(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ワイヤソー装置の目視安全確認構造
(51)【国際特許分類】
B28D 7/00 20060101AFI20241217BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20241217BHJP
B28D 1/08 20060101ALI20241217BHJP
B28D 7/02 20060101ALI20241217BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B28D7/00
B23Q11/08 Z
B28D1/08
B28D7/02
E04G23/08 D
E04G23/08 Z
(21)【出願番号】P 2024067478
(22)【出願日】2024-04-18
【審査請求日】2024-07-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593184363
【氏名又は名称】コンクリートコーリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】崎谷 和也
(72)【発明者】
【氏名】内田 敬
(72)【発明者】
【氏名】山本 マサロ
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-246067(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0112161(KR,A)
【文献】特開2021-024226(JP,A)
【文献】特開平07-229314(JP,A)
【文献】特開平08-132329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/00 - 7/02
B28D 1/08
B23Q 11/08
E04G 23/00 - 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤソー装置と、前記ワイヤソー装置の廻りに設置された防護カバーを備え、防護カバーでワイヤソー装置の周囲を遮蔽しつつワイヤソー装置が安全に回転駆動しているかを目視で確認できるワイヤソー装置の目視安全確認構造であって、
前記防護カバーは、前記ワイヤソー装置のワイヤソーを回転駆動する駆動モーターを有し、レール上をスライド移動するワイヤソー本体の廻りを覆う本体カバーと、前記ワイヤソー本体と最も離れた移動しない従動プーリーの廻りを覆う固定カバーと、切断の進行に伴って前記レール上をスライド移動して前記固定カバーから離れる本体カバーとの間を覆う追従カバーを備え、
前記本体カバー、前記固定カバー、及び追従カバーは、それぞれ透明板で覆われ、外部から前記ワイヤソー装置が回転駆動しているかを目視可能に構成されて
おり、
前記防護カバーの前記本体カバー、前記固定カバー、及び追従カバーには、それぞれスプリンクラーが設けられ、前記透明板の内部が曇らないように散水可能に構成されていること
を特徴とするワイヤソー装置の目視安全確認構造。
【請求項2】
前記追従カバーは、複数のキャスターを有し、前記キャスターで切断対象のコンクリート構造物上を転動可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載のワイヤソー装置の目視安全確認構造。
【請求項3】
前記追従カバーは、複数あり、互いに連結可能に構成されていること
を特徴とする請求項
2に記載のワイヤソー装置の目視安全確認構造。
【請求項4】
前記本体カバーは、運搬用のキャスターが取り付けられていること
を特徴とする請求項1に記載のワイヤソー装置の目視安全確認構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤソー装置の目視安全確認構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤソー装置(ワイヤソーイング機器)を用いてコンクリート構造物を切断撤去することが知られている。このようなワイヤソー装置による切断・撤去工事では、表面にダイヤモンドチップが固着されたワイヤロープのループを切断の進捗に従ってプーリー等を用いて徐々に縮めていく必要がある。また、ワイヤソー装置の駆動中にワイヤロープが絡まったり、ワイヤロープが対象コンクリート構造物以外のものに接触するとダイヤモンドチップが飛び散ったりするおそれがあるため、ワイヤソー装置の駆動中は、プーリー等が問題なく回転走行しているかを一定時間ごとに定期的に確認する必要がある。
【0003】
