(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】生体情報測定システム及び生体情報測定プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20241217BHJP
G01N 33/497 20060101ALI20241217BHJP
G01N 33/98 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61B5/11 200
G01N33/497 A
G01N33/98
A61B5/11 210
A61B5/11 230
(21)【出願番号】P 2019142867
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】230125313
【氏名又は名称】新藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】谷田 千里
(72)【発明者】
【氏名】望月 計
(72)【発明者】
【氏名】佐川 清志
(72)【発明者】
【氏名】笠原 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 悟
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-029696(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0035882(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0012417(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0130611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0284100(US,A1)
【文献】植田 将基 Masanori UEDA,汎用通信プロトコルを用いた酩酊度測定デバイスの開発 Development of Drunkenness Level Measuring Device Using General-purpose Communication Protocol,ヒューマンインタフェース学会 研究報告集 2011 Vol.13 [CD-ROM] Correspondences on Human Interface,日本,Human Interface Society,第13巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
G01N 33/48 -33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者によって保持されて前記被測定者の生体由来物質又は生体由来物理量に基づいて生体情報を測定する生体情報測定部と、
前記生体情報測定部の加速度値を取得する加速度取得部と、
前記加速度値に基づいて前記生体情報測定部の運動を検知する演算部と、
を備え、
前記演算部は、前記生体情報測定部による測定に際して前記加速度取得部で取得された前記加速度値が前記被測定者が手を伸ばしたときに生じる加速度値であるか否かを判定することで、前記被測定者が手を伸ばしたことによる前記生体情報測定部の移動を検知する生体情報測定システム。
【請求項2】
前記生体情報は、前記被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度である請求項1に記載の生体情報測定システム。
【請求項3】
前記加速度値は、前記被測定者の挙動によって前記生体情報測定部に生じる加速度値である、請求項1又は2に記載の生体情報測定システム。
【請求項4】
前記演算部は、検知した前記生体情報測定部の
移動に基づいて前記生体情報の測定
行為の正当性を評価する、請求項1から3のいずれかに記載の生体情報測定システム。
【請求項5】
前記演算部は、検知した前記生体情報測定部の運動と前記生体情報とに基づいて前記被測定者の所定の症状を判定する、請求項1から4のいずれかに記載の生体情報測定システム。
【請求項6】
前記演算部は、前記加速度値に基づいて前記生体情報測定部の運動の態様を検知する、請求項1から5のいずれかに記載の生体情報測定システム。
【請求項7】
コンピュータを、
被測定者によって保持されて前記被測定者の生体由来物質又は生体由来物理量に基づいて生体情報を測定する生体情報測定部、
前記生体情報測定部の加速度値を取得する加速度取得部、
前記加速度値に基づいて前記生体情報測定部の運動を検知し、前記生体情報測定部による測定に際して前記加速度取得部で取得された前記加速度値が前記被測定者が手を伸ばしたときに生じる加速度値であるか否かを判定することで、前記被測定者が手を伸ばしたことによる前記生体情報測定部の移動を検知する演算部、
