で停止させる機能を、停止させる操作部を備える、
請求項1乃至1の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショベルの油圧アクチュエータの非操作時に、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを停止させる技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる技術によれば、ショベルのエネルギ消費を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-208568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ショベルのエネルギ消費は、更に抑制されることが望ましい。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、ショベルにおいて、エネルギ消費をより抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
上部旋回体に取り付けられる作業装置と、
油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記油圧アクチュエータを操作する電気式の操作装置と、
前記電動機を制御し、前記操作装置の操作がされていない場合に、前記油圧ポンプを自動で停止させ、その後、前記操作装置の操作が開始される兆候がある場合に、前記油圧ポンプを自動で始動させる制御装置と、を備え
前記制御装置は、前記油圧ポンプを自動で停止させた後、前記操作装置の操作が開始される兆候がある場合、前記油圧ポンプを自動で始動させ、作業開始可能な第1の回転数よりも低く且つ正の値である第2の回転数まで復帰させると共に、その後、前記操作装置の操作が開始された場合に、前記油圧ポンプを前記第2の回転数から前記第1の回転数まで復帰させる、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、ショベルにおいて、エネルギ消費をより抑制することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ショベルの側面図である。
図2】ショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】コントローラによるポンプ停止機能に関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図4】コントローラによるポンプ停止機能に関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図5】コントローラによるポンプ停止機能に関する制御処理の第3例を概略的に示すフローチャートである。
図6】コントローラによるポンプ停止機能に関する制御処理の第4例を概略的に示すフローチャートである。
図7】ショベルの構成の他の例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0011】
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、作業機械の一例としてのショベルの概要を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るショベルの一例を示す側面図である。
【0013】
本実施形態に係るショベルは、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、作業装置としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。
【0014】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1A,1B(図2参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0015】
上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、後述する旋回用電動機21(図2参照)で電気駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。また、上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回用電動機21の代わりに、旋回油圧モータにより油圧駆動されてもよい。この場合、本実施形態のショベルは、エンジンを動力源とするメインポンプ14(図2参照)から供給される作動油で全ての被駆動要素が油圧駆動され、いわゆる油圧ショベルの動力源(エンジン)をポンプ用電動機12に置換した構成に相当する。
【0016】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0017】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット等のバケット6と異なる種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、例えば、ブレーカ、攪拌機、グラップル等のバケットと異なる種類のエンドアタッチメントであってもよい。
【0018】
キャビン10は、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部(室内)には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26等が設けられる。
【0019】
ショベルは、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を動作させる。
【0020】
また、ショベルは、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベルの外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベルが遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0021】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置で行われるショベルのアクチュエータに関する操作入力によって、ショベルが操作される態様が含まれる。この場合、ショベルは、例えば、上部旋回体3の周囲を撮像する撮像装置が出力する画像情報(撮像画像)を外部装置に送信し、画像情報は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に表示されてよい。また、ショベルのキャビン10の内部の後述する表示装置50に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベルの周囲の様子を表す撮像画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベルを遠隔操作することができる。そして、ショベルは、外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0022】
また、遠隔操作には、例えば、ショベルの周囲の人(例えば、作業者)のショベルに対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベルが操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベルは、ショベルに搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベルは、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素を駆動してよい。
【0023】
また、ショベルは、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベルは、下部走行体1(左右のクローラ)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」或いは「マシンコントロール機能」)を実現する。
【0024】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)以外の被駆動要素(油圧アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベルにおいて、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベルが自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0025】
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2を参照して、本実施形態に係るショベルの構成について説明する。
【0026】
図2は、本実施形態に係るショベルの駆動系を中心とする構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
