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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】容積形シャトルポンプ心臓およびVAD
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/178 20210101AFI20241217BHJP
   A61M 60/258 20210101ALI20241217BHJP
   A61M 60/449 20210101ALI20241217BHJP
   A61M 60/531 20210101ALI20241217BHJP
   A61M 60/592 20210101ALI20241217BHJP
   A61M 60/835 20210101ALI20241217BHJP
   A61M 60/876 20210101ALI20241217BHJP
   A61M 60/892 20210101ALI20241217BHJP
【FI】
A61M60/178
A61M60/258
A61M60/449
A61M60/531
A61M60/592
A61M60/835
A61M60/876
A61M60/892
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021553318
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 US2020021591
(87)【国際公開番号】W WO2020185630
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】62/816,056
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521402217
【氏名又は名称】サマコア, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スミス, スティーブ シー.
(72)【発明者】
【氏名】クライン, デイビッド ジェイ.
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-79303(JP,A)
【文献】特開平2-230976(JP,A)
【文献】特表平8-501953(JP,A)
【文献】特開平9-133072(JP,A)
【文献】特表2016-538094(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/178
A61M 60/258
A61M 60/449
A61M 60/531
A61M 60/592
A61M 60/835
A61M 60/876
A61M 60/892
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液をポンプするためのデバイスであって、前記デバイスは、
外面複数のポート第1の端部第2の端部を備える円筒形ハウジングであって、前記第1の端部および前記第2の端部は、前記第1の端部と前記第2の端部との間にチャンバを画定する円筒形ハウジングと、
前記チャンバ内のシャトルであって、前記シャトルは、複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、前記外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える、シャトルと、
前記ハウジングと前記シャトルとの間に、赤血球の通過を防止するようにサイズ設定されているクリアランスギャップと、
前記シャトルに線形運動および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システム
を備え、
前記シャトルの前記線形運動は、ポンピングサイクルに従って血液を前記チャンバの中にポンプし、血液を前記チャンバからポンプし、前記シャトルの前記回転運動は、前記複数のポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける、デバイス。
【請求項2】
前記ハウジング、または、前記シャトル、または、前記ハウジングおよび前記シャトルの両方は、セラミック材料を含み、前記セラミック材料は、サファイアもしくはその合成変種、または、ジルコニアもしくはその合成変種を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、多岐管をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多岐管は、第1の入り口と第2の入口第1の出口と第2の出口を含み、前記第1の入口および前記第2の入口および前記第1の出口および前記第2の出口は、前記複数のポートのうちの対応するポートと流体連通している、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記多岐管は、単一の入口単一の出口を含み、前記単一の入口および前記単一の出口の両方は、前記複数のポートのうちの対応するポートと流体連通している、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記クリアランスギャップは、約2.0μm4.0μmである、請求項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記1つ以上のチャネルは、1つの開放端1つの閉鎖端を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記磁気作動システムは、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1の端部および前記第2の端部に配置されている複数の回転コイルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記磁気作動システムは、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1の端部および前記第2の端部のそれぞれの内部に配置されている永久磁石を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、前記磁気作動システムに動作可能に結合されているコントローラを含み、前記コントローラは、前記ポンピングサイクルを制御するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記コントローラは、圧力センサーに動作可能に接続されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記コントローラは、前記デバイスから外部デバイスに情報を無線で伝送するように構成されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、前記ハウジング外面上にコーティングをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記デバイスは、人工心臓である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記コントローラは、前記圧力センサーから受信された血圧データに基づいて、前記ポンピングサイクルを調整するように構成されている、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月8日に出願された米国仮特許出願第62/816,056号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、概して、機能が低下している、機能不全である、または機能不全となった心臓を有する患者の生命を維持および持続するためのポンプデバイスおよび方法、具体的には当技術分野で概して「人工心臓」および「心室補助デバイス」(VAD)として既知の人工デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、医療処置および医療デバイス技術における開業医は、患者レシピエント内の機能が低下している心臓、機能不全となった心臓、または機能不全である心臓を補う、または完全に置き換えるように構築された人工心臓デバイスを提供するよう努めてきた。最も基本的な長期的なニーズは、本来の心臓を完全に交換し、本来の心臓の基本的な血液ポンピングおよび循環機能を実行するために、患者の体内に埋め込まれることが可能な交換用ポンピングデバイスの創造である。多くの場合、より短期的に、機能が低下している、または機能不全である心臓を支援することが企図された補足デバイスへの追加の必要性が存在するが、通常、本来の心臓を完全に置き換えることは企図されていない。このような「補足」デバイスは、「左心室補助デバイス」(LVAD)および「右心室補助デバイス」(RVAD)などの「心室補助デバイス」(VAD)と呼ばれる。
【0004】
持続可能な心臓置換を提供する初期の試みは、利用可能な技術および当時の最先端技術によって厳しく制限されていた。利用可能なデバイスは、概して、大きすぎて扱いにくく、ほとんどの場合、実用的ではないことが判明した。関連する技術および創造的な技術における継続的な進歩により、心臓置換デバイスは、より小さく、より信頼性が高くなり、いくつかの事例では、少なくとも部分的にレシピエント内に埋込可能になった。そのような「埋込可能な」デバイスは、追加の支持装置が患者の外部に留まり、複数の接続ワイヤーおよびホースによって埋め込まれたデバイスに接続されたままである間、実際のポンプがレシピエント内に埋め込まれ得るという点で、概してハイブリッドデバイスのままである。進歩にもかかわらず、完全に埋込可能な実用的な人工心臓は、とらえどころのないままであり、ほとんど入手できない。
【0005】
人工心臓または心室補助デバイスに対する要求は、困難なままである。成功する人工心臓または埋込可能な心室補助デバイスは、とりわけ、長持ちし、信頼できるものでなければならない。デバイス障害によって引き起こされるデバイスレシピエントへの悲惨な結果は、この要件を非常に明白にする。現在利用可能なデバイスが、適切な血流および血圧を達成するために高速で回転する必要がある回転コンポーネントを使用して血液をポンプすることを考えると、それらは、心不全の一時的な解決策を提供し、心臓移植への架け橋として機能する。
【0006】
加えて、デバイスは、レシピエントの胸部内に埋込可能であるように十分に小さく、および通常の生活機能を持続するために適切な血液循環を維持するために十分に効率的でなければならない。デバイスは、レシピエントの循環器系および肺系への過度のストレスを回避する必要がある。デバイスはまた、様々なレシピエントの活動レベルおよびストレスに対して適応し、調整することが可能である必要がある。血流内の乱流の回避、ならびにポンピング装置による血球損傷の回避、および血栓形成停滞領域の防止などの追加の要件は、人工心臓および心室補助デバイスにさらなる要求を課している。
【0007】
したがって、医療処置および医療デバイス技術の開業医は、提案された人工心臓および心室補助デバイスの事実上無限の多様性を創造しているが、それにもかかわらず、真に完全に機能する完全に埋込可能な人工心臓または心室補助デバイスによってもたらされる、厳格で容赦のない重要な要件および課題を満たす、改善され、埋込可能で、信頼性が高く、効果的な人工心臓および心室補助デバイスに対する当技術分野における継続的な未解決の必要性が残っている。
【0008】
したがって、改善された心室補助デバイスおよび人工心臓デバイスを有することは有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に記載されるのは、循環補助または交換心臓を必要とする患者に血液をポンプするためのデバイスおよび方法である。これらの患者(レシピエント)のために一時的な解決策を提供する代わりに、デバイスは、恒久的に埋め込まれ得る。恒久的な埋め込みを可能にし得るデバイスの特徴は、限定はされないが、血液を効率的にポンプするために高速で回転しなければならないインペラの欠如と、主に線形運動を使用して血流を生成するシャトルと、コンポーネントを作製するために使用される材料を含み、これらがデバイスのコンポーネントを正確に機械加工されることを可能にする。精密な機械加工によって達成される厳密な公差は、赤血球がデバイスコンポーネント間を移動して損傷を受けることを防止し、ならびに、少なくとも密封を含める必要がないため、デバイス内のコンポーネントの数を最小限に抑える。レシピエントについての正常範囲における心拍数により密接に対応する、より遅いポンプ速度を提供することに加えて、シャトルの線形運動は、剪断力を生成しないため、赤血球の損傷をさらに防止する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「シリンダ」、「ハウジング」、および「円筒形ハウジング」という用語は、全体を通して交換可能に使用され、「シリンダボア」、「シリンダヘッド」、および「チャンバ」という用語は、全体を通して交換可能に使用される。しかしながら、ハウジングは円筒形であり得るが、そうである必要はないことを理解されたい。さらに、「約」という用語の使用は、概して、値または測定の±5%内を意味する。
【0011】
単動容積形シャトルポンプを利用する、信頼性が高く効果的な埋込可能な心室補助デバイスを提供する実施形態は、本明細書に明らかにされている。複動容積形シャトルポンプを利用する、信頼性が高く効果的な埋込可能な心室補助デバイスを提供するさらなる実施形態はまた、本明細書に明らかにされている。複動容積形シャトルポンプを利用して、信頼性が高く効果的な埋込可能な人工心臓を提供するさらに別の実施形態は、本明細書に明らかにされている。
【0012】
本明細書に記載される血液をポンプするためのデバイスは、概して、外面、複数のポート、第1の端部、および第2の端部を備える、円筒形ハウジングを備えており、第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する。シャトルは、チャンバ内に包含されており、シャトルが、中空内面を画定する外側スリーブと、外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える。チャンバは、チャンバ内を移動するシャトルが2つの別個の可変容量部分を画定するように、固定容量チャンバであり得る。デバイスはまた、シャトルに線形運動および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムを含み得、シャトルの線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液をチャンバの中へおよび外へポンプし、シャトルの回転運動が、複数のポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける。生体適合性コーティングはまた、ハウジング外面上に提供され得る。デバイスは、心室補助デバイスまたは人工心臓であり得る。
【0013】
ハウジング、シャトル、またはそれらの両方は、セラミック材料から作製され得るか、またはセラミック材料を含み得る。例示的なセラミック材料は、サファイア、サファイアの合成変種、ジルコニア、またはジルコニアの合成変種を含み得る。
【0014】
血液の流れを方向付けるのを助ける多岐管は、円筒形ハウジングと関連付けられ得る。多岐管は、ハウジングと一体的に形成され、またはそれに連結され得る。例えば、多岐管は、材料の帯部(strap)または条片(strip)などのアタッチメント機構を使用してハウジングに連結され得る。帯部または条片は、ラッチまたは他の好適な締結コンポーネントによってハウジングの周りに固定され得る。
【0015】
人工心臓デバイスの一部として含まれている場合、多岐管は、第1および第2の入口、ならびに第1および第2の出口を含み得、第1および第2の入口ならびに第1および第2の出口が、複数のポートに対応するポートと流体連通している。多岐管の第1および第2の入口は、円筒形ハウジングの外面上で約90度離間され得る。同様に、多岐管の第1および第2の出口は、円筒形ハウジングの外面上で約90度離間され得る。
【0016】
心室補助デバイスの場合、多岐管は、単一の入口および単一の出口を含み得、これらの両方が、複数のポートに対応するポートと流体連通し得る。ここで、多岐管の入口および出口は、円筒形ハウジングの外面上で約90度離間され得る。
【0017】
デバイスのハウジングおよびシャトルコンポーネントは、典型的には、それらの間に最小限のクリアランスギャップを有する。例えば、クリアランスギャップは、約5.0μm未満、約4.0μm未満、または約3.0μm未満であり得る。いくつかの事例では、クリアランスギャップは、約2.0μm~約4.0μmであり得る。クリアランスギャップは、概して、ハウジングとシャトルの間の赤血球の通過を防止するサイズであり得、それにより、デバイス内に密封を含める必要性を排除する。
【0018】
本明細書に開示されるデバイスのシャトルは、中空円筒形スリーブおよびスリーブの各端部にエンドキャップを含み得る。シャトルは、長さおよび直径、ならびにスリーブの外表面に沿って延在する1つ以上のチャネルを有し得る。シャトル直径は、約3.5cm~約4.5cmであり得る。シャトル長は、約5.0cm~約6.0cmであり得る。
【0019】
追加的に、1つ以上のチャネルは、1つの開放端部および1つの閉鎖端部を有し得る。チャネルの長さは、約4.0cm~約5cmであり得る。1つ以上のチャネルの深さは、約0.5cm~約0.6cmであり得る。一般に、チャネルは、正方形の縁部なく形成され得、丸みを帯びた縁部のみを含み得る。
【0020】
