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特許7605501電子装置、セキュリティ制御方法、及びプログラム
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  • 特許-電子装置、セキュリティ制御方法、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】電子装置、セキュリティ制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20241217BHJP
   G06F 21/44 20130101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F21/62
G06F21/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022190015
(22)【出願日】2022-11-29
(65)【公開番号】P2024077829
(43)【公開日】2024-06-10
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 優也
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-052023(JP,A)
【文献】特開2009-033565(JP,A)
【文献】特開2012-004796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06F 21/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と通信可能に構成された電子装置であって、
前記電子装置内に配置されるとともに前記電子装置の姿勢を検出するように構成された姿勢検出部と、
前記電子装置内に配置されるとともに前記電子装置内の所定の位置の温度を検出するように構成された温度検出部と、
前記端末と通信を行うように構成された通信部と、
前記姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記通信部での前記端末との新規の無線接続を許可するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるように構成された安全機能部を備え、
前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である、
電子装置。
【請求項2】
前記安全機能部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置をシャットダウンさせるように構成されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記非通常の姿勢を検出した後、前記姿勢検出部で前記電子装置の通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを元に戻して前記通信部での新規の無線接続を拒否するように構成され、
前記通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けても前記電子装置が動作を維持する姿勢である、
請求項1記載の電子装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出しないときに、セキュリティレベルを下げたまま前記通信部での前記端末との新規の無線接続を許可する状態を継続するように構成されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項5】
前記姿勢検出部は、加速度センサ、ジャイロセンサ、姿勢センサ、慣性センサ、重力センサ、又は、半導体集積回路の一部に備えられたものである、
請求項1記載の電子装置。
【請求項6】
前記温度検出部は、放射温度センサ、サーミスタ、又は、半導体集積回路の一部に備えられたものである、
請求項1記載の電子装置。
【請求項7】
前記温度検出部は、前記電子装置内の複数箇所に配置され、かつ、前記電子装置内の温度分布を検出するように構成され、
前記安全機能部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度となるような温度分布を検出したときに前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるように構成されている、
請求項1記載の電子装置。
【請求項8】
前記非通常の姿勢は、前記電子装置の外観構成の長手方向が縦方向となる縦配置であり、
前記電子装置の通常の姿勢は、前記電子装置の外観構成の長手方向が横方向となる横配置である、
請求項1記載の電子装置。
【請求項9】
端末と電子装置との間の通信のセキュリティレベルを制御するセキュリティ制御方法であって、
前記電子装置が、前記電子装置内に配置された姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記端末との新規の無線接続を許可するステップと、
前記電子装置が、前記非通常の姿勢のまま、前記電子装置内に所定の位置に配置された温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるステップと、
を含み、
前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である、
セキュリティ制御方法。
【請求項10】
端末と電子装置との間の通信のセキュリティレベルを制御する処理を前記電子装置に実行させるプログラムであって、
前記電子装置内に配置された姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記端末との新規の無線接続を許可する処理と、
前記非通常の姿勢のまま、前記電子装置内に所定の位置に配置された温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させる処理と、
を前記電子装置に実行させ、