尚、図中にて、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細い実線でそれぞれ示される。
【0028】
<油圧駆動系>
本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動要素のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベルの油圧駆動系は、ポンプ用電動機12と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0029】
ポンプ用電動機12(電動機の一例)は、油圧駆動系の動力源である。ポンプ用電動機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ポンプ用電動機12は、インバータ18Aを介して蓄電装置19及び電力変換装置100を含む蓄電系や旋回用電動機21と接続される。ポンプ用電動機12は、インバータ18Aを介して蓄電装置19や旋回用電動機21から供給される三相交流電力で力行運転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。ポンプ用電動機12の駆動制御は、後述するコントローラ30Bの制御下で、インバータ18Aにより実現されてよい。
【0030】
メインポンプ14(油圧ポンプの一例)は、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、ポンプ用電動機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するコントローラ30Aの制御下で、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
【0031】
コントロールバルブ17は、オペレータによる被駆動要素(対応する油圧アクチュエータ)に関する操作や自動運転機能に対応する被駆動要素(対応する油圧アクチュエータ)に関する操作指令に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給可能に構成される。例えば、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
【0032】
<電気駆動系>
本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、ポンプ用電動機12と、センサ12sと、インバータ18Aとを含む。また、本実施形態に係るショベルの電気駆動系は、旋回用電動機21と、センサ21sと、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回減速機24と、インバータ18Bとを含む。
【0033】
センサ12sは、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、回転状態センサ12s3とを含む。
【0034】
電流センサ12s1は、ポンプ用電動機12の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18Aとの間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
【0035】
電圧センサ12s2は、ポンプ用電動機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ12s2は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18Aとの間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Aに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Aに入力されてもよい。
【0036】
回転状態センサ12s3は、ポンプ用電動機12の回転状態(例えば、回転位置(回転角)、回転速度等)を検出する。回転状態センサ12s3は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバである。
【0037】
インバータ18Aは、コントローラ30Bの制御下で、ポンプ用電動機12を駆動制御する。インバータ18Aは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)を出力する制御回路とを含む。
【0038】
インバータ18Aの制御回路は、ポンプ用電動機12の動作状態を把握しながら、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。例えば、インバータ18Aの制御回路は、回転状態センサ12s3の検出信号に基づき、ポンプ用電動機12の動作状態を把握する。また、インバータ18Aの制御回路は、電流センサ12s1の検出信号及び電圧センサ12s2の検出信号(或いは制御過程で生成する電圧指令値)に基づき、逐次、ポンプ用電動機12の回転軸の回転角等を推定することにより、ポンプ用電動機12の動作状態を把握してもよい。
【0039】
尚、インバータ18Aの駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18Aの外部に設けられてもよい。
【0040】
旋回用電動機21は、コントローラ30B及びインバータ18Bの制御下で、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転、及び回生電力を発生させて上部旋回体3を旋回制動する回生運転を行う。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系(即ち、蓄電装置19及び電力変換装置100)に接続され、インバータ18Bを介して蓄電装置19から供給される三相交流電力により駆動される。また、旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して、回生電力を蓄電装置19やポンプ用電動機12に供給する。これにより、回生電力で、蓄電装置19を充電したり、ポンプ用電動機12を駆動したりすることができる。旋回用電動機21の力行運転と回生運転との切替制御は、コントローラ30Bの制御下で、インバータ18Bにより実現されてよい。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
【0041】
センサ21sは、電流センサ21s1と、電圧センサ21s2とを含む。
【0042】
電流センサ21s1は、旋回用電動機21の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ21s1は、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bとの間の電力経路に設けられる。電流センサ21s1により検出される、旋回用電動機21の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれてよい。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Bに入力されてもよい。
【0043】
電圧センサ21s2は、旋回用電動機21の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ21s2は、例えば、旋回用電動機21とインバータ18Bとの間の電力経路に設けられる。電圧センサ21s2により検出される旋回用電動機21の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18Bに入力されてもよい。
【0044】
レゾルバ22は、旋回用電動機21の回転状態(例えば、回転位置(回転角)や回転速度等)を検出する。レゾルバ22により検出された回転角等に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18Bに取り込まれてよい。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由でインバータ18Bに入力されてもよい。
【0045】
メカニカルブレーキ23は、コントローラ30Bの制御下で、旋回用電動機21の回転軸21Aに対して、機械的に制動力を発生させる。これにより、メカニカルブレーキ23は、上部旋回体3の旋回制動を行ったり、上部旋回体3の停止状態を維持させたりすることができる。
【0046】
旋回減速機24は、旋回用電動機21の回転軸21Aと接続され、旋回用電動機21の出力(トルク)を所定の減速比で減速させることにより、トルクを増大させて、上部旋回体3を旋回駆動する。即ち、力行運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、上部旋回体3を旋回駆動する。また、旋回減速機24は、上部旋回体3の慣性回転力を増速させて旋回用電動機21に伝達し、回生電力を発生させる。即ち、回生運転の際、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して伝達される上部旋回体3の慣性回転力により回生発電を行い、上部旋回体3を旋回制動する。
【0047】
