IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックi−PROセンシングソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図1
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図2
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図3
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図4
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図5
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図6
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図7
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図8
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図9
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図10
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図11
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図12
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図13
  • 特許-カメラ装置および画角ずれ通知方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】カメラ装置および画角ずれ通知方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241217BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20241217BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241217BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241217BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20241217BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/50
G03B15/00 S
G03B17/56 A
G03B17/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021035580
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135639
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】320008672
【氏名又は名称】i-PRO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】杠 鷹史
(72)【発明者】
【氏名】木原 寿之
(72)【発明者】
【氏名】尾上 勉
(72)【発明者】
【氏名】山宮 修吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利明
(72)【発明者】
【氏名】鹿取 丈人
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166444(JP,A)
【文献】特開平04-145425(JP,A)
【文献】特開2017-143508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/50
G03B 15/00
G03B 17/56
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ筐体の傾きを繰り返し検出する傾きセンサと、
前記カメラ筐体の設置時の前記傾きの検出値を初期値として記憶するメモリと、
前記カメラ筐体の表面に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子の駆動を制御するプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記カメラ筐体の傾きの検出値と前記初期値との差分に応じて、前記複数の発光素子を異なる発光パターンで駆動制御し、
前記カメラ筐体は、前記表面に光軸が垂直となるレンズ部を有し、
前記カメラ筐体の背面に、三角柱形状のアタッチメントが有する四角形状の第1側面が固定され、
前記アタッチメントが有する四角形状の第2側面に、垂直なねじ穴が形成され、
前記ねじ穴に、前記カメラ筐体の傾き方向に動く支持軸が螺合され、
前記カメラ筐体の表面が矩形状で形成され、
前記レンズ部の光軸は、前記表面の一対の対角線の交点に対してオフセットして配置され、
前記背面に、正方形の各角部に対応する位置の4つのボルト固定穴が設けられ、
前記第2側面に、4つの前記ボルト固定穴のうち隣接するいずれか2つの前記ボルト固定穴に通じる一対の貫通孔が形成され、
前記アタッチメントは、前記一対の貫通孔にそれぞれ挿通した一対の固定ボルトを、4つの前記ボルト固定穴のうち隣接するいずれか2つに螺合して、前記背面に螺着される、
カメラ装置。
【請求項2】
前記メモリは、第1の閾値、前記第1の閾値より大きい第2の閾値、前記第2の閾値より大きい第3の閾値を記憶し、
前記複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子および第2の発光素子を有し、
前記プロセッサは、前記差分が前記第1の閾値未満である間、前記第1の発光素子を点灯するよう駆動制御する、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記メモリは、第1の閾値、前記第1の閾値より大きい第2の閾値、前記第2の閾値より大きい第3の閾値を記憶し、
