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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】横型ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/06 20120101AFI20241217BHJP
【FI】
B65B9/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021073363
(22)【出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2022167520
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 利雄
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将茂
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110443(JP,A)
【文献】特開2019-085152(JP,A)
【文献】特開2012-240709(JP,A)
【文献】特開2012-158341(JP,A)
【文献】特開2015-042554(JP,A)
【文献】特開平05-170210(JP,A)
【文献】国際公開第2011/039707(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00
B65B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ベースの帯状包装材から成形した袋に製品を充填する横型ピロー包装機であって、
搬送方向に搬送される帯状包装材を、前記搬送方向に直交する帯状包装材の幅方向の両端部を重ね合わせて筒状に成形する製筒器と、
状に成形された帯状包装材の下方に配置されて、筒状に成形された帯状包装材の重ね合わされた端部を挟持して前記搬送方向に搬送する挟持搬送装置と、
前記製筒器より前記搬送方向の下流側で且つ筒状に成形された帯状包装材の上方に配置されて、筒状に成形された帯状包装材を上方に吸引しながら前記搬送方向に搬送する吸引搬送装置と、
前記製筒器より前記搬送方向の下流側に配置されて、筒状に成形された帯状包装材の重ね合わされた端部をシールするセンタシール装置と、
前記センタシール装置より前記搬送方向の下流側に配置されて、製品を内包した帯状包装材を、前記搬送方向における製品の両側でシールするエンドシール装置とを備え
前記吸引搬送装置は、前記製筒器よりも前記搬送方向の下流側で且つ前記挟持搬送装置よりも前記搬送方向の上流側において、帯状包装材の上方への吸引を開始することを特徴とする横型ピロー包装機。
【請求項2】
紙ベースの帯状包装材から成形した袋に製品を充填する横型ピロー包装機であって、
搬送方向に搬送される帯状包装材を、前記搬送方向に直交する帯状包装材の幅方向の両端部を重ね合わせて筒状に成形する製筒器と、
前記製筒器より前記搬送方向の下流側で且つ筒状に成形された帯状包装材の下方に配置されて、筒状に成形された帯状包装材の重ね合わされた端部を挟持して前記搬送方向に搬送する挟持搬送装置と、
前記製筒器より前記搬送方向の下流側で且つ筒状に成形された帯状包装材の上方に配置されて、筒状に成形された帯状包装材を上方に吸引しながら前記搬送方向に搬送する吸引搬送装置と、
前記製筒器より前記搬送方向の下流側に配置されて、筒状に成形された帯状包装材の重ね合わされた端部をシールするセンタシール装置と、
前記センタシール装置より前記搬送方向の下流側に配置されて、製品を内包した帯状包装材を、前記搬送方向における製品の両側でシールするエンドシール装置とを備え
前記吸引搬送装置は、
前記搬送方向に離間した位置に配置された駆動輪及び従動輪と、
複数の貫通口が形成され、前記駆動輪及び前記従動輪に掛け渡された無端環状ベルトと、
前記無端環状ベルトの内側に配置されて、前記複数の貫通口を通じて筒状に成形された帯状包装材を吸引するバキュームボックスとを備え、
前記バキュームボックスは、前記搬送方向における前記製筒器及び前記挟持搬送装置の間において、帯状包装材の上方への吸引を開始することを特徴とする横型ピロー包装機。
【請求項3】
請求項に記載の横型ピロー包装機において、
前記無端環状ベルトの下端は、製品の上端より上方に配置されていることを特徴とする横型ピロー包装機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の横型ピロー包装機において、