ハウジング内のシャトルの移動は、概して、磁気作動システムを使用して達成され得る。磁気作動システムは、外側スリーブの中空内面内に配置された複数の磁石と、円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、円筒形ハウジングの第1および第2の端部に配置された複数の回転コイルと、を含み得る。代替的に、磁気作動システムは、外側スリーブの中空内面内に配置された複数の磁石と、円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、円筒形ハウジングの第1および第2の端部の各々内に配置された永久磁石と、を含み得る。
【0021】
コントローラは、磁気作動システムに動作可能に連結され得、フィードバックループを使用してポンピングサイクルを自動的に制御するように構成され得る。ここでは、1つ以上の圧力センサーは、コントローラに動作可能に接続され得る。1つ以上の圧力センサーからコントローラによって受信された血圧データは、磁気作動システムを自動的に調整し、ポンピングサイクルの率または速度を増減するために、使用され得る。ポンピングサイクルの手動調整はまた、デバイスレシピエントまたは医師によって行われ得る。いくつかの事例では、コントローラは、ポンプデバイスに関する情報を、コンピュータ、携帯電話、またはハンドヘルド携帯コントローラなどの外部デバイスに伝送するように動作可能なBluetooth(登録商標)システムを含み得る。他の例では、コントローラは、デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送し、外部デバイスから情報を受信するように動作可能な遠隔測定システムを含み得る。1つ以上の再充電可能バッテリーは、ポンプデバイスと共に含まれ得る。バッテリーは、レシピエントの体の任意の好適な場所に埋め込まれ得る。例えば、第1のバッテリーは、レシピエントの左側の股関節(hip)のすぐ上、またはほぼその領域に埋め込まれ得、第2のバッテリーは、レシピエントの右側の股関節のすぐ上、またはほぼその領域に埋め込まれ得る。
【0022】
本明細書に記載される血液をポンプするためのいくつかのデバイスは、外面、第1および第2の入口ポート、第1および第2の出口ポート、第1の端部、ならびに第2の端部を備え、第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する、円筒形ハウジングと、チャンバ内のシャトルであって、その中に複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える、シャトルと、シャトルに線形および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムと、を含み得、シャトルの線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液をチャンバの中へおよび外へポンプし、シャトルの回転運動が、第1および第2の入口ポートならびに第1および第2の出口ポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける。ここで、デバイスは、人工心臓であり得る。デバイスは、円筒形ハウジングと関連付けられた多岐管をさらに含み得、多岐管が、第1および第2の入口、ならびに第1および第2の出口を含み、第1および第2の入口ならびに第1および第2の出口が、第1および第2の入口ポートならびに第1および第2の出口ポートに対応するポートと流体連通している。
【0023】
本明細書に記載される他の例示的な人工心臓は、複数のポートを備える円筒形ハウジングと、円筒形ハウジング内のシャトルであって、サファイア材料から作製されている、シャトルと、ハウジングとシャトルの間のクリアランスギャップと、を含み得、クリアランスギャップが、赤血球の通過を防止するサイズになっている。クリアランスギャップは、約2.0μm~約4.0μmであり得る。
【0024】
さらに、本明細書に記載される血液をポンプするためのいくつかのデバイスは、外面、単一の入口ポート、単一の出口ポート、第1の端部、および第2の端部を備え、第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する、円筒形ハウジングと、チャンバ内のシャトルであって、複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える、シャトルと、シャトルに線形および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムと、を含み得、シャトルの線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液をチャンバの中へおよび外へポンプし、シャトルの回転運動が、単一の入口ポートおよび単一の出口ポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける。ここで、デバイスは、心室補助デバイスであり得る。デバイスは、単一の入口および単一の出口を含む多岐管をさらに含み得、これらは両方とも、対応する単一の入口ポートおよび対応する単一の出口ポートと流体連通している。
【0025】
レシピエントに血液をポンプするための方法は、本明細書でさらに記載されている。方法は、概して、ハウジング内に包含されたシャトルを、ポンピングサイクルに従って血液をハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることであって、ハウジングが、複数のポートを備える、往復運動させることと、複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、シャトルを回転させることと、を含み得る。いくつかの事例では、方法はまた、レシピエントにハウジングを埋め込むことを含む。埋め込むことは、複数のポートの第1のポートをレシピエントの大動脈に連結することと、複数のポートの第2のポートをレシピエントの左心室に連結することと、を含み得る。代替的に、埋め込むことは、複数のポートの第1のポートをレシピエントの大動脈に連結することと、複数のポートの第2のポートをレシピエントの肺動脈に連結することと、複数のポートの第3のポートをレシピエントの下大静脈および上大静脈に連結することと、複数のポートの第4のポートをレシピエントの肺静脈に連結することと、を含み得る。デバイスのポンピングサイクルは、レシピエントの血圧に基づいて自動的に調整され得、またはレシピエントもしくは医師によって手動で調整され得る。
【0026】
本明細書に記載される方法のいくつかは、レシピエントに複数のポートを備えるハウジングを埋め込むことであって、複数のポートの第1のポートをレシピエントの大動脈に連結することと、複数のポートの第2のポートをレシピエントの肺動脈に連結することと、複数のポートの第3のポートをレシピエントの下大静脈および上大静脈に連結することと、複数のポートの第4のポートをレシピエントの肺静脈に連結することと、を含む、埋め込むことと、ハウジング内に包含されたシャトルを、ポンピングサイクルに従って血液をハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることと、複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、シャトルを回転させることと、を含み得る。
【0027】
本明細書に記載される他の方法は、レシピエントに複数のポートを備えるハウジングを埋め込むことであって、複数のポートの第1のポートをレシピエントの大動脈に連結することと、複数のポートの第2のポートをレシピエントの左心室に連結することと、を含む、埋め込むことと、ハウジング内に包含されたシャトルを、ポンピングサイクルに従って血液をハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることと、複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、シャトルを回転させることと、を含み得る。
【0028】
心不全を治療するための方法は、本明細書でさらに記載されている。方法は、概して、シャトルを備えるハウジングをレシピエントの中に埋め込むことと、血液をハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように、シャトルを線形的に往復運動させることと、ハウジングの中へおよび外への血液の流れを方向付けるように、シャトルを回転させることと、を含み得、シャトルを線形的に往復運動および回転させることが、ハウジングのポンピングサイクルを生成する。ここでもまた、ハウジングおよびシャトルは、心室補助デバイスとして、または人工心臓として機能し得る。治療され得る心不全の種類は、左側心不全、右側心不全、両心室性心不全、心筋症、または感染症に起因する心不全を含むが、これらに限定されない。
【0029】
より具体的には、本明細書に明らかにされる様々な実施形態は、閉鎖対向端部を有するシリンダと、それらの間に延在するシリンダボアとを利用し得る。シリンダボア内では、概して円筒形であり、複数の磁石を支持するシャトルは、自由に移動可能であり得る。入力および出力ポートは、心室補助デバイスまたは人工心臓手術に必要な場合に、レシピエントの循環器系への連結を提供するために、円筒形ボアの中間点でシリンダ内に形成され得る。線形モーターコイルのセットは、シリンダの外表面に配置され得、シャトル内で支持される磁石と相互作用するように構成され得る。電気信号は、シリンダの閉鎖端部間を往復運動でシャトルを駆動するために、コントローラによって線形モーターコイルに適用され得る。シャトルの外表面は、1つ以上の血流チャネルを画定し得、その各々が、一端部で解放され、他端部で閉鎖され得る。追加的に、磁気コンポーネントは、選択された血流チャネルを選択された入力および出力ポートと整列させるために、各往復運動の前にシャトルを回転させるように提供され得る。シャトルの適切な回転位置決めおよび一旦回転位置決めされたそれの線形運動によって、血液は、円筒形ハウジングの一端部に引き込まれ得、その後シャトルの回転は、シャトルの線形運動を戻すことが、そこに蓄積された血液を出力ポートを通して外向きに変位させ得るように、選択された血流チャネルを整列させ得る。
【0030】
ポンプデバイスの単動の実施形態では、血液は、シャトルが往復運動するときに、円筒形ハウジングの一端部に引き込まれ、そこからポンプされ得る。ポンプデバイスの複動の実施形態では、血液は、シャトルが往復運動するときに、一端部でシリンダに同時に引き込まれ、他端部でシリンダから排出され得る。ポンプデバイスの単動および複動の両方の実施形態について、シャトルの往復運動および回転運動は、入力ポートを通じてシリンダに連続量の血液を引き込み、それをシリンダから出力ポートを通じ外向きに変位させるように順序付けられ得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
血液をポンプするためのデバイスであって、
外面、複数のポート、第1の端部、および第2の端部を備え、前記第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する円筒形ハウジングと、
前記チャンバ内のシャトルであって、複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、前記外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える、シャトルと、
前記シャトルに線形および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムと、を備え、
前記シャトルの前記線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液を前記チャンバの中へおよび外へポンプし、前記シャトルの前記回転運動が、前記複数のポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける、デバイス。
(項目2)
前記ハウジング、前記シャトル、またはそれらの両方が、セラミック材料を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記セラミック材料が、サファイアまたはその合成変種を含む、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記セラミック材料が、ジルコニアまたはその合成変種を含む、項目2に記載のデバイス。
(項目5)
前記円筒形ハウジングが、多岐管と関連付けられている、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
前記多岐管が、第1および第2の入口、ならびに第1および第2の出口を含み、前記第1および第2の入口ならびに前記第1および第2の出口が、前記複数のポートに対応するポートと流体連通している、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
前記多岐管の前記第1および第2の入口が、前記円筒形ハウジングの前記外面上で約90度離間されている、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
前記多岐管の前記第1および第2の出口が、前記円筒形ハウジングの前記外面上で約90度離間されている、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
前記多岐管が、単一の入口および単一の出口を含み、これらの両方が、前記複数のポートに対応するポートと流体連通している、項目5に記載のデバイス。
(項目10)
前記多岐管の入口および前記出口が、前記円筒形ハウジングの前記外面上で約90度離間されている、項目9に記載のデバイス。
(項目11)
前記デバイスが、前記ハウジングと前記シャトルの間にクリアランスギャップを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
前記クリアランスギャップが、約5.0μm未満である、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
前記クリアランスギャップが、約4.0μm未満である、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
前記クリアランスギャップが、約3.0μm未満である、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
前記クリアランスギャップが、約2.0~4.0μmである、項目11に記載のデバイス。
(項目16)
前記クリアランスギャップが、前記ハウジングと前記シャトルの間の赤血球の通過を防止するサイズである、項目11に記載のデバイス。
(項目17)
前記シャトルが、約3.5cm~約4.5cmの直径を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目18)
前記シャトルが、約5.0cm~約6.0cmの長さを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目19)
前記1つ以上のチャネルが、1つの開放端および1つの閉鎖端を有する、項目1に記載のデバイス。
(項目20)
前記1つ以上のチャネルが、約4.0cm~約5cmの長さを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目21)
前記1つ以上のチャネルが、約0.5cm~約0.6cmの深さを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目22)
前記1つ以上のチャネルが、丸みを帯びた縁部のみを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目23)
前記磁気作動システムが、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1および第2の端部に配置された複数の回転コイルと、を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目24)
前記磁気作動システムが、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1および第2の端部の各々内に配置された永久磁石と、を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目25)
前記デバイスが、前記磁気作動システムに動作可能に連結され、前記ポンピングサイクルを制御するように構成されたコントローラを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目26)
前記コントローラが、圧力センサーに動作可能に接続されている、項目25に記載のデバイス。
(項目27)
前記コントローラが、前記デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送するように動作可能なBluetooth(登録商標)システムを備える、項目25に記載のデバイス。
(項目28)
前記コントローラが、前記デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送し、前記外部デバイスから情報を受信するように動作可能な遠隔測定システムを備える、項目25に記載のデバイス。
(項目29)
前記ハウジング外面上にコーティングをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目30)
少なくとも1つの再充電可能バッテリーをさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(項目31)
前記デバイスが、人工心臓である、項目1に記載のデバイス。
(項目32)
前記デバイスが、心室補助デバイスである、項目1に記載のデバイス。
(項目33)
レシピエントに血液をポンプする方法であって、
ハウジング内に包含されたシャトルを、ポンピングサイクルに従って血液を前記ハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることであって、前記ハウジングが、複数のポートを備える、往復運動させることと、
