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特許7605472分子認識能及び温度応答性を有するネットワークポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】分子認識能及び温度応答性を有するネットワークポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/58 20060101AFI20241217BHJP
   C07D 323/00 20060101ALI20241217BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C08F220/58
C07D323/00 CSP
B01J20/26 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021079562
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173698
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】山吹 一大
(72)【発明者】
【氏名】山形 実穂
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/099224(WO,A1)
【文献】特開2000-061275(JP,A)
【文献】特表2001-517307(JP,A)
【文献】特開平7-228639(JP,A)
【文献】WANG et al.,Polymer Gels Containing Dibenzo-24-Crown-8 Ether Moieties for Removal of Cesium Ions from Aqueous Environment,Trans. Mat. Res. Soc. Japan,日本,2019年,44[6] 217-220 (2019),pp.217-219,DOI:10.14723/tmrsj.44.217
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 220/58
C07D 323/00
B01J 20/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物。
(式中、
Rは水素原子又はメチル基を示し、
Lは、それぞれ独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-又は-NHCO-を有していてもよい、飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数2~20の炭化水素基を示し、
Xは酸素原子又はNHを示し、
n1、n2は、それぞれ独立して、1~4のいずれかの整数を示す)
【請求項2】
温度応答性基を有する重合性二重結合含有化合物由来の繰り返し単位と、請求項1に記載の化合物由来の繰り返し単位と、 必要に応じて、他の重合性化合物由来の繰り返し単位がランダムに結合したポリマーであって、
請求項1に記載の化合物由来の繰り返し単位中の(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリルエステル基に由来する4つの位置で架橋された構造を有する、ネットワークポリマー。
【請求項3】
温度応答性基を有する重合性二重結合含有化合物が、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類又は窒素含有(メタ)アクリレート類である請求項2に記載のネットワークポリマー。
【請求項4】
請求項2に記載のネットワークポリマーを含有する金属捕集剤。
【請求項5】
請求項2に記載のネットワークポリマーを含有する金属検知剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子認識能及び温度応答性を有するネットワークポリマー、特に、クラウンエーテルを用いた分子認識能及び温度応答性を有するネットワークポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
温度応答性ポリマーとは、温度変化により水に対する親和性が変化するポリマーである。下限臨界温度(LCST)を有し、分子中に親水性セグメントと疎水性セグメントを有する。下限臨界温度(LCST)よりも低い温度では親水性を示し、下限臨界温度(LCST)よりも高い温度では疎水性を示す。
たとえば、「ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)poly N-isopropilacrylamide(PNIPAAm)」は、代表的な温度応答性ポリマーの1つである。PNIPAAmは水溶性および疎水性を有する両親媒性ポリマーの一種であり、LCST(32℃)より高温になると側鎖のアミド基と水分子の水素結合が切れ、糸毬状(グロビュール)構造を形成するといった収縮現象を引き起こす。この親水性から疎水性への相転移により水溶液は白濁する。
現在はPNIPAAmなどの温度応答性ポリマーに導入する骨格を変えることでLSCTを制御しながら薬物輸送システム(DDS)や細胞培養などの応用研究が進められている。
しかしながら、これらPNIPAAm誘導体などの温度応答性ポリマーの多くは分子認識能を有しているフィルムが少なく、特にセシウムイオンなどの特定の金属イオンを優先的また選択的に取り込み自身のLCSTを変化させているものはない。
これらのうち、本発明に係るクラウンエーテル類が使用されている例を以下に挙げる。
たとえば、特許文献1では、温度応答性ポリマーと、リン酸系、アミド系、クラウンエーテル系などの配位子を配合して、金属元素の分離に使用されている。ここでは、配位子は温度応答性ポリマーの分子中の構成成分ではない。
また、特許文献2では、ポリロタキサンのネットワーク構造中に、アクリルアミド類又はメタクリルアミド類が結合した温度応答性ポリロタキサンゲルが記載されている。ロタキサン構造の環状分子として、クラウンエーテル類等が使用される。温度応答性ポリロタキサンゲルにより、薬物徐放をフィルムの膨張・収縮により制御するものであり、クラウンエーテル類などの環状分子にセシウムイオンを捕捉するものではない。