インバータ18Bは、コントローラ30Bの制御下で、旋回用電動機21を駆動制御する。インバータ18Bは、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号(例えば、PWM信号)を出力する制御回路とを含む。
【0048】
例えば、インバータ18Bの制御回路は、電流センサ21s1、電圧センサ21s2、及びレゾルバ22の検出信号に基づき、旋回用電動機21に関する速度フィードバック制御及びトルクフィードバック制御を行う。
【0049】
尚、インバータ18Bの駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18Bの外部に設けられてもよい。
【0050】
<蓄電系>
本実施形態に係るショベルの蓄電系は、蓄電装置19と、電力変換装置100とを含む。
【0051】
蓄電装置19(高圧蓄電装置の一例)は、外部の商用電源と所定のケーブルで接続されることにより充電(蓄電)されると共に、充電(蓄電)された電力をポンプ用電動機12や旋回用電動機21に供給する。また、蓄電装置19は、旋回用電動機21の発電電力(回生電力)を充電する。蓄電装置19は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、相対的に高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する。
【0052】
電力変換装置100は、蓄電装置19の電力を昇圧したり、インバータ18A,18Bを経由してポンプ用電動機12や旋回用電動機21からの発電電力(回生電力)を降圧し、蓄電装置19に蓄電させたりする。電力変換装置100は、ポンプ用電動機12及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス110の電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作とを切り替える。電力変換装置100の昇圧動作と降圧動作との切替制御は、DCバス110の電圧検出値、蓄電装置19の電圧検出値、及び蓄電装置19の電流検出値に基づき、コントローラ30Bにより実現されてよい。
【0053】
尚、蓄電装置19の出力電圧を昇圧してポンプ用電動機12や旋回用電動機21に印加する必要が無い場合、電力変換装置100は省略されてよい。
【0054】
<操作系>
本実施形態に係るショベルの操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、圧力制御弁31とを含む。
【0055】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して圧力制御弁31(例えば、比例弁)にパイロット圧を供給する。これにより、圧力制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0056】
操作装置26は、例えば、レバー26A~26Cを含む。操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動要素(即ち、下部走行体1の左右のクローラ、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、それぞれの被駆動要素を駆動する油圧アクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)や電動アクチュエータ(旋回用電動機21等)の操作を行うために用いられる。操作装置26は、電気式であり、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力する。操作装置26から出力される操作信号は、コントローラ30Aに取り込まれる。
【0057】
尚、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の油圧制御弁(方向切換弁)で構成される場合、操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってもよい。
【0058】
圧力制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、パイロットポンプ15からパイロットライン25を通じて供給される作動油を用いて、操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力する。圧力制御弁31の二次側のパイロットラインは、コントロールバルブ17に接続され、操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0059】
<制御系>
本実施形態に係るショベルの制御系は、制御装置30と、周囲情報取得装置40と、表示装置50と、を含む。
【0060】
制御装置30は、コントローラ30A~30Cを含む。
【0061】
コントローラ30A~30Cは、それぞれの機能が任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、コントローラ30A~30Cは、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(主記憶装置)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び外部とのインタフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されてよい。
【0062】
コントローラ30Aは、コントローラ30B,30Cを含む制御装置30を構成する各種コントローラと連携し、ショベルの駆動制御を行う。
【0063】
例えば、コントローラ30Aは、操作装置26から入力される操作信号に応じて、圧力制御弁31に制御指令を出力し、圧力制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力させる。これにより、コントローラ30Aは、電気式の操作装置26の操作内容に対応するショベル(被駆動要素)の動作を実現させることができる。
【0064】
また、例えば、コントローラ30Aは、圧力制御弁31を用いて、ショベルの遠隔操作を実現する。具体的には、コントローラ30Aは、外部装置から受信される遠隔操作信号やショベルの周囲の人から受け付けられる音声入力、ジェスチャ入力等で指定される遠隔操作の内容に対応する制御指令を圧力制御弁31に出力してよい。そして、圧力制御弁31は、パイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、コントローラ30Aからの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させてよい。これにより、遠隔操作の内容がコントロールバルブ17の動作に反映され、油圧アクチュエータによって、遠隔操作の内容に沿った各種動作要素(被駆動要素)の動作が実現される。
【0065】
また、例えば、コントローラ30Aは、圧力制御弁31を用いて、ショベルの自動運転機能を実現する。具体的には、コントローラ30Aは、自動運転機能に関する操作指令に対応する制御指令を圧力制御弁31に出力してよい。操作指令は、コントローラ30Aにより生成されてもよいし、自動運転機能に関する制御を行う他の制御装置により生成されてもよい。そして、圧力制御弁31は、パイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、コントローラ30Aからの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させてよい。これにより、自動運転機能に関する操作指令の内容がコントロールバルブ17の動作に反映され、油圧アクチュエータによって、自動運転機能による各種動作要素(被駆動要素)の動作が実現される。
【0066】
また、例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30B,30C等の各種コントローラとの双方向通信に基づき、ショベル全体(ショベルに搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
【0067】
また、例えば、コントローラ30Aは、ショベルの運転中(つまり、キースイッチがONされている最中)に、操作装置26の操作がされていない場合、メインポンプ14を自動で停止させる(図3図4参照)。これにより、ショベルの非操作時に不要なメインポンプ14、つまり、ポンプ用電動機12が停止されるため、ポンプ用電動機12で消費される蓄電装置19の電力を抑制することができる。以下、操作装置26の非操作時にメインポンプ14を自動で停止させる機能を「ポンプ停止機能」と称する。
【0068】
