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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A47J37/12 321
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021032860
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133911
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 雄大
(72)【発明者】
【氏名】木内 直樹
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-22724(JP,A)
【文献】特表2001-503288(JP,A)
【文献】特開平5-317191(JP,A)
【文献】特表2019-508170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理油を収容する油槽と、
前記油槽に設けられ、調理油を加熱する加熱手段と、
前記油槽の下側に設けられ、前記油槽内から排出された調理油をフィルタリングするフィルタリングタンクと、
前記油槽における調理油の収容部よりも上側に設けられて所定量の調理油が収容可能な増油タンクと、
上流端が前記フィルタリングタンクに接続され、上流側から、ポンプと、手動操作で開閉可能な第1手動弁とを備えた第1給油経路と、
前記油槽と前記増油タンクとを接続する第2給油経路と、
前記第2給油経路に設けられ、手動操作で開閉可能な第2手動弁と、を備え、
前記第1給油経路の下流端が、前記第2給油経路における前記第2手動弁の上流側に接続されて、前記第1手動弁を開弁し、前記第2手動弁を閉弁した状態で前記ポンプを駆動させることで、前記フィルタリングタンク内の調理油が、前記第1給油経路と前記第2給油経路とを介して前記増油タンクに供給可能である一方、
前記第1手動弁を閉弁し、前記第2手動弁を開弁することで、前記増油タンク内の調理油が前記第2給油経路を介して前記油槽に供給可能であるフライヤーであって、
前記ポンプを制御する制御手段と、
前記第1手動弁の開閉状態を検出する開閉状態検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記開閉状態検出手段によって前記第1手動弁の開弁状態を検出すると、前記ポンプを作動させることを特徴とするフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調理油を油槽内で加熱し、当該油槽に被調理物を投入して加熱調理する業務用のフライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
フライヤーは、油槽に収容した調理油をバーナやパルス燃焼器等の加熱手段によって所定の調理温度まで加熱することで、油槽に投入された被調理物を加熱調理する。
この加熱調理の時間や回数が増加すると、調理油中に蓄積される不純物の量が増加して調理油が劣化し、調理品質の低下を招く。また、被調理物に吸収される油によって調理油の量が減少する。
そこで、フライヤーには、油槽内の調理油を油槽下側のフィルタリングタンク内に落とし込んでフィルタリングし、フィルタリングポンプによって再び油槽に戻すフィルタリング機能と、油槽への増油機能とを備えたものが知られている。
例えば特許文献1には、上流端をフィルタリングタンクに接続した給油管(第1給油経路)の上流側にポンプを、下流側に給油バルブをそれぞれ設けている。一方、油槽の上部に、調理油を収容する油タンク(増油タンク)を設置して、油タンクと油槽とを導出管(第2給油経路)で接続している。そして、導出管に油補充バルブを設けて、油補充バルブの上流側で導出管に給油管の下流端を接続している。