前記複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子および第2の発光素子を有し、
前記プロセッサは、前記差分が前記第1の閾値以上でありかつ前記第2の閾値未満である間、前記第1の発光素子を点滅するよう駆動制御する、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記メモリは、第1の閾値、前記第1の閾値より大きい第2の閾値、前記第2の閾値より大きい第3の閾値を記憶し、
前記複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子および第2の発光素子を有し、
前記プロセッサは、前記差分が前記第2の閾値以上でありかつ前記第3の閾値未満である間、前記第2の発光素子を点滅するよう駆動制御する、
請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記メモリは、第1の閾値、前記第1の閾値より大きい第2の閾値、前記第2の閾値より大きい第3の閾値を記憶し、
前記複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子および第2の発光素子を有し、
前記プロセッサは、前記差分が前記第3の閾値以上である間、前記第2の発光素子を点灯するよう駆動制御する、
請求項1に記載のカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ装置および画角ずれ通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設置および設置後の位置調整を簡易に行うことのできる車両監視装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この車両監視装置は、走行する車両を監視カメラで撮影し、撮影した画像を解析して車両の登録番号あるいは車色を取得する。車両監視装置は、画像のエッジを検出し、エッジの傾きから監視カメラの傾きを検出する傾き検出部と、画像内のナンバープレートの幅を認識し、認識した幅と画像の幅をもとにカメラの視野幅を検出する視野幅検出部を備えた画像処理装置を備える。画像処理装置は、検出した監視カメラの傾きおよび視野幅をもとに、監視カメラの傾き、カメラと監視対象車両位置との間隔の適否を判定し、否と判定したときその調整方向を指示する情報を表示装置に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-25583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車両監視装置は車両が走行する道路の脇で固定して撮像することが想定されており、撮影途中に画角が崩れる(言い換えると、設定時の画角からずれる)ことが考慮されていない。ここで、仮に撮影途中に画角が崩れることを想定してみる。特許文献1の構成では、撮影領域が適正でない場合、監視カメラが撮影した撮影画像に異常を回避するための位置調整方法が付加された映像を表示部に表示してしまう。このため、作業者は、表示部の視認と監視カメラの位置調整とを交互に行わなければならず、作業に時間がかかった。また、監視カメラと表示部とが離れている場合には、少なくとも2人で作業を行う必要があり、さらに時間がかかった。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、撮像のための画角が設置時からずれ易い環境下に置かれた場合でも、作業者によるずれの早期発見と画角調整の短時間化を実現できるカメラ装置および画角ずれ通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、カメラ筐体の傾きを繰り返し検出する傾きセンサと、前記カメラ筐体の設置時の前記傾きの検出値を初期値として記憶するメモリと、前記カメラ筐体の表面に設けられた複数の発光素子と、前記複数の発光素子の駆動を制御するプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記カメラ筐体の傾きの検出値と前記初期値との差分に応じて、前記複数の発光素子を異なる発光パターンで駆動制御し、前記カメラ筐体は、前記表面に光軸が垂直となるレンズ部を有し、前記カメラ筐体の背面に、三角柱形状のアタッチメントが有する四角形状の第1側面が固定され、前記アタッチメントが有する四角形状の第2側面に、垂直なねじ穴が形成され、前記ねじ穴に、前記カメラ筐体の傾き方向に動く支持軸が螺合され、前記カメラ筐体の表面が矩形状で形成され、前記レンズ部の光軸は、前記表面の一対の対角線の交点に対してオフセットして配置され、前記背面に、正方形の各角部に対応する位置の4つのボルト固定穴が設けられ、前記第2側面に、4つの前記ボルト固定穴のうち隣接するいずれか2つの前記ボルト固定穴に通じる一対の貫通孔が形成され、前記アタッチメントは、前記一対の貫通孔にそれぞれ挿通した一対の固定ボルトを、4つの前記ボルト固定穴のうち隣接するいずれか2つに螺合して、前記背面に螺着される、カメラ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、撮像のための画角が設置時からずれ易い環境下に置かれた場合でも、作業者によるずれの早期発見と画角調整の短時間化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るカメラ装置の外観斜視図
図2図1に示したカメラ装置のハードウェア構成例を示すブロック図
図3】カメラ装置を設置する際の状況を示す説明図
図4】設定端末に表示される設定画面例を示す説明図
図5図1に示したカメラ装置により実行される画角ずれ通知方法の動作手順例を示すフローチャート
図6】複数のLEDによる発光パターンの一例を示す説明図
図7】アタッチメントが取り外された実施の形態1に係るカメラ装置11のカメラ筐体の分解斜視図
図8】横長で起立姿勢に支持された比較例に係るカメラ装置を側部上方から見た斜視図
図9】横長で起立姿勢に支持されたカメラ装置を斜め後方から見た斜視図
図10】横長で起立姿勢に支持されたカメラ装置を斜め前方から見た斜視図