しかし、ワイヤソー装置の回転走行状態を目視で確認したい要望があるものの、前述のように、ダイヤモンドチップが飛び散ったりするおそれや、切断時に発生するコンクリートの粉塵が拡散するため、プーリー等の機器を何らかの手段で覆って安全の確保や粉塵の拡散防止を図りたい要望もある。そこで、現状のワイヤソー装置を用いたコンクリート構造物の切断工事では、ワイヤソー装置の廻りをメッシュシート等のシートで覆って万が一ダイヤモンドチップが飛び散った場合に対処しつつ、定期的にシートをめくってワイヤソー装置が安全に回転走行しているかを目視で確認することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ワイヤソー装置の廻りをカバーで覆い、吸引装置や冷却装置を設けるとともに、カバーに目視可能な窓を設けたワイヤソー装置のカバーが開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1,2、明細書の段落[0008]~[0055]、図面の
図1~
図3,
図8等参照)。
【0005】
しかし、特許文献1のワイヤソー装置のカバーは、窓から覗ける範囲は、目視で確認できるが、切断工事の進捗により徐々に縮まっていく装置のプーリー等の重要な箇所を常に目視できる環境ではないという問題があった。また、特許文献1のワイヤソー装置は、ワイヤロープを冷却するために冷却水を供給して冷やすものであるが、冬季のように露点温度が低い時期には、カバーの窓が曇ってしまい見えなくなるという問題も発生する。
【0006】
一方、特許文献2には、内部を観察する観察窓が設けられたワイヤソーのガイドローラカバーにおいて、観察窓が加工液が付着して内部が見えなくなるという問題を洗浄液を噴射する噴射ノズルを設けて洗浄液で観察窓に付着した加工液を洗い流すことで解決するワイヤソーのガイドローラカバーが開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0009]~[0017]、図面の
図2等参照)。
【0007】
また、特許文献3には、ワークを加工するための加工室と、該加工室を覆うカバーと、該カバーの少なくとも一部に設けられた透明部とを備えるワイヤソー装置において、加工室の内部を目視するための透明部に傷が付くのを防止するために洗浄ユニットを設けて透明部の内表面に砥粒や切粉が付着する前に、透明部の内表面を流れる洗浄液によって砥粒や切粉を洗い流すワイヤソー装置が開示されている(特許文献3の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0025]~[0036]、図面の
図1,
図3,
図4等参照)。
【0008】
しかし、特許文献2に記載のワイヤソーのガイドローラカバーや特許文献3に記載のワイヤソー装置は、シリコン、ガラス、セラミックス等の脆性材料を切断する作業域内に作業員が立ち入ることがあり得ない工場内のワーク加工用のワイヤソーであり、コンクリート構造物を切断するワイヤソーと技術的分野が異なるとともに、前述の冬季のように露点温度が低い時期には、冷却水の水蒸気によりカバーの窓が曇ってしまい見えなくなるという前記課題が全く認識されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第7012043号公報
【文献】特開2000-167760号公報
【文献】特開2017-196689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、カバーで汚染水の飛散や粉塵の拡散を遮蔽しつつワイヤソー装置が安全に回転駆動しているかを常時目視で確認できるワイヤソー装置の目視安全確認構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明に係るワイヤソー装置の目視安全確認構造は、ワイヤソー装置と、前記ワイヤソー装置の廻りに設置された防護カバーを備え、防護カバーでワイヤソー装置の周囲を遮蔽しつつワイヤソー装置が安全に回転駆動しているかを目視で確認できるワイヤソー装置の目視安全確認構造であって、前記防護カバーは、前記ワイヤソー装置のワイヤソーを回転駆動する駆動モーターを有し、レール上をスライド移動するワイヤソー本体の廻りを覆う本体カバーと、前記ワイヤソー本体と最も離れた移動しない従動プーリーの廻りを覆う固定カバーと、切断の進行に伴って前記レール上をスライド移動して前記固定カバーから離れる本体カバーとの間を覆う追従カバーを備え、前記本体カバー、前記固定カバー、及び追従カバーは、それぞれ透明板で覆われ、外部から前記ワイヤソー装置が回転駆動しているかを目視可能に構成されており、前記防護カバーの前記本体カバー、前記固定カバー、及び追従カバーには、それぞれスプリンクラーが設けられ、前記透明板の内部が曇らないように散水可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係るワイヤソー装置の目視安全確認構造は、第1発明において、前記追従カバーは、複数のキャスターを有し、前記キャスターで切断対象のコンクリート構造物上を転動可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係るワイヤソー装置の目視安全確認構造は、第2発明において、前記追従カバーは、複数あり、互いに連結可能に構成されていることを特徴とする。
