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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】シールド付挿管ガイドおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/04 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021576822
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 AU2020050639
(87)【国際公開番号】W WO2020257851
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2019902197
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521561499
【氏名又は名称】エアウェイ メディカル イノベーションズ エス.エル.
【氏名又は名称原語表記】AIRWAY MEDICAL INNOVATIONS S.L.
【住所又は居所原語表記】Calle de Serrano Galvache, 34 PISO 3 B 28033 Madrid, Spain
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】アロンソ ババッロ フリオ ミゲル
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/000031(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0059710(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0197876(US,A1)
【文献】国際公開第2017/068221(WO,A1)
【文献】米国特許第04848331(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283344(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管内挿管手順用のシールド付挿管ガイドであって、
a)近位開口と遠位開口との間に延びた通路であって、挿管装置の喉頭鏡ブレードであるブレード部を受け入れるように前記通路が構成されており、前記近位開口が対象者の口の近くに配置されると共に前記遠位開口が対象者の気道に配置されるように前記シールド付挿管ガイドが対象者の前記口に挿入されるように構成された、通路を画定する細長い本体と、
b)前記近位開口の周りにあり、前記本体から外向きに延びているフランジを含み、使用中において前記フランジが前記近位開口を取り囲み、対象者の前記口の外側覆い、それにより対象者の前記口からの放出物を実質的に低減するように構成され、前記フランジが使用中において対象者の顔の周りを部分的に包み込むように湾曲している対向した側方フランジ部を含むシールドとを含み、
i)前記挿管装置の前記ブレード部を前記シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入することと、
ii)前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の喉頭に近接して配置することと、
iii)気管内チューブを、前記通路を通じ前記挿管装置のブレード部に沿って対象者の気管に前進させることとによって、前記挿管装置および前記シールド付挿管ガイドを使用して、対象者の気管内挿管が行われることを可能にするように構成されていることを特徴とする、シールド付挿管ガイド。
【請求項2】
前記シールドが、
a)液体と、
b)液滴と、
c)エアロゾルと、
d)光誘導気管内挿管手順中に前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接した光源から放出される光とのうち1つ以上である、対象者の前記口からの放出物を実質的に低減するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項3】
前記フランジが使用中において対象者の鼻に沿うための凹部を有する上縁を含んでいることを特徴とする、請求項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項4】
前記フランジは、対象者の前記口に当接することによって前記シールド付挿管ガイドの過剰挿入を防止し、前記近位開口が前記口の外側に位置したままになるよう構成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項5】
前記近位開口が、前記フランジから近位にずれて配置されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項6】
前記通路に沿っておよび前記シールドの区画に沿って破断されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項7】
前記シールド付挿管ガイドの前記本体が前記通路の側面に沿って、かつ前記シールドの区画に沿って長手方向に延びている破断線を含んでおり、それによって、前記シールド付挿管ガイドが前記破断線によって破断されることを特徴とする、請求項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項8】
前記破断線が前記シールド付挿管ガイドの中心面に沿って画定されていることを特徴とする、請求項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項9】
切断マークを含んでおり、前記切断マークにしたがって、前記通路に沿って、かつ前記シールドの区画に沿って切断されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項10】
可撓性材料から形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項11】
前記ブレード部を受け入れるときに拡張するように構成されていることを特徴とする、請求項10に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項12】
前記本体の少なくとも1つの壁が拡張可能な領域を含んでいることを特徴とする、請求項11に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項13】
前記拡張可能な領域が、
a)前記通路に沿って少なくとも部分的に前記遠位開口から長手方向に延びて、前記本体が円周方向に拡張することを可能にすることと、
b)前記本体の周りに円周方向に延びて、前記本体が長手方向に拡張することを可能にすることとのうち少なくとも1つであることを特徴とする、請求項12に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項14】
前記本体が湾曲していることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項15】
前記近位開口を覆うシールを含み、前記シールが、通常、前記近位開口をシールするために閉位置にあり、前記挿管装置のブレード部が前記通路を通じて挿入されるとき、開位置に移動可能であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項16】
前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を通じて取り外されたとき、前記シールが前記閉位置に向かって戻るように、前記シールが前記閉位置に向かって付勢されていることを特徴とする、請求項15に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項17】
使用中において、前記シールが前記挿管装置の前記ブレード部および使用中の前記気管内チューブの少なくとも1つを取り囲む部分的なシールを形成しているように構成されていることを特徴とする、請求項16に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項18】
前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路に挿入されていないとき、前記近位開口を閉じるための取り外し可能なキャップを含んでいることを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項19】
前記キャップが前記近位開口を覆うためのシールを含んでおり、前記シールが通常、前記近位開口を密封するために前記閉位置にあり、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を通じて挿入されたとき、前記シールが開位置に移動可能であることを特徴とする、請求項18に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項20】
前記シールド付挿管ガイドが、使用中において、
a)対象者の舌を保持することと、
b)舌を押し下げることとのうちの少なくとも1つを行うように構成されていることを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項21】
気管内挿管が行われる前に、標準的な換気マスクおよび人工呼吸器を使用して対象者の換気を可能にするよう、標準的な換気マスクの下に適合するように構成されていることを特徴とする、請求項1~20のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項22】
前記挿管装置の前記ブレード部が前記シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入後、前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接した光源から光が放出される光誘導気管内挿管手順用に前記シールド付挿管装置が構成されていると共に、光源から放出された光が対象者の前記口から漏れるのを実質的に防止するように前記シールドが構成されていることを特徴とする、請求項1~21のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項23】
a)前記シールドが不透明な素材で形成されていることと、
b)前記シールド付挿管ガイド全体が不透明な材料で形成されていることとのうち少なくともいずれか1つであることを特徴とする、請求項22に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項24】
a)前記シールドが、
i)液体と、
ii)液滴と、
iii)エアロゾルとのうち1つ以上である、対象者の前記口からの放出物を実質的に低減するように構成されており、
b)透明な材料から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項25】
前記シールドが、対象者の顔と係合して対象者の前記口の周りにシールを形成するように構成されたリムを含んでいることを特徴とする、請求項1~24のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項26】
前記挿管ガイドが対象者の前記口に挿入されるとき、
前記遠位開口が、
a)対象者の口腔、
b)対象者の咽頭、
かつc)対象者の舌と口蓋の間のいずれか1つに配置されるような長さを前記本体が有していることを特徴とする、請求項1~25のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項27】
前記シールド付挿管ガイドが、対象者の口腔へのアクセスを容易にするために、前記シールドを通じて延びた少なくとも1つの追加の開口を含んでいることを特徴とする、請求項1~26のいずれか1項に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項28】
前記シールドを通じて延びた少なくとも1つの吸引ポートを含んでいることを特徴とする、請求項27に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項29】
前記シールドを通じて延びた少なくとも1つの排液導管を含んでいることを特徴とする、請求項27または28に記載のシールド付挿管ガイド。
【請求項30】
気管内挿管手順用の光シールド付挿管ガイドであって、
a)近位開口と遠位開口との間に延びた通路であって、挿管装置のブレード部を受け入れるように構成されている通路を画定する細長い本体と、
b)前記近位開口近くの光シールドとを含み、
前記近位開口が対象者の口の近くに配置されると共に前記遠位開口が対象者の気道に配置され、
i)前記挿管装置の前記ブレード部を前記光シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入することと、
ii)前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接する光源から光を放出させ、前記光シールドが、前記光源から放出される光が対象者の前記口から漏れるのを実質的に防止するように構成されていることを特徴としていることと、
iii)前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の前記喉頭に近接して配置することと、
iv)気管内チューブを、前記通路を通じて前記挿管装置の前記ブレード部に沿って対象者の気管に前進させることとによって、対象者の光誘導気管内挿管が前記挿管装置および前記光シールド付挿管ガイドを使用して行われることを可能とするように、前記光シールド付挿管ガイドが対象者の前記口への挿入のために構成されていることを特徴とする、光シールド付挿管ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド付挿管ガイドおよび気管内挿管手順用の方法、特に、手順中に、対象者の口からの放出物を実質的に低減しながら、対象者の気管内挿管を可能にするように適合されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