尚、制御装置30(コントローラ30A,30B)は、ショベルの起動時、つまり、キースイッチがONされたときに、操作装置26の操作の有無に依らず、メインポンプ14、つまり、ポンプ用電動機12を始動させる。これにより、制御装置30は、ショベルの起動時に、ポンプ用電動機12を一度始動させ、ポンプ用電動機12を制御可能な状態に移行させることができる。また、制御装置30は、ショベルの起動時に、ポンプ用電動機12を一度始動させ、ポンプ用電動機12の異常の有無等の診断処理を行うことができる。例えば、コントローラ30Bは、インバータ18Aを通じて、ポンプ用電動機12に通電させることにより、異常の有無を診断する。コントローラ30Bは、異常がある場合、表示装置50等を通じて、ポンプ用電動機12に異常があることをオペレータに通知してよい。一方、コントローラ30Bは、ポンプ用電動機12に異常がない場合、その後、操作装置26の操作が開始されない場合、ポンプ停止機能により、ポンプ用電動機12を停止させてよい。
【0069】
コントローラ30Bは、コントローラ30Aから入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作信号を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系や蓄電系の駆動制御を行う。
【0070】
例えば、コントローラ30Bは、操作装置26の操作内容に基づき、インバータ18Bを駆動し、旋回用電動機21の運転状態(力行運転及び回生運転)の切替制御を行う。
【0071】
また、例えば、コントローラ30Bは、操作装置26の操作状態に基づき、電力変換装置100を駆動し、電力変換装置100の昇圧運転と降圧運転、換言すれば、蓄電装置19の放電状態と充電状態との切替制御を行う。
【0072】
また、例えば、コントローラ30Bは、コントローラ30Aからのポンプ停止機能に関する制御指令に応じて、ポンプ用電動機12の停止及び始動に関する制御を行う(図3図4参照)。
【0073】
コントローラ30Cは、ショベルの周辺監視機能に関する制御を行う。
【0074】
例えば、コントローラ30Cは、周囲情報取得装置40から取り込まれる、ショベルの周囲の三次元空間の状況に関する情報(例えば、ショベルの周囲の物体やその位置に関する検出情報)に基づき、ショベルの周辺の所定の物体やその位置(以下、「監視対象」)を検出する。
【0075】
また、例えば、コントローラ30Cは、ショベルに相対的に近接する領域(以下、「監視エリア」)で監視対象を検出した場合、キャビン10の室内の表示装置50や音声出力装置等を通じて、警報を出力する。
【0076】
尚、コントローラ30B,30Cの機能は、コントローラ30Aに統合されてもよい。つまり、制御装置30により実現される各種機能は、一つのコントローラにより実現されてもよいし、適宜設定される2以上の数のコントローラにより分散して実現されてもよい。
【0077】
周囲情報取得装置40は、ショベルの周囲の三次元空間の状況に関する情報を出力する。周囲情報取得装置40は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等を含んでよい。周囲情報取得装置40の出力情報は、コントローラ30Cに取り込まれる。
【0078】
表示装置50は、キャビン10内のオペレータから視認し易い場所に設置され、コントローラ30Aの制御下で、各種情報画像を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。
【0079】
尚、表示装置50は、コントローラ30A以外のコントローラ(例えば、コントローラ30C)の制御下で動作する態様であってもよい。
【0080】
<その他の構成要素>
本実施形態に係るショベルは、空調装置42と、オルタネータ44と、バッテリ46とを含む。
【0081】
空調装置42は、キャビン10の室内の温度や湿度等を調整する。空調装置42は、例えば、冷暖兼用のヒートポンプ式であり、コンプレッサ42aを含む。また、空調装置42は、暖房用のヒータ(例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)や燃焼式ヒータ)を含んでもよい。
【0082】
コンプレッサ42aは、空調装置42のヒートポンプサイクルにおいて、冷媒を圧縮する。コンプレッサ42aは、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0083】
尚、コンプレッサ42aは、ポンプ用電動機12とは異なる電動機(例えば、蓄電装置19やバッテリ46の電力で作動する内蔵の電動機)で駆動されてもよい。
【0084】
オルタネータ44(発電手段の一例)は、ポンプ用電動機12の動力により発電を行う。オルタネータ44の発電電力は、バッテリ46に供給され、バッテリ46に充電(蓄電)されたり、コントローラ30A~30C等、バッテリ46の電力で駆動される機器に供給されたりする。
【0085】
バッテリ46(低圧蓄電装置の一例)は、相対的に低い出力電圧(例えば、24ボルト)を有し、相対的に高い電力を要する電気駆動系以外の電気機器(例えば、コントローラ30A~30C)に電力を供給する。バッテリ46は、例えば、鉛蓄電池であり、上述の如く、オルタネータ44の発電電力で充電される。
【0086】
尚、バッテリ46は、所定の電力変換装置(例えば、DC(Direct Current)-DCコンバータ)を通じて供給される、蓄電装置19の電力で充電されてもよい。この場合、オルタネータ44は、省略されてよい。
【0087】
[ポンプ停止機能の詳細]
次に、図3図6を参照して、制御装置30(コントローラ30A,30B)によるポンプ停止機能に関する制御処理について説明する。
【0088】
<ポンプ停止機能に関する制御処理の第1例>
図3は、制御装置30によるポンプ停止機能に関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、ショベルの起動から停止までの運転中において、所定の処理間隔で繰り返し実行される。以下、図4図6のフローチャートについても同様であってよい。
【0089】
ステップS102にて、コントローラ30Aは、操作装置26から入力される操作信号に基づき、操作装置26の非操作条件が成立するか否かを判定する。操作装置26の非操作条件は、例えば、"操作装置26が操作されていないこと"である。また、操作装置26の非操作条件は、例えば、"操作装置26の操作がされていない状態が所定時間(例えば、10秒)以上継続していること"であってもよい。以下、非操作条件は、メインポンプ14を自動で停止させるための条件(以下、「停止条件」)の一つである前提で説明を進める。コントローラ30Aは、非操作条件が成立する場合、ステップS104に進み、非操作条件が成立しない場合、今回の処理を終了する。
【0090】
ステップS104にて、コントローラ30Aは、非操作条件以外の他の停止条件の全てが成立するか否かを判定する。
【0091】
停止条件には、例えば、蓄電装置19の残容量に関する条件("蓄電装置19の残容量が所定の閾値以上であること")が含まれてよい。蓄電装置19の残容量が相対的に低下すると、停止されたメインポンプ14を再始動させることが可能な電力を蓄電装置19からポンプ用電動機12に供給できない可能性があるからである。このとき、蓄電装置19の残容量は、例えば、蓄電装置19の電流や電圧等を計測するセンサの検出値等に基づき、既知の方法を用いて適宜推定されてよい。
【0092】
また、停止条件には、例えば、蓄電装置19の劣化状態に関する条件("蓄電装置19の劣化が所定基準を超えて進行していないこと")が含まれてよい。蓄電装置19の劣化が相対的に進行してしまうと、停止されたメインポンプ14を再始動させることが可能な電力を蓄電装置19からポンプ用電動機12に供給できない可能性があるからである。このとき、蓄電装置19の劣化状態は、例えば、蓄電装置19の電流や電圧等を計測するセンサの検出値に基づき、既知の方法を用いて適宜推定されてよい。
【0093】
また、停止条件には、例えば、バッテリ46の残容量に関する条件("バッテリ46の残容量が所定の閾値以上であること")が含まれてよい。バッテリ46の残容量が相対的に低下すると、メインポンプ14の停止のためのポンプ用電動機12の停止中に、オルタネータ44の発電電力が無くなり、バッテリ46からコントローラ30A~30C等に十分な電力供給ができなくなる可能性があるからである。このとき、バッテリ46の残容量は、例えば、蓄電装置19の場合と同様の方法で適宜推定されてよい。また、バッテリ46の残容量は、バッテリ液の比重計の計測値から算出されてもよい。バッテリ46の電圧が低下すると、バッテリ液の比重が顕著に変化するからである。
【0094】
また、停止条件には、例えば、バッテリ46の劣化状態に関する条件("バッテリ46の劣化が所定基準を超えて進行していないこと")が含まれてよい。バッテリ46の劣化が相対的に進行してしまうと、メインポンプ14の停止のためのポンプ用電動機12の停止中に、オルタネータ44の発電電力が無くなり、バッテリ46からコントローラ30A~30C等に十分な電力供給ができなくなる可能性があるからである。このとき、バッテリ46の劣化状態は、例えば、蓄電装置19の場合と同様の方法で適宜推定されてよい。
【0095】
尚、バッテリ46が蓄電装置19からの電力で充電可能な構成の場合、バッテリ46の残容量に関する条件、及びバッテリ46の劣化状態に関する条件は、停止条件から省略されてよい。また、バッテリ46が蓄電装置19からの電力で充電可能な構成の場合であって、蓄電装置19の残容量が相対的に高い(つまり、残容量がバッテリ46を充電可能な程度に十分ある)場合に、バッテリ46の残容量に関する条件、及びバッテリ46の劣化状態に関する条件が、停止条件から省略される態様であってもよい。