前記複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、前記シャトルを回転させることと、を含む、方法。
(項目34)
前記レシピエント内に前記ハウジングを埋め込むことをさらに含む、項目33に記載の方法。
(項目35)
埋め込むことが、前記複数のポートの第1のポートを前記レシピエントの大動脈に連結することと、前記複数のポートの第2のポートを前記レシピエントの左心室に連結することと、を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
埋め込むことが、前記複数のポートの第1のポートを前記レシピエントの大動脈に連結することと、前記複数のポートの第2のポートを前記レシピエントの肺動脈に連結することと、前記複数のポートの第3のポートを前記レシピエントの下大静脈および上大静脈に連結することと、前記複数のポートの第4のポートを前記レシピエントの肺静脈に連結することと、を含む、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記ポンピングサイクルの速度が、前記レシピエントの血圧に基づいて自動的に調整される、項目33に記載の方法。
(項目38)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、前記レシピエントによって手動で調整される、項目33に記載の方法。
(項目39)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、医師によって手動で調整される、項目33に記載の方法。
(項目40)
前記ハウジングが、心室補助デバイスである、項目33に記載の方法。
(項目41)
前記ハウジングが、人工心臓である、項目33に記載の方法。
(項目42)
心不全を治療するための方法であって、
シャトルを備えるハウジングをレシピエントの中に埋め込むことと、
血液を前記ハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように、前記シャトルを線形的に往復運動させることと、
前記ハウジングの中へおよび外への血液の流れを選択的に方向付けるように、前記シャトルを回転させることと、を含み、
前記シャトルを線形的に往復運動および回転させることが、ポンピングサイクルを生成する、方法。
(項目43)
前記ハウジングが、心室補助デバイスである、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記ハウジングが、人工心臓である、項目42に記載の方法。
(項目45)
前記ポンピングサイクルの速度が、前記レシピエントの血圧に基づいて自動的に調整される、項目42に記載の方法。
(項目46)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、前記レシピエントによって手動で調整される、項目42に記載の方法。
(項目47)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、医師によって手動で調整される、項目42に記載の方法。
(項目48)
前記心不全が、左側心不全、右側心不全、両心室性心不全、心筋症、または感染症に起因する、項目42に記載の方法。
(項目49)
人工心臓であって、
外面、第1および第2の入口ポート、第1および第2の出口ポート、第1の端部、ならびに第2の端部を備え、前記第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する、円筒形ハウジングと、
前記チャンバ内のシャトルであって、その中に複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、前記外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える、シャトルと、
前記シャトルに線形および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムと、を備え、
前記シャトルの前記線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液を前記チャンバの中へおよび外へポンプし、前記シャトルの前記回転運動が、前記第1および第2の入口ポートならびに前記第1および第2の出口ポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける、人工心臓。
(項目50)
前記人工心臓が、第1の入口、第2の入口、第1の出口、および第2の出口を含む多岐管を備え、前記第1および第2の入口ならびに前記第1および第2の出口が、前記第1および第2の入口ポートならびに前記第1および第2の出口ポートに対応するポートと流体連通している、項目49に記載の人工心臓。
(項目51)
前記ハウジング、前記シャトル、またはそれらの両方が、セラミック材料を含む、項目49に記載の人工心臓。
(項目52)
前記セラミック材料が、サファイアまたはその合成変種を含む、項目51に記載の人工心臓。
(項目53)
前記セラミック材料が、ジルコニアまたはその合成変種を含む、項目51に記載の人工心臓。
(項目54)
前記多岐管の前記第1および第2の入口が、前記円筒形ハウジングの前記外面上で約90度離間されている、項目49に記載の人工心臓。
(項目55)
前記多岐管の前記第1および第2の出口が、前記円筒形ハウジングの前記外面上で約90度離間されている、項目49に記載の人工心臓。
(項目56)
前記デバイスが、前記ハウジングと前記シャトルの間にクリアランスギャップを含む、項目49に記載の人工心臓。
(項目57)
前記クリアランスギャップが、約5.0μm未満である、項目56に記載の人工心臓。
(項目58)
前記クリアランスギャップが、約4.0μm未満である、項目57に記載の人工心臓。
(項目59)
前記クリアランスギャップが、約3.0μm未満である、項目58に記載の人工心臓。
(項目60)
前記クリアランスギャップが、約2.0~4.0μmである、項目56に記載の人工心臓。
(項目61)
前記クリアランスギャップが、前記ハウジングと前記シャトルの間の赤血球の通過を防止するサイズである、項目56に記載の人工心臓。
(項目62)
前記シャトルが、約3.5cm~約4.5cmの直径を有する、項目49に記載の人工心臓。
(項目63)
前記シャトルが、約5.0cm~約6.0cmの長さを有する、項目49に記載の人工心臓。
(項目64)
前記1つ以上のチャネルが、1つの開放端および1つの閉鎖端を有する、項目49に記載の人工心臓。
(項目65)
前記1つ以上のチャネルが、約4.0cm~約5cmの長さを有する、項目49に記載の人工心臓。
(項目66)
前記1つ以上のチャネルが、約0.5cm~約0.6cmの深さを有する、項目49に記載の人工心臓。
(項目67)
前記1つ以上のチャネルが、丸みを帯びた縁部のみを含む、項目49に記載の人工心臓。
(項目68)
前記磁気作動システムが、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1および第2の端部に配置された複数の回転コイルと、を備える、項目49に記載の人工心臓。
(項目69)
前記磁気作動システムが、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1および第2の端部の各々内に配置された永久磁石と、を備える、項目49に記載の人工心臓。
(項目70)
前記デバイスが、前記磁気作動システムに動作可能に連結され、前記ポンピングサイクルを制御するように構成されたコントローラを含む、項目49に記載の人工心臓。
(項目71)
前記コントローラが、圧力センサーに動作可能に接続されている、項目70に記載の人工心臓。
(項目72)
前記コントローラが、前記デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送するように動作可能なBluetooth(登録商標)システムを備える、項目70に記載の人工心臓。
(項目73)
前記コントローラが、前記デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送し、前記外部デバイスから情報を受信するように動作可能な遠隔測定システムを備える、項目70に記載の人工心臓。
(項目74)
前記ハウジング外面上にコーティングをさらに備える、項目49に記載の人工心臓。
(項目75)
少なくとも1つの再充電可能バッテリーをさらに備える、項目49に記載の人工心臓。
(項目76)
レシピエントに血液をポンプする方法であって、
前記レシピエントに複数のポートを備えるハウジングを埋め込むことであって、前記複数のポートの第1のポートを前記レシピエントの大動脈に連結することと、前記複数のポートの第2のポートを前記レシピエントの肺動脈に連結することと、前記複数のポートの第3のポートを前記レシピエントの下大静脈および上大静脈に連結することと、前記複数のポートの第4のポートを前記レシピエントの肺静脈に連結することと、を含む、埋め込むことと、
前記ハウジング内に包含されたシャトルを、ポンピングサイクルに従って血液を前記ハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることと、
前記複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、前記シャトルを回転させることと、を含む、方法。
(項目77)
前記ポンピングサイクルの速度が、前記レシピエントの血圧に基づいて自動的に調整される、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、前記レシピエントによって手動で調整される、項目76に記載の方法。
(項目79)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、医師によって手動で調整される、項目76に記載の方法。
(項目80)
血液をポンプするための心室補助デバイスであって、
外面、単一の入口ポート、単一の出口ポート、第1の端部、および第2の端部を備え、前記第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する、円筒形ハウジングと、
前記チャンバ内のシャトルであって、複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、前記外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備える、シャトルと、
前記シャトルに線形および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムと、を備え、
前記シャトルの前記線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液を前記チャンバの中へおよび外へポンプし、前記シャトルの前記回転運動が、前記単一の入口ポートおよび前記単一の出口ポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける、心室補助デバイス。
(項目81)
前記心室補助デバイスが、単一の入口および単一の出口を含む多岐管を備え、前記単一の入口が、前記円筒形ハウジングの前記単一の入口ポートと流体連通しており、前記単一の出口が、前記円筒形ハウジングの前記単一の出口ポートと流体連通している、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目82)
前記ハウジング、前記シャトル、またはそれらの両方が、セラミック材料を含む、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目83)
前記セラミック材料が、サファイアまたはその合成変種を含む、項目82に記載の心室補助デバイス。
(項目84)
前記セラミック材料が、ジルコニアまたはその合成変種を含む、項目82に記載の心室補助デバイス。
(項目85)
前記多岐管の入口および前記出口が、前記円筒形ハウジングの前記外面上で約90度離間されている、項目81に記載の心室補助デバイス。
(項目86)
前記デバイスが、前記ハウジングと前記シャトルとの間にクリアランスギャップを含む、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目87)
前記クリアランスギャップが、約5.0μm未満である、項目86に記載の心室補助デバイス。
(項目88)
前記クリアランスギャップが、約4.0μm未満である、項目87に記載の心室補助デバイス。
(項目89)
前記クリアランスギャップが、約3.0μm未満である、項目88に記載の心室補助デバイス。
(項目90)
前記クリアランスギャップが、約2.0~4.0μmである、項目86に記載の心室補助デバイス。
(項目91)
前記クリアランスギャップが、前記ハウジングと前記シャトルの間の赤血球の通過を防止するサイズである、項目86に記載の心室補助デバイス。
(項目92)
前記シャトルが、約3.5cm~約4.5cmの直径を有する、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目93)
前記シャトルが、約5.0cm~約6.0cmの長さを有する、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目94)
前記1つ以上のチャネルが、1つの開放端および1つの閉鎖端を有する、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目95)
前記1つ以上のチャネルが、約4.0cm~約5cmの長さを有する、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目96)
前記1つ以上のチャネルが、約0.5cm~約0.6cmの深さを有する、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目97)
前記1つ以上のチャネルが、丸みを帯びた縁部のみを含む、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目98)
前記磁気作動システムが、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1および第2の端部に配置された複数の回転コイルと、を備える、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目99)
前記磁気作動システムが、前記円筒形ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、前記円筒形ハウジングの前記第1および第2の端部の各々内に配置された永久磁石と、を備える、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目100)
前記デバイスが、前記磁気作動システムに動作可能に連結され、前記ポンピングサイクルを制御するように構成されたコントローラを含む、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目101)
前記コントローラが、圧力センサーに動作可能に接続されている、項目100に記載の心室補助デバイス。
(項目102)
前記コントローラが、前記デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送するように動作可能なBluetooth(登録商標)システムを備える、項目100に記載の心室補助デバイス。
(項目103)
前記コントローラが、前記デバイスに関する情報を外部デバイスに伝送し、前記外部デバイスから情報を受信するように動作可能な遠隔測定システムを備える、項目100に記載の心室補助デバイス。
(項目104)
前記ハウジング外面上にコーティングをさらに備える、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目105)
少なくとも1つの再充電可能バッテリーをさらに備える、項目80に記載の心室補助デバイス。
(項目106)
レシピエントに血液をポンプする方法であって、
前記レシピエントに複数のポートを備えるハウジングを埋め込むことであって、前記複数のポートの第1のポートを前記レシピエントの大動脈に連結することと、前記複数のポートの第2のポートを前記レシピエントの左心室に連結することと、を含む、埋め込むことと、
前記ハウジング内に包含されたシャトルを、ポンピングサイクルに従って血液を前記ハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることと、
前記複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、前記シャトルを回転させることと、を含む、方法。
(項目107)
前記ポンピングサイクルの速度が、前記レシピエントの血圧に基づいて自動的に調整される、項目106に記載の方法。
(項目108)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、前記レシピエントによって手動で調整される、項目106に記載の方法。
(項目109)
前記ポンピングサイクルの前記速度が、医師によって手動で調整される、項目106に記載の方法。
(項目110)
人工心臓であって、
複数のポートを備える円筒形ハウジングと、
前記円筒形ハウジング内のシャトルであって、サファイア材料から作製されている、シャトルと、
前記ハウジングと前記シャトルの間のクリアランスギャップと、を備え、
前記クリアランスギャップが、赤血球の通過を防止するサイズである、人工心臓。
(項目111)
前記クリアランスギャップが、約2.0~4.0μmである、項目110に記載の人工心臓。
(項目112)
前記ハウジングが、前記複数のポートに対応するポートと流体連通する一対の入口および一対の出口を有する多岐管と関連付けられている、項目110に記載の人工心臓。