として機能させる生体情報測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の挙動等によって生じる生体情報測定装置の生体情報測定部の加速度値を取得することによって、当該生体情報測定部の運動を検知する生体情報測定システム及び生体情報測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事業用自動車、航空機、船舶、鉄道等の乗務員に対して点呼時等にアルコール検知器を使ってアルコールチェックが広く行われている。この際、一般的には本人の顔画像と共にアルコール測定結果が保存されることで、被測定者である乗務員の本人確認が確認者によってその場で行われる。しかしながら、乗務員が遠隔地におり確認者がモニタ等を介して確認する遠隔点呼の場合、タブレット端末等の端末装置を用いて乗務員本人の顔画像を送信するため、第三者が被測定者になりすまして測定を行ったり、異なる機器(ダミー機)を用いて測定を行ったりする等の不正が行われる可能性がある。
【0003】
そこで、特許文献1には、ダミー機及び被測定者以外の人物(第三者)を使った不正な測定を効果的に防止するために、発光部を備えた生体情報測定装置、カメラを備えた第1端末機、及び人物の認証のための顔認識処理等を行う第2端末機で構成される生体情報測定システムが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の生体情報測定システム及び生体情報測定プログラムでは、生体情報測定装置の生体情報測定部の運動を検知できなかった。
【0006】
本発明は、被測定者の挙動等によって生じる生体情報測定装置の生体情報測定部の加速度値を取得することによって、当該生体情報測定部の運動を検知する生体情報測定システム及び生体情報測定プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の生体情報測定システムは、被測定者によって保持されて被測定者の生体由来物質又は生体由来物理量に基づいて生体情報を測定する生体情報測定部と、生体情報測定部の加速度値を取得する加速度取得部と、加速度値に基づいて生体情報測定部の運動を検知する演算部とを備える。
【0008】
この構成により、生体情報測定装置の生体情報測定部の加速度値を取得し、加速度値に基づいて生体情報測定部の運動を検知できる。生体情報測定部は被測定者によって保持されるので、生体情報測定部の運動は、被測定者の挙動等として把握することができる。したがって、例えば、酒酔いの状態にある被測定者のふらつき、アルコール依存症の疑いがある被測定者の振戦等によって生じる生体情報測定部の運動を検知することで、被測定者が酒酔いであること、アルコール依存症の疑いがあることを判定できる。
【0009】
生体情報は、被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度でもよい。
【0010】
この構成により、被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度を測定できる。例えば、被測定者が酒気帯び、酒酔いであることを把握できる。
【0011】
加速度値は、被測定者の挙動によって生体情報測定部に生じる加速度値でもよい。
【0012】
この構成により、被測定者の挙動に由来する生体情報測定部の運動を検知できる。例えば、酒酔いの状態である被測定者のふらつき、アルコール依存症の疑いがある被測定者の振戦等によって生じる生体情報測定部の運動を検知することによって、被測定者が酒酔いであること、アルコール依存症の疑いがあることを判定できる。
【0013】
演算部は、検知した生体情報測定部の運動に基づいて生体情報の測定の正当性を評価してもよい。
【0014】
この構成により、本来の被測定者がした生体情報の測定の正当性を評価できる。例えば、第三者(実際の被測定者)が生体情報の測定を行うべき本来の被測定者になりすまして生体情報測定装置を用いた生体情報の測定を行い、本来の被測定者の顔画像の撮影時までに本来の被測定者に生体情報測定装置の生体情報測定部を移動させ、本来の被測定者が生体情報測定装置と共に顔画像を撮影した場合には、生体情報測定部のそのような移動に基づいて、当該生体情報の測定になりすましの疑いがあると評価できる。
【0015】
演算部は、検知した生体情報測定部の運動と生体情報とに基づいて被測定者の所定の症状を判定してもよい。
【0016】
この構成により、検知した生体情報測定部の運動と生体情報とに基づいて被測定者の所定の症状を判定できる。例えば、被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度が低い場合であっても、生体情報測定部の加速度値から、生体情報測定部を保持する被測定者に振戦があると認められるときは、被測定者にアルコール依存症の疑いがあると判定できる。また、被測定者の呼気に含まれるアルコール濃度が高い場合において、被測定者がふらついていないときは、被測定者が酒気帯びであると判定し、被測定者がふらついているときは、酒気帯びかつ酒酔いであると判定することもできる。
【0017】
演算部は、加速度値に基づいて生体情報測定部の運動の態様を検知してもよい。
【0018】
この構成により、加速度値に基づいて、被測定者の挙動等として把握される生体情報測定部の運動の態様を検知できる。運動の態様とは、例えば、生体情報測定部の移動、ふらつき、細かい振動等である。
【0019】
本発明の一態様の生体情報測定プログラムは、コンピュータを、被測定者によって保持されて被測定者の生体由来物質又は生体由来物理量に基づいて生体情報を測定する生体情報測定部、生体情報測定部の加速度値を取得する加速度取得部、加速度値に基づいて生体情報測定部の運動を検知する演算部、として機能させる。