このフライヤーでは、油補充バルブを閉弁して給油バルブを開弁した状態でポンプを駆動させると、フィルタリングタンクでフィルタリングされた調理油が油タンクに供給される。そして、油補充バルブを開弁して給油バルブを閉弁すると、油タンク内の調理油が油槽に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-22724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフライヤーのように、増油タンクと油槽とを接続する第2給油経路に、フィルタリングタンクに接続される第1給油経路を接続すると、経路の一部が共有されてシステム構成が簡易化し、コストが抑制される。
また、第1給油経路と第2給油経路を開閉する弁をそれぞれ手動弁(第1手動弁、第2手動弁)とすれば、さらにコストの低減に繋がる。しかし、手動弁を採用すると、第1給油経路の第1手動弁を閉弁させ、第2給油経路の第2手動弁を開弁させて増油タンクから油槽に増油する場合、第1手動弁を閉弁し忘れることがある。すると、増油タンク及び油槽側から調理油が第1給油経路へ流れ込み、フィルタリングタンクに逆流してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、給油経路の共有と手動弁の採用とによるコスト低減を可能としつつ、手動弁の誤操作によるフィルタリングタンク側への調理油の逆流を防止することができるフライヤーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、調理油を収容する油槽と、
前記油槽に設けられ、調理油を加熱する加熱手段と、
前記油槽の下側に設けられ、前記油槽内から排出された調理油をフィルタリングするフィルタリングタンクと、
前記油槽における調理油の収容部よりも上側に設けられて所定量の調理油が収容可能な増油タンクと、
上流端が前記フィルタリングタンクに接続され、上流側から、ポンプと、手動操作で開閉可能な第1手動弁とを備えた第1給油経路と、
前記油槽と前記増油タンクとを接続する第2給油経路と、
前記第2給油経路に設けられ、手動操作で開閉可能な第2手動弁と、を備え、
前記第1給油経路の下流端が、前記第2給油経路における前記第2手動弁の上流側に接続されて、前記第1手動弁を開弁し、前記第2手動弁を閉弁した状態で前記ポンプを駆動させることで、前記フィルタリングタンク内の調理油が、前記第1給油経路と前記第2給油経路とを介して前記増油タンクに供給可能である一方、
前記第1手動弁を閉弁し、前記第2手動弁を開弁することで、前記増油タンク内の調理油が前記第2給油経路を介して前記油槽に供給可能であるフライヤーであって、
前記ポンプを制御する制御手段と、
前記第1手動弁の開閉状態を検出する開閉状態検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記開閉状態検出手段によって前記第1手動弁の開弁状態を検出すると、前記ポンプを作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、制御手段は、開閉状態検出手段によって第1手動弁の開弁状態を検出すると、ポンプを作動させて増油タンク及び油槽側へ順送圧を加える。よって、給油経路の共有と手動弁の採用とによるコスト低減を可能としつつ、手動弁の誤操作によるフィルタリングタンク側への調理油の逆流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フライヤーの概略図である。
図2】調理モードのフローチャートである。
図3】調理油の収容状態を示す説明図で、(A)は第1調理モード、(B)は第2調理モードをそれぞれ示す。
図4】(A)(B)はフィルタリングによる第2調理モードから第1調理モードへの切替状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(フライヤーの構成の説明)
図1は、フライヤーの一例を示す概略図である。このフライヤー1は、図示しない器体内の上部に、油槽2を備えている。この油槽2内の底部には、燃焼室4とテールパイプ5とを有する加熱手段としてのパルス燃焼器3が設けられている。
油槽2は、第1調理部6と第2調理部7とを有している。第1調理部6は、パルス燃焼器3の上側に形成され、上下方向に開口面積が変化しない角筒状となっている。第2調理部7は、第1調理部6の上側に位置し、第1調理部6の上端から上方へ行くに従って前後左右へ拡開する逆テーパ状に形成されている。第2調理部7の上端までが調理油の収容部となる。第1調理部6の上端面付近には、第1油面温度センサ8が設けられている。第2調理部7の上端面付近には、第2油面温度センサ9が設けられている。油槽2内でパルス燃焼器3のテールパイプ5の近傍には、調理用温度センサ37が設けられている。