前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、セキュリティ制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置として宅内に設置される無線通信装置(例えば、Wi-Fiルータ)は、電波が届く範囲であれば宅外の端末からでもアクセスすることができる。また、無線通信装置に無線接続しようとする新規の端末にパスワードを入力することにより当該端末を無線通信装置と無線接続することが常時可能である。これにより、パスワードの漏洩があった場合、悪意あるユーザが宅外から新規の端末にパスワードを入力して当該端末を無線通信装置に、ユーザに無断で無線接続することが常時可能である。また、パスワードの漏洩がなかったとしても、悪意あるユーザが電波の届く範囲で新規の端末を用いることにより、長い時間をかけて文字列を1つずつ変えて解読を試すブルートフォースのような方法でパスワードを破ることで当該端末を無線通信装置に無断で無線接続することが可能である。
【0003】
このような無断の無線接続の対策として、例えば、無線通信装置にボタン(スイッチ)を設け、当該ボタンを押してから所定時間だけセキュリティレベルを下げてパスワードの入力なしで新規の端末を無線通信装置に無線接続できるようにした方法(WPS:Wi-Fi protected setup)がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-175524号
【文献】特表2005-521162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0006】
しかしながら、上記のような方法では、無線通信装置にボタン(スイッチ)が必要であり、ボタンによって無線通信装置の外観性に大きな影響を与える。
【0007】
また、無線通信装置の外観性に大きな影響を与えずにセキュリティレベルを下げる方法として、例えば、ウェアラブル装置が人に装着されているときに回路を動作させ、外されると回路を停止させる方法を適用することが考えられるが(例えば、特許文献2参照)、このような方法では、無線通信装置及び端末以外にウェアラブル装置が必要となるとともに、無線通信装置を、ウェアラブル装置の構成に適応するように構成を変更する必要があり、汎用性に影響を与える。
【0008】
本発明の主な課題は、外観性や汎用性に影響を与えることなくセキュリティレベルを下げた状態を管理することに貢献することができる電子装置、セキュリティ制御方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の視点に係る電子装置は、端末と通信可能に構成された電子装置であって、前記電子装置内に配置されるとともに前記電子装置の姿勢を検出するように構成された姿勢検出部と、前記電子装置内に配置されるとともに前記電子装置内の所定の位置の温度を検出するように構成された温度検出部と、前記端末と通信を行うように構成された通信部と、前記姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記通信部での前記端末との新規の無線接続を許可するように構成された制御部と、を備え、前記制御部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるように構成された安全機能部を備え、前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である。
【0010】
第2の視点に係るセキュリティ制御方法は、端末と電子装置との間の通信のセキュリティレベルを制御するセキュリティ制御方法であって、前記電子装置が、前記電子装置内に配置された姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記端末との新規の無線接続を許可するステップと、前記電子装置が、前記非通常の姿勢のまま、前記電子装置内に所定の位置に配置された温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるステップと、を含み、前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である。
【0011】
第3の視点に係るプログラムは、端末と電子装置との間の通信のセキュリティレベルを制御する処理を前記電子装置に実行させるプログラムであって、前記電子装置内に配置された姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記端末との新規の無線接続を許可する処理と、前記非通常の姿勢のまま、前記電子装置内に所定の位置に配置された温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させる処理と、を前記電子装置に実行させ、前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である。
【0012】
なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。また、本開示では、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
前記第1~第3の視点によれば、外観性や汎用性に影響を与えることなくセキュリティレベルを下げた状態を管理することに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る電子装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図2】実施形態1に係る電子装置の縦配置及び横配置のそれぞれの外観を模式的に示した斜視図である。
図3】実施形態1に係る電子装置の動作を模式的に示したフローチャート図である。
図4】実施形態2に係る電子装置の構成を模式的に示したブロック図である。
図5】ハードウェア資源の構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェイスも同様である。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェイスを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0016】
[実施形態1]
実施形態1に係る電子装置について図面を用いて説明する。図1は、実施形態1に係る電子装置の構成を模式的に示したブロック図である。図2は、実施形態1に係る電子装置の縦配置及び横配置のそれぞれの外観を模式的に示した斜視図である。