【0020】
この構成により、生体情報測定装置の生体情報測定部の加速度値を取得し、加速度値に基づいて生体情報測定部の運動を検知できる。生体情報測定部は被測定者によって保持されるので、生体情報測定部の運動は、被測定者の挙動等として把握することができる。したがって、例えば、酒酔いの状態にある被測定者のふらつき、アルコール依存症の疑いがある被測定者の振戦等によって生じる生体情報測定部の運動を検知することで、被測定者が酒酔いであること、アルコール依存症の疑いがあることを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の生体情報測定システムを示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態の生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態の生体情報測定システムの動作のフローを示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施の形態の生体情報測定システムの動作のフローを示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3の実施の形態の生体情報測定システムの動作のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0023】
(第1の実施の形態の構成)
図1は、本発明の実施の形態の生体情報測定システム30を示す図である。生体情報測定システム30は、生体情報測定装置10と端末20とを備える。生体情報測定装置10と端末20とは、互いに有線通信している。被測定者は、生体情報測定装置10によって生体情報を測定する。測定結果は、生体情報測定装置10に表示され、端末20が撮影した被測定者の顔画像と共に端末20に記憶される。
【0024】
生体情報測定装置10は、被測定者に由来する物質又は物理量を測定する装置である。生体情報測定装置10は、例えば、人の呼気、血液、汗、組織の一部等の生体由来物質を対象として、生体由来物質から生体情報を測定する。あるいは、生体情報測定装置10は、例えば、人の体温、生体電気インピーダンス等の生体由来物理量を対象として、生体由来物理量から生体情報を測定する。ここで生体情報とは、生体由来物質に含まれる特定の成分の量又は割合等を示す情報、又は生体由来物理量それ自体若しくは複数の生体由来物理量から取得される情報をいう。生体情報測定装置10は、例えば、ハンディタイプでもよいし、据え置きタイプでもよい。本実施の形態では、生体情報測定装置10は、ハンディタイプであり、呼気に含まれるアルコール濃度を測定する(以下、アルコールを「Alc」とも表記する。)。生体情報測定装置10は、生体情報測定部102と出力部104とを備える。
【0025】
生体情報測定部102は、生体情報測定装置10に被測定者の生体由来物質又は生体由来物理量に基づく生体情報を測定する手段である。本実施の形態では、生体情報測定部102は、被測定者によって保持されて生体情報測定装置10に被測定者の呼気を吹き入れるためのノズルとノズルに接続されているAlc測定手段である。呼気に含まれるAlc濃度を測定する手法としては、公知の手法を採用できる。
【0026】
生体由来物質が呼気以外のときは、例えば、血液、唾液、汗、組織の一部等を採取する手段とそれらを測定する手段とでもよい。また、生体由来物質ではなく生体由来物理量に基づいて生体情報を測定するときは、生体情報測定部102は、例えば、体温を測定する手段、生体電気インピーダンスを測定する手段でもよい。また、本実施の形態では、生体情報測定部102は、ハンディタイプである生体情報測定装置10と共に移動する。生体情報測定装置10が、例えば、据え置きタイプのときは、生体情報測定装置10から独立して生体情報測定部102が移動してもよい。
【0027】
出力部104は、生体情報測定装置10が測定した生体情報の測定結果(以下、「生体情報の測定結果」ともいう。)に関する情報を提供する手段である。本実施の形態では、出力部104は表示パネルであって、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度を数値で表示する。表示パネルとしての出力部104は、例えば、文字、画像を表示することによって測定結果に関する情報を提供してもよい。また、出力部104は、例えば、スピーカであって、音声によって測定結果に関する情報を提供してもよい。
【0028】
端末20は、生体情報の測定結果を記憶する装置である。端末20は、カメラ202と、表示部204と、記憶部(図示せず)とを備える。
【0029】
カメラ202は、撮像によって画像を生成するカメラである。本実施の形態では、カメラ202は、被測定者が生体情報測定装置10を利用して生体情報を測定する時の姿を静止画で撮影する。カメラ202は、例えば、動画で撮影してもよい。端末20は、各生体情報測定装置10を識別するための識別番号を含むデータベースを記憶部106に格納しており、当該生体情報測定装置10が測定した生体情報と静止画とを紐づけて記憶する。これにより、被測定者本人が測定したことを担保する。
【0030】
