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特許7605474服薬指導管理装置、服薬指導管理方法、服薬指導管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】服薬指導管理装置、服薬指導管理方法、服薬指導管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20241217BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20241217BHJP
【FI】
G16H20/10
G16H80/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021087076
(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公開番号】P2022180142
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】511104082
【氏名又は名称】株式会社グッドサイクルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 朝朗
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-059675(JP,A)
【文献】特開2021-041138(JP,A)
【文献】特開2002-358372(JP,A)
【文献】特開2013-250890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が閲覧する患者端末と、前記患者に処方される薬の処方情報が入力される処方端末と、にネットワークを通じて接続される服薬指導管理装置であって、
前記薬と、前記薬に関する服薬指導情報とを関連付ける情報を記憶する第1記憶部と、
前記服薬指導情報と、前記服薬指導情報を前記患者端末に送信する基準送信時点とを関連付ける情報を記憶する第2記憶部と、
前記処方情報と、前記基準送信時点と、に基づいて、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報および各前記服薬指導情報の送信時点の素案を生成する素案生成部と、
前記患者端末に送信する前記服薬指導情報と、前記送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面を前記処方端末に表示する表示制御部と、
前記画面が表示されている状態において、前記服薬指導情報ごとに前記送信時点の変更入力を受け付ける入力制御部と、
を備える、服薬指導管理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記画面において、第1軸を前記服薬指導情報、第2軸を時間とするテーブル内に、前記送信時点をプロットして表示する、
請求項1記載の服薬指導管理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記画面において、前記テーブル内に、前記送信時点の時刻をプロットして表示する、
請求項2記載の服薬指導管理装置。
【請求項4】
前記入力制御部は、前記服薬指導情報ごとに、前記送信時点の規則の設定入力を受け付ける、
請求項1乃至3のいずれかに記載の服薬指導管理装置。
【請求項5】
前記患者端末に同時点に送信する前記服薬指導情報の上限数を設定する上限設定部、をさらに備え、
前記素案生成部は、前記基準送信時点が互いに同時点である前記服薬指導情報の数が前記上限数を超える場合には、前記服薬指導情報の送信時点を分散させた素案を生成する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の服薬指導管理装置。
【請求項6】
患者が閲覧する患者端末と、前記患者に処方される薬の処方情報が入力される処方端末と、にネットワークを通じて接続される服薬指導管理装置による服薬指導管理方法であって、
前記服薬指導管理装置は、
前記薬と、前記薬に関する服薬指導情報とを関連付ける情報を記憶する第1記憶部と、
前記服薬指導情報と、前記服薬指導情報を前記患者端末に送信する基準送信時点とを関連付ける情報を記憶する第2記憶部と
を備え、
前記処方情報と、前記基準送信時点と、に基づいて、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報および各前記服薬指導情報の送信時点の素案を生成する素案生成処理と、
前記患者端末に送信する前記服薬指導情報と、前記送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面を前記処方端末に表示する表示制御処理と、
前記画面が表示されている状態において、前記服薬指導情報ごとに前記送信時点の変更入力を受け付ける入力制御処理と、
を含む、服薬指導管理方法。
【請求項7】
患者が閲覧する患者端末と、前記患者に処方される薬の処方情報が入力される処方端末と、にネットワークを通じて接続される服薬指導管理装置を制御する服薬指導管理プログラムであって、
前記服薬指導管理装置は、
前記薬と、前記薬に関する服薬指導情報とを関連付ける情報を記憶する第1記憶部と、
前記服薬指導情報と、前記服薬指導情報を前記患者端末に送信する基準送信時点とを関連付ける情報を記憶する第2記憶部と
を備え、
前記処方情報と、前記基準送信時点と、に基づいて、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報および各前記服薬指導情報の送信時点の素案を生成する素案生成処理と、
前記患者端末に送信する前記服薬指導情報と、前記送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面を前記処方端末に表示する表示制御処理と、