【0015】
第4発明に係るワイヤソー装置の目視安全確認構造は、第1発明において、前記本体カバーは、運搬用のキャスターが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1発明~第4発明によれば、防護カバーで汚染水の飛散や粉塵の拡散、ダイヤモンドチップ(ダイヤモンドビーズ)の破断・飛散を遮蔽して切傷事故などの作業員の人身事故を防止しつつ、防護カバーを透明とすることで防護カバーの外部から内部のワイヤソー装置が安全に回転駆動しているかを常時目視で確認することができる。
また、第1発明~第4発明によれば、防護カバーには、それぞれスプリンクラーが設けられているので、スプリンクラーで散水することで、コンクリート粉混じりの汚濁水をスプリンクラーで洗浄することができるとともに、冬季のように露点温度が低い時期にも、防護カバーの透明板が曇ってしまい見えなくなるという問題を解決することができる。また、噴射水により、防護カバー内が常時湿潤化されワイヤソーのワイヤーの摩擦やキンク等が改善され、ワイヤソーの消耗度を改善してワイヤソーの耐久性を向上させることができる。
【0018】
特に、第2発明及び第3発明によれば、ワイヤソーによる切断の進行に沿って離れる本体カバーと固定カバーとの間のワイヤソーの廻りを追従カバーで確実に遮蔽して安全にコンクリート構造物を切断することができる。
【0019】
特に、第4発明によれば、本体カバーに運搬用のキャスターが取り付けられているので、切断工事を行う現地まで道路等を運搬することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1(a)は、切断開始時のワイヤソー装置及び目視安全確認構造を示す側面図であり、
図1(b)は、切断開始時のワイヤソー装置及び目視安全確認構造を示す平面図である。
【
図2】
図2(a)は、中断時のワイヤソー装置を及び目視安全確認構造を示す側面図であり、
図2(b)は、中断時のワイヤソー装置を及び目視安全確認構造を示す平面図である。
【
図3】
図3(a)は、カバー追加時のワイヤソー装置を及び目視安全確認構造を示す側面図であり、
図3(b)は、カバー追加時のワイヤソー装置を及び目視安全確認構造を示す平面図である。
【
図4】
図4(a)は、切断完了時のワイヤソー装置を及び目視安全確認構造を示す側面図であり、
図4(b)は、切断完了時のワイヤソー装置を及び目視安全確認構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るワイヤソー装置の目視安全確認構造の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
[ワイヤソー装置の目視安全確認構造]
図1を用いて、本発明の実施形態に係るワイヤソー装置の目視安全確認構造1について説明する。
図1(a)は、切断開始時のワイヤソー装置10及び目視安全確認構造1を示す側面図であり、
図1(b)は、切断開始時のワイヤソー装置10及び目視安全確認構造1を示す平面図である。
【0023】
図1(a)に示すように、ワイヤソー装置の目視安全確認構造1(以下、単に目視安全確認構造1ともいう)は、ワイヤソー装置10と、その廻りに設置された複数のカバーからなる防護カバー2など、から構成され、防護カバー2で汚染水の飛散や粉塵の拡散を遮蔽しつつ、防護カバー2を透明とすることで防護カバー2の外部から内部のワイヤソー装置10が安全に回転駆動しているかを常時目視で確認できる構造となっている。
【0024】
<ワイヤソー装置>
先ず、簡単にワイヤソー装置10について説明する。ワイヤソー装置10は、後述のワイヤソー14を回転駆動する駆動モーター11と、この駆動モーター11で回転駆動する駆動プーリー12と、この駆動プーリー12に従動する複数の従動プーリー13a~13gと、これらの駆動プーリー12と従動プーリー13に懸架されたワイヤソー14など、から構成されている。
【0025】
また、駆動モーター11、駆動プーリー12、及び2つの従動プーリー13a,13bは、ワイヤソー本体15を構成し、このワイヤソー本体15は、レール16に沿ってスライド自在に構成されている。
【0026】
そして、ワイヤソー14は、切断対象となるコンクリート桁などのコンクリート構造物C1に削孔された孔h1,h2に挿通されており、孔h1の上方に3つの従動プーリー13c~13eが設けられ、孔h2の上方に2つの従動プーリー13f,13gが設けられている。
【0027】
つまり、孔h1と孔h2との間のワイヤソー14により、コンクリート構造物C1の切断が進むと、レール16に沿ってワイヤソー本体15が矢印方向にスライドすることでワイヤソー14に掛かる一定程度の張力を保持する構成になっている。
【0028】
<防護カバー>