前記無端環状ベルトは、上下方向に昇降可能に構成されていることを特徴とする横型ピロー包装機。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の横型ピロー包装機において、
前記無端環状ベルトは、前記幅方向に進退可能に構成されていることを特徴とする横型ピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型ピロー包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原反ロールFrから引き出された帯状フィルムFwを筒状フィルムFtに成形し、水平方向に搬送される被包装品Pを筒状フィルムFtで包装し、被包装品Pの両側で筒状フィルムFtをシール及び切断する横型ピロー包装機が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0003】
横型ピロー包装機は、例えば、原反ロールFrから帯状フィルムFwを引き出すフィルム送りローラと、帯状フィルムFwを折り曲げて筒状フィルムFtを形成する製筒器(フォーマ)と、被包装品Pを内包した筒状フィルムFtの重合縁部を挟持して搬送するフィルム引きローラと、筒状フィルムFtの重合部をシールするセンタシーラと、被包装品Pの両側で筒状フィルムFtをシール及び切断するエンドシーラとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-158341号公報
【文献】特開2012-240709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のプラスチック素材を削減するトレンドにより、帯状フィルムFwとして、従来のプラスチック積層フィルムに代えて、紙ベースのフィルムが採用されるケースが増えつつある。そして、紙ベースのフィルムは、プラスチック積層フィルムと比較して剛性が高いという特徴がある。
【0006】
そのため、紙ベースの帯状フィルムFwは、製筒器を通過する際に筒状に成形しにくい(より詳細には、筒の断面積が小さくなりやすい)という第1の課題がある。また、紙ベースの帯状フィルムFwは、製筒器を通過する際の抵抗が大きく、フィルム引きローラのみでは牽引力が不足するという第2の課題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、その目的は、剛性が高い帯状包装材を、所望の大きさの筒状に成形すると共に適切に搬送することができる横型ピロー包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するため、紙ベースの帯状包装材から成形した袋に製品を充填する横型ピロー包装機であって、搬送方向に搬送される帯状包装材を、前記搬送方向に直交する帯状包装材の幅方向の両端部を重ね合わせて筒状に成形する製筒器と、状に成形された帯状包装材の下方に配置されて、筒状に成形された帯状包装材の重ね合わされた端部を挟持して前記搬送方向に搬送する挟持搬送装置と、前記製筒器より前記搬送方向の下流側で且つ筒状に成形された帯状包装材の上方に配置されて、筒状に成形された帯状包装材を上方に吸引しながら前記搬送方向に搬送する吸引搬送装置と、前記製筒器より前記搬送方向の下流側に配置されて、筒状に成形された帯状包装材の重ね合わされた端部をシールするセンタシール装置と、前記センタシール装置より前記搬送方向の下流側に配置されて、製品を内包した帯状包装材を、前記搬送方向における製品の両側でシールするエンドシール装置とを備え、前記吸引搬送装置は、前記製筒器よりも前記搬送方向の下流側で且つ前記挟持搬送装置よりも前記搬送方向の上流側において、帯状包装材の上方への吸引を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、剛性が高い帯状包装材を、所望の大きさの筒状に成形すると共に適切に搬送できる横型ピロー包装機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】横型ピロー包装機の側面図である。
図2】横型ピロー包装機の平面図である。
図3】フォーマ、挟持搬送装置、及びセンタシール装置の斜視図である。
図4】本実施形態に係る吸引搬送装置の斜視図である。
図5】無端環状ベルトを幅方向に進退させる構成を示す図である。
図6】無端環状ベルトを昇降させる構成を示す図である。
図7】搬送モータの駆動力を駆動ギヤに伝達する駆動力伝達機構の模式図である。
図8図3のα-α、β-βにおける断面であって、吸引搬送装置を搭載した場合(A、B)と搭載しない場合(C、D)とを比較する図である。