(項目113)
前記シャトルが、その外表面に沿って長手方向に延在する一対のチャネルを備える、項目110に記載の人工心臓。
(項目114)
前記一対のチャネルが、前記シャトルの前記外表面上で約180度離間されている、項目113に記載の人工心臓。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】コントローラおよびバッテリー電源の重複セットに連結された例示的な単動心室補助デバイスの斜視図である。
図2】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な単動心室補助デバイスの連続断面図である。
図3】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な単動心室補助デバイスの連続断面図である。
図4A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な複動心室補助デバイスの連続断面図である。
図4B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な複動心室補助デバイスの連続断面図である。
図4C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な複動心室補助デバイスの連続断面図である。
図5A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な複動心室補助デバイスの連続断面図である。
図5B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な複動心室補助デバイスの連続断面図である。
図5C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す、例示的な複動心室補助デバイスの連続断面図である。
図6】典型的な人間の心臓に適用される左心室補助デバイス(LVAD)として利用される例示的な心室補助デバイスの接続図である。
図7】コントローラの重複ペアに連結された例示的な複動人工心臓の実施形態の斜視図である。
図8】その中の断面線8-8に沿って切り取られた、図7に明らかにされる人工心臓の断面図である。
図9】回転シャトル運動のための回転コイルおよび線形運動のための線形コイルを利用する人工心臓の代替実施形態の斜視組立図である。
図10】回転シャトルの移動のために永久磁石を利用する人工心臓の斜視組立図である。
図11A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図11B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図11C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図12A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図12B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図12C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図13A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図13B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図13C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図14A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図14B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図14C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図15A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図15B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図15C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図16A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図16B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図16C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図17A】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図17B】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図17C】まとめると、その完全な動作サイクルを示す例示的な人工心臓の連続断面図である。
図18】人間の循環器系の例示的な描写への例示的な人工心臓の用途を示す。
図19】外部から作動する四方弁を利用するポンプデバイスの変形例である。
図20A】血液をポンプするための例示的なデバイスの断面図である。
図20B】ハウジング、シャトル、およびエンドキャップが別々に示された、図20Aのデバイスの断面図である。
図21】シャトルの組立図を示す。
図22】1つの開放端部および1つの閉鎖端部を有するチャネルを示している、シャトル内のチャネルの断面図である。
図23】シャトルとハウジングの間のクリアランスギャップの拡大図を提供する。
図24A】例示的な心室補助デバイスの組立図を示す。
図24B】多岐管が取り付けられた図24Aの心室補助デバイスを示す。
図25A】例示的な人工心臓の斜視図を示す。
図25B】ラッチされていない(図25B)およびラッチされた(図25C)構成での図25Aに示される人工心臓のための例示的な多岐管の斜視図を示す。
図25C】ラッチされていない(図25B)およびラッチされた(図25C)構成での図25Aに示される人工心臓のための例示的な多岐管の斜視図を示す。
図26A】シャトル内のチャネルの形状に対応する例示的な磁石を示す。図26Aは、例示的な磁石の断面図を提供し、図26Bは、シャトル内の図26Aの磁石の断面図を示し、図26Cは、チャネルの形状を有する磁石スタックを形成するための、図26Aの磁石のいくつかの積み重ねを示す。
図26B】シャトル内のチャネルの形状に対応する例示的な磁石を示す。図26Aは、例示的な磁石の断面図を提供し、図26Bは、シャトル内の図26Aの磁石の断面図を示し、図26Cは、チャネルの形状を有する磁石スタックを形成するための、図26Aの磁石のいくつかの積み重ねを示す。
図26C】シャトル内のチャネルの形状に対応する例示的な磁石を示す。図26Aは、例示的な磁石の断面図を提供し、図26Bは、シャトル内の図26Aの磁石の断面図を示し、図26Cは、チャネルの形状を有する磁石スタックを形成するための、図26Aの磁石のいくつかの積み重ねを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載されるのは、循環補助または交換心臓を必要とする患者に血液をポンプするためのデバイスおよび方法である。これらの患者(レシピエント)のために一時的な解決策を提供する代わりに、デバイスは、恒久的に埋め込まれ得る。上記のように、例えば、血液を効率的にポンプするために高速で回転しなければならないインペラの欠如と、主に線形運動を使用して血流を生成するシャトルと、コンポーネントを作製するために使用される材料などのような、デバイスがこれらの患者に恒久的な解決策を提供することを可能にする本明細書に記載されるデバイスのいくつかの特徴があり、これらがデバイスのコンポーネントを正確に機械加工されること、およびコンポーネント間の厳密な公差を達成することを可能にする。達成された厳密な公差は、赤血球がデバイスコンポーネント間を移動して損傷するのを防止し(または大幅に量を減らし)、デバイス内のコンポーネントの数を最小限に抑え得る。例えば、デバイスにおいて達成された厳密な公差は、デバイスにおける密封のための必要性を完全に排除し得る。シャトルの線形運動は、少なくともせん断力を生成しないため、赤血球の損傷をさらに防止し得る。さらに、その効率のために、それはより遅い自然な速度で血液を移動させ、それによって赤血球の損傷も防止する。
【0033】
血液をポンプするためのデバイス
本明細書に記載される血液をポンプするためのデバイスは、心室補助デバイスまたは人工心臓として機能し得る。デバイスは、概して、外面、複数のポート、第1の端部、および第2の端部を備えるハウジングを含み得る。第1および第2の端部は、それらの間にチャンバを画定し得、シャトルは、チャンバ内に位置決められ得る。シャトルは、中空内面を画定する外側スリーブと、外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備え得る。デバイスは、シャトルに線形および回転運動をもたらすように動作可能であり得る、磁気作動システムをさらに備え得る。シャトルの線形運動は、ポンピングサイクルに従って血液をチャンバの中へおよび外へポンプするために役立ち得、シャトルの回転運動は、複数のポートを通る血液の流れを選択的に方向付けるために役立ち得る。
【0034】
ハウジング
上で記述されたように、本明細書に記載されるデバイスは、概して、ハウジング、例えば、円筒形ハウジング、または楕円形または長方形の断面形状を有するハウジングを備え得る。ハウジングは、概して、ハウジングを囲み、その中にチャンバを形成するために使用されるエンドキャップであり得る、第1の端部および第2の端部を備え得る。チャンバは、チャンバ内を移動するシャトルが2つの別個の可変容量部分を画定するように、固定容量チャンバであり得る。ハウジングは、ハウジングの中へおよび外へ血液の移動を可能にし得る、複数のポート(例えば、1つ以上の入口ポート、1つ以上の出口ポート)をさらに備え得る。ポートは、ハウジングの任意の好適な領域、例えば、ハウジングの中央および/または端部に含まれ得る。さらに、ポートは、以下でさらに記載されるように、多岐管の入口および出口の間隔に対応するように位置決めされ得る。
【0035】
ポートのサイズは、ハウジングのサイズ、企図されたレシピエント、および/またはハウジングに含まれるポートの数などの要因に応じて変わり得る。例えば、ポートの直径は、ハウジングのサイズに応じて変わり得る。例えば、ポートの直径は、約0.20cm~約0.60cmであり得る。デバイスが心室補助デバイスとして使用されるとき、2つのポートは、ハウジング内への血液の移動のために1つ(入口ポート)、およびハウジングからの血液の移動のために1つ(出口ポート)が、含まれ得る。デバイスが人工心臓として使用されるとき、4つのポートは、ハウジング内へ移動する血液のために2つ(第1および第2の入口)、ならびにハウジングから移動する血液のために2つ(第1および第2の出口)が含まれ得る。しかしながら、任意の好適な数のポートが、採用され得る。例えば、6、8、または10個のポートが、ハウジング内に含まれ得る。
【0036】
ハウジングは、セラミック材料から作製され得るか、または含み得る。例示的なセラミック材料は、サファイア、サファイアの合成変種、ジルコニア、ジルコニアの合成変種などを含み得る。材料は、可能な限り低い摩擦係数を達成するために、磨かれ(grind)、および研磨(polish)され得る。いくつかの事例では、ハウジングは、ステンレス鋼、ステンレス鋼の合金、チタン、またはチタンの合金などの金属から作製され得る。他の例では、ハウジングは、プラスチック材料、または他の好適な生体適合性材料から作製されるか、またはそれを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、その外面上にコーティングを含み得る。コーティングは、任意の好適な生体適合性ポリマーから作製され得る。例えば、シリコーン、ポリエチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、およびポリプロピレンなどのポリマーは、使用され得る。しかしながら、ハウジングが、セラミック材料、例えば、サファイアまたはジルコニアから作製されているとき、コーティングは、これらの材料が生体適合性であり、免疫原性がないため、必要とされないことがあり得る。
【0038】
ハウジングの寸法は、デバイスを受容する人、例えば、子供または大人、またはデバイスのサイズに従って変わり得る。一般に、より大きなハウジングは、大人のレシピエントに好適であり得、より小さなハウジングは、小児のレシピエントに好適であり得る。ハウジングの長さは、その中のすべての値および部分範囲を含めて、約5.0cm~約10cmであり得る。例えば、ハウジングの長さは、約5.0cm、約6.0cm、約7.0cm、約8.0cm、約9.0cm、または約10cmであり得る。円筒形ハウジングが使用される変形例では、円筒形ハウジングの直径は、その中のすべての値および部分範囲を含めて、約1.5cm~約2.5cmであり得る。例えば、円筒形ハウジングの直径は、約1.5cm、約2.0cm、または約2.5cmであり得る。
【0039】
ハウジングは、各端部をエンドキャップで囲われ得る。エンドキャップの曲率半径は、概して、その内表面(すなわち、チャンバに面するハウジング面)がシャトルエンドキャップの外表面(すなわち、シャトル面)と同一平面にならないように構成され得る。より具体的には、ハウジング面の曲率は、シャトル面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有し得る。代替的には、ハウジング面は、平らで、シャトル面が湾曲され得る。結果として、シャトル面は、ハウジング面に適合せずにハウジング面に対して駆動され得、それにより、そうでなければ、ハウジング面から離れるシャトルの移動を妨げる、または赤血球を損傷し得るそれらの間の真空アタッチメントの生成を回避する。ハウジング面が湾曲されているとき、それは、約9cm~約10cm、例えば、約9.86cm(3.88インチ)の曲率半径を有し得る。
【0040】
図20Aおよび20Bを参照すると、ハウジングまたはシリンダ202を含む例示的なポンプデバイス200の部分断面図が、示されている。ハウジング202は、円筒形であるとして記載されているが、他の形状が、採用され得る。ハウジング202は、複数のポート204と、それらの間にチャンバ213を画定するハウジング202の第1の端部210および第2の端部212でのエンドキャップ206、208とを含み得る。
【0041】
シャトル
本明細書に記載されるデバイスは、概して、ハウジングのチャンバ内に配置されたシャトルを備え得る。ピストンとして機能するシャトルは、血液をハウジングの中へおよび外へポンプするために、チャンバ内で線形的に移送され得る。シャトルは、チャンバ内を前後に移動するときに、固定容量チャンバの2つの別個の可変容量部分を画定し得る。シャトルは、中空内面を有し得る外側スリーブと、外側スリーブの両端部に位置決めされた第1および第2のシャトルエンドキャップとを備え得る。外側スリーブは、円筒形であり得る。
【0042】
シャトルは、スリーブの中空内面内に位置決めおよび保持された1つ以上の磁石(シャトル磁石)を備え得る。磁石は、シャトルの移動を作動させるために、本明細書でより詳細に記載される磁気作動システムと組み合わせて使用され得る。いくつかの変形例では、シャトルは、単一の磁石を備え得るが、他方、他の変形例では、シャトルは、複数の磁石(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ超)を備え得る。他の変形例では、シャトルは、第1の線形運動磁石に隣接する一端部に第1の回転運動磁石を、反対側端部に第2の線形運動磁石に隣接する第2の回転運動磁石と共に含み得る。
【0043】
いくつかの事例では、シャトル磁石は、電磁石であり得る。いくつかの変形例では、シャトル磁石は、ネオジム磁石などの永久希土類磁石であり得る。これらの変形例では、ネオジム磁石は、5つの磁石が採用される場合、代替的に、例えば、NS SN NS SN NSに配列され得る(ここで、「S」は、磁石の南極を指し、「N」は、磁石の北極を指す)。隣接する各磁石の南極は、互いに面し得、隣接する各磁石の北極は、互いに面し得る。単一の磁石が使用され得る変形例では、単一の磁石は、同じ配列を生成するために磁化され得るセラミック材料を含み得る。1つ以上のシャトル磁石は、円筒形であり得る。他の変形例では、シャトル磁石の形状は、シャトルの外側スリーブ内のチャネルの形状に対応し得る。例えば、図26A~26Cを参照すると、磁石は、例えば、2つのチャネルを有するシャトルの形状など、シャトル内のチャネルの形状に一致するか、または対応するように形作られ得る。したがって、図26Aに示されるように、磁石600は、チャネル604の形状に対応する弧状または丸みを帯びた切り欠き602を含むように形作られ得る(図26Bに示されるように、ハウジング608内のシャトル606の断面図を参照)。図26Cに示すように、複数の磁石600が磁石スタック610内に提供されるとき、チャネル604の形状に対応する磁石600の形状が、さらに示される。
【0044】
シャトルは、外側スリーブ内に形成され得る1つ以上のチャネルをさらに備え得る。1つ以上のチャネルは、外側スリーブに沿って長手方向に延在し得るが、血流がハウジングの中へおよび外へ選択的に方向付けられることを可能にする任意の好適な方向に配向され得る。シャトルは、ポートを通して血液を選択的に方向付けるために、回転してチャネルがハウジングの特定のポートと整列するように構成され得る。例えば、シャトルは、下大静脈および上大静脈から、それに流体的に連結されたハウジングの入口ポートに血液を選択的に方向付けるために、肺静脈から、それに流体的に連結されたハウジングの入口ポートに血液を選択的に方向付けるために、血液をハウジングから肺動脈に、それに流体的に連結された出口ポートを介して選択的に方向付けるために、または、それに流体的に連結された出口ポートを介して、血液をハウジングから大動脈に選択的に方向付けるために、約90度回転され得る。いくつかの実施形態では、シャトルは、血液を下大静脈および上大静脈から入口ポートを介してハウジングに選択的に方向付けると同時に、血液をハウジングから出口ポートを介して肺動脈に選択的に方向付ける。他の実施形態では、シャトルは、血液を肺静脈から入口ポートを介してハウジングに選択的に方向付けると同時に、血液をハウジングから出口ポートを介して大動脈に方向付ける。