前記画面が表示されている状態において、前記服薬指導情報ごとに前記送信時点の変更入力を受け付ける入力制御処理と、
をコンピュータに実行させる、服薬指導管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬指導管理装置、服薬指導管理方法、および服薬指導管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、処方せん情報に含まれる処方期間に応じた服薬の指導タイミング情報に基づいて、服薬指導の日を患者ごとに設定する服薬指導支援システムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、医療機関から別のタイミングでそれぞれが処方されて、それぞれ別のタイミングで登録した複数の処方箋に対して、結果的に同じ時間帯に服用するものは、とりまとめて患者に通知させる情報処理装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、服薬すべきタイミングに、タイミングに関する通知文を部分変更してユーザ端末に送信する服薬支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-26783号公報
【文献】特開2017-167628号公報
【文献】特開2020-129265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薬剤師による薬の処方後、患者の保有する端末に、服薬に関する注意事項や副作用の確認等を送信する服薬指導が行われている。服薬指導においては、薬の処方内容に応じて、多くの事項を患者に把握させ、かつ、副作用に関する回答をしてもらう必要がある。そこで、指導内容を適切なタイミングで確実に患者に伝達し、把握させるシステムが必要とされている。
【0007】
本発明は、服薬指導の内容を適切なタイミングで確実に患者に把握させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る服薬指導管理装置は、患者が閲覧する患者端末と、前記患者に処方される薬の処方情報が入力される処方端末と、にネットワークを通じて接続される服薬指導管理装置であって、前記薬と、前記薬に関する服薬指導情報とを関連付ける情報を記憶する第1記憶部と、前記服薬指導情報と、前記服薬指導情報を前記患者端末に送信する基準送信時点とを関連付ける情報を記憶する第2記憶部と、前記処方情報と、前記基準送信時点と、に基づいて、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報および各前記服薬指導情報の送信時点の素案を生成する素案生成部と、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報と、前記送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面を前記処方端末に表示する表示制御部と、前記画面が表示されている状態において、前記服薬指導情報ごとに前記送信時点の変更入力を受け付ける入力制御部と、を備える。
【0009】
前記表示制御部は、前記画面において、第1軸を前記服薬指導情報、第2軸を時間とするテーブル内に、前記送信時点をプロットして表示するものとしてもよい。
【0010】
前記表示制御部は、前記画面において、前記テーブル内に、前記送信時点の時刻をプロットして表示するものとしてもよい。
【0011】
前記入力制御部は、前記服薬指導情報ごとに、前記送信時点の規則の設定入力を受け付けるものとしてもよい。
【0012】
前記患者端末に同時点に送信する前記服薬指導情報の上限数を設定する上限設定部、をさらに備え、前記素案生成部は、前記基準送信時点が互いに同時点である前記服薬指導情報の数が前記上限数を超える場合には、前記服薬指導情報の送信時点を分散させた素案を生成するものとしてもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る服薬指導管理方法は、患者が閲覧する患者端末と、前記患者に処方される薬の処方情報が入力される処方端末と、にネットワークを通じて接続される服薬指導管理装置による服薬指導管理方法であって、前記服薬指導管理装置は、前記薬と、前記薬に関する服薬指導情報とを関連付ける情報を記憶する第1記憶部と、前記服薬指導情報と、前記服薬指導情報を前記患者端末に送信する基準送信時点とを関連付ける情報を記憶する第2記憶部とを備え、前記処方情報と、前記基準送信時点と、に基づいて、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報および各前記服薬指導情報の送信時点の素案を生成する素案生成処理と、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報と、前記送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面を前記処方端末に表示する表示制御処理と、前記画面が表示されている状態において、前記服薬指導情報ごとに前記送信時点の変更入力を受け付ける入力制御処理と、を含む。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係る服薬指導管理プログラムは、患者が閲覧する患者端末と、前記患者に処方される薬の処方情報が入力される処方端末と、にネットワークを通じて接続される服薬指導管理装置を制御する服薬指導管理プログラムであって、前記服薬指導管理装置は、前記薬と、前記薬に関する服薬指導情報とを関連付ける情報を記憶する第1記憶部と、前記服薬指導情報と、前記服薬指導情報を前記患者端末に送信する基準送信時点とを関連付ける情報を記憶する第2記憶部とを備え、前記処方情報と、前記基準送信時点と、に基づいて、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報および各前記服薬指導情報の送信時点の素案を生成する素案生成処理と、前記患者端末に送信する前記服薬指導情報と、前記送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面を前記処方端末に表示する表示制御処理と、前記画面が表示されている状態において、前記服薬指導情報ごとに前記送信時点の変更入力を受け付ける入力制御処理と、をコンピュータに実行させる。