表示部204は、カメラ202によって撮影される被測定者が測定する時の静止画又は動画を表示する手段である。本実施の形態では、表示部204は、カメラ202が撮影した静止画を表示する。表示部204は、例えば、生体情報の測定結果を表示してもよい。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態の生体情報測定装置10の構成を示すブロック図である。生体情報測定装置10は、生体情報測定部102と出力部104とに加えて、記憶部106と制御部108とを備える。
【0032】
記憶部106は、情報を記憶できるメモリである。メモリは、例えば、揮発性メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory))、不揮発性メモリ(例えば、ROM(Read Only Memory))等である。記憶部106は、制御部108が実行する本実施の形態の生体情報測定プログラムを記憶する。また、記憶部106は、生体情報の測定結果、並びに、生体情報測定部102の加速度値及び加速度値の経時変化のパターンを記憶する。
【0033】
制御部108は、加速度取得部110と、演算部112と、通信部114とに接続され、各部を制御する手段である。制御部108は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)を備える。制御部108は、記憶部106に記憶された本実施の形態の生体情報測定プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、各部の機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアによって実現されてもよい。
【0034】
加速度取得部110は、生体情報測定部102の加速度値を取得する手段である。加速度取得部110は、3軸加速度センサ(3Dセンサ)を備える。本実施の形態では、加速度取得部110は、生体情報測定部102に対して固定されており、生体情報測定部102と一体である。加速度センサは、1軸加速度センサ(1Dセンサ)でもよいし、2軸加速度センサ(2Dセンサ)でもよい。また、加速度センサは、高G加速度センサでもよいし、低G加速度センサでもよい。低G加速度センサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた加速度センサであって、例えば、ピエゾ抵抗型の加速度センサ、静電容量型の加速度センサ等でもよい。
【0035】
演算部112は、加速度取得部110が取得した加速度値に基づいて生体情報測定部102の運動を検知する手段である。本実施の形態では、演算部112は、加速度値の規定値に基づいて、生体情報測定部102の運動を検知する。なお、加速度値は、例えば、ある時点における加速度値でもよいし、ある時間における加速度値の平均値でもよい。また、演算部112は、加速度値の経時変化のパターンに基づいて、生体情報測定部102の運動を検知してもよい。演算部112は、例えば、加速度値の経時変化のパターンを積分することによって算出される移動距離や、加速度値の経時変化のパターンから抽出される特徴量(例えば、加速度値の周波数等)に基づいて、生体情報測定部102の運動を検知してもよい。
【0036】
演算部112は、例えば、生体情報測定部102の進行方向及び進行方向に対する垂直方向の加速度値が人の手を伸ばしたときに生じる加速度値の範囲内であるときは(以下、「移動の規定値」の範囲内という。)、生体情報測定部102を保持している第三者(実際の被測定者)が手を伸ばしたことによる生体情報測定部102の移動を検知する。
【0037】
また、生体情報測定部102の進行方向に対する垂直方向の加速度値が人のふらついたときに生じる加速度値の範囲内であるときは(以下、「ふらつきの規定値」の範囲内という。)、生体情報測定部102を保持している被測定者の歩行がふらついていることによる生体情報測定部102のふらつきを検知する。
【0038】
あるいは、生体情報測定部102の進行方向に対する垂直方向の加速度値が振戦時に生じる加速度値の範囲内であり、加速度値の周波数が振戦時の周波数の範囲内のときは(以下、「振戦の規定値」の範囲内という。)、生体情報測定部102を保持している被測定者の手の振戦による生体情報測定部102の細かい振動を検知する。加速度値から運動を検知する手法としては、公知の手法を採用できる(例えば、特開2015-066155号公報、特開2007-244495号公報、特開2017-223587号公報等)。
【0039】
また、演算部112は、上述した生体情報測定部102の移動、ふらつき、細かい振動等の検知した生体情報測定部102の運動の態様に基づいて生体情報の測定の正当性を評価する。例えば、第三者(実際の被測定者)が生体情報の測定を行うべき本来の被測定者になりすまして生体情報測定装置10を用いた生体情報の測定を行い、本来の被測定者の顔画像の撮影時までに本来の被測定者に生体情報測定装置10の生体情報測定部102を移動させ、本来の被測定者が生体情報測定装置10と共に顔画像を撮影するときは、演算部112は、そのような動きを検知して、当該生体情報の測定になりすましの疑いがあるため不当と評価する。なお、加速度値が移動の規定値よりも大きいときは、生体情報測定部102の移動を落下として評価してもよい。
【0040】
