(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】複合材のための可変ズームX線コンピュータ断層撮影方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20241217BHJP
【FI】
G01N23/046
(21)【出願番号】P 2022521454
(86)(22)【出願日】2020-10-09
(86)【国際出願番号】 US2020055030
(87)【国際公開番号】W WO2021072229
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-10-04
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・マケエフ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ・ニキシコフ
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-173175(JP,A)
【文献】特開平06-094651(JP,A)
【文献】特開2014-194414(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0233692(US,A1)
【文献】特表2011-510313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線コンピュータ断層撮影(CT)スキャナの可変ズーム方法であって、
X線源からX線ビームを放出して、視野(FOV)内の標本の関心の領域(ROI)を検出器上に投影することと、
前記標本を標本ステージの回転軸の周りに回転させ、かつ前記標本ステージを前記X線源と前記検出器との間の取得軌跡に沿って並進させながら、前記検出器で前記標本の前記ROIの投影を得ることと、
再構成コンピュータによって、前記検出器によって走査された前記投影から前記標本の3次元体積を再構成することと、を含み、
前記取得軌跡が、前記標本ステージの各回転角度での前記X線源と前記標本ステージの前記回転軸との間の線源被写体間距離(SOD)を特定し、
前記3次元体積を再構成することが、
前記標本ステージの各回転角度での前記SODに基づいて放射線写真のセットを重み付けすることを含む、方法。
【請求項2】
前記標本を回転させ、かつ並進させている間、前記X線源および前記検出器が、静止している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ROIが、前記検出器の中心エリア上に投影される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記取得軌跡が、前記標本ステージの前記回転軸を前記FOVの中心に沿って並進させる、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記取得軌跡に沿った初期SODが、SOD
ROIであり、前記SOD
ROIが、前記ROIが完全に前記FOV内にある最近接SODである、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記標本ステージの回転角度が閾値角度未満である間、前記SOD
ROIが、前記ROIが前記FOV内に留まる最近接SODである、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記標本ステージの各回転角度での前記SODが、以下であり:
【数1】
式中、θが、前記標本ステージの前記回転角度であり、SOD(θ)が、前記標本ステージの各回転角度での前記SODであり、SOD
ROIが、前記初期SODであり、S
0が、安全オフセットであり、S
Pが、標本幅であり、T
Pが、標本厚さである、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記標本ステージの前記回転角度が前記閾値角度未満である間、SOD(θ)=SOD
ROIである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記3次元体積を再構成することが、
前記標本ステージの各回転角度での前記SODに基づく重み付け係数で、フィルタリングされた放射線写真のセットの逆投影を重み付けすることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記重み付け係数が、以下を含み:
【数2】
式中、w
vzが、前記重み付け係数であり、SOD(θ)が、前記標本ステージの各回転角度での前記SODであり、SDDが、線源検出器間距離である、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元体積を再構成することが、
各投影角度および前記SODに対する体積変換への投影を計算して、前記フィルタリングされた放射線写真のセットの前記逆投影を生成することと、
補間方法に基づいて、前記3次元体積のボクセルに、重み付けされた逆投影された画素値を追加して、前記3次元体積の前記再構成を生成することと、をさらに含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記3次元体積を再構成することが、
周波数領域のランプフィルタを計算することと、
前記ランプフィルタに基づいて、重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真を計算すること、および周期的平滑分解を適用して、前記フィルタリングされた放射線写真のセットを生成することと、をさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記周波数領域の前記ランプフィルタを計算することが、以下に対する1次元直接フーリエ変換を計算することを含み:
【数3】
式中、nが、整数
【数4】
であり、p
xが、行画素間隔であり、
【数5】
であって次の2の累乗に切り上げられており、n
xが、投影行の画素数である、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記体積変換への投影を計算するときに、SOD(θ)を変動させるのに従い、各投影角度に対して投影座標が異なる、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記体積変換への投影を計算することが、
3次元座標変換(x,y,z)
T=R(θ)R
V・(t,s,r)
Tを計算することを含み、式中、(t,s,r)が、再構成された体積座標であり、(x,y,z)が、投影座標であり、R
Vが、体積変換行列であり、R
θが、標本回転の行列である、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記補間方法が、距離駆動型方式またはセパラブルフットプリント方式である、請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
前記重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真が、円錐X線ビームの異なる光線長を考慮するように重み付けされている、請求項
11に記載の方法。
【請求項18】
前記重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真を計算すること、および周期的平滑分解を適用することが、以下を計算することを含み:
S
θ(x,y
k)=[P’
θ(x,y
k)*h(x)]=p
xIFFT{FFTP’
θ(x,y
k)
ZP・FFTh[np
x]
shift}、および
【数6】
式中、FFTが、1次元直接フーリエ変換であり、IFFTが、1次元逆離散フーリエ変換であり、h[np
x]
shiftが、fftshift法を使用してスワップされたランプフィルタh[np
x]の半空間であり、
【数7】
が、周期間アーチファクトを回避するためのゼロパディングされた放射線写真であり、PSが、重み付けされた放射線写真境界の周期的部分のみが使用されるような前記周期的平滑分解である、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
補間方法に基づいて、前記3次元体積のボクセルに、前記重み付けされた逆投影された画素値を追加することが、以下を計算することを含み:
【数8】
式中、
【数9】
v(t,s,r)が、再構成体積値であり、和が、すべての座標三つ組(t,s,r)について計算され、補間値v(t,s,r)が、前記補間方法を使用して得られ、w
vz(θ)が、前記重み付け係数であり、S
θ(xz
d,yz
d)が、フィルタリングされた放射線写真である、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府が支援する研究に関する記載
本発明は、陸軍研究所によって授与された助成番号W911NF-17-2-0195に基づく政府支援によってなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
高分子複合材における重大な製造欠陥および構造損傷モードの複雑さは、人的過誤がない解釈のための十分な客観性を有して、かかる欠損の箇所および形状を3次元で正確に測定することが可能な高分解能非破壊判定を必要とする。X線コンピュータ断層撮影(CT)は、高分子複合材構造物の非破壊検査に対して、その前例のない客観性を証明している。しかしながら、大きな面内寸法を有する複合材における小さい重大な欠損の高分解能非破壊判定は、CT技法にとって根本的な難題となっている。
【0003】
複合材航空機は、Boeing 787およびAirbus 350の製造を伴う商用航空機市場を支配し始めており、レガシーシステムの改良版を期待されている。米国国防総省用途の局面では、Lockheed Martinが、3,000機を超えるF-35航空機を製造するよう発注を受けた。同様に、米陸軍およびロータークラフト業界は、6,300機を超える垂直離着陸航空機を置き換える将来型垂直離着陸機航空の難題に直面している[1]。先進繊維強化高分子基複合材は、高性能かつ軽量の航空機構造を設計するうえで大きな役割を果たしている。しかしながら、損傷および故障のメカニズムの複雑さに起因して、複合材ロータおよびエアフレーム構造の有用な寿命に対する不確実性が残る。加えて、構造損傷の前兆であり得る製造ばらつきに対する複合材の感受性は、リスク軽減のための的確な構造診断を必要とするリスクを課す[1~3]。
【0004】
複合材料の適性および航空機の構造保証を推進するために、分析は、枢要な飛行の構成物および構造の製造の複雑さおよび可変性を捕捉しなければならない。構造性能に衝撃を与えるどんなに小さな欠損も定量化することが必要な非破壊検査(NDI)の忠実性が、複合材部品の構造診断に重要であることは、注目に値する[1]。しかしながら、製造複合材部品におけるかかる欠損を特徴付けるために必要とされるNDIの忠実性は、まだ十分ではない。枢要な箇所に存在する小さな個々の欠損は、複合材構造の強度および耐久性に劇的に影響を与える可能性がある[2~3]。複合材における難題には、残留強度および疲労挙動を低下させる層界面での繊維うねりおよびボイドの形態の製造ばらつきに対する感受性、ならびに構造損傷モードおよび疲労メカニズムの複雑さがある[4~6]。複合材の完全性の見極めは、残留強度および後の疲労挙動、ならびに構造損傷または衝撃損傷の複雑さの推定を導くサイズを低下させる、層界面での構造欠陥箇所およびボイドの正確な検出に依存する。別の難題は、疲労損傷または衝撃損傷後の残留強度の推定を導く構造欠陥箇所およびサイズの正確な検出に依存する複合材要素の構造完全性の見極めである[7~8]。重大な欠陥および損傷モードの3次元(3D)の性質に起因して、構造性能に衝撃を与える個々の欠損の箇所および幾何学/形状を捕捉することが可能な高分解能非破壊方法が、必要とされる。
【0005】
X線コンピュータ断層撮影(CT)は、高分子複合材のNDIに対して、その前例のない客観性を証明している[9~11]。しかしながら、複合材航空機に典型的な、厚さに対して面内寸法が大きい構造は、重大な欠陥および損傷モードを正確に見極めるために必要とされる十分な分解能を達成するには難題である。最新の産業用微小焦点X線CT断層撮影システムは、円錐ビーム幾何学に基づいており、円錐ビーム幾何学は、コリメートされた円錐X線ビーム(例えば、30度幅)を放出し、かつ被写体を、典型的にはサイズが8~16インチ(20~40cm)のフラットパネル検出器上に投影する指向性X線源を使用する。このセットアップは、CTシステムが、被写体が線源にどのくらい近くに位置するかに応じた、被写体の幾何学的な倍率を使用する[12]。
【0006】