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、服薬指導の内容を適切なタイミングで確実に患者に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る服薬指導管理システムの機能ブロック図である。
図2】上記服薬指導管理システムが記憶する、患者テーブルの1例である。
図3】上記服薬指導管理システムが記憶する、処方情報テーブルの1例である。
図4】上記服薬指導管理システムが記憶する、薬と、当該薬を服用する患者に送信する注意事項とが紐づけられている薬―注意事項テーブルの1例である。
図5】上記服薬指導管理システムが記憶、又は取得する、薬と副作用の対応関係を示す薬―副作用テーブルの1例である。
図6】上記服薬指導管理システムが記憶、又は取得する、副作用と服薬指導のための質問の対応関係を示す副作用―質問テーブルの1例である。
図7】上記服薬指導管理システムが記憶する、服薬指導情報の種別と基準送信時点との対応関係の初期設定を格納する指導種別―基準送信時点テーブルの1例である。
図8】上記服薬指導管理システムにより生成される、患者と、発生可能性のある副作用とを対応付ける患者―副作用テーブルの1例である。
図9】上記服薬指導管理システムに含まれる処方端末の画面であって、1人の患者に対応付けられる複数の薬、ならびに服薬指導の実績および予定が表示されている画面の1例を示す図である。
図10】(a)上記処方端末に表示される画面であって、送信時点を日次カレンダー状に表示した指導種別-日次テーブルを示す画面の1例、(b)副作用の確認時における送信メッセージの1例である。
図11】上記処方端末に表示される画面であって、指導種別を、具体的な服薬指導情報に分解して表示した服薬指導情報ー日次テーブルを示す画面の1例である。
図12】上記処方端末に表示される画面であって、送信時点を分散させた服薬指導情報―日次テーブルを示す画面の1例である。
図13】上記処方端末に表示される画面であって、送信時点を分散させた服薬指導情報―日次テーブルを示す画面の別の例である。
図14】上記服薬指導管理システムに含まれる処方端末の、服薬フォロー設定画面の1例を示す図である。
図15】上記服薬指導管理システムに含まれる患者端末に表示される質問画面の1例であって、(a)上記処方端末から送信される質問が患者端末に表示されている図、(b)上記患者端末において、「すべてなし」が選択されている様子を示す図、(c)上記患者端末において、一方の質問項目では「なし」が、他方の質問項目では「あり」が選択されている様子を示す図、である。
図16】患者端末に表示される画面の1例であって、(a)分散されて表示される第1質問画面、(b)上記第1質問画面とは別の時点に表示される第2質問画面、(c)上記第1および第2質問画面とは別の時点に表示される第3質問画面である。
図17】上記患者端末に表示される画面の別の例である。
図18】上記患者端末に表示される画面のさらに別の例である。
図19】関連技術における、患者端末に表示される画面の1例である。
図20】本発明の実施形態に係る服薬指導管理システムの流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明にかかる服薬指導管理装置、服薬指導管理方法、および服薬指導管理プログラムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
●服薬指導管理システムの構成
服薬指導管理システムは、服薬指導に関する情報、すなわち服薬指導情報を、患者の端末に適宜のタイミングで送信するシステムである。また、服薬指導管理システムは、患者の端末において、服薬指導情報に含まれる質問に関する回答の入力を受け付け、当該回答を患者に紐づけて記録するとともに、薬剤師が確認できるようになっている。なお、本明細書において、服薬指導情報は、服薬に関する注意事項の説明、服薬中の生活に関する注意事項、および副作用に関する質問が含まれる。また、服薬指導情報は、例えば薬や健康等に関する知識を問うクイズ形式の情報であってもよく、処方された薬に紐づけられたクイズの他、特定の薬に紐づかないクイズを含んでいてもよい。
【0019】
図1に示すように、服薬指導管理システム1は、処方端末10、患者端末20、および服薬指導管理装置50がネットワークNWを介して互いに接続されている。処方端末10、患者端末20および服薬指導管理装置50は、それぞれ有線又は無線で接続されていてもよい。服薬指導管理装置50は、ハードウェア装置により構成されてもよいし、クラウドコンピュータにより実現されていてもよい。また、本説明では、服薬指導管理に関する機能を服薬指導管理装置50が実現するものとしたが、服薬指導管理装置50が有する機能の一部が、処方端末10又は患者端末20により実現されていてもよい。
【0020】
処方端末10は、薬を処方する担当者、例えば薬剤師が閲覧および操作する端末である。処方端末10は、薬局に配置される据え置き型のコンピュータであってもよいし、タブレット端末であってもよい。処方端末10は、複数あってもよい。処方端末10は、1個の薬局に複数配置されていてもよいし、それぞれ別の薬局に配置されていてもよい。処方端末10は、院内処方や退院時処方を行う病院に配置されていてもよい。