【0045】
シャトルの寸法は、典型的には、ハウジングの寸法に従って変わる。シャトルは、その中のすべての値および部分範囲を含めて、約5.0cm~約6.0cmの長さを有し得る。例えば、シャトル長は、約5.0cm、約5.5cm、または約6.0cmであり得る。円筒形外側スリーブを備える変形例では、シャトルは、その中のすべての値および部分範囲を含めて、約3.5cm~約4.5cmの直径を有し得る。例えば、シャトル直径は、約3.5cm、約4.0cm、または約4.5cmであり得る。
【0046】
シャトルは、ハウジングと同じ材料から作製されるか、またはそれを含み得、概して、密封(例えば、Oリング)がデバイスに含まれる必要がないように正確に機械加工され得る。例えば、ハウジング、シャトル、またはそれらの両方は、概して、正確に機械加工されることができる材料から作製され得る。一実施形態では、材料は、セラミック材料であり得る。例示的なセラミック材料は、これらに限定されないが、サファイアまたはその合成変種、およびジルコニアまたはその合成変種を含み得る。一実施形態では、ハウジングは、全体的または部分的に、サファイア材料から作製され得る。別の実施形態では、シャトルは、全体的または部分的に、サファイア材料から作製され得る。さらに別の実施形態では、ハウジングおよびシャトルの両方は、全体的または部分的に、サファイア材料から作製され得る。他の実施形態では、シャトルおよびハウジングは、チタン、チタン合金の合金、ステンレス鋼、ステンレス鋼の合金、プラスチック、または他の好適な生体適合性材料などの材料から構成され得る。
【0047】
ハウジングおよびシャトルを正確に機械加工する能力は、コンポーネント間に密閉されたまたは厳密な適合を可能にし得、したがって、コンポーネント間に(例えば、シャトルの外面と内面ハウジング(例えば、チャンバ)の間に)形成されるクリアランスギャップを最小限に抑え得る。一実施形態では、クリアランスギャップは、約5.0μm未満であり得る。別の実施形態では、クリアランスギャップは、約4.0μm未満であり得る。さらなる実施形態では、クリアランスギャップは、約3.0μm未満であり得る。さらに別の実施形態では、クリアランスギャップは、その中のすべての値および部分範囲を含めて、約2.0μm~約4.0μmであり得る。いくつかの実施形態では、クリアランスギャップは、約2.0μm、約2.5μm、約3.0μm、約3.5μm、または約4.0μmであり得る。他の実施形態では、クリアランスギャップは、ハウジングの内面とシャトルの外面の間の赤血球の通過を防止するサイズであり得る。
【0048】
シャトルは、シャトルの外表面(すなわち、外側スリーブ)に沿って長手方向に延在し得る、1つ以上のチャネルを備え得る。複数のチャネルの各チャネルは、以下でさらに記載されるように、ハウジングの中へおよび外への血液の移動を支援するために、1つの開放端部および1つの閉鎖端部を有し得る。さらに、複数のチャネルの各チャネルは、赤血球がハウジングを通してポンプされるときの赤血球への損傷を防止または最小化し得る、丸みを帯びた縁部のみを含み得る。チャネルの寸法は、シャトルの寸法で変わり得る。一般に、チャネルは、約4.0cm~約5.0cmの長さ、および約0.5cm~約0.6cmの深さを有し得る。いくつかの変形例では、シャトルは、2つのチャネルを備え得る。これらの変形例では、2つのチャネルは、シャトルの表面上で約90度離れるように配列され得るか、またはシャトルの表面上で約180度離れるように配列され得る。
【0049】
図20Aおよび20Bに戻ると、ポンプデバイス200のハウジング202内に位置決めされたシャトル214が示されている。本明細書に記載されるように、シャトル214は、血液をポンプために前後に往復運動するピストンとして機能し得る。シャトル214は、図21によりよく示されるように、中空内面217を画定する外側スリーブ216と、スリーブ216の各端部にシャトルエンドキャップ218とを含む。チャネル220はまた、外側スリーブ216に沿って長手方向に延在して提供される。図22を参照すると、チャネル220の拡大図は、1つの閉鎖端部222および1つの解放端部224を有して示されている。以下でさらに説明するように、閉鎖端部および解放端部は、ハウジングの中へおよび外への血液の流れを促進する助ける。
【0050】
図23を参照すると、例示的なデバイス300は、ハウジング302およびハウジング302内に包含されるシャトル304を含んで示されている。丸で囲まれた領域306は、ハウジング302とシャトル304の間の小さなクリアランスギャップ308を示すために拡大されて示されている。この変形例では、クリアランスギャップは、概して、約2μm~約4μmであり得る。
【0051】
シャトルエンドキャップ(すなわち、シャトル面)は、ハウジング面よりも小さい曲率半径を有し得る。結果として、シャトル面は、ハウジング面に適合せずにハウジング面に対して駆動され得、それにより、そうでなければハウジング面から離れるシャトルの移動を妨げ得るそれらの間の真空アタッチメントの生成を回避する。いくつかの実施形態では、シャトル面は、約2.54cm(1.0インチ)~約10.16cm(4.0インチ)の曲率半径を有する。一実施形態では、シャトル面は、約8.05cm(3.17インチ)の曲率半径を有する。
【0052】
図20Aおよび20Bを参照すると、ハウジングまたはシリンダ202を含む例示的なポンプデバイス200の部分断面図が、示されている。ハウジング202は、円筒形であるとして記載されているが、他の形状が、採用され得る。ハウジング202は、複数のポート204と、それらの間にチャンバ213を画定するハウジング202の第1の端部210および第2の端部212でのエンドキャップ206、208とを含み得る。
【0053】
結果として、シャトル面は、ハウジング面に適合せずにハウジング面に対して駆動され得、それにより、そうでなければ、ハウジング面から離れるシャトルの移動を妨げ得る、それらの間の真空アタッチメントの生成を回避する。一実施形態では、ハウジング面は、湾曲され得る。ここで、ハウジング面は、約9.86cm(約3.88インチ)の曲率半径を有し得る。別の実施形態では、ハウジング面は平坦であり、すなわち、曲率半径はない。
【0054】
磁気作動システム
前述のように、チャンバ内のシャトルは、ポンピングサイクルに従って線形的に移動して、血液をチャンバの中へおよび外へポンプし、ハウジングの複数のポートを通して血液の流れを選択的に方向付けるために回転する。シャトルの線形運動および回転運動の両方は、磁気作動システムを使用して実現され得る。一実施形態では、以下でさらに説明するように、磁気作動システムは、ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、ハウジングの第1および第2の端部に配置された複数の回転コイルとを含み得、これらの各々が、外側スリーブの内面内に配置された1つ以上の磁石(シャトル磁石)と相互作用し得る。例えば、コイルは、シャトル移動をもたらすためにシャトル磁石と相互作用し得る、磁場を生み出すためにエネルギー供給され得る。いくつかの変形例では、3つのコイルのバンクは、概して、磁気作動システムのための完全な駆動ユニットを形成するのに十分であり得る。しかしながら、ポートの位置に応じて、2つの3つのコイルドライブユニットが、使用され得る。いくつかの実施形態では、磁気作動システムは、1つのコイルが故障した場合でもデバイスが機能するように、重複性を提供し得る複数の線形モーターコイルを備え得る。
【0055】
複数のシャトル磁石と複数の線形運動コイルの間の相互作用は、シャトルを線形に往復運動させ、複数のシャトル磁石と複数の回転コイルの間の相互作用は、シャトルを回転させる。以下でもさらに記載される別の実施形態では、磁気作動システムは、外側スリーブの内面内に配置された複数の磁石と、ハウジングを取り囲む複数の線形モーターコイルと、ハウジングの第1および第2の端部の各々内に配置された永久磁石と、を備え得る。この実施形態では、複数のシャトル磁石と複数の線形運動コイルの間の相互作用は、シャトルを線形に往復運動させ、複数のシャトル磁石と永久磁石の間の相互作用は、シャトルを回転させる。シャトルの移動を駆動する磁場を生成するためのコイルのエネルギー供給は、必要とされる駆動/移動の方向に応じて位相を切り替え、必要とされる駆動力に応じて振幅が調節されることができる、三相AC電源を使用して実現され得る。他の実施形態では、12ボルト、24ボルト、または48ボルトのDC電源が、使用され得る。
【0056】
概して、駆動コイルのコア内に生成される磁場は、コイルに流れる電流の量に比例し得る。例えば、コイルが平らなドーナツで、穴の周囲にワイヤーが巻かれているとき、強い磁場は、穴の外を指す矢印として表され得る、電流がコイルに流れるときに、穴の中で生成され得る。磁場の方向、すなわち、矢印の先は、電流の方向が逆になると、逆になる。この磁場は、シャトル内の磁石、例えば、永久ネオジム磁石の磁場と相互作用し、これは、例えば、スタッキングのために非常に強力であり得る。例えば、永久磁石を利用する変形例では、永久磁石は、隣接する磁石のN極とN極が互いに面し、隣接する磁石のS極とS極が互いに面するように積み重ねられ得る。駆動コイルを流れる電流を適切に操作することによって、相互作用する磁場は、シャトルのポンピング作用を駆動するために、必要に応じて、反発または誘引のいずれかで、適切な方向に軸方向の力を提供し得る。シャトルを回転させる回転力は、ハウジングの各端部にある別々のコイルによって生成され得、線形磁気駆動とは独立してポンプコントローラによって作動され得る。
【0057】
多岐管
いくつかの変形例では、ポンピングデバイスは、多岐管と共に使用され得、または備え得る。例えば、これらの変形例では、ハウジングは、概して、ハウジングとの間、およびレシピエントの適切な解剖学的構造(例えば、下大静脈または上大静脈、肺動脈、肺静脈、大動脈、または左心室)との間の血液の流れを方向付けるのを助けるように構成され得る、多岐管と関連付けられ得る。さらに、多岐管は、1つ以上の入口および1つ以上の出口を備え得、それにより、レシピエントの血管系、左心室、または他の適切な解剖学的構造が、ハウジングに接続され得る。入口および出口は、複数のハウジングポートに対応するポートと流体連通し得る。例えば、デバイスが心室補助デバイスであるとき、多岐管は、単一の入口および単一の出口を含み得、デバイスが人工心臓であるとき、多岐管は、一対の入口(第1および第2の入口)、ならびに一対の出口(第1および第2の出口)を含み得る。多岐管が心室補助デバイスの一部であるか、または心室補助デバイスと共に使用されるとき、多岐管の単一の入口は、レシピエントの左心室と流体連通し得、多岐管の単一の出口は、レシピエントの大動脈と流体連通し得る。多岐管が人工心臓の一部であるか、または人工心臓と共に使用されるとき、第1の入口は、レシピエントの下大静脈または上大静脈と流体連通し得、第2の入口は、レシピエントの肺静脈と流体連通し得る。さらに、第1の出口は、レシピエントの肺動脈と流体連通し得、第2の出口は、レシピエントの大動脈と流体連通し得る。
【0058】
多岐管の入口と出口の間隔は、概して、多岐管の入口および出口がハウジング内の複数のポートに対応するポートと整列するように構成され得る。いくつかの実施形態では、例えば、デバイスが心室補助デバイスであるとき、単一の入口および単一の出口は、ハウジングの外面上で約90度離間され得る。他の実施形態では、例えば、デバイスが人工心臓であるとき、多岐管の第1および第2の入口は、ハウジングの外面上で約90度離間され得る。同様に、多岐管の第1および第2の出口は、ハウジングの外面上で約90度離間され得る。
【0059】
いくつかの変形例では、多岐管は、ハウジングと一体的に形成され得るが、他方、他の変形例では、多岐管は、ハウジングとは別に形成され得、例えば、アタッチメント機構を使用して、ハウジングに連結され得る。例えば、いくつかの変形例では、多岐管は、ハウジングの周りに配置される材料の可撓性条片または帯部の形態におけるアタッチメント機構を備え得る。条片または帯部の端部は、ラッチまたは他の好適な締結コンポーネントと一緒に固定され得る。多岐管は、例えば、ステンレス鋼またはチタンなどの好適な生体適合性材料から作製され得る。アタッチメント機構は、多岐管と同じ材料、または異なる材料(例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、またはポリスチレンなどの可撓性ポリマー)から作製され得る。
【0060】
多岐管はまた、概して、ハウジングとの間、およびレシピエントの適切な解剖学的構造への血液の流れを方向付ける助ける、本明細書に記載されるポンプデバイスに含まれる。デバイスが心室補助デバイスであるとき、多岐管の単一の入口は、レシピエントの左心室と流体連通し得、多岐管の単一の出口は、レシピエントの大動脈と流体連通し得る。多岐管の単一の入口および単一の出口は、ハウジングの対応する入口ポートおよび出口ポートと流体連通し得る。例えば、図24Aおよび24Bに示されるように、心室補助デバイス400は、入口ポート404および出口ポート(図示せず)を有するハウジング402を含む。多岐管408は、アタッチメント機構、すなわち帯部410によってハウジング402に連結され得る。帯部410は、締結具またはプラグ412を使用して、ハウジング402の周りに固定され得る。締結すると、入口ポート404および出口ポートは、多岐管408の対応する入口401および出口403と整列され得る。締結具412は、帯部410の端部に提供されたレール416に対応する溝414を有する。止めネジ418は、多岐管408のハウジング402へのアタッチメントをさらに固定するために、開口420に配置され得る。
【0061】
図25Aに示されるように、デバイスが人工心臓500であるとき、ハウジング502は、図25Bおよび25Cに示されるように、多岐管504に連結され得る。図25Bを参照すると、多岐管504は、一対の入口、第1および第2の入口506、508、ならびに一対の出口、第1および第2の出口510、512を含む。第1の入口506は、レシピエントの下大静脈または上大静脈と流体連通し得、第2の入口508は、レシピエントの肺静脈と流体連通し得る。さらに、第1の出口510は、レシピエントの肺動脈と流体連通し得、第2の出口512は、レシピエントの大動脈と流体連通し得る。多岐管504は、アタッチメント機構、すなわち帯部514によってハウジング502に連結され得る。締結すると、多岐管の入口506、508および出口510、512は、ハウジング502の対応する入口ポート(図示せず)および出口ポート(図示せず)と流体連通し得る。帯部514は、締結具またはプラグ516を使用して、ハウジング502の周りに固定され得る。心室補助デバイスと同様に、締結具516は、帯部514の端部に提供されたレール518に対応する溝(図示せず)を有し得る。同様に、止めネジ(図示せず)は、多岐管514のハウジング502へのアタッチメントをさらに固定するために、開口520に配置され得る。
【0062】
本明細書に記載される血液をポンプするためのデバイスは、心室補助デバイスまたは人工心臓として機能し得る。デバイスは、構造において同様であるが、心室補助デバイスは、概して、単一の入口および単一の出口を有する多岐管を含み、レシピエントの左心室および大動脈に接続されている。他方、人工心臓デバイスは、概して、第1および第2の入口、ならびに第1および第2の出口を有する多岐管を含む。第1および第2の入口は、それぞれ、レシピエントの下大静脈および上大静脈、ならびに肺静脈に接続され得、第1および第2の出口は、それぞれ、レシピエントの肺動脈および大動脈に接続され得る。心室補助デバイスおよび人工心臓の追加的詳細は、以下に提供される。
【0063】
コントローラ
本明細書に記載されるデバイスはまた、磁気作動システムに動作可能に連結された1つ以上のコントローラを含み得る、これはデバイスのポンピングサイクルを制御するように、例えば、ポンピングサイクルの速度(例えば、シャトルの速度およびシャトルの回転速度)を制御または調整するように構成され得る。いくつかの変形例では、デバイスは、コントローラが動作を止めるべき重複性をデバイスが有するように、2つ以上(例えば、3つ、4つ、またはそれ超)のコントローラを備え得る。磁気作動システムに動作可能に連結されていることに加えて、コントローラは、デバイス上に1つ以上のセンサーを動作可能に連結され得る。例えば、いくつかの変形例では、デバイスは、コントローラに動作可能に連結され、血圧データがコントローラに提供される、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ超)の圧力センサーを備え得る。デバイスに含まれる圧力センサーの数は、重複性を提供するように設定され得る。圧力センサーが所定の最低血圧よりも低い血圧を検出するとき、コントローラは、ポンピングサイクルの速度を自動的に上げ得る。同様に、圧力センサーが所定の最大血圧よりも高い血圧を検出するとき、コントローラは、ポンピングサイクルの速度を自動的に下げ得る。1つ以上の圧力センサーは、デバイス上の任意の好適な位置に位置決めされ得るが、典型的には、多岐管の出口の近く、内部、または表面上に配置される。一実施形態では、例えば、デバイスが人工心臓であるとき、4つの圧力センサーは、デバイスに含まれ得る。4つの圧力センサーは、センサーの1つが動作を停止するべき重複性を提供し得る。ここでは、2つのセンサーは、多岐管の2つの出口の各々に配置され得る。
【0064】