衝撃損傷は、X線CT方法による多くの研究の目標となっており、それは、損傷トポロジーの3Dイメージングにこれらの研究の利点があることに起因している。参考文献[13]は、すべてのセクションでのX線CTデータの客観性を使用して、湾曲した積層界面における層ごとの損傷を再構成した。ほぼ平面状の被写体サイズに起因した不完全なデータ取得に関連するアーチファクトおよびノイズなどの、衝突するパネルの大きなアスペクト比の問題を軽減するために、デュアルエナジーCT、シンクロトロン放射源、およびコンピュータラミノグラフィを含む、多様なX線CT方法が提案された[14~15]。
【0007】
CTの利点にも関わらず、大きな面内寸法を有する被写体の小さな欠陥の高分解能3D再構成は、X線CT式のNDIの根本的な難題を残している。現行の微焦点CT技術は、全体走査(現行では、被写体の周囲360°、または少なくとも180°に円錐ビーム角度を加えたもの[12])に基づいており、このことが、この技術の小断面への適用可能性を制限している。さらに、既存のマイクロCT設備で走査することができる被写体でも、分解能要件により、検査被写体が、全体走査を完遂し得ないようにX線管の過度に近くに配置される場合、複合物構造の十分な倍率を可能にしない場合がある。
【0008】
図1A~1Bは、被写体サイズ制限を例示している。例えば、
図1Aは、厚さに対して大きな面内寸法を有する被験品102を示す。点線で示される被験品102の回転は、被験品102と検出器104との衝突をもたらす。よって、被験品102は、制限された範囲の投影角度にわたってしか回転することができない。今日利用可能な産業システムにおける180°未満の制限された範囲の投影角度を使用する再構成は、すぐに客観性を失い、偏った検査の間にしばしば誤りを犯し、部分的なアクセスに起因した欠落投影と関連付けられた非整合的な3D再構成をもたらすことが多い。別の例において、
図1Bは、X線管108の過度に近くに配置された被験品106を示す。点線で示される被験品106の回転は、被験品106とX線管108との衝突をもたらす。よって、被験品106が、所望の倍率で走査されない場合がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示の第1の態様は、X線コンピュータ断層撮影(CT)スキャナの可変ズーム方法を提供する。本方法は、X線源からX線ビームを放出して、視野(FOV)内の標本の関心の領域(ROI)を検出器上に投影することを含む。本方法は、標本を標本ステージの回転軸の周りに回転させ、かつ標本ステージをX線源と検出器との間の取得軌跡に沿って並進させながら、検出器で標本のROIの投影を走査することを含む。本方法は、再構成コンピュータによって、検出器によって走査された投影から標本の3次元体積を再構成することを含む。
【0010】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、標本を回転させ、かつ並進させている間、X線源および検出器が、静止している。
【0011】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、ROIは、検出器の中心エリア上に投影される。
【0012】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、取得軌跡は、標本ステージの各回転角度でのX線源と標本ステージの回転軸との間の線源被写体間距離(SOD)を特定する。
【0013】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、取得軌跡は、標本ステージの回転軸をFOVの中心に沿って並進させる。
【0014】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、取得軌跡に沿った初期SODは、SODROIであり、SODROIは、ROIが完全にFOV内にある最近接SODである。
【0015】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、標本ステージの回転角度が閾値角度未満である間、SODROIは、ROIがFOVに留まる最近接SODである。
【0016】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、標本ステージの各回転角度でのSODは、以下であり:
【数1】
式中、θは、標本ステージの回転角度であり、SOD(θ)は、標本ステージの各回転角度でのSODであり、SOD
ROIは、初期SODであり、S
0は、安全オフセットであり、S
Pは、標本幅であり、T
Pは、標本厚さである。
【0017】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、標本ステージの回転角度が閾値角度未満である間、SOD(θ)=SODROIである。
【0018】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、3次元体積を再構成することは、標本ステージの各回転角度でのSODに基づく重み付け係数で、フィルタリングされた放射線写真のセットの逆投影を重み付けすることを含む。
【0019】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、重み付け係数は、以下を含み:
【数2】
式中、w
vzは、重み付け係数であり、SOD(θ)は、標本ステージの各回転角度でのSODであり、SDDは、線源検出器間距離である。
【0020】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、3次元体積を再構成することは、各投影角度およびSODに対する体積変換への投影を計算して、フィルタリングされた放射線写真のセットの逆投影を生成することをさらに含む。3次元体積を再構成することは、および、補間方法に基づいて、3次元体積のボクセルに、重み付けされた逆投影された画素値を追加して、3次元体積の再構成を生成することをさらに含む。
【0021】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、3次元体積を再構成することは、周波数領域のランプフィルタを計算することをさらに含む。3次元体積を再構成することは、ランプフィルタに基づいて、重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真を計算すること、および周期的平滑分解(periodic-smooth decomposition)を適用して、フィルタリングされた放射線写真のセットを生成することをさらに含む。
【0022】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、周波数領域のランプフィルタを計算することは、以下に対する1次元直接フーリエ変換を計算することを含み:
【数3】
式中、nは、整数
【数4】
であり、p
xは、行画素間隔であり、
【数5】
であって次の2のべき乗に切り上げられており、n
xは、投影行の画素数である。
【0023】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、体積変換への投影を計算するときに、SOD(θ)を変動させるのに従い、各投影角度に対して投影座標が異なる。
【0024】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、体積変換への投影を計算することは、
3次元座標変換(x,y,z)T=R(θ)RV・(t,s,r)Tを計算することを含み、式中、(t,s,r)は、再構成された体積座標であり、(x,y,z)は、投影座標であり、RVは、体積変換行列であり、Rθは、標本回転の行列である。
【0025】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、補間方法は、距離駆動型方式またはセパラブルフットプリント方式である。
【0026】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真は、円錐X線ビームの異なる光線長を考慮するように重み付けされている。
【0027】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真を計算すること、および周期的平滑分解を適用することは、以下を計算することを含み:
S
θ(x,y
k)=[P’
θ(x,y
k)*h(x)]=p
xIFFT{FFTP’
θ(x,y
k)
ZP・FFTh[np
x]
shift}、および
【数6】
式中、FFTは、1次元直接フーリエ変換であり、IFFTは、1次元逆離散フーリエ変換であり、h[np
x]
shiftは、fftshift法を使用してスワップされたランプフィルタh[np
x]の半空間であり、
【数7】
は、周期間アーチファクトを回避するためのゼロパディングされた放射線写真であり、PSは、重み付けされた放射線写真境界の周期的部分のみが使用されるような周期的平滑分解である。
【0028】
本開示の第1の態様のいくつかの実装態様では、補間方法に基づいて、3次元体積のボクセルに、重み付けされた逆投影された画素値を追加することは、以下を計算することを含み:
【数8】
式中、
【数9】
、v(t,s,r)は、再構成体積値であり、和は、すべての座標三つ組(t,s,r)について計算され、補間値v(t,s,r)は、補間方法を使用して得られ、w
vz(θ)は、重み付け係数であり、S
θ(xz
d,yz
d)は、フィルタリングされた放射線写真である。
【0029】
これらのおよび他の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲と併せてなされる以下の詳細な説明から、より明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
現在の開示のより完全な理解のために、添付の図面および詳細な説明と併せてなされる、以下の簡単な説明をここで参照し、同様の参照符号は、同様の部分を表す。
【0031】
【
図1A】全回転するには過度に大きい被験品を有するCTシステムの簡略図である。
【
図1B】選択倍率に対してX線管に過度に近くに配置された被験品を有するCTシステムの簡略図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態を実装するための、被験品の回転と並進との両方を含む取得軌跡のステップを示す、CTシステムの上面図の簡略概略図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態を実装するための、被験品の回転と並進との両方を含む取得軌跡のステップを示す、CTシステムの上面図の簡略概略図である。
【
図2C】本開示のいくつかの実施形態を実装するための、被験品の回転と並進との両方を含む取得軌跡のステップを示す、CTシステムの上面図の簡略概略図である。
【
図2D】本開示のいくつかの実施形態を実装するための、被験品の回転と並進との両方を含む取得軌跡のステップを示す、CTシステムの上面図の簡略概略図である。
【
図2E】本開示のいくつかの実施形態を実装するための、被験品の回転と並進との両方を含む取得軌跡のステップを示す、CTシステムの上面図の簡略概略図である。
【
図2F】本開示のいくつかの実施形態を実装するための、被験品の回転と並進との両方を含む取得軌跡のステップを示す、CTシステムの上面図の簡略概略図である。
【
図3】従来の、可変ズームの、および制限された角度の走査軌跡に対する線源被写体間距離(SOD)の放射図である。
【
図4】可変ズームCTシステムのシステム図である。
【
図5】第1の実施例による、従来の、可変ズームの、および制限された角度の走査軌跡に対するSODの放射図である。
【
図6A】それぞれ、従来の、制限された角度の、および可変ズームの技法に対する炭素/エポキシの3D再構成された体積である。
【
図6B】それぞれ、従来の、制限された角度の、および可変ズームの技法に対する炭素/エポキシの3D再構成された体積である。
【
図6C】それぞれ、従来の、制限された角度の、および可変ズームの技法に対する炭素/エポキシの3D再構成された体積である。
【
図7A】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図7B】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図7C】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図7D】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図7E】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図7F】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図8A】従来の走査の、可変ズームの、および制限された角度の技法の、厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。
【
図8B】従来の走査の、可変ズームの、および制限された角度の技法の、厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。