【0021】
処方端末10は、入力部11および表示部12を備える。入力部11は、患者へ処方される薬の情報、すなわち処方情報を受け付けるとともに、患者に閲覧させる指導事項の選択を受け付ける機能部であり、タッチパネル、キーボード又はマウス等により実現される。表示部12は、主として服薬指導管理装置50からの情報を表示する機能部である。
【0022】
患者端末20は、薬を処方され、医療、看護又は介護等を施される患者が閲覧および操作する端末であり、例えばタブレット端末、スマートホン又はパーソナルコンピュータである。患者は、患者端末20を介して、処方端末10又は服薬指導管理装置50から送信される服薬指導情報を閲覧したり、服薬指導情報に含まれる質問に対する回答を入力したりする。
【0023】
なお、図1の例では、処方端末10および患者端末20は1個ずつであるが、それぞれ複数あってよい。また、各端末は、使用者がログイン処理をすることで各端末の機能を実現すればよく、ハードウェア構成にその機能が固定されるものではない。例えば、任意のタブレット端末において、薬剤師のIDでログイン処理することで処方端末10となり、患者のIDでログイン処理することで患者端末20として機能する。
【0024】
●服薬指導管理システムの機能ブロック
服薬指導管理装置50は、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、これによりソフトウェア資源として少なくとも、記憶部51、表示制御部52、入力制御部53、指導計画部54、上限設定部56、素案生成部55、および通信処理部57を備える。
【0025】
記憶部51は、患者の服薬指導に関する情報を記憶する機能部である。図2乃至図7に示すように、記憶部51は、主として、患者テーブル511、処方情報テーブル512、薬―注意事項テーブル513、薬―副作用テーブル514、副作用―質問テーブル515、および指導種別―送信規則テーブル516を備える。なお、各テーブル511乃至516は、記憶部51にすべてのデータが記憶されている構成の他、必要に応じて別途のサーバから通信処理部57を介して受信し、記憶部51に一時的に記憶される構成であってもよい。また、この場合に、通信処理部57は、入力される患者又は処方情報に応じて、当該入力される情報に関連付けられている情報のみを取得し、記憶部51がこれを記憶する構成であってもよい。記憶部51は、第1記憶部および第2記憶部の例である。
【0026】
図2に示すように、患者テーブル511は、患者を識別可能な患者ID、氏名、性別、生年月日、住所、連絡先などが関連付けて記憶されているテーブルである。
【0027】
図3に示すように、処方情報テーブル512は、患者の識別情報、当該患者が服用する薬の識別情報、処方日、服薬期間および処方医師の情報等が互いに対応付けられて記憶されているテーブルである。
【0028】
図4に示すように、薬―注意事項テーブル513は、薬の識別情報と、薬ごとに定められている注意事項とが互いに対応付けられて記憶されているテーブルである。注意事項は、薬効の説明、服薬方法の説明、禁忌、および副作用に関する注意事項等を含む。また、薬―注意事項テーブル513には、薬に関する情報であって、患者の薬への理解を深めたり、適切な服薬を案内するためのガイダンス情報が、注意事項として、薬の識別情報と対応付けられて記憶されていてもよい。薬―注意事項テーブル513は、薬と服薬指導情報とを関連付ける情報の1例である。
【0029】
図5に示すように、薬―副作用テーブル514は、薬の識別情報と、確認を要する副作用の種類、および副作用の症状が互いに対応付けられて記憶されているテーブルである。副作用の症状は、主症状のみが記憶されていてもよいし、より詳細な症状が記憶されていてもよい。薬―副作用テーブル514は、血液障害、脈・心臓障害、筋・関節障害といった副作用の種類が、副作用の機序別分類と共に記憶されている。副作用は、薬理作用による副作用、過敏症状による副作用、毒性による副作用および機序不明な副作用に大別される。薬―副作用テーブル514のデータは、薬の副作用および機序別分類のデータを提供する外部のシステム又は装置から受信可能になっていてもよい。服薬指導管理装置50は、外部の装置、システム又はサーバから受信した機序別分類のデータに基づいて、副作用の発生時期を特定し、発生時期と症状とを対応付けて薬―副作用テーブル514に格納する。
【0030】
図6に示すように、副作用―質問テーブル515は、起こりうる副作用と、当該副作用の発言を患者に確認するための質問内容と、が互いに対応付けられて記憶されているテーブルである。薬―副作用テーブル514および副作用―質問テーブル515は、薬と服薬指導情報とを関連付ける情報の別の例である。
【0031】
図7に示すように、指導種別―送信規則テーブル516は、服薬指導情報を患者端末20に送信する送信規則が、服薬指導情報の種別ごとに記憶されているテーブルである。服薬指導情報の種別とは、副作用の重大性有無もしくは機序、又は注意事項の性質ごとに種類分けされたものである。服薬指導情報は、副作用に関する質問、注意事項およびクイズを含む。
【0032】
送信規則とは、服薬指導情報に則して基準として定められている1又は複数回の送信時点(以下、「基準送信時点」ともいう。)を表す情報である。送信規則は、図中「時期」列および複数の「送付日」列に格納されている。図中、「時期」列は、服薬指導情報を送信する期間を示す情報がアルファベット1文字の符号で格納されており、「A」は初回処方時、「B」は服用中において常時、「C」は服用開始から6か月まで、「D」は服用開始から6か月以降に、送信することを意味する。また、複数の「送付日」列は、服薬指導情報を送信する時点を示す情報であって、例えば「送付日1」は処方日から初回送信時点までの日数、「送信日2」は2回目以降の送信規則が格納されている。「送付日2」には、初回送信時点から2回目送信時点までの日数が記憶されていてもよいし、処方期間の中間日に送付する旨の送信規則が記憶されていてもよい。また、送信規則は、服用期間に渡って均等に送信する旨の規則であってもよい。例えば、90日の服用期間中に5種の服薬指導情報を送信するといった規則である。