気管内挿管は、医療専門家が、柔軟なプラスチック製の導管、気管内チューブを、一般的には口から気管に導入する手順である。これにより、緊急時に呼吸能力が病気や怪我によって損なわれたり、手術中に薬剤性の衰弱によって妨げられたりした場合に必要とされる人工呼吸が可能になる。これは普遍的な手順であり、世界中で同じ方法で行われる。
【0003】
毎日、多様な専門家、特に麻酔専門医、集中治療専門医、救急医、病院の前段階の医療従事者および医療補助者によって、何千もの挿管が行われている。しかし、気管内挿管はリスクの高い手順であり、死亡または障害につながる可能性があるため、かなりのスキルが必要であり、場合によっては達成できないことがある。高度な訓練を受けた専門家でさえ、それはしばしば困難であり、時には失敗する。この困難な手順を容易にし、より良い成功率を確保することを目的として、新しい専門機器および高度な技術が絶えず開発されている。
【0004】
オペレーターの目的は、気管内チューブを、口、咽頭、および喉頭に通じて気管に入れることである。中咽頭の通路は湾曲して狭く、喉頭および食道の両方の入口で終わる。患者が仰臥位にあるとき、舌は咽頭に戻る傾向があり、喉頭の入口は患者の特定の解剖学的構造のため、その位置で変化する可能性があり、喉頭蓋は喉頭の入口の上にあり、通常は声門開口部を露出させるために移動させる必要がある。
【0005】
オペレーターは、喉頭の入口の声帯、患者の仰臥位での横方向の視界における喉頭の入口の上の喉頭蓋、およびこの視界のすべての先の構造の下にある食道を識別する必要がある。この手順には、並外れたスキルが必要である。気管内チューブは食道に向かう経路をたどりやすく、喉頭の良好な視界を得るのは困難な場合が多く、良好な視界でも気管内チューブの導入が困難な場合がある。手順を正常に完了するのが遅れると、深刻な合併症となり、致命的となる可能性がある。
【0006】
これらすべての解剖学的構造を介して気管内に気管内チューブを挿入することは、気管内挿管と呼ばれ、通常、ハンドルとブレードを備えた喉頭鏡と呼ばれる器具の使用を必要とする。患者の年齢やサイズ、様々な手順のオプションなど、様々な要因に応じて、異なる形状のブレードを使用されてもよい。喉頭鏡のブレードは一般に湾曲または直線に分類されるが、湾曲したブレードと直線のブレードの多くのスタイルが市販されている。一部のスタイルのブレードは喉頭蓋の前方に配置されるように設計されており、他のスタイルは喉頭蓋の後方に配置されるように設計されているため、手順中にわずかに異なる動きが生じる。ブレードの先端に光源を設けて、その向こうの領域を照らすことができる。光源はハンドル内の電池で駆動されてもよい。
【0007】
気管内挿管中、一般的に患者を仰向けに寝かせた状態で、オペレーターは患者の頭頂部に立って、喉頭鏡のブレードを口から咽頭に導入し、喉頭の入口を露出させて、舌や喉頭蓋などの解剖学的構造を扱う(特定の患者とブレードのタイプに応じて)。次に、直接視覚化して、オペレーターは気管内チューブの先端を喉頭に挿入し、気管内に前進させる。従来の普遍的な手順では、オペレーターは通常、左手を使用して喉頭鏡をハンドルで保持してブレードを配置し、右手を使用して気管内チューブを慎重に導入し、喉頭鏡ブレードに沿って視覚化された気管に押し込む。
【0008】
多くの場合、解剖学的な変化と課題のために、そして適切な技術にもかかわらず、直接の視覚化は困難である。これらのほとんどの場合、解剖学的構造のいくつかを扱うことにより、適切な視覚化を得ることができる。残念ながら、従来の喉頭鏡と従来の手順では、オペレーターは両手を利用しており、手動で気管内チューブを導入するために使用されている手は、手順を容易にするために解剖学的構造を扱うことには使用できない。さらに、2番目のオペレーターは喉頭の入口へ直接視覚的にアクセスしてこれらの組織を扱うことができず、また、最初のオペレーターの視界に干渉する。最初のオペレーターが視界を得る開口は非常に制限されており、挿管手順を行うオペレーターは通常最適な表示位置にいる。ビデオ喉頭鏡は、直視の必要性をなくすために利用できるが、これらは通常、従来の喉頭鏡よりもかさばり、依然としてオペレーターの両手を占有する。
【0009】
手順自体の難しさの程度と、潜在的な合併症の深刻さのために、この手順は高度なスキルを持つ専門家によってのみ行われる。この困難と深刻な合併症のリスクはまた、手順とそれを行うために使用される器具が、何十年もの間本質的に変わらないままであることを意味している。気管内挿管を行う医師やその他の専門家は、困難とリスクを考えると、新しい装置を使用したり、これまでの方法を変更したりすることを望んでいない。したがって、新しい挿管装置は、従来の喉頭鏡と比較して明らかな手順上の利点を提供するだけでなく、形状、重量、およびその使用方法において同様の特性を有し、すでに訓練を受けており、挿管手順を行うというしばしばストレスの多い状況で従来の喉頭鏡を快適に使用するオペレーターによる採用を容易にする必要がある。
【0010】
WO/2016/090435A1は、片手で気管内挿管手順を行うことを可能にする新しい挿管装置を開示している。特に、挿管装置は、先端および基部を有する喉頭鏡ブレード、挿管装置をユーザーの手で保持できるようにブレードの基部に取り付けられたハンドル、気管内チューブを受け入れるためのチャネル、実質的に先端から基部までブレードに沿って延びているブレードチャネル部を含んでおり、気管内チューブの遠位端を出口から前進させるために先端に近接する出口を含んだチャネル、ブレードチャネル部からハンドルに沿って部分的に延びたハンドルチャネル部、および気管内チューブを、チャネルを通じて動かして気管内チューブを前進させるためのハンドル内のチューブ移動機構、ユーザーが保持している手の親指を使用してチューブ移動機構を操作可能にするための親指インターフェースを含むチューブ移動機構を含んでいる。これにより、ユーザーは挿管装置を保持し、片手で、気管内挿管手順で気管内チューブを前進させることができる。WO/2016/090435A1の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
ハンドルを介してブレードを配置し、気管内チューブを前進させるための挿管装置の片手操作を可能にすることにより、必要に応じて気管内挿管手順中に、ユーザーのもう一方の手は、吸引装置などの別の装置、または解剖学的構造および/または気管内チューブを操作するための鉗子などの他の装置を使用して気道をきれいにするなど、他の用途のために自由なままになる。
【0012】
気管内挿管手順中、対象者の口からの放出物が問題になる可能性がある。例えば、処置中に対象者の口から液体、液滴、またはエアロゾルが放出されると、挿管装置の使用者または近くにいる他の医療スタッフが感染症にさらされる可能性がある。特に、COVID-19のパンデミックの間、口から放出される液体、液滴、および/またはエアロゾルを介したウイルス感染のリスクがますます懸念されている。ユーザーが対象者の口に近接し、処置中に対象者が咳をしたり吐き気を催したりする可能性が高くなるため、ユーザーへの暴露のリスクは特に高くなる。
【0013】
したがって、理想的には、医師によってすでに日常的に使用されているものと同様の挿管装置を使用して、処置中の対象者の口からの放出物を実質的に低減しながら、対象者の気管内挿管を可能にする装置および方法を提供することが望ましい。
【0014】
視覚化を支援するために、喉頭鏡および他の形態の挿管装置は、処置中に照明を提供して、喉頭近くの解剖学的特徴の視認性を改善するために、ブレードの先端近くに光源を含んでいてもよい。このような光源は、従来の喉頭鏡を使用した直接視覚化、またはビデオ喉頭鏡などを使用した非直接視覚化に有用である可能性がある。光源を使用して気管内挿管手順が行われる場合、それは光誘導気管内挿管と呼ばれることがある。
【0015】
光誘導気管内挿管は、ほとんどのシナリオで役立つが、暗闇や劣悪な照明条件で挿管を行う必要がある場合は不可欠であることがある。しかし、光誘導気管内挿管の使用は、対象者の口からの光の漏れが望ましくない状況では問題となる可能性がある。たとえば、軍医や衛生兵が戦闘中に暗い状態で光誘導気管内挿管を行う場合、対象者の口から漏れる光は無防備な光源を提示して、敵に自分の位置を明らかにして標的にされる可能性がある。
【0016】
対象者者の口からの光の漏れが問題となる状況では、理想的には、医師がすでに日常的に使用しているものと同様の挿管装置を使用して、処置中に光が対象者の口から漏れるのを実質的に防止しながら、対象者の光誘導気管内挿管を可能にする装置および方法を提供することが望ましい場合がある。
【0017】
本明細書における先行刊行物(またはそこから派生した情報)または既知の事項への言及は、先行刊行物(またはそこから派生した情報)または既知の事項が、本明細書に関連する努力の分野における通常の一般的な知識の一部を形成することへの承認、許可、またはいかなる形の示唆ともみなされず、またみなされるべきものでもない。
【発明の概要】
【0018】
1つの広い形態において、本発明の一態様は気管内挿管手順用のシールド付挿管ガイドであって、近位開口と遠位開口との間に延びた通路であって、挿管装置のブレード部を受け入れるように前記通路が構成されており、前記近位開口が対象者の口の近くに配置されると共に前記遠位開口が対象者の気道に配置されるように前記シールド付挿管ガイドが対象者の前記口に挿入されるように構成されている、通路を画定する細長い本体と、前記近位開口の周りにあり、対象者の前記口からの放出物を実質的に低減するように構成されているシールドとを含み、前記挿管装置の前記ブレード部を前記シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入することと、前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の前記喉頭に近接して配置することと、気管内チューブを、前記通路を通じ前記挿管装置のブレード部に沿って対象者の気管に前進させることとによって、前記挿管装置および前記シールド付挿管ガイドを使用して、対象者の気管内挿管が行われることを可能にするように構成されているシールド付挿管ガイドを提供とすることを目的としている。
【0019】
一実施形態では、前記シールドが、液体と、液滴と、エアロゾルと、光誘導気管内挿管手順中に前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接した光源から放出される光とのうち1つ以上である、対象者の前記口からの放出物を実質的に低減するように構成されている。
【0020】
一実施形態では、前記シールドが使用中において対象者の前記口を実質的に覆うように構成されている。
【0021】
一実施形態では、前記シールドが前記本体から外向きに延びているフランジを含み、前記フランジが使用中において対象者の前記口を実質的に覆うように構成されている。
【0022】
一実施形態では、前記フランジが前記近位開口を取り囲んでいる。
【0023】
一実施形態では、前記フランジが前記遠位開口に向かって湾曲している対向の側方フランジ部を含んでいる。
【0024】
一実施形態では、前記フランジが使用中において対象者の鼻に沿うための凹部を有する上縁を含んでいる。
【0025】
一実施形態では、前記フランジは、対象者の前記口に当接することによって前記シールド付挿管ガイドの過剰挿入を防止し、前記近位開口が前記口の外側に確実に位置したままになるよう構成されている。
【0026】
一実施形態では、前記近位開口が、前記フランジから近位にずらして配置されていることと、前記フランジに対してある角度で配向されていることとのうち少なくともいずれか1つである。
【0027】
一実施形態では、前記通路に沿っておよび前記シールドの区画に沿って破断されるように構成されている。
【0028】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドの前記本体が前記通路の側面に沿って、かつ前記シールドの区画に沿って長手方向に延びている破断線を含んでおり、それによって、前記シールド付挿管ガイドが前記破断線によって破断される。
【0029】
一実施形態では、前記破断線が前記シールド付挿管ガイドの中心面に沿って画定されている。
【0030】
一実施形態では、切断マークを含んでおり、前記切断マークにしたがって、前記通路に沿って、かつ前記シールドの区画に沿って切断されるように構成されている。
【0031】
一実施形態では、前記近位開口の形状が前記挿管装置の前記ブレード部の断面形状に基づいて選択されている。
【0032】
一実施形態では、前記近位開口のサイズが前記挿管装置の前記ブレード部の断面サイズに基づいて選択されている。
【0033】
一実施形態では、前記通路の形状が前記挿管装置の前記ブレード部の断面形状に基づいて選択されている。
【0034】
一実施形態では、前記通路のサイズが前記挿管装置の前記ブレード部の断面サイズに基づいて選択されている。
【0035】
一実施形態では、可撓性材料から形成されている。
【0036】
一実施形態では、前記ブレード部を受け入れるときに拡張するように構成されている。
【0037】
一実施形態では、前記本体の少なくとも1つの壁が拡張可能な領域を含んでいる。
【0038】
一実施形態では、前記拡張可能な領域が、前記通路に沿って少なくとも部分的に前記遠位開口から長手方向に延びて、前記本体が円周方向に拡張することを可能にすることと、前記本体の周りに円周方向に延びて、前記本体が長手方向に拡張することを可能にすることとのうち少なくとも1つである。
【0039】
一実施形態では、前記本体は湾曲している。
【0040】
一実施形態では、前記本体の曲率が前記挿管装置の前記ブレード部の曲率に基づいて選択されている。
【0041】