また、演算部112は、検知した生体情報測定部102の運動と生体情報とに基づいて被測定者の所定の症状を判定する。例えば、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度が0.15mg/L(以下、「Alc濃度の規定値」という。)以上の場合において、ふらつきの規定値を充足しないときは、被測定者は酒気帯びであると判定し、ふらつきの規定値を充足するときは、被測定者は酒気帯びかつ酒酔いであると判定する。ここで酒気帯びとは、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度がAlc濃度の規定値以上である状態をいい、酒酔いとは、被測定者がふらついている状態をいう。さらに、例えば、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度がAlc濃度の規定値未満である場合において、振戦の規定値を充足するときは、被測定者にAlc依存症の疑いがあると判定する。
【0041】
通信部114は、生体情報測定装置10が外部の装置と通信する手段である。本実施の形態では、通信部114は、生体情報測定装置10と一体であり、外部の装置と通信することによって情報を送受信する。通信方法は、無線通信による方法であって、例えば、携帯電話網による方法、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANによる方法、Bluetooth(登録商標)又はNFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信による方法等である。通信方法は、例えば、有線通信による方法、フラッシュメモリ等の記録媒体を介する方法等でもよい。
【0042】
なお、生体情報測定装置10の生体情報測定部102、加速度取得部110以外の機能については、例えば、端末20等の生体情報測定装置10と通信可能な外部の装置に設けられ、当該外部の装置を含めて生体情報測定システム30が構成されてよい。外部の装置は、例えば、タブレット、スマートフォン、外付けハードディスクドライブ、外部サーバ等でもよい。
【0043】
(第1の実施の形態の動作)
以下では、上述した生体情報測定システム30の構成によって実現される第1の実施の形態の生体情報測定システム30の動作を説明する。第1の実施の形態の生体情報測定システム30は、移動の規定値に基づいて生体情報の測定の正当性を評価する。
【0044】
図3は、本発明の第1の実施の形態の生体情報測定システム30の動作のフローを示す図である。生体情報測定装置10の電源をONにすると、フローは開始する。
【0045】
まず、被測定者が生体情報測定装置10に呼気を吹き入れると、生体情報測定装置10は、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度を測定する(ステップS102)。
【0046】
生体情報測定装置10は、Alc濃度を測定すると、取得した生体情報測定装置10の加速度値に基づいて生体情報測定装置10の移動を検知する(ステップS104)。
【0047】
移動の規定値を充足しないときは(ステップS106:Yes)、生体情報測定装置10は第三者(実際の被測定者)から本来の被測定者へと移動しておらず、本来の被測定者がAlc濃度を正当に測定したため問題なしと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果と問題なしという情報とを送信して(ステップS108)、フローを終了する。
【0048】
一方、移動の規定値を充足するときは(ステップS106:No)、生体情報測定装置10は第三者(実際の被測定者)から本来の被測定者へと移動した疑いがあり、第三者(実際の被測定者)が本来の被測定者になりすましてAlc濃度を不当に測定したと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果となりすましの疑いという情報とを送信して(ステップS110)、フローを終了する。
【0049】
このように、第1の実施の形態の生体情報測定システム30によれば、生体情報測定装置10の生体情報測定部102の加速度値を取得し、加速度値に基づいて生体情報測定部102の運動を検知できる。検知される生体情報測定部102の運動は、加速度値に基づいて、被測定者の挙動等として把握できる。
【0050】
また、被測定者の生体情報は、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度である場合において、第三者(実際の被測定者)の挙動によって生体情報測定部102に生じる加速度値を取得し、例えば、第三者(実際の測定者)が生体情報の測定を行うべき本来の被測定者になりすまして生体情報測定装置10を用いた生体情報の測定を行い、本来の被測定者の顔画像の撮影時までに本来の被測定者に対して生体情報測定装置10の生体情報測定部102を移動させ、本来の被測定者が生体情報測定装置10と共に顔画像を撮影するときは、そのことを加速度値に基づいて検知することができ、当該生体情報の測定になりすましの疑いがあるため不当と評価できる。
【0051】
(第2の実施の形態の動作)