【0033】
指導種別―送信規則テーブル516には、副作用の機序別分類ごとに、服薬指導情報を患者端末20に送信する基準送信時点が記憶されている。副作用の発生時期は、機序により異なる。例えば、過敏症状による副作用は、服用された薬が体内で異物として感知されること等により発現するため、服用開始から6か月以内に発現することが知られている。また、毒性による副作用は、長期服薬により体内に薬が堆積すること等により発現するため、服用開始から6か月以降に発現することが知られている。また、薬理作用による副作用や、機序不明の副作用は、服用中常時発現の可能性がある。そこで、副作用の機序別分類に応じて服薬指導情報を送信するタイミングを異ならせることで、副作用発生の可能性の高い時期に服薬指導情報を送信することができる。ひいては、患者に対し副作用に関する質問を適切なタイミングで問いかけることで、効果的な服薬指導が可能である。
【0034】
なお、薬―注意事項テーブル513、薬―副作用テーブル514、副作用―質問テーブル515および指導種別―送信規則テーブル516の情報は、処方端末10を介して追加又は編集が可能であってよい。例えば、送信規則に関するテンプレートがあらかじめ用意されていて、ユーザの選択入力により指導種別―送信規則テーブル516に情報を追加できる。このテンプレートは、例えば処方時点から何日目に送信するか、処方時点から服用終了までの中間日に送信するか否か、送信周期および送信終了時期といった送信時点に関する情報をグループ化したものである。例えば、新規に登録しようとする服薬指導情報を、特定の薬と同様のスケジュールで送信したいといった場合に、当該薬で設定されているテンプレートを選択することで、送信規則を簡便に設定できる。テンプレートは、あらかじめ複数格納されていてもよいし、テンプレートを新規登録できてもよい。
【0035】
表示制御部52は、処方端末10の画面上に表示される情報を生成する機能部である。また、入力制御部53は、処方端末10に対する入力を受け付ける機能部である。表示制御部52および入力制御部53により入出力される情報の詳細は、後述する。
【0036】
指導計画部54は、患者テーブル511、処方情報テーブル512、薬―注意事項テーブル513および薬―副作用テーブル514を参照し、患者に対して送信すべき服薬指導情報を計画する機能部である。
【0037】
図8は、指導計画部54により生成される、患者と、発生可能性のある副作用とを対応付ける患者―副作用テーブル517の1例である。同図によれば、患者が服用している複数の薬のうち、同じ副作用の発生可能性がある薬が複数ある場合にも1個の行に統合されて表示されている。処方薬ごとに副作用を確認する態様では同じ副作用について複数回質問してしまうおそれがあるところ、この構成によれば、質問の重複を防ぎ、副作用の有無を簡潔に質問できる。
なお、この患者―副作用テーブル517は、表示制御部52により処方端末10に表示されてもよい。
【0038】
図9は、表示制御部52により処方端末10に表示される画面であって、1人の患者に対応付けられる複数の薬、ならびに服薬指導の実績および予定が表示されている服薬指導画面G11の1例を示す図である。
服薬指導画面G11には、患者の識別情報欄G11a、および処方薬欄G11bが画面上部に表示されている。また、画面中央部には、選択された処方薬に対応付けられる詳細情報が表示される。詳細情報として、指導事項が表示される指導事項欄G11c、患者からの回答結果又は指導内容が表示される指導実績欄G11d、指導頻度および指導回数を指導事項ごとに表示する確認欄G11e、および処方時点以外に必要な指導の指導時期を指導事項ごとに表示するフォロー欄G11f、服用中の薬により発生しうる副作用の一覧を示す副作用欄G11g等が表示される。また、副作用欄G11gの右方には、指導事項欄G11cの右方と同様、患者からの回答結果又は指導内容が表示される指導実績欄G11h、今回の確認状況および次回の確認予定を表示する確認欄G11i、および、処方時点以外に必要な指導の指導時期を指導事項ごとに表示するフォロー欄G11jが表示されている。
【0039】
確認欄G11e、G11iは、次回処方時に、当該処方を行う薬剤師に指導事項を申し送りするための欄である。確認欄G11eは、処方端末10を操作することで内容を変更可能である。例えば、確認欄G11e、G11i上をタップすることで、表示が切り替わるようになっている。表示は、タップするごとに、無表示、「説明次回」、「次回」、「説明毎回」および「毎回」がこの順に切り替わってもよい。確認欄G11e、G11iをタップするだけで表示を変更できる構成によれば、機械操作に不慣れな薬剤師であっても直感的な操作が可能である。また、確認欄G11e、G11iの表示は、「説明次回」および「説明毎回」は「AEPOP」に対応し、「次回」および「毎回」は「AOP」に対応しており、SOAP形式における指導計画の記載態様に合致している。すなわち、服薬指導管理システム1は、指導計画をSOAP形式に整理することができ、SOAP形式に慣れている薬剤師にとっても、使用しやすい。なお、確認欄G11e、G11iには「AEPOP」「AOP」といったSOAP形式の用語が表示されてもよい。
【0040】