【
図8C】従来の走査の、可変ズームの、および制限された角度の技法の、厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。
【
図9】可変ズームCTシステムのシステム図である。
【
図10】従来の、可変ズームの、および制限された角度の走査軌跡に対するSODの概略軌跡の放射図である。
【
図11A】従来のおよび可変ズームの走査軌跡によって得られたハイブリッド複合材積層パネルの3D再構成された体積を例示している。
【
図11B】従来のおよび可変ズームの走査軌跡によって得られたハイブリッド複合材積層パネルの3D再構成された体積を例示している。
【
図12A】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図12B】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図12C】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図12D】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図12E】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図12F】従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図13A】重み付けを使用する、および重み付けを使用しない可変ズームに対する厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図13B】重み付けを使用する、および重み付けを使用しない可変ズームに対する厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図13C】重み付けを使用する、および重み付けを使用しない可変ズームに対する厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図13D】重み付けを使用する、および重み付けを使用しない可変ズームに対する厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態を実装するために好適な、例示的なコンピュータシステムを例示している。
【
図15】欠陥の境界を横切る正規化された強度プロファイルを示す。
【
図16】ラインプロファイルに基づく境界鮮鋭性の推定値を示す。
【
図17】窓サイズの関数としてのファントム境界不鮮鋭性および正規化された分散を示す。
【
図18】窓サイズの関数としての穿孔境界不鮮鋭性および正規化された分散を示す。
【
図19A】可変ズームの平面方向のスライスを示す。
【
図19B】可変ズームの平面方向のスライスを示す。
【
図19C】従来の方法の平面方向のスライスを示す。
【
図19D】従来の方法の平面方向のスライスを示す。
【
図20A】それぞれ、可変ズームの方法および従来の方法の厚さを通した方向のスライスを示す。
【
図20B】それぞれ、可変ズームの方法および従来の方法の厚さを通した方向のスライスを示す。
【
図21】衝撃欠陥の境界不鮮鋭性および正規化された分散を示す。
【
図22A】可変ズーム技法の、それぞれ、平面方向および厚さを通した方向のスライスを示す。
【
図22B】従来の方法の、それぞれ、平面方向および厚さを通した方向のスライスを示す。
【
図22C】可変ズーム技法の、それぞれ、平面方向および厚さを通した方向のスライスを示す。
【
図22D】従来の方法の、それぞれ、平面方向および厚さを通した方向のスライスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
1つ以上の実施形態の例示的な実装態様が以下で例示されるが、開示されるシステムおよび方法は、現在既知であるか、または存在しているかどうかに関わらず、任意の数の技法を使用して実装されてもよいことを始めに理解されたい。本開示は、以下に例示される例示的な実装態様、図面、技法に、いかなるようにも限定されるものではないが、添付の特許請求の範囲とそれらの均等物の全範囲とを合わせた範囲内で修正されてもよい。「および/または」という語句の使用は、列挙された選択肢のうちの任意の選択肢または任意の組み合わせを使用することができることを示す。例えば、「A、B、および/またはC」は、「A」、または「B」、または「C」、または「AおよびB」、または「AおよびC」、または「BおよびC」、または「AおよびBおよびC」を意味する。
【0033】
本開示の全体を通して、以下の参考文献リストが上付き文字で参照される。例えば、文書23は、括弧付き数字23を配置することによって、参考文献リストから識別され得る[23]。
【0034】
X線CT検査のサイズ制限を克服しようとする試みは、2つの主なカテゴリにグループ分けされ得る:局所断層撮影および制限された角度の断層撮影。局所断層撮影は、標本が走査中に検出器の視界(FOV)に常には留まらないシナリオを扱う。このグループの方法は、実験的な技法ならびに改善された分析的かつ反復的アルゴリズムを取り込んで、詳細な概説で考察されるトランケーション投影に起因した、再構成された体積におけるアーチファクトの存在を克服する[13]。例えば、ズームイン技法は、平行ビームX線幾何学に対する有望な結果を示している。ズームイン技法は、FOV内の高分解能データの全角度取得と、標本全体の全角度の低分解能データと、の組み合わせ基づいている[25]。標本の関心の領域(ROI)を全体的にFOV内に保持する非因襲的な走査軌跡を使用する、実験的な適応ズーミング技法も、提案されている[26]。
【0035】
局所断層撮影に対する代替技法は、制限された角度の断層撮影である。いくつかの場合では、標本幅は、標本全体をX線CTシステム筐体の内部に収容することが不可能になるほど十分に大きいものであり得る。制限された角度の走査技法は、一般に全角度CTほど正確でないが、潜在的な解決策を提示し得る。例えば、X線源および検出器が同期して移動して、傾斜した角度で標本に照射する、コンピュータラミノグラフィが、大きな幅他対厚さアスペクト比を有する被写体に対する有望なNDT技法として、提案された[17]。複合材の検査のためのコンピュータラミノグラフィの利点および制限が、論文[22]、[23]で考察されている。別の可能な技法が、制限された投影角度から投影が取得される場合について言及している。これは、結果として得られる再構成品質を劣化させる多数のアーチファクトを有する不良設定問題につながる。制限された角度の断層撮影が、大きな面内寸法に関連する幾何学的な制約を克服するのに役立つという事実にも関わらず、現行の技法は、局所断層撮影および全角度断層撮影と同じ品質の再構成された体積を提供することができない。
【0036】
X線CTのサイズ制限を克服するために、広範囲の探求努力の取り組みが行われている。公開されている研究は、斬新な再構成アルゴリズムと組み合わされた放射線写真取得の非因襲的な軌跡の開発を包含する。自明な解決策のうちの1つは、制限された角度(<180°)範囲の投影の取得である。しかしながら、この取得での投影の欠落は、特に厚さを通した方向に再構成品質を劣化させる多数のアーチファクトを導く[16]。コンピュータラミノグラフィ(CL)は、電子基板などの平坦な被写体における平面状欠陥の同定のための周知の片側技法であり、X線源および検出器が同期して移動して、傾斜した角度で標本に照射する[17]。CLは、制限された角度の断層撮影と比較して、より小さなアーチファクトをもたらすことが示されている[18]。シンクロトロン放射に基づくCL実装態様は、欠陥検出の品質を改善するためのより多くの方法を提供する[19]が、キャビネットシステム事例研究も遂行されている[20]。特に複合材NDTのための、様々なCL軌跡および再構成の方法が、論文[22~23]で遂行されている。大きな面内寸法に関連する幾何学的制約を克服する改善にも関わらず、CLは、全角度(360°)CTと同じ品質の面外欠陥検出を提供することができない[21~23]。
【0037】
別のグループの方法、局所断層撮影または関心の領域(ROI)の断層撮影は、実験的な技法ならびに改善されたアルゴリズムを取り込んで、全角度CTに対しても再構成品質を損なう、投影に存在するROI外の特徴に起因したアーチファクトの存在を克服する[24]。例えば、視野(FOV)内の高分解能データの全角度取得と、標本全体に対する全角度低分解能データと、の組み合わせに基づくズームイン技法は、正確なROI再構成を例証した[25]。標本のROIを全体的にFOV内に保持する非因襲的な走査軌跡を使用する、実験的な適応ズーミング技法は、空間分解能の向上をもたらすことが示されている[26]。参考文献[25~26]は、この研究で提案される軌跡と同様の放射線写真取得軌跡を提案したが、それらはいずれも、積層された複合材に対する厚さを通した再構成の品質改善を目的とせず、示しもしなかった。積層間故障は、積層された複合材での主要な難題、それゆえ、厚さを通した関連付けられたおよび損傷を検出することが重要であるものとなっている。
【0038】
X線CTのサイズ制限を克服するために、広範囲の探求の取り組みが行われている。人体における小さなスケールの関心の領域(ROI)を再構成しようとする先駆的な研究が、後の産業用CTへの拡張を伴って、医療分野に現れた。Penssel等は、部分的にアクセス可能な被写体のROI検査に対する修正された360°軌跡を調査した。非因襲的な走査軌跡は、標本を回転角度の関数として連続的に変位させながら、ROIのサイズおよび形状によって駆動された。所見では、提案された軌跡はシミュレートされる2Dファントム上の関心の領域で高忠実性の走査を達成し得ることが示された。Dabravolski等は、標本の凸包を辿る取得軌跡を使用した。提案された適応ズーミング技法は、人為的なデータに対して優れた再構成品質を示した。Maass等は、低分解能および高分解能のデータからのデータを組み合わせて、品質再構成を改善するいくつかの新規な手法を試験した。Kyrieleis等は、高分解能が必要とされない関心の領域の合理的な近似に投影の拡張が好適であることを示している。
【0039】
コンピュータラミノグラフィ(CL)は、X線CTシステムに収容できない大きな被写体に対する代替技法である。この技法は、傾斜した角度で被写体に照射することによって、被験標本に対する部分的なアクセスを可能にする。CLは、制限された角度の断層撮影と比較して、より小さなアーチファクトをもたらすことが示されている。大きな面内寸法に関連する幾何学的制約を克服する改善にも関わらず、CLは、全角度(360°)CTと同じ品質の面外欠陥検出を提供することができない。
【0040】
本明細書では、キャビネットX線CTシステムにおける大きな幅対厚さアスペクト比の制限を克服し、かつ大きな面内寸法を有する構造に対して高分解能を達成する追加の柔軟性を可能にすることができる、可変ズームX線CT方法が提供される。可変ズーム方法は、十分な倍率で複合材構造の正確な検査を可能にする小さなセクションを切り取ることによって、検査品を破壊する必要性を解消する。従来のCT方法の最悪事例シナリオのうちに入る大きくかつ薄い複合材積層パネルでの低速度衝撃に起因した、厚さを通した特徴の正確な検出を含む複雑な構造損傷の検出は、可変ズーム方法の正確さを例証している。可変ズームCT走査手法に加えて、新規な畳み込み逆投影再構成方法が、正確な高分解能結果を達成するために本明細書に開示される。開示される技法は、2つの態様を含む:非因襲的な放射線写真取得軌跡、およびパネルからX線源までの距離に基づく放射線写真の重み付けを含み、かつより高品質の3D再構成を可能にする、産業標準のFeldkamp-Davis-Kress(FDK)再構成方法。ディメンションおよび不鮮鋭性の測定を含む、可変ズーム技法によって生成されるCTイメージの再構成品質の分析は、人為的な3Dファントムに対して、および既知のディメンションの特徴を有する物品のCT走査に対して実施される。また、特殊な放射線写真取得がShimadzu inspeXio SMX-225CT FPD HR産業用微小焦点X線CTシステム内に実装された、本方法の能力が、大きくかつ薄い複合材パネルでの、厚さを通した特徴の正確な検出を含む、低速度衝撃に起因した複雑な構造損傷の検出に対して例証されている。
【0041】