【0010】
油槽2の後方(図1の右側)で器体の上部には、調理油を収容する増油タンク10が設けられている。増油タンク10の下面には、油槽2の後面で第2調理部7と繋がる増油管11が接続されている。増油管11には、手動操作で開閉する増油用バルブ12が設けられている。増油タンク10内には、収容された調理油の温度を検出する増油温度センサ13が設けられている。
増油タンク10の前面には、オーバーフロー部14が設けられている。オーバーフロー部14は、増油タンク10の前面に接続される配管や、増油タンク10の前面へ上下方向に形成される流路等によって形成される。オーバーフロー部14の上端は、増油タンク10の前面上部に形成された開口に接続されて垂下し、オーバーフロー部14の下端は、油槽2内の後部内面に繋がっている。よって、増油タンク10内の調理油が開口の下縁を超えると、オーバーフローした調理油は、オーバーフロー部14から油槽2の後部内面を伝って油槽2内に流下する。
ここで、開口の下縁を超えない満杯状態での増油タンク10の調理油の収容量は、後述する第1調理モードで規定される調理油の第1油量と、第2調理モードで規定される調理油の第2油量との差分量、すなわち、第1油量から第2油量への増油分となっている。
【0011】
油槽2の正面側外部には、エアチャンバ15が設けられている。エアチャンバ15内には、燃焼室4と連通する図示しない混合室が設けられている。混合室には、図示しないガス電磁弁を備えたガス導管16が接続されて、燃料ガスが供給される。また、混合室には、給気管17が接続されている。給気管17は、器体の下部に設けられた図示しないファンに接続されて、燃焼用空気が供給される。
パルス燃焼器3のテールパイプ5は、油槽2の下部で蛇行状に配設された後、エアチャンバ15から引き出される排気管18に接続されている。この排気管18は、器体の後部で増油タンク10の後面に接触した状態で上向きに配設されて、燃焼排気を排出可能となっている。
油槽2の下面から周面にかけて、電気ヒータ19が設けられている。
【0012】
器体の底部には、底部にフィルタを備えたフィルタリングタンク20が設けられている。油槽2の底部には、排油管21が接続されて、排油管21を介して油槽2内の調理油をフィルタリングタンク20に排出可能となっている。排油管21には、手動操作で開閉する排油バルブ22が設けられている。
器体の下部には、フィルタリングポンプ23が設けられている。フィルタリングポンプ23の吸込側は、フィルタリングタンク20の底部に吸込管24を介して接続されている。フィルタリングポンプ23の吐出側は、第1給油管25と第2給油管26とに分岐している。第1給油管25は、増油用バルブ12の上流側で増油管11に接続されている。第1給油管25には、手動操作で開閉する第1給油バルブ27が設けられている。第1給油バルブ27には、開閉状態を検出するリードスイッチ28が設けられている。
第2給油管26は、油槽2の下部に接続されている。第2給油管26には、手動操作で開閉する第2給油バルブ29が設けられている。
【0013】
油槽2の下方には、一斗缶を用いた足し油タンク30が設けられている。足し油タンク30は、器体に設けた置き台31上に設置されている。置き台31には、足し油タンク30を加熱する保温ヒータ32と、足し油タンク30の温度を検出するタンク温度センサ33とが設けられている。
足し油タンク30には、足し油管34の下端が差し込まれている。足し油管34の上端は、第2調理部7よりも上方で油槽2に接続されている。足し油管34には、上流側から、足し油ポンプ35と、足し油電磁弁36とが設けられている。
【0014】
器体の正面上部には、フライコントローラ40が設けられている。フライコントローラ40は、操作パネル41を備えている。操作パネル41では、所定の調理モード及びメンテナンスメニューの設定等が可能となっている。