図9】変形例に係る吸引搬送装置の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る横型ピロー包装機1を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0012】
図1は、横型ピロー包装機1の側面図である。図2は、横型ピロー包装機1の平面図である。横型ピロー包装機1は、供給装置(図示省略)から供給される製品Pを1つずつ包装する装置である。図1及び図2に示すように、横型ピロー包装機1は、供給コンベア10と、フィルム送り装置20と、挟持搬送装置30と、センタシール装置35と、エンドシール装置40と、吸引搬送装置50とを主に備える。
【0013】
供給コンベア10は、供給装置(図示省略)から順番に供給される製品Pを、フォーマ26(製筒器)に供給する。図1に示すように、供給コンベア10は、駆動スプロケット14と、従動スプロケット15と、駆動スプロケット14及び従動スプロケット15に掛け渡された無端環状の搬送チェーン16と、駆動スプロケット14を駆動させる駆動モータ17とで構成される。
【0014】
また、搬送チェーン16には、複数のプッシャ18が設けられている。複数のプッシャ18は、製品Pの搬送方向に所定の間隔を隔てて配置されている。隣接する2つのプッシャ18の間には、供給装置から供給される製品Pが進入する。そして、プッシャ18は、製品Pの後端に当接して、当該製品Pを押す。
【0015】
フィルム送り装置20は、挟持搬送装置30及び吸引搬送装置50に向けて帯状フィルムFwを送る。図1及び図2に示すように、フィルム送り装置20は、帯状フィルムFwが巻回された巻取り軸21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23と、送りモータ24と、ガイドローラ25a、25bと、フォーマ26とを主に備える。
【0016】
帯状フィルムFwは、製品Pを包装する袋の材料となる帯状の包装材である。帯状フィルムFwは、熱を加えることによって溶着することが可能な膜状の部材であって、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、アルミ裏打紙、アルミ蒸着紙などが挙げられる。なお、紙ベース(すなわち、アルミ裏打紙、アルミ蒸着紙)の帯状フィルムFwは、プラスチック素材の帯状フィルムFwと比較して、剛性が高い(換言すれば、腰が強い)。
【0017】
駆動ローラ22及び従動ローラ23は、帯状フィルムFwを挟持した状態で回転する。駆動ローラ22は、送りモータ24の駆動力が伝達されて回転する。これにより、駆動ローラ22及び従動ローラ23は、巻取り軸21に巻回された帯状フィルムFwを、フォーマ26に向けて繰り出す。ガイドローラ25a、25bは、巻取り軸21から駆動ローラ22及び従動ローラ23を経てフォーマ26に至る帯状フィルムFwの搬送経路に沿って配置され、繰り出される帯状フィルムFwにテンションを付与する。
【0018】
フォーマ26は、フィルム送り装置20で送られた帯状フィルムFwを筒状に成形すると共に、供給コンベア10から供給された製品Pが筒状の帯状フィルムFwに進入する入口となる。フォーマ26は、フィルム送り装置20からセンタシール装置35に至る帯状フィルムFwの搬送経路上に配置されている。また、フォーマ26は、供給コンベア10の搬送方向の下流側の端部に対面して配置されている。
【0019】
フィルム送り装置20によって送られた帯状フィルムFwは、フォーマ26に沿って移動する過程で、搬送方向に直交する幅方向の両端部が下方で重ね合わされることによって筒状に成形される。また、供給コンベア10から供給された製品Pは、フォーマ26の内部空間を通過することによって、筒状の帯状フィルムFwの内部に進入する。
【0020】
図1に示すように、帯状フィルムFwは、ガイドローラ25bからフォーマ26の間において、斜め下方に搬送される。また、帯状フィルムFwの搬送方向は、フォーマ26によって水平方向に切り換えられる。すなわち、フォーマ26、挟持搬送装置30、センタシール装置35、エンドシール装置40、及び吸引搬送装置50を通過する過程において、帯状フィルムFwの搬送方向と、製品Pの搬送方向とは一致する。
【0021】
本明細書で単に「搬送方向」と表記したときは、フォーマ26より下流側における帯状フィルムFw及び製品Pの搬送方向(すなわち、水平方向)を指すものとする。また、帯状フィルムFwの搬送方向及び厚み方向に直交する方向を「帯状フィルムFwの幅方向(単に「幅方向」と表記することがある)」と定義する。すなわち、フォーマ26より下流側における幅方向は、水平面上において搬送方向に直交する方向を指す。
