(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ヒンジ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G03B 27/62 20060101AFI20241217BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20241217BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G03B27/62
F16C11/04 F
H04N1/00 519
(21)【出願番号】P 2021077648
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】高橋 禎治
(72)【発明者】
【氏名】武田 二郎
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-096428(JP,A)
【文献】特開2018-021586(JP,A)
【文献】特開2004-020987(JP,A)
【文献】特開2017-111375(JP,A)
【文献】特開2012-234043(JP,A)
【文献】特開2020-060625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/62
F16C 11/04
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を備え第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、
カム部を備え第二連結対象物に固定されるとともに前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、
当接部を備え前記収容部内に収容されつつ前記カム部に接近及び離間する方向に移動可能なスライダと、
前記スライダを前記カム部に接近する方向に付勢することにより前記当接部を前記カム部のカム面に当接させる付勢部材と、
前記カム部に回動可能に支持され、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が所定の角度開いた状態において、前記カム面及び前記当接部を遮蔽する遮蔽部材と、
を備え
、
前記遮蔽部材は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が回動するときに前記第一連結対象物に当接できるように前記カム部に支持される、ヒンジ。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、
前記カム部に回動可能に支持される支持部材と、
前記支持部材に回動可能に支持され、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が前記所定の角度開いた状態において、前記カム面及び前記当接部を遮蔽するカバー部材と、を備える請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が回動するときに前記第一連結対象物に当接する突起部を備える請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が回動するときに外周面が前記第一連結対象物に当接する湾曲部を備える請求項2に記載のヒンジ。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のヒンジを備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジ及びそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジが知られている。ヒンジには、収容部を備え第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、カム部を備え第二連結対象物に固定されるとともに第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、当接部を備え第一ウイング部材の収容部内に収容されつつ第二ウイング部材のカム部に接近又は離間する方向に移動可能なスライダと、スライダを第二ウイング部材のカム部に接近する方向に付勢することによりスライダの当接部を第二ウイング部材のカム部に当接させる付勢部材と、を備えるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このヒンジは、例えば複合機において、本体に原稿圧着板を開閉可能に連結する用途に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のヒンジでは、スライダが付勢部材によって付勢されてスライダの当接部とカム部とが当接しており、第一ウイング部材に対して第二ウイング部材が回動して開閉する際には、第二ウイング部材の回動及びスライダの移動にともなって、スライダの当接部とカム部との当接部分が擦れる。そのため、当接部分には潤滑剤(グリス)が塗布されており、干渉や摩耗等によってスライダの当接部やカム部等が損傷することを抑制している。