また、特許文献3では、ロタキサン構造を有する熱応答性高分子ゲルが記載されている。ロタキサン構造の環状分子として、クラウンエーテルなどが使用されている。加熱することで、フィルム表面の水滴の親和性を制御するものであり、感熱センサー、温度応答性粘着剤などに応用される。金属イオンなどの分子認識機能はない。
また、非特許文献1では、アクリルアミド(AAm)、エチレンビスアクリルアミド(BIS)、DB24C8含有アクリルアミド(DB24C8AAm)をモノマーとするポリマーゲルが記載されている。ここで、DB24C8はdibenzo-24-crown-8であり、24員環のクラウンエーテルを使用している。エチレンビスアクリルアミド(BIS)が架橋剤となり、クラウンエーテルを有するDB24C8AAmは架橋しない。この構造のため、疎水性が強く、温度応答性を有しないフィルムである。クラウンエーテルにより、セシウムイオンに対して選択的配位が可能であるが、セシウムイオンに対するクラウンエーテルの量が大過剰量含まれているものの、セシウム捕捉能は低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-138319号公報
【文献】特開2017-31258号公報
【文献】特開2010-159336号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Da-Ming Wang, Mamoru Matsushita et al. Polymer Gels Containing Dibenzo-24-Crown-8 ether Moieties for removal of Cesium Ionsfrom Aqueous Environment, Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 44, 217-220(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、温度応答性ポリマーにクラウンエーテルを導入することで、金属カチオン認識能を備えた温度応答性ネットワークポリマーを提供し、それを水中に存在する金属イオン、特に、アルカリ金属イオンの検知剤及び捕集剤として提供することである。また、除去(回収)が困難な放射性セシウムイオンの除去(回収)をも可能とするネットワークポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、「ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)poly N-isopropilacrylamide(PNIPAAm)」などの温度応答性ポリマーに、ジベンゾクラウンエーテルを有し、4つの(メタ)アクリル基を有するモノマーが架橋しているネットワークポリマーが、セシウムなどのアルカリ金属イオンを選択的に検知、捕集することができることを見出した。
【0007】
本発明は以下の態様を包含する。
(1)式(I)で表される化合物。
【化1】
(式中、
Rは水素原子又はメチル基を示し、
Lは、それぞれ独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-又は-NHCO-を有していてもよい、飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数2~20の炭化水素基を示し、
Xは酸素原子又はNHを示し、
n1、n2は、それぞれ独立して、1~4のいずれかの整数を示す)
(2)温度応答性基を有する重合性二重結合含有化合物由来の繰り返し単位と、(1)に記載の化合物由来の繰り返し単位と, 必要に応じて、他の重合性化合物由来の繰り返し単位がランダムに結合したポリマーであって、
(1)に記載の化合物由来の繰り返し単位中の(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリルエステル基に由来する4つの位置で架橋された構造を有する、ネットワークポリマー。
(3)温度応答性基を有する重合性二重結合含有化合物が、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類又は窒素含有(メタ)アクリレート類である(2)に記載のネットワークポリマー。
(4)(2)に記載のネットワークポリマーを含有する金属捕集剤。
(5)(2)に記載のネットワークポリマーを含有する金属検知剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分子認識能及び温度応答性を有するネットワークポリマーは、特定の温度(LCST)で相転移を起こし白色に変化し、さらに金属イオンをクラウンエーテル内に選択的に取り込むことでより低いLCSTを示す。そのため、LCSTの変化を観察することにより、金属イオンを検知することができる。
そして、本発明の分子認識能及び温度応答性を有するネットワークポリマーは、クラウンエーテルのサイズを選択することにより、セシウムなどの金属イオンを選択的に検知、捕集し、除去(回収)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例で得られたNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーの水中での白色化と収縮の過程を示す写真である。
図2】実施例における Cs+を含むNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーの調整工程を示す図である。
図3】実施例で得られたNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのCs存在下での白色化と収縮の過程を示す写真である。
図4】Cs存在下でのLCST低下の理由を示す概念図である。
図5】K存在下でのLCSTが低下しない理由を示す概念図である。
図6】実施例で得られたNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのICP測定によるCsイオン回収能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(ジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマー)