【0022】
図3は、フォーマ26、挟持搬送装置30、及びセンタシール装置35の斜視図である。フォーマ26は、巻取り軸21から繰り出された帯状フィルムFwを筒状に成形すると共に、供給コンベア10から供給された製品Pが筒状の帯状フィルムFwの内部に進入する入口としての役割を担っている。図3に示すように、フォーマ26は、一対の側壁26a、26bと、柱部26cと、一対の底壁26d、26eとで構成される。
【0023】
一対の側壁26a、26bは、幅方向に離間した位置に配置されている。また、一対の側壁26a、26bは、搬送方向に延設されている。柱部26cは、搬送方向の上流側の端部において、一対の側壁26a、26bの内面同士を接続している。すなわち、柱部26cは、幅方向に延設されている。また、柱部26cは、製品Pが通過する空間より上方に配置されている。
【0024】
底壁26d、26eは、柱部26cより搬送方向の下流側に配置されている。底壁26dは、側壁26aの下端から側壁26bに向けて突出している。底壁26eは、側壁26bの下端から側壁26aに向けて突出している。そして、底壁26d、26eの間には、幅方向の中央部を搬送方向に延びるスリット26fが形成されている。また、底壁26d、26eは、製品Pが通過する空間より下方に配置されている。
【0025】
ガイドローラ25bから斜め下方に搬送される帯状フィルムFwは、幅方向の中央部が柱部26cの下端に当接して、搬送方向が水平方向に切り換えられる。一方、帯状フィルムFwの幅方向の両側は、図8(A)に示すように、側壁26a、26bの内面に沿って下方に延び、側壁26a、26bの下端を通じてフォーマ26の外部に位置している。この状態から帯状フィルムFwが搬送方向に搬送されると、帯状フィルムFwの幅方向の両側が底壁26d、26eによってフォーマ26の内部に引き込まれる。そして、帯状フィルムFwは、図8(B)に示すように、フォーマ26の内壁面に沿って筒状に成形され、幅方向の両端部が重ね合わされた状態でスリット26fから下方に突出する。
【0026】
供給コンベア10から供給された製品Pは、一対の側壁26a、26bの間で、柱部26cより下方で、底壁26d、26eより上方において、フォーマ26の内部を搬送方向に通過する。そして、製品Pは、フォーマ26を通過する過程において、筒状に成形された帯状フィルムFwの内部に進入する。
【0027】
挟持搬送装置30は、フォーマ26によって筒状に成形された帯状フィルムFwの重ね合わされた端部を挟持して、搬送方向に搬送する。挟持搬送装置30は、フォーマ26より搬送方向の下流側に配置されている。また、挟持搬送装置30は、フォーマ26を通過した帯状フィルムFw及び製品Pより下方に配置されている。図1図3に示すように、挟持搬送装置30は、支持プレート31と、一対のフィルム送りローラ32、33と、送りモータ34とを主に備える。
【0028】
支持プレート31は、フォーマ26より搬送方向の下流側に接続されている。支持プレート31は、筒状の帯状フィルムFwに内包された製品Pを支持する。また、支持プレート31は、搬送方向において、センタシール装置35の位置まで延設されている。さらに、支持プレート31には、幅方向の中央部を帯状フィルムFwの搬送方向に沿って延びるスリット39が設けられている。支持プレート31のスリット39は、フォーマ26のスリット26fに連通している。そのため、帯状フィルムFwの重ね合わされた端部は、スリット39を通じて支持プレート31の下面側に突出している。
【0029】
一対のフィルム送りローラ32、33は、支持プレート31の下面側に配置されている。一対のフィルム送りローラ32、33は、スリット39を通じて突出した帯状フィルムFwの重ね合わされた端部を挟持する。フィルム送りローラ32は、送りモータ34の駆動力が伝達されて回転する。これにより、筒状の帯状フィルムFwは、センタシール装置35に向けて搬送方向に搬送される。
【0030】
センタシール装置35は、フォーマ26で重ね合わされた帯状フィルムFwの幅方向の両端部をシールする。センタシール装置35は、フォーマ26及び挟持搬送装置30より搬送方向の下流側に配置されている。また、センタシール装置35は、帯状フィルムFw及び製品P(換言すれば、支持プレート31)より下方に配置されている。センタシール装置35は、一対のシールローラ36、37と、シールモータ38とを主に備える。
【0031】