図11】縦長で吊り下げ姿勢に支持されたカメラ装置を側部上方から見た斜視図
図12】横長で吊り下げ姿勢に支持されたカメラ装置を斜め前方から見た斜視図
図13】比較例に係るカメラ装置の運用時における撮像範囲を示す模式図
図14】カメラ装置の運用時における撮像範囲を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るカメラ装置および画角ずれ通知方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、実施の形態1に係るカメラ装置11の外観斜視図である。実施の形態1に係るカメラ装置11は、例えば撮像対象のエリアを画角内に含むように配置される監視カメラであり、カメラ筐体13の表面15が矩形状となる板状に形成される。カメラ筐体13は、厚み方向の表面側の前筐体17と、厚み方向の背面側の後筐体19とが組み合わされている。カメラ装置11は、大きな設置スペースが不要ないわゆる小型のコンパクトカメラである。カメラ装置11は、カメラ筐体13の寸法が、一例として横76mm程度、高さ48mm程度、厚み21mm程度となる。なお、カメラ筐体13の寸法は上述した寸法に限定されないことは言うまでもない。
【0012】
カメラ装置11は、横長姿勢において、カメラ筐体13の上下面の前縁および後縁のそれぞれを削り込むことにより、前面視がコンパクトとなるように形成されている。カメラ装置11は、カメラの向きを感じさせにくい横方向押し出し形状となっている。レンズ部21は、光軸23が、表面15の四隅の点から形成される一対の対角線の交点に対してオフセットして配置される。実施の形態1において、レンズ部21は、表面15において、一方の短辺の中央部に近接して配置される。レンズ部21は、表面15に光軸23が垂直となる。レンズ部21は、カメラと認識されやすい円形を隠す黒色枠25の内側に配置されている。
【0013】
カメラ装置11は、カメラ筐体13の表面15に、複数の発光素子(例えばLED:Light Emission Diode)が視認可能に配置される。また、カメラ筐体13の表面15には、一方の長辺の左右に近接して一対の第1マイク27および第2マイク29が配置される。
【0014】
図2は、図1に示したカメラ装置11のハードウェア構成例を示すブロック図である。カメラ装置11は、撮像部31と、プロセッサ33と、記憶部35と、第1マイク27および第2マイク29と、音声処理部37と、第1LED39および第2LED41と、傾きセンサ43と、電源部45と、有線通信部47と、映像処理部49と、無線通信部51と、外部インターフェース53と、を含む構成である。なお、カメラ装置11に設けられるマイクおよびLEDの個数はそれぞれ2つに限定されず、3個以上でもよい。
【0015】
撮像部31は、少なくとも光学素子としてのレンズ部21とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。レンズ部21は、撮像対象のエリアの画角内からの対象物により反射された光を入射してイメージセンサの受光面(言い換えると、撮像面)に対象物の光学像を結像する。イメージセンサは、例えばCCD(Charged Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子である。イメージセンサは、所定時間(例えば1/30(秒))ごとに、レンズ部21を介して撮像面に結像した光学像を電気信号に変換してプロセッサ33に送る。例えば所定時間が1/30(秒)である場合、カメラ装置11のフレームレートは30fpsとなる。また、撮像部31は、上述した所定時間ごとに、電気信号に所定の信号処理を施すことで画像データ(映像データ)を生成してもよい。なお、この画像データ(映像データ)を生成する処理はプロセッサ33により実行されてもよい。撮像部31は、画像データ(映像データ)をプロセッサ33に出力する。
【0016】
プロセッサ33は、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)もしくはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成される。プロセッサ33は、カメラ装置11の全体的な動作を司るコントローラとして機能し、カメラ装置11の各部の動作を統括するための制御処理、カメラ装置11の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理およびデータの記憶処理を行う。プロセッサ33は、記憶部35に記憶されたプログラムに従って動作する。プロセッサ33は、動作時に記憶部35を使用し、プロセッサ33が生成または取得したデータを記憶部35に一時的に保存する。例えば、プロセッサ33は、撮像部31からの映像データの保存処理、第1マイク27および第2マイク29のそれぞれからの音声データの保存処理、第1LED39および第2LED41の駆動制御、傾きセンサ43の検出値(例えばピッチ、ロールの変位情報)の保存処理等を行う。また、プロセッサ33は、予め学習処理によって得られた学習済みモデルを記憶部35から読み出して人工知能(AI:Artificial Intelligence)による処理(例えば画像データ中の人物あるいはその顔の検知処理)を実行可能である。なお、AIによる処理は上述した人物あるいはその顔の検知処理に限定されない。さらに、上述した人工知能による処理はプロセッサ33ではなく映像処理部49によって実行されてもよい。
【0017】
記憶部35は、例えばRAM(Random Access Memory)とROM(Read Only Memory)とを用いて構成され、カメラ装置11の動作の実行に必要なプログラム、さらには、動作中に生成されたデータを一時的に保持する。RAMは、例えば、カメラ装置11の動作中に使用されるワークメモリである。ROMは、例えば、カメラ装置11を制御するためのプログラムを予め記憶して保持する。言い換えると、プロセッサ33は、ROMに記憶されているプログラムを実行することで、コンピュータであるカメラ装置11に、本開示に係る画角ずれ通知方法に関する各種の処理(ステップ)を実行可能である。例えば、記憶部35は、撮像部31によって撮像された画像データを一時的に記憶してよい。また、記憶部35は、RAMおよびROM以外にフラッシュメモリをさらに有してもよく、画像データ(映像データ)を記憶してよい。また、記憶部35は、プロセッサ33あるいは映像処理部49が実行可能なAI処理用の学習済みモデルのデータを記憶する。