防護カバー2は、ワイヤソー本体15の廻りを覆う本体カバー3と、このワイヤソー本体15と最も離れた孔h2の上方に設けられた移動しない2つの従動プーリー13f,13gの廻りを覆う固定カバー4と、切断の進行に伴ってこの固定カバー4から離れる本体カバー3との間のワイヤソー14及び従動プーリー13c~13eを覆う複数の追従カバー5,6など、から構成されている。
【0029】
(本体カバー)
本体カバー3は、駆動モーター11及びレール16を除くワイヤソー本体15の駆動プーリー12及び2つの従動プーリー13a,13b部分を覆うカバーであり、矢印で示す進行方向の左右に扁平な金属製の枠体30と、その枠体30にビス等で取り付けられた樹脂ガラスや石英ガラスなどの透明板31を備えている。
【0030】
また、本体カバー3には、背景技術で述べた冬季のように露点温度が低い時期には、カバーの窓が曇ってしまい見えなくなるという問題を解決するために、枠体30の中央付近の天井面に、水道施設などの給水手段に接続されて透明板31の内面に散水するスプリンクラー32が設けられている。
【0031】
さらに、本体カバー3には、切断工事を行う現地まで道路等を運搬するためのキャスター33も取り付けられている。図示形態では、1つのキャスター33のみが図示されているが、複数取り付けても構わないことは云うまでもない。
【0032】
(固定カバー)
固定カバー4は、孔h2の上方のコンクリート構造物C1に固定されて移動しない2つの従動プーリー13f,13gの廻りを覆うカバーであり、金属製の箱体状の枠体40と、この枠体40にビス等で取り付けられた前述の透明板31と同様の透明板41を、備えている。但し、枠体40の本体カバー3側の端面には、後述の追従カバー5を挿通するために、透明板31が取り付けられていない。
【0033】
また、固定カバー4には、前述のスプリンクラー32と同様に、枠体40の中央付近の天井面に、水道施設などの給水手段に接続されて透明板41の内面に散水するスプリンクラー42が設けられている。
【0034】
そして、固定カバー4の側面の透明板41の下部には、開口が設けられ、この開口には、メッシュシート43が取り付けられており、固定カバー4の内部に外部から通気可能に構成されている。このため、ワイヤソー14を冷却するために給水した場合であっても、スプリンクラー42を稼働させなくても、固定カバー4内に湿気がこもって透明板41越に内部のワイヤソー装置10を視認できないという問題を一定程度解消することができる。
【0035】
(追従カバー)
追従カバー5(6)は、金属製の箱体状の枠体50(60)と、この枠体50(60)にビス等で取り付けられた前述の透明板31と同様の透明板51(61)を、備えている。但し、枠体50(60)の本体カバー3側及び固定カバー4の両端面には、本体カバー3及び追従カバー5を挿通するために、透明板51(61)が取り付けられていない。
【0036】
また、追従カバー5(6)には、前述のスプリンクラー32,42と同様に、枠体50(60)の中央付近の天井面に、水道施設などの給水手段に接続されて透明板51(61)の内面に散水するスプリンクラー52(62)が設けられている。
【0037】
そして、追従カバー5(6)の側面の透明板51(61)の下部には、開口が設けられ、この開口には、メッシュシート53が取り付けられており、追従カバー5(6)の内部に外部から通気可能に構成されている。このため、ワイヤソー14を冷却するために給水した場合であっても、スプリンクラー52(62)を稼働させなくても、追従カバー5(6)内に湿気がこもって透明板51(61)越に内部のワイヤソー装置10を視認できないという問題を一定程度解消することができる。
【0038】
さらに、追従カバー5(6)には、コンクリート構造物C1の上面に沿って移動するための4つのキャスター54(64)も取り付けられている。勿論、キャスター54(64)は、4つに限られず、さらに多くのキャスターを取り付けても構わないことは云うまでもない。
【0039】
次に、
図2,
図3を用いて、目視安全確認構造1を切断工事の進捗状況に応じてさらに説明する。
図2(a)は、本体カバー3が移動して追従カバー5でカバーできなくなり切断を中断した中断時のワイヤソー装置10及び目視安全確認構造1を示す側面図であり、
図2(b)は、中断時のワイヤソー装置10及び目視安全確認構造1を示す平面図である。また、
図3(a)は、追従カバー5に追従カバー6を連結して追加したカバー追加時のワイヤソー装置10及び目視安全確認構造1を示す側面図であり、
図3(b)は、カバー追加時のワイヤソー装置10及び目視安全確認構造1を示す平面図である。
【0040】
図2に示すように、ワイヤソー装置10により孔h1と孔h2間のコンクリート構造物C1の切断が進行すると、ワイヤソー本体15がレール16に沿ってスライド移動することにより、本体カバー3と固定カバー4との間を追従カバー5で覆ってカバーできなくなる。そのため、万が一、ワイヤソー14が切断したり、ワイヤソー14からダイヤモンドチップが飛び散ったりすることを防護カバー2でカバーして防ぐことができなくなる。よって、