【0006】
ここで、複合機の原稿圧着板を開いた状態では、スライダの当接部と回動部材のカム部とが露出する。したがって、本体の上面に原稿を載置する際、原稿を奥まで差し込むと、原稿がスライダの当接部又はカム部に当たり、原稿に潤滑剤が付着する可能性がある。また、ユーザが上記部分に触れた場合、ユーザに潤滑剤が付着する可能性もある。また、潤滑剤に外部から異物が混入する可能性もある。
【0007】
本発明は、スライダの当接部及びカム部に容易に触れることができないヒンジを提供することを目的とする。また、そのヒンジを備えた電子機器を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のヒンジは、収容部を備え第一連結対象物に固定される第一ウイング部材と、カム部を備え第二連結対象物に固定されるとともに前記第一ウイング部材に回動軸を介して回動可能に連結される第二ウイング部材と、当接部を備え前記収容部内に収容されつつ前記カム部に接近及び離間する方向に移動可能なスライダと、前記スライダを前記カム部に接近する方向に付勢することにより前記当接部を前記カム部のカム面に当接させる付勢部材と、前記カム部に回動可能に支持され、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が所定の角度開いた状態において、前記カム面及び前記当接部を遮蔽する遮蔽部材と、を備える。
【0009】
上記のヒンジにおいて、前記遮蔽部材は、前記カム部に回動可能に支持される支持部材と、前記支持部材に回動可能に支持され、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が前記所定の角度開いた状態において、前記カム面及び前記当接部を遮蔽するカバー部材と、を備えていてもよい。
【0010】
また上記のヒンジにおいて、前記カバー部材は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が回動するときに前記第一連結対象物に当接する突起部を備えていてもよい。
【0011】
また上記のヒンジにおいて、前記カバー部材は、前記第一ウイング部材に対して前記第二ウイング部材が回動するときに外周面が前記第一連結対象物に当接する湾曲部を備えていてもよい。
【0012】
また、本発明の電子機器は上記のヒンジを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヒンジにおいて、スライダの当接部及びカム部に容易に触れることができない構成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態のヒンジを備えた複合機の左側面図である。
【
図18】変形例の遮蔽部材を備えた開状態にあるヒンジの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態では、一実施形態に係るヒンジ100が用いられる事務機器の一例として、複合機1について説明する。以下の説明では、
図1における右側を複合機1の前側、
図1における左側を複合機1の後側と規定し、
図1における紙面手前側を複合機1の左側、
図1における紙面奥側を複合機1の右側と規定する。また、
図1における上側及び下側を、それぞれ複合機1の上側及び下側と規定する。
【0016】
図1に示すように、複合機1は、第一連結対象物の一例としての本体2と、第二連結対象物の一例としての原稿圧着板3と、ヒンジ100とを備える。本体2は、図示しない原稿読み取り装置、制御装置、印刷装置、表示装置及び入力装置を備える。原稿読み取り装置は本体2の上面に配置される。原稿読み取り装置は本体2の上面に載置された原稿を読み取る(原稿の画像情報を生成する)。
【0017】
制御装置は複合機1の各部の動作、より詳細には原稿読み取り装置、後述する印刷装置及び後述するADF(Auto Document Feeder)の動作を制御する。また、制御装置は原稿読み取り装置が生成した画像情報及び本体2に接続された回線(例えば、インターネット回線)を通じて取得した画像情報を記憶することが可能である。
【0018】
印刷装置は原稿読み取り装置の下方に配置される。印刷装置は制御装置が記憶した画像情報に基づいて所定の用紙に画像を印刷する。表示装置は例えば液晶パネルからなり、複合機1の動作状況等に係る情報を表示する。入力装置は例えばボタン、スイッチ等からなり、ユーザが複合機1に対する指示等を入力する際に操作される。表示装置及び入力装置は本体2の上面前部に配置される。