図2A~2Fは、本開示のいくつかの実施形態を実装するための、標本202の回転と並進との両方を含む可変ズーム取得軌跡のステップを示す、CTシステム200の上面図の簡略概略図である。CTシステム200は、X線源204およびX線検出器206を含む。線源204は、円錐状のX線ビームを放出し、視野(FOV)208内の標本202を検出器206上に投影し得る。線源204のX線ビームは、コリメートされた円錐X線ビーム(例えば、30度幅)であってもよい。一実施例では、線源204は、4mの焦点サイズを有する225kVのX線管を有する。他のX線源が、本開示によって企図される。一実施例では、検出器206は、ヨウ化セシウム(CsI)シンチレータ材料で作製された16ビット(65,536個の強度値)フラットパネル検出器であり、417mmの動作サイズを有する。検出器206を、2つの取得モードで使用することができる:高速(1000×1000画素、0.417mm画素サイズ)および高精細(3000×3000画素、0.139mm画素サイズ)。他のX線検出器が、本開示によって企図される。一実施例では、X線源検出器間距離(SDD)は、800mmであってもよく、走査は、3フレーム平均で毎秒1フレームで遂行された。他のSSD、フレームレート、および平均されるフレームのセットサイズが、本開示によって企図される。様々な実施例では、CTシステム200は、Shimadzu inspeXio SMX-225CT FPD HR産業用微小焦点X線CTシステムで実装されている。Shimadzu CTシステムハードウェアは、非因襲的な走査軌跡を使用することが可能である。Shimadzu走査ソフトウェアは、被写体軌跡のカスタム定義、すなわち各回転角度での回転中心の箇所、を受け入れるように修正され、各箇所での較正された検出器オフセットを有する再構成ソフトウェアを提供された。低速度衝撃を受けた予備含侵された連続繊維強化ポリマー複合材パネルの走査パラメータが、表1に概要されている。
【表1】
【0042】
CTシステム200はまた、FOV208内に標本202の関心の領域(ROI)210を固定して位置決めするように構成された標本ステージ(図示せず)を含む。標本ステージは、標本202を回転軸の周りに回転させるとともに、FOV208内の標本202を線源204と検出器206との間で、取得軌跡に沿って並進させる。様々な実装態様では、取得軌跡は、回転軸をFOV208の中心に維持する。いくつかの実装態様では、取得軌跡は、FOV208の他のエリアを通して、回転軸を移動させ得る。したがって、ROI210は、検出器206の中心エリア上に投影されたままである一方、標本202は、線源204と検出器206との間で並進する。いくつかの実装態様では、ROI210は、検出器206の非中心エリア上に投影されてもよい。標本ステージは、標本202を標本ステージに開放可能に留めるためのクランプを備え得る。クランプは、クランプの中心軸が標本ステージの回転軸に対して平行であり、かつこれと一致するように、標本ステージ上に位置決めされている。標本202は、ROI210でクランプに留められている。
【0043】
CTシステム200のコントローラ(図示せず)は、標本202の走査中に標本ステージの回転および並進の運動を制御し、取得軌跡に沿った各箇所での較正された検出器オフセットを使用して、捕捉された標本を再構成する。標本ステージの、並進運動または取得軌跡は、各回転角度での標本ステージの回転軸の箇所(例えば、FOV208の中心に沿った、線源204からの距離)を特定する。線源被写体間距離(SOD)としても知られている、標本ステージの線源204から回転軸までの距離は、最大の倍率係数、結果として最適空間分解能、の推定値に使用される。CT走査中に標本が回転するにつれて、標本はまた、正弦波状経路に従って並進する:
【数10】
式中、SOD
ROIは、ROIが検出器FOV208で全体的に見える最近接SODに対応し、S
0は、安全オフセットであり、S
Pは、標本幅であり、T
Pは、標本厚さである。SOD
ROIはまた、ROIに対して最大の倍率係数が達成される箇所に対応する。
図2Aに示されるように、標本202は、ROI210が検出器FOV208内で全体的に捕捉されるように、クランプを介して標本ステージ上に設置されている。この位置は、
図2AのCTシステム200の上面図に例示されるように、θ=0°での最高倍率に対応する。取得軌跡は、標本202と線源204との衝突を回避するように選択されている。例えば、異なる標本202に対してS
0の異なる値が選択されてもよい。
図2A~2Fに示される実施例では、|θ|<15°に対してSOD(θ)=SOD
ROIであり、SOD
ROIは、ROI210は、|θ|<15°に対してFOV208内に留まる。|θ|<15°の範囲外では、標本202は、SOD(θ)が、SOD
ROIよりも大きく、かつSOD(θ)がθ=90°で最大のSODに達するまで、式(1)のθが正弦波状経路に従って増加するにつれて増加するように、並進する。例えば、
図2B~2Fは、どのようにSODがθ=15°、30°、45°、75°、および90°の各々でそれぞれ増加するかを示す。
図2B~2Fは、0°~90°の取得軌跡に沿った標本202の運動のみを示しているが、取得軌跡の残りは、対称性に起因して360°全体にわたって容易に理解され得る。線源204および検出器206が静止したまま標本ステージが並進し、かつ回転する実施例が上述されているが、いくつかの実装態様では、線源204および/または検出器206は、動作中に追加的に移動してもよい。
【0044】
図3は、従来の、可変ズームの、および制限された角度の走査軌跡に対するSODの概略軌跡の放射図である。動径座標は、SODに対応するのに対して、角座標は、走査軌道の角度(例えば、標本ステージの角度)を定義する。従来の軌跡に対するSODは、第1のライン302によって示されるように、走査中一定のままである。一方、可変ズーム取得軌跡に対するSODは、式1に定義されるように、正弦波状経路に従って変動し、「ピーナッツ」形状の第2のライン304によって示される。
【0045】
図3に示される実施例では、概略的な軌跡は、401mmの標本幅と無視できる厚さおよびオフセットとに対して提供されている。一実施例では、|θ|<15°内の検出器FOV内で所望のROIを捕捉するために必要な最小距離は、SOD
ROI=81mmである。従来のCT幾何学に対するSODは、標本が線源204にぶつかることなく360°回転しなければならないことから、265mmであり、同時に、線源204からの安全オフセットS
0を維持する。可変ズーム軌跡に対するSOD(θ)は、81~265mmの範囲で変動する。比較にも使用される、制限された角度の断層撮影(LAT)走査軌跡は、太い第3のライン306によって示されるように、可変ズーム軌跡のサブセットとして、|θ|<15°に対するSOD(θ)=SOD
ROIで30°にわたる。かかる小さなLAT角度範囲の理由は、この範囲が、被験品がX線源と干渉しないような、選択された最大倍率に対して達成され得る最大の角度スパンであることである。
【0046】
一実施例では、Shimadzu微小焦点X線CTキャビネットシステムinspeXio SMX-225CT FPD HRが、すべてのX線CT走査に利用される。このシステムは、4μmの焦点サイズに達する能力を有する225kVのX線管を有する。システムは、最大3000×3000画素の放射線写真を取得することができる、サイズが417×417mmの高分解能16ビットフラットパネルX線検出器を使用する。X線管からフラットパネル検出器までの距離SDDは、800mmに設定された。
【0047】
再構成方法
X線コーンビーム投影放射線写真からの3次元(3D)体積の再構成は、1970年代から広く研究されてきた光子透過断層撮影問題を表す。本分野での探求の歴史的なレビューを、[12]に見出すことができる。本明細書に開示される可変ズーム走査軌跡のために開発された分析的再構成方法は、産業標準のFeldkamp-Davis-Kress(FDK)アルゴリズム[30]に関連しており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。分析的再構成方法は、性能の観点で優れており、商用医用または産業用X線CTシステムの大部分で使用される。
【0048】
このセクションで記載されたアルゴリズムは、参考文献[31]に提供された畳み込み逆投影方法としてのフィルタリングされた逆投影の表現に従っている。第1のステップでは、X線放射線写真P(x,y)は、コーンビーム中の異なる光線長を考慮するように重み付けされ、P
θ’(x,y
k)として定義され、ランプフィルタと畳み込まれる。画素座標は、回転の中心にスケールされるものとする、すなわち、それらの座標(x,y
k)は、倍率係数によって除算される。
【数11】
【0049】
この再構成アルゴリズムのステップは、周波数領域での投影のフィルタリングである。FDKアルゴリズムでは、角度θで撮られた2D放射線写真P
θ’(x,y
k)の各行に、1Dフィルタリングが適用される。この研究では、以下の、ランプフィルタの離散的な空間サンプリングを使用する[31]:
【数12】
式中、nは、整数
【数13】
であり、p
xは、行画素間隔であり、
【数14】
であって次の2のべき乗に切り上げられており、n
xは、投影行の画素数である。式2の空間畳み込みは、以下のように、周波数領域で実装される[31]:
[P’
θ(x,y
k)*h(x)]=p
xIFFT{FFTP’
θ(x,y
k)
ZP・FFTh[np
x]
shift} 式(3)
式中、FFT/IFFTは、実数入力に対する1D直接および逆離散フーリエ変換を表し、フィルタh[np
x]の半空間は、fftshift方法[32]を使用してスワップされ、放射線写真は、周期間アーチファクトを回避するために下付き文字zpによって示される
【数15】
に対してゼロパディングされている[31]。
【0050】
最後のステップでは、フィルタリングされた放射線写真のセットの逆投影は、w
vzによる追加の重み付けですべての投影角度にわたって実行される:
【数16】
式中、
【数17】
(x,y,z)
T=R(θ)R
V・(t,s,r)
T
【0051】
ここで、v(t,s,r)は、体積変換行列をなすR
Vである再構成体積を表し、R
θは、標本回転の行列である。可変ズーム方法取得軌跡に起因して、「投影」座標(x,y,z)は、変動するSOD(θ)に従って各投影角度に対して異なることに留意されたい。以下の重み付け係数は、再構成された厚さを通したセクションの品質を大幅に改善するように、実験的に見出された:
【数18】
この重み付け係数を使用することは、式(3~4)の行間隔p
xを、式(6)の変動する倍率係数によって除算することに対応することに留意されたい。
【0052】
可変倍率は、従来のCT再構成に存在しない別の再構成困難を提示する。検出器で部分的にのみ見える、初期ROIよりも大きい体積の再構成は、投影の実効サイズの変化に対応するアーチファクトにつながる。これらのアーチファクトは、離散フーリエ変換によるデータ周期性の前提に起因する。これらのアーチファクトを解消するために、重み付けされた放射線写真に周期的平滑分解[33]を適用し、フィルタリングのために放射線写真境界の周期的部分を使用する。
【0053】
高分解能でのアーチファクトを回避するために、再構成アルゴリズムは、被写体を通る任意の光線を介したボクセルへの逆投影寄与を正確に計算しなければならない。式(5)の個別の適用は、検出器グリッドから回転した体積グリッドへの密度値の補間を伴う。投影値または体積座標の補間に基づく「素朴な」方法は、低品質の再構成につながることが分かった。この研究では、断層撮影の再構成に特化して開発された2つの補間方法を実装した:距離駆動型方式[34]またはセパラブルフットプリント方式[35]。両方法は、提示された試験事例に対して同様の結果をもたし、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
以下は、アルゴリズムの実装態様での高レベルステップについて記載する:
1.式(3)に従って、周波数領域FFTh[npx]shiftでのランプフィルタを計算し、
2.各投影角度/SODに対する投影/体積変換R(θ)RVを計算し、
3.式(2、4)を使用して、重み付けされ、かつフィルタリングされた放射線写真Sθ(x,yk)を計算し、周期的平滑分解を適用する[33](グラフィックカード上で)。
4.R(θ)RV変換を使用して体積座標を変換し(グラフィックカード上で)、
5.式(5)に示されるように、補間方法[34~35]を使用して、逆投影された画素値をすべてのボクセルに追加する(グラフィックカード上で)。
6.すべての投影角度/SODに対して、ステップ2から開始することを繰り返す。
【0055】
複合材構成における製造ばらつきまたは構造損傷の再構成は、典型的には、各次元で少なくとも何百の、好ましくは何千のポイントを有する高分解能体積を必要とする。上述したアルゴリズムでは、逆投影は、再構成中に際限なく時間がかかる動作であり、大きな体積に対する逆投影の効率的な実装態様は、高度並列計算に基づかなければならない。この研究では、最新のグラフィックカードハードウェアで利用可能なFFTおよびIFFTの標準の実装態様と、各体積ポイントに必要とされる、複雑であるが同一の補間計算を実装することによるベクトル処理を利用する式(5)のカスタム逆投影実装態様と、を使用する。ボクセルごとの並列化に加えて、グラフィックカードプロセッサは、ベクトル化された計算およびメモリ転送の同時実効を可能にする多数のコマンドストリームを提供する。
【0056】