一対のシールローラ36、37は、フィルム送りローラ32、33より帯状フィルムFwの搬送方向の下流側において、支持プレート31の下面側に配置されている。一対のシールローラ36、37は、スリット39を通じて突出した帯状フィルムFwの重ね合わされた端部を挟持する。シールローラ36、37の外周面は、ヒータ(図示省略)によって加熱されている。シールローラ36は、シールモータ38の駆動力が伝達されて回転する。これにより、シールローラ36、37に挟持された帯状フィルムFwの重ね合わされた端部がシール(溶着)される。
【0032】
エンドシール装置40は、フォーマ26、挟持搬送装置30、センタシール装置35、及び吸引搬送装置50より搬送方向の下流側に配置されている。エンドシール装置40は、センタシール装置35でシールされた筒状の帯状フィルムFwを、搬送方向における製品Pの両側でシールすることによって、製品Pを収容した袋Bpを成形する。また、エンドシール装置40は、隣接する袋Bpの境界を切断することによって、袋Bpを1つずつ分離する。エンドシール装置40は、一対のシールブロック41、42と、接離モータ43とを主に備える。
【0033】
一対のシールブロック41、42は、上下方向において、筒状に成形された帯状フィルムFwを挟んで配置されている。一対のシールブロック41、42の帯状フィルムFwに対面する面は、ヒータ(図示省略)によって加熱されている。一対のシールブロック41、42は、接離モータ43の駆動力が伝達されて接離する。さらに、シールブロック41には、隣接する袋Bpの境界を切断するためのカッタを備える。
【0034】
エンドシール装置40は、隣接する製品Pの間において、一対のシールブロック41、42を当接させる。これにより、隣接する製品Pの間において、帯状フィルムFwのシールブロック41、42に挟まれた部分がシール(溶着)される。また、エンドシール装置40は、溶着した部分をカッタで切断する。さらに、エンドシール装置40は、一対のシールブロック41、42を離間させる。この動作を繰り返すことによって、製品Pを1つずつ内包した複数の袋Bpが形成される。
【0035】
吸引搬送装置50は、筒状に成形された帯状フィルムFwを上方に吸引しながら搬送方向に搬送する。吸引搬送装置50は、フォーマ26より搬送方向の下流側で、エンドシール装置40より搬送方向の上流側に配置されている。また、フォーマ26を通過した帯状フィルムFw及び製品Pより上方に配置されている。
【0036】
図4は、本実施形態に係る吸引搬送装置50の斜視図である。図1及び図4に示すように、吸引搬送装置50は、フレーム51と、回動軸52と、回動フレーム53と、一対の支持シャフト54a、54bと、一対の側板55a、55bと、駆動輪56と、従動輪57と、バキュームボックス58と、無端環状ベルト59と、搬送モータ60と、吸引装置61とを主に備える。
【0037】
フレーム51は、搬送モータ60及び吸引装置61を含む吸引搬送装置50全体を支持する。回動軸52は、搬送方向に延設されている。回動軸52は、フレーム51に回動可能に支持されている。回動フレーム53は、回動軸52に支持されている。すなわち、回動フレーム53は、回動軸52と共に回動する。一対の支持シャフト54a、54bは、回動フレーム53に支持されている。一対の支持シャフト54a、54bは、搬送方向に離間した位置において、各々が幅方向に延設されている。また、一対の支持シャフト54a、54bは、軸方向にスライド可能に回動フレーム53に支持されている。
【0038】
一対の側板55a、55bは、一対の支持シャフト54a、54bの先端側に支持されている。一対の側板55a、55bは、幅方向に離間した位置において、各々が搬送方向に延設されている。駆動輪56及び従動輪57は、一対の側板55a、55bの間に配置されている。駆動輪56及び従動輪57は、一対の側板55a、55bによって、幅方向に延びる回転軸線周りに回転可能に支持されている。
【0039】
駆動輪56は、搬送方向における一対の側板55a、55bの下流端に支持されている。従動輪57は、搬送方向における一対の側板55a、55bの上流端に支持されている。すなわち、駆動輪56及び従動輪57は、搬送方向に離間した位置において、一対の側板55a、55bに支持されている。
【0040】
本実施形態に係る駆動輪56は、搬送方向における挟持搬送装置30及びセンタシール装置35の間に配置されている。また、本実施形態に係る従動輪57は、搬送方向におけるフォーマ26及び挟持搬送装置30の間に配置されている。但し、駆動輪56及び従動輪57の離間距離は、図1の例より短くてもよいし、長くてもよい。また、駆動輪56及び従動輪57の配置は逆転していてもよい。
【0041】