一実施形態では、前記近位開口を覆うシールを含み、前記シールが、通常、前記近位開口をシールするために閉位置にあり、前記挿管装置のブレード部が前記通路を通じて挿入されるとき、開位置に移動可能である。
【0042】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を通じて取り外されたとき、前記シールが閉位置に向かって戻るように、前記シールが前記閉位置に向かって付勢されている。
【0043】
一実施形態では、使用中において、前記シールが前記挿管装置の前記ブレード部および前記気管内チューブの少なくとも1つを取り囲む部分的なシールを形成しているように構成されている。
【0044】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路に挿入されていないとき、前記近位開口を閉じるための取り外し可能なキャップを含んでいる。
【0045】
一実施形態では、前記キャップが前記近位開口を覆うためのシールを含んでおり、前記シールが通常、前記近位開口を密封するために閉位置にあり、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を通じて挿入されたとき、前記シールが開位置に移動可能である。
【0046】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドが、使用中において、対象者の舌を保持することと、舌を押し下げることとのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0047】
一実施形態では、気管内挿管が行われる前に、換気マスクおよび人工呼吸器を使用して対象者の換気を可能にするように構成されている。
【0048】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部が前記シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入後、前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接した光源から光が放出される光誘導気管内挿管手順用に前記シールド付挿管装置が構成されていると共に、光源から放出された光が対象者の前記口から漏れるのを実質的に防止するように前記シールドが構成されている。
【0049】
一実施形態では、前記光シールドが不透明な素材で形成されていることと、前記シールド付挿管ガイド全体が不透明な材料で形成されていることとのうち少なくともいずれか1つである。
【0050】
一実施形態では、透明な材料から形成されている。
【0051】
一実施形態では、前記シールドが、対象者の顔と係合して対象者の前記口の周りにシールを形成するように構成されたリムを含んでいる。
【0052】
一実施形態では、前記遠位開口が対象者の口腔に近接、対象者の咽頭に近接、かつ対象者の舌と口蓋の間のいずれか1つに配置されるように前記本体が選択された長さを有している。
【0053】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドが、対象者の口腔へのアクセスを容易にするために、前記シールドを通じて延びた少なくとも1つの追加の開口を含んでいる。
【0054】
一実施形態では、前記シールドを通じて延びた少なくとも1つの吸引ポートを含んでいる。
【0055】
一実施形態では、前記シールドを通じて延びた少なくとも1つの排液導管を含んでいる。
【0056】
別の広い形態では、本発明の一態様は、気管内挿管手順用の方法であって、気管内挿管手順用の方法であって、シールド付挿管装置を対象者の口に挿入し、近位開口と遠位開口との間に延びた通路であって、挿管装置のブレード部を受け入れるように前記通路が構成されており、前記近位開口が対象者の口の近くに配置されると共に前記遠位開口が対象者の気道に配置されるように、通路を画定する細長い本体と、前記近位開口の周りにあり、対象者の前記口からの放出物を実質的に低減するシールドとを含んでいる、前記シールド付挿管ガイドを対象者の口に挿入し、前記挿管装置の前記ブレード部を前記シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入することと、前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の前記喉頭に近接して配置することと、気管内チューブを、前記通路を通じ前記挿管装置のブレード部に沿って対象者の気管に前進させることとによって、前記挿管装置および前記シールド付挿管装置を使用して、対象者の気管内挿管を行い、前記シールドが前記気管内挿管手順中に対象者の前記口からの放出物を実質的に低減する、気管内挿管手順用の方法を提供することを目的としている。
【0057】
一実施形態では、前記シールドが、液体と、液滴と、エアロゾルと、光誘導気管内挿管手順中に前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接した光源から放出される光とのうち1つ以上である、対象者の前記口からの放出物を実質的に低減する。
【0058】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部を前記挿管ガイドの前記通路に挿入した後、前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接した光源から光を放出させ、前記挿管装置および前記シールド付挿管ガイドを使用して、対象者の光誘導気管内挿管を行い、前記光誘導気管内挿管中に、前記シールドが前記光源から放出された光が対象者の口から漏れることを実質的に防止する。
【0059】
一実施形態では、前記気管内挿管が非直視挿管として行われる。
【0060】
一実施形態では、前記挿管装置が、前記ブレードの先端に近接して配置されたビデオカメラを含み、前記ビデオカメラによってキャプチャされた画像をディスプレイ上でユーザーに提示させることと、前記ユーザーが前記ディスプレイに表示された前記画像を参照して対象者の前記気管内挿管を行うことを含んでいる。
【0061】
一実施形態では、前記ディスプレイが前記挿管装置と統合されている。
【0062】
一実施形態では、前記ディスプレイが、前記ユーザーが着用するゴーグルの形態で備えられている。
【0063】
一実施形態では、前記ディスプレイが、前記ユーザーが前記ディスプレイを見ることができるように構成されているディスプレイ遮光部によって囲まれており、前記ディスプレイから放出された光が前記ディスプレイ遮光部および対象者の顔を超えて漏れることを実質的に防止する。
【0064】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドが対象者の前記口に挿入されるとき、前記シールドが対象者の前記口を実質的に覆う。
【0065】
一実施形態では、前記シールドが前記本体から外向きに延びるフランジを含んでおり、前記シールド付挿管ガイドが対象者の前記口に挿入されるとき、前記フランジが対象者の前記口を実質的に覆う。
【0066】
一実施形態では、前記気管内チューブを対象者の前記気管内に前進させた後、前記気管内チューブを対象者の前記気管内の所定の位置に残したまま、前記シールド付挿管ガイドから前記挿管装置の前記ブレード部を引き抜き、かつ対象者の前記口から前記シールド付挿管ガイドを取り外すことを含んでいる。
【0067】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドが前記通路に沿って、かつ前記シールドの区画に沿って破断されるように構成されており、前記気管内チューブが所定の位置に留まっている間に前記シールド付挿管ガイドが除去されることを可能とするように前記シールド付挿管ガイドを破断することを含んでいる。
【0068】
一実施形態では、前記気管内チューブが所定の位置に留まっている間に前記シールド付挿管ガイドが取り外されることを可能とするように、前記通路に沿って、かつ前記シールドの区画に沿って前記シールド付挿管ガイドを切断することを含んでいる。
【0069】
一実施形態では、気管内挿管が行われる前に、換気マスクおよび人工呼吸器を使用して対象者を換気することを含んでいる。
【0070】
一実施形態では、前記シールド付ガイドが前記近位開口を覆うシールを含んでおり、前記シールが、通常、前記近位開口をシールするために前記閉位置にあり、前記挿管装置のブレード部が前記通路を通じて挿入されるとき、開位置に移動可能であり、当該方法が前記挿管装置の前記ブレード部を前記シールを通じて前記シールド付挿管装置の前記通路に挿入することを含んでおり、前記シールが少なくとも前記ブレードの挿入前に口からの放出物を実質的に低減する。
【0071】
一実施形態では、前記挿管装置の前記ブレード部が前記通路を通じて取り外されたとき、前記シールが前記閉位置に向かって戻るように、前記シールが前記閉位置に向かって付勢され、前記シールが前記ブレード部を挿入後の前記挿管装置の前記ブレード部および前記気管内チューブの少なくとも1つを取り囲む部分的なシールを形成している。
【0072】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドが前記近位開口を閉じるための取り外し可能なキャップを含んでおり、前記キャップが前記近位開口を密閉した対象者の前記口に前記シールド付挿管ガイドを挿入して、前記キャップが所定の位置にある間、前記近位開口を通じた対象者の前記口からの放出物を実質的に低減することと、前記シールド付挿管ガイドの前記通路に前記挿管装置の前記ブレード部を挿入する前に、前記キャップを取り外すこととを含んでいる。
【0073】
一実施形態では、前記シールド付挿管ガイドが前記シールドを通じて延びている少なくとも1つの吸引ポートを含んでおり、前記吸引ポートを介して対象者の口腔から流体の吸引を行うことを含んでいる。
【0074】
一実施形態では、シールド付挿管ガイドが前記シールドを通って延びている少なくとも1つの排液導管を含んでおり、流体が前記排液導管を介して対象者の口腔から排出されることを可能にすることを含んでいる。
【0075】
別の広い形態では、本発明の一態様は、気管内挿管手順用の光シールド付挿管ガイドであって、気管内挿管手順用の光シールド付挿管ガイドであって、近位開口と遠位開口との間に延びた通路であって、挿管装置のブレード部を受け入れるように構成されている通路を画定する細長い本体と、前記近位開口近くの光シールドとを含み、前記近位開口が対象者の前記口の近くに配置されると共に前記遠位開口が対象者の気道に配置され、前記挿管装置の前記ブレード部を前記光シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入することと、前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接する光源から光を放出させ、前記光シールドが、前記光源から放出される光が対象者の前記口から漏れるのを実質的に防止するように構成されていることを特徴としていることと、前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の前記喉頭に近接して配置することと、気管内チューブを、前記通路を通じて前記挿管装置の前記ブレード部に沿って対象者の気管に前進させることとによって、対象者の光誘導気管内挿管が前記挿管装置および前記光シールド付挿管ガイドを使用して行われることを可能とするように、前記光シールド付挿管ガイドが対象者の前記口への挿入のために構成されている光シールド付挿管ガイドを提供することを目的としている。
【0076】
別の広い形態では、本発明の一態様は、気管内挿管手順用の方法であって、気管内挿管手順用の方法であって、近位開口と遠位開口との間に延びた通路であって、挿管装置のブレード部を受け入れるように前記通路が構成されており、前記近位開口が対象者の口の近くに配置されると共に前記遠位開口が対象者の気道に配置される通路を画定する細長い本体と、前記近位開口付近にあって、対象者の前記口から光が漏れることを実質的に防止する光シールドとを含む光シールド付挿管ガイドを対象者の前記口に挿入することと、前記挿管装置の前記ブレード部を前記シールド付挿管ガイドの前記通路に挿入すること、前記光シールドが光源から放出される光が対象者の前記口から漏れるのを実質的に防止するように構成されていることを特徴として、前記挿管装置の前記ブレード部の前記遠位端に近接する前記光源から光を放出させること、前記挿管装置の前記ブレード部の遠位端を対象者の前記喉頭に近接して配置すること、および気管内チューブを、前記通路を通じて前記挿管装置の前記ブレード部に沿って対象者の気管に前進させることによって、挿管装置および前記光シールド挿管ガイドを使用して、対象者の光誘導気管内挿管を行うこととを含んでいる、気管内挿管手順用の方法を提供することを目的としている。
【0077】
本発明の広義の形態およびそれらの各特徴は、組み合わせて、交換可能に、および/または独立して使用することができ、別個の広義の形態への言及は、限定することを意図しないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
次に、本発明の様々な例および実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0079】
図1Aから1Hは、シールド付挿管ガイドの第1の例を使用して対象者に対して行われる気管内挿管手順のステップを示す断面図である。
【0080】
図2Aおよび2Bは、図1Aから1Hのシールド付挿管ガイドの第1の例の斜視図である。
【0081】
図2Cは、図2Aおよび2Bのシールド付挿管ガイドの側面図である。
【0082】
図2Dは、図2Aから2Cのシールド付挿管ガイドの断面図である。
【0083】
図3Aは、図2Aから2Dのシールド付挿管ガイドの斜視図であり、挿管装置のブレード部が、シールド付挿管ガイドの通路に挿入されている。
【0084】
図3Bは、図3Aのシールド付挿管ガイドおよび挿管装置の挿入されたブレード部の断面図である。
【0085】
図4Aおよび4Bは、気管内挿管手順が行われた後、第2の例であるシールド付挿管ガイドを除去するステップを示す断面図である。