【0019】
原稿圧着板3は原稿読み取り装置の上に載置された原稿を原稿読み取り装置に向かって押さえつける(圧着する)ことにより、原稿読み取り装置が原稿を読み取る際に原稿が動く(原稿読み取り装置との相対的な位置が変化する)ことを防止する。原稿圧着板3は図示しない読取前原稿収容トレイ、ADF及び読取後原稿収容トレイを備える。
【0020】
ADFは読取前原稿収容トレイに積層状態で収容された複数枚の原稿を一枚ずつ順に取り出して原稿読み取り装置の上の所定の読取位置に載置する。原稿読み取り装置による原稿の読み取りが終了した後、ADFは読取位置に載置された原稿を読取後原稿収容トレイに搬送する。
【0021】
ヒンジ100は本体2に原稿圧着板3を回動可能に連結する。ヒンジ100の詳細な構成については後述する。
【0022】
「事務機器」は、少なくとも原稿を読み取る(原稿の画像情報を取得する)機能を備える装置を指す。事務機器の具体例としては、(a)原稿を読み取る機能及び読み取った原稿に係る画像情報を他の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する機能を備えるスキャナー、(b)原稿を読み取る機能、読み取った原稿に係る画像情報を通信回線を介して他の機器に送信する機能及び他の機器から取得した画像情報をプリントアウトする機能を備えるファクス、(c)原稿を読み取る機能及び読み取った原稿に係る画像情報をプリントアウトする機能を備えるコピー機、(d)上記スキャナー、ファクス、及びコピー機としての機能を兼ねる複合機、等が挙げられる。
【0023】
本実施形態におけるヒンジ100は、複合機1の本体2に原稿圧着板3を開閉可能(回動可能)に連結する用途に用いられるが、本発明に係るヒンジの用途はこれに限定されない。すなわち、本発明に係るヒンジは、「二つの部材のうちの一方の部材(第一連結対象物)に他方の部材(第二連結対象物)を開閉可能に連結する用途」に広く適用可能であり、例えば、スキャナー、ファクス、及びコピー機、若しくは複合機等のOA機器、自動車、便座、又は炊飯器等の各種電子機器等に用いられる。ヒンジが二つの部材のうちの一方の部材に他方の部材を開閉可能に連結するものとして、例えば、プリンタの本体に回動可能に連結される扉部分、複合機の本体に回動可能に連結される原稿圧着装置、スタンドに回動可能に連結されるディスプレイ、便座に回動可能に連結される便座、自動車の車体に回動可能に連結されるボンネット等がある。
【0024】
以下の説明では、原稿圧着板3が閉じているとき(原稿圧着板3の下面が本体2の上面に当接しているとき)の原稿圧着板3の回動角度θ(より厳密には、本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板3が開く方向に回動した場合に回動角度θが増加する(回動角度θが正になる)ように原稿圧着板3の回動角度θを定義する(
図1参照)。本実施形態において、本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θは、第二ウイング部材の第一ウイング部材に対する閉状態からの回動角度とも一致する。このため、本実施形態では双方とも「回動角度θ」と記載する。
【0025】
以下では便宜上、原稿圧着板3が本体2に対して閉じているとき(回動角度θ=0°のとき)の複合機1の上下方向、前後方向及び左右方向を基準として(原稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向及び左右方向をそれぞれヒンジ100の上下方向、前後方向及び左右方向に対応させて)ヒンジ100について説明する。
【0026】
図2から
図15に示すように、ヒンジ100は、第一ウイング部材の一例としての固定部材10と、第二ウイング部材の一例としての回動部材20と、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸(第二ウイング部材を第一ウイング部材に回動可能に連結する回動軸)の一例としての回動ピン30と、スライダ40と、付勢部材50と、遮蔽部材60とを備える。
【0027】
固定部材10は、本体2に固定され、回動部材20を回動可能に支持する部材である。固定部材10は、上下方向を長手方向とし、上部に開口部を有し、下部に底部を有する略筒状の部材である。固定部材10は、左右一対の支持部11・11と、収容部12とを備える。
【0028】
支持部11は、固定部材10の上後部において左部及び右部からそれぞれ上方に突出する。支持部11は、回動ピン30を介して回動部材20を回動可能に支持する。支持部11には、回動ピン30が挿入される貫通孔が形成される。収容部12は、固定部材10の側部及び底部で囲まれる空間(固定部材10の内部の空間)で構成される。収容部12には、スライダ40が収容される。
【0029】