【0096】
また、停止条件には、例えば、ショベルの暖機に関する条件("ショベルの暖機が必要でないこと")が含まれてよい。ショベルの暖機には、作動油の暖機や、蓄電装置19の暖機が含まれる。ショベルの暖機が必要な場合、メインポンプ14を継続的に作動させて作動油を循環させたり、蓄電装置19と負荷との間を通電させたりする必要があるからである。このとき、ショベルの暖機の要否は、例えば、ショベルの外気温を測定するセンサや、メインポンプ14から吐出される作動油の温度を測定するセンサ等の検出値に基づき、判断されてよい。
【0097】
また、停止条件には、例えば、気温に関する条件("キャビン10の外気温が所定範囲内にあること"や"キャビン10の室内の気温が所定範囲内にあること"等)が含まれてよい。気温が所定範囲を逸脱した非常に低い状態や非常に高い状態において、メインポンプ14が停止されると、ポンプ用電動機12の停止に伴いコンプレッサ42aが停止し、キャビン10の室内のオペレータの快適性が損なわれてしまう可能性が高いからである。このとき、キャビン10の外気温や室内気温は、例えば、上部旋回体3におけるキャビン10の外部に搭載される温度センサや、キャビン10の室内に搭載される温度センサにより測定されてよい。
【0098】
尚、空調装置42(コンプレッサ42a)がポンプ用電動機12以外の動力で駆動される場合、気温に関する条件は、停止条件から省略されてもよい。
【0099】
また、空調装置42(コンプレッサ42a)がポンプ用電動機12以外の専用の電動機(以下、「空調用電動機」)で駆動される場合、停止条件には、空調用電動機に電力を供給する電力供給源の電力供給可能量(例えば、残容量)に関する条件が含まれてよい。この場合、停止条件には、例えば、"空調用電動機の電力供給源からの電力供給可能量が相対的に高い(即ち、空調用電動機をある程度の時間継続して稼働させることが可能な程度に十分ある)こと"等が含まれてよい。
【0100】
また、停止条件には、例えば、ショベルの周囲の人の存在に関する条件("ショベルの周囲の近接する領域(監視エリア)内に人が存在しないこと"等)が含まれてよい。ショベルのメインポンプ14(ポンプ用電動機12)が停止してしまうと、ショベルの周囲の作業者等の人が、ショベルが停止(キースイッチがOFF)されていると誤認し、ショベルに近づいてしまう可能性があるからである。
【0101】
また、停止条件には、ショベルの姿勢やショベルの位置する場所の地形に起因する安定性に関する条件("ショベルが静的不安定状態にないこと"や"ショベルが地形的不安定状態にないこと"等)が含まれてよい。静的不安定状態は、ショベルの姿勢状態に起因する不安定状態であり、地形的不安定状態は、ショベルが位置している場所の地形に起因する不安定状態である。例えば、ショベルの姿勢やその場所の地形に起因して、ショベルが不安定な状態にある場合、オペレータの操作装置26に対する操作に応じて、被駆動要素を動作させ、ショベルの転倒等を回避させる必要が生じうるからである。
【0102】
ショベルの静的不安定状態には、例えば、アタッチメントの先端、つまり、バケット6の位置がショベルの車体(下部走行体1、旋回機構2、及び上部旋回体3等)から相対的に離れた位置にある姿勢状態が含まれる。バケット6の位置が車体から相対的に大きく離れると、アタッチメントから車体に作用するショベルを前方に転倒させる方向のモーメント(以下、「転倒モーメント」)が相対的に大きくなり、ショベルが相対的に転倒し易くなるからである。また、ショベルの静的不安定状態には、例えば、アタッチメントの先端、つまり、バケット6の位置が相対的に高い位置にある姿勢状態が含まれる。例えば、ショベルの動作や外力等の作用等の何等かの理由で、ショベルが前方に転倒し始めた場合に、バケット6の位置が相対的に高い位置にあると、バケット6を地面に当接させて、ショベルの転倒を抑制することが難しくなるからである。また、ショベルの静的不安定状態には、例えば、下部走行体1の進行方向と、上部旋回体3の向き、つまり、アタッチメントの向きとの間の相対角度(旋回角度)が相対的に大きい姿勢状態が含まれる。例えば、下部走行体1は、進行方向よりも幅方向の接地長さが相対的に小さく、アタッチメントの向きが下部走行体1の幅方向に相対的に近くなると、アタッチメントの重量やアタッチメントの動作等に起因して、ショベルが転倒し易くなるからである。
【0103】
ショベルの地形的不安定状態には、例えば、下部走行体1が、その走行中や上部旋回体3及びアタッチメントによる作業中に、地形的な影響で前方或いは後方滑る状態やその可能性が高い状態が含まれてよい。また、ショベルの地形的不安定状態には、例えば、下部走行体1が、その走行中や上部旋回体3及びアタッチメントによる作業中に、地形的な影響で、下部走行体1の一部が浮き上がる状態やその可能性が高い状態が含まれてよい。また、ショベルの地形的不安定状態には、例えば、下部走行体1の走行中や上部旋回体3及びアタッチメントによるショベルの作業中に、地形的な影響で車体が傾倒したり、ふらついたりする状態やその可能性が高い状態が含まれてよい。また、ショベルの地形的不安定状態には、例えば、下部走行体1が、その走行中や上部旋回体3及びアタッチメントによるショベルの作業中に、地形的な影響で車体が振動する状態やその可能性が高い状態が含まれてよい。地形的な影響には、地面の地質、地面の水分、地面の傾斜、地面の凹凸、地面の崩れ等が含まれうる。また、簡易的には、ショベルの地形的不安定状態は、ショベルが傾斜地に位置していることであってもよい。
【0104】
コントローラ30Aは、他の停止条件の全てが成立する場合、ステップS106に進み、他の停止条件の何れかが成立しない場合、今回の処理を終了する。
【0105】
尚、オペレータが自分の意思でポンプ停止機能を実行させないように設定することが可能であってもよい。例えば、キャビン10内に設けられる入力装置を通じた所定の入力が行われると、ポンプ停止機能が無効にされてよい(つまり、ポンプ停止機能が停止されてよい)。この場合、ステップS102、S104の停止条件が成立している場合であっても、メインポンプ14は自動で停止されない。入力装置は、例えば、オペレータ等からの操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。操作入力装置には、例えば、表示装置50に実装されるタッチパネル、表示装置50とは別に設けられるタッチパッド、ボタン、トグル、レバー等が含まれてよい。例えば、操作入力装置に対するON操作(例えば、専用のボタンスイッチや表示装置50に表示される仮想的なボタンアイコン等のON操作)に応じて、ポンプ停止機能が無効にされてよい。また、入力装置は、例えば、オペレータからの音声入力やジェスチャ入力を受け付ける音声入力装置やジェスチャ入力装置を含んでもよい。例えば、オペレータからの所定の音声入力や所定のジェスチャ入力が受け付けられると、ポンプ停止機能が無効にされてよい。
【0106】
ステップS106にて、コントローラ30Bは、コントローラ30Aからの制御指令に応じて、ポンプ用電動機12を停止させる。これにより、メインポンプ14が停止される。これにより、操作装置26の非操作時にポンプ用電動機12が停止されるため、ポンプ用電動機12で消費される蓄電装置19の電力を低減させることができる。そのため、ショベルは、蓄電装置19の電力でより長い時間継続して稼働することができる。
【0107】
ステップS106の処理に伴うメインポンプ14(ポンプ用電動機12)の停止状態において、油圧アクチュエータを駆動させる以外の他の機能は、有効な状態が維持される。例えば、メインポンプ14(ポンプ用電動機12)の停止状態において、周辺監視機能は、継続して作動する。これにより、コントローラ30Cは、ショベルの作業が一時的に中断されている最中であっても、ショベルの周辺の近接領域に侵入する監視対象を検出し、警報等によりオペレータ等に知らせることができる。
【0108】
また、ステップS106の処理に伴うメインポンプ14(ポンプ用電動機12)の停止状態において、コントローラ30Aは、表示装置50(通知手段の一例)を通じ、ショベルが稼働中であること、即ち、ショベルが停止(キースイッチがOFF)されていないことを視覚的に通知してもよい。また、コントローラ30Aは、表示装置50を通じて、ショベルが稼働を継続した状態のままでメインポンプ14が自動で停止された状態であることを視覚的に通知してもよい。これにより、オペレータは、操作装置26の非操作状態に応じて、ショベルが稼働中のままでメインポンプ14が自動で停止されていることを把握することができる。また、これに代えて、或いは、併せて、コントローラ30Aは、表示装置50を通じ、操作装置26が操作されることによりメインポンプ14が始動することを視覚的に通知してもよい。これにより、オペレータは、操作装置26の操作を開始すれば、メインポンプ14が始動し、作業を再開可能であることを認識することができる。
【0109】
尚、コントローラ30Aは、表示装置50に代えて、或いは、加えて、他の方法でこれらの通知を行ってもよい。例えば、コントローラ30Aは、キャビン10の室内に設置される音声出力装置(例えば、スピーカ)(通知手段の一例)を通じて、聴覚的な方法で通知を行ってもよい。
【0110】