【0017】
電子装置10は、発熱する電子部品(図示せず)を内蔵する装置である(図1参照)。電子装置10は、ユーザが電子装置10(筐体;図示せず)の姿勢を変化させることによりセキュリティレベルを下げる機能を備える。電子装置10は、セキュリティレベルが下がっているときに、ユーザの操作により正しいパスワードが入力された新規の端末20から当該パスワードを受信することにより、当該端末20を電子装置10と無線接続する機能を備える。また、電子装置10は、WPSと同様な機能を利用して、セキュリティレベルが下がっているときに、パスワードの入力なしで新規の端末20を電子装置10に無線接続できるようにしてもよい。電子装置10は、セキュリティレベルが下がってから電子装置10の所定の位置の温度が規定値以上となったとき(温度分布が所定の分布になったときでも可)に電子装置10の動作をシャットダウンさせる機能を備える。電子装置10は、ユーザが電子装置10の姿勢を元に戻すことによりセキュリティレベルを上げる(元に戻す)機能を備える。電子装置10として、2段階以上のセキュリティレベルを切り替えることが可能な装置を用いることができ、例えば、Wi-Fiルータ、Bluetooth(登録商標)トランスミッタ等の無線中継機のような無線通信装置だけでなく、スマートスピーカー等にも用いることができる。電子装置10は、筐体内において、姿勢検出部11と、温度検出部12と、制御部13と、通信部15と、主機能部16と、を備える。
【0018】
姿勢検出部11は、電子装置10の姿勢(向き)を検出する機能部である(図1参照)。姿勢検出部11は、電子装置10(筐体)内に配置(実装、保持、実装基板に搭載等)されている。姿勢検出部11は、電子装置10の外観に表れておらず、ボタンやスイッチのような機構を備えていない。姿勢検出部11として、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、姿勢センサ、慣性センサ、重力センサ等を用いることができる。姿勢検出部11は、専用の素子を用いてもよく、半導体集積回路の一部に備えられたものでもよい。姿勢検出部11は、姿勢を変化(通常の姿勢から非通常の姿勢へ変化)してから時間が経つと電子装置10内の所定の位置の温度が高くなる非通常の姿勢(例えば、横配置、図2参照)と、姿勢を変化(非通常の姿勢から通常の姿勢へ変化)してから時間が経つと電子装置10内の当該所定の位置の温度が低くなる通常の姿勢(例えば、縦配置、図2参照)と、を検出することができる。
【0019】
温度検出部12は、電子装置10(筐体)内の所定の位置の温度を検出する機能部である(図1参照)。温度検出部12は、電子装置10(筐体)内に配置(実装、保持、実装基板に搭載等)されている。温度検出部12は、電子装置10内の複数箇所に配置して、電子装置10内の温度分布を検出するようにしてもよい。温度検出部12として、例えば、放射温度センサ、サーミスタ等を用いてもよく、半導体集積回路の一部に備えられたものでもよい。
【0020】
制御部13は、姿勢検出部11、温度検出部12、通信部15、及び、主機能部16を制御する機能部である。制御部13は、所定のプログラムを実行することにより、所定の処理を行う。制御部13は、電子装置10の主機能部16(プロセッサ)の一部を利用したものでもよい。制御部13は、姿勢検出部11で非通常の姿勢(例えば、横配置、図2参照)を検出しているときにセキュリティレベルを下げて通信部15での新規の無線接続を許可し、姿勢検出部11で通常の姿勢(例えば、縦配置、図2参照)を検出しているときにセキュリティレベルを上げて(元に戻して)通信部15での新規の無線接続を拒否する。制御部13は、温度検出部12で検出された温度が規定値以上になると電子装置10をシャットダウン(電子装置10の一部の機能の停止(例えば、通信機能の停止)でも可)する安全機能部14を備える。規定値は、電子装置10の温度の上昇により動作不良が生ずる手前の任意の温度とすることができる。ここでは、電子装置10の姿勢の変化によって電子装置10内の所定の位置の温度が高くなる場合を説明しているが、電子装置10の姿勢の変化によって電子装置10内の所定の位置の温度が低くなる場合であってもよく、制御部13は、温度検出部12で検出された温度が規定値以下になると電子装置10をシャットダウンするようにしてもよい。
【0021】
通信部15は、端末20と通信を行う機能部である(図1参照)。通信部15は、ユーザの端末20に対する私的な通信を担うものである。通信部15は、例えば、Wi-Fi(無線LAN(Local Area Network))、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信を行うものを用いることができる。
【0022】
主機能部16は、電子装置10の主機能として動作する機能部である(図1参照)。主機能部16として、例えば、中継装置、スピーカ、マイク、メモリ、プロセッサ等を用いることができる。
【0023】
端末20は、ユーザが使用する情報通信端末である(図1参照)。端末20として、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。端末20は、電子装置10と無線通信可能である。
【0024】
ここで、電子装置10の縦配置及び横配置について説明する。図2を参照すると、通常の姿勢が縦配置(外観構成の長手方向が縦方向となるように配置)である縦配置型の電子装置10は、縦配置にしたときに空気の対流によって電子装置10の温度が規定値以下に収まるように設計される。このような電子装置10を非通常の姿勢である横配置(長手方向が横方向となるように配置)にすると、空気の対流が想定通りにならず、横配置が続くと温度が規定値より高くなり、電子装置10が動作不良や高温になる可能性がある。それを防ぐため、実施形態1では、電子装置10の制御部13は、電子装置10内の所定の位置の温度が規定値以上になると電子装置10をシャットダウンさせる安全機能部14を備える。なお、ここでは電子装置10の縦配置及び横配置の場合について説明したが、通常の姿勢が横配置で、かつ、非通常の姿勢が縦配置である場合であってもよく、通常の姿勢が上面を上にした配置で、かつ、非通常の姿勢が上面を下にした配置である場合であってもよく、その他の場合であってもよい。また、通常の姿勢は、その姿勢で電子装置10を通電し続けても電子装置10が動作を維持する姿勢であり、非通常の姿勢は、その姿勢で電子装置10を通電し続けると電子装置10の動作を維持できなくなる姿勢である。