本発明において使用するジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマーは、以下の式(I)で表されるテトラ(メタ)アクリル化合物である。ネットワークポリマーの架橋剤として使用される。なお、以下において、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを、(メタ)アクリルエステルは、アクリルエステル又はメタクリルエステルを意味する。
【化2】
Rは水素原子又はメチル基を示し、
Lは、それぞれ独立して、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-又は-NHCO-を有していてもよい、飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数2~20の炭化水素基を示し、
Xは酸素原子又はNHを示し、
n1、n2は、それぞれ独立して、1~4のいずれかの整数を示す。
【0011】
Lの「-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CONH-又は-NHCO-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数2~20の炭化水素基」は、-R1(OR)-、-R1(COOR)-、-R1(OCOR)-、-R1(CONHR)-又は-R1(NHCOR)-で表される。
ここで、R及びRは、それぞれ独立して、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、R及びRの合計の炭素数が2~20である。
mは、0~5のいずれかの整数である。
各繰り返し単位中のRは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
及びRは、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基;
エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、sec-ブチリデン基、tert-ブチリデン基、n-ペンチリデン基、n-ヘキシリデン基、デカメチリデン基、ペンタデカメチリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
【0012】
ジベンゾクラウンエーテルは、クラウンエーテルの1種であり、クラウンエーテルにベンゼン環が2個縮環した環状ポリエーテルである。
クラウンエーテルには、12-crown-4、15-crown-5、18-crown-6 、21-crown-7、24-crown-8等がある。例えば、18-crown-6は、環を構成する元素の総数は18個であり、6つの酸素原子を含む。ジベンゾクラウンエーテルの場合は、頭にDBを付す。
クラウンエーテルの特性は、金属イオン、特にアルカリ金属イオンを強く認識することである。アルカリ金属塩が水に溶けるときには、アルカリ金属イオンは水の配位(水和)を受ける。クラウンエーテルは、水が配位するのと同様に、アルカリ金属イオンを取り囲むようにアルカリ金属イオンに配位する。
そして、クラウンエーテルは、その環のサイズが大きくなるにつれて、よりイオン半径の大きいアルカリ金属イオンと選択的に相互作用する。クラウンエーテルはその環の内孔
に近いサイズのカチオンを選択的に認識することができる(表1)。
【0013】
【表1】
【0014】
(ジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマーの製造)
本発明のジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマーは、ジベンゾクラウンエーテルを出発原料として、公知の製法などにより製造することができるが、たとえば、実施例に記載の方法により製造することができる。
具体的には、以下の製法が挙げられる。
【化3】
反応式中、R、L、X、n1及びn2は式(I)と同じである。Xは、OH又はNHを示す。
【0015】
第1工程のベンゼン環のホルミル化は、たとえば、トリフルオロ酢酸(TFA)とヘキサメチレンテトララミン(HMTA)などを使用することにより、第2工程のX-L-NHとの反応においては、X-L-NHは、HN-L-NHで表されるジアミン化合物又はHO-L-NHで表される片末端がOH基であるアミン化合物を使用することにより、第3工程のイミノ基の水素化はNaBH4などを使用することにより、第3工程のアミノ基の(メタ)アクリルアミド化又は(メタ)アクリルエステル化は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で(メタ)アクリロイルハライドを反応させることにより行うことができる。
【0016】
(ネットワークポリマー)
本発明のネットワークポリマーは、温度応答性基を有する重合性二重結合含有モノマーと上記ジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマー(架橋剤)、及び、必要に応じて、他の重合性二重結合含有モノマーを重合して得られるネットワークポリマである。
ここで、「温度応答性ポリマー」とは、温度変化により相転移が生じて水に対する親和性が変化するポリマーをいう。転移が生じる下限臨界温度(LCST)を有し、分子中に親水性セグメントと疎水性セグメントを有する。下限臨界温度(LCST)よりも低い温度では親水性(水和状態)を示し、下限臨界温度(LCST)よりも高い温度では疎水性(脱水和状態)を示す。
「温度応答性基を有するモノマー」は、ポリマーになったときに温度応答性を現すモノマーをいう。
【0017】
温度応答性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、窒素含有(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
具体的には、以下の例がある。
1)(メタ)アクリルアミド類
N,N-ジメチルアクリルアミド
N-エチル(メタ)アクリルアミド、
N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:32℃)、
N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:21℃、メタクリルアミドポリマーのLCST:32℃)、