ここで、ヒンジ100では、回動部材20が固定部材10に最も近接して固定部材10に対して回動部材20が閉じている状態(回動角度θ=0°)を閉状態(
図13から
図15の状態)とし、固定部材10に対して回動部材20が開いている状態を開状態(
図11及び
図12の状態)とする。また例えば、ヒンジ100では、回動部材20が固定部材10に最も離間している状態(回動角度θ=70°)を全開状態(
図2から
図10の状態)とする。なお、ヒンジ100では、固定部材10に対して回動部材20が閉状態の時の回動角度θ、また、固定部材10に対して回動部材20が全開状態の時の回動角度θについては、それぞれこのような角度に限定するものではなく、仕様に応じて適宜設定することができる。
【0030】
回動部材20は、原稿圧着板3に固定され、固定部材10に回動ピン30を介して回動可能に連結される。回動部材20の後部には回動ピン30を挿通するための貫通孔が開口される。回動部材20はカム部21を備える。カム部21は、回動部材20の下部において下方に突出し、下端部が曲面のカム面211で構成される。カム面211は、カム部21において、ヒンジ100が閉状態のときに当接部42に当接する位置(
図15参照)からヒンジ100が全開状態のときに当接部42に当接する位置(
図10参照)までの間に形成される。カム面211は、回動ピン30の軸心よりも前方に位置する。
【0031】
回動ピン30は、概ね円柱形状の部材である。回動ピン30は、固定部材10の支持部11の貫通孔及び回動部材20の貫通孔に挿通される。
【0032】
スライダ40は、固定部材10の開口部側及び底部側、すなわち、回動部材20のカム部21に近接及び離間する方向(上下方向)に移動可能(摺動可能)に、収容部12に収容される。スライダ40は、回動部材20が開く方向又は閉じる方向に回動したときに、収容部12に収容された状態で、固定部材10の内面に当接した状態で移動可能に構成される。スライダ40は、下部に開口部を有し、上部に底部を有する筒状の部材である。スライダ40は樹脂材料からなる。
【0033】
スライダ40は、付勢部材収容部41と、当接部42とを備える。付勢部材収容部41は、スライダ40の内部の空間で構成される。スライダ40の付勢部材収容部41には付勢部材50が収容される。当接部42はカム部21に当接する部分である。当接部42は、金属材料からなる円柱状の部材である。当接部42は、スライダ40の底部の上面前部に形成された凹部に上部が突出した状態で載置される。なお、当接部42は、スライダ40に固定されていてもよいし、スライダ40と一体成形されていてもよい。
【0034】
カム部21と当接部42との当接部分、つまりカム部21のカム面211と当接部42の外周面には、摩耗を抑制するために潤滑剤(グリス)が塗布されている。
【0035】
付勢部材50は、金属製の巻きバネ(圧縮バネ)で構成される。付勢部材50は、付勢部材収容部41に収納されて、固定部材10内に配置される。付勢部材50の下端部は固定部材10の底部の上面に当接し、付勢部材50の上端部はスライダ40の底部の下面に当接する。
【0036】
付勢部材50は、その弾性力によって回動部材20のカム部21に近接する方向(上方)にスライダ40を付勢する。付勢部材50は、スライダ40を付勢することによって、回動部材20が閉状態及び開状態において当接部42とカム部21とが当接する状態とし、固定部材10に対して回動部材20を開く方向に付勢する。
【0037】
付勢部材50の付勢力は、ヒンジ100又は複合機1の仕様に応じて適宜設定される。付勢部材50は、例えば、固定部材10に対する回動部材20の回動角度θが所定の角度の範囲にあるときには回動部材20の回動位置を保持し、所定の角度以上のときには回動部材20が開く方向に回動し、また、所定の角度以下のときには回動部材20が閉じる方向に回動する、付勢力を有する設定とされる。
【0038】
遮蔽部材60は、カム部21に回動可能に支持される。遮蔽部材60は、カム面211及び当接部42に容易に触れることができないように、固定部材10に対して回動部材20が所定の角度開いた状態において、当接部42及びカム面211を遮蔽する部材である。本実施形態において、所定の角度は0°<θ≦70°である。つまり、ヒンジ100が閉状態から少し開いた状態から全開状態までの間において、遮蔽部材60はカム面211及び当接部42を遮蔽する。なお、所定の角度は、例えば10°<θ≦70°など、θ=0°付近を除いた角度であってもよい。
【0039】
遮蔽部材60は、少なくとも当接部42及びカム面211の回動ピン30とは反対側(本実施形態では前側)を遮蔽していればよい。つまり、遮蔽部材60は、当接部42及びカム面211から見て回動ピン30とは反対側において、少なくとも当接部42及びカム面211を遮蔽していればよい。換言すれば、遮蔽部材60は、ヒンジ100が閉状態にあるときの回動部材20の回動先端側において、少なくとも当接部42及びカム面211を遮蔽していればよい。また、遮蔽部材60は、ヒンジ100の開放側において、少なくとも少なくとも当接部42及びカム面211を遮蔽していればよい、と表現することもできる。