【0018】
また、記憶部35は、画像データ(映像データ)、音声データ、傾きセンサ43の検出値(例えば、ピッチ、ロールの変位情報)を一時的に記憶してもよいし、記憶しなくてもよい。実施の形態1において、記憶部35は、カメラ装置11を設置した時の傾きセンサ43の検出値を示す初期値DataX(後述参照)を一時的に記憶してよい。また、記憶部35は、カメラ装置11が設置された後の運用中に傾きセンサ43によって繰り返し検出される検出値DataYを一時的に記憶してよい。また、記憶部35は、初期値DataXと検出値DataYとの差分DiffAを一時的に記憶してよい。さらに、記憶部35は、順次に大きくなる傾きの閾値(例えば、第1の閾値A、第2の閾値B、第3の閾値C)を記憶している。
【0019】
第1マイク27および第2マイク29のそれぞれは、カメラ装置11の周囲で発生している音波を電気信号に変換して音声処理部37に送信する。第1マイク27および第2マイク29のそれぞれには、例えばECMマイク(エレクトレットコンデンサマイク)が使用される。
【0020】
音声処理部37は、第1マイク27および第2マイク29のそれぞれによって収音された音声の電気信号にAD変換等の既存の信号処理を施す信号回路を用いて構成される。音声処理部37は、上述した信号処理を経て音声データを生成する。音声処理部37は、生成された音声データをプロセッサ33に送る。送られた音声データは、プロセッサ33を介して記憶部35に記憶される。
【0021】
発光素子の一例としての第1LED39および第2LED41のそれぞれは、カメラ筐体13の表面に設けられる発光デバイスである。これにより、作業員(後述参照)は、第1LED39および第2LED41のうち少なくとも1つが発光している時の発光色を視覚的に把握できる。実施の形態1において、例えば第1LED39が緑色に発光し、例えば第2LED41が赤色に発光する。第1LED39および第2LED41のそれぞれは、プロセッサ33により点灯または点滅するように駆動制御される。第1LED39および第2LED41の点灯または点滅の駆動制御は、図6を参照して後述する。
【0022】
傾きセンサ43は、例えばジャイロセンサにより構成された場合、撮像対象のエリアを撮像可能とするために設置されたカメラ筐体13の傾きをピッチとロールの値で検出するデバイスである。ピッチとは、縦揺れの方向である。ロールとは、横揺れの方向である。傾きセンサ43は、例えば、物体に回転角速度を加えると、その変位と直角方向にコリオリ力が生じる特性を利用する。傾きセンサ43は、コリオリ力を圧電磁器により電気信号として検出することにより、ピッチ(縦揺れ方向)、ロール(横揺れ方向)の移動運動情報を検出できる。なお、傾きセンサ43は、ジャイロセンサではなく、カメラ筐体13の3軸方向(例えば横方向、高さ方向、厚み方向)ごとの加速度値を検知することでカメラ筐体13の傾きを検知可能な加速度センサによって構成されてもよい。いずれにしても、傾きセンサ43により検出されたピッチ、ロールの変位情報は、プロセッサ33により記憶部35に記憶される。
【0023】
電源部45は、カメラ装置11の各部に電源を供給可能な充電池を保持する。また、電源部45は、有線通信部47の有線LAN(Local Area Network)接続を介したPoE(Power of Ethernet(登録商標))あるいは、外部インターフェース53を介するUSB(Universal Serial Bus)接続から給電されてもよい。
【0024】
有線通信部47は、有線LANを用いた通信ネットワークを介してPC等の外部機器との間で有線通信可能に接続する通信デバイスにより構成される。有線通信部47は、その外部機器との間でデータの送受信を行う。なお、有線通信部47は、カメラ装置11の構成として省略されてもよい。有線通信部47は、例えばプロセッサ33から入力された映像データあるいは音声データを上述した外部機器に送信してよいし、外部機器(上述参照)から送られたデータをプロセッサ33に送ってよい。
【0025】
映像処理部49は、プロセッサ33から送られた映像データに、例えばホワイトバランス補正、ガンマ補正、輪郭強調、色補正等の各種の信号処理を施す信号処理回路を用いて構成され、信号処理後の映像データをプロセッサ33に送る。送られた映像データは、プロセッサ33により記憶部35に記憶される。なお、上述したように、映像処理部49は、予め学習処理によって得られた学習済みモデルを記憶部35から読み出して人工知能(AI)による処理(例えば画像データ中の人物あるいはその顔の検知処理)を実行してもよい。この処理結果は、例えばプロセッサ33を介して記憶部35にて記憶される。
【0026】
無線通信部51は、カメラ装置11を設置する作業を行う作業員が携帯可能な設定端末55(例えば設定端末55)との間で無線通信可能に接続する通信デバイスにより構成される。無線通信部51は、例えば作業員によるカメラ装置11の設置時に、設定端末55との間でデータの送受信を行う。
【0027】
外部インターフェース53は、例えばUSB接続が可能なコネクタを有する。外部インターフェース53には、USBコネクタを介して外部装置が接続可能となる。また、外部インターフェース53には、USBコネクタを備えた無線装置が直接接続されてもよい。この無線装置による無線通信には、例えばWi-Fi(登録商標)等が使用可能となる。
【0028】
次に、カメラ装置11の画角調整方法および画角ずれ通知方法について説明する。
【0029】
[画角調整方法]
先ず、画角調整方法について、図3および図4を参照して説明する。図3は、カメラ装置11を設置する際の状況を示す説明図である。図4は、設定端末55に表示される設定画面例を示す説明図である。
【0030】
カメラ装置11を設置する作業を行う作業者は、設置場所において、作業者自身が携帯している設定端末55とカメラ装置11とを互いにデータ通信可能となるように無線接続する。つまり、作業者は、カメラ装置11の初期設置時あるいは定期的なメンテナンス時(以下、「設置時」と略記する)に行う画角調整を、設定端末55のディスプレイに表示される設定画面(図4参照)を見ながら1人で行うことができる。