フォロー欄G11f、G11jは、服薬指導情報を患者端末20に送信する送信時点に関する情報が表示される。なお、フォロー欄G11fは、電話や訪問等、患者端末20を介さない指導予定を表示してもよい。この場合、例えば、処方端末10を操作することで内容を変更可能であり、フォロー欄G11f上をタップすることで、表示が切り替わる。表示は、フォロー欄G11fをタップすると、無表示、「3日後」、「10日後」がこの順に切り替わるようになっていてもよいし、プルダウンボックスが表示されてもよい。フォロー欄G11fには、フォローを行う時期を複数回設定可能になっていてもよい。
【0041】
フォロー欄G11f、G11jは、当該欄の選択を受け付けて、送信時点の詳細スケジュールを表示する。
【0042】
図1に示す素案生成部55は、処方情報と、送信規則に含まれる基準送信時点と、に基づいて、患者端末に送信する服薬指導情報と、各服薬指導情報の送信時点の素案を生成する機能部である。素案生成部55は、送信規則に基づいて、服薬指導情報を送信する具体的な基準送信時点を算出してもよい。例えば、素案生成部55は、送信規則が、所定の服用期間中に複数の服薬指導情報を均等に送信する規則である場合には、服用期間と送信する服薬指導情報の個数とに基づいて、基準送信時点を算出する。
【0043】
図10(a)は、素案生成部55により決定される送信時点の素案の例であって、例えばフォロー欄G11f又はG11jが選択された場合に処方端末10に表示される画面G12である。この画面G12は、服薬指導情報の種別ごとに、図7に示す指導種別―送信規則テーブル516の情報に基づいて生成された、基準送信時点を日次カレンダー状に表示した指導種別-日次テーブルを示している。ここで、指導種別ごとに、初回処方時の場合と、再処方時の場合とで、異なる送信時点が表示されていてもよい。同図においては「重大な副作用の過敏症」に関して、初回処方時と再処方時で異なる送信時点が設定可能になっている。また、図7に示す指導種別―送信規則テーブル516の情報を反映し、指導種別ごとに、送信規則が「時期」列に表示されている。
【0044】
「時期」列の右方には、処方時点からの基準送信時点が、日ごとに表示されている。図10(a)においては、「0日」すなわち処方当日に、「保管上の注意/情報提供」および「使用上の注意/情報提供」に関する情報が送信される。また、「1日」すなわち処方の翌日に、「生活上の注意」および「服用上の問題/小児・剤形」に関する情報が送信される。表示制御部52は、患者端末20に送信する服薬指導情報と、基準送信時点と、をカレンダー状にマッピングした画面G12を処方端末に表示する。また、表示制御部52は、画面G12において、第1軸を服薬指導情報、第2軸を時間とする指導種別-日次テーブルG12a内に、送信の有無をプロットして表示する。また、表示制御部52は、画面G12において、指導種別-日次テーブルG12a内の該当カラムに、送信時点の時刻をプロットして表示してもよい。また、表示制御部52は、指導種別-日次テーブルG12a内の該当カラムに、処方時点から送信時点までの時間をプロットして表示してもよい。
【0045】
図10(b)は、記憶部51に記憶される、副作用の確認時における送信メッセージの1例である。このメッセージは、例えば、前文と、入力される回答に応じて表示される返答文と、末文と、が含まれている。前文は、副作用確認の送信の際に、最初に送信されるメッセージであり、副作用の症状の有無を回答する選択肢が含まれる。返答文は、同図においては「なし」の場合と「あり」の場合とで、異なる文が表示されるようになっている。末文は、返答文に続いて表示される文である。末文は、入力される回答に応じて異なる文が表示されてもよく、同図においては、回答が「なし」と入力された場合に表示される文が格納されている。
【0046】
図11は、上記処方端末10に表示される画面G13であって、指導種別を、具体的な服薬指導情報に分解して表示した服薬指導情報ー日次テーブルG13aを示す画面の1例である。同図においては、「重大な副作用の過敏症」の指導種別に属する服薬指導情報が6個あり、6個の情報が同時に送信されることがわかる。
【0047】
処方端末10において基準送信時点をカレンダー状に表示することで、推奨される送信時点を薬剤師に確実に把握させることができる。また、どの情報がいつ送信されるのか、および同時点に送信される情報の数が視覚的に明確である。薬剤師は、把握した内容に基づいて各服薬指導情報の送信時点を適切に変更することができるため、患者に合わせた柔軟な情報配信が可能になる。
【0048】
図1に示す上限設定部56は、患者端末20に同時点に送信する服薬指導情報の個数の上限数を設定する機能部である。上限数は、あらかじめ設定された数値が設定されていてもよいし、処方端末10に入力を受け付けることで、処方端末10のユーザが設定可能であってもよい。上限数は、服薬に関する注意事項、生活上の注意、服薬状況の確認および副作用に関する質問等、患者端末20に送信されるすべての服薬指導情報の個数を合算した値の上限である。この構成によれば、患者端末20に一度に送信される服薬指導情報の個数を制限することで、患者が一度に視認する情報量を抑え、患者により確実に内容を把握させることができる。なお、上限設定部56は、同時点に送信する上限数を服薬指導情報の種別ごとに設定してもよい。
【0049】
素案生成部55は、基準送信時点が互いに同時点である服薬指導情報の数が、上限設定部により設定される上限数を超える場合には、当該複数の服薬指導情報の送信時点を分散させた素案を生成する。例えば、素案生成部55は、上限数の服薬指導情報の送信時点を基準送信時点とし、残りの服薬指導情報の送信時点を、基準送信時点とは異ならせる。
【0050】