ステップS108にて、コントローラ30Aは、メインポンプ14を始動させる上でのショベルの安全性に関する条件(以下、「安全条件」)が成立するか否かを判定する。
【0111】
安全条件には、例えば、シートベルトの装着状態に関する条件("キャビン10内の操縦席のシートベルトが装着されていること")が含まれてよい。このとき、シートベルトの装着の有無は、例えば、シートベルトのバックルに内蔵される、シートベルトの装着の有無を検出するスイッチの出力情報に基づき判断されてよい。
【0112】
また、安全条件には、例えば、キャビン10内のゲートレバーに関する条件("ゲートレバーが上げられていること")が含まれてよい。このとき、ゲートレバーが上げられているか否かは、ゲートレバーの状態を検出するゲートレバースイッチの出力情報に基づき判断されてよい。
【0113】
また、安全条件には、例えば、キャビン10の窓やドアの開閉状態に関する条件("キャビン10の窓及びドアが閉じていること")が含まれてよい。このとき、キャビン10の窓やドアの開閉状態は、例えば、窓やドアに設置される、窓やドアの開閉状態を検出するスイッチの出力情報に基づき判断されてよい。
【0114】
また、安全条件には、例えば、上部旋回体3のメンテナンス用の開口(例えば、ハウス部上面のエンジンフードやハウス部側面のメンテナンスドア等)の開閉状態に関する条件("メンテナンス用の開口が全て閉じられていること")が含まれてよい。ショベルによる作業の一時中断時に、サービスマン等がショベルのメンテナンスを行っている可能性があるからである。このとき、メンテナンス用の開口の開閉状態は、例えば、メンテナンス用の開口に設置される、蓋や扉等が開口を塞いでいるか否かを検出するスイッチの出力情報に基づき判断されてよい。
【0115】
コントローラ30Aは、安全条件が全て成立している場合、ステップS110に進み、安全条件が成立していない場合、安全条件が成立するまで待機する(ステップS108の処理を繰り返す)。
【0116】
コントローラ30Aは、ステップS108の安全条件が成立していない場合、上述の表示装置50(通知手段の一例)や音声出力装置(通知手段の一例)等を通じて、メインポンプ14を始動できないことを通知してもよい。また、コントローラ30Aは、具体的に、メインポンプ14を始動できない原因を通知してもよい。これにより、オペレータは、ショベルの安全性の問題によってメインポンプ14が始動されないことを認識することができる。
【0117】
ステップS110にて、コントローラ30Aは、操作装置26から入力される操作信号に基づき、操作装置26の操作開始条件が成立したか否か、つまり、操作装置26の操作が再開されたか否かを判定する。以下、操作開始条件は、メインポンプ14を自動で始動させるための条件(以下、「始動条件」)の一つである前提で説明を進める。コントローラ30Aは、操作開始条件が成立しない場合、ステップS112に進み、操作開始条件が成立する場合、ステップS114に進む。
【0118】
ステップS110にて、コントローラ30Aは、他の始動条件の何れかが成立するか否かを判定する。
【0119】
始動条件には、例えば、停止条件の場合と同様、蓄電装置19の残容量に関する条件(“蓄電装置19の残容量が所定の閾値未満であること”)が含まれてよい。例えば、蓄電装置19の電力でバッテリ46を充電可能な構成の場合、メインポンプ14の停止期間が相対的に長くなると、蓄電装置19の残容量が相対的に少なくなってしまう可能性があるからである。このとき、停止条件の“閾値”と、始動条件の“閾値”とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0120】
尚、蓄電装置19の電力でバッテリ46を充電しない構成の場合、蓄電装置19の残容量に関する条件は、始動条件から省略されてよい。
【0121】
また、始動条件には、例えば、停止条件の場合と同様、バッテリ46の残容量に関する条件(“バッテリ46の残容量が所定の閾値未満であること”)が含まれてよい。ポンプ用電動機12で駆動されるオルタネータ44の発電電力でバッテリ46が充電される構成の場合、メインポンプ14の停止期間が相対的に長くなると、バッテリ46の残容量が相対的に少なくなってしまう可能性があるからである。このとき、停止条件の“閾値”と、始動条件の“閾値”とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0122】
尚、蓄電装置19の電力でバッテリ46を充電可能な構成の場合、バッテリ46の残容量に関する条件は、始動条件から省略されてよい。
【0123】
また、始動条件には、例えば、キャビン10の室内気温に関する条件(“キャビン10の室内の気温が所定範囲にあること”等)が含まれてよい。メインポンプ14の停止期間が相対的に長くなると、キャビン10の室内気温が上昇或いは低下し、オペレータの快適性を損なってしまう可能性があるからである。このとき、停止条件の“所定範囲”と、始動条件の“所定範囲”とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0124】
また、始動条件には、例えば、ショベルの周囲の人の存在に関する条件("ショベルの周囲の近接する領域(監視エリア)内に人が存在する(侵入している)こと"等)が含まれてよい。ショベルのメインポンプ14(ポンプ用電動機12)が停止している場合、ショベルの周囲の作業者等の人が、ショベルが停止(キースイッチがOFF)されていると誤認し、ショベルに近づいてしまう可能性があるからである。
【0125】
また、始動条件には、例えば、ショベルの姿勢やショベルの位置する場所の地形に起因する安定性に関する条件("ショベルが静的不安定状態にあること"や"ショベルが地形的不安定状態にあること"等)が含まれてよい。停止条件の成立後に、何等かの理由(例えば、地震等)で、ショベルが位置する場所の地形変動が生じ、その結果、ショベルが不安定な状態にある場合、オペレータの操作装置26に対する操作に応じて、被駆動要素を動作させ、ショベルの転倒等を回避させる必要が生じうるからである。
【0126】
また、始動条件には、例えば、オペレータの意思によるメインポンプ停止機能の強制解除に関する条件("キャビン10内に設けられる入力装置を通じたオペレータからのメインポンプ14の停止を強制的に解除するための所定の入力が受け付けられること"等)が含まれてよい。これにより、オペレータは、ポンプ停止機能によるメインポンプ14の停止状態を強制的に解除させることができる。
【0127】
コントローラ30Aは、他の始動条件の何れかが成立している場合、ステップS114に進み、成立していない場合、ステップS108に戻り、ステップS108~S112の処理を繰り返す。
【0128】
ステップS114にて、コントローラ30Bは、コントローラ30Aからの制御指令に応じて、ポンプ用電動機12を始動させる。そして、コントローラ30Bは、メインポンプ14の回転数を、ショベルが油圧アクチュエータを動作させて作業を開始させることが可能な所定の回転数(以下、「作業用回転数」)まで復帰させて、今回の処理を終了する。これにより、オペレータは、操作装置26の操作を行うことで、メインポンプ14を始動させて、ショベルによる作業を再開することができる。
【0129】
コントローラ30Bは、ポンプ用電動機12を始動させる場合、毎回、同じ上昇速度でポンプ用電動機12(即ち、メインポンプ14)の回転数(回転速度)を上昇させてよい。また、コントローラ30Bは、ポンプ用電動機12を始動させる場合、所定の条件によって、ポンプ用電動機12の回転数の上昇速度を異ならせてもよい。この場合、コントローラ30Bは、所定の条件に応じて、ポンプ用電動機12の回転数の上昇速度を連続的に異ならせてもよいし、ポンプ用電動機12の回転数の上昇速度が相互に異なる複数の制御態様(制御モード)を有する態様であってもよい。
【0130】
例えば、コントローラ30Bは、操作開始条件が成立したときの操作装置26の操作内容に応じて、ポンプ用電動機12の回転数の上昇速度を異ならせてもよい。具体的には、コントローラ30Bは、操作開始条件が成立したときの操作装置26の操作量や操作速度が相対的に大きいほど、ポンプ用電動機12の回転数の上昇速度を相対的に大きくしてよい。より早くショベルによる作業を開始させたいというオペレータの意図がその操作内容に反映されていると推測されるからである。一方、コントローラ30Bは、操作開始条件が成立したときの操作装置26の操作量や操作速度が相対的に小さいほど、ポンプ用電動機12の回転数の上昇速度を相対的に小さくしてよい。より早くショベルによる作業を開始させたいというオペレータの意図がその操作内容に反映されておらず、回転数の上昇速度を緩やかにすることで、エネルギ消費(蓄電装置19から供給される電力の消費)を抑制した方がよいと考えられるからである。
【0131】