器体の下部には、バーナコントローラ42が設けられている。バーナコントローラ42は、後述するように、フライコントローラ40から指示される調理モードに従い、パルス燃焼器3のON/OFF制御を行って、ポテト等の被調理物の調理を行う。バーナコントローラ42には、第1、第2油面温度センサ8,9、増油温度センサ13、リードスイッチ28、タンク温度センサ33、調理用温度センサ37等の検出信号が入力される。これらの検出信号や操作パネル41からの指示に基づいて、バーナコントローラ42は、パルス燃焼器3、ファン、電気ヒータ19、フィルタリングポンプ23、保温ヒータ32、足し油ポンプ35、足し油電磁弁36等を制御する。
【0015】
(フィルタリングの説明)
調理油のフィルタリングは、第1給油管25を用いる第1のフィルタリングと、第2給油管26を用いる第2のフィルタリングとの2通りが実行可能となっている。
第1のフィルタリングの場合、排油バルブ22を手動操作で開弁させて、油槽2内の調理油をフィルタリングタンク20に落とし込む。次に、第1給油管25の第1給油バルブ27を手動操作で開弁させる。このとき、第2給油管26の第2給油バルブ29は閉弁させる。すると、リードスイッチ28で第1給油バルブ27の開弁を検知したバーナコントローラ42は、フィルタリングポンプ23を駆動させる。
そして、増油管11の増油用バルブ12を手動操作で閉弁させると、フィルタリングタンク20に落とし込まれた調理油は、吸込管24から吸い込まれ、第1給油管25及び増油管11を介して増油タンク10に供給される。こうしてフィルタリングされた調理油が増油タンク10に供給されると、増油タンク10でオーバーフローした調理油がオーバーフロー部14から油槽2に戻ることになる。
【0016】
一方、第2のフィルタリングの場合、排油バルブ22を手動操作で開弁させて、油槽2内の調理油をフィルタリングタンク20に落とし込む。次に、第2給油管26の第2給油バルブ29を手動操作で開弁させる。このとき、第1給油管25の第1給油バルブ27は閉弁させる。そして、操作パネル41のフィルタリングスイッチを操作すると、バーナコントローラ42がフィルタリングポンプ23を駆動させる。よって、フィルタリングタンク20に落とし込まれた調理油は、吸込管24から吸い込まれ、第2給油管26を介して油槽2に戻る。これにより、フィルタリングタンク20の底面に設けたフィルタで調理油をフィルタリングすることができる。
【0017】
(各調理モードの制御の説明)
各調理モードの制御を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
ここでは、一度に調理する被調理物の量が、第1定格量と、それよりも多い第2定格量との2種類に規定されている。増油タンク10内には、満杯状態(増油分)の調理油が収容されている。
まず、第1定格量の被調理物を調理する場合、図3(A)に斜線で示すように、油槽2に、第1調理部6の上端まで調理油(第1油量)を貯留する。この状態で、S1で、ユーザが操作パネル41の運転スイッチをONする。すると、バーナコントローラ42は、S2で、ファンを所定時間回転して給気した後、燃焼室4内で混合ガスを断続的に燃焼させてパルス燃焼器3をON/OFF動作させる。すなわち、燃焼室4内で混合ガスに点火して燃焼室4内で爆発燃焼させ、その燃焼に伴う燃焼室4内の圧力上昇によって燃焼排気をテールパイプ5へ強制的に排出する。そして、その燃焼排気の排出により負圧となる燃焼室4内に燃料ガスと燃焼用空気とを吸入する。このON/OFF動作が繰り返されることで、油槽2に貯留された調理油が加熱される。
【0018】
次に、バーナコントローラ42は、調理用温度センサ37から得られる検出温度を監視する。S3の判別で、調理油の温度が所定の調理温度(例えば180~182℃)に到達したことを確認したら、フライコントローラ40は、操作パネル41に調理OKの表示を出力する等して報知する。この報知がなされたら、調理者は第1定格量の被調理物を入れたバスケットを油槽2に投入する。
そして、S4で、操作パネル41の操作による調理モードが判別される。ここで第1調理モードが選択されて、S5で操作パネル41に設けた調理開始ボタンが押し操作されると、バーナコントローラ42は、S6で、第1定格量に対応して予め設定された第1調理時間とパルス燃焼器3の第1熱量とで被調理物の加熱調理を行う。そして、S7でタイムアップしたら、フライコントローラ40は、S8でアラームを鳴らして調理終了を報知する。調理者はバスケットを油槽2から引き上げる。続けて第1定格量での調理を行う場合は、被調理物を投入して調理開始ボタンを押せば、S5以下の処理が繰り返される。