N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:32℃、メタクリルアミドポリマーのLCST:43℃)、
N-t-ブチルアクリルアミド、
N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、
N-メチルN-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、
N-テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:約28℃、メタクリルアミドポリマーのLCST:約35℃)
N-エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド(メタクリルアミドポリマーのLCST:38.5℃)、
N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:35℃、メタクリルアミドポリマーのLCST:45℃)、
N-1-メチル-2-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:33.5℃、メタクリルアミドポリマーのLCST:42.6℃)、
N-モルホリノプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-イソプロポキシエチル(メタ)アクリルアミド、
N-シクロプロピル(メタ)アクリルアミド(アクリルアミドポリマーのLCST:43℃)、
N-メチル-Nエチル(メタ)アクリルアミド、
N-メチル-N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-(メタ)アクリロイルピペリジン、
N-(メタ)アクリロイルピロリジン、
N-(メタ)アクリロイルモルホリン、
N-(2,2-ジメトキシエチル)-N-メチル(メタ)アクリルアミド、
N-1-メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-ジ(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、
N-2-メトキシエチル-N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、
N-2-メトキシエチル-N-エチル(メタ)アクリルアミド、
N-2-メトキシエチル-N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-メトキシエトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、
N-(1,3-ジオキソラン-2-イル)メチル(メタ)アクリルアミド、
N-メチル-N-(1,3-ジオキソラン-2-イル)メチル(メタ)アクリルアミド
N-ピロリジノメチル(メタ)アクリルアミド、
N-ピペリジノメチル(メタ)アクリルアミド等。
2)ビニルエーテル類
2-メトキシエチルビニルエーテル、
2-エトキシエチルビニルエーテル
2-(2-メトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、
2-(2-エトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、
2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテル、
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテル、2-(
2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチルビニルエーテル、
4〔2-(ビニルオキシ)エトキシ〕安息香酸、
4-(ビニルオキシ)-1-ブタノール、
イソブチルビニルエーテル等。
3)窒素含有(メタ)アクリレート類
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N-メチル-N-エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
N-メチル-N-エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
N-2-モルホリノエチル(メタ)アクリレート、
N-2-モルホリノエトキシエチル(メタ)アクリレート等。
これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明のネットワークポリマーは、以下の(A)、(B)及び必要に応じて(C)の繰り返し単位を有する。
(A)温度応答性基を有する重合性二重結合含有モノマー由来の繰り返し単位、
(B) ジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマー(架橋剤)由来の繰り返し単位、及び
(C)必要に応じて、他の重合性二重結合含有モノマー由来の繰り返し単位
本発明のネットワークポリマーは、上記(A)、(B)及び必要に応じて(C)がランダムに結合し、かつ、(B)中の(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリルエステル基に由来する4つの位置で架橋された構造を有する。
【0019】
ネットワークポリマー中の(A)と(B)の繰り返し単位のモル比は、LCSTを何℃にするかにより異なるが、(A):(B)=10~100:1の範囲で可能であり、通常、20~30:1である。
(C)の切り返し単位は、使用する場合は、温度応答性を阻害しない限り、特に制限はないが、(A):(C)=10~99:90~1の範囲で可能であり、通常、30~80:70~20である。
他の重合性二重結合含有モノマーとしては、エチレン系炭化水素、スチレン系炭化水素、温度応答性基を有する重合性二重結合含有モノマー以外の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
該ネットワークポリマーは、不溶性のポリマーであるため、平均分子量の測定は困難である。