バキュームボックス58は、一対の側板55a、55bに支持されている。バキュームボックス58は、幅方向における一対の側板55a、55bの間で、且つ搬送方向における駆動輪56及び従動輪57の間に配置されている。バキュームボックス58の下面には、空気を吸引するための吸引口(図示省略)が形成されている。バキュームボックス58は、搬送方向におけるフォーマ26及び挟持搬送装置30の間に配置されている。
【0042】
無端環状ベルト59は、駆動輪56及び従動輪57に掛け渡されている。また、無端環状ベルト59は、バキュームボックス58を囲んでいる。また、無端環状ベルト59の下端は、製品Pの上端より上方に位置している。さらに、無端環状ベルト59には、複数の貫通口が形成されている。複数の貫通口は、バキュームボックス58の下面に対面する位置を通過する際に、吸引口に連通する。貫通口の大きさ及び密度は、例えば、帯状フィルムFwの剛性に応じて適宜設定される。
【0043】
搬送モータ60は、駆動輪56を回転させるための駆動力を発生させる。搬送モータ60と駆動輪56とは、後述する駆動力伝達機構75、駆動ギヤ62、従動ギヤ63、及び駆動軸64を介して接続されている。駆動ギヤ62は、駆動力伝達機構75を介して搬送モータ60の駆動力が伝達されることによって回転する。従動ギヤ63は、駆動ギヤ62の下側に噛合されている。駆動軸64は、一端が従動ギヤ63に接続され、他端が駆動輪56に接続されている。
【0044】
これにより、搬送モータ60の駆動力が駆動力伝達機構75、駆動ギヤ62、従動ギヤ63、及び駆動軸64を介して伝達されることによって、駆動輪56が回転する。そして、駆動輪56の回転に伴って無端環状ベルト59が回転する。無端環状ベルト59の回転方向は、下側(帯状フィルムFwに対面する側)が搬送方向に移動し、上側が搬送方向と逆方向に移動する方向である。
【0045】
吸引装置61は、空気通路(例えば、ホース)を通じて、バキュームボックス58に接続されている。吸引装置61は、外部電源65の電力がインバータ66を介して供給されることによって、バキュームボックス58から空気を吸引する。これにより、連通する貫通口及び吸引口を通じて、無端環状ベルト59の下面の空気が吸引される。その結果、吸引搬送装置50は、バキュームボックス58の吸引口が形成された範囲内において、筒状に成形された帯状フィルムFwを上方に吸引しながら搬送方向に搬送することができる。また、インバータ66の設定を変更することにより、吸引装置61に供給する電力の周波数を可変させて、吸引力を調整することができる。インバータ66の設定変更は、インバータ66の操作パネルを操作して行ってもよいし、外部からの指令信号によって行ってもよい。
【0046】
図5は、無端環状ベルト59を幅方向に進退させる構成を示す図である。吸引搬送装置50は、一対の側板55a、55b、駆動輪56、従動輪57、及びバキュームボックス58と共に、無端環状ベルト59を幅方向に進退可能に支持している。より詳細には、吸引搬送装置50は、無端環状ベルト59を、帯状フィルムFwに対面し得る位置に進出させ(図5(A))、帯状フィルムFwと幅方向にずれた位置に退出させる(図5(B))。吸引搬送装置50は、無端環状ベルト59を幅方向に進退させるために、規制部材67と、ガイドローラ68と、ストッパ69とをさらに備える。
【0047】
規制部材67は、フレーム51に固定されている。ガイドローラ68は、搬送方向に延びる回転軸線周りに回動可能にフレーム51に支持されている。規制部材67及びガイドローラ68は、一対の支持シャフト54a、54bそれぞれに対応付けて設けられている。ストッパ69は、一対の支持シャフト54a、54bの基端部(回動フレーム53を挟んで無端環状ベルト59と反対側の端部)に取り付けられている。
【0048】
図5(A)に示すように、支持シャフト54a、54bが水平方向に延設されているとき、支持シャフト54a、54bの基端が規制部材67の下面に当接し、ストッパ69が規制部材67の側面に当接する。これにより、無端環状ベルト59が帯状フィルムFwに対面する位置に進出した状態となる。また、無端環状ベルト59が帯状フィルムFwに対面し得る位置から退出する方向に、支持シャフト54a、54bがスライドすることが規制される。
【0049】
次に、オペレータが無端環状ベルト59を上昇させる向きに回動フレーム53を回動させると、支持シャフト54a、54bの基端及びストッパ69が規制部材67から離間する。これにより、無端環状ベルト59が帯状フィルムFwに対面し得る位置から退出する方向に、支持シャフト54a、54bがスライド可能になる。また、従動ギヤ63は、駆動ギヤ62から離間する。
【0050】