【0019】
第1調理モードから第2調理モードへ切り替える場合、増油タンク10から調理油を増油させる必要がある。よって、バーナコントローラ42は、S4で第2調理モードを選択すると、S9で、増油タンク10内の増油温度センサ13の検出温度が所定の溶融温度(例えば60℃)に達しているか否かを確認する。ここで検出温度が溶融温度に達していれば、増油タンク10内の調理油は液化しているとして、フライコントローラ40は、S10で、操作パネル41に第2調理モードへの切替が可能である旨表示する。
一方、S9の判別で検出温度が溶融温度に達していなければ、増油タンク10内の調理油が液化していないとして、フライコントローラ40は、S11で、操作パネル41により、第2調理モードへの切替ができない旨の報知を行う。この報知では、第1のフィルタリングの実行を促す表示或いは音声も併せて出力される。
【0020】
よって、ユーザが第1のフィルタリングを行うと、前述のように油槽2内の調理油がフィルタリングタンク20でフィルタリングされて第1給油管25及び増油管11を介して増油タンク10に供給される。すると、フィルタリングされた調理油の熱量が増油タンク10内の調理油に与えられ、増油タンク10内の調理油が液化される。そして、増油タンク10でオーバーフローした調理が油槽2に戻る。増油タンク10は満杯状態のため、第1油量がそのままオーバーフローして油槽2に戻ることになる。
こうして増油タンク10内の調理油が温度上昇して液化すると、S9で、増油温度センサ13の検出温度が溶融温度以上と判別される。よって、フライコントローラ40は、S10で、操作パネル41に第2調理モードへの切替が可能である旨表示する。
【0021】
よって、ユーザが増油用バルブ12を手動操作で開弁させると、図3(B)に斜線で示すように、増油タンク10内の差分量の調理油が、増油管11を介して油槽2の第2調理部7の上端まで供給され、増油タンク10は空となる。
S12では、バーナコントローラ42が、油槽2に供給された調理油が第2調理部7の上端(第2油量)に達したことを第2油面温度センサ9によって確認する。ここで第2油量への到達を確認すると、バーナコントローラ42は、調理用温度センサ37から得られる検出温度を監視する。そして、S13の判別で、調理油の温度が所定の調理温度(例えば180~182℃)に到達したことを確認すると、フライコントローラ40は、操作パネル41に調理OKの表示を出力する等して報知する。
【0022】
この報知がなされたら、ユーザは第2定格量の被調理物を入れたバスケットを油槽2に投入する。
そして、S14で調理開始ボタンが押し操作されると、バーナコントローラ42は、S15で、第2定格量に対応して予め設定された第2調理時間と、第1調理モードの際の第1熱量よりも大きい第2熱量とで被調理物の加熱調理を行う。この第2熱量は、パルス燃焼器3に加えて電気ヒータ19も併せて作動させることで得られる。但し、電気ヒータ19を設けずに、パルス燃焼器3のみでガスインプットを大きくして第2熱量としてもよい。
S16でタイムアップしたら、フライコントローラ40は、S17でアラームを鳴らして調理終了を報知する。ユーザはバスケットを油槽2から引き上げる。続けて第2定格量での調理を行う場合は、被調理物を投入して調理開始ボタンを押せば、S14以下の処理が繰り返される。
【0023】
一方、バーナコントローラ42は、第1、第2調理モードでの運転中は、タンク温度センサ33から得られる検出温度を監視して、足し油タンク30で所定の保温温度が維持されるように保温ヒータ32をON/OFF制御する。
そして、第1、第2油面温度センサ8,9によって第1、第2調理モードの何れかで必要な調理油の減少を検知するか、或いは所定の調理回数に達するかすると、足し油ポンプ35を駆動させて足し油電磁弁36を開弁させる。すると、足し油タンク30内で液化された調理油が足し油管34を介して油槽2に直接供給される。
【0024】
(第2調理モードから第1調理モードへの切替の説明)