第2の実施の形態の生体情報測定システム30の構成は、第1の実施の形態の生体情報測定システム30の構成と同じであるから、説明を省略する。第2の実施の形態の生体情報測定システム30は、第1の実施の形態の生体情報測定システム30とは異なり、Alc濃度の規定値とふらつきの規定値とに基づいて、被測定者が酒気帯び、酒酔いかを判定する。
【0052】
図4は、本発明の第2の実施の形態の生体情報測定システム30の動作のフローを示す図である。生体情報測定装置10の電源をONにすると、フローは開始する。
【0053】
まず、被測定者が生体情報測定装置10に呼気を吹き入れると、生体情報測定装置10は、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度を測定する(ステップS202)。
【0054】
生体情報測定装置10は、Alc濃度を測定すると、被測定者の歩行時のふらつき度合いを検知する(ステップS204)。
【0055】
生体情報測定装置10は、被測定者の歩行時のふらつき度合いを検知すると、Alc濃度が規定値以内かを判定する(ステップS206)。
【0056】
Alc濃度が規定値を充足しないときは(ステップS206:Yes)、被測定者の所定の症状としては問題なしと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果と問題なしという情報とを送信して(ステップS208)、フローは終了する。
【0057】
Alc濃度が規定値を充足し、ふらつきの規定値を充足しないときは(ステップS206:No、ステップS210:Yes)、被測定者は酒気帯びと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果と酒気帯びという情報とを送信して(ステップS212)、フローは終了する。
【0058】
一方、Alc濃度が規定値を充足し、ふらつきの規定値を充足するときは(ステップS206:No、ステップS210:No)、被測定者は酒気帯び、かつ、酒酔いと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果と酒気帯び、かつ、酒酔いという情報を送信して(ステップS214)、フローは終了する。
【0059】
このように、第2の実施の形態の生体情報測定システム30によれば、検知した生体情報測定部102の運動と生体情報とに基づいて被測定者の所定の症状を判定できる。すなわち、Alc濃度の規定値とふらつきの規定値とに基づいて、被測定者が酒気帯び、酒酔いであると判定できる。
【0060】
(第3の実施の形態の動作)
第3の実施の形態の生体情報測定システム30の構成は、第1の実施の形態の生体情報測定システム30の構成と同じであるから、説明を省略する。第3の実施の形態の生体情報測定システム30は、第1の実施の形態の生体情報測定システム30とは異なり、被測定者のAlc濃度の規定値と振戦の規定値とに基づいて、被測定者にAlc依存症の疑いがあるか、被測定者が酒気帯びかを判定する。
【0061】
図5は、本発明の第3の実施の形態の生体情報測定システム30の動作のフローを示す図である。生体情報測定装置10の電源をONにすると、フローは開始する。
【0062】
まず、被測定者が生体情報測定装置10に呼気を吹き入れると、生体情報測定装置10は、被測定者の呼気に含まれるAlc濃度を測定する(ステップS302)。
【0063】
生体情報測定装置10は、Alc濃度を測定すると、被測定者の振戦を検知する(ステップS304)。
【0064】
Alc濃度が規定値を充足しない場合において、振戦の規定値も充足しないときは(ステップS306:Yes、ステップS308:Yes)、被測定者の症状としては問題なしと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果と問題なしという情報とを送信して(ステップS310)、フローは終了する。
【0065】
一方、Alc濃度が規定値を充足しない場合において、振戦の規定値を充足するときは(ステップS306:Yes、ステップS308:No)、被測定者はAlc依存症の疑いがあると判定し、端末20にAlc濃度の測定結果とAlc依存症の疑いという情報とを送信して(ステップS312)、フローは終了する。
【0066】
また、Alc濃度の規定値を充足するときは(ステップS306:No)、被測定者は酒気帯びと判定し、端末20にAlc濃度の測定結果と酒気帯びという情報とを送信して(ステップS314)、フローは終了する。
【0067】
このように、第3の実施の形態の生体情報測定システム30によれば、検知した生体情報測定部102の運動と生体情報とに基づいて被測定者の所定の症状を判定できる。すなわち、Alc濃度の規定値と振戦の規定値とに基づいて、被測定者にAlc依存症の疑いがあるか、被測定者が酒気帯びかを判定できる。
【0068】
(変形例)
上述した第1から第3の実施の形態の生体情報測定システム30では、加速度センサを有する加速度取得部110は、生体情報測定装置10に備えられていたが、端末20に備えられていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10・・・生体情報測定装置
20・・・端末
30・・・生体情報測定システム
102・・・生体情報測定部
104・・・出力部
106・・・記憶部
108・・・制御部
110・・・加速度取得部
112・・・演算部
114・・・通信部