また、例えば、ショベルにおいて、エネルギ消費及び作業効率等に関する複数の動作モードが設定されてよい。複数の動作モードには、エネルギ消費の抑制を優先させる省エネモード、作業効率を優先させる作業優先モード、及びエネルギ消費と作業効率とのバランスを重視するバランスモード等が含まれてよい。ショベルの動作モードは、例えば、初期状態として、バランスモードに設定されてよい。そして、制御装置30は、キャビン10内に設けられる入力装置を通じて受け付けられるオペレータからの所定の入力に応じて、複数の動作モードの中から何れかの動作モードを設定してよい。この場合、コントローラ30Bは、複数の動作モードのうち、作業効率の優先度が高い動作モードになるほど、ポンプ用電動機12を始動させる場合の回転数の上昇速度が相対的に大きくなるように、ポンプ用電動機12を制御してよい。これにより、コントローラ30Bは、メインポンプ14の回転数をより早く作業用回転数に復帰させ、ショベルがより早く作業を開始できるように支援することができる。一方、コントローラ30Bは、複数の動作モードのうち、エネルギ消費の抑制の優先度が相対的に高い動作モードになるほど、ポンプ用電動機12を始動させる場合の回転数の上昇速度が相対的に小さくなるように、ポンプ用電動機12を制御してよい。これにより、コントローラ30Bは、ポンプ用電動機12の回転数を相対的に緩やかに上昇させることで、エネルギ消費(蓄電装置19から供給される電力の消費)を相対的に抑制させることができる。
【0132】
<ポンプ停止機能に関する制御処理の第2例>
図4は、制御装置30(コントローラ30A,30B)によるポンプ停止機能に関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
【0133】
ステップS202にて、コントローラ30Aは、図3のステップS102と同様、操作装置26から入力される操作信号に基づき、操作装置26の非操作条件が成立するか否かを判定する。コントローラ30Aは、非操作条件が成立する場合、ステップS204に進み、非操作条件が成立しない場合、今回の処理を終了する。
【0134】
ステップS204にて、コントローラ30Aは、操作装置26の操作が開始される兆候があるか否かを判定する。コントローラ30Aは、例えば、オペレータが操作装置26を触っている場合に、操作装置26の操作が開始される兆候があると判定してよい。このとき、コントローラ30Aは、例えば、キャビン10の室内を撮像するカメラや、操作装置26の握り手部分に設置される、操作装置26に対する接触を検出するセンサ等の出力情報に基づき、オペレータが操作装置26に触っているか否かを判定してよい。また、コントローラ30Aは、例えば、操作装置26から出力される操作信号の時系列の波形が、操作量ゼロ付近での微小な振動を表している場合、オペレータが操作装置26に触っていると判定してよい。コントローラ30Aは、操作装置26の操作が開始される兆候がない場合、ステップS206に進み、操作装置26の操作が開始される兆候がある場合、今回の処理を終了する。
【0135】
例えば、メインポンプ14が停止された直後に、操作装置26の操作が開始され、メインポンプ14が直ぐに始動される場合、オペレータが作業を開始することができるまでのタイムラグ(待ち時間)が生じうる。これに対して、本例では、操作装置26が操作されていない場合であっても、直ぐに操作が開始される状況では、メインポンプ14が停止されない。よって、メインポンプ14の停止及びその直後の始動により、オペレータが煩わしさを感じたり、メインポンプ14が作業用回転数に復帰するまでの待ち時間により、ショベルの作業効率が低下したりするような事態を抑制できる。
【0136】
ステップS206~S210は、図3のステップS104~S108と同じ処理であるため、説明を省略する。
【0137】
ステップS212にて、コントローラ30Aは、操作装置26の操作が開始される兆候に関する条件(以下、「操作開始兆候条件」)が成立しているか否か、つまり、操作装置26の操作が開始される兆候があるか否かを判定する。コントローラ30Aは、操作開始兆候条件が成立していない場合、ステップS214に進み、操作開始兆候条件が成立している場合、ステップS218に進む。
【0138】
ステップS214,S216は、図3のステップS112,S114と同じ処理であるため、説明を省略する。
【0139】
一方、ステップS218にて、コントローラ30Bは、コントローラ30Aからの制御指令に応じて、ポンプ用電動機12を始動させる。そして、コントローラ30Bは、メインポンプ14の回転数を作業用回転数(第1の回転数の一例)よりも低いスタンバイ回転数(第2の回転数の一例)まで復帰させ、コントローラ30Aは、ステップS220に進む。
【0140】
ステップS220にて、コントローラ30Aは、操作開始条件が成立したか否かを判定する。コントローラ30Aは、操作開始条件が成立していない場合、ステップS222に進み、操作開始条件が成立している場合、ステップS224に進む。
【0141】
ステップS222にて、コントローラ30Aは、他の始動条件の何れかが成立するか否かを判定する。コントローラ30Aは、他の始動条件の何れかが成立している場合、ステップS222に進み、成立していない場合、ステップS220に戻り、ステップS220,S222の処理を繰り返す。
【0142】
ステップS224にて、コントローラ30Bは、コントローラ30Aからの制御指令に応じて、メインポンプ14の回転数をスタンバイ回転数から作業用回転数まで復帰(上昇)させて、今回の処理を終了する。これにより、実際に操作装置26の操作が開始された場合に、直ぐに、メインポンプ14を作業用回転数まで上昇させることができる。よって、操作装置26の操作開始から実際に作業を開始することができるまでの待ち時間を更に削減し、ショベルの作業効率の低下を更に抑制することができる。また、操作装置26の操作開始を待つ間、メインポンプ14は、作業用回転数より低いスタンバイ回転数で回転するため、ポンプ用電動機12で消費される蓄電装置19の電力を抑制しながら、ショベルの作業効率の低下を抑制することができる。
【0143】
<ポンプ停止機能に関する制御処理の第3例>
図5は、制御装置30(コントローラ30A,30B)によるポンプ停止機能に関する制御処理の第3例を概略的に示すフローチャートである。
【0144】
ステップS302にて、コントローラ30Aは、操作装置26から入力される操作信号に基づき、操作装置26の非操作条件が成立するか否かを判定する。コントローラ30Aは、非操作条件が成立する場合、ステップS303に進み、非操作条件が成立しない場合、今回の処理を終了する。
【0145】
ステップS303にて、コントローラ30Aは、安全条件が成立するか否かを判定する。コントローラ30Aは、安全条件が全て成立している場合、ステップS304に進み、安全条件が成立していない場合、今回の処理を終了する。これにより、コントローラ30Aは、安全条件が不成立の場合に、メインポンプ14が自動停止しないようにすることができる。
【0146】
また、コントローラ30Aは、ステップS303の安全条件が成立していない場合、上述の表示装置50や音声出力装置等を通じて、メインポンプ14を自動停止できないことを通知してもよい。また、コントローラ30Aは、具体的に、メインポンプ14を自動停止できない原因を通知してもよい。これにより、オペレータは、ショベルの安全性の問題によってメインポンプ14が自動停止されないことを認識することができる。
【0147】
尚、ステップS302,S303の前後関係は逆であってもよい。また、ステップS303の処理は、ステップS304の処理と、ステップS306の処理との間に設定されてもよい。
【0148】
ステップS304~S314の処理は、図3のステップS104~S114と同じであるため、説明を省略する。
【0149】
尚、ステップS303と同様の処理は、図4のフローチャートに適用されてもよい。
【0150】
<ポンプ停止機能に関する制御処理の第4例>
図6は、制御装置30(コントローラ30A,30B)によるポンプ停止機能に関する制御処理の第4例を概略的に示すフローチャートである。
【0151】
ステップS402~S406の処理は、図3のステップS102~S106と同じであるため、説明を省略する。
【0152】
ステップS408にて、コントローラ30Aは、安全条件が成立するか否かを判定する。コントローラ30Aは、安全条件が全て成立している場合、ステップS410に進み、安全条件が成立していない場合、ステップS414に進む。これにより、コントローラ30Aは、安全条件が不成立の場合に、メインポンプを再始動させることができる。
【0153】
例えば、油圧アクチュエータの非操作状態に起因して、メインポンプ14(ポンプ用電動機12)が自動停止し、その状態が継続してしまうと、オペレータは、キースイッチがOFFされたと誤解して、帰ってしまう場合もありうる。すると、制御装置30に電力を供給するバッテリ46の消費電流によって、バッテリ46の残容量が大きく低下したり、バッテリ46を充電可能な蓄電装置19の残容量が大きく低下してしまったりする可能性がある。
【0154】
これに対して、本例では、オペレータがシートベルトを外したり、ゲートレバーを下げたり、ドアを開けたりすることにより安全条件が不成立になると、ポンプ用電動機12が再始動する。そのため、オペレータは、ショベルのキースイッチがOFFされていないことに気付くことができる。
【0155】
尚、安全条件に含まれる複数の条件のうちの何れか一つでも不成立の場合は、図3のステップS108のように、ステップS408の処理を繰り返し行い、安全条件に含まれる複数の条件(例えば、ゲートロックに関する条件及びシートベルトに関する条件)が不成立の場合に、ステップS408の処理(即ち、ステップS414に進む処理)を行うようにしてもよい。