第2調理モードから油量の少ない第1調理モードへ切り替える際、ユーザは、図3(B)に示す第2油量の状態から、排油バルブ22を開弁させて、油槽2内の調理油を、図4(A)に斜線で示すように全てフィルタリングタンク20に落とし込む。
次に、第1給油管25の第1給油バルブ27を開弁状態、第2給油管26の第2給油バルブ29を閉弁状態、増油管11の増油用バルブ12を閉弁状態とする。すると、第1給油バルブ27の開弁を検知したバーナコントローラ42は、フィルタリングポンプ23を駆動させる。よって、フィルタリングタンク20内の調理油が、フィルタリングされた後、第1給油管25及び増油管11を介して増油タンク10に供給される。増油タンク10が満杯になると、図4(B)に示すように、オーバーフロー部14を介して調理油が油槽2に供給される。
そして、フィルタリングタンク20が空になるまでフィルタリングを行うと、図3(A)に示すように、増油タンク10に供給された第2油量の調理油は、第1油量からの増油分のみを残してオーバーフロー部14を介して油槽2に供給される。すなわち、第1調理モードで使用される第1油量の調理油が油槽2に収容されることになる。
【0025】
(増油タンクからの増油の説明)
ユーザによる所定のタイミングで、増油タンク10から調理油を供給することもできる。この場合、ユーザは、第1給油管25の第1給油バルブ27を閉弁した状態で、増油管11の増油用バルブ12を開弁させる。すると、増油タンク10内の調理油が増油管11を介して油槽2に供給される。増油用バルブ12を閉弁させれば調理油の供給は停止される。
このとき、第1給油バルブ27を閉弁し忘れて開弁させた状態で増油用バルブ12を開弁させると、増油タンク10内の調理油が増油管11から第1給油管25に流れてフィルタリングタンク20側へ逆流してしまう。しかし、第1のフィルタリングで説明したように、リードスイッチ28で第1給油バルブ27の開弁を検知したバーナコントローラ42は、フィルタリングポンプ23を駆動させる。よって、第1給油管25には、増油タンク10及び油槽2側への順送圧が加わるため、フィルタリングタンク20への逆流を防止することができる。
【0026】
(第2油量から第1油量への切替に係る開示の効果)
上記形態のフライヤー1は、油槽2の下側に設けられ、油槽2内から排出された調理油をフィルタリングするフィルタリングタンク20と、油槽2における調理油の収容部よりも上側に設けられ、第1油量と第2油量との差分量の調理油が収容可能で、差分量を超えた量の調理油を油槽2に供給するオーバーフロー部14を備えた増油タンク10と、フィルタリングタンク20と増油タンク10とを接続する吸込管24、第1給油管25、増油管11(給油経路)と、給油経路に設けられるフィルタリングポンプ23(ポンプ)と、を備える。
そして、フライヤー1は、第2油量の調理油を油槽2からフィルタリングタンク20に排出した後、フィルタリングポンプ23を駆動させてフィルタリングタンク20内の調理油を給油経路を介して増油タンク10に供給することで、差分量の調理油を増油タンク10に収容させると共に、差分量を超えた第1油量の調理油を増油タンク10からオーバーフロー部14を介して油槽2に供給可能としている。
【0027】
この構成によれば、フィルタリングタンク20内に落とし込んだ第2油量の調理油を増油タンク10に順送するだけで、差分量を差し引いた第1油量の調理油が油槽2に供給される。よって、別途予備タンクや配管等を必要とせず、簡単且つ低コストな構成で、増油された第2油量の調理油で調理を行う第2調理モードから、増油分を差し引いた第1油量の調理油で調理を行う第1調理モードに切替可能となる。
特に、増油タンク10は、油槽2の後側に設けられ、オーバーフロー部14は、増油タンク10の前面に設けられて、オーバーフロー部14からオーバーフローした調理油は、油槽2の後部内面を伝って油槽2内に供給される。よって、通常は正面側に位置するユーザから離れた位置で増油タンク10から調理油が供給されると共に、供給される調理油が油槽2の外へ飛び散ったりすることもなくなる。
【0028】
なお、第2油量から第1油量への切替に係る開示においては、以下の変更が可能である。
上記形態では、第1のフィルタリングを行う際の排油バルブの開弁、第1給油バルブの開弁、増油用バルブの閉弁はそれぞれ手動となっているが、操作パネルでの第1のフィルタリングの指示に伴い、全部の弁又は一部の弁を自動で動作させてもよい。