様々な実施例では、高性能再構成デスクトップコンピュータに、CTシステム200(例えば、Shimadzu InspeXio SMX-225CT FPT HDシステム)[29]が備えられており、[29]の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一実施例では、再構成コンピュータは、デュアル2.3GHz Intel Xeon E5-2650v3プロセッサ、および2048 CUDAコアを有するNVIDIA Quadro M5000グラフィックカード有する。計算性能の例として、上記に開示された再構成アルゴリズムは、7分未満で820個の2000×2000画素放射線写真(約33億の式)を使用して1329×1266×432のボクセル体積(約7億の変数)の再構成を遂行した。この場合に、放射線写真を2000×2000画素にクロッピングして、投影データの量を再構成に必要なサイズに低減した。
【0057】
上記の表1に記載された予備含侵された連続繊維強化ポリマー複合材パネルを参照すると、各パネルは、航空宇宙用途で典型的に出くわす個別の材料系を有する。第1のパネルは、IM7-炭素/8552-エポキシ複合材積層であり、第2のパネルは、ハイブリッドIM7-炭素およびS2-ガラス/913-エポキシ複合材積層である。両パネルは、プリプレガー(Hexcel)仕様[27~28]を使用してBoeingによって製造された。
【0058】
両材料系について、可変ズーム技法の性能を評価するために、性能を、a)損傷したエリアのサイズによって規定される倍率での制限された角度(30°)のCTと、b)パネルのサイズによって規定される倍率での従来の全角度CTと、に基づく再構成と比較する。30°の角度スパンは、最良の解像度の従来の制限された角度の走査の能力を例証するように選択されている。
【0059】
図4は、可変ズームCTシステム400のシステム図である。CTシステム400は、実質的に、上述したCTシステム200に対するものであり、同様の数字は同様の部分を表す。例えば、標本202、線源204、検出器206、およびROI210は、上述したものと実質的に同じである。上述したように、線源204は、FOV208に沿って検出器206にX線ビームを放出するように構成されている。CTシステム400はまた、CTシステム200を参照して上述した標本ステージと実質的に同じである標本ステージ402を含む。具体的には、標本ステージ402は、標本202を回転軸Aの周りに回転させるとともに、FOV208内の標本202を線源204と検出器206との間で、取得軌跡408に沿って並進させる。示される実施例では、標本ステージ202は、45°に回転する。標本ステージ402は、標本202を標本ステージ402に解放可能に留めるためのクランプ404を備え得る。クランプは、クランプ404の中心軸Bが標本ステージ402の回転軸Aに対して平行であり、かつこれと一致するように、標本ステージ上に位置決めされている。CTシステム400は、CTシステム400の他の構成要素を包含するハウジング406を含む。様々な実装態様では、ハウジング406は、線源204からの放射線が周囲環境に入ることを防止するための放射線遮蔽を提供してもよい。
【0060】
図4に示される実施例では、標本202は、低速度衝撃損傷を受けた予備含侵された連続繊維強化ポリマー複合材(プリプレグ)パネルである。例えば、標本は、401mm炭素/エポキシ複合材積層パネルであってもよい。パネルは、積層の中心部に局在した衝撃損傷を含む。
【0061】
パネル標本は、大きな幅対厚さアスペクト比に起因した従来のX線CTについての難題を表す。大きなサイズのパネルは、従来のCT走査技法が、典型的にはパネル厚さに匹敵するサイズを有する損傷を受けやすいエリアで所望の空間分解能を得ることを妨げる。層間欠陥の信頼できる減退には、再構成ボクセルがパネル厚さよりも数桁小さい大きさであることが必要である。本明細書に開示される可変ズーム技法は、パネルのサイズによって決まる最小倍率での従来の全角度CTと、最大倍率での制限された角度のCTと、に基づく再構成と比較される。可変ズーム技法は、可変SODでの取得軌跡を用いて、高分解能CT走査を得る。この研究で提案される軌跡は、検査される被写体をX線源に近付けることによって、より高い幾何学倍率で放射線写真を取得する。
【0062】
調査対象の複合材パネルは、多数の個別の材料系を提示する。一実施例では、第1のパネルは、IM7-炭素/8552-エポキシ積層であるのに対して、第2のパネルは、ハイブリッドIM7-炭素およびS2-ガラス/913-エポキシ複合材積層である。両パネルは、プリプレガー(Hexcel)仕様[27~28]を使用してBoeingによって製造された。両材料系について、CT再構成の比較は、1)InspeXio SMX-225CT FPD HRに備えられた再構成ソフトウェアを使用する従来のCT取得軌跡、2)本明細書に開示される可変ズーム取得軌跡、および3)制限された角度の取得に対して、両方が上述した構成アルゴリズムを使用して実施される。炭素/エポキシ複合材積層における欠陥境界を横切るラインプロファイル測定値を使用して、本明細書に開示される可変ズーム技法の優れた分解能を確認する。
【0063】
炭素/エポキシ複合材積層パネル
第1の実施例は、炭素/エポキシパネルにおける衝撃損傷を受けたエリアの検査のための可変ズーム技法を例証する。パネルの幅および厚さは、それぞれ、401mmおよび3.5mmであり、114.57の幅対厚さアスペクト比をもたらす。衝撃損傷は、
図4に例示されるように、4×4.5mm
2の面積のROI210に局在している。
【0064】
図5は、従来の、可変ズームの、および制限された角度の走査軌跡に対するSODの概略軌跡の放射図である。従来の走査軌跡の場合に、SOD502は、一定のままであり、265mmに等しい。可変ズーム軌跡に対するSOD504は、式(1)に記載された正弦波状経路を使用して81mm~265mmで変動する。
【0065】
従来の走査軌跡は、43μmの最適空間分解能に対応する標本202に対して3倍の倍率を達成する。一方、可変ズーム技法は、標本202のROI210が、式(1)で概説した軌跡に従って、検出器206上に投影されるように、実行される。可変ズーム方法は、401mm炭素/エポキシ標本における衝撃を受けたエリアに対して最大10倍の倍率を達成する。最適空間分解能は、この場合に、14μmであり得る。
【0066】
第1の実施例の走査パラメータが、上記の表1に列挙されている。第1の実施例では、可変ズーム技法の210°の角度範囲(ショートスキャンとして知られている)を使用して、取得時間を低減した。角度範囲∈[-105°,105°]での、式(1)に記載された軌道の使用。±15°の範囲で、81mmの固定されたSODを使用した。制限された角度の再構成を、最高倍率で角度範囲∈[-15°,15°]の軌跡を抽出することによって、遂行した。従来の走査方法には、43μmの最適再構成ボクセルサイズが使用され、可変ズームのおよび制限された角度の走査技法には、14μmが使用される。
【0067】
図6A~6Cは、3つの走査軌跡によって得られた炭素/エポキシパネルの3Dの再構成された体積を例示している。可変ズーム技法で再構成された体積の分解能および鮮鋭性は、他の2つよりも優れているが、3次元ビューでは、個々の特徴を区別することが困難になる。明らかに、制限された角度の再構成では、損傷を受けたエリアの微小構造の判別が可能にならない。
図6Aに示される従来の走査は、不十分な分解能を示している。
図6Bに示される制限された角度の走査は、極めて浅い被写界深度と、断面平面602などの断面平面への不適性な結果と、をもたらす。
図6Cに示される可変ズーム技法は、3つの次元すべてで適切な分解能を生成する。
【0068】
図7A~7Fは、従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向の再構成されたスライスである。3次元体積の品質分析は、
図7A~7Fに示される損傷を受けたエリアから離れた厚さを通した異なる位置のスライスを調べることによって、実施され得る。例えば、
図7A~Cは、それぞれ、従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した第1の位置の再構成されたスライスである。
図7D~7Fは、それそれ、従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した第2の位置の再構成されたスライスである。
【0069】
従来の取得モードは、
図7Aおよび7Dに示されるような鮮鋭性を欠くイメージを提供する。不十分な分解能に起因して、小さいサイズのマトリクス損傷を判別することができない。一方、可変ズーム技法は、空間分解能を向上させる能力を有する。結果として、
図7Bおよび7Eに示されるように、より小さいサイズの欠陥を区別することができる。その上、可変ズーム技法を使用して得られたイメージは、目視検査によって観察されるようなより良好な鮮鋭性を有するように見える。制限された角度の取得によって得られたスライスは、
図7Cおよび7Fに示されるように、投影の欠落に起因して、厚さを通した方向に高度に歪んで見える。
【0070】
図8A~8Cは、従来の走査の、可変ズームの、および制限された角度の技法の、厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。
図7A~7Fのスライスを用いて上記で考察した同じ傾向が、
図8A~8Cに示されるように、厚さを通した方向に沿ったスライスを検査することによって現れる。可変ズーム技法によって
図8Bに示される剥離再構成の鮮鋭性および明瞭性が厚さを通した方向に改善されることに留意されたい。
図8Cの制限された角度の取得の実施例に示されるように、厚さを通した分解能は、角度データの欠落に起因して最も損なわれ、検出可能な欠陥が、30°走査に対して大きな厚さ範囲を通して不明瞭になることにつながっている。式(1)で定義される可変ズーム取得軌跡は、
図7Bおよび7Eに示される平面状スライスの分解能を改善すると予想されたが、予想外にも、可変ズーム技法は、
図8Bに示される厚さを通したスライスも改善した。可変ズーム技法によって得られた厚さを通したスライスの明らかに優れた品質は、式(6)で提案された新規な重み付けスキーマに起因している。
【0071】
ハイブリッド複合材積層パネル
別の実施例では、可変ズーム技法を使用して、ハイブリッド複合材積層パネルを特性評価する。ハイブリッド複合材積層パネル材料系は、炭素繊維とガラス繊維との間の大きなコントラスト変動に起因して追加の難題を課す。
図9は、可変ズームCTシステム900のシステム図である。CTシステム900は、実質的に、上述したCTシステム200、400に対するものであり、同様の数字は同様の部分を表す。例えば、標本202、線源204、検出器206、およびROI210は、上述したものと実質的に同じである。上述したように、線源204は、FOV208に沿って検出器206にX線ビームを放出するように構成されている。CTシステム900はまた、CTシステム200を参照して上述した標本ステージと実質的に同じである標本ステージ402を含む。具体的には、標本ステージ402は、標本202を回転軸Aの周りに回転させるとともに、FOV208内の標本202を線源204と検出器206との間で、取得軌跡408に沿って並進させる。示される実施例では、標本ステージ202は、45°に回転する。標本ステージ402は、標本202を標本ステージ402に解放可能に留めるためのクランプ404を備え得る。クランプは、クランプ404の中心軸Bが標本ステージ402の回転軸Aに対して平行であり、かつこれと一致するように、標本ステージ上に位置決めされている。CTシステム900は、CTシステム900の他の構成要素を包含するハウジング406を含む。様々な実装態様では、ハウジング406は、線源204からの放射線が周囲環境に入ることを防止するための放射線遮蔽を提供してもよい。
【0072】
図9に示される実施例では、標本202は、152mmの幅および5.2mmの厚さを有するハイブリッド複合材積層パネルである。この場合に、アスペクト比は、29.23である。
図9に例示されるように、衝撃損傷が、ROI210における標本202の中心に位置しており、およそ3×3mm
2の面積を占めている。
【0073】
図10は、従来の、可変ズームの、および制限された角度の走査軌跡に対するSODの概略軌跡の放射図である。
図9の実施例に続いて、従来の取得モードのSOD1002は、100mmである。可変ズーム軌跡に対するSOD1004は、38~100mmの範囲である。また、ここでもSOD1006を伴う最大倍率の角度範囲∈[-15°,15°]に対応する放射線写真を抽出することによって、制限された角度の取得の結果が提示されている。
【0074】
パネルの比較的低い幅対厚さアスペクト比は、従来の走査に対して8倍の倍率の達成を可能にする。対照的に、可変ズーム技法は、20倍まで倍率を増加させることが可能であった。
図9の標本202のCT走査パラメータの概要が、上記の表1に提供されている。この実施例で可変ズーム技法が走査を通して360°の角度範囲を使用することに留意することが重要である。
【0075】
図11A~11Bは、従来のおよび可変ズームの走査軌跡によって得られたハイブリッド複合材積層パネルの3D再構成された体積を例示している。