【0086】
図5Aは、図4Aおよび4Bのシールド付挿管ガイドの第2の例の底面図であり、気管内チューブがシールド付挿管ガイドの通路を通じて進められている。
【0087】
図5Bは、図5Aのシールド付挿管ガイドおよび気管内チューブの底面図であり、気管内チューブの除去のためにシールド付挿管ガイドが破断されている。
【0088】
図6は、近位開口を密封するための膜シールを有するシールド付挿管ガイドの第3の例の斜視図である。
【0089】
図7Aは、キャップが開いた位置にある、取り外し可能なキャップを有するシールド付挿管ガイドの第4の例の斜視図である。
【0090】
図7Bおよび7Cは、キャップが閉じた位置にある、図7Aのシールド付挿管ガイドの斜視図である。
【0091】
図7Dは、キャップが閉じた位置にある、図7Aのシールド付挿管ガイドの上面図である。
【0092】
図7Eは、キャップが閉じた位置にある、図7Aのシールド付挿管ガイドの側面図である。
【0093】
図7Fは、キャップが閉じた位置にある、図7Aのシールド付挿管ガイドの断面図である。
【0094】
図7Gは、キャップが開いた位置にある、図7Aのシールド付挿管ガイドの断面図である。
【0095】
図8および9は、シールド付挿管ガイドの第5および第6のそれぞれの例の斜視図であり、遠位開口から延びた拡張可能領域の代替構成を示している。
【0096】
図10は、シールド付挿管ガイドおよび別個の取り外し可能なキャップシール部分の第7の例の斜視図である。
【0097】
図11Aから11Cは、シールド付挿管ガイドの第8の例の斜視図である。
【0098】
図12は、シールド付挿管ガイドの第9の例の斜視図であり、短い本体構成の例を示している。
【0099】
図13は、シールド付挿管ガイドの第10の例の斜視図であり、長手方向に延長可能な本体の例を示している。
【0100】
図14Aおよび14Bは、シールド付挿管ガイドの最初の例を備えた従来の喉頭鏡を使用して、気管内チューブを手動で前進させるステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0101】
次に、対象者100に対して気管内挿管手順を行う際に使用するシールド付挿管ガイドの例を、図1Aから1Hを参照して説明し、手順の異なるステップで使用するシールド付挿管ガイド110については、シールド付挿管ガイド110についてより詳細を示す図2Aから2Dを用いて説明する。
【0102】
シールド付挿管ガイド110は、喉頭鏡などのブレード付き挿管装置140(図1Cから1Fに示されるように)を使用して気管内挿管を実施できるように特に適合されている。以下の例の目的のためには、挿管装置140は、WO/2016/090435A1に記載されているような片手挿管装置であると想定されるが、他の形態の挿管装置がシールド付挿管ガイド110に適用されてもよいことが理解されるだろう。例えば、シールド付挿管ガイド110の実施形態は、市販のビデオ喉頭鏡または従来の直視喉頭鏡で使用するように構成されていてもよい。
【0103】
広義では、図1Aに関して、シールド付挿管ガイド110は、近位開口113と遠位開口114との間に延びた通路112を画定する細長い本体111を含んでいる。シールド付挿管ガイド110の通路112は、図1Dから1Fに示され、さらに詳細には図3Aおよび3Bに示されるように、挿管装置140のブレード部142を受け入れるように構成されている。また、シールド付挿管ガイド110は近位開口114の近くに配置されたシールド120を含んでいる。
【0104】
シールド付挿管ガイド110は、図1Bに示されるように、具体的には対象者100の口102に挿入するように構成されており、その結果、近位開口113は対象者100の口102に近接して配置され、遠位開口114は対象者の気道に配置される。
【0105】
シールド付挿管ガイド110の異なる実施形態は、対象者の異なる解剖学的領域に遠位開口114を配置するために構成されていてもよい。例えば、シールド付挿管ガイド110の本体111は、遠位開口114が対象者の口腔に近接して、または対象者の咽頭に近接して配置されるように選択された長さを有していてもよい。いくつかの例では、遠位開口114は対象者の舌と口蓋との間に配置されてもよいが、他の例では、遠位開口114は対象者の中咽頭の舌の後ろに配置されてもよい。
【0106】
近位開口113の周りに配置されているシールド120は、対象者100の口102の近くに配置される。シールド120は、対象者100の口102からの放出物を実質的に低減するように構成されている。シールド120のさらなる詳細は、図2Aから2Dに見ることができ、後述される。典型的には、シールド120は、使用中において対象者の口を実質的に覆うように構成されており、本体111から外向きに延びるフランジを含み、フランジは使用中の対象者100の口102を実質的に覆う。
【0107】
シールド付挿管ガイド110が対象者100の口102に挿入された状態で、挿管装置140およびシールド付挿管ガイド110を使用して、対象者100の気管内挿管を行うことが可能である。シールド付挿管ガイド110を使用する気管内挿管手順での使用方法の詳細な例は、図1Aから1Hをさらに参照して後述される。しかし、シールド付挿管ガイド110の構成を説明する文脈において、気管内挿管手順は、挿管装置140のブレード部142をシールド付挿管ガイド110の通路112に挿入し(図1Dに示すように)、挿管装置140のブレード部142の遠位端143を対象者100の喉頭104に近接して配置し(図1Dにも示されているように)、そして、通路112を通じて挿管装置140のブレード部142に沿って、気管内チューブ150を対象者の気管105内に前進させる(図1Fに示されるように)ことによって、シールド付挿管ガイド110を使用して行われる。
【0108】
いずれにせよ、シールド付挿管ガイド110は、処置前および処置中の両方で、使用中において対象者の口からの放出物を実質的に低減するために使用されることが可能であることが理解されよう。例えば、シールド120は、対象者の口102からの流体、液滴、および/またはエアロゾルの放出物を実質的に低減するように構成されていてもよく、したがって、対象者の口からのこれらの放出物を介して対象者から伝染する可能性のある感染症に対して、挿管装置140の使用者または他の医療スタッフの曝露を制限するために使用されてもよい。代替的または追加的に、シールド120は、対象者の口から光が漏れるのが望ましくない可能性がある場合、光誘導気管内挿管手順中に、挿管装置のブレード部の遠位端に近接する光源から放出される光の対象者の口102からの放出物を実質的に低減するように構成されていてもよい。
【0109】
上述のようにシールド付挿管ガイド110を使用する気管内挿管手順用の方法の例は、図1Aから1Hを参照してさらに詳細に説明される。
【0110】
図1Aを参照すると、この方法は、従来の気管内挿管手順と同様の方法で、対象者100が仰臥位にある状態で開始する。対象者の頭101を傾けて、対象者の口102、咽頭103、および喉頭104の相対的な位置を調整して、処置中の喉頭へのアクセスをより容易にすることができる。
【0111】
図1Aでは、シールド付挿管ガイド110が、対象者100の口102に挿入するために提供されている。
【0112】
次に、シールド付挿管ガイド110が、図1Bに示されるように、対象者100の口102に挿入される。シールド付挿管ガイド110が適切に挿入されると、近位開口113は、対象者100の口102に近接して配置され、遠位開口114は、対象者100の気道に配置される。この例では、遠位開口114は咽頭103に近接して配置されているが、上述のように、遠位開口114の位置は本体111の長さによって決まり、他の例では、遠位開口114は、口腔内の、例えば対象者100の舌106と口蓋との間に配置されてもよい。また、近位開口114の周りに配置されるシールド120は、対象者の口からの放出物を実質的に低減するために、対象者100の口102の近くに配置される。
【0113】
典型的には、近位開口113およびシールド120は両方とも、シールド120が実質的に口102を覆うように、対象者100の口102の外側に配置されるが、これは必須ではなく、代替の意匠が少なくとも部分的に口102の内側に位置するシールド120および近位開口113の1つまたは両方を含んでいてもよいことが理解されよう。しかし、本実施形態では、シールド120は本体111を取り囲み、口102の外側を覆うフランジを含んでおり、本体111は、近位開口113が口102の外側に位置するようにシールド120から近位に突出する突出部116を含んでいる。
【0114】
図1Cを見ると、シールド付挿管ガイド110が挿入されると、挿管装置140が対象者100の気管内挿管を行うために提供される。
【0115】
上述のように、この例では、挿管装置140は、片手挿管装置であり、ユーザーが挿管装置140を保持し、対象者の解剖学的構造に対してブレード部142および遠位先端143を動かすことを可能にするために、ブレード部142に接続されたハンドル部141を含んでいる。この形態の挿管装置140は、気管内チューブ150を受け入れるためのチャネルと、気管内チューブ150をチャネルを通じて動かして気管内チューブ150を前進させるためのハンドル部141内のチューブ移動機構とを含んでいる。この場合、チューブ移動機構は、ユーザーが挿管装置を保持している手の親指を使用してチューブ移動機構を操作することを可能にする親指インターフェース144を含み、それにより、ユーザーが挿管装置140を保持し、片手を使用した気管内挿管手順において気管内チューブ150を前進させる。
【0116】
挿管装置140は、典型的には、気管内挿管手順中に照明を提供するために、ブレード部142の遠位端に近接して配置された光源(図示せず)を含んでおり、この場合、その手順は光誘導気管内挿管と呼ばれることがある。実際には、ほとんどの気管内挿管手順は、通常、光誘導気管内挿管手順として行われるため、本明細書ではこれらの用語は交換可能に使用されることに留意されたい。
【0117】
上述のように、シールド付挿管ガイド110の実施形態は、光誘導気管内挿管手順が行われている間、対象者の口からの光の放出を実質的に低減するように構成され得る。この場合、シールド付挿管ガイド110のシールド120は、光シールドとして効果的に機能し、光誘導気管内挿管手順中に、光源から放出された光が対象者の口から漏れることを実質的に防止するために使用され得る。このようなシナリオの詳細については、後述する。
【0118】
この遮光機能は、対象者の口からの光の漏れが、敵に自分の位置を明らかにし、ターゲットにされるような、軍事環境の暗い状況など、口から光が漏れることが望ましくない可能性がある特定のシナリオでのみ必要とされ得ることを理解する必要がある。しかし、他の多くのシナリオでは、光の漏れは問題ではなく、シールド付挿管ガイド110は、必ずしもこの遮光機能を必要としない。いずれにせよ、光誘導気管内挿管が行われているかどうか、かつ光シールドが必要かどうかに関係なく、シールドが対象者の口からの他の放出物を実質的に低減することが一般に望ましい。
【0119】
挿管装置140は、光誘導気管内挿管が非直接視挿管として行われるように構成されていてもよく、すなわち、ユーザーは、挿管装置140のブレード部142を挿入している間、対象者100の喉頭104および近くの解剖学的構造について一直線の照準線の視覚化なしで、手順を行うことができる。
【0120】
いくつかの例では、挿管装置140は、ユーザーが直接の観察を必要とせずに患者の内部の解剖学的構造を観察することを可能にするための光ファイバー観察装置(図示せず)をさらに含んでいてもよい。光ファイバー観察装置は、ブレード部142の遠位先端143に近接して一端に配置されたレンズと、他端に配置された接眼鏡とを備えた可撓性光ファイバー束を含んでいてもよい。光ファイバー束は、ブレード部142に沿って、ハンドル部141内に延びていてもよい。処置中にユーザーが接眼鏡を覗き込むことができるように、接眼レンズは、ハンドル部141上に、またはハンドル部141から適切に形成された突起上に配置されていてもよい。
【0121】
他の例では、挿管デバイス140は、処置中に患者の内部の解剖学的構造のビデオ画像を提供するために、ブレード部142の遠位先端143に近接して配置されたビデオカメラ(図示せず)を含んでもよい。これは、上述した光ファイバー観察装置と比較して、さらに柔軟な観察オプションを備えていることが理解されよう。
【0122】
ビデオカメラは、手順中にリアルタイムまたはほぼリアルタイムでビデオカメラからの画像を提示するために、ディスプレイ(図示せず)に接続されていてもよい。小さなディスプレイを挿管装置142と統合することができるが、ユーザーにとってより便利な観察場所に、内部の解剖学的構造の拡大画像を表示するための別個のより大きなディスプレイを備えていることが好ましい場合がある。ディスプレイへの接続は、挿管装置140から延びるケーブルを介して、またはケーブルによるユーザーの動きの干渉を回避することができる無線通信接続を介して達成されていてもよい。いくつかの例では、ディスプレイはユーザーが着用するゴーグルの形で備えられていてもよい。これにより、ユーザーは、ユーザーの体および頭の位置に関係なく、ビデオカメラから提示された画像を便利に見ることが可能となることが理解されよう。ディスプレイは、実装に応じて、ゴーグルの表示領域全体またはその一部のみを占めていてもよい。
【0123】
ディスプレイを備える上記のオプションのいずれかにおいて、ディスプレイは、ディスプレイ遮光部(図示せず)によって囲まれていてもよく、ディスプレイ遮光部およびユーザーの顔を超えて漏れるディスプレイから放出される光を実質的に防止しながら、ユーザーがディスプレイを見ることができるように構成されていてもよい。例えば、挿管装置142と統合されたディスプレイの上記の例では、ディスプレイ遮光部は、ディスプレイを取り囲む拡張フードの形態であってもよく、これは、使用者の目の周りのユーザーの顔と係合して、実質的に光の漏れを防止する。ユーザーに着用されるゴーグルに備えられたディスプレイの場合、ゴーグルは、不透明な、ユーザーの目の周りの顔に適合して光の漏れを実質的に防止することができる、好ましくは可撓性材料の覆いの形で取り囲む遮光部を含んでいてもよい。