図12は、処方端末10に表示される画面G14であって、送信時点を分散させた服薬指導情報―日次テーブルを示す画面G14の1例である。このテーブルでは、送信規則が「送信時期」列および「時期」列の2列に文言で表示されている。「送信時期」列では、処方時点から基準送信時点までの日数および周期が表示されている。例えば「ショック・アナフィラキシー」に関する服薬指導情報は、処方時点から2日目および14日目に送信され、この送信周期が1ヶ月毎に繰り返されることが記載されている。また、「炎症・感染」に関する服薬指導情報は、処方時点から5日目に送信され、周期的な送信については記載されていない。すなわち、この服薬指導情報は、処方時点から5日目のみに送信される。「時期」列では、「送信時期」列において周期的な送信が表示されている場合に、送信の終了時期が表示されている。例えば、「ショック・アナフィラキシー」に関する服薬指導情報は、処方時点から6ヶ月まで送信される。
【0051】
画面G14は、上限設定部56で設定される上限数が3個である場合の素案を示している。ここでは、図中の番号4乃至9に示す6個の服薬指導情報の送信規則は、処方時点から2日目および14日目でこれを1ヶ月ごとに繰り返すこととなっており、各基準送信時点において上限数を超過している。そこで、番号4乃至6の情報は基準送信時点である2日目に送信され、番号7乃至9に示す残りの3個の情報は、基準送信時点とは異なる3日目に送信される素案となっている。また、番号1の基準送信時点は3日目であるので、番号7乃至9に示す情報が3日目に移動する場合には、3日における送信数は4個となり、上限数を超過する。そこで、画面G14では、番号1の送信時点は4日目となっている。
【0052】
なお、送信時点を基準送信時点と異ならせる服薬指導情報の選択は、素案生成部55において適宜行われるが、送信時点を基準送信時点に維持する優先順位を、服薬指導情報又は指導種別ごとに保有していてもよい。
【0053】
また、素案生成部55は、送信時点を基準送信時点以後に移動させてもよいし、基準送信時点以前に移動させてもよい。素案生成部55は、送信時点が変更される服薬指導情報の個数が最小となるように素案を作成してもよい。また、素案生成部55は、変更される送信時点の日数の合計が最小となるように素案を作成してもよい。また、各服薬指導情報の重要度があらかじめ設定されていて、重要度の高い情報は他の情報と同時送信されず単独で送信されるようになっていてもよい。また、各服薬指導情報の文字数に応じて、同時に送信される文字数が所定量を超えないように、送信する服薬指導情報の組合せが調整される構成でもよい。
【0054】
図13は、処方端末10に表示される画面G15であって、送信時点を分散させた服薬指導情報―日次テーブルを示す画面の別の例である。同図においては、処方端末10のユーザ、例えば薬剤師から、番号5に示す服薬指導情報を送信しない旨の入力を受け付けた場合の画面G15を示している。この入力は、画面G14上での操作により可能であり、例えば服薬指導情報の見出しの表示領域を選択することで、送信有無を切り替えることができる。画面G15では、番号5の行がグレーアウトしており、服薬指導情報を送信しないことが表示されている。また、画面G15では、送信が予定されている服薬指導情報に基づいて、送信時点の素案が再生成されて表示されている。具体的には、画面G14では3日目に送信される番号7の服薬指導情報は、2日目に移動され、番号1に示す情報は、4日目から3日目に移動されている。このように、処方端末10のユーザが選択した服薬指導情報の送信有無に基づいて、素案が再生成される構成によれば、ユーザの要望を反映しつつ、患者により確実に内容を把握させることができる。
【0055】
入力制御部53は、画面G13乃至G15のいずれかが表示されている状態において、服薬指導情報ごとに送信時点の変更入力を受け付ける。例えば、図11に示す服薬指導情報ー日次テーブルG13a上で、カラムをドラッグアンドドロップすることで、送信時点を変更させることができる。また、服薬指導情報ー日次テーブルG13a上で、カラムを選択すると、プルダウンボックス又はポップアップ画面等が表示され、変更後の送信時点が入力又は選択可能になっていてもよい。
【0056】
また、入力制御部53は、画面G13乃至G15のいずれかが表示されている状態において、服薬指導情報ごとに、送信規則の変更入力を受け付けてもよい。例えば、図11に示す服薬指導情報ー日次テーブルG13a上で、送信規則を示す「初/再」列又は「時期」列を選択することで、プルダウンボックス又はポップアップ画面等が表示され、変更後の送信規則が入力又は選択可能になっていてもよい。
【0057】
図14は、処方端末10に表示される服薬フォロー設定画面G16の1例を示す図である。この画面G16では、患者端末20に送信する服薬指導情報を設定する。同図においては、処方薬とは独立して送信される服薬指導情報を設定することができる。画面G16には、患者の選択の他、直近来局日、処方日数および次回来局予定日の数値が表示され、適宜変更可能になっている。また、当該患者に送信する服薬指導情報のテンプレートが選択入力できるようになっている。同図においては、「3日後フォロー」「アドヒアランスフォロー」「来局前フォロー」の3種類のテンプレートが選択されている。また、「3日後フォロー」「アドヒアランスフォロー」は「質問表」が有ることが表示されており、患者端末20からの回答を促す表示が含まれる服薬指導情報が送信されることが示されている。さらに、直近来局日から起算した基準送信時点と、具体的な送信予定日時が表示されている。各テンプレートの右部に表示される「-」を選択することで、テンプレートの選択を削除できる。また、画面下部の「+」を選択することで、送信する服薬指導情報のテンプレートの選択を追加することができる。
【0058】
画面G16には「自動で設定」ボタンが表示され、このボタンを選択することで、「直近来局日」と「処方日数」に応じて、選択されているテンプレートに含まれる服薬指導情報の送信予定日時が、服薬指導情報ごとに自動設定される。
【0059】