図11Bに示される可変ズーム技法の再構成された体積が、
図11Aに示される従来の走査と比較して優れた品質を有することを観察することができる。ここでも、厚さを通した再構成スライスの明らかに改善された品質は、自明に予想されず、式(6)によって提供される投影重み付けの適用から起こる。
【0076】
図12A~12Fは、従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向および厚さを通した方向の再構成されたスライスである。
図12A~12Cは、従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを横切る方向のスライスを示す。
図12D~12Fは、それぞれ、従来の走査技法、可変ズーム技法、および制限された角度の取得の、厚さを通した方向のスライスを示す。再構成は、検討中の方法の各々によって投影が取得される場合に、23μmのボクセルサイズを使用して行われる。可変ズーム取得軌跡によって得られたイメージは、
図12Bおよび12Eに例示されるようにより良好な鮮鋭性を有することが明白である。従来の取得モードで利用される比較的高い倍率係数にも関わらず、空間分解能は、所望の再構成品質を提供するには不十分であるように見える。一方、走査を通した可変倍率は、より高い空間分解能の達成を可能にし、したがって、より良好な再構成品質につながる。実際、すべてのスライスが、単純放射線写真で検出可能な金属被覆繊維(X線トレーサ)の存在に起因した特徴的なアーチファクトを受けやすい。これらのアーチファクトは、
図12Cおよび12Fに例示されるように、制限された角度の断層撮影のスライスでより顕著であり、イメージング品質の劣化につながる。
【0077】
図13A~13Dは、重み付けを使用する、および重み付けを使用しない可変ズームに対する厚さを通した方向および厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。
図13Aおよび13Bは、式(6)で定義される重み付け係数を使用する可変ズームに対する厚さを通した方向および厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。比較すると、
図13Bおよび13Dは、式(6)で定義される重み付け係数を使用しない可変ズームに対する厚さを通した方向および厚さを横切る方向の再構成されたスライスである。
図13Dで厚さを横切る方向に沿った再構成されたスライスは少なめのノイズを示しているが、
図13Bの厚さを通した方向の再構成されたスライスは、深さ方向に大きな歪みの特徴を示し、このことは、高密度トレーサからの星形パターンによって最も明確に例証される。
図13Dはまた、セクションでのトレーサ障害物による歪みを示している。対照的に、式(6)で定義される重み付け係数を使用する場合、高密度トレーサからのこれらの歪みは、
図13Aおよび13Cの再構成されたスライスに存在しない。
【0078】
精度および鮮鋭性の測定
本明細書では、大きな面内寸法を有する複合材積層の検査の空間分解能を向上させることが可能である新規なX線コンピュータ断層撮影が開示される。新規な走査技法は、非因襲的な走査軌跡を利用し、標本は、回転するのみではなく、空間の寸法が許すに従ってX線源の方へ並進することも行い、それゆえ、より大きな分解能につながる。可変ズーム方法は、従来の走査方法と制限された角度の走査方法との両方を凌駕することが例証された。従来のおよび制限された角度の技法とは異なり、可変ズームCTは、3つの次元すべてで傑出した分解能を生成した。
【0079】
この手法は、2つの提案を取り入れている:放射線写真取得の非因襲的な軌跡、および新規な再構成重み付けスキーム。走査軌跡は、同時の、角度回転と、標本の寸法が許容するのに従うX線源の方への標本の並進と、を含み、それゆえ、より大きな分解能につながる。各放射線写真は、被写体からX線源までの距離に比例する重み付け係数によってスケールされている。可変ズーム方法は、従来の走査方法と制限された角度の走査方法との両方を凌駕することが例証された。後者の技法とは異なり、可変ズーム方法は、3つの次元すべてで傑出した分解能を生成した。
【0080】
提案された方法を検証するために、異なる複合材料系から製造され、かつ低速度衝撃負荷を受けた2つの複合材積層パネルに対して実現可能性の研究を行った。両パネルは、従来のCT走査技法の知られている難題である、比較的大きな厚さ対幅アスペクト比を有していた。実際、従来のCTは、衝撃に起因したより小さなクラックおよび剥離を明瞭に識別することが必要な空間分解能を達成することができなかった一方、制限された角度の断層撮影技法は、層間欠陥分解能の完全な不足を示した。可変ズームCTは、より高い空間分解能で体積を再構成し、それゆえ、再構成されたスライスのより良好な鮮鋭性につながることが可能であった。可変ズーム方法による再構成の改善された鮮鋭性は、厚さを通したセクションで特に注目に値し、層間欠陥分解能の大幅な改善につながった。これらの結果は、調査中の両材料系に一貫していた。欠陥再構成の測定値の精度および鮮鋭性の定量分析が、既知の幾何学および次元の機械加工による欠陥に対して行われた。可変ズーム技法は、機械工具によって得られる測定値と比較して、欠陥ディメンションの面内および面外の正確な測定値と、目視検査のみではなく、ラインプロファイルの分析にも基づいた、再構成されたセクションの優れた鮮鋭性と、を提供した。
【0081】
この研究で開発された可変ズームCT方法は、複合材料および構造のNDIに重要な意味を有する。材料面では、この方法は、十分な幾何学倍率のためにX線源の十分近くに配置できる小片を切断することによって被験品を破壊することなく、CTシステムの最大分解能を達成する必要性に対処することができる。既存のCTシステム筐体に適合し得るが、従来の走査技法を使用して認識可能ではない3次元の重大な特徴を有する小さい欠損を受けた複合材構造に対する同様の必要性がある。また、新しい方法は、微小焦点CTシステムには現在好適でないより大きな構造に対して、高分解能CTを可能にすることに向けて追加の柔軟性を提供する。
【0082】
様々な図に関して本明細書に記載の論理演算は、(1)コンピューティングデバイス(例えば、
図14に記載されるコンピューティングデバイス)上で実行される一連のコンピュータ実装動作またはプログラムモジュール(すなわち、ソフトウェア)として、(2)コンピューティングデバイス内の相互接続されたマシンロジック回路または回路モジュール(すなわち、ハードウェア)として、および/または(3)コンピューティングデバイスのソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実装され得ることを理解されたい。したがって、本明細書で考察される論理演算は、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されない。この実装態様は、コンピューティングデバイスの性能および他の要件に応じて選択することができる。したがって、本明細書で説明される論理演算は、演算、構造デバイス、動作、またはモジュールと様々に称される。これらの演算、構造デバイス、動作、およびモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、特殊目的のデジタルロジック、およびそれらの任意の組み合わせで実装され得る。また、図に示され、本明細書に記載されるよりも多い演算または少ない演算を実行することができることも理解されたい。これらの演算は、本明細書に記載されるものとは異なる順序で実行することもできる。
【0083】
図14を参照すると、本発明の実施形態が実装され得る例示的なコンピューティングデバイス1900が例示されている。例えば、本明細書に記載のコントローラシステムは各々、コンピューティングデバイス1900などのコンピューティングデバイスとして実装されてもよい。例示的なコンピューティングデバイス1900は、本発明の実施形態が実装され得る好適なコンピューティング環境の一例にすぎないことを理解されたい。所望により、コンピューティングデバイス1900は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、ネットワークパーソナルコンピュータ(PC)、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、組み込みシステム、および/または上記のシステムまたはデバイスのいずれかの複数を含む分散コンピューティング環境を含むがこれらに限定されない、周知のコンピューティングシステムであり得る。分散コンピューティング環境では、通信ネットワークまたは他のデータ伝送媒体に接続されているリモートコンピューティングデバイスで様々なタスクを実行することが可能になる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュール、アプリケーション、および他のデータは、ローカルおよび/またはリモートのコンピュータ記憶媒体に記憶され得る。
【0084】
一実施形態では、コンピューティングデバイス1900は、共同してタスクを実行する、互いに通信する2つ以上のコンピュータを備えてもよい。例えば、限定によるものではないが、アプリケーションは、アプリケーションの命令の同時のかつ/または並列の処理を許容するような方法で区分されてもよい。代替的に、アプリケーションによって処理されたデータは、2つ以上のコンピュータによって設定されたデータの異なる部分の同時のかつ/または並列の処理を許容するような方法で区分されてもよい。一実施形態では、コンピューティングデバイス1900によって仮想化ソフトウェアを用いて、コンピューティングデバイス1900のいくつかのコンピュータに直接には結合されていないいくつかのサーバの機能性を提供してもよい。例えば、仮想化ソフトウェアは、4つの物理コンピュータ上に20個の仮想サーバを提供してもよい。一実施形態では、上記に開示される機能性は、クラウドコンピューティング環境でアプリケーションおよび/または複数のアプリケーションを実行することによって、提供されてもよい。クラウドコンピューティングは、動的にスケーリング可能なコンピューティングリソースを使用するネットワーク接続を介してコンピューティングサービスを提供することを含んでもよい。クラウドコンピューティングは、少なくとも部分的に、仮想化ソフトウェアによってサポートされてもよい。クラウドコンピューティング環境は、企業によって確立されてもよく、かつ/またはサードパーティプロバイダから必要に応じて借りるものであってもよい。いくつかのクラウドコンピューティング環境は、企業によって所有され、かつ運用されるクラウドコンピューティングリソース、ならびにサードパーティプロバイダから借り、かつ/または賃借するクラウドコンピューティングリソースを備えてもよい。
【0085】
その最も基本的な構成では、コンピューティングデバイス1900は、通常、少なくとも1つの処理ユニット1920およびシステムメモリ1930を含む。コンピューティングデバイスの正確な構成およびタイプに応じて、システムメモリ1930は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)、不揮発性(読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなど)、または2つのある組み合わせであり得る。この最も基本的な構成は、
図14に破線1910で例示されている。処理ユニット1920は、コンピューティングデバイス1900の動作に必要な算術および論理演算を実行する標準的なプログラム可能なプロセッサであり得る。1つのみの処理ユニット1920が示されているが、複数のプロセッサが存在してもよい。従って、命令はプロセッサによって実行されるものとして考察されているが、命令は、1つまたは複数のプロセッサによって、同時に、シリアルに、または他様に実行されてもよい。コンピューティングデバイス1900はまた、コンピューティングデバイス1900の様々な構成要素間で情報を通信するためのバスまたは他の通信メカニズムを含み得る。
【0086】