コントローラは、レシピエントに埋め込まれるように構成され得、または体の外部に留まるように構成され得る。両方の実施形態では、コントローラは、ポンピングデバイスに関する情報を、別のデバイス、例えば、コンピュータ、携帯電話、タブレット、または他のハンドヘルドもしくはポータブルデバイスなどの外部デバイスに伝送するように動作可能なBluetooth(登録商標)システムを含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラは、ポンピングデバイスに関する情報を、別のデバイス、例えば、コンピュータ、携帯電話、タブレット、または他のハンドヘルドもしくはポータブルデバイスなどの外部デバイスに伝送するように、およびその外部デバイスから情報を受信するように動作可能な遠隔測定システムを備え得る。
【0065】
1つ以上の再充電可能バッテリーはまた、本明細書に記載されるデバイスと共に提供され得る。いくつかの変形例では、本明細書に記載されるデバイスは、バッテリーが動作を止めるべき重複性をデバイスが有するように、2つ以上(3つ、4つ、またはそれ超)のバッテリーを備え得る。一実施形態では、バッテリーが典型的にはDC電力を生成することを考えると、インバータは、DC電力を磁気作動システム、コントローラなどのために必要なAC電流に変換するために、それに接続され得る。バッテリーは、埋め込まれたデバイスの近くのレシピエントによって着用されている充電デバイスで、近距離誘導充電を介して充電され得る。追加的または代替的に、バッテリーは、遠方場エミッタから信号を受信するアンテナを使用して無線で充電され得、次いで、それは、バッテリーを充電することが可能な信号に変換される。遠方場充電は、エミッタから最大約20フィートの距離で発生し得る。
【0066】
心室補助デバイス
上で考察されたように、本明細書に記載される心室補助デバイスは、概して、外面、単一の入口ポート、単一の出口ポート、第1の端部、および第2の端部を備える、円筒形ハウジングを含み得、第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する。シャトルは、チャンバ内に提供され得る。シャトルは、複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備え得る。心室補助デバイスは、シャトルに線形運動および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムをさらに含み得、シャトルの線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液をチャンバの中へおよび外へポンプし、シャトルの回転運動が、単一の入口ポートおよび単一の出口ポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける。追加的に、デバイスは、単一の入口および単一の出口を含む多岐管を含み得、これらは両方とも、対応する単一の入口ポートおよび対応する単一の出口ポートと流体連通している。
【0067】
図1は、単動心室補助デバイス10の斜視図を明らかにする。心室補助デバイス10は、ケーブル16によって、バッテリー電源21を有するコントローラ20に連結されている。心室補助デバイス10は、ケーブル17によって、バックアップバッテリー電源23を有するバックアップコントローラ22にさらに連結されている。コントローラおよびバッテリー電源の重複セットは、心室補助デバイス10の信頼性を改善する。コントローラ20および22ならびにバッテリー21および23と一緒の心室補助デバイス10は、患者レシピエント内でそれらの全体が埋め込まれ得るか、または代替的に、患者レシピエントの外部に留まる選択されたコンポーネントと共に分布され得る。心室補助デバイス10は、概して、一体的に形成された端部12および13を有する円筒形ハウジング11を含む。その製造の一変形例では、端部12および13を含むハウジング11は、以下に明らかにされる動作構造(図8に見られる)上で成形される生体適合性カプセル化材料から形成される。ハウジング11はさらに、心室補助デバイス10への、および心室補助デバイス10からの血液の移送を可能にするために、各々が以下に明らかにされる様式で動作する入力カプラ14および出力カプラ15を支持する。
【0068】
動作中、心室補助デバイス10は、血液の流れを改善または増加させることが望まれる点で患者循環器系に連結される。心室補助デバイス10の1つの一般的な用途のポイントは、一般に左心室補助と呼ばれる用途において、図6において以下に示されている。典型的には、心室補助デバイス10は、患者の循環器系の選択された部分間の血流を増加させるように位置決めされている。コントローラ20が駆動装置(以下の図8に明らかにされる)に動作可能な電気信号を提供すると、血液は、入力カプラ14を介して心室補助デバイス10に引き込まれ、その後、出力カプラ15を介して外向きにポンプされる。
【0069】
図3A~3Cと一緒に図2A~2Cは、心室補助デバイス10の動作サイクルを示す連続図を明らかにする。示されている図は、心室補助デバイス10の動作サイクルをより明確に例示および理解するために簡略化されていることに留意されたい。したがって、図面が過度に乱雑になるのを回避し、心室補助デバイス10の動作をより容易に理解するために、図2A~2Cならびに図3A~3Cから特定の動作構造が省略されていることが理解される。図8、9および10を一時的に参照すると、心室補助デバイス10は、シャトルの内面内に配置された永久磁石と共にシリンダを取り囲む複数の線形モーターコイルによって線形運動で駆動されることが分かるであろう。加えて、以下に記載される動作中のシャトルの回転は、同じくシリンダ上に配置された追加の回転駆動コイルか、または代替的にシャトル上に配置された永久磁石の協調セットおよびシリンダのエンドキャップのいずれかによって誘発されることも同様に明らかである。いずれにしても、以下の記載では、そのようなシステムが動作しており、それらの機能が以下に記載される様式で行われると想定されることが理解される。
【0070】
図2A~2Cおよび図3A~3Cに戻り、同時にそれを参照すると、心室補助デバイス10は、それを通るシリンダボア25を画定するシリンダ24を含む。シリンダ24は、閉鎖端部34および35をさらに画定する。シリンダ24はまた、入力カプラ14および出力カプラ15を支持し、これらは両方ともシリンダボア25の内面と連絡している。シャトル26は、概して円筒形であり、その中で自由に移動可能であるように、シリンダボア25内に正確に取り付けられている。シャトル26はさらに、面36および面37を画定する。シリンダヘッド28は、シャトル26の閉鎖端部34および面36によってそれらの間のシリンダボア25の一部分と一緒に閉じ込められたシリンダボア25内の容量を備える。シャトル26はまた、面36で開放され、面37で閉鎖された血流チャネル27を画定する。
【0071】
図6は、概して数字75で参照される典型的な人間の心臓に適用される、概して数字78で参照される左心室補助デバイス(LVAD)として利用される心室補助デバイスの接続図を明らかにする。心臓75は、典型的な人間の心臓の代表であり、そのようなものとして、左心室76および大動脈77を含む。左心室補助デバイス用途の通常の接続に従って、心室補助デバイス78は、可撓性の編組ホース73によって左心室76の下端部に連結されている。さらに従来の使用によれば、心室補助デバイス78は、可撓性の編組ホース74によって大動脈77に連結されている。この用途では、心室補助デバイス78は、図1に示された心室補助デバイス10を備え得るか、または代替的に、図4A~5Cに上で明らかにされ、記載された心室補助デバイス50を備え得る。いずれにしても、基本的な心室補助は、左心室補助デバイス78が左心室76の下端部から血液を流し、左心室76のおそらく弱められた性能を補うために、増加した圧力および強度で編組ホース74を通して大動脈77にポンプされるように提供される。図6には見られないが、左心室補助デバイス78は、上で記載された様式で動作制御および動力源に連結されていることが理解されよう。代替的に、この装置は、患者の内に埋め込まれ、または複数の接続ワイヤーによって行われる(図1に見られる)接続のケースにおいて、患者の外部にあり得る。
【0072】
人工心臓デバイス
本明細書に記載される人工心臓デバイスは、概して、外面、第1および第2の入口ポート、第1および第2の出口ポート、第1の端部、ならびに第2の端部を備える、円筒形ハウジングを含み得、第1および第2の端部が、それらの間にチャンバを画定する。シャトルは、チャンバ内に包含され得、シャトルが、その中に複数の磁石を包含する中空内面を画定する外側スリーブと、外側スリーブに沿って長手方向に延在する1つ以上のチャネルとを備え得る。人工心臓は、シャトルに線形運動および回転運動をもたらすように動作可能な磁気作動システムをさらに含み得、シャトルの線形運動が、ポンピングサイクルに従って血液をチャンバの中へおよび外へポンプし、シャトルの回転運動が、第1および第2の入口ポートならびに第1および第2の出口ポートを通る血液の流れを選択的に方向付ける。デバイスはまた、円筒形ハウジングと関連付けられた多岐管を含み得、多岐管が、第1および第2の入口、ならびに第1および第2の出口を含み、第1および第2の入口ならびに第1および第2の出口が、第1および第2の入口ポートならびに第1および第2の出口ポートに対応するポートと流体連通している。
【0073】
図7は、コントローラ90および91の重複ペアに連結された例示的な複動人工心臓80の斜視図を明らかにする。人工心臓80は、それぞれ一対のケーブル92および93によってコントローラ90および91に連結され得る。心室補助デバイスについて上で記述されたように、ケーブル92および93を介した人工心臓80の連結は、同様に、コントローラ90および91の埋め込み設置、または代替的に、外部コントローラ90および91のいずれかの代表であると理解される。コントローラが患者の外部にある場合では、患者内に埋め込まれた人工心臓80への接続は、患者の皮膚を通過するケーブル92および93によって提供され得る。人工心臓80は、概して、形状が円筒形であり得、任意選択で、生体適合性材料85の外側コーティングまたは層を含み得る。生体適合性コーティングまたは層を含む人工心臓の一変形例では、コーティングまたは層85は、人工心臓装置を完全に密封および保護するために、人工心臓80上で成形され得る。一対の入口または入力カプラ81および82は、人工心臓80上で支持され、90°の角度間隔で離間されている。一対の出口または出力カプラ83および84は、同様に人工心臓80上で支持され、また、90°の角度間隔で離間されている。入口と出口の間の90°の角度間隔は、以下により詳細に記載される様式でシャトルに適用される90°の角度回転増分と互換性があるように提供される。
【0074】
図8は、その中の断面線8-8に沿って切り取られた、図7に上で明らかにされるのと同様に人工心臓80の断面図を明らかにする。人工心臓80は、シリンダ85内で移動可能なシャトル110を含む。シリンダ85は、その両端部で接合された一対のエンドキャップ87および88を有するシリンダボア86を画定する。シリンダ85とエンドキャップ87および88の組み合わせは、シャトル110が自由に移動可能であり、正確に取り付けられている中で、閉鎖端部シリンダを形成する。シャトル110は、一対の血流チャネル121および122を画定する磁石支持スリーブ111を含む。シャトル110は、磁石支持スリーブ111内に支持され、相互磁気引力、およびいくつかの事例では、従来の接着剤または他のアタッチメントによって固定された複数の線形運動磁石115、116、117および118をさらに含む。シャトル110はさらに、一方の端部で線形運動磁石118に隣接する回転運動磁石119を、反対側の端部で回転運動磁石120に隣接する線形運動磁石115と一緒に支持する。シャトル110の構造は、磁石支持スリーブ111に隣接する回転運動磁石120に固定されたエンドキャップ113と一緒に、磁石支持スリーブ111に隣接する回転運動磁石119に固定されたエンドキャップ112によって完成される。エンドキャップ112および113は、従来の生体適合性接着剤または同様のアタッチメントを使用して、磁石支持スリーブ111ならびに磁石119および120に接合されている。
【0075】
人工心臓80は、両方ともシリンダボア86内に延在する、入力部82および出力部83をさらに含む。複数の線形運動コイル100は、シリンダ85の外表面に巻かれている。複数の回転運動コイル101は、シリンダ85の一端部に巻かれており、他方、第2の複数の回転運動コイル102は、シリンダ85の反対側の端部に巻かれている。線形運動コイル101ならびに回転運動コイル101および102は、各々が、人工心臓80を駆動するための適切な電気信号を提供するコントローラ(図7に見られる)に連結されている。上で記述されたように、人工心臓80は、人工心臓80内のコンポーネントを密封および保護する外側成形カプセル化(図1に見られる)でコーティングされている。
【0076】
動作中、往復運動線形運動は、線形運動コイル100にエネルギー供給することによって、シリンダボア86内のシャトル110に与えられる。同様に、回転運動は、シャトル110の移動の両端部で回転運動コイル101および102にエネルギー供給することによってシャトル110に与えられる。シリンダヘッド容量106は、エンドキャップ88の面104とエンドキャップ113の面123との間に、それらの間のシリンダボア86の一部分と共に画定される。したがって、シリンダヘッド106の容量は、シリンダボア86内のシャトル110の線形位置によって決定される。一態様によれば、面104の曲率は、面123の曲率半径よりも大きな曲率半径を画定する。結果として、シャトル110は、面104に適合せずに面104に対して駆動されることができ、それにより、さもなければ面104から離れるシャトル110の移動を妨げるであろう、それらの間の真空アタッチメントの生成を回避する。
【0077】
同様に、シリンダヘッド容量105は、エンドキャップ87の面104とエンドキャップ112の面124との間に、それらの間のシリンダボア86の一部分と共に画定される。したがって、シリンダヘッド105の容量は、シリンダボア86内のシャトル110の線形位置によって決定される。この場合も、面103の曲率は、面124の曲率半径よりも大きな曲率半径を画定する。結果として、シャトル110は、面104に適合せずに面104に対して駆動することができ、それにより、さもなければ面103から離れるシャトル110の移動を妨げるであろう、それらの間の真空アタッチメントを回避する。
【0078】
図9は、人工心臓80の斜視組立図を明らかにする。人工心臓80は、磁石スタックを形成するために一緒に接合された一対の回転運動磁石119および120と共に複数の線形運動磁石116、117、および118から製造されるシャトル110(図8に見られる)を含む。一対の血流チャネル121および122を画定するスリーブ111は、磁石116~120を受容する。一対のエンドキャップ112および113は、シャトル110を完成するように(図8に見られる)、磁石支持スリーブ111に取り付けられる。
【0079】
人工心臓80は、それを通るシリンダボア86を画定するシリンダ85をさらに含む。シャトル110は、シリンダボア86内に受容され、その後、エンドキャップ87および88は、シリンダ85の端部に固定されて、その閉端部構造を完成させ、シャトル110を捕捉する(図8に見られる)。シリンダ85は、出力部83および入力部82(図8に見られる)を受容する開口95および96をさらに画定する。図9には見られないが、図7を一時的に参照することによって、人工心臓80が、入力部81および出力部84をさらに含むことに留意されたい。したがって、シリンダ85は、入力部81および出力部84を収容する、その両側の開口95および96と同様の一対の開口をさらに画定することが理解されよう。図9に戻ると、線形運動コイル100Aおよび100Bは組み合わされて線形運動コイル100を形成し、これらは、開口95および96のいずれかの側で支持される。回転運動コイル101および102は、シリンダ85の端部に取り付けられている。一旦、人工心臓80の組み立てが完了すると、射出成形などのプロセスにおいて、生体適合性材料(図示せず)の外側保護カバーは、人工心臓80の外表面全体に形成される。
【0080】
記載されたデバイスのいくつかの態様では、シャトルとシリンダボアの間に厳密な公差または精密な適合が提供され、これにより、シャトルとシリンダボアの間のクリアランスギャップが最小限に抑えられる。シャトルは、シリンダボア内で横方向および回転方向の両方で自由に移動可能なままであり、シャトルおよびシリンダボアは、Oリング、ガスケット、弾性密封、ダイヤフラムなどの追加の密封装置を利用しないままである。代わりに、上で記載されたデバイスは、合成サファイアまたはジルコニアなどのセラミック材料からシャトルのシリンダおよび磁石サポートスリーブを製造する。加えて、シリンダボアと磁気支持スリーブの両方の精密機械加工は、磁石支持スリーブの外表面とシリンダボアの内面との間のクリアランスが2~3ミクロン(2.0~3.0μm)の間に維持されるように、非常に正確である。このクリアランスギャップは、血球の典型的なサイズよりも小さい。したがって、血液が心室補助デバイスおよび人工心臓内に送り込まれると、血球は、磁石支持スリーブの外表面とシリンダボアの内表面の間を移動しない。
【0081】
特に図9に戻り、シャトル外面とシリンダボアの間の精密な適合の上記の記載を考慮すると、シャトル110(図8に見られる)が完全に組み立てられ、磁石支持スリーブ111の外表面が精密に機械加工されると、シリンダ85のシリンダボア86もまた、磁石支持スリーブ111とシリンダボア86の間に上記の2.0~3.0ミクロンのクリアランスが存在するように精密に機械加工されていることが理解されるであろう。シャトル110(図8に見られる)がシリンダボア86内に受容されると、エンドキャップ87および88は、シリンダ85の端部に固定される。その後、上で記載された出力部および入力部は、シリンダ85に接合され、最後に、線形運動コイル100Aおよび100Bが回転運動コイル101および102と共にシリンダ85の外面に位置決めされ、適切な電気接続(図示せず)が行われる。組み立ては、生体適合性材料の上記の外側コーティングが人工心臓80の外側に成形されるか、さもなければ配置されて、構造全体を密封するときに完了する。