【0031】
カメラ装置11の設置時、設定端末55のディスプレイに表示された設定画面には、カメラ装置11により撮像された映像データPicの表示エリアが設けられている。この設定画面には、カメラ装置11により撮像された映像データPicの他に、カメラ筐体13内に設けられている傾きセンサ43により取得された現在のカメラ筐体13の傾き情報PLd(例えばピッチの検出値とロールの検出値)が同時に表示される。この傾き情報PLdは、カメラ装置11と設定端末55とが無線接続している間、カメラ筐体13の傾きが傾きセンサ43によって検出される度にリアルタイムに表示される。
【0032】
作業者は、カメラ装置11により撮像された映像データPicを見ながらカメラ筐体13を把持してカメラ装置11の撮像したい画角を調整する。映像データPicを見た作業者の判定で最適な画角が決められた時、作業者は、映像データPicとともに設定端末55のディスプレイに表示される設定画面内の画角登録ボタン(図示略)を押下操作する。これにより、画角登録ボタンの押下操作に基づく設定端末55からの操作情報(画角登録信号)が無線通信部51を介して、カメラ装置11のプロセッサ33に送信される。プロセッサ33は、設定端末55から送信された画角登録信号を受けて、画角登録ボタンの押下時の傾きセンサ43による検出値(例えばピッチとロール)を初期値DataXとして記憶部35に記憶させる。これにより、カメラ装置11は、カメラ筐体13の設置時における傾きセンサ43の検出値を初期値として記憶部35に記憶できる。この画角調整方法の処理が実行された後、図5を参照して説明する画角ずれ通知方法の処理が実行される。
【0033】
[画角ずれ通知方法]
図5は、図1に示したカメラ装置11により実行される画角ずれ通知方法の動作手順例を示すフローチャートである。図5に示す各処理は、主にカメラ装置11のプロセッサ33によって実行される。以下の動作手順は、例えばカメラ装置11が新たに設置される初期設置時にされてもよいし、定期的なメンテナンス時(例えば清掃時、移設時)にカメラ装置11自体が新しいものに交換された際に実行されてもよい。
【0034】
図5において、カメラ装置11は電源部45からの給電を受けて起動すると(St1)、プロセッサ33は画角調整時に記憶された傾きセンサ43による検出値である初期値DataXを記憶部35から読み出す(St2)。
【0035】
プロセッサ33は、この初期値DataXが有効なデータか否か(例えば、画角調整方法の処理によって記憶部35に既に登録されたデータであるか否か)を判定する(St3)。初期値DataXが未登録の場合(St3、NO)、上述のように画角調整方法の処理が作業員によって行われた後に画角登録ボタンが押下操作されることで、プロセッサ33は、その押下操作時の傾きセンサ43による検出値を初期値DataXとしてセットする(St4)。
【0036】
初期値DataXが登録済である場合(St3、YES)あるいはステップSt4の後、プロセッサ33は、現在の傾きセンサ43による検出値のデータを取得する(St5)。プロセッサ33は、この取得された検出値のデータを検出値DataYとして、後述の比較処理用に記憶部35に記憶する(St5)。プロセッサ33は、検出値DataYと初期値DataXとの差分DiffA(つまり、検出値DataY-初期値DataX)を演算して記憶部35に記憶する(St6)。
【0037】
上述したように、カメラ装置11は、記憶部35に、順次に大きくなる第1の閾値A、第2の閾値B、第3の閾値Cを記憶している(第1の閾値A<第2の閾値B<第3の閾値C)。カメラ装置11は、ステップSt6で演算された差分DiffAに応じて、複数のLED(例えば第1LED39、第2LED41)を用いて異なる発光パターンで駆動制御する(図6参照)。
【0038】
ここで、発光パターンについて、図6を参照して説明する。図6は、複数のLEDによる発光パターンの一例を示す説明図である。プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第1の閾値A未満であるか否かを判定する(St7)。プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第1の閾値A未満であると判定した場合(St7、YES)、第1LED39を点灯するよう駆動制御する(St8)。これにより、カメラ装置11において、第1LED39が緑点灯される。つまり、例えば店舗内に配置されたカメラ装置11の状況を定期的に見回る店員は、緑点灯状態であることで現時点において画角のずれがほぼ無いことを簡単に把握できる。
【0039】
プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第1の閾値A以上であると判定した場合(St7、NO)、その差分DiffAが第2の閾値B未満であるか否かを判定する(St9)。プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第2の閾値B未満であると判定した場合(St9、YES)、第1LED39を点滅するよう駆動制御する(St10)。これにより、カメラ装置11は、第1LED39が緑点滅される。つまり、例えば店舗内に配置されたカメラ装置11の状況を定期的に見回る店員は、緑点滅状態であることで現時点において画角のずれが少しあるが気にする程のことが無いことを簡単に把握できる。
【0040】
プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第2の閾値B以上であると判定した場合(St9、NO)、その差分DiffAが第3の閾値C未満であるか否かを判定する(St11)。プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第3の閾値C未満であると判定した場合(St11、YES)、第2LED41を点滅するよう駆動制御する(St12)。これにより、カメラ装置11は、第2LED41が赤点滅される。つまり、例えば店舗内に配置されたカメラ装置11の状況を定期的に見回る店員は、赤点滅状態であることで現時点において画角のずれがあるので画角調整の必要があることを簡単に把握できる。
【0041】