【0124】
いずれにせよ、図1Dに関して、気管内挿管は、近位開口113を通じて、挿管装置140のブレード部142をシールド付挿管ガイド110の通路112に挿入することによって開始される。挿管装置140のブレード部142は、シールド付挿管ガイド110の通路112を通過して、対象者100の喉頭104に近接したブレード部142の遠位先端143を配置する。典型的には、遠位先端143は、シールド付挿管ガイド110に対して、挿管装置140のブレード部142の位置に関する詳細図の図3Aおよび3Bに見られるように、遠位開口114を通って突出する。
【0125】
光誘導気管内挿管は、典型的には、挿管装置140の光源を作動させることによって、挿管装置140のブレード部142をシールド付挿管ガイド110の通路112に挿入する間に開始される。
【0126】
次の議論は、どのように、シールド付挿管ガイド110が光シールドを備えて、それによって光ガイド気管内挿管手順中に光源から放出された光が対象者の口から漏れるのを実質的に防止するかについてのさらなる説明を容易にするために、光ガイド気管内挿管手順の実行に含まれるステップを説明する。
【0127】
気管内挿管は通常、光で誘導されるが、対象者の口からの光の漏れは、多くの実際のシナリオでは問題とは見なされない場合があることが理解されるだろう。多くの場合、液体、飛沫、およびエアロゾルからの保護がより重要である。したがって、シールド付挿管ガイド110の実施形態は、特定のシナリオに対してのみ遮光機能を必要とすることがあるが、シールド付挿管ガイド110の実施形態は、一般的に、ほとんどの実際的なシナリオでは、流体、液滴、エアロゾルのような対象者の口102からの他の放出物を低減するために使用されることが予想されることを理解する必要がある。
【0128】
好ましくは、光源は、ブレード部142の遠位先端143(したがって、挿管装置140上に備えられる場合、典型的にはそれに近接して配置される光源)が最初に通路112に挿入された後にのみ活性化される。そのため、光は通路112の内側の光源からのみ放出され、通路を通じて遠位先端143の挿入を導き、対象者の解剖学的構造に対して所望の位置に導く。
【0129】
遠位端143の特定の配置はブレードの特定の構成によるが、典型的には、遠位先端143は、喉頭蓋107の周りに配置され、対象者の声門を露出させるために必要に応じて動かされる。遠位先端143は、対象者の気管105内の喉頭蓋谷と係合し得る。ブレード部142が動かされると、対象者の口102および舌106に対して、シールド付挿管ガイド110が幾分動く可能性がある。
【0130】
図1Eは、破線で、ブレード部142の挿入中に、特に遠位先端143が所定の位置にあるときに光源が作動した場合に光源によって照射される可能性がある患者の気道内の領域を示す。挿管装置140の特定の構成、特に光源の位置に応じて、異なる領域が照射されてもよいことに留意されたい。いずれにせよ、光源は通常、喉頭104および喉頭蓋107などの周囲の解剖学的構造を照射するように構成され、その結果、ユーザーは、光の誘導の下でこれらの解剖学的構造に対して遠位先端143を動かすことができる。
【0131】
通常、これらのターゲット領域を超える多少の照明もあり、これには、図1Eに示すように、咽頭103を上がって口102に向かって放出される多少の光が含まれ得る。しかし、シールド付挿管ガイド110のシールド120は、口102に向かって放出される光を妨害することによって、この光が対象者100の口102から漏れるのを実質的に防止することができることが理解されよう。この遮光機能が望まれる場合、シールド120自体を通る光の透過を実質的に防止するために、シールド120は不透明な材料から形成されるべきであることが理解されるだろう。
【0132】
上述のように、シールド120は、対象者100の口102を実質的に覆うことが好ましく、シールド120が本体111から外向きに延びるフランジを含む例では、対象者100の口102を実質的に覆うのはフランジである。口102の十分な保護範囲を備える適切に構成されたシールド120を用いることで、光誘導気管内挿管手順中に口からの光の漏れを効果的に防止することができることが理解されよう。
【0133】
多少の光が通路112を通って漏れることは可能かもしれないが、通路112に向かって放出される光は通路112内のブレード部142によって著しく妨害されることが理解されよう。さらに、以下でさらに詳細に論じられるように、本体111およびその中で画定される通路112はしばしば湾曲し、また、本体111のこの湾曲は、光線が通路112に沿って直接放出されることを防止するのに役立ち得る。
【0134】
さらに、いくつかの実施形態では、シールド付挿管ガイド110は、近位開口113を覆うためのシールを含んでいてもよく、光誘導気管内挿管手順が実施されている間に、光が通路112を通じて近位開口113から漏れるのを防止することを支援することができる。図6は、近位開口113を覆うシール601を含むシールド付挿管ガイド610の例を示す。シール601は、近位開口をシールするために通常は閉位置にあり、挿管装置140のブレード部142が通路112を通じて挿入されるとき開位置に移動可能であるよう構成されていてもよい。したがって、ブレード部142は、近位開口113のシール601を通じて挿入されてもよく、一方、シールは、ブレード部142の遠位先端143で光源から放出される光を遮断するのに役立つことができる。
【0135】
また、上述のようなシールは気管内処置の前および最中に、通路112を介した対象者の口または気道からの流体、液滴、および/またはエアロゾルの他の放出物を低減するのに有用であり得ることが理解されよう。
【0136】
ここで図1Fに戻ると、遠位先端143が適切な位置に動かされると、気管内チューブ150は、シールド付挿管ガイド110の通路112を通じて挿管装置140のブレード部142に沿って前進し、気管内チューブの先端151を対象者の気管105に挿入する。片手挿管装置140の使用は、装置を保持している同じ手の親指を使用して親指インターフェース144を操作するユーザーによって、気管内チューブ150を前進させることを可能にすることが理解されよう。しかし、片手挿管を促進しない異なる形態の挿管装置が使用される場合、気管内チューブ150は、一般的に従来の方法で、手動で前進させてもよい。
【0137】
いずれにせよ、挿管装置140を挿入し、気管内チューブ150を気管105に前進させることを含む気管内挿管手順は、光源から放出される光の誘導の下で行われることができ、シールド120は、対象者100の口102から光が漏れるのを実質的に防止する。したがって、この方法では、シールド付挿管ガイド110を使用して、光の漏れの問題なしで光誘導気管内挿管を実施することができる。
【0138】
例えば、この方法では、光が対象者の口から漏れて軍の医師や衛生兵が敵に位置を明らかにして標的にされる危険を冒すことなく、戦闘シナリオの暗い条件で光誘導気管内挿管手順を行うことができる。これにより、戦闘シナリオなどでの緊急挿管を考慮して、軍医または衛生兵が利用できるオプションを拡大できることが理解されよう。
【0139】
しかし、上述のように、シールド付挿管ガイド110は、この遮光機能が必要であるかどうかに関係なく、すべてのシナリオで対象者の口からの放出物を低減するために好適に使用されることができ、例えば、対象者の口からの液滴またはエアロゾルの放出物を介して、対象者からユーザーまたは他の医療スタッフへの感染症の伝染を避けるために役立ち得る。
【0140】
気管内チューブ150は、典型的には、標準型の気管内チューブであり、気管内チューブ150が所望の位置に進められると膨張することができるバルーンカフ(図示せず)を含んでいてもよい。膨張したバルーンカフは、気管内チューブ150を対象者の気管105内の所定の位置に保持するのに役立ち得ることが理解されよう。
【0141】
気管内チューブ150が対象者100の気管105内を前進した後(および気管内チューブ150にバルーンカフが備えられている場合はそれが膨張した後)、光源は非アクティブ化されてもよい(光誘導気管挿管手順の一部として使用されていた場合)。図1Gに示すように、気管内チューブ150を気管105内の所定の位置に残したまま、挿管装置140が取り外されてもよい。これは、図1Gに示されるように気管内チューブ150を所定の位置に残したまま、シールド付挿管ガイド110から挿管装置140のブレード部142を引き抜くことによって行われてもよい。この段階では、シールド付挿管ガイド110は所定の位置に残る。
【0142】
次に、気管内チューブ150が換気源に結合され、対象者100に換気を提供するために使用できる。典型的には、これは、換気が気管内チューブ150を介して提供されるように、換気源(図示せず)を気管内チューブ150の近位端にあるコネクタ152に接続することを含む。
【0143】
対象者100を換気するために、任意の適切なタイプの換気源が使用されてもよいことが理解されるだろう。例えば、手動バッグバルブタイプの人工呼吸器は、適切に構成された人工呼吸器コネクタを使用して気管内チューブ150のコネクタ152に接続することによって使用されてもよい。人工呼吸器コネクタは通常、標準/ユニバーサルコネクタタイプである。人工呼吸器は通常、対象者の口の外側に配置される。あるいは、換気源は、例えば動力付きの機械的人工呼吸器の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、より離れた人工呼吸器ユニットは、可撓性チューブなどによって気管内チューブ150のコネクタ152に接続されてもよい。
【0144】
気管内チューブ150を介した換気が確立されると、図1Hに示すように、シールド付挿管ガイド110を対象者100の口102から取り外し、気管内チューブ150を継続的な換気のための位置に残してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、シールド付挿管ガイド110は、通路112に沿って、かつシールド120の区画に沿って破断されて、その除去を可能にするように構成されていてもよい。シールド付挿管ガイド410の第2の例を破断してそれを取り除くための追加のステップは、図4Aおよび4Bに示されている。
【0146】
例えば、例示的なシールド付挿管ガイド410は、本体111およびシールド120の区画に、典型的には通路112とシールド120を備えるフランジの縁との間に延びた破断線117を含んでいてもよい。そのようなシールド付挿管ガイド410を使用する場合、この方法は、図4Aのようにシールド付挿管ガイド410を破断して、図4Bに示すように気管内チューブ150が所定の位置に留まっている間にシールド付挿管ガイド110を取り外せるようにすることを含んでいてもよい。
【0147】
図5Aおよび5Bは、気管内チューブ150が通路112を通じて延びた、破断前後のシールド付挿管ガイド410の詳細図を示しており、これにより、展開位置に気管内チューブ150を残して、シールド付挿管ガイド110がどのように除去されるかを示す。
【0148】
シールド付挿管ガイド110を破断するこのアプローチは、シールド付挿管ガイド110を、挿管チューブ150の近位端に取り付けられたコネクタ152の上に通す必要性、および気管内チューブ150を使用した対象者の換気を意図せず中断する、人工呼吸器から気管内チューブ150近位端を取り外す必要性を回避し得ることが理解されよう。これはまた、気管内チューブ150をその到達位置から意図せずに動かして、シールド付挿管ガイド110の除去中に安全な気道を潜在的に見失うリスクを回避することができる。
【0149】
代替の例では、シールド付挿管ガイド110は、切断マーク(図示せず)を含み、切断マークに従うことによって、通路112に沿って、およびシールド120の区画に沿って切断されるように構成されていてもよい。これは、シールド付挿管ガイド110の構造に壊れやすい部分を備えずに、切断具を使用するための追加の要件で、上述したようなシールド付挿管ガイド110の除去を容易にするための同様の機能性を促進することが理解されよう。
【0150】
シールド付挿管ガイド110は、チューブ取り付けの余裕を組み込まずに、通路112が挿管装置140のブレード部142に取り付けられるように設計されていてもよい。これは、光誘導気管内挿管手順中に、ブレード部142の周りからおよび通路112を通じて光源から放出された光の漏れを低減するのに役立ち得る。これは、同様に、光誘導またはその他の任意の形態での気管内挿管手順中に、通路112を通過する流体、液滴、および/またはエアロゾルなどの他の放出物を低減するのに役立ち得る。
【0151】
上述の方法のいくつかの例では、シールド付挿管ガイド110は、図1Bに示されるように対象者100の口102に挿入されてもよく、気管内挿管が行われる前に、シールド付挿管ガイド110が所定の位置にある間、対象者100は換気マスクや人工呼吸器を使用して換気されてもよい。したがって、シールド付挿管ガイド110は、好ましくは、これが起こることを可能にするように、例えば、標準的な換気マスクの下に適合するように設計されることによって構成されることが理解されよう。
【0152】
気管内チューブを使用する換気についても上述したように、換気マスクを使用して対象者を換気するために、任意の適切なタイプの人工呼吸器が使用されてもよいことが理解されるだろう。通常、人工呼吸器は、人工呼吸マスクに接続された手動バッグバルブマスク人工呼吸器の形態であるが、代わりに、例えば、動力付きの機械的人工呼吸器の形態であってもよい。
【0153】
換気マスクを使用して対象者を換気する工程は、酸素供給源から換気ポートに酸素ガスを供給することなど、換気マスクを使用して対象者に酸素を加えることを含んでいてもよい。場合によって、100%の酸素が供給されることもあれば、より低い酸素パーセンテージで空気が供給されることもある。それにもかかわらず、酸素添加は必須ではなく、換気は酸素を添加せずに大気を使用して供給されてもよいことが理解されよう。これは、別の加圧酸素源が利用可能かどうかによる場合があるが、状況によってはそうではない場合がある。