【0082】
動作中、人工心臓80は、線形運動コイル100Aおよび100Bが線形運動磁石115~118と相互作用するときに、線形運動コイル100Aおよび100Bの影響下で、シリンダボア86内で線形運動でシャトル110(図8に見られる)を移動するように動作する。同様に、シャトル110は、シャトル110の各端部で支持された回転磁石の各々の相互作用によって、以下に記載される様式で、その線形運動の各端部で回転運動を受ける。したがって、シャトル110が端部87に近づくと、シャトル110に支持された回転磁石119は、以下により詳細に記載されるシャトル110の回転運動を提供するために、回転運動コイル101と相互作用する。同様に、シャトル110がシリンダボア86内のエンドキャップ88に近づくと、回転磁石120は、以下に記載されるシャトル110の回転運動を誘発するために、回転運動コイル102と相互作用する。人工心臓130(図10に見られる)および人工心臓80の両方の動作サイクルを構成する線形移動および回転運動の動作移動は、以下の図11A~17Cにより詳細に明らかにされている。
【0083】
図10は、概して数字130によって参照される人工心臓の代替の実施形態の斜視組立図を明らかにする。人工心臓130は、人工心臓80で利用される回転運動コイルと協調磁石との組み合わせではなく、シャトル160の回転を提供するための永久磁石の協調対の人工心臓130内での利用に見られる違いがある、人工心臓80と実質的に同様である。しかしながら、他のすべての点において、人工心臓130の機能および動作は、人工心臓80と実質的に同じである。人工心臓130は、磁石スタックを形成するために一緒に接合された複数の線形運動磁石166、167、168、169および170から製造されるシャトル160を含む。シャトル160は、それぞれエンドキャップ162および163内に支持された一対の回転運動磁石119および120をさらに含む。一対の血流チャネル171および172を画定する磁石支持スリーブ161は、磁石166~170を受容する。エンドキャップ162および163は、シャトル160を完成させるために磁石支持スリーブ161に取り付けられている。回転磁石120は、エンドキャップ163の内面に形成された凹部165内に受容されている。図10には見られないが、エンドキャップ162がエンドキャップ163と同一であり、したがって、回転磁石119を受容する凹部165と同様の凹部を画定することが理解されよう。
【0084】
人工心臓130は、それを通るシリンダボア136を画定するシリンダ135をさらに含む。シャトル160は、シリンダボア136内に受容され、その後、エンドキャップ137および138は、シリンダ135の端部に固定されて、その閉端部構造を完成させ、シャトル160を捕捉する。シリンダ135はさらに、多岐管(図示せず)の出口および入口を受容する開口またはポート145および146を画定する。図10にも見られないが、図7を一時的に参照することによって、人工心臓80が、追加の入力部および追加の出力部をさらに含むことに留意されたい。したがって、シリンダ135が、追加の入力部および出力部を収容する、その両側の開口145および146と同様の一対の開口をさらに画定することが理解されよう。線形運動コイル150Aおよび150Bは、開口145および146のいずれかの側で支持される線形運動コイル150を形成するために、組み合わされる。エンドキャップ137および138は、シリンダボア136内のシャトル160を捕捉するために、シリンダ135の端部に接合されている。エンドキャップ138は、回転磁石140を受容する凹部139を画定することに留意されたい。図10には見られないが、エンドキャップ137がエンドキャップ138と同一であり、したがって、凹部139と同一の磁石受容凹部を画定することが理解されよう。したがって、回転磁石141は、端部137内に受容され、端部137内に支持されると理解される。一旦、人工心臓130の組み立てが完了すると、射出成形などのプロセスにおいて、生体適合性材料(図示せず)の外側保護カバーは、人工心臓130の外表面全体に形成される。
【0085】
動作中、人工心臓130は、線形運動コイル150Aおよび150Bが線形運動磁石166~170と相互作用するときに、線形運動コイル150Aおよび150Bの影響下で、シリンダボア136内で線形運動でシャトル160を移動するように動作する。同様に、シャトル160は、人工心臓130の各端部で支持された回転磁石の対の各々の相互作用によって、以下に説明する様式で、その線形運動の各端部で回転運動を受ける。したがって、シャトル160が端部137に近づくと、エンドキャップ162内のシャトル160に支持された回転磁石119は、以下により詳細に記載されるシャトル160の回転運動を提供するために、エンドキャップ137内に支持された回転磁石141と相互作用する。同様に、シャトル160がシリンダボア136内のエンドキャップ138に近づくと、エンドキャップ138内の回転磁石140は、以下に記載されるシャトル160の回転運動を誘発するために、エンドキャップ165内のシャトル160に支持された回転磁石120と相互作用する。人工心臓80(図9に見られる)および人工心臓130の両方の動作サイクルを構成する線形運動および回転運動の動作移動は、以下の図11A~17Cにより詳細に明らかにされている。
【0086】
図11Aは、図7の断面線11A、17A-11A、17Aに沿って取られた人工心臓80の断面図を明らかにする。図11Bは、図11Aの断面線11B-11Bに沿って取られた人工心臓80の断面図を明らかにする。図11Cは、図11Aの断面線11C-11Cに沿って取られた人工心臓80の断面図を明らかにする。図11Aは、人工心臓80の入力部81および82ならびに出力部83および84に対してシャトル110およびその中に形成された血流チャネル121および122の回転位置の図解を容易にする人工心臓80の端面図を明らかにする。図11Bの断面図は、シャトル110が入力部82および出力部83に関連してシリンダボア86内を移動するときの人工心臓80内の動作の例証を容易にする。最後に、図11Cの断面図は、シャトル110が入力部81および出力部84に対してシリンダボア86内を移動するときの人工心臓80内の作用の例証を容易にする。まとめると、図11A、11B、および11Cは、その動作サイクル中の特定の時点での人工心臓80の動作を示している。同様に、図12A~12C、13A~13C、14A~14C、15A~15C、16A~16C、および17A~17Cは、人工心臓80の動作サイクル内の他の点の例証を提供する。
【0087】
人工心臓80の動作は、以下に記載される動作サイクルが連続的に繰り返される連続動作であることが理解されるが、人工心臓80の動作は、動作サイクル内の選択された点の順序を調べることによって、より容易に理解され得ると考えられる。以下の説明のために選択された開始点および終了点だけでなく、動作サイクル内の選択された点は、純粋に任意であり、便宜上選択されている。
【0088】
したがって、図11A、11B、および11Cを同時に参照して、人工心臓80は、シャトル110が捕捉されるシリンダ85を含む簡略化された描写で示されている。シャトル110は、血流チャネル121および122を画定する。シリンダ85は、出力部83および84と共に入力部81および82を支持する。図11A~11Cに示される動作サイクルの時点で、シャトル110が回転して、血流チャネル121を入力部82と、および血流チャネル122を出力部83と整列させる。この動作点で、シャトル110は、右への線形運動を完了したばかりであり、シリンダ85の端部126に対して位置決めされている。この位置で終了する右への移動では、この移動中の血流チャネル121の入力部82との整列は、シリンダヘッド127を完全に充填するシリンダヘッドボリューム127への血流が引き起こされた。同時に、シャトル110による右への移動はまた、シリンダヘッド128内の血液量を完全に変位させ、したがって、シリンダヘッド128は、最小量を画定する。これは、人工心臓80の動作サイクルの選択された開始点または例証を画定する。この場合も、この出発点は便宜上選択されており、人工心臓80の動作は実質的に連続的であることが理解されよう。
【0089】
次の動作サイクルは、シャトル110が矢印89によって示される反時計回りの方向に回転され、人工心臓80に図12A~12Cに示される位置をとらせるときに開始される。シャトル110の回転は、血流チャネル121および122をそれぞれ出力部84および入力部81と整列させたことに留意することが重要である。シャトル110のこの回転位置が入力部82および出力部83を閉鎖したことに注意することも重要である(図13Bに最もよく見られる)。シャトル110が回転されると、矢印97によって示される左方向へのシャトル110の線形運動は、人工心臓80(図9に見られる)の線形運動コイルを作動させてシャトル110を左に移動させ、図13A~13Cに示される位置をとることによって開始される。
【0090】
図13A~13Cは、シャトル110が左に移動するときの人工心臓80の位置を図示している。シャトル110は、血流チャネル121および122がそれぞれ出力部84および入力部81と整列し、入力部82および出力部83が閉鎖されるように、回転的に位置付けられ続ける。図13Cに特に注意して、矢印97によって示される方向へのシャトル110の移動は、シリンダヘッド127内の血液量を変位させ、それを矢印98によって示される方向に血流チャネル121および出力部84を通って外向きに流す。同時に、シャトル110の矢印97によって示される方向への左への移動はまた、シリンダヘッド128の容量を増加させる。この増加した容量は、次に、入力部81および血流チャネル122がシリンダヘッド128を充填することを通して血液を引き込む。シリンダヘッド127からの血液量のこの同時変位およびシリンダヘッド128内の他の血液量の補充は、人工心臓80のポンピング作用の複動特性の結果である。シャトル110の左側への移動は、シャトル110がシリンダ85の端部125に到達するまで続き、その時点で、人工心臓80は、図14A~14Cに示される位置をとる。
【0091】
図14A~14Cは、シャトル110がシリンダ85の端部127に対してその最も左位置に到達したときの人工心臓80の動作サイクルの時点を示している。この時点で、シリンダヘッド127は、最小量にあり、他方、シリンダヘッド128は、最大血液量を保持する。人工心臓80の動作サイクルは、シャトル110が回転する間続く。矢印109で示される方向における時計回り、図15A~15Cに示される位置まで。
【0092】
図15A~15Cは、シャトル110がその最大左位置に到達し、矢印109によって示される方向において図15Aに示される位置に回転された、人工心臓80の動作サイクルにおける点を示す。シャトル110の回転位置は、入力部81および出力部84が閉鎖されている間、血流チャネル121および122を、それぞれ入力部82および出力部83とここで整列させることに留意することが重要である。人工心臓80の動作サイクルは、線形運動コイル(図9に見られる)が再びエネルギー供給されてシャトル110が矢印107によって示される方向で右に移動する間続く。シャトル110が矢印107によって示される方向に移動すると、人工心臓80は、図16A~16Cに示される位置に移動する。
【0093】
図16A~16Cは、シャトル110が矢印107によって示される方向に移動し続けるときの人工心臓80の動作サイクルを明らかにする。血流チャネル121が入力部82と整列されている場合、この移動は、入力部82および血流チャネル121を通じて血液を吸引するシリンダヘッド127の容量を、シリンダヘッド127を充填する、矢印132によって示される方向に増加させる。同時に、シャトル110のこの移動およびこの移動中の血流チャネル122の整列は、シリンダヘッド128内の血液量を変位させ、血液を血流チャネル122および出力部83を通って矢印131によって示される方向に外向きに流す。図16Cに最もよく見られるように、シャトル110の回転位置は、入力部81および出力部84を閉鎖された状態に維持することに留意されたい。シャトル110がシリンダ85の端部126に到達し、人工心臓80が図17A~17Cに示される位置をとるまで、シャトル110が矢印107によって示される方向に移動し続ける間、矢印132および131の方向の血流が続く。
【0094】
図17A~17Cは、シャトル110がその最も右の位置に到達するときの人工心臓80の記載された動作サイクルの終点を明らかにする。この位置で、シリンダヘッド127は、最大血液量を保持し、他方、シリンダヘッド128は、最小血液量を保持する。図17A~17Cに示される人工心臓80の位置は、図11A~11Cに示される位置に対応することが認識されよう。したがって、人工心臓80は、動作サイクルを完了し、前述の記載および図面で利用された選択された開始点に戻った。人工心臓80の動作は、上で記載された順序が繰り返される間続く。
【0095】
人工心臓80について記載された前述の動作は、人工心臓130によって形成された動作と同じ動作であることが理解されよう。したがって、人工心臓80について上で明らかにされる記載および図解は、人工心臓130に等しい力で適用されると理解されるであろう。
【0096】
図18は、例示的な人間の心臓および肺の描写に関連して位置決めされた人工心臓80を示す機能図を明らかにする。図18は、この協働の単なる代表であり、人工心臓80が埋め込まれるときに利用される個々の連結部の詳細な描写ではないことが理解されよう。加えて、図18に示される図は、人工心臓130の使用の等しい代表であることがさらに理解されよう。
【0097】
図19は、ポンプ内のシャトルの往復運動に対応するために必要な流れの反転を提供するために外部弁が利用される、概して番号180によって参照されるさらなる代替の実施形態を明らかにする。ポンプ180は、そこの外面に巻かれた一組の線形モーターコイル183を有するシリンダ181を利用する。ボア179内で、複数の永久磁石を支持するシャトル182は、矢印188および189によって示される方向に線形的に移動可能である。一対の連結管191および192は、シリンダ181の対向端から延在し、四方弁190に接続されている。四方弁190は、実線の描写で示されるように位置決めされ得るか、または代替的に破線の接続部195および196によって示されるように、代替の位置に切り替えられ得る一対の連結通路193および194を含む。四方弁190の出力部は、矢印187によって示される方向に材料を流すことが企図された出力部185に接続されている。四方弁190の入力部は、矢印186によって示される方向に材料を流すことが企図された入力管184に接続されている。
【0098】
動作中、示されている実線の連結部193および194に従って位置決めされた四方弁190で、線形モーターコイル183は、矢印188によって示される方向にシャトル182を駆動するようにエネルギー供給される。シャトル182のこの移動は、容量177内の材料を変位させ、材料を、シリンダ181から通路193を通って四方弁190に外向きに、および連結部185を通って矢印187によって示される方向に外向きに流す。同時に、矢印188によって示される方向へのシャトル182の移動は、材料を、容量178内の閉じ込められた容量内に内側に引き込む。この流れは、四方弁190の入力部192および連結部194を通して材料を引き込む。これは次に、矢印86によって示される方向に接続管184を通して材料を引き込む。
【0099】
シャトル182が矢印188によって示される方向にその移動の終わりに達するとき、コイル183の励起は、矢印189によって示される方向にシャトル182を駆動するように逆転される。同時に、四方弁190は、破線の連結部195および196として示される位置に切り替えられる。シャトル182が矢印189によって示される方向に移動する場合、それは、容量178内の材料容量を変位させ、連結部192を通してそれを外向きに駆動する。連結部182を通る材料の流れは、破線の四方弁連結部196によって出力部185に伝達され、矢印187によって示される方向に外向きの流れを引き起こす。加えて、矢印189によって示される方向へのシャトル182の移動は、連結部191を通じて材料を容量177に引き込む。四方弁190の破線の連結部195は、連結部191を入力部184に接続し、材料が矢印186によって示される方向に引き出されるようにする。この動作は、シャトル182がシリンダボア179内で往復運動し、四方弁190がそれに同期して切り替えられる場合に続く。
【0100】
方法
心室補助デバイスを使用して血液をポンプする
レシピエントに血液をポンプする方法がまた、本明細書に記載されている。方法は、概して、ハウジング内に包含されたシャトルを、血液をハウジングの中へおよび外へ同時に移動するように線形的に往復運動させることであって、ハウジングが、複数のポートを備える、往復運動させることと、複数のポートの中へおよび外への血液の移動を選択的に方向付けるように、シャトルを回転させることと、を含む。シャトルは、概して、医師によって事前設定され、次いで、レシピエントの1つ以上の検出されたパラメータに関するフィードバックに基づいて調整され得るポンピングサイクルに従って往復運動する。このようなパラメータは、心拍数もしくは血圧などの兆候、または息切れまたは立ちくらみなどの症状を含み得る。ハウジングは、レシピエント内に埋め込まれるか、または適切な血管系および/または心腔に到達するために皮膚を横断する接続を備えたレシピエントの外側に存在し得る。
【0101】
ハウジングが埋め込まれるとき、複数のポートの第1のポートは、レシピエントの大動脈に連結され得、複数のポートの第2のポートは、レシピエントの左心室に連結され得る。連結のこの構成は、デバイスが心室補助デバイスであるときに有用であり得る。