図2に示す状態までワイヤソー本体15が移動するとワイヤソー装置10の駆動モーター11を停止し、ワイヤソー装置10でのコンクリート構造物C1の切断を中断する。
【0041】
その後、
図3に示すように、前述の追従カバー5と略同構成の追従カバー6を追加し、追従カバー5と追従カバー6とを連結する。このとき、追従カバー5と追従カバー6との間の天井面の透明板51,61には、連結フック55が取り付けられているので、追従カバー5と追従カバー6とを容易に短時間で連結することができる。
【0042】
また、
図3に示すように、追従カバー5と追従カバー6との連結部分の枠体50及び枠体60の端面中央付近には、出し入れ自在の取っ手56,66が取り付けられている。このため、追従カバー5及び追従カバー6を切断工事を行う現地まで道路等を運搬する際に、取っ手56,66を掴んでキャスター54,64でコンクリート構造物C1の上面等を転がして移動することが容易となる。
【0043】
そして、
図4に示すように、ワイヤソー装置10により孔h1と孔h2間のコンクリート構造物C1の切断が完了し、ワイヤソー本体15のレール16上のスライド移動が停止する。
図4(a)は、切断完了時のワイヤソー装置10を及び目視安全確認構造1を示す側面図であり、
図4(b)は、切断完了時のワイヤソー装置10を及び目視安全確認構造1を示す平面図である。
【0044】
以上説明した本実施形態に係る目視安全確認構造1によれば、防護カバー2でワイヤソー装置10の周囲を遮蔽するので、防護カバー2で汚染水の飛散や粉塵の拡散、ダイヤモンドチップ(ダイヤモンドビーズ)の破断・飛散を遮蔽して切傷事故などの作業員の人身事故を防止することができる。
【0045】
また、目視安全確認構造1によれば、ワイヤソー装置10の周囲を遮蔽する防護カバー2を透明板で覆うことで防護カバー2の外部から内部のワイヤソー装置10が安全に回転駆動しているかを常時目視で確認することができる。
【0046】
その上、目視安全確認構造1によれば、防護カバー2には、それぞれスプリンクラー32,42,52,62が設けられているので、スプリンクラー32,42,52,62で散水することで、コンクリート粉混じりの汚濁水をスプリンクラーで洗浄することができるとともに、冬季のように露点温度が低い時期にも、防護カバー2の透明板が曇ってしまい見えなくなるという問題を解決することができる。また、目視安全確認構造1によれば、スプリンクラー32,42,52,62からの噴射水により、防護カバー2内が常時湿潤化されワイヤソー14のワイヤーの摩擦やキンク等が改善され、ワイヤソー14の消耗度を改善してワイヤソー14の耐久性を向上させることができる。
【0047】
さらに、目視安全確認構造1によれば、ワイヤソー装置10による切断の進行に沿って離れる本体カバー3と固定カバー4との間のワイヤソー14の廻りを追従カバー5,6で確実に遮蔽して安全にコンクリート構造物C1を切断することができる。
【0048】
また、目視安全確認構造1によれば、本体カバー3に運搬用のキャスター33が取り付けられているので、運搬用のキャスター33を用いて切断工事を行う現地まで本体カバー3を道路上を運搬することが容易である。
【0049】
以上、本発明の実施形態に係る目視安全確認構造1について詳細に説明した。しかし、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【符号の説明】
【0050】
1:目視安全確認構造
2:防護カバー
3:本端カバー(防護カバー)
30:枠体
31:透明板
32:スプリンクラー
33:キャスター
4:固定カバー(防護カバー)
40:枠体
41:透明板
42:スプリンクラー
43:メッシュシート
5,6:追従カバー(防護カバー)
50,60:枠体
51,61:透明板
52,62:スプリンクラー
53:メッシュシート
54:キャスター
55:連結フック
56:取っ手
10:ワイヤソー装置
11:駆動モーター
12:駆動プーリー
13a~13g:従動プーリー
14:ワイヤソー
15:ワイヤソー本体
16:レール
C1:コンクリート構造物
h1,h2:孔
【要約】
【課題】カバーで汚染水の飛散や粉塵の拡散を遮蔽しつつワイヤソー装置が安全に回転駆動しているかを常時目視で確認できるワイヤソー装置の目視安全確認構造を提供する。
【解決手段】ワイヤソー装置の目視安全確認構造において、防護カバー2は、ワイヤソー装置10のワイヤソー14を回転駆動する駆動モーター11を有し、レール16上をスライド移動するワイヤソー本体15の廻りを覆う本体カバー3と、ワイヤソー本体15と最も離れた移動しない従動プーリーの廻りを覆う固定カバー4と、切断の進行に伴ってレール16上をスライド移動して固定カバー4から離れる本体カバー3との間を覆う追従カバー5,6を備え、本体カバー3、固定カバー4、及び追従カバー5をそれぞれ透明板で覆い、外部からワイヤソー装置10が回転駆動しているかを目視可能に構成する。
【選択図】
図1