【0154】
いずれにせよ、シールド付挿管ガイド110の挿入後に換気が行われる場合、これは、ユーザーが対象者の気管内挿管を続行することを決定するまで無期限に継続することができる。例えば、ユーザーは、対象者に挿管する前に、所望の血中酸素飽和レベルが達成されるまで換気を継続したいと思うかもしれない。あるいは、シールド付挿管ガイド110が別のユーザーによって挿入されてもよいし、挿管の専門家が対象者に気管内挿管を実施できるようになるのを待つ間、対象者が換気されてもよい。
【0155】
上記の方法は、シールド付挿管ガイド110を使用して気管内挿管が対象者に行われることを可能にするための新しい技術を提供し、シールド120は使用中において対象者の口からの放出物を実質的に低減することが理解されよう。上述した方法を考慮して、気管内挿管手順を行う性能は、図2Aから2Dに関してさらに詳細に説明されるシールド付挿管ガイド110の特定の設計によって可能になることが理解されよう。
【0156】
上述のように、シールド付挿管ガイド110は、近位開口113と遠位開口114との間に延びる通路112を画定する細長い本体111を含んでいる。通路112は、挿管装置140のブレード部142を受け入れるように構成されている。また、シールド付挿管ガイド110は、遠位開口114にシールド120を含んでいる。上述のように、シールド120は、使用中において対象者の口からの放出物を実質的に低減するためのものである。
【0157】
前述のように、シールド付挿管ガイド110は、対象者100の口102に挿入するように構成されており、近位開口113が対象者の口102に近接して配置され、遠位開口が対象者の咽頭103に近接して配置される。これにより、挿管装置140およびシールド付挿管ガイド110を使用して、対象者の気管内挿管が行われることを可能にする。
【0158】
上述のように、気管内挿管手順は一般に、挿管装置140のブレード部142をシールド付挿管ガイド110の通路112に挿入すること、挿管装置140のブレード部142の遠位端143を対象者100の喉頭104に近接して配置すること、および、気管内チューブ150を、通路112を通じて挿管装置140のブレード部142に沿って対象者100の気管105内に前進させることを含む。
【0159】
次に、図2Aから2Dに関して、シールド付挿管ガイド110のさらなるオプションおよび/または好ましい特徴について説明する。
【0160】
前述のように、シールド120は、典型的には、使用中において対象者100の口102を実質的に覆うように構成されている。この例では、シールド120は、図2Aから2Dに示されるように、本体から外向きに延びているフランジを含み、フランジは使用中において対象者100の口102を実質的に覆うように構成されている。通常、このフランジは近位開口113を取り囲んでいる。
【0161】
この例では、シールド120を備えたフランジは、上縁および後縁221、222ならびに横縁223、224を含む略長方形の形状を有する。この場合、フランジは、遠位開口114に向かって湾曲した対向の側方フランジ部を含む。換言すれば、側方フランジ部は、対象者100の顔の周りを少なくとも部分的に包み込むように湾曲している。この湾曲したフランジの配置は、光誘導気管内挿管手順中に対象者の口102に向かって放出される光を遮断するのを補助することができる。これはまた、流体、液滴、エアロゾルなどが伝達され得る、シールド120を備えたフランジと対象者100の顔との間のギャップを最小化することによって、対象者の口102からの他の放出物を低減するのに役立つことができる。
【0162】
この実施形態では、シールド120を備えたフランジは、使用中において対象者100の鼻に沿う凹部225を有する上縁221を含んでいる。しかし、シールド付挿管ガイド110の代替の実施形態は、対象者の口102からの放出物を実質的に低減する性質を依然として備えた上で、シールド120の異なる構成を含んでいてもよい。
【0163】
また、フランジは、シールド付挿管ガイド110の正しい挿入を支援する追加の機能を備えるように構成されてもよい。特に、フランジは、対象者の口102に当接することによって、シールド付挿管ガイド110の過剰挿入を防止するのに役立つことができ、それによって、近位開口113が確実に口102の外側に配置されたままとする。
【0164】
いくつかの実施形態では、シールド付挿管ガイド110は、挿入後に対象者の口102に対して所定の位置にシールド付挿管ガイド110を固定するためのストラップまたは他の適切な手段を含んでいてもよい。例えば、ストラップが側縁223、224に取り付けられるか、対象者の耳を包むためのループを含んでいてもよい。または対象者の頭の後ろの周りに延びていてもよい。シールド付挿管ガイド110を対象者に固定する任意の手段が、対象者の顔に装着された酸素マスクまたは他の装置を固定するために使用されるものと同様の方法で使用できることが理解されよう。
【0165】
近位開口113は、フランジから近位方向にずれて配置されており、および/またはフランジに対してある角度で配向されていてもよい。図2Aから2Dに関して、近位開口113は、近位開口113が口102の外側に位置するように、シールド120から近位に突出する突出部116の端部に設けられていることが分かる。この場合、近位開口113は、フランジからずれて配置されており、かつフランジに対してある角度で配向されている。特に、上方近位開口縁211は、後方近位開口縁212と比較して、フランジからさらに離れてずれて配置されている。
【0166】
この場合、上方近位開口縁211は実質的に直線であり、本体111の実質的に平坦な側に通じ、実質的に直線の上方遠位開口縁213で終わる。他方、後部近位開口端212は湾曲しており、本体111の実質的に平坦な側に通じており、これは、湾曲した後部遠位開口端210で終わる。以下でさらに詳細に論じられるように、本体111のこれらの縁および対応する側面の形状は、一般に、挿管装置140のブレード部142の形状に応じて選択されることが理解されるだろう。
【0167】
上述のように、いくつかの例では、シールド付挿管ガイド110は、挿入された後、誘導気管内挿管が行われる前に、換気マスクおよび人工呼吸器を使用して対象者100の換気を可能にするように構成されていてもよい。これを容易にするために、シールド付挿管ガイド110は、標準的な換気マスクの下に適合するように、または挿入されたシールド付挿管ガイド110と組み合わせて換気マスクを使用できるように設計されてもよい。
【0168】
シールド付挿管ガイド110の細長い本体111は、図2Aから2Dの例に示されるように湾曲させてもよい。そのような湾曲した構成は、シールド付挿管ガイド110が、使用中において対象者100の口102および気道の解剖学的構造によりよく適合することができるように備えられてもよい。さらに、上述のように、湾曲は、光誘導気管内挿管手順中に、挿管装置140のブレード部142の周りの通路112を通じて光が放出されるのを防止することに役立ち得る。シールド付挿管ガイド110が湾曲していることは必須ではないが、湾曲しているかどうか、および湾曲の程度は、少なくともある程度は挿管装置140のブレードタイプによることが理解されるだろう。
【0169】
シールド付挿管ガイド110は、要件に応じて異なるレベルの柔軟性を有する異なる材料から形成されていてもよい。例えば、シールド付挿管ガイド110の実施形態は、比較的柔軟な材料から形成されていてもよく、その結果、シールド付挿管ガイド110は、使用中において対象者における口102の自然な湾曲および気道の解剖学的構造に一致するように少なくとも部分的に変形することが可能であってもよい。
【0170】
他方、シールド付挿管ガイド110の実施形態は、比較的柔軟性のない材料から形成されていてもよく、挿管ガイド110の実質的な変形によることなく、対象者の解剖学的構造に適合するように本体111の曲率が選択される必要がある。
【0171】
また、シールド120を形成するための可撓性材料の使用は、シールド120が対象者の口102の周りの対象者の顔に適合できるようにするために有益であり得るが、これは必須ではなく、より剛性のある材料を使用することができる。
【0172】
シールド付挿管ガイド110は通常、適切な医療グレードのプラスチック材料から形成されている。上述のような遮光機能を備えることを目的とした実施形態では、少なくともシールド120は不透明な材料から形成されているべきであり、それにより、光誘導気管内挿管手順の間、確実に、光が光シールド120を透過せず、対象者100の口102から漏れない。好ましい実施形態では、シールド付挿管ガイド110全体が同じ不透明な材料から形成されていてもよい。他方、遮光機能が必要とされない場合、シールド120または挿管ガイド110の他の部分を形成するために不透明な材料を使用する必要はなく、実際には、これらの部分を透明にして、気管内挿管手順中の対象者の口腔と咽頭の視覚化を容易にすることが望ましい場合があることを理解する必要がある。
【0173】
シールド付挿管ガイド110は、挿管装置140のブレード部142が、使用中においてブレード部142の挿入を妨害する可能性がある対象者の舌や他の解剖学的構造と干渉することなく、対象者100の気道に挿入されることを可能にするように作用することが理解されよう。シールド付挿管ガイド110のいくつかの実施形態は、ブレード部142の挿入中に直接の視覚化を妨げる可能性があるので、これは特に有益である。しかし、シールド付挿管ガイド110の他の実施形態は、直接視覚化の下で挿管を可能にするように構成され得ることが理解される必要がある。いずれにせよ、シールド付挿管ガイド110は、典型的には対象者の舌を保持するように作用し、典型的には、舌を押し下げる、すなわち、舌を下向きに促すように作用することを理解する必要がある。これは、上述のような曲率および柔軟性を含んだ、シールド付挿管ガイド110の特定の形状および構成に依存し得る。
【0174】
シールド付挿管ガイド110の近位開口113は、ブレード部142が近位開口113を介して挿管ガイド110の通路112に挿入されることを可能にするように構成されている。好ましくは、シールド付挿管ガイド110は、挿管装置140、特にそのブレード部142に適合するように設計される。手順で使用される挿管装置140および気管内チューブ150は、必ずしも、上述のような人工呼吸気管内挿管手順用の特定の適合を備えていなくてもよい。したがって、シールド付挿管ガイド110は、正しいタイプの挿管装置140およびそれぞれのブレード部142がシールド付挿管ガイド110に対して選択されているという条件で、挿管装置140および気管内チューブ150に対して別々に備えられていてもよい。
【0175】
上述のように、シールド付挿管ガイドのいくつかの実施形態は、図6に示される例のようなシールを含んでいてもよい。その例では、シールド付挿管ガイド610は近位開口113を覆うシール601を含んでいる。シール601は通常、近位開口113をシールするために閉位置にあってもよく、挿管装置140のブレード部142が通路112を通して挿入されるとき、開位置に移動可能であってもよい。シール601は、通路112を通じて対象者の口または気道からの放出物を低減するのを支援することができる。
【0176】
図1Dに戻ると、挿管装置140のブレード部142が最初に近位開口113に挿入されるとき、ブレード部142が近位開口113を通過できるようにするために、近位開口113のシール601に閉位置から開位置に移動させてもよいことが理解されよう。
【0177】
好ましい実施形態では、シール601は閉位置に向かって付勢され、挿管装置140のブレード部142が手順後に通路112から取り外されると、シール601は閉位置に向かって戻る。シール601は、挿管装置140のブレード部142および気管内チューブ150の少なくとも1つを取り囲む部分シールを形成するように構成されていてもよく、そうでなければ使用中においてブレード部142または気管内チューブ150の周りを通過し得る放出物を低減または防止する。
【0178】
上述のように、挿管装置140のブレード部142が近位開口113を通じて挿入されるとき、シール601は、通常の閉位置(図6に示される)から開位置に可動してもよい。いくつかの実施形態では、シール601は、ブレード部142がシール601に対して付勢されることに応答して変形するように、それによってブレード部142を受け入れるための開口を画定するように構成された少なくとも1つの弾性膜を含んでいてもよい。
【0179】
一例では、シール601は、それぞれが近位開口113の周囲の各部分の周りに支持され、それぞれが支持されていない各エッジ602を含んだ2つ以上の弾性膜を含んでいてもよい。それぞれの支持されていないエッジ602は、閉位置で少なくとも部分的に重なり、開位置での開口を画定するために分離されていてもよい。より効果的なシーリングのために重なり合うエッジ602が好ましいが、いくつかの例では、エッジ602は、重なり合うことなく閉位置で当接していてもよい。
【0180】
他の例では、シール601は、近位開口113の周囲の周りに支持された2つ以上の弾性膜を含んでいてもよい。各弾性膜のそれぞれの開口は、形状、位置、または配向において他の弾性膜の開口とは異なっていてもよい。換言すれば、シール601は、整列または重なり合わないスリットなどの開口を備えた複数の完全に支持された膜を含んでいてもよく、それにより、増強されたシール効果を備える。
【0181】
別の例では、シール601は、近位開口113の周囲の周りに支持される単一の弾性膜を含んでいてもよい。単一の弾性膜は、閉位置で実質的に閉じられて、開位置で開口を画定するように伸びる開口を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、開口はスリットであってもよい。他の実施形態では、開口はピンホールであってもよいし、または挿管装置140のブレード部142を受け入れるために適切な開口が形成されることを可能にするように選択された他の任意の形状を有していてもよい。例えば、開口は十字型またはH型にすることができる。
【0182】