次に、図5(B)に示すように、自重またはオペレータの手動によって、無端環状ベルト59を回動フレーム53に近づける方向に支持シャフト54a、54bをスライドさせると、ガイドローラ68は、支持シャフト54a、54bの上面に当接して回転する。これにより、無端環状ベルト59は、帯状フィルムFwに対面し得る位置から退出する。また、ガイドローラ68が支持シャフト54a、54bの上面に当接することによって、図5(A)の状態に戻る方向の支持シャフト54a、54bの回動が規制される。
【0051】
次に、オペレータが図5(B)に示す支持シャフト54a、54bを、無端環状ベルト59を回動フレーム53から遠ざける方向にスライドさせると、無端環状ベルト59等の自重によって、支持シャフト54a、54bの延設方向が水平方向に近づく方向に回動フレーム53が回動する。これにより、無端環状ベルト59は、帯状フィルムFwに対面し得る位置に進出する。また、支持シャフト54a、54bの基端及びストッパ69が規制部材67に当接すると共に、従動ギヤ63が駆動ギヤ62に噛合される。
【0052】
図6は、無端環状ベルト59を昇降させる構成を示す図である。図7は、搬送モータ60の駆動力を駆動ギヤ62に伝達する駆動力伝達機構75の模式図である。吸引搬送装置50は、一対の側板55a、55b、駆動輪56、従動輪57、及びバキュームボックス58と共に、無端環状ベルト59を上下方向に昇降可能に支持している。図6及び図7に示すように、吸引搬送装置50は、固定ブロック70と、一対のスライドレール71a、71bと、一対のスライダ72a、72bと、ベース板73と、高さ調整ハンドル74と、駆動力伝達機構75とをさらに備える。
【0053】
固定ブロック70及び一対のスライドレール71a、71bは、横型ピロー包装機1に固定されている。一対のスライドレール71a、71bは、搬送方向に離間した位置において、各々が上下方向に延設されている。スライダ72a、72bは、上下方向にスライド可能にスライドレール71a、71bに支持されている。ベース板73は、一対のスライダ72a、72bに取り付けられて、スライダ72a、72bと共に上下方向にスライドする。また、ベース板73は、上下方向に延びる送りねじを介して、上下方向に移動可能に固定ブロック70に支持されている。さらに、ベース板73は、フレーム51を支持している。
【0054】
高さ調整ハンドル74は、送りねじ機構を回転させるためのハンドルである。すなわち、ベース板73は、オペレータが高さ調整ハンドル74を正回転させることによって上昇し、オペレータが高さ調整ハンドル74を逆回転させることによって下降する。これにより、ベース板73に支持されたフレーム51が無端環状ベルト59と共に昇降する。
【0055】
駆動力伝達機構75は、入力軸76(搬送モータ60の出力軸)の回転駆動力を、駆動ギヤ62に接続された出力軸83に伝達する役割を担う。また、駆動力伝達機構75は、無端環状ベルト59の上下方向の位置に拘わらず、搬送モータ60の駆動力を駆動ギヤ62に伝達することができる。図6及び図7に示すように、駆動力伝達機構75は、プーリ77~81と、プーリ77、78、81に掛け渡された無端ベルト82とを備える。
【0056】
プーリ77~81は、幅方向に延びる回転軸線周りに回動可能に構成されている。プーリ77は、入力軸76に接続された入力軸プーリである。プーリ81は、出力軸83に接続された出力軸プーリである。プーリ78~80は、無端ベルト82にテンションを付与するアイドルプーリである。プーリ77、78は、横型ピロー包装機1に回転可能に固定された固定プーリである。一方、プーリ79~81は、ベース板73に回転可能に支持されて、上下方向に移動可能な可動プーリである。
【0057】
プーリ77、78は、上下方向に離間して配置されている。プーリ79、80は、上下方向におけるプーリ77、78の間に配置されている。また、プーリ79、80は、プーリ77、78より搬送方向の下流側で、プーリ81より搬送方向の上流側に配置されている。さらに、プーリ79、80は、上下方向に離間して配置されている。プーリ81は、上下方向におけるプーリ79、80の間に配置されている。また、プーリ81は、プーリ79、80より搬送方向の下流側に配置されている。プーリ77、78、81は、無端ベルト82の内周面に当接している。プーリ79、80は、無端ベルト82の外周面に当接している。
【0058】
これにより、プーリ77の回転が無端ベルト82を通じてプーリ81に伝達される。また、図7に示すように、ベース板73を昇降させると、プーリ79~81が相対位置を変えることなく上下方向に移動する。より詳細には、ベース板73が上昇すると、プーリ78、79の間隔が短くなり、プーリ77、80の間隔が長くなる。一方、ベース板73が下降すると、プーリ78、79の間隔が長くなり、プーリ77、80の間隔が短くなる。