上記形態では、油槽と増油タンクとを接続する増油管に第1給油管を接続しているが、第1給油管を直接増油タンクに接続してもよい。この場合、第1給油バルブにリードスイッチ等の開閉状態検出手段を設ける必要はなくなる。
油槽が複数あるフライヤーでも本開示は適用できる。この場合、油槽ごとに増油タンクとフィルタリングタンクとをそれぞれ設ければよい。
増油タンクは、油槽の後側に限らず、油槽の横側に設置することもできる。オーバーフロー部も、油槽の前面に限らず、油槽の設置位置に合わせて適宜変更できる。
【0029】
(第2調理モードへの切替の制限に係る開示の効果)
上記形態のフライヤー1では、増油タンク10に、収容される調理油の温度を検出する増油温度センサ13(増油温度検出手段)が設けられて、バーナコントローラ42(制御手段)は、操作パネル41により第1調理モードから第2調理モードへの切替指示を受けた際、増油温度センサ13で検出される調理油の温度を所定の溶融温度と比較して、調理油の温度が溶融温度以上の場合には第2調理モードへの切替を実行し、調理油の温度が溶融温度より低い場合には第2調理モードへの切替を実行しない。
この構成によれば、増油タンク10内の調理油の温度が低くて調理油が液化していない可能性がある場合、第2調理モードが実行されないので、調理油が増油されない状態で第2調理モードが実行されて調理の仕上がりが悪くなるおそれがなくなる。
【0030】
バーナコントローラ42は、第2調理モードへの切替を実行しない場合、操作パネル41により第2調理モードへの切替を実行しない旨の報知を行う。よって、増油タンク10内の温度が低くて第2調理モードに切り替えられないことをユーザに知らせることができる。
増油タンク10は、差分量(所定量)を超えた量の調理油を油槽2に供給するオーバーフロー部14を備える一方、油槽2の下側に、油槽2内から排出された調理油をフィルタリングするフィルタリングタンク20と、フィルタリングタンク20と増油タンク10とを接続する給油経路と、給油経路に設けられるフィルタリングポンプ23と、を備える。
そして、油槽2内の調理油をフィルタリングタンク20に排出した後、操作パネル41への指示により、バーナコントローラ42がフィルタリングポンプ23を駆動させてフィルタリングタンク20内の調理油を給油経路を介して増油タンク10に供給する第1のフィルタリングが可能となっている。この第1のフィルタリングでは、調理油を増油タンク10に収容させると共に、差分量を超えた調理油を増油タンク10からオーバーフロー部14を介して油槽2に供給させることができる。
操作パネル41による報知は、増油タンク10内の調理油を液化できる第1のフィルタリングの実行を促すものを含んでいるため、第2調理モードへの切替が可能な状態にすることができる。
【0031】
なお、第2調理モードへの切替の制限に係る開示においては、以下の変更が可能である。
上記形態では、第2調理モードへの切替が行えない場合、その旨を報知するにとどめているが、報知せずに自動的に第1のフィルタリングを実行してもよい。
第2調理モードへの切替が行えない場合、足し油タンクから差分量の調理油を供給可能としてもよい。この場合、自動的に供給してもよい。ユーザによる操作パネルへの指示で足し油ポンプと足し油電磁弁とを動作させてもよい。
上記形態では、油槽と増油タンクとを接続する増油管に給油経路の第1給油管を接続しているが、給油経路は直接増油タンクに接続してもよい。
油槽が複数あるフライヤーでも本開示は適用できる。この場合、油槽ごとに増油タンクをそれぞれ設けて、増油温度検出手段も増油タンクごとに設ければよい。
フィルタリングタンクは、油槽ごとにそれぞれ設けてもよいし、複数の油槽から排出される調理油を1つのフィルタリングタンクで集めて受けてもよい。この場合、ポンプを1つにして給油経路を油槽ごとに分岐させ、給油経路に設けた給油バルブの開弁によって1又は複数の油槽でのフィルタリングをそれぞれ可能としてもよい。
【0032】
(第2給油バルブの開弁に伴いフィルタリングポンプを作動させる開示に係る効果)