プロセッサ33は、ステップSt6で演算された差分DiffAが第3の閾値C以上であると判定した場合(St11、NO)、第2LED41を点灯するよう駆動制御する(St13)。これにより、カメラ装置11は、第2LED41が赤点灯される。つまり、例えば店舗内に配置されたカメラ装置11の状況を定期的に見回る店員は、赤点灯状態であることで現時点において画角のずれが大きいので即刻カメラ装置11を取り外して画角調整の必要があることを簡単に把握できる。
【0042】
なお、差分DiffAと、第1の閾値A、第2の閾値Bおよび第3の閾値Cとの比較に基づくステップSt5~ステップSt13までの点灯・点滅制御は、プロセッサ33によるループ処理となる。したがって、カメラ装置11は、カメラ筐体13の傾きが常に監視されている状態となり、画角のずれの有無およびその程度をリアルタイムでLEDでの点滅あるいは点灯により直感的に報知させることができる。
【0043】
次に、カメラ装置11がカメラ筐体13に有している支持構造について説明する。
【0044】
カメラ筐体は、カメラ筐体を支持する支持軸が例えば水平方向よりも下側に傾斜できない場合、支持軸の螺合するねじ穴が背面に垂直に設けられている従来のカメラ装置57(図8参照)では、カメラ筐体59の表面15に設けられたレンズ部21の光軸23が水平方向となる。支持軸は、例えば起立するポール61(図8参照)の上端に支持される。このため、従来のカメラ装置57は、光軸23をポール側へ傾けた伏角、仰角を有する向きでの撮像が行えない。
【0045】
図7は、アタッチメント63が取り外された実施の形態1に係るカメラ装置11のカメラ筐体13の分解斜視図である。カメラ装置11は、接続用部品としてのアタッチメント63を備える。アタッチメント63は、カメラ筐体13の背面65に着脱自在に固定される。アタッチメント63は、例えば三角柱形状に形成される。つまり、アタッチメント63は、3つの四角形を環状に接続する側面が、一対の平行な三角形の表裏面により挟まれる。なお、一対の平行な三角形は、必ずしも正三角形である必要はない。つまり、アタッチメント63は、正三角柱である必要はない。
【0046】
アタッチメント63は、四角形の第1側面67が、カメラ筐体13の背面65に固定される。アタッチメント63は、四角形の第2側面69に、垂直なねじ穴71が形成される。ねじ穴71は、例えばインチねじのカメラねじとなる。このねじ穴71には、ピッチとロールの傾き方向に動く支持軸73(図9参照)が螺合可能となる。
【0047】
支持軸73は、ピッチとロールの傾き方向に移動自在な例えばボールジョイント75を介してポール61等に支持される。ボールジョイント75は、固定レバー77の回転操作により、支持軸73の固定およびその固定の解除が可能となる。ボールジョイント75を備えたポール61は、さらに店舗内に配置される棚等の被着体79(図13,14参照)に、固定フランジ81等を介して固定されてもよい。ここでいう棚とは、例えば店舗で取り扱われている商品(売り物)が陳列される商品棚でもよいし、他の用途で使用されている棚でもよい。
【0048】
カメラ装置11は、背面65に、正方形の各角部に対応する位置で4つのボルト固定穴83が設けられる。一方、アタッチメント63の第2側面69には、4つのボルト固定穴83のうち隣接するいずれか2つのボルト固定穴83に通じる一対の貫通孔85が形成される。それぞれの貫通孔85は、挿通した固定ボルト87の頭部に当たる座面が、カメラ筐体13の背面65と平行に形成されている。なお、貫通孔85の開口近傍には、固定ボルト87の頭部が収容できるように、傾斜する第2側面69を、背面65と平行に彫り込んだV字状の凹部89が形成される。固定ボルト87には、凹部89での締め付けが容易な例えば六角穴付きボルトが好適に用いられる。
【0049】
なお、カメラ筐体13は、アタッチメント63、支持軸73を用いずに、被着体79を貫通した固定ボルト87を直接、背面65に螺合して固定を行うこともできる。
【0050】
アタッチメント63は、一対の貫通孔85に挿通した一対の固定ボルト87を、4つのボルト固定穴83のうち隣接するいずれか2つに螺合し、背面65に螺着される。つまり、アタッチメント63は、背面65に対し、垂直な回転中心周りで90度ごと4通りの姿勢(向き)で取付けが可能となっている。
【0051】
図8は、横長で起立姿勢に支持された比較例に係るカメラ装置57を側部上方から見た斜視図である。アタッチメント63を有しない従来のカメラ装置57は、支持軸73が、背面65に垂直に形成されたボルト固定穴83に螺合される。このカメラ装置57では、支持軸73が水平方向よりも下側に向けられない場合、レンズ部21の光軸23は、水平方向よりも下側に向けられない。
【0052】
図9は、横長で起立姿勢に支持されたカメラ装置11を斜め後方から見た斜視図である。図10は、横長で起立姿勢に支持されたカメラ装置11を斜め前方から見た斜視図である。実施の形態1に係るカメラ装置11では、背面65にアタッチメント63が取り付けられる。アタッチメント63の第2側面69に、支持軸73が垂直な方向で螺合される。これにより、カメラ装置11では、上記と同様に、支持軸73が水平方向よりも下側に向けられない場合であっても、レンズ部21の光軸23は、水平方向よりも下側に傾けることができる。つまり、横長で起立姿勢に支持されたカメラ装置11は、レンズ部21の光軸23を前傾させることが可能になる。
【0053】
図11は、縦長で吊り下げ姿勢に支持されたカメラ装置11を側部上方から見た斜視図である。図12は、横長で吊り下げ姿勢に支持されたカメラ装置11を斜め前方から見た斜視図である。カメラ装置11は、矩形状のカメラ筐体13を、アタッチメント63の固定向きを変更することにより、図11に示す縦長に支持したり、図12に示す横長に支持したりすることもできる。つまり、吊り下げ姿勢に支持されたカメラ装置11は、レンズ部21の光軸23を仰角の方向に傾けることが可能になる。
【0054】
次に、上記した実施の形態1に係るカメラ装置11の作用を説明する。
【0055】
実施の形態1に係るカメラ装置11は、カメラ筐体13の傾きを検出する傾きセンサ43と、カメラ筐体13の設置時の傾きの検出値を初期値として記憶するメモリ(例えば記憶部35)と、カメラ筐体13の表面15に設けられた複数の発光素子(例えば第1LED39、第2LED41)と、複数の発光素子の駆動を制御するプロセッサ33と、を備える。プロセッサ33は、カメラ筐体13の傾きの検出値と初期値との差分に応じて、複数の発光素子を異なる発光パターンで駆動制御する。