【0059】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0060】
図8は、図3のα-α、β-βにおける断面であって、吸引搬送装置50を搭載した場合(A、B)と搭載しない場合(C、D)とを比較する図である。図8(A)及び図8(B)に示すように、帯状フィルムFwを吸引搬送装置50で上方に吸引することによって、側壁26a、26b、柱部26c、及び底壁26d、26eの内壁面に沿って帯状フィルムFwを筒状に成形することができる。
【0061】
一方、図8(C)及び図8(D)に示すように、吸引搬送装置50を搭載しない従来の横型ピロー包装機1の場合、側壁26a、26b及び柱部26cの内壁面から帯状フィルムFwが離間して、図8(A)及び図8(B)と比較して小さな筒になる。この傾向は、帯状フィルムFwの剛性が高い(腰が強い)ほど顕著になる。すなわち、上記の実施形態によれば、剛性の高い帯状フィルムFwを所望の大きさの筒状に成形することができる。
【0062】
また、上記の実施形態によれば、帯状フィルムFwを吸引した状態で無端環状ベルト59を回転させることによって、挟持搬送装置30による帯状フィルムFwの牽引を補助することができる。これにより、フォーマ26を通過する際の抵抗に打ち勝って、帯状フィルムFwを安定して搬送することができる。
【0063】
また、上記の実施形態によれば、無端環状ベルト59を昇降可能に構成することによって、高さの異なる製品Pに対して、無端環状ベルト59と製品Pとの間隔を適切に設定することができる。無端環状ベルト59の下端と製品Pの上端との間隔は、例えば、2mm~10mm程度に設定される。さらに、上記の実施形態によれば、無端環状ベルト59を幅方向に進退可能に構成することによって、横型ピロー包装機1に帯状フィルムFwをセットする作業が容易になる。
【0064】
なお、吸引搬送装置50は、フォーマ26に近い位置で帯状フィルムFwを吸引するのが望ましい。そのため、バキュームボックス58は、搬送方向におけるフォーマ26及び挟持搬送装置30の間に配置されるのが望ましい。但し、バキュームボックス58は、挟持搬送装置30より搬送方向の下流側にまで延設されていてもよい。搬送方向におけるバキュームボックス58の長さが長いほど、帯状フィルムFwの搬送力が向上する。
【0065】
また、吸引搬送装置50から従動輪57及び無端環状ベルト59を省略してもよい。図9は、変形例に係る吸引搬送装置50Aの要部斜視図である。なお、上記の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。図9に示すように、変形例に係る吸引搬送装置50Aは、円筒形状(ドラム形状)の駆動輪56Aの側面に複数の貫通口を形成すると共に、駆動輪56Aの内部にバキュームボックス58を収容してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…横型ピロー包装機、10…供給コンベア、14…駆動スプロケット、15…従動スプロケット、16…搬送チェーン、17…駆動モータ、18…プッシャ、20…フィルム送り装置、21…巻取り軸、22…駆動ローラ、23…従動ローラ、24…送りモータ、25a,25b…ガイドローラ、26…フォーマ、26a,26b…側壁、26c…柱部、26d,26e…底壁、26f,39…スリット、30…挟持搬送装置、31…支持プレート、32,33…フィルム送りローラ、34…送りモータ、35…センタシール装置、36,37…シールローラ、38…シールモータ、40…エンドシール装置、41,42…シールブロック、43…接離モータ、50,50A…吸引搬送装置、51…フレーム、52…回動軸、53…回動フレーム、54a,54b…支持シャフト、55a,55b…側板、56,56A…駆動輪、57…従動輪、58…バキュームボックス、59…無端環状ベルト、60…搬送モータ、61…吸引装置、62…駆動ギヤ、63…従動ギヤ、64…駆動軸、65…外部電源、66…インバータ、67…規制部材、68…ガイドローラ、69…ストッパ、70…固定ブロック、71a,71b…スライドレール、72a,72b…スライダ、73…ベース板、74…高さ調整ハンドル、75…駆動力伝達機構、76…入力軸、77,78,79,80,81…プーリ、82…無端ベルト、83…出力軸
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9