【0040】
図16に示すように、遮蔽部材60は、支持部材61と、カバー部材62とで構成される。なお、遮蔽部材60は、3つ以上の部材で構成されていてもよい。
【0041】
支持部材61は、カム部21に回動可能に支持される部材である。支持部材61は、同一軸上で左右方向に延びる左右一対の第1軸部611・611と、左右方向に延びる第2軸部612と、第1軸部611・611の左右外側の端部と第2軸部612の左右端部とをそれぞれ接続する左右一対の接続部613・613とが、樹脂材料で一体成形されて構成される。第1軸部611・611は、カム部21の左右側面にそれぞれ形成された孔部212・212に挿通され、回動可能に支持される。第2軸部612は、カバー部材62を回動可能に支持する。
【0042】
カバー部材62は、支持部材61に回動可能に支持され、固定部材10に対して回動部材20が所定の角度開いた状態(0°<θ≦70°)において、当接部42及びカム部21の前側を遮蔽する部材である。カバー部材62は、左右方向に延びるスリット622を有する管部621と、管部621の前端部から前方へ延びる板部623と、板部623の左右前端部からそれぞれ下方へ突出する左右一対の突起部624・624とで構成される。
【0043】
管部621は、スリット622を介して挿通された第2軸部612に回動可能に支持される。板部623は、管部621から延びる略矩形状の第1板部625と、第1板部625の前端部から延び、第1板部625よりも左右方向の幅が広い略矩形状の第2板部626とで構成される。第1板部625の左右方向の長さはカム部21(カム面211)の左右方向の長さと略同等であり、第2板部626の左右方向の長さは当接部42の左右方向の長さ及びカム面211の左右方向の長さよりも長い。なお、板部623は、少なくとも当接部42及びカム面211の前側の一部を遮蔽することができる形状及び大きさであればよい。
【0044】
これにより、固定部材10に対して回動部材20が所定の角度開いた状態において、板部623が当接部42及びカム面211の前側を遮蔽することができる。よって、本体2の上面に原稿を載置する際、原稿を奥まで差し込んでしまっても、原稿がカバー部材62に当たり、原稿に当接部42及びカム面211の潤滑剤が付着することを抑制できる。また、当接部42及びカム面211に容易に触れることができないため、ユーザに潤滑剤が付着することや潤滑剤に外部から異物が混入することも抑制できる。
【0045】
突起部624・624は、
図12及び
図14に示すように、ヒンジ100の開状態及び閉状態において、本体2の上面に当接する。つまり、原稿圧着板3が開閉されるときに、突起部624・624が本体2の上面に当接(摺接)することにより、カバー部材62と本体2との接触面積を小さくでき、カバー部材62がスムーズに移動する。なお、突起部624・624の位置や個数には特に限定はなく、また突起部624・624は必須の構成ではない。
【0046】
本実施形態では、ヒンジ100が全開状態にあるとき(
図7参照)、第2軸部612が第1軸部611よりも上方(回動部材20の回動先端側)に位置する。これにより、第1板部625がカム面211の上端よりも上方に位置する。よって、第1板部625によりカム面211の前側を遮蔽することができる。
【0047】
次に、遮蔽部材60の変形例について説明する。
図17は、変形例の遮蔽部材70の分解斜視図である。遮蔽部材70は、上述した支持部材61と、カバー部材72とで構成される。カバー部材72が上記のカバー部材62と異なる点は、突起部624・624に替えて湾曲部724を備える点である。カバー部材72の他の構成は上記のカバー部材62と同様であるため同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
湾曲部724は、板部623の前端部から上方へ湾曲するように構成される。湾曲部724の外周面は、
図18に示すように、ヒンジ101の開状態において、本体2の上面に当接する。つまり、原稿圧着板3が開閉されるときに、湾曲部724の外周面が本体2の上面に当接(摺接)することにより、カバー部材62の先端が本体2に引っ掛かることを抑制でき、カバー部材62がスムーズに移動する。なお、湾曲部724の位置や個数には特に限定はなく、また湾曲部724は必須の構成ではない。
【符号の説明】
【0049】
1 複合機(電子機器)
10 固定部材(第一ウイング部材)
12 収容部
20 回動部材(第二ウイング部材)
21 カム部
30 回動ピン(回動軸)
40 スライダ
42 当接部
50 付勢部材
60 遮蔽部材
61 支持部材
62、72 カバー部材
100、101 ヒンジ
211 カム面
624 突起部
724 湾曲部