コンピューティングデバイス1900は、追加の特徴/機能を有し得る。例えば、コンピューティングデバイス1900は、磁気または光ディスクまたはテープを含むがこれらに限定されない、リムーバブルストレージ1940および非リムーバブルストレージ1950などの追加のストレージを含み得る。コンピューティングデバイス1900はまた、デバイスが、本明細書に記載の通信路を介するなど他のデバイスと通信することを可能にするネットワーク接続1980を含み得る。ネットワーク接続1980は、モデム、モデムバンク、イーサネットカード、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースカード、シリアルインターフェース、トークンリングカード、ファイバ分散データインタフェース(FDDI)カード、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)カード、符号分割多重アクセス(CDMA)、移動通信用グローバルシステム(GSM)、ロングタームエボリューション(LTE)、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用(WiMAX)、および/または他のエアインターフェースプロトコル無線送受信機カードなどの、無線送受信機カード、ならびに他の周知のネットワークデバイスの形態を取り得る。コンピューティングデバイス1900はまた、キーボード、キーパッド、スイッチ、ダイアル、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識器、カードリーダ、ペーパーテープリーダ、または他の周知の入力デバイスなどの入力デバイス1970を有し得る。プリンタ、ビデオモニタ、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーンディスプレイ、ディスプレイ、スピーカ、などの出力デバイス1960もまた、含まれ得る。コンピューティングデバイス1900の構成要素間のデータの通信を容易にするために、追加のデバイスをバスに接続することができる。これらのデバイスはすべて当技術分野では周知であり、ここで詳細に考察する必要はない。
【0087】
処理ユニット1920は、有形のコンピュータ可読媒体に符号化されたプログラムコードを実行するように構成され得る。有形のコンピュータ可読媒体とは、コンピューティングデバイス1900(すなわち、機械)を特定の方式で動作させるデータを提供することができる任意の媒体を指す。実行のために処理ユニット1920に命令を提供するために、様々なコンピュータ可読媒体を利用することができる。有形のコンピュータ可読媒体の例には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された揮発性媒体、不揮発性媒体、リムーバブル媒体および非リムーバブル媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。システムメモリ1930、リムーバブルストレージ1940、および非リムーバブルストレージ1950はすべて、有形のコンピュータ記憶媒体の例である。有形のコンピュータ可読記録媒体の例には、集積回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向けIC)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、ホログラフィック記憶媒体、ソリッドステートデバイス、RAM、ROM、電気的に消去可能なプログラム読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリもしくは他のメモリテクノロジ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、または他の磁気ストレージデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
実行可能なソフトウェアをコンピュータにロードすることによって実装できる機能性を周知の設計ルールによってハードウェア実装態様に変換することは、電気工学およびソフトウェア工学にとって基本的である。ソフトウェアでの概念の実装とハードウェアでの概念の実装とを対比する決定は、ソフトウェア領域からハードウェア領域への変換に関与する任意の問題ではなく、設計の安定性およびユニットの数を考慮することに左右される。一般に、頻繁な変更を受け続ける設計は、ソフトウェアで実装されるのが好ましい場合があり、それは、ハードウェア実装態様をリスピンすることが、ソフトウェア設計をリスピンすることよりも高額であるためである。一般に、大量に生産されることとなる安定である設計は、ハードウェア、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、で実装されるのが好ましい場合があり、それは、大量生産稼働には、ハードウェア実装態様が、ソフトウェア実装態様ほど高額でない場合があるためである。多くの場合、設計は、ソフトウェア形態で開発され、試験され、後に周知の設計ルールによって、ソフトウェアの命令を配線接続する特定用途向け集積回路での均等なハードウェア実装態様に変換され得る。新しいASICによって制御されるマシンが特定のマシンまたは装置であるのと同じ様式で、プログラムされ、かつ/または実行可能命令がロードされたコンピュータが、同様に、特定のマシンまたは装置と見なされ得る。
【0089】
例示的な実装態様では、処理ユニット1920は、システムメモリ1930に記憶されたプログラムコードを実行することができる。例えば、バスは、データをシステムメモリ1930に搬送することができ、処理ユニット1920は、システムメモリ1930から命令を受信して実行する。システムメモリ1930によって受信されたデータは、所望により、処理ユニット1920による実行の前または後に、リムーバブルストレージ1940または非リムーバブルストレージ1950に記憶され得る。
【0090】
本明細書に記載の様々な技法は、ハードウェアまたはソフトウェアに関連して、あるいは必要に応じてそれらの組み合わせに関連して実装され得ることが理解されるべきである。したがって、現在開示されている主題の方法および装置、あるいはその特定の態様または部分は、フロッピーディスク、CD-ROM、ハードドライブ、または任意の他の機械可読記憶媒体などの有形媒体に組み込まれたプログラムコード(つまり、命令)の形式をと取り得、ここで、プログラムコードがコンピューティングデバイスなどの機械にロードされて実行されると、機械は、現在開示されている主題を実行するための装置となる。プログラム可能なコンピュータでのプログラムコード実行の場合、コンピューティングデバイスは、一般に、プロセッサ、プロセッサによって読み取り可能な記憶媒体(揮発性および不揮発性メモリおよび/または記憶要素を含む)、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスを含む。1つ以上のプログラムは、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、再利用可能な制御などの使用を通じて、現在開示されている主題に関連して説明されるプロセスを実装または利用することができる。かかるプログラムは、コンピュータシステムと通信するために、高レベルの手続き型またはオブジェクト指向プログラミング言語で実装され得る。ただし、必要に応じて、プログラムをアセンブリ言語または機械語で実装することができる。いずれの場合も、言語はコンパイルまたはインタプリタされた言語であり、ハードウェアの実装と組み合わせることができる。
【0091】
方法およびシステムの実施形態は、方法、システム、装置、およびコンピュータプログラム製品のブロック図およびフローチャート説明図を参照して本明細書に記載され得る。ブロック図およびフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャート説明図の各ブロックの組み合わせを、それぞれ、コンピュータプログラム命令によって実装することができることは理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードして、マシンを生成してもよく、これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行動作する命令は、1つ以上のフローチャートブロックで指定される機能を実装するための手段を作成する。
【0092】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の様式で機能するように指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、これにより、コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、1つ以上のフローチャートブロックで指定される機能を実装するためのコンピュータ可読命令を含む製造物品を生成する。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上にロードされて、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成してもよく、これにより、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行動作する命令は、1つ以上のフローチャートブロックで指定される機能を実装するためのステップを提供する。
【0093】
よって、ブロック図およびフローチャート説明図のブロックは、指定される機能を実行するための手段の組み合わせ、指定される機能を実行するためのステップの組み合わせ、および指定される機能を実行するためのプログラム命令手段をサポートする。ブロック図およびフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図およびフローチャート説明図のブロックの組み合わせを、指定される機能もしくはステップ、または専用のハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステムによって実装することができることもまた理解されるであろう。
【0094】
可変ズーム技法のファントムベースの評価
ファントムの定義
このセクションでは、人為的な3Dファントムを使用して、可変ズーム技法の性能を見極める。ファントム体積は、ファントムの中心に位置する円筒状欠陥(直径および高さが0.5mm)を有する矩形の400mm幅かつ3.5mm厚ブロックを表す。複合材パネルを模擬したファントムのディメンションを、以下に提示する。ファントムのコーンビーム投影は、プロジェクタ関数を使用して、かつ幾何学パラメータと
図3に示される炭素/エポキシパネルの取得軌跡とを使用して生成される。「逆犯罪(inverse crime)」を回避するために、ファントム体積の投影は、投影された体積中のボクセルサイズよりも小さいボクセルサイズを使用して生成される。メモリ制限に起因して、全体積は、2つの部分に分割される。欠陥を有する小さい方の内側部分は、2μmのボクセルサイズで投影され、大きい方の外側部分は、10μmのボクセルサイズで投影される。結果として得られる投影は、組み合わせられ、再構成方法セクションで上述したアルゴリズムに基づいて、再構成の入力として使用される。
【0095】
欠陥鮮鋭性の測定
目視検査は、可変ズームCT再構成スライスと従来のCT再構成スライスとの鮮鋭性の実質的な差異を明らかにする。この差異を定量的に見極めるために、Kraemer A,Kovacheva E,Lanza G,“Projection based evaluation of CT image quality in dimensional metrology,”Digit.Ind.Radiol.Comput.Tomogr.,2015,p.1-10で提案された分散推定方法を採用した。欠陥境界上の各ポイントについて、サポート窓内部の強度値の分散は、材料欠陥境界の局所的な鮮鋭性を示す。欠陥境界に沿ったすべての測定値間の最大の分散を選定して、鮮鋭性を表す。
【0096】
複雑な境界には理想的であるが、分散値は、定量的に解釈し、比較するのが困難である。この問題を軽減するために、測定された分散に基づいて境界の不鮮鋭性を推定する関係を提案する。ラインプロファイルに沿った強度値の分散が外見上の不鮮鋭性に関連するような関係が、1つのディメンション境界について確立される。不鮮鋭性uを有する境界を横切る長さwの仮定された強度プロファイルを使用して、
図15に例示されるラインプロファイルの分散を計算する。ここで、I
mは、材料強度に対応し、I
aは、欠陥/空気強度に対応する。
【0097】
図15に示されるプロファイルの強度を、プロファイル座標の関数として表すことができる:
【数19】
【0098】
このプロファイルの強度の分散を計算し、以下のようにさらに推定することができる:
【数20】
式中、I
kは、画素の強度であり、
【数21】
は、プロファイルの平均の強度である。
【0099】
式(7)を式(8)に代入すること、および積分を計算することにより、不鮮鋭性uを分散の関数として表現することが可能になる:
【数22】
式中、
【数23】
は、以下のプロットで使用される正規化された分散である。
【0100】
図16は、両再構成方法について、400mmファントム中の500μμm円筒状ボイドの典型的なプロファイルの外見上の不鮮鋭性を比較している。16画素ラインプロファイルは、上記に定義した材料-空気境界上のポイントを中心とする。材料/空気強度は、境界から離れた大きなセクションにわたって平均されていることに留意されたい。材料側で画素強度を増加させ、かつ空気側で画素強度を減少させる再構成アーチファクトに起因して、外見上の不鮮鋭性は、平均の材料/空気レベルを有する傾斜ラインの交点間の距離として測定される。
図16は、可変ズームの外見上の不鮮鋭性u
vzは、従来の方法の不鮮鋭性u