少なくとも1つの弾性膜は、任意の適切な膜材料から形成されてもよいが、典型的には、薄くて柔軟なポリマー材料が使用される。好ましくは、膜は、シールド付挿管ガイド110について上述したように、光の漏れが確実に防止されるように不透明な材料から形成される。
【0183】
ブレード部142が近位開口113に受け入れられるとき(例えば、図3Aおよび3Bに示されるように)、シール601は開いた構成であってもよいが、それでも光誘導挿管手順中のブレード部142の周りの光の漏れを実質的に防止するため、および/または気管内挿管手順中のブレード部142の周りの流体、液滴、エアロゾルなどの放出物を実質的に低減するために、ブレード部142の周りに効果的なシールを提供し得ることが理解されよう。これは、シール601の設計および、ブレード142の設計でも決まる。例えば、シール601が開位置でブレード部142の周りに延びているように構成されている場合、ブレード部142が近位開口113を通って延びるときでさえも、実質的に気密シールを形成し得る。
【0184】
図6に示されるシールド付挿管ガイド610の例は、上述の例と比較した本体111およびシールド120の代替構成を示していることにも留意する。この場合、近位開口113は、より長い突出部116の端部に設けられている。シールド120は、対象者の顔の周りをさらに効果的に包み込む側方縁223、224を備えたより長い側方フランジ部を含んでおり、一方で、上縁および後縁221、222は、本体111の近くに配置される。対象者の口102に挿入される本体111の部分もまた、上述の例よりも短い。したがって、シールド付挿管ガイド610の適切な実施形態は、上記と同様の機能を備えながらも、本体111およびシールド120の構成に対する有意な変形を含み得ることを理解する必要がる。
【0185】
シールド付挿管ガイド110の実施形態は、挿管装置140のブレード部142が通路112を通じて挿入されるにつれて、具体的には、遠位先端143が、気管内チューブ150が喉頭104を通じて対象者の気管105内に挿入されることが可能である適切な位置に移動させられるときに、対象者の解剖学的構造に対して移動できることが理解されよう。
【0186】
図2Cおよび2Dに示されるシールド付挿管ガイド110の詳細な例に戻ると、細長い本体111は、通路112を画定するための薄壁の本体として画定されてもよいことが分かる。本体111および光シールド120は、適切な医療グレードのプラスチック材料などの剛性、半剛性、または可撓性の材料から形成されていてもよい。上述のように、遮光が必要な場合、不透明な材料を使用して、少なくとも光シールド120、好ましくはシールド付挿管ガイド110全体を形成することが望ましい。
【0187】
上述のように、気管内チューブ150が所定の位置に留まっている間にシールド付挿管ガイド110の取り外しを容易にするために、通路112に沿って、かつ光シールド120の区画に沿って破断されるように構成されているシールド付挿管ガイド110を提供することが望ましい場合がある。
【0188】
図4Aおよび4B、ならびに図5Aおよび5Bに示されるシールド付挿管ガイド410の例では、シールド付挿管ガイド410の本体111は、通路112の側面に沿って長手方向に延びる破断線117およびシールド120の区画を含んでいる。これにより、シールド付挿管ガイド410が破断線117に沿って破断されることを可能にする。この場合、破断線117は、シールド120の区画に沿って、通路112からシールド120を形成するフランジの後縁222まで延びている。
【0189】
破断線117は、本体111およびシールド120の壁を構成する材料と比較して著しく薄い材料の領域を備えることで形成されることができ、本体111および光シールド120の対向側面が強制的に引き離されると、この薄い領域は破断可能である。気管内チューブ150が所定の位置に留まっている間に除去を促進するために、挿管ガイド110を2つのヒンジで接続された部分に分割できるように、通路112の反対側にヒンジラインが設けられてもよい。
【0190】
この場合、破断線117は、シールド付挿管ガイド110の中心面に沿って画定されていることが分かる。この破断線117は、使用中において対象者100の矢状面と整列される。しかし、図示された構成における破断線117の特定の構成は必須ではなく、シールド付挿管ガイド110は、それを破断してその除去を容易にすることを可能にする異なる構成を含んでいてもよいことが理解されるだろう。
【0191】
シールド付挿管ガイド110の近位開口113および通路112は、典型的には、挿管装置140のブレード部142を受け入れるように選択された断面を有する。したがって、特定の断面形状は、挿管装置140の設計によることが理解されよう。近位開口113および通路112は、図3Bに示されるように、ブレード部142の断面形状に対応する。しかし、その形状は、その長さに沿った異なる点でブレード部142の特定の形状に応じて変化していてもよい。
【0192】
したがって、近位開口113および通路112の形状は、挿管装置140のブレード部142の断面形状に基づいて選択されていてもよい。上述のように、シールド付挿管ガイド110は湾曲されてもよく、そうであれば、シールド付挿管ガイド110の曲率は、挿管装置140のブレード部142の曲率に基づいて選択されていてもよい。
【0193】
また、湾曲の程度は、本体111を形成するために使用される材料の柔軟性および対象者の気道の解剖学的構造を含む他の範囲の要因によって決められていてもよい。例えば、上述したように、より柔軟な材料の使用は、直線のまたは比較的湾曲していない本体111が使用中において変形し、ブレード部142および/または対象者の気道に従うことを可能にし得る。本体111の曲率は、それが比較的柔軟な材料から形成されている場合、それほど重要ではない可能性があることが理解されるだろう。しかし、対象者の口に挿入されたときに崩壊を防ぐために、シールド付挿管ガイド110の柔軟性には実際的な制限があることに留意されたい。
【0194】
さらに、シールド付挿管ガイド110の本体111を形成するための比較的より柔軟な材料の使用は、異なるサイズおよび形状のブレード部142に対応することを可能にし得るが、異なるシールド付挿管ガイド110が異なるサイズおよび形状のブレード部142に対して選択される必要があり得るので、比較的より剛性のある材料の使用はブレード型の範囲を制限することがある。
【0195】
様々な異なる形状およびサイズのシールド付挿管ガイド110が、異なる年齢、サイズ、および解剖学的構成を有する患者に適合する挿管装置と共に使用されてもよいことに留意する必要がある。例えば、異なるシールド付挿管ガイド110は、小児、成人、または肥満の対象者で使用するために提供されてもよく、特定の対象者のために選択されたブレードに対応するように選択される。
【0196】
しかし、シールド付挿管ガイド110を形成するための可撓性材料の使用などの上述の技術のいくつかは、同様のシールド付挿管ガイド110が一連の異なるブレードで使用されることを可能にし得る。
【0197】
近位開口113および通路112のサイズは、挿管装置140のブレード部142の断面サイズに基づいて選択されていてもよい。いくつかの例では、シールド付挿管ガイド110の近位開口113は、そのサイズが挿管装置140のブレード部142の対応する断面サイズよりも小さくなるように意図的に構築されていてもよい。同様に、シールド付挿管ガイド110の通路112は、そのサイズが挿管装置140のブレード部142の対応する断面サイズよりも小さくなるように意図的に構築されてもよい。これに関して、シールド付挿管ガイド110は、ブレード部142を受け入れるときに拡張するように構成され得ることが理解されよう。したがって、拡張可能な材料からシールド付挿管ガイド110を形成することにより、ブレード部142が使用中においてシールド付挿管ガイド110内によりしっかりと封入されることが可能となる。
【0198】
シールド付挿管ガイド710のさらなる例は、図7Aから7Gに示されている。これは、上記の例と多くの共通の特徴を共有し、同じ参照番号が共通の特徴を参照するために使用されることが理解されよう。しかし、この例はこれから説明するいくつかのオプションの構造の機能を示す。
【0199】
この例では、シールド付挿管ガイド710は、挿管装置140のブレード部142がシールド付挿管ガイド110の通路112に挿入されていないとき、近位開口113を閉じる取り外し可能なキャップ730を含んでもよい。
【0200】
この場合、キャップ730は、シールド付挿管ガイド710の一体部分として備えられ、シールド120の側縁224のうちの1つから延びている保持部材731によってシールド120に結合されている。図7Aは、キャップ730が近位開口113から取り外され、挿管装置140のブレード部142が開いた通路112に挿入できることを示す。他方、図7Bは、近位開口113を密封するための閉位置にあるキャップ730を示す。キャップ730が閉位置にあるとき、キャップ730は、近位開口113の内側に適合するか、または近位開口113を取り囲むリムと係合することができる。キャップ730は、図7Bに見られるように、タブ732を含んでいてもよく、ユーザーがタブ732をつかんで引っ張ることによって、キャップ730を取り外すことを可能にする。
【0201】
閉位置にあるキャップ730のさらなる詳細は、図7Fの断面図で見ることができ、一方、近位開口113の構造は、図7Gの断面図に示されるように、キャップ730が取り外された状態でよりよく観察されることができる。
【0202】
典型的には、キャップ730は、シールド付挿管ガイド110を使用者の口に挿入する間、近位開口113を密封するために所定の位置に留まり、それにより、キャップが所定の位置にある間、近位開口からの放出物を実質的に低減する。次に、挿管装置140のブレード部142をシールド付挿管ガイド110の通路112に挿入する前に、キャップ730が取り外されてもよい。
【0203】
シールド付挿管ガイド110のこの例では、図7Dおよび7Eに最もよく見られるように、シールド120を備えるフランジは、使用中において対象者の顔の形状に従うように横方向に湾曲していることに留意されたい。これらの図に関してさらに、シールド付挿管ガイド110のこの例は、上記の例と比較して著しく縮小した突出部116を有することに留意されたい。
【0204】
図7Cに戻ると、シールド付挿管ガイド710の本体111は、上記の例で論じられたように湾曲していることが分かるであろう。この場合、本体111の壁は、通路112に沿って少なくとも部分的に遠位開口114から長手方向に延びたそれぞれの拡張可能領域701を含んでいる。これらの拡張可能な領域701は、本体111が使用中において円周方向に拡張することを可能にする。これらの拡張可能領域701は、図7Cに示されるように通常は折りたたまれた状態にある本体111の壁に縦溝を形成することによって備えられていてもよいが、それらは通路112および遠位開口114を通じて挿入される挿管装置140のブレード部142を収容するために拡張することができる。これらの拡張可能な領域の詳細は、図7Fおよび7Gの断面図で見られることができる。
【0205】
シールド付挿管ガイド810および910のさらに2つの例を、それぞれ図8および9に示す。これらは、上述のシールド付挿管ガイド710と本質的に同じであるが、遠位開口114から少なくとも部分的に通路112に沿って長手方向に延びる拡張可能領域701の考えられる構成の異なる例を提供する。
【0206】
図8に示す第1の例では、本体111の側壁のそれぞれに1つの拡張可能領域701が備えられているが、前の例とは対照的に、本体111の壁上部および壁下部に拡張可能領域701は備えられていない。
【0207】
図9に示される第2の例では、2つの拡張可能な領域701が、本体111の側壁のそれぞれに設けられている。複数の縦溝を備えることにより、拡張性が向上し、本体111が、挿管装置140のブレード部142の挿入を可能にしながらも、シールド付挿管ガイド910の挿入を容易にする、より平坦な外形を標準的に持つことを確実にする。これは、処置中の気管内チューブのバルーンカフへの損傷を減らすのに役立ち得る。
【0208】
気管内挿管手順中に舌を後方に押すことを避けることが一般的に望ましいので、理想的には、舌の位置をあまり動かさずに維持する必要がある。図9のシールド付挿管ガイド910の例では、複数の拡張可能な領域701の使用から生じる本体111の遠位端の実質的に平坦な構成は、舌を後方に押したり、咽頭に触れたりせずに、また、対象者に咽頭反射を誘発しないようにして、シールド付挿管ガイド910のこの部分がより容易に舌やパレットを横断することを可能にする。
【0209】
上述した拡張可能領域701は、本体111の壁に縦溝の形で示されているが、これは、本体が円周方向に拡張する拡張可能領域を備えるための適切な構築技術の例にすぎず、他の多くの技術が当業者に利用可能であることが理解されるだろう。例えば、適切な拡張可能領域は、本体111の残りの部分と比較して比較的柔軟な材料を使用して、または本体111の円周方向の拡張を容易にするために互いにスライドできる重なり合う壁面を備えることによって形成されていてもよい。
【0210】
シールド付挿管ガイド1010の別の例を図10に示す。この場合、上記に示した一体型キャップ730の代わりに、別個の取り外し可能なキャップシール部分1030が備えられている。この例のキャップシール部分1030はまた、特に、キャップシール部分1030が、近位開口113が画定されている突出部分116と係合し、引っ張る動作とは対照的に、剥離動作で取り外すことができるようにキャップシール部分1030の側面に延びた取り外しタブ1031を有する点で、上記の一体型キャップ730と比べてわずかに異なる設計を有している。
【0211】
さらに、この例では、キャップシール1030は、近位開口113を覆うための一体型シール1032を含み、シール1032は、通常、近位開口113を密封するために閉位置にあり、挿管装置140のブレード部142が近位開口113を通じて挿入され、それにより、図6のシールド付挿管ガイド600の前述の実施形態のシール601と同様の方法で機能するとき、開位置に移動可能である。キャップシール1030は、その中に形成された1つ以上のスリット1033または他のオリフィスを有するシール膜1032を含んでいてもよい。それによって、挿入時にブレード部142を許容する。