【0025】
実施形態1に係る電子装置の動作について図面を用いて説明する図3は、実施形態1に係る電子装置の動作を模式的に示したフローチャート図である。なお、電子装置の構成については、図1を参照されたい。
【0026】
最初に、又は、通常の姿勢を検出している場合(ステップA1のNO)、若しくは、ステップA6の後、電子装置10の電源を入れて動作が開始すると、電子装置10の制御部13は、姿勢検出部11で電子装置10の非通常の姿勢(例えば、横配置)を検出しているか否かを確認する(ステップA1)。通常の姿勢を検出している場合(ステップA1のNO)、所定時間をおいてから、ステップA1に戻る。ユーザが新規の端末20を電子装置10に無線接続するために電子装置10を非通常の姿勢にする等によって、非通常の姿勢を検出している場合(ステップA1のYES)、ステップA2に進む。
【0027】
非通常の姿勢を検出している場合(ステップA1のYES)、電子装置10の制御部13は、セキュリティレベルを下げて通信部15での端末20との新規の無線接続を許可する(ステップA2)。これにより、ユーザが端末20にパスワードを入力することで端末20を電子装置10に無線接続することができる。無線接続に成功すると、ユーザは電子装置10を通常の姿勢に戻すことになる。
【0028】
ステップA2の後、又は、規定値以上の温度を検出していない場合(ステップA4のNO)、電子装置10の制御部13は、姿勢検出部11で電子装置10の通常の姿勢(例えば、縦配置)を検出しているか否かを確認する(ステップA3)。通常の姿勢を検出している場合(ステップA3のYES)、ステップA6に進む。ユーザが電子装置10を通常の姿勢に戻すのを忘れたりする等により、非通常の姿勢を検出している場合(ステップA3のNO)、電子装置10の所定の位置の温度が上昇するため、その確認のために、ステップA4に進む。
【0029】
非通常の姿勢を検出している場合(ステップA3のNO)、電子装置10の制御部13の安全機能部14は、温度検出部12で規定値以上の温度を検出しているか否かを確認する(ステップA4)。規定値以上の温度を検出していない場合(ステップA4のNO)、セキュリティレベルを下げたまま通信部15での端末20との新規の無線接続を許可する状態を継続し、ステップA3に戻る。
【0030】
規定値以上の温度を検出している場合(ステップA4のYES)、電子装置10の制御部13は、電子装置10の動作をシャットダウンさせ(ステップA5)、その後、終了する。これにより、電子装置10は、新規の無線接続を許可した状態のまま動作し続けることはなく、セキュリティが確保される。
【0031】
通常の姿勢を検出している場合(ステップA3のYES)、電子装置10の制御部13は、セキュリティレベルを上げて通信部15での新規の無線接続を拒否し(ステップA6)、その後、ステップA1に戻る。
【0032】
実施形態1によれば、姿勢検出部11及び温度検出部12を電子装置10内に配置し、かつ、電子装置10が元々搭載している制御部13において安全機能部14を設定し、電子装置10を非通常の姿勢にしてセキュリティレベルを下げて、非通常の姿勢が継続して電子装置10内の所定の位置の温度が規定値以上となったときに電子装置10をシャットダウンさせているので、外観性や汎用性に影響を与えることなくセキュリティレベルを下げた状態を管理することに貢献することができる。
【0033】
また、実施形態1によれば、電子装置10がセキュリティレベルを下げる期間(新規無線接続許可期間)が、電子装置10が非通常の姿勢になってから安全機能が動作するまでの間に限定されているので、セキュリティ性を高めることができる。
【0034】
また、実施形態1によれば、外観性に影響を与えるような機構(ボタン、スイッチ等)が不要となるので、電子部品を削減することができる。
【0035】
さらに、実施形態1によれば、外観性に影響を与えるような機構(ボタン、スイッチ等)を追加する必要がなくなり、無線接続させる端末20の構成にも変更する必要がない。
【0036】
[実施形態2]
実施形態2に係る電子装置について図面を用いて説明する。図4は、実施形態2に係る電子装置の構成を模式的に示したブロック図である。
【0037】
電子装置10は、端末20と通信可能に構成された装置である。電子装置10は、姿勢検出部11と、温度検出部12と、通信部15と、制御部13と、を備える。
【0038】
姿勢検出部11は、電子装置10内に配置されるとともに電子装置10の姿勢を検出するように構成されている。温度検出部12は、電子装置10内に配置されるとともに電子装置10内の所定の位置の温度を検出するように構成されている。通信部15は、端末20と通信を行うように構成されている。制御部13は、姿勢検出部11で電子装置10の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて通信部15での端末20との新規の無線接続を許可するように構成されている。制御部13は、非通常の姿勢のまま温度検出部12で規定値以上(規定値以下でも可)の温度を検出したときに、電子装置10の少なくとも一部の機能を停止させるように構成された安全機能部14を備える。ここで、非通常の姿勢は、その姿勢で電子装置10を通電し続けると電子装置10が動作を維持できなくなる姿勢である。
【0039】
実施形態2によれば、姿勢検出部11及び温度検出部12を電子装置10内に配置し、かつ、電子装置10が元々搭載している制御部13において安全機能部14を設定し、電子装置10を非通常の姿勢にしてセキュリティレベルを下げて、非通常の姿勢が継続して電子装置10内の所定の位置の温度が規定値以上となったときに電子装置10の少なくとも一部の機能を停止させているので、外観性や汎用性に影響を与えることなくセキュリティレベルを下げた状態を管理することに貢献することができる。
【0040】
なお、実施形態1、2に係る電子装置は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)により構成することができ、図5に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源100は、内部バス104により相互に接続される、プロセッサ101、メモリ102、ネットワークインタフェイス103等を備える。
【0041】