cのほぼ3倍小さいことを示している。
【0101】
図17は、式(8)の離散的な形態から計算される正規化された分散と、式(9)からの不鮮鋭性と、を窓サイズの関数として例証している。孔の等高線上の各ポイントに対してw×w画素サポート窓を使用して、スライスの最大の分散を得る。
図16と同様に、境界アーチファクトに起因した不鮮鋭性の過大評価を回避するために、窓内の強度値は、上方から平均の材料強度に、および下方から平均の空気強度に固定される。この補正は、境界アーチファクトの影響を除去し、これにより、測定されたプロファイルが
図15のプロファイルに従い、式(9)を、不鮮鋭性の計算に使用することができる。測定は、孔の深さに沿った20個のセクションに対して実行された。エラーバーは、標準偏差を示す。予想した通り、等高線の最大の正規化された分散は、窓サイズに関してほぼ線形に増大する一方、計算された境界不鮮鋭性は、小窓サイズでの増大後に安定化する。
図16との比較により、
図17のような分散に基づいて不鮮鋭性を推定する精度は、2つの方法について不鮮鋭性値の同様の比率を示すことが確認された。加えて、すべての窓サイズについて、可変ズーム技法は、従来の方法と比較して再構成の優れた鮮鋭性を一貫して果たすことに留意されたい。
【0102】
可変ズーム技法の測定ベースの検証
複合材パネルのディメンション測定
Hexcelのプリプレグを使用してBoeingによって製造された、
図4に示される大きなアスペクト比の炭素/エポキシ複合材パネルに対して、測定ベースの検証を実施した。パネルの中央に0.5mmの孔を穿孔し、Keyence Digital Microscope VHX-950Fによって、孔の直径を確認した。欠陥の深さは2.5mmであり、それを0.001インチ(25.4μm)精度のダイアル試験インジケータによって推定した。前のセクションで概説した手順を使用して、ディメンション測定ならびに不鮮鋭性測定を実行した。
【0103】
180kVのX線管電圧、90μAターゲット電流、および1フレーム/秒の取得速度を使用して、パネルのCT走査を生成した。360度の角度範囲で720個の3000×3000放射線写真を取得した。従来のCT(46μmの最適ボクセルサイズ)に対して倍率係数は3倍に相同であり、可変ズーム技法に対して3倍~10倍で変動する。
【0104】
図18は、炭素/エポキシ複合材パネルの穿孔された孔の20個のセクションに対する、正規化された分散測定値および不鮮鋭性計算結果を提供する。可変ズーム技法は従来のCTよりも良好な鮮鋭性をもたらすことが、明白である。両方法は、放射線写真にノイズが存在することに起因して、ファントムと比較してより高い不鮮鋭性値を呈する。
【0105】
衝撃損傷を有する複合材パネルへの可変ズーム技法の適用
被験標本
可変ズーム技法を、低速度衝撃損傷を受けた予備含侵された連続繊維強化ポリマー複合材パネルのX線CT走査に対して例証する。これらの標本は、大きな幅対厚さアスペクト比に起因した従来のX線CTについての難題を表す。大きなサイズのパネルは、従来のCT走査技法が、典型的にはパネル厚さに匹敵するサイズを有する損傷を受けやすいエリアで所望の空間分解能を得ることを妨げる。層間欠陥の信頼できる減退には、再構成ボクセルがパネル厚さよりも桁が小さい大きさであることが必要である。
【表2】
【0106】
各パネルは、航空宇宙用途で典型的に出くわす、個別の材料系を有する。第1のパネルは、IM7-炭素/8552-エポキシ複合材積層であり、第2のパネルは、ハイブリッドIM7-炭素およびS2-ガラス/913-エポキシ複合材積層である。両パネルは、Hexcelのプリプレグを使用してBoeingによって製造された。表2は、可変ズームCT技法および従来のCT技法の評価および比較に使用されるCT走査パラメータを詳細に示している。
【0107】
炭素/エポキシ複合材積層の損傷検出
第1の実施例は、炭素/エポキシパネルにおける衝撃を受けたエリアの検査のための可変ズーム技法を例証する。パネルの幅および厚さは、それぞれ、401mmおよび3.5mmであり、114.57の幅対厚さアスペクト比をもたらす。パネルは、パネルの中央に位置するおよそ4×4.5mm2の面積で低速度衝撃損傷を受けている。
【0108】
図3は、従来のおよび可変ズームの軌跡に対するSODの変化を例示している。従来の走査軌跡の場合に、SODは、一定のままであって、46μmの最適空間分解能に対応する3倍の倍率をもたらす265mmに相同である。可変ズーム軌跡に対するSODは、正弦波状経路(式1)を使用して81~265mmで変動し、このことは、401mm炭素/エポキシ標本の衝撃を受けたエリアに対する最大10倍の倍率につながる。再構成ボクセルは、最高倍率に対して選定され、14μmに相同である。可変ズーム技法の210°の角度範囲(ショートスキャンとして知られている)を使用して、取得時間を低減した。軌道を、角度範囲θ∈[-105°,105°]で式(1)によって定義し、SODを、|θ|<15°について81mmに設定した。
【0109】
図19A~19Dで提示される損傷を受けた表面エリアから離れた、厚さを通した異なる位置のスライスを調べることによって、可変ズーム技法による再構成品質の定性的な分析を実行することができる。従来の取得モードは、
図19C~19Dで見ることができる、鮮鋭性を欠くイメージを提供する。不十分な分解能に起因して、より小さいマトリクスクラックを判別することができない。一方、可変ズーム技法は、知覚される空間分解能を向上させ、
図19A~19Bに示されるように、小サイズ欠陥を区別することができる。
【0110】
図20A~30Bに例示されるように、異なる深さのスライスを検査することによって、同じ傾向が現れる。可変ズーム技法による、
図20Aに示される剥離再構成の鮮鋭性および明瞭性の改善は、真に注目に値することに留意されたい。厚さを通したスライスの品質は、検出可能な欠陥が厚さ範囲を通して不明瞭に見えることにつながる角度データの欠落に強く影響を受ける。この観察の趣旨では、ズーミング技法は、
図19A~19Dに示されるが厚さのあるスライスである必要がない、平面状スライスの分解能を改善することが予想される。可変ズーム技法によって得られた厚さのあるスライスの優れた品質は、式(6)によって提供される重み付けに起因している。
【0111】
2つの方法間の鮮鋭性の差異を定量化するために、上述した分散推定方法を使用するCTスライスの分析を提示する。平面方向と厚さ方向との両方における欠陥の境界を、等高線法を使用することによって、識別した。
図19A~20Bに示されるスライスに隣接する10個のスライスを使用して、等高線状の各ポイントに対する局所分散測定値を求めた。
【0112】
欠陥境界の極端な複雑さに起因して、より大きい窓は、より小さい窓よりもより大きい割合の境界画素を含み、このことは、より遅い分散増大と、より大きい窓サイズに対する不鮮鋭性推定値の増加と、につながる。したがって、分散値の比較は、複雑な欠陥に対してより意義が大きい。
図21は、14μmの同じボクセルを使用する、可変ズームおよび従来のCT再構成に対する正規化された分散測定値を示す。可変ズームによる、平面方向スライスと厚さ方向スライスとの両方に対する分散値が高いほど、低い不鮮鋭性の再構成された欠陥を示す。例えば、可変ズーム平面セクションの正規化された分散Var
n=0.83は、窓サイズw=10に対して2.6の不鮮鋭性に対応する一方、従来の方法に対する不鮮鋭性は、8.8画素である。
図21は、可変ズーム技法が従来のCTよりも鮮鋭な分解能の欠陥を提供することを明らかに示している。
【0113】
ハイブリッド複合材積層の損傷検出
第2の実施例として、可変ズーム技法を適用して、ハイブリッド複合材積層の衝撃損傷を特性評価した。この材料系は、炭素繊維とガラス繊維との間の大きなコントラスト変動に起因して追加の難題を課す。積層は、152mmの幅および5.2mmの厚さを有し、アスペクト比は、29.2であり、3×3mm2の衝撃損傷が、プレートの中心にある。
【0114】
この標本の走査軌跡を
図3に示す。従来の取得に対するSODは、100mmであり、可変ズーム軌跡のSODは、38~100mmで変動する。比較的低いパネルの幅対厚さ比率により、8倍の倍率を達成することが可能になり、可変ズーム技法は、倍率を20倍まで増加させる。再構成は、両技法に対して、360°の角度範囲および21μmの再構成ボクセルを使用する。
【0115】
可変ズーム技法によって得られたイメージは、
図22A~22Dに例示されるようにより良好な鮮鋭性を示すことが明白である。従来の取得モードで利用される比較的高い倍率係数にも関わらず、空間分解能は、所望の再構成品質を提供するには不十分であるように見える。一方、可変倍率は、より良好な再構成品質につながる、より高い空間分解能の達成を可能にする。ここでも、
図22Cに示される、可変ズーム技法によって再構成された厚さ断面の優れた鮮鋭性に留意されたい。
【0116】
この研究は、厚さに対して大きな面内寸法を有するプレート様被写体の非破壊検査の空間分解能を向上させることが可能である新規なX線コンピュータ断層撮影技法を例証した。例えば、大きな複合材プレートの損傷の検出を、提案される技法の重要な用途として識別することができる。この方法は、2つの部分を取り入れている:放射線写真取得の非因襲的な軌跡、および新規な再構成重み付け。走査軌跡は、同時の、角度回転と、標本の寸法が許容するのに従うX線源の方への標本の並進と、を含む。この技法は、走査中の倍率、結果として空間分解能全体、を増加させる。再構成は、FDK法に基づいており、パネルからX線源までの距離に基づく放射線写真重み付けを取り入れている。提案される方法は、特に厚さ方向に、優れた品質を有する再構成を可能にする。
【0117】
ファントムモデルに対して、および測定可能な特徴を有する被写体のCT走査に対して、正確なディメンション測定のための可変ズーム技法の検証を実証した。炭素/エポキシパネルの穿孔された孔と、パネルに取り付けられたアルミニウムワイヤと、の推定されるディメンションは、機械的測定によって得られるものと一致していた。加えて、再構成された詳細な鮮鋭性の定量的な見極めは、従来のCTと比較して、可変ズーム技法欠陥の分解能の向上を例証した。最後に、異なる複合材料系から製造され、かつ低速度衝撃負荷を受けた2つの複合材積層パネルに対して実現可能性の研究を行った。両パネルは、従来のCT走査技法の知られている難題である、比較的大きな厚さ対幅アスペクト比を有していた。実際、従来のCT方法は、衝撃に起因したより小さなクラックおよび剥離を明瞭に区別するために必要な空間分解能を達成することができなかった一方、可変ズーム技法は、厚さ方向の大幅に改善された欠陥分解能を含む、再構成されたスライスのより良好な鮮鋭性につながるより高い空間分解能を有する体積を再構成することができた。これらの結果は、調査中の両材料系に一貫していた。
【0118】
この研究で開発された可変ズームCT方法は、材料および構造のNDIに重要な意味を有する。材料面では、この方法は、十分な幾何学倍率のためにX線源の十分近くに配置できる小片を切断することによって被験品を破壊することなく、CTシステムの最大分解能を達成する必要性に対処することができる。既存のCTシステム筐体に適合し得るが従来の走査技法を使用して認識可能ではない3次元の重大な特徴を有する小さい欠損を受けた構造に対する同様の必要性がある。また、新しい方法は、微小焦点CTシステムには現在好適でないより大きな構造に対して、高分解能CTを可能にすることに向けて追加の柔軟性を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態を本開示に提供してきたが、開示されたシステムおよび方法は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの他の特定の形態で具現化されてもよいことを理解されたい。本実施例は、例示的であって限定的ではないと見なされるものであり、この意図は、本明細書で与えられる詳細に限定されるものではない。例えば、様々な要素または構成要素が、組み合わせられるか、または別のシステムに統合されてもよいし、特定の特徴が省略されるか、または実装されなくてもよい。
【0120】
また、様々な実施形態に個別にまたは別個に開示され、例示される技法、システム、サブシステム、および方法が、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、モジュール、技法、もしくは方法と組み合わせられるか、または統合されてもよい。互いに直接結合されるか、または通信するものとして示されるか、または考察される他の項目が、何らかのインターフェース、デバイス、または中間コンポーネントを介して、電気的にか、機械的にか、または他様にであるかにかかわらず、間接的に結合されるか、または通信してもよい。変形、置換、および改変の他の実施例が、当業者によって確認でき、本名所に開示された趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0121】
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