本発明のネットワークポリマーの、下限限界溶液温度(LCST)は、用途に応じてネットワークポリマーの原料である温度応答性基を有する重合性二重結合含有モノマーや他の重合性二重結合含有モノマー等を適宜選択することにより、所望の温度に設定が可能である。通常、0~60℃の範囲の設定が可能であり、たとえば、10~40℃に設定可能である。
【0020】
本発明のネットワークポリマーは、以下の特徴を有する。
1)二重結合を4つ有するDB24C8を架橋剤とする自立性のある三次元網状高分子フィルムである。
2)水中では(半)透明なゲル状フィルムである
3)特定温度(下限臨界溶液温度;LCST)でフィルムが白色化する(温度調節も可能)
4)セシウムイオンなどの金属イオンに対して選択的な応答を示す(LCSTの低下)
【0021】
(ネットワークポリマーの調整)
本発明のネットワークポリマーは、その調整方法は特に限定されないが、温度応答性基を有する重合性二重結合含有モノマーと上記ジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマー(架橋剤)と、必要に応じて、他の重合性二重結合含有モノマーとを重合することにより得ることができる。
重合方法としては、通常ラジカル重合反応で行うことができる。ラジカル重合反応は、例えば、熱や光に曝す方法や、他の活性種を添加する方法などが挙げられ、重合反応時には、重合開始剤や反応活性種の安定剤などを添加してもよい。
ここで、温度応答性基を有する重合性二重結合含有モノマーとジベンゾクラウンエーテルを有する重合性二重結合含有モノマー(架橋剤)の混合比は、モル比で10~100:1、通常、20~30:1である。
反応条件は特に限定されないが、通常、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、アルコール等の極性溶媒中(混合溶液も可)、室温~溶媒沸点以下で約1~約24時間反応させる。
【0022】
使用される重合開始剤としては、従来公知のものでよく、たとえば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤などが挙げられる。
また、特に光重合開始剤としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジルー2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
重合後、得られたネットワークポリマーは、ゲル状、粒状、塊状、フィルム状などの形状で使用することができる。
フィルムは、ガラスなどの基板上で重合を行い、乾燥後、基板から剥がすことにより得ることができる。
【0024】
(ネットワークポリマーの用途)
本発明ネットワークポリマー水溶性ゲルは、特定の温度で相転移を起こし白色に変化し、さらに金属イオンをクラウンエーテル内に選択的に取り込むことでより低いLCSTを示す。そのため。LCSTの変化を観察することにより、金属イオンを検知できる。
そして、クラウンエーテルは、金属イオン、特にアルカリ金属イオンを取り囲むようにアルカリ金属イオンに配位し、クラウンエーテルの環のサイズが大きくなるにつれて、よりイオン半径の大きいアルカリ金属イオンと選択的に取り込むことができる。クラウンエーテルは前出の表1に記載のとおり、その環の内孔に近いサイズのカチオンを選択的に認識することができる。
クラウンエーテルのサイズを変えることにより、選択的に金属イオンを取り込むことができるという特性、及び、金属イオンの取り込みによってLCSTが変化するという特性を利用して、水中の金属イオン、特にアルカリ金属イオンの検知剤、捕集剤として利用できる。
本発明のネットワークポリマーは、たとえば、原発事故時などで漏出する有害物質である放射性セシウムの検知・回収にも活用できる。
【0025】
以下に、実施例において本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらに限定されるものではない。
【実施例
【0026】
(試薬と溶媒)
メタノール、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンは市販品一級をそのまま使用した。Triethylmaineはシグマアルドリッチジャパンのものを使用した。TrifluoroaceticAcid、1,2-Bis(2-aminoethoxy)ethane、Acryloylchlorid、Cesium Bis(trifluoromethane-sulfonyl)imide、PotasiumBis(fluorosulfonyl)imideは東京化成工業株式会社のものを使用した。CesiumBis(trifluoromethane-sulfonyl)imide、Potasium Bis(fluorosulfonyl)imideについては水に溶かし水溶液として使用した。Hexamethylenetetramineはキシダ化学株式会社のものを使用した。crownether/dibenzo-24-crown-8(DB24C8)は和光純薬工業株式会社のものを使用した。
(測定装置)
1H NMR (500 MHz)スペクトルは、重水素クロロホルム中、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として、JMN-LA500 (日本電子株式会社 ; JEOL Ltd.)で測定した。UV照射器(光源ハロゲンランプ)はJ-cure1500(株式会社ジャテック)を使用した。
【0027】
(1)架橋剤(TAA24C8)の合成
1)DFB24C8(化合物番号1)の合成
【化4】
【0028】
500mL ナスフラスコにDB24C8 (2.05g, 4.56×103mol)、hexamethylenetetramine(HMTA) (3.78 g), trifluoroaceticacid(TFA)(48.0mL)を加えた後、還流オイルバス 60℃で約20時間攪拌を行った。その後、水(10.0 mL)とジクロロメタンを用いて抽出し、ろ過を行った後、濃縮した。洗浄作業を行った後、ろ過を行い自然乾燥させ、褐色固体を得た。精製は行わずに、次の反応に用いた。(収量 10.3 g 収率 90.8 %)
1H-NMR (CDCl3) δ (ppm fromTMS): 9.83-9.78 (s, 2H, Ph-CHO), 7.43-6.85 (d, 6H ,Ph) , 4.31-3.54 (t,24H, -O-CH 2 -CH 2 -O-CH 2 -CH 2 -O-CH 2 -CH 2 -O-).