【0102】
一実施形態では、心室補助デバイスは、各シャトルストロークまたは往復運動(単動往復運動)で、血液をポンプする、または血液で充填するように働く。ここで、シャトルの単一のチャネルは、入力ポートである第1のポートと整列され得、その結果、出力ポートである第2のポートの閉塞をもたらす。次いで、シャトルの線形運動は、血液が左心室から入力ポートを通り、ハウジングに移動させる。シャトルがそのストロークを完了させた後、次いで、それは、チャネルを出力ポートと整列するように回転されて、入力ポートを閉鎖する。次いで、シャトルの線形運動は、血液がハウジングから出力ポートを通り、大動脈に移動させ、ポンピングサイクルが完了する。次いで、サイクルは、レシピエントにおける血液循環を支援するために、繰り返される。
【0103】
例えば、図2A~2Cおよび図3A~3Cを参照すると、心室補助デバイス10は、シャトル26が回転してチャネル27を入力部14と整列するときに開始される、ポンプサイクルの開始時が示されている。結果として、出力部15は、シャトル26のこの回転位置によって同時に遮断される。
【0104】
図2Bを参照すると、シャトル26は、シャトル26がその左側の位置にあり、シャトル26の面36がシリンダ24の端部34に近接している、ポンプサイクルの開始時が示されている。この時点で、シリンダヘッド28の容量は、最小であり、ほぼゼロである。ポンプストロークは、シャトル26が矢印29によって示される方向にシリンダ24の端部35に向かって右に駆動されると、開始する。矢印29によって示される方向へのシャトル26の移動は、シリンダヘッド28内の容量を増加させ、次に、矢印30によって示される方向に、入力部14からチャネル27に血液を引き込む。矢印29によって示される方向へのシャトルの移動が続くと、シリンダヘッド28の容量は、シリンダヘッド28への追加の血液を引き込むことをさらに増加し、シャトル26が図2Cに示されるその右端の位置に達するまでシリンダヘッド28に血液を充填する。
【0105】
さらに、図2Cは、シャトル26が完全に右に移動し、シャトル26の面37がシリンダ24の端部35に対して対向する点での心室補助デバイス10を示している。この時点で、最大量の血液が、シリンダヘッド28内に閉じ込められている。次いで、シャトル26は、図2Aに示される位置から図3Aに示される位置に回転される。
【0106】
図3Aは、図1の断面線2A、3Aー2A、3Aに沿って取られた心室補助デバイス10の断面図を明らかにする。図3Aは、シャトル26が回転してチャネル27を出力部15と整列する、ポンプサイクルの中間点での心室補助デバイス10を明らかにする。結果として、出力部15は、シャトル26のチャネル27と整列され、入力部14は、シャトル26のこの回転位置によって同時に遮断される。
【0107】
図3Bは、シャトル26の面36がシリンダ24の端部34から最も遠い、その正しい位置にあるシャトル26を示している。この時点で、シリンダヘッド28の容量は、その最大となっている。ポンプストロークは、シャトル26が矢印32によって示される方向にシリンダ24の端部34に向かって左に駆動されると、続く。矢印32によって示される方向へのシャトル26の移動は、シリンダヘッド28内の容量を変位させ、次に、矢印33によって示される方向で、血液をチャネル27に、および出力部15を通して外向きに駆動する。矢印32によって示される方向へのシャトルの移動が続くと、シリンダヘッド28内の血液量は、さらに変位し、シャトル26が図3Cに示されるその左端の位置に達するまでシリンダヘッド28から追加の血液を強制する。
【0108】
図3Cは、シャトル26が完全に左に移動し、シャトル26の面36がシリンダ24の端部34に対して対向する点での心室補助デバイス10を示している。この時点で、シリンダヘッド28内に閉じ込められた血液量血液量は、出力部15を通じて外側に変位している。次いで、シャトル26は、図3Aに示される位置から図2Aに示される位置に回転して戻され、その時点で、ポンプサイクルは、完了し、上で描記された順序で繰り返される。
【0109】
上で記載された動作の順序は、心室補助デバイス10が、単動ポンピング動作を利用して、単純で製造が容易な心室補助デバイスを提供するために実行するときに、反復的基準で繰り越され得る。このポンピング動作は、シャトル26が右に移動するたびに血流チャネル27が入力部14と整列するように回転し(矢印29)、シャトル26が左に移動するたびに出力15と整列するように回転する(矢印32)ときに繰り越され得る。シリンダヘッド28は、シャトル26が右に移動するたびに血液量で充填され、その後、シャトル26が左に移動するたびに、血液量が出力部15を通じて変位する。
【0110】
別の実施形態では、心室補助デバイスは、各シャトルストロークまたは往復運動(複動往復運動)で、血液をポンプし、血液で充填するように働く。この実施形態では、シャトルは、3つのチャネルを含む。チャネルをポートと整列し、それを介した流体の連絡を可能にする、またはチャンバ(シリンダヘッド65および66)への血液の遮断を可能にする、シャトルの線形および回転運動は、図4A~4Cおよび図5A~5Cを参照することによって詳細に記載されている。
【0111】
図8、9および10を一時的に参照すると、心室補助デバイス50はまた、シャトルの内面に配置された永久磁石と共にシリンダを取り囲む複数の線形モーターコイルによって線形運動で駆動されることが分かるであろう。加えて、以下に記載される動作中のシャトルの回転は、同じくシリンダ上に配置された追加の回転駆動コイルか、または代替的にシャトル上に配置された永久磁石の協調セットおよびシリンダのエンドキャップのいずれかによって誘発されることも同様に明らかである。いずれにしても、以下の記載では、そのようなシステムが動作しており、それらの機能が以下に記載される様式で行われると想定されることが理解される。
【0112】
図4A~4Cおよび図5A~5Cに戻り、同時にそれを参照すると、心室補助デバイス50は、それを通るシリンダボア52を画定するシリンダ51を含む。シリンダ51は、閉鎖端58および59をさらに画定する。シリンダ51はまた、入力カプラ53および出力カプラ54を支持し、これらは両方ともシリンダボア52の内面と連絡している。シャトル55は、概して円筒形であり、その中で自由に移動可能であるように、シリンダボア52内に正確に取り付けられている。シャトル55はさらに、面56および面57を画定する。シリンダヘッド65は、シャトル55の閉鎖端58および面56によってそれらの間のシリンダボア52の一部分と一緒に閉じ込められたシリンダボア52内の容量を備える。第2のシリンダヘッド66は、シャトル55の閉鎖端59および面57によってそれらの間のシリンダボア52の一部分と一緒に閉じ込められたシリンダボア52内の容量を備える。シャトル26はまた、複数の血流チャネル60、61および62を画定する。血流チャネル60は、面57で開放され、面56で閉鎖されている。血流チャネル61は、シャトル55の面57で閉鎖され、面56で開放されている。最後に、血流チャネル62は、面57で開放され、面56で閉鎖さている。
【0113】
動作中、図4Aは、心室補助デバイスの断面図を明らかにする 図4Aは、シャトル55がシリンダ51内でその左位置にあり、シャトル55が回転して、血流チャネル61を入力部53と整列し、血流チャネル60を出力部54と整列するときに開始されるポンプストロークに対応するように選択される、ポンプサイクルの開始時の心室補助デバイス50を明らかにする。結果として、血流チャネル62は、シャトル55のこの回転位置によって同時に遮断される。例示的なポンプサイクルを開始するための初期点として選択された心室補助デバイス50の動作サイクルにおける特定の点は、便宜上選択されている。心室補助デバイス50の動作サイクルの任意の点はまた、ポンプサイクルを説明するための開始点として役立つことができる。
【0114】
図4Bは、シャトル55がその左側の位置にあり、シャトル55の面56がシリンダ51の端部58に近接している、例示的なポンプサイクルの開始時のシャトル55を示している。この時点で、シリンダヘッド65の容量は、最小であり、ほぼゼロである。同時に、シャトル55の左側および位置は、シャトル55の面57をシリンダ51の端部59から距離を置く。結果として、シリンダヘッド66は、最大量を画定する。
【0115】
心室補助デバイス50の複動特性に従って、シャトル55がシリンダボア52内を移動するときに、シャトル55の両側のシリンダヘッド容量65および66の容量が反対に変化することに留意されたい。同時に、シャトル55が移動すると、一方のシリンダヘッドは、容量が増加し、他方、他のシリンダヘッドは、容量が減少する。シリンダヘッドに出入りする血流の適切な方向は、シャトル55がシャトル55の各左から右および右から左の線形運動の間で回転するときに、適切な血流チャネルを入力部および出力部と整列することによって指示される。これは、シャトル55の各ストロークが、入力部を通じて反対側のシリンダヘッドに大量の血液を引き込むと同時に、出力部を通じて一方のシリンダヘッドの血液量を同時に変位させるので、心室補助デバイス50の複動動作を容易にする。
【0116】
ポンプストロークは、シャトル55が矢印63によって示される方向にシリンダ51の端部59に向かって右に駆動されると、開始する。矢印63によって示される方向へのシャトル55の移動は、シリンダヘッド65内の容量を増加させ、次に、矢印67によって示される方向に、入力部53からチャネル61に血液を引き込む。矢印63によって示される方向へのシャトルの移動が続くと、シリンダヘッド65の容量は、シリンダヘッド65への追加の血液を引き込むことをさらに増加し、シャトル55が図4Cに示されるその右端の位置に達するまでシリンダヘッド65に血液を充填する。同時に、シャトル55が、矢印63によって示される方向に、シリンダ51の端部59に向かって右に駆動されると、シャトル55の移動は、シリンダヘッド66内の容量を変位させ、次に、血液は、矢印64によって示される方向にチャネル60を通って流れるように強制される。矢印63によって示される方向へのシャトルの移動が続くと、シリンダヘッド66の容量は、さらに変位し、出力部54を通って矢印64によって示される方向への継続的な血流を引き起こす。
【0117】
図4Cは、シャトル55が完全に右に移動し、シャトル55の面57がシリンダ51の端部59に対して対向する点での心室補助デバイス50を示している。この時点で、最大量の血液は、シリンダヘッド65内に閉じ込められ、最小量の血液は、シリンダヘッド66内に閉じ込められている。次いで、シャトル55は、図4Aに示される位置から図5Aに示される位置に回転される。
【0118】
図5Aは、シャトル55が矢印70によって示される方向に回転してチャネル61を出力部54と整列し、血流チャネル62を入力部53と整列するポンプサイクルの中点における心室補助デバイス50の断面図を明らかにする。結果として、出力部54は、シャトル55のチャネル61と整列され、他方、血流チャネル62は、入力部53と整列される。血流チャネル60は、シャトル55のこの回転位置によって同時に遮断される。
【0119】
図5Bは、シャトル55の面56がシリンダ51の端部58から最も遠く、面57がシリンダ51の端部59に最も近い、その正しい位置にあるシャトル55を示している。この時点で、シリンダヘッド65の容量は、最大であり、他方、シリンダヘッド66の容量は、最小である。ポンプストロークは、シャトル55が矢印71によって示される方向にシリンダ51の端部58に向かって左に駆動されると、続く。矢印71によって示される方向へのシャトル55の移動は、シリンダヘッド65内の容量を変位させ、次に、矢印72によって示される方向に、血液をチャネル61に、および出力部54を通して外向きに駆動する。シャトル55のこの移動はまた、矢印73によって示される方向に、入力部53を通ってチャネル62に血液を引き込む、シリンダヘッド66の容量を増加させる。矢印71によって示される方向への左方向のシャトルの移動が続くと、シリンダヘッド65内の血液量は、さらに変位し、シリンダヘッド65から追加の血液を強制し、他方、血液は、シャトル55が図5Cに示されるその左端の位置に達するまで、シリンダヘッド66を充填するチャネル62に引き込まれ続ける。
【0120】
図5Cは、シャトル55が完全に左に移動し、シャトル55の面56がシリンダ51の端部58に対して対向する点での心室補助デバイス50を示している。この時点で、シリンダヘッド65内に閉じ込められた血液量血液量は、出力部54を通じて外側に変位し、新しい血液量は、シリンダヘッド66内に閉じ込められている。次いで、シャトル55は、図5Aに示される位置から図4Aに示される位置に回転して戻され、その時点で、ポンプサイクルは、完了し、上で描記された順序で繰り返される。
【0121】
したがって、上で記載された動作の順序は、心室補助デバイス50が、複動ポンピング動作を利用して、コンパクトで高効率の心室補助デバイスを提供するように実行するときに、反復的基準で繰り越される。このポンピング動作は、シャトル55が右に移動するたびに、血流チャネル61が入力部53と整列するように回転し、血流チャネル60が出力部54と整列するように回転し(矢印63)、他方、シャトル55が左に移動するたびに、血液低チャネル61が出力部54と整列するように回転し、血流チャネル62が入力部53と整列するように回転する(矢印71)ときに繰り越される。シリンダヘッド65は、血液量で充填され、シリンダヘッド66内の血液量は、シャトル55が右に移動するたびに変位される。逆に、シリンダヘッド66は、血液量で充填され、シリンダヘッド65内の血液量は、シャトル55が左に移動するたびに変位される。
【0122】
概して、シャトルへの血液の移動は、シャトルからの血液の移動と同時であり得る。この血液の移動は、心室補助デバイスが採用されているときのレシピエントの洞調律に一致し得るポンピングサイクルによって生成され得、その後、血圧を高くする、または低くする必要がある場合、または別のパラメータ(例えば、酸素レベルもしは溶存二酸化炭素レベル)が示す場合、調整が必要であるように調整される。パラメータは、例えば、レシピエントの本来の心臓または脳から(例えば、洞房結節を介して)信号を受信するレシピエントの本来の心臓に取り付けられた電極を使用して検出され得、次いで、これらは、心室補助デバイスのポンピングサイクルを調節するために使用される。調節は、本来の心臓が静止しているもしくは拡張期にある場合、または心周期の特定の段階でポンプする場合、心室補助デバイスを作動させてポンプすることが含まれ得る。
【0123】
人工心臓を使用して血液をポンプする
ハウジングが人工心臓の一部であるとき、埋め込むことは、複数のポートの第1のポートをレシピエントの大動脈に連結することと、複数のポートの第2のポートをレシピエントの肺動脈に連結することと、複数のポートの第3のポートをレシピエントの下大静脈および上大静脈に連結することと、複数のポートの第4のポートをレシピエントの肺静脈に連結することと、を含み得る。
【0124】
一般に、シャトルへの血液の移動は、シャトルからの血液の移動と同時である。この血液の移動は、医師によって設定されたパラメータに基づいて事前に決定され、血圧を高くする、または低くする必要がある場合に、必要に応じて調整され得る、ポンピングサイクルによって生成される。いくつかの実施形態では、ポンピングサイクル(または他のサイクルパラメータ)の速度は、レシピエントの血圧に基づいて、自動的に調整され得る。例えば、コントローラは、ポンピングデバイスと関連付けられた圧力センサーからのフィードバックに基づいて、ポンピングサイクルの速度を自動的に調整し得る。代替的または追加的に、ポンピングサイクルの速度は、レシピエントまたは医師によって手動で調整され得る。血圧の維持または変更に加えて、人工心臓は、血液酸素濃度計またはパルス酸素濃度計の使用、または二酸化炭素センサーでの溶存二酸化炭素の測定を通じて、血液中の酸素レベルに応答し得る。
【0125】
さらに、心不全を治療するための方法が、本明細書に記載されている。この方法は、概して、レシピエントにハウジングを埋め込むことを含む。ハウジングは、血液をハウジングの中へおよび外へ同時に移動するために、線形的に往復運動するシャトルを含み得る。さらに、シャトルは、ハウジングの中へおよび外へ血液の流れを方向付けるように、回転され得る。シャトルの線形往復運動と回転は、典型的には、ポンピングサイクルを生成する。
【0126】
心不全は、心室補助デバイスまたは人工心臓のいずれかを埋め込むことによって治療され得る。上記と同じ様式では、ポンピングサイクル(または他のサイクルパラメータ)の速度は、レシピエントの血圧に基づいて、自動的に調整され得る。例えば、コントローラは、ポンピングデバイスと関連付けられた圧力センサーからのフィードバックに基づいて、ポンピングサイクルの速度を自動的に調整し得る。代替的または追加的に、ポンピングサイクルの速度は、レシピエントまたは医師によって手動で調整され得る。治療され得る心不全の種類は、左側心不全、右側心不全、両心室性心不全、心筋症、または感染症に起因する心不全を含む。
【0127】
前述の記載は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の命名法が使用された。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の記載は、例示および記載の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することが企図されるものではなく、明らかに、上記の教示を考慮すると、多くの修正および変形例が可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を説明するために選択および記載され、それにより、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明および様々な実施形態を利用することを可能にする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C