上記形態のフライヤー1は、上流端がフィルタリングタンク20に接続され、上流側から、フィルタリングポンプ23と、手動操作で開閉可能な第1給油バルブ27(第1手動弁)とを備えた吸込管24、第1給油管25(第1給油経路)を有する。また、フライヤー1は、油槽2と増油タンク10とを接続する増油管11(第2給油経路)と、増油管11に設けられ、手動操作で開閉可能な増油用バルブ12(第2手動弁)とを有し、第1給油管25の下流端が、増油管11における増油用バルブ12の上流側に接続されている。
さらに、第1給油バルブ27を開弁し、増油用バルブ12を閉弁した状態でフィルタリングポンプ23を駆動させることで、フィルタリングタンク20内の調理油が、第1給油管25と増油管11とを介して増油タンク10に供給可能となっている。一方、第1給油バルブ27を閉弁し、増油用バルブ12を開弁することで、増油タンク10内の調理油が増油管11を介して油槽2に供給可能となっている。
そして、フィルタリングポンプ23を制御するバーナコントローラ42(制御手段)と、第1給油バルブ27の開閉状態を検出するリードスイッチ28(開閉状態検出手段)とを備え、バーナコントローラ42は、リードスイッチ28によって第1給油バルブ27の開弁状態を検出すると、フィルタリングポンプ23を作動させるようになっている。
【0033】
この構成によれば、バーナコントローラ42は、リードスイッチ28によって第1給油バルブ27の開弁状態を検出すると、フィルタリングポンプ23を作動させて増油タンク10及び油槽2側へ順送圧を加える。よって、給油経路の共有と手動の第1給油バルブ27の採用とによるコスト低減を可能としつつ、第1給油バルブ27の誤操作によるフィルタリングタンク20側への調理油の逆流を防止することができる。
また、第1のフィルタリングを行う際、第1給油バルブ27を開弁させれば自動的にフィルタリングポンプ23が駆動して第1のフィルタリングが行われるので、第1のフィルタリングに係るユーザの手間が軽減して使い勝手がよくなる。
【0034】
なお、第1給油バルブの開弁に伴いフィルタリングポンプを作動させる開示においては、以下の変更が可能である。
増油タンクには、オーバーフロー部を設けず、増油用バルブの操作のみで増油可能としてもよい。
油槽が複数あるフライヤーでも本開示は適用できる。この場合、油槽ごとに増油タンクと第1、第2給油経路とをそれぞれ設けて、第1、第2手動弁も各経路ごとに設ければよい。
フィルタリングタンクは、油槽ごとにそれぞれ設けてもよいし、複数の油槽から排出される調理油を1つのフィルタリングタンクで集めてもよい。この場合、ポンプを1つにして第1給油経路を油槽ごとに分岐させ、何れか1つの第1手動弁の開弁状態を検出するとポンプを駆動させるようにしてもよい。
【0035】
そして、各開示に共通して以下の変更が可能である。
加熱手段は、パルス燃焼器に限らず、油槽の外部に設けたガスバーナで形成してもよい。加熱手段は、電気ヒータのみで形成してもよい。
油槽の上部は逆テーパ状でなくてもよい。
排気管は、増油タンクに接触させなくてもよい。
第2給油管及び第2給油バルブは省略して、第1のフィルタリングのみを実行可能としてもよい。
足し油タンクに排油管を接触させて排気熱も利用して足し油タンク内の調理油を液化させてもよい。この場合、保温ヒータを省略してもよい。但し、足し油タンク及び足し油管等の構成は省略可能である。
各開示は、油槽の開口を蓋体で閉塞する圧力フライヤーであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1・・フライヤー、2・・油槽、3・・パルス燃焼器、4・・燃焼室、5・・テールパイプ、6・・第1調理部、7・・第2調理部、8・・第1油面温度センサ、9・・第2油面温度センサ、10・・増油タンク、11・・増油管、12・・増油用バルブ、13・・増油温度センサ、14・・オーバーフロー部、15・・エアチャンバ、16・・ガス導管、17・・給気管、18・・排気管、19・・電気ヒータ、20・・フィルタリングタンク、21・・排油管、22・・排油バルブ、23・・フィルタリングポンプ、25・・第1給油管、26・・第2給油管、27・・第1給油バルブ、28・・リードスイッチ、29・・第2給油バルブ、30・・足し油タンク、37・・調理用温度センサ、40・・フライコントローラ、41・・操作パネル、42・・バーナコントローラ。
図1
図2
図3
図4