【0212】
上述したシール601によると、挿入物の周りの近位開口113を部分的に密封することによって、喉頭鏡ブレードおよび気管内チューブが近位開口113の内側に配置されている間でさえ、キャップシール1030は、流体、エアロゾルまたは液滴からの保護を改善できるようにすることを意図している。喉頭鏡ブレードと気管内チューブが取り外されると、シール膜1032は元の閉位置に戻り、それによって完全なシールが再形成される。
【0213】
別個のキャップシール部分1030にシール1032を備えることにより、キャップシール部分1030がシリコーンまたはゴム材料などの適切な弾性材料から形成されることができ、一方で、シールド付挿管ガイド1010は完全に異なる材料から形成されることが可能になることが理解されるだろう。これにより、シールド付挿管ガイド1010の製造を大幅に簡素化できる。
【0214】
取り外し可能なキャップの使用は、非映像または直視喉頭鏡での使用に特に望ましい場合があり、それにより、ユーザーが近位開口113および通路112を通じて見通しの良い視線を有することが可能となることも理解されるだろう。
【0215】
シールド付挿管ガイド1110の別の例を図11Aから11Cに示す。シールド付挿管ガイド1110は、図10に示されるシールド付挿管ガイド1010の上記の例のように、別個の取り外し可能なキャップシール部分1030を含んでいるが、この場合はまた、シールド付挿管ガイド1110は、シールド120および本体111に組み込まれるいくつかの追加のオプション機能を含んでいる。
【0216】
この例では、シールド付挿管ガイド1110は、様々な目的のために対象者の口腔へのアクセスを容易にするために、主通路112とは別に、異なるタイプのシールド120を通る追加の開口を含んでいる。この特定の例では、シールド付挿管ガイド1110は、近位開口114のいずれかの側に配置された一対の吸引ポート1140および一対の排挿管液導管1150を含んでいる。
【0217】
吸引ポート1140は、挿管前または挿管中の唾液、血液または嘔吐物などの流体の吸引を容易にするために備えられていてもよい。各吸引ポート1140は、シールド120に通じる開口を備えており、そこを通して、吸引チューブまたは他の適切な吸引装置を挿入して、対象者の口腔からの流体の吸引を可能にすることができる。この例では、各吸引ポート1140の開口は、シールド120に対してある角度で画定され、その結果、吸引チューブまたは吸引装置は、吸引ポート1140を通じて挿入されるとき、本体111に向けられる。結果として、吸引チューブまたは吸引装置は、吸引ポート1140を通じて挿入されるとき、対象者の咽頭に向かって本体の側壁に従うことができ、使用中において吸引チューブ/装置の先端の適切な位置決めを支援することができる。
【0218】
この例では、吸引ポート1140はまた、吸引ポート開口を閉じるためのポートシール1141を含んでいてもよい。ポートシール1141は、上述の例のシール601、1032について上述した同様の方法で機能することが好ましいが、使用中において吸引チューブ/装置の挿入を可能にするように構成されている(挿管装置140のブレード部142とは対照的に)。したがって、ポートシール1141は吸引ポート1140をシールするために通常は閉位置にあり、吸引チューブ/装置が吸引ポート1140を通して挿入されるときに開位置に移動可能であるように、各ポートシール1141が構成されていてもよいことが理解されよう。好ましくは、ポートシール1141は、使用中において吸引チューブ/装置を取り囲む部分的なシールを形成するように構成されていてもよい。ポートシール1141は、さもなければ吸引ポート1140から漏れるおそれがある対象者の口からの放出物を低減するのに役立ち得ることが理解されよう。
【0219】
図11Aから11Cに示されるシールド付挿管ガイド1110の実施形態は、近位開口113(この例ではキャップシール1030によって覆われる)のいずれかの側に配置された排液導管1150をさらに含んでいる。排液導管は、対象者の口腔からの浮遊液滴またはエアロゾルを伴う空気を含む流体の排出を可能にするために備えられている。
【0220】
図11Aのシールド付挿管ガイド1110の正面図に見られるように、各排水導管1150は、シールド120の側縁223、224の近くの近位導管開口1151に対して、近位開口113(この例ではキャップシール130によって覆われている)に隣接して配置されたシールド120を通じて各導管開口からシールド120に沿って延びている。図11Bおよび11Cのシールド付挿管ガイド1110の背面図に目を向けると、各排液導管1150は、平行配置で本体111に沿って部分的に延びており、シールド付挿管ガイド1110の本体111が対象者の口に挿入されるとき、対象者の口腔内に配置される遠位導管開口1153を備えた導管本体部1152を含んでいる。
【0221】
対象者がベッド、手術台などに横になっているとき、排液導管1150の近位導管開口1151は、シールド120の両方の側縁に向かって下向きになり、遠位導管開口1153は対象者の口の内側で本体111およびその内部通路112のそれぞれの側面で咽頭に面することが理解されよう。カテーテルまたはチューブは、排液導管1150の近位開口1151に接続されていてもよい。その他端は、任意の微生物を捕獲するためのウイルス/細菌フィルターを備えた吸引源または他の形態のエアーフローに接続され、それにより、流体、液滴またはエアロゾルの放出物にユーザーを曝露することなく、排水導管11150を経由して排液が可能となる。近位導管開口1151の直径は、標準的な管との接続のために標準的である必要がある。しかし、吸引または気流の吸引カテーテルが追加されていない場合でも、エアロゾルの流出(存在する場合)は(ユーザーではなく)床に向けられる。近位導管開口1151は、これらが排液に使用されていないとき、それぞれの導管キャップ(図示せず)で閉じられ、それによって、放出物が排液導管を通じて漏れるのを防ぐことができる。
【0222】
この例では、シールド120は、対象者の顔と係合してそれによって対象者の口の周りにシールを形成するように構成されたリム1160を含んでいる。この例では、リム1160はシールド120の円周の周りに延びているが、これは必須ではなく、いくつかの例では、リムはシールド120の縁の内側に配置されていてもよい。リム1160は、強化されたシーリング効果を備えるために、一般的な換気マスクのように、発泡体または膨張可能なカフを備えていてもよい。リム1160は、気管内挿管手順の前および最中の両方で、対象者の口からの放出物をさらに減らすことができることが理解されよう。
【0223】
この特定の実施形態では、本体111は、シールドの近くで本体111を取り囲む肥厚した領域1170を含んでいる。この肥厚した領域1170は、挿入中に挿管装置140のブレード部142から対象者の歯を保護するのに役立つことができ、また、対象者が歯で噛み付いた場合の損傷から本体111を保護するのに役立つことができる。本体111は、本体111から外向きに突出し、シールド120からずれて配置された歯の突起1181、1182をさらに含んでいてもよい。歯の突起1181、1182は、使用中において対象者の歯の内面と係合するように備えられており、本体111が挿入された後、シールド付挿管ガイド1110を口の中に固定するのに役立つ。
【0224】
図12および13は、シールド付挿管ガイドの実施形態のさらなる例を示しており、以下で論じられるように、本体111の設計に対するいくつかの潜在的な変形を示す。
【0225】
図12は、前の例と比較して比較的短い本体構成を有する、シールド付挿管ガイド1210の例を示す。この場合、本体111の長さは、シールド付挿管ガイド1210が対象者の口内に挿入されたときに、遠位開口114が対象者の口腔内、特に舌と対象者の口蓋との間に配置されるように選択されている。この短い本体の構成は、気管内挿管の前、特に覚醒している対象者に気管内挿管を行う際に、咳または咽頭反射を回避するのに役立ち得る。
【0226】
図13は長手方向に拡張可能な本体111を有する、シールド付挿管ガイド1310の別の例を示す。この例では、本体は、本体111の周りに円周方向に延在し、使用中において本体111が長手方向に拡張することを可能にする、長手方向に拡張可能な領域1301を含んでいる。シールド付挿管ガイド1310は、本体111が最初は対象者の口に挿入されるために比較的短い構成であって、通常は折りたたまれた状態で、長手方向に拡張可能である領域1301を備えてもよい。
【0227】
シールド付挿管ガイド1310が対象者の口に挿入されるとき、遠位開口114は、対象者の口腔内、特に対象者の舌と口蓋との間に配置され得る。次に、挿管装置140のブレード部142が通路112に導入されると、長手方向に拡張可能な領域1301が拡張して、それによって本体111を長手方向に拡張する。
【0228】
これは、遠位開口114が、対象者の舌および咽頭内の口蓋を越えてなど、対象者の気道のより深い位置に移動されるように、本体111を効果的に延長することになることが理解されよう。使用中の遠位開口114の特定の配置はもちろん、シールド付挿管ガイド1310、特に本体111および長手方向に拡張可能な領域1301の構成によって決まる。いずれにせよ、本体111の延長は、気管内挿管手順中に気管内チューブを導くことを支援する。
【0229】
図13に見られるように、長手方向に拡張可能な領域1301は、アコーディオンに似た構造で備えられることができ、好ましくは、比較的柔軟な材料から形成され、および/または拡張性を促進するために比較的薄い厚さを有する。しかし、長手方向に拡張可能な領域1301を備えるために、代替の構成技術を使用されてもよいことが理解されよう。例えば、適切な長手方向に拡張可能な領域1301は、伸縮式の本体部を使用して備えられてもよい。
【0230】
いずれにせよ、本体111を長手方向に拡張する性質により、シールド付挿管ガイド1310が、覚醒している対象者から麻痺した対象者までの連続体で使用されることが可能になる。麻痺していない対象者に比較的長い固定された体長を有するシールド付挿管ガイドを使用すると、咳や咽頭反射を引き起こす危険性がある。
【0231】
この例では、ブレード部142を通路112へ挿入すると、遠位開口114付近の他の周方向に拡張可能な拡張領域701の構成が、ブレード部142の周りに比較的密接な嵌合を形成し、ブレード部142が本体111の遠位端に圧力を加えて、それによって通常は折り畳まれた長手方向に拡張可能な領域1301を拡張させる結果となるので、長手方向に拡張可能な領域1301を拡張させることになる。これは、それぞれの拡張可能領域701、1301を必要とし、ブレード部142が遠位開口114を通過可能にするために円周方向に拡張可能な領域701が拡張する前に、長手方向に拡張可能な領域1301が拡張するように構成されていることが理解されよう。あるいは、拡張が外部の活性化された拡張機構などによって引き起こされ得ることが理解されよう。
【0232】
図14Aおよび14Bは、シールド付挿管ガイド110の第1の例を備えた従来の喉頭鏡を使用して気管内チューブを手動で前進させるステップを示す断面図である。図14Aおよび14Bに示されるステップは、図1Aから1Hを参照して説明される方法の図1Eおよび1Fに示されるステップを効果的に置き換えるが、上記で示した片手バージョンの挿管装置の代わりに、従来の喉頭鏡を挿管装置140として使用することが理解されるだろう。この例の従来の喉頭鏡は、直視またはビデオ喉頭鏡のいずれかであってもよいことが理解されよう。
【0233】
挿管装置140のブレード部142は、一般に図1Dのように、シールド付挿管ガイド110の通路112に挿入されており、上述のように、挿入中に光源が作動され得ると想定される。しかし、図14Aに関して、この場合、気管内チューブ150は挿管装置140とは別に提供されている。図14Bを見ると、気管内チューブ150は、挿管装置140のブレード部142に沿って、通路112を通じて手動で進められ、気管内チューブ150の先端151を対象者の気管105に導入する。その後、残りの方法は通常、図1Gから1Hを参照して上述のように継続することができる。
【0234】
従来の喉頭鏡がこのように挿管装置140として使用される場合、ユーザーは通常、片方の手で挿管装置140のハンドル141を保持し、もう一方の手で気管内チューブ150を手動で前進させることが理解されよう。
【0235】
いずれにせよ、シールド付挿管ガイドの上記の異なる実施形態は、手順全体を通して口からの放出物を実質的に低減しながら、気管内挿管を行うことを可能にすることが理解されよう。
【0236】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の必要がない限り、「comprise」という単語、および「comprises」または「comprising」などの変化形は、記載された整数、または整数群もしくはステップ群を含むことを意味すると理解され、他の整数または整数群を除外するものではない。本明細書で使用され、特に明記されていない限り、「およそ」という用語は±20%を意味する。
【0237】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象者を含むことに留意する必要がある。したがって、例えば、「支持体」への言及は、複数の支持体を含んでいる。本明細書および以下の特許請求の範囲では、多くの用語が参照されるが、これらの用語は反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を持つように定義されるものとする。
【0238】
もちろん、上記は本発明の例示であり、当業者には明らかなように、この発明の他のすべての変更および変形は、ここに規定される本発明の広い範囲および周辺に含まれているものとみなされることを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B