【0029】
2)AE DB24C8(化合物番号2)の合成
【化5】
【0030】
100mLナスフラスコに1,2-Bis(2-aminoethoxy)ethane(BAE)(0.735g,4.96×10-3 mol)、DFB24C8 (0.500g, 9.91×10-4 mol)をMeOH:CH2Cl2=1:3(5mL)に溶かし、攪拌を20時間行った後、濃縮し褐色液体を得た。精製は行わずに、次の反応を用いた。
【0031】
3)AE DB24C8-red.(化合物番号3)の合成
【化6】
【0032】
100mLナスフラスコにAE DB24C8 (in MeOH:CH2Cl2=1:3), NaBH4(0.196g, 4.96×103 mol)を入れ、氷浴中で20時間攪拌させた。その後、飽和食塩水で洗浄作業を行った後濃縮し、褐色液体を得た。(収量0.25g 収率80.8%)
1H-NMR (CDCl3) δ (ppm .fromTMS): 6.91-6.77 (d, 6H, Ph), 3.76-3.68 (s, 4H, Ph-CH2-NH),2.82-2.71 (s, 4H, Ph-CH2-NH-CH 2), 3.68-3.54 (s,4H, Ph-CH2-NH-CH2-CH 2-O-CH 2-CH 2),3.54-3.44 (s, 4H, Ph-CH2-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH 2),2.93-2.83 (s, 4H, Ph-CH2-NH-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH 2),4.20-3.77 (t, 24H, -O-CH 2 -CH 2 -O-CH 2 -CH 2 -O-CH 2 -CH 2 -O-).
【0033】
4)TAA24C8(化合物番号4)の合成
【化7】
【0034】
20mLスリ付き試験管にCH2Cl2(20mL)に溶かしたAE DB24C8-red.(0.202g, 2.63×104 mol)、Triethylamine (0.200g, 1.98×10-3 mol)を加えて攪拌させた後、CH2Cl2(10.0mL)に溶解させたAcryloylChloride (0.126g, 1.39×10-3 mol)を加えて氷浴中で20時間攪拌させて濃縮した。その後、1mol/L NaOH a.q (100mL)で洗浄し、ろ過を行った後濃縮し、褐色粘性液体を得た。(収量0.47g 収率 82.7%)
1H-NMR (CDCl3) δ (ppm .fromTMS): 6.99-6.64 (t, 6H, Ph), 4.69-4.53 (s, 4H, Ph-CH 2-),3.72-3.39 (t, 24H, Ph-CH2-NH-CH 2-CH 2-O-CH 2-CH 2-O-CH 2-CH 2),4.19-3.72 (t, 24H, -O-CH 2 -CH 2 -O-CH 2 -CH 2 -O-CH 2 -CH 2 -O-),6.64-5.52 (t, 6H, -N-CO-CH-CH 2-, -NH-CO-CH-CH 2-).