通信処理部57は、ネットワークNWを通じて処方端末10および患者端末20と適宜の通信を行う機能部である。例えば、通信処理部57は、処方端末10に服薬指導情報の送信時点の素案を送信する。また、通信処理部57は、処方端末10から、患者の処方情報、服薬指導情報の送信規則および各服薬指導情報に対する送信時点の変更の入力等を受信する。さらに、通信処理部57は、患者端末20に服薬指導情報を送信する。さらにまた、通信処理部57は、患者端末20から、服薬有無や、副作用の発生有無に関する情報を受信する。なお、通信処理部57は、患者端末20から、患者端末20が受信した服薬指導情報への返答を受信してもよいし、服薬指導情報とは独立して送信される情報を受信してもよい。この情報は、例えば、体調不良の報告や、患者から薬剤師への質問であってもよい。また、通信処理部57は、複数の処方端末10および複数の患者端末20と通信可能であり、例えば、素案を受信して変更する処方端末10と、患者端末20に入力される情報を受信する処方端末10とは、異なる端末であってもよい。
【0060】
●患者端末の画面例
図15は、処方端末10から送信される服薬指導情報が患者端末20に表示されている例である。図15(a)は、薬の服用を開始してから7日が経過した際に送信される画面の例であって、薬の服用開始から7日が経過した際に表示される画面である。図15(b)は、患者が患者端末20を介して「すべてなし」又は各項目について「なし」を選択入力した画面を示す図である。図15(c)は、一方の質問項目では「なし」が、もう一方の質問項目では「あり」が選択されている画面を示す図である。
【0061】
図16は、処方端末10から送信される服薬指導情報が患者端末20に表示されている別の例である。図16(a)は薬の服用開始から3日が経過した際に表示される画面、図16(b)は薬の服用開始から4日が経過した際に表示される画面、図16(c)は薬の服用開始から5日が経過した際に表示される画面である。図16の例においては、基準送信時点が互いに同時点である服薬指導情報の数が7個であって、同時点に送信する上限数が3個である。そのため、服用開始から3日目および4日目には3個、5日目には1個の服薬指導情報が送信されている。すなわち、当該7個の服薬指導情報は、3日間に渡って分散して送信されている。
【0062】
ここで、図19に示す関連技術における画面においては、7個の服薬指導情報が同時点に患者端末20に送信され、表示されている。多数の服薬指導情報が同時に表示されると、患者にとって判断が煩雑であり、回答をしなかったり、内容を把握せずに不正確な回答を送信するおそれがある。また、多数の副作用に関する質問が羅列されることで、服薬に関する恐怖を与えるおそれもある。その結果、服薬を中断してしまうリスクもある。
【0063】
これに対し、本発明に係る服薬指導管理装置50によれば、患者に送信を要する服薬指導情報が多数ある場合にも、同時点での送信数を制限し、分散させて送信できるので、患者にとって把握しやすく、回答を入力しやすい。また、服薬に関する恐怖も軽減される。
【0064】
図17に示すように、服薬指導管理装置50は、患者端末20としてのスマートホン又はタブレット端末に、メッセージアプリを介して服薬指導情報を送信してもよい。同図の例では、各服薬指導情報が別のメッセージとして送信されている。なお、この例においても、複数のメッセージが同時点に送信されている。
【0065】
図18に示すように、服薬指導管理装置50は、患者端末20としてのスマートホン又はタブレット端末に、服薬のタイミングを知らせるメッセージを送信してもよい。服薬指導管理装置50は、患者端末20のSNSなどのチャット画面上に服薬指導情報を表示するとともに、患者端末20にプッシュ通知がなされてもよい。また、服薬タイミングの送信に合わせて、服薬方法に関する情報を送信してもよい。さらに、服薬有無の回答を受け付けるメッセージを送信してもよい。
患者端末20から入力された情報は、服薬指導管理装置50により受信され、患者テーブル511又は処方情報テーブル512に格納される。また、服薬指導画面G11上に表示され、処方端末10から確認できるようになっている。
【0066】
●シーケンス図
図20を用いて、処方端末10、患者端末20および服薬指導管理装置50の挙動について説明する。なお、ここでは処方端末10および患者端末20は機能を示す概念として1個ずつ記載したが、各ステップは、異なる処方端末10又は患者端末20で行ってもよい。
【0067】
まず、処方端末10から服薬指導管理装置50に処方情報の送信が行われる(ステップS1)。服薬指導管理装置50は、処方情報に加えて、基準送信時点を参照し(ステップS2)、送信時点の素案を生成する(ステップS3)。また、この素案を処方端末10に送信し、処方端末10に表示する(ステップS4)。服薬指導管理装置50は、ステップS4において表示される画面において、処方端末10から素案の変更入力を受け付ける(ステップS5)。ステップS5に次いで、ステップS3およびステップS4を再度実行し、新たな素案が処方端末10に表示されてもよい。ステップS5、S3、S4は、適宜繰り返される。
【0068】
素案が確定され、送信時点になると、服薬指導情報を患者端末20に送信する(ステップS6)。患者端末20は、この服薬指導情報を受信し、回答を要する情報に関して回答の入力を受け付ける(ステップS7)。この回答の情報は、服薬指導管理装置50に送信され、記憶部51に格納される(ステップS8)。格納された情報は、処方端末10に表示される服薬指導画面G11において表示される。
【0069】
本発明にかかる服薬指導管理システムによれば、服薬指導の内容を適切なタイミングで確実に患者に把握させることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 服薬指導管理システム
10 処方端末
20 患者端末
50 服薬指導管理装置
51 記憶部
52 表示制御部
53 入力制御部
54 指導計画部
55 素案生成部
56 上限設定部
57 通信処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20