なお、図5に示す構成は、ハードウェア資源100のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源100は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。あるいは、装置に含まれるプロセッサ101等のユニットの数も図5の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ101がハードウェア資源100に含まれていてもよい。プロセッサ101には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0042】
メモリ102には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0043】
ネットワークインタフェイス103には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0044】
ハードウェア資源100の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ102に格納されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0045】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0046】
[付記1]
端末と通信可能に構成された電子装置であって、
前記電子装置内に配置されるとともに前記電子装置の姿勢を検出するように構成された姿勢検出部と、
前記電子装置内に配置されるとともに前記電子装置内の所定の位置の温度を検出するように構成された温度検出部と、
前記端末と通信を行うように構成された通信部と、
前記姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記通信部での前記端末との新規の無線接続を許可するように構成された制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるように構成された安全機能部を備え、
前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である、
電子装置。
[付記2]
前記安全機能部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置をシャットダウンさせるように構成されている、付記1記載の電子装置。
[付記3]
前記制御部は、前記非通常の姿勢を検出した後、前記姿勢検出部で前記電子装置の通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを元に戻して前記通信部での新規の無線接続を拒否するように構成され、
前記通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けても前記電子装置が動作を維持する姿勢である、
付記1記載の電子装置。
[付記4]
前記制御部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出しないときに、セキュリティレベルを下げたまま前記通信部での前記端末との新規の無線接続を許可する状態を継続するように構成されている、
付記1記載の電子装置。
[付記5]
前記姿勢検出部は、加速度センサ、ジャイロセンサ、姿勢センサ、慣性センサ、重力センサ、又は、半導体集積回路の一部に備えられたものである、
付記1記載の電子装置。
[付記6]
前記温度検出部は、放射温度センサ、サーミスタ、又は、半導体集積回路の一部に備えられたものである、
付記1記載の電子装置。
[付記7]
前記温度検出部は、前記電子装置内の複数箇所に配置され、かつ、前記電子装置内の温度分布を検出するように構成され、
前記安全機能部は、前記非通常の姿勢のまま前記温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度となるような温度分布を検出したときに前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるように構成されている、
付記1記載の電子装置。
[付記8]
前記非通常の姿勢は、前記電子装置の外観構成の長手方向が縦方向となる縦配置であり、
前記電子装置の通常の姿勢は、前記電子装置の外観構成の長手方向が横方向となる横配置である、
付記1記載の電子装置。
[付記9]
端末と電子装置との間の通信のセキュリティレベルを制御するセキュリティ制御方法であって、
前記電子装置が、前記電子装置内に配置された姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記端末との新規の無線接続を許可するステップと、
前記電子装置が、前記非通常の姿勢のまま、前記電子装置内に所定の位置に配置された温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させるステップと、
を含み、
前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である、
セキュリティ制御方法。
[付記10]
端末と電子装置との間の通信のセキュリティレベルを制御する処理を前記電子装置に実行させるプログラムであって、
前記電子装置内に配置された姿勢検出部で前記電子装置の非通常の姿勢を検出したときに、セキュリティレベルを下げて前記端末との新規の無線接続を許可する処理と、
前記非通常の姿勢のまま、前記電子装置内に所定の位置に配置された温度検出部で規定値以上又は規定値以下の温度を検出したときに、前記電子装置の少なくとも一部の機能を停止させる処理と、
を前記電子装置に実行させ、
前記非通常の姿勢は、その姿勢で前記電子装置を通電し続けると前記電子装置が動作を維持できなくなる姿勢である、
プログラム。
【0047】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0048】
10 電子装置
11 姿勢検出部
12 温度検出部
13 制御部
14 安全機能部
15 通信部
16 主機能部
20 端末
100 ハードウェア資源
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ネットワークインタフェイス
104 内部バス
図1
図2
図3
図4
図5