【0035】
(2)ネットワークポリマー(NIPAAm-co-TAA24C8)の合成
【化8】
【0036】
サンプル管にN-isopropylacrylamide(NIPAAm) (0.242g, 2.06×103mol)、N,N-dimethylformamide(DMF)(1.00mL)、TAA24C8 (0.09g, 1.03×10-4mol)を加えて混合させた。さらに、光開始剤Benzophenone (適量)を加えた溶液をガラス板に塗布し、UV照射器光源ハロゲンランプで紫外線をあてた。その後、H2Oで水洗し、ガラス板から膜を剥がした後、乾燥機で24時間乾燥させ、半透明膜を得た。(収量0.115g 収率38.5%)
【0037】
(NIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーの水中でのLCST測定)
乾燥させたNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーを約1時間水に含侵させた後、水中で約20℃から30℃まで加熱を行いLCSTの測定を行った。その結果、NIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーは約20℃の時点で半透明で膨潤をしたのに対し、約28℃に達すると白色化し収縮した。その時の収縮率は約33%であった。図1にNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーの白色化と収縮の過程を示す。
【0038】
poly N-isopropilacrylamide (PNIPAAm)のLCSTと比べると、NIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのLCSTは約4℃低下したことがわかった。
通常のNIPAAmのLCSTに比べてNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのLCSTが低下した理由として、架橋剤として使用したDB24C8は疎水基であるベンゼン環を2つ有しており、DB24C8架橋剤全体が疎水性を示している。したがって、このDB24C8をPNIPAAmに導入すると、NIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーの疎水性が増加するため、PNIPAAm側鎖のアミド基から水分子が少量外れるだけで相転移が起きやすくなる。そのためLCSTが低下したと考えられる。
【0039】
(NIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのCs+存在下でのLCST測定)
図2に示すように、乾燥させたNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーを(DB24C8:Cs+=1:2)となるように調整したCs+水溶液に1時間含侵させた後、約20℃から30℃まで加熱を行いLCSTを測定した。
図3にCs+存在下でのNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーの白色化と収縮の様子を示す。
Cs+存在下では約20℃で膜は半透明で膨潤をしていたのに対して、約26℃に達すると膜は白色化し収縮した。つまり、LCSTは約26℃であり、水中でのLCSTより約2℃低下するという結果になった。
【0040】
Cs+存在下でLCSTが低下した理由として以下のことが考えられる。
図4に示すように、まず、Cs+非存在下ではクラウンエーテル内のエーテル酸素に水分子が結合しているためクラウンエーテルが水和しやすい状態になっている。反対に、Cs+存在下ではクラウンエーテルにCs+が配位することで、クラウンエーテル内のエーテル酸素とCs+との相互作用が強くなり、エーテル酸素と水分子との結合がしにくくなる。つまり、DB24C8内のベンゼン環による高い疎水性に加えて、クラウンエーテルのCs+配位によるエーテル環部分の疎水性の向上がさらなるLCST低下の原因だと考えられる。
【0041】
また、比較として、NIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーを用いて、K+存在下でも、同様にLSCTの測定を行った。
その結果、K+存在下でのLCSTは約28℃となり、K+非存在下の水中でのLCSTと変わらないという結果となった。K+存在下においてLCSTが低下しなかった理由として、図5に示すように、TAA24C8のクラウンエーテルの環のサイズが大きいため、クラウンエーテルにK+が十分に配位せず、クラウンエーテル内のエーテル酸素とK+との相互作用が起こらなかったため、K+非存在下の水中の場合と比較してLCSTが低下しなかったと考えられる。
【0042】
(ICP測定によるNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのCs+回収能の評価)
水温10℃のCs+濃度が3000ppmの水溶液に対して等量のクラウンエーテルユニットが含まれたNIPAAm-co-TAA24C8ネットワークポリマーのフィルムを加え、Cs+の回収能力を測定した。攪拌しないで1時間含浸後、Cs+水溶液中から本フィルムを取り出し、その水溶液濃度を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光を用いた元素分析により評価した。その結果、図6に示すように、水溶液中のCs+濃度は約50%に低下した(Cs+50%の回収に成功した)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6