【0056】
実施の形態1に係る画角ずれ通知方法は、カメラ筐体13の傾きを検出する傾きセンサ43を備えたカメラ装置11により実行される。画角ずれ通知方法は、カメラ筐体13の設置時の傾きの検出値を初期値としてメモリ(例えば記憶部35)に記憶し、カメラ筐体13の傾きの検出値と初期値との差分を演算し、差分に応じてカメラ筐体13の表面に設けられた複数の発光素子(例えばLED)を異なる発光パターンで駆動制御する。
【0057】
カメラ装置11のカメラ筐体13の設置時、カメラ筐体13の傾きが、カメラ筐体13に設けられた傾きセンサ43により検出される。傾きセンサ43により検出されたピッチとロールからなる検出値は、プロセッサ33により初期値DataXとして記憶部35に記憶される。一方で、運用中にはカメラ筐体13が初期値として設定されている撮像方向と異なる方向に傾く(例えば、来店客、あるいは清掃時に清掃員の手がカメラ筐体13にぶつかって動く)可能性がある。このような事情から、カメラ装置11において、プロセッサ33は、設置された後の運用中でも、例えばピッチとロールからなる検出値DataYを定期的に演算して取得する。
【0058】
つまり、プロセッサ33は、設置時の傾きである初期値DataXと、その後に動かされることにより変更された検出値DataYとの差分DiffAを演算し、その差分DiffAに基づいて複数のLEDを異なる発光パターンで駆動制御する。発光パターンとしては、例えば発光色や、点灯・点滅が挙げられる。
【0059】
これにより、運用中(例えば清掃時あるいは移設時)、カメラ筐体13が初期値DataXと異なる方向に動かされると、作業員(例えばカメラ装置11が設置された店舗の店員)は、カメラ筐体13が動いたこと(すなわち、画角が変わったこと)をLEDの発光パターンにより即座に知ることができる。
【0060】
したがって、画角が変わったことをLEDの発光パターンにより知った作業者は、カメラ筐体13の表面15に設けられているLEDの発光パターンを見ながらカメラ筐体13の傾きを適時補正等の調整を行える。カメラ筐体13の傾きを変えた結果、その変更後の傾きが、初期値DataXに近い傾きへ変わると、発光パターンが変わる。作業者は、その発光パターンを視認することにより、カメラ筐体13が元の画角に近づく方向に調整できていることを知ることができる。
【0061】
すなわち、作業者は、LEDの発光パターンを視認しながら、同時にカメラ筐体13の傾き調整を行うことにより、最終的に初期値DataXの傾きまでカメラ筐体13の傾きを1人で容易に復元することができる。その結果、作業者は、初回設定した画角がずれた場合であっても、撮像画像を直接確認したり、2人作業としたり、分度器等を使用したりすることなく、元の画角へ短時間で簡便に復旧させることができる。つまり、カメラ装置11あるいは画角ずれ通知方法によれば、撮像のための画角が設置時からずれ易い環境下に置かれた場合でも、作業者によるずれの早期発見と画角調整の短時間化を実現できる。
【0062】
また、カメラ装置11において、メモリ(例えば記憶部35)は、第1の閾値A、第1の閾値Aより大きい第2の閾値B、第2の閾値Bより大きい第3の閾値Cを記憶する。複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子(例えば第1LED39)および第2の発光素子(例えば第2LED41)を有する。プロセッサ33は、差分が第1の閾値A未満である間、第1の発光素子(例えば第1LED39)を点灯するよう駆動制御する。
【0063】
このカメラ装置11では、初期値DataXからのずれ量の程度が、順次に大きくなる複数の閾値(例えば第1の閾値A、第2の閾値B、第3の閾値C)として記憶部35に記憶される。目安として、例えば第1の閾値Aはずれが小さいことを示し、第2の閾値Bはずれが発生していることを示し、第3の閾値はずれが大きいことを示す。プロセッサ33は、運用中に傾きセンサ43によって検出される検出値と初期値DataXとの差分DiffAを算出し、その差分DiffAと上述した各種の閾値とに基づき複数のLEDを用いて異なる発光パターンで駆動制御する。
【0064】
ここで、複数のLEDは、異なる発光色の2つの第1LED39と、第2LED41とからなる。第1LED39は、発光色が例えば緑となる。第2LED41は、発光色が例えば赤となる。
【0065】
プロセッサ33は、演算された差分DiffAが第1の閾値A未満である間、第1LED39を緑で点灯させる。したがって、カメラ装置11は、カメラ筐体13が初期位置から動かされていないか、あるいは動かされていてもごく僅かであれば、第1LED39が緑で点灯し続けることになる。また、復旧作業中、第1LED39が緑点灯すれば、作業者は、初期位置への復旧が完了したことを知ることができる。
【0066】
また、カメラ装置11において、メモリ(例えば記憶部35)は、第1の閾値A、第1の閾値Aより大きい第2の閾値B、第2の閾値Bより大きい第3の閾値Cを記憶する。複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子(例えば第1LED39)および第2の発光素子(例えば第2LED41)を有する。プロセッサ33は、差分が第1の閾値A以上でありかつ第2の閾値B未満である間、第1の発光素子(例えば第1LED39)を点滅するよう駆動制御する。
【0067】
このカメラ装置11では、プロセッサ33は、差分DiffAが第1の閾値A以上でかつ第2の閾値B未満である間、第1LED39を緑で点滅させる。したがって、カメラ装置11は、カメラ筐体13が初期位置から少しずれれば、第1LED39が緑で点滅し続けることになる。また、復旧作業中、第1LED39が緑点滅すれば、作業者は、初期位置への復旧が完了に近いことを知ることができる。
【0068】
また、カメラ装置11において、メモリ(例えば記憶部35)は、第1の閾値A、第1の閾値Aより大きい第2の閾値B、第2の閾値Bより大きい第3の閾値Cを記憶する。複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子(例えば第1LED39)および第2の発光素子(例えば第2LED41)を有する。プロセッサ33は、差分が第2の閾値B以上でありかつ第3の閾値C未満である間、第2の発光素子(例えば第2LED41)を点滅するよう駆動制御する。