【0156】
ステップS410~S414の処理は、図3のステップS110~S114の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0157】
尚、ステップS408と同様の処理は、図4のフローチャートに適用されてもよい。
【0158】
<ポンプ停止機能に関する制御処理の他の例>
制御装置30(コントローラ30A,30B)は、ショベルが遠隔操作されている状態において、上述の第1例~第4例の場合と同様の制御処理を行ってよい。この場合、上述の第1例~第4例における操作装置26の非操作条件は、遠隔操作による被駆動要素(即ち、被駆動要素を駆動するアクチュエータ)の非操作条件に置換される。遠隔操作による被駆動要素の非操作条件は、上述の第1例~第4例の場合と同様、例えば、"遠隔操作による被駆動要素に関する操作が行われていないこと"や"遠隔操作による被駆動要素に関する操作が行われていない状態が所定時間以上継続していること"等であってよい。
【0159】
例えば、外部装置から受信される遠隔操作信号に応じてショベルが遠隔操作される場合、遠隔操作による被駆動要素の非操作条件は、外部装置に設けられる遠隔操作用の操作装置(以下、「遠隔操作用操作装置」)の非操作条件に相当する。遠隔操作用操作装置の操作の有無に依らず、遠隔操作信号がショベルに送信される仕様の場合、コントローラ30Aは、遠隔操作信号に含まれる操作内容(操作量に関するデータ)に基づき、遠隔操作用操作装置の非操作条件の成否を判断してよい。また、遠隔操作用操作装置が操作されている場合だけ、遠隔操作信号がショベルに送信される仕様の場合、コントローラ30Aは、遠隔操作信号の受信の有無に基づき、遠隔操作用操作装置の非操作条件の成否を判断することができる。
【0160】
また、制御装置30(コントローラ30A,30B)は、ショベルが完全自動運転機能で稼働している状態において、上述の第1例~第4例の場合と同様の制御処理を行ってもよい。この場合、上述の第1例~第4例における操作装置26の非操作条件は、完全自動運転機能による被駆動要素(即ち、被駆動要素を駆動するアクチュエータ)の非操作条件に置換される。完全自動運転機能による被駆動要素の非操作条件は、上述の第1例~第4例の場合と同様、例えば、"被駆動要素を動作させる操作指令が出力されていないこと"や"被駆動要素を動作させる操作指令が出力されない状態が所定時間以上継続していること"等であってよい。
【0161】
このように、本例では、制御装置30は、ショベルが遠隔操作されている状態や完全自動運転機能で稼働している状態において、被駆動要素に関する操作が行われない場合に、メインポンプ14を駆動するポンプ用電動機12を停止させることができる。そのため、ショベルは、遠隔操作されている状態や完全自動運転機能で稼働している状態においても、ポンプ用電動機12の消費電力を抑制することができる。
【0162】
[作用]
次に、本実施形態に係るショベルの作用について説明する。
【0163】
本実施形態では、ショベルは、油圧アクチュエータに作動油を供給するメインポンプ14と、メインポンプ14を駆動するポンプ用電動機12と、油圧アクチュエータを操作する電気式の操作装置26と、制御装置30と、を備える。そして、制御装置30は、ポンプ用電動機12を制御し、操作装置26の操作がされていない場合に、メインポンプ14を自動で停止させると共に、その後、操作装置26の操作が開始される場合に、メインポンプ14を自動で始動させる。
【0164】
これにより、操作装置26の非操作時に、メインポンプ14を駆動するポンプ用電動機12を停止させることができる。よって、本実施形態に係るショベルは、エネルギ消費(電力消費)の削減を図ることができる。
【0165】
また、操作装置26が油圧パイロット式の場合、メインポンプ14の停止状態において、操作装置26の操作開始を検出するために、パイロットポンプ15の作動を継続させる必要がある。そのため、ポンプ用電動機12と異なる他の電動機が追加され、他の電動機は、メインポンプ14の停止状態において、蓄電装置19から供給される電力でパイロットポンプ15を駆動し続ける。よって、操作装置26の未操作時であっても、パイロットポンプ15を駆動する他の電動機によって、蓄電装置19の電力がある程度消費されてしまう可能性が高い。
【0166】
これに対して、本実施形態では、操作装置26が電気式であるため、メインポンプ14の停止状態において、パイロットポンプ15の作動を継続させる必要がなく、メインポンプ14の停止に併せて、パイロットポンプ15も停止させることができる。よって、本実施形態に係るショベルは、よりエネルギ消費(電力消費)の削減を図ることができる。
【0167】
[変形・変更]
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0168】
例えば、上述した実施形態において、コントローラ30Aは、表示装置50等を通じて、キャビン10から離れるような状況では、キースイッチをOFFするように促す通知をオペレータに対して行ってもよい。例えば、キースイッチがON状態のまま、オペレータがキャビン10を離れると、油圧アクチュエータの操作入力がされない状態に応じて、ポンプ停止機能が作動してしまい、安全性や経済性等の観点から好ましくないからである。具体的には、コントローラ30Aは、ショベルの起動時や、ポンプ停止機能によるメインポンプ14の停止中等に、当該通知を行ってよい。
【0169】
また、上述の実施形態及び変形・変更の例では、ショベルが外部の商用電源に接続され、蓄電装置19が充電されている場合、ポンプ停止機能は、無効(停止)状態であってよい。通常、ショベルが外部電源に接続され、蓄電装置19の充電が行われる状態では、キースイッチがOFFであることが推奨されている。そのため、何等かの理由で、キースイッチがONであっても、安全性等の観点からポンプ停止機能が実行されることは好ましくないからである。
【0170】
また、上述の実施形態及び変形・変更の例では、ショベルは、蓄電装置19を動力源とする、所謂"バッテリショベル"であったが、シリーズ式の"ハイブリッドショベル"であってもよい。
【0171】
例えば、図7は、本実施形態に係るショベルの構成の他の例を概略的に示すブロック図である。以下、図2と異なる部分を中心に説明する。
【0172】
図7に示すように、本例のショベルは、シリーズ式の"ハイブリッドショベル"である。
【0173】
具体的には、本例のショベルは、エンジン11と、エンジン11により駆動される発電機11Gとを含む。また、制御装置30は、コントローラ30A~30Cに加えて、エンジン11の制御を行うコントローラ30Dを含む。
【0174】
発電機11Gは、整流器(不図示)、及び電圧調整用のコンバータ(不図示)等を介して、DCバス110に接続される。発電機11Gの発電電力は、DCバス110から電力変換装置100を介して、蓄電装置19に充電されたり、インバータ18A,18Bを介して、ポンプ用電動機12や旋回用電動機21に供給されたりする。
【0175】
コントローラ30Dは、コントローラ30Aから入力される各種情報(例えば、エンジン11の設定回転数やエンジン11の稼働及び停止に関する制御指令)に基づき、エンジン11の駆動制御を行う。具体的には、コントローラ30Dは、制御対象のスタータモータやエンジン11の燃料噴射装置等のアクチュエータに制御指令を出力することで、エンジン11の駆動制御を実現する。
【0176】
コントローラ30Aは、例えば、コントローラ30Dを通じて、蓄電装置19の残容量が相対的に多い場合に、エンジン11を停止させ、蓄電装置19の残容量が相対的に少ない場合に、エンジン11を稼働して、発電機11Gに発電を行わせる。
【0177】
本例のショベルについても、上述の実施形態と同様のポンプ停止機能に関する制御処理(図3図6参照)が適用されてよい。これにより、上述の実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0178】
また、上述した実施形態及び変形・変更例において、ショベルは、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプを電動機で駆動する任意の作業機械(産業用車両、フォークリフト、クレーン等)に置換されてもよい。
【0179】
最後に、本願は、2019年3月29日に出願した日本国特許出願2019-069009号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0180】
7 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
9 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
12 ポンプ用電動機(電動機)
14 メインポンプ(油圧ポンプ)
15 パイロットポンプ
18A インバータ
19 蓄電装置(高圧蓄電装置)
26 操作装置
30 制御装置
30A~30D コントローラ
42 空調装置
42a コンプレッサ
44 オルタネータ(発電手段)
46 バッテリ(低圧蓄電装置)
50 表示装置(通知手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7