【0069】
このカメラ装置11では、プロセッサ33は、差分DiffAが第2の閾値B以上でかつ第3の閾値C未満である間、第2LED41を赤で点滅させる。したがって、カメラ装置11は、カメラ筐体13が初期位置からずれていれば、第2LED41が赤で点滅し続けることになる。また、復旧作業中、第2LED41が赤点滅すれば、作業者は、カメラ筐体13が初期位置からまだずれており、復旧が未完であることを知ることができる。
【0070】
また、カメラ装置11において、メモリ(例えば記憶部35)は、第1の閾値A、第1の閾値Aより大きい第2の閾値B、第2の閾値Bより大きい第3の閾値Cを記憶する。複数の発光素子は、発光色が異なる第1の発光素子(例えば第1LED39)および第2の発光素子(例えば第2LED41)を有する。プロセッサ33は、差分が第3の閾値C以上である間、第2LED41を点灯するよう駆動制御する。
【0071】
このカメラ装置11では、プロセッサ33は、差分DiffAが第3の閾値C以上である間、第2LED41を赤で点灯させる。したがって、カメラ装置11は、カメラ筐体13が初期位置から大きくずれていれば、第2LED41が赤で点灯し続けることになる。また、復旧作業中、第2LED41が赤点灯すれば、作業者は、カメラ筐体13が初期位置からまだ大きくずれていることを知ることができる。
【0072】
また、カメラ装置11において、カメラ筐体13は、表面15に光軸23が垂直となるレンズ部21を有し、カメラ筐体13の背面65に三角柱形状のアタッチメント63が有する四角形状の第1側面67が固定される。アタッチメント63が有する四角形状の第2側面69に、垂直なねじ穴71が形成され、ねじ穴71に、カメラ筐体13の傾き方向に動く支持軸73が螺合される。
【0073】
このカメラ装置11では、カメラ筐体13の背面65に、三角柱形状のアタッチメント63が有する四角形状の第1側面67が固定される。このアタッチメント63が有する四角形状の第2側面69には、ねじ穴71が垂直に形成される。したがって、ねじ穴71の形成された第2側面69は、カメラ筐体13の背面65に対して角度を有して傾斜する。
【0074】
第2側面69のねじ穴71には、ピッチとロールの傾き方向に動く支持軸73が螺合される。つまり、第2側面69に支持軸73が螺合されたカメラ装置11は、アタッチメント63を介して支持軸73に支持されることになる。
【0075】
図13は、比較例に係るカメラ装置57の運用時における撮像範囲を示す模式図である。ここで、カメラ筐体13を支持するための支持軸73が水平方向に向けられている場合、背面65に垂直なねじ穴71が設けられている従来のカメラ筐体59では、レンズ部21の光軸23が水平方向となる。支持軸73が水平方向よりも下側に傾斜できない場合、カメラ装置57は、光軸23を水平方向よりも下側へ向けられない。
【0076】
図14は、カメラ装置11の運用時における撮像範囲を示す模式図である。これに対し、背面65にアタッチメント63を備えたカメラ装置11では、アタッチメント63の第2側面69に、水平方向に向けられた支持軸73が螺合されると、カメラ筐体13の背面65が鉛直面に対して前傾可能となる。これにより、カメラ装置11は、アタッチメント63を有しないカメラ装置57よりも、支持軸73を支持するポール61に、より接近する範囲まで撮像範囲を広げることができる。
【0077】
また、カメラ装置11では、カメラ筐体13の表面15が矩形状で形成され、レンズ部21は、光軸23が、表面15の一対の対角線の交点に対してオフセットして配置されている。カメラ筐体13の背面65に、正方形の各角部に対応する位置の4つのボルト固定穴83が設けられ、第2側面69に、4つのボルト固定穴83のうち隣接するいずれか2つのボルト固定穴83に通じる一対の貫通孔85が形成され、アタッチメント63が、一対の貫通孔85にそれぞれ挿通した一対の固定ボルト87を、4つのボルト固定穴83のうち隣接するいずれか2つに螺合して、背面65に螺着される。
【0078】
このカメラ装置11では、カメラ筐体13の背面65に、アタッチメント63が固定ボルト87により着脱自在に固定される。ここで、カメラ筐体13は、矩形状で形成される。レンズ部21は、表面15の一対の対角線の交点に対してオフセットして配置される。例えば、レンズ部21は、カメラ筐体13の短辺側に近接して配置される。
【0079】
カメラ筐体13の背面65には、正方形の各角部に対応する位置の4つのボルト固定穴83が設けられる。一方、アタッチメント63には、この4つのボルト固定穴83のうち隣接するいずれか2つのボルト固定穴83に通じる一対の貫通孔85が形成される。つまり、アタッチメント63は、一対の貫通孔85を結ぶ線分が、4つのボルト固定穴83を結ぶ正方形の各辺に重なる4通りの向きで背面65に固定が可能となる。
【0080】
カメラ筐体13は、4通りの向きで背面65に固定自在となるので、取得画像を縦長、横長、上下反転させることができるようになる。これにより、カメラ装置11は、例えば床側に設置したポール61にカメラ筐体13を支持する場合、あるいは天井側に設置したポール61にカメラ筐体13を支持する場合のいずれにおいても、同一の画角設定自由度で撮像範囲を決めることができるようになる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示は、撮像のための画角が設置時からずれ易い環境下に置かれた場合でも、作業者によるずれの早期発見と画角調整の短時間化を実現できるカメラ装置および画角ずれ通知方法として有用である。
【符号の説明】
【0083】
11 カメラ装置
13 カメラ筐体
15 表面
21 レンズ部
23 光軸
33 プロセッサ
35 記憶部
39 第1LED
41 第2LED
43 傾きセンサ
63 アタッチメント
65 背面
67 第1側面
69 第2側面
71 ねじ穴
73 支持軸
83 ボルト固定穴
85 貫通孔
87 固定ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14